JP4241268B2 - 方向性電磁鋼板の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、主として大型のモータや発電機の鉄心材料として用いられる、フォルステライト(Mg2SiO4) を主体とする下地被膜(グラス被膜)を有しない、鉄損が低くかつ磁束密度の高い方向性電磁鋼板の製造方法に関するものである。
大型のモータや発電機の鉄心材料としては、鉄損によるエネルギー損失を重視して、方向性電磁鋼板が用いられている。
方向性電磁鋼板を積層して使用する大型発電機の鉄心(固定子)は、扇型形状のセグメントを多数打ち抜き、これらを積層して組み立てる方式が用いられている。
このような積層方式を用いる場合、ティース部を中心として複雑な形状に打ち抜く必要があることの他、数トン以上もの鉄心材料を処理するため打ち抜き回数が膨大な数となることから、打ち抜きに際し、金型の磨耗の少ない打ち抜き加工性の良好な方向性電磁鋼板が求められている。
方向性電磁鋼板の表面には、通常、フォルステライト(Mg2SiO4) を主体とした下地被膜(グラス被膜)が被覆されているが、このフォルステライト被膜は、無方向性電磁鋼板に被覆されている有機樹脂系の被膜に比べると著しく硬質なため、打ち抜き金型の磨耗が大きい。そのため、金型の再研磨あるいは交換が必要となり、需要家における鉄心加工時の作業効率の低下およびコストアップを招くことになる。また、スリット性や切断性も同様に、フォルステライト被膜の存在により劣化する。
方向性電磁鋼板の打ち抜き加工性を改善するには、フォルステライト被膜を酸洗や機械的手法で除去することも可能であるが、この方法では、コスト高となるだけでなく、表面性状が悪化し、磁気特性も劣化するという大きな問題がある。
また、特許文献1および特許文献2には、最終仕上焼鈍時に適用する MgOを主体とする焼鈍分離剤中に薬剤を配合することによってフォルステライト被膜の形成を抑制する技術が、また特許文献3には、Mnを含有する素材にシリカ、アルミナを主体とする焼鈍分離剤を適用する技術が、それぞれ提案されている。
しかしながら、これらの方法では、コイルの層間における最終仕上焼鈍雰囲気の変動によってフォルステライトが部分的に形成されることが多く、完全にフォルステライトの形成を抑制した製品板を得ることは極めて困難であった。
この点、発明者らは、先に、特許文献4において、インヒビター成分を含有しない高純度素材を用い、固溶窒素の粒界移動抑制効果を利用して二次再結晶を発現させる技術を提案し、また特許文献5において、Cを低減した成分を用い、再結晶焼鈍における雰囲気を低酸化性とすることによって酸化被膜の生成を抑制する技術を提案した。
これらの技術により、フォルステライトを形成しない方向性電磁鋼板を安価に製造することができるようになった。そして、このような方向性電磁鋼板は、表面に硬質なフォルステライト被膜を有しないので、打ち抜き加工性を重視する大型モータや大型発電機用として有利に適合する。
しかしながら、インヒビターを使用せずに製造した場合、インヒビターを使用して製造したものと比べると、得られる磁束密度が低いという問題があった。
そこで、発明者らは、上記の問題を解決すべく、さらに研究を重ねた結果、上述したインヒビターを使用せず、かつフォルステライト被膜を形成しない方向性電磁鋼板の製造方法において、最終仕上焼鈍をCが残存する状態で実施することにより、磁束密度が向上することを新たに究明し、かかる最終仕上焼鈍後に脱炭焼鈍を兼ねる平坦化焼鈍を行うことからなる方向性電磁鋼板の新規な製造方法を開発し、特許文献6において開示した。
特公平6−49948 号公報 特公平6−49949 号公報 特開平8−134542号公報 特開2000−129356号公報 特開2001−32021 号公報 特開2003−34821 号公報
