JP2003201636A - 被覆弾性糸の製造方法 - Google Patents

被覆弾性糸の製造方法

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JP2003201636A JP2001397561A JP2001397561A JP2003201636A JP 2003201636 A JP2003201636 A JP 2003201636A JP 2001397561 A JP2001397561 A JP 2001397561A JP 2001397561 A JP2001397561 A JP 2001397561A JP 2003201636 A JP2003201636 A JP 2003201636A
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正輝 中山
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Kiyokatsu Tamura
清克 田村
Kenjiro Kanamori
研治郎 金森
Manabu Yamamoto
学 山本
Hideyuki Ichikawa
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Koji Nakajima
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 嵩高で柔らかな風合があり、適度な締め付け
力で身体にフィットする衣服の素材となる被覆弾性糸を
安定した品質で効率良く製造することである。 【解決手段】 第1工程としてポリアミドマルチフィラ
メントの仮撚加工糸とポリウレタン弾性糸を2.6〜
3.5倍に伸長しながら引揃えた合糸状態で残留トルク
力が増大するように仮撚加工糸の解撚撚方向に合撚した
後、第2工程として合撚糸を2〜50%のオーバーフィ
ード率、ヒーター温度150〜220℃、セット時間
0.2〜0.9秒で弛緩走行させながら熱セットするポ
リアミドマルチフィラメントの被覆弾性糸の製造方法と
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、ポリウレタン弾
性糸と仮撚加工糸を用いて伸長性や嵩高性を改良した被
覆弾性糸の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来の被覆弾性糸は、伸長されたポリウ
レタン弾性糸を芯糸にして、ポリアミドマルチフィラメ
ントの仮撚加工糸を旋回して被覆するシングルカバード
撚糸(カバリング方法)で製造される場合が一般的であ
る。
【0003】また、伸長された糸条のポリウレタン弾性
糸とポリアミドマルチフィラメントの原糸を引揃えて仮
撚加工する無撚状芯/鞘の被覆弾性糸や、伸長されたポ
リウレタン弾性糸とポリアミドマルチフィラメント原糸
とが下撚を施された状態で下撚の撚方向と同方向に加撚
仮撚加工した被覆弾性糸が知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記したよう
なカバリング撚糸法は、鞘となるポリアミドマルチフィ
ラメント仮撚加工糸が、中空スピンドル旋回によるバル
ーン状緊張下でポリウレタン芯糸に巻き付く製法であ
り、マルチフィラメント仮撚加工糸の嵩高性を著しく損
ね、肌着やタイツなどの風合を硬くするという欠点を有
している。
【0005】さらにカバリング撚方向が被覆性や高次通
過性向上などから仮撚加工糸の加撚撚方向と同方向に旋
回カバリングするため、仮撚加工糸の残留トルク力を著
しく低下させる結果になり、嵩高性も損ねることにな
る。また、このカバリング撚糸法は、ポリウレタン弾性
糸の走行状態を安定化するためにドラフトを2.9〜
3.5倍にする必要があるから、この被覆弾性糸は、高
