JP2003209746A - 放射線撮影装置 - Google Patents

放射線撮影装置

Info

Publication number
JP2003209746A
JP2003209746A JP2002007019A JP2002007019A JP2003209746A JP 2003209746 A JP2003209746 A JP 2003209746A JP 2002007019 A JP2002007019 A JP 2002007019A JP 2002007019 A JP2002007019 A JP 2002007019A JP 2003209746 A JP2003209746 A JP 2003209746A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
output
region
sensor
pixel
image
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2002007019A
Other languages
English (en)
Inventor
Naoyuki Hori
直行 堀
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Shimadzu Corp
Original Assignee
Shimadzu Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Shimadzu Corp filed Critical Shimadzu Corp
Priority to JP2002007019A priority Critical patent/JP2003209746A/ja
Publication of JP2003209746A publication Critical patent/JP2003209746A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Measurement Of Radiation (AREA)
  • Apparatus For Radiation Diagnosis (AREA)
  • Image Input (AREA)
  • Transforming Light Signals Into Electric Signals (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 放射線測定装置において、デジタル変換信号
の演算処理によりダイナミックレンジを効果的に拡大し
ようとする。 【解決手段】 1次元、又は2次元放射線検出画素マト
リクスを有するフラットパネルセンサ16を用いた放射
線撮影装置において、各画素に対応するセンサ出力を取
り出すためのデータ収集装置18と、前記取り出された
センサ出力が飽和又はオーバフローしていない状態で
は、その定常領域の出力を用い、飽和又はオーバフロー
しているときは、その飽和又はオーバフローが生ずる前
後のセンサ出力の立ち上がり又は減衰領域の信号から当
該飽和又はオーバフロー領域における推定出力を算出
し、これらの定常出力と推定出力を合成して画像データ
を作成するための画像処理装置19を備えたものであ
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、医用又は工業用放
射線撮影装置に関し、より特定すればフラットパネルセ
ンサを用いたX線撮影装置において、ダイナミックレン
ジを拡大する方法及び装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、X線撮影装置の検出手段として、
入射X線を直接電子データに変換するフラットパネルセ
ンサ(以下「センサ」と略す)が注目され、普及しつつ
ある。しかし、センサのX線検知範囲(ダイナミックレ
ンジ)はさほど広くないにも関わらず、被検体を透過し
てセンサに達するX線量が、撮像部位を特定するための
いわゆる「透視撮影」における比較的弱いX線照射と、
その後の「通常撮影」における通常強度のX線照射によ
る場合とでは大きく異なり、更に通常撮影の場合には被
検体の部位に応じて大きく異なることになる。
【0003】そこで、センサが有意なX線量を全て出力
に変えるために、比較的X線量が少ない範囲に設定する
場合、その設定検知範囲を上回るX線量は、出力が飽和
又はオーバーフロー状態となって、特定できなくなる。
また、比較的高いX線量の範囲を検出しても、センサ出
力及び増幅系の直線性が悪いことと相まって、デジタル
化した画像信号のダイナミックレンジが狭くなり、正確
なX線撮影画像が得られなくなる。
【0004】従って、放射線、特にX線撮影のダイナミ
ックレンジを拡大しようとする従来の試みにおいて、例
えば、センサ出力の増幅値のダイナミックレンジの拡大
