JP2003205840A - 鉄道車両用軌間可変台車の排障器 - Google Patents

鉄道車両用軌間可変台車の排障器

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JP2003205840A
JP2003205840A JP2002007529A JP2002007529A JP2003205840A JP 2003205840 A JP2003205840 A JP 2003205840A JP 2002007529 A JP2002007529 A JP 2002007529A JP 2002007529 A JP2002007529 A JP 2002007529A JP 2003205840 A JP2003205840 A JP 2003205840A
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obstruction
obstacle
track
height position
cam
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Yukio Minowa
行雄 箕輪
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Subaru Corp
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Fuji Heavy Industries Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 鉄道車両の車両限界の要請を満たしつつ、レ
ール頭頂面上の小型障害物を排除することのできる鉄道
車両用軌間可変台車の排障器を提供する。 【解決手段】 狭軌道のレール頭頂面の上方に狭軌道用
の排障ゴム板26を、標準軌道のレール頭頂面の上方に
標準軌道用の排障ゴム板26を設け、各排障ゴム板26
とブレーキキャリパ10とをボーデンワイヤ19,20
を介して連結し、各排障ゴム板26をブレーキキャリパ
10の車軸方向への移動に伴って上下させるよう構成
し、一方の軌道を走行する際には、一方の軌道に対応し
た排障ゴム板26が下降するとともに他方の軌道に対応
した排障ゴム板26が上昇するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、新幹線と
在来線のように軌間寸法が異なる線路区間を連続的に走
行する鉄道車両の軌間可変台車の排障器に関するもので
ある。
【0002】
【従来の技術】日本の鉄道においては、例えば、新幹線
等に使用されている軌間寸法1435mmのいわゆる標
準軌と、在来線等に使用されている軌間寸法1067m
mのいわゆる狭軌とが併用されている。これらの軌間の
異なる線路区間を連続的に走行する鉄道車両用軌間可変
台車として、例えば、特開平8−332950号公報に
記載されたものが、本出願人によって提案されている。
この種の軌間可変台車には、標準軌道と狭軌道のそれぞ
れに対応して、これらの軌道のレール頭頂面の障害物を
排除する排障器が備えられている。
【0003】この排障器は、標準軌道に対応する標準軌
用排障部材と、狭軌道に対応する狭軌用排障部材とを備
えている。標準軌用排障部材は標準軌道の上方に、狭軌
用排障部材は狭軌道の上方にそれぞれ固定され、標準軌
走行時には標準軌道用排障部材により、狭軌走行時には
狭軌用排障部材によりレール頭頂面の障害物排除行われ
る。
【0004】ところで、鉄道車両においては、車両の限
界寸法が法律等により定められており、この車両限界を
超えないよう設計しなければならない。この車両限界
は、狭軌と標準軌とで異なっており、これらを連続して
走行する車両は、狭軌と標準軌の両方の車両限界を満足
する必要がある。狭軌と標準軌の何れの場合も、レール
頭頂面の直上部分においては車両限界は比較的下方まで
許容されているが、レール頭頂面の直上部分以外はレー
ル頭頂面から所定の距離だけ離隔させなければならな
い。従って、狭軌用排障部材の下端が標準軌における車
両限界の高さ寸法を満足するとともに、標準軌用排障部
材の下端が狭軌における車両限界の高さ寸法を満足する
ように、各排障部材はレール頭頂面から所定の距離だけ
離隔して設けられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】すなわち、前記鉄道車
両用軌間可変台車の排障器では、一方の軌道における車
両限界の要請を満たすため、他方の軌道に対応する排障
部材を、他方の車両限界を超えて下方に設置することが
できない。これにより、一方の軌道を走行する際に、他
方の軌道における車両限界より低い高さの小型障害物を
排除することができないという問題点があった。
【0006】本発明は、前記事情に鑑みてなされたもの
であり、その目的とするところは、鉄道車両の車両限界
の要請を満たしつつ、レール頭頂面上の小型障害物を排
除することのできる鉄道車両用軌間可変台車の排障器を
提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明では、互いにレールの軌間寸法
が異なる第1軌道と第2軌道とに対応して軌間変更する
鉄道車両用軌間可変台車に備えられ、前記第1軌道及び
前記第2軌道のレール頭頂面の障害物を排除する排障器
において、前記第1軌道の前記レール頭頂面の上方に設
けられ下端高さが変化する第1排障部材と、前記第2軌
道の前記レール頭頂面の上方に設けられ下端高さが変化
する第2排障部材と、前記第1排障部材の下端が、前記
第1軌道の走行に際しては障害物排除高さ位置まで下降
し、前記第2軌道の走行に際しては前記鉄道車両の限界
寸法が確保される限界回避高さ位置まで上昇するよう
に、前記第1排障部材を移動させる第1排障部材移動手
段と、前記第2排障部材の下端が、前記第2軌道の走行
に際しては障害物排除高さ位置まで下降し、前記第1軌
道の走行に際しては前記鉄道車両の限界寸法が確保され
る限界回避高さ位置まで上昇するように、前記第2排障
部材を移動させる第2排障部材移動手段と、を備えたこ
とを特徴とする。
【0008】請求項1記載の発明によれば、軌間可変台
車の第1軌道の走行に際しては、第1排障部材の下端が
障害物排除高さまで下降し、第2排障部材の下端が限界
回避高さ位置まで上昇する。また、第2軌道の走行に際
しては、第2排障部材の下端が障害物排除高さまで下降
し、第1排障部材の下端が限界回避高さ位置まで上昇す
る。これにより、第1軌道と第2軌道の一方の走行に際
しては、一方の軌道上の障害物が、第1排障部材と第2
排障部材の一方の排障部材により排除される。ここで、
鉄道車両の車両限界は、走行する軌道のレール頭頂面上
においては、比較的下方まで許容されることから、一方
の排障部材が車両限界を超えることはない。また、他方
の排障部材の下端は、一方の軌道における車両限界より
も上方に位置する。
【0009】従って、第1軌道と第2軌道の何れの軌道
を走行する場合にも、それぞれ第1排障部材及び第2排
障部材が車両限界を超えることはなく、第1軌道及び第
2軌道の車両限界の要請がともに満たされる。また、第
1軌道及び第2軌道の走行に際して、一方の排障部材の
下端を、他方の軌道における車両限界を超えて下方に配
することができるので、各排障部材をレール頭頂面に近
接させることができ、小型の障害物をも排除することが
できる。
【0010】請求項2記載の発明では、請求項1記載の
鉄道車両用軌間可変台車の排障器において、前記軌間可
変台車は、軌間変更時に、車軸に軸支された車輪と、前
記車輪を制動するブレーキ装置の制動子と、が前記車軸
方向へ移動するよう構成されたものであって、前記第1
排障部材移動手段は、前記制動子の動きを伝達して前記
第1排障部材を移動するよう構成され、前記第2排障部
材移動手段は、前記制動子の動きを伝達して前記第2排
障部材を移動するよう構成され、前記制動子の前記車軸
方向への移動と連動して、前記第1排障部材及び前記第
2排障部材の下端が略同時に上下するようにしたことを
特徴とする。
【0011】請求項2記載の発明によれば、請求項1の
作用に加え、台車の軌間変更時にブレーキ装置の制動子
が車軸方向へ移動すると、この制動子の動きが、第1排
障部材移動手段により第1排障部材に伝達されるととも
