JP2003211048A - 塗布装置及び塗布方法 - Google Patents

塗布装置及び塗布方法

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JP2003211048A
JP2003211048A JP2002016017A JP2002016017A JP2003211048A JP 2003211048 A JP2003211048 A JP 2003211048A JP 2002016017 A JP2002016017 A JP 2002016017A JP 2002016017 A JP2002016017 A JP 2002016017A JP 2003211048 A JP2003211048 A JP 2003211048A
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coating
edge plate
tip
web
coating liquid
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JP2002016017A
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Nobuo Hamamoto
伸夫 浜本
Hideaki Usui
秀明 碓井
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Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 調整が簡易でありかつ保全性に優れた簡単
な構造の塗布装置を用いて膜厚が均一な塗布膜を形成す
る。 【解決手段】 ダイ11にエッジ板12を取り付ける。
エッジ板12に、高さDgの側部垂直面を形成し、塗布
幅を規制する。ダイ11のリップ14とウェブ15との
距離をhとし、ウェブの移動速度Uとし、塗布膜19の
膜厚をheとしたときに、Db=1.03×h−1.5
0×he/U1/3 +12800×he2 ×Uで示される
Dbより、高さDgを高くする。ビード18が最も薄く
なる位置に側部垂直面が存在するため、塗布液の縮流が
抑制され、塗布膜19の膜厚が均一になる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、写真用フイルム、
写真用印画紙、印刷用感光材料、医療用感光材料、マイ
クロフイルム、磁気記録テープ、接着テープ、感圧記録
紙、感熱記録紙、オフセット版材、液晶画面用フイルム
等の製造において連続走行する帯状支持体(以下、ウェ
ブと称する)に各種液状組成物をスライドビード方式で
塗布する際の塗布装置および塗布方法に関するものであ
る。
【0002】
【従来の技術】ウェブ上に各種液状組成物(以下、塗布
液と称する)をスライドビード方式で塗布する装置の塗
布液の端部制御に関しては、特開昭55−84577号
公報、特開平10−128212号公報、特開平10−
151397号公報、特開平10−165870号公
報、特開平10−165872号公報に開示されてい
る。これら公報に開示されている方法は、塗布後の塗布
膜の最端部の厚塗り抑制や端部の塗布量分布均一化する
ために、スライド面上の塗布幅を規制するエッジ板の形
状最適化、端部への空気吹き付け、端部へのスロット挿
入などの方法により塗布液端部の制御を行なっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、前記で
開示されている装置及びその装置を用いた方法は、いず
れも塗布装置を複雑化させるものであり、複雑故に微調
整を要し、装置を更新した際に、仕上げ精度レベルの微
妙な機差により最適な条件が再現しない場合があるとい
う問題があった。
【0004】これら問題を解決する方法が、特公平3−
71185号公報、特表平7−502685号公報など
に開示されている。しかしながら、前者に記載された塗
工装置では、形成されたビードの耳切れなどが生じやす
い問題があった。また、後者に記載された塗布装置で
は、塗布操作を行なう毎に、ホッパーエッジ案内装置に
よりエッジ板の位置の調整を行なわなければならないた
めに、操作が煩雑であるとともに、エッジ板の位置決め
の調整が困難である問題があった。
【0005】本発明の目的は従来の問題点を解消し、調
整が簡易でありかつ保全性に優れた簡単な構造であり、
膜厚が均一な塗布膜を形成することができる塗布装置及
びその装置を用いた塗布方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の目的は、塗布膜
端部の塗布量分布を損なうこと無く、端部厚塗を解消す
ることにある。端部厚塗は、塗布液のメニスカス(塗布
液から形成されたビードの湾曲した部分)端部がエッジ
板先端を経由せずに縮流する現象である。したがって、
端部厚塗を抑制するためには端部メニスカスに縮流を抑
制する力を付与することが有効である。縮流を抑制する
力には、メニスカス下部を下に引っ張るものと、メニス
カス下部をエッジ板方向に引っ張るものとが存在する。
メニスカス下部を下に引っ張る力は、下メニスカスの減
圧度を大きくして上メニスカスと下メニスカスの差圧の
効果を利用すること、ダイリップ先端とウェブとの最小
距離を大きくして差圧が働く下メニスカスの面積を広く
して引っ張り総力を大きくすること、ウェブ温度を向上
させることにより与えられる。メニスカス下部をエッジ
板方向に引っ張る力としてはエッジ板の側部垂直面を大
きくすることにより与えられる。しかしながら、これら
の条件は端部塗布量分布を悪化させることがあるので、
最適な条件を選択する必要がある。さらに、最適な条件
を再現性よく設定でき、かつ保全性を向上させるために
は、エッジ板の設備条件の最適化が必要になる。
【0007】本発明の塗布装置は、ダイのスライド面に
塗布液の塗布幅を規定するエッジ板を設け、連続走行す
るウェブに単層または2層以上の塗布膜を形成する塗布
液を、前記ダイの先端から塗布するスライドビード方式
の塗布装置において、前記エッジ板の側面に前記スライ
ド面に対して垂直方向に垂直部を設け、前記塗布液が全
層重なったスライド面の位置で、前記垂直部の前記スラ
イド面からの高さDg(m)が、h(m)を前記ウェブ
と前記ダイの先端との距離とし、he(m)を前記塗布
液を塗布して形成された塗布膜の厚さとし、U(m/
s)を前記ウェブの移動速度としたときに、Db(m)
=1.03×h−1.50×he/U1/3 +12800
×he2 ×Uで示されるDbと、ηav(mPa・ s)を
前記スライド面流動での剪断速度における全層の塗布液
の粘度の平均とし、q{m3 /(m・sec)}を単位
幅当りの全層の塗布液の流量の総和とし、αを前記スラ
イド面の角度とし、ρ(kg/m3 )を全層の塗布液の
密度の平均とし、g(m/sec2 )を重力加速度とし
たときに、Ds(m)={3×ηav×q/(ρ×g×s
inα)}1/3 で示されるDsと、の関係についてDb
≦Dg≦Dsである。
【0008】前記エッジ板の先端の位置が、前記ダイ先
端よりも前記ウェブに近い場合であって、前記エッジ板
と前記ウェブとの最接近距離L1が100μm以上であ
ることが好ましい。また、前記エッジ板の先端の位置
が、前記ダイのスライド面上にある場合であって、前記
エッジ板の先端と前記ダイとの距離De(m)が、Dr
(m)=−0.270×h+1.00×he−1.30
×he/U1/3 +5320×he2 ×Uで示されるDr
との関係についてDe≦Drであることが好ましい。
【0009】本発明の塗布装置は、ダイのスライド面に
塗布液の塗布幅を規定するエッジ板を設け、連続走行す
るウェブに単層または2層以上の塗布膜を形成する塗布
液を、前記ダイの先端から塗布するスライドビード方式
の塗布装置において、前記エッジ板の側面に前記スライ
ド面に対して垂直方向に垂直部を設け、前記塗布液が全
層重なったスライド面の位置で、前記垂直部の前記スラ
イド面からの高さDgが、0.15mm以上5mm以下
である。また、前記エッジ板の先端に、前記塗布液が前
記ウェブ上に塗布される最も低い位置での前記ウェブの
進行方向における接線と、略平行な先端部を設け、前記
先端部の前記スライド面からの高さDfが、0.6mm
以下であることが好ましい。
【0010】本発明の塗布装置は、ダイのスライド面に
塗布液の塗布幅を規定するエッジ板を設け、連続走行す
るウェブに単層または2層以上の塗布膜を形成する塗布
液を、前記ダイの先端から塗布するスライドビード方式
の塗布装置において、前記エッジ板の先端に、前記塗布
液が前記ウェブ上に塗布される最も低い位置での前記ウ
ェブの進行方向における接線と、略平行な先端部を設
け、前記先端部の前記スライド面からの高さDfが、
0.6mm以下であることが好ましい。また、前記スラ
イド面からの高さDfと前記Dbとの関係が、Df≦D
bであることが好ましい。
【0011】前記エッジ板が前記塗布液を塗布する先端
方向に先端傾斜部を有するものであって、その先端傾斜
部と前記スライド面とがなす角度D1が、35°から6
0°の範囲であることが好ましい。また、前記エッジ板
が前記垂直部に接続された傾斜部を有するものであっ
て、その傾斜部と前記スライド面とがなす角度D2が、
45°から75°の範囲であることが好ましい。
【0012】前記エッジ板の塗布側先端部が交換可能で
あることが好ましい。また、前記エッジ板と接するダイ
の面にネジ穴を有し、そのダイと前記エッジ板とをボル
トで固定することが好ましい。さらに、前記エッジ板の
前記塗布液に接する部分がポリマーであり、前記エッジ
板の前記ボルトが接する部分が金属であることが好まし
い。さらには、前記ポリマーがフッ素樹脂であることが
より好ましい。
【0013】前記エッジ板の前記塗布液に接する部分が
非金属であり、前記エッジ板の前記ボルトが接する部分
が金属であることが好ましい。また、前記エッジ板の内
部に金属が埋め込められていることが好ましい。
【0014】本発明の塗布方法は、ダイのスライド面に
塗布液の塗布幅を規定するエッジ板が設けられたスライ
ドビード方式の塗布装置を用い、連続走行するウェブに
単層または2層以上の塗布膜を形成する塗布液を、前記
ダイの先端から塗布する塗布方法において、その側面に
前記スライド面に対して垂直方向に垂直部が設けられた
前記エッジを用いて、前記塗布液が全層重なったスライ
ド面の位置で、前記垂直部の前記スライド面からの高さ
Dg(m)を、h(m)を前記ウェブと前記ダイ先端と
の距離とし、he(m)を前記塗布液を塗布して形成さ
れた塗布膜の厚さとし、U(m/s)を前記ウェブの移
動速度としたときに、Db(m)=1.03×h−1.
