JP2003205357A - 鋳物の鋳巣の補修方法 - Google Patents

鋳物の鋳巣の補修方法

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JP2003205357A
JP2003205357A JP2002247533A JP2002247533A JP2003205357A JP 2003205357 A JP2003205357 A JP 2003205357A JP 2002247533 A JP2002247533 A JP 2002247533A JP 2002247533 A JP2002247533 A JP 2002247533A JP 2003205357 A JP2003205357 A JP 2003205357A
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rotary shaft
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peripheral surface
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Masanori Nakamura
真徳 中村
Koji Ono
孝司 小野
Kunitoshi Miyazaki
国利 宮崎
Tomoyasu Ota
智康 太田
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Abstract

(57)【要約】 【課題】鋳造された鋳物50の内周面52等に存在する
鋳巣55を、容易かつ確実に、しかも低コストで補修で
きる、鋳物の鋳巣の補修方法を提供することである。 【解決手段】 補修方法は、内周面52との当接点19
における接線l1に対して20度から30度を成すすく
い面13と、該当接点19を通りかつ回転軸30の軸線
Lと平行な直線l3に対して5度から10度を成す前切
れ面17とを持つ工具10を回転軸30に取り付ける。
そして、回転軸30を軸線Lの周りに回転させつつ軸方
向に移動させ、工具10のすくい面13及び前切れ面1
7で鋳巣55の周辺の材料を塑性変形させることにより
鋳巣を補修する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋳物の中空孔の内
周面、又は丸棒状の鋳物の外周面に存在する鋳巣の補修
方法に関する。
【0002】
【従来の技術】鋳造により製造されるブロック状の鋳物
が中空孔を持つ場合がある。例えば、自動車等のエンジ
ンを構成するシリンダブロックが挙げられる。シリンダ
ブロックは軽量で安価な点からアルミニウム合金が用い
られ、ダイカスト鋳造法で製造されることが多い。その
反面、ダイカスト鋳造法の特性からシリンダボアーの内
周面に鋳巣ができ易い。鋳巣はシリンダボアーとピスト
ンとの間の気密性を損ねるので、補修する必要がある。
また、丸棒状の鋳物の外周面に鋳巣ができる場合もあ
る。
【0003】鋳物の内周面や外周面に存在する鋳巣を補
修すべく、従来から種々の方法が提案されている。それ
らは、補修の原理から見て、三つに大別することができ
る。
【0004】第1の補修方法は、砥石又はバイトにより
中空孔の内周面等を研磨するやり方である。例えば、内
周面に凹凸がある場合に、凸部を砥石又はバイトにより
凹部と同じレベルになるまで研磨して除去する。しか
し、砥石又はバイトの単価が高価であり、また研磨時に
切れ屑や切れ粉等の廃棄物が発生する等の不具合があ
る。
【0005】第2の補修方法は、例えば特開2000−
328222号に開示されている溶射前処理方法であ
る。この溶射前処理方法は、鋳巣が形成されているシリ
ンダボアーの内面に向けて真空アークを放電し該内面の
表層部を溶融するステップと、溶融した金属を鋳巣の内
部に流れ込ませることにより鋳巣を封鎖するステップと
から成る。しかし、放電装置は特殊で高価であり、補修
のためのコストを上昇させる。
【0006】こうした点から、中空孔の内周面等の表層
を塑性変形させる第3の補修方法が多用されている。例
えば、特開平10−280185号公報に開示された補
修方法(第1従来例)では、鋳物の表面に部材を圧接し
て該表層を塑性変形させることにより鋳物表面上の凹凸
を小さくする。即ち、図23にその概念を示すように、
破線で示す鋳物Aの表面の凸部aを太い矢印で示すよう
に圧縮、塑性変形させることにより凹部bを盛り上げ、
細い矢印で示すように変化させ、最終的に実線で示すよ
うになだらかな表面に仕上げる。
【0007】具体的には、図24に示すように、補修装
置の処理ツール130に複数個のローラ131が回転可
能に保持され、アルミニウム製のシリンダブロック13
5のシリンダボアー136の内周面137に圧接され
る。シリンダボアー136内で処理ツール130を回転
させると、内周面137に圧接されたローラ131が回
転する。処理ツール130を回転させつつ軸線方向に送
って、ローラ131によりシリンダボアー136の内周
面107を加工処理する。
【0008】また、特開平10−94869号公報に開
示された補修方法(第2従来例)は、鋳巣を押し潰せる
加圧力で、その鋳物の表面を衝撃が加わらないように加
圧する。具体的には、図25に示すように回転軸140
の先端に取り付けた支持ブロック141内に球体142
を収納している。主軸143に固定されたシリンダブロ
ック144のシリンダボアー145内に回転軸140の
先端を挿入し、回転軸140を回転させると同時に軸方
向に移動させる。これに伴い、球体142がシリンダボ
アー145の内周面146に沿って回転させつつ軸方向
に移動される。こうして、球体142の半球面でシリン
ダボアー145の内周面146を効率的に加圧せんとす
る。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】上記第1従来例は、シ
リンダボアー136の内周面137上の凸部aをローラ
131により塑性変形させることにより凹部bを盛り上
げる。しかし、各ローラ131とシリンダブロック13
5との圧接(加圧)力が大きすぎ、シリンダブロック1
35が薄い場合には、ローラ131からの加圧力により
シリンダブロック135の変形や破損を招くという問題
が生ずる。
【0010】尚、1個のローラで補修する場合は、加工
抵抗によりローラが大きく逃げてしまい、シリンダブロ
ックに十分に大きな加圧力を加えることができない。
【0011】一方、上記第2従来例は、球体142を円
周方向及び軸方向に移動させて、その半球面でシリンダ
ボアー145の内周面146を加圧する。しかし、球体
142は円周方向でも軸方向でも半球面の広い面積で内
周面146と当接している。そのため、シリンダボアー
145の内周面146から球体142に加わる抵抗が大
きすぎ、回転軸140を回転させるために大きな駆動力
が必要になり、汎用機での加工は困難である。
【0012】本発明は上記事情を考慮してなされたもの
で、ブロック状又は円筒状等の鋳物の中空孔の内周面
や、丸棒状の鋳物の外周面に存在する鋳巣を、容易かつ
確実にしかも低コストで補修することができる補修方法
を提供することを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】本願の発明者は、安価に
製造できる工具を表層から大きな抵抗が加わるように構
成し、この工具により内周面又は外周面の鋳巣の周辺の
表層を塑性変形させることを思い付いて、本発明を完成
した。
【0014】即ち、本願の第1発明は、請求項1に記載
しているように、鋳物の中空孔の内周面に存在する鋳巣
を、回転軸に取り付けられ内周面に当接された工具によ
り補修する方法であって、回転方向前方に位置し内周面
との当接点における接線に対して20度から30度を成
すすくい面と、移動方向前方に位置し当接点を通りかつ
回転軸の軸線と平行な直線に対して5度から10度を成
す前切れ面とを持つ工具を回転軸に取り付ける工具取付
工程と;回転軸を軸線の周りに回転させつつ軸方向に移
動させ、工具のすくい面及び前切れ面で鋳巣の周辺の表
層を塑性変形させることにより鋳巣を補修する補修工程
と;から成ることを特徴とする。
【0015】この鋳物の鋳巣の補修方法において、工具
は鋳物の内周面上を円周方向及び軸方向に移動され、鋳
巣の周りの表層を円周方向及び軸方向に塑性変形させて
塑性流動層を形成することにより鋳巣を補修する。
【0016】請求項2の補修方法は、請求項1におい
て、鋳物はアルミダイカストから成るシリンダブロック
であり、中空孔は内径が70mmから90mmのシリン
ダボアーである。
【0017】請求項3の補修方法は、請求項1の工具取
