JP2003212792A - 新規な血管新生促進剤 - Google Patents

新規な血管新生促進剤

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JP2003212792A
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apc
angiogenesis
blood
promoting
endothelial cells
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JP2002005173A
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Mitsuhiro Uchiba
光浩 内場
Kenji Okajima
研二 岡嶋
Toshihiro Nakagaki
智弘 中垣
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Chemo Sero Therapeutic Research Institute Kaketsuken
Original Assignee
Chemo Sero Therapeutic Research Institute Kaketsuken
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Abstract

(57)【要約】 【目的】 血管新生促進作用を有する新規な予防・治療
剤を提供する。 【構成】 血漿由来または遺伝子組換え技術を駆使して
調製される活性化プロテインCを主たる有効成分とする
血管新生促進剤。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本願発明は血漿蛋白質の新たな用
途に関する。詳細には、血漿蛋白質の血管新生促進活性
に関し、医薬品として有用な、血管内皮細胞増殖活性及
び/または管腔形成活性を示し、結果として血管新生促
進活性を有する蛋白質に関する。さらに詳細には、活性
化プロテインC(以下APCと称することがある)を本態
とする新規な血管新生促進剤に関する。
【0002】
【従来の技術並びに発明が解決しようとする課題】血管
新生(angiogenesis)は、血管新生増殖因子(angiogen
ic growth factor)の働きで既存の近傍血管から血管内
皮細胞を増殖、遊走させ新たな血管を作り出す過程であ
る。成熟個体において血管新生の場となる細小血管は、
あらかじめ血管内皮細胞とペリサイトによって構築され
ており、ペリサイトの存在によって血管は成熟した状態
に維持されている。血管新生はペリサイトが血管壁から
離解することで開始し、このプロセスを経て内皮細胞は
血管新生因子に対して容易に反応することができるよう
になる。血管新生因子に反応した内皮細胞は、プロテア
ーゼを発現して血管基底膜を融解して瘤状に突出(spro
uting)する。内皮細胞は間質の細胞外マトリックスを
融解しながら遊走し、後続の内皮細胞が増殖しながらこ
れに続いて芽を伸ばしてゆく。間質へと遊走した内皮細
胞はやがて互いに接着してネットワークを形成し、外側
に基底膜、内側に内腔を有する管腔構造を構築する(管
腔形成)。最後にペリサイトがこれを取り巻いて新しい
血管が形成する。
【0003】血管内皮細胞は血管の内腔を覆う一層の細
胞で、内皮細胞の内腔面の形質膜は血液と接しており、
外側の形質膜は基底膜により囲まれている。その機能
は、血管透過性の調節、血管内腔の抗血栓化、血
管平滑筋トーヌスの調節、血管壁への白血球細胞など
の接着の調節、血流(壁ずり応力)を感知し、血管の
血流に対するリモデリングの指令を行う(Jpn Heart J,
vol.37, p19-32, 1996)。したがって、何らかの原因
で内皮細胞が傷害されると、浮腫、血栓症、高血圧、炎
症等の病態を示すようになる。
【0004】ここ数年で数々の因子が血管形成を調節し
ていることが判明した。癌の発達には血管新生が深くか
かわっており、その治療には血管新生を抑制することが
必要となるが、反対に、血管形成を促進する治療法も求
められるようになってきた。例えば、下肢閉塞性動脈硬
化症、心筋梗塞等の虚血性心疾患は血行改善が不可能に
陥った状態の疾患である。下肢閉塞性動脈硬化症では、
潰瘍壊死の進行により将来的に切断手術の可能性がある
ため、また、心筋梗塞は致死性の疾患であるため、血管
新生療法が究極の治療法と考えられている。近年の動物
実験を通じて、VEGF(vascular endothelial growth fa
ctor)、bFGF(basic fibroblast growth factor)、 HGF
(hepatocyte growth factor)、GM-CSF(granulocyte/ ma
crophage-colony stimulating factor)、G-CSF(granulo