に第2排障部材移動手段により第2排障部材に伝達さ
れ、制動子の移動と連動して、第1排障部材及び第2排
障部材の下端が略同時に移動する。これにより、第1軌
道から第2軌道へ軌間変更が行われる際には、第1排障
部材の下端が上昇するとともに第2排障部材の下端が下
降し、第2軌道から第1軌道へ軌間変更が行われる際に
は、第2排障部材の下端が上昇するとともに第1排障部
材の下端が下降する。
【0012】従って、台車に備えられたブレーキ装置の
制動子の移動を利用して、第1排障部材及び第2排障部
材を移動させることができ、第1排障部材及び第2排障
部材を駆動させる部品等を別個に設けることを要さず、
部品点数の削減並びに製造コストの低減を図ることがで
きる。
【0013】請求項3記載の発明によれば、請求項2記
載の鉄道車両用軌間可変台車の排障器において、前記第
1排障部材移動手段は、前記第1排障部材と前記制動子
とを接続し前記制動子の前記車軸方向への移動に伴って
前記第1排障部材を移動させる第1ワイヤ部材を有し、
前記第2排障部材移動手段は、前記第2排障部材と前記
制動子とを接続し前記制動子の前記車軸方向への移動に
伴って前記第2排障部材を移動させる第2ワイヤ部材を
有することを特徴とする。
【0014】請求項3記載の発明によれば、請求項2の
作用に加え、制動子側と第1排障部材側は第1ワイヤ部
材により、制動子側と第2排障部材側は第2ワイヤ部材
により、それぞれ接続される。そして、制動子の動きは
第1ワイヤ部材を介して第1排障部材へ、第2ワイヤ部
材を介して第2排障部材へ、それぞれ伝達される。
【0015】従って、第1ワイヤ部材と第2ワイヤ部材
とを用いて、第1排障部材移動手段及び第2排障部材移
動手段を簡単な構成とすることができる。また、制動子
側の動きを、複雑な機構等を介することなく、直接的に
第1排障部材及び第2排障部材に伝達することができ、
第1排障部材及び第2排障部材を的確に移動させること
ができる。
【0016】請求項4記載の発明では、請求項3記載の
鉄道車両用軌間可変台車の排障器において、前記制動子
は、制動時に前記車輪に設けられたディスクロータを挟
持し、非制動時に前記車軸方向へ所定のフローティング
移動範囲だけ移動可能に支持されるブレーキキャリパで
あって、前記第1排障部材移動手段及び前記第2排障部
材移動手段を、前記ブレーキキャリパが前記第1軌道及
び前記第2軌道に対応した前記フローティング移動範囲
内に位置するときは、前記ブレーキキャリパの動きを前
記第1排障部材及び前記第2排障部材に伝達しないよう
構成したことを特徴とする。
【0017】請求項4記載の発明によれば、請求項3の
作用に加え、車輪が第1軌道と第2軌道の何れの軌間寸
法に対応していても、ブレーキキャリパのフローティン
グ移動により、ブレーキキャリパの動きが第1排障部材
及び第2排障部材に伝達されることはない。また、第1
軌道と第2軌道に対応したフローティング移動範囲内に
おいては、第1ワイヤ部材及び第2ワイヤ部材を介して
第1排障部材及び第2排障部材にブレーキキャリパが拘
束されることはなく、ブレーキキャリパは車軸方向に自
由に移動する。
【0018】従って、ブレーキキャリパのフローティン
グ移動により、第1排障部材及び第2排障部材が移動す
ることはないし、第1軌道と第2軌道に対応した状態に
おけるブレーキキャリパのフローティング動作が許容さ
れ、実用に際して極めて有利である。
【0019】請求項5記載の発明では、請求項1乃至4
の何れか1項記載の鉄道車両用軌間可変台車の排障器に
おいて、前記第1排障部材移動手段は、前記障害物排除
高さ位置と、前記限界回避高さ位置にて、前記第1排障
部材を位置決めする第1位置決め機構を有し、前記第2
排障部材移動手段は、前記障害物排除高さ位置と、前記
限界回避高さ位置にて、前記第2排障部材を位置決めす
る第2位置決め機構を有することを特徴とする。
【0020】請求項5記載の発明によれば、請求項1乃
至4の何れか1項の作用に加え、台車の軌間変更等に際
し、第1排障部材及び第2排障部材が障害物排除高さ位
置と限界回避高さ位置の一方から他方へと移動すると、
第1排障部材及び第2排障部材はそれぞれ他方の高さ位
置に位置決めされる。
【0021】従って、台車の軌間変更等に際し、第1排
障部材及び第2排障部材が、他方の高さ位置を超えて移
動したりすることはなく、第1排障部材及び第2排障部
材を常に他方の高さ位置にて確実に位置決めすることが
できる。
【0022】請求項6記載の発明では、請求項1乃至5
の何れか1項記載の鉄道車両用軌間可変台車の排障器に
おいて、前記第1排障部材移動手段は、前記第1排障部
材の前記障害物排除高さ位置並びに前記限界回避高さ位
置にて、前記第1排障部材の移動を規制する第1規制機
構を有し、前記第2排障部材移動手段は、前記第2排障
部材の前記障害物排除高さ位置並びに前記限界回避高さ
位置にて、前記第2排障部材の移動を規制する第2規制
機構を有することを特徴とする。
【0023】請求項6記載の発明によれば、請求項1乃
至5の何れか1項の作用に加え、台車の軌間変更等に際
し、第1排障部材及び第2排障部材が障害物排除高さ位
置と限界回避高さ位置の一方から他方へと移動すると、
第1排障部材及び第2排障部材はそれぞれ他方の高さ位
置にて、第1規制機構及び第2規制機構によりその移動
が規制される。
【0024】従って、台車の軌間変更等に際し、第1排
障部材及び第2排障部材が、他方の高さ位置にて移動が
規制され、第1排障部材及び第2排障部材を常に他方の
高さ位置にて確実に固定することができ、走行時の揺れ
で移動しないことに加えて、障害物を確実に排除するこ
とができる。
【0025】請求項7記載の発明では、請求項5記載の
鉄道車両用軌間可変台車の排障器において、前記第1排
障部材及び前記第2排障部材を、一端部を中心として回
動自在に設け、前記第1位置決め機構及び前記第2位置
決め機構の少なくとも一方に、前記排障部材と一体的に
回動する多角形状の多角カム部と、前記多角カム部の周
面と当接する平面状の当接面を有し前記排障部材を支持
する部材に設けられた当接ばね部材とを備え、前記排障
部材の前記障害物排除高さ位置にて、前記多角カム部の
一辺と前記ばね部材の当接面とが密着し、前記排障部材
の前記限界回避高さ位置にて、前記多角カム部の他辺と
前記ばね部材の当接面とが密着するよう構成したことを
特徴とする。
【0026】請求項7記載の発明によれば、請求項5の
作用に加え、第1排障部材及び第2排障部材が回動して
移動することにより、第1排障部材の下端及び第2排障
部材の下端がそれぞれ上下する。ここで、第1排障部材
と第2排障部材の少なくとも一方は、障害物排除高さ位
置にて多角カム部の一辺と当接ばね部材の当接面とが密
着して安定した状態で位置決めされ、限界回避高さ位置
にて多角カム部の他辺と当接ばね部材の当接面とが密着
して安定した状態で位置決めされる。このとき、排障部
材が障害物排除高さ位置または限界回避高さ位置から僅
かに回動した場合には、多角カム部の角部が当接ばね部
材を押圧してばね部材が変形することにより、多角カム
部の角部に当接ばね部材からの付勢力が作用し、この付
勢力により多角カム部が元の位置に戻る。ここで、台車
の軌間変更に際し、排障部材が障害物排除高さ位置と限
界回避高さ位置の一方の高さ位置へと移動する場合、排
障部材とともに多角カム部が回動する。多角カム部が回
動すると、多角カム部の角部が当接ばね部材を押圧して
当接ばね部材が変形することにより、当接ばね部材から
多角カム部へ付勢力が加わる。このとき、多角カム部の
角部が所定位置となるまでは、多角カム部は当接ばね部
材の付勢力に抗して回動し、角部が所定位置を過ぎる
と、当接ばね部材の付勢力により多角カム部の回動が助
勢される。そして、排障部材が他方の高さ位置に達する
と、多角カム部の他辺と当接ばね部材の当接面とが密着
して安定した状態となる。
【0027】従って、第1排障部材及び第2排障部材を
簡単な構成で確実に位置決めさせることができる。排障
部材が障害物排除高さ位置または限界回避高さ位置から
僅かに回動した場合には、多角カム部の角部に当接ばね
部材からの付勢力が作用し、この付勢力により多角カム
部が元の位置に戻るようにしたので、排障部材の位置決
めを確実に行うことができる。
【0028】請求項8記載の発明では、請求項6記載の
鉄道車両用軌間可変台車の排障器において、前記第1排