しかしながら、上掲した特許文献6に開示の製造方法においても、表面酸化物の生成状態に応じて、平坦化焼鈍時の脱炭挙動が影響を受け、比較的厚い酸化物が鋼板表層に形成された場合には脱炭が困難となり、磁気特性が劣化する場合があることが判明した。
本発明は、上記の問題を有利に解決するもので、最終仕上焼鈍時に適正な脱炭を可能ならしめることにより、大型のモータや発電機の鉄心材料として理想的な、良好な磁気特性と打抜き加工性を兼ね備える方向性電磁鋼板の有利な製造方法を提案することを目的とする。
さて、発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、最終仕上焼鈍の特定温度域での冷却を徐冷化することにより、鋼中の脱炭を効果的に達成できることの知見を得た。
本発明は、上記の知見に立脚するものである。
すなわち、本発明の要旨構成は次のとおりである。
1.質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0〜8.0 %およびMn:0.005〜3.0 %を含み、かつS,Se量を合計で30 ppm以下に、またAl,N量をそれぞれAl:100 ppm 以下、N:50 ppm以下に低減し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる溶鋼を用いて製造したスラブを、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施し、ついで酸素を含有しない露点:40℃以下の雰囲気中にて再結晶焼鈍を行い、再結晶焼鈍後の鋼中C量を 0.005〜0.025 %の範囲としたのち、必要に応じて焼鈍分離剤を適用して、800 ℃以上の温度で最終仕上焼鈍を行い、この最終仕上焼鈍の冷却途中、 650〜550 ℃の温度域における滞留時間を10時間以上とすることを特徴とする、フォルステライト被膜を有しない方向性電磁鋼板の製造方法。
.前記溶鋼中に、さらに質量%で、Ni:0.005 〜1.50%、Sn:0.01〜0.50%、Sb:0.005 〜0.50%、Cu:0.01〜0.50%、P:0.005 〜0.50%およびCr:0.01〜1.50%のうちから選んだ少なくとも一種を含有させたことを特徴とする上記1記の方向性電磁鋼板の製造方法。
.前記滞留処理により、鋼中C量を50 ppm未満に低減することを特徴とする上記1または2記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
本発明によれば、素材成分のS,Se,Al,N量を低減し、C量を 0.005〜0.025 %残存させたまま最終仕上焼鈍を施し、最終仕上焼鈍の冷却途中 650〜550 ℃間の温度域に10時間以上滞留させることにより、フォルステライト被膜を有しない方向性電磁鋼板において、低鉄損と高磁束密度の両者を安定して得ることができる。
以下、本発明を具体的に説明する。
まず、本発明を由来するに至った実験結果について説明する。
質量%で、C:0.035 %、Si:3.2 %、Mn:0.05%を含み、Al:25 ppm、N:25 ppm、S:12 ppm、Se:3ppm 、その他の成分:30 ppm以下に低減し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になるインヒビター成分を含まない鋼A、およびC:0.032 %、Si:3.2 %、Mn:0.05%を含み、Al:22 ppm、N:28 ppm、S:35 ppm、Se:15 ppm、その他の成分:30 ppm以下に低減し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる鋼Bの各スラブを連続鋳造にて製造した。ついで、1200℃に加熱後、熱間圧延により2.2 mm厚の熱延板とし、この熱延板を 950℃の窒素雰囲気中で60秒均熱したのち、急冷した。ついで、冷間圧延により0.35mmの最終板厚としたのち、水素:50%、窒素:50%、露点:30℃の雰囲気中にて 900℃で均熱30秒の再結晶焼鈍を行った。この再結晶焼鈍により鋼中のC量は 150 ppmに減少した。