付工程において、工具は前面と側面とで区画される角部
を持つ薄板形状であり、すくい面は側面の回転方向前方
に形成され、前切れ面は側面の移動方向前方に形成され
ている。請求項4の補修方法は、請求項3において、接
線に対する工具のすくい面の角度は30度で、直線に対
する工具の前切れ面の角度は7度である。
【0018】請求項5の補修方法は、請求項4におい
て、側面は回転方向後方側に形成されすくい面と反対側
に傾斜した傾斜面を有し、すくい面と傾斜面との間に直
線と平行な境界線が形成されている。請求項6の補修方
法は、請求項5において、境界縁には刃殺し面が形成さ
れている。
【0019】請求項7の補修方法は、請求項4におい
て、一つの工具を回転軸からの突出量を調節可能に取り
付ける。請求項8の補修方法は、請求項4において、複
数の工具を回転軸の円周方向に離れてかつ回転軸からの
突出量を異ならせて取り付ける。
【0020】請求項9の補修方法は、請求項4の工具取
付工程において更に、工具から回転軸の円周方向に離れ
た位置に、回転軸の外周面から半径方向に突出し中空孔
の内周面に接触するガイドパッドを取り付ける。請求項
10の補修方法は、請求項9において、ガイドパッドは
回転軸の直径方向においてチップと反対側に取り付け
る。請求項11の補修方法は、請求項9において、複数
個のガイドパッドを回転軸の円周方向に離れて取り付け
る。
【0021】請求項12の補修方法は、請求項4の補修
工程において、工具による表層の補修代は0.3mmか
ら0.5mmである。請求項13の補修方法は、請求項
4の補修工程において、回転軸の回転数は2000rp
mから4000rpmである。請求項14の補修方法
は、請求項4の補修工程において、回転軸の送り速度は
0.03mm/一回転から0.07mm/一回転であ
る。
【0022】請求項15の補修方法は、請求項4におい
て更に、補修工程の次に、回転軸からの工具の突出量を
調整する工具位置調整工程を含む。請求項16の補修方
法は、請求項3の工具取付工程において、接線に対する
工具のすくい面の角度は20度で、直線に対する該工具
の前切れ面の角度は7度である。請求項17の補修方法
は、請求項16において、側面は回転方向後方側にすく
い面と反対側に傾斜した傾斜面を有し、該すくい面と傾
斜面との間に直線に対して後端側が回転方向前方側に傾
斜した境界線が形成されている。
【0023】請求項18の補修方法は、請求項17にお
いて、境界縁には刃殺し面が形成されている。請求項1
9の補修方法は、請求項18において、刃殺し面の上縁
及び下縁には丸み部が形成されている。
【0024】請求項20の補修方法は、請求項16の工
具取付工程において更に、工具から回転軸の円周方向に
離れた位置に、回転軸の外周面から半径方向に突出し中
空孔の内周面に接触するガイドパッドを取り付ける。請
求項21の補修方法は、請求項20において、ガイドパ
ッドは前記回転軸の直径方向においてチップと反対側に
取り付ける。
【0025】請求項22の補修方法は、請求項16にお
いて、工具による表層の補修代は0.6mmである。請
求項23の補修方法は、請求項16の補修工程におい
て、回転軸の回転数は2000rpmから4000rp
mである。請求項24の補修方法は、請求項15の補修
工程において、回転軸の送り速度は0.03mm/一回
転から0.07mm/一回転である。
【0026】一方、本願の第2発明は、請求項25に記
載しているように、円柱状の鋳物の外周面に存在する鋳
巣を、回転軸の中空部に取り付けられ外周面に当接され
た工具により補修する方法であって、回転方向前方側に
位置し外周面との当接点における接線に対して20度か
ら30度を成すすくい面と、移動方向前方側に位置し当
接点を通りかつ回転軸の軸線と平行な直線に対して5度
から10度を成す前切れ面とを持つ工具を回転軸に取り
付ける工具取付工程と;回転軸を軸線の周りに回転させ
つつ軸方向に移動させ、工具のすくい面及び前切れ面で
鋳巣の周辺の表層を塑性変形させることにより鋳巣を補
修する補修工程と;から成ることを特徴とする。
【0027】この鋳物の鋳巣の補修方法において、工具
を鋳物の外面上を円周方向及び軸方向に移動させ、鋳巣
の周りの材料を円周方向及び軸方向に塑性変形させるこ
とにより鋳巣を補修する。
【0028】請求項26の補修方法は、請求項25にお
いて、鋳物の外径が10mmから200mm、望ましく
は50mmから100mmである。請求項27の補修方
法は、請求項25において、工具は前面と側面とで区画
される角部を持つ薄板形状であり、すくい面は側面の回
転方向前方に形成され、前切れ面は側面の移動方向前方
に形成されている。
【0029】請求項28の補修方法は、請求項27の工
具取付工程において、接線に対するすくい面の角度は3
0度で、直線に対する前切れ面の角度は7度である。請
求項29の補修方法は、請求項28において、側面はす
くい面と反対方向に傾斜した傾斜面を持ち、すくい面と
傾斜面との間には直線と平行な境界縁が形成されてい
る。
【0030】請求項30の補修方法は、請求項27にお
いて、工具取付工程において、接線に対するすくい面の
角度は20度で、直線に対する前切れ面の角度は7度で
ある。請求項31の補修方法は、請求項30において、
側面はすくい面と反対方向に傾斜した傾斜面を持ち、す
くい面と傾斜面との間には直線に対して後端側が回転方
向前方側に傾斜した境界縁が形成されている。
【0031】請求項32の補修方法は、請求項28又は
30の工具取付工程において更に、工具から回転軸の円
周方向に離れた位置に、回転軸の内周面から半径方向に
突出し鋳物の外周面に接触するガイドパッドを取り付け
る。
【0032】
【発明の実施の形態】以下、発明の実施の形態につき説
明する。 <鋳物>鋳造された鋳物の形状や寸法に特別の制約はな
い。形状としては、中空孔を持つブロック状又は円筒状
や、丸棒等がある。ブロック状又は円筒状の場合は内周
面に存在する鋳巣が、円柱(丸棒)状の場合は外周面に
存在する鋳巣が補修の対象となる。中空孔を持つブロッ
ク状の鋳物として、例えばエンジンのシリンダブロック
が挙げられる。
【0033】円筒状の鋳物の内周面の内径は70mmか
ら90mmの範囲とできる。内周面の内径は全長に亘っ
て均一であることが望ましい。円柱状の鋳物の外周面の
外径は10mmから200mm、より望ましくは50m
mから100mmの範囲とできる。外周面の外径も全長
に亘って均一であることが望ましい。
【0034】鋳物の材料に特別の制約はないが、鋳巣が
でき易いアルミニウム製である場合が好適である。鋳巣
は内周面又は外周面に開口した小くぼみであっても良い
し、開口しない小空洞であっても良い。くぼみ又は空洞
は、内周面又は外周面の特定の領域のみに存在しても良
いし、複数の領域に点在しても良い。また、内周面又は
外周面のくぼみ又は空洞以外の部分は平坦であっても良
いし、凹部が存在しても良い。 <工具取付工程>工具取付工程では少なくともすくい面
と前切れ面とを持つ工具を回転軸に取り付ける。この他
にも、ガイドバッドを取り付けることもできる。 工具 工具の形状に特別の制約はない。但し、表層を円周方向
及び軸方向に塑性変形させるすくい面及び前切れ面等を
持つことを考慮すると、角部を備えた薄い板形状である
ことが望ましく、例えば四角形又は三角形とすることが
できる。すくい面及び前切れ面は前面とともに角部を区
画する側面に形成することができる。側面は更に、高さ
方向ですくい面とは反対側の傾斜面及びすくい面と傾斜
面との間の境界縁を含むことができる。そして、境界縁
は刃殺し面を含むことができる。
【0035】すくい面及び刃殺し面等の構成に応じて、
工具は2つのタイプに分かることができる。 (イ) 第1タイプの工具では、すくい面、傾斜面及び境界
縁が上面及び下面と平行である。すくい面は工具と鋳物
の内周面又は外周面との当接部を通る接線に対して20
度から30度の角度(すくい角)を成す。すくい角が2
0度以下になると加工抵抗が大きくなって回転軸の駆動
に大きな駆動力が必要になり、30度以上になると内周
面又は外周面の表層が切削されて塑性変形されず、何れ
も望ましくない。
【0036】すくい面は、換言すれば、上記接線と直交
する直線に対して70から60度を成す。すくい面は側
面の回転方向前方側に形成され、全体的に細長い形状を
持つ。平坦面から成ることが望ましいが、僅かに湾曲し
ていても良い。
【0037】傾斜面は側面の回転方向後方側にすくい面
と反対方向に傾斜した平坦面から成り、工具の鋳物への
二番当たりを防止するために逃がしてある。
【0038】刃殺し面はすくい面と傾斜面との境界縁に
形成され、鋳物から工具に加わる塑性加工抵抗を増加さ
せて材料の塑性変形を促進する上で、換言すれば、表層