50×he/U1/3 +12800×he2 ×Uで示され
るDbと、ηav(mPa・ s)を前記スライド面流動で
の剪断速度における全層の塗布液の粘度の平均とし、q
{m3 /(m・sec)}を単位幅当りの全層の塗布液
の流量の総和とし、αを前記スライド面の角度とし、ρ
(kg/m3 )を全層の塗布液の密度の平均とし、g
(m/sec2 )を重力加速度としたときに、Ds
(m)={3×ηav×q/(ρ×g×sinα)}1/3
で示されるDsとの関係についてDb≦Dg≦Dsとし
て前記塗布液を塗布する。
【0015】前記エッジ板の先端の位置が、前記ダイ先
端よりも前記ウェブに近い場合であって、前記エッジ板
と前記ウェブとの最接近距離L1を100μm以上とし
て前記塗布液を塗布することが好ましい。また、前記エ
ッジ板の先端の位置が、前記ダイのスライド面上にある
場合であって、前記エッジ板の先端と前記ダイとの距離
De(m)を、Dr(m)=−0.270×h+1.0
0×he−1.30×he/U1/3 +5320×he2
×Uで示されるDrとの関係についてDe≦Drとして
塗布することが好ましい。
【0016】本発明の塗布方法は、ダイのスライド面に
塗布液の塗布幅を規定するエッジ板が設けられたスライ
ドビード方式の塗布装置を用い、連続走行するウェブに
単層または2層以上の塗布膜を形成する塗布液を、前記
ダイの先端から塗布する塗布方法において、その側面に
前記スライド面に対して垂直方向に垂直部が設けられた
前記エッジ板を用い、前記塗布液が全層重なったスライ
ド面の位置で、前記垂直部の前記スライド面からの高さ
Dgを、0.15mm以上5mm以下として前記塗布液
を塗布する。また、その先端に前記塗布液が前記ウェブ
上に塗布される最も低い位置での前記ウェブの進行方向
における接線と、略平行な先端部が設けられた前記エッ
ジ板を用い、前記先端部の前記スライド面からの高さD
fを、0.6mm以下として前記塗布液を塗布すること
が好ましい。
【0017】本発明の塗布方法は、ダイのスライド面に
塗布液の塗布幅を規定するエッジ板が設けられたスライ
ドビード方式の塗布装置を用い、連続走行するウェブに
単層または2層以上の塗布膜を形成する塗布液を、前記
ダイの先端から塗布する塗布方法において、その先端に
前記塗布液が前記ウェブ上に塗布される最も低い位置で
の前記ウェブの進行方向における接線と、略平行な先端
部が設けられた前記エッジ板を用い、前記先端部の前記
スライド面からの高さDfを、0.6mm以下として前
記塗布液を塗布する。
【0018】前記塗布液を塗布する先端方向に先端傾斜
部を有するエッジ板を用い、その先端傾斜部と前記スラ
イド面とがなす角度D1を、35°から60°の範囲と
して前記塗布液を塗布することが好ましい。また、前記
垂直部に接続された傾斜部を有するエッジ板を用い、そ
の傾斜部と前記スライド面とがなす角度D2を、45°
から75°の範囲として前記塗布液を塗布することが好
ましい。さらに、前記ダイの先端と前記ウェブとの距離
hを200μmから300μmの範囲として前記塗布液
を塗布することが好ましい。
【0019】前記塗布液を前記ウェブに塗布する際に、
前記塗布液からビードが形成され、前記ビードの正面の
圧力P0 と、そのビードの背面の圧力Pb との差圧(P
0 −Pb )を、300Pa≦(P0 −Pb )≦1000
Paの範囲として前記塗布液を塗布することが好まし
い。また、前記塗布液を前記ウェブに塗布する際に、そ
のウェブの表面の温度を30℃から40℃の範囲に調整
して塗布することが好ましい。
【0020】
【発明の実施の形態】[ウェブ]ウェブには、紙、プラ
スチックフイルム、レジンコーティッド紙、合成紙など
が挙げられるが、これらに限定されるものではない。プ
ラスチックフイルムの材質は、例えばポリエチレン、ポ
リプロピレンなどのポリオレフィンや、酢酸ビニル、ポ
リ塩化ビニル、ポリスチレンなどのビニル重合体などを
使用することができる。また、ナイロン−66、ナイロ
ン−6などのポリアミドや、ポリエチレンテレフタレー
ト、ポリエチレン−2,6−ナフタレートなどのポリエ
ステルを使用することもできる。さらには、ポリカーボ
ネートなどを使用することができ、セルローストリアセ
テート(以下、TACと称する)、セルロースジアセテ
ートなどのセルロースアセテートなどを使用することも
できる。これらウェブの表面には、ゼラチンなどの下引
き層が形成されていると、塗布性を良好にするために好
ましい。また、レジンコーティッド紙に用いる樹脂とし
ては、ポリエチレンをはじめとするポリオレフィンが代
表的であるが、必ずしもこれに限定されるものではな
い。
【0021】[塗布液]本発明に用いることができる塗
布液は、その用途に応じて種々の液組成のものを使用で
き、特に限定されるものではない。例えば、写真感光材
料の製造においては、感光乳剤層、下塗り層、保護層、
バック層などを形成する塗布液を用いることができる。
その他にも、接着剤層、着色層、防錆層などを形成する
塗布液を用いることができる。これら塗布液には、水溶
性バインダーまたは有機バインダーを含有しているもの
が好ましく用いられる。特に、塗布液の主成分としては
ゼラチン、ラテックス、ポリビニルアルコール、スチレ
ンブタジエンラバーなどが挙げられ、ゼラチンが好まし
く用いられる。しかし本発明の塗布液は、これらに限定
されるものではない。
【0022】[塗布装置]本発明の塗布装置について図
を用いて説明するが、本発明は図示した形態に限定され
るものではない。本発明に係る塗布装置の要部概略図を
図1に、平面図を図2に示す。図2に示すように本発明
に係る塗布装置10には、塗布ダイ(以下、ダイと称す
る)11の両側に塗布液(図示しない)の塗布幅を規制
するためのエッジ板12が、ダイ11のスライド面13
上に取り付けられている。
【0023】図1に示すようにエッジ板12の正面に
は、ダイ11の塗布側先端であるリップ14側に先端面
20と先端面20上に傾斜して設けられた先端傾斜面2
1とが備えられている。また、エッジ板12の塗布液が
接する側の側面は、スライド面13に垂直に接している
側部垂直面22とその側部垂直面22上に傾斜して設け
られた側部傾斜面23とが備えられている。また、本発
明において、側部垂直面22の先端部を側部垂直面先端
部22aと称する。側部垂直面先端部22aは、側部垂
直面22、側部傾斜面23、先端面20いずれの面の稜
に相当するために、その形状は複雑であり、図示した形
態に限定されるものではない。先端傾斜面21と側部傾
斜面23との上部には、塗布液の漏洩を防止するために
上部垂直部24が備えられている。また、エッジ板12
には、図2に示すように芯材26が埋められていること
が好ましい。しかしながら、本発明においてエッジ板1
2の形態は図示したものに限定されるものではない。塗
布液は、多数(図2では、3箇所を示している)のスリ
ット41から押し出され、スライド面13上をエッジ板
12により塗布幅を規制されながら流れ、リップ14よ
りウェブ(図示しない)に塗布される。これら点につい
ては、後に詳細に説明する。
【0024】なお、図1では、エッジ板12の先端面2
0とダイ11のリップ14とが同一平面になるように、
スライド面13上に備えられているが、本発明の塗布装
置は図示した形態に限定されるものではない。スライド
面13上におけるエッジ板20の位置については、後に
他の実施形態について説明する。また、図1に示したエ
ッジ板12のより詳しい説明は、要部側面図(図3)、
要部正面図(図4)、要部平面図(図5)を用いて説明
する。
【0025】図3に示すように塗布装置10のダイ11
は、ウェブ15が巻かれた状態で回転するコーティング
ローラ16と対向して配置されている。ダイ11のリッ
プ14とウェブ15との最小の距離をhとする。距離h
は、本発明において特に限定されるものではないが、2
00〜300μmの範囲であることがウェブ15上に塗
布液17を均一に塗布するために好ましい。なお、図3
では、hの距離は誇張して示してある。先端面20は、
ダイ11から塗布液17をウェブ15上に塗布した際
に、最も低い位置でウェブ15に接する線(以下、動的
接触線と称する)25aにおけるウェブ15の進行方向
の接線25と平行に備えられていることが、良好な塗布
を行なうために最も好ましい。しかしながら、先端面2
0の加工のコストなどを考慮した場合、接線25との角
度が−30°〜+30°の範囲であれば、略平行と見な
すことができ、本発明における塗布に影響を及ぼさな
い。
【0026】図3に示すように先端傾斜面21とスライ
ド面13との角度D1が、35〜60°の範囲であるこ
とが良好な塗布を行なうために好ましい。また、前述し
たように側部垂直面22は、スライド面13に垂直に備
