JP2003203958A - 高周波回路チップ製造用基板の検査方法及びそれを用いた高周波回路チップの製造方法、高周波回路チップ製造用基板の検査装置 - Google Patents
高周波回路チップ製造用基板の検査方法及びそれを用いた高周波回路チップの製造方法、高周波回路チップ製造用基板の検査装置Info
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Abstract
象となる伝送線路の両終端間に直流バイパス経路が形成
される場合でも、該伝送線路の断線や短絡などの不具合
を容易に発見することができる高周波回路チップ製造用
基板の検査方法を提供する。 【解決手段】 分離前の各基板単位80’に対し、検査
対象線路の2つの終端部の一方を入力端子PDとして、
検査用高周波信号を検査対象線路に入力したときの、当
該入力端子PDに生ずる応答反射信号に基づいて検査対
象線路PS1の検査を行う。検査対象線路PS1は高周
波入力に対して分布定数回路として振舞うので、検査対
象線路に直流バイパス経路が形成された状態であって
も、断線や短絡などの不具合発生状況に応じて、そのイ
ンピーダンスに大きな変化が現れる。このインピーダン
ス変化は、検査対象線路の1つの終端を入力ポートとし
て取り扱った場合の、検査用高周波信号入力に対する反
射挙動に顕著に反映されるので、これを測定することに
より検査対象線路の不具合を確実に検出することができ
る。
Description
プ製造用基板の検査方法及びそれを用いた高周波回路チ
ップの製造方法と、高周波回路チップ製造用基板の検査
装置とに関する。
や、無線LANあるいはBluetoothといったワイヤレス
ネットワークシステムの普及が急速に進んでおり、それ
らの機器に使用される高周波回路チップの需要が爆発的
に増大している。高周波回路チップは、セラミックや高
分子からなる誘電体層と配線層とが交互に積層された構
造を有するが、その生産性を高めるため、以下のような
方法により製造されている。すなわち、チップよりも大
面積のシート状の誘電体層に、金属ペーストの厚膜印刷
やメッキを用いて、複数の配線パターンを集合形成した
後誘電体層を重ね合わせ、セラミック誘電体層の場合は
焼成により、高分子誘電体層の場合はビルドアップ樹脂
の貼り合せにより一体化して、高周波回路チップ製造用
の基板を作る。この高周波回路チップ製造用基板は、個
々の配線パターンに対応する基板単位が面内方向に縦横
に複数一体化されたものであり、各基板単位は、個別に
切断・分離されて各々高周波回路チップとされる。
の製造過程において内装されている配線パターンに種々
の要因により不良を発生する。発生した不良が例えば、
配線パターンに含まれる高周波伝送線路の断線や短絡で
ある場合は、チップの動作不具合に直結するので、電気
測定により基板単位を個別に検査し、不良品を除外する
必要がある。
の終端部がチップ主表面に、チップの実装用端子、ある
いはチップ上に搭載されるディスクリート部品の部品実
装パッドを形成する形で露出している。例えば伝送線路
の断線や短絡などの不良は、その伝送線路の終端部に測
定プローブを装着し、直流抵抗測定を行なうことにより
発見することができる。例えば断線の場合は、良品より
もはるかに大きな直流抵抗測定値が検出され、短絡の場
合は、逆に小さい測定値が検出されることが多い。いず
れにしろ、不良品の測定値は、良品の測定値からは明ら
かに逸脱したものとなるので、その比較に基づいて良否
判定が可能である。
送線路の形態にはストリップ線路、マイクロストリップ
線路あるいはコプレーナウェーブガイドなど種々のもの
が存在するが、これらはいずれも信号伝送効率を向上さ
せるため、接地導体が随伴している。これらの接地導体
は、接地導体層として配線パターンの一部をなす形で基
板単位ひいては回路チップ内に組み込まれる。
は、この接地導体層に直流的に導通しているものがあ
る。接地導体層への接続線路は、伝送線路の中間から分
岐する形となるので、基板単位が、その集合体である製
造用基板から分離された状態においては、伝送線路の両
終端が該接続線路を介して短絡ないしバイパスされる心
配はない。したがって、伝送線路の検査は、両終端を用
いた前記直流抵抗測定により問題なく行なうことができ
る。
単位を検査用トレーに装着したり、検査終了後にトレー
から取り出すのに工数と時間がかかり、またセッティン
グ方向(例えば上下や裏表)の誤り等により正常な検査
ができなくなるなど、問題も生じやすい。そこで、基板
単位を分離せず、集合体である製造用基板の状態のまま
検査を行なうことができれば、こうした不具合は一挙に
解消される。しかしながら、製造用基板の状態において
は、複数の基板単位が、各々の接地導体層を介して互い
に直流的に導通していることが多い。この場合、検査対
象の伝送線路が、前記した接続線路を介して接地導体に
導通していると、周囲の基板単位の接地導体層を経て、
伝送線路の両終端間に直流バイパス経路が形成されるこ
とがある。このような直流バイパス経路を生じた状態で
両終端間の直流抵抗測定を行なうと、当然、バイパス経
路の抵抗値が合成され、接続線路に断線や短絡などの不
具合を生じていてもこれを検出することができなくなる
問題がある。
態において、検査対象となる伝送線路の両終端間に直流
バイパス経路が形成される場合でも、該伝送線路の断線
や短絡などの不具合を容易に発見することができる高周
波回路チップ製造用基板の検査方法及びそれを用いた高
周波回路チップの製造方法と、高周波回路チップ製造用
基板の検査装置とを提供することにある。
を解決するために、本発明の高周波回路チップ製造用基
板の検査方法は、検査対象となる高周波回路チップ製造
用基板(以下、単に「製造用基板」ともいう)が、各々
誘電体層と配線層とが交互に積層された構造を有する高
周波回路チップとなるべき基板単位が、当該基板単位を
分離するための分離予定線により仕切られる形にて面内
方向に複数一体化され、複数の基板単位が、各々配線層
が接地導体層を含むとともに、分離前の状態においてそ
れら接地導体層が互いに直流的に導通し、個々の基板単