cyte-colony stimulating factor)、angiopoitetin-I等
の増殖因子を下肢虚血あるいは心筋虚血モデルに投与す
ると、血管新生が促進され血行改善に結びつくことが示
された。その中でも、VEGFは血管内皮細胞に特異的な増
殖分化因子で、血管形成において重要な役割を果たして
おり、ウサギの慢性下肢動脈閉塞性虚血モデルでVEGF投
与による血管新生療法の有効性が証明された(J Clin I
nvest, vol.93,p662-670, 1994)。また、このモデルを
用いてVEGFの遺伝子治療にも応用されている(Biochem B
iophys Res Commun, vol.227, p.628-635, 1996)。遺伝
子治療に関しては臨床応用も進んでおり、米国では100
名以上の下肢閉塞性動脈硬化症および重症心筋虚血疾患
患者に施行され、良好な成績を収めている。また、血管
新生現象は、火傷や傷の治癒などにみられる脈間形成の
生理現象の一つでもあり、血管新生促進因子は火傷や傷
の治療にも有用である。
【0005】
【課題を解決するための手段、発明の構成】そこで、本
願発明者らは血管新生を促進する薬剤を開発すべく鋭意
研究した結果、驚くべきことに、従来試みられることの
なかったAPCに血管新生を促進する作用があることを見
出し、この知見に基づいて本願発明を完成するに至っ
た。本願発明の血管新生促進剤はAPCを本態とする。そ
して、当該APCは血管新生の機序において重要な、血管
内皮細胞を増殖し得る作用及び/または血管の管腔形成
能に係る活性を併せ持つことも明らかとなった。APCの
血管新生作用は、医療応用に大きな可能性を秘めてお
り、循環器病領域では虚血部位の血管新生療法や動脈硬
化部位の欠陥内皮再生療法にAPC投与が有効と期待され
る。かくして、本願発明によって提供される、APCを本
態とする新規な血管新生促進剤は、下肢閉塞性動脈硬化
症もしくは心筋梗塞等の虚血性疾患の予防/治療剤また
は火傷もしくは外傷の治療剤となり得る。
【0006】APCは血中ではその前駆体のPCとして循環
しているが、一旦凝固系が作動しトロンビンが形成され
ると活性化されセリンプロテアーゼ活性を有するAPCに
変換される。APCは、細胞膜リン脂質上で、血液凝固系
の活性化第V因子や第VIII因子を選択的に限定分解し失
活化させ、強力な抗凝固作用を発揮する(J.Biol.Chem.,
vol.269, p.31869-31880, 1994; Blood, vol.59, p106
7-1072, 1982)。また、APCは線溶系阻害因子の組織プラ
スミノーゲン・アクチベーター・インヒビター(PAI-
1)と複合体を形成しこれをを不活化することで(Proc.
Natl.Acad.Sci.USA, vol.82, p.1121-1125, 1985; J.Bi
ol.Chem., vol.258, p.15567-15570, 2001)、線溶促進
作用を示す。さらに、APCは抗炎症作用を有することが
動物実験から示唆されていたが(J.Clin.Invest., vol.
79, p.918-925, 1987;Am.J.Physiol.,p.L197-L202, 19
97)、重症敗血症を対象にした臨床試験においてもその
作用が証明された。すなわち、APC投与により死亡率が
有意に低下すること、炎症性サイトカインのIL-6を減少
させることが示された(New Engl J Med, vol344,p699-
709, 2001)。
【0007】本願発明に使用されるAPCを製造する方法
は特に限定されるものではないが、例えばヒト血液より
分離した、あるいは遺伝子組換え技術により得られたPC
を活性化する方法、ヒト血液よりAPCを分離する方法、
あるいは遺伝子組換え技術により直接APCを調製する方
法などによって製造することができる。PCからAPCへの
活性化の方法には特に制約はなく、例えばヒトやウシな
どの血液より分離したトロンビンにより活性化する方
法、あるいは合成ペプチドにより活性化する方法などに
より実施できる。
【0008】血液由来のAPCの製法としては、以下の方
法が挙げられる。例えば、ヒト血漿から抗PC抗体を用い
たアフィニティークロマトグラフィーにより精製された
PCを、ヒトトロンビンで活性化した後、陽イオンクロマ
トグラフィーを用いて精製する方法 (Blood, vol.63,
p.115-121, 1984)あるいはKisielによる、ヒト血漿か
らクエン酸Ba吸着・溶出、硫安分画、DEAE-セファデッ
クスカラムクロマトグラフィー、デキストラン硫酸アガ
ロースクロマトグラフィー及びポリアクリルアミドゲル
電気泳動の工程により精製して得られたPCを活性化して
APCとする方法(J.Clin.Invest.,vol.64,p.761-769,197
9)、市販のPCを含有する血液凝固製剤を出発材料にし
て抗PC抗体を用いたアフィニティークロマトグラフィー