を意図する場合には、A/D変換器のアナログ入力範囲
(ダイナミックレンジ)を拡大するが、原始アナログ信
号としてのセンサ出力自体のダイナミックレンジを拡大
するためには、例えば、TFT素子を用いたX線フラッ
トパネルセンサでは、各素子(画素)の信号電荷蓄積用
コンデンサの容量を大きくすることが行われる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ここで一般的なX線フ
ラットパネルセンサの構造を図1により概観し、上記の
ダイナミックレンジ拡大の意義を検討する。まず、図1
(a)に示す一画素分の断面において、センサは、ガラ
ス基板1と、その基板1に被着された電荷収集電極2
と、アモルファス・セレン膜又はCd(Zn)Te膜か
らなる光導電体膜3と、表面電極4とからなる成層構造
を有し、基板1と電荷収集電極2との間には局部的にコ
ンデンサ5及びTFTトランジスタ6が形成されてい
る。このセンサ構造の表面電極4に、被検体を透過した
X線が入射すると、光導電体膜3から光電子が励起され
て正バイアスされた表面電極4に向かうとともに、正孔
が電荷収集電極2に向かい、コンデンサ5に蓄えられ
る。
【0006】蓄えられた電荷は、画素マトリクス配置及
び電気回路図(b)に示す通り、センサ中に組み込まれ
たドライブコントローラ7から逐次発せられるゲート付
勢信号を受けてコンデンサ5の蓄積電荷を、TFTトラ
ンジスタ6のソースから取り出し、これをマルチプレク
サ8で時系列信号として合成し、更にアンプ9で増幅し
てからA/D変換器10に供給し、このA/D変換デー
タをセンサ外のデータ収集及び画像処理装置に送出する
ようになっている。
【0007】上記のようなセンサ構造において、A/D
変換されるまでのダイナミックレンジを拡大しようとす
ることは、各素子のサイズを大きく、また高価にするこ
とになる。特に、画素サイズが平面的に大きくなること
は撮影画像の分解能の低下を意味する。また、各素子の
信号電荷蓄積用のコンデンサの容量を大きくする方法で
は、静電的ノイズの捕捉等、容量増加に伴うノイズ成分
が増加するという欠点がある。
【0008】そのため、結局は従来の狭いダイナミック
レンジのままで医療用X線画像を撮影する場合、例え
ば、図2の模式図で示す人体の胸部について見ると、肺
野部11a、11bはX線が通過しやすくて信号量が大
きく、オーバーフローしやすい部位であるが、脊椎部1
2や、腹部13はX線が通過しにくく信号量が少ないた
め、オーバーフローしにくい部位であるといえる。しか
し、脊椎部12や、腹部13において信号量が少ないと
いうことは、S/N比が小さいことを意味し、従って診
断がむずかしい領域となる。
【0009】そこで、肺野診断用画像を目的として撮影
しようとすると、肺野部がオーバーフローしないX線条
件やアンプゲインなどを設定しなければならない。この
ような方法で撮影された画像は、当然ながら肺野部の診
断には適するが、一緒に撮影された腹部や脊椎部につい
ては、十分な信号量が入っておらず、それらの部位の診
断に用いることはできなくなる。
【0010】一方、腹部や脊椎部の診断用画像を撮影し
ようとすると、逆にこれらの部位に適したX線条件やア
ンプゲインなどを設定しなければならず、今度は一緒に
撮影された肺野部がオーバーフローし、この肺野部まで
は診断できないという欠点を有することになる。
【0011】従って、本発明の目的は放射線測定装置に
おいて、上記のような問題点を有するA/D変換器入力
のダイナミックレンジの拡大や、各素子の信号電荷蓄積
用コンデンサの容量増加を行うことなく、デジタル変換
信号の演算処理によりダイナミックレンジを効果的に拡
大しようとするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するた
め、本発明は、1次元、又は2次元放射線検出画素マト
リクスを有するフラットパネルセンサを用いた放射線撮
影装置において、各画素に対応するセンサ出力を取り出
すためのデータ収集装置と、前記取り出されたセンサ出
力が飽和又はオーバフローしていない状態では、その定
常領域の出力信号を用い、飽和又はオーバフローしてい
るときは、その飽和又はオーバフロー前後におけるセン
サ出力の立ち上がり又は減衰領域の信号から当該飽和又
はオーバフローした領域における真の出力信号の値を推
定し、これらの定常出力信号と推定出力信号とを合成し
て画像データを作成するための画像処理装置を備えた放
射線撮影装置を構成したものである。
【0013】本発明の一実施形態において、前記データ
収集装置は、前記センサ出力の立ち上がり信号として、
その立ち上がり開始時から飽和又はオーバフローする直
前までの少なくとも一の特定時点における瞬時値を収集
するものである。
【0014】本発明の別の実施形態において、前記デー
タ収集装置は、前記センサ出力の減衰領域の信号とし