位は、配線層に含まれる伝送線路の終端部が最表面の誘
電体層上に露出して複数の露出端子部を形成してなり、
かつそれら端子露出部の少なくとも1対のものが、検査
対象となる伝送線路(以下、検査対象線路という)の2
つの終端部をなすとともに、該伝送線路が接地導体層に
直流的に導通した、構造を有するものであり、分離前の
各基板単位に対し、検査対象線路の2つの終端部の一方
を入力端子として、検査用高周波信号を検査対象線路に
入力したときの、当該入力端子における応答反射信号に
基づいて検査対象線路の検査を行なうことを特徴とす
る。
路は、以下のような前提を満たすものである。すなわ
ち; 複数の基板単位に含まれる接地導体層が、分離前の状
態において互いに直流的に導通している。 個々の基板単位にの表面に、検査対象線路の2つの終
端部が露出端子部を形成し、その検査対象線路は前記し
た分岐経路等により接地導体層に直流的に導通してい
る。該検査対象線路は、基板単位を分離しない状態にお
いて複数の基板単位間に生ずる接地導体層間の直流的導
通構造により、検査対象線路の両終端間に直流バイパス
経路が形成される。したがって、従来型の直流抵抗測定
では検査対象線路の不具合を検出することができない。
板単位に対し、検査対象線路の2つの終端部の一方を入
力端子として、検査用高周波信号を検査対象線路に入力
したときの、当該入力端子に生ずる応答反射信号に基づ
いて検査対象線路の検査を行なう。検査対象線路は高周
波入力に対して分布定数回路として振舞うので、検査対
象線路に直流バイパス経路が形成された状態であって
も、断線や短絡などの不具合発生状況に応じて、そのイ
ンピーダンスに大きな変化が現れる。このインピーダン
ス変化は、検査対象線路の1つの終端を入力ポートとし
て取り扱った場合の、検査用高周波信号入力に対する反
射挙動に顕著に反映されるので、これを測定することに
より検査対象線路の不具合を確実に検出することができ
る。該反射挙動は、インピーダンス測定の分野にて周知
の反射係数(S11)あるいは電圧定在波比VSWR
(Voltage Standing Wave Ratio))を測定することに
より数値化でき、これを用いて定性的あるいは定量的な
検査判定が可能となる。特に反射係数S11の場合、入
力波形に対して変化を生じうる因子として振幅(強度、
あるいはレベル)と位相との2つがあり、検査目的に応
じて両者を使い分けるなど、柔軟な使用形態が可能な利
点がある。そして、反射係数(S11)の振幅情報を用
いる場合は、不良の有無や形態によるインピーダンスの
相違を反映して情報に微妙な差を生じうるので、きめの
細かい検査に対応できる利点がある。他方、位相情報を
用いる場合は、断線や短絡といった特定不良種別に対す
る情報の変化形態が明確で顕著であり、検査判定がより
容易となる利点がある。
ことができるので、基板単位を検査用トレーに装着した
り、検査終了後にトレーから取り出す工数が削減され、
またトレーへのセッティング方向誤り等による不具合も
生じない。さらに、検査自体は、1つの露出端子部のみ
を入力ポートとして用いる反射測定によりなされるの
で、例えば4端子法等による直流抵抗測定と比較して、
測定プローブの構造が簡単であり、装着も簡単なので、
手軽に測定を行なうことができる利点もある。
の高周波回路チップ製造用基板の検査装置により合理的
に実施することができる。すなわち、該装置は、検査用
高周波信号の発生部と、分離前の各基板単位に対し、検
査対象線路の2つの終端部の一方を入力端子として、検
査用高周波信号を検査対象線路に入力するための測定プ
ローブと、当該入力端子に生ずる応答反射信号を出力す
る出力部と、を含む。
板の製造方法は、基板単位を分離前の高周波回路チップ
製造用基板において、個々の基板単位に含まれる検査対
象線路を、上記本発明の検査方法により検査する検査工
程と、その検査結果に基づいて基板単位を良否選別する
選別工程とを含むことを特徴とする。
造方法は、本発明の検査方法の採用により、検査工程の
工数が削減されるので、検査後の選別まで視野に入れた
工程全体において、高周波回路チップの製造能率を大幅
に向上させることができるようになる。
の図面を用いて説明する。図1は、高周波回路チップを
用いて実現されるアンテナスイッチ回路2の一例を示す
等価回路である。アンテナスイッチ回路2は、2帯域の
無線電波信号に切り替え対応可能なものとして構成され
て、アンテナ側入出力端子ANTにて図示しないアンテ
ナに接続して使用される。アンテナ側入出力端子ANT
からのアンテナ受信信号は、分波回路44において低域
側分波受信信号及び高域側分波受信信号とに分波され
る。このうち、高域側分波受信信号は、分波回路側ハイ
パスフィルタ回路46により抽出・分波され、低域側分
波受信信号は同じく分波回路側ローパスフィルタ回路4
5により抽出・分波される。
信信号は、アンテナ39に向かう各周波数帯域の送信信
号との間で、対応するスイッチ回路42A,42Bによ
り切り換えられる。スイッチ回路42A,42Bは、図
示しない通信装置の受信回路側へ、低域側分波受信信号
と高域側分波受信信号とをそれぞれ出力する受信出力端
子RX1,RX2と、通信装置の送信回路からの送信出
力信号が入力される送信入力端子TX1,TX2とを有
し、アンテナ側入出力部ANTに対する受信出力端子R
X1,RX2と送信入力端子TX1,TX2との接続を
切り換えるものである。送信入力端子TX1,TX2を
介して通信装置側の図示しない第一送信部ないし第二送
信部から入力される低域側送信信号及び高域側送信信号
は、高周波側のバックグラウンドノイズを各々第一送信
フィルタ回路41A及び第二送信フィルタ回路41B
(いずれもローパスフィルタ回路にて構成される)にて
除去された後、各スイッチ回路42A,42Bに入力さ
れる。
スフィルタ回路45は、一次ローパスフィルタ回路機能
の要部をなすコンデンサC107と、これに並列に挿入さ
れるコンデンサC108及びコイルL106を含む。コンデン
サC108及びコイルL106はローパスフィルタの上側阻止
域の極を与える並列共振部を構成する。一方、分波回路
