JP2003203813A - 磁性素子およびその製造方法、並びにそれを備えた電源モジュール - Google Patents

磁性素子およびその製造方法、並びにそれを備えた電源モジュール

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JP2003203813A
JP2003203813A JP2002249647A JP2002249647A JP2003203813A JP 2003203813 A JP2003203813 A JP 2003203813A JP 2002249647 A JP2002249647 A JP 2002249647A JP 2002249647 A JP2002249647 A JP 2002249647A JP 2003203813 A JP2003203813 A JP 2003203813A
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sheet
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Osamu Inoue
修 井上
Hiroyuki Handa
浩之 半田
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Panasonic Holdings Corp
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Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高いインダクタンス値示すとともに、高周波
域での磁気損失が少ない、薄型の磁性素子を提供する。
さらに、このような磁性素子を容易な方法で大量に生産
するための製造方法と、このような磁性素子を備えた電
源モジュールとを併せて提供する。 【解決手段】 平面状の導体コイル2および絶縁性物質
(絶縁部3)を含むシート状コイル1と、シート状コイ
ル1の上下面のうち少なくとも一方に配置されたシート
状の第1磁性部材4とを備え、絶縁性物質の透磁率を第
1磁性部材4の透磁率よりも小さくする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電子機器のインダ
クタ、チョークコイル、トランスその他に用いられる超
薄型の磁性素子と、その製造方法およびそれを備えた電
源モジュールとに関するものである。
【0002】
【従来の技術】近年、電子機器の全般的な小型・薄型化
に伴い、これらに用いられる部品やデバイス、電源など
も、小型化、薄型化することが強く求められている。特
に、携帯機器等では、小型化以上に薄型化の要求が強く
なっている。一方、CPUなどのLSIは高速・高集積
化してきており、このようなLSIに供給される電源回
路には大電流が供給されることがある。従って、このよ
うなLSIの電源回路のインダクタ等に用いられる磁性
素子には、コイル導体を低抵抗化して低発熱を実現する
ことと、直流重畳によるインダクタンス値の低下が少な
いことと(直流重畳特性が良好であること)が必要とさ
れている。また、使用周波数が高周波化しているので、
高周波域での損失の低いことが求められている。さら
に、部品のコストを安くすることが強く求められている
ため、単純な形状の部品構成素子を簡単な工程で組み立
てられることが必要となっている。すなわち、大電流、
高周波で使用可能であり、かつ、極力小型・薄型化され
た磁性素子を、安価に供給することが求められている。
電源回路に使用される部品の中で、最も厚さの大きいも
のはインダクタ等に用いられる磁性素子である。そのた
め、磁性素子の薄型化は、電源自体の薄型化のために
も、強く望まれている。
【0003】一般に磁性素子を小型化すると、磁路断面
積が減少し、インダクタンス値が減少してしまう。この
ような小型の磁性素子の特性を向上させる(インダクタ
ンス値を大きくする)手段として、例えば実開昭53−
136538号公報や特開昭61−136213号公報
には、フェライト等を用いた鍔付きのドラム形状のコア
材にコイル巻き線を施した後、鍔の内側を磁性体粉末と
樹脂の混合物で埋めて、閉磁路構造としたものが提案さ
れている。この構造では、通常コイル巻き線に用いられ
るボビンが不要となるので磁路断面積が大きく取れ、さ
らに、閉磁路構造となるのでインダクタンス値が大きく
なる等、特性が向上する。しかしながら、この構造は、
磁性素子の小型化を目的としたものであるため薄型化が
充分でなく、さらに、磁性素子の外面に低透磁率の樹脂
層が付着するため漏れ磁束が多くなって充分な特性が得
られず、さらに、磁性素子の外面に付着する樹脂層の形
状を整えるのに特殊な技術を要する、といった問題点が
あった。実際にこのような技術を用いて作製された、例
えばサイズが2×1×1mm程度のインダクタも市販さ
れているが、このインダクタはコイルの直流抵抗が大き
いものであった。
【0004】低いコイルの直流抵抗と、大きなインダク
タンス値とを実現するためには、太い導線を用いてコイ
ルを作製し、ターン数も増やす必要がある。また、薄型
化のためには同時に厚さを1mm程度以下とし、かつ、
磁路断面積もある程度大きくしなければならない。この
ため、コイルはソレノイド状ではなく平面スパイラル状
に巻くことが望ましい。このような条件を満たすコイル
を収容するスペースを確保するためには、サイズを2〜
10mm角と大きくすることになる。しかしながら、こ
のような面積/厚さ比の大きい薄型構造では、漏洩磁束
が大きくなるので大きなインダクタンス値を得にくかっ
た。
【0005】この問題に対し、実開昭58−13390
6号公報、実開昭59−67909号公報、特開平1−
157508号公報、特開平1−310518号公報、
特開平3−284808号公報等には、平面スパイラル
状に巻かれた導体コイルの上下面を、絶縁層を介して配
置された強磁性体層で挟む構造が提案されている。この
構造では、透磁率の高い磁性体を導体コイルの上下面に
配置しているので、薄型にしても漏洩磁束を比較的少な
く抑えることができ、大きなインダクタンス値を得るこ
とが可能であった。しかしながら、この構造の場合、磁
性素子の側面において導体コイルが露出した状態とな
り、信頼性に問題があった。また、このような構造を実
現する場合に、各部材間の接着力を具体的にどのように
して発現させるかという点においても不明確であった。
【0006】このような問題を解決する磁性素子として
は、実開昭59−23708号公報や特開平6−342
725号公報に、平面スパイラル状に巻かれた導体コイ
ルがフェライト粉末と樹脂との混合物よりなるペースト
に埋め込まれ、その上下にフェライト板を貼り付けた構
造が提案されている。また、特開平9−270334号
公報では、磁性体粉末を含有する樹脂(以下、磁性体含
有樹脂とする。)に平面スパイラル状に巻かれた導体コ
イルが埋め込まれ、その上下に金属磁性薄体を貼り付け
た構造が提案されている。これらの構造では、導体コイ
ルが樹脂に埋め込まれているため、側面において導体コ
イルが露出する問題がなくなる。また、樹脂が硬化する
際に上下に配置するフェライト板や金属磁性薄体を、樹
脂に埋め込まれた状態の導体コイルに接着することがで
きる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、特開平
6−342725号公報等に開示されている磁性素子
は、導体コイル自体が磁性体含有樹脂に完全に埋め込ま
れた構造となっており、導体コイルの導体間および回り
には磁性体含有樹脂が存在する。従って、導体コイルの
外周部分を通る本来の磁路よりもショートパスとなる磁
路、つまり導体コイルの導体内を横切ったり、近接する
導体間を横切ったりする磁路が生じやすい。このように
導体コイルの導体内や導体間を通る磁束が増加すると、
高周波域では磁気損失が増大するとともに、インダクタ
ンス値も低下するという問題が生じる。
【0008】また、上記した公報に開示された磁性素子
は、一個ずつ作製するか、あるいは蒸着やスパッタリン
グ等の真空プロセスを用いて作製する必要があり、量産
性に乏しく、高コストになるという問題点もあった。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の磁性素子は、平
面導体コイルおよび絶縁性物質を含むシート状コイル
と、前記シート状コイルの上下面のうち少なくとも一方
に配置されたシート状の第1磁性部材とを備え、前記絶
縁性物質の透磁率が前記第1磁性部材の透磁率よりも小
さいことを特徴としている。
【0010】本発明の磁性素子の製造方法は、まず、平
面導体コイルおよび絶縁性物質を含むシート状コイルを
用意し、次に、前記シート状コイルの上下面の少なくと
も一方に、前記絶縁性物質よりも大きい透磁率を有する
シート状の第1磁性部材を配置することを特徴とする。
【0011】本発明の電源モジュールは、配線基板と、
この配線基板に電気的に接続された本発明の磁性素子と
を備えたことを特徴とする。
【0012】
【発明の実施の形態】本発明の磁性素子は、平面導体コ
イルおよび絶縁性物質を含むシート状コイルと、前記シ
ート状コイルの上下面のうち少なくとも一方に配置され
たシート状の第1磁性部材とを備え、前記絶縁性物質の
透磁率が前記第1磁性部材の透磁率よりも小さいもので
ある。この構成では、平面導体コイルの導体自体や近接
する導体間を横切る磁束が抑制される。このため、平面
導体コイル自体が磁性体含有樹脂に埋没している構成よ
りもインダクタンス値を高くできるとともに、高周波域
における磁気損失が少なくなる。
【0013】本発明の磁性素子は、磁性体含有樹脂から
なり、前記絶縁性物質よりも透磁率が大きく、かつ、前
記第1磁性部材よりも透磁率が小さい第2磁性部材をさ
らに備えており、前記第2磁性部材は、前記平面導体コ
イルの導体が存在しない領域であって、かつ、前記シー
ト状コイルの中心部および周辺部から選ばれる領域の少
なくとも1ヶ所に配置されている構成とすることが好ま
しい。この構成では、第1磁性部材間においては、磁束
が、主に導体が存在しないシート状コイルの中心部や周
辺部に設けられた第2磁性部材を通ることになる。この
ため、より高いインダクタンス値を得ることができる。
【0014】本発明の磁性素子においては、前記第1磁
性部材が、フェライト焼結体、ダストコア、厚さ30μ
m以下の金属磁性薄体、および厚さ30μm以下の金属
磁性薄体と絶縁層との積層体から選ばれる少なくとも一
種であることが好ましい。
【0015】本発明の磁性素子においては、前記第1磁
性部材の、前記シート状コイルの中心部または周辺部に
対応する位置に、突起部が設けられていることが好まし
い。第1磁性部材間において、磁束が、主に導体が存在
しないシート状コイルの中心部や周辺部を通るように
し、高いインダクタンス値を得るためである。
【0016】本発明の磁性素子においては、前記第1磁
性部材が、厚さ30μm以下の金属磁性薄体または厚さ
30μm以下の金属磁性薄体と絶縁層との積層体であ
