JP4252556B2 - 硬質被膜の除去方法 - Google Patents

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Description

本発明は,切削工具,金型及び機械要素である製品の表面に形成された硬質被膜の除去方法に関し,より詳細には,研磨材を圧縮流体と共に噴射するブラスト加工法を用いて,金属又はセラミック又はこれらの混合体から成る前記製品の表面に形成された,TiN,TiCN,ZrN,CrN,TiAlN,TiCrNの窒素系硬質被膜,TiC,W Cの炭素系硬質被膜,AlO 硬質被膜を除去する方法に関する。
近年,種々の使用条件や使用環境に適応でき,要求される性能,機能を具備する材質を得るべく,表面改質技術の開発がさかんに行なわれており,各種産業分野において広く利用されている。
このような表面改質技術の一例としては被膜形成技術を挙げることができ,具体的には,ドリルの刃等の切削工具、歯車、シャフト等の機械要素等の表面硬度を向上させることを目的として,これらの製品表面に物理蒸着(PVD)や化学蒸着(CVD)によって硬質の被膜を形成することが一般的に行なわれている。
このようにPVD,CVD等の被膜形成技術によれば,製品の表面にTiN,TiCN,ZrN,CrN,TiAlN,TiCrN,TiC,DLC,W2C,Al2O3等から成る硬質の被膜を安定して形成することができる。また,前記PVD,CVDにより形成される被膜の密着度を高めるための改良が進められていることから,該被膜の密着性も向上しつつある。
ここで,前述するような被膜形成技術により被膜が形成されることにより完成する製品にあっては,例えば,被膜形成の際に製膜不良が生じた場合には、不良な状態で付着している被膜を除去して回収できれば、これに対して再度製膜を行い製品とすることができる。
また、長期間又は複数回の使用により被膜が磨耗等して劣化した場合には、劣化した被膜を除去して再度被膜を形成することにより、このような製品を再度使用することが可能となる。
そのため、このような被膜を比較的簡単に、かつ効率良く除去する技術に対する要望は高い。
前記被膜を除去するための方法としては,所定の薬品から成る水溶液中に被膜形成製品を浸漬し,化学的に又は電解により被膜を部分的に溶融,除去する方法や,プラズマやイオンビームを用いたドライエッチング法により被膜を除去する方法,砥石やサンドペーパー等により被膜を研磨して除去する方法等がある。
しかし,前記水溶液中への浸漬により被膜を溶融,除去する方法にあっては,被膜の除去に使用される薬品が環境面で問題となるおそれがあるほか,除去処理に長時間を要するため効率が悪く,コスト高となる問題があり,また,被膜の除去のみならず,母材も浸食されるおそれが高い。
一方,プラズマやイオンビームによるドライエッチング法においても,被膜の除去処理に長時間を要するためコストが高くなるという問題を有するほか,該処理のために用いられる装置が高価であるという問題も有する。
砥石やサンドペーパーによる研磨では,単純形状の物品しか研磨処理できないため精密品を処理対象とした場合の被膜除去には向かず,被膜除去の処理対象が大幅に限定されるという問題を有する。
なお、硬質被膜の除去に関する技術ではないが、脱スケールに際し研磨材を高圧流体と共に噴射するブラスト加工を施すことも行われており、一例としてアルミナ(Al2O3)や炭化珪素(SiC)等の硬質の研磨材を例えば圧縮気体と共に処理対象の表面に衝突させることによって,表面のスケールを研削除去する方法がある(特許文献1参照)。
本発明の先行技術としては下記のものを挙げることができる。
特開平6−182429号公報
前途のようなブラスト法によれば、比較的簡単にスケール等の被膜を除去することができると共に、対象が比較的複雑な形状を有するものであってもこれに対応することが可能である。
しかし,除去すべき被膜が上述するようなPVDやCVDにより形成された硬質被膜である場合には、該被膜が硬質であることやその密着性が高いことなどから,被膜の剥離が困難なものとなる。したがって,従来用いられている一般的な研磨材(砥粒等)の投射では被膜を除去することができず,又は除去するのに非常に長い時間を要するといった問題が生じる。
