JP2003201516A - 下地被膜を有しない、磁束密度が高くかつ鉄損の低い方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents
下地被膜を有しない、磁束密度が高くかつ鉄損の低い方向性電磁鋼板の製造方法Info
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Abstract
ても、磁束密度が十分に高くかつ鉄損の低い方向性電磁
鋼板を有利に得ることができる製造方法を提案する。 【解決手段】 質量%で、C:0.08%以下, Si:2.0 〜
8.0 %およびMn:0.005〜3.0 %を含む溶鋼を用いて製
造したスラブを、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍
を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷
間圧延を施し、ついで低酸化性または非酸化性雰囲気中
にて再結晶焼鈍を行い、再結晶焼鈍後のC量を 0.005〜
0.025 %の範囲としたのち、必要に応じて焼鈍分離剤に
適用してから、最終仕上焼鈍を行い、この最終仕上焼鈍
時 900℃以上の温度域にて分圧:10vol%以上の水素雰
囲気を導入することにより、C量を 50ppm未満まで低減
する。
Description
ータや発電機の鉄心材料として用いられる、フォルステ
ライト(Mg2SiO4) を主体とする下地被膜(グラス被膜)
を有しない、磁束密度が高くかつ鉄損の低い方向性電磁
鋼板の製造方法に関するものである。
は、鉄損によるエネルギー損失を重視して、方向性電磁
鋼板が用いられている。方向性電磁鋼板を積層して使用
する大型発電機の鉄心(固定子)は、扇型形状のセグメ
ントを多数打ち抜き、これらを積層して組み立てる方法
が用いられている。
ス部を中心として複雑な形状に打ち抜く必要があること
の他、数トン以上もの鉄心材料を処理するため打ち抜き
回数が膨大な数となることから、打ち抜きに際し、金型
の磨耗の少ない打ち抜き加工性の良好な方向性電磁鋼板
が求められている。
ステライト(Mg2SiO4) を主体とした下地被膜(グラス被
膜)が被覆されているが、このフォルステライト被膜
は、無方向性電磁鋼板に被覆されている有機樹脂系の被
膜に比べると著しく硬質なため、打ち抜き金型の磨耗が
大きい。そのため、金型の再研磨または交換が必要とな
り、需要家における鉄心加工時の作業効率の低下および
コストアップを招くことになる。また、スリット性や切
断性も同様に、フォルステライト被膜の存在により劣化
する。
る方法として、フォルステライト被膜を酸洗や機械的手
法で除去することも可能であるが、コスト高となるだけ
でなく、表面性状が悪化し、磁気特性も劣化するという
大きな問題がある。また、特公平6−49948 号公報およ
び特公平6−49949 号公報には、最終仕上焼鈍時に適用
する MgOを主体とする焼鈍分離剤中に薬剤を配合するこ
とによってフォルステライト被膜の形成を抑制する技術
が、また特開平8−134542号公報には、Mnを含有する素
材にシリカ、アルミナを主体とする焼鈍分離剤を適用す
る技術が、それぞれ提案されている。しかしながら、こ
れらの方法では、コイルの層間における最終仕上焼鈍雰
囲気の変動によってフォルステライトが部分的に形成さ
れることが多く、完全にフォルステライトの生成を抑制
した製品板を得ることは極めて困難であった。
分を含有しない高純度素材において、固溶窒素の粒界移
動抑制効果を利用して二次再結晶を発現させる技術を、
特開2000−129356号公報において提案し、さらにCを低
減した成分を用い、再結晶焼鈍における雰囲気を低酸化
性とすることによって酸化被膜の生成を抑制する技術
を、特開2001−32021 号公報において提案した。これら
の技術により、フォルステライトを形成しない方向性電
磁鋼板を安価に製造することができるようになった。そ
して、このような方向性電磁鋼板は、表面に硬質なフォ
ルステライト被膜を有しないので、打ち抜き加工性を重
視する大型モータや大型発電機用として有利に適合す
る。
ビタを使用せずに製造した場合、インヒビタを使用して
製造した場合に比べると、得られる磁束密度が低いとい
うところに問題を残していた。本発明は、上記の問題を
有利に解決するもので、インヒビタを使用せずに製造す
る場合であっても、磁束密度が十分に高くかつ鉄損の低
い方向性電磁鋼板を有利に製造することができる方法を