り、前記金属磁性薄体の少なくとも1ヶ所に、前記平面
導体コイルの導体の巻回方向と交差する方向にスリット
が設けられていることが好ましい。また、第2磁性部材
を設ける構造の場合は、スリットは、第2磁性部材の直
上直下の領域を避けた領域に設けられていることが好ま
しい。また、スリットの少なくとも一部に、絶縁性を有
する第3磁性部材が配置されていることが好ましい。こ
の第3磁性部材は第2磁性部材と同じ材料からなるもの
であってもよい。磁束の漏洩を抑制しつつ、渦電流損失
を抑制するためである。
【0017】また、第1磁性部材が扱いにくくなるのを
防ぐために、スリットは、金属磁性薄体を完全に2つ以
上に分割しないように設けることが好ましい。
【0018】また、前記第1磁性部材が複数の金属磁性
薄体を含む積層体からなる場合は、スリットの位置が全
層の金属磁性薄体で重ならないように形成することが好
ましい。また、前記第1磁性部材が複数の金属磁性薄体
を含む積層体からなる場合は、一層の金属磁性薄体にお
けるスリットの合計長さが、シート状コイル近くに配置
された金属磁性薄体ほど長いことが好ましい。磁束の漏
洩を抑制しつつ、効果的に渦電流損失を抑制するためで
ある。なお、この構成の場合、積層体にスリットが設け
られていない金属磁性薄体が含まれていてもよく、例え
ば積層体が二層の金属磁性薄体を含む場合は、シート状
コイル近くに配置された金属磁性薄体にだけスリットが
設けられており、シート状コイルから離れた位置に配置
された金属磁性薄体にはスリットが設けられていなくて
もよい。
【0019】また、第1磁性部材に金属磁性薄体を用い
る場合は、金属磁性薄体がアモルファス薄体であること
が好ましい。また、アモルファス薄体は、300℃以上
結晶化温度以下で熱処理されたものであることが好まし
い。良好な特性が得られるからである。
【0020】また、第2磁性部材に用いる磁性体粉末が
金属磁性体粉末であることが好ましい。金属磁性体粉末
は飽和磁束密度が高いので、良好な直流重畳特性が得ら
れるからである。
【0021】また、前記平面導体コイルは、上下2段に
分かれてそれぞれ平面形に巻回された2段コイルで、最
内周部で上下2段のコイルが互いに接合されていること
が好ましい。平面導体コイルの占積率が高くなると共
に、コイル端がコイルの最外周にくるので第1磁性部材
に穴を設けることなく端子部を取り出すことができるか
らである。
【0022】また、前記平面導体コイルの外形状として
は、円形、楕円形、および長円形のうちの一種とするこ
とができる。
【0023】また、前記シート状コイルが配線基板の配
線層の一部として、前記配線基板の内部または表面に設
けられている構成とすることも可能である。
【0024】また、前記第1磁性部材と前記シート状コ
イルとの間に接着層が設けられた構成とすることもでき
る。第1磁性部材とシート状コイルとを接着するためで
ある。
【0025】本発明の磁性素子の製造方法は、まず、
(a)平面導体コイルおよび絶縁性物質を含むシート状
コイルを用意し、次に、(b)前記シート状コイルの上
下面の少なくとも一方に、前記絶縁性物質よりも大きい
透磁率を有するシート状の第1磁性部材を配置する。
【0026】また、本発明の磁性素子の製造方法では、
(a)の工程において、シート状コイルが複数設けられ
た大判シートを用意し、(b)の工程において、個々の
シート状コイルの上下面の少なくとも一方に第1磁性部
材を配置し、その後、(c)前記大判シートを切断して
個々の磁性素子の状態とする方法を用いることが好まし
い。一度に多数の磁性素子を製造できるからである。
【0027】また、第2磁性部材を備えた磁性素子を作
製するためには、(a)の工程において、前記シート状
コイルの所定の領域に上下面を貫通する穴部を形成し、
前記所定の領域が、前記平面導体コイルの導体が存在し
ない領域であって、かつ、前記シート状コイルの中心部
および周辺部から選ばれる領域の少なくとも1ヶ所であ
り、(b)の工程において、前記シート状コイルの前記
穴部に磁性体粉末と未硬化状態の樹脂とを混合して作製
した未硬化の第2磁性部材を配置し、前記第2磁性部材
を硬化させることにより前記シート状コイルと前記第1
磁性部材とを一体化させることもできる。また、(b)
の工程において、予め前記シート状コイルの上下面の何
れか一方に第1磁性部材を配置しておき、次に前記シー
ト状コイルの前記穴部に未硬化の前記第2磁性部材を配
置し、次に前記シート状コイルの上下面の他方の面に第
1磁性部材を配置し、次に前記第2磁性部材を硬化させ
ることにより前記シート状コイルと前記第1磁性部材と
を一体化させる方法を用いることも可能である。
【0028】本発明の電源モジュールは、配線基板と、
前記配線基板と電気的に接続された本発明の磁性素子と
を備えたことを特徴とする。上述したように、本発明の
磁性素子は、高いインダクタンス値と低いコイル直流抵
抗、さらに良好な直流重畳特性を有する薄型の磁性素子
である。従って、この磁性素子に配線基板や半導体チッ
プやコンデンサ等の他の部品を実装して作製した電源モ
ジュールも、上記特性に優れており、かつ、薄型を実現
できる。
【0029】以下、本発明の実施の形態を説明する。以
下では、インダクタやチョークコイル等に用いられる磁
性素子の例について説明するが、本発明の磁性素子はこ
れに限定される物ではなく、2次巻き線の必要なトラン
ス等に用いても、その効果を発揮するものである。
【0030】(実施の形態1)本発明の磁性素子の実施
の形態について、図1〜14を用いて説明する。
【0031】図1(a)は、本発明の磁性素子に用いら
れるシート状コイルの一例を示す平面図であり、図1
(b)は、図1(a)のA−A矢視断面図である。図1
(a)および図1(b)に示されたシート状コイル1
は、導体コイル2自体が絶縁性物質に埋設されてシート
状に固められた構造となっており、導体コイル2の導体
間および周囲は絶縁性物質よりなる絶縁部3となってい
る。導体コイル2は平面コイルであり、上下2段のコイ
ルがそれぞれ平面スパイラル状に巻回され、最内周で上
下のコイルが互いに接続された、2段積みの平面スパイ
ラルコイルである。上下コイルの最外周は共に平板状に
成形されて絶縁性樹脂の外側に取り出され、端子部2a
となっている。なお、本実施の形態の場合、シート状コ
イル1の端子部2aは互いに異なる方向に取り出されて
いるが、同じ方向に取り出される構造であってもよい。
【0032】図2(a)は、シート状コイル1を用いた
本発明の磁性素子の一形態を示す平面図である。また、
図2(b)は、図2(a)のB−B矢視断面図である。
この磁性素子では、シート状コイル1の上下面に第1磁
性部材4が配置されており、第1磁性部材4とシート状
コイル1とが直接接触するような構造となっている。
【0033】図3(a)は、シート状コイル1を用いた
本発明の磁性素子の別の一形態を示す平面図であり、図
3(b)は、図3(a)のC−C矢視断面図である。こ
の磁性素子は、シート状コイル1の上下面に第1磁性部
材4が配置されるとともに、導体コイル2の導体が存在
しない領域のシート状コイル1の中心部と周辺部4ヶ所
に、第2磁性部材5がそれぞれ設けられている。この第
2磁性部材5は磁性体含有樹脂からなり、絶縁部3に用
いられる絶縁性物質よりも透磁率が大きく、かつ、第1
磁性部材4よりも透磁率が小さい。また、この第2磁性
部材5の接着力により、第1磁性部材4がシート状コイ
ル1に貼り合わされている。図3(a)および図3
(b)に示す磁性素子は、一対の第1磁性部材4を接続
する第2磁性部材5の存在により、図2(a)および図
2(b)に示した磁性素子が開磁路構成となっているの
対し、閉磁路構成となっている。これにより、インダク
タンス値が増加する。ただし、第2磁性部材5の面積が
増加しすぎると直流重畳特性が劣化し、損失も増加する
ので、用途に応じて、第2磁性部材の数および面積を決
定することが望ましい。
【0034】以上に示した2種類の構造が本発明の磁性
素子の基本的な構造であり、図4(a)(b)〜図14
(a)(b)は何らかの目的でこの構造をさらに改善し
たものである。
【0035】図4(a)は、シート状コイル1を用いた
本発明の磁性素子のさらに別の一形態を示す平面図であ
り、図4(b)は、図4(a)のD−D矢視断面図であ
る。この磁性素子は、一方の第1磁性部材4の中央部分
に突起部4aが設けられており、これがシート状コイル
1の中心部に勘合されている。また、シート状コイル1
の周辺部4ヶ所には、第2磁性部材5が配置されてい
る。本実施の形態の磁性素子においては、突起部4aは
下側の第1磁性部材4に設けられて上側の第1磁性部材
4と直接接触しているが、突起部4aと他方の第1磁性
部材4との間にはある程度のギャップがあってもよい。
ギャップがある場合、その部分は空隙であってもよい
し、第2磁性部材5で充填されていてもよい。第1磁性
部材4の透磁率は第2磁性部材5の透磁率よりも高いの
で、このように第1磁性部材4に突起部4aを設けて第
2磁性部材5の代わりに配置することで透磁率を高くで
き、より大きなインダクタンス値を得ることができる。
ただし、その分直流重畳特性は劣化するので、用途に応
じて、突起部4aの有無、ギャップの有無、第2磁性部
材5の有無を選択すればよい。なお、突起部4aを設け
ると、その部分をシート状コイル1に設けた穴部と勘合
させる必要が生まれるため生産性が低下することも考慮
して突起部4aの有無を選択すればよい。
【0036】以上に示した磁性素子は、第1磁性部材4
にフェライト焼結体、ダストコア、厚さ30μm以下の
金属磁性薄体、または厚さ30μm以下の金属磁性薄体
と絶縁層との積層体を用いることができる。ただし、第
1磁性部材4に突起部4aを設ける構造の場合は、突起
部を容易に形成できるという理由から、フェライト焼結
体やダストコアを用いることが好ましい。以下に、図5
(a)(b)〜図12(a)(b)を用いて、第1磁性
部材4に金属磁性薄体を用いる場合に好適な磁性素子の
構造について説明する。
【0037】図5(a)は、シート状コイル1を用いた
本発明の磁性素子のさらに別の一形態を示す平面図であ
り、図5(b)は、図5(a)のE−E矢視断面図であ
る。この磁性素子は、シート状コイル1の上下面に、接
着層7を介して金属磁性薄体よりなる第1磁性部材4が
配置されている。上下の第1磁性部材4には、導体コイ
ル2の中心を通る互いに交差した2本のスリット6が設
けられている。このスリット6により、第1磁性部材4
は4つの領域に分割されている。このようなスリット6
を設ける理由は、第1磁性部材4に金属磁性薄体を用い
ることにより問題となる渦電流損失を低減させるためで
ある。また、スリット6は、第1磁性部材4を完全に4
つに分割しないように第1磁性部材4の端部近傍で止ま
っている。これは、第1磁性部材4を完全に分割してし
まうと取り扱いにくくなるからである。磁束があまり集
中しない外周部で4つの領域に分割された第1磁性部材
4をわずかに連結させておいても、渦電流損失はあまり
大きくならないので、このようなスリットの入れ方が望
ましい。また、接着層7は、第1磁性部材4とシート状
