JP2003206262A - 脱水反応生成物及び/又はその重合体の製造方法 - Google Patents

脱水反応生成物及び/又はその重合体の製造方法

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JP2003206262A JP2002003867A JP2002003867A JP2003206262A JP 2003206262 A JP2003206262 A JP 2003206262A JP 2002003867 A JP2002003867 A JP 2002003867A JP 2002003867 A JP2002003867 A JP 2002003867A JP 2003206262 A JP2003206262 A JP 2003206262A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 流体送液操作を含んでなる脱水反応生成物及
び/又はその重合体の製造方法であって、流体の送液遅
延を抑制することにより、製造工程での不具合の発生
や、セメント分散剤等の各種の化学製品の性能や品質の
低下を充分に抑制することができる脱水反応生成物及び
/又はその重合体の製造方法を提供する。 【解決手段】 流体送液操作を含んでなる脱水反応生成
物及び/又はその重合体の製造方法であって、該流体送
液操作は、流体の流路に少なくとも2基のストレーナー
を並列に設置することにより流体の送液遅延を抑制する
脱水反応生成物及び/又はその重合体の製造方法。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体送液操作を含
んでなる脱水反応生成物及び/又はその重合体の製造方
法に関する。
【0002】
【従来の技術】脱水反応生成物やその重合体の製造方法
は、エステル化やアミド化等の脱水反応を伴う反応によ
り生成する各種のエステルやアミド等の製造や、これら
エステルやアミド等を(メタ)アクリル酸エステル系単
量体や(メタ)アクリル酸アミド系単量体等として重合
することによる重合体の製造に適用されている。このよ
うな重合体は、例えば、セメント添加剤(セメント分散
剤)、炭酸カルシウム、カーボンブラック、インク等の
顔料分散剤、スケール防止剤、石膏・水スラリー用分散
剤、石炭・水スラリー(CWM)用分散剤、増粘剤等の
化学製品に好適に用いられることになる。
【0003】ところで、脱水反応生成物やその重合体の
製造方法では、各種の流体を送液するための操作、すな
わち流体送液操作を含むことになる。脱水反応生成物を
製造する方法では、例えば、酸触媒を用いてエステル化
反応を行うエステル化反応工程を含む場合、酸触媒が存
在すると水と接触した際に生成物が加水分解するおそれ
がある。このため、通常ではエステル化反応工程の終了
後に酸触媒を中和剤の水溶液で中和する工程が行われる
ことになる。このとき、中和剤を水溶液として送液する
流体送液操作を含むことになる。また、脱水反応生成物
から重合体を製造する方法では、例えば、逐次添加を行
う重合工程を含む場合、通常では重合工程における逐次
添加物を流体として送液する流体送液操作を含むことに
なる。
【0004】しかしながら、流体送液操作において不具
合が生じることにより、流体である中和剤の送液ができ
なくなったり、遅延したりすると、脱水反応生成物の加
水分解が生じることになる。このように、加水分解が生
じると、脱水反応生成物の純度が低下することになり、
また、該脱水反応生成物を重合反応に付することにより
重合体を製造する場合に、加水分解生成物が重合に関与
しない不純物となり、純度が低下したり、重合体の品質
や性能が低下したりすることになる。
【0005】一方、脱水反応生成物から重合体を製造す
る方法では、例えば、脱水反応生成物を逐次添加する場
合、脱水反応生成物の重合体の製造工程でわずかなゲル
状物やガラス片や金属片等の異物により流体送液操作に
不具合が生じるおそれがある。このような場合にも、逐
次添加物の送液ができなくなったり、遅延したりするこ
とになり、得られる重合体の分子量や分子量分布等が設
定通りにならないことになる。
【0006】これらの流体送液操作における不具合は、
重合体から製造される化学製品の性能や品質を低下させ
る原因となる。例えば、セメント分散剤は、コンクリー
ト等のセメント組成物の流動性を向上させると共に、硬
化物の強度や耐久性等も向上させる作用を有するもので
あるが、不純物が混入したり、重合体の性能や品質が低
下したりすると、土木・建築構造物等の硬化物の強度や
耐久性等が低下して安全性の低下や修復コストの増大等
の問題が生じることになる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記現状に
鑑みてなされたものであり、流体送液操作を含んでなる
脱水反応生成物及び/又はその重合体の製造方法であっ
て、流体の送液遅延を抑制することにより、製造工程で
の不具合の発生や、セメント分散剤等の各種の化学製品
の性能や品質の低下を充分に抑制することができる脱水
反応生成物及び/又はその重合体の製造方法を提供する
ことを目的とするものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は、流体送液操作
を含んでなる脱水反応生成物及び/又はその重合体の製
造方法であって、上記流体送液操作は、流体の流路に少
なくとも2基のストレーナーを並列に設置することによ
り流体の送液遅延を抑制する脱水反応生成物及び/又は
その重合体の製造方法である。
【0009】本発明はまた、流体送液操作を含んでなる
脱水反応生成物及び/又はその重合体の製造方法であっ
て、上記流体送液操作は、流体の流路に少なくとも2基
のポンプを並列に設置することにより流体の送液遅延を
抑制する脱水反応生成物及び/又はその重合体の製造方
法でもある。
【0010】本発明者らは、高品質の脱水反応生成物や
それを用いて製造される重合体を効率良く製造するべく
鋭意研究を進めた結果、通常では反応槽に各種の流体を
送液するための操作、すなわち流体送液操作を含むこと
になるが、流体の送液遅延(供給遅延)を抑制すること
により、製造工程での不具合の発生を抑制し、しかも、
脱水反応生成物を用いて製造される重合体を含有する各
種の化学製品の性能や品質を向上することができること
にまず着目し、このような流体の送液遅延を抑制する手
段を見出した。具体的には、(1)流体送液操作におけ
る流体の流路に関し、1つのストレーナーに不具合が生
じても代わりのストレーナーに切り換えることができる
ようにすること、(2)1つのポンプに不具合が生じて
も代わりのポンプに切り換えることができるようにする
ことにより、送液遅延を抑制して上記課題をみごとに解
決することができることに想到し、本発明に到達したも
のである。また、このような流体送液操作における流体
の送液遅延を抑制する手段を有する脱水反応生成物及び
/又はその重合体の製造方法により得られる生成物が高
品質のものとなることから、この生成物をセメント添加
剤用重合体等の製造原料として好適に用いることができ
ることも見出した。以下に、本発明を詳述する。
【0011】本発明の脱水反応生成物及び/又はその重
合体の製造方法は、流体送液操作を含んでなる。脱水反
応生成物及び/又はその重合体の製造方法とは、脱水反
応生成物の製造方法、脱水反応生成物の重合体の製造方
法、又は、これらの方法を続けて行う製造方法を意味す
る。脱水反応生成物の重合体の製造方法とは、脱水反応
生成物から重合体を製造する方法である。脱水反応生成
物の製造方法における通常実施される形態では、脱水反
応工程に続けて、必要に応じて中和工程、溶剤留去工程
等を含んでなり、脱水反応生成物の重合体の製造方法に
おける通常実施される形態では、重合工程、中和工程等
を含んでなる。なお、本発明の脱水反応生成物の重合体
の製造方法における脱水反応生成物としては、エステル
系単量体やアミド系単量体等を適用することが可能であ
る。
【0012】先ず、上記流体送液操作における流体の送
液遅延の抑制方法について説明する。上記流体送液操作
は、(1)流体の流路に少なくとも2基のストレーナー
を並列に設置することにより、また、(2)流体の流路
に少なくとも2基のポンプを並列に設置することにより
流体の送液遅延を抑制することになる。本発明では、こ
れらの方法(1)及び(2)のうちいずれか一方又は両
方を行うことになり、両方を行うと、流体の送液遅延を
抑制することがより確実となることから好ましい。な
お、流体の送液遅延を抑制するとは、流体の送液ができ
なくなったり、流体の送液が設定した送液速度や送液時
間よりも遅延したりすることを抑制することである。
【0013】上記流体送液操作における流体としては特
に限定されず、例えば、脱水反応生成物の製造方法で
は、反応原料、酸触媒、重合禁止剤、脱水溶剤、ゲル化
防止剤等が挙げられ、脱水反応生成物の重合体の製造方
法では、逐次添加物等が挙げられ、これらの流体につい
ては後に詳述する。また、流路とは、流体が通過する通
路である。流体の性質や状況に応じて用いればよく、例
えば、鋼管・鋳鉄管・ステンレス管・銅管・鉛管・塩化
ビニル管等の円管が用いられる。
【0014】上記ストレーナーとは、本明細書において
はろ過手段を行うことができる装置を意味し、例えば、
ポンプ保護用のストレーナー、ポールフィルター、金網
等を用いることができ、特に限定されるものではない。
また、上記ポンプとしては、流体を送液することができ
る装置であれば特に限定されるものではない。ポンプと
しては、(1)ピストンポンプやプランジャーポンプ等
の往復ポンプ、(2)タービンポンプやボリュートポン
プ等の遠心ポンプ、(3)ギアポンプ等の回転ポンプ、
等を挙げることができる。
【0015】上記流体送液操作において、少なくとも2
基のストレーナーを並列に設置するには、例えば、1つ
の流路を分岐させて少なくとも2基のストレーナーを設
置し、各ストレーナーからの流路を合流させることによ
り行うことができる。また、同様に、少なくとも2基の
ポンプを並列に設置するには、例えば、1つの流路を分
岐させて少なくとも2基のポンプを設置し、各ポンプか
らの流路を合流させることにより行うことができる。こ
の場合、ストレーナーやポンプの設置数としては、2基
