JP2003200350A - 硬質炭素被覆膜の脱膜方法及び再生方法並びに再生基材 - Google Patents

硬質炭素被覆膜の脱膜方法及び再生方法並びに再生基材

Info

Publication number
JP2003200350A
JP2003200350A JP2001396544A JP2001396544A JP2003200350A JP 2003200350 A JP2003200350 A JP 2003200350A JP 2001396544 A JP2001396544 A JP 2001396544A JP 2001396544 A JP2001396544 A JP 2001396544A JP 2003200350 A JP2003200350 A JP 2003200350A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
coating film
hard carbon
carbon coating
base material
hard
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2001396544A
Other languages
English (en)
Other versions
JP3997084B2 (ja
Inventor
Norihiro Katou
範博 加藤
Masaru Sonobe
園部  勝
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nachi Fujikoshi Corp
Original Assignee
Nachi Fujikoshi Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nachi Fujikoshi Corp filed Critical Nachi Fujikoshi Corp
Priority to JP2001396544A priority Critical patent/JP3997084B2/ja
Publication of JP2003200350A publication Critical patent/JP2003200350A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP3997084B2 publication Critical patent/JP3997084B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Physical Vapour Deposition (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 切削工具、金型等の基材上に被覆された硬質
炭素被覆膜(DLC)を低コストで、綺麗に除去し、再
生し、工具等として再使用する。 【解決手段】 高速度工具鋼や超硬合金製の基材5の表
面に直接に、あるいはTiN,TiCN、TiC,Ti
AlNなどのセラミック硬質膜を成膜した上に被覆され
た硬質炭素被覆膜6に微粒の硬質粉体(微粒のアルミナ
粉体又は微粒のダイヤモンドを複合させた研磨材等)1
を空気2と共に噴射4させ硬質炭素被覆膜を脱膜する。
さらに、摩耗部を成形し、又は刃部を再生し、表面を洗
浄し、新たに硬質炭素被覆膜の処理を施すことにより工
具等として再生する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、基材の表面に物理
蒸着法等により形成した硬質炭素被覆膜を脱膜する脱膜
方法、再度成膜して再使用する再生方法及び再生基材に
関する。特に、エンドミル、ドリル、タップあるいはプ
レス金型を含む高速度工具鋼、超硬合金鋼を部材とした
工具上に直接に、またはTiN、TiCN、TiC、T
iAlN等のセラミック被覆膜を成膜した上に、物理蒸
着法等により硬質炭素被覆膜を形成した工具において、
切削加工等により刃先や表面が摩耗した後に脱膜を施し
て再度使用可能とするための再生方法および該方法によ
って得られた再生工具に関する。
【0002】
【従来の技術】従来ダイヤモンドライクカーボン(DL
C)と呼ばれている硬質炭素被覆膜は平滑で、摩擦係数
が非常に低いことから、膜特性としての潤滑性、耐溶着
性、離型性を生かして機械部品や金型、工具に広く適用
されて効果を発揮している。特に最近ではアルミおよび
アルミ合金に対する耐溶着性に優れることからアルミ加
工用切削工具にも開発されて市場に普及しつつある。
(不二越技報VOL.56NO.2掲載『DLCコーテ
ィング工具』)しかしながら切削工具の場合は、硬質炭