続いて最終仕上焼鈍を施した。この最終仕上焼鈍は、露点:−20℃の窒素雰囲気中にて常温から 900℃まで50℃/hの速度で昇温し、900 ℃で50時間保定したのち、所定の温度まで50℃/hの速度で冷却し、この温度に10時間保持したのち、さらに50℃/hの冷却速度で常温まで冷却することにより行った。
図1に、冷却途中の保持温度と冷却後の鋼中C量との関係について調べた結果を示す。同図に示したとおり、(S+Se)量が少ない鋼Aでは、冷却途中の保持温度が 550〜650℃の範囲で鋼中Cが減少することが明らかとなった。
この点、S,Seの低減が不充分な鋼Bでは、鋼中Cの減少量は僅かであった。
なお、鋼Aについて、最終仕上焼鈍後の鋼板表面を観察したところ、粒径:1μm 程度の球状をしたグラファイトが析出していることが判明した。
上述したように、最終仕上焼鈍の冷却途中 550〜650 ℃の温度域に長時間保持することにより、鋼中の脱炭が進行する理由については必ずしも明らかではないが、鋼板最表面でグラファイトが析出し、鋼板表層のC量が低下することにより脱炭反応が進行するものと考えている。
この点、鋼中のS,Se量の低減が不十分の場合には、これらの成分が表面偏析し、グラファイトの析出が抑制されるため、脱炭進行が阻害されるものと推定される。
以下、本発明において、素材であるスラブの成分組成を前記の範囲に限定した理由について説明する。なお、成分に関する「%」表示は特に断らない限り質量%(mass%)を意味する。
C:0.08%以下
C量が溶製段階で0.08%を超えると、再結晶焼鈍時にCを 0.025%以下まで低減するのが難しく、ひいては最終仕上焼鈍時に50 ppm以下まで低減することが困難になるので、Cは0.08%以下に制限した。なお、C量があまりに少ないと再結晶焼鈍後に最低必要なC:0.005 %が得られず、また磁束密度の低下を招くので、C量の下限は 0.005%程度とするのが好ましい。
Si:2.0 〜8.0 %
Siは、鋼の電気抵抗を増大し鉄損を低減するのに有用な元素であるので、2.0 %以上含有させる。しかしながら、含有量が 8.0%を超えると加工性が著しく低下して冷間圧延が困難となる。そこでSi量は 2.0〜8.0 %の範囲に限定した。
Mn:0.005 〜3.0 %
Mnは、熱間加工性を改善するために有用な元素であるが、含有量が 0.005%未満ではその添加効果に乏しく、一方 3.0%を超えると磁束密度の低下を招くので、Mn量は 0.005〜3.0 %の範囲とする。
S,Se量を合計で30 ppm以下
SおよびSeに関しては、最終仕上焼鈍時にこれらが表面偏析して、冷却途中での脱炭を阻害するのを防止するために、合計量で 30ppm以下に制限した。
本発明では、従来知られているAlN等のインヒビターを使用することも可能ではあるが、インヒビターを使用せずに二次再結晶を発現させる方法を適用することが、インヒビター固溶のための高温スラブ加熱や、インヒビター除去のための高温純化焼鈍を省略して簡略な製造工程で低鉄損を得る上で、特に有利である。
そこで、本発明では、インヒビター形成元素であるAlは 100 ppm以下、またNは 50ppm以下好ましくは 30ppm以下に制限した
以上、必須成分および抑制成分について説明したが、本発明では、その他にも以下に述べる元素を適宜含有させることができる。
Ni:0.005 〜1.50%、Sn:0.01〜0.50%、Sb:0.005 〜0.50%、Cu:0.01〜0.50%、P:0.005 〜0.50%、Cr:0.01〜1.50%のうちから選んだ少なくとも一種
Niは、熱延板組織を改善して磁気特性を向上させる有用元素である。しかしながら、含有量が 0.005%未満では磁気特性の向上量が小さく、一方1.50%を超えると二次再結晶が不安定になり磁気特性が劣化するので、Ni量は 0.005〜1.50%とした。
また、Sn,Sb,Cu, P, Crはそれぞれ、鉄損の向上に有用な元素であるが、いずれも上記範囲の下限値に満たないと鉄損の向上効果が小さく、一方上限量を超えると二次再結晶粒の発達が阻害されるので、それぞれSn:0.01〜0.50%,Sb:0.005 〜0.50%,Cu:0.01〜0.50%,P:0.005 〜0.50%,Cr:0.01〜1.5 %の範囲で含有させる必要がある。
次に、本発明の製造工程について説明する。
上記の好適成分組成に調整した溶鋼を、転炉、電気炉等を用いる公知の方法で精錬し、必要があれば真空処理などを施したのち、通常の造塊法や連続鋳造法を用いてスラブを製造する。また、直接鋳造法を用いて 100mm以下の厚さの薄鋳片を直接製造してもよい。
スラブは、通常の方法で加熱して熱間圧延するが、鋳造後、加熱せずに直ちに熱延に供してもよい。また、薄鋳片の場合には、熱間圧延を行っても良いし、熱間圧延を省略してそのまま以後の工程に進めてもよい。
ついで、必要に応じて熱延板焼鈍を施す。ゴス組織を製品板において高度に発達させるためには、熱延板焼鈍温度は 800〜1100℃の範囲が好適である。
熱延板焼鈍後、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施して最終板厚としたのち、再結晶焼鈍を行う。
上記の冷間圧延において、圧延温度を 100〜250 ℃に上昇させて圧延を行うことや、冷間圧延の途中 100〜250 ℃の範囲での時効処理を1回または複数回行うことは、ゴス組織を発達させる上で有効である。
最終冷延後の再結晶焼鈍は、低酸化性または非酸化性雰囲気で 800〜1000℃の範囲で行うことが好適である。ここで、低酸化性または非酸化性雰囲気とは、酸素を含有しない露点:40℃以下、好ましくは露点:0℃以下の雰囲気であり、窒素、Ar、水素およびそれらの混合雰囲気が工業的に使用し易い。
上記の再結晶焼鈍後にC量を 0.005〜0.025 %に調整することが高い磁束密度を確保する上で最も肝要な点である。
すなわち、再結晶焼鈍後のC量が 0.005%未満の場合には、固溶Cによる磁束密度向上効果が得られず、一方 0.025%を超えた場合はγ変態により二次再結晶粒が発達しないので、いずれも磁気特性は大幅に劣化する。
C量を制御する方法としては、製鋼段階でC量をこの範囲に制御し、その後の焼鈍工程をすべて非脱炭雰囲気で行う方法が最も簡便であるが、製鋼段階での低減が困難な場合には、再結晶焼鈍あるいは熱延板焼鈍、中間焼鈍雰囲気を湿潤水素雰囲気とし、適切な時間だけ焼鈍することにより、最終仕上焼鈍までに脱炭して、上記のC量範囲に制御する必要がある。
また、最終冷間圧延後、あるいは再結晶焼鈍後に浸珪法によってにSi量を増加させる技術を併用してもよい。
本発明では、鋼板表面に、フォルステライト(Mg2SiO4)を主体とした下地被膜(グラス被膜)を形成しないことが、良好な打抜き性を確保するための大前提である。
従って、基本的に焼鈍分離剤を適用せずに最終仕上焼鈍を施すことが、フォルステライト(Mg2SiO4)を主体とする下地被膜を有しない均一な表面を得るために特に好ましい。
なお、最終仕上焼鈍に際し、コイルの密着が起こるような高温を要する場合には、焼鈍分離剤を通用するが、その際にはフォルステライトを形成するMgOは使用せず、シリカやアルミナ等を用いる。また、塗布を行う際にも、水分を持ち込まず酸化物生成を抑制する目的で静電塗布を行うことなどが有効である。さらに、耐熱無機材料シート(シリカ、アルミナ、マイカ)を用いてもよい。
最終仕上焼鈍工程において、まず二次再結晶組織を発達させる。最終仕上焼鈍の雰囲気は窒素を含有することが、二次再結晶を発現させるために有用である。そして表面酸化物の生成を抑制して良好な鉄損を得るために低酸化性または非酸化性雰囲気を用いる。最終仕上焼鈍は二次再結晶発現のために 800℃以上で行う必要があるが、 800℃までの昇温速度は、磁気特性に大きな影響を与えないので任意の条件でよい。
そして、この最終仕上焼鈍において、その冷却途中 650〜550 ℃の温度域における滞留時間を10時間以上確保することが鋼中C量を低減するための必須条件である。
そして、この滞留処理により、鋼中C量を50 ppm未満に低減することが特に有利である。
上記の最終仕上焼鈍後に平坦化焼鈍を行って形状を矯正することができる。この平坦化焼鈍は乾燥雰囲気中で行うことが表面酸化を防止して良好な鉄損を得る上で望ましい。
上記の平坦化焼鈍後に表面に絶縁コーティングを施す。ここに、良好な打ち抜き性を確保するためには、樹脂を含有する有機系または半有機系コーティングとするのが望ましいが、溶接性を重視する場合には無機系コーティングを適用しても良い。
本発明による方法は、最終仕上焼鈍の冷却中に鋼中C量を減少させる方法であるので、平坦化焼鈍時には脱炭する必要がなく、また最終仕上焼鈍を湿潤雰囲気とする必要がないため、表面酸化物の生成を効果的に抑制することができ、打ち抜き加工性の確保に有利なだけでなく、磁束密度、鉄損特性とも向上する。
ただし、最終仕上焼鈍後の鋼板表面にはグラファイトが生成しているため、鋼板表層の清浄度を高めるために、洗浄を強化する他、表面研削、酸洗、電解脱脂および電解研磨等を施すことが望ましい。
C:0.020 %、Si:3.2 %、Mn:0.04%およびSb:0.04%を含み、Al:30 ppm,N:35 ppm、その他の成分:30 ppm以下に低減し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になるインヒビター成分を含まないスラブを、1180℃に加熱後、熱間圧延により 2.4mm厚の熱延板とし、ついで 950℃, 30秒間の熱延板焼鈍後、冷間圧延により0.35mmの最終板厚に仕上げた。ついで、水素:25%、窒素:75%、雰囲気露点:−30℃で 900℃、均熱10秒の再結晶焼鈍を行った。再結晶焼鈍後のC量は 190 ppmであった。
ついで、焼鈍分離剤を適用せずに窒素雰囲気中で 875℃までを50℃/hの速度で加熱し、Ar雰囲気に切り替えて 875℃に50時間保持し、その後の冷却途中 650〜550 ℃の温度域における冷却速度を変更することにより、この温度域での滞留時間を種々に変更する最終仕上焼鈍を行った。その後、乾燥窒素−水素混合雰囲気中にて1000℃で10秒間の平坦化焼鈍を行って形状を矯正した後、重クロム酸アルミニウム、エマルジョン樹脂、エチレングリコールを混合したコーティング液を塗布し、 300℃で焼き付けて製品とした。
かくして得られた製品板の圧延方向の磁束密度(B8 )および鉄損(W17/50 )を測定した結果を、表1に示す。
Figure 0004241268
同表に示したとおり、C量を 0.005〜0.025 %残存させたままで最終仕上焼鈍を施し、最終仕上焼鈍の冷却途中 650〜550 ℃の温度域に10時間以上滞留させることにより、磁束密度と鉄損が共に優れたフォルステライト被膜なしの方向性電磁鋼板を得ることができた。
表2に示す成分組成になるスラブを、1125℃に加熱後、熱間圧延により 2.8mm厚の熱延板とした。なお、表2に示されない成分に関してはすべて 50ppm以下に低減した。
ついで、1000℃,均熱30秒の熱延板焼鈍後、冷間圧延により0.30mmの最終板厚に仕上げたのち、水素:50%、窒素:50%、露点:20℃の雰囲気中にて 900℃で均熱20秒の再結晶焼鈍を行った。ついで、焼鈍分離剤を適用せずに窒素雰囲気中にて 900℃まで20℃/hの速度で昇温し,Ar雰囲気に切り替えて 900℃に75時間保持したのち、その後の冷却途中 600℃で10時間保持する最終仕上焼鈍を行った。その後、水素雰囲気中にて 950℃, 20秒間、露点:−35℃の条件で平坦化焼鈍を行ったのち、重クロム酸アルミニウム、エマルジョン樹脂、エチレングリコールを混合したコーティング液を塗布し、300 ℃で焼き付けて製品とした。
かくして得られた製品板の圧延方向の磁束密度(B8 )および鉄損(W17/50 )を測定した結果を、表2に併記する。
Figure 0004241268
同表に示したとおり、本発明の成分組成範囲を満足する素材を用い、最終仕上焼鈍の冷却途中 650〜550 ℃の温度域に10時間以上滞留させることにより、磁束密度と鉄損が共に優れたフォルステライト被膜なしの方向性電磁鋼板を得ることができた。
表3に示す成分組成になるスラブを、1280℃に加熱後、熱間圧延により 2.2mm厚の熱延板とした。なお、表3に示されない成分に関してはすべて 50ppm以下に低減した。
ついで、900 ℃,均熱30秒の熱延板焼鈍後、 250℃の温度の冷間圧延により0.27mmの最終板厚に仕上げたのち、窒素−水素混合雰囲気中にて 900℃で均熱30秒の再結晶焼鈍を行った。ついで、焼鈍分離剤としてコロイダルシリカを適用して、露点:−20℃の窒素雰囲気中にて 900℃まで50℃/hの速度で昇温し、この温度に20時間保持したのち、その後の冷却途中 600℃で10時間保持する最終仕上焼鈍を行った。その後、露点:−20℃の窒素−水素混合雰囲気中にて 900℃, 10秒間の平坦化焼鈍を行ったのち、第1燐酸アルミニウム、アクリル、スチレン樹脂、ホウ酸を混合した組成のコーティング液を塗布し、300 ℃で焼き付けて製品とした。
かくして得られた製品板の圧延方向の磁束密度(B8 )および鉄損(W17/50 )を測定した結果を、表3に併記する。
Figure 0004241268
同表に示したとおり、C量を 0.005〜0.025 %残存させたままで最終仕上焼鈍を施し、最終仕上焼鈍の冷却途中 650〜550 ℃の温度域に10時間以上滞留させることにより、磁束密度と鉄損が共に優れたフォルステライト被膜なしの方向性電磁鋼板を得ることができた。
本発明による方向性電磁鋼板の用途は、大型モータや発電機用の鉄心材料として最適であるが、必ずしもこれだけに限定されるものではなく、打ち抜き加工性を重視する方向性電磁鋼板の用途すべてに適用することができる。また、素材としてインヒビターを使用せず、スラブの高温加熱や高温純化焼鈍を施す必要がないので、低コストにて大量生産可能であるという大きな利点がある。
最終仕上焼鈍の冷却途中における保持温度と最終仕上焼鈍後の鋼中C量との関係を示すグラフである。

Claims (3)

  1. 質量%で、C:0.08%以下、Si:2.0 〜8.0 %およびMn:0.005 〜3.0 %を含み、かつS,Se量を合計で30 ppm以下に、またAl,N量をそれぞれAl:100 ppm 以下、N:50 ppm以下に低減し、残部はFeおよび不可避的不純物の組成になる溶鋼を用いて製造したスラブを、熱間圧延し、必要に応じて熱延板焼鈍を施したのち、1回または中間焼鈍を挟む2回以上の冷間圧延を施し、ついで酸素を含有しない露点:40℃以下の雰囲気中にて再結晶焼鈍を行い、再結晶焼鈍後の鋼中C量を 0.005〜0.025 %の範囲としたのち、必要に応じて焼鈍分離剤を適用して、800 ℃以上の温度で最終仕上焼鈍を行い、この最終仕上焼鈍の冷却途中、 650〜550 ℃の温度域における滞留時間を10時間以上とすることを特徴とする、フォルステライト被膜を有しない方向性電磁鋼板の製造方法。
  2. 前記溶鋼中に、さらに質量%で、Ni:0.005〜1.50%、Sn:0.01〜0.50%、Sb:0.005〜0.50%、Cu:0.01〜0.50%、P:0.005〜0.50%およびCr:0.01〜1.50%のうちから選んだ少なくとも一種を含有させたことを特徴とする請求項1記の方向性電磁鋼板の製造方法。
  3. 前記滞留処理により、鋼中C量を50 ppm未満に低減することを特徴とする請求項1または2記載の方向性電磁鋼板の製造方法。
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