JP2003206413A - 表面処理微細有機顔料及びカラーフィルター - Google Patents

表面処理微細有機顔料及びカラーフィルター

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JP2003206413A
JP2003206413A JP2002003341A JP2002003341A JP2003206413A JP 2003206413 A JP2003206413 A JP 2003206413A JP 2002003341 A JP2002003341 A JP 2002003341A JP 2002003341 A JP2002003341 A JP 2002003341A JP 2003206413 A JP2003206413 A JP 2003206413A
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Hiroshi Katsube
浩史 勝部
Seiji Funakura
省二 船倉
Hiroyuki Tokuda
博之 徳田
Shingo Araki
慎吾 荒木
Masaaki Kishimoto
昌明 岸本
Yoshiro Yamaguchi
芳郎 山口
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 樹脂等に分散させた際の保存安定性が良好
で、透明性及び耐熱性に優れ、より黄味を帯びたより明
るい緑色を発色するカラーフィルターを得る。 【解決手段】 皮膜形成性樹脂が微細有機顔料表面に付
着した表面処理微細有機顔料において、前記微細有機顔
料が、中心金属としてAl、Si、Sc、Ti、V、M
g、Fe、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、
Nb、In、Sn、Pbを有するハロゲン化金属フタロ
シアニン、であり、かつこのハロゲン化金属フタロシア
ニンの質量換算100部当たり、2−オキソ−1,3−
ジオキソラン−4−イル基を有する皮膜形成性樹脂が3
〜25部であることを特徴とする表面処理微細有機顔料
及びそれを用いたカラーフィルター。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、表面処理微細有機
顔料及びカラーフィルターに関する。
【0002】
【従来の技術】有機顔料に目的とする使用用途に適した
特性を付与させるための表面処理方法はよく知られてい
る。この表面処理方法としては、例えば有機顔料または
微細有機顔料を表面処理剤の有機溶剤溶液に浸漬して濾
過し乾燥粉砕する方法、微細有機顔料の製造の適切な段
階に表面処理剤を導入する方法等がある。こうして表面
処理されていない(未処理の)微細有機顔料の表面に表
面処理剤を付着させて表面処理有機顔料が製造される。
【0003】この表面処理には、有機顔料や微細有機顔
料の使用用途に応じて、例えばロジン類、金属塩、脂肪
酸エステル、或いはフェノール樹脂、アクリル樹脂、ウ
レタン樹脂の様な各種合成樹脂等が用いられている。
【0004】特開平7−13016号公報には、合成樹
脂に含ませることによって耐熱性や耐溶剤性に優れた着
色樹脂塗膜を形成できる表面処理微細有機顔料として、
エポキシ樹脂や(メタ)アクリル樹脂で表面処理した微
細有機顔料が記載されている。そして表面処理をするた
めの原料の有機顔料としては、C.I.ピグメントグリ
ーン 7や同36の様なポリハロゲン化銅フタロシアニ
ンからなる緑色有機顔料が挙げられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、エポキ
シ樹脂は分子中にエポキシ基をそのまま有する化学構造
であるため、表面処理の際の熱履歴等により、このエポ
キシ基が自己反応したり破壊されたりして、予想に反し
て意図した特性を発揮出来ないことがある。これはエポ
キシ基を有する(メタ)アクリル樹脂でも同様である。
また、エポキシ基を有さない(メタ)アクリル樹脂で
は、耐熱性や耐溶剤性に優れた着色樹脂塗膜とはならな
い。更に、これらの樹脂で表面処理した微細有機顔料を
用いた塗料としての流動性、着色力、貯蔵安定性がいず
れも不十分であるという欠点があった。また、ポリハロ
ゲン化銅フタロシアニンからなる緑色有機顔料は、例え
ばカラーフィルターの緑部の形成の用途に用いた場合に
は、その緑色の黄味の程度が小さく、着色力も未だ不充
分でしかも明るさもやや暗いという欠点がある。例えば
顔料の着色力が向上できれば、同一着色樹脂膜厚におい
て同一透過率のカラーフィルターを得る場合の着色剤含
有率を低減でき、カラーフィルターの薄膜化が容易とな
るが、ポリハロゲン化銅フタロシアニンからなる緑色有
機顔料では、この様な高度な薄膜化への対応は難しい。
【0006】
【課題を解決するための手段】そこで本発明者等は上記
実情に鑑みて鋭意検討したところ、微細有機顔料とし
て、銅以外の特定の中心金属を有するハロゲン化金属フ
タロシアニン微細有機顔料を用いて、かつそれを表面処
理する際の皮膜形成性樹脂として、エポキシ樹脂に代え
て2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基を有
する皮膜形成性樹脂を用いる様にして得た表面処理微細
有機顔料が、上記課題を解決出来ることを見い出した。
【0007】即ち本発明は、皮膜形成性樹脂が微細有機
顔料表面に付着した表面処理微細有機顔料において、前
記微細有機顔料が、下記式で表されるハロゲン化金属フ
タロシアニンであり、かつこのハロゲン化金属フタロシ
アニンの質量換算100部当たり、2−オキソ−1,3
−ジオキソラン−4−イル基を有する皮膜形成性樹脂が
3〜25部であることを特徴とする表面処理微細有機顔
料及びそれを用いたカラーフィルターを提供することを
目的とする。
【0008】
【化3】 (式中、MはAl、Si、Sc、Ti、V、Mg、F
e、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、
In、Sn、Pbを表す。Xはフッ素、塩素、臭素、ヨ
ウ素を表し、全て同一でも異なっていてもよく、mは8
〜16の整数を表す。Yはフッ素、塩素、臭素、ヨウ
素、酸素、水酸基、スルホン酸基を表し、nは0〜2の
整数を表す。)
【0009】
【発明の実施形態】本発明の表面処理微細有機顔料は、
微細有機顔料と、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−
4−イル基を有する皮膜形成性樹脂とを含んでなり、前
記樹脂で処理されていない(未処理の)微細有機顔料の
表面にこの皮膜形成性樹脂が質量換算で必要量付着した
組成を有する。微細有機顔料の表面積に対し皮膜形成性
樹脂の使用量が相対的に多ければ、有機顔料粒子表面が
皮膜形成性樹脂で被覆された構造となる。
【0010】本発明の表面処理微細有機顔料は、2−オ
キソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基を有する皮膜
形成性樹脂を含むことが最大の特徴である。
【0011】本発明において皮膜形成性樹脂とは、基体
に塗布された場合に、乾燥等によりその樹脂を溶解する
溶媒等の不存在下において、連続した樹脂皮膜を形成す
るものを言う。分子量やガラス転移温度を調整すること
で、樹脂に皮膜形成性をもたせることが出来る。樹脂
は、機能として微細有機顔料粒子に皮膜として付着して
