JP2008023657A - 旋削工具 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】旋削工具1の先端部上面に備えられた切刃は、該旋削工具1の送り方向fに略平行に延びる副切刃23aと、この副切刃23aに交差しかつ前記送り方向fに交差する横切刃23bとを備え、横切刃23bの切込み角βを0°よりも大きくかつ45°以下の範囲に設定し、横切刃23bに連なるすくい面21のうち該横切刃23bの稜線の近傍領域には、刃先に向かうにつれすくい面21よりも切削方向K後方側に傾斜しかつ横切刃23b方向でみたすくい角α1が−20°〜−75°の範囲に設定された面取部24を設け、副切刃23aの稜線を前記送り方向fに略直交する方向で横切刃23bの最先端と等しいかまたは先端側にわずかに突出させた。
【選択図】 図1
Description
横切刃と被加工物との接触部では、前述のとおり大きい摩擦力を含む切削抵抗、および、その切削抵抗にともなう高温、高圧のもとで切屑の凝着が発生するため、塑性流動層の表面にうねりやむしれが発生し表面粗さが悪化するが、該旋削工具の送り方向で横切刃の後方側に連なる副切刃の稜線を、前記送り方向に略直交する方向で横切刃の最先端と等しいかまたは先端側にわずかに突出させたことから、該副切刃が横切刃に続いて塑性流動層と接触することにより前記うねりやむしれを除去するため、被加工物の表面を平滑化し表面粗さの悪化を防止する。したがって、被加工物の表面に開口した鋳巣を補修するとともに、被加工物の表面のうねりやむしれを防止し、かつ、表面粗さが悪化することを防止することができる。
切刃部材20の上面にはすくい面21が形成され、該すくい面21と交差する側面には逃げ面22が形成され、これらすくい面21と逃げ面22とが交差する辺稜部に切刃23が形成されている。切刃23は、該バイト1の送りf方向に略平行な方向に延びる副切刃23aと、この副切刃23aの前記送りf方向前方側に連なる横切刃23bと、を備えている。
副切刃23aは、その稜線が直線状とされ、該バイト1の送りf方向に略直交する方向で横切刃23bの最先端と等しいかまたは先端側にわずかに突出するように形成されている。
第2の横切刃23cは、その稜線が直線状とされ、横切刃23bよりも切込み角が大きくなるように形成されていて、前記横切刃23bより大きい切込みがかかったときに切削を担うものである。
副切刃23aおよび第2の横切刃23cの各稜線には、チッピングや欠損を防止すること、および、所望の加工面の表面粗さを得ることに配慮して、被加工物の材質や切削条件に適応する形状のホーニングが設けられてもかまわない。
表1および図3からわかるように面取部におけるすくい角α1を−20°〜−75°の範囲に設定し、かつ、横切刃の切込み角βを1°〜45°の範囲に設定した場合、被加工物の表面に鋳巣が開口することなく表面粗さも非常に良好であった。一方、面取部のない比較工具ならびに面取部のすくい角および横切刃の切込み角が本発明外の旋削工具では、鋳巣が開口する結果となった。これは本実施形態に係るバイト1によれば、副切刃23aによって塑性流動層の表面が切削除去されても鋳巣が表面に開口しない程度に塑性流動層が充分な深さにわたって形成されるためである。
面取部のすくい角α1を−20°よりも正側に設定した場合、充分に大きい摩擦力を含む切削抵抗が発生しないため塑性流動層が形成されずに鋳巣を補修できないか、あるいは、塑性流動層が充分な深さにわたって形成されずに副切刃23aによって塑性流動層の表面が切削除去された後、鋳巣が表面に開口してしまうため、被加工物の表面に鋳巣が開口し補修することができなかった。また、面取部のすくい角α1を−75°よりも負側に設定した場合、過大な切削抵抗が作用するとともに横切刃23bと被加工物との接触部が過度の高温、高圧となるため横切刃23bの切刃摩耗を早め工具寿命が短くなる問題があった。
横切刃の切込み角βを45°よりも大きくした場合、塑性流動層が形成されずに鋳巣を補修できないか、あるいは、塑性流動層が充分な深さにわたって形成されないため、副切刃23aによって塑性流動層の表面が切削除去された後に鋳巣が表面に開口してしまった。また、横切刃の切込み角βを0°よりも大きくしなければ、該横切刃23bにおける切込みが0になるため、塑性流動層が形成されず鋳巣を補修することができなかった。