えられ、側部垂直面22の上方に側部傾斜面23が備え
られている(図1及び図4参照)。側部傾斜面23とス
ライド面13との角度D2が、45〜75°の範囲であ
ることが、良好な塗布を行なうために好ましい。
【0027】塗布液には、表面張力により表面積を最小
化するような力が働いているので、塗布液はスライド面
で縮流しようとする。これを防ぎ、所望の塗布幅を保持
すべくエッジ板が設置されるが、この縮流しようとする
力はビード部で最も大きくなる。この理由は、(1)塗
布液がウェブに乗り移る直後に保持していたエッジ板が
なくなく、縮流を防ぐ力が減る、(2)ビード部での長
手方向への塗布液の引き伸ばしに伴ない、端部では一軸
伸張して膜厚方向だけでなく、幅方向にも縮流しようと
する、(3)ビード部では引き延ばしにより、表面に配
向していた界面活性剤が粗になり表面張力が高くなり、
表面を最小化する力が大きくなるなどである。このよう
な縮流は、塗布膜端部の膜厚を大きくさせて乾燥不良を
引き起こす原因となる。
【0028】そこで、この縮流を防いで安定な塗布状態
を与えるためには、縮流しやすい場所で、塗布液から形
成されたビードのメニスカスをエッジ板方向に引っ張る
力を増強させることが最も有効である。以下、このメニ
スカスをエッジ板方向に引っ張る力を増強させるエッジ
板について、図6を用いて説明する。
【0029】エッジ板20の側部垂直面22の垂直方向
の高さDb(図4参照)について説明するために、図6
に塗布液17をウェブ15上に塗布し、塗布膜19を形
成する際の概念図を示す。なお、図6では、説明を容易
にするためにエッジ板は図示していない。塗布液17
は、ダイ11のスライド面13上をエッジ板により塗布
幅を規制されてリップ14からウェブ15上に塗布され
る。この際に形成されたビード18がウェブ15上に塗
布されて膜厚heの塗布膜19を形成する。なお、図6
に示した塗布液17は、多層塗布を行なう際には、全層
が重なったものを示し、単層塗布の場合には、1層の塗
布液を示しているものとする。
【0030】本発明において、前述した側部垂直面22
の高さDgを、図6に示すように全層が重なった塗布液
の最小膜厚(以下、ビード最小膜厚と称する)Dbより
高くすることにより、形成されたビード18の形状の変
形を抑制して、ウェブ15上に膜厚heが均一の塗布膜
19を形成することができる。また、スライド面13上
において、塗布液17がビード最小膜厚になる位置、ま
たはリップ14からその位置までの距離を、以下の説明
においてビード最小膜厚位置Drと称する。
【0031】図6を用いて、ビード最小膜厚Db及びビ
ード最小膜厚位置Drの算出方法について説明する。な
お、図6に示した概略図のように、極めて微小領域を拡
大した場合には、ウェブ15は、図示された範囲におい
て直線であると見なすことができる。また、スライド面
13と水平線とがなす角度(°)をαとする。
【0032】塗布液17から形成されたビード18の上
メニスカス18aは、曲率半径Rの円弧の一部であると
見なすことができる。その円弧の原点(中心点)を図6
に示すようにOとし、この原点OのX、Y座標を(0,
0)とする。そして、上メニスカス18aの終点をFと
した場合に、図から明らかなように、O−F間の距離
は、曲率半径Rとなる。この曲率半径Rは、Hens&Boiy
より R=2×he×{σ/(η×U)}1/3 ・・(1) となることが、J.Hens,L.Boiy ;Chemical Engineering
Science Vol.41 p.1827〜1831(1986)で開示されてい
る。ここで、heは形成された塗布膜19の厚み(m)
であり、σは塗布液の表面張力(mN/m)であり、η
はスライド面流動での剪断速度における全層の塗布液の
粘度の平均値(mPa・s)であり、Uはウェブ15の
移動速度(m/s)をそれぞれ示している。さらに、O
−F線をウェブ15方向に延長し、ウェブ15と接する
点をA点とすると、このA点の座標は、(−R−he,
0)となる。
【0033】次に、形成されたビード18の下メニスカ
ス18bがウェブ15上に接する動的接触線(図3中に
おいて動的接触線25aで示した)をB点とする。この
B−A間の長さをYbとする。このYbは、排除厚みと
称され、塗布液がウェブに接した後に、均一な膜厚he
となる距離として知られており、Sakiadisの境界層理論
より、 Yb=0.383×(ρ×U×he2 /η)・・(2) となることが、J.Hens,L.Boiy ;Chemical Engineering
Science Vol.41 p.1827〜1831(1986)で開示されてい
る。ここで、ρは全層の塗布液の密度の平均値(kg/
3 )であり、Uはウェブ15の移動速度(m/s)で
あり、heは形成された塗布膜19の厚み(m)であ
り、ηはスライド面流動での剪断速度における全層の塗
布液の粘度の平均値(mPa・s)をそれぞれ示してい
る。このB点の座標は、(−R−he,−Yb)とな
る。
【0034】リップ14の最上部から塗布液17が離れ
る点をC点とする。このC点とB点とを結んだB−C線
と、B点における水平線とがなす角(°)をβとする。
また、前述したようにリップ14とウェブ15との距離
をhとする。以上のことからC点の座標は、(−R−h
e+h,−Yb−h×tanβ)となる。
【0035】上メニスカス18の始点であるE点と原点
Oとを結んだO−E線をスライド面13方向に延長し、
スライド面13と直交した点をD点とする。D−E線の
距離が、ビード最小膜厚Dbとなり、C−D線の距離
が、ビード最小膜厚位置Drとなる。そして、D点の座
標を求めるために、その座標を(Dx,Dy)とする。
【0036】そして、D点の座標は、C−D線とO−D
線との交点から求める。計算を簡略化するために、前述
したC点の座標を(Cx,Cy)とすると、C−D線
は、 y=tanα×(x−Cx)+Cy・・(3) となる。そして、O−D線は、tanα=−x/yとな
り、yについて変形すると、 y=−x/tanα・・(4) となる。式(3)、式(4)から求められる(x、y)
が、(Dx、Dy)となるから、xについて、式
(3)、式(4)を解くと、 x=sinα×cosα×(Cx×sinα/cosα−Cy)=Dx・・(5 ) となる。また、yについて解くと、 y=−cos2 α×(Cx×sinα/cosα−Cy)=Dy・・(6) となる。
【0037】ここで、Dx、Dyを求めるために、C点
の座標(Cx、Cy)を用いる。前述したようにC点の
座標(Cx,Cy)は、 (Cx、Cy)=(−R−he+h,−Yb−h×tanβ)・・(7) であった。この式(7)に、前述した式(1)のRと式
(2)のYbとを代入すると、 Cx=h−he×[1+2×{σ/(η×U)}1/3 ]・・(8) Cy=−0.383×(ρ×U×he2 /η)−h×tanβ・・(9) となる。
【0038】ここで、図6に示すようにDb=r−Rで
あり、また、rは円弧の半径であることから円の方程
式、 r=(Dx2 +Dy2 1/2 ・・(10)を用いると、 Db=(Dx2 +Dy2 1/2 −R・・(11)とな
る。
【0039】さらに、Dx2 +Dy2 について求めるた
めに式(10)に、式(5)及び式(6)を代入する
と、 Dx2 +Dy2 =cos2 α×(Cx×sinα/cosα−Cy)2 ・・(1 2) となる。そして、式(12)を式(11)に代入して変
形すると、 Db=Cx×sinα−Cy×sinα−R・・(13) となる。さらに、この式中のCx、Cyに前述した式
(8)及び式(9)を代入し、h(ウェブとダイとの距
離)、he(塗布膜の膜厚)、U(ウェブの移動速度)
についてまとめると Db=(sinα+tanβ×cosα)×h−sinα×he−2×(sin α+1)×(σ/η)1/3 ×he×U-1/3+0.383×cosα×(ρ/η) ×he2 ×U・・(14)となる。
【0040】式(14)をまとめるために、 b1=(sinα+tanβ×cosα)、 b2=−sinα、 b3=−2×(sinα+1)×(σ/η)1/3 、 b4=0.383×cosα×(ρ/η)、 と置き換えると、 Db=b1×h+b2×he+b3×he×U-1/3+b4×he2 ×U・・(1 5) となる。
【0041】式(14)中のα、β、σ、ρ、ηは、下
記に示す数値範囲のものを用いる。 α(スライド面の傾斜角)=0〜30°、 β(動的接触角)=50°、 σ(塗布液の表面張力)=20〜70mN/m、 ρ(全層の塗布液の平均密度)=1000kg/m3 、 η(スライド面流動での剪断速度における全層の塗布液
の平均粘度)=30〜50mPa・s、 である。なお動的接触角βは、Katagiri, AIChE Spring