いなければならないため、2−オキソ−1,3−ジオキ
ソラン−4−イル基が反応する前であっても後であって
も、微細有機顔料粒子表面で樹脂皮膜を形成する能力を
持っていることが必要である。皮膜形成性樹脂は、例え
ばそれを溶解する溶媒に溶解させた後に、粗製有機顔
料、有機顔料又は微細有機顔料の粒子に接触させて、前
記溶媒を除去することで、容易かつ安定的に前記粒子に
連続した樹脂皮膜を形成し、得られた樹脂皮膜は容易に
は基体である粒子からは剥離しないので、表面処理の効
果が発現する。中でも、微細有機顔料粒子の全表面が皮
膜形成性樹脂で覆われていること(この状態を被覆とい
う)がより好ましい。
【0012】本発明における皮膜形成性樹脂に含まれる
2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基とは、
下記式で表される官能基である。この官能基は、遊離エ
ポキシ基の開環開始温度では極めて安定である。より高
温での熱履歴が加わった際に初めて、この官能基は、開
環反応を開始する特徴を有する。2−オキソ−1,3−
ジオキソラン−4−イル基と、それと反応しうる後述す
る様な官能基とが共存し、加熱して所定の温度に達した
際、これらの基が反応し硬化が起こる。この硬化は架橋
を伴う。常温では反応が起こらず熱の存在のもと、前記
2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基と反応
しうる官能基としては、酸無水物基、カルボキシル基、
アミノ基が挙げられる。
【0013】
【化4】
【0014】(但し、式中のR1、R2及びR3は、そ
れぞれ同一であっても異なっていても良い、水素原子ま
たは炭素原子1〜4のアルキル基を表す)。
【0015】本発明における皮膜形成性樹脂としては、
2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基を有し
かつ皮膜形成性をも有するものがいずれも使用できる
が、例えばエポキシ樹脂のエポキシ基を2−オキソ−
1,3−ジオキソラン−4−イル基に置換した樹脂、2
−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基を有する
(メタ)アクリル樹脂、同基を有するポリエステル樹
脂、ラクトン変性ポリエステル樹脂、ポリエステルアミ
ド樹脂、アルキド樹脂、ポリエーテル樹脂、変性ポリエ
ーテル樹脂、ポリチオエーテル樹脂、ポリカーボネート
樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリオレフィン樹脂、エポ
キシ変性樹脂、シリコーン樹脂、またはフッ素樹脂など
から選択することができる。
【0016】ここで(メタ)アクリル樹脂とは、メタア
クリル酸、アクリル酸、またはこれらのエステルを必須
成分として重合した樹脂であり、メタアクリル樹脂とア
クリル樹脂の総称である。以下、(メタ)アクリル又は
(メタ)アクリレートと称する場合は、メタアクリルと
アクリルの両方を包含する。
【0017】これらの皮膜形成性樹脂に含まれる2−オ
キソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基は、公知慣用
のエポキシ樹脂硬化剤として知られている化合物、例え
ば酸無水物基、カルボキシル基、アミノ基等の官能基を
有する化合物と反応し硬化し得る。また、2−オキソ−
1,3−ジオキソラン−4−イル基と同時に前記官能基
をも有する皮膜形成性樹脂は2−オキソ−1,3−ジオ
キソラン−4−イル基と前記官能基により自身で硬化し
得る。
【0018】しかしながら、2−オキソ−1,3−ジオ
キソラン−4−イル基を有する皮膜形成性樹脂に別途エ
ポキシ樹脂硬化剤を併用する場合、それらを配合する手
間がかかるし、結果として得られる硬化物の吸湿性が高
まったりすることがあるので、前記硬化剤を配合しない
で、皮膜形成性樹脂自身だけで反応が起こる様に組成を
設計するのが好ましい。この観点から、前記皮膜形成性
樹脂としては、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4
−イル基と、カルボキシル基とを有する皮膜形成性樹
脂、中でも2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イ
ル基と、それと反応し得る官能基とを有する(メタ)ア
クリル樹脂が最適である。中でも、表面処理微細有機顔
料の製造方法として後述するソルベントソルトミリング
を含む場合には、前記皮膜形成性樹脂として、2−オキ
ソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基とカルボキシル
基とを有する(メタ)アクリル樹脂を選択すると、ソル
ベントソルトミリング温度と硬化温度により大きな差違
を設けることが出来、樹脂の硬化等が起こりにくい点で
最適である。
【0019】この様な2−オキソ−1,3−ジオキソラ
ン−4−イル基を有する皮膜形成性樹脂は、上記した通
り、それ自体公知のものであり、従来公知のエポキシ樹
脂、エポキシ基を有する従来公知のアクリル樹脂、同ウ
レタン樹脂等に二酸化炭素(炭酸ガス)を付加させるこ
とにより製造することが出来る。
【0020】またエピハロヒドリンと二酸化炭素との付
加物に、ビスフェノールAやノボラック型フェノール樹
脂等のフェノール性水酸基を有する化合物とを脱ハロゲ
ン化水素反応させたり、2−オキソ−1,3−ジオキソ
ラン−4−イル基を有する(メタ)アクリレートを必須
成分として必要に応じて他の重合性単量体と重合させた
り、有機ポリイソシアネートに2−オキソ−1,3−ジ
オキソラン−4−イル基を有するアルコールを(重)付
加反応させたりして製造することも出来る。中でも(メ
タ)アクリル樹脂は、任意の割合で2−オキソ−1,3
−ジオキソラン−4−イル基とカルボキシル基とを分子
構造中に容易に含ませることが出来る点で好ましい。
【0021】本発明において好適に使用される、2−オ
キソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基とカルボキシ
ル基とを有する(メタ)アクリル樹脂は、例えば2−オ
キソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基を有する(メ
タ)アクリレートと(メタ)アクリル酸とを必須成分と
して、(メタ)アクリル酸エステル或いはその他の芳香
族ビニル単量体等と、重合触媒の存在下に(共)重合さ
せることにより容易に得ることが出来る。
【0022】皮膜形成性樹脂中における2−オキソ−
1,3−ジオキソラン−4−イル基とカルボキシル基と
の割合は、前者基1当量当たり後者基0.2〜5.0当
量となる様にするのが好ましい。この範囲となる様に2
−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基を有する
(メタ)アクリレートと(メタ)アクリル酸との共重合
割合を選定するのが好ましい。
【0023】本発明の表面処理された微細有機顔料とし
ては、微細有機顔料に表面処理が施されたものでも良い
し、有機顔料を表面処理と同時に微細化したものでもよ
いし、粗製有機顔料を表面処理と顔料化と微細化とを同
時にしたものでも良い。
【0024】本発明における有機顔料または微細有機顔
料は、従来のハロゲン化銅フタロシアニン顔料よりも黄
味の緑色を得るための、上記した式で表される、銅以外