側ハイパスフィルタ回路46は、一次ハイパスフィルタ
回路機能の要部をなすコンデンサC207,C208と、これ
に並列に挿入されるコンデンサC209及びコイルL206を
含む。コンデンサC209及びコイルL206はハイパスフィ
ルタの下側阻止域の極を与える直列共振部を構成する。
また、第一送信フィルタ回路41A及び第二送信フィル
タ回路41Bも、コンデンサC101〜C103/C201〜C2
03とコイルL101/L201により、分波回路側ローパスフ
ィルタ回路45と同様に構成されている。
回路42Bは、基本的に同様に構成されているので、第
一スイッチ回路42Aで代表させて説明する(図面を見
れば明らかなことであるが、両スイッチ回路42A,4
2B間で、コンデンサC3,C5はコンデンC8,C10
に、コイルL1,L104はコイルL3,L204に、ダイオー
ドD1,D2はダイオードD3,D4に、抵抗R1は抵抗R2
にそれぞれ対応している)。第一スイッチ回路42A
は、基本的にストリップライン共振子を内蔵したダイオ
ードスイッチとして構成されている。スイッチ機能の要
部を担うのは、送信入力端子TX1から見て、アンテナ
側入出力端子ANT及び受信出力端子RX1に各々向か
う経路の分岐点Aよりも上段に配置されたスイッチング
ダイオードD1と、受信出力端子RX1側において分岐
点Aよりも下段に配置された、ストリップライン共振子
を構成するコイルL104及び共振用ダイオードD2であ
る。
Nダイオードで構成され、順方向バイアス電圧の印加レ
ベルにより、高周波可変抵抗素子として機能するもので
ある。すなわち、スイッチ制御用信号端子VC1(第二
スイッチ回路42BではVC2)に、接地されたコイル
L1(第二スイッチ回路42BではL3)に対して高電
圧となるように信号電圧を与えると、スイッチングダイ
オードD1は高周波に対し低インピーダンス状態とな
り、送信入力信号がアンテナ側入出力端子ANT側へ流
れることが許容される。このとき、共振用ダイオードD
2の接合容量がストリップライン共振子の共振条件に適
合する値となるように、VC1を調整すれば、該共振子
の動作により分岐点Aのインピーダンスが高くなり、送
信入力信号が受信出力端子RX1(第二スイッチ回路4
2BではRX2)側に流れることが阻止される。
ッチングダイオードD1は高周波に対し高インピーダン
ス状態となり、送信入力信号がアンテナ側入出力端子A
NT側へ流れることが阻止される。このとき、コイルL
104及び共振用ダイオードD2からなるストリップライン
共振子も動作しないから、分岐点Aのインピーダンスは
低くなる。その結果、アンテナ側入出力端子ANTから
の受信入力信号は、分岐点Aを経て受信出力端子RX1
に流れることが許容される。このように、VC1を調整
することにより、アンテナ側入出力部ANTに対する受
信出力部RXと送信入力部TX1との接続を切り換える
ことができる。
1側に逆流することを阻止するチョークコイルである。
コンデンサC2,C5は端子VC1に入力されるスイッチ
制御用信号のノイズ除去用である。また、コンデンサC
3及びC4は、いずれも直流成分除去用のものである。
他方、抵抗R1は、スイッチングダイオードD1の抵抗
変化が順方向電流値によって決まるため、該順方向電流
値をスイッチング動作に適合させるための調整用抵抗と
して設けられたものである。
ターン(伝送線路、コンデンサ54、コイル53、ある
いは抵抗素子55等を含むものである)と誘電体層56
とが積層された高周波回路チップ80に内層されてい
る。誘電体層50は、例えばホウケイ酸塩鉛ガラスとア
ルミナからなるガラスセラミック等のセラミックで構成
される。高周波回路チップ80は、図2に示すような基
板単位80’に、表面実装素子を実装することにより製
造されるものである。右は第二主表面MP2側、左は第
一主表面MP1側を示す。具体的には、基板単位80’
の表面には、高周波回路チップ80となったときの基板
実装端子部として、アンテナ側入出力端子ANT(図面
中では「A」と略記している場合がある)、スイッチ回
路42A,42Bの受信出力端子RX1,RX2及び送
信入力端子TX1,TX2、スイッチ制御用信号端子V
C1,VC2、及び接地端子GND(図面中では「G」
と略記している場合がある)が、それぞれ主表面MP2
の長辺側の縁部から、対応する側面部を経て主表面MP
1の長辺側の縁部に至る形で露出形成されている。ま
た、接地端子GNDは、主表面MP1,MP2の短辺側
の縁部にも形成されている。他方、ダイオードを始めと
する半導体デバイスや、大容量コンデンサあるいは抵抗
値の高い抵抗素子など、厚膜印刷による回路パターン形
成では実現しにくい素子は、図3に示すように、基板単
位80’の第二主表面MP2に表面実装される。図2に
示すように、基板単位80’の第二主表面MP2には、
これらの素子の部品実装パッドPDが複数形成されてい
る。なお、図1において、表面実装素子を一点鎖線によ
り囲って表示している。
基本的にマイクロストリップ線路を主体とし、部分的に
コプレーナウェーブガイドを併用して形成している。そ
して、図3に示すように、基板単位80’には、線路に
随伴する接地導体層56が、各層に適宜配分された形に
て内層されている。これらの接地導体層56は、導体線
路あるいは層間ビアにより直流的に導通接続され、全体
として1つの接地導体として振舞う。そして、同じ基板
単位80’内の複数の接地端子GNDは、すべてこの一
体の接地導体層56に直流的に接続されているのであ
る。
位80’は、分離予定線BLにより仕切られる形にて面
内方向にこれらを集合・一体化した製造用基板81の形
で製造される。本実施形態において製造用基板81は、
基板単位80’が縦横マトリックス状に密接配置したも
のとして構成されている。該製造用基板81は、誘電体
層56の原料となるセラミックグリーンシート上に、導
電性ペーストを用いて複数の回路パターンを厚膜印刷
し、積層して焼成する方法により製造される。分離予定
線BLは、例えば図5に示すようにV字状断面をなす溝
状に形成することができる。この溝状の分離予定線BL