meeting(1988)で報告され、安定にスライドビード塗布
がなされている場合の動的接触角の可視化実験結果によ
る値である。
【0042】前述したα、β、σ、ρ、ηの値を、式
(14)中に代入すると、式(15)のb1〜b4は、 b1=0〜1.03 b2=−0.5〜−0 b3=−4〜−1.5 b4=6634〜12767 となり、有効桁を考慮すると、b1=1.03、b2=
−0(=0)、b3=−1.50、b4=12800と
なり、 Db=1.03×h−1.50×he×U-1/3+12800×he2 ×U・・( 16) が得られる。
【0043】一方、エッジ板12の側部垂直面22の高
さDbが充分高いと縮流は回避されるが、高すぎると塗
布量が幅方向で広範に渡り不均一になる。これは、スラ
イド面の上でのBlasius の境界層の発達が大きくなり流
量分布が発生するためである。そうならないためにスラ
イド面の上ではエッジ板12の側部傾斜面22に塗布液
の大部分がのっていることが好ましい。
【0044】そこで、側部垂直面の高さDgの上限値D
sは、R.B.Bird et al著のTransport Phenomena(Wlley;
1960)p35〜40より、下記に示す(17)式で算出でき
る。 Ds(m)={3×ηav×q/(ρ×g×sinα)}1/3 ・・(17) (17)式において、ηav(mPa・s)はスライド面
流動での剪断速度における全層の塗布液の粘度の平均、
q(m3 /m/sec)は単位幅当りの全層の塗布液の
流量の総和、αはスライド面の角度、ρ(kg/m3
は全層の塗布液の密度の平均 g(m/sec2 )は重力加速度、を示している。
【0045】次に、ビード最小膜厚位置Drを求める。
図6中からD点とC点との距離が、ビード最小膜厚位置
Drとなることが分かる。そこで、C−D間の距離を求
めるために、cosα=(Dx−Cx)/Drを変形す
ると、 Dr=(Dx−Cx)/cosα・・(21) が得られる。この式(21)中のDxに、前述した式
(5)を代入すると、 Dr={sinα×cosα×(Cx×sinα/cosα−Cy)−Cx}/ cosα・・(22) となる。この(22)式を変形すると、 Dr=−Cx×cosα−Cy×sinα・・(23) が得られる。
【0046】前記(23)式中のCx、Cyに前述した
式(8)、式(9)を代入すると、 Dr=−cosα×[h−he×{1+2(σ/(η×U))1/3 }]−sin α×{−0.383×(ρ×U×he2 /η)−h×tanβ}・・(24) が得られる。
【0047】式(24)を、h(ウェブとダイとの距
離)、he(塗布膜の膜厚)、U(ウェブの移動速度)
についてまとめると、 Dr=(−cosα+sinα×tanβ)×h+cosα×he+2×cos α×(σ/η)1/3 ×he×U-1/3+0.383×sinα×(ρ/η)×U× he2 ・・(25) となる。
【0048】前記式(25)を下記のように置き換えて
整理する。 r1=(−cosα+sinα×tanβ)、 r2=cosα、 r3=2×cosα×(σ/η)1/3 、 r4=0.383×sinα×(ρ/η)、 とすると、前記式(25)は、 Dr=r1×h+r2×he+r3×he×U-1/3+r4×U×he2 ・・(2 6) となる。
【0049】ここで、r1〜r4に用いているα、β、
σ、η、ρは、前述した、スライド面の傾斜角(°)、
動的接触角(°)、全層の塗布液の表面張力(mN/
m)、スライド面流動での剪断速度における全層の塗布
液の粘度平均(mPa・s)、全層の塗布液の密度平均
(kg/m3 )を示し、それぞの数値の範囲は、前述し
たように、α=0〜30°、β=50°、σ=20〜7
0mN/m、ρ=1000kg/m3 、η=30〜50
mPa・sである。
【0050】前述した数値範囲の値をr1〜r4にそれ
ぞれ代入すると、r1〜r4の数値範囲は下記に示すよ
うになる。 r1=−1.0〜−0.27 r2=0.87〜1.0 r3=−2.5〜−1.3 r4=0〜5319 となる。r1〜r4の値について有効桁を考慮し、式
(25)に代入すると、式(26)は、 Dr=−0.270×h+1.00×he−1.30×he×U-1/3+5320 ×U×he2 ・・(27)となる。
【0051】前述したビードのメニスカスをエッジ板方
向に引っ張る力の増強は、上メニスカスとスライド面の
距離が最も小さくなる位置Dr(図6参照)で施すこと
が、最も有効である。なぜならば、塗布液表面が最も引
き伸ばされるのは、膜厚が薄い部分であるからである。
その後に、ウェブに乗り移る工程でも、更に引き伸ばさ
れるものの、その引き伸ばし率はDrでの引き伸ばし率
ほどではない。したがって、図6のDrの位置での側部
垂直面の高さDbをDgよりも大きくすること、及びD
rの位置にエッジ板が存在することが、縮流抑制に対し
て重要な条件になり、その関係は下記の式にまとめるこ
とができる。 Db≦Dg≦Ds・・(31) 式(31)で規定されたエッジ板を用いて塗布操作を行
なうと、塗布量分布を大きくすること無しに縮流を回避
することが可能になる。
【0052】式(31)で規定されたエッジ板の一実施
形態を図7に示す。図7に示すように本発明に係る塗布
装置のエッジ板12の側部垂直面22の高さDgは、全
層が重なった塗布液17のビード最小膜厚Dbより高い
ことが必要である。図8に示したエッジ板100の側部
垂直面101のようにその高さDgが、塗布液17のビ
ード最小膜厚Dbより低いと、ビード最小膜厚位置Dr
において、前述した塗布液の縮流が発生しても、当該位
置に側部垂直面が完全に塗布液に接していないため、塗
布膜端部の膜厚が大きくなって、塗布膜が乾燥した際
に、乾燥不良を起こす原因となる。
【0053】先に示した図1ないし図5及び図7の実施
形態では、エッジ板12の先端面20と、ダイ11のリ
ップ14とは、同一面上に備えられていた。しかしなが
ら、本発明においてエッジ板の位置は、前述した形態に
限定されるものではない。そこで、以下に他の実施形態
について説明する。
【0054】図9に前述した形態のエッジ板12を備え
た塗布装置の要部概略図を示す。図9に示すようにエッ
ジ板12の位置は、その先端である先端面20と、ダイ
11のリップ14との距離Deが、De≦Dr・・(3
2)であれば、エッジ板12の側部垂直面が22が、ビ
ード最小膜厚Drに存在することにより、形成されたビ
ード18の縮流の発生が抑制されて均一な塗布膜19を
形成することが可能となる。
【0055】また、図10に示すように、エッジ板10
2の先端面103とリップ14との距離Deが、ビード
最小膜厚位置Drより大きいと、ビード最小膜厚位置D
rに側部垂直面104が存在しなくなるため、塗布液に
乱れが発生して、形成されるビード105の形状が縮流
により乱れ(図中では、その乱れは特に図示されないほ
どのものであるので、特に図示していない)が生じ、塗
布された塗布膜106の膜厚を均一に形成することが困
難になる。
【0056】次に、ウェブとダイのリップとの距離h
を、200μmとした際の、ウェブの移動速度Uと、形
成された塗布膜の膜厚heと、ビード最小膜厚Dbとの
関係を計算したものを図11に示し、ウェブの速度U
と、塗布膜の厚さheと、ビード最小膜厚位置Drとの
関係を計算したものを図12に示す。なお、いずれの図
中に示した関係も、一実施形態を示したものであり、本
発明は、図示した数値範囲に限定されるものではない。
【0057】図11に示したように、塗布膜厚さheを
所定の厚さに塗布する際に、ウェブの移動速度Uを速く
した場合には、ビード最小膜厚Dbを厚くする必要があ
ることが分かる。すなわち、この場合には塗布液を供給
量を多くする必要がある。また、図12に示したよう
に、塗布膜厚さheを所定の厚さに塗布する際に、ウェ
ブの移動速度Uを速くすると、ビード最小膜厚位置Dr
をダイのリップ先端から上流側にする必要があることが
分かる。この場合には、塗布液から形成されたビードの
長さが長くなるが、本発明に係る塗布方法によれば、厚
さのバラツキが抑制されその厚みが均一になった塗布膜
を形成することを可能とすることができる。
【0058】図11に示したようにビード最小膜厚Db
は、通常は約0.2mm以上の値である。前述した側部
垂直面の長さの上限値であるDs(式(17)を参照)
には一般的な条件としては、スライド面流動での剪断速
度における全塗布液の粘度の平均ηavは30(mPa・
s)、単位幅当りの塗布液の流量の総和qは0.001
{m3 /(m×sec}、スライド面の傾斜角αは15
°、全層との塗布液の密度の平均ρは1000(kg/
3 )、重力加速度gは9.8(m/sec2)が用い
られる。これら、各数値を前記式(17)に代入する
と、Dsは1.5mmとなる。そこで、側部垂直面高さ