の特定の中心金属を有するハロゲン化金属フタロシアニ
ンである。この様なものとしては、好適には、中心金属
がコバルト、アルミニウム、ヴァナジウム、亜鉛等の各
種結晶型金属フタロシアニンに塩素原子や臭素原子が付
加した構造のポリハロゲン化金属フタロシアニン顔料の
様なフタロシアニン系緑色顔料が挙げられる。有機顔料
は、平均一次粒子径0.1〜0.01μmの解れた粒子
からなる。
【0025】前記銅以外の特定の中心金属を有するハロ
ゲン化金属フタロシアニンは1種のみまたは2種以上を
併用することも出来る。後述する本発明の製造方法で
は、上記に対応する粗製有機顔料も同様に使用される。
【0026】尚、本発明における粗製有機顔料、有機顔
料及び微細有機顔料等の平均一次粒子径及び縦横のアス
ペクト比は、それらを溶媒に超音波分散させてから、透
過型電子顕微鏡又は走査型電子顕微鏡により測定するこ
とが出来る。平均一次粒子径は、具体的には、電子顕微
鏡内の視野内の粒子を撮影し、二次元画像上の、凝集体
を構成する顔料一次粒子の50個につき、その長い方の
径(長径)を各々求め、それを平均した値である。表面
処理微細有機顔料は平均一次粒子径が小さいほど、塗料
やインキ等の用途において、より透明性に富んだものと
することが出来る。また縦横のアスペクト比は、短径と
前記長径とから求められる。短径は、具体的には、電子
顕微鏡内の視野内の粒子を撮影し、二次元画像上の、凝
集体を構成する顔料一次粒子の50個につき、その最短
の径(短径)を各々求め、それを平均した値である。以
下、同様である。表面処理微細有機顔料は縦横のアスペ
クト比1〜3であると、塗料やインキ等の用途におい
て、より流動性に富んだものとすることが出来る。表面
処理微細有機顔料の製造方法としてソルベントソルトミ
リングを適用すると縦横のアスペクト比が前記好適な範
囲とすることができ好ましい。
【0027】本発明の表面処理微細有機顔料を得るに当
たり、必要であれば粗製有機顔料または有機顔料にはそ
の誘導体を極少量併用することも出来る。この様な顔料
誘導体としては、例えばスルホン酸誘導体、スルホン酸
塩誘導体、スルホンアミド誘導体、ジアルキルアミノ誘
導体、イミドアルキル誘導体等が挙げられる。
【0028】本発明の表面処理微細有機顔料における微
細有機顔料と皮膜形成性樹脂との割合は質量換算で、微
細有機顔料100部当たり皮膜形成性樹脂3〜25部で
ある。皮膜形成性樹脂がこれより少なければ、微細有機
顔料粒子表面に充分に付着させることが出来ず所望の表
面処理効果が得られ難く、一方、これを越えても表面処
理効果の程度に限れば、それはあまり変わらない。後述
する本発明の表面処理微細有機顔料の好適な製造方法で
も、上記範囲となる様に粗製有機顔料または有機顔料と
前記皮膜形成性樹脂との割合を調節する。
【0029】本発明における表面処理微細有機顔料を得
るには公知慣用の製造方法がいずれも採用できる。粗製
有機顔料や有機顔料を表面処理剤の有機溶剤溶液に浸漬
して攪拌し濾過し乾燥粉砕する方法や、微細有機顔料の
製造の適切な段階に表面処理剤を導入する方法がある。
例えば、前記皮膜形成性樹脂の水性分散体を有機顔料や
微細有機顔料の水性スラリー中に添加し攪拌し濾過し乾
燥粉砕する方法等がある。
【0030】本発明の表面処理微細有機顔料を得る方法
としては、粗製有機顔料または有機顔料を前記皮膜形成
性樹脂の不存在下でソルベントソルトミリングし洗浄し
て得た水性スラリーと、前記皮膜形成性樹脂の有機溶剤
溶液とを混合攪拌し前記樹脂を微細有機顔料表面で析出
させる方法や、粗製有機顔料または有機顔料を前記皮膜
形成性樹脂の存在下でソルベントソルトミリングする方
法が、一次粒子のより細かい微細有機顔料を得ることが
出来、前記皮膜形成性樹脂を粒子近傍へより均一に付着
させることが出来、流動性を効果的に向上できる点で好
ましい。洗浄、濾過、乾燥等の工程を共通に行った場合
において、スラリー時添加による前者と混練時添加の後
者との対比では、後者は前者に比べて着色力等に優れる
点で特に好ましい。
【0031】尚、ソルベントソルトミリングとは、粗製
有機顔料、有機顔料または微細有機顔料と有機溶剤と水
溶性無機塩とを混練する操作をいう。本発明の最適な製
造方法では、前記皮膜形成性樹脂の存在下にて、この操
作を行う。
【0032】本発明における表面処理微細有機顔料の製
造方法は、前出の有機顔料の市販品や、有機顔料から得
た微細有機顔料を用いて実施すること出来るが、着色力
等の点においてそのままでは顔料としての適性を有さな
い粗製有機顔料を用いて、上記した製造方法を同様に実
施することも出来る。
【0033】粗製有機顔料は、一般に有機顔料よりも一
次粒子径が大きい粒子であり、例えば比表面積等は有機
顔料より著しく小さな値をとる。ワイラー法やフタロニ
トリル法で製造されたフタロシアニン等は、通常この様
な粗製有機顔料であり、これをソルベントソルトミリン
グに代表される顔料化処理(仕上げ処理と呼ばれる場合
もある)することにより有機顔料または微細有機顔料と
される。
【0034】より具体的には、例えば粗製有機顔料また
は有機顔料、前記皮膜形成性樹脂および水溶性無機塩の
混合物に少量の有機溶剤を加え混練する。この混練に
は、一般的にはニーダーが使用される。
【0035】水溶性無機塩としては、例えば塩化ナトリ
ウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム等が挙げられる。
【0036】有機溶剤としては、公知慣用のものが採用
できるが、前記皮膜形成性樹脂の少なくとも一部を溶解
し水溶性であることが好ましい。混練時に蒸発し難く、
安全性の点から沸点が高い有機溶剤が好ましい。この様
な有機溶剤としては、例えば、ジエチレングリコール、
ジエチレングリコールモノアルキルエーテル、トリエチ
レングリコール、トリエチレングリコールモノアルキル
エーテル、液体ポリエチレングリコール、アルコキシア
ルカノール、ジプロピレングリコール,ジプロピレング
リコールモノアルキルエーテル、低分子量ポリプロピレ
ングリコール等が用いられる。
【0037】ここで、ソルベントソルトミリングを行う
に当たっての、粗製有機顔料または有機顔料と、前記皮
膜形成性樹脂と、水溶性無機塩と、有機溶剤との割合
は、一般的にはいずれも質量換算で、粗製有機顔料また
は有機顔料100部あたり、前記皮膜形成性樹脂(固形
分換算)3〜25部、水溶性無機塩300〜2000
部、有機溶剤1〜500部である。前記皮膜形成性樹脂
を有機溶剤溶液として用いた場合は、その溶液の樹脂濃
度に応じて有機溶剤を加減することが出来る。
【0038】こうして、粗製有機顔料または有機顔料
と、前記皮膜形成性樹脂と、水溶性無機塩と、有機溶剤
との混合物は、極一般的な条件、例えば温度30〜15
0℃で5〜20時間、ソルベントソルトミリングされ
る。2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基の
開環反応の温度は一般に200〜250℃の範囲にあ
り、通常のソルベントソルトミリング条件では分解も反
応も起こさず、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4
−イル基は安定に保たれる。前記皮膜形成性樹脂とし
て、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基と
カルボキシル基とを有するものを用いた場合も、上記し
た両者の官能基が反応しないソルベントソルトミリング