コイル1とを接着するために用いられる。このような接
着層7を用いなくても、シート状コイル1の表面上に直
接スパッタリングやメッキ等の方法で第1磁性部材4を
設け、図2(a)(b)に示す磁性素子のような構造と
することも可能である。しかしながら、このように第1
磁性部材4を直接形成する場合は充分な磁気特性が得ら
れない場合が多く、コスト的にもスパッタリング法など
の真空プロセスでは高価となるので、第1磁性部材4を
あらかじめ別途作製しておく方が望ましい。従って、別
途作製した第1磁性部材4を用いる場合には、接着層7
を用いて第1磁性部材4とシート状コイル1とを接着す
ることが望ましい。
【0038】図6(a)は、シート状コイル1を用いた
本発明の磁性素子のさらに別の一形態を示す平面図であ
り、図6(b)は、図6(a)のF−F矢視断面図であ
る。この磁性素子は、図5(a)(b)に示した磁性素
子と同様に、シート状コイル1の上下面にスリット6が
形成された金属磁性薄体からなる第1磁性部材4が配置
されているが、接着層は用いられていない。その代わり
に、シート状コイル1の中心部と周辺部4ケ所には、第
2磁性部材5が配置されている。この第2磁性部材5は
磁性粉末を含有する樹脂からなるので、樹脂成分の接着
力によって第1磁性部材4をシート状コイル1に接着し
て全体を一体化している。また、スリット6は、導体コ
イル2の中心を通り、かつ、矩形の第1磁性部材4に対
して十字に形成されている。なお、このように十字に形
成したスリットよりも、図5(a)に示すように第1磁
性部材4の対角線上に配置するスリットの方が、渦電流
損失を低減させる効果が大きく、望ましい。
【0039】図7(a)は、シート状コイル1を用いた
本発明の磁性素子の別の一形態を示す平面図であり、図
7(b)は、図7(a)のG−G矢視断面図である。図
7(a)(b)の磁性素子は、図6(a)(b)の磁性
素子と類似の構造であるが、第1磁性部材4に設けられ
たスリット6内に第2磁性部材5が配置されている。ス
リット6の部分には磁性体が存在しないので、磁束が漏
洩しやすいが、この部分に第2磁性部材5を配置するこ
とにより、その分漏洩磁束が低減し、かつ、渦電流損失
はほとんど増加しない。なお、第2磁性部材5がスリッ
ト6内の全体に配置されている必要はなく少なくとも一
部に配置されていればよいが、特に、磁束の集中するコ
イル中心部分に配置されたスリット内には第2磁性部材
5が配置されていることが好ましい。また、本実施の形
態においてはスリット6内に配置する磁性部材に第2の
磁性部材5を用いているが、絶縁性を有する磁性体であ
れば、第2磁性部材5とは異なる材料にて形成された磁
性部材(第3の磁性部材)を用いることも可能である。
【0040】図8(a)は、シート状コイル1を用いた
本発明の磁性素子のさらに別の一形態を示す平面図であ
り、図8(b)は、図8(a)のH−H矢視断面図であ
る。この磁性素子は、第1磁性部材4が、二層の金属磁
性薄体が絶縁層を介して積層された積層体にて形成され
ている。本実施の形態においては、二層の金属磁性薄体
間に配置される絶縁層に接着層7を用いている。ここ
で、本発明おける絶縁層は、渦電流が積層された二層以
上の金属磁性薄体間を流れるのを防ぐためのものである
から、必ずしも特定の物質が存在する必要はない。すな
わち、複数層の金属磁性薄体を重ねただけであっても、
両者が完全に一体のものでない限り、両者間に多少の接
触抵抗は生じ、複数層分の厚さの1枚の金属磁性薄体に
比べて、渦電流は減少する。しかしながら、このような
特定の絶縁性物質を用いない構成では、素子に対して垂
直方向に圧力を加えると金属磁性薄体層間の電気的接触
状態が変化して特性が変動するという問題や、金属磁性
薄体層間に接着力がないために信頼性が低いといった問
題が生じやすい。従って、図8(b)に示すように、金
属磁性薄体の層間には絶縁性の接着層が設けられること
が望ましい。図8(b)に示す二層の金属磁性薄体のう
ちシート状コイル1に近い側に配置された金属磁性薄体
(内側の金属磁性薄体)には、図5(a)に示したスリ
ット6と同じ形状のスリットが設けられている。二層の
金属磁性薄体のうちシート状コイル1から離れた側に配
置された金属磁性薄体(外側の金属磁性薄体)には、内
側の金属磁性薄体に設けられたスリット6と一致しない
位置で、かつ、導体コイル2の中心部分を避けて、スリ
ット6が設けられている。二層の金属磁性薄体は、両者
の間に設けられた絶縁性の接着層7によって一体化され
ている。また、第2磁性部材5はシート状コイル1の中
心部分のみに設けられているので、第1磁性部材4とシ
ート状コイル1との接着のために接着層7が併用されて
いる。第1磁性部材4を二層の金属磁性薄体にて形成す
るとそれだけ磁束の集中が低減されるので、インダクタ
ンス値は向上し、磁気損失は低減し、直流重畳特性も改
善される。また、上下二層の金属磁性薄体に設けられる
スリットの位置をずらすことで、漏洩磁束も低減され
る。
【0041】図9(a)は、シート状コイル1を用いた
本発明の磁性素子のさらに別の一形態を示す平面図であ
り、図9(b)は、図9(a)のI−I矢視断面図であ
る。この磁性素子は、図8(a)(b)に示した磁性素
子と同様に第1磁性部材4が積層体からなる構造である
が、内側の金属磁性薄体には図8(a)(b)に示した
磁性素子と同様のスリット6が設けられており、外側の
金属磁性薄体にはスリットが設けられていない。第1磁
性部材4が二層の金属磁性薄体を含む積層体からなる場
合、磁束はコイルに近い内側の金属磁性薄体により集中
するので、外側の金属磁性薄体にスリットがなくても極
端に磁気損失は増加しないからである。
【0042】図10(a)は、シート状コイル1を用い
た本発明の磁性素子の別の一形態を示す平面図であり、
図10(b)は、図10(a)のJ−J矢視断面図であ
る。この磁性素子は、図8(a)(b)に示した磁性素
子と同様に第1磁性部材4が積層体からなる構造である
が、内側の金属磁性薄体よりも外側の金属磁性薄体の方
が厚く形成されている。これは、磁束が集中するコイル
に近い内側の金属磁性薄体を薄くして外側の金属磁性薄
体を厚くすることで、磁気損失を増加させずに直流重畳
特性を改善するためである。
【0043】図11(a)は、シート状コイル1を用い
た本発明の磁性素子の別の一形態を示す平面図であり、
図11(b)は、図11(a)のK−K矢視断面図であ
る。この磁性素子は、図7(a)(b)に示した磁性素
子と類似した構造であるが、上下の第1磁性部材4の、
第2磁性部材5の直上直下の位置には、スリット6が形
成されていない。これは、シート状コイル1の中心に形
成した穴部に第2磁性部材5を充填するときの、スリッ
ト6からの第2磁性部材5の漏れを防ぐためである。こ
のような構造とするのは、製造上の問題を解決するため
であるが、特性的には、インダクタンス値と直流重畳特
性は改善され、磁気損失はやや増加する。
【0044】図12(a)は、シート状コイル1を用い
た本発明の磁性素子の別の一形態を示す平面図であり、
図12(b)は、図12(a)のL−L矢視断面図であ
る。この磁性素子は、図7(a)(b)に示した磁性素
子と類似した構造であるが、上下の第1磁性部材4の外
側より接着層7が被せられている。これも、第1磁性部
材4とシート状コイル1とを接着する方法の1つである
が、第1磁性部材4に金属磁性薄体を用いる場合には、
磁性素子の外面が低電気抵抗の金属磁性体となってしま
うので、このような構造とすることで外面の絶縁性も付
与できる。このように第1磁性部材4の外側より接着層
7を被せる構造は、第1磁性部材4にダストコアを用い
る場合や、フェライト焼結体でも電気抵抗のやや低いM
nZnフェライトを用いる場合等でも効果的である。
【0045】なお、第1磁性部材4の外側より接着層を
被せる方法を用いると、第1磁性部材4を複数の金属磁
性薄体にて形成する場合に、外側の金属磁性薄体の面積
を内側の金属磁性薄体の面積よりも小さくしてその外側
から接着層で全体を覆うようにすれば、金属磁性薄体の
層間に特定の絶縁性物質や接着層を用いなくても、複数
層の金属磁性薄体を固定することが可能となる。しかし
ながら、この場合も、図8(a)(b)の説明で述べた
ように、素子に対して垂直方向に圧力を加えると金属磁
性薄体層間の電気的接触状態が変化して特性が変動する
という問題点は残される。
【0046】次に、上下の第1磁性部材4が互いに異な
る材料にて形成されている場合の例を図13(a)
(b)に示す。この磁性素子は、図6(a)(b)に示
した磁性素子と類似した構造であるが、シート状コイル
1の片面には金属磁性薄体8aが設けられ、反対側には
フェライト焼結体の板8bが設けられている。金属磁性
薄体を用いる理由最大の理由は磁性素子を薄くできるか
らであるが、磁気損失ではフェライト焼結体より大きく
なってしまう。そこで、このような構造とすれば、その
厚さを大きく増加させることなく、良好な特性も得るこ
とができる。
【0047】次に、さらに別の構造例について、図14
(a)(b)を用いて説明する。図14(a)は、本発
明の磁性素子のさらに別の一形態を示す断面図であり、
図14(b)は図14(a)に示した磁性素子を下側の
第1磁性部材側からみた平面図である。この磁性素子
は、用いるシート状コイル1が図1(a)(b)に示す
ものと異なり、1段の導体コイル2によって構成されて
いる。さらに、端子部2aは素子の下面へ取り出される
構造となっている。このような、導体コイル2に2段積
みでないコイルを用いることももちろん可能であり、コ
イルターン数は減るが、コイルの厚さは薄くしやすい。
しかしながら、端子部2aの片側はコイルの外周部へ来
るが、もう片側は内周部にくるので、第1磁性部材4に
穴をあけるなどして、端子を取り出す必要がある。そこ
で、この磁性素子では、端子取りだしを容易にするた
め、下側の第1磁性部材4の一部を、磁性粉末と樹脂と
の混合物からなる磁性体含有樹脂にて形成する磁性体含
有樹脂部9としている。
【0048】以上は本発明の磁性素子の実施の形態の一
部を示したもので、本発明はこれらに限定されるもので
はない。これらの実施の形態においては、サイズが2〜
20mm角前後で、厚さ0.1〜2mm程度の、非常に
薄い長方形板状のインダクタンス素子を想定している
が、他の形状でもかまわない。
【0049】また、第1磁性部材4を金属磁性薄体にて
形成する場合に設けられたスリット6は、磁性薄板中を
流れる渦電流を遮断するため設けるものなので、導体コ
イル2を横切る方向に(好ましくは導体コイル2と垂直
に交差する方向に)、ごく僅かの幅、具体的には数μm
〜100μm程度で、任意の数で入れればよい。スリッ
ト幅がこれより広すぎると、漏洩磁束が増加してしまう
からである。スリット数については、2本の交差したラ
インでもよいが、1本だけにしても、放射状に3本以上
入れてもよい。スリット数は多いほど渦電流損失低減の
効果は大きいが、スリット数を増やすに従って、それに
よる改善の割合は低下し、得られるインダクタンス値も
徐徐に低下し、漏洩磁束が増加してくるので、必要な特
性とコスト等を勘案して、適当なスリットパターンを選
