JP2003209250A - 半導体装置 - Google Patents

半導体装置

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JP2003209250A
JP2003209250A JP2002006284A JP2002006284A JP2003209250A JP 2003209250 A JP2003209250 A JP 2003209250A JP 2002006284 A JP2002006284 A JP 2002006284A JP 2002006284 A JP2002006284 A JP 2002006284A JP 2003209250 A JP2003209250 A JP 2003209250A
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region
injector
injector region
electrode
drain
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Application number
JP2002006284A
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English (en)
Inventor
Tetsuya Yoshida
哲哉 吉田
Kikuo Okada
喜久雄 岡田
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Sanyo Electric Co Ltd
Original Assignee
Sanyo Electric Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 インジェクタ領域がイオン注入の拡散により
湾曲構造になり、基板表面と底部でチャネル領域および
ドレイン領域までの距離に差が出る。これにより正孔の
引き抜き効率がドレイン領域深部で落ちるため、ターン
オフ遅延時間(tstg)を遅らせる原因となっていた。 【解決手段】 中央に拡散源を設け、そこからの拡散に
よりインジェクタ領域を形成することで、側壁が基板表
面に対してほぼ垂直なインジェクタ領域を実現する。こ
れにより特に底部での正孔の引き抜き効率が向上し、更
に固定電位絶縁電極(背骨)までの距離を狭め、インジ
ェクタ領域自身の幅も細くできるので、ターンオフ遅延
時間(tstg)が短縮し、hFSは向上する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、U字型絶縁ゲート
を利用した縦型パワー素子に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、ノーマリ・オフ型で、制御性に優
れ、オン抵抗の低いトランジスタとして例えば特開平0
6−252408号公報に示す構造が知られている。
【0003】図9から10を参照して、以下にその構造
の一例を示す。図9(A)は素子の斜視図であり、図9
(B)は平面図である。図9(B)のX−X線断面図を
図10(A)に、Y−Y線断面図を図10(B)に示
す。
【0004】先ず、図9(A)に図示したように、51
は基板であり、52はn−型ドレイン領域、53はn+
型ソース領域である。また、54は固定電位絶縁電極で
あり、高濃度のp+型多結晶半導体からなり、かつ後述
するソース電極とオーミックコンタクトしていて、電位
が固定されている。また、55は固定電位絶縁電極54
とドレイン領域52とを絶縁する絶縁膜である。この固
定電位絶縁電極54と絶縁膜55とは、素子表面から側
壁が垂直に掘られた溝の中に形成されている。n−型ド
レイン領域52のうち、この固定電位絶縁電極54に挾
まれた領域をチャネル領域57と呼ぶことにする。この
チャネル領域57は、絶縁膜55を介して隣接する固定
電位絶縁電極54が高濃度のp+型半導体であるため、
仕事関数差によって形成された空乏層によって、チャネ
ル領域には伝導電子に対するポテンシャル障壁が形成さ
れていて、ソース領域53とドレイン領域52とは初め
から電気的に遮断された状態となっている。
【0005】次に、図9(B)において、固定電位絶縁
電極54はストライプ状をしており、その両端はp型の
インジェクタ領域58に接している。固定電位絶縁電極
54とp型領域58に囲まれたチャネル領域57は、ひ
とつの単位セルを形成している。なお、チャネルの状態
によって電流を遮断、もしくは電流量を制御し得るとい
う条件を満たしていれば、単位セルを構成する固定電位
絶縁電極54の形状、ソース領域53の形状などは任意
である。
【0006】図10(A)に示す、Hをチャネル厚み、
Lをチャネル長と呼ぶ。すなわち、チャネル厚みHと
は、チャネル領域において対向する絶縁膜55間の間隔
であり、チャネル長とは、溝の側壁に沿って、固定電位
絶縁電極54の表面から底面までの距離をいう。また、
61はドレイン電極であり、n+型基板領域51とオー
ミックコンタクトしている。63はソース電極であり、
ソース領域53と固定電位絶縁電極54にオーミックコ
ンタクトしている。すなわち、固定電位絶縁電極54の
