JP5590331B2 - 耐摩耗性と切屑排出性に優れた表面被覆ドリル - Google Patents
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Description
(a)硬質被覆層として、例えば(Ti1−xAlx)N{x=0〜0.6}の成分系からなる層の形成を、例えば、図1の概略説明図に示される物理蒸着装置の1種である圧力勾配型Arプラズマガン装置にドリル基体を装着し、成膜条件を変えることによって成膜速度を制御し、柱状組織を有するA層と、粒状組織を有するB層を所定の構造となるように形成させる。
(b)前記硬質被覆層の縦断面組織を透過型電子顕微鏡で観察したところ、ドリルのマージン部、先端切れ刃および逃げ面においては、アスペクト比が10〜100、幅10〜100nmの柱状組織からなる単層構造を有し、ドリルのフルート溝部においてはアスペクト比が5以下、幅10〜50nm以下の粒状組織からなる単層構造を有しており、かかる硬質被覆層は、加工長さL、直径DとしたときL/Dが3を超える深穴加工においてもマージン部の高い耐摩耗性と、フルート溝部の高い切屑排出性を長期に亘って実現することができることを確認した。
(c)さらに、成膜速度を制御することによって、ドリルのマージン部、先端切れ刃および逃げ面においては、アスペクト比が10〜100、幅10〜100nmの柱状組織からなるA層と、アスペクト比が5以下、幅10〜50nm以下の粒状組織を含むB層からなる交互積層構造を有し、ドリルのフルート溝部においてはアスペクト比が5以下、幅10〜50nm以下の粒状組織からなるB層のみによる単層構造を有している膜構造を形成することができ、かかる硬質被覆層は、加工長さL、直径DとしたときL/Dが3を超える深穴加工においてもマージン部の一層高い耐摩耗性と、フルート溝部の一層高い切屑排出性を長期に亘って実現することができることを確認した。
「(1) 超硬合金焼結体あるいはサーメットあるいは高速度鋼からなるドリル基体の上に、(Ti1−x,Alx)(N1−y,Cy){x=0〜0.5、y=0〜0.7}の組成を有する単層構造からなる硬質被覆層が形成された表面被覆ドリルにおいて、
前記硬質被覆層の縦断面組織を観察した際に、
ドリルのマージン部、先端切れ刃および逃げ面においては、前記硬質被覆層が、アスペクト比が10〜100、幅10〜100nmの柱状組織からなる単層構造を有し、かつ、
ドリルのフルート溝部においては、アスペクト比が5以下、幅10〜50nmの粒状組織からなる単層構造を有し、
加工長さL、直径DとしたときL/Dが3を超える深穴加工においてもマージン部の高い耐摩耗性と、フルート溝部の高い切屑排出性を長期に亘って実現する表面被覆ドリル。
(2) 超硬合金焼結体あるいはサーメットあるいは高速度鋼からなるドリル基体の上に、(Ti1−x,Alx)(N1−y,Cy){x=0〜0.5、y=0〜0.7}の組成を有する単層構造からなる硬質被覆層が形成された表面被覆ドリルにおいて、
前記硬質被覆層の縦断面組織を観察した際に、
ドリルのマージン部、先端切れ刃および逃げ面においては、前記硬質被覆層が、アスペクト比が10〜100、幅10〜100nmの柱状組織からなるA層とアスペクト比が5以下、幅10〜50nmの粒状組織からなるB層とからなる交互積層構造を有し、かつ、
ドリルのフルート溝部においては、粒状組織からなるB層のみによる単層構造を有し、
加工長さL、直径DとしたときL/Dが3を超える深穴加工においてもマージン部の高い耐摩耗性と、フルート溝部の高い切屑排出性を長期に亘って実現する表面被覆ドリル。
(3) 前記交互積層構造において、各層の一層平均層厚が0.1〜1.0μm、全体平均層厚が1.0〜5.0μmであることを特徴とする(2)に記載の表面被覆ドリル。
(4) 前記フルート溝部の残留圧縮応力が、2.0〜5.0GPaであることを特徴とする(1)乃至(3)のいずれかに記載の表面被覆ドリル。」
に特徴を有するものである。
また、本発明の表面被覆ドリルのマージン部、先端切れ刃および逃げ面において、単層または交互積層構造としたときの一方の層(A層)を、結晶粒のアスペクト比が10〜100、幅が10〜100nmの柱状組織と限定した理由は、アスペクト比が10〜100であると、鉛直方向からの負荷に対して柱状組織の高い耐摩耗性が実現するからであり、幅が10〜100nmであると、大きなクラックの進展を抑え、耐チッピング性を向上させるからである。
また、交互積層構造における各層の一層平均層厚の望ましい値として0.1〜1.0μmと特定した理由は、各層の一層平均層厚が0.1μmより小さいと粒状組織が持つ所望の平滑化による切削抵抗の低減と柱状組織が持つ耐摩耗性を十分に発揮することが出来ず、1.0μmを超えると皮膜中の残留応力による歪みエネルギーが大きくなるため界面剥離の原因となるためである。また、交互積層構造における全体平均層厚を1.0〜5.0μmと限定した理由は、1.0μmより小さいと、交互積層構造が持つ平滑性・耐摩耗性が長時間に亘って発揮できず、また5.0μmを超えると皮膜の残留応力による歪みエネルギーが大きくなるためチッピングがおきやすくなるためである。