択すればよい。また、上述したように、スリット6は第
1磁性部材4を完全に分割してしなわないように、第1
磁性部材4の端から端まで形成しない方がよい。スリッ
ト6を端から端まで形成した方が渦電流損失低減の効果
は大きいが、第1磁性部材4が端部の一部がつながって
いたり、スリット6が導体コイル2の中心部に対応する
位置に設けられていない場合でも、スリット6がない場
合に発生する渦電流の大半は遮断できるので、明らかな
効果があるからである。また、実際に磁性素子を製造す
る上で、薄板状金属磁性部材が、複数の個片に切断され
ていると取り扱いにくいので、むしろ完全に切断されて
しまわない方が好ましい。本願発明者らの検討では、渦
電流損失とその他の利害得失を考え合わせ、矩形の金属
磁性薄体に対して、少なくとも対角状「×」にスリット
6を入れるか、あるいは放射状「*」にスリット6を入
れ、磁束の集中しない最外周部分にはスリット6を入れ
ないか、あるいは最外周部分と中心部にスリット6を入
れない構成が最も望ましい。
【0050】また、本実施の形態では、第1磁性部材4
に金属磁性薄体の積層体を用いる場合に二層の金属磁性
薄体を積層させた例を示しているが、三層以上の金属磁
性薄体を積層させたものであってもよい。ただし、多層
とするほど特性は向上するが、その分厚くなり、また層
数を増やすほど改善効果は少なくなるので、用途に応じ
て適宜選択すればよい。
【0051】また、第1磁性部材4を金属磁性薄体の積
層体とする場合、本実施の形態においては、漏洩磁束を
低下させるために二層の金属磁性薄体に設けられるスリ
ットの位置が重ならないようにしているが、三層以上の
金属磁性薄体を積層させる構成であれば、その内の二層
のスリット位置が重なっても、他の一層が重ならなけれ
ばよい。
【0052】また、複数の金属磁性薄体を積層させる構
造において、磁束の漏洩を抑制するためには、シート状
コイル1の近くに配置された金属磁性薄体ほど設けられ
るスリット6の合計長さが長く、シート状コイル1から
離れて配置された金属磁性薄体ほど設けられるスリット
6の合計長さが短いことが望ましい。この構造の一例と
して、図9(a)(b)に示す磁性素子の場合は、外側
の金属磁性薄体にスリット6を全く設けない構造となっ
ている。外側の金属磁性薄体ほどスリット6の合計長さ
を短くする構造は、例えば、より外側に配置される金属
磁性薄体ほどスリット6の数を少なくする、あるいはス
リット6の面積を小さくする等により実現できる。
【0053】また、図13(a)(b)に示した磁性素
子のように、上下の第1磁性素子のうち片側のみを金属
磁性薄体とすることも可能である。しかしながら、磁性
素子を薄くするためには、上下の第1磁性部材を共に金
属磁性薄体とすることが好ましい。
【0054】また、以上に説明したような第1磁性部材
4に金属磁性薄体を用いた場合の各構造を同時に実行す
ることにより、その効果がより顕著となる。
【0055】本発明の磁性素子は、導体コイル2が第1
磁性部材4や第2磁性部材5よりも透磁率の小さい絶縁
性物質に埋め込まれているので、導体内部や近接する導
体間を横切る磁束が少なくなる。このため、導体コイル
が磁性体を含有する樹脂に埋没している従来の磁性素子
よりも、インダクタンス値が高くなるとともに、高周波
域における磁気損失が小さくなる。また、第2磁性部材
5は、シート状コイル1の中心部全体を占めても構わな
いが、シート状コイル1の周辺部の全体を占めるのは望
ましくない。周辺部全体に磁性部材を配する構造にする
と、導体コイル2からの端子の取り出しの障害となるか
らである。従って、導体コイル2の外周部にも第2磁性
部材5を設ける場合は、素子形状を矩形とし、導体コイ
ル2を円形、長円形、楕円形などにすれば、その4隅に
第2磁性部材5を配置することができるので有利であ
る。
【0056】以上のように、本発明の磁性素子は、少な
くともシート状コイル1と第1磁性部材4とを含
み、場合によっては、第2磁性部材5や接着層7も
用いられる。以下、〜の各構成について、詳しく説
明する。
【0057】シート状コイル1 シート状コイル1としては、丸線、平角線、箔状線など
を必要なターン数巻いた平面コイルや、メッキ、エッチ
ング、打ち抜きで作製した平面コイルを導体コイル2と
して用い、これを絶縁性物質、通常は熱硬化性樹脂等の
絶縁性樹脂で被覆して固め、シート状としたものであれ
ば、何でも利用可能である。ただし、低い抵抗値で、か
つ、高いインダクタンス値を得るためには、導体コイル
2の占積率を高くする必要があり、導体幅と導体間隔と
の比(導体幅/導体間隔)や、導体厚と導体間隔との比
(導体厚/導体間隔)を3以上とすることが好ましく、
より好ましくは5以上とすることである。このため、エ
ッチングや打ち抜きは望ましくなく、導線を巻く方法
(巻き線法)か、メッキ法で作製したコイルが良い。ま
た、絶縁性物質による導体コイル2の被覆は、当然なが
ら可能な限り薄い方が良い。
【0058】導体コイル2は、上下2段積み構造で、そ
れぞれの段で導体が平面スパイラル状に巻かれ、その最
内周部で上下2段のコイルが接合された構造とすること
が望ましい。上下のコイルの接合は、巻き線法にてコイ
ルを作製する場合はそのような構造となるように巻けば
よく、メッキ法でコイルを作製する場合にはスルーホー
ルメッキ等の方法を用いることができる。この構造で
は、占積率を高くすることができるとともに、導体コイ
ル端がコイルの最外周側にくるために、上下第1磁性部
材4に穴を設けることなく、容易に端子部4aを取り出
すことができるからである。なお、導体コイル2の材質
は低抵抗であることが望ましいため、通常、銅を用いる
ことが好ましい。また、導体コイル2の外形状は、平面
スパイラルコイルによく用いられる角形よりも、円形、
楕円形、長円形とする方が望ましい。これは、同じター
ン数では最も導体抵抗を下げることができると共に、導
体コイル2の周囲に第2磁性部材5を配置するスペース
を確保することが容易だからである。なお、導体コイル
2はスパイラルコイルに限定されず、他の平面コイル、
例えばつづら折れ状コイル(meander coil)等でも構わ
ない。つづら折れ状コイルを用いる場合は、導体を交差
させることなく端子を外縁部へ持ってくることができる
ので、2段積みにする必要はない。しかしながら、特性
上はつづら折れ状コイルよりもスパイラルコイルの方が
優れており、特に第2磁性部材5を用いる場合にはスパ
イラルコイルが好ましい。
【0059】絶縁性物質としては、第1磁性部材4およ
び第2磁性部材5よりも透磁率が小さいことが必要であ
るため、非磁性物質等を用いることが好ましい。絶縁性
物質の具体例としては、エポキシ樹脂、シリコン樹脂、
ポリイミド樹脂等が挙げられる。
【0060】なお、平面形の導体コイル2が形成された
段階では、導体の存在しない中心部や周辺部が絶縁性物
質で充填され、第2磁性部材5を配置する穴部が存在し
ない場合がある。この場合には、ドリルやレーザ、パン
チャー等で、第2磁性部材5を配置する部分の絶縁性物
質を除去すれば良い。
【0061】第1磁性部材4 第1磁性部材4に用いられる磁性体材料としては、透磁
率が高く、飽和磁束密度が大きく、かつ、高周波特性に
優れたものが望まれる。実際に使用可能な材料として
は、フェライト焼結体、ダストコア、および金属磁性薄
体の三種類が上げられる。フェライト焼結体としては、
MnZnフェライトやNiZnフェライト等が用いられ
る。ダストコアとしては、Fe粉末、またはFe−Si
−Al系合金粉末やFe−Ni系合金粉末等の金属磁性
体粉末を、シリコーン樹脂やガラスなどの結着剤で固
め、充填率90%程度に緻密化したものが用いられる。
金属磁性薄体としては、Fe−Si薄体、アモルファス
薄体、または微結晶析出薄体等が用いられる。
【0062】このうち、フェライト焼結体やダストコア
は、超薄型で大面積とした場合それ自体は脆性破壊しや
すいが、シート状コイル1と一体化されることで破壊さ
れにくくなる。フェライト焼結体を用いると磁気損失が
小さい磁性素子が得られるが、素子の厚さの点では限界
がある。ダストコアを用いると直流重畳特性の優れた磁
性素子が得られるが、インダクタンス値はあまり大きく
ならず、素子の厚さの点ではフェライト焼結体の場合と
同様に限界がある。金属磁性薄体は、脆性破壊しにくい
上に、フェライト焼結体よりも飽和磁束密度が高いの
で、薄型化する場合に有利である。組成としては、F
e,Co,Niを主成分とするものであれば何でも用い
ることが可能である。また、透磁率が高く、飽和磁束密
度が大きく、かつ、高周波特性に優れたものが望まれる
ので、超急冷法により作製されたアモルファス薄体か、
これを熱処理して得られる微結晶析出薄体か、あるい
は、スパッタリング法やメッキ法で作製された金属磁性
薄膜体が考えられる。これらの内、微結晶析出薄体は機
械強度に問題があり、また、スパッタリング法により形
成された薄体はコストに問題があるので、超急冷法また
はメッキ法により作製された金属磁性薄体がより望まし
い。これらの金属磁性薄体は、磁気損失を低く抑えるた
めに、その厚さを30μm程度以下とすることが好まし
い。また、超急冷法によりアモルファス薄体を形成する
場合は、厚みを一定以下に形成することが困難であるの
で、この場合は、硝酸等を用いた水溶液にアモルファス
薄体を浸漬してエッチングを行い、必要な厚さまで薄く
する。このようなエッチング処理を行うと、所望の薄さ
の金属磁性薄体を得られるので高周波の渦電流損失を低
減できるとともに、表面の変質層が除去されるのでより
透磁率が高くなり、大きいインダクタンス値を得ること
ができる。また、薄すぎる金属磁性薄体をそのまま用い
ると直流重畳特性が良くないので、金属磁性薄体が薄す
ぎる場合は、金属磁性薄体を絶縁層を介して複数層積層
した積層体を用いることもできる。この時、絶縁層の厚
さは可能な限り薄いことが望ましく、少なくとも金属磁
性薄体の約2倍以下の厚みとすることが望ましい。
【0063】第1磁性部材4の形状は四角形に限定され
ず、導体コイル2を覆うことができるのであれば円形、
楕円形、長円形等であっても構わない。ただし、第1磁
性部材4を四角形状にすると、円形、楕円形、長円形等
の導体コイル2を用いた場合にその四隅に第2磁性部材
5を配置するスペースを設けやすいので、好ましい。
【0064】金属磁性薄体にスリット6を形成する方法
としては、予め切断した複数の金属磁性薄体を用いても
よいが、取り扱いにくくなるので、マスクを用いたエッ
チング加工を行うことが好ましい。スパッタリング法や
メッキ法で金属磁性薄膜を作製する場合には、所定の位
置にスリットが形成されるようなマスクを用いて製膜す
ればよい。なお、上下の2枚の金属磁性薄体それぞれに
スリット6を形成する場合、スリット6の形状は上下で
同じである必要はない。
【0065】また、第1の磁性部材4として、例えば、
片側をフェライト焼結体とし、もう片側をアモルファス
薄体とするといったように、異なる材料を組み合わせて
用いてもかまわない。また、図14(a)(b)に示す
ように、その一部を、磁性体含有樹脂にて形成してもよ
い。ただし、上下の第1磁性部材4の全てを磁性体含有