の条件を選択する。
【0039】このソルベントソルトミリングにより、原
料として用いた粗製有機顔料は凝集が解され、一方、原
料として用いた有機顔料はより微細化され、微細有機顔
料となる。このソルベントソルトミリングで、粒子の微
細化と前記皮膜形成性樹脂による表面処理が同時に行わ
れる。
【0040】こうして得られた混練物は、水と混合し攪
拌し懸濁液となし、水と有機溶剤とを濾過等により分離
することにより、表面処理微細有機顔料を含むウエット
ケーキとして取り出すことが出来る。ここに含まれる粒
子は、平均一次粒子径0.1〜0.01μmの解れた表
面処理微細有機顔料粒子からなる。このウエットケーキ
は洗浄し乾燥することにより、粉体の表面処理微細有機
顔料とすることが出来る。
【0041】洗浄には、水、湯のいずれも使用でき、必
要ならば表面処理に影響を及ぼさない範囲において酸や
アルカリを併用することも出来る。洗浄は、1〜10回
行うことが出来る。特に、金属を含む粗製有機顔料や有
機顔料、或いは酸やアルカリを反応時に使用する粗製有
機顔料や有機顔料を本発明の製造方法に用い、かつ、用
途が静電荷像現像用トナー、インクジェット記録用イン
ク、液晶カラーフィルター等である場合は、遊離イオン
濃度を出来るだけゼロに近づけるのが好ましい場合が多
い。
【0042】乾燥は、加熱乾燥や凍結乾燥等により行う
ことが出来る。勿論、前記懸濁液からスプレードライす
る方法も採用出来る。しかしながら、加熱乾燥の場合に
は、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基の
開環反応が起こらない温度、例えば150℃以下で乾燥
を行うことが望ましい。
【0043】尚、濾過、洗浄、乾燥、粉砕等の操作は、
ソルベントソルトミリングを行う本発明の表面処理顔料
の最適な製造方法以外の製造方法でも同様に行うことが
出来る。
【0044】本発明の製造方法で得られた表面処理微細
有機顔料は、ウエットケーキのままでも使用できるし、
乾燥して粉体としても使用することが出来る。ウエット
ケーキの場合は、有機溶剤やバインダー樹脂と共にフラ
ッシングして用いることが出来る。
【0045】こうして得られた表面処理微細有機顔料
は、微細有機顔料の表面に前記皮膜形成性樹脂が薄層と
なって付着した構造をとっている。組成未知の着色剤が
本発明の表面処理微細有機顔料であるかは、例えば、2
−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基の分解時
に発生する二酸化炭素の生成をガス分析やガスクロマト
グラフィーにより確認する方法、2−オキソ−1,3−
ジオキソラン−4−イル基自体の特異赤外線吸収ピーク
に基づいて確認する方法、前記皮膜形成性樹脂を溶解す
る有機溶剤及び皮膜形成性樹脂がカルボキシル基をも有
している場合は必要に応じてアルカリを併用して、組成
未知の樹脂を加えて樹脂分の抽出を行い、分解前の2−
オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基の特異赤外
線吸収ピークに基づいて確認する方法で同定できる。2
−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基の特異赤
外線吸収ピークの強度と含有量について検量線を作成し
ておけば、前記皮膜形成性樹脂の定量を行うことも出来
る。
【0046】尚、赤外線吸収スペクトルによれば、2−
オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基の特異赤外
線吸収ピークは1760〜1820cm−1に出現し、
一方、エポキシ基及びカルボキシル基の特異赤外吸収ピ
ークは、各々順に1200〜1300cm−1及び17
00〜1740cm−1に出現するため、これら官能基
の存否は容易に判別できる。
【0047】こうして得られた本発明の表面処理微細有
機顔料には、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−
イル基がそのまま含まれているので、塗料やインキ等の
着色すべき媒体の流動性を損なう心配が少ない。しかし
ながら、この表面処理微細有機顔料には、必要に応じ
て、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基同
士、または2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イ
ル基とそれと反応しうる官能基との反応を促進させる触
媒と併用して各用途分野に使用し、着色後硬化させるこ
とが出来る。勿論、表面処理微細有機顔料中の皮膜形成
性樹脂にこの触媒を含めておき、同様に着色後硬化させ
ることも出来る。
【0048】尚、本発明の表面処理微細有機顔料は、必
要があれば同様の表面処理がなされたその他の微細有機
顔料や、同様の表面処理がなされていないその他の微細
有機顔料と併用することが出来る。また、本発明の表面
処理微細有機顔料を得るのに最適な上記製造方法の場合
には、上記式で表されるハロゲン化金属フタロシアニン
の粗製有機顔料、有機顔料或いは微細有機顔料と同時
に、その他の粗製有機顔料、有機顔料或いは微細有機顔
料を用いる様にすれば、それら混合物の表面処理微細有
機顔料とすることも出来る。その他の粗製有機顔料、有
機顔料或いは微細有機顔料としては、例えばC.I.ピ
グメントグリーン 7や同36の様な緑色微細有機顔
料、C.I.ピグメントイエロー 83、C.I.ピグ
メントイエロー128、C.I.ピグメントイエロー1
38、C.I.ピグメントイエロー139、C.I.ピ
グメントイエロー150、C.I.ピグメントイエロー
180、C.I.ピグメントイエロー185等の黄色微
細有機顔料が挙げられる。
【0049】本発明の表面処理微細有機顔料は、公知慣
用の用途、例えばインキ、塗料、樹脂成形品等の着色に
使用できる他、静電荷像現像用トナー、インクジェット
記録用インク、液晶カラーフィルター等のハイテク分野
にも使用することが出来る。
【0050】本発明の表面処理微細有機顔料からカラー
フィルターを製造方法する方法について説明する。
【0051】カラーフィルター用顔料分散レジストを調
製するには、当該表面処理微細有機顔料と、感光性樹脂
や光重合性単量体の様な感光性化合物と、光重合開始剤
と、前記樹脂を溶解する有機溶剤とを必須成分として混
合する。その製造方法としては、当該表面処理微細有機
顔料と有機溶剤と必要に応じて分散剤を用いて顔料ペー
スト(分散液)を調製してから、そこに感光性樹脂、光
重合性単量体等を加えて顔料分散レジストとする方法が
一般的である。
【0052】必要に応じて用いる分散剤としては、例え
ば、ビックケミー社のディスパービック130、ディス
パービック161、ディスパービック162、ディスパ
ービック163、ディスパービック170、エフカ社の
エフカ46、エフカ47、アビシア社のソルスパース、
味の素株式会社のアジスパーなどを用いることも可能で
ある。また、アクリル系、ポリエチレン系のような樹脂
型分散剤なども使用可能である。また、レベンリグ剤、
カップリング剤、カチオン系の界面活性剤なども併せて
使用可能である。
【0053】有機溶剤としては、プロピオネート系、ア
ルコール系、エーテル系、ケトン系、窒素化合物系、ラ
クトン系等の極性溶媒で水可溶のものが適している。
【0054】質量換算で、当該表面処理顔料100部当
たり、300〜1000部の有機溶剤と、必要に応じて