て、前記飽和又はオーバフローが終わった直後から、出
力ゼロとなるまでの少なくとも一の特定時点における瞬
時値を収集するものである。
【0015】本発明の更に別の実施態様において、前記
画像処理装置は、前記特定時点における瞬時値に、立ち
上がり又は減衰開始時からの経過時間の関数として定ま
る所定の係数を掛けることにより、当該飽和又はオーバ
フロー領域における真の出力信号の値を推定するもので
ある。
【0016】本発明の更に別の実施態様において、前記
画像処理装置は、前記センサ出力の飽和又はオーバフロ
ーが生じた画素における当該領域の前記推定出力信号
を、当該領域において出力された疑似信号と置換するこ
とにより、真の画素出力として用い、飽和又はオーバフ
ローしていない画素における定常領域の出力信号と合成
してフレーム画像を作成する。
【0017】上記した本発明の構成によれば、センサ出
力が飽和又はオーバフローしていない状態では、その定
常領域の出力を用い、飽和又はオーバフローしていると
きは、その飽和又はオーバフローが生ずる前後のセンサ
出力の立ち上がり又は減衰領域の信号から当該飽和又は
オーバフロー領域における推定出力を算出し、これらの
定常出力と推定出力を合成して画像信号を作成するもの
であるため、従来は捨象されていたセンサ画素出力の飽
和又はオーバフロー領域までも有意義なデータをが得ら
れ、その分だけダイナミックレンジが実質的に拡大す
る。
【0018】また、本発明の更なる応用形態では、前記
の如く、実測できた画素データと真の画素出力として推
定された画素データとを合成して、精密に再現された1
フレーム内の全画素データを用いて、別途撮影された画
像を補正するための画像処理を行うことができる。例え
ば (1)過去のX線照射履歴によるセンサ感度の劣化を推
定し、偽画像(残像)を補正すること、(2)DSA
(Digital Subtraction Angiography:血管造影画像のバ
ックグラウンド消去処理)、(3)エネルギーサブトラ
クションによる画像処理、等である。
【0019】上記(1)に関し、フレーム画像における
前回残像のダブりは、センサへのX線照射強度に応じた
センサ画素の残留電荷分布に基づく感度劣化によるもの
であり、この補正を行うためには前回の照射X線分布が
完全に分かっていなければならない。もし、飽和又はオ
ーバーフローを生じたセンサ画素の、真の値に関する情
報が上述の画像処理により復元されなければ、この部分
の補正は行えず、フレーム画像全体としての残像消去補
正は不可能となる。また上記(2)、(3)の画像処理
においても、2枚の画像の差分をとって新しい画像を作
成するものであるが、1枚の画像でも相当数の画素がオ
ーバフローを起こすと、それらの真画素値を推定した上
で合成されたものでなけば、期待する処理画像が得られ
ないことは明らかである。
【0020】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を説明
する。図3において、14はX線管、15は寝台、16
は寝台下部に装備されたX線フラットパネルセンサ(以
下「センサ」と略称する)であり、このセンサ16は寝
台15上の被写体を透過したX線を検知し、増幅及びA
/D変換されたデジタル出力を発生するものである。セ
ンサ16からのデジタル出力は画像信号としてデータ処
理手段17中のデータ収集装置18に供給され、収集さ
れた画像信号は画像処理装置19により、前述の飽和又
はオーバフロー領域における推定出力の算出と、その算
出出力と定常出力との合成による画像データの作成に供
される。画像処理装置16はまた常套的に、画像データ
のオフセット補正、感度補正及びその他の画像補正を行
い、これによって得られた画像はモニタ20により表示
される。
【0021】X線の発生と、そのセンサ16からの読み
出し、及びデータ処理手段17の動作は一定の関連を有
するため、それらの動作は制御手段21により統括的に
制御される。従って、X線管14は制御手段21により
制御される高圧発生器22からの高電圧により付勢され
るようになっている。
【0022】
【実施例】次に、図4を参照して、上記のシステム構成
により、センサ出力のオーバーフロー領域の値を推定す
るために、同領域直後にセンサから出る残光出力を用い
て演算する実施例を説明する。ここに、図4(a)は撮
影位置を特定するために、例えば、2〜3秒周期で30
フレーム(30パルス)の撮影を行うX線パルス透視に
おいて、印加される矩形状のX線付勢電圧パルス、又は
これに理想的に追随するX線パルス波形を示している。
【0023】図4(b)は、図4(a)に示した2個の
X線パルス中、最初のパルス照射を受けたセンサ画素マ
トリクスのうち、例えば、人体肺野部に対応する画素J
のセンサ出力がオーバーフローレベル23をオーバーフ
ローし、2個目のX線パルス照射を受けたセンサ画素マ