前記硬質被膜の除去に際しても、前掲の特許文献1と同様、比較的高硬度のAl2O3,SiC等から成る研磨材を用いることも考えられる。しかし,前記Al2O3,SiCは,一般的な研磨材の材質と比較した場合には高硬度であるといえるものの,PVDやCVDによって製品の表面に形成されるTiN,TiCN,ZrN,CrN,TiC,TiAlN,TiCrN,Al2O3,W2C等の前記硬質被膜との関係では同程度の硬度又は該被膜よりも硬度が低いものとなることから,Al2O3,SiC等から成る研磨材を用いた場合であっても,硬質被膜の除去に長時間を要するものとなってしまう。
また,前記Al2O3,SiC等から成る研磨材を噴射した場合には,前記研磨材が処理対象とした製品の表面に衝突することにより,被膜の除去のみならず母材まで研削してしまい,製品の寸法が変化するおそれが高く,したがって,精密品を処理対象とした場合の被膜除去には向かず,被膜除去の処理対象が大幅に限定されるという問題を有する。
そこで,本発明は,簡易なブラスト加工により,研磨材の研削による製品の寸法をできるかぎり変化させることなく,短時間で硬質被膜のみの除去を好適に行うことのできる被膜除去方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決すべく,本発明の硬質被膜の除去方法は,
TiN,TiCN,ZrN,CrN,TiAlN,TiCrN,TiC,W C,Al O 硬質被膜が形成された切削工具,金型及び機械要素である製品の表面に,密度が3g/cm以下であり,ミクロ硬さが3000kgf/mm以上であって,前記硬質被膜よりも高硬度である粒度#150〜#3000の研磨材を,噴射速度50〜250m/sec,又は噴射圧力0.2〜0.5MPaで噴射して前記硬質被膜を切削して除去することを特徴とする(請求項1)。
前記硬質被膜と前記研磨材には、ミクロ硬さで1000kgf/mm2以上の硬度差を設けることが好ましい(請求項2)。
また,前記研磨材としては,B4C(炭化ホウ素)から成る粉体を使用することができる(請求項)。

本発明の硬質被膜の除去方法によれば,高硬度の粉体を研磨材として用いていることから,PVDやCVD等により製品の表面に形成された硬質被膜を好適に、かつ短時間で除去することができる。
また,前記研磨材が低密度であることから,該研磨材が製品に衝突して硬質被膜を除去する際に,母材を研削することを極力防止でき,該製品の寸法が変更されることを防止することができる。
このような研磨材としてB4C(炭化ホウ素)を使用する場合には、密度が2.5g/cm3,ミクロ硬さが4900〜5000kgf/mm2であるB4Cの比較的低い密度と高い硬度により、硬質被膜の材質に拘わらず、略全ての硬質被膜の効率的な除去を母材を変形等させることなく行うことができると共に、前述した比較的粒度の小さいものを使用することにより,被膜除去後の母材表面の荒れを防止することができた。
以下,本発明の硬質被膜の除去方法の実施形態につき,説明する。
本発明は,所定の硬度及び密度の材質より成る研磨材を,表面に硬質被膜が形成された製品に対して噴射することにより,各種製品の表面に形成された硬質被膜を除去するものである。
〔被処理対象〕
本発明の処理対象となる製品は,表面に硬質の被膜が形成されたものであれば如何なるものであっても対象とすることができ、その材質や構造,用途等は特に限定されないが,母材の材質としては一例として、金属又はセラミック又はこれらの混合体から成る製品を挙げることができ,より具体的には,金型や切削工具等の工具,機械部品等の各種製品を処理対象とすることができる。
前記処理対象の表面より除去される被膜は硬質被膜と呼ばれるもので、該被処理製品の硬度を向上させること等を目的として設けられた前述のTiN,TiCN,ZrN,CrN,TiAlN,TiCrN,TiC,W C,AlO等の各種材質から成る被膜を挙げることができる。
また,前記材質から成る被膜の形成方法は特に限定されず,例えばPVDやCVD等の既知の被膜形成技術を用いて表面に成膜された硬質被膜を有する各種製品を対象とすることができる。
なお,本発明は,前記硬質被膜が形成された被処理製品から該被膜を除去する方法であるため,一例として前記被膜の形成時に成膜不良を生じた製品や,成膜後に被膜が劣化したような製品等,被膜を再形成する前に形成不良の又は古い被膜を除去する必要のある製品が被処理製品となる。
〔研磨材〕
本発明の方法は、一例として前述のように製膜不良が生じたり、又は被膜の劣化した被膜を処理対象とし、この処理によって被膜の除去された製品を回収して、これに再度硬質被膜を形成するための前処理として行うものであることから、本発明の方法で使用する研磨材は,硬質被膜を除去可能な高い硬度を有すだけでなく、研磨材の衝突によって被膜を除去する際に,母材を研削して製品の寸法が変更されることを好適に防止できるものとする必要がある。