提案することを目的とする。
の目的を達成すべく鋭意研究を重ねた結果、インヒビタ
成分を含有しない素材を用いて、フォルステライト被膜
を有しない方向性電磁鋼板を製造する場合、最終焼鈍工
程おける二次再結晶をCが残存する状態で行うことによ
り磁束密度が向上すること、またその後の高温域で水素
雰囲気を導入することにより最終仕上焼鈍工程で脱炭が
可能であることの新規知見を得た。本発明は、上記の知
見に立脚するものである。
である。 1.質量%で、C:0.08%以下, Si:2.0 〜8.0 %およ
びMn:0.005 〜3.0 %を含む溶鋼を用いて製造したスラ
ブを、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したの
ち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施
し、ついで低酸化性または非酸化性雰囲気中にて再結晶
焼鈍を行い、再結晶焼鈍後のC量を 0.005〜0.025 %の
範囲としたのち、必要に応じて焼鈍分離剤に適用してか
ら、最終仕上焼鈍を行い、この最終仕上焼鈍時に 900℃
以上の温度域にて分圧:10 vol%以上の水素雰囲気を導
入することによりC量を 50ppm未満まで低減することを
特徴とする、フォルステライト(Mg2SiO4) を主体とする
下地被膜を有しない、磁束密度が高くかつ鉄損の低い方
向性電磁鋼板の製造方法。
N,S,Seをそれぞれ 50ppm以下に低減した溶鋼を用い
ることを特徴とする請求項1記載の方向性電磁鋼板の製
造方法。
0.01〜1.50%、Sn:0.01〜0.50%、Sb:0.005 〜0.50
%、Cu:0.01〜0.50%、P:0.005 〜0.50%およびCr:
0.01〜1.50%のうちから選んだ少なくとも1種を含有さ
せることを特徴とする請求項1または2記載の方向性電
磁鋼板の製造方法。
実験について説明する。質量%で、C:0.015 %、Si:
3.2 %およびMn:0.05%を含み、A1を 25ppm、Nを 10p
pm、その他の成分を 30ppm以下に低減したインヒビター
成分を含まない鋼A、および脱ガス処理によりCを大き
く低減したC:0.003 %、Si 3.2%およびMn:0.05%を
含み、Alを 35ppm、Nを8ppm 、その他の成分を 30ppm
以下に低減したインヒビター成分を含まない鋼Bの各ス
ラブを、連続鋳造にて製造した。ついで、1120℃に加熱
後、熱間圧延により 2.4mm厚の熱延板としたのち、窒素
雰囲気中にて 900℃で20秒均熱の熱延板焼鈍後、急冷
し、冷間圧延により最終板厚:0.34mmの冷延板とした。
ついで、水素:50 vol%、窒素:50 vol%、露点:−30
℃の雰囲気中にて 900℃で均熱30秒の再結晶焼鈍を行っ
たのち、最終仕上焼鈍を施した。この最終仕上焼鈍は、
露点:−20℃の窒素雰囲気にて常温から 900℃まで50℃
/hの速度で昇熱し、この温度に50時間保定したのち、水
素分圧を種々に変化させた水素−窒素混合雰囲気に切り
替え、さらに1000℃まで10℃/hの速度で昇温する条件で
行った。
と磁束密度(B8 )との関係について調べた結果を示
す。同図に示したとおり、Cを多量に含有する鋼Aの方
が、C量の低い鋼Bよりも磁束密度が優れていることが
分かる。また、鋼Aにおいて、水素分圧が 10vol%以上
になると磁束密度の急激な向上が認められたが、 30vol
%を超えると磁束密度の改善効果は飽和に達した。
素分圧と鉄損(W17/50 )との関係について調べた結果
を示す。同図に示したとおり、鋼Aでは、水素分圧を増
加させることにより著しい鉄損の改善が認められたのに
対し、鋼Bでの鉄損改善量は僅かにすぎなかった。
水素分圧と鋼中C量との関係について調べた結果を示
す。同図によれば、水素分圧が10%を超えると、鋼Aに
ついても鋼中C量を 50ppm未満まで低減できることが分
かる。すなわち、900 ℃以上の温度域で水素雰囲気を導
入することにより、効果的に脱炭が進行して、著しい磁
束密度の向上と鉄損の改善がもたらされたものと考えら
れる。
して、最終仕上焼鈍によりガラス被膜を形成させる方向
性電磁鋼板の製造方法において、脱炭焼鈍後に30〜200p
pmのCを含有させて磁束密度の向上を図る技術が、特開
昭58−11738 号公報にて開示されている。しかしなが
ら、最終仕上焼鈍によりガラス被膜を形成させる方法で
は、最終仕上焼鈍時に脱炭することは困難であり、最終
