JP2003206407A - 高分子化合物の架橋方法及び架橋用組成物 - Google Patents

高分子化合物の架橋方法及び架橋用組成物

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 有機過酸化物による高分子化合物の架橋方法
において架橋後の高分子化合物が柔軟性に優れている架
橋方法、及び作業時の混錬操作性や保存時の安定性に優
れた架橋用組成物を提供する。 【解決手段】 有機過酸化物による高分子化合物の架橋
するに際し、水添ポリブテンを添加し架橋することを特
徴とする高分子化合物の架橋方法、及び水添ポリブテン
100重量部と有機過酸化物0.2〜100重量部とか
らなる高分子架橋用組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高分子化合物の架橋
方法及び架橋用組成物に関する。更に詳細には、架橋後
の高分子化合物が柔軟性に優れている架橋方法、及び作
業時の混練操作性や保存時の安定性に優れた架橋用組成
物に関する。
【0002】
【従来の技術】プラスチックス、ゴム等の高分子化合物
は架橋により、物理的性質や化学的性質の向上、耐熱性
や電気的性質などの向上が図られている。ここで、架橋
剤として有機過酸化物が多く使用されてきている。特に
二重結合を有しない、あるいはその量の少ない低不飽和
度の高分子化合物はイオウ化合物による架橋には適さな
いので、有機過酸化物を用いて架橋することが有用であ
る。しかし、有機過酸化物を使用して架橋すると、架橋
密度の増加に従い高分子化合物の柔軟性が失われ脆くな
る。このような問題の解決として、芳香族環を有する炭
化水素を含むアロマ系油、ナフテン環を含むナフテン系
油や直鎖状炭化水素からなるパラフィン系油、鉱物油に
代表される加工油が高分子化合物に混練されている(例
えば、特開平5−17640号公報、特開平6−192
675号公報、特開平6−93143号号公報)。これ
らの加工油は、ゴム、プラスチックとの相溶性に優れ汎
用性の面でも優れた化合物である。しかしながら、これ
らの加工油は種々の炭化水素化合物の混合物であり、使
用時の臭気や刺激性等の安全性の面、保存時の熱安定性
が低い、加工時に十分な柔軟性を付与できないなど多く
の問題を抱えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、有機
過酸化物を使用して高分子化合物を架橋する方法であっ
て、架橋した高分子化合物が柔軟性に優れている架橋方
法を提供するものである。また、作業時の混錬操作性や
保存時の安定性に優れた架橋用組成物を提供することに
ある。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明を以下に示す。 (1)有機過酸化物で高分子化合物を架橋するに際し、
水添ポリブテンを添加し架橋することを特徴とする高分
子化合物の架橋方法。 (2)水添ポリブテン100重量部と有機過酸化物0.
2〜100重量部とからなる高分子架橋用組成物。
【0005】
【発明の実施の形態】本発明において、水添ポリブテン
とはイソブチレン単独重合体又はその共重合体を水素添
加した分岐鎖を有する炭化水素化合物である。水添ポリ
ブテンは、例えばイソブチレン単独やイソブチレンと他
のオレフィンからなるガス混合物を塩化アルミニウム等
の酸触媒を用いて重合した後、さらに水素添加すること
により製造される。ここで、他のオレフィンとしては、
ブテン−1、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン
等が挙げられる。水添ポリブテンにおいてイソブチレン
量は30重量%以上、好ましくは40重量%以上であ
る。30重量%未満では水添ポリブテンの熱安定性が低
下する。
【0006】水添ポリブテンのヨウ素価は、通常、12
以下、好ましくは2以下である。ヨウ素価が12を超え
ると保存時の安定性が低下するほか、成型後の製品自体
の安定性も低下させる原因となるので好ましくない。分
子量は、高温での作業性から数平均分子量200〜10
00の範囲のものが適する。平均分子量が200未満で
あると、高温での作業に適さないほか、目的とする製品
の強度を維持するのが難しくなる。1000を超えると
粘度が増加し、作業時の混練操作性に劣るので好ましく
ない。水添ポリブテンの添加量は、高分子化合物100
重量部に対して1〜50重量部が好ましい。1重量部未
満では混練操作性、架橋した高分子化合物が柔軟性に劣
り、50重量部を超えると架橋した高分子化合物の強度
が保てなくなる。
【0007】本発明では、二重結合の有無に係わらず高
分子化合物を架橋でき、高分子化合物としては、例え
ば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポ
リアクリル酸エステル、ポリアルキルビニルエーテル、
ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体、ブタ
ジエン−アクリロニトリル共重合体、ブタジエン−スチ
