JP2003200749A - 車両の自動変速装置 - Google Patents

車両の自動変速装置

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JP2003200749A
JP2003200749A JP2001400943A JP2001400943A JP2003200749A JP 2003200749 A JP2003200749 A JP 2003200749A JP 2001400943 A JP2001400943 A JP 2001400943A JP 2001400943 A JP2001400943 A JP 2001400943A JP 2003200749 A JP2003200749 A JP 2003200749A
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JP
Japan
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shift
fuel injection
control
injection amount
vehicle speed
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Application number
JP2001400943A
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English (en)
Inventor
Nobuyuki Nishimura
伸之 西村
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Isuzu Motors Ltd
Original Assignee
Isuzu Motors Ltd
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Publication date
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  • Controls For Constant Speed Travelling (AREA)
  • Control Of Vehicle Engines Or Engines For Specific Uses (AREA)
  • Electrical Control Of Air Or Fuel Supplied To Internal-Combustion Engine (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 登坂路等における定速走行制御中のシフトビ
ジーの問題を解消する。 【解決手段】 実車速を設定車速に一致させるようにエ
ンジンの燃料噴射量を制御することにより定速走行制御
を実行すると共に、この定速走行制御中において、実車
速が設定車速より所定値以上下回ったときシフトダウン
制御を実行し、このシフトダウン状態で実車速が設定車
速付近まで上昇し(ステップ104がYES)、且つエン
ジンの燃料噴射量が所定範囲内に入っているとき(ステ
ップ102がYES)、シフトアップ制御を実行する。シ
フトアップ後十分な駆動輪トルクが得られるので車両の
失速が防止され、また簡易な制御でシフトビジーが解消
される。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は車両の自動変速装置
に係り、特に、車両の定速走行を実現する定速走行制御
装置(所謂オートクルーズシステム)を備えた車両の自
動変速装置に関する。
【0002】
【従来の技術】最近ではドライバの負担を軽減するた
め、トラクタや大型トラック等の比較的大型の車両にお
いても自動クラッチや自動変速機を採用する例が多く見
られ、また、アクセル操作無しに一定速での走行を実現
するため、定速走行制御装置を装備する例も多く見られ
る。
【0003】これらの協調制御を実行する場合、ドライ
バにより任意に定められた設定車速に対し実車速が一定
値以上下回ったとき、変速機をシフトダウン制御する。
これにより登坂路等で駆動輪トルクが不足し実車速が設
定車速に対し徐々に落ち込んでいくような場合でも、シ
フトダウンにより高い駆動輪トルクが得られ、車両を加
速して実車速を設定車速付近に復帰させることができ
る。そして、実車速が設定車速付近まで上昇したら変速
機をシフトアップ制御し、元のギヤ段に戻す。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、この制御に
よると次の問題がある。即ち、登坂路等の走行中にシフ
トダウンによって実車速が設定車速付近まで回復し、シ
フトアップが行われても、これによって再度駆動輪トル
クが不足し、車両が失速してシフトダウンが行われ、こ
れによって実車速が設定車速付近まで回復しシフトアッ
プが行われることが繰り返されるという、いわゆるシフ
トビジーの問題がある。
【0005】そこで、以上の問題点に鑑みて本発明は創
案され、その目的は、登坂路等における定速走行制御中
のシフトビジーの問題を解消することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明に係る車両の自動
変速装置は、実車速を設定車速に一致させるようにエン
ジンの燃料噴射量を制御することにより定速走行制御を
実行する定速走行制御手段と、この定速走行制御中にお
いて、実車速が設定車速より所定値以上下回ったとき変
速機のシフトダウン制御を実行し、このシフトダウン状
態において実車速が設定車速付近まで上昇し、且つエン
ジンの燃料噴射量が所定範囲内に入っているとき、変速
機のシフトアップ制御を実行する定速走行時変速制御手
段とを備えたものである。
【0007】ここで、上記定速走行時変速制御手段は、