に沿って製造用基板81を割ることにより、個々の基板
単位80’に分離できる。
例えば第一終端部が、分離後の基板単位80’に基づく
高周波回路チップ80の基板実装端子部とされ、同じく
第二終端部が、当該高周波回路チップ80上に実装され
るディスクリート部品の部品実装パッドとされるもので
ある。例えば、図1の端子TX1に関連した検査対象線
路PS1においては、第一終端部が送信入力端子TX1
とされ、第二終端部がダイオードD1の部品実装パッド
PDとされている。
終端部をなす端子TX1は、分離予定線BLにて該基板
単位80’に接する別の基板単位80’の接地端子G
と、同一主表面(本実施形態では第二主表面MP2)側
にて一体化されている。具体的には、第一主表面MP1
の短辺方向において第一側(本実施形態では右側)に隣
接する基板単位80’の接地端子Gと直流的に導通して
いる。このような導通が生ずるのは、図5(a)に示す
ように、端子TX1と接地端子GNDとが溝状の分離予
定線にまたがる一体のメッキ層として構成されているた
めである。また、検査対象線路PS1は、図1に示すよ
うに、コイルL1が設けられた分岐経路BCにより接地
されている。すなわち、前記した一体の接地導体層56
に直流的に導通している。したがって、図4において、
着目している基板単位80’の接地導体層56は、検査
対象線路PS1→端子TX1→接地端子GNDの順序
で、第一側に隣接する基板単位80’の接地導体層56
に直流的に導通している。以降、短辺方向の各基板単位
80’は、接地導体層56が同様にして次々と直流的に
接続された形となっている。一方、基板単位80’の長
辺方向の配列に関しては、その両縁に設けられた接地端
子GND,GNDが、一体のメッキ層となることで直流
的に接続されている。すなわち、分離前の製造用基板8
1内では、全ての基板単位80’は接地導体層56を介
して互いに直流的に導通していることがわかる。なお、
この導通構造は、基板単位80’を分離すれば、図5
(b)に示すように、隣り合う端子同士をつなぐメッキ
層が分断されるので、問題なく解消できる。
終端部、すなわち、端子TX1と部品実装パッドPDと
の間には、検査対象線路PS1以外のバイパス経路が形
成されていることが明らかである。すなわち、図4の左
上の基板単位80’の部品実装パッドPDを起点として
見ると、上記検査対象線路PS1及び接地導体層56の
接続構造により、左下、右下及び右上の各基板単位8
0’を巡回した後、端子TX1に戻るバイパス経路PS
2が形成されていることがわかる。また、こうした経路
は製造用基板81の全体に渡って網目状に形成されてい
るので、結果的にバイパス経路は上記PS2以外にも無
数に存在することになる。また、検査対象線路PS1は
一例に過ぎず、1つの基板単位80’内には接地導体層
56に直流的に接続された端子が他にも存在するので
(例えばTX2)、これらにも当然、同様のバイパス経
路が随伴形成される。
は、部品実装パッドPDを用いて以下のようにして行な
うことができる。すなわち、図8(a)に示すように、
分離前の各基板単位に対し、検査対象線路PS1の1つ
の終端部をなす部品実装パッドPDを入力端子として、
検査用高周波信号を検査対象線路PS1に入力し、部品
実装パッドPDにはね返ってくる応答反射信号を検出す
るとともに、その応答反射信号に基づいて検査対象線路
PS1上に生じている不具合を検査する。検査対象線路
PS1は、前記したバイパス経路とともに、正常状態で
あれば直流抵抗は該して小さい。従って、図8(b)に
示すように、部品実装パッドPDと端子TX1とに測定
プローブPN1,PN2を接続して直流測定を行って
も、バイパス経路PS2に断線等が生じていなければ、
検査対象線路PS1の不具合を発見することはできな
い。また、仮に測定が可能であったとしても、4端子法
による高精度測定を行なおうとすると、小さな部品実装
パッドPDあるいは端子TX1にそれぞれ2つの端子を
接触させなければならないし、プローブ構造の複雑化に
よる価格高騰が避けがたく、プローブ装着の手間もかか
る。
高周波測定の場合は、検査対象線路PS1が高周波入力
に対して分布定数回路として振る舞い、バイパス経路P
S2が形成された状態であっても、断線や短絡などの不
具合発生状況に応じて、検査対象線路PS1のインピー
ダンスに大きな変化が現れる。このインピーダンス変化
は、部品実装パッドPDの応答反射信号に顕著に反映さ
れるので、これを測定することにより検査対象線路の不
具合を確実に検出することができる。
は、周知のネットワークアナライザ(あるいはインピー
ダンスアナライザ)を用いて行なうことができる。ネッ
トワークアナライザは、検査用高周波信号の発生部GN
と、その検査用高周波信号を部品実装パッドPDから検
査対象線路に入力するための測定プローブPBと、該測
定プローブが受ける部品実装パッドPDからの応答反射
信号を出力する出力部DPとを備えたものである。出力
部DPは、本実施形態ではCRTや液晶パネルなどの表
示部であるが、プリンタを併用することももちろん可能
である。反射測定を行なう場合は、測定プローブPBの
測定ポート側端子P1を部品実装パッドPDに当接さ
せ、他方、測定プローブPBの接地側端子を、基板単位
80’側のどれかの接地端子GNDに接続し、検査用高
周波信号の入力及び応答反射信号を検出する形で行な
う。測定プローブPBの構造は、直流4端子法などと比
較すればはるかに単純であり、装着も容易である。な
お、ネットワークアナライザは、測定に先立って、校正
用ターミネータ(例えば、ショート、オープン、50Ω
ロードの3種類)を測定プローブPBに接続し、校正し
ておく必要がある。また、ネットワークアナライザは、
多種の市販品が入手可能であるが、ここではアジレント
テクノロジー(株)製の8510Cを例示しておく。
80’は、第二主表面MP2上に、入力端子となるべき
部品実装パッドPDと接地端子56とが形成されてい
る。従って、測定プローブPBは、接地側端子P1の基
板単位80’側の接地端子GNDへの接続と、測定ポー
ト側端子P2の部品実装パッドPDへの接続を、基板単