樹脂にて形成すると第1磁性部材4の透磁率が低くなっ
てしまうので、インダクタンス値がかなり低下する。そ
のため、磁性体含有樹脂の占める面積は、上下第1磁性
部材4の全体の面積の1/2程度以下とすることが好ま
しい。なお、磁性体含有樹脂に用いられる磁性粉末と樹
脂の種類は、次に示す第2磁性部材5に準じる。
【0066】第1磁性部材4がNiZnフェライトのよ
うな絶縁性物質であれば、導体コイル2の上下面が絶縁
性被覆されておらず、導体コイル2が露出していてもか
まわない。この場合、導体コイル2の耐環境性を上げる
ために、上下面には防錆剤等を塗布しておくことが望ま
しい。
【0067】第2磁性部材5 第2磁性部材5は、少なくとも磁性体粉末と樹脂との混
合物よりなる。磁性体粉末としては、フェライト粉末
か、Fe、Ni、またはCoを主成分とする金属磁性体
粉末を用いることができる。具体的には、MnZnフェ
ライト粉末、NiZnフェライト粉末、MgZnフェラ
イト粉末、Fe粉末、Fe−Si系合金粉末、Fe−S
i−Al系合金粉末、Fe−Ni系合金粉末、Fe−C
o系合金粉末、Fe−Mo−Ni系合金粉末、Fe−C
r−Si系合金粉末、Fe−Si−B系合金粉末等、ソ
フト磁性のある粉末であれば、どのようなものでも原則
的には使用可能である。しかしながら、飽和磁束密度の
低いフェライト系粉末を用いると、樹脂によって希釈さ
れるためにさらに飽和磁束密度が低くなり、磁性素子の
直流重畳特性が劣化する。このため、飽和磁束密度の高
い金属磁性粉末を用いることが望ましい。磁性体粉末の
粒子径としては、100μm以下、より望ましくは30
μm以下がよい。金属磁性体粉末を用いる場合、粒子径
が大きすぎると高周波での渦電流損失が大きくなるため
である。また、磁性体粉末の粒径が小さくなりすぎると
必要となる有機樹脂の量が多くなり、第2磁性部材5の
透磁率が極端に低下してしまうために、磁性体粉末の粒
子径としては、0.5μm以上、望ましくは2μm以上
がよい。
【0068】樹脂としては、結着性のあるものであれば
なんでも使用可能であるが、やはり結着後の強度や使用
時の耐熱性の面から、熱硬化性樹脂が望ましい。また、
磁性体粉体との分散性を改善するために、分散剤等を微
量添加してもよい。また、適宜、少量の可塑剤等を添加
してもよい。また、硬化前のペーストの性状を調整した
り、金属磁性体粉末を用いた場合に絶縁性を向上させる
ための、第3の成分を添加してもかまわない。このよう
な第3の成分としては、シラン系カップリング材やチタ
ン系カップリング材、チタンアルコキシド、水ガラス
等、また、窒化硼素、タルク、雲母、硫酸バリウム、テ
トラフルオロエチレン等の粉末が挙げられる。
【0069】なお、本実施の形態では、第2磁性部材5
の形状を円柱状としたが、これに限定されるものではな
く、特に第2磁性部材の面積を大きく取りたい場合に
は、導体コイル2の外周部分で、三角柱その他の適した
形状とすればよい。
【0070】接着層7 接着層7としては、結着性のあるものであれば何でも使
用可能であるが、結着後の強度や、使用時の耐熱性の面
から、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、シリコーン樹
脂、ポリイミド樹脂等の、熱硬化性樹脂が望ましい。接
着層7の厚さは、薄いほうが好ましいが、あまり薄くす
るのは困難なので、通常数μm〜50μmとすることが
適当である。また、数μm厚の絶縁性フィルムの両面
に、やはり数〜十数μm程度の接着剤を塗布したシート
を用いれば、導体コイル2と第1磁性部材4、あるいは
上下の第1磁性部材4同士の絶縁が得られやすいので、
好ましい。
【0071】(実施の形態2)次に、本発明の磁性素子
の製造方法についての実施の形態を説明する。
【0072】本発明では、予めシート状に成形したコイ
ルを用いることによって、その製造効率を飛躍的に高め
ることが可能である。例えば図4(a)(b)に示す磁
性素子の場合、予めシート状に成形したコイルを用意し
なくても、上下の第1磁性部材4の間隔のほぼ1/2の
直径の導線を用意し、これを中心部(突起部4a)に巻
きつけてコイルとし、その外側を未硬化の樹脂ペースト
で埋めて、その後樹脂ペーストを硬化させても、ほぼ同
様の構造の磁性素子が作製でき、特性的にもほぼ同様の
ものが得られることが期待できる。しかしながら、この
工法では基本的に巻き線技術が必要であるため磁性素子
を一個ずつ作製しなければならず、また、2枚の第1磁
性部材4のわずかな間隙を樹脂で埋めることが難しい。
従って、この方法では生産効率が上がらずコスト高とな
る。
【0073】これに対して、本発明の磁性素子の製造方
法では、予めシート状に形成されたシート状コイル1を
準備しておき、次に、このシート状コイル1上に第1磁
性部材4を配置する。シート状コイル1に第1磁性部材
4が直接接触する構造の場合は、シート状コイル1上に
スパッタリングやメッキ等の方法で第1磁性部材4を直
接形成する。また、第2磁性部材5を設ける構造の場合
は、シート状コイル1の中心部および周辺部の少なくと
も一方に未硬化の第2磁性部材5を配置し、次にその上
下に別途作製された第1磁性部材4を配置し、その後第
2磁性部材5を硬化させて全体を一体化させる。接着層
7を設ける構造の場合は、シート状コイル1上に未硬化
の接着層7と別途作製された第1磁性部材4とを積層し
た後、接着層7を硬化させて全体を一体化する。接着層
7を第1磁性部材4の外側から被せる構造の場合は、シ
ート状コイル1上に第1磁性部材4を配置し、次に未硬
化の接着層7を積層した後、接着層7を硬化させて全体
を一体化する。これらの方法では巻き線技術は必ずしも
必要ではなく、2枚の第1磁性部材4のわずかな間隙を
第2磁性部材5で埋める作業も必要がないので、容易に
作製できる。
【0074】また、図15(a)〜図15(f)に示す
ような方法で製造することも可能である。この方法で
は、まず、シート状コイル1を複数形成した大判シート
21を用意しておく(図15(a)参照)。次に、コイ
ル中心部22とコイル周辺部の所定領域(以下、コイル
周辺所定領域とする。)23との絶縁性物質をレーザ加
工機等により除去する(図15(b)参照)。次に、絶
縁性物質を除去した部分(中心部22、コイル周辺所定
領域23)に未硬化の第2磁性部材5を配置する(図1
5(c)参照)。次に、第2磁性部材5が配置されたシ
ート状コイル1それぞれの上下に個片に分かれた第1磁
性部材4を配置する(図15(d)参照)。その後、第
2磁性部材5を硬化させて第1磁性部材4とシート状コ
イル1とを接着する(図15(e)参照)。その後、大
判シート21を切断して個々の磁性素子とする(図15
(f)参照)。なお、図15(a)〜図15(f)にお
いては図3(a)(b)に示す構造の磁性素子を大判シ
ートを用いて作製する方法を示したが、他の構造の磁性
素子の作製にもこの大判シートを用いる方法が適用でき
る。また、予め個片に分かれた第1磁性部材4を用いて
いるが、第1磁性部材4を大面積のまま配置して後で大
判シート21と同時に切断することも当然可能である。
【0075】このような大判シートを用いて後で個片に
切断する方法は、スパッタリングやメッキ等の方法で第
1磁性部材4を直接形成する方法においても用いること
ができる。
【0076】従来の方法では、巻き線法にてコイルを作
製する必要があったため、基本的に磁性素子を1個ずつ
作製しなければならなかった。このため、量産性に乏し
く、高コストとなるという問題があった。これに対し、
上記した本発明の方法によれば、大判シートを用いるこ
とにより多数の磁性素子を一括製造することができるの
で、安価に大量に製造してコストを抑えることができ
る。
【0077】第2磁性部材5を配置する方法としては、
予め第2磁性部材5をシート状に成形しておき、シート
状コイル1のコイル中心部22とコイル周辺部所定領域
23とにシート状の第2磁性部材5を配置してもよい
し、第2磁性部材5をペースト状としておき、必要箇所
にディスペンサや印刷等で塗布・充填してもよい。な
お、第2磁性部材5を配置する領域の絶縁性物質は、予
めパンチャー、ドリル、レーザ等で穴部を設けておく。
【0078】接着層7が設けられる磁性素子を作製する
場合、図8(b)に示すような第2磁性部材5と第1磁
性部材4とが直接接触する構造とするためには、接着層
7を予めシート状に成形しておき、これに穴部を設け、
さらにこの穴部に第2磁性部材5を配置すればよい。こ
の場合、シート状コイル1と接着層7とに別々に穴部を
設けてそれぞれに第2磁性部材5を配置し、その後両者
を積層してもよいが、予めシート状コイル1に接着層7
を積層しておき、一度に穴部を設けて第2磁性部材5を
配置することもできる。なお、第1磁性部材4を配置す
る工程と、シート状コイル1の穴部に第2磁性部材5を
配置する工程は、前後が逆になっても何ら問題はない。
すなわち、まずシート状コイル1の穴部に第2磁性部材
5を充填した後、上下に第1磁性部材4を配置してもよ
いし、まずシート状コイル1の片面に第1磁性部材4を
配置し、次にシート状コイル1の穴部に第2磁性部材5
を充填し、その後、もう1枚の第1磁性部材4をシート
状コイル1のもう片側に配置してもよい。本発明の方法
によれば、このような簡単な方法で第2磁性部材5を上
下の第1磁性部材4と接触するように配置することがで
きる。これは、本発明の磁性素子において用いられるコ
イルが、導体コイル2が絶縁性樹脂等で形成された絶縁
部3に埋設されて予めシート状に成形されているシート
状コイル1であるために実現できる特徴である。
【0079】また、大判シート21を用いて磁性素子を
多数一括作製する場合、導体コイル2の端子部2aを導
体コイル2と同一平面状に同時に形成しておけば、特に
端子形成を行う必要がなく、効率的である。
【0080】また、第1磁性部材4として、フェライト
焼結体を用いる場合、薄いフェライト焼結体を大判のま
ま扱うと、破損するおそれがある。そこで、フェライト
焼結体を予め個々のインダクタに対応した個片に切断し
ておけば良い。フェライト焼結体の個片は、型、磁石、
粘着テープ等で整列させるか、予めシート状に成型した
接着シートと積層しておけばよい。一方、第1磁性部材
4として、金属磁性薄体を用いる場合は、個片に分けて
も良いが、帯状あるいは面状の大面積のまま用いて、後
から切断するのが効率的である。この場合、後の切断作
業を容易にするために、スリット6を形成するのと同じ
ようにエッチング等でパターンを設けておくことが好ま
しい。第1磁性部材4とシート状コイル1とを第2磁性
部材5や接着層7で接着させる場合、各部材を積層させ
た積層体に対し積層方向に軽く圧力をかけながら加熱
し、第2磁性部材5や接着層7を硬化させて、全体を一
体化させる。この後、ダイシングソー等により、大判シ
ート21を切断して個々の磁性素子が得られる。
【0081】また、本発明の磁性素子は、シート状コイ
ル1の導体コイル2を配線基板の配線層の一部に形成し
ておき、このコイルを有する基板層の必要な位置に、パ
ンチャーやレーザで穿孔し、この部分に未硬化の第2磁