トリクスのうち、脊椎部又は腹部などに対応する画素Q
のセンサ出力がオーバーフローしなかったものとして示
している。オーバーフロー画素Jのセンサ出力は、真の
定常領域(平坦ピーク部)24の大きさに応じた勾配形
状を持つ残光領域の信号25を有するが、オーバーフロ
ーレベル部での疑似信号24aは有意な情報と言えず、
画像データとしては採用できない。
【0024】信号がオーバーフローしたか否かは、フレ
ーム画像として配列した場合に、連続エリアを形成すべ
きセンサからの読み出し画素信号群の殆どが、この疑似
信号24aのようなオーバーフローレベル付近の信号を
出している場合に、この群内の画素信号を、オーバーフ
ロー信号として処理する。また、この場合は2個目のX
線パルス照射における画素Qの如く、オーバーフローし
なかったセンサ出力は、オーバーフローレベル23以下
である定常領域(平坦ピーク部)24bの信号を画像デ
ータとしてそのまま採用される。
【0025】オーバーフローした画素Jにおけるオーバ
ーフローレベル部での疑似信号24aは、当然ながら有
意な情報と言えず、画像データとしては採用できない。
しかしながら、これに続く残光領域の信号25の勾配形
状は、オーバーフロー域(疑似信号24a)の時間幅と
ともに、真の定常領域(平坦ピーク部)24の大きさと
相関関係を有する。付言すれば、センサの残光出力は、
真の定常領域よりはるかに小さいためオーバーフローす
ることなく測定され、残光そのものの大きさを正確に示
している。従って、その測定値はその残光をもたらす前
提となった真の定常領域の大きさに関する有意な情報と
して用いられることは明らかである。
【0026】更に、オーバーフロー域の時間幅は、X線
照射条件によって概ね定まり、残光領域信号25の勾配
形状とも関連するために定数的に扱っても差し支えな
く、オーバーフロー領域の画像データの演算は、実質
上、残光領域信号25の値のみを変数として行うことが
できる。また、信号の残光領域と定常領域との相関は、
事前の測定、解析によって確立された換算方式より求め
られる。図4(b)のオーバーフロー画素Jを参照し
て、残光領域信号25の勾配からは、オーバーフロー
(疑似信号24a)の終了時点t00からt01 ミリ秒
経過後の勾配点の値V1、t02ミリ秒経過後の勾配点
の値V2、・・という具合に少なくとも1個、好ましく
は2個以上の瞬時値が採取され、真の定常領域値の換算
に用いられる。
【0027】画像処理装置には、例えば、図5に示した
遅延時間(すなわち、オーバーフローした定常領域終了
後の経過時間)別抜き取り瞬時値に対する真の定常領域
値の換算テーブルが記憶され、前述した残光部からの2
個以上の抜き取り瞬時値のうち大きい方の値をそのテー
ブルと照合し、対応する換算値(A,B,C・・)をも
って真の定常領域値として出力する処理を行う。従っ
て、採用される瞬時値は、図4に示したV1、V2のう
ちではV1(>V2)である。但し、最初の抜き取り値
V1がオーバーフローした値であって、次の抜き取り値
V2がオーバーフローしていなければ、更に続くであろ
うV3、V4・・よりも当然に大きいことを条件とし
て、このV2が採用される。
【0028】別の換算方式としては、図6に示すような
係数−遅延時間曲線から、瞬時値を測定した遅延時間t
01 、t02、・・における係数C(t)を求め、これ
をオーバーフローしていない瞬時値のうち大きい方の値
(図4では、V1)に掛け、この結果を真の値として採
用する。この係数C(t)は、上述したテーブルから算
定した係数グラフであり、例えば、二次式によって近似
することができる。逆に、図5のテーブルは、実験結果
の統計的処理により、時間の関数として得られた係数
を、抜き取り瞬時値に掛けて真の値(と推定される値)
を算出し、その値を一覧表示することによっても作成さ
れる。
【0029】以上のごとくして、X線撮影のセンサ出力
のオーバーフローしなかった領域と、演算により求めら
れたオーバーフロー領域の各画像データとを合成し、好
ましくは更にフィルター処理を行って1枚のX線撮影画
像を得ることができる。また、この合成画像(1フレー
ム)は1回の撮影で得られ、しかも1枚で、撮影された
部位のすべてを医学的診断に用いることができる。
【0030】図7は、上記原理によるダイナミックレン
ジ拡大方式を採用したX線撮影装置(図3)の動作シー
ケンスを示している。先ずステップ(1)ではX線管14
よりX線を照射して被検体の撮影を行う。次のステップ
(2)では、データ処理手段17及びモニタ20によるX
線検出レベルについて、通常の定常領域に関するオフセ
ット調整と、感度補正を行い、ステップ(3)では、X線
検出信号の定常領域がある値(オーバーフローレベル2
3)以上である画素については、オーバーフローした画
素と判定する。
【0031】ステップ(4)では、ステップ(3)で判断し
たオーバーフロー画素について、その残光信号等から、