伸長応力のものになり、特に編物品では伸縮パワーが強
すぎるという欠点がある。
【0006】前記のように伸長された糸条のポリウレタ
ン弾性糸とポリアミドマルチフィラメント原糸の引揃え
仮撚加工の無撚状芯/鞘被覆弾性糸、および伸長された
ポリウレタン弾性糸とポリアミドマルチフィラメント原
糸に下撚を施した後で、仮撚加工した被覆弾性糸は、高
仮撚数条件で加撚・熱セットが同時に行われるため、ポ
リウレタン弾性糸の脆化や鞘糸の締め付けによるポリウ
レタン弾性糸の側面・断面の変型、傷発生などのダメー
ジがあってコアー切れの問題が起こり易かった。
【0007】また高ドラフト状態のポリウレタン弾性糸
が、加撚と同時に解撚されるため、加工時の加撚と解撚
張力変動が大きくなり、錘間および糸長方向の未解撚と
被覆斑などといった品質のバラツキが拡大する要因にな
る。
【0008】因みに、被覆弾性糸を使った衣服類に対す
る消費者の要望としては、特殊なスポーツ衣料分野を除
き、フラットな外観美でソフトパワーで柔らかな風合で
絞め付けの弱い製品が好まれる傾向がある。一方、絞め
付けの強い商品は、着心地や健康面でも好ましくないの
で、避けられる傾向である。
【0009】このように従来のカバリング撚糸の製法
は、鞘糸の締め付けと残留トルク力の減少から仮撚加工
糸の捲縮発現を押えて嵩高性を損ねる欠点となり、併せ
てストレッチパワーが強すぎるため風合が硬いなど着用
感の悪い被覆弾性糸となっていた。
【0010】また、従来の仮撚無撚状芯/鞘被覆弾性糸
および下撚を施した仮撚被覆弾性糸は、芯糸のポリウレ
タン弾性糸を伸長しながら、鞘糸と同時に仮撚加工する
製法であるため、ポリウレタン弾性糸の特性が不均一で
加工張力(T1/T2)および撚数変動が大きくなり、
被覆斑、コアー切れ、染着差、外観不良、寸法バラツキ
などの問題が発生しやすかった。
【0011】そこで、本願の各請求項に係る発明の課題
は、上記した問題点を解決して、鞘部のポリアミドマル
チフィラメント仮撚加工糸のクリンプ形態を柔らかな所
定形状にして芯糸を被覆し、これにより嵩高で柔らかな
風合があり、適度な締め付け力で身体にフィットする衣
服の素材となる被覆弾性糸を安定した品質で効率良く製
造することである。
【0012】
【課題を解決させるための手段】上記の課題を解決する
ため、この発明においては、第1工程としてポリアミド
マルチフィラメントの仮撚加工糸とポリウレタン弾性糸
を伸長しながら引揃えた合糸状態で残留トルク力が増大
するように仮撚加工糸の解撚撚方向に合撚した後、第2
工程として合撚糸をオーバーフィードで弛緩走行させな
がら熱セットするポリアミドマルチフィラメントの被覆
弾性糸の製造方法としたのである。
【0013】第1工程の合撚要素は、ポリアミドマルチ
フィラメント仮撚加工糸の残留トルク撚方向(仮撚の加
撚方向)に対しさらにトルク力を増大する仮撚の解撚方
向に合撚することにより、仮撚加工糸のクリンプ波形を
3次元的な形状から2次元的な傾向にクリンプ波形を変
えコイル状にせしめた鞘部で芯糸となるポリウレタン弾
性糸を2.6〜3.5倍に伸長しながら合撚する。
【0014】この合撚数は、被覆弾性糸の総糸繊度に適
正な撚数と仮撚加工糸の残留トルク力の強弱に適合した
撚数を加算設定する前記の請求項2に記載した合撚数の
範囲を満足する。
【0015】すなわち、第1工程の合撚が、Z解撚加工
糸またはS解撚加工糸であるポリアミドマルチフィラメ
ント仮撚加工糸と、ポリウレタン弾性糸とのZ合撚また
はS合撚であり、1m当りの撚数(T/m)が下記の数
2の式の範囲を満足する撚数である被覆弾性糸の製造方
法を採用することが好ましい。
【0016】
【数2】
【0017】この被覆弾性糸の製造方法に係る発明で
は、第2工程の熱セットが、合撚糸を2〜50%範囲の
オーバーフィード率で走行供給しながら150〜220
℃の範囲の温度で熱セットしてポリアミドマルチフィラ
