JP2003194853A - 誘導型電力量計 - Google Patents

誘導型電力量計

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JP2003194853A JP2002304128A JP2002304128A JP2003194853A JP 2003194853 A JP2003194853 A JP 2003194853A JP 2002304128 A JP2002304128 A JP 2002304128A JP 2002304128 A JP2002304128 A JP 2002304128A JP 2003194853 A JP2003194853 A JP 2003194853A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 負荷形態にかかわらず、電力量の誤差が規制
値を満足することができる誘導型電力量計を提供するこ
とである。 【解決手段】 電流素子鉄心21の2本の中央脚24
a,24bは、電圧素子鉄心11の中央脚14の幅内で
誘導円板30を挟んで電圧素子鉄心11の中央脚14に
対向するように配置される。電流素子鉄心21の2本の
側路脚25a,25bは誘導円板30を挟んで電圧素子
鉄心11の側路脚15a,15bと同一直線上に配置さ
れる。電流コイル22a,22bは電流素子鉄心21の
2本の中央脚24a,24bにそれぞれ巻き付けられて
おり、互いに逆向きの磁束が発生するように直列に接続
されている。電流コイル22a,22bは中央脚24
a,24b間において互いに重なるように巻かれてい
る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁誘導を利用し
て電力量を計測する誘導型電力量計に関する。
【0002】
【従来の技術】電力取引の根拠とする電力量を測定する
ために電力量計が用いられる。電力量計には、主として
誘導型電力量計および電子式電力量計があり、近年は、
複素子式誘導型電力量計が多用されている(例えば、特
許文献1、2および3参照。)。
【0003】図10は従来の単相三線式誘導型電力量計
の概略断面図である。図10の誘導型電力量計は、電圧
素子100、電流素子200および誘導円板300を備
える。電流素子200の上部に電圧素子100が配置さ
れ、電圧素子100と電流素子200との間に誘導円板
300が挿入されている。誘導円板300は、回転軸を
中心に回転可能に設けられている。誘導円板300は、
アルミニウム等の磁性を帯びない金属により形成されて
いる。
【0004】電圧素子100は、E字形の鉄心(以下、
電圧素子鉄心と呼ぶ)101および電圧コイル102か
らなる。電圧コイル102は、電圧素子鉄心101の中
央脚に巻き付けられている。また、電流素子200は、
コ字形の鉄心(以下、電流素子鉄心と呼ぶ)201およ
び電流コイル202a,202bからなる。電流コイル
202a,202bは、電流素子鉄心201の両方の側
部脚にそれぞれ巻き付けられている。電流コイル202
a,202bは、互いに逆向きに巻かれている。電圧素
子100の電圧素子鉄心101および電流素子200の
電流素子鉄心201にはケイ素鋼板が使用されている。
【0005】電圧素子100には位相調整コイル103
が設けられ、電流素子200には、位相調整板203が
設けられている。
【0006】さらに、電圧素子100と誘導円板300
との間に軽負荷調整装置104が設けられ、電流素子2
00と誘導円板300との間に過負荷補償片205が設
けられている。
【0007】電圧素子100は、電圧コイル102に電
流が流れることにより磁束を発生する。電流素子200
は、電流コイル202a,202bに電流が流れること
により磁束を発生する。これらの電圧素子100および
電流素子200により発生する磁束により回転磁界が発
生し、誘導円板300が回転する。この誘導円板300
の回転数により電力量を測定することができる。
【0008】図10には、1組の電圧素子100および
電流素子200が示されるが、実際には、2組の電圧素
子100および電流素子200が誘導円板300の回転
軸を中心として対称な位置に配置される構造が採用され
る。
【0009】一方の組の電圧素子100および電流素子
200を第1の素子と呼び、他方の組の電圧素子100
および電流素子200を第2の素子と呼ぶ。
【0010】図11は図10の誘導型電力量計における
電圧素子が形成する磁束を示した概略断面図である。
【0011】図11に示すように、電圧素子100によ
り発生した磁束(以下、電圧磁束と呼ぶ)の大部分は、
電圧素子鉄心101の中央脚、主空隙Gmおよび両方の
側路脚を経由して還流する。電圧磁束の一部は、誘導円
板300を横切って電流素子200の電流素子鉄心20
1を経由し、再び誘導円板300を横切って電圧素子鉄
心101の側路脚に戻るように還流する。
【0012】ここで、電圧素子鉄心101の中央脚から
電流素子鉄心201に向かって誘導円板300を横切る
磁束を駆動磁束φVR,φVLと呼ぶ。
【0013】図12は図10の誘導型電力量計における
電流素子が形成する磁束を示した概略断面図である。
【0014】図12に示すように、電流素子200によ
り発生した磁束(以下、電流磁束と呼ぶ)の一部は、電
流素子鉄心201から誘導円板300を横切って電圧素
子100の電圧素子鉄心101の両方の側路脚を経由
し、再び誘導円板300を横切って電流素子鉄心201
に戻るように還流する。電流磁束の残りは、電流素子鉄
心201から誘導円板300を横切って電圧素子鉄心1
01の中央脚を経由し、再び誘導円板300を横切って
電流素子鉄心201に戻るように還流する。
【0015】ここで、電流素子鉄心201から電圧素子
鉄心101の中央脚に向かって誘導円板300を横切る
磁束を駆動磁束φDR,φDLと呼ぶ。また、電流素子鉄心
201から電圧素子鉄心101の側路脚を経由して還流
