JP2003197346A - スパークプラグ - Google Patents

スパークプラグ

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JP2003197346A
JP2003197346A JP2001393919A JP2001393919A JP2003197346A JP 2003197346 A JP2003197346 A JP 2003197346A JP 2001393919 A JP2001393919 A JP 2001393919A JP 2001393919 A JP2001393919 A JP 2001393919A JP 2003197346 A JP2003197346 A JP 2003197346A
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electrode
base material
spark plug
noble metal
metal tip
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JP2001393919A
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English (en)
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Taiji Koyama
泰司 小山
Yasuyuki Sato
保幸 佐藤
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Denso Corp
Original Assignee
Denso Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極母材に貴金属チップを接合したスパーク
プラグにおいて、電極母材と貴金属チップとの接合信頼
性を向上する。 【解決手段】 電極母材40と貴金属チップ60との接
合界面80近傍に、1000℃における酸化物の標準生
成自由エネルギーが−170kcal/g・molO2
以下の金属90a〜90eを分散させる。この分散した
金属90a〜90eは酸素と結合しやすいため、接合時
に他の金属と結合した酸素も、使用中の冷熱繰り返しに
より離脱、結合を繰り返す中で、上記の分散した金属9
0a〜90eと結合する。これにより酸素の拡散が抑制
されるため、接合界面80近傍の粒界が受けるダメージ
を小さくでき、接合信頼性を確保することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、中心電極と接地電
極の少なくとも一方を電極母材とし、この電極母材に貴
金属チップを接合したスパークプラグに関し、自動車、
コージェネレーション、ガス圧送用ポンプなどに使用さ
れる内燃機関等に適用することができる。
【0002】
【従来の技術】内燃機関用スパークプラグは、中心電極
と、中心電極を保持する絶縁碍子と、絶縁碍子を保持固
定するハウジングと、一端部がハウジングに接合され他
端部が中心電極と対向する接地電極とを備えている。そ
して、高着火性、長寿命化のため、中心電極や接地電極
先端の火花放電部に貴金属チップを抵抗溶接により接合
している。ここで、電極母材としてはNi基合金が使用
され、貴金属チップとしては、白金、イリジウム、また
はこれらを50%以上含有する合金が使用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記した従来のスパー
クプラグの場合、電極母材の線膨張係数は約14×10
-6/℃、貴金属チップの線膨張係数は、白金またはその
合金で約9×10-6/℃、イリジウムまたはその合金で
約7×10-6/℃であり、内燃機関運転中の冷熱繰り返
しにより、線膨張係数の差に起因する熱応力が発生す
る。この熱応力は、電極母材と貴金属チップとの接合界
面近傍が最も大きく、この熱応力を緩和するように、接
合界面で選択的に酸化が進行する。
【0004】ところで、近年の内燃機関は、高出力、低
燃費、排気浄化等の要求に応えるために、直噴化やリ−
ンバーン化が図られ、それに伴い、燃焼雰囲気温度は従
来の内燃機関よりも高温になり、スパークプラグの電極
の温度が高くなる傾向にある。そして、従来の内燃機関
と近年の内燃機関とでは、燃焼雰囲気温度の差により、
以下述べるように電極母材と貴金属チップとの接合界面
での酸化の進行の形態が異なる。
【0005】すなわち、従来の内燃機関のように燃焼雰
囲気温度が比較的低い使用環境においては、まず、冷熱
繰り返しによる熱応力の繰り返しにより、接合界面の外
周部、換言すると接合界面において外部に露出した部位
(以下、露出部位という)から、接合界面の内部、換言
すると接合界面において外部に露出していない部位(以
下、非露出部位という)に向かって酸化が進行する。酸
化が進行して接合面積が小さくなると、発生する熱応力
は小さくなり、冷熱繰り返しによる熱応力に起因する酸
化の進行は非常に遅くなる。
【0006】経験的には、φ1mmの円板状の貴金属チ
ップを用いたスパークプラグの場合、酸化が片側で0.