レン−アクリロニトリル三元共重合体、ポリイソプレ
ン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−プロピ
レン共重合体、天然ゴム、シリコンゴム等の架橋に適し
ており、これらは固形、粉末およびラテックス状等のい
ずれの形態のものでもよい。特に、水添ポリブテンとの
相溶性、柔軟性の付与の効果からはエチレン、プロピレ
ン、スチレン、ブタジエン、イソプレン等を含む高分子
化合物が適している。
【0008】本発明において、使用される有機過酸化物
は、その架橋時の条件等によって適宜選択される。例え
ば、前記の高分子化合物を50〜230℃で架橋させる
場合、その10時間半減期温度が70℃以上であること
が好ましい。10時間半減期温度が70℃未満である有
機過酸化物を使用すると高分子架橋反応を行う加工時の
温度で有機過酸化物が有効に働かなくなることがある。
【0009】好ましい有機過酸化物の具体例としては、
ジt−ブチルペルオキシド、t−ブチルクミルペルオキ
シド、ジクミルペルオキシド、2,5−ジメチル2,5
−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキサン、2,5−ジメ
チル2,5−ジ(t−ブチルペルオキシ)ヘキシン−3
等のジアルキルペルオキシド;ベンゾイルペルオキシ
ド、ジクロロベンゾイルペルオキシド、m−トルオイル
ペルオキシド等のジアシルペルオキシド;t−ブチルペ
ルオキシアセテート、t−ブチルペルオキシイソブチレ
ート、t−ブチルペルオキシ2−エチルヘキサノエー
ト、t−ブチルペルオキシ3,5,5−トリメチルヘキ
サノエート、t−ブチルペルオキシベンゾエート、t−
ブチルペルオキシイソプロピルカーボネート等のペルオ
キシエステル;メチルエチルケトンペルオキシド、シク
ロヘキサノンペルオキシド等のケトンペルオキシド;t
−ブチルハイドロペルオキシド、クメンハイドロペルオ
キシド、p−メンタンハイドロペルオキシド等のハイド
ロペルオキシド等が挙げられる。これらの有機過酸化物
は単独又は2種以上の混合物として使用することができ
る。高分子化合物に添加されるこれらの有機過酸化物の
比率は、高分子化合物100重量部に対して0.1〜2
0重量部、さらに0.2〜10重量部の範囲で用いるの
が好ましい。
【0010】本発明において、有機過酸化物と水添ポリ
ブテンは、高分子化合物の加工時にそれぞれを別に高分
子化合物に添加することもできるが、あらかじめ、有機
過酸化物と水添ポリブテンからなる高分子架橋用組成物
を製造し、これを加工時に添加することもできる。この
場合、有機過酸化物と水添ポリブテンとの配合比率は、
水添ポリブテン100重量部に対して有機過酸化物0.
2〜100重量部であり、さらには1〜70重量部の範
囲であるのが好ましい。0.2重量部未満では、高分子
架橋剤として使用する際に架橋後の高分子化合物の強度
を保てず、100重量部を超えると作業時の混練操作
性、保存時の安定性に劣る傾向がある。
【0011】水添ポリブテンと有機過酸化物は、溶液状
又は分散状の混合物として使用することもできる。本発
明の架橋用組成物により高分子化合物を架橋する場合、
高分子化合物の主鎖のラジカル切断を抑制し、架橋効果
を向上させる目的で、架橋助剤を同時に添加することも
できる。これら架橋助剤には、ジマレイミド系、ジメタ
クリル系、ジアリル系、ジビニル系の不飽和結合を有す
るモノマー系架橋剤、不飽和結合を複数有するポリマ−
系架橋剤、オキシム化合物やイオウ系化合物等が単独又
は混合して使用することもできる。また、その他添加剤
として一般的に高分子化合物に配合される可塑剤、安定
剤、充填剤、難燃剤、着色剤、帯電防止剤、発泡剤、加
硫促進剤、老化防止剤、滑剤等の添加剤を通常使用され
る範囲で使用することもできる。さらに、製品の硬度を
維持するために、カーボンブラック、シリカ等の充填剤
を添加することができる。
【0012】本発明の架橋化方法として、ロール機、バ
ンバリーミキサー、ニーダ−、プラストミル等の混練機
により配合物の混練を行い一旦生地した後、金型による
プレス成形、カレンダー加工やロートキュア−等により
架橋を成形することができる。また、押出し成形や射出
成形等で配合から成形まで連続で行うこともできる。こ
の場合、混練は、使用する有機過酸化物種にもよるが通
常50〜140℃で5〜120分程度行われ、架橋成形
は140〜220℃で5〜120分程度行うことにより
なされる。ここで、水添ポリブテンは、イソブチレンを
主成分とするため、生物学的安全性も良好で化粧品原
料、食品添加物としても使用することができる。したが
って、作業時において架橋用組成物、架橋後の樹脂を安
全に使用できる。
【0013】
【発明の効果】本発明の水添ポリブテンを添加し架橋す
ることを特徴とする高分子化合物の架橋方法では、架橋
した高分子化合物が柔軟性に優れている架橋をすること
ができる。また、作業時の混練操作性や保存時の安定性
に優れた架橋用物組成物を提供することができる。
【0014】
【実施例】以下、本発明を実施例により詳細に説明す