性部材5を充填し、第1磁性部材4を配し、未硬化の第
2磁性部材5を硬化させれば、容易に配線基板の内部ま
たは表面に本発明の磁性素子を形成することも可能であ
る。
【0082】以上のように、本発明の磁性素子の製造
は、2枚の磁性体薄板(第1磁性部材4)を、シート状
コイル1を挟んで接着するだけの簡単な方法ですみ、一
括大量作製も可能で、低コストとなる。
【0083】(実施の形態3)次に、本発明の磁性素子
を備えた電源モジュールについて説明する。
【0084】図16に、本発明の磁性素子を備えた電源
モジュールの構成が示されている。なお、ここで用いた
磁性素子は、第1磁性部材4にスリット6が設けられた
金属磁性薄体を用い、第2磁性部材5と接着層7とを共
に備えた構造の薄型インダクタ素子である。また、導体
コイル2の端子部2aは、片側に揃えて引き出す形態と
している。
【0085】この電源モジュールは、配線基板11上に
薄型インダクタ素子が配置され、配線基板11と薄型イ
ンダクタ素子の端子部2bとが接続ビア12にて接続さ
れている。接続ビア12は樹脂層13の中央部に設けら
れている。さらに、配線基板11の薄型インダクタ素子
配置面と反対側の面には、半導体チップ14や制御用I
Cやチップコンデンサ等のチップ部品15等が実装され
ている。また、半導体チップ14等が実装されていない
面は、薄型インダクタ素子の外面の絶縁性も付与するた
めに接着層7にて被覆されている。本電源モジュールは
本発明による超薄型のインダクタ素子を用いているた
め、高さ方向に他の部品(半導体チップ14やチップ部
品15等)を実装したにもかかわらず低背であり、か
つ、インダクタ素子配置面内には他の部品がないので、
面積が小さい。また、インダクタ素子の2ヶ所の端子取
り出し位置はコイルパターンにより周囲の任意の位置に
設定できるので、本発明の電源モジュールは、図16に
示された構成に限られず設計自由度も大きいという効果
も得られる。
【0086】
【実施例】以下に、本発明の磁性素子およびその製造方
法について、具体的に説明する。なお、以下に示す実施
例1〜27では、熱硬化性樹脂としてエポキシ樹脂を用
いた場合のみを示したが、前述したように、結着性さえ
あれば、その他の樹脂でもほぼ同じ結果が得られるもの
である。また、金属磁性薄体については、低コストで容
易に入手可能な超急冷アモルファス薄体を用いた場合の
みを示したが、前述したようにその他各種の材料が利用
可能であり、これに限定されるものではない。
【0087】(実施例1)第1磁性部材4として、4m
m角で、厚さ20μmのFe系アモルファス薄体(ME
TGLAS−26055C(米国ハネウェル社製))を
2枚用意した。また、第2磁性部材5として、平均粒径
約10μmの96.5wt%Fe−3.5wt%Si金
属磁性粉末に、エポキシ系熱硬化性樹脂(ビスフェノー
ルAを主剤としたエポキシ樹脂)14重量%を混合して
ペースト状とした後、ドクターブレード法でシート状に
成形し、80℃で1h加熱乾燥した、約310μm厚の
コンポジットシートを用意した。また、シート状コイル
1には、メッキ法により作製された外径4.0mmφ、
内径0.5mmφ、厚さ300μm、導体径約100μ
m、直流抵抗170mΩの絶縁被覆付き2段積み18タ
ーンの導体コイルを絶縁性物質に埋設してシート状に成
形したシート状コイルを用いた。このシート状コイル
は、第2磁性部材5として用いるコンポジットシートよ
りも透磁率の小さい絶縁性物質にて導体コイルを被覆し
たものであり、本実施例においてはこの絶縁性物質とし
てエポキシ樹脂(ビスフェノールAを主剤としたエポキ
シ樹脂)を用いた。また、シート状コイルの中心部と周
辺部4ヶ所に、第2磁性部材5を配置するための穴部を
設けておいた。
【0088】まず、一方のアモルファス薄体の上に、シ
ート状コイルを直接接触するように配置した。次に、シ
ート状コイルに設けた穴部と同形状に繰り抜いたコンポ
ジットシートを配置し、さらにもう一枚のアモルファス
薄体を載せた。このような状態で積層されたものを、重
りにより積層方向に軽く圧力をかけながら150℃に加
熱し、コンポジットシートを硬化させて、アモルファス
薄体、シート状コイル、コンポジットを一体化し、図3
(a)(b)に示す構造の、サイズ4mm角、厚さ35
0μmの超薄型インダクタ素子を作製した。
【0089】得られたインダクタ素子の特性を測定した
ところ、インダクタンス値は、1MHz、直流重畳電流
0.5Aで1.7μHであった。このように、このインダ
クタ素子は、超薄型で、コイルの直流抵抗も170mΩ
と低いにもかかわらず、インダクタンス値が大きく、か
つ直流重畳特性も良好であった。
【0090】(実施例2)第1磁性部材4として、10
mm角で、厚さ0.5mmのMnZnフェライト焼結体
を2枚用意した。その内1枚は、中央部に、径4.0m
m、高さ0.6mmの突起を有する構造とした。また、
実施例1と同様の方法で、第2磁性部材5として約31
0μm厚の未硬化コンポジットシートを用意した。ま
た、シート状コイル1には、メッキ法により、外径7.
5mmφ、内径4.5mmφ、厚さ600μm、導体径
約250μm、直流抵抗100mΩの絶縁被覆付き2段
積み14ターンの導体コイルを絶縁性物質に埋設してシ
ート状に成形したシート状コイルを用いた。用いた絶縁
性物質は実施例1と同じであった。また、シート状コイ
ルの中心部にはフェライト焼結体に設けた突起と嵌合す
るような穴部を設けておき、周辺部4ヶ所には第2磁性
部材5を配置するための穴部を設けておいた。
【0091】まず、中央部に突起を有するフェライト焼
結体の上に、その中心部に設けた穴部が勘合するように
シート状コイルを配置した。次に、シート状コイルの周
辺部に設けた穴部と同形状に繰り抜いたコンポジットシ
ートを配置し、さらにもう一枚のフェライト焼結体を載
せた。このように積層されたものを、重りにより積層方
向に軽く圧力をかけながら150℃に加熱し、コンポジ
ットシートを硬化させて、フェライト焼結体、シート状
コイル、コンポジットを一体化し、図4(a)(b)に
示した構造の、サイズ10mm角、厚さ1.6mmの薄
型の磁性素子を作製した。
【0092】得られたインダクタ素子の特性を測定した
ところ、インダクタンス値は、1MHz、直流重畳電流
1.0Aで45μHであった。このように、本実施例の
薄型インダクタ素子は、超薄型で、コイルの直流抵抗が
100mΩと低いにもかかわらず、インダクタンス値が
大きく、かつ直流重畳特性も良好であった。
【0093】(実施例3)第1磁性体4として、厚さ
0.2mmのNiZnフェライト焼結体を用意した。ま
た、第2磁性部材5として、平均粒径約5μmのカルボ
ニルFe粉末に、エポキシ系熱硬化性樹脂(ビスフェノ
ールAを主剤としたエポキシ樹脂)16重量%を混合し
てペースト状としたものを用意した。また、シート状コ
イル1には、メッキ法により作製された外径2.8mm
φ、内径0.8mmφ、厚さ250μm、導体径約10
0μm、直流抵抗350mΩの2段積み16ターンの導
体コイルを絶縁性物質に埋設してシート状に成形したシ
ート状コイルを用いた。用いた絶縁性物質は実施例1と
同じであった。本実施例では、このようなシート状コイ
ルが複数形成された大判シートを用意した。導体コイル
は、その端子部を同じ平面内に形成する構造とし、外形
は3mm×4mmに入るサイズとした。コイルの絶縁皮
膜は、コイルの上下面と端子部のみ除去した構造とし
た。この大判シートに対し、各シート状コイルの中心部
に1個と周辺部に4個の穴部をレーザ加工機により形成
した。
【0094】まず、3mm×4mmサイズの複数のNi
Znフェライト焼結体を型、もしくは磁石等により整列
させ、その上に、複数のシート状コイルを有する大判シ
ートを直接接触するように配置した。この時、個々のシ
ート状コイルとその端子部が、フェライト焼結体のサイ
ズ内に収まるように位置合せした。次に、ペースト状の
第2磁性部材を、メタル版を用いた印刷法により、大判
シートに設けた穴部に塗布充填し、その上より、整列さ
せた3mm×3mmサイズの複数のフェライト焼結体
を、コイル部を覆い、かつ、端子部が露出するように配
置した。このように積層されたものを、重りにより積層
方向に軽く圧力をかけながら150℃に加熱し、ペース
トを硬化させて、フェライト焼結体、シート状コイル、
コンポジットを一体化した。次に、ダイシングソーによ
り、大判シートを切断して個々の薄型インダクタンス素
子とした。この、図15(a)〜図15(f)に示した
工法と類似の工法により、図3(a)(b)に示した磁
性素子と類似の構造の、サイズ3mm×4mmで、厚さ
1.0mmの薄型の磁性素子を、一括して複数個作製す
ることができた。このように作製されたインダクタンス
素子は、インダクタンス値が、1MHz、直流重畳電流
0.2Aで4μHであった。このように、本実施例のイ
ンダクタ素子は、超薄型で、コイルの直流抵抗が350
mΩと低いにもかかわらず、インダクタンス値が大きか
った。
【0095】(実施例4〜9、比較例1)第1磁性部材
4として、4.5mm角で、厚さ20μmのFe系アモ
ルファス薄体(METGLAS−26055C(米国ハ
ネウェル社製))と200μm厚のNiZnフェライト
焼結体とをそれぞれ用意した。また、第2磁性部材5と
して、平均粒径約16μmの96.5wt%Fe−4w
t%Si−4wt%Cr金属磁性粉末に、液状エポキシ
樹脂(ビスフェノールAを主剤としたエポキシ樹脂)1
8重量%を混合してペースト状としたものを用意した。
また、接着層7として、平均粒径3μmのアルミナ粉末
に、粉末状エポキシ樹脂(ビスフェノールAを主剤とし
たエポキシ樹脂)17重量%と液状エポキシ樹脂(ビス
フェノールAを主剤としたエポキシ樹脂)8重量%と溶
媒とを混合してペースト状とし、ドクターブレード法で
シート状に成形し、80℃で1h加熱乾燥して、柔軟性
のある約30μm厚の接着層用シートを用意した。ま
た、シート状コイル1には、メッキ法を用いて作製され
た外径4.0mmφ、内径0.5mmφ、厚さ300μ
m、導体径約100μm、直流抵抗250mΩの絶縁被
覆付き2段積み18ターンの導体コイルを絶縁性物質に
埋設してシート状に成形したシート状コイルを用いた。
以上の部材を用いて、以下に示す実施例4〜9および比
較例1の磁性素子を作製した。
【0096】(1)実施例4 シート状コイルの上下面に接着層用シートを積層し、さ
らに、アモルファス薄体を積層した。この積層物に対し
て重りを用いて積層方向に軽く圧力をかけながら150
℃に加熱して、接着層用シートを硬化させた。このよう
にして、断面構造が図5(b)に示した構造と類似の薄
型の磁性素子を作製した。
【0097】(2)実施例5 シート状コイルの中央部と周辺部4ヶ所に穴部を形成
し、その穴部に第2磁性部材5として形成したペースト
を充填した。その後、実施例4の場合と同様に、シート
状コイルの上下面に接着層用シートとアモルファスを積
層し、加圧・加熱して第2磁性部材と接着層用シートを
硬化させた。このようにして、第2磁性部材5と接着層
7とが設けられており、第1磁性部材4と第2磁性部材
5との間に接着層7が存在する構造の薄型の磁性素子を