メント仮撚加工糸の捲縮形態をコイル状に発現させる熱
セットであることが好ましい。
【0018】合撚糸を熱セット機で上記所定のオーバー
フィード率で弛緩しながら供給し、所定温度のヒータ温
度でセット時間を好ましくは0.2〜0.9秒にするこ
とにより、仮撚加工糸の潜在化したクリンプ波形が円く
膨らんで高密度化されたコイル状捲縮の鞘部で芯糸を被
覆できるようになり、嵩高性に優れた被覆弾性糸が製造
できる。
【0019】また、第2工程で所定のオーバーフィード
率による低加工張力で熱セットするので、合撚された仮
撚加工糸のコイル状捲縮が顕著に現われ、併せて残留ト
ルク力の低下が小さくなる。ここでいう被覆弾性糸の残
留トルク撚数は、90〜330T/mの範囲であり、合
撚数およびオーバーフィード率、セット温度の条件を適
当に変更させることにより、強いトルク力の範囲まで設
定することができ、緻密で軟らかい風合や用途に適した
ストレッチ性を選択できる。
【0020】
【発明の実施形態】この発明の実施形態を図面を参照し
ながら以下に説明する。
【0021】実施形態の製造工程はポリアミドマルチフ
ィラメント仮撚加工糸とポリウレタン弾性糸を伸長装置
付きリングツイスター合撚機で合撚を施す第1工程とこ
の合撚糸をオーバーフィード率で走行供給しながら熱セ
ットを施す第2工程からなる。
【0022】図1は、実施形態の第1工程の合撚の一例
を模式的に示し、図2は第2工程の熱セットの一例を模
式的に示している。
【0023】図1に示すように、鞘部用ポリアミドマル
チフィラメント仮撚加工糸Aは、予め巻かれたチーズ1
から引取られローラー7により軸方向に解舒される。仮
撚加工糸の解舒張力変動を均一にするリングテンサー2
により、テンサー出の張力を0.05〜0.15cN/
dtexの範囲になるように仮撚加工糸の繊度に合わせ
てリング個数を調整する。
【0024】芯部用となるポリウレタン弾性糸のパッケ
ージ3は、回転自在軸に装着し、供給駆動ローラー4に
接圧した状態のサーフェス回転により周方向にポリウレ
タン弾性糸Bが解舒される。チーズ1から解舒された仮
撚加工糸Aとポリウレタン弾性糸Bとが合糸ガイド5で
引揃えられて糸条6となり、ネルソン式引取りローラ7
を経て、ポリウレタン弾性糸の供給駆動ローラー4とリ
ングツイスターのトラベラー9およびスピンドル10と
の間でポリウレタン弾性糸が2.6〜3.5倍にドラフ
トされる。ここでポリウレタン弾性糸Bは、第2工程の
熱セット後、4.0〜13.5dtexの範囲に入る原
糸が使用される。
【0025】上記ドラフトされたポリウレタン弾性糸B
と仮撚加工糸Aとの引揃え糸条6をスピンドル10の回
転とリングトラベラ−9の旋回によりYの合撚糸がパー
ン形状パッケージ8に巻かれる。ここでリングツイスタ
ーのスピンドル10の回転方向は、仮撚加工糸の残留ト
ルク力を増大せしめる仮撚加工糸の解撚方向に設定され
る。合撚撚数は、ポリウレタン弾性糸の伸長後繊度とポ
リアミドマルチフィラメント加工糸繊度の和および残留
トルク力を考慮してその撚数が設定される。
【0026】図2に示す熱セット工程では、仮撚加工糸
とポリウレタン弾性糸とが第1工程で合撚されたパーン
形状パッケージ8が、クリールペグに支持されている。
軸方向に解舒された合撚糸Yは、リングテンサー11で
張力変動を均一化し、供給ローラ12と引取りローラー
13との間でオーバーフィード率2.0〜50%の走行
状態にてヒーター14でセット温度150〜220℃、
セット時間0.2〜0.9秒の弛緩熱セットを施し、被
覆弾性糸Y’がチーズ巻きパッケージ15に巻き取られ
る。
【0027】このようにオーバーフィード率およびセッ
ト温度、セット時間の加工条件領域が広くとれるため、
製造する被覆弾性糸の伸縮性、風合、嵩高性、寸法など
は需要者の要求に合うように設定できる。
【0028】そして、被覆弾性糸を用いた生地に嵩高で
ソフトな風合を望む場合は、合撚数を少な目にすると共