る。なお、架橋物の機械的強度については、JISK
7133に従い、テンシロン万能試験装置(オリエンテ
ック(株)製)により、引張強度、伸び率を測定した。
さらに、アスカーゴム硬度計(高分子計器(株)製)に
てシュア硬度を測定した。結果を表1にまとめて示す。
【0015】実施例1 ジクミルペルオキシド2g(日本油脂(株)製)を水添
ポリブテン(日本油脂(株)製;ポリブテン−0N、数
平均分子量450、ヨウ素価0.7)10gに分散し、
架橋用組成物を作製した。ロール試験機を使用してポリ
エチレン(日本ポリオレフィン(株)製;ショウレック
スF062)100g及びカーボンブラック(三菱化学
(株)製;ダイヤブラック−A)82gを120℃で5
分素練し、これに前記架橋用組成物を添加し、さらに5
分間混練した。混練操作性は良好であった。その後、得
られた混練物を175℃で20分間架橋反応した。得ら
れたシート状試料の機械的強度を測定した。
【0016】実施例2 ジ−t−ブチルペルオキシド5g(日本油脂(株)製)
を水添ポリブテン(日本油脂(株)製 ポリブテン−0
6N、数平均分子量612、ヨウ素価0.6)10gに
溶解し、架橋用組成物を作製した。プラストミル試験機
を使用してポリプロピレン(日本ポリケム(株)製;ノ
バチックPP)100gを140℃で5分素練し、これ
に前記架橋用組成物及び架橋助剤としてジアリルテレフ
タレート5gを添加し、さらに5分間混練した。混練操
作性は良好であった。その後、得られた混練物を165
℃で30分間架橋反応した。得られたシート状試料の機
械的強度を測定した。
【0017】実施例3 ジクミルペルオキシド5g(日本油脂(株)製)をポリ
ブテン(日本油脂(株)製 NAS−5H、数平均分子
量830、ヨウ素価0.7)10gに分散し、架橋用組
成物を作製した。ロール試験機を使用してエチレン−プ
ロピレン共重合体(住友化学(株)製;エスプレーン−
301)100g及びカーボンブラック(三菱化学
(株)製;ダイヤブラック−A)60gを60℃で5分
素練し、これに前記架橋用組成物を添加し、さらに5分
間混練した。混練操作性は良好であった。その後、得ら
れた混練物を160℃で30分間架橋反応した。得られ
たシート状試料の機械的強度を測定した。
【0018】実施例4 ジクロロベンゾイルペルオキシド5g(日本油脂(株)
製)をポリブテン(日本油脂(株)製;ポリブテン−0
15N、数平均分子量830、ヨウ素価0.6)10g
に分散し、架橋用組成物を作製した。プラストミル試験
機を使用してシリコンゴム(信越シリコン(株)製;K
E951−U)100g及びシリカ(日本アエロジル
(株)製;アエロジル130)10gを80℃で5分素
練し、これに前記架橋用組成物及び架橋助剤としてジア
リルテレフタレート5gを添加し、さらに5分間混練し
た。混練操作性は良好であった。その後、得られた混練
物を160℃で8時間架橋反応させた。得られたシート
状試料の機械的強度を測定した。
【0019】比較例1〜4 水添ポリブテンの代わりに加工油(出光興産(株)製;
プロセスオイルTM−55)を使用し、他は実施例1〜
4と同様に、素練、混練、架橋した後、得られたシート
状試料について試験を行った。混練操作性は実施例1〜
4が比較例に比べて優れていた。
【0020】
【表1】
【0021】実施例5 実施例1で作製した架橋用組成物を25℃で1ヶ月保存
した後、実施例と同様にポリエチレンの架橋反応を実施
し得られたシート状試料について強度を測定した。この
ときの引張強度165kg/cm、伸び率182%、
シュア強度は73であり、実施例1の結果と違いがなか
った。
【0022】実施例1と比較例1、実施例2と比較例
2、実施例3と比較例3、実施例4と比較例4との対比
より、水添ポリブテンを加工油とすると通常の加工油の
使用に比べて、ゲル化率に大きな違いがない一方で、伸
び率が高く、引張強度、シュア硬度が低いことから、本
方法によると架橋後の高分子化合物が柔軟性に優れてい
る架橋ができることがわかる。実施例5より、本発明の
架橋用組成物は安定に保存できることがわかる。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 4J002 AC011 AC031 AC061 AC071 AC081 BB031 BB061 BB121 BB151 BB202 BC031 BE041 BG041 BN151 CP031 EK036 EK046 EK056 EK066 FD146

Claims (2)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】有機過酸化物で高分子化合物を架橋するに
    際し、水添ポリブテンを添加し架橋することを特徴とす
    る高分子化合物の架橋方法。
  2. 【請求項2】水添ポリブテン100重量部と有機過酸化
    物0.2〜100重量部とからなる高分子架橋用組成
    物。
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