仕上焼鈍後もCが残留する。このため、この技術の場
合、磁気時効現象で鉄損が劣化するのを防止するため
に、最終仕上焼鈍時に形成されたガラス被膜を、最終仕
上焼鈍後、酸洗により除去したのち、再度脱炭焼鈍か真
空焼鈍で炭素を減少させるという、極めてコスト高な製
造工程を必要する。また、ガラス被膜を酸洗で除去する
方法では、表面の平滑性が損なわれるため、鉄損の劣化
が余儀なくされる。さらに、脱炭焼鈍は酸化性雰囲気で
行われるため表面に酸化膜が形成されて鉄損が一層劣化
する。
フォルステライト被膜を形成しない方法であるため、仕
上焼鈍雰囲気中の水素と反応させることにより、平滑な
表面を保ったまま、脱炭を行うことが可能である。その
ため、本発明では、従来の最終仕上焼鈍時にフォルステ
ライト被膜を形成させる技術と比較して、極めて低い鉄
損を得ることができるのである。
晶焼鈍をCが残存する状態で行うことによって、高い磁
束密度を得ることができ、またその後に高温で水素雰囲
気を導入し、最終仕上焼鈍工程で脱炭を行うことによっ
て、鉄損の低減を図ることができるのである。
05〜0.025 %残存する状態で施すことによって、高い磁
束密度が得られる理由については、必ずしも明らかでは
ないが、Nと同様に侵入型元素であるCの固溶状態での
存在が、二次再結晶における粒界移動の選択性を高める
ことによるものと推定される。また、最終仕上焼鈍工程
の高温域で水素雰囲気を導入することにより脱炭する機
構については、鋼板表面における炭化水素の生成による
炭素の消費であると推定されるが、詳細は明らかでな
い。
の成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明す
る。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り
質量%(mass%)を意味する。 C:0.08%以下 C量が溶製段階で0.08%を超えると、再結晶焼鈍時にC
を 0.025%以下まで低減するのが困難となるので、Cは
0.08%以下に制限した。なお、C量があまりに少ないと
再結晶焼鈍後に最低必要なC:0.005 %が得られず、ま
た磁束密度の低下を招くので、C量の下限は 0.005%程
度とするのが好ましい。
元素であるので、2.0%以上含有させる。しかしなが
ら、含有量が 8.0%を超えると加工性が著しく低下して
冷間圧延が困難となる。そこでSi量は 2.0〜8.0 %の範
囲に限定した。
が、含有量が 0.005%未満ではその添加効果に乏しく、
一方 3.0%を超えると磁束密度の低下を招くので、Mn量
は 0.005〜3.0 %の範囲とする。
e, MnS等のインヒビタを使用することも可能ではある
が、インヒビタを使用せずに二次再結晶を発現させる方
法を適用することが、インヒビタ固溶のための高温スラ
ブ加熱や、インヒビタ除去のための高温純化焼鈍を省略
して簡略な製造工程で低鉄損を得る上で、特に有利であ
る。その場合、インヒビタ形成元素であるAlは 100 ppm
以下、またNは 50ppm以下好ましくは 30ppm以下まで低
減しておくことが、良好な二次再結晶を発現させるため
に好適である。また、その他のインヒビタ形成元素であ
るS, Seについても 50ppm以下、好ましくは 30ppm以下
に低減することが有利である。その他、窒化物形成元素
であるTi, Nb, B, Ta, V等についても、それぞれ 50p
pm以下に低減することが鉄損の劣化を防止する上で有効
である。
明したが、本発明では、その他にも以下に述べる元素を
適宜含有させることができる。 Ni:0.01〜1.50%、Sn:0.01〜0.50%、Sb:0.005 〜0.
50%、Cu:0.01〜0.50%、P:0.005 〜0.50%、Cr:0.
01〜1.50%のうちから選んだ少なくとも1種 Niは、熱延板組織を改善して磁気特性を向上させる有用
元素である。しかしながら、含有量が0.01%未満では磁
気特性の向上量が小さく、一方1.50%を超えると二次再
結晶が不安定になり磁気特性が劣化するので、Ni量は0.
01〜1.50%とした。また、Sn,Sb,Cu, P, Crはそれぞ
れ、鉄損の向上に有用な元素であるが、いずれも上記範
囲の下限値に満たないと鉄損の向上効果が小さく、一方
上限量を超えると二次再結晶粒の発達が阻害されるの
で、それぞれSn:0.01〜0.50%,Sb:0.005 〜0.50%,
Cu:0.01〜0.50%,P:0.005 〜0.50%,Cr:0.01〜1.