が工具により切削されるのを防止する上で有効である。
【0039】前切れ面は当接部を通りかつ回転軸の軸線
と平行な直線に対して5度から10度(前切れ角)を成
す。前切れ角が5度以下になると補修代を大きくとるこ
とができず、10度以上になると内周面又は外周面の表
層を切削してしまい、何れも望ましくない。前切れ面
は、換言すれば、上記直線と直交する直線に対して85
から80度を成す。
【0040】前切れ面は、上記すくい面及び傾斜面が形
成された側面の前端寄りに形成され三角形状を持ち、前
端が回転軸の半径方向内向きに傾斜している。3つの頂
点のうちの二つがそれぞれ角部の上縁近傍及び下縁近傍
に、別の一つがすくい面と傾斜面との境界部に位置す
る。前切れ面は傾斜面から成ることが望ましいが、僅か
に湾曲していても良い。そして、上記すくい面、刃殺し
面及び前切れ面が鋳物に当接する。 (ロ) 第2タイプの場合、すくい面傾斜面及び境界縁
が、後端側に進むにつれて回転方向前方側に傾斜してい
る。これらの傾斜方向は、概念的にいえば、工具の回転
方向と移動方向とを合成したベクトルと交差する方向で
ある。
【0041】すくい面は工具と鋳物の内周面又は外周面
との当接部を通る接線に対して20度から45度の角度
(すくい角)を成す。すくい角が20度以下になると加
工抵抗が大きくなって回転軸の駆動に大きな駆動力が必
要になり、45度以上になると内周面又は外周面の表層
が塑性変形されず切削され、何れも望ましくない。
【0042】前切れ面は第1タイプと同様、当接部を通
りかつ回転軸の軸線と平行な直線に対して5度から10
度(前切れ角)を成し、三角形状を持つ。
【0043】刃殺し面の上縁及び下縁はホーニング加工
により丸めて丸め部を形成することができる。丸め部の
半径(ホーニング量)は0.05mmから0.15mm
とできる。丸め部の形成により、工具に鋭利な部分がな
くなり、表層は切削又は研削されることなく塑性変形さ
れる。刃殺し面はすくい面と傾斜面との間の他、前切れ
面とすくい面及び傾斜面との間に形成することもでき
る。そして、工具のすくい面、刃殺し面及び前切れ面が
鋳物に当接する。
【0044】なお、工具は全体を超硬で型押し及び研磨
等して製作することもできるし、本体、超綱及びダイヤ
モンドの三層構造とすることもできる。後者の場合、す
くい面及び前切れ面はダイヤモンドに形成される。ま
た、鋳物の内周面を加工する場合も外周面を加工する場
合も同じ工具を使用することができる。 工具の取付け 回転軸は軸線の回りに回転すると共に軸線方向に移動す
る。回転軸は鋳物の内周面を加工するか外周面を加工す
るかに応じて、2つのタイプに分けることができる。内
周面を加工する第1タイプでは、工具を円柱状の回転軸
の外周面から半径方向外方に突出させて取り付け、外周
面を加工する第2タイプでは工具を円筒状の回転軸の内
周面から半径方向内方に突出させて取り付ける。第1タ
イプの回転軸には上記第1又は第2タイプの工具を取り
付け、第2タイプの回転軸についても同様である。
【0045】回転軸には一つの工具を取り付けることも
でき、複数の工具を取り付けることもできる。第1タイ
プの1個の工具の回転軸からの半径方向外向き又は内向
きの突出量が調整可能であることが望ましい。これによ
り、例えば鋳巣の深さが深い場合でも、工具の突出量を
調整しつつ補修を複数回行うことができる。第2タイプ
の工具は突出量の調整は不要である。
【0046】複数個の工具は、回転軸の軸線方向の異な
る位置に、円周方向に離れてかつ回転軸からの突出量を
異ならせて取り付ける。各工具の突出量は同じでも良い
が、異なることが望ましい。これにより、補修の途中に
おける工具の突出量の調整が不要になる。 ガイドパッド、その取付け ガイドバッドは工具の変形やたわみを抑制するために回
転軸に取り付けられる。上記第1又は第2タイプの工具
が取り付けられた第1タイプの回転軸、又は第1又は第
2タイプの工具が取り付けられた第2タイプの回転軸に
取り付けることができる。
【0047】ガイドパッドの形状や寸法に特別の制約は
ないが、鋳物の内周面又は外周面に接触する当接面は、
これらと同じ曲率で湾曲した湾曲面であり、しかも工具
の側面(すくい面、傾斜面及び前切れ面等)よりも広い
面積を持つことが望ましい。
【0048】個数や取付位置に特別の制約はないが、少
なくとも1個のガイドパッドを回転軸の直径方向におい
て工具の反対側又は工具と対向する側に取り付ける。回
転軸の外周面又は内周面からの突出量は、工具の回転軸
からの突出量と同じがそれよりも少し小さい程度とす
る。ガイドパッドが2個の場合は、工具ともに全円周を
3分割する(120度を成す)ように、3個の場合は工
具とともに全円周を4分割する(90度を成す)ように
取り付けることができる。
【0049】材料は高圧が加わっても変形し難い、例え
ばダイヤモンドから成ることが望ましい。
【0050】また、ワークにあけた穴を仕上げる切削工
具であるリーマにおいて、刃部の他にガイドパッドを形
成することがある。例えば、特開2001−10521
7号(第3従来例)に開示された穴仕上げ加工用ドリル
では、シャンクの先端に取り付けられた工具に、ワーク
に穴をあける穴あけ用刃部と、穴を仕上げる穴仕上げ用
刃部と、工具の揺れを防止するガイドパッドとが形成さ
れている。穴あけ用刃部と穴仕上げ用刃部とは工具の直
径方向において反対側に形成され、ガイドパッドは穴仕
上げ用刃部の近傍に形成されている。
【0051】第3従来例は、穴仕上げ時は、穴仕上げ用
刃部及びガイドパッドがワークの壁面に押圧され、ガイ
ドパッドが穴仕上げ用刃部の揺れを防止せんとする。穴
仕上げ時は穴仕上げ用刃部及びガイドパッドにそれほど
大きな力が加わらないので、穴仕上げ用刃部の近傍に比
較的当接面積の狭いガイドパッドを形成している。しか
し、工具により鋳物の加工部を塑性変形される本発明で
はこの考え方をそのまま採用することはできず、ガイド
パッドという名称は第3従来例と同じであるが、その役
割は第3従来例とは異なる。これは、両者においてガイ
ドパッドの形成位置や、鋳物との当接面積の大きさを比
較すれば明らかである。 <補修工程>補修工程では、鋳物を非回転の主軸に取り
付ける。主軸は円筒状の鋳物を補修する場合は円柱状で
あり、円柱状の鋳物を補修する場合は円筒状である。そ
して、工具を取り付けた回転軸を軸線の周りに回転させ
つつ軸方向に移動させる。工具の円周方向の移動により
すくい面が鋳物の内周面又は外周面の鋳巣の周辺の表層
が円周方向に塑性変形させ、軸方向の移動により前切れ
面が鋳巣の周辺の表層が軸方向に塑性変形させ、塑性変
形により形成される塑性流動層が鋳巣を補修する。
【0052】回転軸の回転数は、鋳物の材質、内周面の
内径及び外周面の外径、鋳巣の開口面積及び深さ、及び
工具のタイプ等を考慮して選定する。例えば第1タイプ
の工具を使用して円筒状の鋳物を補修する場合、内周面
の内径が82mmの鋳物の鋳巣を補修する場合、回転数
は2000から4000rpmの範囲とできる。回転軸
の回転速度と軸線から工具までの距離(半径)とで決ま
る工具の円周方向の送り速度は500から1000m/
分(min)の範囲とできる。
【0053】回転軸の送り速度即ち工具の軸方向の送り
速度は、鋳物の材質、内周面の内径及び外周面の外径、
鋳巣の開口面積及び深さ、及び工具のタイプ等を考慮し
て選定する。第1タイプの工具を使用する場合、例えば
中空孔の内径が82mmの場合は、0.03から0.0
7mm/一回転の範囲とできる。
【0054】鋳物の内周面又は外周面の鋳巣は、第1タ
イプの工具を使用すれば、その大きさに応じて、1回又
は複数回の補修作業により形成される塑性流動層により
補修できる。即ち、孔径が1.0mm以下、深さが1.
0mm以下の鋳巣であれば1回の作業により補修でき、
それ以上であれば、補修作業を繰り返す。工具の回転軸
からの半径方向の突出量即ち1回あたりの補修代は0.
1から0.3mmの範囲とする。補修作業を2回以上繰
り返せす場合については次述する。
【0055】鋳巣の大きさが一定の範囲以下(孔径が
2.0mm以下、深さが2.0mm以下)であれば、第
2タイプの工具を使用して補修代を0.6mm程度に選
定することにより、1回の補修作業により鋳巣を補修で
きる。 <工具位置調整工程>1つ又は複数の第1タイプの工具
を使用した場合、鋳巣の深さが深い、孔径(内径)が大
きい等の理由により1回の作業で補修が困難なときは、
補修作業を複数回繰り返し、それに伴い工具位置調整工
程を実行する。工具位置調整工程では、前回の補修作業
と次回の補修作業との間に、工具の位置即ち回転軸から
の突出量を調整する。毎回の突出量は同じでも良いし、
異なっても良い(例えば回を追うにつれて減少させ