以上であれば特に限定されず、例えば、多くするほど流
体の送液遅延を抑制することがより確実となるが、流体
送液操作にかかるコストの点から、2基とすることが好
ましい。このような流体送液操作における流体の送液遅
延の抑制方法を図1(1)〜(3)を用いて説明する。
【0016】図1(1)は、本発明における流体送液操
作において、流体の流路に2基のストレーナーを並列に
設置した場合を例示した概念図である。この図では、1
つの流路を2つに分岐させて2基のストレーナーを設置
し、各ストレーナーからの流路を合流させることにより
行う一形態が示されている。この形態では、各ストレー
ナーに切り替えが可能であり、その流路を合流させた流
路にポンプが設置され、このポンプにより流体を送液で
きるような構成となっている。
【0017】図1(2)は、本発明における流体送液操
作において、流体の流路に2基のポンプを並列に設置し
た場合を例示した概念図である。この図では、1つの流
路を2つに分岐させて2基のポンプを設置し、各ポンプ
に切り替えが可能であり、その流路を合流させることに
より行う一形態が示されている。この形態では、各ポン
プにより流体を送液できるような構成となっている。
【0018】図1(3)は、本発明における流体送液操
作において、流体の流路に2基のストレーナーと2基の
ポンプとをそれぞれ並列に設置し、各ストレーナーとポ
ンプとが直列となるようにした場合を例示した概念図で
ある。この図では、1つの流路を2つに分岐させて2基
のストレーナーと2基のポンプとを設置し、各ポンプか
らの流路を合流させることにより行う一形態が示されて
いる。この形態では、各ポンプを適宜切り替えて流体を
送液できるような構成となっている。
【0019】上記図1(1)〜(3)において、矢印の
向きは流体の送液方向を示している。この場合、図1
(1)及び(3)に示すように、ポンプの前にストレー
ナーが設置されるようにすることが好ましい。これによ
り、例え、ゲル状物、ガラス片、金属片等が入ってもポ
ンプが破損することを防止することができる。
【0020】上記流体送液操作では、ストレーナーやポ
ンプの前後(流体の入口側と吐出口側)にバルブを設置
し、いずれか一方のストレーナーやポンプに流体が通過
するように前後のバルブを開け、もう一方のストレーナ
ーやポンプに流体が通過しないように前後のバルブを閉
めることにより、流体が通過しているストレーナーやポ
ンプに不具合が生じて流体の送液ができなくなったり、
流体の送液が設定した送液速度や送液時間よりも遅延し
たりしたときにもう一方のストレーナーやポンプに流体
を通過させるように切り換えることができるようにする
ことが好ましい。これにより、流体の送液遅延を効果的
に抑制することが可能となる。また、流量計により流体
の送液速度等を測定し、ストレーナーやポンプに不具合
が生じていないか監視することが好ましい。流量計とし
ては、例えば、オリフィス計、ピトー管、ロータメー
タ、電磁式流量計等が挙げられる。なお、ストレーナー
やポンプに不具合が生じるとは、ゲル状物、ガラス片、
金属片等によりストレーナーやポンプが詰まったり、破
損や故障したりして任意に使用できなくなることであ
る。
【0021】本発明では、脱水反応生成物の製造方法
が、酸触媒を用いてエステル化反応を行うエステル化反
応工程を含み、上記流体送液操作が、上記エステル化反
応の後に上記酸触媒の中和剤を水溶液として送液するこ
とにより行われることが好ましい。これにより、エステ
ル化物の製造方法において、流体である中和剤水溶液の
送液遅延が抑制されるため、酸触媒が中和されて失活す
る前にエステル化物の加水分解が進行することがより確
実に抑制される。従って、エステル化反応による脱水反
応生成物の純度が向上し、また、脱水反応生成物を重合
反応に付することにより重合体を製造する場合に、加水
分解生成物により純度が低下したり、重合体の品質や性
能が低下したりすることをより確実に抑制することが可
能となる。
【0022】本発明ではまた、脱水反応生成物の重合体
の製造方法が、逐次添加を行う重合工程を含み、上記流
体送液操作が、上記重合工程における逐次添加物を流体
として送液することにより行われることが好ましい。こ
れにより、脱水反応生成物の重合体の製造方法におい
て、逐次添加物の送液遅延が抑制されるため、逐次添加
物の送液速度をより確実に設定通りとすることが可能と
なる。従って、得られる重合体の分子量や分子量分布等
を適切にすることができることになる。この場合、上記
逐次添加物が、上記脱水反応生成物を含むものである
と、例えば、本発明の脱水反応生成物の製造方法により
得られる脱水反応生成物を含むものであると、本発明の
作用効果をより発揮させることができることから好まし
い。このような逐次添加物は、脱水反応生成物の他に、
後に詳述するような重合体を製造するための他の単量体
成分や添加物が含まれていても含まれていなくてもよ
い。
【0023】本発明では更に、脱水反応生成物及び/又
はその重合体が、セメント添加剤の製造原料として用い
られることが好ましい。すなわち本発明の製造方法を用
いて製造される脱水反応生成物から得られる重合体や、
本発明の製造方法を用いて製造される重合体をセメント
添加剤の製造原料として用いることが好ましい。これに
より、セメント添加剤の製造において、その性能や品質
が低下することが抑制されて安定的に製造することが可
能となる。
【0024】次に、脱水反応生成物の製造方法として、
脱水反応工程に続けて、必要に応じて中和工程、溶剤留
去工程等を含んでなる方法について説明する。上記脱水
反応工程は、例えば、反応槽、コンデンサ及び該反応槽
と該コンデンサとを接続する連結管を必須とする脱水反
応装置を用いて行われる。このような脱水反応装置を用
いて、反応槽により脱水反応を行いつつ、コンデンサを
用いて凝縮液化操作を行うことになる。上記脱水反応工
程では、反応槽、コンデンサ、それらをつなぐ連結管以
外の装置を用いてもよく、用いなくてもよいが、脱水反
応が化学平衡となる場合には、反応によって生成される
生成水を反応槽から取り除くと反応が進行することか
ら、コンデンサに水分離器を接続することが好ましい。
【0025】上記脱水反応工程では、(1)反応槽中で
生成する生成水を取り除きやすくするため、反応液に脱
水溶剤を混合し、該脱水溶剤と生成水とを共沸させるこ
とにより気化された留出物を生じさせる操作、(2)該
留出物が反応槽とコンデンサとを接続する配管を通過し
てコンデンサに入り、該コンデンサ中で留出物を凝縮液
化させる操作、(3)凝縮液化された留出物をコンデン
サに接続された水分離器中で脱水溶剤と生成水とに分離
する操作、(4)分離された脱水溶剤を反応槽中に還流
させる操作、等の蒸留操作が行われることになる。
【0026】上記脱水反応工程は、アルコールと(メ
タ)アクリル酸とを含む反応液をエステル化反応させて
エステルを生成する工程、及び/又は、アミンと(メ
タ)アクリル酸とを含む反応液をアミド化反応させてア
ミドを生成する工程であることが好ましい。これらの工
程において反応原料とされる化合物はそれぞれ単独で用
いてもよく、2種以上を併用してもよい。これらの工程
が加水分解生成物を形成しやすいため、本発明の作用効
果を充分に発揮させることができることになる。なお、
本明細書中、上記のエステルやアミドをそれぞれエステ
ル化物やアミド化物ともいう。
【0027】上記エステル化反応に使用されるアルコー
ルとしては、水酸基を有する化合物であれば特に限定さ
れず、例えば、アルコール類、フェノール類、ジオール
類、3価以上のアルコール類、ポリオール類等が挙げら
れる。例えば、アルコール類としては、メタノール、エ
タノール、n−プロパノール、n−ブタノール、2−エ
チルブタノール、n−オクタノール、1−ドデカノー
ル、1−オクタデカノール、2−エチルヘキサノール、
シクロヘキサノール、アリルアルコール、3−メチル−
3−ブテン−1−オール等の1級アルコール;iso−
プロピルアルコール、2−ブタノール、2−ペンタノー
ル、3−ペンタノール、2−ヘプタノール、3−ヘプタ
ノール、メチルアミルアルコール、2−オクタノール、
ノニルアルコールや、日本触媒社製「ソフタノール(商
品名)」等の炭素数12〜14のアルコール等の2級ア
ルコール;tert−ブタノール、tert−ペンタノ
ール等の3級アルコール等が挙げられ、フェノール類と
しては、フェノール、クレゾール、o−クレゾール、m
−クレゾール、p−クレゾール等が挙げられ、ジオール
類としては、モノエチレングリコール、ジエチレングリ
コール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリ
コール、ポリエチレングリコール、モノプロピレングリ
コール、ジプロピレングリコール、ポリエチレンポリプ
ロピレングリコール、ジエタノールアミン、N−ブチル
ジエタノールアミン等が挙げられ、3価以上のアルコー
ル類やポリオール類としては、グリセリン、トリメチロ
ールプロパン、1,3,5−ペンタントリオール、ペン
タエリスリトール、グルコース、フラクトース、ソルビ
トール、グルコン酸、酒石酸、ポリビニルアルコール等
が挙げられる。
【0028】上記アルコールとしてはまた、上記本発明
により製造される脱水反応生成物をセメント添加剤用重
合体の製造原料として用いる場合には、下記一般式
(1)で表される化合物を含有することが好ましく、こ
のような化合物は、アルコールにおける主成分として含
有されることが好ましい。この場合、アルコール中には
付加的にその他の成分を含んでいても含んでいなくても
よい。
【0029】R1O(R2O)nH (1) 式(1)中、R1は、炭素数1〜30の炭化水素基を表
す。R2Oは、同一又は異なって、炭素数2〜18、好
ましくは炭素数2〜8のオキシアルキレン基を表す。n
は、R2Oで表されるオキシアルキレン基の平均付加モ
ル数を表し、0〜300、好ましくは2〜300の数で
ある。なお、平均付加モル数とは、当該化合物1モル中
における当該繰り返し単位のモル数の平均値を意味す
る。
【0030】上記R1の炭素数が30を超えたり、上記
2Oの炭素数が18を超えたりすると、エステル化物
を製造原料として得られる重合体の水溶性が低下し、セ
メント添加剤等に用いる場合の用途性能、すなわちセメ
ント分散性能等が低下するおそれがある。また、上記n
が300を超えると、一般式(1)で表される化合物と
(メタ)アクリル酸との反応性が低下するおそれがあ
る。
【0031】上記R1やR2Oの好適な炭素数の範囲は、
エステル化物の使用用途により設定されることになる。
例えば、エステル化物をセメント添加剤用重合体の製造
原料として用いる場合には、R1としては、例えば、メ
チル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、
n−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキ
シル基、オクチル基、ノニル基、2−エチルヘキシル
基、デシル基、ドデシル基、ウンデシル基、トリデシル
基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル
基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、
エイコシル基、ヘンエイコシル基、ドコシル基等のアル
キル基;フェニル基等のアリール基;ベンジル基、ノニ
ルフェニル基等のアルキルフェニル基;シクロヘキシル
基等のシクロアルキル基;アルケニル基;アルキニル基
等が挙げられる。これらの中でも、炭素数1〜18の直
鎖又は枝分かれ鎖のアルキル基及びアリール基とするこ
とが好ましい。より好ましくは、メチル基、エチル基、
プロピル基、ブチル基、フェニル基である。
【0032】上記R2Oとしては、例えば、オキシエチ
レン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基、オキ
シスチレン基等が挙げられ、これらの中でも、オキシエ
チレン基、オキシプロピレン基、オキシブチレン基が好
ましい。なお、R2Oは、一般式(1)で表される化合
物を構成する繰り返し単位であり、各繰り返し単位は同
一であってもよく、異なっていてもよい。このうち、2
種以上の異なる繰り返し単位を有する場合には、各繰り
返し単位はブロック状に付加していてもよく、ランダム
状に付加していてもよく、特に限定されるものではな
い。
【0033】上記nの範囲についても、エステル化物の
使用用途により設定されることになり、例えば、エステ
ル化物をセメント添加剤用重合体の製造原料として用い
る場合には、2〜300とすることが好ましい。より好
ましくは、5〜200であり、更に好ましくは、8〜1
50である。また、増粘剤等として用いる場合には、1
0〜250とすることが好ましい。より好ましくは、5
0〜200である。
【0034】上記nが0の場合には、水との溶解性や沸
点の点から、上記R1は、炭素数4以上の炭化水素基で
あることが好ましい。すなわちnが0の場合には、特に
メタノールやエタノール等のアルコールでは低沸点のた
め生成水と共に蒸発して生成水中に溶解することによ
り、当該アルコール原料の一部が反応系外に留去され、
目的とするエステル化物の収率が低下することから、こ
れを防止するためである。
【0035】上記アミド化反応に使用されるアミンとし
ては特に限定されず、例えば、アンモニア;メチルアミ
ン、エチルアミン、プロピルアミン、ブチルアミン、ド
デシルアミン、セチルアミン等の脂肪族第一アミン類;
ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジプロピルアミン、
ジアミルアミン等の脂肪族第二アミン類;トリメチルア
ミン、トリエチルアミン、トリプロピルアミン、トリブ
チルアミン等の脂肪族第三アミン類;アリルアミン、ジ
アリルアミン等の脂肪族不飽和アミン類;シクロプロピ
ルアミン、シクロブチルアミン、シクロヘキシルアミン
等の脂環式アミン類;アニリン、モノメチルアニリン、
ジメチルアニリン、ジフェニルアニリン等の芳香族モノ
アミン類;o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジ
アミン等の芳香族ジアミン類;α−ナフチルアミン、β
−ナフチルアミン等のアミノナフタリン類;ジエチレン
トリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレン
ペンタミン、ペンタエチレンヘキサミン、ジプロピレン
トリアミン、トリプロピレンテトラミン、テトラプロピ
レンペンタミン等のポリアルキレンポリアミン類;モノ
エタノールアミン、ジエタノールアミン、ポリエチレン
グリコール(モノ)アミン、ポリエチレングリコール
(ジ)アミン等のオキシエチレンアミン類;尿素、チオ
尿素等の尿素類;ポリエチレンイミン、ポリエチレンイ
ミンへのエチレンオキサイド付加物、ポリエチレンイミ
ンへのプロピレンオキサイド付加物等の高分子類等が挙
げられる。
【0036】上記エステル化反応やアミド化反応では、
(メタ)アクリル酸と共に、又は、(メタ)アクリル酸
に代えて、その他のカルボキシル基を有する不飽和単量
体を用いることができる。カルボキシル基を有する不飽
和単量体とは、少なくともカルボキシル基と不飽和結合
を有する単量体である。具体的には、クロトン酸、チグ
リン酸、シトロネル酸、ウンデシレン酸、エライジン
酸、エルカ酸、ソルビン酸、リノール酸等の不飽和モノ
カルボン酸類;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、
メサコン酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類等や
これらのエステル等が挙げられる。これらは単独で用い
てもよく、2種以上を併用してもよい。
【0037】上記エステル化反応やアミド化反応におい
ては、必要に応じて、反応系に触媒を添加して行っても
よく、触媒の存在下で反応を行うことが好ましい。特に
エステル化反応では酸触媒が好適であり、反応を速やか
に進行させることができる。このような酸触媒として
は、水和物及び/又は水溶液の形態で用いてもよく、例
えば、硫酸、メタンスルホン酸、パラトルエンスルホン
酸、パラトルエンスルホン酸水和物、キシレンスルホン
酸、キシレンスルホン酸水和物、ナフタレンスルホン
酸、ナフタレンスルホン酸水和物、トリフルオロメタン
スルホン酸、「Nafion(商品名、デュポン社
製)」レジン、「Amberlyst 15(商品
名)」レジン、リンタングステン酸、リンタングステン
酸水和物、塩酸等が挙げられる。これらは単独で用いて
もよく、2種以上を併用してもよい。
【0038】上記酸触媒の中でも、後述する脱水溶剤と
水との共沸温度や反応温度等の点から、常圧(1013
hPa)における沸点が高いもの、具体的には、常圧に
おける沸点が150℃以上であるものが好ましい。より
好ましくは、200℃以上である。このような酸触媒と
しては、例えば、硫酸(常圧における沸点:317
℃)、パラトルエンスルホン酸(沸点:185〜187
℃/13.3Pa(0.1mmHg))、パラトルエン
スルホン酸水和物、メタンスルホン酸(沸点:167℃
/1333.2Pa(10mmHg))等が挙げられ
る。これらの中でも、パラトルエンスルホン酸、パラト
ルエンスルホン酸水和物を用いることが好適である。
【0039】上記酸触媒の使用量としては、所望の触媒
作用を有効に発現することができる範囲であれば特に限
定されず、例えば、0.4ミリ当量/g以下とすること
が好ましい。0.4ミリ当量/gを超えると、エステル
化反応時に反応系内で形成されるジエステルの量が増加
し、それらを用いて合成されるセメント添加剤用重合体
のセメント分散能が低下するおそれがある。より好まし
くは、0.36〜0.01ミリ当量/gであり、更に好
ましくは、0.32〜0.05ミリ当量/gである。な
お、酸触媒の使用量(ミリ当量/g)とは、反応に使用
した酸触媒のHの当量数(ミリ当量)を、反応原料の
合計仕込み量(g)で割った値で表され、具体的には、
下記式により算出される値を意味する。
【0040】
【数1】
【0041】上記酸触媒の使用量としてはまた、各種の
化学製品用途に適用される重合体の製造原料となるエス
テル化物やアミド化物の有用性や、このような適用用途
に要求される基本性能である分散性能等に悪影響を及ぼ
すことになるゲル状物発生の防止・抑制の点から、反応
原料の合計重量に対する酸触媒中の酸の重量の比をX
(重量%)とし、酸触媒中の水和物及び/又は水溶液と
して存在する水分の重量の比をY(重量%)とした場合
に、0<Y<1.81X−1.62の関係式を満足する
ことが好ましい。
【0042】上記関係式について具体例を挙げて説明す
れば、例えば、パラトルエンスルホン酸一水和物を例に
とると、反応原料の合計重量に対するパラトルエンスル
ホン酸の重量の比がX(重量%)であり、反応原料の合
計重量に対する一水和物として存在する水分の重量の比
がY(重量%)であるのであって、決して、酸触媒以外
の酸成分として、例えば、原料の(メタ)アクリル酸等
や水分すなわちエステル化反応により生ずる反応生成水
等は、上記XやYの対象物とはなり得ない。
【0043】上記酸触媒の使用量が上記関係式を満足し
ない場合には、例えば、Yが0であると、酸触媒中に水
和物及び/又は水溶液として存在する水分が存在しない
こととなり、エステル化反応時に反応系内で形成される
ゲルの量が増加し、それらを用いて合成されるセメント
分散剤用重合体等の用途性能として、例えば、セメント
分散能等が低下するおそれがある。また、Y≧1.81
X−1.62であると、エステル化反応時に反応系内で
形成されるゲルの量が増加し、上記と同様となる。上記
酸触媒の反応系への添加方法としては、一括、連続又は
順次行ってもよいが、作業性の面からは、反応槽に、反
応原料と共に一括で仕込むことが好ましい。
【0044】上記エステル化反応やアミド化反応は、重
合禁止剤の存在下で行われることが好ましい。これによ
り、反応原料中の不飽和カルボン酸とその生成物である
エステル化物及び/又はアミド化物の重合を防止するこ
とできる。このような重合禁止剤としては、公知の重合
禁止剤が使用でき、特に限定されず、例えば、フェノチ
アジン、トリ−p−ニトロフェニルメチル、ジ−p−フ
ルオロフェニルアミン、ジフェニルピクリルヒドラジ
ル、N−(3−N−オキシアニリノ−1,3−ジメチル
ブチリデン)アニリンオキシド、ベンゾキノン、ハイド
ロキノン、メトキノン、ブチルカテコール、ニトロソベ
ンゼン、ピクリン酸、ジチオベンゾイルジスルフィド、
クペロン、塩化銅(II)等が挙げられる。これらは単
独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。これら
の中でも、溶解性の点から、フェノチアジン、ハイドロ
キノン、メトキノンを用いることが好ましい。これら
は、脱水反応工程においても溶剤留去工程においても極
めて有効に重合禁止能を発揮することができる点から極
めて有用である。
【0045】上記重合禁止剤の使用量としては、反応原
料であるアルコール、アミン及び酸の合計仕込量を10
0重量%とすると、0.001〜1重量%とすることが
好ましい。0.001重量%未満であると、重合禁止能
の発現が充分でなく、反応原料や生成物の重合を有効に
防止しにくくなり、1重量%を超えると、エステル化物
中に残留する重合禁止剤量が増えるため、品質及び性能
が低下するおそれがあり、また、過剰に添加することに
見合う効果も得られず、経済的な面から不利となるおそ
れがある。より好ましくは0.001〜0.1重量%で
ある。
【0046】上記エステル化やアミド化反応における脱
水反応操作としては、脱水溶剤がなくても行えるが、脱
水溶剤を用いて行うことにより、例えば、反応系外に生
成水と脱水溶剤とを共沸させ、凝縮液化して生成水を分
離除去させながら還流させることにより行うことが好ま
しい。これにより、エステル化反応やアミド化反応で生
成する反応生成水を効率よく共沸させることができるこ
とになる。このような脱水溶剤としては、水と共沸する
溶剤であれば特に限定されず、例えば、ベンゼン、トル
エン、キシレン、シクロヘキサン、ジオキサン、ペンタ
ン、ヘキサン、ヘプタン、クロロベンゼン、イソプロピ
ルエーテル等が挙げられる。これらは単独で用いてもよ
く、2種以上を併用してもよい。これらの中でも、水と
の共沸温度が150℃以下であるものが好ましく、60
〜90℃であるものがより好ましい。このような脱水溶
剤として具体的には、シクロヘキサン、トルエン、ジオ
キサン、ベンゼン、イソプロピルエーテル、ヘキサン、
ヘプタン等が挙げられる。水との共沸温度が150℃を
超えると、反応時の反応系内の温度管理や留出物の凝縮
液化処理等の制御等を含む取り扱い性が低下するおそれ
がある。
【0047】上記脱水溶剤を用いる脱水反応操作におい
て、脱水溶剤の使用量としては、反応原料であるアルコ
ール、アミン及び酸の合計仕込量を100重量%とする
と、0〜100重量%とすることが好ましい。100重
量%を超えると、過剰に添加することに見合う効果が得
られず、また、反応温度を一定に維持するために多くの
熱量が必要となり、経済的な面から不利となるおそれが
ある。より好ましくは、2〜50重量%である。
【0048】上記脱水反応工程において、エステル化反
応やアミド化反応は、回分式や連続式いずれの反応操作
方法によっても行い得るが、回分式で行うことが好まし
い。また、反応条件としては特に限定されず、反応が円
滑に進行する条件であればよいが、例えば、反応温度と
しては、30〜180℃とすることが好ましい。より好
ましくは、60〜130℃であり、更に好ましくは、9
0〜125℃であり、最も好ましくは、100〜120
℃である。30℃未満であると、脱水溶剤の還流が遅く
なり、脱水に時間がかかる他、反応が進行しにくくなる
おそれがあり、180℃を超えると、反応原料の一部が
分解することにより、エステル化物やアミド化物により
得られる重合体において、セメント分散性能等の各種用
途における分散性能や増粘特性の低下や、反応原料の重
合、留出物への反応原料の混入量の増加、エステル化物
やアミド化物の性能及び品質の劣化等が生じるおそれが
ある。
【0049】上記反応条件において、反応時間として
は、後述するように反応率が70%以上に達するまでと
することが好ましい。より好ましくは、80%以上に達
するまで、更により好ましくは98%以上に達するまで
である。通常では、1〜100時間、好ましくは3〜6
0時間である。また、反応圧力としては、常圧又は減圧
下のいずれで行ってもよいが、設備面から、常圧下で行
うことが好ましい。
【0050】上記エステル化反応やアミド化反応の反応
率としては、70%以上となるように設定することが好
ましい。70%未満であると、製造されるエステルやア
ミドの収率が不充分であり、これを重合原料として得ら
れるセメント添加剤用重合体等の用途性能、すなわちセ
メント分散能等が低下するおそれがある。より好ましく
は、70〜99%、更に好ましくは、80〜98%であ
る。なお、上記反応率とは、反応原料であるアルコール
やアミンの仕込み時及び反応終了時の量の比率であっ
て、例えば、下記測定条件で液体クロマトグラフィー
(LC)により各々のピーク面積として測定することに
より、下記式により算出される値(%)である。
【0051】
【数2】
【0052】反応率測定条件 解析装置:Waters社製 Millennium
クロマトグラフィーマネージャー(商品名) 検出器:Waters社製 410 RI検出器(商品
名) 使用カラム:GLサイエンス社製 イナートシルOD
S−2(内径4.6mm、長さ250mm)(商品名)
3本 カラム温度:40℃ 溶離液:水8946g、アセトニトリル6000g及び
酢酸54gを混合して、30%水酸化ナトリウム水溶液
でpH4.0に調整した溶液を用いる。 流速:0.6ml/min
【0053】本発明の脱水反応生成物の製造方法では、
脱水反応工程において酸触媒を用いた場合には、酸触媒
や(メタ)アクリル酸を中和する中和工程を行うことが
好ましい。これにより、触媒が活性を失い、エステル化
反応やアミド化反応により得られる脱水反応生成物の加
水分解が抑制され、重合に関与しない不純物の発生が抑
制された結果、重合体の品質や性能の低下を抑制するこ
とが可能となる。また、脱水溶剤を用いた場合には、該
脱水溶剤を取り除くため、脱水溶剤を留去する溶剤留去
工程を行うことが好ましい。
【0054】上記中和工程の方法としては、例えば、エ
ステル化反応やアミド化反応の終了後、酸触媒を中和剤
で中和することにより行う方法が好ましい。上記中和剤
としては、酸触媒を中和できるものであれば特に制限は
ない。例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水
酸化カルシウム、水酸化リチウム等のアルカリ金属、ア
ルカリ土類金属の水酸化物;炭酸ナトリウム、炭酸カル
シウム、炭酸リチウム等のアルカリ金属、アルカリ土類
金属の炭酸塩;アンモニア、モノエタノールアミン、ジ
エタノールアミン、トリエタノールアミン等のアミン類
等を挙げることができ、これらが1種又は2種以上使用
される。また、中和剤の形態としては特に限定されず、
例えば、アルカリ水溶液の形態とすることが好ましい。
【0055】上記中和工程では、酸触媒や(メタ)アク
リル酸が中和されることになるが、酸触媒の全部と、
(メタ)アクリル酸の一部が中和されるように設定する
ことが好ましい。この場合、中和される(メタ)アクリ
ル酸は、エステル化反応やアミド化反応後の残りの(メ
タ)アクリル酸を100重量%とすると、20重量%以
下、好ましくは、0.01〜5重量%であることが好ま
しい。なお、酸触媒と(メタ)アクリル酸とでは、酸触
媒の方が酸強度が大きいため、酸触媒から中和されるこ
とになる。
【0056】上記中和工程における中和方法では、脱水
溶剤中でエステル化反応やアミド化反応を行う場合に
は、アルカリと共に多量の水を反応系に添加することが
好ましい。すなわち多量の水がない状態では、アルカリ
が脱水溶剤に難溶であるために濃い状態で系内に浮遊
し、このような高濃度のアルカリの浮遊は中和に消費さ
れるまでの長時間にわたって消失せず、エステル化物や
アミド化物の加水分解を引き起こすことになる。この場
合、水の添加量としては、アルカリの使用形態にもよる
が、例えば、40〜60重量%のアルカリ水溶液を中和
剤として添加する場合には、アルカリ水溶液とは別に、
アルカリ水溶液の1重量部に対して、通常5〜1000
重量部とすることが好ましい。より好ましくは、10〜
100重量部である。5重量部未満であると、アルカリ
が反応系内で不均一になるおそれがあり、1000重量
部を超えると、生産性を確保するために中和槽が別途必
要となる等、生産コストが上昇するおそれがある。
【0057】上記中和工程における中和温度としては、
例えば、90℃以下とすることが好ましい。より好まし
くは、0〜80℃である。更により好ましくは25〜6
5℃である。90℃を超えると、添加される中和剤が加
水分解の触媒として作用し、加水分解生成物を多量に生
成するようになるおそれがある。80℃以下であると、
加水分解生成物の生成がより充分に抑制されることにな
るが、0℃未満であると、反応液が粘稠になることに起
因して攪拌がしにくくなる他、反応後に水を留去するた
め所定の温度まで昇温するのに長時間を要したり、室温
よりも低い温度まで降温するのに新たに冷却手段(装
置)を設けたりする必要が生じて生産コストが上昇する
おそれがある。
【0058】上記溶剤留去工程において、脱水溶剤の留
去方法としては特に限定されず、例えば、脱水溶剤のみ
を留出するようにして留去してもよく、他の適当な添加
剤を加えて留去してもよいが、水を用いて脱水溶剤と共
沸させて留去することが好ましい。この場合、中和工程
が行われたことにより、反応系内に酸触媒やアルカリが
実質的に存在しないため、水を加えて昇温しても加水分
解反応が起こらない。このような方法により、より低い
温度で効率よく脱水溶剤を除去することができることに
なる。
【0059】上記留去方法の条件としては、反応系内の
脱水溶剤を好適に留出(蒸発)させるように設定すれば
特に限定されず、例えば、溶剤留去中の反応槽内の液温
(常圧下)としては、水を用いる場合には、通常80〜
120℃とすることが好ましい。より好ましくは、90
〜110℃である。また、水を用いない場合には、通常
80〜160℃とすることが好ましい。より好ましく
は、90〜150℃である。上記のいずれの場合にも、
上記温度よりも低いと、脱水溶剤を蒸発させるのに充分
な温度(熱量)とはならないおそれがあり、上記温度よ
りも高いと、重合を引き起こすおそれがある他、多くの
熱量が大量の低沸点原料の蒸発に消費されるおそれがあ
る。反応槽内の圧力としては、常圧下又は減圧下いずれ
で行ってもよいが、設備面から、常圧下で行うことが好
ましい。上記溶剤留去工程において用いる装置系として
は、脱水反応工程で用いた装置系をそのまま使用するこ
とが好ましい。
【0060】本発明の脱水反応生成物の製造方法により
得られる脱水反応生成物は、各種の重合体、すなわちセ
メント分散剤や炭酸カルシウム、カーボンブラック、イ
ンク等の顔料分散剤、スケール防止剤、石膏・水スラリ
ー用分散剤、石炭・水スラリー(CWM)用分散剤、増
粘剤等の化学製品に用いられる重合体を製造するための
製造原料として好適に適用されることになる。
【0061】以下では、本発明の脱水反応生成物の製造
方法により得られる脱水反応生成物を製造原料とするセ
メント分散剤用重合体を製造する方法や、該セメント分
散剤用重合体を含有するセメント添加剤を製造する方
法、該セメント添加剤を使用する方法について説明す
る。
【0062】上記セメント分散剤用重合体としては、得
られた脱水反応生成物と不飽和カルボン酸系単量体を必
須成分とする単量体を重合して得られるポリカルボン酸
系重合体等が挙げられる。このようなポリカルボン酸系
重合体の重合方法としては特に制限はなく、例えば、重
合開始剤を用いての溶液重合や塊状重合等の公知の重合
方法を採用できる。
【0063】上記不飽和カルボン酸系単量体としては例
えば、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、チグリン酸、
シトロネル酸、ウンデシレン酸、エライジン酸、エルカ
酸、ソルビン酸、リノール酸等の不飽和モノカルボン酸
類;マレイン酸、フマル酸、シトラコン酸、メサコン
酸、イタコン酸等の不飽和ジカルボン酸類;これらのジ
カルボン酸とアルコールのモノエステル類等を挙げるこ
とができ、それらの一価金属塩、二価金属塩、アンモニ
ウム塩、有機アミン塩等が挙げることができる。
【0064】ポリカルボン酸系重合体には、必要に応じ
て不飽和カルボン酸系単量体以外の単量体を共重合させ
ることもできる。このような単量体としては、(メタ)
アクリルアミド、(メタ)アクリルアルキルアミド等の
不飽和アミド類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等の
ビニルエステル類;ビニルスルホン酸、(メタ)アリル
スルホン酸、スルホエチル(メタ)アクリレート、2−
メチルプロパンスルホン酸(メタ)アクリルアミド、ス
チレンスルホン酸等の不飽和スルホン酸類やそれらの一
価金属塩、二価金属塩、アルモニウム塩、有機アミン塩
類;スチレン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル
類;炭素数1〜18、好ましくは1〜15の脂肪族アル
コールやベンジルアルコール等のフェニル基を有するア
ルコールと(メタ)アクリル酸とのエステル類;ポリア
ルキレングリコールモノ(メタ)アクリレート;ポリア
ルキレングリコールモノ(メタ)アリルエーテル等が挙
げられる。
【0065】上記ポリカルボン酸系重合体は、特定の重
量平均分子量を有する重合体であることが好ましい。例
えば、下記測定条件のゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー(以下、「GPC」という)によるポリエチレ
ングリコール換算での重量平均分子量としては、例え
ば、500〜500000であることが好ましい。50
0未満であると、セメント添加剤の減水性能が低下する
おそれがあり、500000を超えると、セメント添加
剤の減水性能、スランプロス防止能が低下するおそれが
ある。より好ましくは、5000〜300000であ
り、最も好ましくは8000〜100000の範囲であ
る。
【0066】上記GPCは、溶離液貯蔵槽、溶離液の送
液装置、オートサンプラー、カラムオーブン、カラム、
検出器、データ処理機等から構成される。例えば、下記
の市販の装置を組み合わせることにより測定条件を設定
して分子量を測定することができる。
【0067】分子量測定条件 機種 :LCモジュール1plus(商品名、WATE
RS社製) 検出器:示差屈折計(RI)410示差屈折計(商品
名、WATERS社製) 溶離液:0.05M 酢酸ナトリウム、アセトニトリル
/イオン交換水=40/60混合液を酢酸でpHを6に
調整したものを使用する。 溶離液の流量:1.0ml/min カラム: TSK−GEL ガードカラム(内径6mm、長さ40
mm) +TSK−GEL G−4000SWXL(内径7.8
mm、長さ300mm) +TSK−GEL G−3000SWXL(内径7.8
mm、長さ300mm) +TSK−GEL G−2000SWXL(内径7.8
mm、長さ300mm) (いずれも商品名、東ソー社製) カラムオーブンの温度:40℃
【0068】検量線:検量線は、標準試料の分子量や
数、ベースラインの引き方、検量線近似式の作製方法等
により変化する。このため、以下の条件を設定すること
が好ましい。 1.標準試料 標準試料には、市販の標準ポリエチレンオキシド(PE
O)と標準ポリエチレングリコール(PEG)を使用す
る。標準試料には、次の分子量のものを使用することが
好ましい。 1470、4250、7100、12600、2400
0、46000、85000、219300、2725
00(合計9点) これらの標準試料は、以下の点に配慮して選択した。 (1)分子量900以上の標準試料を7点以上使用す
る。 (2)分子量900〜2000の標準試料を少なくとも
1点含む。 (3)分子量2000〜60000の標準試料を少なく
とも3点含む。 (4)分子量200000±30000の標準試料を少
なくとも1点含む。 (5)分子量270000±30000の標準試料を少
なくとも1点含む。
【0069】2.ベースラインの引き方 分子量の上限:水平で安定なベースラインからピークが
立ち上がる点とする。 分子量の下限:主ピークの検出が終了した点とする。 3.検量線の近似式 上記標準試料を用いて作製した検量線(「溶出時間」対
「log分子量」)は3次式の近似式を作製し、これを
計算に用いる。
【0070】上記ポリカルボン酸系重合体を含有するセ
メント分散剤では、良好なセメント分散性能及びスラン
プ保持性能を発揮することができるが、必要により、ポ
リカルボン酸系重合体以外の公知のセメント添加剤(セ
メント分散剤)を更に配合してもよい。
【0071】上記セメント分散剤ではまた、空気連行
剤、セメント湿潤剤、膨張剤、防水剤、遅延剤、急結
剤、水溶性高分子物質、増粘剤、凝集剤、乾燥収縮低減
剤、強度増進剤、硬化促進剤、消泡剤等を配合すること
ができる。このようにして得られるセメント分散剤は、
セメントや水を含有するセメント組成物として、例え
ば、ポルトランドセメント、ビーライト高含有セメン
ト、アルミナセメント、各種混合セメント等の水硬セメ
ントや、石膏等のセメント以外の水硬性材料に用いられ
ることになる。
【0072】上記セメント分散剤の水硬性材料への添加
量としては、従来のセメント分散剤に比較して少量の添
加でも優れた効果を発揮することになるが、例えば、水
硬セメントを用いるモルタルやコンクリート等に使用す
る場合には、セメントの重量を100重量%とすると、
0.001〜5重量%となるような比率の量を練り混ぜ
の際に添加すればよい。0.001重量%未満である
と、セメント分散剤の作用効果が充分に発揮されないお
それがあり、5重量%を超えると、その効果は実質的に
頭打ちとなり、経済性の面からも不利となるおそれがあ
る。より好ましくは、0.01〜1重量%である。これ
により、高減水率の達成、スランプロス防止性能の向
上、単位水量の低減、強度の増大、耐久性の向上等の各
種の作用効果を奏することになる。
【0073】
【発明の実施の形態】本発明の脱水反応生成物の製造方
法について、装置構成の一実施形態の概略図を示した図
2及び図3を用いて説明する。なお、このような実施形
態は本発明の代表的な一例であり、本発明の実施形態は
これに限られるものではない。
【0074】図2では、先ず所定温度まで昇温して脱水
反応工程を行った後、所定温度まで降温して中和工程を
行い、次いで所定温度まで昇温し脱水溶剤の溶剤留去工
程を行うための装置構成が示されている。このような装
置構成では、反応槽101内で脱水反応時に生成される
反応生成水を含む留出物を留出させ、ゲル状物の発生を
防止しながらコンデンサ125にて凝縮液化した後に、
水分離器127にて反応生成水を分離除去し、残りの留
出物をポンプ142により所定の溶剤循環速度で還流さ
せて反応槽101に戻す循環機構が形成されている。こ
のような循環機構では、反応槽101上部と向流又は並
流接触形式の縦型多管式熱交換器(コンデンサ)125
の塔頂部とが配管123により連結され、コンデンサ1
25の下底部と水分離器127の上部とが配管129に
より連結されることにより、反応槽101と水分離器1
27とが配管129で繋がっている。以下では、脱水反
応としてエステル化反応を行う場合について説明する。
【0075】上記反応槽101は、内部ヒータ等の直接
加熱方式、外部ジャケット等の間接の熱交換方式等の熱
交換手段として、加庄スチーム等を熱媒体に使用し得る
外部ジャケット102が設けられている。このような反
応槽の内部の材料としては特に限定されず、公知の材料
が使用できるが、例えば、SUS製、好ましくは、耐蝕
性の点から、SUS304、SUS316、SUS31
6L、より好ましくは、SUS316、SUS316L
等が挙げられる。また、反応槽の内部にグラスライニン
グ加工等が施されて反応原料及び生成物に対して不活性
なものとしてもよい。
【0076】上記反応槽101内には、反応温度を計測
するための温度センサ(図示せず)が適当な数カ所の部
位に取り付けられている。このような温度センサは、反
応温度を規定の温度に保つのに必要な装置機構等を制御
するための制御部本体(図示せず)に電気的に接続され
ている。上記装置機構としては、例えば、反応槽101
に取り付けられたジャケット102等が挙げられる。
【0077】上記コンデンサ125の材質としては、S
US304、SUS316、SUS316L等のSUS
製や炭素鋼(CS)等、公知のものが使用できる。ゲル
状物の発生をより低減するために、内面を鏡面仕上げや
グラスライニング加工されたコンデンサを使用できる
が、加工やメンテナンスにかかるコストの点から、SU
S304、SUS316、SUS316L、好ましく
は、SUS316、SUS316L等のSUS製のコン
デンサを用いることが好ましく、このようなコンデンサ
を用いた場合でも、本発明の作用効果を発揮させること
ができる。
【0078】上記コンデンサ125の伝熱面積として
は、反応槽の容積等によって異なるが、例えば、反応槽
30mでは、50〜500mとすることが好まし
い。より好ましくは、100〜200mである。この
ようなコンデンサに使用される冷却媒体としては、例え
ば、水やオイル等が挙げられる。
【0079】上記水分離器127としては、材質をSU
S製とすることが好ましく、その内部には仕切板131
が設けられており、仕切板131で区切られた2つの室
133及び134が形成されている。このうち、コンデ
ンサ125で凝縮液化された留出物が貯められる側の室
133の下部と反応生成水の処理タンク135とが配管
137により連結されている。処理タンク135には廃
水用の配管139が連結され、水分離器127のもう一
方の室134の下部と反応槽101とが配管141で連
結され、この配管141には、反応槽101内の反応生
成水と共沸する脱水溶剤を貯蔵する脱水溶剤貯蔵タンク
143と連結された配管145が合流(連結)されてい
る。また、合流点の手前(水分離器127側)の配管1
41の経路上には循環ポンプ142が設置され、合流点
の後方(反応槽101側)の配管141の経路上には流
量計144が設けられている。更に、該流量計144に
は、計測される流量を積算し、溶剤循環速度を算出する
ための流量計測システム本体(図示せず)と電気的に接
続されている。
【0080】上記反応槽101に、アルコール原料用の
ステンレススチール(例えば、SUS316)製の原料
貯蔵タンク103、(メタ)アクリル酸原料用の原料貯
蔵タンク105、酸触媒用の触媒貯蔵タンク107、及
び、脱水反応後に酸触媒を中和処理するための中和剤
(中和剤水溶液)を貯蔵したカーボンスチール(例え
ば、高炭素鋼)製の中和剤貯蔵タンク111が備えら
れ、それぞれ配管113、115、117及び121に
より連結されている。また、脱水反応時の反応系(反応
槽101)内の重合を防止するための重合禁止剤を貯蔵
した重合禁止剤貯蔵タンク109、及び、エステル化反
応終了後の脱水溶剤の留去時の系内(反応槽101)で
の重合を防止するための水溶性重合禁止剤を貯蔵した水
溶性重合禁止剤貯蔵タンク110が、それぞれ配管11
9及び120により反応槽101と連結されている。
【0081】上記図2ではまた、中和剤貯蔵タンク11
1に連結された配管121に2基のストレーナー162
及び163と、2基のポンプ164及び165とがそれ
ぞれ並列に設置され、また、ストレーナー162及びポ
ンプ164と、ストレーナー163及びポンプ165と
がそれぞれ直列となるように設置されている。また、ス
トレーナー162の前(入口側)とポンプ164の後ろ
(吐出口側)とにバルブ166及び167が設置され、
ストレーナー163の前とポンプ165の後ろとにバル
ブ168及び169が設置されている。更に、流量計
(図示せず)が設置されて、中和剤の送液速度等が監視
できるようになっている。この図では、バルブ166及
び167が開けられ、バルブ168及び169が閉めら
れ、これにより、中和剤がストレーナー162及びポン
プ164が設置されている流路を通過して反応槽101
に送液されるように設定されている。この場合に、中和
剤が通過するストレーナー162やポンプ164に不具
合が生じて中和剤の送液ができなくなったり、中和剤の
送液が設定した送液速度よりも遅延したりしたときに、
バルブ166及び167を閉め、バルブ168及び16
9を開けてもう一方のストレーナー163及びポンプ1
65を用いて中和剤を送液させることにより、中和剤の
送液遅延をより確実に抑制することが可能となる。この
ように中和剤の送液遅延を抑制することにより、本発明
の作用効果を効果的に発揮することができるが、図2の
実施形態における他の流体についても適用可能である。
【0082】上記原料貯蔵タンク105では、(メタ)
アクリル酸が重合しやすく、例えば、メタクリル酸で
は、長期の保存や熱等によっても重合するため、通常で
は0.1重量%メトキノン等の微量の重合禁止剤が(メ
タ)アクリル酸に添加されている。また、図2では、常
時30〜40℃に保温するため、ポンプ116を用いた
外部ジャケット150(保温手段)を有する循環経路1
51が設けられ、(メタ)アクリル酸原料を常に30〜
40℃に保持して重合しないように循環させるような装
置構成となっている。
【0083】上記原料貯蔵タンク105、配管115、
ポンプ116及び循環経路151内部には、腐食性を有
する(メタ)アクリル酸による腐食を防止するため、合
成樹脂等の耐食性材料によるライニング加工が施されて
いるものを使用することが好ましい。同様に、触媒貯蔵
タンク107、配管117、ポンプ157にも、酸触媒
による腐食を防止するため、テフロン(登録商標)、塩
化ビニル等合成樹脂等の耐酸性材料によるライニング加
工が施されているものを使用することが好ましく、ポン
プ157にはマグネットポンプを用いることが好まし
い。重合禁止剤の貯蔵タンク109、ゲル化防止剤の貯
蔵タンク147、159には、攪拌装置を備えている
(図示せず)。粉末状の重合禁止剤を溶剤に溶解させる
場合には、充分に攪拌を行い、完全に溶解させることが
好ましい。しかしながら、何らかの原因で完全に溶解し
ていない重合禁止剤又はゲル化防止剤の溶液を、ポンプ
(図示せず)で送液すると、ポンプは閉塞を起こし停止
することがある。このような事態は、溶解さえ充分であ
れば起こり得ないことであるが、これら重合禁止剤又は
ゲル化防止剤の溶液を送液するポンプには、少々のスラ
リー状の液体が送液されても滞りなく送液を継続できる
ポンプが好ましい。また、溶剤に溶解した重合禁止剤又
はゲル化防止剤を送液する場合には、テフロン(登録商
標)、バイトン(商品名)等の耐薬性の材料でシールさ
れたポンプを使用することが好ましい。この様な条件を
満たすポンプとしては、モーノポンプ(兵神装備社製)
に適当なシールを施すのが最適である。また、反応槽1
01の下部には、エステル化反応により反応槽101内
部に合成されたエステル化物やアミド化物を回収するた
めの配管153が連結されている。
【0084】上記図2では更に、コンデンサ125にお
けるゲル状物の発生を抑制するため、コンデンサ125
の塔頂部には噴霧ノズル126が設けられており、この
噴霧ノズル126は、留出物のゲル化防止用のゲル化防
止剤を貯蔵するゲル化防止剤貯蔵タンク147と配管1
49により連結されている。
【0085】上記循環機構の一部は、脱水反応後に、系
内(反応槽101内)の生成物であるエステル化物やア
ミド化物を含有する溶液から脱水溶剤を含む留出物を留
出し、ゲル状物の発生を防止しながら凝縮液化した後
に、脱水溶剤を含む留出物を系外に除去するための循環
機構としても利用されている。また、上記図2では、脱
水溶剤を含む留出物のゲル化を防止するため、新たにコ
ンデンサ125の塔頂部に設けられた噴霧ノズル126
に、水溶性重合禁止剤を溶かした水溶液(以下、単に
「水溶性ゲル化防止剤」ともいう)を貯蔵する水溶性ゲ
ル化防止剤貯蔵タンク159が配管161により連結さ
れている。
【0086】上記図2では、以上の装置構成により、以
下に説明するように脱水反応生成物の製造が行われるこ
とになる。先ず、脱水反応工程として、反応槽101内
部に、各原料貯蔵タンク103及び105、触媒貯蔵タ
ンク107、重合禁止剤貯蔵タンク109、並びに、脱
水溶剤貯蔵タンク143より、配管113、115、1
17、119及び配管145を介した配管141を通じ
て、反応原料であるアルコール及び(メタ)アクリル
酸、酸触媒、重合禁止剤及び脱水溶剤をそれぞれ所定量
を仕込み、適宜設定された反応温度、ジャケット温度、
圧力等の反応条件でエステル化反応やアミド化反応を行
う。これにより逐次生成する反応生成水は、反応槽10
1内に仕込まれた脱水溶剤と共沸され配管123を通じ
て留出されることになる。留出されてきたガス流体、す
なわち溶剤−水共沸物である留出物は、コンデンサ12
5に通され凝縮液化される。また、上記図2では、ゲル
化防止剤貯蔵タンク147より配管149を通じてコン
デンサ125の塔頂部に設けられた噴霧ノズル126か
ら所定量のゲル化防止剤を連続的に滴下して、ガス流体
や凝縮液化物である留出物と並流接触させている。
【0087】次いで、凝縮液化された留出物は、コンデ
ンサ125の下部より配管129を通じて水分離器12
7の室133に貯められ、水相と溶剤相の2層に分離さ
れることになる。このうち、下層部の反応生成水は、室
133の下部より配管137を通じて逐次抜かれ、反応
生成水の処理タンク135に貯められる。そして、処理
タンク135内で、必要に応じて、環境基準(廃水基
準)値を満足するように化学的又は生物学的に処理され
た後、配管139を通じて、本装置系外に廃水される。
一方、水分離器127において、低沸点原料を含有する
溶剤相は、仕切板131をオーバーフローして隣の室1
34に貯められる。そして、溶剤相は該室134の下部
よりポンプ142により配管141を通じて所定の溶媒
循環速度で還流され反応槽101に戻されることにな
る。
【0088】更に、中和工程として、脱水反応終了後、
降温し反応槽101の内温(液温)が、例えば、60℃
以下に降温するまで、反応槽101の外部ジャケット1
02に冷媒を通じて降温し、その後は所定温度以下を維
持するように適宜調整しながら、中和剤貯蔵タンク11
1より配管121を通じて反応槽101内に、多量の水
により所定の濃度まで薄められたアルカリ水溶液(中和
剤)を添加することにより酸触媒や(メタ)アクリル酸
の一部を部分中和することになる。このとき、中和剤の
添加、すなわち送液に支障をきたすことがないため、反
応槽101内で酸触媒が存在することによる加水分解が
より確実に抑制されることになる。
【0089】上記中和工程が終了後、溶剤留去工程とし
て、常圧下に、反応槽101の外部ジャケット102に
熱媒(加圧スチーム)を通じて所定の温度まで昇温する
ことにより、反応槽101内の脱水溶剤及び部分中和処
理の際に加えられている多量の水の他、(メタ)アクリ
ル酸等の未反応の低沸点原料も共沸されて、配管123
を通じて留出されることになる。留出されてきたガス流
体である溶剤−水共沸物は、コンデンサ125に通され
凝縮液化されることになる。
【0090】上記溶剤留去工程において凝縮液化された
留出物は、留出した脱水溶剤を反応槽101に還流させ
ない以外は、上記脱水反応工程における凝縮液化された
留出物と同様に処理されることになる。
【0091】上記溶剤留去工程においては、溶剤と共に
脱水反応工程に比して多量の水がコンデンサ125に入
る。重合性化合物がゲル化するのを防止するため、水溶
性ゲル化防止剤貯蔵タンク159より配管161を通じ
てコンデンサ125の塔頂部に設けられた噴霧ノズル1
26から所定量の水溶性ゲル化防止剤を連続的に滴下し
て、留出物と接触させることが好ましい。
【0092】上記溶剤留去工程の後、反応槽101内
に、配管(図示せず)により連結されている水貯蔵タン
ク(図示せず)又は上水管(図示せず)より調整水を添
加して所望の脱水反応生成物の水溶液を得ることにな
る。得られる脱水反応生成物の水溶液は、配管153よ
り回収(貯蔵)される。なお、得られる脱水反応生成物
をセメント添加剤用重合体等の製造に用いる場合には、
脱水反応生成物を単量体成分の1つとして、図3に示す
ような反応槽201を用いて重合を行ってもよく、反応
槽101で重合を行ってもよい。このようにしてセメン
ト添加剤の主要組成成分となり得る重合体を合成するこ
とができる。
【0093】図3では、製造された脱水反応生成物を重
合用原料として調製した後、この重合用原料を反応槽に
逐次添加しつつ、重合工程を行うための装置構成が示さ
れている。このような装置構成では、反応槽101によ
り製造された脱水反応生成物を重合用原料貯蔵タンク2
03に送液し、更に反応槽201に送液するための送液
機構が形成されている。このような送液機構では、反応
槽101の下底部と重合用原料貯蔵タンク203の上部
とが配管204により連結され、重合用原料貯蔵タンク
203の下底部と反応槽201の上部とが配管205及
び217により連結されている。また、配管205は、
後述するように逆止弁216及びスタティックミキサー
223を介して配管217に連結されている。
【0094】上記重合工程では、反応槽201内部に、
重合用原料貯蔵タンク203より、配管205を通じ
て、重合用原料を逐次添加物として送液して逐次添加
し、適宜設定された反応温度、ジャケット温度、圧力等
の反応条件で重合を行う。このとき、重合用原料貯蔵タ
ンク203に反応槽101で製造された脱水反応生成物
以外の単量体や連鎖移動剤、水、溶剤等を混合させても
よく、これらや重合開始剤を別の原料貯蔵タンク(図示
せず)に仕込んでおいて反応槽201内部に送液した
り、反応槽201に直接仕込んだりしてもよい。
【0095】上記図3ではまた、重合用原料貯蔵タンク
203に連結された配管205が分岐し、そこに2基の
ストレーナー207及び208が並列に設置され、スト
レーナー207の前(入口側)と後ろ(吐出口側)とに
バルブ211及び212が設置され、ストレーナー20
8の前と後ろとにバルブ213及び214が設置されて
いる。また、ストレーナー207及び208からの流路
を合流させた流路にポンプ209及び流量計(図示せ
ず)が設置され、このポンプにより流体を送液できるよ
うな構成となっている。この図では、バルブ211及び
212を開け、バルブ213及び214を閉めることに
より、重合用原料貯蔵タンク203にある逐次添加物が
ストレーナー207が設置されている流路を通過して、
ポンプ209を介して反応槽201に送液されるように
設定され、逐次添加物が通過するストレーナー207に
不具合が生じて逐次添加物の送液ができなくなったり、
逐次添加物の送液が設定した送液速度よりも遅延したり
したときに、バルブ211及び212を閉め、バルブ2
13及び214を開けてもう一方のストレーナー208
を用いて逐次添加物を送液させることにより、逐次添加
物の送液遅延をより確実に抑制することが可能となる。
このように逐次添加物の送液遅延を抑制することによ
り、本発明の作用効果を効果的に発揮することができる
が、図3の実施形態における他の流体(図示せず)につ
いても適用可能である。
【0096】上記図3において、反応槽201の構造や
内部の材料は、反応槽101と同様とし、重合用原料貯
蔵タンク203の構造や内部の材料、貯蔵方法は、原料
貯蔵タンク105と同様とし、配管204及び205
や、ストレーナー207及び208、ポンプ209の内
部の材料は、配管115やポンプ116と同様とするこ
とが好ましい。
【0097】上記重合工程の後、反応槽201内で成分
調製を適宜行って所望の重合体の溶液を得ることにな
る。得られる重合体の溶液は、配管206より回収(貯
蔵)された後、各種の化学製品として調製されることに
なる。
【0098】
【実施例】以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説
明するが、本発明は、これら実施例のみに限定されるも
のではない。なお、「部」は、特に断りのない限り「重
量部」を意味し、「%」は、「重量%」を意味する。
【0099】実施例1 脱水反応生成物の製造例1〔エ
ステル化〕 (1)脱水反応工程 温度計、攪拌機、生成水分離器及び縦型多管式熱交換器
(コンデンサ)各1個を備えた外部ジャケット付円筒型
反応槽にメトキシポリ(n=25)エチレングリコール
33000部、メタクリル酸9640部、パラトルエン
スルホン酸水和物の70%水溶液1334部、フェノチ
アジン10部及びシクロヘキサン2120部を仕込み、
反応温度110〜120℃でエステル化反応を行った。
【0100】反応槽には、内径3.0m、高さ3.8m
の円柱の上部と下部を楕円曲面(2対1)とした俵型の
反応槽を用いた。反応槽の容量は約30mである。反
応槽は、蒸気や温水による加熱ができる外部ジャケッ
ト、2段各3枚の後退翼((上段)羽根径1.05m、
羽根幅0.12m、(下段)羽根径1.65m、羽根幅
0.12m)及び邪魔棒を備えた攪拌装置、底部には反
応液の抜き出し等に使用するフラッシュ弁、上部にはマ
ンホールや原料投入口等を装備した。材質はSUS製と
し、反応槽内部及び攪拌装置はグラスライニングとし
た。コンデンサには、縦型固定管板式熱交換器を作製し
て用いた。
【0101】コンデンサは、胴部(シェル)内径0.8
5m、高さ4.0mの円柱の上部と下部を楕円曲面(2
対1)とした俵型であり、内部には上下の管板及び7枚
の邪魔板と、624本の伝熱管(チューブ)(外径24
mm、内径20mm、長さ3.5m)等を装備した。伝
熱面積は161m2である。材質はSUS304製とし
た。コンデンサは、塔頂部にゲル化防止剤の溶液を噴霧
できる構造となっている。
【0102】別途、溶解槽にフェノチアジン0.6部と
シクロヘキサン600部を混合し、シクロヘキサンの還
流開始(内温107℃)からエステル化反応終了までの
間、コンデンサの塔頂部へモーノポンプ(兵神装備社
製)を用いてスプレーノズルから噴霧した。また、反応
槽の連結部にも、シクロキサンをスプレーノズルから噴
霧して、メタクリル酸の重合を防止した。16時間でエ
ステル化率が98.3%に達したのを確認した。
【0103】(2)中和工程 反応槽に、内部に中和剤として4.2%水酸化ナトリウ
ム水溶液を貯蔵し、内容量が約6m3のSUS304製
の中和剤貯蔵タンク(内径1.6m、高さ2.6m)
を、内径が40mmのSUS304製の配管により連結
した。この配管に、図1(3)に示されるように、途中
から分岐して再び合流させ、その間にストレーナー(ス
リーエム工業社製、100メッシュ)とポンプ(日機装
社製、ノンシールポンプ、型番:HN23D−B2)、
手動式ボールバルブを設置した。手動式ボールバルブ
は、各ストレーナーの入口側とポンプの各吐出側に設置
した。また、流量計をポンプの吐出側の配管合流点後方
に設置した。
【0104】得られたエステル化反応液を65℃まで降
温し、4.2%水酸化ナトリウム水溶液5470部及び
水4520部を加えてパラトルエンスルホン酸の全部と
メタクリル酸の一部を中和した。この際、中和剤貯蔵タ
ンクと流量計の間に設けられたストレーナー及びポンプ
のうち一組に中和剤(水酸化ナトリウム水溶液)を通渦
させ、中和剤の送液速度は最大として中和剤を投入し
た。この間、異物によるポンプの故障やストレーナーの
詰まりも無く、所定量を60分で投入できた。
【0105】中和工程後、エステル化率は98.0%と
なった。中和剤を60分以内で投入できたため、加水分
解を抑制できた。ポンプの故障やストレーナーの詰まり
が発生した場合には、もう一方の並列に設置したポンプ
に切り替えるように準備した。
【0106】(3)溶剤留去工程 中和後98℃まで昇温し、シクロヘキサンを水との共沸
で留去した。シクロヘキサンの留去中、コンデンサの塔
頂部へハイドロキノン2部を含む水702部をモーノポ
ンプで噴霧し、留出水に含まれるメタクリル酸の重合を
防止した。シクロヘキサンを留去後、冷却してエステル
化物の水溶液(M1)を得た。得られた水溶液(M1)
は、別途設けた重合用原料貯蔵タンク(図3参照)に送
液した。
【0107】比較例1 脱水反応生成物の製造例2〔エ
ステル化〕 上記実施例1の(2)中和工程での中和剤添加時間を検
討する為に、所定量を120分かけて投入した以外は実
施例1と同様に脱水反応生成物を得た。この場合、中和
工程後エステル化率は97.7%となり、得られた水溶
液(M2)のエステル化物の純度が低下した。ポンプが
故障したり、ストレーナーが詰まり、中和剤の供給が遅
れると、加水分解が進行してエステル化物の純度が低下
することが判明した。
【0108】実施例2 セメント添加剤の製造例1〔重
合〕 次に、温度計、攪拌機、滴下装置、窒素導入管、安全弁
を備えたグラスライニング製反応容器に、水16440
重量部を仕込み、攪拌しながら反応容器内を窒素ガスで
置換し、窒素雰囲気下で水の温度を80℃まで加熱し
た。反応槽には、内径3.0m、高さ3.8mの円柱の
上部と下部を楕円曲面(2対1)とした俵型の反応槽を
用いた。反応槽の容量は約30m3である。反応槽は、
蒸気や温水による加熱ができる外部ジャケット、2段各
3枚の後退翼((上段)羽根径1.05m、羽板幅0.
12m、(下段)羽根径1.65m、羽根幅0.12
m)及び邪魔棒を備えた攪拌装置、底部には反応液の抜
き出し等に使用するフラッシュ弁、上部にはマンホール
や原料投入口等を装備した。材質はSUS製とし、反応
槽内部及び攪拌装置はグラスライニングとした。
【0109】一方、連鎖移動剤水溶液貯蔵タンクでメル
カプトプロピオン酸192重量部と水1200重量部の
連鎖移動剤水溶液を作製した。この連鎖移動剤水溶液1
392部を重合用原料貯蔵タンクの単量体混合物水溶液
(M1)26200重量部とスタティックミキサー(ノ
リタケ社製;T8−15−4PT)で混合しながら4時
間かけて反応容器内に滴下した。連鎖移動剤水溶液貯蔵
タンク(内容量:1m3、材質:SUS304)は、内
径が40mmのSUS304製の配管により反応槽に連
結した。
【0110】この配管は、図3に示されるように途中か
ら分岐して再び合流させ、その間にストレーナー2基
(スリーエム工業社製、60メッシュ)とバルブを設置
した。合流点後方にはポンプ(荏原製作所社製ポンプ、
型番:QY664107)と流量計を設置した。ストレ
ーナーとその両側のバルブの一組は閉じ、もう一組のバ
ルブは開いて合成を開始した。単量体混合物水溶液の滴
下開始と同時に、重合開始剤として過硫酸アンモニウム
250重量部を水2000重量部に溶解した水溶液を5
時間かけて滴下した。
【0111】単量体混合物水溶液(M1)を3時間で1
9650重量部投入したとき、ストレーナーに異物によ
る詰まりが発生した。連続的に単量体混合物を反応槽に
供給する為に、閉じてあった一組のバルブを開いて、単
量体混合物の供給を維続した。異物が詰まったストレー
ナーは、すぐに両側のバルブを閉じて掃除した。ストレ
ーナーにはゲル状の異物0.5重量部があった。異物に
よるストレーナーの詰まりが生じたが、すぐに側管に切
り替えることにより、所定量の単量体混合物水溶液を所
定時間(4時間)で投入できた。
【0112】重合開始剤の滴下終了後、更に1時間引き
続いて反応温度を80℃に維持して重合反応を完結さ
せ、反応溶液に49%水酸化ナトリウム水溶液3320
重量部及び水7960重量部を加えてpH7まで中和し
て、重量平均分子量(ゲルパーミエーションクロマトグ
ラフィー(GPC)によるポリエチレングリコール換
算;以下、同様とする)20600の重合体水溶液(P
1)を得た。
【0113】比較例2 セメント添加剤の製造例2〔重
合〕 上記実施例2で単量体混合物水溶液(M1)の供給停止
の影響を検討する為に、供給開始3時間後にポンプを停
止して、その1時間後にポンプを再起動した以外は、実
施例2と同様にして重合体水溶液(P2)を得た。重合
体水溶液(P2)の重量平均分子量は19600であっ
た。なお、単量体混合物水溶液(M1)の供給停止中、
連鎖移動剤水溶液および重合開始剤水溶液の供給も停止
し、反応槽の内液の温度は80℃に維持した。ポンプが
故障したり、ストレーナーが詰まり、単量体混合物水溶
液(M1)の供給が遅れると、重量平均分子量が低下す
ることが判明した。
【0114】
【発明の効果】本発明の脱水反応生成物及び/又はその
重合体の製造方法は、上述の構成よりなるので、製造工
程での不具合の発生を抑制し、得られる脱水反応生成物
及び/又はその重合体を高品質なものとして各種の化学
製品の性能や品質の低下を充分に抑制することができ
る。このような脱水反応生成物及び/又はその重合体
は、セメント添加剤(セメント分散剤)や炭酸カルシウ
ム、カーボンブラック、インク等の顔料分散剤、スケー
ル防止剤、石膏・水スラリー用分散剤、石炭・水スラリ
ー(CWM)用分散剤、増粘剤等の化学製品の製造原料
として好適に用いることができるものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の脱水反応生成物及び/又はその重合体
の製造方法の流体送液操作における流体の送液遅延を抑
制する方法を例示した概念図である。
【図2】本発明の脱水反応生成物の製造方法に用いられ
る装置構成の一形態を示した概略図である。
【図3】本発明の脱水反応生成物の重合体の製造方法に
用いられる装置構成の一形態を示した概略図である。
【符号の説明】
101、201 反応槽 102、150、202 ジャケット 103 アルコール用の原料貯蔵タンク 105 (メタ)アクリル酸用の原料貯蔵タンク 107 触媒貯蔵タンク 109 重合禁止剤貯蔵タンク 110 水溶性重合禁止剤貯蔵タンク 111 中和剤貯蔵タンク 113、115、117、119、120、121、1
23、129、137、139、141、145、14
9、153、161、204、205、206、217
配管 116、142、157、164、165、209、2
21 ポンプ 125 コンデンサ 126 噴霧ノズル 127 水分離器 131 仕切板 133、134 水分離器内部の室 135 反応生成水の処理タンク 143 脱水溶剤貯蔵タンク 144 流量計 147 ゲル化防止剤貯蔵タンク 151 循環経路 159 水溶性ゲル化防止剤貯蔵タンク 162、163、207、208 ストレーナー 166、167、168、169、211、212、2
13、214、215バルブ 203 重合用原料貯蔵タンク 216、222 逆止弁 220 連鎖移動剤貯蔵タンク 223 スタティックミキサー
フロントページの続き Fターム(参考) 4H006 AA02 AC48 BA66 BD21 BN10 KA06 4H039 CA66 CD10 CD30 4J011 BA00 BB03 BB05 BB09 BB16 BB17

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 流体送液操作を含んでなる脱水反応生成
    物及び/又はその重合体の製造方法であって、該流体送
    液操作は、流体の流路に少なくとも2基のストレーナー
    を並列に設置することにより流体の送液遅延を抑制する
    ことを特徴とする脱水反応生成物及び/又はその重合体
    の製造方法。
  2. 【請求項2】 流体送液操作を含んでなる脱水反応生成
    物及び/又はその重合体の製造方法であって、該流体送
    液操作は、流体の流路に少なくとも2基のポンプを並列
    に設置することにより流体の送液遅延を抑制することを
    特徴とする脱水反応生成物及び/又はその重合体の製造
    方法。
  3. 【請求項3】 前記脱水反応生成物の製造方法は、酸触
    媒を用いてエステル化反応を行うエステル化反応工程を
    含み、前記流体送液操作は、該エステル化反応の後に該
    酸触媒の中和剤を水溶液として送液する操作であること
    を特徴とする請求項1又は2記載の脱水反応生成物の製
    造方法。
  4. 【請求項4】 前記脱水反応生成物の重合体の製造方法
    は、逐次添加を行う重合工程を含み、前記流体送液操作
    は、該重合工程における逐次添加物を流体として送液す
    る操作であることを特徴とする請求項1又は2記載の重
    合体の製造方法。
  5. 【請求項5】 前記逐次添加物は、前記脱水反応生成物
    を含むものであることを特徴とする請求項4記載の重合
    体の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記脱水反応生成物及び/又はその重合
    体は、セメント添加剤の製造原料として用いられること
    を特徴とする請求項1、2、3、4又は5記載の脱水反
    応生成物及び/又はその重合体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2013001709A (ja) * 2011-06-16 2013-01-07 IFP Energies Nouvelles 最適化されたパラキシレンの製造のための、並列した2基の吸着器を用いる擬似向流クロマト分離のための方法および装置
JP2013516440A (ja) * 2010-01-06 2013-05-13 ビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピア (メタ)アクリルモノマー含有液体流fを輸送するための方法

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