実際にオーバーフローした領域の信号量を計算によって
推定する。次のステップ(5)では、オーバーフローして
いない画素の信号データと、オーバーフローした画素の
残光データから計算された推定演算値とを合成して1枚
の画像を作成し、ステップ(6)において、この合成画像
を表示、またはフィルム出力とし、あるいは画像データ
として保存する。
【0032】以上、実施例の説明ではセンサの残光出力
を用いてオーバーフロー画素の定常領域値となるべき推
定値を演算したが、本発明はオーバーフロー又は飽和領
域直後の減衰(立ち下がり)領域のデータとして、この
残光出力の他、パルス照射されるX線自体の減衰領域を
用いて、同様な推定演算を行うことも意図している。図
8(a)は、例えばパルス透視の場合のX線パルス自体
に、意図的に立ち下がり(減衰領域)26を形成した場
合のX線波形図であり、図8(b)は、それ自体では残
光出力(減衰領域)を殆ど発しないようなセンサからの
出力矩形波が、X線パルスの立ち下がりに伴って減衰す
る状態を示している。(もっとも、残光かX線の減衰か
を区別することに格別の意義がある訳ではなく、それが
減衰領域信号として顕著に把握できる信号であれば、演
算に用いることができる。)
【0033】図8(b)において、オーバーフローを生
じた画素出力27の減衰領域26aと、オーバーフロー
が生じなかった画素出力28の減衰領域26bとを比較
して明らかな通り、減衰領域26aはオーバーフローし
た真の定常領域値29の大きさに応じて急角度となる勾
配をもち、前述の通りにして真の定常領域値29の推定
に用いることができる。
【0034】同様の演算は、センサ出力のオーバーフロ
ー又は飽和領域直前の立ち上がり信号についても行うこ
とができる。各画素のTFTの読み出し速度を如何に高
速にしても、微視的には必ずゼロからの立ち上がり曲線
が存在し、またX線パルスにおいても意図的に立ち上が
りを形成することができる。図9(a)は、例えば、第
1回目パルスで始点t1及び終点t2を有する実質的な
矩形波状のX線パルスを示し、図9(b)は、そのX線
パルスを受けた画素出力であって、オーバーフローしな
かったものと、オーバーフローしたものとを示してい
る。
【0035】図9(b)において、これらの画素出力は
センサ機能に基づいて、それぞれ、立ち上がり32aと
32bとを有し、後者の立ち上がり32bはオーバーフ
ローした真の定常領域値の大きさに応じて急となる勾配
をもち、立ち上がり開始時からの任意の経過時間tfに
おける瞬時値を用いて、真の定常領域値を推定できるこ
とは、減衰領域を用いる場合と同じである。
【0036】本発明の更なる実施形態によれば、前記の
如く真の画素出力として推定された画素データを含むよ
うに、精密に合成・再現された1フレーム内の全画素デ
ータを用いて、別途撮影した画像を補正するための画像
処理を行う。例えば、(1)過去のX線照射履歴による
センサ感度の劣化を推定し、偽画像(残像)を補正する
こと、(2)DSA(Digital Subtraction Angiograph
y:血管造影画像のバックグラウンド消去処理)、(3)
エネルギーサブトラクションによる画像補正、等であ
る。
【0037】図10は、上記(1)に関して、撮影され
たフレーム画像データに、前回撮影によるフレーム画像
の残像が重なっているときに、対応画素ごとに、当該保
存されたデータでその残像を減殺・補正するステップ
を、略示するものである。(a)は、1回目撮影におい
てオーバーフローを生じたセンサ画素の出力波形であ
り、そのままでは、例えば実験用の被写体(メトロノー
ム)の振り子33が辛うじて分かる程度の生画像(b)
しか得られない。
【0038】そこで、本発明のオーバーフロー処理を用
いてフレーム画像(c)を復元(合成)し、そのフレー
ム画像のデータを保存するとともに、メトロノームの位
置を図の左側にずらせて次回の撮影(ここではオーバー
フローが生じないように調整された)を行う。この次回
撮影によるフレーム画像(d)のデータには、当該保存
されたフレーム画像の残像(メトロノームの振り子)3
3’が偽画像として重なっており、対応画素ごとに当該
保存されたデータでその残像を減殺すると、補正後画像
(e)として、次回撮影の被写体画像を正確に復元した
ものを得ることができる。
【0039】上記の偽画像補正処理は、前述したとおり
固体X線検出器には過去のX線照射履歴が感度変動とし
て残り、しかもその変動(感度劣化)は休止時間に応じ
て回復するという一般的事実を数式化し、画像処理装置
において次のような数式的処理を行うことにより実行さ
れる。但し、次の諸式は、ある種の典型的なフラットパ
ネル型センサにおける近似式であり、μ、τ、及びγは
そのセンサに起因する定数である。 〔式1(1回目の撮影直後の感度劣化率:Q1.postの計
算)〕 Q1.post=γ・μν1/(μν+τ)・(1−Exp{.