作製した。
【0098】(3)実施例6 シート状コイルの上下に接着層用シートを積層し、シー
ト状コイルの中央部と周辺部4ヶ所に接着層用シートご
と穴を開け、この部分に第2磁性部材5のペーストを充
填した。その後、接着層用シートが積層されたシート状
コイルの上下面にアモルファス薄体を積層し、加圧・加
熱して第2磁性部材と接着層用シートを硬化させた。こ
のようにして、断面構造が図11(b)に示した構造と
類似の薄型の磁性素子を作製した。
【0099】(4)実施例7 アモルファス薄体の代わりにフェライト焼結体を用いる
以外は実施例4の磁性素子と同様の材料および方法を用
いて、同じ構造の磁性素子を作製した。サイズは4.5
mm角であった。
【0100】(5)実施例8 アモルファス薄体の代わりにフェライト焼結体を用いる
以外は実施例5の磁性素子と同様の材料および方法を用
いて、同じ構造の磁性素子を作製した。サイズは4.5
mm角であった。
【0101】(6)実施例9 アモルファス薄体の代わりにフェライト焼結体を用いる
以外は実施例6の磁性素子と同様の材料および方法を用
いて、同じ構造の磁性素子を作製した。サイズは4.5
mm角であった。
【0102】(7)比較例1 シート状コイルのみを比較例1の磁性素子とした。
【0103】以上の実施例4〜9および比較例1の磁性
素子のインダクタンス値を、周波数100kHzで直流
重畳電流が0の場合と、周波数1MHzで直流重畳電流
が0.5Aの場合とについて測定し、さらにその低下率
も求めた。また、各磁性素子の厚みについてもそれぞれ
測定した。測定結果を表1に示す。
【0104】
【表1】
【0105】表1より、実施例4〜6の磁性素子は、比
較例1のコイルのみの場合に比べて厚さの増加は少なく
非常に小型・薄型だが、インダクタンス値が大きく、直
流重畳特性も比較的良好である。磁性素子の3つのタイ
プ(実施例4,7、実施例5,8、実施例6,
9)を比較すると、タイプ,,の順でインダクタ
ンス値が増大する。また、直流重畳特性はタイプ,
,の順で良好である。アモルファス薄体とフェライ
ト焼結体とを比較すると、アモルファス薄体の方が薄型
にできるが、インダクタンス値と直流重畳特性はフェラ
イト焼結体の方が良好である。従って、用途に応じて、
構造と材料を選択すればよい。 (実施例10〜27、比較例2)第1磁性部材4とし
て、3.0mm角で、厚さ20μmおよび30μmの2
種類の超急冷Co−Fe−Ni−B系アモルファス薄体
(METGLAS−2714A(米国ハネウェル社
製))を用意した。また、これらのアモルファス薄体
を、硝酸を用いたエッチングにより10μm厚まで薄く
したものも用意した。さらに、これらのアモルファス薄
体に、マスクを用いたエッチングにより、100μm幅
のスリットを各種形成した。さらに、3.0mm角で、
200μm厚のNiZnフェライト焼結体も用意した。
第2磁性部材5として、平均粒径約20μmの95wt
%Fe−5wt%Si金属磁性粉末に、液状エポキシ樹
脂(ビスフェノールAを主剤としたエポキシ樹脂)16
重量%を混合してペースト状としたものを用意した。接
着層7として、5μm厚のポリイミド樹脂テープの両面
にエポキシ樹脂(ビスフェノールAを主剤としたエポキ
シ樹脂)を塗布した接着層用シートを用意した。シート
状コイル1としては、メッキ法により外径2.8mm
φ、内径0.5mmφ、導体径約80μm、直流抵抗3
00mΩの2段積み19.5ターンの導体コイルを用意
し、この導体コイルを熱硬化性樹脂((ビスフェノール
Aを主剤としたエポキシ樹脂)で固めてシート状に成形
したシート状コイルを作製した。このシート状コイル
は、端子部を除く外径が3mm角で、厚さ240μmで
あった。
【0106】シート状コイルの上下に接着層用シートを
積層し、シート状コイルの中央部と周辺部4ヶ所に接着
層用シートごと穴を開け、この部分に第2磁性部材5形
成用の未硬化のペーストを充填した。その後、接着用シ
ートを積層したシート状コイルの上下面に第1磁性部材
4として用いる部材をさらに積層し、この積層物に重り
を用いて積層方向に軽く圧力をかけながら160℃に加
熱し、接着層用シートとペーストを硬化させて、断面構
造が図11(b)に示した磁性素子と同様の構造である
薄型の磁性素子を作製した。第1磁性部材4に金属磁性
薄体の積層体を用いる場合は、さらにこの磁性素子の上
下面に接着層用シートを積層し、その上下面に第1磁性
部材4として用いる部材を積層し、この積層物に重りに
より積層方向に軽く圧力をかけながら160℃に加熱
し、接着層用シートを硬化させて、断面構造が図8
(b)に示した磁性素子と同様の構造である薄型の磁性
素子を作製した。以上のような部材を用いて、以下に示
す実施例10〜27および比較例2の磁性素子を作製し
た。なお、比較例2としては、シート状コイルのみを用
いた磁性素子とした。表2に、実施例10〜27および
比較例1の磁性素子の構造、さらにこれらの磁性素子の
特性を周波数100kHz直流重畳電流0A、周波数1
MHz直流重畳電流0A、周波数1MHz直流重畳電流
0.5Aの場合について測定した場合の結果を示した。
【0107】
【表2】
【0108】(表2)において、「×」は図5(a)に
示した磁性素子と同じスリットパターンであり、「−」
は図6(a)に示す磁性素子の縦スリットがなく、横ス
リットのみのものであり、「*」は図5(a)に示した
スリットパターンと図6(a)に示したスリットパター
ンとを組み合わせたものである。また、Lとはインダク
タンス値であり、Rとは交流抵抗のことである。また、
「薄体」とはアモルファス薄体のことであり、「フェラ
イト」とはフェライト焼結体のことである。
【0109】比較例2はシート状コイルのみの場合であ
り、L値が極めて低い。このシート状コイルの上下面に
接着層7を介してスリットのないアモルファス薄体を積
層すると、ある程度L値が向上した(実施例10)。第
2磁性部材5をコイルの中心部に配置すると、L値はさ
らに向上した(実施例11)。しかしながら、これらの
1MHzにおける交流抵抗は大きな値となった。この実
施例10,11に対して、アモルファス薄体にスリット
を入れて分割した、図5(a),図6(a)の磁性素子
と類似の構造の実施例12,13の磁性素子では、L値
をあまり低下させずに、1MHz時の交流抵抗を低下さ
せることができた。しかしながらこれらは、いずれも1
MHz,0A時のL値に対して1MHz,0.5Aにお
けるL値は低く、直流重畳特性が充分に良好であるとは
いえなかった。
【0110】スリットは設けず、アモルファス薄体を絶
縁層を挟んで2層積層した実施例14の磁性素子では、
アモルファス薄体を単層で用いた実施例11に比べてL
値は増大し、直流重畳特性も改善されたが、1MHzに
おける交流抵抗は非常に大きな値となった。これに対し
て、スリットによりアモルファス薄体を分割した実施例
15〜17の磁性素子では、L値はやや低下したが、交
流抵抗は1/2以下に低下した。このように、アモルフ
ァス薄体の分割数を増やすほど交流抵抗は低下したが、
L値もやや低下した。
【0111】さらに、アモルファス薄体を3層積層した
実施例18では、直流重畳特性がさらに改善され、L値
と交流抵抗もやや改善された。ただし、試料の厚さは
0.4mmを超えた。エッチングにより厚さを10μm
まで落としたアモルファス薄体を2層、あるいは3層積
層した実施例19,20の磁性素子は、直流重畳特性は
実施例16,18の磁性素子より低下したが、L値は増
加し、交流抵抗はさらに改善され、1MHz,0Aにお
けるL値/交流抵抗は、アモルファス薄体を用いたもの
として最高となった。
【0112】実施例21,22,23の磁性素子は、そ
れぞれ図8,9,10と同様の構造である。内外2層の
アモルファス薄体のスリット位置が等しい実施例16の
磁性素子と比較して、スリット位置が内外層で互いに異
なる実施例21の磁性素子や、外側の層にスリットのな
い実施例22の磁性素子は、交流抵抗は同じ程度である
が、L値がやや大きい。内側の層が薄く、外側の層が厚
い実施例23の磁性素子は、L値が大きいわりに、交流
抵抗が低い。
【0113】実施例24の磁性素子は、実施例13の磁
性素子と同じ構成であるが、スリット部にも第2磁性部
材が充填されている。その結果、他の特性はほとんど変
らなかった。
【0114】実施例25の磁性素子も実施例13の磁性
素子と同じ構造であるが、400℃で1時間熱処理した
アモルファス薄体を用いた。熱処理することにより、L
値がやや向上し、交流抵抗はかなり低下して、良好な特
性となった。本願発明者等は、各種組成のアモルファス
薄体を用い、熱処理温度の効果を検討したが、いずれの
ものでも300℃未満の熱処理では特性がほとんど変化
せず、一方、結晶化温度を越える温度で熱処理すると、
特性は劣化した。したがって、熱処理温度は300℃以
上結晶化温度以下が望ましいことが確認された。
【0115】実施例26の磁性素子は、片側をフェライ
ト焼結体としたもので、L値、交流抵抗、直流重畳特性
とも優れるが、厚さは当然大きくなった。
【0116】実施例27の磁性素子は、フェライト焼結
体のみを用いた構造である。L値、交流抵抗、直流重畳
特性ともアモルファス薄体を用いたものより良好である
ことが確認できる。しかし、厚さは0.64mmと厚
い。
【0117】以上のように、アモルファス薄体を用いた
実施例10〜25の磁性素子は、フェライト焼結体を用
いる磁性素子と比べて薄いという特徴がある。特に、ス
リットを入れたアモルファス薄体、その積層体、第2磁
性部材を併用した実施例16〜25の磁性素子は、L値
は実施例27の磁性素子と大差なく、交流抵抗や直流重
畳特性もやや劣る程度でった。
【0118】次に、実施例11,13,16,17,2
1,22,24の磁性素子に1MHzの交流電流を流
し、磁性素子の上面に、測定用サーチコイルを置いて、
漏洩ノイズを5MHzにて測定した。その結果、ノイズ
はそれぞれ18.0dB,24.0dB,23.5d
B,24.5dB,17.8dB,17.6dB,2
0.4dBであった。この結果より、金属磁性薄体にス
リットを設けると磁気損失が低下して交流抵抗は下がる
が、ノイズレベルは増加し(実施例11,13)、これ
はスリット位置が一致する金属磁性薄体を積層させても
あまり変化せず(実施例16)、スリット数が増えるほ
ど増加する(実施例17)。ところが、スリット位置を
ずらした実施例21の磁性素子や、外側のアモルファス
薄体にスリットのない実施例22の磁性素子ではノイズ
が顕著に減少し、スリットを第2磁性部材で埋めた実施
例24の磁性素子もノイズがかなり低減し、良好な効果
が認められた。
【0119】次に、これらの磁性素子を基板に実装し、
錘をつけて1.8mの高さから落下試験を行ったとこ
ろ、フェライト焼結体を用いたものは、フェライト焼結
体に割れが生じてL値が低下するものがあったが、アモ
ルファス薄体のみを用いたものは、落下試験による変化
はほとんど認められなかった。
【0120】(実施例28)本発明の磁性素子を用い、
図16に示す構造の電源モジュールを作製した。すなわ
ち、磁性素子の端子部分に接続ビアを有する樹脂層を形