する磁束を側路磁束φBR,φ BLと呼ぶ。
【0016】電圧素子100および電流素子200は、
漏れインダクタンスを有するため、実際の位相差は規定
値よりずれてしまう。そこで、図10の位相調整コイル
103は、誘導円板300を横切る電圧磁束と電流磁束
との間に力率に適合した位相差が与えられるように、位
相調整板203の移相効果と相俟って誘導円板300を
横切る磁束に移相効果を与える。通常、誘導型電力量計
における磁束の位相の調整には、誘導円板300を横切
る磁路に設けた抵抗を調整することにより移相量を変化
させる方法が採られる。位相調整板203は、同様の原
理により電流磁束の位相を調整するとともに、温度変化
に起因する電圧磁束の位相の変化に追随して電流磁束の
位相も変化させることにより、力率に対する動作を安定
化させる。
【0017】図13は図10の誘導型電力量計における
誘導円板を通過する磁束の位置を示す概略平面図であ
る。
【0018】図13に示すように、2組の電圧素子10
0および電流素子200(図13には図示せず)が誘導
円板300の回転軸Cを挟んで対向するように配置され
ている。2組の電圧素子100および電流素子200に
よる電圧磁束および電流磁束は、誘導円板300の回転
軸Cを挟んで対向する2箇所の磁束通過部301,30
2を通過する。ここでは、説明の便宜上、磁束通過部3
01を4つの領域1br,1dr,1df,1bfに区
分し、磁束通過部302を4つの領域2br,2dr,
2df,2bfに区分している。
【0019】磁束通過部301の内側の領域1dr,1
dfには電圧素子100による駆動磁束φVR,φVLおよ
び電流素子200による駆動磁束φDR,φDLが通過す
る。磁束通過部301の外側の領域1br,1bfには
電圧素子100による駆動磁束φVR,φVLおよび電流素
子200による側路磁束φBR,φBLが通過する。
【0020】以下、電圧磁束および電流磁束により誘導
円板300が回転する原理を説明する。
【0021】図14は図10の誘導型電力量計における
誘導円板が回転する原理を説明するための模式図であ
る。図14には誘導円板300の磁束通過部301の近
傍が示されている。図14の左側の各図は、誘導円板3
00を通過する電圧磁束または電流磁束を図11または
図12に基づいて示す断面図であり、図14の右側の各
図は、図14の左側の各図に対応する斜視図である。
【0022】なお、図14の左側の各図においては、誘
導円板300の近傍における電圧磁束または電流磁束の
み示し、電圧素子100および電流素子200は省略し
ている。ここでは、誘導円板300を下向きに横切る磁
束のみに着目して説明を行う。
【0023】負荷の力率が1に設定されているものとす
る。この場合、電圧磁束と電流磁束とは90度(すなわ
ち、1/4周期)の位相差を有する。まず、図14
(a)に示すように、電圧素子100による下向きの電
圧磁束が最大となり、電流素子200による電流磁束が
0となる。したがって、磁束通過部301の領域1d
r,1dfの境界部に下向きの駆動磁束が形成される。
【0024】次に、1/4周期経過すると、図14
(b)に示すように、電圧素子100による電圧磁束は
0となり、電流素子200による電流磁束が最大とな
る。この場合、磁束通過部301の領域1drに下向き
に最大の駆動磁束が形成される。すなわち、下向きの駆
動磁束が、見かけ上、図14(b)の誘導円板300上
の矢印の方向に移動する。
【0025】ここで、電流磁束の一部は側路磁束として
電圧素子100の電圧素子鉄心101を還流し、磁束通
過部301の領域1brを下向きに通過するが、領域1
drに形成される磁束に比べて十分に弱い。
【0026】さらに、1/4周期経過すると、図14
(c)に示すように、図14(a)とは逆向きに電圧素
子100による電圧磁束が還流し、下向きの電圧磁束が
最大となり、電流素子200による電流磁束が0とな
る。それにより、磁束通過部301の領域1br,1b
fに下向きの駆動磁束が形成される。すなわち、下向き
の駆動磁束が、見かけ上、図14(c)の誘導円板30
0上の矢印の方向に移動する。
【0027】さらに、1/4周期経過すると、図14
(d)に示すように、電圧素子100による電圧磁束は
0となり、電流素子200による電流磁束が最大とな
る。この場合、磁束通過部301の領域1dfに下向き
に最大の駆動磁束が形成される。すなわち、下向きの駆
動磁束が、見かけ上、図14(d)の誘導円板300上
の矢印の方向に移動する。
【0028】ここで、電流磁束の一部は側路磁束として
電圧素子100の電圧素子鉄心101を還流し、磁束通
過部301の領域1bfを下向きに通過するが、領域1
dfに形成される駆動磁束に比べて十分に弱い。
【0029】さらに、1/4周期経過すると、図14
(a)に戻り、以下同様にして、図13に示した誘導円
板300上の矢印の方向にトルクが継続して発生する。
このトルクにより誘導円板300は一定方向に回転す
る。さらに、永久磁石等(図示せず)の磁束により制動
トルクを与えつつ誘導円板300を回転させることによ
り、誘導円板300を電力量に対応する回転量だけ回転
させることができる。
【0030】なお、磁束通過部302においても、磁束
通過部301と同じ方向に誘導円板300を回転させる
トルクが得られる。また、ここでは下向きの駆動磁束の
みに着目して説明を行ったが、上向きの駆動磁束に着目
しても、同じ方向に誘導円板300を回転させるトルク
が得られる。
【0031】
【特許文献1】特開平08−122365号公報
【特許文献2】特開平09−068549号公報
【特許文献3】特開2001−083182号公報
【0032】
【発明が解決しようとする課題】図15は電圧素子の電
圧素子鉄心および電流素子の電流素子鉄心に使用される
ケイ素鋼板の透磁率曲線を示す図である。
【0033】図15に示すように、ケイ素鋼板の透磁率
は、起磁力に対して線形ではなく、ある起磁力を超える