1・(μν1 +τ)t1}+Q1.pre ・{.1・(μν1
+τ)t1} ・但しQ1.pre =1回目の撮影直前の感度劣化率、t1
1回目撮影のX線照射時間、ν1=1回目撮影の照射線量
である。 〔式2(2回目の撮影直前の感度劣化率:Q2.pre 及び
感度:η2.pre の計算)〕 Q2.pre =Q1.post・Exp{−τ・T1.2 } η2.pre =1−Q2.pre ・但しT1.2 =撮影1〜2までの経過時間(X線休止時
間) 〔式3(2回目撮影画像の、1回目撮影画像による偽画
像補正)〕 P2.Cal =P2.Org / st・Exp{−τ・T1.2 } ・但しP2.Cal =偽画像補正後の画素値、P2.Org =偽
画像補正前の画素値である。
【0040】以上の式1〜3より、1回目撮影後におい
て2回目撮影直前のセンサ感度の劣化を推定し、その推
定値を用いて2回目撮影での偽画像の補正を行うことが
できる。撮影回数の1回目、2回目とは補正計算におけ
る便宜上のあてはめであり、実質的な連続撮影において
は、これらの式中要素のサフィックス数で示した回数値
1及び2を、それぞれN−1及びNと置き換えて3回目
以降(N回目)の偽画像の補正を行うことができる。
【0041】かくして、上記の一般式による補正を完全
に行うためには、前回の照射X線分布が完全に分かって
いなければならない。先述の通り、もし飽和又はオーバ
ーフローを生じたセンサ画素の、真の値に関する情報が
上述の画像処理により復元されなければ、この部分の補
正は行えず、フレーム画像全体としての残像消去補正は
不可能となるからである。この点において、本発明で
は、実測できた画素データと、前記の如く真の画素出力
として推定された画素データを含む、精密に再現された
1フレーム内の全画素データを用いて、次回撮影の画像
欠陥を補正しうることが明らかである。
【0042】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の放射線測定
装置は、A/D変換器入力のダイナミックレンジの拡大
や、各素子の信号電荷蓄積用コンデンサの容量増加を行
うことなく、デジタル変換信号の演算処理によりダイナ
ミックレンジを効果的に拡大することにより、精密且つ
明確な画像を得るができる。また、本発明の装置を用い
て拡大されたダイナミックレンジにより合成した画像デ
ータを保存し、種々の画像補正に有効に用いうることも
明らかである。
【図面の簡単な説明】
【図1】一般的なX線フラットパネルセンサの構造を、
一画素分の断面(a)及び基板面に沿った画素マトリク
ス配置及び電気回路(b)において示す図である。
【図2】人体の胸部について医療用X線画像を撮影した
場合の模式図である。
【図3】本発明のダイナミックレンジ拡大原理を利用し
てX線撮影を行うための装置構成を示す線図である。
【図4】X線パルス透視を行う際の、X線パルス列
(a)と、それに伴ってセンサ出力がオーバーフローし
た画素に対し本発明の原理を利用して、その残光出力を
捕捉し演算に用いる態様を、センサ出力がオーバーフロ
ーしなかった画素とともに描いた画素出力波形(b)を
示す図である。
【図5】遅延時間別抜き取り瞬時値に対する真の定常領
域値の換算テーブルである。
【図6】抜き取り瞬時値に掛けるべき係数を求めるため
の係数−遅延時間曲線を示す図である。
【図7】本発明のダイナミックレンジ拡大方式を採用し
たX線撮影装置の動作シーケンスを示すフローチャート
である。
【図8】本発明のダイナミックレンジ拡大原理を利用し
て残光出力抜き取り値から、オーバーフロー領域の真の
値を求めるための換算テーブルである。
【図9】X線パルス透視を行う際の、X線パルス列
(a)と、それに伴ってセンサ出力がオーバーフローし
た画素に対し本発明の原理を利用して、その立ち上がり
信号を捕捉し演算に用いる態様を、センサ出力がオーバ
ーフローしなかった画素とともに描いた画素出力波形
(b)を示す図である。
【図10】画像処理装置において、オーバーフローした
場合の真の画素出力とオーバーフローしなかった画素出
力とを合成したフレーム画像のデータを保存し、次回の
撮影によるフレーム画像データに、当該保存されたフレ
ーム画像の残像が重なっているときに、対応画素ごと
に、当該保存されたデータでその残像を減殺・補正する
ステップを略示するものである。
【符号の説明】
14 X線管 15 寝台 16 X線フラットパネルセンサ 17 データ処理手段 18 データ収集装置 19 画像処理装置 20 モニタ 21 制御手段 22 高圧発生器
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H04N 5/32 A61B 6/00 350M Fターム(参考) 2G088 EE01 FF02 GG21 JJ04 JJ05 KK31 4C093 AA01 AA07 AA16 CA06 CA13 EB12 EB13 EB17 FA29 FA45 FC17 FC18 FC19 FD07 FD08 FD09 FF09 FF33 5B047 AA17 AB02 BA02 BB04 BC11 BC14 CB22 DA10 DC09 5C024 AX11 AX16 CX43 GX02 HX14 HX28 HX29

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 1次元、又は2次元放射線検出画素マト
    リクスを有するフラットパネルセンサを用いた放射線撮
    影装置において、各画素に対応するセンサ出力を取り出
    すためのデータ収集装置と、前記取り出されたセンサ出
    力が飽和又はオーバフローしていない状態では、その定
    常領域の出力信号を用い、飽和又はオーバフローしてい
    るときは、その飽和又はオーバフロー前後におけるセン
    サ出力の立ち上がり又は減衰領域の信号から当該飽和又
    はオーバフローした領域における真の出力信号の値を推
    定し、これらの定常出力信号と推定出力信号とを合成し
    て画像データを作成するための画像処理装置を備えたこ