素被覆膜の効果で被削物の溶着が少ないながらも寿命限
界に達したものは、工具の刃部に加工した被削物が溶着
し、再度刃部の摩耗部分の研磨を行っても被膜の上には
切り粉の排出時に付着した溶着物が着いているため、摩
耗部の再研磨だけでは再使用の効果は期待できない。ま
たそのまま硬質炭素被覆膜を形成したとしても、加工時
に生じた切削被覆膜面近傍の溶着した被削物や切削熱に
よる被覆膜の劣化が影響して、初期被膜層と再処理形成
層との密着性が悪くなり、最悪の場合は形成層が剥離す
る場合がある。従ってこのような状態で再処理をした工
具を使用したとしても密着性の悪い状態では硬質炭素被
覆膜の効果は発揮されず本来の機能を果たすことができ
ない。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】工具の再生を目的とし
て再処理を行う場合、上記の問題を解決するためには加
工によって溶着、劣化した硬質炭素被覆膜の脱膜を行っ
た上で再度被覆膜を形成する方法が最も良い。しかし、
TiN、TiCN、TiC、TiAlNなどのチタン系
のセラミック被覆膜は脱膜液が開発されており、例えば
特許第2597931号公報、特開平8−325755
号公報に記載のように化学反応によって被覆膜の脱膜が
可能である。しかし硬質炭素被覆膜については化学的な
酸化還元反応に対して非常に安定な物質であるため、溶
液による脱膜方法はなく、工具母材に損傷を与えないで
硬質炭素被覆膜だけをきれいに除去する方法は現在のと
ころ確立されていない状態である。
【0004】一方硬質炭素被覆膜系でも最も硬いとされ
ているダイヤモンド被覆膜についてはプラズマCVD法
によるドライエッチング法があり、例えば特開平5−3
39758号公報においては、プラズマ中の水素イオン
による還元作用で炭素元素を原子レベル反応させて除去
する方法が開示されている。これを硬質炭素被覆膜にも
応用が可能であると考えられるが、この方法ではコスト
がかかりすぎ実用的であるとはいえない。本発明の課題
はかかる硬質炭素被覆膜を綺麗に除去し、また、コスト
の低い手段を用いて硬質炭素被覆膜を除去し、再生し、
再使用する硬質炭素被覆膜の脱膜方法及び再生方法並び
に再生基材を提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明者等はまず硬質炭
素被覆膜の除去方法について研究を行い、硬質炭素被覆
膜にアルミナ粉等の硬質な粉体を用いて物理的な衝撃を
与えることにより被覆膜が除去されることを発見し、さ
らには、工具損傷が少ない状態で硬質炭素被覆膜のみが
脱膜できることを知得した。この知得により、請求項1
の発明においては、基材の表面に被覆された硬質炭素被
覆膜に微粒の硬質粉体を空気と共に噴射させ前記硬質炭
素被覆膜を脱膜させる硬質炭素被覆膜の脱膜方法を提供
することにより上記課題を解決した。また、請求項2の
発明において、前記微粒の硬質粉体は微粒のアルミナ粉
体、又は微粒のダイヤモンドを複合させた研磨材とする
のがよい。即ち、硬質炭素被覆膜の表面に微粒の硬質粉
体、例えば、アルミナ粉体、又は微粒ダイヤモンドを複
合させた研磨剤を用いたマイクロブラスト処理を基材に
損傷を与えない程度に施して硬質炭素被覆膜の脱膜を行
い、再生に適した基材表面の状態を得ることで再処理し
た被覆膜の密着性を向上させることができる。
【0006】詳述すると、硬質炭素被覆膜(ダイヤモン
ドライクカーボン)の特徴は、被膜の硬さでマイクロビ
ッカース硬さでHV5000といわれるアモルファスカ
ーボン(非晶質硬質炭素)系のものと、比較的柔らかい
HV1000程度の水素原子を多く含んだC:H(水素
含有硬質炭素)系、金属元素を含んだメタリックカーボ
ン(金属含有硬質炭素)系に大別されている。これらは
プラズマCVD法、カーボンターゲットを用いたスパッ
タリング法またはアークイオンプレーティング法で形成
できる。また最近ではカーボンを坩堝で溶解して成膜を
図るイオンプレーティング方法も提唱され(例えば特願
平10−349890号公報)、特にアルミ加工用の工
具に適用して市場に販売されている。
【0007】この硬質炭素系の被覆膜はHV1000〜
5000と被覆膜の形成方法によりいろいろな硬さを膜
をつくることができ、用途に応じて任意に選択できるこ
とが特徴であるが、TiNなどのセラミック硬質膜と比
較して一般的に膜の応力が高く、1ミクロン程度の薄い
膜厚でしか形成できない。本発明者は硬質炭素被覆膜が
膜応力が高く、薄い膜であることに着目し、脱膜には一
般的に広く用いられているショットブラストによる方法
が最も安価に行えると判断した。しかしながら一般的な
数ミリの粉体の大きさを使用するショットブラスト方式