障部材及び前記第2排障部材を、一端部を中心として回
動自在に設け、前記第1規制機構及び前記第2規制機構
の少なくとも一方に、前記排障部材とともに回動する回
動軸部材と、前記回動軸部材の外周面に形成された回動
軸側テーパ部と、前記回動軸部材が挿通される孔部に、
前記回動軸側テーパ部と対向して形成された孔側テーパ
部と、前記回動軸側テーパ部と、前記孔側テーパ部とを
互いに押し付ける押付手段と、前記軌間可変台車の軌間
変更時に、前記押付手段による前記回動軸側テーパ部と
前記孔側テーパ部との押し付けを解除する押付解除手段
とを備えたことを特徴とする。
【0029】請求項8記載の発明によれば、請求項6の
作用に加え、第1排障部材及び第2排障部材が回動して
移動することにより、第1排障部材の下端及び第2排障
部材の下端の位置がそれぞれ上下する。ここで、第1排
障部材と第2排障部材の少なくとも一方は、障害物排除
高さ位置または限界回避高さ位置にて、回動軸部材とと
もに回動が規制される。すなわち、押付手段により回動
軸側テーパ部と、孔側テーパ部とが互いに押し付けら
れ、回動軸側テーパ部と孔側テーパ部との間に発生する
摩擦力により、回動軸部材の回動が規制される。また、
台車の軌間変更に際しては、押付解除手段により回動軸
側テーパ部と孔側テーパ部との押し付けを解除し、回動
軸部材及び排障部材が自由に回動する状態とした後、排
障部材を回動させる。
【0030】従って、第1排障部材及び第2排障部材を
格段容易に移動させることができ、また、第1排障部材
及び第2排障部材の移動機構を簡単にすることができる
など、実用に際して極めて有利である。また、回動軸側
テーパ部と孔側テーパ部の押し付けにより、くさび効果
を利用して回動軸部材の回動を規制するようにしたの
で、効果的且つ確実に排障部材の回動をより一層規制す
ることができる。さらには、回動軸側テーパ部と孔側テ
ーパ部の押し付け、押し付け解除により、排障部材の回
動を規制、規制解除するようにしたので、規制機構を比
較的簡単な構成とすることができ、規制機構の耐久信頼
性等が向上する。
【0031】請求項9記載の発明では、請求項8記載の
鉄道車両用軌間可変台車の排障器において、前記孔部
を、前記回動軸部材を挿通し前記回動軸部材の長手方向
に移動自在なリング部材に形成し、前記押付手段は、前
記孔側テーパ部を前記回動軸側テーパ部に押し付けるよ
うに前記リング部材を付勢する押付ばね部材を有し、前
記押付解除手段は、前記回動軸部材を挿通させ該回動軸
部材と共に回動し前記排障部材移動手段により駆動さ
れ、その一側面が前記リング部材の一端面と対向するよ
う配置された回動カム部材と、前記回動カム部材の前記
一側面に形成されたカム側凸部と、前記リング部材の前
記一端面に形成されたリング側凸部とを有し、前記カム
側凸部と前記リング側凸部とを、前記排障部材の前記障
害物排除高さ位置並びに前記限界回避高さ位置にて互い
違いとなるとともに、前記排障部材の移動時に互いに当
接するよう配置し、前記カム側凸部と前記リング側凸部
とが当接することにより、前記排障部材の移動時に、前
記押付ばね部材の付勢力に抗して、前記リング部材を前
記孔側テーパ部が前記回動軸側テーパ部から離隔するよ
う構成したことを特徴とする。
【0032】請求項9記載の発明によれば、請求項8の
作用に加え、リング部材は押付ばね部材により付勢さ
れ、リング部材の孔側テーパ部が回動軸部材の回動軸側
テーパ部に押し付けられることにより、回動軸部材の回
動が規制される。このとき、規制解除カム部材の一側面
に形成されたカム側凸部と、リング部材の一端面に形成
されたリング側凸部とは互い違いとなっており、カム側
凸部とリング側凸部とが当接しておらず、孔側テーパ部
は回動軸側テーパ部と密着した状態となっている。ここ
で、台車の軌間変更時に、排障部材移動手段により規制
解除カムが回動すると、カム側凸部とリング側凸部とが
当接し、押付ばね部材の付勢力に抗してリング部材が回
動軸部材から離隔する方向に移動する。これにより、リ
ング部材の孔側テーパ部と回動軸部材の回動軸側テーパ
部との押し付けが解除され、回動軸部材の摺動抵抗が減
少する。さらに規制解除カムが回動し、排障部材が他方
の高さ位置となると、カム側凸部とリング側凸部とは再
び互い違いとなり、カム側凸部とリング側凸部との当接
が解除される。これにより、リング部材が移動して孔側
テーパ部が回動軸側テーパ部に押し付けられ、回動軸部
材の回動が規制される。
【0033】従って、排障部材移動手段により回動する
規制解除カムを用いて、回動軸側テーパ部と孔側テーパ
部との押し付け、押し付け解除を、的確なタイミングで
行うことができ、排障部材の回動動作を確実に行うこと
ができる。
【0034】請求項10記載の発明では、請求項9記載
の鉄道車両用軌間可変台車の排障器において、前記回動
カムは前記軸部材と対向して開口する軸方向の溝を有
し、前記溝には前記軸部材に固着された係止部材が配置
され、前記溝の幅を、前記カム側凸部頂面と前記リング
側凸部頂面とが互い違いの状態から、互いの少なくとも
一部が当接した状態となるまで、前記係止部材と前記溝
の周縁とが接触しないように、前記係止部材の幅より広
く形成したことを特徴とする。
【0035】請求項10記載の発明によれば、請求項9
の作用に加え、排障部材を移動させる際に、軸部材の係
止部材と回動カムの溝は、所定のガタを有しているの
で、回動カムは僅かに回動する。この状態で引き続き回
動カムが回動すると、回動カムの溝の内面と、軸部材の
係止部材とが当接し、回動カムと一体となって軸部材が
回動する。これにより、排障部材が回動移動する。
【0036】従って、回動カムの溝と、軸部材の係止部
材とが所定のガタを有するようにしたので、溝と係止部
材とにより回動カムの回動を規制することは勿論のこ
と、カム側凸部とリング側凸部とが当接するまで回動カ
ムを僅かに回動させることができ、回動カムの滑らかな
回動が実現される。すなわち、排障部材を回動させる前
に回動カムを僅かに回動させ、押付ばね部材の押し付け
力を解除して、孔側テーパ部からの規制力を解除させる
ので、軸部材の回動始動時において各テーパ部の摩擦力
を除去することができ、排障部材のスムースな移動が実
現される。
【0037】
【発明の実施の形態】図1乃至図13は本発明における
鉄道車両用軌間可変台車の一実施形態を示すもので、図
1は各車輪が標準軌に対応した状態を示す軌間可変台車
の概略平面説明図、図2は各車輪が標準軌に対応した状
態を示したものでブレーキ装置と排障部との関係を示す
概略側面説明図、図3は各車輪が狭軌に対応した状態を
示したもので各排障部と台車枠との関係を示す概略側面
説明図である。ここで、説明の便宜上、図1及び図2は
軸箱等を省略して図示し、図3はブレーキ装置等を省略
して図示している。
【0038】図1乃至図3に示すように、この鉄道車両
用軌間可変台車1は、台車枠2にばね等を介して設けら
れた左右一対の軸箱3と、各軸箱3に上下方向へ昇降自
在に支持され車幅方向に延びる車軸4と、この車軸4の
軸線方向にスライド自在に嵌装された左右一対の車軸外
筒5と、各車軸外筒5にそれぞれ軸支された車輪6とを
有している。すなわち、軌間可変台車1は、車軸4側を
各軸箱3に対して下降させ、各車軸外筒5を車幅方向へ
移動させることにより、各車輪6の軌間寸法を変更する
ことができるようになっている。ここで、軌間可変台車
1は、図示しないロック機構を有し、ロック機構により
第1軌道としての標準軌道または第2軌道としての狭軌
道に対応した状態で、各車輪6等がロックされるように
なっている。
【0039】また、軌間可変台車1は、先頭車輪6の前
方と最後尾車輪6の後方とに、各軌道のレール頭頂面上
の障害物を排除する排障器7を備えている。後述するよ
うに、排障器7は、標準軌道に対応する第1排障部21
と、狭軌道に対応する第2排障部22とを備え、この軌
間可変台車1は各軌道の走行に際し、各軌道に対応する
排障部21,22を利用して、レール頭頂面上の障害物
を排除する。本願発明の特徴部分である排障器7の詳細
な構成については後述する。
【0040】図2に示すように、軌間可変台車1は、車
輪6を制動するブレーキ装置8を有している。このブレ
ーキ装置8は、車輪6の車幅方向両側にそれぞれ設けら
れたブレーキロータ9と、車輪6と各ブレーキロータ9
とを一体的に挟持するブレーキキャリパ10とを有して