Dgの好ましい数値範囲は、0.15mm≦Dg≦5m
mであり、より好ましくは0.2mm≦Dg≦1.5m
mである。しかしながら、本発明において側部垂直面の
高さDgは、前述した数値範囲に限定されるものではな
い。
【0059】また、図4に示したように先端面20の高
さDfは、前述した側部垂直面22の高さDbとの関係
が、Df≦Dbであれば、良好な塗布を行なうことがで
きる。しかしながら、本発明において先端面の高さDf
と、側部垂直面22の高さDbとの関係は前述したもの
に限定されるものではない。また、先端面20の高さD
fのより具体的な数値範囲は、0mm<Df≦0.6m
mであることが好ましいが、本発明において先端面の高
さDfは、この数値範囲に限定されるものではない。
【0060】以上図面を用いて説明した本発明に係る塗
布装置のいずれもが、その装置に備えられているエッジ
板が、ダイのリップと同一平面か若しくは、塗布液の上
流側に取り付けられていた。しかしながら、本発明の塗
布装置は、前述した形態に限定されるものではない。以
下に図13を用いて他の実施形態について説明する。
【0061】図13に示した塗布装置には、前述した側
部垂直面22を備えたエッジ板12が取り付けられてい
る。図から明らかなように、エッジ板12の先端面20
は、ダイ11のリップ14よりウェブ15側に備えられ
ている。この場合においても、ビード最小膜厚位置Dr
には、側部垂直面22が存在しているため、形成された
ビード18の縮流は抑制されて、膜厚が均一な塗布膜1
9を形成することができる。しかしながら、図14に示
すように先端面20がウェブ15とあまりに近づきすぎ
ると、先端面20とウェブ15との接触などの問題が生
じるおそれがある。そこで、本発明において、先端面2
0とウェブ15との最接近距離L1は、L1≧100μ
mであることが好ましい。
【0062】図15は、本発明の塗布装置に備えられて
いるエッジ板12の一実施形態を説明するための図であ
る。図15(a)に示すようにエッジ板12は、エッジ
板本体12aと塗布側の先端部がブロック化された先端
ブロック12bとから構成されている。これは、エッジ
板の塗布側は、精密な加工がなされており、欠けたり、
破損しやすいためである。図15(b)に示すように、
エッジ板12aと先端ブロック12bとは、固定ネジ2
8で連結されて固定される。なお、図15では固定ネジ
28は1本のみを図示したが、エッジ板本体12aと先
端ブロック12bとの固定をより強固にするために、複
数の固定ネジを用いて連結することがより好ましい。固
定ネジ28で、エッジ板本体12aと先端ブロック12
bとを連結すると、図15(c)に示すエッジ板12が
得られる。
【0063】本発明において、先端ブロック12bの長
さL2(図15(a)参照)は、10〜50mmである
ことが好ましいが、この範囲に限定されるものではな
い。エッジ板の先端は先細りで尖っており、欠けたり破
損したりしやすい。このため、エッジ板の塗布側先端部
をブロック化することで、先端側が破損しても、直ちに
取り替えることが可能になる。また、予備の先端ブロッ
クのみを用意しておけば良いので、エッジ板の予備を用
意しておくよりも、コストの面で有利である。しかしな
がら、本発明に係る塗布装置に備えられたエッジ板は、
必ずしも図15に示したようにエッジ板本体と先端ブロ
ックとに分割したものに限定されるものではない。
【0064】また、本発明において、先端ブロックの形
態は図15に示したものに限定されるものではない。例
えば、図16に示すようにエッジ板30の一部を構成す
る先端ブロック30bには、先端面31と先端傾斜面3
2と側部傾斜面の一部33bと側部垂直面の一部34b
とが備えられ、上部垂直部35は、エッジ板本体30a
のみに設けられている。また、図17に示すようにエッ
ジ板36の先端ブロック36bを、先端面37と先端傾
斜面の一部38bと側部傾斜面の一部39bと側部垂直
面の一部40bとから構成してもよい。この場合には、
先端傾斜面38は、エッジ板本体36a側の先端傾斜面
38aと先端ブロック36b側の先端傾斜面38bとに
分割される。このように、本発明の塗布装置に備えられ
たエッジ板の塗布側の先端ブロックは、様々な形態のも
のを用いることができる。
【0065】次に、エッジ板12をダイ11に取り付け
る方法について説明する。図2に示したようにダイ11
には、ネジ穴11a、11b、11c、11d、11
e、11f、11g、11hが形成されている。そし
て、エッジ板12に備えられたネジ孔(図示しない)と
これらネジ穴11a〜11hとをボルトで固定すること
によりエッジ板12をダイ11に固定することができ
る。図18には、図2に示したエッジ板12の片側の断
面図を示した。エッジ板12には、ダイ11のネジ穴に
対応して、ネジ孔12c、12d、12e、12fが備
えられている。これらネジ孔12c〜12fとダイ11
のネジ穴11a〜11dとをボルト50、51、52、
53で固定するという簡易な方法で、塗布量分布を最適
にするだけでなく、ウェブの切断や、塗布端部のフラツ
キなどを解消した安定な塗布状態を可能にする塗布装置
を作製することができる。なお、図18では、ボルト5
0〜53を誇張して示している。また、エッジ板12の
位置を精度良くダイ11に固定するために、エッジ板1
2の塗布側から順にボルト50〜53を締めることが好
ましい。
【0066】本発明において、ボルトの材質は、熱変形
の観点から、ダイと同材質であることが好ましい。しか
しながら、ステンレスなどの金属であっても良いし、フ
ッ素樹脂、アセタール樹脂、アクリル樹脂などのポリマ
ーであっても良いし、その他の非金属であっても良い。
また、図18では、4本のボルト50〜53を用いてダ
イ11とエッジ板12とを固定したが、本発明において
ボルトの本数は、図示した本数に限定されるものではな
い。なお、図ではダイ11とエッジ板12とをボルトで
固定したが、本発明はこの方法に限定されるものではな
く、公知の固定方法のいずれをも利用することができ
る。
【0067】さらに、エッジ板を形成する材料について
説明するために、図18の XIX−XIX 線の断面を示した
図19を用いて説明する。本発明においてエッジ板12
を形成する材料は、特に限定されるものではない。しか
しながら、塗布液が接する側部垂直面22と側部傾斜面
23とは、塗布液による腐食を防ぐために、ポリマーな
どの非金属から形成されていることが好ましい。用いら
れるポリマーとしては、耐腐食性に優れたフッ素樹脂が
最も好ましいが、これに限定されるものではない。
【0068】また、エッジ板12の強度を高めるため
に、図2及び図19に示したように芯材26を埋め込ん
だものが好ましい。芯材26の埋め込み位置、サイズ、
形状などは特に限定されるものではない。しかしなが
ら、強度上、上部垂直部24の反塗布側面27からの幅
L3が1mm以上備えるように内側に埋め込まれ、エッ
ジ板12の下側の長さL4が、3mm以上備えるように
埋め込まれることが好ましい。なお、埋め込まれる芯材
26の断面の形態は図示したものに限定されないが、ダ
イ11とエッジ板12とを強固に固定するために、ボル
ト52と接する接触面26aに芯材26が備えられるよ
うに、エッジ板12に芯材26を埋め込むことが好まし
い。なお、埋め込められる芯材26には、ステンレスを
用いることが好ましいが、他の金属を用いてもよい。さ
らには、金属以外の、例えば強度が優れているエンジニ
アリングプラスチック(例えば、ポリカーボネートな
ど)などの非金属を用いてもよい。
【0069】図2に示したエッジ板12の幅L5は、2
0〜100mmであることが好ましい。これは、エッジ
板12に芯材26を埋め込むために、幅L5が20mm
未満であると加工が困難になるからである。また、幅L
5が100mmより広いと、エッジ板12をダイ11に
固定する際に、その位置決めが困難になるためである。
しかしながら、本発明においてエッジ板12の幅L5
は、前述した範囲に限定されるものではない。
【0070】以上に図示したエッジ板12の側部垂直面
22の下辺は、スライド面13と平行な直線の形態のも
のを用いた。しかしながら、本発明において側部垂直面
22の形態は、前述した図面に示したものに限定されな
い。図20には、塗布装置60のダイ61にエッジ板6
2を取り付け(前述したボルトの図示は省略する)、そ
の断面の概略図を示した。エッジ板62には、側部垂直
面62aと側部傾斜面62bと上部垂直部62cとなど
が備えられている。図20に示すようにダイ61のスラ
イド面63は、マニホールド64、65、66の各スリ
ット67、68、69に対応した段差付きのスライド面
になっている。このようにスライド面63が段差状にな