5 %の範囲で含有させる必要がある。
g2SiO4) を主体とした下地被膜を有しないことが、良好
な打ち抜き性を確保するための大前提である。
る。上記の好適成分組成に調整した溶鋼を、転炉、電気
炉などを用いる公知の方法で精錬し、必要があれば真空
処理などを施したのち、通常の造塊法や連続鋳造法を用
いてスラブを製造する。また、直接鋳造法を用いて 100
mm以下の厚さの薄鋳片を直接製造してもよい。スラブ
は、通常の方法で加熱して熱間圧延するが、鋳造後、加
熱せずに直ちに熱延に供してもよい。また、薄鋳片の場
合には、熱間圧延を行っても良いし、熱間圧延を省略し
てそのまま以後の工程に進めてもよい。
ゴス組織を製品板において高度に発達させるためには、
熱延板焼鈍温度は 800〜1100℃の範囲が好適である。熱
延板焼鈍後、必要に応じて中間焼鈍を挟む1回以上の冷
間圧延を施したのち、再結晶焼鈍行う。上記の冷間圧延
において、圧延温度を 100〜250 ℃に上昇させて圧延を
行うことや、冷間圧延の途中で 100〜250 ℃の範囲での
時効処理を1回または複数回行うことが、ゴス組織を発
達させる上で有効である。最終冷延後の再結晶焼鈍は、
低酸化性または非酸化性雰囲気で 800〜1000℃の範囲で
行うことが好適である。ここで、低酸化性または非酸化
性雰囲気とは、酸素を含有しない露点:40℃以下、好ま
しくは露点:0℃以下の雰囲気であり、窒素、Ar、水素
およびそれらの混合雰囲気が工業的に使用し易い。
5 %に調整することが高い磁束密度を確保する上で最も
肝要な点である。すなわち、再結晶焼鈍後のC量が 0.0
05%未満の場合には、固溶Cによる磁束密度向上効果が
得られず、一方 0.025%を超えた場合はγ変態により二
次再結晶粒が発達しないので、いずれも磁気特性は大幅
に劣化する。
C量をこの範囲に制御し、その後の焼鈍工程をすべて非
脱炭雰囲気で行う方法が最も簡便であるが、製鋼段階で
の低減が困難な場合には、再結晶焼鈍あるいは熱延板焼
鈍、中間焼鈍雰囲気を湿潤水素雰囲気とし、適切な時間
だけ焼鈍することにより、最終仕上焼鈍までに脱炭し
て、上記のC量範囲に制御する必要がある。また、最終
冷間圧延後、あるいは再結晶焼鈍後に浸珪法によってに
Si量を増加させる技術を併用してもよい。
ト(Mg2SiO4)を主体とした下地被膜を形成しないこと
が、良好な打抜き性を確保するための大前提である。従
って、基本的に焼鈍分離剤を適用せずに最終仕上焼鈍を
施すことが、(Mg2SiO4)を主体とする下地被膜(グラス
被膜)を有しない均一な表面を得るために特に好まし
い。なお、最終仕上焼鈍に際し、コイルの密着が起こる
ような高温を要する場合には、焼鈍分離剤を通用する
が、その際にはフォルステライトを形成するMgOは使用
せず、シリカやアルミナ等を用いる。また、塗布を行う
際にも、水分を持ち込まず酸化物生成を抑制する目的で
静電塗布を行うことなどが有効である。さらに、耐熱無
機材料シート(シリカ、アルミナ、マイカ)を用いても
よい。
晶組織を発達させる。最終仕上焼鈍の雰囲気は窒素を含
有することが、二次再結晶を発現させるために有用であ
る。そして表面酸化物の生成を抑制して良好鉄損を得る
ために低酸化性または非酸化性雰囲気を用いる。最終仕
上焼鈍は二次再結晶発現のために 800℃以上で行う必要
があるが、 800℃までの昇温速度は、磁気特性に大きな
影響を与えないので任意の条件でよい。そして、最終仕
上焼鈍における二次再結晶終了後、焼鈍温度が 900℃以
上になった時点で、水素雰囲気を導入して脱炭を進行さ
せ、C量を 50ppm未満まで低減することが、低鉄損を得
る上で重要である。ここに、水素雰囲気を導入する温度
が 900℃未満では脱炭反応の進行が極めて遅いので水素
雰囲気導入温度は 900℃以上とする。また、水素雰囲気
の分圧が10 vol%未満では脱炭の進行が極めて遅いの
で、水素雰囲気の分圧は10 vol%以上とする。
て形状を矯正することができる。この平坦化焼鈍は乾燥
雰囲気中で行うことが表面酸化を防止して良好な鉄損を