いる。図4に示すように、制動子としてのブレーキキャ
リパ10は、各ブレーキロータ9に対応して配置された
ブレーキパッド10aを有し、各ブレーキパッド10a
を各ブレーキロータ9に押圧して当接させることにより
車輪6の制動を行う。ここで、ブレーキキャリパ10に
は、一方のブレーキパッド10aを押圧するシリンダ
(図示せず)が内蔵され、一方のブレーキパッド10a
を戻し側へ付勢するスプリング(図示せず)が設けられ
ている。また、他方のブレーキパッド10bは、ブレー
キキャリパ10に対して固定的に設けられている。
【0041】図4に示すように、台車枠2の横梁2a側
に固定の支持枠11に車幅方向へ延びる上下一対のピン
部材12が設けられ、ブレーキキャリパ10には各ピン
部材12と摺動自在な軸受部13が形成される。ブレー
キキャリパ10を車幅方向へ移動自在に支持する各ピン
部材12は、各ディスクロータ9の挟持に必要なストロ
ーク長さ(フローティング支持の長さ)に止まらず、車
輪6の可動範囲に対応する長さに形成される。すなわ
ち、各車輪6の軌間変更に際して、ブレーキキャリパ1
0が車輪6に追従して移動するようになっている。軸受
部13の両側には、ブレーキキャリパ10の移動に伴っ
て伸縮し、各ピン部材12を保護する蛇腹状のダストシ
ール14が設けられる。
【0042】軸受部13には台車枠2の横梁2a側に延
びるアーム部15が連続的に形成され、このアーム部1
5の先端部分15aには孔15bが穿設される。図5に
示すように、台車枠2側には車幅方向に延びる上下一対
の支持軸16a,16bが固定され、下側支持軸16a
にアーム部15の孔15bが挿通される。図4に示すよ
うに、各支持軸16a,16bには、平面断面にて前側
を開口する略コ字状に形成された移動体17が、車幅方
向に移動自在に設けられる。また、各支持軸16a,1
6bの両端に設けられたストッパ部18が設けられ、各
ストッパ部18間を移動体17が自由に移動するように
なっている。移動体17の左右側壁17a,17bの間
にアーム部15の先端部分15aが配され、ブレーキキ
ャリパ10が車幅方向へ移動すると、左右側壁17a,
17bの一方と先端部分15aが当接した後、引き続い
てアーム部15と移動体17とが一体的に移動するよう
になっている。尚、アーム部15は、その先端部分15
aが左右側壁17a,17bの一方と当接するまでは、
左右側壁17a,17b間の遊び区間17cを、移動体
17と干渉することなく自由に移動する。
【0043】移動体17には横梁2a側へ延びる接続板
17dが設けられ、図5に示すように、この接続板17
dにワイヤ部材としての第1ボーデンワイヤ19及び第
2ボーデンワイヤ20の一端が接続される。第1ボーデ
ンワイヤ19の他端側は前方の軸箱3に固定された第1
排障部21に接続され、第2ボーデンワイヤ20の他端
側は台車枠2の前側に固定された第2排障部22に接続
される。すなわち、本実施形態においては、第1排障部
材移動手段としての第1排障部移動機構100は、移動
体17、第1ボーデンワイヤ19等からなり、第2排障
部材移動手段としての第2排障部移動機構200は、移
動体17、第2ボーデンワイヤ20等からなる。
【0044】図6に示すように、第1排障部21は、軸
箱3の前面に固定され略前後方向に延びるブラケット2
3aと、ブラケット23aの前端側に軸支される回動軸
部材24と、この回動軸部材24の車輪6側(車幅方向
内側)に固定され車輪6の前方(車幅方向内側)へ延び
るアーム25と、アーム25の先端に固定され標準軌道
のレール頭頂面の障害物を排除する第1排障部材として
の排障ゴム板26とを有している。また、第1排障部2
1は、回動軸部材24の中央側に配置される丘座カム2
7を有し、この丘座カム27に前述の第1ボーデンワイ
ヤ19の他端側が接続される。本実施形態の第1排障部
21によれば、第1ボーデンワイヤ19の移動に伴っ
て、排障ゴム板26が標準軌状態の車輪6の前方にて上
下に回動するように構成される。
【0045】第2排障部22は、台車枠2の側梁2bの
前面に固定され略前下方向に延びるブラケット23b
と、回動軸部材24と、アーム25と、狭軌道のレール
頭頂面の障害物を排除する第2排障部材としての排障ゴ
ム板26とを有している。すなわち、本実施形態におい
ては、第1排障部21と第2排障部22とは、各ブラケ
ット23a,23bの形状、台車1側への取付位置等を
異にし、他の構成はほぼ同様となっている。
【0046】第1排障部21と第2排障部22の排障ゴ
ム板26はそれぞれ回動自在であり、各排障ゴム板26
はそれぞれレール頭頂面の上方に設けられる。各排障ゴ
ム板26は、上下に回動し、下端が上下するようになっ
ている。図7に示すように、各排障ゴム板26は、下端
がレール頭頂面に近接し障害物の排除が可能となる障害
物排除高さ位置HLと、下端が上昇し車両限界寸法が確
保される限界回避高さHHとに選択的に移動する。ここ
で、車両限界寸法とは、法律等で定められた鉄道車両の
限界寸法である。本実施形態においては、図2に示すよ
うに、標準軌走行時には第1排障部21の排障ゴム板2
6が障害物排除高さ位置HLとなるとともに、第2排障
部22の排障ゴム板26が限界回避高さ位置HHとな
る。また、図3に示すように、狭軌走行時には第2排障
部の排障ゴム板26が障害物排除高さ位置HLとなると
ともに、第1排障部21の排障ゴム板26が限界回避高
さ位置HHとなる。
【0047】上記排障ゴム板26は、図12の平面図で
示すように、アーム25を介して回動軸部材24に取り
付けられる。アーム25はボルト28等により回動軸部
材24に固着され、先端側は斜め前方に屈曲し、その先
端部で排障ゴム板26を固定している。排障ゴム板26
はボルト29等によりアーム25の先端側に固定され、
車輪6の踏面に対して斜めの状態となっている。
【0048】図7に示すように、アーム25の車幅方向
外側には、側面断面にて略四角形状に形成された制止カ
ム部30が回動軸部材24に固定されている。多角カム
部としての制止カム部30の下面は、ブラケット23a
の下面側に固定され前後に延びるばね板31の当接面3
1a(上面)と当接する。当接ばね部材としてのばね板
31は、後端側がブラケット23aに固定され、先端部
がブラケット23aの先端に支持されて、制止カム部3
0が位置する中間部が下方へ撓むよう構成されている。
制止カム部30は、排障ゴム板26が障害物除去高さ位
置HLのときに一辺30aがばね板31と密着し、排障
ゴム板26が限界回避高さ位置HHのときに他辺30b
がばね板31と密着するよう形成される。これにより、
図8に示すように、排障ゴム板26が下降・上昇の中間
状態のときには、制止カム部30の角部が下方に突出し
てばね板31が撓み、ばね板31から付勢力が制止カム
部30に加わる。すなわち、中間状態においては、ばね
板31の付勢力により制止カム部30を回動させる力が
生じ、排障ゴム板26が各高さ位置HL・HHである場
合には、制止カム部30及びばね板31は安定する。
尚、本実施形態においては、制止カム部30の各角部は
僅かに切り欠かれており、ばね板31と制止カム部30
とは滑らかに摺動するようになっている。また、本実施
形態においては、制止カム部30、ばね板31等から、
規制機構300が構成されている。
【0049】また、図7に示すように、アーム25に
は、側面視にて略四角形状の被当接部32が形成され、
排障ゴム板26が障害物排除高さ位置HLとなった場合
に、その一辺がブラケット23aの下面に固定されたス
トッパ33の前端と当接するようになっている。
【0050】図12に示すように、回動軸部材24に
は、回動カム部材としての丘座カム27を挟むようにし
て、車幅方向内側の第1のテーパ部34と、車幅方向外
側の第2のテーパ部35とが形成される。第1のテーパ
部34は車幅方向内側に縮径するよう形成され、第2の
テーパ部35は車幅方向外側に縮径するよう形成され
る。また、回動軸部材24の第1のテーパ部34の内側
には、これと連続して第1の円柱部36が形成され、第
2のテーパ部35の外側には、これと連続して円柱部3
7が形成される。
【0051】回動軸側テーパ部としての第1のテーパ部
34は、ブラケット23aに形成され車幅方向内側に縮
径する第1のテーパ孔38と対向配置される。ここで、
孔側テーパ部としての第1のテーパ孔38の車幅方向内