上記エンジンの燃料噴射量が上記所定範囲内に所定時間
入っているとき、変速機のシフトアップ制御を実行する
のが好ましい。
【0008】また、上記定速走行時変速制御手段は、上
記エンジンの燃料噴射量が上記所定範囲内に入っている
か否かの判断を、実際のエンジン回転数に対する最大燃
料噴射量を所定のマップに従って求め、その最大燃料噴
射量に上記所定範囲を規定する所定の最小割合と最大割
合とを乗じてシフトアップを許容できる燃料噴射量の最
小値と最大値とを求め、この最小値と最大値との間に、
実際の燃料噴射量に相当する最終目標燃料噴射量の値が
入っているか否かを判断することによって行うのが好ま
しい。
【0009】また、上記変速機が7段以上の段数を備え
た多段変速機であるのが好ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態
を添付図面に基づいて詳述する。
【0011】図1に本実施形態に係る車両の自動変速装
置を示す。ここでは車両がトレーラを牽引するトラクタ
であり、エンジン1が電子ガバナ1dを備えたディーゼ
ルエンジンとなっている。図示するように、エンジン1
にクラッチ2を介して変速機3が取り付けられ、変速機
3の出力軸4(図2参照)がプロペラシャフト(図示せ
ず)等を介して駆動輪である後輪(図示せず)に連結さ
れる。エンジン1はエンジンコントロールユニット(E
CU)6によって電子制御される。即ち、ECU6は、
主にエンジン回転センサ7とアクセル開度センサ8とに
よって検知されるエンジン回転数とアクセル開度との値
に基づき、図8のマップに従って目標燃料噴射量を算出
し、この目標燃料噴射量と等しい量の燃料噴射が実際に
行われるように、燃料噴射ポンプ1aの電子ガバナ1d
を制御する。
【0012】図2に示すように、エンジンのクランク軸
にフライホイール1bが取り付けられ、フライホイール
1bの外周にリングギヤ1cが形成され、リングギヤ1
cの歯が通過する度にエンジン回転センサ7がパルスを
出力し、ECU6が単位時間当たりのパルス数をカウン
トしてエンジン回転数を算出する。
【0013】図1に示すように、ここではクラッチ2と
変速機3とがトランスミッションコントロールユニット
(TMCU)9の制御信号に基づいて自動制御される。
ECU6とTMCU9とは互いにバスケーブル等を介し
て接続され、相互に連絡可能である。
【0014】図1、図2、図3に示すように、クラッチ
2は機械式摩擦クラッチであり、入力側をなすフライホ
イール1b、出力側をなすドリブンプレート2a、及び
ドリブンプレート2aをフライホイール1aに押圧接触
又は離反させるプレッシャプレート2bから構成され
る。そしてクラッチ2は、クラッチブースタ10により
プレッシャプレート2bを軸方向に操作し、基本的には
自動断接され、ドライバの負担を軽減し得るものとなっ
ている。一方、微低速バックに際しての微妙なクラッチ
ワークや、非常時のクラッチ急断を可能とするため、こ
こではクラッチペダル11によるマニュアル断接も可能
となっている。所謂セレクティブオートクラッチの構成
である。クラッチ自体のストローク(即ちプレッシャプ
レート2bの位置)を検知するクラッチストロークセン
サ14と、クラッチペダル11の踏込みストロークを検
知するクラッチペダルストロークセンサ16とが設けら
れ、それぞれTMCU9に接続される。
【0015】図3に示すように、クラッチブースタ10
は実線で示す二系統の空圧通路a,bを通じてエアタン
ク5に接続され、エアタンク5から供給される空圧で作
動する。一方の通路aがクラッチ自動断接用、他方の通
路bがクラッチマニュアル断接用である。一方の通路a
が二股状に分岐され、そのうちの一方に自動断接用の電
磁弁MVC1,MVC2が直列に設けられ、他方に非常
用の電磁弁MVCEが設けられる。分岐合流部にダブル
チェックバルブDCV1が設けられる。他方の通路b
に、クラッチブースタ10に付設される油圧作動弁12
が設けられる。両通路a,bの合流部にもダブルチェッ
クバルブDCV2が設けられる。ダブルチェックバルブ
DCV1,DCV2は差圧作動型の三方弁である。
【0016】上記電磁弁MVC1,MVC2,MVCE
はTMCU9によりON/OFF制御され、ONのとき上流側を
下流側に連通し、OFF のとき上流側を遮断して下流側を
大気開放する。まず自動側を説明すると、電磁弁MVC
1は単にイグニッションキーのON/OFFに合わせてON/OFF
されるだけである。イグニッションキーOFF 、つまり停
車中はOFF となり、エアタンク5からの空圧を遮断す
る。電磁弁MVC2は比例制御弁で、供給又は排出エア
量を自由にコントロールできる。これはクラッチの断接
速度制御を行うためである。電磁弁MVC1,MVC2
がともにONだとエアタンク5の空圧がダブルチェックバ
ルブDCV1,DCV2をそれぞれ切り換えてクラッチ
ブースタ10に供給される。これによりクラッチが分断
される。クラッチを接続するときはMVC2のみがOFF
され、これによりクラッチブースタ10の空圧がMVC
2から排出されてクラッチが接続される。
【0017】ところでもし仮にクラッチ分断中に電磁弁
MVC1又はMVC2に異常が生じ、いずれかがOFF と
なると、ドライバの意思に反してクラッチが急接されて
しまう。そこでこのような異常がTMCU9の異常診断
回路で検知されたら、即座に電磁弁MVCEをONする。
すると電磁弁MVCEを通過した空圧がダブルチェック
バルブDCV1を逆に切り換えてクラッチブースタ10
に供給され、クラッチ分断状態が維持され、クラッチ急
接が防止される。
【0018】次にマニュアル側を説明する。クラッチペ
ダル11の踏込み・戻し操作に応じてマスタシリンダ1
3から油圧が給排され、この油圧が破線で示す油圧通路
13aを介して油圧作動弁12に供給される。これによ
って油圧作動弁12が開閉され、クラッチブースタ10
への空圧の給排が行われ、クラッチ2のマニュアル断接