る)。
【0056】尚、回転軸にガイドパッドを取り付けた場
合、工具の位置調整に併せて、ガイドパッドの突出量も
調整することが望ましい。
【0057】
【実施例】以下、本発明の第1から第3実施例、及び比
較例を添付図面を基にして説明する。 <第1実施例>第1実施例において、鋳物はエンジンの
シリンダブロックの試験片(サンプル)である。図1に
おいて、試験片50はアルミダイカストから成り円筒形
状を有し、中空孔に相当するシリンダボアー51を有す
る。試験片50の高さは30mmであり、シリンダボア
ー51の内径は82mm、外径は94mmである。シリ
ンダボアー51の内周面52に直径2mmで、深さ5m
mの複数個のくぼみ55を人工的に(腐食により)形成
した。
【0058】一方、工具はチップ10である。図2
(a)(b)及び(c)に示すように、チップ10は超
硬から成り、全体として扁平な矩形板形状を持つ。前面
11と、これとそれぞれ直角を成す側面12、上面21
及び下面22と有する。縦方向乃至長さ方向(図2
(b)において上下方向)の寸法が12.70mm、横
方向乃至幅方向(図2(b)において左右方向)の寸法
が12.70mm、高さ方向(図2(c)において左右
方向)の寸法が4.76mmである。側面12には高さ
方向の下半分に平坦で台形状のすくい面13が全長にわ
たって形成されている。すくい面13の高さは、前面1
1側を除く大半の部分が2.80mmであり、前面11
に向かうにつれて漸減している。すくい面13は側面1
2に対して30度(以下、この角度を「すくい角α」と
呼ぶ)、下面22に対して60度を成す。
【0059】側面12の高さ方向の上半分には全長にわ
たって平坦で逆台形状の傾斜面14が形成されている。
傾斜面14の高さは、前面11側を除く大半の部分が
1.80mmであり、前面11側に向かうにつれて漸減
している。傾斜面14は上面21に対して約45度を成
している。
【0060】すくい面13と傾斜面14との間、即ち側
面12の高さ方向の中間部には平坦で細長い刃殺し面1
6が形成されている。刃殺し面16は高さ方向の中間部
のうち、次述する前切れ面17を除く部分に形成され、
その高さは約0.20mmである。また、刃殺し面16
は上面21及び下面22と直角を成す。
【0061】側面12上の前面11側の端部には平坦で
三角形状の前切れ面17が形成されている。前切れ面1
7は三つの頂点17a,17b及び17cにより区画さ
れる。前切れ面17は側面12即ち刃殺し面16に対し
て約7度を成し(以下、この角度を「前切れ角β」と呼
ぶ)、前面11に対して約83度を成す。
【0062】尚、チップ10は超硬を扁平な矩形状に型
押しし、その後研磨によりすくい面13、前切れ面17
等を成形した。
【0063】続いて、チップ10による試験片50のく
ぼみ55の補修について説明する。
【0064】図1において、試験片50を非回転の主軸
(不図示)にスリット37を取り付け、チップ10を回
転軸30の先端に取り付ける。即ち、回転軸30の外周
面32の外径はシリンダボアー51の内径よりも少し小
さくされ、先端縁部には円周方向の一カ所にスリット状
の取付孔(不図示)が形成されている。この取付孔にチ
ップ10を挿入し、小ねじ(不図示)により締め付け
る。
【0065】図3及び図4に示すように、チップ10は
その前面11が回転軸30の先端面31から軸方向に少
し突出し、その側面12即ち刃殺し面16が外周面32
から半径方向に約0.3mm突出するように取り付けら
れている。側面12の突出量は前切れ面17の傾斜角度
(7度)に長さ(約3mm)を乗じた寸法に相当し、こ
れが1回あたりの補修代になる。すくい面13、刃殺し
面16及び前切り面17とシリンダボアー51の内周面
52とは、当接部19において互いに当接している。
【0066】その結果、図3においてすくい面13は当
接部19を通過する接線l1(より正確には該接線l1
を含む平面)に対して約30度を成し、換言すれば該直
線l1と直交する直線l2に対して回転方向前方側(図
3において時計方向)に60度を成している。また、図
4において前切れ面17は当接部19を通過しかつ軸線
L(図1参照)と平行な直線l3(より正確には該直線
l3を含む平面)に対して約7度を成し、換言すれば該
直線l3と直交する直線l4に対して移動方向前方側
(図4において下方側)に約83度を成している。
【0067】この状態で回転軸30を円周方向(図3に
おいて時計方向、図1においてx方向)に回転させつ
つ、試験片50の一端54aから他端54bまで軸方向
(図4において下方、図1においてy方向)に前進移動
させ、チップ10により内周面52をボーリング加工す
る。その際、回転軸30の回転数は3000rpmと
し、回転軸30の送り速度は0.05mm/一回転とし
た。これにより、チップ10は回転軸30の回転数(3
000rpm)に軸線Lから当接点19までの距離を乗
じた速度(750m/分)で円周方向に回転移動すると
同時に、回転軸30と同じ速度(0.05mm/一回
転)で軸方向に移動する。
【0068】くぼみ55を補修するために、チップ10
の半径方向の突出量を調整して、ボーリング加工を3回
行った。
【0069】第1実施例における鋳物、工具、補修条件
等を表1にまとめて示す。
【0070】
【表1】
【0071】補修前のくぼみ55及びその周辺の外観を
図6(a)に示す。第1回目の補修では、図5に示すよ
うに、内周面52上においてチップ10は円周方向(x
方向)及び軸方向(y方向)に移動される。
【0072】ここで、チップ10のすくい面13のすく
い角αを約30度としており、内周面52の表層58
a,58bからすくい面13に加わる抵抗が大きい。そ
のため、表層52aを切削する従来の三角形や菱形のチ
ップのすくい面(上記直線l2に対して回転方向と反対
側に数度傾斜している)と比べて、チップ10の円周方
向における切れ味が低下する。その結果、内周面52上
の材料はチップ10のすくい面13により円周方向に移
動(塑性変形)される。
【0073】一方、チップ10の前切れ面17の前切れ
角βを7度としている。従って、上記従来のチップの前
切れ面(上記直線l4に対して移動方向と反対側に数度
傾斜している)と比べて、チップ10の軸方向における
切れ味が低下する。その結果、内周面52の表層58
a、58bは前切れ面17により一端54a側から他端
54b側に向かって軸方向に移動(塑性変形)される。
【0074】実際には、くぼみ55の周辺の表層は、円
周方向の移動と軸方向の移動を合成した斜め方向(z方
向)に移動され、塑性流動層を形成する。この事情は、
後述する第2回目及び第3回目の補修でも同じである。
【0075】ところで、円周方向に関しては回転軸30
の回転速度を遅くしている。また、軸方向に関しては、
チップ10はそのせまい前切れ面17で内周面52の材
料を押し、しかも回転軸30の軸方向の送り速度を遅く
している。これにより、回転軸30を回転及び移動させ
るために小さな駆動力で済み、通常の工作機械に取り付
けてボーリング加工を行うことができる。この事情は、
次述する第2回目及び第3回目の補修においても同じで
ある。
【0076】第1回目の補修の終了後のくぼみ55及び
その周辺の外観を図6(b)に示す。内周面52の円周
方向及び軸方向に移動した表層58a、58bにより、
くぼみ55の大きさが小さくかつ浅くなっている。尚、
変形したくぼみ55は軸方向の長さよりも円周向の長さ
が大きかった(軸方向に少しつぶれていた)。
【0077】この補修に伴い、シリンダボアー51の内
径が約0.6mm(片肉0.3mm)増加し、φ82.
6mmになった。また、内周面52の真円度はφ80μ
mになり、表面粗さは10μmRzになった。尚、補修
の際切れ粉は殆ど発生しなかったが、試験片50の他端
54b側に軸方向に伸びるバリ57aが発生した。
【0078】第1回目の補修の終了後、図7において1
0aで示すように、チップ10を半径方向に約0.3m
m突出させた(当初からの突出量は約0.6mmにな
る)。そして、第1回目の補修と同様にチップ10を内
周面52上で移動させることにより、第2回目の補修を
行った。
【0079】第2回目の補修の終了後のくぼみ55等の
外観を図6(c)に示す。くぼみ55は小さくかつ浅く
なり、入口がふさがれ空洞は殆んどつぶれている。ま
た、シリンダボアー51の内径が更に約0.3mm増加
し、φ83.2mmになった。また、内周面52の真円
度はφ80μmになり、表面粗さは10μmRzになっ
た。切れ粉は殆ど発生しなかったが、試験片50の他端
54b側のバリ57aが少し大きくなった。
【0080】第2回目の補修の終了後、図7において1
0bで示すように、チップ10を更に半径方向に約0.
3mm突出させた(当初からの突出量は約0.9mmに
なる)。そして、第2回目の補修と同様にチップ10を
内周面52上で移動させることにより、第3回目の補修
を行った。
【0081】第3回目の補修の終了後のくぼみ55等の
外観を図6(d)に示す。くぼみ55は目立たなくな
り、空洞は完全につぶれた。チップ10はシリンダボア
ー50との当接面積が狭く、シリンダボアー50の当接
部19即ち加工部に局部的に加圧力を加える。よって、
当接部19が変形等することがない。くぼみ55の周辺
の金属組織を観察したところ、図8に示すように、くぼ
み55の手前側の表層58aが移動してくぼみ55の向
こう側の表層58bと結合し、新たな組織(塑性流動
層)58cを形成していた。これにより、くぼみ55の
周辺の組織が強化されたものと考えられる。
【0082】この補修によりシリンダボアー51の内径
が更に約0.3mm増加し、φ83.8mmになった。
また、内周面52の真円度はφ80μm、表面粗さは1
0μmRzになった。切れ粉は殆ど発生しなかった。但
し、試験片50の他端54b側のバリ57aが更に大き
くなり、また一端54a側にも軸方向に伸びる小さなバ
リ58bが形成された。
【0083】その後、仕上げ加工として、チップを更に
0.1mm半径方向に突出させて、即ち補修代0.1m
mで仕上げボーリング加工を行った。これにより、シリ
ンダボアー51の内径寸法はφ84.0mmになり、内
周面52の真円度はφ10μm、表面粗さは5μmRz
になった。その際、一端54a及び他端54b側のバリ
57b及び57aを除去した。
【0084】第1実施例において、くぼみ55の個数、
開口面積及び深さ等にも影響されるが、1個のチップ1
0で、30個程度のシリンダブロック50のシリンダボ
アー51の内周面52を補修することができる。補修が
不十分になった時点で、古いチップ10を新しいチップ
10と交換すれば良い。チップ10は型押し及び研磨等
より容易かつ安価に製造できるので、第1実施例によれ
ば、シリンダブロック50のくぼみ55を補修するため
のコストが大幅に低下する。 <比較例> 試験片 シリンダボアー51の内径が82mmの上記試験片50
の他にも、表2に示すように、シリンダボアーの内径が
78mmの試験片及び内径が85mmの試験片を準備し
た。そして、すくい角αが30度で前切れ角βが7度の
上記チップ10により各試験片の内周面52を3回補修
した。尚、一回あたりの補修代や、回転軸30の回転
数、送り速度等、その他の補修条件は第1実施例のそれ
らと同じとした。
【0085】補修の結果、即ちくぼみ55及びその周辺
の外観が図9(a)(b)及び(c)に示されている。
【0086】内径が78mmの場合を示す図9(a)、
及び内径が85mmの場合を示す図9(c)から明らか
なように、これらの場合くぼみ55は概ね補修された
(○で表示)。尚、図9(b)は内径が82mmの場合
である。これより判断して、上記緒元(寸法、角度等)
のチップ10によれば、内径がφ70からφ90mmの
シリンダボアー51の内周面52上のくぼみ55が良好
に補修できると考えられる。
【0087】
【表2】
【0088】チップ 上記チップ(第1チップ)10の他にも、表3に示すよ
うに、すくい角αが45度で前切れ角βが7度の第2チ
ップ、及びすくい角αが10度で前切れ角βが7度の第
3チップを準備した。そして、第1から第3のチップを
用いて上記シリンダボアー51の内周面52をそれぞれ
1回ずつ補修した。尚、一回あたりの補修代や、回転軸
30の回転数、送り速度等、その他の補修条件は第1実
施例のそれらと同じとした。
【0089】補修の結果、即ちくぼみ55の周辺の外観
が図10に示されている。図10(a)が第2チップに
よる補修後の外観を、図10(c)が第3チップによる
補修後の外観を示す。尚、図10(b)が第1チップに
よる補修後の外観を示す。
【0090】図10(a)から明らかなように、すくい
角αが45度である第2チップによる補修ではくぼみ5
5が殆ど補修されていない(表3において×で表示)。
これは、表層が切削されたため塑性変形が起きないため
と考えられる。また、図10(c)から明らかなよう
に、すくい角αが10度である第3チップによる補修で
はくぼみが殆ど補修されていないのみならず、回転軸3
0が停止した(表3において×で表示)。これは、主軸
負荷が高くなるためと考えられる。
【0091】また、上記第1チップ10の他にも、表3
に示すように、すくい角αが30度で前切れ角βが5度
の第4チップ、及びすくい角αが30度で前切れ角βが
10度の第5チップを準備した。そして、第1、第4及
び第5チップを用いて上記シリンダボアー51の内周面
52をそれぞれ3回ずつ補修した。尚、1回あたりの補
修代や、回転軸30の回転数、送り速度等、その他の補
修条件は上記実施例のそれらと同じとした。
【0092】補修後のくぼみ55の周辺の外観が図11
に示されている。図11(a)が第4チップによる補修
後の外観を、図11(c)が第5チップによる補修後の
外観を示す。尚、図11(b)が第1チップによる補修
後の外観を示す。
【0093】図11(a)から明らかなように、前切れ
角βが5度である第4チップによる補修では、くぼみ5
5が大体補修されている(表3において○△で表示)。
これは表層が塑性変形が起きやすいためと考えられる。
また、図11(c)から明らかなように、前切れ角βが
10度である第5チップによる補修では、くぼみ55は
余り補修されていない(表3において×で表示)。これ
は表層を切削しているためと考えられる。
【0094】
【表3】
【0095】補修条件 補修条件に関し、チップ10による1回あたりの補修代
と、回転軸30の回転数及び軸方向の送り速度とを変更
して、試験を行った。
【0096】このうち、補修代については、表4に示す
ように上記補修代0.3mmの他に、補修代0.1mm
と0.2mmとでそれぞれ内周面52を3回ずつ補修し
た。その場合、補修代以外の補修条件は第1実施例のそ
れらと同じにした。その結果、補修代が0.1mmの場
合は、補修してもくぼみ55は殆ど補修されなかった
(表4において×で表示)。また、補修代が0.2mm
の場合は、補修代が0.1mmの場合よりも補修は進ん
だが、十分とは言えなかった(表4において△で表
示)。これは変形量(つぶし代)不足のためと考えられ
る。
【0097】回転軸30の回転数については、表4に示
すように上記回転数3000rpmの他に、回転数15
00rpmと4500rpmとでそれぞれ回転させて内
周面52を補修した。その場合、回転数以外の補修条件
は上記実施例のそれらと同じにした。その結果、回転数
が4500rpmの場合、くぼみ55は殆ど補修されな
かった(表4において×で表示)。回転数が1500r
pmの場合、回転数が4500rpmの場合よりも補修
は進んだが、十分とは言えなかった(表4において△で
表示)。これは高回転では低すぎて、ビビリが生じ、加
工が安定しないためと考えられる。
【0098】一方、回転軸30の送り速度については、
表4に示すように上記送り速度0.05mm/一回転分
の他にも、送り速度0.03mm/一回転と0.07m
m/一回転とで送って内周面52を補修した。その場
合、送り速度以外の補修条件は第1実施例のそれらと同
じにした。その結果、送り速度が0.03mm/一回転
の場合、くぼみ55は殆ど補修されなかった(表4にお
いて×で表示)。送り速度が0.07mm/一回転の場
合、0.03mm/一回転の場合よりも補修は進んだ
が、十分とは言えなかった(表4において△で表示)。
【0099】
【表4】
【0100】<第1実施例の変形例> 上記仕上げボーリング加工の後、必要に応じて、シリ
ンダボアー51の内周面52に金属材料を溶射すること
ができる。これにより、真円度や表面粗さが向上する。
または、仕上げボーリングを省略して、第3回目の補修
の後に溶射を行っても良い。 図12に示すように、三つのチップ65、66及び6
7を、回転軸30の外周面32上の軸方向に少し異なる
位置で、円周方向には円周を三分する位置に取り付ける
こともできる。即ち、第1チップ65を軸方向の所定位
置で突出量Δ1を最も小さく(例えば0.3mm)し、
第2チップ66は軸方向位置が第1チップ65よりも
少し後方で突出量Δ2が中程度(例えば0.6mm)と
し、第3チップ67は軸方向が第2チップ66よりも少
し後方で突出量Δ3が最大(例えば0.9mm)とす
る。
【0101】このようにすれば、回転軸30を回転する
のみで、即ち途中でチップ65から67の突出量を調整
することなく、試験片50の内周面のくぼみ55を補修
することができる。 <第2実施例>第2実施例は、第1実施例と比べて、回
転軸に工具の他にガイドバッドを取り付けた点が異な
る。上述した第1実施例において、1回当たりの補修代
が0.3mmの場合は補修は良好であるのに、0.2m
mの場合は不良であった。また、補修代が0.3mmの
場合でも第1回目の補修ではくぼみ55は余り補修され
なかった。発明者はその原因を検討するうちに、これら
の場合にはシリンダブロック50から加わる加工抵抗に
よりチップ10が変形したり、逃げたりし、チップ10
からシリンダブロック50に十分な加圧力が加わってい
ないことに気付いた。
【0102】そこで、第2実施例ではチップ10の変形
や逃げを防止するために、回転軸30の直径方向でチッ
プ10の反対側にするガイドパッド70を取り付けたの
である。尚、その他の点は第1実施例と同じであるの
で、以下相違点を中心に説明する。
【0103】図13及び図14において、アルミニウム
製で円筒状の試験片50はシリンダボアー51を有す
る。シリンダボアー51の内径は82mmで、内周面5
2にくぼみ55が形成されている。
【0104】チップ10は前面11、側面12、上面2
1及び下面22を有する。更にすくい面13、傾斜面1
4、及び前切れ面17等が形成されている。チップ10
は回転軸30の先端に形成されたスリット37にその前
面11が回転軸30の先端面31から軸方向に突出し、
その刃殺し面16が外周面32から半径方向に約0.3
mm突出するように取り付けられる。すくい面13は3
0度を成し、前切れ面17は7度を成している。
【0105】ガイドパッド70はダイヤモンドから成
り、全体的に直方体形状を有する。詳述すると、平坦な
内面71と、互いに平行な前面72及び後面73と、互
いに平行な一対の側面74及び75と、シリンダボアー
51の内周面52の曲率に対応して湾曲した外面(当接
面)76とを含む。幅(側面74と75との間隔)は約
5mm、長さ(前面72と後面73との間隔)は約9m
m、厚さ(内面71と外面76との間隔)は約13mm
である。これから明らかなように、当接面76はチップ
のすくい面13や前切れ面17よりも面積が広い。
【0106】ガイドパッド70は回転軸30の先端に形
成されたくぼみ38に挿入、固定されている。くぼみ3
8はスリット37よりも深くされ、チップ10が挿入固
定されたスリット37と回転軸30の直径方向で反対側
に形成されている。ガイドパッド70の前面72が回転
軸30の先端面31からチップ10と少し突出し(チッ
プの前面11よりも突出量が少ない)、外面76が外周
面32からチップ10と同様に半径方向に0.3mm突
出している。ガイドパッド70は回転軸30の直径方向
においてチップ10と反対方向に突出している。
【0107】この状態で回転軸30を円周方向に回転さ
せつつ、試験片50の軸方向に前進移動させ、チップ1
0により内周面52を1回ボーリング加工した。その
際、回転軸30の回転数は3000rpmとし、送り速
度は0.05mm/一回転とした。その結果、上記第1
実施例に比べて、補修効果が向上した。即ち、1回のボ
ーリングでくぼみ55が補修され、内周面52の表面粗
さ、真円度が向上した。これは、補修時におけるチップ
10の変形、逃げがガイドパッド70により抑制された
ためと考えられる。
【0108】補修時、チップ10にはシリンダブロック
50の加工部(当接部)58から回転軸30の中心に向
かう方向の第1加工抵抗、及び円周方向後方に向かう第
2加工抵抗が加わる(通常、前者の方が後者よりも小さ
い)。第1加工抵抗によりチップ10を含む回転軸30
全体が球心方向に逃げ(撓み)、第2加工抵抗により円
周方向後方に逃げる(撓む)傾向がある。
【0109】しかし、チップ10の反対側にガイドパッ
ド70を取り付けたことにより、加工部58からチップ
10に加わり回転軸30の中心に向かう第1加工抵抗の
一部が回転軸30を介してシリンダブロック50の対向
部59により受け止められる。その結果、ガイドパッド
70を取り付けない場合に比べて、チップ10を含む回
転軸30全体の変形、逃げが抑制される。こうしてチッ
プ10から加工部58に円周方向及び軸方向の十分な加
圧力が加わり、加工部58が所定量(0.3mm)補修
されたもの考えられる。 <第3実施例>第3実施例では、図15及び図16に示
すように、丸棒状の試験片80の外周面81を回転軸8
5に取り付けたチップ10により補修し、その際のチッ
プ10を含む回転軸85全体の変形等を回転軸85に取
り付けたガイドパッド90により抑制する。
【0110】試験片80は外径80mmで、その外周面
81に鋳巣82が形成されている。回転軸85には断面
円形状で内径85mmの中空穴86aが形成され、その
入口部にスリット87及びくぼみ88が直径方向で対向
するように形成されている。
【0111】第3実施例のチップ10は第1実施例のチ
ップ10と同じであり、前面11及び側面12、すくい
面13及び前切れ面17等を有し、すくい角は30度
で、前切れ角は7度である。チップ10はその前面11
が回転軸85の先端面89から軸方向に少し突出し、そ
の側面12が試験片80の外径に対し半径方向に0.3
mm突出するようにスリット87内に取り付けられてい
る。
【0112】ガイドパッド90は第2実施例のガイドパ
ッド70とは異なり、平坦な外面91と、これに直交す
る一対の側面94及び95並びに前面92及び後面93
と、回転軸85の内周面86bに対応して湾曲した内面
(当接面)96とを有する。ガイドパッド90は、スリ
ット87よりも深く形成されたくぼみ88内に回転軸8
5の直径方向でチップ10と対向し、その前面92が回
転軸85の先端面89から軸方向に少し突出し(チップ
10の前面11よりも突出量が少ない)、その外面91
が内周面86bから半径方向内側にチップ10と同量突
出するように取り付けられている。
【0113】回転軸85を円周方向に回転させつつ試験
片80の軸方向に前進移動させ、チップ10により外周
面82をボーリング加工した。その際、回転軸85の回
転数は3000rpmとし、回転軸30の送り速度は
0.05mm/一回転とした。ボーリング加工は1回行
った。
【0114】その結果、くぼみ82が良好に補修され、
外周面81の表面粗さ、真円度も満足できるものであっ
た。これは、加工部84の材料がチップ10により塑性
変形されるとともに、チップ10の変形、逃げがガイド
パッド90により抑制されたためと考えられる。 <第4実施例>図17(a)(b)及び(c)に示すよ
うに、チップ100は本体101、超硬105及びダイ
ヤモンド108を含み、正方形板の一部を切り欠いた形
状を持つ。本体101は鉄鋼等から成り、幅よりも長さ
が長い矩形状を持ち、中央に取付孔102が形成されて
いる。側面103は傾斜部103aと直線部103bに
より区画される。
【0115】超硬105は細長い形状を持ち、その幅は
本体101の幅の数分の一で、その長さ及び高さは本体
101の長さ及び高さに等しい。傾斜部103aに取り
付けられる第1部分105aと、直線部103bに取り
付けられる第2部分105bとを持つ。
【0116】ダイヤモンド108は中間部が屈曲した薄
板形状を持ち、その幅は超硬105の幅よりも少し広
く、その高さは本体101の高さと等しく、その長さは
本体101の長さの半分程度である。
【0117】上記三相構造を持つチップ100は一部に
切欠き101aが形成された扁平な矩形板形状を持つ。
前面111と、これと直角を成す一側面112及び他側
面115、上面123及び下面124と有する。そし
て、ダイヤモンド108に所定方向に傾斜したすくい面
113、傾斜面114及び前切れ面116等が形成され
ている。
【0118】詳述すると、ダイヤモンド108には回転
時に前方となる側(図17(a)で上側、同(c)で左
側)に平坦で四角形状のすくい面113が形成されてい
る。図17(c)に示すように、すくい面113の高さ
は一定で、後端が上面123側(回転軸30の回転方向
前方側)に10度傾斜している。図17(a)に示すよ
うに、すくい面113は一側面112に対して、他側面
115側(回転軸30の半径方向内向側)に角度(すく
い角)20度を成し、上面123に対して70度を成
す。
【0119】また、チップ100には回転時に後方とな
る側に平坦で四角形状の傾斜面114が形成されてい
る。図17(c)に示すように傾斜面114の高さは一
定で、後端が上面123側となる方向に10度傾斜して
おり、すくい面113と平行となっている。図17
(a)に示すように、傾斜面114は一側面112及び
下面124に対して約45度を成している。
【0120】一側面112上の前面111側には平坦で
三角形状の前切れ面116が形成されている。図17
(b)から明らかなように、前切れ面116は一側面1
12に対して、前端が他側面115側となる方向に約7
度傾斜し、前面113に対して83度を成している。
【0121】すくい面103と傾斜面104との間の境
界縁には平坦で細長い刃殺し面108が形成されてい
る。図17(a)に示すように、刃殺し面118は上面
113及び下面114と直角を成し、図17(c)に示
すように、後端側が回転方向前方となる方向に10度を
成している。その高さは約0.20mmである。
【0122】図17(d)に拡大して示すように、刃殺
し面118の上縁及び下縁には、ホーニング加工により
丸み部119が形成され、その半径は0.1mmであ
る。
【0123】上記チップ(第1チップ)100の他に
も、前切れ角、すくい角(ラジアルレーキ)、刃殺し面
の幅(マージン幅)、刃殺し面の傾斜角(アキシャルレ
ーキ)及び丸み部(ホーニング幅)の半径が異なるチッ
プを用意した。
【0124】第2チップ及び第3チップは前切れ角がそ
れぞれ5度及び10度で、それ以外は第1チップと同じ
である。第4チップ、第5チップ及び第6チップはすく
い角がそれぞれ−45度、−60度及び−80度で、そ
れ以外は第1チップと同じである。第7チップ及び第8
チップは刃殺し面の幅がそれぞれ0.1mm及び0.3
mmで、それ以外は第1チップと同じである。
【0125】第9チップ及び第10チップは刃殺し面の
傾斜角がそれぞれ−10度及び0度で、それ以外は第1
チップと同じである。第11チップ及び第12チップは
丸み部の半径がそれぞれ0.05mm及び0.15mm
で、それ以外は第1チップと同じである。
【0126】チップ100はその前面111が回転軸3
0(図3及び図4参照)の先端面31から軸方向に少し
突出し、その側面112即ち刃殺し面118が外周面3
2から半径方向に約0.6mm突出するように取り付け
られ、これが補修代となる。すくい面113は当接部1
9を通過する接線l1に対して約20度を成している。
また、前切れ面116は当接部19を通過しかつ軸線L
と平行な直線l3に対して約7度を成している。
【0127】この状態で回転軸30を円周方向に回転さ
せつつ、試験片50(図1参照)の一端54aから他端
54bまで軸方向に前進移動させ、チップ100により
内周面52を1回ボーリング加工する。その際、回転軸
30の回転数は3000rpmとし、回転軸30の送り
速度は0.15mm/一回転とした。尚、回転軸30上
の直径方向でチップと対向する位置には、第1実施例と
同様のガイドパッド70(図13参照)を取り付けた。 チップの変更 上記加工条件は変更せず、第1チップ100から第12
チップを用いて補修作業を行った。その結果を図18
(a)から(e)に示す。尚、図18(a)から(e)
において縦軸は補修可能な鋳巣の孔径(直径)を示す。
【0128】前切れ角が7度の第1チップ100を使用
したとき、図18(a)において点aで示すように、孔
径が約2.3mm補修された。前切れ角が5度の第2チ
ップでの補修量は点bで示すように約1.8mmであ
り、前切れ角が10度の第3チップでの補修量は点cで
示すように約2.0mmであった。
【0129】すくい角が70度の第1チップ100を使
用したとき、図18(b)において点dで示すように、
孔径が約2.2mm補修された。すくい角が45度の第
4チップでの補修量は点eで示すように約1.0mmで
あり、60度の第5チップでの補修量は点fで示すよう
に約1.8mmであり、80度の第6チップでは点gで
示すように補修は不可能であった。
【0130】すくい角を上記のように変更した場合の内
周面の外観を図20(a)(b)及び(c)に示す。図
20(a)から明らかなように、すくい角が−45度の
ときは鋳巣は半分程度しか補修されておらず、図20
(b)から明らかなように、60度のときは概ね補修さ
れているが十分ではない。これに対して、図20(c)
から明らかなように、70度のときは十分に補修されて
いる。図18(b)に示したすくい角を変更した場合の
鋳巣の補修量と、図20(a)から(c)に示した補修
後の外観とは概ね対応している。
【0131】刃殺し面118の幅が0.2mmの第1チ
ップ100を使用したとき、図18(c)において点h
で示すように、孔径が約2.1mm補修された。0.1
mmの第7チップでの補修量は点iで示すように約1.