前記特許文献2に示す従来技術では、マスキングや成膜後のブラスト処理等で耐摩耗部1と潤滑部2の皮膜構造を制御することが可能であるが、ブラスト処理によっては皮膜の傷によって十分な強度を維持することが出来ない。また、マスキングによる方法では、特許文献2に示すように先端部からD/2まで領域の皮膜組織形状を制御することが出来るものの、直径10mm以下の小径ドリルのマージン部のみを選択的にマスキングするのが困難であるとともに、マスキングされた部分の成膜速度が著しく低下し制御することが不可能であることから、微粒層や柱状晶の構造を制御するための効率的手法であるとは決していえない。
また、本発明における、金属メッシュに印加するバイアス電圧により成膜速度を制御する方法は、圧力勾配型Arプラズマガン装置だけでなく、スパッタリング装置、アーク式イオンプレーティング装置、プラズマ支援CVD装置など、プラズマを発生させる機構を備えた様々な成膜装置に利用できることは言うまでもない。
工具基体温度:380〜420℃
蒸発源1:金属Ti、
蒸発源1に対するプラズマガン放電電力:11〜13kW
蒸発源2:金属Al、
蒸発源2に対するプラズマガン放電電力:10〜12kW
反応ガス流量:窒素(N2)ガス 70〜100sccm
メタン(CH4)ガス 30〜80sccm
放電ガス:アルゴン(Ar)ガス 45〜50sccm
ドリル基体に印加する直流バイアス電圧:−5V
マスキング用金属メッシュに印加する直流バイアス電圧:+3V〜−15V
という表2および表3に示される特定の条件下、ドリル基体を、例えば、図2に示すように、ドリル基体にマージン部に沿って、適当な大きさおよび形状を有しドリル基体およびドリル基体を保持する治具等と電気的に絶縁された金属メッシュを配置し、該鉛直方向の軸を回転中心軸として公転させながら反応性蒸着をして、表5および表6に示されるドリル基体の部位ごとに異なる粒径幅、アスペクト比、組織、構造および目標層厚を有する改質粒径制御層を形成した本発明表面被覆ドリル1〜18をそれぞれ製造した。交互積層膜は、金属メッシュに印加するバイアス電圧を+3Vと−10V、あるいは+3Vと−15V、を交互に変化させることによって形成することができる。
被削材−平面寸法:100mm×250mm、厚さ:50mmの、JIS・SS400(HB110)の板材、
切削速度: 100m/min.、
送り: 0.25mm/rev.、
穴深さ: 32mm
の条件での軟鋼の湿式高速深穴あけ切削加工試験(通常の、加工穴深さ4Dの切削速度および送りは、それぞれ、80m/min.および0.20mm/rev.)、
を行い、先端切刃面の逃げ面摩耗幅が0.3mmに至るまで、若しくは工具の欠損に至るまでの穴あけ加工数を測定した。この測定結果を表5、6、7にそれぞれ示した。
2・・・潤滑部
3・・・シャンク部
Claims (4)
- 超硬合金焼結体あるいはサーメットあるいは高速度鋼からなるドリル基体の上に、(Ti1−x,Alx)(N1−y,Cy){x=0〜0.5、y=0〜0.7}の組成を有する単層構造からなる硬質被覆層が形成された表面被覆ドリルにおいて、
前記硬質被覆層の縦断面組織を観察した際に、
ドリルのマージン部、先端切れ刃および逃げ面においては、前記硬質被覆層が、アスペクト比が10〜100、幅10〜100nmの柱状組織からなる単層構造を有し、かつ、
ドリルのフルート溝部においては、アスペクト比が5以下、幅10〜50nmの粒状組織からなる単層構造を有し、
加工長さL、直径DとしたときL/Dが3を超える深穴加工においてもマージン部の高い耐摩耗性と、フルート溝部の高い切屑排出性を長期に亘って実現する表面被覆ドリル。 - 超硬合金焼結体あるいはサーメットあるいは高速度鋼からなるドリル基体の上に、(Ti1−x,Alx)(N1−y,Cy){x=0〜0.5、y=0〜0.7}の組成を有するる硬質被覆層が形成された表面被覆ドリルにおいて、
前記硬質被覆層の縦断面組織を観察した際に、
ドリルのマージン部、先端切れ刃および逃げ面においては、前記硬質被覆層が、アスペクト比が10〜100、幅10〜100nmの柱状晶からなるA層とアスペクト比が5以下、幅10〜50nmの粒状組織からなるB層とからなる交互積層構造を有し、かつ、
ドリルのフルート溝部においては、粒状組織からなるB層のみによる単層構造を有し、
加工長さL、直径DとしたときL/Dが3を超える深穴加工においてもマージン部の高い耐摩耗性と、フルート溝部の高い切屑排出性を長期に亘って実現する表面被覆ドリル。 - 前記交互積層構造において、各層の一層平均層厚が0.1〜1.0μm、全体平均層厚が1.0〜5.0μmであることを特徴とする請求項2に記載の表面被覆ドリル。
- 前記フルート溝部の残留圧縮応力が、2.0〜5.0GPaであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれかに記載の表面被覆ドリル。
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