位80’の同一主表面(本実施形態では第二主表面MP
2)で完結させることができる。すなわち、図11の製
造用基板の検査は、第二主表面MP2側に形成された部
品実装パッドPDと接地端子GNDのみを用いて行なう
ことができる。例えば、直流抵抗測定では、第二主表面
MP2側の部品実装パッドPDと、第一主表面MP1側
の端子TX1とにプローブを装着しなければならず、両
面にわたるプローブ装着の面倒と構造の複雑化が避けが
たいが、本実施形態によればそのような不利は生じな
い。
数範囲を掃引する形で入力することができる。これによ
り、応答反射信号の周波数スペクトルを得ることができ
る。そして、その周波数スペクトルの波形に基づいて検
査対象線路の検査を行なうことができる。検査対象線路
PS1に生じた不具合は、該検査対象線路PS1を含む
測定対象経路系に等価回路的な変化をもたらすが、その
変化によりある種の寄生フィルタ構造が発生する場合、
上記の周波数スペクトルにはその寄生フィルタ構造に特
有の通過特性が現れるので、該通過特性を分析すること
により、不具合の有無や不具合の種別に関する情報を得
ることができる。
た場合は、等価回路上、図9のような変化が生ずるもの
と考えられる。すなわち、(a)に示すように、部品実
装パッドPDから見て断線箇所の先に位置する線路部分
は電気的に切り離され、残った部分が(b)に示すよう
なオープンスタブOSTBを形成する。高周波回路理論
ではオープンスタブOSTBはバンドエリミネートフィ
ルタとして振舞うので、(c)に示すように、部品実装
パッドPDから見て接地側の経路にバンドエリミネート
フィルタ102が挿入されたものとして考えることがで
きる。
(d)に示すように、信号は入力時に一度、反射時に一
度の計2回ローパスフィルタ41Aを通過し、その通過
波形に、接地側からの反射波形が重畳されたスペクトル
が得られるものと推測される。しかし、断線が発生すれ
ば、図9(c)に示すようにローパスフィルタ41Aは
切り離され、代わりに、接地側にオープンスタブOST
Bに基づくバンドエリミネートフィルタ102が挿入さ
れた等価回路を考えることができる。
ように、ローパスフィルタ41A内のコイルL101が、
接地側につながる線路BPGと短絡した場合を示す。こ
の場合、短絡線路BPGの形成により、LC並列接続の
一方の端が接地レベル電圧に保持されるので、(b)に
示すように、ローパスフィルタ41Aは機能的には消滅
し、代わりに短絡線路BPGによるショートスタブSS
TBが形成されたものとして考えることができる。ショ
ートスタブSSTBはバンドパスフィルタとして振舞う
ので、(c)に示すように、部品実装パッドPDから見
てTX1側の経路にバンドパスフィルタ121が挿入さ
れた等価回路を考えることができる。
路PS1が正常な状態にあるときの、縦中央列は断線し
たときの、さらに縦右列は線路BPGにより短絡したと
きの、各S11の振幅(強度あるいはレベル)の周波数
スペクトルを示すものである。不良状態に対応する後者
の2列のスペクトルは、正常な状態にあるときのスペク
トルと明らかに異なるプロファイルを示している。すな
わち、応答反射信号の振幅の周波数スペクトル波形に基
づいて検査対象線路の検査を行なうことが可能である。
検査の判定は、具体的には、上記のように、良品をなす
検査対象線路PS1について予め測定した標準周波数ス
ペクトル(左列に示すもの)と、検査対象となる検査対
象線路の周波数スペクトル測定結果との比較に基づいて
行なうことができる。また、不良種別が異なる縦中央列
と縦右列のスペクトル同士にも少なからぬ差を生じてお
り、スペクトル形状(例えばスペクトルのピークや谷の
位置、高さあるいは深さ、さらには半値幅など)によ
り、不良種別を推定することもできる。
査する基板単位80’の配置位置によって、異なる周波
数スペクトルが得られる場合も多い。例えば図11に示
すように、製造用基板81の短辺方向における両端及び
中央に配置された3つの基板単位X,Y,Zについて、
周波数スペクトルを測定した結果を図12に示してい
る。すなわち、正常品であっても周波数スペクトルに差
を生じていることがわかる。従って、製造用基板内81
における基板単位の配列位置に応じて、互いに異なる標
準周波数スペクトルを用意しておくことが、検査の信頼
性を向上させる上で有効である。
査対象線路が複数設定されることも当然にありえる。こ
の場合、検査対象線路の種類が異なれば、周波数スペク
トルは一般に異なるものとなる。図13は、図1のコン
デンサC3の部品実装パッドからアンテナ端子ANTに
至る伝送線路を検査対象線路として選んだときの、良
品、C107を接地短絡させた場合、及びC108を接地短絡
させた場合の各周波数スペクトルを、図11の3つの基
板単位X,Y,Zについて測定した例を示すものであ
り、良品同士の比較においても、図12の周波数スペク
トルとは異なるプロファイル形態が得られている。従っ
て、標準周波数スペクトルは、検査対象線路毎に個別に
用意しておくことが有効であることがわかる。
ペクトルS0(f)と、測定により得られた周波数スペ
クトルS(f)との比較による検査判定は、目視により
行なうことも可能であるが、例えばコンピュータ計算に
よりこれを自動化することが当然可能である。すなわ
ち、各スペクトルS0(f)及びS(f)をデジタルデ
ータ化し、例えば図14内の式に示す差分絶対値の積
分演算値Dsにより、両スペクトルの隔たりを定量化す
ることができる。この隔たりが一定の基準値よりも大き
くなったとき、不良と判定することができる。なお、不
良品に特有の反射のピークあるいは谷が再現性よく現れ
る場合は、そのピークないし谷の位置を包含する周波数
積分範囲を設定し、該積分範囲内での積分演算に基づい
て判定を行なうようにしてもよい。
トル波形に基づいて検査対象線路の検査を行なうことも
可能である。意図的に線路上に設けられたコイルやコン
デンサは、波形位相に影響を与える因子であるから、こ
れが正常な接続状態となっているか否かにより、位相の
周波数スペクトル波形も影響を受ける。また、断線や短
絡により伝送線路長が変化したり、あるいは分岐が生じ