では被覆膜の除去する際の衝撃で切削工具にとって重要
である工具刃部も損傷受けることから、各種の粉体の種
類と粒径の違いを試みたところ、前述したように、本発
明においては、5〜100ミクロンの微粒のアルミナ粉
体、また5〜50ミクロンのは微粒ダイヤモンドを複合
させた研磨材を用いたマイクロブラスト処理(以下微粒
粉体を使用したショットブラスト処理をマイクロブラス
ト処理と称する)が工具刃部に損傷を与えないことを知
得したのである。
【0008】さらに、超硬合金を母材とした硬質炭素被
覆膜工具にはアルミナ粉の最大粒子の平均径44ミクロ
ン以下の微細粉体(JIS R6001粒度#1000
以上)が適しており、高速度工具鋼を母材とした被覆工
具には最大粒子の平均径26ミクロン以下の微粒ダイヤ
モンド(JIS R6001粒度#2000以上)を複
合させた研磨材を用いた方が良いとの結論に至った。そ
こで、請求項3に記載の発明においては、前記基材の材
料は高速度工具鋼であって、前記微粒の硬質粉体は前記
微粒のダイヤモンドを複合させた研磨材とし、請求項4
に記載の発明においては、前記基材の材料は超硬合金で
あって、前記微粒の硬質粉体は前記微粒のアルミナ粉体
とした硬質炭素被覆膜の脱膜方法を提供するものであ
る。
【0009】高速度工具鋼を母材とした工具に直接にア
ルミナ粉体をマイクロブラスト処理した場合は、工具刃
部の損傷なく硬質炭素被覆膜は除去されるが、高速度工
具鋼は超硬合金よりも母材が柔らかいため工具表面が梨
地状になり、再処理を施した場合に硬質炭素被覆膜本来
の機能である平滑性が失われる。以上の理由で高速度工
具鋼を母材とした工具には最大粒子の平均径26ミクロ
ン以下の微粒ダイヤモンド(JIS R6001粒度#
2000以上)を複合させた研磨材が好ましい。また超
硬合金を母材とした硬質炭素被覆膜工具の被覆膜の除去
にも同様な微粒ダイヤモンドを複合させた研磨材を用い
てもかまわない。また、アルミナ粉体、又は微粒ダイヤ
モンドはマイクロブラスト処理を例えば工具部材に損傷
を与えない程度に施される粒度、硬度を選択し、また、
適宜な噴射圧力を設定して脱膜処理を行うことはいうま
でもない。
【0010】前記硬質炭素被覆膜は前述したようにアル
ミやアルミ合金加工用切削工具に有用であり、かかる場
合は請求項5に記載の発明のように前記硬質炭素被覆膜
は基材上に直接に、あるいはTiN,TiCN、Ti
C,TiAlNなどのセラミック硬質膜を成膜した上
に、硬質炭素被覆膜を被覆した硬質炭素被覆膜とするの
が好ましい。
【0011】前述の方法で硬質炭素被覆膜を除去した基
材の表面は本来の面粗度が確保され、基材も損傷を受け
ることがない。また表面状態も劣化した膜や溶着してい
る部分もきれいに除去され、基材を使用した結果、摩耗
した部分も確認しやすい状態になる。さらに、摩耗部を
再研磨し成形して、脱脂のための洗浄工程を経て、硬質
炭素被覆膜の成形が可能となる。そこで、請求項6に記
載の発明においては、請求項1乃至5にいずれか一に記
載の硬質炭素被覆膜の脱膜方法により基材表面の硬質炭
素被覆膜のみを脱膜した後に、摩耗部を成形し、表面を
洗浄し、新たに硬質炭素被覆膜の処理を施し硬質炭素被
覆膜の再生方法を提供するものとなった。また、かかる
方法で再生された再生基材を提供する(請求項7)。ま
た、かかるものは金型等に適し、再生金型を提供する
(請求項8)。
【0012】基材が切削工具の場合は、本発明の脱膜方
法で硬質炭素被覆膜を除去した切削工具の表面は本来の
面粗度が確保され、工具刃部も損傷を受けることがな
い。また表面状態も劣化した膜や溶着している部分もき
れいに除去され、切削工具使用で摩耗した刃部等も確認
しやすい状態になる。このような方法で脱膜した工具
は、摩耗した刃部を再度研磨で削ずることで新しい刃部
をつくり(再研磨)、さらに脱脂のための洗浄工程を経
て、硬質炭素被覆膜の形成(再処理)とすることができ
る。そこで、請求項1に記載の発明においては、前記基
材は切削工具であって、請求項1乃至5にいずれか一に
記載の硬質炭素被覆膜の脱膜方法により切削工具表面の
硬質炭素被覆膜のみを脱膜した後に、刃部を再生し、表
面を洗浄し、新たに硬質炭素被覆膜の処理を施すことに
より再生を図るようにした。さらに、かかる方法で切削
工具を再生することができる(請求項10)。なお、硬
質炭素被覆膜の再生が充分に行われたかは、Aスケール
ロックウエル硬度計を用いて押圧した場合に生ずる圧痕
を100倍の倍率で観察した結果が、前記圧痕の外周1
mm以上の範囲で膜と基材との間で剥離が認められない
程度の密着性を有するようにして確認するのが好ましい
(請求項11)。圧痕の判定基準を図3に示す。判定H
1が剥離のない状態、判定H2,3,4はそれぞれ剥離