成し、これを配線基板に半田実装した。配線基板の反対
側には、制御用ICやチップコンデンサ等を実装して、
電源モジュールとした。本電源モジュールは、超薄型の
磁性素子を用いたために、高さ方向に他の部品を実装し
たにもかかわらず、低背であり、磁性素子の面内には、
他の部品がないので、面積が小さい。また、磁性素子の
2ヶ所の端子取り出し位置は、コイルパターンにより、
周囲の任意の位置に設定できるので、設計自由度が大き
い。
【0121】
【発明の効果】以上に説明したように、本発明の構造の
磁性素子は、小型、薄型で、磁束がコイル導体を横切る
ことが少ない構造となっているために、高周波でも磁気
損失が少なく、高いインダクタンスと低いコイル直流抵
抗、良好な直流重畳特性を示すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a)は、本発明の磁性素子に用いられるシ
ート状コイルの一実施形態を示す平面図であり、(b)
は、(a)のA−A矢視断面図である。
【図2】 (a)は、本発明の磁性素子の一形態を示す
平面図であり、(b)は、(a)のB−B矢視断面図で
ある。
【図3】 (a)は、本発明の磁性素子の別の一形態を
示す平面図であり、(b)は、(a)のC−C矢視断面
図である。
【図4】 (a)は、本発明の磁性素子のさらに別の一
形態を示す平面図であり、(b)は、(a)のD−D矢
視断面図である。
【図5】 (a)は、本発明の磁性素子のさらに別の一
形態を示す平面図であり、(b)は、(a)のE−E矢
視断面図である。
【図6】 (a)は、本発明の磁性素子のさらに別の一
形態を示す平面図であり、(b)は、(a)のF−F矢
視断面図である。
【図7】 (a)は、本発明の磁性素子のさらに別の一
形態を示す平面図であり、(b)は、(a)のG−G矢
視断面図である。
【図8】 (a)は、本発明の磁性素子のさらに別の一
形態を示す平面図であり、(b)は、(a)のH−H矢
視断面図である。
【図9】 (a)は、本発明の磁性素子のさらに別の一
形態を示す平面図であり、(b)は、(a)のI−I矢
視断面図である。
【図10】 (a)は、本発明の磁性素子のさらに別の
一形態を示す平面図であり、(b)は、(a)のJ−J
矢視断面図である。
【図11】 (a)は、本発明の磁性素子のさらに別の
一形態を示す平面図であり、(b)は、(a)のK−K
矢視断面図である。
【図12】 (a)は、本発明の磁性素子のさらに別の
一形態を示す平面図であり、(b)は、(a)のL−L
矢視断面図である。
【図13】 (a)は、本発明の磁性素子のさらに別の
一形態を示す平面図であり、(b)は、(a)のM−M
矢視断面図である。
【図14】 (a)は、本発明の磁性素子のさらに別の
一形態を示す断面図であり、(b)は、(a)の磁性素
子を下側の第1磁性部材側からみた平面図である。
【図15】 (a)〜(f)は、本発明の磁性素子の製
造方法の各工程を示す斜視図である。
【図16】 本発明の電源モジュールの一形態を示す断
面図である。
【符号の説明】
1 シート状コイル 2 導体コイル 2a 端子部 3 絶縁部 4 第1磁性部材 4a 突起部 5 第2磁性部材 6 スリット 7 接着層 8a 金属磁性薄体 8b フェライト焼結体の板9 磁性体含有樹脂部 11 配線基板 12 接続ビア 13 樹脂層 14 半導体チップ 15 チップ部品 21 大判シート 22 コイル中心部 23 コイル周辺所定領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 5E043 AA07 BA01 5E062 FF01

Claims (24)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 平面導体コイルおよび絶縁性物質を含む
    シート状コイルと、 前記シート状コイルの上下面のうち少なくとも一方に配
    置されたシート状の第1磁性部材とを備え、 前記絶縁性物質の透磁率が前記第1磁性部材の透磁率よ
    りも小さいことを特徴とする磁性素子。
  2. 【請求項2】 磁性体粉末を含有する樹脂からなり、前
    記絶縁性物質よりも透磁率が大きく、かつ、前記第1磁
    性部材よりも透磁率が小さい第2磁性部材をさらに備え
    ており、 前記第2磁性部材は、前記平面導体コイルの導体が存在
    しない領域であって、かつ、前記シート状コイルの中心
    部および周辺部から選ばれる領域の少なくとも1ヶ所に
    配置されている請求項1に記載の磁性素子。
  3. 【請求項3】 前記第1磁性部材が、フェライト焼結
    体、ダストコア、厚さ30μm以下の金属磁性薄体、お
    よび厚さ30μm以下の金属磁性薄体と絶縁層との積層
    体から選ばれる少なくとも一種である請求項1に記載の
    磁性素子。
  4. 【請求項4】 前記第1磁性部材の、前記シート状コイ
    ルの中心部または周辺部に対応する位置に、突起部が設
    けられていることを特徴とする請求項1に記載の磁性素
    子。
  5. 【請求項5】 前記第1磁性部材が、厚さ30μm以下
    の金属磁性薄体または厚さ30μm以下の金属磁性薄体
    と絶縁層との積層体であり、前記金属磁性薄体の少なく
    とも1ヶ所に、前記平面導体コイルの導体の巻回方向と
    交差する方向にスリットが設けられている請求項1に記
    載の磁性素子。
  6. 【請求項6】 前記第1磁性部材が、厚さ30μm以下
    の金属磁性薄体または厚さ30μm以下の金属磁性薄体
    と絶縁層との積層体であり、前記金属磁性薄体における
    前記第2磁性部材の直上直下の領域を避けた領域の少な
    くとも1ヶ所に、前記平面導体コイルの導体の巻回方向
    と交差する方向にスリットが設けられている請求項2に
    記載の磁性素子。
  7. 【請求項7】 前記スリットの少なくとも一部に、絶縁
    性を有する第3磁性部材が配置されている請求項5に記
    載の磁性素子。
  8. 【請求項8】 前記スリットの少なくとも一部に、絶縁
    性を有する第3磁性部材が配置されている請求項6に記
    載の磁性素子。
  9. 【請求項9】 前記スリットは、前記金属磁性薄体を完
    全に2つ以上に分割しないように設けられている請求項
    5または6に記載の磁性素子。
  10. 【請求項10】 前記第3磁性部材が、前記第2磁性部
    材と同じ材料からなる請求項8に記載の磁性素子。
  11. 【請求項11】 前記第1磁性部材が、厚さ30μm以
    下の金属磁性薄体を絶縁層を挟んで少なくとも2層以上
    積層した積層体で、少なくとも一層の金属磁性薄体の少
    なくとも1ヶ所以上にスリットが設けられており、スリ
    ットの位置が全層の金属磁性薄体で重ならない請求項1
    に記載の薄型磁性素子。
  12. 【請求項12】 前記第1磁性部材が、厚さ30μm以
    下の金属磁性薄体を絶縁層を挟んで少なくとも2層以上
    積層した積層体で、少なくとも一層の金属磁性薄体の少
    なくとも1ヶ所以上にスリットが設けられており、一層
    の金属磁性薄体におけるスリットの合計長さが、シート
    状コイル近くに配置された金属磁性薄体ほど長い請求項
    1に記載の磁性素子。
  13. 【請求項13】 前記金属磁性薄体がアモルファス薄体
    である請求項3に記載の磁性素子。
  14. 【請求項14】 前記アモルファス薄体は、300℃以
    上結晶化温度以下で熱処理されたものである請求項13
    に記載の磁性素子。
  15. 【請求項15】 前記磁性体粉末が金属磁性体粉末であ
    る請求項2に記載の磁性素子。
  16. 【請求項16】 前記平面導体コイルは、上下2段に分
    かれてそれぞれ平面形に巻回された2段コイルで、最内
    周部で上下2段のコイルが互いに接合されている請求項
    1に記載の磁性素子。
  17. 【請求項17】 前記平面導体コイルの外形状が、円
    形、楕円形、および長円形のうちの一種である請求項1
    に記載の磁性素子。
  18. 【請求項18】 前記シート状のコイルが、配線基板の
    配線層の一部として、前記配線基板の内部または表面に
    設けられている請求項1に記載の磁性素子。
  19. 【請求項19】 前記第1磁性部材と前記シート状コイ
    ルとの間に接着層が設けられている請求項1に記載の磁
    性素子。
  20. 【請求項20】 (a)平面導体コイルおよび絶縁性物
    質を含むシート状コイルを用意する工程と、 (b)前記シート状コイルの上下面の少なくとも一方
    に、前記絶縁性物質よりも大きい透磁率を有するシート
    状の第1磁性部材を配置する工程と、を含むことを特徴
    とする磁性素子の製造方法。
  21. 【請求項21】 (a)の工程において、シート状コイ
    ルが複数設けられた大判シートを用意し、 (b)の工程において、個々のシート状コイルの上下面
    の少なくとも一方に、第1磁性部材を配置し、 さらに、(c)前記大判シートを切断し、個々の磁性素
    子の状態とする工程を含む請求項20に記載の磁性素子
    の製造方法。
  22. 【請求項22】 (a)の工程において、前記シート状
    コイルの所定の領域に上下面を貫通する穴部を形成し、
    前記所定の領域が、前記平面導体コイルの導体が存在し
    ない領域であって、かつ、前記シート状コイルの中心部
    および周辺部から選ばれる領域の少なくとも1ヶ所であ
    り、 (b)の工程において、前記シート状コイルの前記穴部
    に磁性体粉末と未硬化状態の樹脂とを混合して作製した
    未硬化の第2磁性部材を配置し、前記第2磁性部材を硬
    化させることにより前記シート状コイルと前記第1磁性
    部材とを一体化させる、請求項20または21に記載の
    磁性素子の製造方法。
  23. 【請求項23】 (b)の工程において、予め前記シー
    ト状コイルの上下面の何れか一方に第1磁性部材を配置
    しておき、次に前記シート状コイルの前記穴部に未硬化
    の前記第2磁性部材を配置し、次に前記シート状コイル
    の上下面の他方の面に第1磁性部材を配置し、次に前記
    第2磁性部材を硬化させることにより前記シート状コイ
    ルと前記第1磁性部材とを一体化させる、請求項22に
    記載の磁性素子の製造方法。
  24. 【請求項24】 配線基板と、 平面導体コイルおよび絶縁性物質を含むシート状コイル
    と、前記シート状コイルの上下面のうち少なくとも一方
    に配置されたシート状の第1磁性部材とを備え、前記絶
    縁性物質の透磁率が前記第1磁性部材の透磁率よりも小
    さく、前記配線基板と電気的に接続された磁性素子とを
    備えたことを特徴とする電源モジュール。
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