たりすると、後述する通り、伝送線路の長さは反射信号
の位相に大きな変化を生じさせる。従って、正常な検査
対象線路について測定された標準的な位相スペクトル
と、検査対象線路について実測された位相スペクトルと
を比較すれば、異常の有無を容易に判別することができ
る。
数スペクトル波形には、種々の要因により、周波数に対
して位相が不連続に変化する位相変化エッジが生ずるこ
とがある。そして、正常な検査対象線路であっても、そ
の品質に一定範囲のばらつきがあることや、測定精度上
の問題等を考慮して、一定変化率以上にて一定幅以上に
変化する位相変化エッジの情報を抽出し、その位相変化
エッジ情報に基づいて検査対象線路の検査を行なうよう
にすれば、異常の有無を容易にかつ正確に判別すること
ができる。
ることにより、幅の大きい位相変化エッジを作為的に発
生させることもでき、その作為的に発生させた変化エッ
ジの情報もまた、検査対象線路の検査に有効に活用する
ことができる。例えば、角度フルスケールを360°と
したときの等価位相角にて表示したものを用い、位相変
化エッジとして、周波数増加に対して位相角が角度フル
スケールを超えて変化するときに、角度フルスケール内
の等価位相角への変換に対応して生ずる360°幅の変
化エッジを使用することができる。この方法は、検査対
象線路における断線や短絡など、伝送線路長に影響を与
える不具合の発見に絶大な効果を発揮する。以下、具体
的に説明する。
伝送線路上に存在できる高周波信号の波数を角度に換算
した値を、その伝送線路の電気長θといい、高周波信号
の波長をλとすれば、θ=360°×L/λにより算出
できる。高周波信号を入力させてその反射特性を見ると
き、入射時と反射時との2回、高周波波形が線路上を通
過する。従って、電気長θを往復して戻ってくる高周波
信号の位相は、入力波形に対して2θだけ位相が遅れる
ことになる。
数を掃引すると、伝送線路の電気長θが周波数に応じて
変化する。具体的には、高周波信号の周波数fが増大す
ると波長λが小さくなるので、電気長θが大きくなり、
位相角の遅れは大きく現れる。したがって、位相スペク
トルにおいて位相角は、図15上図に示すように、周波
数が増加するに伴い基本的には減少する傾向となる。そ
して、周波数を増加させていったとき、角度フルスケー
ルの下限値φmin(本実施形態では−180゜である
が、これに限定されない)を超えて位相角φが小さくな
ろうとすると、位相角φは360°で一回転するから、
等価なφmax(本実施形態では+180゜であるが、こ
れに限定されない)にいわば折り返される形となる。す
なわち、その折り返し点となる周波数feにおいて36
0°幅(本実施形態では−180゜→+180゜)の位
相変化エッジが表れる。こうした角度フルスケールの設
定は、位相が360°ずれればスペクトル波形としては
等価に重なり合うことを反映しているので、波形の等価
性を論ずるには便利であり、市販のほとんどのネットワ
ークアナライザにおいて採用されている。
まれる伝送線路長によって、おおむね同一の傾向のもの
が得られる。従って、そのスペクトルにおいて、位相変
化エッジに対応する周波数feもほぼ一定している。ま
た、掃引する周波数レンジが同じなら、位相変化エッジ
の出現個数も一定である。しかし、断線や短絡により伝
送線路長が変化すると、伝送線路の電気長θが変化する
ので、エッジが現われる周波数feも変化する(図中破
線にて示している)。また、断線や短絡により新たな線
路分岐が生じたり、本来存在した反射端が消滅したり、
あるいは正常であれば存在しないはずの反射端が生じた
りすると、位相変化エッジの出現個数が変化することも
ある。従って、角度フルスケールの設定により作為的に
生じさせる位相変化エッジの位置や個数により、検査対
象線路における断線や短絡などの異常の有無、さらには
異常の種別を、簡単かつ正確に特定することができる。
化エッジの有無、個数、及び位置の少なくともいずれか
に基づいて記検査対象線路の検査を行なうことができ
る。個数や位置(周波数fe)による検査方法は既に説
明した通りであり、この両者を併用してもよいし、片方
のみを用いて検査を行なうことも可能である。
行なう方法としては、以下のような態様を例示できる。
正常な検査対象線路において、位相変化エッジの出現が
見込まれないように、なるべく広く周波数の掃引レンジ
を設定する。すると、そのレンジ内に位相変化エッジが
現れれば、直ちに不良であると判定することができる。
また、正常な検査対象線路において位相変化エッジの出
現が期待される特定の周波数周辺に限定した、狭い掃引
レンジを設定しておくと、そのレンジに位相変化エッジ
が検出されなかったとき、直ちに不良であると判定する
ことができる。
線路が複数設定される場合は、検査対象線路の種別に応
じて伝送線路長や分岐形態もみな異なる。従って、検査
対象線路毎に、位相変化エッジの有無、個数、及び位置
の少なくともいずれかに係る検査判定基準を固有に定め
ておくことが、種別の異なる検査対象線路に対して正確
な検査判定を行なう上で重要である。
クトルの微分波形を演算生成すれば、位相変化エッジに
対応した位置に鋭いピークが生ずるので、そのピーク高
さと位置によって位相変化エッジの有無および位置を特
定することができる。ただし、位相変化エッジは、一定
変化率以上にて一定幅以上に変化するもの(例えば36
0°)が検知できればよく、狭義の微分演算以外のアル
ゴリズムを用いることも可能である。
装パッドから端子TX1に至る伝送線路を検査対象線路
として選んだときの、S11の振幅スペクトル及び位相
スペクトルの測定例を比較して示すものである。NG品
は、L101を接地短絡させたもの、及びC102のC103側
を断線開放させたものの2種である。振幅スペクトルに
おいても、OK品とNG品とでは波形に大きな差が生じ
ているが、波形自体はかなり複雑であり、判定のための
コンピュータ波形比較には時間を要することが予想され
る。また、OK品の波形も、測定バッチにより多少の差
が生じていることもわかる。他方、位相スペクトルにお
いては、OK品では測定バッチによる波形の差が僅かに