2mm程度進行すると酸化の進行は非常に遅くなる。以
降の酸化は高温による酸化が支配的となり、従来は燃焼
雰囲気温度が比較的低かったため酸化の進行は非常に遅
くなり、従って、接合界面に酸化は認められるものの、
貴金属チップの脱落には至らなかった。
【0007】一方、近年の内燃機関のように燃焼雰囲気
温度が高い使用環境においては、冷熱繰り返しの高温側
の温度が高くなり、発生する熱応力も高くなる。その結
果、酸化が進行して接合面積が小さくなった後も、高温
による酸化が比較的速い速度で進行してしまい、貴金属
チップの脱落に至る恐れがあった。
【0008】本発明は上記の点に鑑みてなされたもの
で、電極母材に貴金属チップを接合したスパークプラグ
において、燃焼雰囲気温度が高い使用環境においても、
電極母材と貴金属チップとの接合信頼性を確保可能にす
ることを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明者は、上記目的を
達成すべく、以下のような検討を行った。近年の内燃機
関のように燃焼雰囲気温度が高い使用環境を模擬した条
件で、スパークプラグの冷熱繰り返し試験をベンチで行
い、冷熱繰り返し回数毎に、経時的に接合界面の断面を
観察したところ、接合界面近傍で結晶粒界が観察され、
この結晶粒界は冷熱繰り返し回数の増加と共に顕著にな
ることがわかった。
【0010】この結晶粒界が顕著になるメカニズムにつ
いては、以下のように推定される。まず、電極母材と貴
金属チップの接合時に、電極母材中の金属元素の酸化物
が接合界面に点在して形成される。この酸化物の酸素
は、高温および冷熱繰り返しによる熱応力を受ける環境
下では、熱応力を低減するように、それまで結合してい
た金属原子との結合が切れて他の金属原子と結合すると
いうように、近くにある原子と離脱、結合を繰り返す。
【0011】その結果、接合時に接合界面に点在してい
た酸化物の酸素が拡散し、粒界にダメージを与える。そ
して、熱応力の繰り返しによって接合界面の露出部位か
ら非露出部位に向かう酸化が進行した後も、ダメージを
与えられた粒界の酸化が、高温環境下で選択的且つ加速
度的に進行するものと考えられる。
【0012】以上の考察に基づき、接合時に接合界面に
点在していた酸化物の酸素の拡散を抑制することによ
り、粒界が受けるダメージを小さくできるものと考え、
上記酸化物の酸素の拡散を抑制する手段を実験検討した
ところ、1000℃における酸化物の標準生成自由エネ
ルギーが−170kcal/g・molO2以下の金属
が接合界面近傍に分散していれば、酸素の拡散を抑制し
て粒界が受けるダメージを小さくでき、電極母材と貴金
属チップとの接合信頼性を確保できることが判明した。
【0013】本発明は、以上のような実験検討により得
られた事実に基づいてなされたもので、請求項1に記載
の発明では、中心電極(30)と、中心電極を保持する
絶縁碍子(20)と、絶縁碍子を保持固定するハウジン
グ(10)と、一端部がハウジングに接合され他端部が
中心電極と対向する接地電極(40)とを備え、中心電
極と接地電極の少なくとも一方を電極母材とし、この電
極母材に貴金属チップ(60)を抵抗溶接にて接合した
スパークプラグにおいて、電極母材と貴金属チップとの
接合界面(80)近傍に、1000℃における酸化物の
標準生成自由エネルギーが−170kcal/g・mo
lO2以下の金属が分散していることを特徴とする。
【0014】これによると、1000℃における酸化物
の標準生成自由エネルギーが−170kcal/g・m
olO2以下の金属(以下、分散金属という)は酸素と
結合しやすいため、抵抗溶接時に酸素が分散金属と結合
し、また、他の金属と結合した酸素も、使用中の冷熱繰
り返しにより離脱、結合を繰り返す中で分散金属と結合
する。そして、分散金属は酸素との結合力が強いため、
分散金属と結合した酸素は離脱しにくく、酸素の拡散が
抑制される。
【0015】従って、接合界面近傍の粒界が受けるダメ
ージを小さくでき、燃焼雰囲気温度が高い使用環境にお
いても、電極母材と貴金属チップとの接合信頼性を確保
して、貴金属チップの脱落を防止することができる。
【0016】請求項3に記載の発明のように、分散して
いる金属が、接合界面の厚み方向中心を基準として±6
μm以内に存在する場合、請求項1の効果を確実に得る
ことができる。
【0017】請求項4に記載の発明では、電極母材は、
Alが1.0〜7.5重量%添加されたNi基合金より
なることを特徴とする。
【0018】これによると、1000℃における酸化物