を生じており、判定H1のものが好ましい密着性を示
す。
【0013】
【実施例】次に本発明の方法を用いてエンドミルに硬質
炭素被覆膜を施した場合について説明する。 (実施例1)実施例1は本発明品である超硬合金製エン
ドミルについての場合である。図2の(a)に示すよう
に、超硬合金を母材21とした外径10mmの2枚刃の
無処理エンドミルに、イオンプレーティング溶解法によ
りセラミック硬質膜22であるTiCを形成し、さらに
炭素を原料として硬質炭素被覆膜30を被覆した。そし
て密着性の評価として工具の表面にAスケールロックウ
エル硬度計を押圧し、生じた圧痕を100倍の倍率で観
察した結果、圧痕の外周1mm以上の範囲で膜と工具母
材との間で剥離が認められなかった。図3に示す剥離試
験での判定はH1に示すものであった。
【0014】このエンドミルを用いて、圧延アルミ合金
A5052を以下の条件で加工した。 (1)切削加工 切削工具:外径10mm 2枚刃 超硬合金エンドミル 切削条件:ドライ(エアブロー) 加工方法:側面切削(ダウンカット) 切削速度:314m/min(10000min−1) 送り速度:0.2mm/刃(4000mm/min) 切り込み:Aa=10mm Ar=2.5mm 切削長:3m 被削材:A5052
【0015】さらに、上記切削加工後に、本発明である
脱膜方法により脱膜を行うべく、以下の条件で硬質炭素
系被覆膜が完全にとれるまでマイクロブラスト処理を施
した。図1は本発明の一実施例を示すマイクロブラスト
処理装置の模式図である。図1に示すように、噴射装置
3は粉体1と圧力空気2とを混合し、圧力空気により粉
体を空気とともに粉体噴射4するようにされている。こ
の噴射装置3をエンドミル5の刃部6に被覆された硬質
炭素被覆膜7に向かって下記の噴射距離Lで矢印8の方
向に移動しながら粉体を噴射する。粉体の種類等は次の
通りである。 (2)マイクロブラスト処理 粉体の種類:アルミナ粉#2000(JIS R600
1粒度) 噴射圧力:0.1MPa 噴射距離:噴射ノズルと工具間100mm 噴射移動速度:850mm/min 噴射時間:30秒
【0016】その後工具刃部の摩耗部分を研磨して、工
具をアルカリ洗浄で脱脂をおこない、再度イオンプレー
ティング溶解法により硬質炭素被覆膜のみの形成を行っ
た。そして密着性の評価として再処理を施した工具の表
面にAスケールロックウエル硬度計を押圧し、生じた圧
痕を100倍の倍率で観察した結果、圧痕の外周1mm
以上の範囲で硬質炭素被覆膜とセラミック硬質膜(Ti
C)の間で剥離は認められなかった。本発明方法におい
て脱膜を行い、再処理を施した硬質炭素被覆膜は切削に
耐えうるに十分な密着性であることが確認できた。(図
3に示す剥離試験での判定はH1)そして上記切削条件
で再度加工を行った結果、摩耗の損傷状態は再処理前と
同じ状態であり、本発明の脱膜及び再生方法が新品に勝
とも劣らない性能を得られることが確認できた。
【0017】(実施例2)実施例2は本発明品である高
速度工具鋼製エンドミルについての場合である。図2の
(b)に示すように、高速度工具鋼を母材25とした外
径10mmの2枚刃の無処理エンドミルに、イオンプレ
ーティング溶解法により炭素を原料として硬質炭素被覆
膜30を被覆した。そして密着性の評価として工具の表
面にAスケールロックウエル硬度計を押圧し、生じた圧
痕を100倍の倍率で観察した結果、圧痕の外周1mm
以上の範囲で膜と工具母材との間で剥離が認められなか
った(図3に示す剥離試験で判定はH1)。
【0018】その後圧延アルミ合金A5052を以下の
条件で加工した。 (1)切削加工 切削工具:外径10mm 2枚刃 高速度工具鋼(ハイ
ス)エンドミル 切削条件:ドライ(エアブロー) 加工方法:側面切削(ダウンカット) 切削速度:78.5m/min(2500min−1) 送り速度:0.15mm/刃(730mm/min) 切り込み:Aa=10mm Ar=2.5mm 切削長:5m 被削材:A5052
【0019】さらに、上記切削加工後に、本発明である
脱膜方法により脱膜を行うべく、以下の条件で硬質炭素
被覆膜が完全にとれるまで前述したと同様に図1に示す
噴射装置により、硬質炭素被覆膜30に向けて粉体を噴
射し、硬質炭素被覆膜を脱膜した。 (2)マイクロブラスト処理 粉体の種類:微粒ダイヤモンド#3000(JIS R
6001粒度)を複合した軟質研磨材(マルチコーン粒
径0.5〜2mm) 噴射圧力:0.5MPa 噴射距離:噴射ノズルと工具間20mm 噴射時間:30秒
【0020】その後工具刃部の摩耗部分を研磨して、工
具をアルカリ洗浄で脱脂をおこない、再度イオンプレー
ティング溶解法により硬質炭素系被覆膜のみの形成を行