側には、円筒孔39が連続的に形成され、この円筒孔3
9に第1の円柱部36が軸方向に移動自在に配置され
る。すなわち、回動軸部材24が車幅方向内側へ移動す
ると、図12に示すように第1のテーパ部34とテーパ
孔38とが当接して回動軸部材24がブラケット23a
に係合し、回動軸部材24が車幅方向外側へ移動する
と、図13に示すように第1のテーパ部34と第1のテ
ーパ孔38が離隔して回動軸部材24とブラケット23
aとの係合が解除される。
【0052】第2のテーパ部35は、回動軸部材24を
挿通し軸方向へ移動自在なクラッチリング40に形成さ
れる第2のテーパ孔41と対向配置される。すなわち、
第2のテーパ孔41は車幅方向外側に縮径し、第2のテ
ーパ孔41の車幅方向外側には円筒孔42が形成され、
この円筒孔42に第2の円柱部37が配置される。
【0053】クラッチリング40の車幅方向外側には、
回動軸部材24を巻回しクラッチリング40を車幅方向
内側へ付勢する押付ばね部材としてのコイルばね43が
設けられる。これにより、クラッチリング40は、その
軸方向位置によらずに、常にコイルばね43により付勢
されることとなる。
【0054】また、クラッチリング40の車幅方向内端
面は、丘座カム27の車幅方向外側面と当接する。ここ
で、図11に示すように、クラッチリング40の車幅方
向内端面にはリング側凸部45が周方向に間欠的に形成
され、また、丘座カム27の車幅方向外側面におけるク
ラッチリング40の内端面に対応する部分にもカム側凸
部44が周方向に間欠的に形成される。ここで、各凸部
44,45の周方向端部には傾斜面が形成され、周方向
端部から中央側へ向かって徐々に突出するようになって
いる。これら各凸部44,45はそれぞれ略90°の区
間だけ連続して形成され、丘座カム27とクラッチリン
グ40それぞれの2つの凸部44,45が、互いに軸心
に対して対称となるよう配置される。また、各凸部4
4,45は、排障ゴム板26の障害物排除高さ位置HL
で互いに違いとなるよう配置されており、この結果、排
障ゴム板26が障害物排除高さ位置HLから略90°回
動した限界回避高さ位置HHにおいても各凸部44,4
5は互い違いとなる。本実施形態においては、規制機構
400は、コイルばね43等からなる押付機構と、丘座
カム27、カム側凸部44、リング側凸部45等からな
る押付解除機構から構成される。
【0055】また、クラッチリング40の外周には、軸
方向に延びるスライドキー46が設けられ、ブラケット
23aに形成されたキー溝47と嵌合するようになって
いる。これにより、クラッチリング40は回動軸部材2
4まわりの回動がスライドキー46とキー溝47とによ
って規制され、軸方向にのみ移動するようになってい
る。
【0056】図9及び図10に示すように、丘座カム2
7の挿通孔27aの内周面には、軸方向に延びる遊間溝
48が形成される。すなわち、この軸方向の遊間溝48
は、回動軸部材24と対向して開口している。この遊間
溝48には、回動軸部材24に固着された係止部材とし
ての遊間キー49が配置される。本実施形態において
は、遊間溝48の幅は、遊間キー49の幅よりも広く形
成され、遊間キー49が遊間溝48の内部を移動可能な
範囲内において、丘座カム27が回動軸部材24回りを
回動可能となっている。これにより、カム側凸部44頂
面とリング側凸部45頂面とが互い違いの状態から、互
いの少なくとも一部が当接した状態となるまで、遊間キ
ー49と遊間溝48の周縁とが接触しないようになって
いる。また、丘座カム27の外周面にはアーム部50が
突設され、第1ボーデンワイヤ19の他端に設けられた
クレビス51がこのアーム部50に軸支される。
【0057】第1排障部21と第2排障部22が同様の
構成であるのは前述したとおりである。ここで、第1排
障部21と第2排障部22とで異なる点のみ説明する。
【0058】まず、第1排障部21においては、丘座カ
ム27のアーム部50は前方に突出しており、このアー
ム部50が回動軸部材24の前方にて第1ボーデンワイ
ヤ19により上下に押し引きされるのに対し、第2排障
部22においては、丘座カム27のアーム部50は後方
に突出し、アーム部50が回動軸部材24の後方にて第
2ボーデンワイヤ20により上下に押し引きされる。す
なわち、ブレーキキャリパ10が車幅方向内側へ移動す
ると、各排障部21,22の各アーム部50が上方へ引
かれることとなるが、このとき第1排障部21の排障ゴ
ム板26は上方へ回動し、第2排障部22の排障ゴム板
26は下方へ回動することとなる。また、ブレーキキャ
リパ10が車幅方向外側へ移動すると、各排障部21,
22の各アーム部50が下方へ押され、このとき第1排
障部21の排障ゴム板26は下方へ回動し、第2排障部
22の排障ゴム板26は上方へ回動する。尚、各ボーデ
ンワイヤ19,20は押し・引きを行う、いわゆるプッ
シュプルケーブルであり、丘座カム27の押し・引きを
行うに際し、十分な強度を有している。
【0059】また、第1排障部21の排障ゴム板26
が、障害物排除高さ位置HLにて、排障ゴム板26の下
端がレール頭頂面と略接触する高さに設定されているの
に対し、第2排障部22の排障ゴム板26は、レール頭
頂面から僅かに離隔した高さに設定されている。これ
は、狭軌道と標準軌道の車両限界が異なること、第1排
障部21はばね下部材に固定されるが第2排障部22は
ばね上部材に固定されること、等にもとづいている。
【0060】さらに、図1に示すように、左右の第2排
障部22のブラケット23bは、左右連結棒52により
連結される。これにより、各ブラケット23bの剛性・
強度等が保証され、各ブラケット23bの振動・捻り等
が抑制されるようになっている。
【0061】以上のように構成された鉄道車両用軌間可
変台車1の排障器7の動作について説明する。
【0062】各車輪6が標準軌道に対応した軌間寸法の
とき、第1排障部21の排障ゴム板26は障害物排除高
さ位置HLで、第2排障部22の排障ゴム板26は限界
回避高さ位置HHとなっている。このとき、ブレーキキ
ャリパ10のアーム部15は、その先端部分15aが移
動体17の遊び区間17cの範囲内で自由に移動する。
すなわち、遊び区間17c内ではブレーキキャリパ10
は移動自在であり、これにより、ブレーキキャリパ10
のフローティング動作が許容される。
【0063】この状態から、台車1が軌間変更区間を走
行して、各車輪6が狭軌道に対応した軌間寸法となるよ
う車幅方向内側へ移動すると、各車輪6に追従してブレ
ーキキャリパ10もまた車幅方向内側へ移動する。ブレ
ーキキャリパ10が車幅方向内側へ移動すると、アーム
部15の先端部分15aは、移動体17における遊び区
間17cを車幅方向内側へ移動する。そして、先端部分
15aが移動体17の右側壁17aと当接すると、アー
ム部15と移動体17は一体となって車幅方向内側へ移
動する。
【0064】移動体17が車幅方向内側へ移動すると、
各ボーデンワイヤ19,20の一端側が車幅方向内側へ
引かれ、各排障部21,22の丘座カム27にそれぞれ
回動させる力が作用する。ここで、第1排障部21の丘
座カム27には排障ゴム板26を上方へ回動させる力が
作用し、第2排障部22の丘座カム27には排障ゴム板
26を下方へ回動させる力が作用する。このとき、回動
軸部材24の遊間キー49と丘座カム27の遊間溝48
は、所定のガタを有しているので、丘座カム27は僅か
に回動する。
【0065】丘座カム27が僅かに回動すると、カム側
凸部44がクラッチリング40の凸部45に当接して乗
り上げ、クラッチリング40がコイルばね43の付勢力
に抗して車幅方向外側へ移動する。この結果、回動軸部
材24の第2のテーパ部35と、クラッチリング40の
第2のテーパ孔41との係合が解除される。そして、回
動軸部材24にはクラッチリング40からの車幅方向内
側へ加わる力が作用しなくなり、第1のテーパ部34と
第1のテーパ孔38により摩擦力がほとんど得られない
状態となる。これにより、図13に示すように、回動軸
部材24の回動を規制していた各テーパ部34,35と
各テーパ孔38,41との係合による摩擦力は作用しな
い状態となり、回動軸部材24は回動自在となる。
【0066】この状態で引き続き丘座カム27が回動す
ると、丘座カム27の遊間溝48の内面と、回動軸部材
24の遊間キー49とが当接し、丘座カム27と一体と