の標準生成自由エネルギーは、Niが−60kcal/
g・molO2、Alが−200kcal/g・mol
2であり、標準生成自由エネルギーが小さいAlと結
合した酸素は離脱しにくく、酸素の拡散が抑制される。
そして、本発明者の実験検討によれば、Ni基合金に
1.0〜7.5重量%のAlを添加した場合、接合界面
近傍にAlが分散されて、請求項1の効果を確実に得る
ことができる。
【0019】また、請求項5に記載の発明のように、A
lの添加量を2.2〜5重量%にした場合、電極母材の
曲げ加工性と、電極母材と貴金属チップとの接合信頼性
とを、高レベルで両立させることができる。
【0020】請求項6に記載の発明では、Crが10〜
20重量%添加されていることを特徴とする。
【0021】これによると、1000℃における酸化物
の標準生成自由エネルギーは、Crが−120kcal
/g・molO2、Alが−200kcal/g・mo
lO2であり、Crが10〜20重量%添加されている
場合でも、標準生成自由エネルギーが小さいAlと結合
した酸素は離脱しにくく、酸素の拡散が抑制されるた
め、請求項1の効果を確実に得ることができる。
【0022】請求項7に記載の発明のように、分散して
いる金属の濃度が高いところが、接合界面の長さ0.5
mm当たり2ヶ所以上存在する場合、請求項1の効果を
確実に得ることができる。
【0023】請求項8に記載の発明では、中心電極(3
0)と、中心電極を保持する絶縁碍子(20)と、絶縁
碍子を保持固定するハウジング(10)と、一端部がハ
ウジングに接合され他端部が中心電極と対向する接地電
極(40)とを備え、中心電極と接地電極の少なくとも
一方を電極母材とし、この電極母材に貴金属チップ(6
0)を接合したスパークプラグにおいて、電極母材はA
lが添加されたNi基合金よりなり、電極母材に貴金属
チップが抵抗溶接にて接合されていることを特徴とす
る。
【0024】これによると、接合界面近傍にAlが分散
されたスパークプラグを容易に製造することができ、請
求項1と同様の効果を得ることができる。
【0025】なお、上記各手段の括弧内の符号は、後述
する実施形態に記載の具体的手段との対応関係を示す一
例である。
【0026】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示す実施形態
について説明する。
【0027】図1は本実施形態のスパークプラグを示す
半断面図であり、このスパークプラグは、導電性の鉄鋼
材料(例えば低炭素鋼)よりなる筒形状のハウジング1
0を有しており、このハウジング10は、内燃機関のシ
リンダヘッド(図示せず)に固定するための取付ネジ部
10aを備えている。ハウジング10の内部には、アル
ミナセラミック(Al23)等からなる絶縁碍子20が
固定されており、この絶縁碍子20の一端部21は、ハ
ウジング10の一端部11から露出するように設けられ
ている。
【0028】絶縁碍子20の軸孔22には中心電極30
が固定されており、この中心電極30はハウジング10
に対して絶縁保持されている。中心電極30は、例え
ば、内材がCu等の熱伝導性に優れた金属材料、外材が
Ni基合金、Fe基合金、またはCo基合金といった耐
熱性および耐食性に優れた金属材料により構成された円
柱体で、その細径化された一端部31が、絶縁碍子20
の一端部21から露出して延びるように設けられてい
る。
【0029】一方、接地電極40はNi基合金よりな
り、その一端部41にてハウジング10の一端部11に
溶接により固定され、途中で曲げられて、その他端部4
2側が中心電極30の一端部31と放電ギャップ50を
隔てて対向している。
【0030】また、図2に示すように、接地電極40の
他端部42には、接地電極40を電極母材として、貴金
属チップ60が抵抗溶接により接合されている。この貴
金属チップ60は、材質はPt−20%Ir−2%Ni
であり、寸法および形状は、直径Dが0.7mm、厚さ
が0.3mmの、円板状である。
【0031】ここで、上記構成のスパークプラグにおい
て、図3および図4の図表に示すNo1ないしNo18
のNi基合金材料(以下、試料という)にて形成した接
地電極40を用いたスパークプラグ(以下、試験品とい
う)を用意し、各試験品について下記の冷熱繰り返し試
験をベンチで行い、電極母材としての接地電極40と貴
金属チップ60との接合信頼性、および接地電極40の
耐酸化性に関する評価を行った。なお、試料No1の材
質はNCF600であり、NCF600はJIS(日本