った。そして密着性の評価として再処理を施した工具の
表面にAスケールロックウエル硬度計を押圧し、生じた
圧痕を100倍の倍率で観察した結果、圧痕の外周1m
m以上の範囲で硬質炭素被覆膜と工具母材の間で剥離は
認められなかった(図3に示す剥離試験で判定はH
1)。本発明方法において脱膜を行い、再処理を施した
硬質炭素被覆膜は切削に耐えうるに十分な密着性である
ことが確認できた。そして上記切削条件で再度加工を行
った結果、摩耗の損傷状態は再処理前と同じ状態であ
り、本発明の脱膜及び再生方法の有効性が確認できた。
【0021】(実施例3)実施例3は本発明を用いない
場合の比較品として超硬合金製エンドミルについて行っ
た場合について説明する。超硬合金を母材とした外径1
0mmの2枚刃の無処理エンドミルに、イオンプレーテ
ィング溶解法によりセラミック硬質膜であるTiCを形
成し、さらに炭素を原料として硬質炭素系被覆膜をコー
ティングを被覆した。そして密着性の評価として工具の
表面にAスケールロックウエル硬度計を押圧し、生じた
圧痕を100倍の倍率で観察した結果、圧痕の外周1m
m以上の範囲で膜と工具母材との間で剥離が認められな
かった(図3に示す剥離試験で判定はH1)。
【0022】その後圧延アルミ合金A5052を以下の
条件で加工した。 (1)切削加工 切削工具:外径10mm 2枚刃 超硬合金エンドミル 切削条件:ドライ(エアブロー) 加工方法:側面切削(ダウンカット) 切削速度:314m/min(10000min−1) 送り速度:0.2mm/刃(4000mm/min) 切り込み:Aa=10mm Ar=2.5mm 切削長:3m 被削材:A5052
【0023】切削加工後に本発明方法による脱膜処理を
施さないで、使用した工具の刃部の摩耗部を研磨してそ
のままアルカリ洗浄で脱脂洗浄をおこない、再度イオン
プレーティング溶解法により硬質炭素被覆膜のみの形成
を行った。その結果、図3に示す剥離試験での判定はH
4と剥離が見られ、さらに切削試験を行ったところ、刃
部近傍の被覆膜は溶着物が原因で剥離を生じ切削に耐え
うることができず、再使用することができなかった。
【0024】
【発明の効果】以上述べたように本発明においては、硬
質炭素被覆膜の表面に微粒の硬質粉体を用いたマイクロ
ブラスト処理を基材に損傷を与えない程度に施して硬質
炭素被覆膜の脱膜を行い、再生に適した基材表面の状態
を得られ再処理した被覆膜の密着性が向上できるので、
硬質炭素被覆膜を綺麗に除去し、さらに、物理的に硬質
炭素被覆膜を除去するため複雑な化学反応を利用したセ
ラミック硬質膜の除膜処理とは異なり廃液処理もなく、
取り扱い作業も簡単かつ安全であり、再生処理としては
環境に非常に負荷の少ない方法を提供するものとなっ
た。またコスト面でもダイヤモンドコーティング膜の脱
膜方法で使われるプラズマCVD装置のような大がかり
な設備は必要なく、安価なブラストの設備で量産ができ
るため再生コストを非常に安くすることができ、また、
再生使用しても充分使用に耐える再生基材を提供するも
のとなった。
【0025】また、超硬合金を母材とした硬質炭素被覆
膜工具にはアルミナ粉が適しており、高速度工具鋼を母
材とした被覆工具には微粒ダイヤモンドを複合させた研
磨材を用いるようにしたので、超硬合金や高速度工具鋼
を用いた金型、切削工具に有用な再生方法を提供するも
のとなった。
【0026】また、硬質炭素被覆膜は基材、特に切削工
具上に直接に、あるいはTiN,TiCN、TiC,T
iAlNなどのセラミック硬質膜を成膜した上に、硬質
炭素被覆膜を被覆したので、アルミやアルミ合金加工用
に適した切削工具の再生に利用できる。さらには、アル
ミのドライ加工において優れた性能を有する硬質炭素被
覆膜被覆工具の脱膜方法および該方法で得られた安価な
再生工具を提供するものとなった。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施に用いるマイクロブラスト処理装
置の模式図である。
【図2】本発明の硬質炭素被覆膜の構造を示し、(a)
は実施例1の超硬合金製のエンドミルの被覆、(b)は
実施例2の高速度工具鋼のエンドミルの被覆の状態をし
めす説明図である。
【図3】工具等の基材に被覆された被覆膜の密着性を判
定するための剥離試験の判定基準である。
【符号の説明】 1、4 微粒の硬質粉体(アルミナ粉体、微粒のダイ
ヤモンドを複合させた研磨材) 2 空気 3 噴射装置(マイクロブラスト装置) 5 基材(工具、金型) 6、30 硬質炭素被覆膜 21 基材の材料(超硬合金) 22 セラミック硬質膜(TiN,TiCN、TiC,
TiAlN) 23 基材の材料(高速度工具鋼) 21a、23b 基材の表面