なって回動軸部材24が回動する。これにより、第1排
障部21においてはアーム25、排障ゴム板26等が上
方へ、第2排障部21においてはアーム25、排障ゴム
板26等が下方へ、それぞれ回動移動する。
【0067】このとき、図8に示すように、制止カム部
30にはその角部にばね板31から作用する付勢力が作
用するが、回動軸部材24、アーム25、排障ゴム板2
6等は、この付勢力に抗して回動する。さらに丘座カム
27が回動して、制止カム部30の角部が所定の位置ま
で達すると、ばね板31の付勢力により制止カム部30
の回動が助勢されるようになる。本実施形態において
は、ばね板31の付勢力により制止カム部30の回動が
助勢されると、各ボーデンワイヤ19,20から伝達さ
れる回動力によらず、回動軸部材24、アーム25、排
障ゴム板26等が回動する。すなわち、各車輪6が狭軌
道に対応した状態となる前に、先行して他辺30bがば
ね板31の当接面31aと密着した状態で位置決めさ
れ、第1排障部21の排障ゴム板26は限界回避高さ位
置HHにて、第2排障部22の排障ゴム板26は障害物
排除高さ位置HLにて安定した状態となる。
【0068】このように、各排障部21・22の丘座カ
ム27が略90°回動して、排障ゴム板26等が安定し
た状態となると、カム側各凸部44とリング側各凸部4
5とが、再び互い違いの位置となり、クラッチリング4
0はコイルばね43の付勢力により車幅方向内側へ移動
する。この結果、回動軸部材24の第2のテーパ部35
と、クラッチリング40の第1のテーパ孔41とが当接
し、回動軸部材24にはクラッチリング40から車幅方
向内側へ加わる力が作用する。これにより、回動軸部材
24の第1のテーパ部35と第1のテーパ孔38とが軸
方向に押圧される。すなわち、回動軸部材24は、各テ
ーパ部34,35と各テーパ孔38,41との係合によ
る摩擦力により、再び回動が規制された状態となる。
【0069】これにより、第1排障部21の排障ゴム板
26を上昇させる動作と、第2排障部22の排障ゴム板
を下降させる動作が略同時に達成される。
【0070】そして、各車輪6が狭軌道に対応した軌間
寸法となると、各車輪6に追従するブレーキキャリパ1
0の移動も終了する。このとき、ブレーキキャリパ10
のアーム部15は、その先端部分15aが移動体17の
遊び区間17cの範囲内で自由に移動し、ブレーキキャ
リパ10のフローティング動作が許容される。すなわ
ち、各車輪6が狭軌道と標準軌道の何れに対応した状態
であっても、ブレーキキャリパ10のフローティング動
作により、ブレーキキャリパ10の動きが第1排障部2
1及び第2排障部22の排障ゴム板26に伝達されるこ
とはない。
【0071】尚、各車輪6が狭軌道に対応した状態から
標準軌道に対応した軌間寸法となるよう車幅方向外側へ
移動する場合の動作は、以上説明した標準軌道に対応し
た状態から狭軌道に対応した軌間寸法となるよう車幅方
向内側へする場合の動作と同様であるので、ここでは説
明を省略する。
【0072】このように、本実施形態の鉄道車両用軌間
可変台車1の排障器7によれば、軌間可変台車1の狭軌
道の走行に際しては、第1排障部21の排障ゴム板26
の下端が障害物排除高さ位置HLまで下降し、第2排障
部22の排障ゴム板26の下端が限界回避高さ位置HH
まで上昇する。また、標準軌道の走行に際しては、第2
排障部22の排障ゴム板26の下端が障害物排除高さ位
置HLまで下降し、第1排障部21の排障ゴム板26の
下端が限界回避高さ位置HHまで上昇する。これによ
り、狭軌道と標準軌道の一方の走行に際しては、一方の
軌道上の障害物が、第1排障部21と第2排障部の排障
ゴム板26の一方の排障部材により排除される。ここ
で、鉄道車両の車両限界は、走行する軌道のレール頭頂
面上においては、比較的下方まで許容されることから、
一方の排障ゴム板26が車両限界を超えることはない。
また、他方の排障ゴム板26の下端は、一方の軌道にお
ける車両限界よりも上方に位置する。従って、狭軌道と
標準軌道の何れの軌道を走行する場合にも、それぞれ第
1排障部21及び第2排障部22の排障ゴム板26が、
ともに車両限界を超えることはなく、狭軌道及び標準軌
道の車両限界の要請がともに満たされる。また、狭軌道
及び標準軌道の走行に際して、一方の排障ゴム板26の
下端を、他方の軌道における車両限界を超えて下方に配
することができるので、各排障ゴム板26をレール頭頂
面に近接させることができ、小型の障害物をも排除する
ことができる。
【0073】また、本実施形態の鉄道車両用軌間可変台
車1の排障器7によれば、台車1の軌間変更時にブレー
キ装置8のブレーキキャリパ10が車軸方向へ移動する
と、このブレーキキャリパ10の動きが、第1排障部移
動機構100により第1排障部21の排障ゴム板26に
伝達されるとともに、第2排障部移動機構200により
第2排障部22の排障ゴム板26に伝達され、ブレーキ
キャリパ10の移動と連動して、第1排障部21及び第
2排障部22の排障ゴム板26の下端が略同時に移動す
る。従って、台車に備えられたブレーキ装置8のブレー
キキャリパ10の移動を利用して、第1排障部21及び
第2排障部22の排障ゴム板を移動させることができ、
各排障部21、22の排障ゴム板26を駆動させる部品
等を要さず、部品点数の削減並びに製造コストの低減を
図ることができる。
【0074】また、本実施形態の鉄道車両用軌間可変台
車1の排障器7によれば、ブレーキキャリパ10の動き
が各ボーデンワイヤ19,20を介して各排障部21,
22の排障ゴム板26へそれぞれ伝達されるようにした
ので、各ボーデンワイヤ19,20を用いて、第1排障
部移動機構100及び第2排障部移動機構200を簡単
な構成とすることができる。また、ディスクキャリパ1
0側の動きを、複雑な機構等を介することなく、直接的
に第1排障部21及び第2排障部22に伝達することが
でき、各排障部21,22の排障ゴム板26を的確に移
動させることができる。
【0075】また、本実施形態の鉄道車両用軌間可変台
車1の排障器7によれば、各車輪6が狭軌道と標準軌道
の何れの軌間寸法に対応していても、ブレーキキャリパ
10の動きが第1排障部21及び第2排障部22の排障
ゴム板26に伝達されることはないし、第1ボーデンワ
イヤ19及び第2ボーデンワイヤ20を介して各排障部
21,22の排障ゴム板26にブレーキキャリパ10が
拘束されることはなく、ブレーキキャリパ10は車軸方
向に自由に移動する。従って、ブレーキキャリパ10の
フローティング動作により、第1排障部21及び第2排
障部22の排障ゴム板26が移動することはないし、狭
軌道と標準軌道に対応した状態におけるブレーキキャリ
パ10のフローティング動作が許容され、実用に際して
極めて有利である。
【0076】また、前記実施形態の鉄道車両用軌間可変
台車1の排障器7によれば、台車1の軌間変更等に際
し、第1排障部21及び第2排障部22の排障ゴム板2
6が障害物排除高さ位置HLと限界回避高さ位置HHの
一方から他方へと移動すると、第1排障部21及び第2
排障部22はそれぞれ他方の高さ位置に位置決めされ
る。従って、台車1の軌間変更等に際し、各排障部2
1,22の排障ゴム板26が、他方の高さ位置を超えて
移動したりすることはなく、各排障部21,22の排障
ゴム板26を常に他方の高さ位置にて確実に位置決めす
ることができる。
【0077】また、前記実施形態の鉄道車両用軌間可変
台車1の排障器7によれば、台車1の軌間変更等に際
し、第1排障部21及び第2排障部22の排障ゴム板2
6が障害物排除高さ位置HLと限界回避高さ位置HHの
一方から他方へと移動すると、位置決め機構300によ
り、各排障部21,22の排障ゴム板26は、それぞれ
他方の高さ位置にて移動が規制される。従って、各排障
部21,22の排障ゴム板26が、他方の高さ位置にて
移動が規制され、各排障部21,22の排障ゴム板26
を常に他方の高さ位置にて確実に固定することができ
る。
【0078】また、本実施形態の鉄道車両用軌間可変台
車1の排障器7によれば、第1排障部21及び第2排障
部22の排障ゴム板26が回動して移動することによ
り、各排障ゴム板26の下端がそれぞれ上下するように
したので、各排障ゴム板26を格段容易に移動させるこ
とができる。また、第1排障部21及び第2排障部22
の排障ゴム板26の各移動機構100,200を簡単に
することができるなど、実用に際して極めて有利であ