0〜100部の分散剤及び/又は0〜20部の顔料誘導
体とを、均一となる様に攪拌分散して分散液を得ること
ができる。次いでこの分散液に、質量換算で当該表面処
理顔料1部当たり、3〜20部の感光性化合物、感光性
化合物1部当たり0.05〜3部の光重合開始剤と、必
要に応じてさらに有機溶剤を添加し、均一となる様に攪
拌分散して顔料分散レジストを得ることができる。
【0055】顔料分散レジストの調製の際に使用可能な
感光性化合物としては、皮膜形成性があるもので、例え
ばウレタン系樹脂、アクリル系樹脂、ポリアミド酸系樹
脂、ポリイミド系樹脂、スチレンマレイン酸系樹脂、ス
チレン無水マレイン酸系樹脂等の熱可塑性樹脂や、例え
ば1,6−ヘキサンジオールジアクリレート、エチレン
グリコールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジ
アクリレート、トリエチレングリコールジアクリレー
ト、ビス(アクリロキシエトキシ)ビスフェノールA、
3−メチルペンタンジオールジアクリレート等のような
2官能モノマー、トリメチルロールプロパトントリアク
リレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ト
リス(2−ヒドロキシエチル)イソシアネート、ジペン
タエリスリトールヘキサアクリレート、ジペンタエリス
リトールペンタアクリレート等のような多官能モノマー
等の光重合性単量体が挙げられる。
【0056】前記表面処理微細有機顔料以外のレジスト
成分としては、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4
−イルとそれと反応しうる官能基とを有する熱硬化性皮
膜形成性樹脂以外の感光性を有する皮膜形成性樹脂と光
重合性単量体とを含む様に構成するのが好ましい。2−
オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イルとそれと反応
しうる官能基とを有する熱硬化性皮膜形成性樹脂は、表
面処理微細有機顔料上のみにある様にして、顔料分散レ
ジスト中にはこの熱硬化性皮膜形成性樹脂を含ませずそ
の代替としてのその他の皮膜形成性樹脂を含ませる様に
するのが、より少ない使用量でレジストの流動性を向上
させカラーフィルターの着色パターンの熱履歴による色
相変化を最小限とし、硬化に手間がかからずカラーフィ
ルターの生産性が向上し経済性も高いので好ましい。
【0057】得られるカラーフィルターの諸特性と生産
性の観点から、着色マトリックス中に含まれる、2−オ
キソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基とそれと反応
しうる官能基とを有する熱硬化性皮膜形成性樹脂の硬化
物が、質量換算で0.1〜25%となる様に顔料分散レ
ジストの組成割合を調節して調製を行うのが好ましい。
【0058】光重合開始剤としては、公知慣用のものが
いずれも使用できるが、例えばアセトフェノン、ベンゾ
フェノン、ベンジルジメチルケタノール、ベンゾイルパ
ーオキサイド、2−クロロチオキサントン、1,3−ビ
ス(4'−アジドベンザル)−2−プロパン、1,3−
ビス(4'−アジドベンザル)−2−プロパン−2'−ス
ルホン酸、4,4'−ジアジドスチルベン−2,2'−ジ
スルホン酸等が挙げられる。市販の光重合開始剤として
は、たとえば、チバスペシャルティーケミカルズ社製
「イルガキュア−184」、「イルガキュア−36
9」、「ダロキュア−1173」、BASF社製「ルシ
リン−TPO」、日本化薬社製「カヤキュアーDET
X」、「カヤキュアーOA」、ストーファー社製「バイ
キュアー10」、「バイキュアー55」、アクゾー社製
「トリゴナールPI」、サンド社製「サンドレー100
0」、アップジョン社製「デープ」、黒金化成社製「ビ
イミダゾール」などがある。
【0059】また上記光重合開始剤に公知慣用の光増感
剤を併用することもできる。光増感剤としては、たとえ
ば、アミン類、尿素類、硫黄原子を有する化合物、燐原
子を有する化合物、塩素原子を有する化合物またはニト
リル類もしくはその他の窒素原子を有する化合物等が挙
げられる。これらは、単独で用いることも、2種以上を
組み合わせて用いることもできる。
【0060】光重合開始剤の配合率は、特に限定される
ものではないが、質量換算で、光重合性あるいは光硬化
性官能基を有する化合物に対して0.1〜30%の範囲
が好ましい。0.1%未満では、光硬化時の感光度が低
下する傾向にあり、30%を超えると、顔料分散レジス
トの塗膜を乾燥させたときに、光重合開始剤の結晶が析
出して塗膜物性の劣化を引き起こすことがある。
【0061】上記で得られた表面処理微細有機顔料に
は、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基が
そのまま含まれているので、調製された顔料分散レジス
トの流動性を損なう心配が少ない。また、後述する様
に、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基を
反応させるための触媒も200℃以上となる様に加熱を
行うのであれば必要ない。しかしながら、顔料分散レジ
ストの流動性低下や得られたカラーフィルターの色相変
化を起こさない範囲において、この表面処理微細有機顔
料には、必要に応じて、2−オキソ−1,3−ジオキソ
ラン−4−イル基同士、または2−オキソ−1,3−ジ
オキソラン−4−イル基とそれと反応しうる官能基との
反応を促進させる触媒を顔料分散レジストに含ませて使
用し、着色後硬化させることが出来る。勿論、表面処理
微細有機顔料中の皮膜形成性樹脂にこの触媒を含めてお
き、同様に着色後硬化させることも出来る。
【0062】こうして顔料分散レジストとして、これを
透明性基体に塗布し、フォトマスク上から紫外線を照射
して光重合性単量体を硬化させ、洗浄を行って未硬化部
分を除去した後に、加熱して前記表面処理微細有機顔料
上の熱硬化性皮膜形成性樹脂を硬化させて着色マトリッ
クスを形成してカラーフィルターを製造する(以下、こ
の処理をパターニング処理という。)。
【0063】透明性基体としては、例えばソーダライム
ガラス、低アルカリガラス、石英ガラス、ポリアリレー
ト、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネート、ポリエ
ステル、エポキシ等のフィルムやシートが使用できる。
【0064】当該カラーフィルター用顔料分散レジスト
を透明性基体表面に塗布する方法は特に限定されず、例
えば印刷法、スプレー法、ロールコート法、バーコート
法、カーテンコート法、スピンコート法など各種の方法
を用いることができる。
【0065】パターニング処理を施す場合の皮膜作成方
法例を示すと、まず透明性基体に塗布された当該カラー
フィルター用顔料分散レジストは加熱(プレベーク)さ
れる。こうすることで、未硬化のレジストの乾燥皮膜が
形成される。この過程では表面処理微細有機顔料上の熱
硬化性皮膜形成性樹脂は硬化しない様にする。加熱条件
は各成分の種類、配合割合などによっても異なるが、通
常50〜150℃で1〜15分間程度である。次にプレ
ベークされた皮膜に所定パターンのフォトマスクを介し
て、このフォトマスクの上から紫外線などを照射して光
重合性単量体を硬化させた後、洗浄を行って未硬化部分
を除去する。
【0066】尚、カラーフィルターを製造するには、表
面処理剤として用いる2−オキソ−1,3−ジオキソラ