電位はソース電極63の電位に固定されている。
【0007】次に、図10(B)において、インジェク
タ領域58は基板に不純物を注入し熱拡散により形成し
た拡散領域で、図の如く基板表面では幅が広く、底部が
狭い湾曲構造となっている。68はp型領域58とオー
ミックコンタクトした電極であり、ここからドレイン領
域52へ少数キャリア(正孔)を供給する。これを注入
電極68と呼ぶことにする。なお、図中の破線は固定電
位絶縁電極54の存在を示す。なお、図面においては、
断面図および表面図における絶縁膜55の角部は角張っ
て描いてあるが、これらは模式図であり、実際には丸み
を帯びていてもよい。すなわち、電界集中を抑制するた
めにこれら角部に丸みを持たせることは、広く一般に採
用されていることである。
【0008】上述の半導体素子の動作原理について、詳
細は後述するが、以下に簡単に説明する。この半導体素
子の構造においては、ソース領域53の電位に固定され
ている固定電位絶縁電極54周辺のチャネル領域57に
は、絶縁膜55に隔てられた電極の材料との仕事関数差
によって空乏層が形成され、この空乏層によるポテンシ
ャル障壁により、ソース領域53とドレイン領域52と
は電気的に遮断されている。
【0009】また、例えばドレイン領域52がn型の場
合、ソース領域53に0Vが、ドレイン領域52に接続
するドレイン電極61には正電位が印加されて、かつ素
子が遮断状態にあると、ドレイン領域52内には空乏層
が形成される。この空乏層からは少数キャリア(ここで
は正孔)が励起されるが、p型のインジェクタ領域58
が絶縁膜55界面と接しているので、インジェクタ領域
58の電位がソース領域53の電極と同じ(0V)であ
るときには、絶縁膜55界面の少数キャリアはインジェ
クタ領域58を介して流れ去り、絶縁膜55界面の電位
は上昇せず、素子は遮断状態を保つ。
【0010】一方、インジェクタ領域58に正電位を印
加すると、逆に少数キャリアが絶縁膜55界面に流れ込
んで固定電位絶縁電極54からチャネル領域57への電
界の一部もしくは全てを遮蔽する。これによって絶縁膜
55とチャネル領域57内の空乏層は後退してチャネル
領域57の中央部には中性領域が現われて、主電流が流
れるようになる。
【0011】素子をターンオフするためには、注入電極
68の電位を接地もしくは逆電位にする。すると、チャ
ネル領域57ならびにドレイン領域52内の過剰な少数
キャリアはインジェクタ領域58を介して素子外に流れ
去り、チャネル内のポテンシャル障壁が復活し、主電流
は遮断される。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上述の従来構造におい
ては、インジェクタ領域58を、基板に不純物をイオン
注入し、熱拡散することによって形成している。このた
め、インジェクタ領域58の側壁は、図10(B)に示
すごとく湾曲した形状となり、このインジェクタ領域5
8の形状により以下の問題点があった。
【0013】第1に、ターンオフ時の正孔の引き抜きが
弱く、スイッチング特性が劣化する問題があった。従来
構造では、インジェクタ領域側壁は湾曲しており、基板
表面部分と底部でチャネル領域またはドレイン領域まで
の距離に差が出る。つまり、1つのインジェクタ領域に
おいて、ドレイン領域深部での正孔引き抜き効率が低下
するため、スイッチング特性が劣化するものである。
【0014】第2に、ドレイン領域深部での引き抜き効
率を上げるため、インジェクタ領域を深く形成すると、
hFSが低下する問題がある。湾曲構造であっても、イ
ンジェクタ領域を深く設ければ、ドレイン領域深部の正
孔の引き抜き効率が向上する。しかし、インジェクタ領
域を深く形成するためには、イオン注入量を増やし、熱
拡散の時間を多く取る必要があるため、必然的にサイド
拡散効果によりインジェクタ領域の幅が広がることにな
る。
【0015】ここで、オン時に、ソース領域から出てい
く電子電流にはドレイン領域に到達して主電流(ID)
となるものと、インジェクタ領域に飛び込んで多数存在
する正孔と再結合してゲート電流(IG)となるものが
ある。インジェクタ領域の幅が広いほど電子がインジェ
クタ領域に飛び込む確率は高く、オン時のゲート電流
(IG)が大きくなる。つまり、電流増幅率hFS(=
ID/IG)は、ゲート電流(IG)が大きくなるほど
低下するので、インジェクタ領域幅が大きいとhFSの
劣化を引き起こす要因となるのである。
【0016】つまり、スイッチング特性を向上するため
には、ドレイン領域深部の正孔引き抜き効率を向上させ
る必要があり、そのためにはインジェクタ領域を深く形
成することが効果的である。しかし、インジェクタ領域
を深く形成すると、横拡散によりインジェクタ領域の幅
も広くなるので、hFSが劣化するという相反する大き
な問題があった。
【0017】第3に、逆バイアス時の安全動作領域(R
BSOA)が狭くなってしまう問題があった。これは、
ターンオフの初期は、遮断過渡期であるため電子電流が
流れており、この電子がドレイン領域に広がった空乏層
内を走ることで正孔が発生してしまう。つまり、正孔は
インジェクタ領域から引き抜かれるが、同時にドレイン
領域に正孔が発生している。このとき、インジェクタ領
域から正孔を引き抜くペースよりドレイン領域内で正孔
が発生するペースが速い場合、過剰な正孔はチャネル内
に飛び込み、チャネルの遮断を阻止してしまう。つま
り、この素子のドレイン−ソース端に電荷がたまらず、
上昇しかけたドレイン−ソース間電圧(VDSX)はあ
る一定の値でクランプしてしまうためである。
【0018】
【課題を解決するための手段】本発明は、上述した課題
に鑑み成されたもので、ドレイン領域となる一導電型の
半導体基体の一主面に設けられ、等間隔をなして互いに
平行に複数配置された第1の溝と、前記第1の溝に挟ま
れた前記主面に設けられた一導電型のソース領域と、前
記第1の溝の内壁に設けられた絶縁膜と、前記第1の溝
に埋設され、前記ソース領域と同電位に保たれ、且つ前
記絶縁膜を介して隣接する前記ドレイン領域に空乏領域
を形成する性質を有する導電性材料からなる固定電位絶
縁電極と、前記ソース領域と離間され、且つ各前記絶縁
膜に接する前記ドレイン領域に一定の間隔を置いて複数
設けられた逆導電型のインジェクタ領域と、前記固定電
位絶縁電極に挟まれ、前記ソース領域に隣接する前記ド
レイン領域に形成されるチャネル領域とを具備し、前記
インジェクタ領域は中心部に第2の溝を有し、該第2の
溝には逆導電型不純物を含む導電性材料が埋設され、前
記インジェクタ領域を前記第2の溝の周辺に第2の溝の
形状に沿って設けることにより解決するものである。
【0019】また、前記インジェクタ領域の側壁は前記
基板表面に対してほぼ垂直に設けられることを特徴とす
る特徴とするものである。
【0020】また、前記インジェクタ領域側壁から前記
各固定電位絶縁電極までの距離は、前記インジェクタ領
域表面と該インジェクタ領域底部においてほぼ等しい距
離となることを特徴とするものである。
【0021】また、前記インジェクタ領域は、前記第1
の溝の底部よりも深く設けられることを特徴とするもの
である。
【0022】また、前記インジェクタ領域の幅は、該イ
ンジェクタ領域の深さとは独立した任意の値に設けるこ
とを特徴とするものである。
【0023】また、前記インジェクタ領域は、前記固定
電位絶縁電極を挟んで互いに隣接する複数の前記チャネ
ル領域に接し、かつ、前記インジェクタ領域は、これと
接続する注入電極を有することを特徴とするものであ
る。
【0024】つまり、インジェクタ領域の側壁を基板表
面に対して垂直に形成することで、ドレイン領域深部に
至るまで、正孔の引き抜き効率を向上させ、且つインジ
ェクタ領域の幅を細線化することで、スイッチング特性
とhFSの向上とを実現するものである。
【0025】
【発明の実施の形態】本発明の実施の形態を、図1から
図8を参照して、詳細にその構造の一例を示す。
【0026】図1を用いて素子の基本構造を説明する。
図1(A)は斜視図であり、図1(B)は素子の表面図
である。尚、この図において表面の電極(金属膜)を除
いている。
【0027】n+型半導体基板1にn−型ドレイン領域
2を設け、その一主面に、等間隔をなして互いに平行に
複数の第1の溝を配置する。
【0028】第1の溝は、素子表面から側壁がほぼ垂直
に掘られ、内壁に絶縁膜5が設けられる。更に、その溝
には、絶縁膜5を介して隣接するドレイン領域2に空乏
領域を形成する性質を有する高濃度のp+型多結晶半導
体、具体的にはポリシリコンからなる固定電位絶縁電極
4が埋設される。
【0029】また、n+型ソース領域3が、固定電位絶
縁電極4に挟まれた主面に設けられ、固定電位絶縁電極
4は、後述するソース電極とオーミックコンタクトして
いて、ソース領域4と同電位に保たれる。
【0030】p+型インジェクタ領域8は、ソース領域
3と離間され、且つ絶縁膜5に接するドレイン領域2に
一定の間隔を置いて複数設けられる。インジェクタ領域
8は中心部に第2の溝20を有し、第2の溝20には逆
導電型不純物を含む導電性材料、具体的にはポリシリコ
ンが埋設される。インジェクタ領域8はこの溝20の周
辺に溝20の形状に沿って設けられる。
【0031】n−型ドレイン領域2のうち、この固定電
位絶縁電極4に挾まれた領域をチャネル領域7と呼ぶこ
とにする。このチャネル領域7は、絶縁膜5を介して隣
接する固定電位絶縁電極4が高濃度のp+型半導体であ
るため、仕事関数差によって形成された空乏層によっ
て、チャネル領域には伝導電子に対するポテンシャル障
壁が形成されていて、ソース領域3とドレイン領域2と
は初めから電気的に遮断された状態となっている。
【0032】図1(B)には、素子の表面図を示す。本
発明の構造によれば、固定電位絶縁電極4は櫛歯形状を
しており、Y軸方向の固定電位絶縁電極4(以下軸部分
と称する)を中心として左右のX軸方向に櫛歯が延在し
ている。櫛歯の両端はp型の拡散領域であるインジェク
タ領域8に接している。つまり、固定電位絶縁電極4の
軸部分は隣接する2つのインジェクタ領域8から等距離
にあり、軸部分の両側に所望の距離で離間してソース領
域3を設ける。また、図に示すように、インジェクタ領
域8の幅(X方向)をaとし、固定電位絶縁電極4の軸
からインジェクタ領域8側壁までの距離をbとする。
【0033】図2には素子の断面図を示す。図2(A)
は、図1(B)のA−A線における断面図であり、図2
(B)は図1(B)のB−B線の断面図である。
【0034】図2(A)を参照して、固定電位絶縁電極
4に囲まれた領域がチャネル領域7であり、Hをチャネ
ル厚み、Lをチャネル長と呼ぶ。すなわち、チャネル厚
みHとは、チャネル領域において対向する絶縁膜5間の
間隔であり、チャネル長とは、溝の側壁に沿って、固定
電位絶縁電極4の表面から底面までの距離をいう。ま
た、11はドレイン電極であり、n+型基板領域1とオ
ーミックコンタクトしている。13はソース電極であ
り、ソース領域3と固定電位絶縁電極4にオーミックコ
ンタクトしている。すなわち、固定電位絶縁電極4の電
位はソース電極13の電位に固定されている。
【0035】図2(B)を参照して、インジェクタ領域
8は、中心に拡散源用の溝20を有し、p型不純物を含
むポリシリコンを埋設して拡散源21とする。この拡散
源21から不純物を拡散することで溝20の周囲に、溝
20とほぼ同形状で、波線で示す固定電位絶縁電極4よ
りも深く、インジェクタ領域8を設ける。インジェクタ
領域8の側壁は基板表面とほぼ垂直に設けられ、表面お
よび底部での幅(a)がほぼ等しい形状となり断面形状
ではほぼ矩形となる。
【0036】また、本発明の実施の形態では、具体的に
は、a=5μm、b=5〜10μmとする。しかし、拡
散源21埋設用の溝20は、フォトエッチングの限界ま
で細線化が可能であり、拡散源21からの所望の時間で
拡散して形成されるインジェクタ領域8の幅aは、フォ
トエッチングや拡散源となるポリシリコンの埋め込みが
充分に行える範囲であれば、インジェクタ領域深さとは
独立して任意の細い値に設定できる。また、インジェク
タ領域8の深さは耐圧を考慮して10μm程度とする。
【0037】このように固定電位絶縁電極4とインジェ
クタ領域8に囲まれたチャネル領域7は、ひとつの単位
セルを形成している。なお、チャネルの状態によって電
流を遮断、もしくは電流量を制御し得るという条件を満
たしていれば、単位セルを構成する固定電位絶縁電極4
の形状、ソース領域3の形状などは任意である。
【0038】図2(B)において、18はインジェクタ
領域8とオーミックコンタクトした電極であり、ここか
らドレイン領域2へ少数キャリア(ここでは正孔)を供
給する。これを注入電極と呼ぶことにする。なお、図中
の破線は固定電位絶縁電極4の存在を示す。なお、図面
においては、断面図および表面図における絶縁膜5の角
部は角張って描いてあるが、これらは模式図であり、実
際には丸みを帯びていてもよい。すなわち、電界集中を
抑制するためにこれら角部に丸みを持たせることは、広
く一般に採用されていることである。
【0039】本発明の構造における動作原理を説明す
る。ソース領域3の電位に固定されている固定電位絶縁
電極4周辺のチャネル領域7には、絶縁膜5に隔てられ
た電極の材料との仕事関数差によって空乏層が形成さ
れ、この空乏層によるポテンシャル障壁により、ソース
領域3とドレイン領域2とは電気的に遮断されている。
すなわち、本発明の素子構造は、初めから遮断状態とな
っている。
【0040】この素子は、ソース電極13を接地(0V
に)し、ドレイン電極11には正の電位を印加して使用
する。まず、遮断状態について説明する。注入電極18
が接地状態のとき、素子は遮断状態である。先にも述べ
たように、チャネル領域7がn-型であり、固定電位絶
縁電極4がp型不純物を高濃度に含む半導体から出来て
いて、かつこれがソース電極電位に固定されていること
から、固定電位絶縁電極4周辺にはビルトイン空乏層が
形成され、チャネル領域7を埋め尽くしている。この空
乏層による電子に対するポテンシャル障壁によりソース
領域3とドレイン領域2は電気的に遮断されている。
【0041】通常、このようなMOSダイオード的な構
造では、ドレイン領域2中の空乏層で発生した少数キャ
リア(ここでは正孔)が絶縁膜5の界面に溜って反転層
を形成し、固定電位絶縁電極4からチャネル領域7へ向
かう電界を遮蔽するために空乏層は後退してしまう。す
なわち、そのままではチャネル領域7は電流の遮断状態
を保てないが、本発明の構造では絶縁膜5がp型のイン
ジェクタ領域8に接していて、さらにこれ注入電極18
を通して接地されていれば、絶縁膜5の界面に到達した
正孔は、インジェクタ領域8を通って素子の外に排除さ
れる。すなわち、本構造においては絶縁膜界面の電位は
上昇せず、チャネルの遮断性はドレイン領域2の空乏層
の状況によらず保たれる。
【0042】また、注入電極18が開放状態であると
き、上記のように空乏層中で発生した正孔は絶縁膜5の
界面に溜ってしまう。例えば、一般的なnpnバイポー
ラトランジスタにおいて、ベース電極が開放状態であれ
ば同様に正孔がp型ベース領域に溜って、ソース領域前
面のポテンシャルは低下し、主電流が漏れてしまう。し
かも、バイポーラトランジスタにおいては、その電流経
路はベース電流が積極的に与えられた正常な導通状態と
異なって局所的であり、よって局所的に発熱して、場合
によっては素子の破壊に至る(二次降伏現象)。しか
し、本発明の構造においては、絶縁膜5界面に形成され
る反転層は導電率が高く、正孔は局所的に溜ることな
く、チャネル領域7全域にゆきわたる。よって、このよ
うな状況でチャネルの電流が漏れるにしても、ひとつの
チャネル領域7に関わるソース領域3の全域にわたって
電流が流れ、上記のような局所的な発熱は生じにくい。
【0043】さらに、インジェクタ領域8は、固定電位
絶縁電極4の底部よりも深い位置まで存在するので、ド
レイン電界が強まったとき、真っ先に降伏するのは、固
定電位絶縁電極4の何処かではなく、p型のインジェク
タ領域8の底部である。p型インジェクタ領域8は図2
に示すように、複数のチャネルに接しており、降伏によ
ってインジェクタ領域8に過剰な正孔が溜った場合、そ
れは即座に複数のチャネルに振り分けられ、比較的広い
範囲にわたってチャネルが開く。
【0044】次に、遮断状態から導通状態に転じる機構
について説明する。なお、以下の説明は、基本的にはド
レイン電極と正電圧源との間に抵抗負荷を介在させた構
成を想定して説明する。注入電極18電位Vj=0V、
すなわち遮断状態では、チャネル領域7には全域のポテ
ンシャルが正である断面が存在し、伝導電子はソース領
域3とドレイン領域2の間を行き来することは出来な
い。
【0045】一方、注入電極18電位がわずかに正電位
になると、チャネル領域7の中央付近のポテンシャルは
0eV以下になり、そこに伝導電子が存在するようにな
る。すなわち少数キャリアが絶縁膜5界面に流れ込ん
で、固定電位絶縁電極4からチャネル領域7への電界の
一部もしくは全てを遮蔽する。これによってチャネル領
域7内の空乏層は後退してチャネル領域7の中央部には
中性領域が現われてチャネルが開き、ソース領域3から
ドレイン領域2へ伝導電子が移動し、主電流が流れる。
【0046】このように注入電極18の電位を上げるこ
とでチャネル領域7のポテンシャルが低下するのは、遮
断状態の時の機構とは逆に、電位の高いp型インジェク
タ領域8から絶縁膜5界面に正孔が流れ込み、反転層を
形成し絶縁膜5界面の電位を上昇させるからである。つ
まり、正孔は、トレンチ側壁面を通路として瞬時に行き
渡り、固定電位絶縁電極4からチャネル領域7へのビル
トイン電界を遮蔽するので、これによりチャネル領域7
内の空乏層は後退し、チャネルが開くのである。さらに
インジェクタ領域8の電位が所定値以上になると、イン
ジェクタ領域8とチャネル領域7ならびにドレイン領域
2の形成するpn接合が順バイアスされ、少数キャリア
がチャネル領域7ならびにドレイン領域2に直接注入さ
れる。チャネル領域7ならびにドレイン領域2に正孔が
多く分布することで電子も多く分布し、伝導度変調が起
こるため、主電流は低いオン抵抗で流れるようになる。
【0047】このとき、本発明の構造によれば、インジ
ェクタ領域8の側壁が底部に至るまで基板表面に対して
ほぼ垂直に設けられている。これにより、インジェクタ
領域8からチャネル領域7ならびにドレイン領域2へ注
入される正孔の速度は、従来の湾曲構造の場合と比較す
ると、特に底部で速くなり、インジェクタ領域8表面の
注入速度と同等となる。このようにインジェクタ領域8
から注入される正孔の速度がその表面と底部で同等にな
れば、ドレイン領域2に素早く正孔を分布させ、伝導度
変調状態に移行できる。つまり、ターンオン時間が短縮
し、スイッチング特性が向上することになる。
【0048】ここで、デバイスの安全動作領域について
述べる。本発明のような素子構造においては、ソース領
域3の前面にある電子に対するポテンシャル障壁は、イ
ンジェクタ領域8の電位が上昇し、絶縁膜5界面に正孔
が流れ込んだ途端にチャネル領域7全域に渡って消失
し、さらに絶縁膜5界面は良好な導電路として働く。つ
まり、伝導電子はほぼソース領域3の全域から放出さ
れ、電流集中は起きず、よって広い順バイアス時安全動
作領域を持つことができる。
【0049】次に、導通状態から遮断状態に転ずる機構
を説明する。ターン・オフするためには、注入電極18
の電位を接地(0V)、もしくは負電位にする。すると
伝導度変調によりドレイン領域2およびチャネル領域7
に大量に存在していた正孔は消滅するか、もしくはイン
ジェクタ領域8を通して素子外に排除され、再びチャネ
ル領域7が空乏層で満たされ、耐圧を維持し、主電流は
止まる。
【0050】このとき、本発明の構造によれば、インジ
ェクタ領域8から正孔の引き抜き率が増えるので、ター
ンオフ時間の短縮に大きく寄与できる。すなわち、イン
ジェクタ領域8は表面からその底部に至るまで、基板表
面に対してほぼ垂直に設けられており、チャネル領域7
およびドレイン領域2から1つのインジェクタ領域8ま
での距離がその表面部分と底部でほぼ等しい距離とな
る。つまり、ドレイン領域深部での正孔の引き抜き効率
が向上するため、ターンオフの時間が速くなる。
【0051】さらに、このデバイスのドレイン電極と正
電圧源との間に誘導負荷を接続したような構成におい
て、オン状態から電流を遮断すべく注入電極18の電位
を接地(0V)、もしくは負電位にしたときの動作を説
明する。負荷の種類にかかわらず、導通時におけるデバ
イスの状態は同じで、上記のごとくドレイン電極電位は
低く、チャネル領域7ならびにドレイン領域2は高注入
水準状態となっていて、主電流の成分である電子流はソ
ース領域3からドレイン領域2へと流れている。注入電
極の電位が変化すると、これに連動してインジェクタ領
域8の電位が下がる。すると、ドレイン領域2もしくは
チャネル領域8を満たしている過剰少数キャリア(正