っている塗布装置60にも、本発明は適用が可能であ
る。この場合の側部垂直面62aの高さDgは、前述し
たビード最小膜厚位置Drにおいて、Db≦Dg≦Ds
(図7参照)の関係を有していればよい。
【0071】図21に本発明に係る塗布装置の他の実施
形態の概略断面図を示す。図21に示す塗布装置70に
は、ダイ71にエッジ板72が取り付けられ(前述した
ボルトの図示は省略する)、そのエッジ板72には、側
部垂直面72aと側部傾斜面72bと上部垂直部72c
となどが備えられている。図21に示すように側部垂直
面72aは、塗布液(図示しない)の上流方向に対して
狭くなるようにスライド面73上に備えられている。こ
のような塗布装置70であっても、本発明は適用が可能
である。この場合の側部垂直面72aの高さDgは、前
述したビード最小膜厚位置Drにおいて、Db≦Dg≦
Dsの関係を有していればよい。
【0072】[塗布方法]本発明に係る塗布方法を、前
述した塗布装置10を用いて、図22にその概略図を示
して説明する。図示しない送り出し機から送り出された
ウェブ15は、温度調節機80により所定の温度になる
ように加熱、冷却がなされる。この温度調節機80によ
って、ウェブ15に塗布液17を塗布する際に、ウェブ
15の表面温度が30〜40℃になるようにすること
が、良好な塗布膜19を形成するために好ましい。
【0073】温度制御されたウェブ15は、コーティン
グローラ16に巻きかかりながら、移動速度Uが1〜6
m/sの範囲で走行させることが好ましい。しかしなが
ら、本発明においてウェブの移動速度Uは、前述した数
値範囲に限定されるものではない。図22に示すように
リップ14から塗布液がビード18を形成して、ウェブ
15上に塗布され、塗布膜19を形成する。なお、塗布
液を塗布する際に形成されるビード18の正面の圧力
(通常は、大気圧)P0 とビード18の背面の圧力Pb
との差(P0 −Pb )が、300〜1000Paである
ことが好ましく、より好ましくは400〜700Paで
ある。このように、ビード背面の圧力を制御するため
に、塗布装置10には、背面減圧室81が備えられてい
ることが好ましい。
【0074】塗布膜19が形成されたウェブ15は、搬
送ローラ82により乾燥装置(図示しない)に搬送さ
れ、塗布膜中の溶媒が揮発し、塗布膜が乾燥することで
フイルムが製造される。なお、塗布方法の説明は、塗布
装置10を用いて説明したが、本発明の塗布方法は、こ
の装置を用いた方法に限定されずに、図20に示した塗
布装置60や図21に示した塗布装置70などを用いて
塗布する方法に適用することも可能である。
【0075】
【実施例】以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明す
るが、本発明の態様はこれらに限定されない。
【0076】<実験1>実験1では、実施例1で実験条
件を詳細に説明し、実施例2〜9、比較例1及び2は、
実施例1と同じ条件については説明を省略する。なお、
表1にはエッジ板の形態及び塗布方法を、表2には塗布
液の条件を、表3には塗布条件、形成されたビードの形
態及び実験結果をそれぞれ後にまとめて示す。
【0077】[実施例1]塗布液は、最下層用塗布液
(ゼラチン濃度=4%、粘度=80mPa・ s、塗布量
=20ml/m2 )、中間層用塗布液(ゼラチン濃度=
8%、粘度=150mPa・s、塗布量=100ml/
2 )、最上層用塗布液(ゼラチン濃度=6%、粘度=
40mPa・s、塗布量=10ml/m2 )を用いた。
各々の層の粘度は、ポリビニルスルホン酸の添加により
調整した。また中間層には染料を添加し、形成された塗
布膜の膜厚は光学濃度から換算して評価した。最上層の
塗布液には、エアロゾルOTを添加して表面張力を27
×10-3(N/m)に調整した。
【0078】これら塗布液を図1に示した塗布装置10
を用いて、3重層同時塗布をスライドビード方式で塗布
した。エッジ板12には、表1に示すように、先端傾斜
面21の角度D1が60°、側部傾斜面22の角度D2
が45°、側部垂直面高さDgが0.6mmのものを用
いた。そして、このエッジ板12を表1に示すようにス
ライド面13の角度αが15°のダイ11に取り付け
た。そして、エッジ板12の先端位置Deは、図13に
示すようにリップ14からウェブ15側に0.07mm
(=70μm)張り出した位置に取り付けた。表1にお
いて、エッジ板先端位置Deが、負の値は、図13に示
したようにエッジ板を取り付けたものを示し、その張り
出した距離を示している。また、図22に示したよう
に、ビード18の正面と背面との差圧(P0 −Pb
は、表1に示すように490Paとし、ウェブ15の表
面温度は36℃とした。
【0079】塗布液の塗布速度は2m/s、塗布液温度
は全て35℃とし、このときの温度における全層の塗布
液の密度の平均ρは、表2に示すように1000kg/
3であった。また、単位幅当りの全層の塗布液の流量
の総和qは、3×10-43/(m×sec)であっ
た。この際のスライド面流動での剪断速度における全層
の塗布液の粘度はηavは、100mPa・sであった。
これらの塗布液の各条件ρ、q、ηav、前述したスライ
ド面角度α及び重力加速度g(m/sec2 )から、ビ
ード最小膜厚最大値Dsは算出により3.288mmと
なる。
【0080】塗布は、図22に示した方法により行なっ
た。なお、ウェブ15には、TACを用いた。塗布条件
は、表3に示すようにウェブ15の移動速度Uを2m/
secとし、リップとウェブとの距離hを0.20mm
とした。この際に形成された塗布膜19の膜厚heは
0.15mmであった。これら、U、h、heの数値か
ら前述の式(15)、式(16)用いてビード最小膜厚
Dbと、ビード最小膜厚位置Drとを算出したところ、
表3に示すように0.181mm、0.181mmの値
が得られた。
【0081】ウェブ15に塗布液17を塗布して得られ
たサンプルの膜厚を、端部から100mmの位置で測定
した。その位置での膜厚がサンプルの幅方向の中心の膜
厚と比べてどの程度の厚塗りが生じたかを測定したとこ
ろ、表3に示すように1%以下であった。また、塗布端
部が良否を目視により良品(○)、不良品(×)を判断
したところ表3に示すように、良品(○)であった。
【0082】[実施例2ないし実施例9]実施例2ない
し実施例9の各実験条件及び結果については、後に表1
ないし表3に示した。
【0083】[比較例1及び比較例2]比較例1及び比
較例2の各実験条件及び結果については、後に表1ない
し表3に示した。
【0084】
【表1】
【0085】
【表2】
【0086】
【表3】
【0087】実験1(表1ないし表3参照)より、ビー
ド最小膜厚位置Drにおいてエッジ板の側部垂直面の高
さDgが、ビード最小膜厚Dbとビード最小膜厚最大値
Dsとの関係を、Db≦Dg≦Dsとすることで、良好
な塗布膜を形成することができることが分かった。
【0088】<実験2>次に、実験2として、エッジ板
をダイに取り付ける実験(実施例10)や、エッジ板の
先端を交換する実験(実施例11)として行なった。し
かしながら、本発明に係る塗布装置に備えられたエッジ
板の取り付け方法や、そのエッジ板の先端の交換方法
は、以下に説明する実施例に限定されるものではない。
【0089】[実施例10]図19に示したようにフッ
素樹脂から形成されたエッジ板12に芯材26としてス
テンレスを埋め込んだ。埋め込み位置は、反塗布側面か
らの幅L3は、10mmとし、エッジ板下部の長さL4
を2mmとした。また、エッジ板12は、幅L3(図2
参照)が50mmのものを用いた。そして、エッジ板1
2の幅位置を決めてからダイ11にボルトで固定したの
ち、下部の隙間が無くなるまでマシ締した。エッジ板1
2の先端は100μmしか移動せず、塗布を実施したと
ころ、エッジ板はウェブに接触せず、非常に安定な塗布
を行なうことができた。また、この実験を3回繰り返
し、エッジ板先端の移動量をルーペで確認した所、常に
ほぼ同じ位置を再現していた。
【0090】[比較例3]フッ素樹脂のみで形成された
エッジ板を用いた。エッジ板の幅位置を決めてからボル
トで固定したのち、下部の隙間が無くなるまでマシ締し
たところ、エッジ板の先端は、リップと同じ位置にあっ
たのに、500μmも前方に移動してしまった。これで
塗布したところ、エッジ板先端がウェブに接触してウェ
ブが切断した上に、エッジ板先端も破損してしまった。
エッジ板を更新するのには1ヵ月を要しその間、このダ
イとエッジ板の組み合わせを使用することができなかっ
た。
【0091】[実施例11]図15に示したようにエッ
ジ板が、エッジ板本体12aと先端ブロック12bとか
ら構成されているものを用いた。先端ブロック12bの
長さL2が、40mmのエッジ板を用いた。そして、実