図2に図示するように面取部24は、該面取部24に直交する方向からみて、横切刃23bの稜線に直角方向の幅Wを0.03mm以上とすれば、該面取部24と被加工物との接触部の面積が充分確保され、鋳巣の補修が確実なものとなる。しかし、前記幅Wが大きくなると切削抵抗の増大や切屑排出性能の悪化を招くおそれがあるので、3mm以下、特に2mm以下とするのが望ましい。
なお、以上に説明した旋削工具は、被加工物の中心軸線に平行な方向に送られて該被加工物の外周面を旋削するものであるが、該被加工物の端面を旋削する際には、旋削工具は、前記中心軸線に対して直交する方向に送られることになる。この場合においても副切刃は該旋削工具の送り方向と平行な方向に延び、横切刃は前記送り方向と斜交し、その切込み角が0°よりも大きくかつ45°以下の範囲に設定される。
図4の(a)〜(c)は、図2に対応する図であり、本発明の他の実施形態における面取部を示す図である。これらの図に図示するように本実施形態では、面取部24が先端側に向かって凸の曲面で形成されている。図4の(a)に図示した面取部24は、すくい面21および逃げ面22の双方を接線状になめらかにつないだ断面円弧状をなすものである。図4の(b)に図示した面取部24は、すくい角α1が−20°〜−75°の範囲に設定された弦をもち、すくい面21および逃げ面22に切り取られた断面円弧状をなすものである。図4の(c)に図示した面取部24は、逃げ面22に接線状に滑らかにつながる1つの断面円弧と、この円弧よりも曲率半径が大きくかつすくい面21に切り取られる他の断面円弧とを連続的に組み合わせた断面曲線状をなすものである。該曲線において、すくい面21と逃げ面22との各接続端部を結んだ直線と、切削方向Sの法線とのなす角度は−20°〜−75°の範囲に設定されている。このように面取部24は、その断面形状が単一の円弧、複数の円弧、または、1以上の円弧と1以上の直線とからなる曲面状であってもかまわない。さらに、図4の(a)〜(c)において、面取部を構成する断面円弧の曲率半径を0.05mm以上に設定し、面取部24のすくい面21側端部から逃げ面22側端部までの幅Wを0.03mm以上とすれば、該面取部24と被加工物との接触部の面積が充分確保され、鋳巣の補修が確実なものとなる。
2 工具本体
20 切刃部材
21 すくい面
22 逃げ面
23a 副切刃
23b 横切刃
23c 第2の横切刃
24 面取部
α1 面取部のすくい角
α2 横切刃におけるすくい角
β 横切刃の切込み角
S 切削方向
Claims (2)
- 略丸棒状または略角棒状をなす工具本体の先端部上面に切刃を備えた旋削工具において、
前記切刃は、該旋削工具の送り方向に略平行な方向に延びる副切刃と、
この副切刃に交差しかつ前記送り方向に交差する横切刃と、を備え、
前記横切刃の切込み角を、0°よりも大きくかつ45°以下の範囲に設定し、
前記横切刃に連なるすくい面のうち該横切刃の稜線の近傍領域には、刃先に向かうにつれ前記すくい面よりも切削方向後方側に傾斜しかつ前記横切刃方向でみたすくい角が−20°〜−75°の範囲に設定された面取部、
もしくは、刃先に向かうにつれ前記すくい面よりも切削方向後方側に傾斜しかつ先端側に向かって凸の曲面で形成された面取部を設け、
前記副切刃の稜線を前記送り方向に略直交する方向で前記横切刃の最先端と等しいかまたは先端側にわずかに突出させたことを特徴とする旋削工具。 - 前記副切刃の稜線を、直線状または該稜線に沿って外側に向かって凸の円弧状とし、かつ、該稜線に沿う方向の長さを該旋削工具の送りよりも大きく設定したことを特徴とする請求項1記載の旋削工具。
Priority Applications (1)
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JP2006199002A JP2008023657A (ja) | 2006-07-21 | 2006-07-21 | 旋削工具 |
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