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 基材の表面に被覆された硬質炭素被覆膜
    に微粒の硬質粉体を空気と共に噴射させ前記硬質炭素被
    覆膜を脱膜させることを特徴とする硬質炭素被覆膜の脱
    膜方法。
  2. 【請求項2】 前記微粒の硬質粉体は微粒のアルミナ粉
    体、又は微粒のダイヤモンドを複合させた研磨材である
    ことを特徴とする請求項1に記載の硬質炭素被覆膜の脱
    膜方法。
  3. 【請求項3】 前記基材の材料は高速度工具鋼であっ
    て、前記微粒の硬質粉体は前記微粒のアルミナ粉体、又
    は微粒のダイヤモンドを複合させた研磨材であることを
    特徴とする請求項1に記載の硬質炭素被覆膜の脱膜方
    法。
  4. 【請求項4】 前記基材の材料は超硬合金であって、前
    記微粒の硬質粉体は前記微粒のアルミナ粉体、又は微粒
    のダイヤモンドを複合させた研磨材であることを特徴と
    する請求項1に記載の硬質炭素被覆膜の脱膜方法。
  5. 【請求項5】 前記硬質炭素被覆膜は基材上に直接に、
    あるいはTiN,TiCN、TiC,TiAlNなどの
    セラミック硬質膜を成膜した上に、硬質炭素被覆膜を被
    覆した硬質炭素被覆膜であることを特徴とする請求項1
    乃至4のいずれか一に記載の硬質炭素被覆膜の脱膜方
    法。
  6. 【請求項6】請求項1乃至5にいずれか一に記載の硬質
    炭素被覆膜の脱膜方法により基材表面の硬質炭素被覆膜
    のみを脱膜した後に、摩耗部を成形し、表面を洗浄し、
    新たに硬質炭素被覆膜の処理を施すことにより再生を図
    ることを特徴とする硬質炭素被覆膜の再生方法。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の再生方法により再生さ
    れたことを特徴とする再生基材。
  8. 【請求項8】 前記基材は金型であること特徴とする請
    求項7に記載の再生金型。
  9. 【請求項9】 前記基材は切削工具であって、請求項1
    乃至5にいずれか一に記載の硬質炭素被覆膜の脱膜方法
    により切削工具表面の硬質炭素被覆膜のみを脱膜した後
    に、刃部を再生し、表面を洗浄し、新たに硬質炭素被覆
    膜の処理を施すことにより再生を図ることを特徴とする
    硬質炭素被覆膜の再生方法。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の再生方法により再生
    されたことを特徴とする再生切削工具。
  11. 【請求項11】 請求項7又は8又は10のいずれかに
    記載の再生した基材上の硬質炭素被覆膜は、Aスケール
    ロックウエル硬度計を用いて押圧した場合に生ずる圧痕
    を100倍の倍率で観察した結果が、前記圧痕の外周1
    mm以上の範囲で膜と基材との間で剥離が認められない
    程度の密着性を有することを特徴とする再生基材。
JP2001396544A 2001-12-27 2001-12-27 硬質炭素被覆膜の脱膜方法及び再生方法並びに再生基材 Expired - Fee Related JP3997084B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001396544A JP3997084B2 (ja) 2001-12-27 2001-12-27 硬質炭素被覆膜の脱膜方法及び再生方法並びに再生基材