施例10と同様の作業をした所、エッジ板を誤って床に
落としてしまい、先端が破損してしまった。しかし、予
め用意しておいた先端ブロックと交換したところ30分
で復旧でき、塗布に支障をきたすことがなかった。
【0092】
【発明の効果】本発明の塗布装置によれば、ダイのスラ
イド面に塗布液の塗布幅を規定するエッジ板を設け、連
続走行するウェブに単層または2層以上の塗布膜を形成
する塗布液を、前記ダイの先端から塗布するスライドビ
ード方式の塗布装置において、前記エッジ板の側面に前
記スライド面に対して垂直方向に垂直部を設け、前記塗
布液が全層重なったスライド面の位置で、前記垂直部の
前記スライド面からの高さDg(m)が、h(m)を前
記ウェブと前記ダイ先端との距離とし、he(m)を前
記塗布液を塗布して形成された塗布膜の厚さとし、U
(m/s)を前記ウェブの移動速度としたときに、 Db(m)=1.03×h−1.50×he/U1/3
12800×he2 ×U で示されるDbと、ηav(mPa・ s)を前記スライド
面流動での剪断速度における全層の塗布液の粘度の平均
とし、q{m3 /(m・sec)}を単位幅当りの全層
の塗布液の流量の総和とし、αを前記スライド面の角度
とし、ρ(kg/m3 )を全層の塗布液の密度の平均と
し、g(m/sec2 )を重力加速度としたときに、D
s(m)={3×ηav×q/(ρ×g×sinα)}
1/3 で示されるDsと、の関係について、Db≦Dg≦
Dsにしたから、調整が簡易でありかつ保全性に優れる
簡単な構造の塗布装置になり、その装置を用いた塗布方
法により得られた製品は、塗布膜の端部の厚塗りと塗布
膜端部の塗布量分布最小化させることが可能となった。
【0093】また、本発明の塗布装置によれば、前記エ
ッジ板の先端の位置が、前記ダイ先端よりも前記ウェブ
に近い場合であって、前記エッジ板と前記ウェブとの最
接近距離L1を100μm以上にしたから、塗布膜の端
部の厚塗りと塗布膜端部の塗布量分布最小化させること
が可能となった。
【0094】また、本発明の塗布装置によれば、前記エ
ッジ板の先端の位置が、前記ダイのスライド面上にある
場合であって、前記エッジ板の先端と前記ダイとの距離
De(m)が、Dr(m)=−0.270×h+1.0
0×he−1.30×he/U1/3 +5320×he2
×Uで示されるDrとの関係について、De≦Drにし
たから、塗布膜の端部の厚塗りと塗布膜端部の塗布量分
布最小化させることが可能となった。
【0095】本発明の塗布装置によれば、前記エッジ板
の塗布側先端部が交換可能にしたから、塗布膜の端部の
厚塗りと塗布膜端部の塗布量分布最小化させることが可
能となるとともに、エッジ板の先端部が破損しても直ち
に交換可能であり、製造作業の中止時間を短縮できた。
【0096】本発明の塗布装置によれば、前記エッジ板
と接するダイの面にネジ穴を有し、そのダイと前記エッ
ジ板とをボルトで固定するから、塗布膜の端部の厚塗り
と塗布膜端部の塗布量分布最小化させることが可能とな
るとともに、再現性よくエッジ板を設定し、安定に塗布
を行なうことができた。
【0097】本発明の塗布方法によれば、本発明に係る
塗布装置を用いて、前記塗布液を前記ウェブに塗布する
際に、前記塗布液からビードが形成され、前記ビードの
正面の圧力P0 と、そのビードの背面の圧力Pb との差
圧(P0 −Pb )を、300Pa≦(P0 −Pb )≦1
000Paの範囲として前記塗布液を塗布するから、前
記ビードの縮流が抑制され、安定した塗布を行なうこと
ができた。また、塗布する際に、そのウェブの表面の温
度を30℃から40℃の範囲に調整して塗布するから、
より安定した塗布を行なうことができた。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る塗布装置の要部斜視図である。
【図2】本発明に係る塗布装置の概略平面図である。
【図3】本発明に係る塗布装置の要部側面図である。
【図4】本発明に係る塗布装置の要部正面図である。
【図5】本発明に係る塗布装置の要部平面図である。
【図6】形成されたビードの形態を説明するための概念
図である。
【図7】本発明に係る塗布装置の他の実施形態の概略断
面図である。
【図8】塗布装置の一実施形態の概略断面図である。
【図9】本発明に係る塗布装置の他の実施形態の概略断
面図である。
【図10】塗布装置の一実施形態の概略断面図である。
【図11】塗布膜厚さとビード最小膜厚との関係を示し
たグラフである。
【図12】塗布膜厚さとビード最小膜厚位置との関係を
示したグラフである。
【図13】本発明に係る塗布装置の他の実施形態の概略
断面図である。
【図14】塗布装置の一実施形態の概略断面図である。
【図15】本発明に係る塗布装置に備えられたエッジ板
の側面図である。
【図16】本発明に係る塗布装置に備えられたエッジ板
の他の形態を示す側面図である。
【図17】本発明に係る塗布装置に備えられたエッジ板
の他の形態を示す側面図である。
【図18】本発明に係る塗布装置の断面図である。
【図19】図18の XIX−XIX 線の断面図である。
【図20】本発明に係る他の実施形態の塗布装置の断面
図である。
【図21】本発明に係る他の実施形態の塗布装置の断面
図である。
【図22】本発明に係る塗布方法を説明するための概略
図である。
【符号の説明】
10 塗布装置 11 ダイ 12 エッジ板 12a エッジ板本体 12b 先端ブロック 12c、12d、12e、12f ネジ孔 13 スライド面 14 リップ 15 ウェブ 17 塗布液 18 ビード 19 塗布膜 20 先端面 22 側部垂直面 23 側部傾斜面 25 接線 25a 動的接触線 26 芯材 50、51、52、53 ボルト 80 温度調節機 81 背面減圧室 D1 先端傾斜面角度 D2 側部傾斜面角度 h リップとウェブとの距離 Dg 側部垂直面高さ Db ビード最小膜厚 Ds 側部垂直面高さ上限値 Df 先端面高さ Dr ビード最小膜厚位置 De エッジ板先端位置 L1 エッジ板とウェブとの最接近距離 L2 先端ブロック長さ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4D075 AC15 AC80 AC92 AC93 AC94 AC96 AE23 AE27 DA04 DB18 DB31 DB36 DB38 DB48 DB53 DC27 DC28 EA05 EA45 EB07 EB10 EB12 EB19 EB52 4F041 AA12 AB01 BA07 BA13 BA56 CA06 CA13 CA22 4F042 AA22 AB00 BA04 BA08 BA10 BA11 BA15 BA25

Claims (25)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ダイのスライド面に塗布液の塗布幅を規
    定するエッジ板を設け、連続走行するウェブに単層また
    は2層以上の塗布膜を形成する塗布液を、前記ダイの先
    端から塗布するスライドビード方式の塗布装置におい
    て、 前記エッジ板の側面に前記スライド面に対して垂直方向
    に垂直部を設け、 前記塗布液が全層重なったスライド面の位置で、前記垂
    直部の前記スライド面からの高さDg(m)が、h
    (m)を前記ウェブと前記ダイの先端との距離とし、h
    e(m)を前記塗布液を塗布して形成された塗布膜の厚
    さとし、U(m/s)を前記ウェブの移動速度としたと
    きに、Db(m)=1.03×h−1.50×he/U
    1/3 +12800×he2 ×Uで示されるDbと、ηav
    (mPa・ s)を前記スライド面流動での剪断速度にお
    ける全層の塗布液の粘度の平均とし、q{m3 /(m・
    sec)}を単位幅当りの全層の塗布液の流量の総和と
    し、αを前記スライド面の角度とし、ρ(kg/m3
    を全層の塗布液の密度の平均とし、g(m/sec2
    を重力加速度としたときに、Ds(m)={3×ηav×
    q/(ρ×g×sinα)}1/3 で示されるDsと、の
    関係について、Db≦Dg≦Dsであることを特徴とす
    る塗布装置。
  2. 【請求項2】 前記エッジ板の先端の位置が、前記ダイ
    先端よりも前記ウェブに近い場合であって、 前記エッジ板と前記ウェブとの最接近距離L1が100
    μm以上であることを特徴とする請求項1記載の塗布装
    置。
  3. 【請求項3】 前記エッジ板の先端の位置が、前記ダイ
    のスライド面上にある場合であって、 前記エッジ板の先端と前記ダイとの距離De(m)が、
    Dr(m)=−0.270×h+1.00×he−1.