8mmであり、0.3mmの第8チップでの補修量は点
jで示すように約2.0mmであった。
【0132】刃殺し面118の傾斜角が10度の第1チ
ップ100を使用したとき、図18(d)において点l
で示すように、孔径約2.2mmが補修された。−10
度の第9チップでの補修量は点mで示すように約1.6
mmであり、0度の第10チップでの補修量は点nで示
すように約1.9mmであった。
【0133】刃殺し面118の傾斜角を上記のように変
更した場合の内周面の外観を図21(a)(b)及び
(c)に示す。図21(a)から明らかなように、傾斜
角が−10度のときは鋳巣は3/4程度しか補修されて
おらず、図21(b)から明らかなように、0度のとき
は概ね補修されているが十分ではない。これに対して、
図21(c)から明らかなように、10度のときは十分
に補修されている。図18(d)に示した刃殺し面11
8の傾斜角を変更した場合の鋳巣の補修量と、図21
(a)から(c)に示した補修後の外観とは概ね対応し
ている。
【0134】丸み部119の半径が0.1mmの第1チ
ップ100を使用したとき、図18(e)において点p
で示すように、孔径約2.3mmが補修された。0.0
5mmの第11チップでの補修量は点qで示すように約
2.2mmであり、0.15mmの第12チップでの補
修量は点rで示すように約1.8mmであった。
【0135】半径を上記のように変更した場合の内周面
の外観を図22(a)(b)(c)及び(d)に示す。
図22(a)から明らかなように、0(零)のときは鋳
巣は半分程度しか補修されておらず、図22(d)から
明らかなように、0.15mmのときは概ね補修されて
いるが十分ではない。これに対して、図22(b)及び
(c)から明らかなように、0.05mmのとき及び
0.1mmのときは十分に補修されている。図18
(e)に示した丸み部119の半径を変更した場合の鋳
巣の補修量と、図22(a)から(d)に示した補修後
の外観とは概ね対応している。 加工条件の変更 次に、上記第1チップ100を用い、加工条件(回転軸
30の回転数、軸方向の送り速度及び一回あたりの補修
代)を変更して加工を行った。第2加工条件では、回転
軸30の回転数を6000rpmにし、それ以外の条件
は第1加工条件と同じにした。第3加工条件では、回転
軸30の送り速度を0.15mm/一回転とし、それ以
外の条件は第1加工条件と同じにした。第4加工条件、
第5加工条件及び第6加工条件では補修代をそれぞれ
0.2mm,0.4mm及び0.8mmとした。何れの
場合も、それ以外の条件は第1加工条件と同じにした。
その結果を図19(a)から(c)に示す。
【0136】回転軸30の回転数が3000rpmの第
1加工条件のとき、図19(a)において点sで示すよ
うに、孔径約2.3mmが補修された。回転数が600
0rpmの第2加工条件のときの補修量は点tで示すよ
うに約1.5mmであった。
【0137】回転軸の送り量が0.15mm/一回転の
第1加工条件のとき、図19(b)において点uで示す
ように、孔径が約2.2mm補修された。0.3mm/
一回転の第3加工条件のとき、補修量は点vで示すよう
に約1.8mmであった。
【0138】補修代が0.6mmの第1加工条件のと
き、図19(c)において点wで示すように、孔径が約
2.1mm補修された。0.2mmの第4加工条件のと
き補修量は点xで示すように約0.7mmであり、0.
4mmの第5加工条件のとき補修量は点yで示すように
約1.4mmであり、0.8mmの第6加工条件のとき
点zで示すように補修は不可能であった。
【0139】第4実施例によれば、第1チップ100を
使用し、上記加工条件(送り速度及び補修代等)を採用
することにより、孔径2.0mm、深さ2.5mmの鋳
巣55が1回の補修作業で補修された。その理由は以下
のように推察される。
【0140】第1に、すくい面113のすくい角を20
度とし、これは第1実施例のすくい角30度よりも小さ
い。その結果、加工抵抗が大きくなり、塑性流動がより
効果的に起こった。
【0141】第2に、すくい面113及び刃殺し面11
8等を、後端側が回転方向前方となるように傾斜させ
た。これにより、すくい面113等は、回転方向の移動
と軸方向の移動とを合成したベクトルと公差する方向に
延び、鋳物55の表層52aをより効果的に塑性変形さ
せることができた。
【0142】第3に、刃殺し面118aにホーニング加
工により丸み部119aを形成した。これにより、チッ
プ100の切削性が低下し、表層58a等が刃殺し面1
18で切削等されることなく塑性変形するようになっ
た。
【0143】第4に、加工条件のうち、送り速度(0.
15mm/一回転)を第1実施例のそれより遅くし、補
修代(0.6mm)を第1実施例のそれよりも大きくし
た。送り速度を遅くしたのは、塑性変形時の歪速度を遅
くすることで、鋳物の表層58a等を破断(切削)する
ことなく塑性流動を起こすためである。補修代を多くし
たのは、チップ100の形状及び加工条件の工夫によ
り、多くしても表層が切削されることなく塑性変形する
からである。
【0144】最後に、チップ100を本体101、超硬
104及びダイヤモンド108の三層構造とし、しかも
切欠き101aを形成した。これにより、表層52aは
ダイヤモンド108に形成されたすくい面113等によ
りより効果的に塑性変形されると共に、ダイヤモンド1
08を小さくしているのでチップが安価である。
【0145】
【発明の効果】以上述べてきたように、本願の第1発明
に係る鋳物の鋳巣の補修方法によれば、鋳物の内周面上
の鋳巣周辺の表層は、工具により円周方向及び軸方向に
塑性変形され塑性流動層を形成し、切り粉を発生される
ことなく鋳巣を補修することができる。
【0146】一方、第2発明による鋳物の鋳巣の補修方
法によれば、鋳物の外周面上の鋳巣周辺の表層は、工具
により円周方向及び軸方向に塑性変形され塑性流動層を
形成し、切り粉を発生されることなく鋳巣を補修するこ
とができる。
【0147】請求項2の補修方法によれば、シリンダボ
アーの鋳巣が補修されたシリンダブロックが得られる。
請求項3の補修方法によれば、所定形状の工具を安価に
得ることができる。
【0148】請求項4及び16の補修方法によれば、鋳
巣の周囲の表層が円周方向及び軸方向に塑性変形され
る。請求項5及び17、6及び18の補修方法によれ
ば、鋳巣の周囲の表層が円周方向及び軸方向に塑性変形
される。
【0149】請求項7の補修方法によれば、表層がチッ
プにより切削されることが防止される。請求項8の補修
方法によれば、大きな鋳巣が少ない補修回数で補修でき
る。
【0150】請求項9及び20、10及び21の補修方
法によれば、チップの逃げがガイドパッドにより抑制さ
れる。請求項12及び22の補修方法によれば、工具に
大きな負担を加えることなく、最小回数の補修で鋳巣を
補修できる。
【0151】請求項13及び23の補修方法によれば、
鋳巣の周囲の表層が効率良く円周方向に塑性変形され
る。請求項14及び24の補修方法によれば、鋳巣の周
囲の表層が効率良く軸方向に塑性変形される。
【0152】請求項15の補修方向によれば、複数回の
補修作業により大きな鋳巣の補修か可能となる。請求項
19の補修方法によれば、刃殺し面による表層の切削が
より確実に防止される。請求項26の補修方法によれ
ば、所定寸法の鋳物の鋳巣が補修される。請求項27の
補修方法によれば、安価な工具により鋳巣の周囲の表層
を塑性変形させることができる。
【0153】請求項28及び29の補修方法によれば、
表層を円周方向及び軸方向に効率よく塑性変形させるこ
とができる。請求項30及び31の補修方法によれば、
表層を円周方向及び軸方向に効率よく、しかも少ない補
修回数で塑性変形させることができる。請求項32の補
修方法によれば、チップの逃げがガイドパッドにより抑
制される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例を説明するための全体説明
図である。
【図2】(a)は第1実施例に使用する工具の正面図、
(b)はその平面図、(c)はその側面図である。
【図3】第1実施例における補修を説明するための横断
面図である。
【図4】第1実施例における補修を説明するための縦断
面図である。
【図5】第1実施例における補修を説明するための平面
説明図である。
【図6】(a)は補修前のくぼみの周辺を示す外観図、
(b)は第1回目の補修後の外観図、(c)は第2回目
の補修後の外観図、そして(d)は第3回目の補修後の
外観図である。
【図7】第1実施例における工具の半径方向の位置調整
を説明するための説明図である。
【図8】第1実施例における材料の流れを説明するため
の断面図である。
【図9】(a)(b)及び(c)はシリンダボアーの内
径を変化させた場合のくぼみの周辺の外観図である。
【図10】(a)(b)及び(c)は工具のすくい角を
変化させた場合のくぼみの周辺の外観図である。
【図11】(a)(b)及び(c)は工具の前切れ角を
変化させた場合のくぼみの周辺の外観図である。
【図12】第1実施例の変形例における工具の位置調整
を説明するための断面図である。
【図13】本発明の第2実施例を示す要部縦断面図であ
る。
【図14】図13における14−14断面図である
【図15】本発明の第3実施例を示す要部縦断面図であ
る。
【図16】図15における16−16断面図である
【図17】(a)は第4実施例に使用する工具の正面
図、(b)はその平面図、(c)はその側面図、(d)
は(c)における17−17断面図である。
【図18】(a)から(e)はチップを変更した場合の
鋳巣の補修を示すグラフである。
【図19】(a)から(c)は加工条件を変更した場合
の鋳巣の補修を示すグラフである。
【図20】(a)(b)及び(c)はすくい角を変更し
た場合の内周面の外観を示す写真である。
【図21】(a)(b)及び(c)は刃殺し面の傾斜角
を変更した場合の内周面の外観を示す写真である。
【図22】(a)(b)(c)及び(d)は丸み部の半
径を変更した場合の内周面の外観を示す写真である。
【図23】第1従来例における補修の概念を説明するた
めの説明図である。
【図24】第1従来例の要部縦断面図である。
【図25】第2従来例の要部縦断面図である。
【符号の説明】
10、100:工具 12:一側面 13:すくい面 16:刃殺し面 17:前切り面 19:当接部 α:すくい角 β:前切り角 30:回転軸 32:外周面 50:鋳物 52:内周面 58a、58b:表層 70:ガイドパッ