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001396544A JP3997084B2 (ja) 2001-12-27 2001-12-27 硬質炭素被覆膜の脱膜方法及び再生方法並びに再生基材

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2003200350A true JP2003200350A (ja) 2003-07-15
JP3997084B2 JP3997084B2 (ja) 2007-10-24

Family

ID=27639553

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001396544A Expired - Fee Related JP3997084B2 (ja) 2001-12-27 2001-12-27 硬質炭素被覆膜の脱膜方法及び再生方法並びに再生基材

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP3997084B2 (ja)

Cited By (9)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005054609A (ja) * 2003-08-07 2005-03-03 Nissan Motor Co Ltd 高圧燃料ポンプ
WO2007116523A1 (ja) * 2006-04-10 2007-10-18 Osg Corporation 硬質被膜の脱膜方法
JP2009166096A (ja) * 2008-01-17 2009-07-30 Tocalo Co Ltd プレス金型とその寿命管理方法、およびプレス金型のコーティング皮膜とその補修方法
US7972653B2 (en) 2006-09-20 2011-07-05 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho Method for removing amorphous carbon coatings with oxidizing molten salts and coated member regeneration method
WO2012167886A1 (de) 2011-06-07 2012-12-13 Oerlikon Trading Ag, Trübbach Entschichtungsverfahren für harte kohlenstoffschichten
CN106564013A (zh) * 2016-10-26 2017-04-19 东莞市天合机电开发有限公司 一种光伏焊带表面蚀点的加工装置
CN108500849A (zh) * 2018-03-13 2018-09-07 国宏工具系统(无锡)股份有限公司 一种涂层刀具后处理工艺
CN109604982A (zh) * 2019-02-15 2019-04-12 广东金辉刀剪股份有限公司 一种刀口免磨刀具的加工工艺
KR20210071119A (ko) * 2019-12-04 2021-06-16 한국생산기술연구원 신체삽입용 의료기기의 코팅막 증착방법

Families Citing this family (2)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN105154880B (zh) * 2015-09-08 2018-01-26 上海应用技术学院 汽轮机转子轮槽铣刀表面TiCN多层复合涂层制备工艺
CN106425874B (zh) * 2016-10-12 2019-02-05 沪东中华造船(集团)有限公司 碳钢-不锈钢双材质结构压载水舱的涂装前表面处理方法