    30×he/U1/3 +5320×he2 ×Uで示される
    Drとの関係について、De≦Drであることを特徴と
    する請求項1記載の塗布装置。
  4. 【請求項4】 ダイのスライド面に塗布液の塗布幅を規
    定するエッジ板を設け、連続走行するウェブに単層また
    は2層以上の塗布膜を形成する塗布液を、前記ダイの先
    端から塗布するスライドビード方式の塗布装置におい
    て、 前記エッジ板の側面に前記スライド面に対して垂直方向
    に垂直部を設け、 前記塗布液が全層重なったスライド面の位置で、前記垂
    直部の前記スライド面からの高さDgが、0.15mm
    以上5mm以下であることを特徴とする塗布装置。
  5. 【請求項5】 前記エッジ板の先端に、前記塗布液が前
    記ウェブ上に塗布される最も低い位置での前記ウェブの
    進行方向における接線と、略平行な先端部を設け、 前記先端部の前記スライド面からの高さDfが、0.6
    mm以下であることを特徴とする請求項4記載の塗布装
    置。
  6. 【請求項6】 ダイのスライド面に塗布液の塗布幅を規
    定するエッジ板を設け、連続走行するウェブに単層また
    は2層以上の塗布膜を形成する塗布液を、前記ダイの先
    端から塗布するスライドビード方式の塗布装置におい
    て、 前記エッジ板の先端に、前記塗布液が前記ウェブ上に塗
    布される最も低い位置での前記ウェブの進行方向におけ
    る接線と、略平行な先端部を設け、 前記先端部の前記スライド面からの高さDfが、0.6
    mm以下であることを特徴とする塗布装置。
  7. 【請求項7】 前記エッジ板が前記塗布液を塗布する先
    端方向に先端傾斜部を有するものであって、 その先端傾斜部と前記スライド面とがなす角度D1が、
    35°から60°の範囲であることを特徴とする請求項
    1ないし6いずれか1つ記載の塗布装置。
  8. 【請求項8】 前記エッジ板が前記垂直部に接続された
    傾斜部を有するものであって、 その傾斜部と前記スライド面とがなす角度D2が、45
    °から75°の範囲であることを特徴とする請求項1な
    いし7いずれか1つ記載の塗布装置。
  9. 【請求項9】 前記エッジ板の塗布側先端部が交換可能
    であることを特徴とする請求項1ないし8いずれか1つ
    記載の塗布装置。
  10. 【請求項10】 前記エッジ板と接するダイの面にネジ
    穴を有し、 そのダイと前記エッジ板とをボルトで固定することを特
    徴とする請求項1ないし9いずれか1つ記載の塗布装
    置。
  11. 【請求項11】 前記エッジ板の前記塗布液に接する部
    分がポリマーであり、 前記エッジ板の前記ボルトが接する部分が金属であるこ
    とを特徴とする請求項10記載の塗布装置。
  12. 【請求項12】 前記ポリマーがフッ素樹脂であること
    を特徴とする請求項11記載の塗布装置。
  13. 【請求項13】 前記エッジ板の前記塗布液に接する部
    分が非金属であり、 前記エッジ板の前記ボルトが接する部分が金属であるこ
    とを特徴とする請求項10記載の塗布装置。
  14. 【請求項14】 前記エッジ板の内部に金属が埋め込め
    られていることを特徴とする請求項1ないし13いずれ
    か1つ記載の塗布装置。
  15. 【請求項15】 ダイのスライド面に塗布液の塗布幅を
    規定するエッジ板が設けられたスライドビード方式の塗
    布装置を用い、連続走行するウェブに単層または2層以
    上の塗布膜を形成する塗布液を、前記ダイの先端から塗
    布する塗布方法において、 その側面に前記スライド面に対して垂直方向に垂直部が
    設けられた前記エッジを用いて、 前記塗布液が全層重なったスライド面の位置で、前記垂
    直部の前記スライド面からの高さDg(m)を、h
    (m)を前記ウェブと前記ダイ先端との距離とし、he
    (m)を前記塗布液を塗布して形成された塗布膜の厚さ
    とし、U(m/s)を前記ウェブの移動速度としたとき
    に、Db(m)=1.03×h−1.50×he/U
    1/3 +12800×he2 ×Uで示されるDbと、ηav
    (mPa・ s)を前記スライド面流動での剪断速度にお
    ける全層の塗布液の粘度の平均とし、q{m3 /(m・
    sec)}を単位幅当りの全層の塗布液の流量の総和と
    し、αを前記スライド面の角度とし、ρ(kg/m3
    を全層の塗布液の密度の平均とし、g(m/sec2
    を重力加速度としたときに、Ds(m)={3×ηav×
    q/(ρ×g×sinα)}1/3 で示されるDsとの関
    係について、Db≦Dg≦Dsとして前記塗布液を塗布
    することを特徴とする塗布方法。
  16. 【請求項16】 前記エッジ板の先端の位置が、前記ダ
    イ先端よりも前記ウェブに近い場合であって、 前記エッジ板と前記ウェブとの最接近距離L1を100
    μm以上として前記塗布液を塗布することを特徴とする
    請求項15記載の塗布方法。
  17. 【請求項17】 前記エッジ板の先端の位置が、前記ダ
    イのスライド面上にある場合であって、 前記エッジ板の先端と前記ダイとの距離De(m)を、
    Dr(m)=−0.270×h+1.00×he−1.
    30×he/U1/3 +5320×he2 ×Uで示される
    Drとの関係について、De≦Drとして塗布すること
    を特徴とする請求項15記載の塗布方法。
  18. 【請求項18】 ダイのスライド面に塗布液の塗布幅を
    規定するエッジ板が設けられたスライドビード方式の塗
    布装置を用い、連続走行するウェブに単層または2層以
    上の塗布膜を形成する塗布液を、前記ダイの先端から塗
    布する塗布方法において、 その側面に前記スライド面に対して垂直方向に垂直部が
    設けられた前記エッジ板を用い、 前記塗布液が全層重なったスライド面の位置で、前記垂
    直部の前記スライド面からの高さDgを、0.15mm
    以上5mm以下として前記塗布液を塗布することを特徴
    とする塗布方法。
  19. 【請求項19】 その先端に前記塗布液が前記ウェブ上
    に塗布される最も低い位置での前記ウェブの進行方向に
    おける接線と、略平行な先端部が設けられた前記エッジ
    板を用い、 前記先端部の前記スライド面からの高さDfを、0.6
    mm以下として前記塗布液を塗布することを特徴とする
    請求項18記載の塗布方法。
  20. 【請求項20】 ダイのスライド面に塗布液の塗布幅を
    規定するエッジ板が設けられたスライドビード方式の塗
    布装置を用い、連続走行するウェブに単層または2層以
    上の塗布膜を形成する塗布液を、前記ダイの先端から塗
    布する塗布方法において、 その先端に前記塗布液が前記ウェブ上に塗布される最も
    低い位置での前記ウェブの進行方向における接線と、略
    平行な先端部が設けられた前記エッジ板を用い、 前記先端部の前記スライド面からの高さDfを、0.6
    mm以下として前記塗布液を塗布することを特徴とする
    塗布方法。
  21. 【請求項21】 前記塗布液を塗布する先端方向に先端
    傾斜部を有するエッジ板を用い、 その先端傾斜部と前記スライド面とがなす角度D1を、
    35°から60°の範囲として前記塗布液を塗布するこ
    とを特徴とする請求項15ないし20いずれか1つ記載
    の塗布方法。
  22. 【請求項22】 前記垂直部に接続された傾斜部を有す
    るエッジ板を用い、 その傾斜部と前記スライド面とがなす角度D2を、45
    °から75°の範囲として前記塗布液を塗布することを
    特徴とする請求項15ないし21いずれか1つ記載の塗
    布方法。
  23. 【請求項23】 前記ダイの先端と前記ウェブとの距離
    hを200μmから300μmの範囲として前記塗布液
    を塗布することを特徴とする請求項15ないし22いず
    れか1つ記載の塗布方法。
  24. 【請求項24】 前記塗布液を前記ウェブに塗布する際
    に、前記塗布液からビードが形成され、 前記ビードの正面の圧力P0 と、そのビードの背面の圧
    力Pb との差圧(P0−Pb )を、 300Pa≦(P0 −Pb )≦1000Paの範囲とし
    て前記塗布液を塗布することを特徴とする請求項15な
    いし23いずれか1つ記載の塗布方法。
  25. 【請求項25】 前記塗布液を前記ウェブに塗布する際
    に、 そのウェブの表面の温度を30℃から40℃の範囲に調
    整して塗布することを特徴とする請求項15ないし24
    いずれか1つ記載の塗布方法。
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