にポリウレタン弾性糸のドラフトを低めに設定し、併せ
て第2工程のオーバーフイード率を30〜50%の範囲
にして高めのセット温度にすると良い。熱セット温度
は、ナイロン6で150〜190℃、ナイロン66で1
60〜220℃の範囲が適用されるが、被覆弾性糸の高
伸縮応力を得る場合は低めの設定がよい。また熱セット
後における被覆弾性糸の残留トルク撚数の保持率は、合
撚前のポリアミドマルチフィラメント仮撚加工糸の55
〜85%という強いトルク力にできる。
【0029】また、図3に示されるように、得られた被
覆弾性糸Y’は、前記した第1工程および第2工程の組
み合わせから鞘部の仮撚加工糸Aの個々のフィラメント
が強い残留トルクカによってコイル状へ変化した集合体
となって被覆密度が向上し、芯糸であるポリウレタン弾
性糸Bへの締め付け力が小さくなると共に芯糸の伸縮自
由度が高くなる。これにより特に編物では、一般のカバ
リング糸や無撚および有撚仮撚被覆弾性糸に比べて製品
着用時の機能性の面で一層快適性が向上する。
【0030】この被覆弾性糸を使った編織物は、フィラ
メントの捲縮波形が変化した有撚集束状であるため、個
々のフィラメントのスナール状捲縮が生地表面に突出す
る長さが短くなり、かつ数も少なくなる点でピリングお
よびスナッギングが良好になる。編織物の用途は、婦人
用インナー、タイツ、ソックス等の編物やソフトなスト
レッチ織物など、その他に要求される風合、伸び特性に
合わせることができる。
【0031】
【実施例】実施例および比較例の評価の測定データは、
次の方法で測定した。
【0032】[残留トルク撚数]残留トルク撚数は、ポ
リアミドマルチフィラメント仮撚加工糸及び合撚/熱セ
ット後の被覆弾性糸において、糸の両端を合わせた時に
残留トルク力による旋回捻じりで糸の中央部に撚が形成
された撚数をいう。
【0033】残留トルク撚数の測定方法:試料の糸端に
実測繊度の0.2cNの荷重下で糸長1mの両端を測定
治具の上下クランプで固定し、測定治具を横方向に90
゜回転し水平にする。両クランプの中央(50cm)に
印を付け、測定繊度の2倍に対し0.0059cNの荷
量を掛け、両端クリンプを素早く中央に合わせ、回転が
停止するまで待ってその糸を検撚機で解撚し読みとった
回転数を残留トルク撚数[T/m]として表わす。
【0034】
【数3】
【0035】 [嵩高度]、[嵩高圧縮率]、[嵩高圧縮弾性率] 試料を約4×4cmの大きさに自然の状態で重ならない
程度に接して平行に並べ両端を接着剤で固定する。この
試験片3枚を糸方向が交互になるように重ねて1組に
し、このように重ねた試験片から接着剤の部分を除いた
表面積(A)と質量(W)を測定すると共に、荷重によ
って変化する試験片の厚さを計り、次の数4の式により
算出する。
【0036】
【数4】
【0037】
【数5】
【0038】[実施例1]第1工程の合撚に用いられる
仮撚加工方法として、ポリアミドマルチフィラメントP
OY原糸69dtex40フィラメントのナイロン66
を用い、加工速度700m/分、セット温度190℃、
仮撚数3,800T/m、D/Y比2.1、加工ドラフ
ト1.24倍、巻取りフィード率−3.6%の加工条件
で一般的摩擦式フリクション仮撚機を使用し、単糸S
撚、Z撚の加工糸を製造した。
【0039】この仮撚加工糸は、繊度が55.5dte
xでS、およびZ撚の残留トルク撚数はS撚165T/
m(変動率7.8%) 、Z撚173T/m(変動率
7.1%)であった。
【0040】上記仮撚加工糸と芯糸となる22dtex
のポリウレタン弾性糸を図1に示す第1工程のポリウレ
タン弾性糸のドラフト装置付きリングツイスター合撚機
を用い、加工速度24m/分、撚数300T/mポリウ
レタン弾性糸のドラフト3.1倍でリングテンサー後の
仮撚加工糸の張力は、5.2〜5.9cN、ポリウレタ
ン弾性糸のドラフト下の合撚状態では14.7〜15.