Cited By (14)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2005054609A (ja) * 2003-08-07 2005-03-03 Nissan Motor Co Ltd 高圧燃料ポンプ
KR101073414B1 (ko) 2006-04-10 2011-10-17 오에스지 가부시키가이샤 경질 피막의 탈막 방법
JPWO2007116523A1 (ja) * 2006-04-10 2009-08-20 オーエスジー株式会社 硬質被膜の脱膜方法
JP4652446B2 (ja) * 2006-04-10 2011-03-16 オーエスジー株式会社 硬質被膜の脱膜方法
WO2007116523A1 (ja) * 2006-04-10 2007-10-18 Osg Corporation 硬質被膜の脱膜方法
US7972653B2 (en) 2006-09-20 2011-07-05 Kabushiki Kaisha Toyota Chuo Kenkyusho Method for removing amorphous carbon coatings with oxidizing molten salts and coated member regeneration method
JP2009166096A (ja) * 2008-01-17 2009-07-30 Tocalo Co Ltd プレス金型とその寿命管理方法、およびプレス金型のコーティング皮膜とその補修方法
WO2012167886A1 (de) 2011-06-07 2012-12-13 Oerlikon Trading Ag, Trübbach Entschichtungsverfahren für harte kohlenstoffschichten
DE102011105645A1 (de) 2011-06-07 2012-12-13 Oerlikon Trading Ag, Trübbach Entschichtungsverfahren für harte Kohlenstoffschichten
CN106564013A (zh) * 2016-10-26 2017-04-19 东莞市天合机电开发有限公司 一种光伏焊带表面蚀点的加工装置
CN108500849A (zh) * 2018-03-13 2018-09-07 国宏工具系统(无锡)股份有限公司 一种涂层刀具后处理工艺
CN109604982A (zh) * 2019-02-15 2019-04-12 广东金辉刀剪股份有限公司 一种刀口免磨刀具的加工工艺
KR20210071119A (ko) * 2019-12-04 2021-06-16 한국생산기술연구원 신체삽입용 의료기기의 코팅막 증착방법
KR102356174B1 (ko) * 2019-12-04 2022-02-04 한국생산기술연구원 신체삽입용 의료기기의 코팅막 증착방법

Also Published As

Publication number Publication date
JP3997084B2 (ja) 2007-10-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
CN109070289B (zh) 机械加工刀具的刀刃部结构及其表面处理方法
US5308367A (en) Titanium-nitride and titanium-carbide coated grinding tools and method therefor
Lauwers Surface integrity in hybrid machining processes
JP3997084B2 (ja) 硬質炭素被覆膜の脱膜方法及び再生方法並びに再生基材
Ibrahim et al. The effect of dry machining on surface integrity of titanium alloy Ti-6Al-4V ELI
JP6103040B2 (ja) 被覆工具の製造方法
JP2007105721A (ja) ツインワイヤーアークスプレーコーティングの施用のための方法及び装置
JP2008527170A (ja) ダイヤモンドをコーティングした支持体の製造方法、それから製造された物品、および穿孔方法
Arroyo et al. Wear performance of laser precoating treated cemented carbide milling tools
JP2007181916A (ja) 切削工具インサート
JPH07157862A (ja) 耐摩耗性・耐溶着性硬質皮膜被覆工具およびその製法
JP3006453B2 (ja) 被覆硬質合金工具
JP6308298B2 (ja) 被覆工具の製造方法
JP4927517B2 (ja) 硬質皮膜コーティングされた工具の再生方法および硬質皮膜コーティングされた金型の再生方法
WO2007116523A1 (ja) 硬質被膜の脱膜方法
JP5590331B2 (ja) 耐摩耗性と切屑排出性に優れた表面被覆ドリル
JP4252556B2 (ja) 硬質被膜の除去方法
JP4392719B2 (ja) 母材表面の下地処理方法及びこの方法により下地処理された表面を持つ母材及び製品
JP2018144192A (ja) 切削工具切れ刃再生装置およびその方法
JP2013532227A (ja) 被覆された物体及び物体の被覆方法
JPH0428854A (ja) 被覆工具用基材の表面処理方法
JP3018952B2 (ja) 被覆硬質合金工具
JP2005028544A (ja) 被覆工具およびその製造方法
JP3871530B2 (ja) ドライ加工用コーティング工具
CN115179201A (zh) 一种硬质合金刀片涂层后处理方法

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20041014

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20070213

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20070306

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070330

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20070330

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20070731

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20070806

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100810

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 3997084

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100810

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20100810

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110810

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110810

Year of fee payment: 4

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120810

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120810

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130810

Year of fee payment: 6

S531 Written request for registration of change of domicile

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313531

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees