JP2003197160A - 難燃性密閉型二次電池用電槽 - Google Patents

難燃性密閉型二次電池用電槽

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JP2003197160A
JP2003197160A JP2001393800A JP2001393800A JP2003197160A JP 2003197160 A JP2003197160 A JP 2003197160A JP 2001393800 A JP2001393800 A JP 2001393800A JP 2001393800 A JP2001393800 A JP 2001393800A JP 2003197160 A JP2003197160 A JP 2003197160A
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secondary battery
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JP2001393800A
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Takumi Sato
藤 匠 佐
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SABIC Innovative Plastics Japan KK
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GE Plastics Japan Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 特定の樹脂組成物からなる、難燃性、耐熱
性、耐薬品性、耐溶剤性、機械的強度に優れた難燃性密
閉型二次電池用電槽の提供。 【解決手段】 (A)ポリフェニレンエーテル系樹脂3
0〜82重量%、(B)シンジオタクチック構造を有す
るスチレン系重合体8〜60重量%、および、(C)シ
ンジオタクチック構造を有さないスチレン系重合体10
〜62重量%を含み、(A)〜(C)成分の合計100
重量部に対し、さらに(D)リン系難燃剤を4〜40重
量部含み、所定の条件を満たす樹脂組成物から形成され
ることを特徴とする難燃性密閉型二次電池用電槽。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の技術分野】本発明は、難燃性密閉型二次電池用
電槽に関し、詳しくは、ポリフェニレンエーテル系樹
脂、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合
体、シンジオタクチック構造を有さないスチレン系重合
体、およびリン系難燃剤を特定の配合量で含有する樹脂
組成物より成形されてなる、難燃性、耐熱性、耐薬品
性、耐溶剤性、機械的強度に優れた難燃性密閉型二次電
池用電槽に関する。
【0002】
【発明の技術的背景】従来、二次電池用電槽材料として
は、金属製のものが多く用いられていたが、金属製電槽
は、耐熱性、耐圧性、耐溶剤性には優れるものの、重量
が重く、防錆性、絶縁性に欠けるなどの問題があった。
したがって、近年は、軽量化などの観点から、電槽材料
としては、たとえばポリスチレン、ポリプロピレン、A
BS樹脂、ポリフェニレンエーテルなどのプラスチック
が主原料として用いられている。
【0003】しかしながら、ポリスチレン、ポリプロピ
レン、あるいはABSといった樹脂では、軽量で、成形
加工が容易であり、電気絶縁性が良好などの利点を有す
るものの、耐熱性、耐圧性、耐溶剤性に欠けるなどの問
題があった。また、ポリフェニレンエーテルでは、機械
的特性、電気特性、耐熱性、低温特性に優れ、吸水性が
低く、かつ寸法安定性に優れるものの、成形加工性や耐
衝撃性に劣るなどの問題があった。したがって、このよ
うな問題を解決するために、種々の試みがなされてき
た。
【0004】たとえば、特開平9−180689号公報
には、上記問題を解決する密閉型二次電池用電槽材料と
して、(A)シンジオタクチック構造を有するスチレン
系重合体50〜98重量%と、(B)ポリオレフィンお
よびスチレン系エラストマーの中から選ばれた少なくと
も一種2〜50重量%と、(C)ポリフェニレンエーテ
ル0〜10重量%を含有する樹脂組成物からなる密閉型
二次電池用電槽材料が開示されている。しかしながら、
このような樹脂組成物は、難燃性、耐熱性、耐溶剤性な
どの点で必ずしも十分ではなかった。
【0005】また、特開2001−72814号公報に
は、結晶性ポリプロピレンの耐熱性を改善した電槽ケー
ス材料として、結晶性ポリプロピレンとポリフェニレン
エーテル(PPE)とのブレンド系において、さらにシ
ンジオタクチックポリスチレン(SPS)が添加されて
なる電槽ケース用ポリマーアロイが開示されており、さ
らに該ポリマーアロイから成形されてなる電槽ケースが
開示されている。しかしながら、このようなポリマーア
ロイにおいても、難燃性、耐熱性、耐溶剤性などの点で
必ずしも十分とはいえなかった。
【0006】
【発明の目的】本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹
脂、シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合
体、シンジオタクチック構造を有さないスチレン系重合
体、およびリン系難燃剤を特定の配合量で含有する樹脂
組成物を用いて、難燃性、耐熱性、耐薬品性、耐溶剤
性、機械的強度に優れた難燃性密閉型二次電池用電槽を
提供することを目的としている。
【0007】
【発明の概要】本発明者らは、このような状況下、
(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂、(B)シンジオ
タクチック構造を有するスチレン系重合体、(C)シン
ジオタクチック構造を有さないスチレン系重合体、およ
び(D)リン系難燃剤、ならびに必要に応じて(E)耐
衝撃改良剤、(F)ドリップ防止剤を所定の配合量で含
む樹脂組成物から成形される難燃性密閉型二次電池用電
槽が、軽量で、難燃性、耐熱性、耐薬品性(耐エンジン
オイル性、耐ブレーキオイル性、耐アルカリ水溶液
性)、機械的強度、電気絶縁性のすべての点において、
バランスよく優れていることを見出し、本発明を完成す
るに至ったものである。
【0008】すなわち、本発明の難燃性密閉型二次電池
用電槽は、(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂30〜
82重量%、(B)シンジオタクチック構造を有するス
チレン系重合体8〜60重量%、および、(C)シンジ
オタクチック構造を有さないスチレン系重合体10〜6
2重量%(ただし、(A)〜(C)成分の合計を100
重量%とする)を含み、(A)〜(C)成分の合計10
0重量部に対し、さらに(D)リン系難燃剤を4〜40
重量部含み、下記(i)〜(iii)の条件を満たす樹脂組成物
から形成されることを特徴としている:(i) 該樹脂組
成物より形成される成形体のASTM D648で定義
された荷重たわみ温度が100℃以上であり、(ii) 該
樹脂組成物より形成される成形体のASTM D790
で定義されたアイゾット衝撃強度が7kg・cm/cm
以上であり、かつ、(iii) 該樹脂組成物より形成される
ASTM−1号試験片に1%の引張り歪みを加えた状態
で、該試験片表面に自動車エンジン用オイルを塗布し、
85℃で、72時間放置した後においても該試験片に亀
裂が発生しない。
【0009】また、上記(A)〜(C)成分の配合割合
は、好ましくは(A)成分が40〜82重量%、(B)
成分が8〜50重量%、および、(C)成分が10〜5
2重量%であり、さらに好ましくは、(A)成分が45
〜82重量%、(B)成分が8〜45重量%、および、
(C)成分が10〜47重量%(ただし、(A)〜
(C)成分の合計を100重量%とする)である。
【0010】上記リン系難燃剤(D)は、芳香族リン酸
エステルであることが好ましい。また、上記樹脂組成物
は、さらに(E)耐衝撃改良剤を含むことが好ましく、
また(F)ドリップ防止剤を含むことが好ましい。上記
ドリップ防止剤(F)は、ポリテトラフルオロエチレン
であることが好ましい。
【0011】なお、上記樹脂組成物は、上記(A)〜
(D)成分および必要に応じて加えられる(E)、
(F)成分に加え、さらに、(G)オレフィン系重合体
を含んでいてもよい。
【0012】
【発明の具体的説明】本発明の難燃性密閉型二次電池用
電槽は、(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂30〜8
2重量%、(B)シンジオタクチック構造を有するスチ
レン系重合体8〜60重量%、および、(C)シンジオ
タクチック構造を有さないスチレン系重合体10〜62
重量%(ただし、(A)〜(C)成分の合計を100重
量%とする)を含み、前記(A)〜(C)成分の合計1
00重量部に対し、さらに(D)リン系難燃剤を4〜4
0重量部含み、下記(i)〜(iii)の条件を満たす樹脂組成
物から形成される:(i) 該樹脂組成物より形成される
成形体のASTM D648で定義された荷重たわみ温
度が100℃以上であり、(ii) 該樹脂組成物より形成
される成形体のASTM D790で定義されたアイゾ
ット衝撃強度が7kg・cm/cm以上であり、かつ、
(iii) 該樹脂組成物より形成されるASTM−1号試験
片に1%の引張り歪みを加えた状態で、該試験片表面に
自動車エンジン用オイルを塗布し、85℃で、72時間
放置した後においても該試験片に亀裂が発生しない。
【0013】上記樹脂組成物は、(A)〜(D)成分に
加え、さらに、(E)耐衝撃改良剤および/または
(F)ドリップ剤を含むことが好ましく、また、さらに
(G)オレフィン系重合体を含んでいてもよい。以下、
本発明に用いられる上記各成分について、順次説明す
る。 [(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂]本発明におい
ては、成分(A)のポリフェニレンエーテル系樹脂(P
PE系樹脂)として、公知のものが使用できる。すなわ
ち、PPE系樹脂とは、例えば、下記一般式(I):
【0014】
【化1】
【0015】(式中、R1 、R2 、R3 およびR4 は、
それぞれ独立して、水素原子、ハロゲン原子、炭化水素
基、置換炭化水素基、アルコキシ基、シアノ基、フェノ
キシ基またはニトロ基を表し、nは重合度を表わす整数
である。)で示される重合体の総称である。このような
PPE系樹脂は、上記一般式で示される重合体の1種単
独であっても、2種以上が組合わされた共重合体であっ
てもよい。R1 、R2 、R3 およびR4 の具体例として
は、塩素、臭素、ヨウ素、メチル、エチル、プロピル、
アリル、フェニル、ベンジル、メチルベンジル、クロロ
メチル、ブロモメチル、シアノエチル、シアノ、メトキ
シ、エトキシ、フェノキシ、ニトロなどの基が挙げられ
る。
【0016】PPE系樹脂の具体例としては、ポリ
(2,6−ジメチル−1,4−フェニレン)エーテル、ポ
リ(2,6−ジエチル−1,4−フェニレン)エーテル、
ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレン)
エーテル、ポリ(2−メチル−6−プロピル−1,4−
フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジプロピル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2−エチル−6
−プロピル−1,4−フェニレン)エーテル、ポリ
(2,6−ジメトキシ−1,4−フェニレン)エーテル、
ポリ(2,6−ジクロロメチル−1,4−フェニレン)エ
ーテル、ポリ(2,6−ジブロモメチル−1,4−フェ
ニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジフェニル−1,4−
フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジトリル−1,4
−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジクロロ−1,
4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,6−ジベンジル−
1,4−フェニレン)エーテル、ポリ(2,5−ジメチル
−1,4−フェニレン)エーテルなどが挙げられる。好
ましいPPE系樹脂は、上記式(I)におけるR1 およ
びR2 がアルキル基、特に炭素原子数1〜4のアルキル
基であるポリマーであり、nは通常50以上が好まし
い。このような中でも、ポリ(2,6−ジメチル−1,
4−フェニレン)エーテルが特に好ましく用いられる。
【0017】また、PPE系樹脂が共重合体である場
合、このようなPPE共重合体としては、上記ポリフェ
ニレンエーテル繰返し単位中にアルキル3置換フェノー
ル、例えば2,3,6−トリメチルフェノールから誘導
される基を一部含有する共重合体などを挙げることがで
きる。また、これらのPPE系樹脂に、スチレン系化合
物がグラフトした共重合体なども好適に使用することが
できる。スチレン系化合物グラフト化PPEの重合に用
いられるスチレン系化合物として、例えば、スチレン、
α−メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン
などが挙げられる。
【0018】本発明のPPE系樹脂の(クロロホルムを
溶剤として30℃で測定した)固有粘度は、0.08〜
0.60dl/gであり、好ましくは0.12〜0.5
1dl/gであることが望ましい。固有粘度が上記範囲
にあると、得られる組成物の機械的強度および伸び、耐
熱性、加工性などの特性に優れる傾向にある。 [(B)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重
合体]本発明で用いられるシンジオタクチック構造を有
するスチレン系重合体(スチレン系樹脂)(B)(以
下、「sPS」ともいう)とは、立体構造が主としてシ
ンジオタクチック構造、すなわち、炭素−炭素結合から
形成される主鎖に対して側鎖であるフェニル基や置換フ
ェニル基が交互に反対方向に位置する立体構造を有する
ものをいう。
【0019】本発明に用いられるsPSのタクティシテ
ィーは、核磁気共鳴法(13C−NMR法)により定量さ
れ、連続する複数個の構成単位(不斉中心の連なり)の
存在割合、たとえば2個の場合はダイアッド、3個の場
合はトリアッド、5個の場合はペンタッドによって示す
ことができる。本発明においては、このようなシンジオ
タクティシティーが、ラセミダイアッドで75%以上、
好ましくは85%以上、またはラセミペンタッドで30
%以上、好ましくは50%以上のsPSを用いることが
望ましい。
【0020】このようなsPSとしては、たとえば、シ
ンジオタクティシティーが上記範囲にある、ポリスチレ
ン;ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルス
チレン)、ポリ(o−メチルスチレン)、ポリ(エチル
スチレン)、ポリ(i−プロピルスチレン)、ポリ(t
−ブチルスチレン)、ポリ(2,4−ジメチルスチレ
ン)、ポリ(2,5−ジメチルスチレン)、ポリ(3,
4−ジメチルスチレン)、ポリ(3,5−ジメチルスチ
レン)、ポリ(p−t−ブチルスチレン)などのポリ
(アルキルスチレン);ポリ(p−クロロメチルスチレ
ン)、ポリ(m−クロロメチルスチレン)、ポリ(o−
クロロメチルスチレン)などのポリ(ハロゲン化アルキ
ルスチレン);ポリ(p−クロロスチレン)、ポリ(m
−クロロスチレン)、ポリ(o−クロロスチレン)、ポ
リ(p−ブロモスチレン)、ポリ(m−ブロモスチレ
ン)、ポリ(o−ブロモスチレン)、ポリ(p−フルオ
ロスチレン)、ポリ(m−フルオロスチレン)、ポリ
(o−フルオロスチレン)、ポリ(o−メチル−p−フ
ルオロスチレン)などのポリ(ハロゲン化スチレン);
ポリ(p−メトキシスチレン)、ポリ(m−メトキシス
チレン)、ポリ(o−メトキシスチレン)、ポリ(p−
エトキシスチレン)、ポリ(m−エトキシスチレン)、
ポリ(o−エトキシスチレン)などのポリ(アルコキシ
スチレン);ポリ(p−カルボキシメチルスチレン)、
ポリ(m−カルボキシメチルスチレン)、ポリ(o−カ
ルボキシメチルスチレン)などのポリ(カルボキシエス
テルスチレン);ポリ(p−ビニルベンジルプロピルエ
ーテル)などのポリ(アルキルエーテルスチレン);ポ
リ(p−トリメチルシリルスチレン)などのポリ(アル
キルシリルスチレン);ポリ(ビニルベンゼンスルホン
酸エチル)、ポリ(ビニルベンジルジメトキシホスファ
イド)などのその他のポリ(スチレン誘導体)が挙げら
れる。
【0021】上記に列挙した中でも、特にポリスチレ
ン、ポリ(p−メチルスチレン)、ポリ(m−メチルス
チレン)、ポリ(p−t−ブチルスチレン)が好まし
い。このようなsPSは、1種単独であってもよく、ま
た、2種以上を組み合わせて用いてもよい。sPSは、
公知の方法により製造することができ、たとえば、特開
昭62−187708号公報に記載の方法により製造す
ることができ、また、上市もされており、出光石油化学
社製のザレック130ZC(商品名)などとして入手可
能である。
【0022】また、sPSは、さらに、これらの重合体
を主成分とする共重合体であってもよい。sPSが共重
合体を形成している場合、該共重合体としては、たとえ
ば、上記スチレンまたはスチレン誘導体70〜99重量
%、好ましくは85〜95重量%と、ジエンゴム1〜3
0重量%、好ましくは5〜15重量%とからなるゴム変
性ポリスチレンが挙げられる。
【0023】このようなゴム変性スチレンを構成するジ
エンゴムとしては、たとえば、ブタジエン、イソプレ
ン、クロロプレンなどの共役ジエン系化合物の単独重合
体、共役ジエン系化合物と不飽和ニトリル化合物または
芳香族ビニル化合物との共重合体、さらには天然ゴムな
どが挙げられる。このようなジエンゴムは、1種または
2種以上組み合わせて用いることができる。中でも、特
に、ポリブタジエン、ブタジエン−スチレン共重合体が
好ましい。
【0024】このような共重合体は、乳化重合、懸濁重
合、塊状重合、溶液重合またはそれらの組合せの方法に
より得られる。また、その他にスチレン−p−メチルス
チレン共重合体、スチレン−アクリロニトリル−アクリ
レート共重合体、FPDM系ゴム変性ポリスチレン、ア
クリルゴム変性スチレン−アクリロニトリル共重合体な
どであってもよい。
【0025】sPSの分子量は、特に制限するものでは
ないが、通常、重量平均分子量(Mw)が、10,00
0以上、好ましくは50,000〜1,000,000
であり、融点が160℃以上、好ましくは200〜31
0℃であることが、耐熱性、機械的強度、耐溶剤性など
の観点から望ましい。 [(C)シンジオタクチック構造を有さないスチレン系
重合体]本発明に用いられるシンジオタクチック構造を
有さないスチレン系重合体(スチレン系樹脂)として
は、たとえば、アイソタクチック構造若しくはアタクチ
ック構造を有するスチレン系重合体が挙げられる。
【0026】このようなアイソタクチック若しくはアタ
クチック構造のスチレン系重合体としては、シンジオタ
クチック構造を有しない以外(すなわち、アイソタクチ
ック若しくはアタクチック構造を有する以外)は、sP
Sとして上記したものと同様の重合体およびそれらを主
成分とする上記と同様の共重合体が挙げられる。このよ
うなアイソタクチック若しくはアタクチック構造のスチ
レン系重合体としては、1種単独または2種以上を組み
合わせて用いてもよい。
【0027】シンジオタクチック構造を有さないスチレ
ン系重合体(すなわち、アイソタクチック若しくはアタ
クチック構造のスチレン系重合体)としては、特に、H
IPS(ゴム変性ポリスチレン)、α−メチルスチレン
が、耐衝撃性、耐熱性の点から好ましい。アイソタクチ
ック若しくはアタクチック構造のスチレン系重合体は、
たとえばラジカル重合等の従来公知の方法により製造す
ることができ、また、上市もされており、日本ポリスチ
レン(株)社製の870st(商品名)などとして入手
可能である。
【0028】該シンジオタクチック構造を有さないスチ
レン系樹脂の重量平均分子量は、10,000以上、好
ましくは50,000以上であるものが望ましい。本発
明の難燃性密閉型二次電池用電槽を形成し得る樹脂組成
物は、成分(A)と成分(B)と成分(C)との合計を
100重量%としたときに、(A)成分を30〜82重
量%、(B)成分を8〜60重量%、(C)成分を10
〜62重量%、好ましくは(A)成分を40〜82重量
%、(B)成分を8〜50重量%、(C)成分を10〜
52重量%、さらに好ましくは(A)成分を45〜82
重量%、(B)成分を8〜45重量%、(C)成分を1
0〜47重量%含むことが望ましい。
【0029】成分(A)が上記範囲で含まれると、特に
耐熱性に優れる傾向にある。また、成分(B)が上記範
囲で含まれると、特に耐エンジンオイル性などの耐溶剤
性、成形性に優れる傾向にあり、(C)が上記範囲で含
まれると、特にアイゾット衝撃強度などの機械的強度、
成形性に優れる傾向にある。 [(D)リン系難燃剤]本発明において、成分(D)の
リン系難燃剤としては、たとえば、リン酸エステル系難
燃剤あるいは縮合リン酸エステル系難燃剤などが用いら
れる。
【0030】リン酸エステル系難燃剤としては、たとえ
ば、トリメチルホスフェート、トリエチルホスフェー
ト、トリプロピルホスフェート、トリブチルホスフェー
ト、トリペンチルホスフェート、トリヘキシルホスフェ
ート、トリシクロヘキシルホスフェート、トリフェニル
ホスフェート、トリクレジルホスフェート、トリキシレ
ニルホスフェート、ジメチルエチルホスフェート、メチ
ルジブチルホスフェート、エチルジプロピルホスフェー
ト、ヒドロキシフェニルジフェニルホスフェートなどの
リン酸エステルやこれらを各種置換基で置換した化合物
が挙げられる。
【0031】縮合リン酸エステル系難燃剤としては、た
とえば、下記一般式:
【0032】
【化2】
【0033】(式中、nは1〜10の整数であり、Ar
1〜Ar4はそれぞれ独立に、フェニル基、トリル基また
はキシリル基を表す。また、nが2以上の場合、複数あ
るAr 4は各々同一であっても異なっていてもよい。)
で表されるものが挙げられ、難燃効果および耐熱性の観
点から、特に、Rが(A4)の構造であることが好まし
い。これらは単独または2種類以上を併用して用いるこ
とができる。
【0034】本発明において、リン系難燃剤としては、
上記の化合物の中でも、芳香族基を有する芳香族リン酸
エステルが特に好ましい。本発明で用いられるリン系難
燃剤(D)は、上記成分(A)〜(C)の合計100重
量部に対し、4〜40重量部、好ましくは6〜30重量
部、さらに好ましくは8〜25重量部の量で配合するこ
とが望ましい。成分(D)の配合量が、上記範囲にある
と、組成物の難燃性、耐熱性に優れる傾向にある。
【0035】[(E)耐衝撃改良剤]本発明の耐衝撃改
良剤(E)は、得られる成形品の耐衝撃性を改良するた
めに添加されるものである。耐衝撃改良剤(E)として
は、スチレン系ブロック共重合体が用いられる。このよ
うなスチレン系ブロック共重合体は、スチレン系単量体
から構成される重合体ブロック1個以上と、共役ジエン
系単量体から構成される重合体ブロック1個以上からな
るブロック共重合体(熱可塑性エラストマー)が用いら
れるが、共役ジエン系単量体から構成される重合体ブロ
ックは、一部または全部が水素添加されていてもよい。
スチレン系ブロック共重合体ゴムは、スチレン系の硬質
ブロックとジエン系の軟質ブロックとを有するため、ゴ
ム弾性が大きく、樹脂組成物中に含めることで、該組成
物から形成される成形体の耐衝撃性などを改善し得る。
【0036】スチレン系ブロック共重合体ゴムを構成す
るスチレン系単量体としては、スチレンの他、たとえ
ば、α−メチルスチレン、α−メチル−p−メチルスチ
レン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−
メチルスチレン、ビニルトルエン、エチルスチレン、イ
ソブチルスチレン、t−ブチルスチレンあるいはブロモ
スチレン、クロロスチレン、インデンなどが挙げられる
が、なかでもスチレンが好ましい。
【0037】スチレン系ブロック共重合体ゴムを構成す
る共役ジエン系単量体としては、ブタジエン、イソプレ
ン、ピペリレン、メチルペンタジエン、フェニルブタジ
エンなどが挙げられるが、ブタジエンまたはイソプレン
が好ましい。スチレン系単量体および共役ジエン系単量
体の両方とも、それぞれ2種以上を組み合わせて使用す
ることができる。
【0038】これらのスチレン系ブロック共重合体ゴム
のうち、特にスチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴ
ムが好ましく、さらにスチレン−ブタジエンブロック共
重合体ゴムの水素添加物(SEBS)が好ましい。このよう
なスチレン−ブタジエンブロック共重合体ゴムとして
は、具体的には、スチレンブロック(S)とブタジエンブ
ロック(B)を有するブロック共重合体(例、SB、SBS、SB
SBSなどの線状ブロック型、およびラジアルブロック型
の共重合体)が挙げられる。また、酸、エポキシなどの
官能基を含有する官能性単量体により変性した変性ゴム
を用いてもよい。なお、スチレン系ブロック共重合体ゴ
ムとして水素添加物を使用する場合も、スチレン含量が
60重量%未満のスチレン・ジエン系水添ブロック共重
合体が用いられる。
【0039】スチレン系ブロック共重合体ゴムの製造方
法としては、多くの方法が提案されているが、代表的な
方法は、特公昭40−2798号公報に記載の方法である。こ
の方法では、リチウム触媒またはチーグラー型触媒を用
い、不活性溶媒中でビニル芳香族化合物と共役ジエンと
を逐次重合させる。必要であれば、逐次重合後にカップ
リング反応で分子を結合する。
【0040】本発明で使用されるスチレン系ブロック共
重合体ゴムの市販品の代表例は、クレイトンD1101
(シェル(株)製)、クレイトンG1651(シェル
(株)製)、CARIFLEX(米国シェルケミカル社製)であ
る。スチレン系ブロック共重合体ゴムとしては、該ブロ
ック共重合体ゴムの数平均分子量が10,000〜1,000,000
、好ましくは20,000〜300,000 であり、ブロック共重
合体ゴム中のビニル芳香族硬質ブロックの数平均分子量
が 1,000〜200,000 、好ましくは 2,000〜100,000 、共
役ジエン軟質ブロックの数平均分子量が 1,000〜200,00
0 、好ましくは 2,000〜100,000 であり、ビニル芳香族
系硬質ブロック/共役ジエン系軟質ブロックの重量比が
2/98〜60/40、好ましくは10/90〜40/60の範囲内の
ものが望ましい。
【0041】耐衝撃改良剤(E)を配合する場合には、
成分(E)は、上記成分(A)〜(C)の合計100重
量部に対し、0.1〜50重量部、好ましくは1.5〜
30重量部、さらに好ましくは3〜20重量部の量で配
合することが望ましい。成分(E)の配合量が、上記範
囲にあると、組成物の剛性、耐衝撃性などに優れる傾向
にある。
【0042】[(F)ドリップ防止剤]本発明で使用さ
れるドリップ防止剤(F)とは、燃焼の際に、ドリップ
(滴下)を抑制する働きのある添加剤であり、公知のも
のが使用できる。特に、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)などに代表される、樹脂中でフィブリル構
造を形成するものがドリップの抑制効果が高いので好適
である。このようなドリップ防止剤が含まれている樹脂
組成物は難燃性に優れている。
【0043】このようなポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)の中でも、分散性に優れたもの、たとえば
水などの溶液にPTFEを乳化分散させたもの、またポ
リカーボネートやスチレン−アクリロニトリル共重合体
に代表される樹脂でPTFEをカプセル化処理したもの
は、成型体に、よい表面外観を与えるので好ましい。水
などの溶液にPTFEを乳化分散させたものの場合、特
に制限はないが、PTFEが1ミクロン以下の平均粒子
径であるものが好ましく、特に0.5ミクロン以下であ
ることが好ましい。
【0044】このようなPTFEとして市販されている
ものの具体例としては、テフロン(R)30J(商標、
三井デュポンフルオロケミカル(株))などがあげられ
る。ドリップ防止剤(F)を配合する場合には、成分
(F)は、成分(A)〜(C)の合計100重量部に対
して、0.02〜3重量部、好ましくは0.05〜1.
5重量部、さらに好ましくは0.1〜1.0重量部の範
囲で配合することが望ましい。
【0045】成分(F)の量が上記の範囲より少ないと
優れた難燃性の高い樹脂組成物が得られず、上記の範囲
より多いと流動性が損なわれることがある。また、この
ようなポリテトラフルオロエチレンは、公知の方法によ
って製造することもできる(米国特許第2393967
号明細書参照)。具体的には、ペルオキシ二硫酸ナトリ
ウム、カリウムまたはアンモニウムなどの遊離基触媒を
使用して、水性の溶媒中において、100〜1000p
siの圧力下で、0〜200℃好ましくは20〜100
℃の温度条件の下、テトラフルオロエチレンを重合させ
ることによって、ポリテトラフルオロエチレンを白色の
固体として得ることができる。
【0046】このようなポリテトラフルオロエチレン
は、分子量が50万以上、好ましくは100万〜500
0万程度のものが望ましい。分子量が上記範囲にある
と、ポリテトラフルオロエチレンが配合された樹脂組成
物は、燃焼時のドリップが抑制される。さらに、ポリテ
トラフルオロエチレンとシリコーン樹脂とを併用する
と、ポリテトラフルオロエチレンのみを添加したときに
比べて、さらにドリップを抑制し、しかも燃焼時間を短
くすることができる。
【0047】また、ドリップ防止剤(F)として、上記
のようなポリテトラフルオロエチレンとともに、無機系
ドリップ防止剤を併用してもよい。無機系ドリップ剤と
しては、シリカ、石英、ケイ酸アルミニウム、マイカ、
アルミナ、水酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、タル
ク、炭化珪素、窒化ケイ素、窒化硼素、酸化チタン、酸
化鉄、カーボンブラックなどが挙げられる。
【0048】[(G)オレフィン系重合体]本発明にお
いて必要に応じて使用されるオレフィン系重合体(G)
としては、エチレン、プロピレン、1-ブテン、4-メチル
-1-ペンテンなどのα-オレフィンの含有率が50重量%
以上のホモポリマーまたはコポリマーであり、ポリエチ
レン樹脂およびポリプロピレン樹脂、またはエチレン-
プロピレン共重合体などが挙げられ、特にポリプロピレ
ン系樹脂が好適である。
【0049】ポリプロピレン系樹脂は、プロピレンモノ
マーを主成分として重合した結晶性のポリマーであり、
プロピレン以外に、エチレンなどの他のα−オレフィン
とのブロックコポリマーまたはランダムコポリマーであ
ってもよい。エチレンとの共重合体の場合、エチレンか
ら誘導される構成単位の含有量は1〜10重量%が好まし
い。このようなポリプロピレン系樹脂は、通常0.01〜10
0 g/10分のメルトフローレート(MFR, JIS K7210, 荷重
2.16 kg, 230℃) を有するものが望ましい。またポリプ
ロピレン系樹脂として、非共役ジエンコモノマーを含有
するプロピレンランダム共重合体(以下PPDMと呼ぶ)な
どを用いてもよい。
【0050】本発明で使用されるオレフィン系重合体
(G)の重量平均分子量は、2万以上のものが望まし
く、特に3万以上のものが好ましい。また、230℃、
2.16kg荷重で測定したときのMFRが0.1〜100g/
10分、好ましくは0.2〜80g/10分にあるものが望ま
しい。該オレフィン系重合体(G)を配合する場合に
は、成分(G)は、上記成分(A)〜(C)の合計10
0重量部に対し、0〜50重量部、好ましくは0.5〜
30重量部、さらに好ましくは1〜20重量部の量で配
合することが望ましい。成分(G)の配合量が、上記範
囲より多いと、弾性率、耐熱性が低下する傾向にあり、
成分(G)の配合量が上記範囲にあると、機械的強度、
流動性、耐溶剤性に優れた組成物を得ることができる。
【0051】[その他の成分]本発明の密閉型二次電池
用電槽の材料として用いられる樹脂組成物は、上記成分
の他に、本発明の効果を損なわない範囲内において、樹
脂組成物の混合時または成形時に、さらに、他の樹脂、
あるいは、安定剤、補強剤(例:ガラス繊維、炭素繊
維、ウィスカーなど)、充填剤(例:カーボンブラッ
ク、シリカ、酸化チタン、マイカ、タルク、炭酸カルシ
ウム、チタン酸カリウム、ワラスナイトなど)、酸化防
止剤、耐候剤、耐熱剤、造核剤、スリップ剤、可塑剤、
他の難燃剤、難燃助剤、帯電防止剤、離型剤、滑剤、相
溶化剤、抗菌剤、各種着色剤などの慣用的に用いられる
添加剤を添加することができる。
【0052】[密閉型二次電池用電槽]本発明の密閉型
二次電池用電槽の材料として用いられる樹脂組成物は、
前記(A)〜(D)成分および必要に応じて(E)〜
(G)成分を所定量で含み、下記条件(i)〜(iii)を満た
す樹脂組成物であることを要する:(i) 該樹脂組成物
より形成される成形体のASTM D648で定義され
た荷重たわみ温度が100℃以上であり、(ii) 該樹脂
組成物より形成される成形体のASTM D790で定
義されたアイゾット衝撃強度が7kg・cm/cm以
上、好ましくは10kg・cm/cm以上であり、か
つ、(iii) 該樹脂組成物より形成されるASTM−1号
試験片に1%の引張り歪みを加えた状態で、該試験片表
面に自動車エンジン用オイルを塗布し、85℃で、72
時間放置した後においても該試験片に亀裂が発生しな
い。
【0053】また、上記樹脂組成物より形成される成形
体のASTM D638で定義された引張強度が、40
MPa以上、好ましくは50MPa〜80MPaである
ことが望ましい。本発明の密閉型二次電池用電槽の材料
として用いられる樹脂組成物は、前記の必須成分および
必要に応じて用いられる任意成分を所定の割合で配合
し、例えばバンバリーミキサー、単軸スクリュー押出
機、二軸スクリュー押出機、ニーダ、多軸スクリュー押
出機などにより、適当な温度、例えば200〜350
℃、好ましくは250〜330℃の範囲の温度で充分に
混練することにより、調製することができる。なお、上
記成分を混合する際の順序は、特に制限はされない。
【0054】本発明の密閉型二次電池用電槽は、このよ
うにして得られた樹脂組成物を、公知の方法、好ましく
は射出成形法により成形して作製したものである。本発
明の密閉型二次電池用電槽は、耐熱性の改良および残留
応力を取り除くために、所望により成形後に熱処理を行
ってもよい。この熱処理は、通常の熱風式のオーブンで
行ってもよく、130〜260℃程度の温度で、5秒〜
300分間程度大気圧下または減圧下で行うのが好まし
い。また、熱処理は、水蒸気または熱水中で行うことも
できる。このようにして得られた本発明の電槽は、軽量
で、耐熱性、耐薬品性(耐エンジンオイル性、耐ブレー
キオイル性、耐アルカリ水溶液性)、機械的強度、電気
絶縁性などに優れ、各種の密閉型二次電池用電槽、特
に、自動車用の密閉型二次電池用電槽として好適であ
る。
【0055】
【発明の効果】本発明の密閉型二次電池用電槽は、ポリ
フェニレンエーテル系樹脂、シンジオタクチック構造を
有するスチレン系重合体、シンジオタクチック構造を有
さないスチレン系重合体およびリン系難燃剤を所定量で
含む樹脂組成物を用いて成形されるため、軽量で、難燃
性、耐熱性、耐薬品性(特に耐エンジンオイル性、耐ブ
レーキオイル性、耐アルカリ水溶液性)、機械的強度、
電気絶縁性などの点においてバランスよく優れており、
特に自動車のエンジンルームのような過酷な状況下で用
いられる密閉型二次電池用電槽としても好適である。
【0056】
【実施例】以下、実施例により本発明をさらに詳しく説
明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
なお、実施例においては次の化合物を使用した。 (1)PPE系樹脂(成分(A)):固有粘度(クロロ
ホルム、25℃)0.40dl/gのポリ(2,6−ジメ
チル−1,4−フェニレン)エーテル(日本ジーイープ
ラスチックス社製、商品名:PPO640)。以下、こ
れをPPEと略す。 (2)シンジオタクチック構造を有するスチレン系重合
体(成分(B)):出光石油化学社製のザレック130
ZC(商品名)。以下、これをsPSと略す。 (3)シンジオタクチック構造を有しないスチレン系重
合体(成分(C)):ハイインパクトポリスチレン(H
IPS)(日本ポリスチレン社製、商品名:870S
T)。 (4)リン系難燃剤(成分(D)):化合物名: ビス
フェノールAポリフォスフェート(大八化学社製、商品
名:CR741)以下、これをBPADPと略す。 (5)耐衝撃改良剤(成分(E)):スチレン−ブタジ
エン−スチレンブロック共重合体(シェル(株)製、商
品名:クレイトンD1101)。スチレン含量31重量
%。以下、これをSBSと略す。 (6)ドリップ防止剤(成分(F)):ポリテトラフル
オロエチレン(三井デュポンフロロケミカル社製、商品
名:テフロン(R)30J)。以下、これをPTFEと
略す。
【0057】
【実施例1〜5および比較例1〜5】上述の原料および
表1に示した添加剤を、表1に示す割合(重量比)で、
40mmの二軸押出機を用いて、混練設定温度280
℃、スクリュー回転数250rpmで溶融混練し、ペレッ
トを作った。このペレットを用いて、東洋機械金属社製
の射出成形機により、設定温度280℃、金型温度80
℃の条件で試験片を成形した。得られた試験片について
以下の特性評価を行った。結果を表1に示す。 [特性評価方法]物性試験 (1)アイゾット衝撃強度(ノッチ付)(kg・cm/
cm):ASTM D256に従って、厚み(1/8)
インチ、ノッチ付で、23℃において測定を行った。 (2)引張強度(MPa):ASTM D638に従っ
て測定を行った。 (3)荷重たわみ温度(℃):ASTM D648に従
って、厚み(1/4)インチの試験片を荷重18.6k
g/cm2にて測定した。 (4)難燃性試験:(UL94/V0,V1,V2試
) 5個の試験片(厚さ:1.5 mm)をアンダーライターズラ
ボラトリーズインコーポレーションのブレチン94"材
料分類のための燃焼試験"(以下、UL−94という)
に示される試験方法にしたがって試験した。この試験方
法により、供試材料を、5個の試料の結果に基づいてU
L−94 V−0、V−1およびV−2のいずれかの等
級に評価した。各Vの等級の基準は、下記の通りであ
る。
【0058】V−0:点火炎を取り除いた後の平均火炎
保持時間が5秒以下であり、かつ全試料とも下に敷いた
脱脂綿に着火する微粒炎を落下しない。 V−1:点火炎を取り除いた後の平均火炎保持時間が2
5秒以下であり、かつ全試料とも下に敷いた脱脂綿に着
火する微粒炎を落下しない。 V−2:点火炎を取り除いた後の平均火炎保持時間が2
5秒以下であり、かつこれらの試料が下に敷いた脱脂綿
に着火する微粒炎を落下する。
【0059】また、UL−94は全試験片が特定のV等
級に合格しなければ、その等級に分類してはならない旨
を規定している。この条件を満たさない場合には、その
5個の試験片は最も成績の悪い1個の試験片の等級を与
えられる。例えば1個の試験片がV−2に分類された場
合には、5個の全試験片に対する等級はV−2である。耐薬品性試験 (1)耐エンジンオイル試験:ASTM−1号試験片に
1%の引張り歪み加えた状態で、該試験片表面に自動車
エンジン用オイル((株)シェル・プレミアム社製、商
品名:5W30)を塗布し、85℃で、72時間放置後
において、試験片の自動車エンジン用オイルに対する耐
性を調べた。評価基準は、以下のとおりである。
【0060】OK:目視観察において、エンジンオイル
を塗布した部分に亀裂が認められない。 NG:目視観察において、エンジンオイルを塗布した部
分に亀裂が認められる。 (2)耐ブレーキオイル試験:自動車エンジン用オイル
の代わりにブレーキオイル(日産自動車社製、商品名:
日産純正ブレーキフルード No.2500)を用いた
以外は耐エンジンオイル試験等同様に行った。評価基準
は、以下のとおりである。
【0061】OK:目視観察において、ブレーキオイル
を塗布した部分に亀裂が認められない。 NG:目視観察において、ブレーキオイルを塗布した部
分に亀裂が認められる。 (3)耐アルカリ水溶液試験:自動車エンジン用オイル
の代わりにアルカリ水溶液として10%のKOH水溶液
を用いた以外は耐エンジンオイル試験等同様に行った。
評価基準は、以下のとおりである。
【0062】OK:目視観察において、KOH水溶液を
塗布した部分に亀裂が認められない。 NG:目視観察において、KOH水溶液を塗布した部分
に亀裂が認められる。
【0063】
【表1】

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】(A)ポリフェニレンエーテル系樹脂30
    〜82重量%、(B)シンジオタクチック構造を有する
    スチレン系重合体8〜60重量%、および、(C)シン
    ジオタクチック構造を有さないスチレン系重合体10〜
    62重量%(ただし、(A)〜(C)成分の合計を10
    0重量%とする)を含み、前記(A)〜(C)成分の合
    計100重量部に対し、さらに(D)リン系難燃剤を4
    〜40重量部含み、下記(i)〜(iii)の条件を満たす樹脂
    組成物から形成されることを特徴とする難燃性密閉型二
    次電池用電槽: (i) 該樹脂組成物より形成される成形体のASTM
    D648で定義された荷重たわみ温度が100℃以上で
    あり、 (ii) 該樹脂組成物より形成される成形体のASTM
    D790で定義されたアイゾット衝撃強度が7kg・c
    m/cm以上であり、かつ、 (iii) 該樹脂組成物より形成されるASTM−1号試験
    片に1%の引張り歪みを加えた状態で、該試験片表面に
    自動車エンジン用オイルを塗布し、85℃で、72時間
    放置した後においても該試験片に亀裂が発生しない。
  2. 【請求項2】上記(A)〜(C)成分の配合割合が、
    (A)ポリフェニレンエーテル系樹脂40〜82重量
    %、(B)シンジオタクチック構造を有するスチレン系
    重合体8〜50重量%、および、(C)シンジオタクチ
    ック構造を有さないスチレン系重合体10〜52重量%
    (ただし、(A)〜(C)成分の合計を100重量%と
    する)であることを特徴とする請求項1に記載の難燃性
    密閉型二次電池用電槽。
  3. 【請求項3】上記リン系難燃剤(D)が、芳香族リン酸
    エステルであることを特徴とする請求項1または請求項
    2に記載の難燃性密閉型二次電池用電槽。
  4. 【請求項4】上記樹脂組成物が、さらに(E)耐衝撃改
    良剤を含有することを特徴とする請求項1〜3のいずれ
    かに記載の難燃性密閉型二次電池用電槽。
  5. 【請求項5】上記樹脂組成物が、さらに(F)ドリップ
    防止剤を含むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか
    に記載の難燃性密閉型二次電池用電槽。
  6. 【請求項6】上記ドリップ防止剤(F)が、ポリテトラ
    フルオロエチレンであることを特徴とする請求項5に記
    載の難燃性密閉型二次電池用電槽。
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