工業規格)に記されたNi基合金である。
【0032】冷熱繰り返し試験は、温度条件の厳しい内
燃機関でのハードな運転状態を模擬したベンチ評価とし
て、室温(20℃)で1分間保持し、1000℃で1分
間保持する冷熱サイクルを1000サイクル実施した。
【0033】図3および図4の項目において、(a)は
Ni基合金の成分組成、(b)は項目(a)に記載の元
素のうち、1000℃における酸化物の標準生成自由エ
ネルギーが最小となるものの値である。因みに、100
0℃における酸化物の標準生成自由エネルギー(単位:
kcal/g・molO2)は、Niが−60、Crが
−120、Feが−85、Alが−200、Mgが−2
20、Tiが−170、Mnが−145である。
【0034】図3および図4の項目(c)および(d)
は、冷熱繰り返し試験後の試験品について、接地電極4
0と貴金属チップ60との接合界面を観察して評価した
結果である。なお、本明細書では、溶接により接地電極
40と貴金属チップ60とが溶融してそれらの合金層と
なった部位を、接合界面という。
【0035】ここで、項目(c)の評価方法および判定
基準について説明する。貴金属チップ60の径方向中心
部における0.3Dの範囲内(図5参照)で試験品を切
断して接合界面を観察した。図6は、図5の0.3Dの
範囲内で切断した接合界面の酸化状態を示すモデル図で
あり、接合界面の露出部位から非露出部位にかけて酸化
部70が存在し、接合界面の非露出部位の一部には酸化
していない健全部が存在する。
【0036】そして、切断面における貴金属チップ60
の最大長さをA、切断面における接合界面の健全部の長
さをB、(B/A)×100%を健全部比率とし、健全
部比率が60%以下を×(不可)、健全部比率が60%
を超え75%未満を△(良)、健全部比率が75%以上
を○(優)とした。
【0037】また、項目(d)は、接合界面の健全部を
目視して、そこに粒界ダメージがあれば×(不可)、粒
界ダメージが無ければ○(良)とした。
【0038】さらに、図3および図4の項目(e)は、
冷熱繰り返し試験後の試験品の接地電極40における、
接合界面以外の部位の表面酸化深さから、接地電極40
の耐酸化性を評価した結果である。そして、表面酸化深
さが0.15mm以下を○(優)、表面酸化深さが0.
15mmを超え0.2mm未満を△(良)、表面酸化深
さが0.2mm以上を×(不可)とした。
【0039】また、項目(f)は、項目(c)ないし
(e)の結果に基づく総合判定であり、項目(c)ない
し(e)が全て○の場合は総合判定は○(優)、項目
(c)ないし(e)に1つでも×がある場合は総合判定
は×(不可)、その他の場合は△(良)とした。但し、
試料No7およびNo11は、接地電極40の曲げ加工
性の低下が著しいため、総合判定は×とした。
【0040】次に、図3および図4に基づき、接地電極
40と貴金属チップ60との接合信頼性および接地電極
40の耐酸化性の評価結果を説明する。
【0041】前述したように、酸化物の標準生成自由エ
ネルギーが小さい金属元素が接合界面近傍に分散してい
れば、接合時に接合界面に点在していた酸化物の酸素の
拡散を抑制して粒界が受けるダメージを小さくできると
の考えに基づき、酸化物の標準生成自由エネルギーが小
さい金属元素を添加した試料について接合信頼性を評価
した。
【0042】まず、酸化物の標準生成自由エネルギーが
小さい金属元素としてAlを選択し、試料No2ないし
No7では、Alの添加量をパラメータとして比較し
た。これによると、Ni基合金に1.0〜7.5重量%
のAlを添加した場合(試料No3ないしNo7)、接
合信頼性および耐酸化性に関して良好な結果が得られ
た。但し、試料No7は、Alの添加量が多いため硬度
が高くなってしまい、接地電極40の曲げ加工性の低下
が著しいため、総合判定は×である。
【0043】そして、Alの添加量を2.2〜5重量%
にした場合(試料No5およびNo6)、接合信頼性、
耐酸化性、接地電極40の曲げ加工性のいずれも、極め
て良好な結果が得られた。
【0044】Alの添加により接合信頼性が向上するメ
カニズムは、次の通りである。まず、酸化物の標準生成
自由エネルギーが小さいAlは酸素と結合しやすいた
め、接地電極40と貴金属チップ60との抵抗溶接時に
発生するブローホール(空気の巻き込み)内の酸素をA
lがトラップし、接合界面近傍にアルミナが分散形成さ
れる。また、抵抗溶接時に他の金属元素と結合した酸素
も、冷熱繰り返しにより離脱、結合を繰り返す中でAl
と結合する。
【0045】そして、アルミナは安定な酸化物であるた
め酸素が離脱しにくく、酸素の拡散が抑制される。その
結果、接合界面の非露出部位での酸化が抑制されて、接
合界面近傍の粒界が受けるダメージが小さくなり、接合
信頼性が向上する。
【0046】ここで、図7は図2のC部の拡大図であ
り、接合界面80の近傍にAlまたはアルミナが分散し
ている状態を示している。符号90aないし90eは、
分散したAlまたはアルミナであり、90aは貴金属チ
ップ60内に位置する例、90bは貴金属チップ60と
接合界面80との境界部に位置する例、90cは接合界
面80内に位置する例、90dは接地電極40と接合界
面80との境界部に位置する例、90eは接地電極40
内に位置する例である。
【0047】そして、抵抗溶接により形成される接合界
面80の厚さは通常0.5〜6μmであり、分散したA
lまたはアルミナ90a〜90eが、接合界面80の厚
み方向中心を基準として±6μm以内に存在する場合、
接合界面80の非露出部位での酸化が抑制されて接合信
頼性が向上する。また、分散したAlまたはアルミナ9
0a〜90eが、接合界面80の厚み方向中心を基準と
して±6μm以内で、且つ接合界面80の長さ0.5m
mの範囲内に2ヶ以上存在する場合、接合界面80の非
露出部位での酸化が抑制されて接合信頼性が向上する。
なお、分散したAlまたはアルミナ90a〜90eは、
例えばEPMA(シマヅ製作所製、型式EPM−81
0)にて接合界面80を2000倍に拡大して観察する
ことができる。
【0048】一方、Alの添加により接地電極40の表
面にもアルミナが形成され、この安定した酸化物である
アルミナによって接地電極40の内部への酸化の進行が
抑制されるため、接地電極40の耐酸化性も向上する。
【0049】次に、試料No8ないしNo11では、A
lの添加量を2.2重量%に固定し、Crの添加量をパ
ラメータとして接合信頼性および耐酸化性への影響を調
べた。そして、Ni基合金に10〜22重量%のCrを
添加した場合(試料No9ないしNo11)でも、添加
されたAlによって接合信頼性および耐酸化性が向上す
ることが確認された。但し、試料No11は、Crの添
加量が多いため硬度が高くなってしまい、接地電極40
の曲げ加工性の低下が著しいため、総合判定は×であ
る。従って、Crの添加量は10〜20重量%とするの
が望ましい。
【0050】次に、試料No12およびNo13では、
Alの添加量を2.2重量%に固定し、Feの添加量を
パラメータとして接合信頼性および耐酸化性への影響を
調べた。そして、Ni基合金に6〜10重量%のFeを
添加した場合でも、添加されたAlによって接合信頼性
および耐酸化性が向上することが確認された。
【0051】次に、試料No14およびNo15では、
Alの添加量を2.2重量%に固定し、Ni、Cr、F
e、Al以外の添加元素および不純物の影響を調べた。
因みに、試料No14の、Ni、Cr、Fe、Al以外
の添加元素および不純物は、0.2%Mn、0.005
%C、0.2%Si、0.05%Cu、0.001%S
である。また、試料No15の、Ni、Cr、Fe、A
l以外の添加元素および不純物は、1%Mn、0.2%
C、1.4%Si、0.6%Cu、0.02%Sであ
る。そして、試料No14およびNo15のいずれも、
添加されたAlによって接合信頼性および耐酸化性が向
上することが確認された。
【0052】次に、試料No16ないしNo18では、
酸化物の標準生成自由エネルギーが小さい金属元素とし
てAl以外の金属元素を選択して評価した。因みに、試
料No16では、1000℃における酸化物の標準生成
自由エネルギーが−220kcal/g・molO2
Mgを2.5%添加し、試料No17では、1000℃
における酸化物の標準生成自由エネルギーが−170k
cal/g・molO 2のTiを2.5%添加し、試料
No18では、1000℃における酸化物の標準生成自
由エネルギーが−145kcal/g・molO2のM
nを2.5%添加した。
【0053】その結果、試料No16およびNo17で
は、接合信頼性および耐酸化性が向上することが確認さ
れた。これは、酸化物の標準生成自由エネルギーが小さ
いMgやTiは酸素と結合しやすいため、上記したAl
の場合と同様のメカニズムにより、安定な酸化物である
マグネシアやチタニアが接合界面近傍に分散形成され
て、酸素の拡散が抑制されるためである。
【0054】以上の検討によると、貴金属チップ60が
接合される接地電極40を、1000℃における酸化物