る。
【0079】また、本実施形態の鉄道車両用軌間可変台
車1の排障器7によれば、排障ゴム板26が障害物排除
高さ位置HLまたは限界回避高さ位置HHから僅かに回
動した場合には、制止カム部30の角部がばね板31を
押圧してばね板31が変形することにより、制止カム部
30の角部にばね板31からの付勢力が作用し、この付
勢力により回動軸部材24、アーム25、排障ゴム板2
6等が元の位置に戻るようにしたので、排障ゴム板26
の位置決めを確実に行うことができる。
【0080】また、本実施形態の鉄道車両用軌間可変台
車1の排障器7によれば、台車1の軌間変更等に際し、
排障ゴム板26が障害物排除高さ位置HLと限界回避高
さ位置HHの一方の高さ位置へと移動する場合、ばね板
31の付勢力により制止カム部30の回動が助勢される
ようにしたので、排障ゴム板26の回動をスムースに行
うことができる。
【0081】また、本実施形態の鉄道車両用軌間可変台
車1の排障器7によれば、回動軸部材24の各テーパ部
34,35とクラッチリング40の各テーパ孔38,4
1の押し付けにより回動軸部材24の回動を規制するよ
うにしたので、効果的且つ確実に排障ゴム板26の回動
を規制することができる。さらには、各テーパ部34,
35と各テーパ孔38,41の押し付け、押し付け解除
により、排障ゴム板26の回動を規制、規制解除するよ
うにしたので、規制機構400を比較的簡単な構成とす
ることができ、規制機構400の耐久信頼性等が向上す
る。
【0082】また、本実施形態の鉄道車両用軌間可変台
車1の排障器7によれば、排障ゴム板26の障害物排除
高さ位置HL,限界回避高さ位置HHにてカム側凸部4
4とリング側凸部45とが互い違いとなるようにし、台
車1の軌間変更時に、各排障部移動機構100,200
により丘座カム27が回動すると、カム側凸部44とリ
ング側凸部45とが当接し、コイルばね43の付勢力に
抗してクラッチリング40が回動軸部材24から離隔す
る方向に移動する。従って、排障部移動機構100,2
00により回動する丘座カム27を用いて、回動軸部材
24の各テーパ部34,35と各テーパ孔38,41と
の押し付け、押し付け解除を、的確なタイミングで行う
ことができ、排障ゴム板26の回動動作を確実に行うこ
とができる。
【0083】また、本実施形態の鉄道車両用軌間可変台
車1の排障器7によれば、丘座カム27の遊間溝48
と、回動軸部材24の遊間キー49とが所定のガタを有
するようにしたので、遊間溝48と遊間キー49とによ
り丘座カム27の回動を規制することは勿論のこと、カ
ム側凸部44とリング側凸部45とが当接するまで丘座
カム27を僅かに回動させることができ、丘座カム27
の滑らかな回動が実現される。すなわち、排障ゴム板2
6を回動させる前に丘座カム27を僅かに回動させ、コ
イルばね43の押し付け力を解除して、第1のテーパ孔
38からの規制力を解除させるので、回動軸部材24の
回動始動時において各テーパ部34,35の摩擦力を除
去することができ、排障ゴム板26のスムースな移動が
実現される。
【0084】尚、前記実施形態においては、各排障ゴム
板26が回動して各排障ゴム板26の下端が上下するも
のを示したが、例えば、各排障ゴム板26が上下方向に
略平行に移動して各排障ゴム板26の下端が上下するも
のであってもよい。
【0085】また、前記実施形態においては、ブレーキ
装置8が制動子としてブレーキキャリパ10を有するデ
ィスクブレーキ方式のものを示したが、制動子の車軸方
向の移動により各排障部21・22の排障ゴム板26が
移動するものであれば、他の方式のブレーキ装置であっ
てもよいことは勿論である。
【0086】また、前記実施形態においては、ボーデン
ワイヤ19,20により、ブレーキキャリパ10側と各
排障部21,22の排障ゴム板26側とを接続したもの
を示したが、第1排障部移動機構100、第2排障部移
動機構200は、ブレーキキャリパ10の動きを油圧等
により各排障部21,22へ伝達するものであってもよ
い。
【0087】また、前記実施形態においては、位置決め
機構300を、多角形状の制止カム部30、制止カム部
30の下面と当接するばね板31、等から構成したもの
を示したが、例えば図14に示すように、位置決め機構
301を,回動軸部材24と一体的に回動する位置決め
カム53と、この位置決めカム53に一端側が取り付け
られ他端側がブラケット等に固定されるコイルばね54
等から構成したものであってもよい。この位置決めカム
53にはコイルばね54の一端側が取り付けられるアー
ム部53aが突設され、排障ゴム板26の障害物排除高
さ位置HLと、限界回避高さ位置HHとで、このアーム
部53aと当接して位置決めカム53aの回動を規制す
るストッパ55が設けられている。この場合も、コイル
ばね54により位置決めカム53が、障害物排除高さ位
置HLまたは限界回避高さ位置HHとなるよう付勢され
るし、排障ゴム板26の移動に際し、回動軸部材24の
回動が付勢力により助勢される。
【0088】また、前記実施形態においては、各テーパ
部34,35と各テーパ孔38,41とを互いに押し付
けて摩擦力を発生させることにより、排障ゴム板26の
回動を規制するものを示したが、例えば、回動軸部材、
クラッチリング等に形成された凸部と凹部とを嵌合させ
て回動を規制するものであってもよく、規制機構400
の構成は前記実施形態のものに限定されるものではな
い。
【0089】また、前記実施形態においては、第1排障
部21と第2排障部22とが同様の構成のものを示した
が、一方の排障部の構成が前記実施形態と異なるもので
あってもよいし、その他、具体的な細部構造等について
も適宜に変更可能であることは勿論である。
【0090】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の鉄道車両
用軌間可変台車の排障器によれば、第1軌道と第2軌道
の何れの軌道を走行する場合にも、それぞれ第1排障部
材及び第2排障部材が車両限界を超えることはなく、第
1軌道及び第2軌道の車両限界の要請がともに満たされ
る。また、第1軌道及び第2軌道の走行に際して、一方
の排障部材の下端を、他方の軌道における車両限界を超
えて下方に配することができるので、各排障部材をレー
ル頭頂面に近接させることができ、小型の障害物をも排
除することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、各車輪が標
準軌に対応した状態を示す軌間可変台車の概略平面図で
ある。
【図2】各車輪が標準軌に対応した状態を示したもの
で、ブレーキ装置と排障部との関係を示す軌間可変台車
の概略側面説明図である。
【図3】各車輪が狭軌に対応した状態を示したもので、
各排障部と台車枠との関係を示す軌間可変台車の概略側
面説明図である。
【図4】排障器における各排障部移動機構のブレーキキ
ャリパとの接続部分を示す軌間可変台車の一部概略平面
説明図である。
【図5】各排障部移動機構のブレーキキャリパとの接続
部分を示す軌間可変台車の一部概略側面説明図である。
【図6】第1排障部を示す軌間可変台車の一部正面説明
図である。
【図7】各車輪が標準軌に対応した状態を示したもの
で、位置決め機構を示す第1排障部の概略側面説明図で
ある。
【図8】各車輪の軌間変更時の状態を示す位置決め機構
の作用説明図である。
【図9】各車輪が狭軌に対応した状態を示したもので、
第1排障部移動機構の第1排障部との接続部分を示す第
1排障部の概略背面説明図である。
【図10】各車輪が標準軌に対応した状態を示したもの
で、第1排障部移動機構の第1排障部との接続部分を示
す第1排障部の概略背面説明図である。
【図11】クラッチリングの端面を示すクラッチリング
の正面端面図である。
【図12】回動軸部材、排障ゴム等の回動が規制された
状態を示す第1排障部の概略平面説明図である。
【図13】回動軸部材、排障ゴム等の回動規制が解除さ
れた状態を示す第1排障部の概略平面図である。
【図14】本発明の他の実施形態を示す位置決め機構の
概略説明図である。
【符号の説明】