    とを特徴とする放射線撮影装置。
  2. 【請求項2】 前記データ収集装置が、前記センサ出力
    の立ち上がり信号として、その立ち上がり開始時から飽
    和又はオーバフローする直前までの少なくとも一の特定
    時点における瞬時値を収集するものであることを特徴と
    する請求項1記載の装置。
  3. 【請求項3】 前記データ収集装置が、前記センサ出力
    の減衰領域の信号として、前記飽和又はオーバフローが
    終わった直後から、出力ゼロとなるまでの少なくとも一
    の特定時点における瞬時値を収集するものであることを
    特徴とする請求項1記載の装置。
  4. 【請求項4】 前記画像処理装置が、前記特定時点にお
    ける瞬時値に、立ち上がり又は減衰開始時からの経過時
    間の関数として定まる所定の係数を掛けることにより、
    当該飽和又はオーバフロー領域における真の出力信号の
    値を推定するものであることを特徴とする請求項2又は
    3記載の装置。
  5. 【請求項5】 前記画像処理装置が、前記センサ出力の
    飽和又はオーバフローが生じた画素における当該領域の
    前記推定出力信号を、当該領域において出力された疑似
    信号と置換することにより、真の画素出力として用い、
    飽和又はオーバフローしていない画素における定常領域
    の出力信号と合成してフレーム画像を作成するものであ
    ることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の
    装置。
  6. 【請求項6】 前記画像処理装置が、前記定常出力信号
    と推定出力信号とを合成して得られた画像データを用い
    て、別途撮影された画像を補正する画像処理を行うもの
    であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項記
    載の装置。
  7. 【請求項7】 別途撮影された画像が、前回撮影画像の
    残像を含むときは、対応画素ごとに、前回撮影において
    合成して得られた画像データを用いて、その残像を減殺
    する補正を行うものであることを特徴とする請求項6記
    載の装置。
JP2002007019A 2002-01-16 2002-01-16 放射線撮影装置 Pending JP2003209746A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002007019A JP2003209746A (ja) 2002-01-16 2002-01-16 放射線撮影装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002007019A JP2003209746A (ja) 2002-01-16 2002-01-16 放射線撮影装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003209746A true JP2003209746A (ja) 2003-07-25

Family

ID=27645630

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002007019A Pending JP2003209746A (ja) 2002-01-16 2002-01-16 放射線撮影装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003209746A (ja)

Cited By (10)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006026410A (ja) * 2004-07-14 2006-02-02 Toshiba Corp X線コンピュータ断層撮影システム及びx線コンピュータ断層撮影システムのデータ補正方法
JP2006142016A (ja) * 2004-11-24 2006-06-08 General Electric Co <Ge> Ctデータ補正の方法及びシステム
JP2007502061A (ja) * 2003-08-12 2007-02-01 サイモン フレーザー ユニバーシティー マルチモード・デジタル・イメージング装置およびシステム
JP2008048817A (ja) * 2006-08-23 2008-03-06 Hitachi Medical Corp X線画像診断装置
WO2008056814A1 (en) 2006-11-09 2008-05-15 Canon Kabushiki Kaisha Radiographic imaging control apparatus using multi radiation generating apparatus
WO2011013031A1 (en) * 2009-07-29 2011-02-03 Koninklijke Philips Electronics N.V. X-ray examination device and method
US7995113B2 (en) 2004-10-20 2011-08-09 Simon Fraser University High gain digital imaging system
US8199236B2 (en) 2007-09-11 2012-06-12 Simon Fraser University/Industry Liason Office Device and pixel architecture for high resolution digital
EP3666189A1 (en) 2018-12-11 2020-06-17 Canon Kabushiki Kaisha Image processing apparatus, image processing method, and storage medium