─────────────────────────────────────────────────────
【手続補正書】
【提出日】平成14年9月20日(2002.9.2
0)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図6
【補正方法】変更
【補正内容】
【図6】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図9
【補正方法】変更
【補正内容】
【図9】
【手続補正3】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図10
【補正方法】変更
【補正内容】
【図10】
【手続補正4】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図11
【補正方法】変更
【補正内容】
【図11】
【手続補正5】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図20
【補正方法】変更
【補正内容】
【図20】
【手続補正6】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図21
【補正方法】変更
【補正内容】
【図21】
【手続補正7】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図22
【補正方法】変更
【補正内容】
【図22】
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 宮崎 国利 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内 (72)発明者 太田 智康 愛知県豊田市トヨタ町1番地 トヨタ自動 車株式会社内

Claims (32)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】鋳物の中空孔の内周面に存在する鋳巣を、
    回転軸に取り付けられ内周面に当接された工具により補
    修する方法であって、 回転方向前方側に位置し前記内周面との当接点における
    接線に対して20度から30度を成すすくい面と、移動
    方向前方側に位置し該当接点を通りかつ前記回転軸の軸
    線と平行な直線に対して5度から10度を成す前切れ面
    とを持つ工具を該回転軸に取り付ける工具取付工程と、 該回転軸を軸線の周りに回転させつつ軸方向に移動さ
    せ、前記工具の前記すくい面及び前記前切れ面で前記鋳
    巣の周辺の表層を塑性変形させることにより鋳巣を補修
    する補修工程と、から成ることを特徴とする鋳物の鋳巣
    の補修方法。
  2. 【請求項2】前記鋳物はアルミダイカストから成るシリ
    ンダブロックであり、前記中空孔は内径が70mmから
    90mmのシリンダボアーである請求項1に記載の補修
    方法。
  3. 【請求項3】前記工具取付工程において、前記工具は前
    面と側面とで区画される角部を持つ薄板形状であり、前
    記すくい面は該側面の回転方向前方側に形成され、前記
    前切れ面は該側面の移動方向前方側に形成されている請
    求項1に記載の補修方法。
  4. 【請求項4】前記接線に対する前記工具のすくい面の角
    度は30度で、前記直線に対する該工具の前切れ面の角
    度は7度である請求項3に記載の補修方法。
  5. 【請求項5】前記側面は回転方向後方側に形成され前記
    すくい面と反対方向に傾斜した傾斜面を有し、該すくい
    面と該傾斜面との間に前記直線と平行な境界縁が形成さ
    れている請求項4に記載の補修方法。
  6. 【請求項6】前記境界縁には刃殺し面が形成されている
    請求項5に記載の補修方法。
  7. 【請求項7】一つの前記工具を、前記回転軸からの突出
    量を調節可能に取り付ける請求項4に記載の補修方法。
  8. 【請求項8】複数の前記工具を、前記回転軸の円周方向
    に離れてかつ該回転軸からの突出量を異ならせて取り付
    ける請求項4に記載の補修方法。
  9. 【請求項9】前記工具取付工程において更に、前記工具
    から前記回転軸の円周方向に離れた位置に、該回転軸の
    外周面から半径方向に突出し中空孔の内周面に接触する
    ガイドパッドを取り付ける請求項4に記載の補修方法。
  10. 【請求項10】前記ガイドパッドは前記回転軸の直径方
    向において前記チップと反対側に取り付ける請求項9に
    記載の補修方法。
  11. 【請求項11】複数個の前記ガイドパッドを前記回転軸
    の円周方向に離れて取り付ける請求項9に記載の補修方
    法。
  12. 【請求項12】前記補修工程において、前記工具による
    表層の補修代は0.3mmから0.5mmである請求項
    4に記載の補修方法。
  13. 【請求項13】前記補修工程において、前記回転軸の回
    転数は2000rpmから4000rpmである請求項
    4に記載の補修方法。
  14. 【請求項14】前記補修工程において、前記回転軸の送
    り速度は0.03mm/一回転から0.07mm/一回
    転である請求項4に記載の補修方法。
  15. 【請求項15】更に、前記補修工程の次に、前記回転軸
    からの前記工具の突出量を調整する工具位置調整工程を
    含む請求項4に記載の補修方法。
  16. 【請求項16】前記接線に対する前記工具のすくい面の
    角度は20度で、前記直線に対する該工具の前切れ面の
    角度は7度である請求項3に記載の補修方法。
  17. 【請求項17】前記側面は回転方向後方側に前記すくい
    面と反対側に傾斜した傾斜面を有し、該すくい面と該傾
    斜面との間に前記直線に対して後端側が回転方向前方側
    に傾斜した境界縁が形成されている請求項16に記載の
    補修方法。
  18. 【請求項18】前記境界縁には刃殺し面が形成されてい
    る請求項17に記載の補修方法。
  19. 【請求項19】前記刃殺し面の上縁及び下縁には丸み部
    が形成されている請求項18に記載の補修方法。
  20. 【請求項20】前記工具取付工程において更に、前記工
    具から前記回転軸の円周方向に離れた位置に、該回転軸
    の外周面から半径方向に突出し中空孔の内周面に接触す
    るガイドパッドを取り付ける請求項16に記載の補修方
    法。
  21. 【請求項21】前記ガイドパッドは前記回転軸の直径方
    向において前記チップと反対側に取り付ける請求項20
    に記載の補修方法。
  22. 【請求項22】前記補修工程において、前記工具による
    表層の補修代は0.6mmである請求項16に記載の補
    修方法。
  23. 【請求項23】前記補修工程において、前記回転軸の回
    転数は2000rpmから4000rpmである請求項
    16に記載の補修方法。
  24. 【請求項24】前記補修工程において、前記回転軸の送
    り速度は0.03mm/一回転から0.07mm/一回
    転である請求項15に記載の補修方法。
  25. 【請求項25】円柱状の鋳物の外周面に存在する鋳巣
    を、回転軸の中空部に取り付けられ該外周面に当接され
    た工具により補修する方法であって、 回転方向前方側に位置し前記外周面との当接点における
    接線に対して20度から30度を成すすくい面と、移動
    方向前方側に位置し該当接点を通りかつ前記回転軸の軸
    線と平行な直線に対して5度から10度を成す前切れ面
    とを持つ工具を該回転軸に取り付ける工具取付工程と、 該回転軸を軸線の周りに回転させつつ軸方向に移動さ
    せ、前記工具の前記すくい面及び前記前切れ面で鋳巣の
    周辺の表層を塑性変形させることにより鋳巣を補修する
    補修工程と、から成ることを特徴とする鋳物の鋳巣の補
    修方法。
  26. 【請求項26】前記鋳物の外径が10mmから200m
    m、望ましくは50mmから100mmである請求項2
    5に記載の補修方法。
  27. 【請求項27】前記工具は前面と側面とで区画される角
    部を持つ薄板形状であり、前記すくい面は該側面の回転
    方向前方に形成され、前記前切れ面は該側面の移動方向
    前方に形成されている請求項25に記載の補修方法。
  28. 【請求項28】前記工具取付工程において、前記接線に
    対する前記すくい面の角度は30度で、前記直線に対す
    る前記前切れ面の角度は7度である請求項27に記載の
    補修方法。
  29. 【請求項29】前記側面は前記すくい面と反対方向に傾
    斜した傾斜面を持ち、該すくい面と該傾斜面との間には
    前記直線と平行な境界縁が形成されている請求項28に
    記載の補修方法。
  30. 【請求項30】前記工具取付工程において、前記接線に
    対する前記すくい面の角度は20度で、前記直線に対す
    る前記前切れ面の角度は7度である請求項27に記載の
    補修方法。
  31. 【請求項31】前記側面は前記すくい面と反対方向に傾
    斜した傾斜面を持ち、該すくい面と該傾斜面との間には
    前記直線に対して後端側が回転方向前方側に傾斜した境
    界縁が形成されている請求項30に記載の補修方法。
  32. 【請求項32】前記工具取付工程において更に、前記工
    具から前記回転軸の円周方向に離れた位置に、該回転軸
    の内周面から半径方向に突出し鋳物の外周面に接触する
    ガイドパッドを取り付ける請求項28又は30に記載の
    補修方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006015383A (ja) * 2004-07-02 2006-01-19 Furukawa Alflex Corp 鋳物のネジ下穴の内壁面処理用工具
JP2007275980A (ja) * 2006-04-11 2007-10-25 Kawasaki Heavy Ind Ltd 鋳造物の組織改質方法
JP2008023657A (ja) * 2006-07-21 2008-02-07 Tungaloy Corp 旋削工具

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