そこで,本発明において使用する研磨材は、ミクロ硬度で3000kgf/mm2以上で被膜よりも高い硬度を有すると共に、母材を傷付けないための性質として密度が3g/cm3以下である材質から成る研磨材を使用している。
ここで,研磨材を成す材質の密度及び硬度を限定したのは,下記の理由による。
硬質被膜の除去を可能とすべく,本発明で使用する研磨材を,例えば硬質材質として公知であるSiC,Al2O3等から成るものとすることも考えられるが,SiCの密度は3.2g/cm3,Al2O3の密度は4.3g/cm3であって,比較的高い密度を有している。
このように比較的高い密度を有する材質から成る研磨材を用いると,その密度の高さから噴射速度を上昇させ難く,硬質被膜の除去に必要な所望の噴射速度を得るために噴射圧力を高める必要が生じたり,噴射圧力を高めることによって噴射速度を上昇させた際に,研磨材が高密度であることに起因して衝突エネルギーが大きいものとなり,高い衝突エネルギーによって処理対象製品の表面に形成された被膜が除去されるのみならず,母材をも研削してしまうという問題が生じる。
また,前記SiC,Al2O3は硬質材質として公知であるものの,そのミクロ硬さは前記SiCが2000〜3000kgf/mm2,前記Al2O3が2100kgf/mm2であり,PVDやCVDによって被処理製品の表面に形成された、ミクロ硬度2000〜2400kgf/mm2のTiN,3000〜3500kgf/mm2のTiCN等の硬質被膜の硬度と比較するとこれらと同程度又はこれらよりも低いものとなる。したがって,このようなSiC,Al2O3を研磨材として用いる場合には,前記硬質被膜の除去を好適に行なうことが困難となり,例えば被膜の除去に長時間を要したり,被膜が除去しきれずに該被膜の一部が被処理物の表面に残留してしまうといった問題が生じる。また,被膜の除去を可能とすべく研磨材の噴射速度を上昇させると,前述するような衝突エネルギーの上昇により母材の研削が行なわれてしまうという問題も生じる。
これに対し,本発明で使用する研磨材は、ミクロ硬度が3000kgf/mm2以上であると共に、除去対象の被膜よりも高い硬度を有するものを使用することで、硬質被膜を容易に切削可能であり、しかも研磨材が低密度であるために,噴射圧力を上昇させずとも噴射速度を高く維持することができ,硬質被膜を好適に除去することができると共に、このような噴射速度を維持しても衝突エネルギー自体の上昇は抑制することができるために、母材が研削されることを好適に防止して,該被処理製品の研削量を極力低減することができる。さらに,研磨材が高硬度であれば,噴射圧力が低くてもブラスト加工の効果を得ることができ,短時間で効率的に硬質な被膜を除去でき,被処理製品(母材)を研削することを防ぐことができる。
以上より,本発明にあっては,密度が低く,かつ硬度の高い研磨材を用いるべく,密度3g/cm3以下,ミクロ硬さ3000kgf/mm2以上であって硬質被膜よりも高硬度の材質、好ましくは硬度差がミクロ硬度で1000kgf/mm2以上の材質から成る研磨材を用いることとした。
このような条件を満たす研磨材の材質としては,密度が2.5g/cm3,ミクロ硬さが4900〜5000kgf/mm2であるB4C(炭化ホウ素)を挙げることができる。B4Cは比較的高価であるものの,ブラスト加工の際の噴射圧力を低く設定でき,短い加工時間、従って少ない使用量で被膜の除去が可能であるという上述するような効果を考慮すれば,結果的には低コストで硬質被膜の除去を行うことができ,またその仕上がりも高品質なものとすることができる。
なお,前記研磨材は,粒度#150〜#3000(粒径105μm〜4.7μm),好ましくは粒度#220〜#2000(粒径74μm〜7.1μm)を成す粉体とする。
〔加工条件〕
本発明にあっては,前述する研磨材を噴射速度50m/sec以上又は噴射圧力0.1MPa以上で被処理製品に対して噴射することにより,該被処理製品の表面に形成された硬質被膜を除去するものとしている。
噴射速度の範囲は、好ましくは50m/sec〜250m/sec、より好ましくは100m/sec〜200m/secであり、噴射圧力は好ましくは0.1MPa〜0.7MPa,好ましくは0.2MPa〜0.5MPaである。