得る上で望ましい。上記の平坦化焼鈍後に表面に絶縁コ
ーティングを施す。ここに、良好な打ち抜き性を確保す
るためには、樹脂を含有する有機系または半有機系コー
ティングとするのが望ましいが、溶接性を重視する場合
には無機系コーティングを適用しても良い。
は、大型モータや発電機用に最適であるが、必ずしもこ
れだけに限定されるものではなく、打ち抜き加工性を重
視する方向性電磁鋼板の用途すべてに適用することがで
きる。また、素材としてインヒビターを使用せず、スラ
ブの高温加熱、高温純化焼鈍を施す必要がないので、低
コストにて大量生産可能であるという大きな利点があ
る。
造した。なお、表1に示していない成分についてはすべ
て 50ppm以下に低減した。これらのスラブを、1080℃に
加熱後、熱間圧延により 2.3mm厚の熱延板とした。つい
で、 850℃, 30秒均熱の熱延板焼鈍後、常温での冷間圧
延により0.34mmの最終板厚に仕上げた。ついで、水素:
25 vol%、窒素:75 vol%、露点:−30℃の雰囲気中に
て 930℃, 均熱10秒の再結晶焼鈍を施した。その後、焼
鈍分離剤を適用せずに、窒素:50 vol%, Ar:50 vol%
の混合雰囲気中にて 800℃まで50℃/hの速度で昇温し、
800 ℃以上を10℃/hの速度で 880℃まで昇温し、この温
度に50時間保持したのち、露点:−30℃の水素雰囲気に
切り替えて1070℃まで10℃/hの速度で昇温する、最終仕
上焼鈍を行った。この最終仕上焼鈍後のC量は各鋼とも
0.0030%以下まで低減されていた。ついで、乾燥窒素−
水素混合雰囲気中にて 875℃, 60秒間の平坦化焼鈍を行
って、形状を矯正したのち、重クロム酸アルミニウム、
エマルジョン樹脂、エチレングリコールを混合したコー
ティング液を塗布し、300 ℃で焼き付けて製品とした。
向の磁束密度(B8 )と鉄損(W17 /50 )を測定した。
また、打ち抜き性の評価をするために、50トンプレス機
にて、50mmφ(材質:SKD−11)、打ち抜き速度:35
0 ストローク/分、クリアランス:6%で、市販の打ち
抜き油を使用して、カエリ高さが50μm に達するまで製
品板の連続打ち抜きを行った。得られた結果を表1に併
記する。
を 0.005〜0.025 %残存させたまま、二次再結晶焼鈍を
施し、その後に高温域で脱C処理を施すことにより、磁
束密度と鉄損が共に優れ、しかも打ち抜き加工性が良好
な製品板を得ることができた。
たのち、熱間圧延により 2.8mm厚の熱延板とした。な
お、表2に示されない成分はすべて 50ppm以下に低減し
た。これらの熱延板に、1000℃, 均熱60秒の熱延板焼鈍
を施したのち、冷間圧延により0.34mmの最終板厚に仕上
げた。ついで、水素:50 vol%、窒素:50vol%、露
点:−50℃の雰囲気にて 900℃, 均熱20秒の再結晶焼鈍
を施した。その後、焼鈍分離剤を適用せずに、 900℃ま
で10℃/hの速度で昇温し、この温度に75時間保持したの
ち、露点:−20℃の水素雰囲気に切り替えて1000℃まで
10℃/hの速度で昇温する、最終仕上焼鈍を行った。この
最終仕上焼鈍後のC量は各鋼とも0.0030%以下まで低減
されていた。ついで、露点:−35℃の水素雰囲気中にて
875℃, 60秒間の平坦化焼鈍を行って、形状を矯正した
のち、重クロム酸アルミニウム、エマルジョン樹脂、エ
チレングリコールを混合したコーティング液を塗布し、
300 ℃で焼き付けて製品とした。
向の磁束密度(B8 )と鉄損(W17 /50 )を測定した。
また、打ち抜き性の評価をするために、50トンプレス機
にて、50mmφ(材質:SKD−11)、打ち抜き速度:35
0 ストローク/分、クリアランス:6%で、市販の打ち
抜き油を使用して、カエリ高さが50μm に達するまで製
品板の連続打ち抜きを行った。得られた結果を表2に併
記する。
材を用いて、C量を 0.005〜0.025%残存させたままで
最終仕上焼鈍を施すことにより、磁束密度および鉄損が