の標準生成自由エネルギーが−170kcal/g・m
olO2以下の金属元素が添加されたNi基合金にて形
成することにより、安定な酸化物が接合界面近傍に分散
形成されて酸素の拡散が抑制され、その結果、接合界面
近傍の粒界が受けるダメージが小さくなり、接合信頼性
が向上する。
【0055】(他の実施形態)上記実施形態では、薄板
円板状の貴金属チップ60を用いたが、貴金属チップ6
0としては、図8に示すような種々の形状、すなわち、
角柱形状(図8a)、丸棒形状(図8b)、鍔付き丸棒
形状(図8c)、球状(図8d)のものを用いてもよ
い。
【0056】また、上記実施形態では、接地電極40に
貴金属チップ60を接合する例を示したが、図9に示す
ような中心電極30に貴金属チップ60を接合するスパ
ークプラグにも、本発明は適用することができる。ま
た、接地電極40および中心電極30に共に貴金属チッ
プ60を接合するスパークプラグにも、本発明は適用す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るスパークプラグの全
体構成を示す半断面図である。
【図2】図1の接地電極とチップとの接合部の拡大断面
図である。
【図3】検討した電極母材の各種成分組成を示す図表で
ある。
【図4】図3に続く電極母材の各種成分組成を示す図表
である。
【図5】試験品の切断部位を示す図である。
【図6】接合界面の酸化状態を示すモデル図である。
【図7】図2のC部の拡大断面図である。
【図8】本発明の他の実施形態を示す図である。
【図9】本発明の他の実施形態を示す図である。
【符号の説明】
40…接地電極(電極母材)、60…貴金属チップ、8
0…接合界面、90a〜90e…分散した金属。

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中心電極(30)と、 前記中心電極を保持する絶縁碍子(20)と、 前記絶縁碍子を保持固定するハウジング(10)と、 一端部が前記ハウジングに接合され他端部が前記中心電
    極と対向する接地電極(40)とを備え、 前記中心電極と前記接地電極の少なくとも一方を電極母
    材とし、この電極母材に貴金属チップ(60)を抵抗溶
    接にて接合したスパークプラグにおいて、 前記電極母材と前記貴金属チップとの接合界面(80)
    近傍に、1000℃における酸化物の標準生成自由エネ
    ルギーが−170kcal/g・molO2以下の金属
    が分散していることを特徴とするスパークプラグ。
  2. 【請求項2】 分散している前記金属の少なくとも一部
    は、前記抵抗溶接を行った時点で酸化物となっているこ
    とを特徴とする請求項1に記載のスパークプラグ。
  3. 【請求項3】 分散している前記金属は、前記接合界面
    (80)の厚み方向中心を基準として±6μm以内に存
    在することを特徴とする請求項1または2に記載のスパ
    ークプラグ。
  4. 【請求項4】 前記電極母材は、Alが1.0〜7.5
    重量%添加されたNi基合金よりなることを特徴とする
    請求項1ないし3のいずれか1つに記載のスパークプラ
    グ。
  5. 【請求項5】 前記電極母材は、Alが2.2〜5重量
    %添加されたNi基合金よりなることを特徴とする請求
    項1ないし3のいずれか1つに記載のスパークプラグ。
  6. 【請求項6】 Crが10〜20重量%添加されている
    ことを特徴とする請求項4または5に記載のスパークプ
    ラグ。
  7. 【請求項7】 分散している前記金属の濃度が高いとこ
    ろが、前記接合界面(80)の長さ0.5mm当たり2
    ヶ所以上存在することを特徴とする請求項1に記載のス
    パークプラグ。
  8. 【請求項8】 中心電極(30)と、 前記中心電極を保持する絶縁碍子(20)と、 前記絶縁碍子を保持固定するハウジング(10)と、 一端部が前記ハウジングに接合され他端部が前記中心電
    極と対向する接地電極(40)とを備え、 前記中心電極と前記接地電極の少なくとも一方を電極母
    材とし、この電極母材に貴金属チップ(60)を接合し
    たスパークプラグにおいて、 前記電極母材はAlが添加されたNi基合金よりなり、 前記電極母材に前記貴金属チップが抵抗溶接にて接合さ
    れていることを特徴とするスパークプラグ。
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