研磨材を前記加工条件で噴射する噴射装置としては,乾式ないしは湿式により研磨材を所定の噴射速度又は噴射圧力で噴射し得る構成のものであればいかなるものも使用可能であり,具体的には圧縮空気等の圧縮流体と共に研磨材を噴射するエア式のブラスト加工装置など,研磨材の噴射装置として既知の各種ブラスト加工装置を使用することができる。
なお,前述のエア式のブラスト装置としては,さらに,研磨材の投入されたタンク内に圧縮空気を供給し,該圧縮空気により搬送された研磨材を別途与えられた圧縮空気の空気流に乗せてブラストガンにより噴射する直圧式のブラスト加工装置,研磨材のタンクから重力により落下した研磨材を圧縮空気に乗せて噴射する重力式のブラスト加工装置,その他各種のブラスト装置があるが,本実施形態にあってはこのうちの重力式のブラスト装置を使用する例について説明し,他の例は省略する。以下,本発明の方法に使用する噴射装置の一例として,重力式のブラスト加工装置を添付図面を参照して説明する。
図1及び図2は重力式ブラスト加工装置の正面図及び左側面図であるが,図1及び図2において,61はキャビネットで,処理対象製品を出し入れする投入口を備え,キャビネット61内に前記投入口から投入した処理対象製品に研磨材を噴射するブラストガン40を設ける。
また,前記キャビネット61の下部にはホッパ68が設けられ,ホッパ68の最下端は導管65を介してキャビネット61の上部に設置された研磨材を回収する回収タンク70の上部に連通する。
回収タンク70はいわゆるサイクロンで,ブラスト加工により発生した粉塵を研磨材から分離する装置であり,図1に示すように上部に円筒状を成す円筒部と,下部に下方に向けて徐々に狭くなる円錐状を成す円錐部とから成り,回収タンク70の円筒部の上部の側壁に流入口73を設け,この流入口73に連通管75を介して前記導管65の先端を連通する。
前記連通管75の軸線方向は,横断面円形状を成す円筒部の内壁面の接線方向に位置しているので,連通管75から回収タンク70内へ流入した気流は円筒部の内壁に沿って回りながら降下してゆく。
回収タンク70の円錐部の下端はブラストガン40から噴射される研磨材の噴射量を調整する調整器78を備え,この調整器78にブラストガン40を連通している。
一方,回収タンク70の上端壁面の略中央には連通管74が設けられ,この連結管74は排出管67を介してダストコレクタ66に連通している。
ダストコレクタ66は,排風機69を回転しダストコレクタ66内の空気を外気へ放出している。この排風機69によりブラスト加工装置60のキャビネット61,導管65,回収タンク70内の空気を吸引し,各部がそれぞれ負圧になり,また図示せざる圧縮空気供給源から供給された空気が研磨材と共にブラストガン40から噴射されるので,キャビネット61から順に導管65,回収タンク70,ダストコレクタ66へ気流が流れる。
以上のように構成されたブラスト加工装置60のキャビネット61内に被膜14を形成する処理対象製品を投入し,この処理対象製品の表面に対して研磨材を上記加工条件で噴射する。
本発明の硬質被膜の除去方法の効果を確認すべく,下記の比較試験を行なった。
なお,当該比較試験において,本発明の実施例としてはB4Cから成る研磨材を用い,比較例としてはSiC又はAl2O3から成る研磨材を用いることとした。前記B4C,SiC,Al2O3の密度及びミクロ硬さは下記の表1に示す通りである。
Figure 0004252556
(1)比較試験1
処理対象製品として,PVDにより表面にTiN被膜を形成した高速度工具鋼(SKH57)から成る金型パンチ(直径12mm,長さ100mmの円柱状)を用いて,前記被膜の除去を行った。各実施例及び比較例の加工条件及び結果を下記の表2に示す。
Figure 0004252556
実施例1では,被膜を成すTiNのミクロ硬さが2000〜2400kgf/mm2であるのに対し,研磨材であるB4Cのミクロ硬さが4900〜5000kgf/mm2であり,両者の硬度差が2000kgf/mm2以上あることから,被膜の除去を容易に行うことができた。また,研磨材が高硬度及び低密度であるため,低い噴射圧力で良好に被膜を除去することができ,研磨材の衝突による母材自体の研削(喰われ)も少なく,表面の荒れが目立たないほか,処理対象製品の寸法変更を極力低減させることができた。