2cNであった。
【0041】また合撚工程での設定撚方向は、仮撚加工
糸のS撚(S加撚/Z解撚)に対して合撚時の撚方向は
Z撚を施し、鞘部となる仮撚加工糸は、オーバー解撚さ
れた状態の合撚糸が得られた。この合撚糸での残留トル
ク撚数は、S撚218T/m、Z撚212T/mで変動
率は各々S撚8.7%、Z撚9.6%であった。
【0042】上記得られた合撚糸を第2工程である図2
に示す熱セット機を用いて加工速度125m/分、セッ
ト温度165℃、セット時間0.48秒、オーバーフィ
ード率28%、巻取りフィード率1.7%でリングテン
サー後の張力は、2.5〜2.9cNセットゾーンの張
力は、0.8〜1.2cNであった。
【0043】このようにして得られた合撚/熱セット被
覆弾性糸の残留トルク撚数は、S撚115T/m(変動
率6.3%)Z撚117T/m(変動率6.1%)と高
い値が得られ、変動率も合撚上りより小さくなり均一化
した。 また被覆弾性糸の伸縮伸長率153.6%、伸縮
弾性率82.5%の値が得られ、後述するカバリング糸
より伸び特性はほぼ同等であるが、回復パワー面ではセ
ット効果により小さい値を示した。嵩高性を示す嵩高度
は、37.9[cm3/g]、嵩高圧縮率85.6%、嵩
高圧縮弾性率93.7%で後述する一般的カバリング糸
および無撚および有撚仮撚被覆弾性糸に比べて高い数値
が得られた。
【0044】この被覆弾性糸を婦人インナーとしてサン
トニー社製、フライス成型ガーメントレングス丸編機サ
ントニーS M88(8口給糸、13インチ、28G、針
数1,152本)で編成し、パドル染色機で通常の酸性
染料による染色を行なった。得られたインナーは、編面
がフラットで適度の伸縮性とソフトな風合を呈し、25
回の着用試験評価でもピリングおよびスナッギングの発
生もなく良好であった。ピリング試験はICI法による
5時間テストで経・緯とも4〜5級を得た。
【0045】[比較例1]実施例1で用いた55.5d
tex40フィラメントのナイロン66ポリアミドマル
チフィラメント仮撚加工糸を鞘糸用としてカバリングの
前工程であるHボビン巻きを中越MT−S120で糸速
300m/分で行なった。この時の巻取り張力は、1
1.7cN/本で巻硬度は86゜であった。上記仮撚加
工糸のHボビンと芯糸となる22dtexのポリウレタ
ン弾性糸を用いて、カバリング機片岡BS−SDでスピ
ンドル回転数7200rpm、ドラフト3.1、撚数3
00T/mで実施例1とほぼ同一条件に設定し、シング
ルカバード被覆弾性糸を製造した。この時のバルーン止
めガイド上部の張力は、15.7cNであった。
【0046】上記カバリング製法の旋回撚方向は、被覆
性の点で従来から必然的に適用されている鞘糸の仮撚加
工糸S撚(S加撚/Z解撚)に対し、カバリング撚方向
は、S実撚を仮撚加工糸Z撚(Z加撚/S解撚)は、Z
実撚を施した。
【0047】上記で得られた鞘糸旋回の被覆弾性糸は、
残留トルク撚数が、S撚1.0T/m、Z撚1.5T/
mで変動率は、S撚7.4%、Z撚7.9%となり残留