あるものの、位相変化エッジの位置(周波数)feはほ
ぼ不変である。そして、L101を接地短絡させたNG品
では、位相変化エッジの位置が大きく高周波側に移動し
ており、該位相変化エッジの位置のみで十分に不良判定
が可能であることがわかる。他方、C101のD1側を断
線開放させたNG品では、位相変化エッジが2箇所に現
れており、位相変化エッジの数にて不良判定が可能であ
ることがわかる。また、位相変化エッジの位置に異常が
出るか、あるいは数に不良が出るかの相違により、不良
の種別が特定可能であることも明らかである。
プ製造用基板81における基板単位80’の配列におい
て、該配列の最外位置を占める基板単位80’の、基板
単位の第一終端部をなす基板実装端子部に対し、これに
一体化されるべき接地端子を有する別の基板単位が存在
しない場合がある。例えば、図4のように基板単位8
0’が配列している場合、図11の製造用基板81にお
いては、図4において、短辺方向に隣接する2つの基板
単位80’、80’の、端子TX1と接地端子Gとが互
いに一体化し、導通している。すなわち、第一終端部で
ある端子TX1は、高周波回路チップ製造用基板全体で
見れば反射を生ずる終端部をなしていない。しかし、基
板最外位置を占める列γの基板単位80’は、短辺方向
の隣に次の基板単位がもはや存在しないので、この端子
TX1だけは反射端を形成する。従って、基板最外位置
を占める列γの基板単位80’は、端子TX1の反射端
化により断線不良時と類似の波形変化がもたらされ、正
確な検査判定が不能になる惧れがある。そこで、該基板
単位80’の基板実装端子部(端子TX1)を接地して
反射波形の測定を行なうようにすれば、該基板実装端子
部(端子TX1)が反射端化することによる上記不具合
を効果的に解消することができる。簡便な方法として
は、該基板単位80’の基板実装端子部(端子TX1)
を、同じ基板単位80’の接地端子Gと結線により短絡
させる方法を採用できる。
装パッドからTX1端子に至る伝送線路を検査対象線路
として選んだときの、S11の振幅スペクトルの測定例
を、図11のα列、β列及びγ列で比較して示すもので
あり、NG品は、C102とC202とのC103/C203側をと
もに断線開放させたものである。隣接する基板単位の端
子TX1と接地端子Gとが導通するα列及びβ列は、と
もにOK品とNG品とで大きな波形の相違を生じている
が()、端子TX1が開放となるγ列は、OK品と
NG品との波形の差がほとんどなく、識別が非常に困難
である()。そこで、端子TX1と接地端子Gとを短
絡させることにより、OK品とNG品との波形に明確な
差が生じ、容易に識別可能となっている()。
を同様に測定した結果であり、α列及びβ列のOK品は
位相変化エッジが1つのみであるのに対し、NG品は位
相変化エッジが2つ生じており、直ちに識別が可能であ
る()。しかし、端子TX1が開放となるγ列は、
OK品とNG品がいずれも位相変化エッジが2つであ
り、位置にも差がないことから、識別が非常に困難であ
る()。そこで、端子TX1と接地端子Gとを短絡さ
せると、OK品の位相変化エッジのみ1つとなり、NG
品との識別を容易に行なうことができる()。
分離前の高周波回路チップ製造用基板81に対し行った
場合は、検査結果に基づき不良判定された基板単位8
0’にマーキングMKを施し、その後基板単位80’を
分離して、マーキング付与された不良基板単位を除外す
ることにより、良品の選別を行なうことができる。基板
分離後には、マーキングMKの付与された基板単位8
0’を除外する作業を行なうのみでよく、例えば分離後
に検査を行なう場合と比較して作業能率を大幅に高める
ことが可能となる。
スイッチ回路の一例を示す図。
続関係を、第二主表面側にて模式的に説明する図。
体化される様子を示す説明図。
す図。
説明する図。
考察を説明する図。
回路的考察を説明する図。
トルを、良品と不良品との比較により示す図。
ペクトルを、良品と不良品との比較により示す図。
検査判定を自動化する概念を説明する図。
を行なう概念説明図。
スペクトルを、良品と不良品との比較により示す図。
開放となる場合の、良品と不良品との振幅スペクトルに
及ぼす影響の実例を、対策結果と比較して示す図。
開放となる場合の、良品と不良品との位相スペクトルに
及ぼす影響の実例を、対策結果と比較して示す図。
Claims (22)
- 【請求項1】 検査対象となる高周波回路チップ製造用
基板が、 各々誘電体層と配線層とが交互に積層された構造を有す
る高周波回路チップとなるべき基板単位が、当該基板単
位を分離するための分離予定線により仕切られる形にて
面内方向に複数一体化され、 複数の前記基板単位が、各々前記配線層が接地導体層を
含むとともに、分離前の状態においてそれら接地導体層
が互いに直流的に導通し、 個々の基板単位は、前記配線層に含まれる伝送線路の終
端部が最表面の誘電体層上に露出して複数の露出端子部
を形成してなり、かつそれら端子露出部の少なくとも1
対のものが、検査対象となる伝送線路(以下、検査対象
線路という)の2つの終端部をなすとともに、該伝送線
路が前記接地導体層に直流的に導通した、 構造を有するものであり、 分離前の各基板単位に対し、前記検査対象線路の2つの
終端部の一方を入力端子として、検査用高周波信号を前
記検査対象線路に入力したときの、当該入力端子におけ
る応答反射信号に基づいて前記検査対象線路の検査を行
うことを特徴とする高周波回路チップ製造用基板の検査
方法。 - 【請求項2】 前記応答反射信号として、前記入力端子
における反射係数(S11)を用いる請求項1記載の高
周波回路チップ製造用基板の検査方法。 - 【請求項3】 前記反射係数(S11)の振幅に基づい
て前記検査対象線路の検査を行なう請求項2記載の高周
波回路チップ製造用基板の検査方法。 - 【請求項4】 前記反射係数(S11)の位相に基づい
て前記検査対象線路の検査を行なう請求項2記載の高周
波回路チップ製造用基板の検査方法。 - 【請求項5】 前記基板単位の前記検査対象線路の第一
終端部が、分離後の基板単位に基づく前記高周波回路チ