一方,比較例1−1では,被膜の除去はできたものの,被膜を成すTiNのミクロ硬さ2000〜2400kgf/mm2に対して研磨材であるSiCのミクロ硬さが2000〜3000kgf/mm2 であり,両者の硬度差が小さいことから,被膜の除去を完了するまでに長時間(実施例1と比較して2倍の時間)を要した。また,研磨材SiCの密度が実施例1の研磨材B4Cと比較して大きいため,該研磨材の衝突による母材自体の研削(喰われ)が実施例1よりも多く,表面の荒れが目立った。
また,比較例1−2では,被膜を成すTiNのミクロ硬さ2000〜2400kgf/mm2に対して研磨材であるAl2O3のミクロ硬さが2100kgf/mm2であり,両者が同等の硬度であることから,被膜の除去に長時間(実施例1と比較して2.5倍の時間)を要するほか,目視では被膜が除去できているように見えるものの,処理対象製品表面にわずかにTiNの残りが認められた。また,研磨材Al2O3の密度が実施例1の研磨材B4Cと比較して大きいため,該研磨材の衝突による母材自体の研削(喰われ)が実施例1よりも多く,表面の荒れが目立った。
(2)比較試験2
処理対象製品として,PVDにより表面にTiCN被膜を形成した高速度工具鋼(SKH55)から成る金型ファインブランキング(断面40mm×40mm,長さ60mmの四角柱状)を用いて,前記被膜の除去を行った。各実施例及び比較例の加工条件及び結果を下記の表3に示す。
Figure 0004252556
実施例2では,被膜を成すTiCNのミクロ硬さは3000〜3500kgf/mm2であるのに対し,研磨材であるB4Cのミクロ硬さが4900〜5000kgf/mm2であり,両者の硬度差が1400kgf/mm2以上あることから,被膜の除去を容易に行うことができた。また,研磨材が高硬度及び低密度であるため,低い噴射圧力で良好に被膜を除去することができ,研磨材の衝突による母材自体の研削(喰われ)も少なく,処理対象製品の寸法を変更させることなく被膜を除去することができた。さらに,前記研磨材として粒度#600の微粉を用いたため,被膜除去後の処理対象製品の表面荒れも全く気にならなかった。
一方,比較例2では,被膜の除去はできたものの,被膜を成すTiCNのミクロ硬さ3000〜3500kgf/mm2に対して研磨材であるSiCのミクロ硬さが2000〜3000kgf/mm2であり,研磨材の硬度の方が低いため,被膜の除去を完了するまでに長時間(実施例2と比較して2倍弱の時間)を要するほか,研磨材の消耗が激しいものとなった。また,研磨材を粒度#600の微粉としたため,母材表面の荒れは少なかったが,寸法が減少してしまった。
以上より,本発明の方法によれば,低密度かつ高硬度の研磨材を使用することにより,PVDやCVD等によって製品の表面に形成された硬質被膜を,簡易なブラスト加工によって除去することができ,研磨材により製品自体を研削して該被処理製品の寸法が変化することをできる限り防止しつつ,短時間で硬質被膜のみを効率的に除去することができる。したがって,加工時間の短かさから安価な運転コストで被膜除去を行なうことができる。
また,被膜除去処理後の製品の表面荒れを防ぐことができ,仕上がりを高品質なものとすることができる。特に,研磨材として粒度の小さい微粉を使用することにより,前記表面荒れを好適に防止することができる。
本発明の方法に使用されるブラスト加工装置の一例を示す正面図。 図1に示すブラスト加工装置の左側面図。
符号の説明
14 被膜
40 ブラストガン
60 ブラスト加工装置
61 キャビネット
63 投入口
65 導管
66 ダストコレクタ
67 排出管
68 ホッパ
69 排風機
70 回収タンク
73 流入口
74 連結管
75 連通管
78 調整器

Claims (3)

  1. TiN,TiCN,ZrN,CrN,TiAlN,TiCrN,TiC,W C,Al O 硬質被膜が形成された切削工具,金型及び機械要素である製品の表面に,密度が3g/cm以下であり,ミクロ硬さが3000kgf/mm以上であって,前記硬質被膜よりも高硬度である粒度#150〜#3000の研磨材を,噴射速度50〜250m/sec,又は噴射圧力0.2〜0.5MPaで噴射して前記硬質被膜を切削して除去することを特徴とする硬質被膜の除去方法。
  2. 前記硬質被膜と前記研磨材とが,ミクロ硬さで1000kgf/mm2以上の硬度差を有することを特徴とする請求項1記載の硬質被膜の除去方法。
  3. 前記研磨材が,材質をBCの粉体とすることを特徴とする請求項1又は2記載の硬質被膜の除去方法。
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