が実行される。油圧作動弁12が開くと、これを通過し
た空圧がダブルチェックバルブDCV2を切り換えてク
ラッチブースタ10に至る。なお、クラッチの自動断接
とマニュアル断接とが干渉した場合はマニュアル断接を
優先させるようになっている。
【0019】図2に詳細に示すように、変速機3は基本
的に常時噛み合い式のいわゆる多段変速機となってお
り、前進16段、後進2段に変速可能である。また変速
機3自体は手動変速機と同様の構成をなす。変速機3は
入力側と出力側とにそれぞれ副変速機としてのスプリッ
タ17及びレンジギヤ19を備え、これらの間にメイン
ギヤ段18を備えている。そして、入力軸15に伝達さ
れてきたエンジン動力をスプリッタ17、メインギヤ段
18、レンジギヤ19へと順に送って出力軸4に出力す
る。
【0020】変速機3を自動変速すべくギヤシフトユニ
ットGSUが設けられ、これはスプリッタ17、メイン
ギヤ段18、レンジギヤ19それぞれの変速を担当する
スプリッタアクチュエータ20、メインアクチュエータ
21及びレンジアクチュエータ22から構成される。こ
れらアクチュエータもクラッチブースタ10同様空圧作
動され、TMCU9によって制御される。変速機3の現
ギヤ段はギヤポジションスイッチ23(図1参照)によ
って検知される。カウンタシャフト32の回転速度がカ
ウンタシャフト回転センサ26で検知され、出力軸4の
回転速度が出力軸回転センサ28で検知される。これら
検知信号はTMCU9に送られる。
【0021】この自動変速機ではマニュアルモードが設
定され、ドライバのシフトチェンジ操作に基づくマニュ
アル変速も可能となっている。この場合、図1に示すよ
うに、クラッチ2の断接制御及び変速機3の変速制御は
運転席に設けられたシフトレバー装置29からの信号を
合図に行われる。即ち、シフトレバー装置29には、シ
フトレバー29aのマニュアル操作に応じて信号を出力
するシフトスイッチ(図示せず)が内蔵されており、ド
ライバがシフトレバー29aをシフト操作すると、信号
がTMCU9に送られ、これを基にTMCU9はクラッ
チブースタ10、スプリッタアクチュエータ20、メイ
ンアクチュエータ21及びレンジアクチュエータ22を
適宜作動させ、一連の変速操作を実行する。なおTMC
U9は現ギヤ段をモニター31に表示する。このように
マニュアルモードに限って言えば、かかる自動変速機
は、シフトスイッチの出力信号に基づいてTMCU9に
より変速制御される遠隔操作型の手動変速機となってい
る。つまりシフトケーブル等機械的連結手段を介すこと
なく、アクチュエータにより、ドライバの指示段に手動
変速機を自動変速するものとなっている。
【0022】図1に示すシフトレバー装置29におい
て、Rはリバース、Nはニュートラル、Dはドライブ、
UPはシフトアップ、DOWNはシフトダウンをそれぞ
れ意味し、各ポジションにシフトレバー29aが操作さ
れると、それらポジションに応じた信号が出力される。
また運転席に、変速モードを自動とマニュアルに切り換
えるモードスイッチ24と、変速を1段ずつ行うか1段
飛ばしで行うかを切り換えるスキップスイッチ25とが
設けられる。
【0023】自動変速モードのとき、シフトレバー29
aをDレンジに入れておけば車速等に応じて自動的に変
速が行われる。またこの自動変速モードでも、ドライバ
がシフトレバー29aをUP又はDOWNに操作すれ
ば、マニュアルでのシフトアップ又はシフトダウンが可
能である。この自動変速モードにおいて、スキップスイ
ッチ25がOFF (通常モード)なら変速は1段ずつ行わ
れる。これはトレーラ牽引時等、積載荷重が比較的大き
いときに有効である。またスキップスイッチ25がON
(スキップモード)なら変速は1段飛ばしで行われる。
これはトレーラを牽引してないときや荷が軽いときなど
に有効である。
【0024】一方、マニュアル変速モードのときは、変
速は完全にドライバの意思に従う。シフトレバー29a
がDレンジのときは変速は行われず、現在ギヤが保持さ
れ、ドライバの積極的な意思でシフトレバー29aをU
P又はDOWNに操作したときのみ、シフトアップ又は
シフトダウンがなされる。このときも前記同様、スキッ
プスイッチ25がOFF なら変速は1段ずつ行われ、スキ
ップスイッチ25がONなら変速は1段飛ばしで行われ
る。
【0025】なお、運転席に非常用変速スイッチ27が
設けられ、GSUの電磁弁等が故障したときはスイッチ
27の手動切換により変速できるようになっている。
【0026】図2に示すように、変速機3にあっては、
入力軸15、メインシャフト33及び出力軸4が同軸上
に配置され、カウンタシャフト32がそれらの下方に平
行配置される。入力軸15がクラッチ2のドリブンプレ
ート2aに接続され、入力軸15とメインシャフト33
とが相対回転可能に支持される。
【0027】まずスプリッタ17とメインギヤ段18の
構成を説明する。入力軸15にスプリットハイギヤSH
が回転可能に取り付けられる。またメインシャフト33
にも前方から順にメインギヤM4,M3,M2,M1,
MRが回転可能に取り付けられる。MRを除くギヤS
H,M4,M3,M2,M1は、それぞれカウンタシャ
フト32に固設されたカウンタギヤCH,C4,C3,
C2,C1に常時噛合される。ギヤMRはアイドルリバ
ースギヤIRに常時噛合され、アイドルリバースギヤI
Rはカウンタシャフト32に固設されたカウンタギヤC
Rに常時噛合される。
【0028】入力軸15及びメインシャフト33に取り
付けられた各ギヤSH,M4…に、当該ギヤを選択し得
るようスプライン36が一体的に設けられ、これらスプ
ライン36に隣接して入力軸15及びメインシャフト3
3に第1〜第4スプライン37〜40が固設される。第
1〜第4スプライン37〜40に常時係合して第1〜第
4スリーブ42〜45が前後(シフト方向)にスライド
可能に設けられる。第1〜第4スリーブ42〜45を適
宜選択してスライド移動させ、ギヤ側スプライン36と
係合・離脱させることによりギヤ入れ・ギヤ抜きを行え
る。第1スリーブ42の移動をスプリッタアクチュエー
タ20で行い、第2〜第4スリーブ43〜45の移動を
メインアクチュエータ21で行う。
【0029】このように、スプリッタ17とメインギヤ
段18とは各アクチュエータ20,21によって自動変
速され得る常時噛み合い式の構成とされる。特に、スプ
リッタ17のスプライン部には通常の機械的なシンクロ
機構が存在するものの、メインギヤ段18のスプライン
部にはシンクロ機構が存在しない。このため、メインギ
ヤ段18の変速を行うときにはシンクロ制御なるものを
行ってエンジン回転とギヤ速度とを調速し、シンクロ機
構なしで同期できるようになっている。ここではメイン
ギヤ段18以外にスプリッタ17にもニュートラルポジ
ションが設けられ、所謂ガラ音対策がなされている(特
願平11-319915 号参照)。
【0030】次にレンジギヤ19の構成を説明する。レ
ンジギヤ19は遊星歯車機構34を採用しており、ハイ
・ローいずれかのポジションに切り替えることができ
る。遊星歯車機構34は、メインシャフト33の最後端
に固設されたサンギヤ65と、その外周に噛合される複
数のプラネタリギヤ66と、プラネタリギヤ66の外周
に噛合される内歯を有したリングギヤ67とからなる。
各プラネタリギヤ66は共通のキャリア68に回転可能
に支持され、キャリア68は出力軸4に連結される。リ
ングギヤ67は管部69を一体的に有し、管部69は出
力軸4の外周に相対回転可能に嵌め込まれて出力軸4と
ともに二重軸を構成する。
【0031】第5スプライン41が管部69に一体的に
設けられる。また第5スプライン41の後方に隣接し
て、出力軸4に出力軸スプライン70が一体的に設けら
れる。第5スプライン41の前方に隣接して、ミッショ
ンケース側に固定された固定スプライン71が設けられ
る。第5スプライン41に常時係合して第5スリーブ4
6が前後スライド可能に設けられる。第5スリーブ46
の移動がレンジアクチュエータ22で行われる。レンジ
ギヤ19の各スプライン部にはシンクロ機構が存在す
る。
【0032】第5スリーブ46が前方に移動するとこれ
が固定スプライン71に係合し、第5スプライン41と
固定スプライン71とが連結される。これによりリング
ギヤ67がミッションケース側に固定され、出力軸4が
1より大きい減速比で回転駆動されるようになる。これ
がローのポジションである。
【0033】一方、第5スリーブ46が後方に移動する
とこれが出力軸スプライン70に係合し、第5スプライ
ン41と出力軸スプライン70とが連結される。これに
よりリングギヤ67とキャリア68とが互いに固定さ
れ、出力軸4が1の減速比で直結駆動されるようにな
る。これがハイのポジションである。
【0034】このように、この変速機3では、前進側に
おいて、スプリッタ17でハイ・ローの2段、メインギ
ヤ段18で4段、レンジギヤ19でハイ・ローの2段に
変速可能であり、計2×4×2=16段に変速すること
ができる。また後進側では、スプリッタ17のみでハイ
・ローを切り替えて2段に変速することができる。
【0035】次に、各アクチュエータ20,21,22
について説明する。これらアクチュエータはエアタンク
5の空圧で作動する空圧シリンダと、空圧シリンダへの
空圧の給排を切り替える電磁弁とで構成される。そして
これら電磁弁がTMCU9で選択的に切り替えられ、空
圧シリンダを選択的に作動させるようになっている。
【0036】スプリッタアクチュエータ20は、ダブル
ピストンを有した空圧シリンダ47と三つの電磁弁MV
H,MVF,MVGとで構成される。スプリッタ17を
ニュートラルにするときはMVH/ON,MVF/OF
F,MVG/ONとされる。スプリッタ17をハイにす
るときはMVH/OFF,MVF/OFF,MVG/O
Nとされる。スプリッタ17をローにするときはMVH
/OFF,MVF/ON,MVG/OFFとされる。
【0037】メインアクチュエータ21は、ダブルピス
トンを有しセレクト側の動作を担当する空圧シリンダ4
8と、シングルピストンを有しシフト側の動作を担当す
る空圧シリンダ49とを備える。各空圧シリンダに対し
三つずつ電磁弁MVC,MVD,MVE及びMVB,M
VAが設けられる。
【0038】セレクト側空圧シリンダ48は、MVC/
OFF,MVD/ON,MVE/OFFのとき図の下方
に移動し、メインギヤの3rd、4th又はN3を選択
可能とし、MVC/ON,MVD/OFF,MVE/O
Nのとき図示の如き中立となり、メインギヤの1st、
2nd又はN2を選択可能とし、MVC/ON,MVD
/OFF,MVE/OFFのとき図の上方に移動し、メ
インギヤのRev又はN1を選択可能とする。
【0039】シフト側空圧シリンダ49は、MVA/O
N,MVB/ONのとき中立となり、メインギヤのN
1、N2又はN3を選択可能とし、MVA/ON,MV
B/OFFのとき図の左側に移動し、メインギヤの2n
d,4th又はRevを選択可能とし、MVA/OF
F,MVB/ONのとき図の右側に移動し、メインギヤ
の1st又は3rdを選択可能とする。
【0040】レンジアクチュエータ22は、シングルピ
ストンを有した空圧シリンダ50と二つの電磁弁MV
I,MVJとで構成される。空圧シリンダ50は、MV
I/ON,MVJ/OFFのとき図の右側に移動し、レ
ンジギヤをハイとし、MVI/OFF,MVJ/ONの
とき図の左側に移動し、レンジギヤをローとする。
【0041】ところで、上記シンクロ制御に際してカウ
ンタシャフト32を制動するため、カウンタシャフト3
2にはカウンタシャフトブレーキ27が設けられる。カ
ウンタシャフトブレーキ27は湿式多板ブレーキであっ
て、エアタンク5の空圧で作動する。この空圧の給排を
切り替えるため電磁弁MV BRKが設けられる。電磁
弁MV BRKがONのときカウンタシャフトブレーキ
27に空圧が供給され、カウンタシャフトブレーキ27
が作動状態となる。電磁弁MV BRKがOFFのとき
にはカウンタシャフトブレーキ27から空圧が排出さ
れ、カウンタシャフトブレーキ27が非作動となる。
【0042】次に、自動変速制御の内容を説明する。T
MCU9には図4に示すシフトアップマップと図5に示
すシフトダウンマップとがメモリされており、TMCU
9は、自動変速モードの場合において、これらマップに
従って自動変速を実行する。例えば図4のシフトアップ
マップにおいて、ギヤ段n(nは1から15までの整
数)からn+1へのシフトアップ線図がアクセル開度
(%)と出力軸(アウトプットシャフト)回転数(rpm
)との関数で決められている。そしてマップ上では現
在のアクセル開度(%)と出力軸回転数(rpm )とから
ただ1点が定まる。車両加速中は、駆動輪に連結された
出力軸4の回転数が次第に増加していく。そこで通常の
自動変速モードでは、現在の1点が各線図を越える度に
1段ずつシフトアップを行うこととなる。このときスキ
ップモードであれば線図を交互に1本ずつ飛ばして2段
ずつシフトアップを行う。
【0043】図5のシフトダウンマップにおいても同様
に、ギヤ段n+1(nは1から15までの整数)からn
へのシフトダウン線図がアクセル開度(%)と出力軸回
転数(rpm )との関数で決められている。そしてマップ
上では現在のアクセル開度(%)と出力軸回転数(rpm
)とからただ1点が定まる。車両減速中は出力軸4の
回転数が次第に減少していくので、通常の自動変速モー
ドでは、現在の1点が各線図を越える度に1段ずつシフ
トダウンを行う。スキップモードであれば線図を交互に
1本ずつ飛ばして2段ずつシフトダウンする。
【0044】一方、マニュアルモードのときは、これら
マップと無関係にドライバが自由にシフトアップ・ダウ
ンを行える。通常モードなら1回のシフトチェンジ操作
で1段変速でき、スキップモードなら1回のシフトチェ
ンジ操作で2段変速できる。
【0045】現在のアクセル開度はアクセル開度センサ
8により検知され、現在の出力軸回転数は出力軸回転セ
ンサ28により検知される。特に、TMCU9は、現在
の出力軸回転数の値から現在の車速を換算し、これをス
ピードメータに表示する。つまり車速が出力軸回転数か
ら間接的に検知され、出力軸回転数と車速とは相互に対
応している。
【0046】次に、本装置には車両の定速走行を実現す
るための定速走行制御装置が装備されている。ここでは
制御を司るクルーズコントローラ6aがECU6と兼用
される。
【0047】まず定速走行制御の基本制御の内容を図1
0により説明する。ドライバにより設定車速が設定され
ると、この設定車速に実車速が一致するようにエンジン
の燃料噴射量が制御される。
【0048】即ち、図9に示すように、実車速Vrと設
定車速Vsとの差Vr−Vsが計算され、この差に基づ
き、比例項と積分ゲインとが各々に対応したマップ等か
ら求められ、比例項×差と、積分ゲイン×差の積算値と
の和Vtにより、図8に示したマップとは別のマップか
ら、定速走行制御用目標燃料噴射量(以下「クルーズ
Q」という)が算出される。このクルーズQに等しい燃
料噴射が実際に行われるように電子ガバナ1dが制御さ
れる。このようなクルーズQの算出は所定時間(例えば
32msec)毎に繰り返し行われる。ここでの制御はPI制
御によるものである。
【0049】一方、定速走行制御中にも図8に示したマ
ップにより通常通り目標燃料噴射量が計算されている。
そしてこの値(「アクセルQ」という)がクルーズQを
上回った場合はアクセルQが最終的な目標燃料噴射量と
なる。アクセルQとクルーズQのいずれか大きい方が最
終目標燃料噴射量となるのである。定速走行制御中は通
常はアクセルが踏み込まれていないのでクルーズQに基
づく制御となるが、ドライバが加速しようとしてアクセ
ルを踏み込んだ場合、アクセルQがクルーズQを上回れ
ばアクセルQに基づく制御となる。
【0050】そして、図10に示すように、定速走行制
御中に登坂路に差し掛かるなどして実車速が設定車速に
対し所定値以上下回ったら、変速機の1段のシフトダウ
ン制御を行う。最初のシフトダウン条件は、設定車速V
s>(実車速Vr+所定値Vsd1(ここでは3km/
h))が成立すること、即ち設定車速Vsから所定値V
sd1を減じた値より実車速Vrが小さくなるである。
このシフトダウンによってより大きな駆動輪トルクが得
られるので、通常は実車速が上昇していく。そして実車
速が設定車速付近まで回復し、シフトアップ条件が成立
したら変速機の1段のシフトアップ制御を行い、変速機
を車速設定時の元のギヤ段に戻す。シフトアップ条件は
設定車速Vs≦(実車速Vr+所定値Vsu(ここでは
0.5km/h))が成立すること、即ち実車速Vrが、設定
車速Vsから所定値Vsuを減じた値以上となることで
ある。
【0051】なお、最初のシフトダウンによっても駆動
輪トルクが不足し、さらに実車速が落ち込んでいくよう
な場合、次のシフトダウン条件:設定車速Vs>(実車
速Vr+所定値Vsd2(ここでは8km/h))が成立し
たら、さらなる変速機の1段のシフトダウン制御を行
う。このように、実車速と設定車速との速度差に基づき
変速機の自動シフトダウン・シフトアップを行うもので
ある。
【0052】このような定速走行制御中の変速制御は変
速モードが自動変速モードのときのみ行われ、マニュア
ルモードのときは行われない。また、スキップモードで
あっても通常モードであっても、シフトダウン・アップ
は1段ずつ行われる。
【0053】なお、定速走行制御中は図4,図5のマッ
プを用いず、専ら実車速と設定車速との差に基づいてシ
フトダウン・アップを行っている。これは、図4,図5
のマップを用いると変速点(マップの各線図)の近傍で
車速が設定されたときに、僅かの車速変化でシフトダウ
ンが行われてしまい、フィーリングが良くないからであ
る。特に本実施形態ではギヤ段が多段であり、段間差が
小さく、変速点近傍で車速設定される可能性が通常のギ
ヤ段数の車両より高いので、このような方法が好適であ
る。
【0054】次に、図6に定速走行制御装置の構成を示
す。定速走行制御装置80はECU6(クルーズコント
ローラ6a)と、これに接続される各スイッチ81〜8
5及び各ランプ81a,81bで構成される。
【0055】81はメインスイッチで、これがドライバ
によりONされることで定速走行制御スタンバイ状態と
なり、運転室のメインランプ81aが点灯される。なお
スタンバイ状態の解除はメインスイッチ81のOFF又
はキースイッチのOFFにより行われ、解除と同時にメ
インランプ81aが消灯される。82はセットスイッチ
で、これがドライバによりONされると同時に設定車速
が設定され、定速走行制御開始となり、運転室のセット
ランプ82aが点灯される。83はキャンセルスイッチ
で、これがドライバによりONされると定速走行制御解
除となる。定速走行制御解除と同時にセットランプ82
aが消灯される。84はコーストスイッチで、これがド
ライバによりONされている間はクルーズQ=0とな
り、車両が惰行状態となる。この状態からドライバによ
りコーストスイッチ85がOFFされると、その時の実
車速が新たな設定車速として更新設定される。85はリ
ジュームスイッチで、これがドライバによりONされる
と、設定車速がセットスイッチON時の最初の値に復帰
される。
【0056】なお、周知のように、定速走行制御の解除
は、他にもメインスイッチ81のOFF、ブレーキペダ
ルの踏み込み(ブレーキスイッチON)、又はクラッチ
ペダル11の踏み込み(クラッチペダルストロークセン
サ16の値が所定値以上)によって行われる。
【0057】ところで、本装置では上述のように定速走
行制御中に実車速と設定車速との差に基づき変速機の自
動シフトダウン・シフトアップを行うので、既述の通
り、登坂路等でシフトダウンとシフトアップとが繰り返
されるというシフトビジーの問題がある。そこでこれを
防止するため以下の制御を実行し、以下の条件が全て満
たされた場合に限ってシフトアップを実行するようにし
ている。
【0058】図11にかかるシフトアップ制御のフロー
チャートを示す。このフローはTMCU9により所定時
間(例えば32msec)毎に実行される。
【0059】まずTMCU9は、ステップ101におい
て、定速走行制御中であるか否かを判断する。定速走行
制御中である場合はステップ102に進み、定速走行制
御中でない場合はステップ109に進んで制御タイマを
0とした後、本フローを終える。
【0060】ステップ102は本発明に係る最も特徴的
な部分で、このステップでは、エンジンの燃料噴射量が
所定範囲に入っているか否かを判断する。より具体的に
は、ECU6によって算出された最終目標燃料噴射量
(クルーズQとアクセルQのうちいずれか大きい方)Q
tfnlが、後述のように求められる燃料噴射量の最小
しきい値Qsminと最大しきい値Qsmaxとの間に
入っているか否か、即ちQsmin≦Qtfnl≦Qs
maxが成立しているか否かを判断している。このステ
ップ102では実質的に、シフトアップ後に車両を失速
させぬような十分な駆動輪トルクが得られるか否かを判
断しており、特に最大値Qsmaxはそのような十分な
駆動輪トルクが得られるとする最大の値である。本実施
形態では最小値Qsminと最大値Qsmaxとを、実
際のエンジン回転数に対する最大燃料噴射量(フルQ)
のPqmin%(本実施形態では20%)及びPqma
x%(本実施形態では70%)としている。Pqmi
n、Pqmaxは予め設定される一定値である。
【0061】これをより詳しく説明すると次の通りであ
る。図7は、エンジンにおけるエンジン回転数とその回
転数毎の最大トルクとの関係を示した線図であるが、最
大トルク線図(実線)上では、各回転数毎の目標燃料噴
射量(アクセルQ)がアクセル開度100%のときの
値、即ち最大燃料噴射量(フルQ)となっている。よっ
て制御上は、検出された実際のエンジン回転数Nerか
ら図8のマップに従ってその回転数Nerにおける最大
燃料噴射量を読込み、これに最小割合Pqmin%及び
最大割合Pqmax%を乗じて最小しきい値Qsmin
及び最大しきい値Qsmaxを決定し、これらしきい値
Qsmin及びQsmaxと最終目標燃料噴射量Qtf
nlとを比較する。そしてQsmin≦Qtfnl≦Q
smaxが成立していれば十分な駆動輪トルクを得られ
るとみなしてステップ103に進み、非成立なら十分な
駆動輪トルクを得られないとみなしてステップ109を
経て本フローを終える。
【0062】ステップ103では、現ギヤ段が定速走行
制御開始時のギヤ段(クルーズ開始ギヤ段)G0より小
さいか否かを判断する。即ち、小さい場合とは既にシフ
トダウンが行われたことを意味するので、シフトアップ
して元のギヤ段に戻す必要があるからである。現ギヤ段
がクルーズ開始ギヤ段G0より小さい場合はステップ1
04に進み、そうでない場合はステップ109を経て本
フローを終える。
【0063】ここで、クルーズ開始ギヤ段G0の設定方
法を説明する。図12はこのためのフローである。この
フローもTMCU9により所定時間(例えば32msec)毎
に実行される。
【0064】まずTMCU9は、ステップ201におい
て、定速走行制御中であるか否かを判断する。定速走行
制御中でない場合はステップ202に進み、制御フラグ
をOFFして本フローを終える。定速走行制御中である
場合はステップ203に進み、制御フラグがOFFか否
かを判断する。OFFのときはステップ204に進んで
現ギヤ段をクルーズ開始ギヤ段G0とし、この後ステッ
プ205に進んで制御フラグをONにした後本フローを
終える。ステップ203で制御フラグがOFFでないと
き(つまりONのとき)はそのまま本フローを終える。
【0065】これによると、まず定速走行制御開始前は
ステップ201,202と進み制御フラグOFFであ
る。そして定速走行制御開始後1回目の本フロー実行時
に、ステップ201,203,204,205と進み、
そのときのギヤ段がクルーズ開始ギヤ段G0として入力
され、制御フラグONとなる。2回目以降は、制御フラ
グONなので、ステップ201,203と進み、クルー
ズ開始ギヤ段G0の値が保持される。
【0066】さて、図11に戻って、ステップ104で
はシフトアップの車速条件が成立しているか否か、即ち
設定車速Vs≦(実車速Vr+所定値Vsu(0.5km/
h))が成立しているか否かを判断する。非成立の場合
はステップ109を経て本フローを終える。成立の場合
は、ステップ105に進み、制御タイマをインクリメン
ト(加算)する。そしてステップ106に進み、制御タ
イマの値が所定時間ts(本実施形態では1sec)を越
えているか否かを判断する。越えていなければ本フロー
を終え、越えていればステップ107に進む。つまり、
ここではステップ101〜104の条件成立状態が一定
時間ts継続しているかどうかを判断しており、言い換
えれば、その時間tsの経過を待ってからシフトアップ
を行い、その時間tsの経過前はシフトアップを禁止し
ている。これは制御の安定等のためである。
【0067】ステップ107に進んだときは制御タイマ
を0に初期化し、この後ステップ108に進んで目標ギ
ヤ段を現ギヤ段より1速高い値に設定する。これによっ
て本フローは終了し、この後図示しない別フローに従っ
て実際の自動シフトアップが実行される。
【0068】なお、以上の制御においてはECU6とT
MCU9との間における双方向のデータ通信が適宜行わ
れる。例えば、ステップ101における定速走行制御中
であるか否かのデータ、ステップ102における最終目
標燃料噴射量Qtfnlのデータ、及び図8のマップに
基づく最大燃料噴射量のデータは、ECU6からTMC
U9に取り込まれるものである。
【0069】また、ステップ106等に示される所定時
間継続という条件は任意的条件で、可能であれば省略し
ても構わない。
【0070】このように、かかるシフトアップ制御によ
れば、ステップ102に示す如く、シフトアップしたと
しても十分な駆動輪トルクが得られるような所定範囲に
エンジンの燃料噴射量が入っている場合にのみ、シフト
アップが実行されるので、シフトアップ後の車両の失速
が防止され、再度のシフトダウン・シフトアップが繰り
返されるというシフトビジーの問題が解消される。
【0071】そして、変速機の型式やギヤ段数、ギヤ段
位置、ギヤ比等に拘わらず、エンジンの燃料噴射量が所
定範囲に入っているかどうかだけでシフトアップの可否
を判断できるので、簡易な判断、制御が可能であり、チ
ューニングの容易化も可能となる。そして異なる型式等
の変速機にも同様のソフトが即座に流用でき、汎用性も
増すものである。
【0072】特に、本実施形態のようなギヤ段数の多い
多段変速機では、各ギヤ段の段間差が小さいので、燃料
噴射量の比較だけでもシフトアップの可否を判断できる
ということがいえる。具体的には、予め設定された最小
割合Pqmin%及び最大割合Pqmax%によって規
定される最小しきい値Qsmin及び最大しきい値Qs
maxの間に、最終目標燃料噴射量Qtfnlが入って
いるかどうかを判断するだけで、シフトアップの可否を
判断できる。従ってこの方法は、段間差の小さい変速
機、概して多段変速機に特に有効である。そして多段変
速機としては少なくとも7段以上の段数を備えるもの
が、段間差が小さいということが言え、望ましい。
【0073】なお、シフトビジーの問題はシフトアップ
後車両が失速するような場合に起こり得るので、その原
因としては登坂路といった路面状況の他、積載荷重、車
速、風の影響等も考えられる。
【0074】ここで、従来技術として特公平8−254
07号公報に開示されたものがある。これは現在のエン
ジン回転数及びスロットル開度及び変速段から、アップ
シフトした場合の変速段の駆動力を判断し、必要な駆動
力が得られる場合のみアップシフトを許容するというも
のである。しかし、これによるとアップシフトした場合
の駆動力の計算に変速段毎、スロットル開度毎、車速毎
に定められたマップを用いており、制御が複雑でチュー
ニングも非常に煩雑であると共に、ギヤ比の異なる変速
機には再度煩雑なチューニングを行わないと流用するこ
とができないという欠点がある。本制御では、制御やチ
ューニングが簡易である上、燃料噴射量の範囲(本実施
形態では最小割合Pqmin%及び最大割合Pqmax
%の値)を設定し直すだけでギヤ比の異なる変速機にも
容易に流用できるという利点がある。
【0075】また、従来技術として特開平1−1145
48号公報に開示されたものがある。これは変速前のス
ロットル開度に基づいてトルク余裕度を検出すると共
に、その値に基づいて変速後のトルク余裕度を予測し、
予測値が設定範囲外となるときはシフトアップを禁止す
るというものである。しかし、これによると、変速後の
トルク余裕度を予測する際に、シフトアップ前(3速)
のスロットル開度Tv3と、シフトアップ後(4速)同
一車速となるスロットル開度Tv4との関係を定めるマ
ップを用いており、このマップがシフトアップ前後のギ
ヤ比に大きく影響してくることから、やはりギヤ比の異
なる変速機には煩雑なチューニングを行わないと流用す
ることができず、また、シフトアップギヤ段毎にマップ
を作成しなければならないという煩雑さがある。本制御
では、ギヤ比の異なる変速機にも容易に流用でき、ま
た、シフトアップギヤ段が異なっても一律同じ値を使用
できるのでチューニング等が大変容易であるという利点
がある。
【0076】なお、本発明は他にも様々な実施形態を採
ることができる。例えばエンジンはディーゼル、ガソリ
ン等の種別を問わない。ディーゼルならコモンレール式
等が考えられ、ガソリンなら定速走行制御中スロットル
又はアクセルアクチュエータによりスロットル開度又は
アクセル開度を制御するものが考えられる。また別マッ
プによるクルーズQを用いず、疑似的なアクセル開度と
図8に示したような通常マップとを用いて定速走行制御
中の燃料噴射制御を実行するものも可能である。図9に
示したクルーズQの算出方法はPI制御によるものであ
ったが、これに限らずPID制御等としてもよい。自動
変速機も上述のものに限られず、少なくとも自動変速可
能なものであれば、マニュアル変速モードの無いものや
スキップモードの無いのものも可能である。車両も大型
車両に限らず、小型トラック、乗用車等が可能である。
上記各数値は代表例であり、適宜変更が可能である。
【0077】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、登坂路等
における定速走行制御中のシフトビジーの問題を解消で
きるという、優れた効果が発揮される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る車両の自動変速装置を示す構
成図である。
【図2】同スケルトン図である。
【図3】自動クラッチ装置を示す構成図である。
【図4】シフトアップマップである。
【図5】シフトダウンマップである。
【図6】定速走行制御装置の構成図である。
【図7】最終目標燃料噴射量と燃料噴射量の最小しきい
値及び最大しきい値との比較方法を示す図である。
【図8】目標燃料噴射量(アクセルQ)算出マップであ
る。
【図9】定速走行制御中の目標燃料噴射量(クルーズ
Q)の算出方法を示すブロック図である。
【図10】定速走行制御の基本制御の内容を示すタイム
チャートである。
【図11】本発明に係るシフトアップ制御の内容を示す
フローチャートである。
【図12】クルーズ開始ギヤ段の設定方法を示すフロー
チャートである。
【符号の説明】
3 変速機 6 エンジンコントロールユニット(ECU) 6a クルーズコントローラ 7 エンジン回転センサ 8 アクセル開度センサ 9 トランスミッションコントロールユニット(TMC
U) 20 スプリッタアクチュエータ 21 メインアクチュエータ 22 レンジアクチュエータ 28 出力軸回転センサ 80 定速走行制御装置 GSU ギヤシフトユニット Vr 実車速 Vs 設定車速 Vsd1、Vsd2、Vsu 所定値(速度差) Qtfnl 最終目標燃料噴射量 Qsmin 燃料噴射量の最小しきい値 Qsmax 燃料噴射量の最大しきい値 Pqmin 最小割合 Pqmax 最大割合 ts 所定時間 Ner 実際のエンジン回転数
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) F02D 29/02 301 F02D 29/02 301C 41/04 380 41/04 380G F16H 61/16 F16H 61/16 // F16H 59:34 59:34 59:42 59:42 59:44 59:44 63:20 63:20 Fターム(参考) 3D041 AA32 AA39 AA51 AB02 AC02 AC11 AC17 AD02 AD07 AD09 AD10 AD20 AD31 AD51 AE03 AE07 AE12 AE16 AE32 AF01 3D044 AA01 AA42 AA45 AB01 AC03 AC05 AC16 AC22 AC26 AD06 AD14 AD17 AE04 AE21 3G093 AA04 AB01 BA03 BA15 BA23 CA09 CB02 CB10 DA01 DA06 DA10 DB05 DB11 EA02 EA03 EA05 EB03 FA04 3G301 HA02 JA04 JA22 JA34 KA21 KB10 LB11 MA11 NC02 ND01 PA17Z PB03Z PE01Z PF01Z PF03Z PF06Z PF07Z 3J552 MA04 MA13 NA01 NB01 PA19 QA06C QA26C RB11 SA26 SB13 TB01 VA66Z VB01W VC01W VC06W VD02Z VD11Z

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 実車速を設定車速に一致させるようにエ
    ンジンの燃料噴射量を制御することにより定速走行制御
    を実行する定速走行制御手段と、該定速走行制御中にお
    いて、実車速が設定車速より所定値以上下回ったとき変
    速機のシフトダウン制御を実行し、このシフトダウン状
    態において実車速が設定車速付近まで上昇し、且つエン
    ジンの燃料噴射量が所定範囲内に入っているとき、変速
    機のシフトアップ制御を実行する定速走行時変速制御手
    段とを備えたことを特徴とする車両の自動変速装置。
  2. 【請求項2】 上記定速走行時変速制御手段は、上記エ
    ンジンの燃料噴射量が上記所定範囲内に所定時間入って
    いるとき、変速機のシフトアップ制御を実行する請求項
    1記載の車両の自動変速装置。
  3. 【請求項3】 上記定速走行時変速制御手段は、上記エ
    ンジンの燃料噴射量が上記所定範囲内に入っているか否
    かの判断を、実際のエンジン回転数に対する最大燃料噴
    射量を所定のマップに従って求め、その最大燃料噴射量
    に上記所定範囲を規定する所定の最小割合と最大割合と
    を乗じてシフトアップを許容できる燃料噴射量の最小値
    と最大値とを求め、この最小値と最大値との間に、実際
    の燃料噴射量に相当する最終目標燃料噴射量の値が入っ
    ているか否かを判断することによって行う請求項1又は
    2記載の車両の自動変速装置。
  4. 【請求項4】 上記変速機が7段以上の段数を備えた多
    段変速機である請求項1乃至3いずれかに記載の車両の
    自動変速装置。
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