ン−4−イル基とそれと反応しうる官能基とを有する皮
膜形成性樹脂を、表面処理微細有機顔料を得る段階では
皮膜形成させるが未架橋未硬化状態のまま保ち、顔料分
散レジストの未硬化部分を除去した後に加熱して架橋硬
化させる方法を採用するのが好ましい。この際の皮膜形
成性樹脂の架橋硬化は実質的に表面処理微細有機顔料の
表面のみで行われ、微細有機顔料表面の皮膜形成性樹脂
と、顔料分散レジスト中に含まれる光重合性単量体や感
光性樹脂との架橋硬化は起こらない。こうすることで、
顔料分散レジストを構成する皮膜形成性樹脂や光重合性
単量体等への表面処理微細有機顔料の優れた分散性を確
保して、流動性に優れた顔料分散レジストを得ることが
出来る。しかも、架橋点間距離を小さくできるので、微
細有機顔料の結晶成長による色相変化も効果的に抑制で
きる。
【0067】加えて、この微細有機顔料の粒子表面の2
−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基とそれと
反応しうる官能基とを有する皮膜形成性樹脂は、同樹脂
自体をレジストに含ませて用いる場合の顔料分散レジス
ト中の含有量もより少ないので、より硬化に要するエネ
ルギーや時間を削減でき、カラーフィルターの生産性を
高めることができる。この微細有機顔料の表面処理剤と
して用いた皮膜形成性樹脂は、それを顔料分散レジスト
の成分として加えた場合よりも微細有機顔料のより粒子
近傍に存在し(局在化し)皮膜形成した上で硬化物とな
るので、同一使用量であればレジストに同様の樹脂を同
量含めるのより、熱履歴下で色相変化の極めて小さいカ
ラーフィルターが得られる。
【0068】尚、表面処理微細有機顔料の粒子表面に存
在するこの皮膜形成性樹脂は、脱炭酸(二酸化炭素の放
出)を伴って硬化するので、完成品のカラーフィルター
の着色マトリックス中における、2−オキソ−1,3−
ジオキソラン−4−イル基とそれと反応しうる官能基と
を有する皮膜形成性樹脂の硬化物と微細有機顔料との質
量換算の割合は、硬化前の割合と異なり、通常、微細有
機顔料100部当たり、この皮膜形成性樹脂の硬化物2
〜24部となる。
【0069】プレベークされた皮膜に所定パターンのフ
ォトマスクを介して、このフォトマスクの上から紫外線
などを照射して光重合性単量体を硬化させた後、洗浄を
行って未硬化部分を除去するが、この未硬化部分の除去
は、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基と
それと反応しうる官能基とを有する熱硬化性皮膜形成性
樹脂に含まれる官能基の種類や、顔料分散レジスト調製
に用いる皮膜形成性樹脂の種類により現像液の組成を工
夫する。これら官能基がアミノ基の場合には、酸を含む
現像液を用いて、この未硬化部分(不要部分)を洗浄除
去すれば良いし、カルボキシル基の場合には、アルカリ
を含む現像液を用いて、この未硬化部分(同前)を洗浄
除去すれば良い。
【0070】一般的な顔料分散レジストには、アルカリ
可溶性の皮膜形成性樹脂が多様されているので、これ
と、アルカリを含む現像液とを組み合わせて用いる様に
するのが、最も好ましい。
【0071】現像液としては、たとえば水酸化ナトリウ
ム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、ケイ酸ナトリウ
ム、メタケイ酸ナトリウム、アンモニア水、エチルアミ
ン、n−プロピルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プ
ロピルアミン、トリエチルアミン、メチルジエチルアミ
ン、ジメチルエタノールアミン、ジエタノールアミン、
トリエタノールアミン、テトラメチルアンモニウムヒド
ロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、テ
トラブチルアンモニウムヒドロキシド、ピロール、ピペ
リジン、1,8−ジアザビシクロ[5,4,0]−7−ウ
ンデセン、1,5−ジアザビシクロ[4,3,0]−5−
ノナンなどのアルカリ類の水溶液を使用することができ
る。また上記アルカリ水溶液に、メタノール、エタノー
ル、イソプロピルアルコールなどの水溶性有機溶剤、界
面活性剤を適当量添加した水溶液を現像液として使用す
ることもできる。
【0072】現像の方法は、液盛り法、ディッピング
法、スプレー法などのいずれでもよい。現像後、流水洗
浄を行い圧縮空気や圧縮窒素で風乾させることによっ
て、前記未硬化部分(同前)を除去し、カラーフィルタ
ーの暫定パターンが形成される。その後、このパターン
中に含まれる表面処理微細有機顔料上の熱硬化性皮膜形
成性樹脂を加熱により硬化させる。紫外線の照射により
光重合性単量体は既に硬化しているので、この加熱硬化
では、熱硬化性皮膜形成性樹脂の硬化のみが行われる。
この加熱硬化により着色マトリックスからなる着色パタ
ーンが形成され、カラーフィルターとなる。この加熱硬
化は、この暫定パターンをホットプレート、オーブンな
どの加熱装置により、所定温度たとえば200〜250
℃で、所定時間、例えば0.1〜3時間加熱処理をする
ことで行うことが出来る。こうして表面処理微細有機顔
料上の熱硬化性皮膜形成性樹脂を硬化させ、耐熱性、透
明性、硬度などに優れた着色マトリックスからなるパタ
ーンを有したカラーファイルターを得ることができる。
【0073】熱硬化性皮膜形成性樹脂の硬化の有無は、
発生する二酸化炭素の生成をガス分析やガスクロマトグ
ラフィーや質量変化により確認することが出来る。本発
明の製造方法では、2−オキソ−1,3−ジオキソラン
−4−イル基とカルボキシル基とそれと反応しうる基と
を有する熱硬化性皮膜形成性樹脂を従来よりも少量しか
用いていないので、同じ温度の加熱であれば、加熱処理
の時間は、従来よりも短くすることが出来る。また、反
応に伴う二酸化炭素の発生量もより少ないので、急激に
加熱しても着色マトリックスのパターンの平滑性を損な
うことも少なくピンホール等の発生もより少なくなる。
【0074】カラーフィルターは、ブラックマトリック
スと呼ばれる遮光薄膜を設けた透明基板上に、それぞれ
赤、緑、青の3原色を選択的に透過するように、色材を
各画素部に配置することにより形成されている。前記し
た如き方法を用いて、複数の異なった色ごとに基板上に
当該カラーフィルター用レジストインキを塗布、露光、
現像、焼き付けの各工程を繰り返し行うことで、赤、
緑、青の3原色および遮光に用いられる黒などの各着色
画素を形成することができる。その他、電着法、転写
法、ミセル電解法、PVED(Photovoltai
c Electrodeposition)法の方法で
色パターンを形成して、カラーフィルターを製造しても
よい。
【0075】本発明のカラーフィルターは、カラー液晶
ディスプレイ、ビデオカメラ、カラーエレクトロルミネ
ッセントディスプレー、カラースキャナ、固体撮像素子
などに好適に用いることができる。
【0076】
【実施例】次に本発明を製造例と実施例と比較例により
詳細に説明する。以下、部及び%は質量基準である。
【0077】[製造例1]無水フタル酸、尿素、塩化ア
ルミニウムを原料としてクロロアルミニウムフタロシア
ニンを製造した。これの1−クロロナフタレン溶液は、
750〜850nmに光の吸収を有していた。ハロゲン
化は、塩化チオニル3.2部、無水塩化アルミニウム
3.8部、塩化ナトリウム0.5部を40℃で混合し、
臭素2.7部を滴下して加える。これにクロロアルミニ