トルク撚数は、この発明の合撚/熱セット被覆弾性糸よ
り著しく少なく、変動率も若干高い値を示した。さらに
伸縮特性面では、伸縮伸長率159.1%で合撚/熱セ
ット被覆弾性糸とほぼ同じであり、伸縮弾性率は、合撚
/熱セット被覆弾性糸の82.5%に比べ98.6%と
高い値を示しストレッチパワーが強すぎる被覆弾性糸と
なった。
【0048】また、カバリング方式被覆弾性糸の嵩高性
は、嵩高度26.6[cm3/g]、嵩高圧縮率67.2%
嵩高圧縮弾性率81.6%で前記した本発明の被覆弾性
糸に比べて著しく低い値を示した。このカバリング被覆
弾性糸を実施例1と同様に婦人インナーに製品化した結
果、置寸がこの発明の被覆弾性糸を使った巾25.5c
m、丈50.0cmに対し、カバリング被覆弾性糸製品
は、巾18.0cm、丈42.0cmと小さく、風合が
硬目で着用感でも締め付けが強すぎる製品が得られた。
【0049】[比較例2]実施例1および比較例1で用
いた鞘糸用としてナイロン66ポリアミドマルチフィラ
メントPOY原糸69dtex40フィラメントと、芯
糸用として用いたポリウレタン弾性糸22dtexを
3.1倍に伸長しながら引揃え、両糸をピンタイプ仮撚
機で無撚状被覆弾性糸の比較糸を試作した。スピンドル
回転数475000rpm、仮撚数3,800T/m、
フィード率−15%、加工温度190°、巻取りフィー
ド率十5%での加撚張力は7.5〜9.5cN、解撚張
力21.5〜24.0cNであった。
【0050】上記で得られた無撚状被覆弾性糸の残留ト
ルク撚数は、S撚106T/m(変動率5.9%) 、
Z撚108T/m(変動率6.2%)で本被覆弾性糸よ
り若干少ない値を示した。また無撚状被覆弾性糸の伸縮
伸長率は136.7%、伸縮弾性率73.1 %、嵩高度
33.2[cm3/g]、嵩高圧縮率72.3%、嵩高圧縮
弾性率87.1%で伸縮特性および嵩高性はこの発明よ
り低い数値が得られた。
【0051】[比較例3]ナイロン66ポリアミドマル
チフィラメント55.5dtex、40フィラメント延
伸糸の鞘糸用原糸と芯糸用のポリウレタン弾性糸22d
texを3.1倍に伸長しながら撚糸機で300T/m
のS撚、Z撚を試作した。
【0052】撚糸された該糸をピンタイプ仮撚機で比較
例1とほぼ同条件のスピンドル回転数475000rp
m、仮撚数3,800T/m、フィード率−3%、加工
温度190°巻取りフィード率+5%で仮撚加工を行っ
た。加工時の加撚張力は8.5〜10.5cN、解撚張
力は22.0〜24.5cNであった。仮撚加工の加撚
方向は前工程撚糸のS実撚に対しS加撚、Z実撚にはZ
加撚の仮撚加工を設定した。
【0053】上記の製法で得られた仮撚被覆弾性糸の残
留トルク撚数は、S撚52T/m(変動率7.1%)
、Z撚57T/m(変動率7.3%)で本発明の合撚
/熱セット被覆弾性糸に比べかなり少ない値を示した。
また、伸縮弾性率は128.6%、嵩高度28.1[c
3/g]、嵩高圧縮率69.7%、嵩高圧縮弾性率77.