ップの基板実装端子部とされ、同じく第二終端部が、当
該高周波回路チップ上に実装されるディスクリート部品
の部品実装パッドとされ、 該部品実装パッドを前記入力端子として使用する請求項
1ないし4のいずれか1項に記載の高周波回路チップ製
造用基板の検査方法。 - 【請求項6】 前記高周波回路チップ製造用基板は、前
記基板単位の同一主表面上に、前記入力端子となるべき
部品実装パッドと、前記接地導体層に直流的に導通する
接地端子とが形成されたものであり、 前記検査用高周波信号を入力するための測定プローブの
接地側端子を、前記基板単位側の接地端子に接続し、同
じく前記測定プローブの測定ポート側端子を前記部品実
装パッドに接続して、前記検査用高周波信号の入力及び
前記応答反射信号の検出を行なう請求項5記載の高周波
回路チップ製造用基板の検査方法。 - 【請求項7】 前記高周波回路チップ製造用基板は、前
記第一終端部をなす前記基板実装端子部が前記基板単位
の第一主表面に形成される一方、前記第二終端部をなす
前記部品実装パッドが前記基板単位の第二主表面に形成
される請求項6記載の高周波回路チップ製造用基板の検
査方法。 - 【請求項8】 前記高周波回路チップ製造用基板は、前
記基板単位の前記第一終端部をなす前記基板実装端子部
が、前記分離予定線にて該基板単位に接する別の基板単
位の接地端子と、同一主表面側にて一体化されたもので
ある請求項6又は7に記載の高周波回路チップ製造用基
板の検査方法。 - 【請求項9】 前記高周波回路チップ製造用基板におけ
る前記基板単位の配列において、該配列の最外位置を占
める基板単位において、前記基板単位の前記第一終端部
をなす前記基板実装端子部に対し、これに一体化される
べき前記接地端子を有する前記別の基板単位が存在しな
い場合、該最外位置を占める基板単位の基板実装端子部
を接地して前記反射波形の測定を行なう請求項5ないし
8のいずれか1項に記載の高周波回路チップ製造用基板
の検査方法。 - 【請求項10】 前記検査用高周波信号を、予め定めら
れた周波数範囲を掃引する形で入力することにより、前
記応答反射信号の周波数スペクトルを得るとともに、そ
の周波数スペクトルの波形に基づいて前記検査対象線路
の検査を行なう請求項1ないし9のいずれか1項に記載
の高周波回路チップ製造用基板の検査方法。 - 【請求項11】 前記検査の判定は、良品をなす検査対
象線路について予め測定した標準周波数スペクトルと、
検査対象となる検査対象線路の周波数スペクトル測定結
果との比較に基づいて行われる請求項10記載の高周波
回路チップ製造用基板の検査方法。 - 【請求項12】 前記応答反射信号の振幅の周波数スペ
クトル波形に基づいて前記検査対象線路の検査を行なう
請求項10又は11に記載の高周波回路チップ製造用基
板の検査方法。 - 【請求項13】 前記高周波回路チップ製造用基板内に
おける前記基板単位の配列位置に応じて、互いに異なる
前記標準周波数スペクトルが用意される請求項12に記
載の高周波回路チップ製造用基板の検査方法。 - 【請求項14】 1つの前記基板単位内において前記検
査対象線路が複数設定され、前記標準周波数スペクトル
を、それら検査対象線路毎に個別に用意する請求項12
又は13に記載の高周波回路チップ製造用基板の検査方
法。 - 【請求項15】 前記応答反射信号の位相の周波数スペ
クトル波形(以下、位相スペクトルという)に基づいて
前記検査対象線路の検査を行なう請求項10又は11に
記載の高周波回路チップ製造用基板の検査方法。 - 【請求項16】 前記応答反射信号の位相スペクトルか
ら、周波数に対して前記位相が一定変化率以上にて一定
幅以上に変化する位相変化エッジの情報を抽出し、その
位相変化エッジ情報に基づいて前記検査対象線路の検査
を行なう請求項15記載の高周波回路チップ製造用基板
の検査方法。 - 【請求項17】 前記位相スペクトルは、角度フルスケ
ールを360°としたときの等価位相角にて表示したも
のを用い、前記位相変化エッジとして、周波数増加に対
して位相角が前記角度フルスケールを超えて変化すると
きに、前記角度フルスケール内の等価位相角への変換に
対応して生ずる360°幅の変化エッジが使用される請
求項16記載の高周波回路チップ製造用基板の検査方
法。 - 【請求項18】 前記位相スペクトルにおける位相変化
エッジの有無、個数、及び位置の少なくともいずれかに
基づいて記検査対象線路の検査を行なう請求項17に記
載の高周波回路チップ製造用基板の検査方法。 - 【請求項19】 1つの前記基板単位内において前記検
査対象線路が複数設定され、それら検査対象線路毎に、
前記位相変化エッジの有無、個数、及び位置の少なくと
もいずれかに係る検査判定基準が固有に定められてなる
請求項18記載の高周波回路チップ製造用基板の検査方
法。 - 【請求項20】 請求項1ないし19のいずれか1項に
記載の検査方法を用いた高周波回路チップ製造用基板の
製造方法であって、 前記基板単位を分離前の高周波回路チップ製造用基板に
おいて、個々の基板単位に含まれる前記検査対象線路
を、前記検査方法により検査する検査工程と、 その検査結果に基づいて前記基板単位を良否選別する選
別工程と、 を含むことを特徴とする高周波回路チップ製造用基板の
製造方法。 - 【請求項21】 前記基板単位を分離前の高周波回路チ
ップ製造用基板において、前記検査結果に基づき不良判
定された基板単位にマーキングを施し、その後前記基板
単位を分離して、マーキング付与された不良基板単位を
除外する請求項20記載の高周波回路チップ製造用基板
の製造方法。 - 【請求項22】 請求項1ないし19のいずれか1項に
記載の検査方法に用いる検査装置であって、 検査用高周波信号の発生部と、 分離前の各基板単位に対し、前記検査対象線路の2つの
終端部の一方を入力端子として、検査用高周波信号を前
記検査対象線路に入力するための測定プローブと、 当該入力端子に生ずる応答反射信号を出力する出力部
と、 を含むことを特徴とする高周波回路チップ製造用基板の
検査装置。
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