ウムフタロシアニン1部を加え、90℃で15時間反応
し、その後反応混合物を水に投入し、ハロゲン化クロロ
アルミニウムフタロシアニン粗顔料を析出させる。この
水性スラリーを濾過し、60℃の湯洗浄、1%硫酸水素
ナトリウム水洗浄、60℃の湯洗浄を行い、90℃で乾
燥させ、2.7部の精製されたハロゲン化クロロアルミ
ニウムフタロシアニン粗製顔料を得た。上記粗製顔料
は、フラスコ燃焼イオンクロマトグラフによるハロゲン
含有量分析から、平均組成AlClPcBr14ClHであった
(M=Al,Y=Clかつn=1,m=15)。
【0078】[製造例2]フタロジニトリル、塩化亜鉛
を原料として亜鉛フタロシアニンを製造した。これの1
−クロロナフタレン溶液は、750〜850nmに光の
吸収を有していた。ハロゲン化は、塩化チオニル3.1
部、無水塩化アルミニウム3.7部、塩化ナトリウム
0.5部を40℃で混合し、臭素2.6部を滴下して加
える。これに亜鉛フタロシアニン1部を加え、90℃で
15時間反応し、その後反応混合物を水に投入し、ハロ
ゲン化亜鉛フタロシアニン粗顔料を析出させる。この水
性スラリーを濾過し、60℃の湯洗浄、1%硫酸水素ナ
トリウム水洗浄、7%のトルエンを含んだアセトン洗
浄、60度の湯洗浄を行い、90℃で乾燥させ、2.6
部の精製されたハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗製顔料
を得た。上記粗製顔料は、質量分析によるハロゲン含有
量分析から、平均組成ZnPcBr ClHであった(M=
Zn,n=0,m=15)。
【0079】[実施例1]製造例1のハロゲン化クロロ
アルミニウムフタロシアニン粗製顔料(一次粒子の平均
粒子径0.1〜10μmの範囲内。)1部、粉砕した塩
化ナトリウム10部、ジエチレングリコール1部、銅フ
タロシアニンフタルイミドメチル誘導体0.05部、2
−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基を有する
皮膜形成性樹脂溶液A(メタクリル樹脂(2,3−カー
ボネートプロピルメタクリレート/メタクリル酸/ベン
ジルメタクリレート=25/11.5/63.5、ポリ
スチレン換算の数平均分子量=5100、分散度Mw/
Mn=2.49)のプロピレングリコールモノメチルエ
ーテルアセテート溶液(樹脂固形分40%))0.25
部を双腕型ニーダーに仕込み、80℃〜90℃で10時
間混練した。この時ソルベントソルトミリング時のゲル
化は無かった。混練後80℃の1%塩酸水溶液100重
量部に取り出し、1時間攪拌後、濾過、湯洗、乾燥、粉
砕し、微細なハロゲン化クロロアルミニウムフタロシア
ニン表面処理顔料(a)を得た。また、平均粒子径につ
いては、透過型電子顕微鏡JEM−2010(日本電子
株式会社製)で測定し、平均粒子径は0.03μmであ
った。縦横のアスペクト比は2であった。顔料(a)の
赤外線吸収スペクトルを測定したところ、1810cm
−1に2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基
の特異赤外線吸収ピークが判別できた。
【0080】[実施例2]製造例1のハロゲン化クロロ
アルミニウムフタロシアニン粗製顔料に代えて、製造例
2の製造例1のハロゲン化亜鉛フタロシアニン粗製顔料
(一次粒子の平均粒子径0.1〜10μmの範囲内。)
の同量を用いる以外は実施例1と同様の操作を行い、微
細なハロゲン化亜鉛フタロシアニン表面処理顔料(b)
を得た。平均粒子径および縦横のアスペクト比は、それ
ぞれ順に0.06μmおよび2であった。顔料(b)の
赤外線吸収スペクトルを測定したところ、1810cm
に2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基
の特異赤外線吸収ピークが判別できた。
【0081】[比較参考用製造例3]製造例2の2−オ
キソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基を有する皮膜
形成性樹脂溶液Aを無添加に変更し、ハロゲン化亜鉛フ
タロシアニン微細顔料(c)を得た。また、平均粒子径
および縦横のアスペクト比は、それぞれ順に0.06μ
mおよび2であった。
【0082】[比較参考用製造例4]製造例2の2−オ
キソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基を有する皮膜
形成性樹脂溶液Aをエポキシ樹脂エピクロン940−8
0M(大日本インキ化学工業株式会社製エポキシ樹脂。
樹脂固形分80%、メチルエチルケトン20%)0.1
25部に変更し、ハロゲン化亜鉛フタロシアニン表面処
理顔料(d)を得た。この時ソルベントソルトミリング
時のゲル化は若干見られた。また、平均粒子径および縦
横のアスペクト比は、それぞれ順に0.06μmおよび
2であった。
【0083】[比較参考用製造例5]2−オキソ−1,
3−ジオキソラン−4−イル基を有する皮膜形成性樹脂
溶液Aをアクリル樹脂ジョンクリル61(ジョンソンポ
リマー株式会社製、アクリル樹脂35%、アンモニア
7.5%、エチレングリコール1.5%、イソプロピル
アルコール5.0%、水51%)0.29部に代える以
外は製造例2と同様の操作を行い、微細なハロゲン化亜
鉛フタロシアニン表面処理顔料(e)を得た。また、平
均粒子径および縦横のアスペクト比は、0.07μmお
よび2であった。
【0084】[実施例1〜2]上記の製造例で得られた
表面処理顔料a)、b)を用い、フォトリソグラフィー
で対応するそれぞれのカラーフィルター、を製造し
た。
【0085】カラーフィルターの製造方法としては、表
面処理顔料9.5部、銅フタロシアニンモノスルホン酸
(フタロシアニン誘導体)0.5部、プロピレングリコ
ールモノメチルエーテルアセテート49部、アジスパー
PB814(味の素株式会社社製)7.5部、を0.5
mmφセプルビーズを加え、ペイントコンディショナー
(東洋精機株式会社製)で2時間分散し、顔料ペースト
(顔料分散液)を得た。この顔料分散液75.00部と
ポリエステルアクリレート樹脂(アロニックスM710
0、東亜合成化学工業株式会社製)5.50部、ジぺン
タエリスレートヘキサアクリレート(KAYARAD
DPHA、日本化薬株式会社製)5.00部、ベンゾフ
ェノン(KAYACURE BP−100、日本化薬株
式会社製)1.00部、ユーカーエステルEFP13.
5部を分散攪拌機で攪拌し、孔径1.0μmのフィルタ
ーで濾過し、顔料分散レジスト(カラーレジスト)を得
た。顔料分散レジストは1mm厚ガラスに乾燥膜厚1μ
mとなるようにスピンコーターを用いて塗布し、その後
60℃で5分間予備乾燥して塗膜を形成させた。次いで
フォトマスクを介して紫外線によるパターン露光を行っ
た後、未露光部分を0.5%の炭酸ナトリウム水溶液中
で洗浄した後、純水で更に洗浄し、次いで得られた塗膜
を230℃で15分間加熱処理して塗膜を硬化させ、カ
ラーフィルターとした。
【0086】[比較例1,2,3]上記の比較対比用製
造例で得られた顔料c)、表面処理顔料d)、e)を用
い、フォトリソグラフィーでそれぞれ対応するカラーフ
ィルター、、を製造した。
【0087】[比較例4]上記の比較製造例3得られた
顔料c)を用い、顔料8.55部、銅フタロシアニンモ
ノスルホン酸(フタロシアニン誘導体)0.5部、プロ
ピレングリコールモノメチルエーテルアセテート49
部、アジスパーPB814(味の素株式会社社製)7.
5部、を0.5mmφセプルビーズを加え、ペイントコ
ンディショナー(東洋精機株式会社製)で2時間分散
し、顔料ペーストを得た。この顔料分散液75.00部
と上記2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−イル基
を有する皮膜形成性樹脂溶液A 2.38部、ポリエス
テルアクリレート樹脂(アロニックスM7100、東亜
合成化学工業株式会社製)5.50部、ジぺンタエリス
レートヘキサアクリレート(KAYARAD DPH
A、日本化薬株式会社製)5.00部、ベンゾフェノン
(KAYACURE BP−100、日本化薬株式会社
製)1.00部、ユーカーエステルEFP13.5部を
分散攪拌機で攪拌し、孔径1.0μmのフィルターで濾
過し、顔料分散レジストを得た。顔料分散レジストは1
mm厚ガラスに乾燥膜厚1μmとなるようにスピンコー
ターを用いて塗布し、その後60℃で5分間予備乾燥し
て塗膜を形成させた。次いでフォトマスクを介して紫外
線によるパターン露光を行った後、未露光部分を0.5
%の炭酸ナトリウム水溶液中で洗浄した後、純水で更に
洗浄し、次いで得られた塗膜を230℃で15分間加熱
処理して塗膜を硬化させ、カラーフィルターとした。
【0088】(試験例) <性能試験及び評価基準> 保存安定性:上記で得られた顔料ペースト(分散液)4
0℃で24時間保存した際の粘度を測定し、初期粘度に
対する変化率が10%未満のものを○、10%以上のも
のを×とした。なお粘度測定は東機産業社製R型粘度計
を用いて行った。 透明性:上記の方法で塗布し硬化させたガラス板を用い
て、オリンパス製顕微鏡MX−50と大塚電子製分光光
度計MCPD−3000顕微分光測光装置CIE発色系
色度におけるx=0.136、y=0.141における
Y値を測定した。Y値が大きいほど、透明性が高いと評
価した。 耐熱性:上記の方法で塗布し硬化させたガラス板を用い
て、280℃で30分加熱し、加熱前後のY値の変化に
より評価した。この時の変化率の差ΔYが0.5未満の
ものを○、0.5以上のものを×とした。なお色度測定
はオリンパス製顕微鏡MX−50と大塚電子製分光光度
計MCPD−3000を用いて行った。
【0089】
【表1】表 1
【0090】表1に示した結果から、2−オキソ−1,
3−ジオキソラン−4−イル基を有する熱硬化性皮膜形
成性樹脂と有機顔料とを含む表面処理顔料を用いて製造
したカラーフィルターは対応する比較例のカラーフィル
ターに比べて、透明性、耐熱性のいずれにも優れている
ことが明らかである。また顔料分散レジストを調製する
前の顔料ペースト(分散液)の保存安定性にも優れてい
る。
【0091】さらに表面処理微細有機顔料は、銅以外の
特定の中心金属を有するハロゲン化異種金属フタロシア
ニンを含んでいるので、対応するハロゲン化銅フタロシ
ニアニンを用いた場合に比べ、より着色力に優れ、より
黄味の強い緑色を呈しているので、より好ましいカラー
フィルターとなっている。
【0092】
【発明の効果】本発明の表面処理微細有機顔料は、カラ
ーフィルターは、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−
4−イル基を有する皮膜形成性樹脂の硬化物と有機顔料
を含むものであり、工程中での組成物の安定性が極めて
良く、透明性、耐熱性が良好である。また、表面処理の
際の熱履歴により、このエポキシ基が自己反応したり破
壊されることがないという格別顕著な効果を奏する。ま
た、この表面処理微細有機顔料は、フィルター製造工程
の加熱時に反応を行わせることが出来、耐熱性や耐溶剤
性に優れたカラーフィルターを得ることが出来る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 荒木 慎吾 大阪府大阪市東住吉区東田辺2−23−3 (72)発明者 岸本 昌明 大阪府茨木市鮎川3−7−19 (72)発明者 山口 芳郎 大阪府吹田市岸部南3−34−2 Fターム(参考) 2H025 AA10 AB13 AC01 AD01 BC14 BC42 BC64 CA03 CC03 CC12 FA03 FA17 2H048 BA45 BA47 BA48 BB02 BB42

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】皮膜形成性樹脂が微細有機顔料表面に付着
    した表面処理微細有機顔料において、前記微細有機顔料
    が、下記式で表されるハロゲン化金属フタロシアニンで
    あり、かつこのハロゲン化金属フタロシアニンの質量換
    算100部当たり、2−オキソ−1,3−ジオキソラン
    −4−イル基を有する皮膜形成性樹脂が3〜25部であ
    ることを特徴とする表面処理微細有機顔料。 【化1】 (式中、MはAl、Si、Sc、Ti、V、Mg、F
    e、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、
    In、Sn、Pbを表す。Xはフッ素、塩素、臭素、ヨ
    ウ素を表し、全て同一でも異なっていてもよく、mは8
    〜16の整数を表す。Yはフッ素、塩素、臭素、ヨウ
    素、酸素、水酸基、スルホン酸基を表し、nは0〜2の
    整数を表す。)
  2. 【請求項2】下記式で表されるハロゲン化金属フタロシ
    アニンからなる粗製有機顔料または有機顔料の質量換算
    100部当たり、2−オキソ−1,3−ジオキソラン−
    4−イル基を有する皮膜形成性樹脂3〜25部の存在下
    でソルベントソルトミリングした表面処理微細有機顔
    料。 【化2】 (式中、MはAl、Si、Sc、Ti、V、Mg、F
    e、Co、Ni、Zn、Ga、Ge、Y、Zr、Nb、
    In、Sn、Pbを表す。Xはフッ素、塩素、臭素、ヨ
    ウ素を表し、全て同一でも異なっていてもよく、mは8
    〜16の整数を表す。Yはフッ素、塩素、臭素、ヨウ
    素、酸素、水酸基、スルホン酸基を表し、nは0〜2の
    整数を表す。)
  3. 【請求項3】2−オキソ−1,3−ジオキソラン−4−
    イル基を有する皮膜形成性樹脂が、2−オキソ−1,3
    −ジオキソラン−4−イル基とカルボキシル基とを有す
    る皮膜形成性樹脂である請求項1または2記載の表面処
    理微細有機顔料。
  4. 【請求項4】請求項1、2または3記載の表面処理微細
    有機顔料を用いたカラーフィルター。
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Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007002076A (ja) * 2005-06-23 2007-01-11 Sumika Color Kk 黄顔料
JP2008239869A (ja) * 2007-03-28 2008-10-09 Dic Corp ポリマーコート顔料およびその製造方法
JP2009217241A (ja) * 2008-02-14 2009-09-24 Toyo Ink Mfg Co Ltd カラーフィルタ用緑色着色組成物およびカラーフィルタ
US9187578B2 (en) 2009-04-16 2015-11-17 Dic Corporation Polymer modified pigment and production process of the same
JP2017226857A (ja) * 2012-03-28 2017-12-28 Dic株式会社 カラーフィルタ用表面処理有機顔料、その製造方法及びカラーフィルタ

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