JP2021023611A (ja) * 2019-08-06 2021-02-22 キヤノンメディカルシステムズ株式会社 X線診断装置および医用画像処理装置

Cited By (15)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007502061A (ja) * 2003-08-12 2007-02-01 サイモン フレーザー ユニバーシティー マルチモード・デジタル・イメージング装置およびシステム
JP2006026410A (ja) * 2004-07-14 2006-02-02 Toshiba Corp X線コンピュータ断層撮影システム及びx線コンピュータ断層撮影システムのデータ補正方法
US7995113B2 (en) 2004-10-20 2011-08-09 Simon Fraser University High gain digital imaging system
JP2006142016A (ja) * 2004-11-24 2006-06-08 General Electric Co <Ge> Ctデータ補正の方法及びシステム
JP2008048817A (ja) * 2006-08-23 2008-03-06 Hitachi Medical Corp X線画像診断装置
US7978816B2 (en) 2006-11-09 2011-07-12 Canon Kabushiki Kaisha Radiographic imaging control apparatus using multi radiation generating apparatus
WO2008056814A1 (en) 2006-11-09 2008-05-15 Canon Kabushiki Kaisha Radiographic imaging control apparatus using multi radiation generating apparatus
US8199236B2 (en) 2007-09-11 2012-06-12 Simon Fraser University/Industry Liason Office Device and pixel architecture for high resolution digital
WO2011013031A1 (en) * 2009-07-29 2011-02-03 Koninklijke Philips Electronics N.V. X-ray examination device and method
CN102469975A (zh) * 2009-07-29 2012-05-23 皇家飞利浦电子股份有限公司 X射线检查装置和方法
US8842805B2 (en) 2009-07-29 2014-09-23 Koninklijke Philips N.V. X-ray examination device and method
EP3666189A1 (en) 2018-12-11 2020-06-17 Canon Kabushiki Kaisha Image processing apparatus, image processing method, and storage medium
US11090021B2 (en) 2018-12-11 2021-08-17 Canon Kabushiki Kaisha Image processing apparatus, image processing method, and storage medium
JP2021023611A (ja) * 2019-08-06 2021-02-22 キヤノンメディカルシステムズ株式会社 X線診断装置および医用画像処理装置
JP7304765B2 (ja) 2019-08-06 2023-07-07 キヤノンメディカルシステムズ株式会社 X線診断装置および医用画像処理装置

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100939152B1 (ko) 방사선 촬상장치 및 방사선 검출신호 처리방법
JP5405093B2 (ja) 画像処理装置及び画像処理方法
JP6049314B2 (ja) 放射線撮像装置及び画像処理方法
JP4882404B2 (ja) 放射線撮像装置および放射線検出信号処理方法
JP2005312805A5 (ja)
JP2003209746A (ja) 放射線撮影装置
US6751289B2 (en) X-ray diagnostic apparatus
JP4893733B2 (ja) 放射線撮像装置および放射線検出信号処理方法
KR100859042B1 (ko) 방사선촬상장치 및 방사선 검출신호처리방법
JP4304437B2 (ja) 放射線撮像装置
JP2011212434A (ja) 放射線画像撮影方法および装置
US7792251B2 (en) Method for the correction of lag charge in a flat-panel X-ray detector
JP2009201586A (ja) 放射線画像撮影装置
JP5176081B2 (ja) X線撮影方法およびx線撮影装置
KR100650380B1 (ko) 방사선 촬상장치 및 방사선 검출신호 처리방법
JP2009201552A (ja) 放射線画像撮影装置
JP4706705B2 (ja) 放射線撮像装置および放射線検出信号処理方法
JP2001066368A (ja) 放射線撮像装置
JP2009201587A (ja) 放射線画像撮影装置
JP4415635B2 (ja) 放射線撮像装置
JP2006006387A (ja) 放射線撮像装置および放射線検出信号処理方法
JP4146113B2 (ja) X線診断装置
JP2009204310A (ja) 放射線画像撮影装置
JP2003156567A (ja) X線フラットパネル検出器の感度補正方法及びその装置並びにx線検出装置
JP2022134547A (ja) 画像処理装置、放射線撮像システム、画像処理方法及びプログラム