により精製されたPCを活性化してAPCとする方法(J Cl
in Invest, vol.79, p918-925, 1987)、あるいは
特開平7-115972号等に記載された方法などがある。ま
た、遺伝子組換え技術を用いてAPCを調製する方法とし
ては、例えば特開昭61-205487号、特開平1-2338号ある
いは特開平1-85084号などに記載された方法などがあ
る。
【0009】上述の方法で調製されたAPCの活性を最大
限に維持するために、本願発明のAPCは新鮮であるか、
4℃で保存する場合には保存後約5日以内のものが好ま
しい。あるいは本願発明のAPCは好適な安定化剤と共に
凍結乾燥して保存することができるし、さらには、APC
溶液を凍結し保存することも可能である。本願発明で
は、有効成分としてのAPCと公知の適当な賦形剤を組み
合わせ、公知の方法で本願発明の血管新生促進剤とする
ことが出来る。
【0010】今回の実施例に使用した血液由来のAPC
は、マウスでの単回静脈内投与試験、反復静脈内投与試
験、一般薬理試験(ビーグル犬を用いた呼吸循環系に及
ぼす影響)、ウイルス不活化試験などによりその安全性
が確認されている。更に汎発性血管内血液凝固症候群
(DIC)を適応症とした臨床試験も実施されておりヒト
での安全性も確認されている。以下、実施例に沿って本
願発明を更に詳細に説明するが、この実施例は本願発明
の範囲を何ら限定するものではない。
【0011】
【実施例】実施例1(APCによる内皮細胞増殖作用) Jaffeらの方法に従い調製した臍帯静脈血管内皮細胞(H
UVECs)をウシ胎児血清を含むM199培地で培養し、コン
フルエントになったところでハーベストしたものを以下
の試験に供した。APCの内皮細胞増殖作用は、Hoodらの
方法に従い試験した。ウシゼラチンでコートした96ウエ
ルプレートに5X103個/ウエルのHUVECsを種々の濃度のA
PC(0〜20μg/mL)存在下8%SCSを含むM199培地で4日
間培養し、APCのHUVECs増殖に及ぼす効果を試験した。
細胞数のカウントは、MTTキットを用いて行った。HUVEC
sの増殖をAPC は濃度依存的に促進した(図1)。ただ
し、APCのプロテアーゼ活性をジイソプロピルフルオロ
リン酸で不活化したAPC(DIP-APC)は、HUVECsの増殖能
を消失した(図2)。
【0012】実施例2(APCによる管腔形成作用) Oitzingerらの方法(Blood, 97: 1611-1617, 2001)に
従い試験した。管腔形成試験は基底膜マトリックスとし
てMatrigel(Becton Dickinson社)を用いて行った。24
ウエルの培養皿の各ウエルに200μLのMatrigelを加え固
化させ、10% SCS/M199中で24時間インキュベーション
し、種々の濃度のAPC(0〜20μg/mL)を含む2X105個のH
UVECsを固化したMatrigel上に捲き、更に16時間培養し
3%ホルムアルデヒド/2%ショ糖を含むPBSで固定化
し、管腔形成の有無を調べた。血管の管腔形成をAPC は
濃度依存的に促進した(図3)。
【0013】実施例3(血管新生作用) マウス角膜を用いるMeyerらの方法に従い試験した。無
菌条件下、ethynil-vinyl copolymerのキャスティング
溶液内にAPCあるいは、既知の強力な血管新生因子であ
るVEGFを含有する徐放ペレットを調製した。6匹の雄性
8週例マウスをペントバルビタールナトリウムで麻酔
し、角膜間質にvon Graefe白内障刀でマイクロポケット
を作りペレットを植めた。6日後にslit-lamp biomicro
scopeで目を試験し血管新生の有無を評価した。APCはマ
ウス角膜の血管新生を促進した(図4)。
【図面の簡単な説明】
【図1】 APCが血管内皮細胞の増殖を濃度依存的に促
進する結果を示す図である。
【図2】 APCの血管内皮細胞の増殖能はプロテアーゼ
活性に依存する性状を示す図である。
【図3】 血管の管腔形成をAPCが濃度依存的に促進す
る結果を示す図である。
【図4】 APCがマウス角膜の血管新生を促進する態様
を示す図である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 活性化プロテインC(以下APCと称す
    ることがある)を本態とする新規な血管新生促進剤。
  2. 【請求項2】 血管内皮細胞増殖活性を有するAPCを
    本態とする請求項1記載の血管新生促進剤。
  3. 【請求項3】 血管管腔形成活性を有するAPCを本態
    とする請求項1または請求項2記載の血管新生促進剤。
  4. 【請求項4】 下肢閉塞性動脈硬化症もしくは心筋梗塞
    等の虚血性疾患の予防/治療剤または火傷もしくは外傷
    の治療剤となり得る、請求項1ないし請求項3のいずれ
    かに記載の血管新生促進剤。
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