0%で、実施例1に比べ伸び特性も小さく嵩高性も劣
り、一部コアー切れが認められた。
【0054】一方、このような比較例とは異なるこの発
明の製法では、ポリウレタン弾性糸のダメージが少なく
なり、被覆斑、コアー切れ、染着差などの問題がなく均
一な品質の被覆弾性糸が得られる。
【0055】そして、この発明の製造方法で得られた被
覆弾性糸を用いた編・織物品は、一層のソフト風合、ソ
フトパワー、ソフトタッチが得られ、快適性を向上する
ことができる。また仮撚加工糸のスナール状クリンプ波
形からコイル状波形になるため外観がフラットになり衣
服品のピリング、およびスナッキングの面で良好とな
る。
【0056】さらに第2工程の弛緩熱セットの効果か
ら、衣類品の洗濯収縮率が小さく経時変化による寸法面
でも安定性に優れ商品設計が容易となる。
【0057】
【発明の効果】この発明の被覆弾性糸の製造方法では、
上述したように仮撚加工糸の残留トルク力が増大する撚
方向の合撚と次工程の弛緩熱セットにより仮撚加工糸の
クリンプ波形を円く膨らんだコイル状の集束鞘部とした
ので、芯糸への締め付け力が弱く嵩高性と適度のストレ
ッチパワーが選択でき、鞘部のポリアミドマルチフィラ
メント仮撚加工糸のクリンプ形態を柔らかな所定形状に
して芯糸を被覆し、これにより嵩高なソフト風合と適度
なソフトパワーにフィットする均一な品質の被覆弾性糸
を安定した品質で効率よく製造できるという利点があ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態の製法のうち第1工程を模式的に示す
工程図
【図2】実施形態の製法のうち第2工程を模式的に示す
工程図
【図3】実施形態の製法で得られた被覆弾性糸を拡大し
て示す側面図
【符号の説明】
1 チーズ 2 リングテンサー 3 パッケージ 4 供給駆動ローラー 5 合糸ガイド 6 糸条 7 ネルソン式引取りローラ 8 パーン形状パッケージ 9 リングトラベラー 10 スピンドル 11 リングテンサー 12 供給ローラ 13 引取りローラ 14 ヒータ 15 チーズ巻パッケージ A 仮撚加工糸 B ポリウレタン弾性糸 Y 合撚糸 Y' 被覆弾性糸
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中山 正輝 大阪府大阪市中央区大手前1丁目7番31号 株式会社ジーエスアイクレオス大阪支店 内 (72)発明者 田村 清健 石川県小松市南浅井町イ153 ノシロ合繊 株式会社内 (72)発明者 田村 清克 石川県小松市南浅井町イ153 ノシロ合繊 株式会社内 (72)発明者 金森 研治郎 大阪府大阪市中央区大手前1丁目7番31号 株式会社ジーエスアイクレオス大阪支店 内 (72)発明者 山本 学 大阪府大阪市中央区大手前1丁目7番31号 株式会社ジーエスアイクレオス大阪支店 内 (72)発明者 市川 英之 大阪府大阪市中央区大手前1丁目7番31号 株式会社ジーエスアイクレオス大阪支店 内 (72)発明者 中島 康次 大阪府大阪市中央区大手前1丁目7番31号 株式会社ジーエスアイクレオス大阪支店 内 Fターム(参考) 4L036 MA06 MA37 MA39 PA46 RA04 RA25 UA01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 第1工程としてポリアミドマルチフィラ
    メントの仮撚加工糸とポリウレタン弾性糸を伸長しなが
    ら引揃えた合糸状態で残留トルク力が増大するように仮
    撚加工糸の解撚撚方向に合撚した後、第2工程として合
    撚糸をオーバーフィードで弛緩走行させながら熱セット
    するポリアミドマルチフィラメントの被覆弾性糸の製造
    方法。
  2. 【請求項2】 第1工程の合撚が、Z解撚加工糸または
    S解撚加工糸であるポリアミドマルチフィラメント仮撚
    加工糸とポリウレタン弾性糸とのZ合撚またはS合撚で
    あり、1m当りの撚数(T/m)が下記の数1の式の範
    囲を満足する撚数である請求項1に記載の被覆弾性糸の
    製造方法。 【数1】
  3. 【請求項3】 第2工程の熱セットが、合撚糸を2〜5
    0%範囲のオーバーフィード率で走行供給しながら15
    0〜220℃の範囲の温度で熱セットしてポリアミドマ
    ルチフィラメント仮撚加工糸の捲縮形態をコイル状に発
    現させる熱セットである請求項1または2に記載の被覆
    弾性糸の製造方法。
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