共に優れ、しかも打ち抜き加工性が良好な製品板を得る
ことができた。
たのち、熱間圧延により 2.2mm厚の熱延板とした。な
お、表3に示されない成分はすべて 50ppm以下に低減し
た。これらの熱延板に、 900℃で30秒均熱する熱延板焼
鈍を施したのち、250 ℃の温度の冷間圧延により最終板
厚:0.26mmの冷延板に仕上げた。ついで、露点:30℃の
窒素−水素混合雰囲気中にて 900℃で均熱30秒の再結晶
焼鈍を行ったのち、焼鈍分離剤としてコロダイルシリカ
を適用して、露点:−20℃の窒素雰囲気中にて 900℃ま
で50℃/hの速度で昇温したのち、この温度に20時間保持
し、ついで露点:−20℃の水素雰囲気に切り替え、1150
℃まで50℃/hの速度で昇温する、最終仕上焼鈍を行っ
た。 最終仕上焼鈍終了後のC量は各鋼とも0.0030%以下
に低減されていた。ついで、露点:−20℃の窒素−水素
混合雰囲気中にて 900℃, 10秒間の平坦化焼鈍を行っ
て、形状を矯正したのち、第1燐酸アルミニウム、アク
リル、スチレン樹脂、ホウ酸を混合した組成のコーティ
ング液を塗布し、300 ℃で焼き付けて製品とした。
向の磁束密度(B8 )と鉄損(W17 /50 )を測定した。
また、打ち抜き性の評価をするために、50トンプレス機
にて、50mmφ(材質:SKD−11)、打ち抜き速度:35
0 ストローク/分、クリアランス:6%で、市販の打ち
抜き油を使用して、カエリ高さが50μm に達するまで製
品板の連続打ち抜きを行った。得られた結果を表3に併
記する。
分の素材を用いて、C量を 0.005〜0.025 %残存させた
ままで最終仕上焼鈍を施すことにより、磁束密度および
鉄損が共に優れ、しかも打ち抜き加工性が良好な製品板
を得ることができた。
を非酸化性または低酸化性雰囲気で行い、 C量を0.005
〜0.025 %残存させたままで二次再結晶焼鈍を施し、そ
の後、高温で水素雰囲気を導入して脱炭を進行させるこ
とにより、フォルステライト(Mg2SiO4)を主体とする下
地被膜(グラス被膜)を有しない、高磁束密度かつ低鉄
損で、しかも打ち抜き加工性が良好な方向性電磁鋼板の
製品を得ることができる。
度(B8 )との関係を示したグラフである。
(W17/50 )との関係を示したグラフである。
上焼鈍後の鋼中C量との関係を示したグラフである。
Claims (3)
- 【請求項1】 質量%で、C:0.08%以下, Si:2.0 〜
8.0 %およびMn:0.005〜3.0 %を含む溶鋼を用いて製
造したスラブを、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍
を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷
間圧延を施し、ついで低酸化性または非酸化性雰囲気中
にて再結晶焼鈍を行い、再結晶焼鈍後のC量を 0.005〜
0.025 %の範囲としたのち、必要に応じて焼鈍分離剤に
適用してから、最終仕上焼鈍を行い、この最終仕上焼鈍
時に 900℃以上の温度域にて分圧:10 vol%以上の水素
雰囲気を導入することによりC量を 50ppm未満まで低減
することを特徴とする、フォルステライト(Mg2SiO4) を
主体とする下地被膜を有しない、磁束密度が高くかつ鉄
損の低い方向性電磁鋼板の製造方法。 - 【請求項2】 前記溶鋼として、Alを100ppm以下、N,
S,Seをそれぞれ 50ppm以下に低減した溶鋼を用いるこ
とを特徴とする請求項1記載の方向性電磁鋼板の製造方
法。 - 【請求項3】 前記溶鋼中に、さらに質量%で、Ni:0.
01〜1.50%、Sn:0.01〜0.50%、Sb:0.005 〜0.50%、
Cu:0.01〜0.50%、P:0.005 〜0.50%およびCr:0.01
〜1.50%のうちから選んだ少なくとも1種を含有させる
ことを特徴とする請求項1または2記載の方向性電磁鋼
板の製造方法。
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