1 鉄道車両用軌間可変台車 6 車輪 7 排障器 8 ブレーキ装置 10 ディスクキャリパ 17c 遊び区間 19 第1ボーデンワイヤ 20 第2ボーデンワイヤ 21 第1排障部 22 第2排障部 24 回動軸部材 26 排障ゴム板 27 丘座カム 30 制止カム部 31 ばね板 31a 当接面 34 第1のテーパ部 35 第2のテーパ部 38 テーパ孔 40 クラッチリング 41 テーパ孔 43 コイルばね 44 カム側凸部 45 リング側凸部 48 遊間溝 49 遊間キー 100 第1排障部移動機構 200 第2排障部移動機構 300 位置決め機構 301 位置決め機構 400 規制機構 HL 障害物排除高さ位置 HH 限界回避高さ位置

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】互いにレールの軌間寸法が異なる第1軌道
    と第2軌道とに対応して軌間変更する鉄道車両用軌間可
    変台車に備えられ、前記第1軌道及び前記第2軌道のレ
    ール頭頂面の障害物を排除する排障器において、 前記第1軌道の前記レール頭頂面の上方に設けられ下端
    高さが変化する第1排障部材と、 前記第2軌道の前記レール頭頂面の上方に設けられ下端
    高さが変化する第2排障部材と、 前記第1排障部材の下端が、前記第1軌道の走行に際し
    ては障害物排除高さ位置まで下降し、前記第2軌道の走
    行に際しては前記鉄道車両の限界寸法が確保される限界
    回避高さ位置まで上昇するように、前記第1排障部材を
    移動させる第1排障部材移動手段と前記第2排障部材の
    下端が、前記第2軌道の走行に際しては障害物排除高さ
    位置まで下降し、前記第1軌道の走行に際しては前記鉄
    道車両の限界寸法が確保される限界回避高さ位置まで上
    昇するように、前記第2排障部材を移動させる第2排障
    部材移動手段と、を備えたことを特徴とする鉄道車両用
    軌間可変台車の排障器。
  2. 【請求項2】前記軌間可変台車は、軌間変更時に、車軸
    に軸支された車輪と、前記車輪を制動するブレーキ装置
    の制動子と、が前記車軸方向へ移動するよう構成された
    ものであって、 前記第1排障部材移動手段は、前記制動子の動きを伝達
    して前記第1排障部材を移動するよう構成され、 前記第2排障部材移動手段は、前記制動子の動きを伝達
    して前記第2排障部材を移動するよう構成され、 前記制動子の前記車軸方向への移動と連動して、前記第
    1排障部材及び前記第2排障部材の下端が略同時に一方
    が上昇し他方が下降するようにしたことを特徴とする請
    求項1記載の鉄道車両用軌間可変台車の排障器。
  3. 【請求項3】前記第1排障部材移動手段は、前記第1排
    障部材側と前記制動子側とを接続し前記制動子の前記車
    軸方向への移動に伴って前記第1排障部材を移動させる
    第1ワイヤ部材を有し、 前記第2排障部材移動手段は、前記第2排障部材側と前
    記制動子側とを接続し前記制動子の前記車軸方向への移
    動に伴って前記第2排障部材を移動させる第2ワイヤ部
    材を有することを特徴とする請求項2記載の鉄道車両用
    軌間可変台車の排障器。
  4. 【請求項4】前記制動子は、制動時に前記車輪に設けら
    れたディスクロータを挟持し、非制動時に前記車軸方向
    へ所定のフローティング移動範囲だけ移動可能に支持さ
    れるブレーキキャリパであって、 前記第1排障部材移動手段及び前記第2排障部材移動手
    段を、前記ブレーキキャリパが前記第1軌道及び前記第
    2軌道に対応した前記フローティング移動範囲内に位置
    するときは、前記ブレーキキャリパの動きを前記第1排
    障部材及び前記第2排障部材に伝達しないよう構成した
    ことを特徴とする請求項3記載の鉄道車両用軌間可変台
    車の排障器。
  5. 【請求項5】前記第1排障部材移動手段は、前記障害物
    排除高さ位置と、前記限界回避高さ位置にて、前記第1
    排障部材を位置決めする第1位置決め機構を有し、 前記第2排障部材移動手段は、前記障害物排除高さ位置
    と、前記限界回避高さ位置にて、前記第2排障部材を位
    置決めする第2位置決め機構を有することを特徴とする
    請求項1乃至4の何れか1項記載の鉄道車両用軌間可変
    台車の排障器。
  6. 【請求項6】前記第1排障部材移動手段は、前記第1排
    障部材の前記障害物排除高さ位置並びに前記限界回避高
    さ位置にて、前記第1排障部材の移動を規制する第1規
    制機構を有し、 前記第2排障部材移動手段は、前記第2排障部材の前記
    障害物排除高さ位置並びに前記限界回避高さ位置にて、
    前記第2排障部材の移動を規制する第2規制機構を有す
    ることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項記載の
    鉄道車両用軌間可変台車の排障器。
  7. 【請求項7】前記第1排障部材及び前記第2排障部材
    を、一端部を中心として回動自在に設け、 前記第1位置決め機構及び前記第2位置決め機構の少な
    くとも一方に、 前記排障部材と一体的に回動する多角形状の多角カム部
    と、 前記多角カム部の周面と当接する平面状の当接面を有し
    前記排障部材を支持する部材に設けられた当接ばね部材
    とを備え、 前記排障部材の前記障害物排除高さ位置にて、前記多角
    カム部の一辺と前記ばね部材の当接面とが密着し、 前記排障部材の前記限界回避高さ位置にて、前記多角カ
    ム部の他辺と前記ばね部材の当接面とが密着するよう構
    成したことを特徴とする請求項5記載の鉄道車両用軌間
    可変台車の排障器。
  8. 【請求項8】前記第1排障部材及び前記第2排障部材
    を、一端部を中心として回動自在に設け、 前記第1規制機構及び前記第2規制機構の少なくとも一
    方に、 前記排障部材とともに回動する回動軸部材と、 前記回動軸部材の外周面に形成された回動軸側テーパ部
    と、 前記回動軸部材が挿通される孔部に、前記回動軸側テー
    パ部と対向して形成された孔側テーパ部と、 前記回動軸側テーパ部と、前記孔側テーパ部とを互いに
    押し付ける押付手段と、 前記軌間可変台車の軌間変更時に、前記押付手段による
    前記回動軸側テーパ部と前記孔側テーパ部との押し付け
    を解除する押付解除手段とを備えたことを特徴とする請
    求項6記載の鉄道車両用軌間可変台車の排障器。
  9. 【請求項9】前記孔部を、前記回動軸部材を挿通し前記
    回動軸部材の長手方向に移動自在なリング部材に形成
    し、 前記押付手段は、前記孔側テーパ部を前記回動軸側テー
    パ部に押し付けるように前記リング部材を付勢する押付
    ばね部材を有し、 前記押付解除手段は、 前記回動軸部材を挿通させ該回動軸部材と共に回動し前
    記排障部材移動手段により駆動され、その一側面が前記
    リング部材の一端面と対向するよう配置された回動カム
    部材と、 前記回動カム部材の前記一側面に形成されたカム側凸部
    と、 前記リング部材の前記一端面に形成されたリング側凸部
    とを有し、 前記カム側凸部と前記リング側凸部とを、前記排障部材
    の前記障害物排除高さ位置並びに前記限界回避高さ位置
    にて互い違いとなるとともに、前記排障部材の移動時に
    互いに当接するよう配置し、 前記カム側凸部と前記リング側凸部とが当接することに
    より、前記排障部材の移動時に、前記押付ばね部材の付
    勢力に抗して、前記リング部材を前記孔側テーパ部が前
    記回動軸側テーパ部から離隔するよう構成したことを特
    徴とする請求項8記載の鉄道車両用軌間可変台車の排障
    器。
  10. 【請求項10】前記回動カムは前記軸部材と対向して開
    口する軸方向の溝を有し、該溝には前記軸部材に固着さ
    れた係止部材が配置され、 前記溝の幅を、前記カム側凸部頂面と前記リング側凸部
    頂面とが互い違いの状態から、互いの少なくとも一部が
    当接した状態となるまで、前記係止部材と前記溝の周縁
    とが接触しないように、前記係止部材の幅より広く形成
    したことを特徴とする請求項9記載の鉄道車両用軌間可
    変台車の排障器。
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