孔)のうち、インジェクタ領域8に近い領域の正孔か
ら、順次インジェクタ領域8に引かれて排除される。や
がてチャネル領域7の正孔濃度にも影響が及んで低くな
り、インジェクタ領域8近傍から空乏層が伸びてゆく。
この影響がソース領域3前面に達すると、デバイスのオ
ン抵抗が高くなりだして、電流値は減少しようとする。
しかし、誘導負荷の場合、誘導負荷が電流値を保持しよ
うとする性質を持っているので、オン抵抗の上昇を相殺
するようにドレイン電極11電位が上昇しはじめる。よ
って、ドレイン領域2には主電流が流れながら空乏層が
形成され、デバイスは高い電流値を保持しながら主端子
(ソース−ドレイン)間の電圧(VDSX)は上昇す
る。そして最終的にチャネル領域7のうち、電流が流れ
うる領域は、2つのインジェクタ領域8から当距離にあ
る点付近のみとなる。電流路が狭まっても電流値はほぼ
一定に保たれることから、この時点での電流密度は非常
に高くなりながら、VDSXは上昇する。
【0052】ここで、逆バイアス時安全動作領域(RB
SOA)について説明する。ターンオフは、ドレイン領
域2の正孔をインジェクタ領域8から引き抜くことから
始まるが、ターンオフ初期は遮断過渡期であり、電子電
流が流れている。この電子がドレイン領域2に広がった
空乏層内を走ることにより、新たに正孔の対発生が起こ
る。このとき、素子は遮断状態であるので、正孔はイン
ジェクタ領域8に引き抜かれているが、発生する正孔の
ペースが引き抜かれる正孔よりも多くなると、過剰な正
孔はチャネルに飛び込み、チャネルの遮断を阻止してし
まう。つまり、素子のソース−ドレイン端に電荷がたま
らず、上昇しかけたソース−ドレイン間の電圧(VDS
X)は一定の値でクランプしてしまい、確実に電流を遮
断できないことになる。このような現象が起こらず、安
全に電流を遮断できる電圧電流特性図上の領域を、逆バ
イアス時安全動作領域(RBSOA)という。
【0053】ここで、本発明の構造によれば、従来のイ
ンジェクタ領域8の構造と比較して、その底部が広くな
っているため、特に底部での正孔の引き抜き効率が向上
し、発生した正孔を素早く回収できるため、正孔のチャ
ネルへの飛び込みを抑制し、これにより逆バイアス時安
全動作領域(RBSOA)を広げるのに大変効果的であ
る。
【0054】また、中心に埋め込まれた拡散源からの拡
散でインジェクタ領域8が形成されるので、耐圧や、正
孔の引き抜き効率を考慮した十分な深さのインジェクタ
領域が横拡散を押さえて形成できる。具体的には、例え
ば幅5μmで深さ10μmのインジェクタ領域8が可能
となるので、インジェクタ領域幅aが細くでき、hFS
が向上する。
【0055】図3にインジェクタ領域の幅aとhFSの
関係を示す。この図は、インジェクタ領域の幅aが10
μmの場合と22μmの場合の、ドレイン電流(ID)
とhFSの関係を示したものである。インジェクタ領域
の幅が狭ければ、オン時のゲート電流(IG)が小さく
なり、hFSが向上することは前にも述べたが、この図
からも、インジェクタ領域の幅が小さいほうがhFSは
高くなることが明らかである。
【0056】更に、図4(A)にはターンオフ遅延時間
(tstg)とインジェクタ領域8側壁から固定電位絶縁電極
4の軸部分までの距離bの関係を示し、図4(B)には
フォール時間(tf)と距離bの関係を示す。この図は距離
bが、CAD上の寸法で12.4μm、18.4μm、
30.4μmの場合の、ターンオフ遅延時間(tstg)お
よびフォール時間(tf)とゲート電流(IG)の関係で
ある。
【0057】概略的には、ドレイン領域2からの正孔の
引き抜き効率は、ターンオフ遅延時間(tstg)に影響し、
チャネル領域7からの正孔の引き抜き効率はフォール時
間(tf)に影響する。図4によれば、ターンオフ遅延時
間(tstg)およびフォール時間(tf)の短縮にはいずれも、
インジェクタ領域8側壁から固定電位絶縁電極4の軸部
分までの距離bが狭いほうが良いことが判る。従来の構
造では、インジェクタ領域を深く設けることで横拡散が
大きくなり、結果的に距離bが狭くなる構造であった。
しかし、図3の如く、インジェクタ領域の横拡散(幅)
が大きければhFSの劣化を引き起こすことになる。一
方、本発明の構造では、細線化したインジェクタ領域8
の形成位置を最適な距離bで設ければよく、ドレイン領
域からの引き抜き効率が向上するので、hFSの向上
と、ターンオフ遅延時間(tstg)の短縮によるスイッチン
グ特性の向上を兼ね備えた素子が実現できる。
【0058】さらに、例えば従来と同等の距離bを確保
すれば良い場合、インジェクタ領域の幅aが狭くなる
分、チップサイズが大幅にシュリンクできる利点も有す
る。
【0059】次に、図5〜図8は、本発明の製造工程を
示す、斜視図である。
【0060】まず、基板領域1であるn+型基板の表面
にn-型ドレイン領域2をエピタキシャル成長によって
形成し、さらにその表面にソース領域3となるn+領域
と、インジェクタ領域8となるp型領域とを形成する
(図5)。
【0061】まず、拡散源21を形成する。すなわち、
所定の位置に拡散源用の溝を形成するためのパターンを
形成し、異方性ドライエッチングによりエッチングし、
側壁が基板表面に対してほぼ垂直な溝20を設ける。そ
の後、ボロンなどのp型不純物が導入されたポリシリコ
ンを全面に堆積し、エッチバックにより溝20に埋設さ
れた拡散源21を形成する。この場合ノンドープのポリ
シリコンを全面に堆積後、不純物を導入してエッチバッ
クしてもよいし、不純物を含むポリシリコン21を堆積
後、エッチバックして溝20に埋設して拡散源21とし
てもよい。
【0062】その後、熱処理を施して、拡散源21から
不純物をドレイン領域2に拡散してインジェクタ領域8
を形成する。拡散源21もインジェクタ領域8として活
用でき、少ない熱処理時間でインジェクタ領域8が形成
できる。また、溝20に埋設した拡散源21からの拡散
で形成できるので、インジェクタ領域8の側壁を基板表
面に対してほぼ垂直に形成でき、インジェクタ領域8の
幅aも、その深さとは独立した所定の細線化された幅で
形成できる。
【0063】従来は、基板に不純物を注入して熱拡散し
て形成しており、インジェクタ領域をなるべく深く形成
しようとするほど横拡散も多くなり、インジェクタ領域
8の幅が広くなってしまっていた。しかし、本発明によ
れば横拡散を考慮しなくてもよいので、細くて深いイン
ジェクタ領域8が形成でき、尚かつ側壁もほぼ垂直に形
成できる。また、インジェクタ領域8の位置は後に形成
する固定電位絶縁電極の軸部分から所望のスイッチング
特性が得られる距離bで離間して設ける。これにより、
hFSの向上とスイッチング特性の向上を兼ね備えた素
子が実現できる。
【0064】本発明によれば、溝20の深さは固定電位
絶縁電極4より深く、更に耐圧を考慮して10μm程度
に設けるが、横拡散を考慮する必要がないので、耐圧に
応じた深さで設ければよい。
【0065】次に、表面にマスク材100を形成し、固
定電位絶縁電極用の溝を形成するためのパターンを形成
する。なお、マスク材100は、例えば下から20nm
程度のシリコン酸化膜と、シリコン窒化膜と、500n
m程度のPSGとの3層膜などである。次に、異方性ド
ライエッチングによってエッチングし、側壁がほぼ垂直
な溝を掘る。溝の深さは、溝同士の間隔の3倍程度とす
る(図6)。次に、マスク材100中の一番上層のPS
G膜を除去し、溝の内壁を酸化して絶縁膜5を形成す
る。なお、マスク材100中のシリコン窒化膜は、この
酸化の際に表面領域の酸化を防ぐ役目をしている。さら
に固定電位絶縁電極4となるp型不純物を高濃度に含む
ポリシリコンを堆積させる(図7)。次に、ポリシリコ
ンが、溝の中のみに残るようにエッチングして、固定電
位絶縁電極4を形成する。次に、マスク材100の残り
の部分を除去し(図8)、層間絶縁膜と電極類を形成す
ることにより、図1の構造を得る。なお、注入電極電位
が遮断状態とのきにドレイン電界によってチャネルが開
かないという条件を満たすならば、固定電位絶縁電極4
の材料をソース電極と同じ金属によって形成しても構わ
ない。上記の如く、本発明の素子構造は、通常のLSI
製造技術で実現可能である。上記の異方性ドライエッチ
によって側壁がほぼ垂直な溝を形成する技術は、例えば
DRAMの構造の一部であるトレンチ・キャパシタなど
で採用されている技術である。さらに、本構造において
溝を微細に形成すれば、溝の深さすなわちチャネル長を
短くすることができ、素子の特性を向上させることが出
来る。また、素子耐圧は、ドレイン領域の不純物濃度を
低い値に設定した場合、実質的なドレイン領域の厚さ、
すなわち図1においてn+型基板領域から溝の底部まで
の距離に依存しているだけで、素子構造上は如何なる耐
圧にも素子を設計できる。
【0066】さらに、通常の半導体素子では、寄生素子
を持つものもある。例えばnチャネル縦型MOSFET
は、npnバイポーラトランジスタを、IGBTはpn
pn型サイリスタを構造上、内包していて、これが素子
の安全動作領域に少なからず影響を与えているが、本発
明の素子構造は、例えば図1に見るごとく、基本的には
n−n−n構造であり、素子の動作に影響を与えうるよ
うな寄生を素子を内包していない。
【0067】
【発明の効果】以上、説明したように、本発明によれ
ば、次のような効果が得られる。
【0068】第1に、インジェクタ領域中心部の拡散源
からの不純物拡散によりインジェクタ領域を形成するた
め、インジェクタ領域の幅は、従来と比べて大幅に細線
化が可能となる。具体的には、従来26μm程度あった
ものが、5μmまで縮小でき、hFSの向上に寄与す
る。また、拡散源を深く設けることで、耐圧を考慮した
所定の深さでありながら横拡散を押さえたインジェクタ
領域となる。
【0069】つまり、サイド拡散の影響を受けずにイン
ジェクタ領域を形成できるので、インジェクタ領域の幅
は、フォトエッチングや拡散源となるポリシリコンの埋
め込みが充分に行える範囲であれば、インジェクタ領域
深さとは独立して任意の細い値に設定できる利点を有す
る。
【0070】第2に、スイッチング特性の向上と、hF
Sの向上を兼ね備えた半導体装置が得られる。これは、
ターンオフ特性が良好となる所定の距離bとhFSの向
上に有効な細いインジェクタ領域の幅aを実現できるた
めである。従来では例えば、インジェクタ領域を深く設
けることによる横拡散のために、結果的にインジェクタ
領域から固定電位絶縁電極までの距離bが短くなり、タ
ーンオフ遅延時間(tstg)の短縮によってスイッチング特
性に関しては良好な特性が得られるが、インジェクタ領
域の幅aも大きくなるため、hFSを劣化させる原因と
なっていた。しかし、本発明によれば、ターンオフ遅延
時間(tstg)の短縮によるスイッチング特性の向上と、h
FSの向上とを兼ね備えた素子が実現できる。
【0071】第3に、インジェクタ領域の側壁が底部に
至るまで基板表面に対してほぼ垂直に設けられている。
これにより、インジェクタ領域からチャネル領域ならび
にドレイン領域へ注入される正孔の速度は、従来の湾曲
構造の場合と比較すると、特に底部で速くなる(インジ
ェクタ領域表面の注入速度と同等となる)。インジェク
タ領域から注入される正孔の速度がその表面と底部で同
等になれば、ドレイン領域が伝導度変調状態に移行する
時間が速くなり、ターンオン時間が短縮し、スイッチン
グ特性が向上する利点を有する。
【0072】第4に、ドレイン領域からの引き抜き効率
が向上し、ターンオフ遅延時間( tstg)の短縮に大きく
寄与できる。すなわち、インジェクタ領域はその底部に
至るまで、基板表面に対してほぼ垂直に設けられてお
り、チャネル領域およびドレイン領域から1つのインジ
ェクタ領域までの距離がその表面部分と底部でほぼ等し
い距離となる。つまり、ドレイン領域深部の正孔引き抜
き効率が向上するため、ターンオフ遅延時間(tstg)も速
くなり、スイッチング特性が向上する。
【0073】第5に、従来のインジェクタ領域の構造と
比較して、その底部が広くなっているため、特に底部で
の正孔の引き抜き効率が向上し、発生した正孔を素早く
回収できるため、正孔のチャネルへの飛び込みを抑制
し、これにより逆バイアス時安全動作領域(RBSO
A)を広げるのに大変効果的である。
【0074】第6に、例えば従来の距離bを保持した場
合、チップサイズが大幅にシュリンクする。具体的には
インジェクタ領域の幅が26μmから5μmまで縮小で
きるので、セル長さで約44%の縮小となり、特性の向
上と、チップシュリンクを兼ね備えた半導体装置を実現
できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を説明するための(A)斜視図および
(B)平面図である。
【図2】本発明を説明するための断面図である。
【図3】本発明を説明するための特性図である。
【図4】本発明を説明するための特性図である。
【図5】本発明を説明するための斜視図である。
【図6】本発明を説明するための斜視図である。
【図7】本発明を説明するための斜視図である。
【図8】本発明を説明するための斜視図である。
【図9】従来の技術を説明するための(A)斜視図およ
び(B)平面図である。
【図10】従来の技術を説明するための断面図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) H01L 21/336 H01L 29/78 658A

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 ドレイン領域となる一導電型の半導体基
    体の一主面に設けられ、等間隔をなして互いに平行に複
    数配置された第1の溝と、 前記第1の溝に挟まれた前記主面に設けられた一導電型
    のソース領域と、 前記第1の溝の内壁に設けられた絶縁膜と、 前記第1の溝に埋設され、前記ソース領域と同電位に保
    たれ、且つ前記絶縁膜を介して隣接する前記ドレイン領
    域に空乏領域を形成する性質を有する導電性材料からな
    る固定電位絶縁電極と、 前記ソース領域と離間され、且つ各前記絶縁膜に接する
    前記ドレイン領域に一定の間隔を置いて複数設けられた
    逆導電型のインジェクタ領域と、 前記固定電位絶縁電極に挟まれ、前記ソース領域に隣接
    する前記ドレイン領域に形成されるチャネル領域とを具
    備し、 前記インジェクタ領域は中心部に第2の溝を有し、該第
    2の溝には逆導電型不純物を含む導電性材料が埋設さ
    れ、前記インジェクタ領域を前記第2の溝の周辺に第2
    の溝の形状に沿って設けることを特徴とする半導体装
    置。
  2. 【請求項2】 前記インジェクタ領域の側壁は前記基板
    表面に対してほぼ垂直に設けられることを特徴とする特
    徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  3. 【請求項3】 前記インジェクタ領域は、前記第1の溝
    の底部よりも深く設けられることを特徴とする請求項1
    に記載の半導体装置。
  4. 【請求項4】前記インジェクタ領域の幅は、該インジェ
    クタ領域の深さとは独立した任意の値に設けることを特
    徴とする請求項1に記載の半導体装置。
  5. 【請求項5】前記インジェクタ領域は、前記固定電位絶
    縁電極を挟んで互いに隣接する複数の前記チャネル領域
    に接し、かつ、前記インジェクタ領域は、これと接続す
    る注入電極を有することを特徴とする請求項1に記載の
    半導体装置。
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