と急激に減少する。このため、起磁力が所定値より大き
い場合、透磁率の減少を補償するために、図10に示す
ように、電流素子200と誘導円板300の磁束通過部
301,302との間に過負荷補償片205が挿入され
ている。過負荷補償片205は、鉄等の金属片からな
る。過負荷補償片205を電流素子200の駆動動作点
と並列に挿入することにより、過負荷補償片205の磁
気飽和による通過磁束比率の減少を利用して、逆に駆動
磁束を増加させる。このようにして、図15の破線で示
すように、見かけ上の透磁率を補償する。
【0034】また、微小電流領域においては透磁率が小
さく発生トルクが不足するとともに、誘導円板300を
含む機械系の摩擦トルクが重畳されるため、誘導円板3
00を回転させるための始動トルクが得られない。そこ
で、所定の電流で始動動作を行う必要から、図10に示
すように、電圧素子100と誘導円板300の磁束通過
部301,302との間に軽負荷調整装置104が挿入
される。軽負荷調整装置104はくまとりコイルからな
る。
【0035】この軽負荷調整装置104は、図11の電
圧素子100により発生する駆動磁束φVR,φVLのうち
一方の駆動磁束φVRに遅れの移相効果を与え、他方の駆
動磁束φVLに進みの移相効果を与える。それにより、位
相差を有する駆動磁束φVRと駆動磁束φVLとの間の相互
作用により始動特性を補正するための補助トルクが作り
出される。
【0036】このような軽負荷調整装置104は、電流
素子200による電流磁束とは無関係に始動特性を改善
するための補助トルクを作り出すことを意図したもので
ある。しかしながら、実際には、軽負荷調整装置104
を作動させたときに、電流素子200による電流磁束に
影響を与え、以下に示す不公正な誤差特性が生じること
となる。
【0037】上記のように、軽負荷調整装置104によ
り図11の電圧素子100により発生する駆動磁束
φVR,φVLのうち一方の駆動磁束φVRに遅れの移相効果
を与え、他方の駆動磁束φVLに進みの移相効果を与え
る。このとき、図12の電流素子200により発生する
駆動磁束φDR,φDLのうち一方の駆動磁束φDRに遅れの
移相効果が与えられ、他方の駆動磁束φDLに進みの移相
効果が与えられる。また、図12の電流素子200によ
り発生する側路磁束φBR,φBLのうち一方の側路磁束φ
BRに遅れの移相効果が与えられ、他方の側路磁束φBL
進みの移相効果が与えられる。さらに、側路磁束φBR
ら駆動磁束φDLへ進相成分φF が供給され、駆動磁束φ
DRから側路磁束φBLへ遅相成分φR が供給される。
【0038】すなわち、図13において、磁束通過部3
01の領域1brを通過する側路磁束の位相が遅れ、磁
束通過部301の領域1bfを通過する側路磁束の位相
が進む。また、磁束通過部302の領域2brを通過す
る側路磁束の位相が遅れ、磁束通過部302の領域2b
fを通過する側路磁束の位相が進む。そのため、領域1
brを通過する側路磁束と領域1bfを通過する側路磁
束との間に位相差が生じ、領域2brを通過する側路磁
束と領域2bfを通過する側路磁束との間に位相差が生
じる。
【0039】磁束通過部301,302において始動ト
ルクを均等に発生させるために軽負荷調整装置104に
より同じ量の補正を与えた場合に、磁束通過部301,
302に同じ方向の同じ量の位相差が発生する。この場
合、磁束通過部301の領域1bfと磁束通過部302
の領域2brとの間に負のトルクが生じ、磁束通過部3
02の領域2bfと磁束通過部301の領域1brとの
間に負のトルクが生じる。このように、軽負荷調整装置
104による始動特性の補正は、2つの電流素子200
により発生する電流磁束の相互干渉を誘発する。
【0040】図16は図10の誘導型電力量計の力率1
における誤差特性曲線の例を示す図である。
【0041】図16において、S1は第1の素子(一方
の組の電圧素子100および電流素子200)の単独運
転時の誤差特性曲線であり、S2は第2の素子(他方の
組の電圧素子100および電流素子200)の単独運転
時の誤差特性曲線である。Totalは第1および第2
の素子の並行運転時の誤差特性曲線である。Intは第
1および第2の素子間の電流干渉誤差特性曲線である。
St+は正側誤差規制値曲線であり、St−は負側誤差
規制値曲線である。
【0042】図16に示すように、一方の素子を力率1
で単独運転した場合には、珪素鋼板が有する透磁率に反
比例する磁路抵抗の影響を受け、誤差特性曲線S1,S
2のように、電流の増加に伴って電力量の正の誤差が増
大する。一方、両方の素子を力率1で並行運転した場合
には、Intで示す第1および第2の素子間の電流干渉
誤差の効果が合成されることにより、誤差特性曲線To
talのように、電流が増加しても電力量の正の誤差が
正側誤差規制値曲線S+を超えない。
【0043】このように、両方の素子を同程度の負荷で
運転した場合には、電力量の正の誤差が規制値を満足す
ることができるが、何らかの理由で負荷が一方の素子に
偏った場合には、規制値を逸脱する誤差が発生する。
【0044】通常、誘導型電力量計は、第1および第2
の素子を並行運転したときに電力量の誤差が規制値を満
足するように設計される。したがって、一方の素子に偏
った負荷配分で需要家が電力を使用した場合には、電力
量の正の誤差が大きくなり、余分の電力料金が発生し得
るという不合理が生じる。換言すると、需要家が負荷の
配分を考慮しつつ電力を使用しないと、不公正な電力料
金が生じる場合がある。
【0045】また、第1および第2の素子の並行運転時
に第1および第2の素子がそれぞれ有する右上がりの誤
差特性を相互干渉による右下がりの干渉誤差により補正
することは、計量器の設計思想からも好ましくない。
【0046】また、配電領域の電力損失の低減のため、
および配電システムの簡略化によるコストパフォーマン
スの向上のために、配電領域における配電電圧を昇圧す
ることが考えられる。そのため、200Vの単相二線式
配電が検討されている。この場合には、単相二線式誘導
型電力量計が用いられる。
【0047】単相二線式誘導型電力量計においては、1
組の電圧素子および電流素子が用いられる。したがっ
て、単相二線式誘導型電力量計の運転時には、上記のよ
うな複素子式誘導型電力量計において一方の素子に偏っ
た負荷配分のときと同様に、余分の電力料金が発生し得
るという不合理が生じる。
【0048】本発明の目的は、負荷形態にかかわらず、
電力量の誤差が規制値を満足することができる誘導型電
力量計を提供することである。
【0049】
【課題を解決するための手段および発明の効果】第1の
発明に係る誘導型電力量計は、誘導円板を挟んで配置さ
れた複数組の電圧素子および電流素子を備え、各組の電
圧素子は、中央脚および複数の側路脚を有する第1の鉄
心と、第1の鉄心の中央脚に巻回された電圧コイルとを
含み、各組の電流素子は、第1および第2の中央脚を有
する第2の鉄心と、第2の鉄心の第1および第2の中央
脚にそれぞれ巻回された第1および第2の電流コイルと
を含み、第2の鉄心の第1および第2の中央脚が第1の
鉄心の中央脚の幅内に配置され、第1の電流コイルによ
り第1の中央脚に発生する磁束と第2の電流コイルによ
り第2の中央脚に発生する磁束とが互いに逆向きとなる
ように第1および第2の電流コイルが設けられたもので
ある。
【0050】本発明に係る誘導型電力量計においては、
第2の鉄心の第1および第2の中央脚が第1の鉄心の中
央脚の幅内に配置され、かつ第1の電流コイルにより第
1の中央脚に発生する磁束と第2の電流コイルにより第
2の中央脚に発生する磁束とが互いに逆向きとなること
により、電流素子の第1および第2の電流コイルにより
発生した磁束が第2の鉄心の第1の中央脚から誘導円板
を横切って電圧素子の第1の鉄心の中央脚を経由し、再
び誘導円板を横切って第2の鉄心の第2の中央脚に戻る
ように還流し、またはその逆の方向に還流する。このと
き、電流素子の第1および第2の電流コイルにより発生
する磁束は互いに逆向きとなるので、第1および第2の
電流コイルの外側に発生する磁束は互いに相殺される。
そのため、電流素子から誘導円板を横切って電圧素子の
側路脚に至る磁束が発生しない。
【0051】それにより、電圧素子により発生する磁束
に移相効果を与えた場合に、その移相効果は電流素子に
より発生する磁束には影響を与えず、複数組の電流素子
の磁路相互間の結合が生じない。したがって、複数組の
電圧素子および電流素子に接続される負荷の配分に由来
する干渉誤差の誘発が防止され、電力量の誤差を低減す
ることができるとともに、負荷の配分の変化による誤差
の変化も低減することができる。その結果、負荷形態に
かかわらず、電力量の誤差が規制値を満足することが可
能となる。
【0052】第2の発明に係る誘導型電力量計は、誘導
円板を挟んで配置された1組の電圧素子および電流素子
を備え、電圧素子は、中央脚および複数の側路脚を有す
る第1の鉄心と、第1の鉄心の中央脚に巻回された電圧
コイルとを含み、電流素子は、第1および第2の中央脚
を有する第2の鉄心と、第2の鉄心の第1および第2の
中央脚にそれぞれ巻回された第1および第2の電流コイ
ルとを含み、第2の鉄心の第1および第2の中央脚が第
1の鉄心の中央脚の幅内に配置され、第1の電流コイル
により第1の中央脚に発生する磁束と第2の電流コイル
により第2の中央脚に発生する磁束とが互いに逆向きと
なるように第1および第2の電流コイルが設けられたも
のである。
【0053】本発明に係る誘導型電力量計においては、
第2の鉄心の第1および第2の中央脚が第1の鉄心の中
央脚の幅内に配置され、かつ第1の電流コイルにより第
1の中央脚に発生する磁束と第2の電流コイルにより第
2の中央脚に発生する磁束とが互いに逆向きとなること
により、電流素子の第1および第2の電流コイルにより
発生した磁束が第2の鉄心の第1の中央脚から誘導円板
を横切って電圧素子の第1の鉄心の中央脚を経由し、再
び誘導円板を横切って第2の鉄心の第2の中央脚に戻る
ように還流し、またはその逆の方向に還流する。このと
き、電流素子の第1および第2の電流コイルにより発生
する磁束は互いに逆向きとなるので、第1および第2の
電流コイルの外側に発生する磁束は互いに相殺される。
そのため、電流素子から誘導円板を横切って電圧素子の
側路脚に至る磁束が発生しない。
【0054】それにより、電圧素子により発生する磁束
に移相効果を与えた場合に、その移相効果は電流素子に
より発生する磁束には影響を与えない。したがって、電
圧素子および電流素子に接続される負荷の配分に由来す
る干渉誤差の誘発が防止され、電力量の誤差を低減する
ことができる。その結果、電力量の誤差が規制値を満足
することが可能となる。
【0055】各組の電流素子の第1および第2の電流コ
イルは、第1の中央脚と第2の中央脚との間で互いに重
なり合うように巻回されてもよい。
【0056】この場合、電流素子の第1および第2の中
央脚における磁路長を短縮することが可能となる。それ
により、電流素子による磁束が第2の鉄心の磁路抵抗の
影響をほとんど受けない。したがって、電力量の誤差を
さらに低減するとこができるとともに、負荷の配分の変
化による誤差の変化もさらに低減することができる。
【0057】各組の電流素子の第2の鉄心は、第1およ
び第2の中央脚の両側に複数の側路脚をさらに有し、第
1および第2の電流コイルと複数の側路脚との間に電磁
遮蔽板がそれぞれ設けられてもよい。
【0058】この場合、電圧素子の電圧コイルにより発
生する磁束の一部が第1の鉄心の中央脚から誘導円板を
横切って電流素子の第2の鉄心の第1および第2の中央
脚および側路脚を経由し、再び誘導円板を横切って電圧
素子の第1の側路脚および中央脚を経由するように還流
し、またはその逆方向に還流する。このとき、第1およ
び第2の電流コイルと複数の側路脚との間に電磁遮蔽板
が設けられているので、第1および第2の電流コイルに
よる磁束が第2の鉄心の側路脚に漏れ出ることが確実に
防止される。
【0059】各組の電流素子の第2の鉄心の複数の側路
脚のいずれかに、軽負荷時に電圧素子の第1の鉄心の複
数の側路脚に発生する磁束間に位相差を与える軽負荷調
整手段が設けられてもよい。
【0060】この場合、軽負荷時に電圧素子の第1の鉄
心の複数の側路脚に発生する磁束間に位相差が与えられ
ることにより、軽負荷時の始動特性が補正される。この
とき、電流素子の第2の鉄心の側路脚には第1および第
2の電流コイルにより発生する磁束が形成されないの
で、負荷の配分に由来する干渉誤差の誘発が防止され
る。
【0061】各組の電圧素子の第1の鉄心の複数の側路
脚と電流素子の第2の鉄心の複数の側路脚とがほぼ同一
の直線上に配置されてもよい。
【0062】この場合には、電圧素子の電圧コイルによ
り発生する磁束が効率的に電圧素子の第1の鉄心の側路
脚および電流素子の第2の鉄心の側路脚に還流する。し
たがって、誘導円板の十分な駆動力が得られる。
【0063】
【発明の実施の形態】図1は本発明の第1の実施の形態
における単相三線式誘導型電力量計の概略断面図であ
る。図1の誘導型電力量計は、電圧素子10、電流素子
20および誘導円板30を備える。電流素子20の上部
に電圧素子10が配置され、電圧素子10と電流素子2
0との間に誘導円板30が挿入されている。誘導円板3
0は、回転軸を中心に回転可能に設けられている。誘導
円板30は、アルミニウム等の磁性を帯びない金属によ
り形成されている。
【0064】電圧素子10は、E字形の鉄心(以下、電
圧素子鉄心と呼ぶ)11および電圧コイル12からな
る。電圧素子鉄心11は、中央脚14、2本の側路脚1
5a,15bおよび連結部18により構成される。電圧
コイル12は、電圧素子鉄心11の中央脚14に巻き付
けられている。
【0065】また、電流素子20は、鉄心(以下、電流
素子鉄心と呼ぶ)21および電流コイル22a,22b
からなる。電流素子鉄心21は、2本の中央脚24a,
24b、2本の側路脚25a,25bおよび連結部28
により構成される。2本の中央脚24a,24bは、電
圧素子鉄心11の中央脚14の幅内で誘導円板30を挟
んで電圧素子鉄心11の中央脚14に対向するように配
置される。また、2本の側路脚25a,25bは、誘導
円板30を挟んで電圧素子鉄心11の側路脚15a,1
5bと同一直線上に配置される。
【0066】電流コイル22a,22bは、電流素子鉄
心21の2本の中央脚24a,24bにそれぞれ巻き付
けられており、互いに逆向きの磁束が発生するように直
列に接続されている。ここで、電流コイル22a,22
bは、中央脚24a,24b間において互いに重なるよ
うに巻かれている。それにより、中央脚24a,24b
における磁路長が短縮されている。
【0067】電圧素子10の電圧素子鉄心11および電
流素子20の電流素子鉄心21にはケイ素鋼板が使用さ
れている。
【0068】電流素子20には、電流素子移相板27が
設けられている。また、電流素子鉄心21の中央脚24
a,24bと側路脚25a,25bとの間には、電磁遮
蔽板26がそれぞれ配置されている。
【0069】電流素子鉄心21の2本の中央脚24a,
24bには位相調整コイル23が設けられ、電流素子鉄
心21の側路脚25aには、軽負荷調整コイル29が設
けられている。
【0070】電圧素子10は、電圧コイル12に電流が
流れることにより磁束を発生する。電流素子20は、電
流コイル22a,22bに電流が流れることにより磁束
を発生する。これらの電圧素子10および電流素子20
により発生する磁束により回転磁界が発生し、誘導円板
30が回転する。この誘導円板30の回転数により電力
量を測定することができる。
【0071】図1には、1組の電圧素子10および電流
素子20が示されるが、実際には、2組の電圧素子10
および電流素子20が誘導円板30の回転軸を中心とし
て対称な位置に配置される構造が採用される。
【0072】一方の組の電圧素子10および電流素子2
0を第1の素子と呼び、他方の組の電圧素子10および
電流素子20を第2の素子と呼ぶ。
【0073】図2は本発明の第1の実施の形態における
単相三線式誘導型電力量計の接続を示す概略回路図であ
る。
【0074】図2に示すように、単相三線式誘導型電力
量計は2組の電圧素子10および電流素子20で構成さ
れる。電源線L1と電源線L0との間に100Vの交流
電源40aが接続され、電源線L2と電源線L0との間
に100Vの交流電源40bが接続されている。一方の
組の電圧素子10が電源線L1と電源線L0との間に接
続され、一方の組の電流素子20が電源線L1と負荷5
0aの一方の端子との間に接続されている。また、他方
の組の電圧素子10が電源線L2と電源線L0との間に
接続され、他方の組の電流素子20が電源線L2と負荷
50bの一方の端子との間に接続されている。負荷50
aの他方の端子および負荷50bの他方の端子は電源線
L0に接続されている。
【0075】図3は図1の誘導型電力量計における電圧
素子10および電流素子20が形成する磁束を示した概
略断面図である。
【0076】図3に示すように、電圧素子10により発
生した磁束(以下、電圧磁束と呼ぶ)の一部は、電圧素
子鉄心11の中央脚14、主空隙Gmおよび両方の側路
脚15a,15bを経由して還流する。電圧磁束の残り
は、電圧素子鉄心11の中央脚14から誘導円板30を
横切って電流素子鉄心21の中央脚24a,24bおよ
び側路脚25a,25bを経由し、再び誘導円板30を
横切って電圧素子鉄心11の側路脚15a,15bに戻
るように還流する。
【0077】ここで、電圧素子鉄心11の中央脚14か
ら電流素子鉄心21に向かって誘導円板30を横切る磁
束を駆動磁束φVR,φVLと呼ぶ。また、電圧素子鉄心1
1の中央脚14から電圧素子鉄心11の側路脚15a,
15bを経由して還流する磁束を側路磁束φSR,φSL
呼ぶ。また、電圧素子鉄心11の中央脚14には、全磁
束φVMが経由する。
【0078】電流素子20により発生した磁束(以下、
電流磁束と呼ぶ)は、電流素子鉄心21の中央脚24a
から誘導円板30を横切って電圧素子鉄心11の中央脚
14を経由し、再び誘導円板30を横切って電流素子鉄
心21の中央脚24bに戻るように還流する。
【0079】ここで、電流素子鉄心21の中央脚24a
から誘導円板30を横切って電圧素子鉄心11の中央脚
14を経由し、再び誘導円板30を横切って電流素子鉄
心21の中央脚24bに戻るように還流する磁束を駆動
磁束φCと呼ぶ。
【0080】電流コイル22a,22bには互いに逆向
きに電流が流れるため、上記のように、電流素子鉄心2
1の中央脚24a,24bを経由する駆動磁束φC は還
流する。
【0081】図4は電流素子鉄心21の電流コイル22
a、22bにより発生する電流磁束の側路脚25a、2
5bにおける相互の打ち消し合いを示した概略平面図で
ある。
【0082】図4に示すように、電流コイル22aによ
り電流素子鉄心21の側路脚25aに発生する磁束と電
流コイル22bにより電流素子鉄心21の側路脚25a
に発生する磁束とは互いに逆向きとなるため、誘導円板
30を挟む位置13aにおいて、これらの磁束は互いに
相殺される。また、電流コイル22aにより電流素子鉄
心21の側路脚25bに発生する磁束と電流コイル22
bにより電流素子鉄心21の側路脚25bに発生する磁
束とは互いに逆向きとなるため、誘導円板30を挟む位
置13bにおいて、これらの磁束は互いに相殺される。
その結果、電流素子鉄心21の側路脚25a,25bに
は、電流コイル22a,22bによる電流磁束は形成さ
れない。
【0083】また、電磁遮蔽板26は、電流コイル22
a,22bから側路脚25a,25bの磁路への直接結
合を阻止することにより、後述する上記の第1の素子と
第2の素子との間の結合を防止する。
【0084】図1の位相調整コイル23は、誘導円板3
0を横切る電圧磁束と電流磁束との間に力率に適合した
位相差が与えられるように、電流素子移相板27の移相
効果と相俟って誘導円板30を横切る磁束に移相効果を
与える。電流素子移相板27は、電流磁束の位相を調整
するとともに、温度変化に起因する電圧磁束の位相の変
化に追随して電流磁束の位相も変化させることにより、
力率に対する動作を安定化させる。
【0085】図5は図1の誘導型電力量計における誘導
円板を通過する磁束の位置を示す概略断面図である。
【0086】図5に示すように、2組の電圧素子10お
よび電流素子20(図5には図示せず)が誘導円板30
の回転軸Cを挟んで対向するように配置されている。2
組の電圧素子10および電流素子20による電圧磁束お
よび電流磁束は、誘導円板30の回転軸Cを挟んで対向
する2箇所の磁束通過部31,32を通過する。ここで
は、説明の便宜上、磁束通過部31を4つの領域1b
r,1dr,1df,1bfに区分し、磁束通過部32
を4つの領域2br,2dr,2df,2bfに区分し
ている。
【0087】磁束通過部31の内側の領域1dr,1d
fには電圧素子10による駆動磁束φVR,φVLおよび電
流素子20による駆動磁束φC が通過する。磁束通過部
31の外側の領域1br,1bfには電圧素子10によ
る駆動磁束φVR,φVLが通過し、電流素子20による磁
束は通過しない。
【0088】以下、電圧磁束および電流磁束により誘導
円板30が回転する原理を説明する。
【0089】図6は図1の誘導型電力量計における誘導
円板が回転する原理を説明するための模式図である。図
6には誘導円板30の磁束通過部31の近傍が示されて
いる。図6の左側の各図は、誘導円板30を通過する電
圧磁束または電流磁束を図3に基づいて示す断面図であ
り、図6の右側の各図は、図6の左側の各図に対応する
斜視図である。
【0090】なお、図6の左側の各図においては、誘導
円板30の近傍における電圧磁束または電流磁束のみ示
し、電圧素子10および電流素子20は省略している。
ここでは、誘導円板30を下向きに横切る磁束のみに着
目して説明を行う。
【0091】負荷の力率が1に設定されているものとす
る。この場合、電圧磁束と電流磁束とは90度(すなわ
ち、1/4周期)の位相差を有する。まず、図6(a)
に示すように、電圧素子10による下向きの電圧磁束が
最大となり、電流素子20による電流磁束が0となる。
したがって、磁束通過部31の領域1dr,1dfの境
界部に下向きの駆動磁束が形成される。
【0092】次に、1/4周期経過すると、図6(b)
に示すように、電圧素子10による電圧磁束は0とな
り、電流素子20による電流磁束が最大となる。この場
合、磁束通過部31の領域1drに下向きに最大の駆動
磁束が形成される。すなわち、下向きの駆動磁束が、見
かけ上、図6(b)の誘導円板30上の矢印の方向に移
動する。
【0093】さらに、1/4周期経過すると、図6
(c)に示すように、図6(a)とは逆向きに電圧素子
10による電圧磁束が還流し、下向きの電圧磁束が最大
となり、電流素子20による電流磁束が0となる。それ
により、磁束通過部31の領域1br,1bfに下向き
の駆動磁束が形成される。すなわち、下向きの駆動磁束
が、見かけ上、図6(c)の誘導円板30上の矢印の方
向に移動する。
【0094】さらに、1/4周期経過すると、図6
(d)に示すように、電圧素子10による電圧磁束は0
となり、電流素子20による電流磁束が最大となる。こ
の場合、磁束通過部31の領域1dfに下向きに最大の
駆動磁束が形成される。すなわち、下向きの駆動磁束
が、見かけ上、図6(d)の誘導円板30上の矢印の方
向に移動する。
【0095】さらに、1/4周期経過すると、図6
(a)に戻り、以下同様にして、図5に示した誘導円板
30上の矢印の方向にトルクが継続して発生する。この
トルクにより誘導円板30は一定方向に回転する。さら
に、永久磁石等(図示せず)の磁束により制動トルクを
与えつつ誘導円板30を回転させることにより、誘導円
板30を電力量に対応する回転量だけ回転させることが
できる。
【0096】なお、磁束通過部32においても、磁束通
過部31と同じ方向に誘導円板30を回転させるトルク
が得られる。また、ここでは下向きの駆動磁束のみに着
目して説明を行ったが、上向きの駆動磁束に着目して
も、同じ方向に誘導円板30を回転させるトルクが得ら
れる。
【0097】図1の軽負荷調整コイル29は、図3の電
圧素子10により発生する駆動磁束φVR,φVLのうち一
方の駆動磁束φVRに遅れの移相効果を与え、他方の駆動
磁束φVLに進みの移相効果を与える。それにより、位相
差を有する駆動磁束φVRと駆動磁束φVLとの間の相互作
用により始動特性を補正するための補助トルクが作り出
される。
【0098】本発明の第1の実施の形態では、磁束通過
部31の内側の領域1dr,1dfには電圧素子10に
よる駆動磁束φVR,φVLおよび電流素子20による駆動
磁束φC が通過する。また、磁束通過部31の外側の領
域1br,1bfには電圧素子10による駆動磁束
φVR,φVLが通過し、電流素子20による電流磁束は通
過しない。
【0099】したがって、上記のように、軽負荷調整コ
イル29が図3の電圧素子10により発生する駆動磁束
φVR,φVLのうち一方の駆動磁束φVRに遅れの移相効果
を与え、他方の駆動磁束φVLに進みの移相効果を与えた
場合に、その移相効果は電流素子20により発生する電
流磁束には影響を与えない。
【0100】すなわち、図5の磁束通過部31の領域1
br,1bfおよび磁束通過部32の領域2br,2b
fには電流素子20による電流磁束が存在しない。その
ため、軽負荷調整コイル29により電圧素子10による
電圧磁束に移相効果を与えた場合でも、磁束通過部31
の領域1bfと磁束通過部32の領域2brとの間およ
び磁束通過部32の領域2bfと磁束通過部31の領域
1brとの間に電流磁束の位相差による負のトルク(磁
路相互間の結合)が生じない。
【0101】また、電流素子鉄心21の中央脚24a,
24bにおける磁路長が短縮されているので、電流素子
20による電流磁束が電流素子鉄心21の磁路抵抗の影
響をほとんど受けない。
【0102】これらの結果、第1および第2の素子の負
荷の配分に由来する干渉誤差の誘発が防止され、電力量
の誤差を低減することができるとともに、負荷の配分の
変化による誤差の変化も低減することができる。
【0103】図7は図1の誘導型電力量計の力率1にお
ける誤差特性曲線の例を示す図である。
【0104】図7において、S1は第1の素子(一方の
組の電圧素子10および電流素子20)の単独運転時の
誤差特性曲線であり、S2は第2の素子(他方の組の電
圧素子10および電流素子20)の単独運転時の誤差特
性曲線である。Totalは第1および第2の素子の並
行運転時の誤差特性曲線である。
【0105】図7に示すように、一方の素子を力率1で
単独運転した場合、誤差特性曲線S1,S2のように、
電流の増加に伴って電力量の誤差が徐々に低下してい
る。一方、両方の素子を力率1で並行運転した場合に
も、誤差特性曲線Totalのように、電流の増加に伴
って電力量の誤差が徐々に低下している。また、一方の
素子を単独運転した場合および両方の素子を並行運転し
た場合に、全測定領域を通して電力量の平均誤差が図1
2に示した従来の誘導型電力量計における電力量の平均
誤差に比べて低減されている。
【0106】このように、本発明の第1の実施の形態に
おける誘導型電力量計では、両方の素子を同程度の負荷
で運転した場合にも、何らかの理由で負荷が一方の素子
に偏った場合にも、規制値を逸脱する誤差が発生しな
い。したがって、一方の素子に偏った負荷配分で需要家
が電力を使用した場合にも、電力量の誤差が大きくなる
ことにより余分の電力料金が発生し得るという不合理が
解消され、需要家が負荷の配分を考慮することなく電力
を使用しても公正な電力料金となる。
【0107】次に、本発明の第2の実施の形態における
単相二線式誘導型電力量計について説明する。
【0108】図8は単相二線式誘導型電力量計における
誘導円板を通過する磁束の位置を示す概略断面図であ
る。単相二線式誘導型電力量計は本発明の第1の実施の
形態における単相三線式誘導型電力量計の第1の素子の
みを有する。
【0109】図8に示すように、本実施の形態における
単相二線式誘導型電力量計においては、1組の電圧素子
10および電流素子20(図8には図示せず)が誘導円
板30の回転軸Cに対して偏心した位置に配置されてい
る。
【0110】図9は本発明の第2の実施の形態における
単相二線式誘導型電力量計の接続を示す概略回路図であ
る。
【0111】図9に示すように、単相二線式誘導型電力
量計は1組の電圧素子10および電流素子20で構成さ
れる。電源線L1と電源線L0との間に200Vの交流
電源40cが接続されている。電圧素子10が電源線L
1と電源線L0との間に接続され、電流素子20が電源
線L1と負荷50aの一方の端子との間に接続されてい
る。負荷50aの他方の端子は電源線L0に接続されて
いる。
【0112】本実施の形態に係る単相二線式誘導型電力
量計においても、図4に示すように、電流コイル22a
により電流素子鉄心21の側路脚25aに発生する磁束
と電流コイル22bにより電流素子鉄心21の側路脚2
5aに発生する磁束とは互いに逆向きとなるため、誘導
円板30を挟む位置13aにおいて、これらの磁束は互
いに相殺される。また、電流コイル22aにより電流素
子鉄心21の側路脚25bに発生する磁束と電流コイル
22bにより電流素子鉄心21の側路脚25bに発生す
る磁束とは互いに逆向きとなるため、誘導円板30を挟
む位置13bにおいて、これらの磁束は互いに相殺され
る。その結果、電流素子鉄心21の側路脚25a,25
bには、電流コイル22a,22bによる電流磁束は形
成されない。
【0113】したがって、単相二線式誘導型電力量計の
力率1における誤差特性曲線は、図7に示した単相三線
式誘導型電力量計の力率1における一方の素子の運転時
の誤差特性曲線と同様になり、誤差規制値を逸脱する誤
差は発生しない。その結果、電力量の誤差が大きくなる
ことにより余分の電力料金が発生し得るという不合理が
生じることはなく、公正な電力料金となる。
【0114】なお、上記第1および第2の実施の形態で
は、本発明をそれぞれ単相三線式誘導型電力量計および
単相二線式誘導型電力量計に適用した場合を説明した
が、本発明はこれに限定されず、例えば、三相三線式誘
導型電力量計等の他の方式の誘導型電力量計にも同様に
適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1および第2の実施の形態における
単相三線式誘導型電力量計および単相二線式誘導型電力
量計の概略断面図である。
【図2】図1の単相三線式誘導型電力量計の概略回路図
である。
【図3】図1の誘導型電力量計における電圧素子および
電流素子が形成する磁束を示した概略断面図である。
【図4】図1の誘導型電力量計における電流素子が形成
する磁束の相互の打ち消し合いを示した概略断面図であ
る。
【図5】図1の単相三線式誘導型電力量計における誘導
円板を通過する磁束の位置を示す概略平面図である。
【図6】図1の誘導型電力量計における誘導円板が回転
する原理を説明するための模式図である。
【図7】図1の誘導型電力量計の力率1における誤差特
性曲線の例を示す図である。
【図8】図1の単相二線式誘導型電力量計における誘導
円板を通過する磁束の位置を示す概略平面図である。
【図9】図1の単相二線式誘導型電力量計の概略回路図
である。
【図10】従来の単相三線式誘導型電力量計の概略断面
図である。
【図11】図10の誘導型電力量計における電圧素子が
形成する磁束を示した概略断面図である。
【図12】図10の誘導型電力量計における電流素子が
形成する磁束を示した概略断面図である。
【図13】図10の誘導型電力量計における誘導円板を
通過する磁束の位置を示す概略平面図である。
【図14】図10の誘導型電力量計における誘導円板が
回転する原理を説明するための模式図である。
【図15】電圧素子の電圧素子鉄心および電流素子の電
流素子鉄心に使用されるケイ素鋼板の透磁率曲線を示す
図である。
【図16】図10の誘導型電力量計の力率1における誤
差特性曲線の例を示す図である。
【符号の説明】
10 電圧素子 11 電圧素子鉄心 12 電圧コイル 14 中央脚 15a,15b 側路脚 20 電流素子 21 電流素子鉄心 22a,22b 電流コイル 23 位相調整コイル 24a,24b 中央脚 25a,25b 側路脚 26 電磁遮蔽板 27 電流素子移相板 29 軽負荷調整コイル 30 誘導円板

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘導円板を挟んで配置された複数組の電
    圧素子および電流素子を備え、 各組の電圧素子は、中央脚および複数の側路脚を有する
    第1の鉄心と、前記第1の鉄心の中央脚に巻回された電
    圧コイルとを含み、 各組の電流素子は、第1および第2の中央脚を有する第
    2の鉄心と、前記第2の鉄心の前記第1および第2の中
    央脚にそれぞれ巻回された第1および第2の電流コイル
    とを含み、 前記第2の鉄心の前記第1および第2の中央脚が前記第
    1の鉄心の前記中央脚の幅内に配置され、 前記第1の電流コイルにより前記第1の中央脚に発生す
    る磁束と前記第2の電流コイルにより前記第2の中央脚
    に発生する磁束とが互いに逆向きとなるように前記第1
    および第2の電流コイルが設けられたことを特徴とする
    誘導型電力量計。
  2. 【請求項2】 誘導円板を挟んで配置された1組の電圧
    素子および電流素子を備え、 前記電圧素子は、中央脚および複数の側路脚を有する第
    1の鉄心と、前記第1の鉄心の中央脚に巻回された電圧
    コイルとを含み、 前記電流素子は、第1および第2の中央脚を有する第2
    の鉄心と、前記第2の鉄心の前記第1および第2の中央
    脚にそれぞれ巻回された第1および第2の電流コイルと
    を含み、 前記第2の鉄心の前記第1および第2の中央脚が前記第
    1の鉄心の前記中央脚の幅内に配置され、 前記第1の電流コイルにより前記第1の中央脚に発生す
    る磁束と前記第2の電流コイルにより前記第2の中央脚
    に発生する磁束とが互いに逆向きとなるように前記第1
    および第2の電流コイルが設けられたことを特徴とする
    誘導型電力量計。
  3. 【請求項3】 各組の前記電流素子の前記第1および第
    2の電流コイルは、前記第1の中央脚と前記第2の中央
    脚との間で互いに重なり合うように巻回されたことを特
    徴とする請求項1または2記載の誘導型電力量計。
  4. 【請求項4】 各組の前記電流素子の前記第2の鉄心
    は、前記第1および第2の中央脚の両側に複数の側路脚
    をさらに有し、 前記第1および第2の電流コイルと前記複数の側路脚と
    の間に電磁遮蔽板がそれぞれ設けられたことを特徴とす
    る請求項1〜3のいずれかに記載の誘導型電力量計。
  5. 【請求項5】 各組の前記電流素子の前記第2の鉄心の
    前記複数の側路脚のいずれかに、軽負荷時に前記電圧素
    子の前記第1の鉄心の前記複数の側路脚に発生する磁束
    間に位相差を与える軽負荷調整手段が設けられたことを
    特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の誘導型電力
    量計。
  6. 【請求項6】 各組の前記電圧素子の前記第1の鉄心の
    前記複数の側路脚と前記電流素子の前記第2の鉄心の前
    記複数の側路脚とがほぼ同一の直線上に配置されたこと
    を特徴とする請求項5記載の誘導型電力量計。
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