JP3635276B2 - 誘導型電力量計 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁誘導を利用して電力量を計測する誘導型電力量計に関する。
【0002】
【従来の技術】
電力取引の根拠とする電力量を測定するために電力量計が用いられる。電力量計には、主として誘導型電力量計および電子式電力量計があり、近年は、複素子式誘導型電力量計が多用されている(例えば、特許文献1、2および3参照。)。
【0003】
図10は従来の単相三線式誘導型電力量計の概略断面図である。図10の誘導型電力量計は、電圧素子100、電流素子200および誘導円板300を備える。電流素子200の上部に電圧素子100が配置され、電圧素子100と電流素子200との間に誘導円板300が挿入されている。誘導円板300は、回転軸を中心に回転可能に設けられている。誘導円板300は、アルミニウム等の磁性を帯びない金属により形成されている。
【0004】
電圧素子100は、E字形の鉄心(以下、電圧素子鉄心と呼ぶ)101および電圧コイル102からなる。電圧コイル102は、電圧素子鉄心101の中央脚に巻き付けられている。また、電流素子200は、コ字形の鉄心(以下、電流素子鉄心と呼ぶ)201および電流コイル202a,202bからなる。電流コイル202a,202bは、電流素子鉄心201の両方の側部脚にそれぞれ巻き付けられている。電流コイル202a,202bは、互いに逆向きに巻かれている。電圧素子100の電圧素子鉄心101および電流素子200の電流素子鉄心201にはケイ素鋼板が使用されている。
【0005】
電圧素子100には位相調整コイル103が設けられ、電流素子200には、位相調整板203が設けられている。
【0006】
さらに、電圧素子100と誘導円板300との間に軽負荷調整装置104が設けられ、電流素子200と誘導円板300との間に過負荷補償片205が設けられている。
【0007】
電圧素子100は、電圧コイル102に電流が流れることにより磁束を発生する。電流素子200は、電流コイル202a,202bに電流が流れることにより磁束を発生する。これらの電圧素子100および電流素子200により発生する磁束により回転磁界が発生し、誘導円板300が回転する。この誘導円板300の回転数により電力量を測定することができる。
【0008】
図10には、1組の電圧素子100および電流素子200が示されるが、実際には、2組の電圧素子100および電流素子200が誘導円板300の回転軸を中心として対称な位置に配置される構造が採用される。
【0009】
一方の組の電圧素子100および電流素子200を第1の素子と呼び、他方の組の電圧素子100および電流素子200を第2の素子と呼ぶ。
【0010】
図11は図10の誘導型電力量計における電圧素子が形成する磁束を示した概略断面図である。
【0011】
図11に示すように、電圧素子100により発生した磁束(以下、電圧磁束と呼ぶ)の大部分は、電圧素子鉄心101の中央脚、主空隙Gmおよび両方の側路脚を経由して還流する。電圧磁束の一部は、誘導円板300を横切って電流素子200の電流素子鉄心201を経由し、再び誘導円板300を横切って電圧素子鉄心101の側路脚に戻るように還流する。
【0012】
ここで、電圧素子鉄心101の中央脚から電流素子鉄心201に向かって誘導円板300を横切る磁束を駆動磁束φVR,φVLと呼ぶ。
【0013】
図12は図10の誘導型電力量計における電流素子が形成する磁束を示した概略断面図である。
【0014】
図12に示すように、電流素子200により発生した磁束(以下、電流磁束と呼ぶ)の一部は、電流素子鉄心201から誘導円板300を横切って電圧素子100の電圧素子鉄心101の両方の側路脚を経由し、再び誘導円板300を横切って電流素子鉄心201に戻るように還流する。電流磁束の残りは、電流素子鉄心201から誘導円板300を横切って電圧素子鉄心101の中央脚を経由し、再び誘導円板300を横切って電流素子鉄心201に戻るように還流する。
【0015】
ここで、電流素子鉄心201から電圧素子鉄心101の中央脚に向かって誘導円板300を横切る磁束を駆動磁束φDR,φDLと呼ぶ。また、電流素子鉄心201から電圧素子鉄心101の側路脚を経由して還流する磁束を側路磁束φBR,φBLと呼ぶ。
【0016】
電圧素子100および電流素子200は、漏れインダクタンスを有するため、実際の位相差は規定値よりずれてしまう。そこで、図10の位相調整コイル103は、誘導円板300を横切る電圧磁束と電流磁束との間に力率に適合した位相差が与えられるように、位相調整板203の移相効果と相俟って誘導円板300を横切る磁束に移相効果を与える。通常、誘導型電力量計における磁束の位相の調整には、誘導円板300を横切る磁路に設けた抵抗を調整することにより移相量を変化させる方法が採られる。位相調整板203は、同様の原理により電流磁束の位相を調整するとともに、温度変化に起因する電圧磁束の位相の変化に追随して電流磁束の位相も変化させることにより、力率に対する動作を安定化させる。
【0017】
図13は図10の誘導型電力量計における誘導円板を通過する磁束の位置を示す概略平面図である。
【0018】
図13に示すように、2組の電圧素子100および電流素子200(図13には図示せず)が誘導円板300の回転軸Cを挟んで対向するように配置されている。2組の電圧素子100および電流素子200による電圧磁束および電流磁束は、誘導円板300の回転軸Cを挟んで対向する2箇所の磁束通過部301,302を通過する。ここでは、説明の便宜上、磁束通過部301を4つの領域1br,1dr,1df,1bfに区分し、磁束通過部302を4つの領域2br,2dr,2df,2bfに区分している。
【0019】
磁束通過部301の内側の領域1dr,1dfには電圧素子100による駆動磁束φVR,φVLおよび電流素子200による駆動磁束φDR,φDLが通過する。磁束通過部301の外側の領域1br,1bfには電圧素子100による駆動磁束φVR,φVLおよび電流素子200による側路磁束φBR,φBLが通過する。
【0020】
以下、電圧磁束および電流磁束により誘導円板300が回転する原理を説明する。
【0021】
図14は図10の誘導型電力量計における誘導円板が回転する原理を説明するための模式図である。図14には誘導円板300の磁束通過部301の近傍が示されている。図14の左側の各図は、誘導円板300を通過する電圧磁束または電流磁束を図11または図12に基づいて示す断面図であり、図14の右側の各図は、図14の左側の各図に対応する斜視図である。
【0022】
なお、図14の左側の各図においては、誘導円板300の近傍における電圧磁束または電流磁束のみ示し、電圧素子100および電流素子200は省略している。ここでは、誘導円板300を下向きに横切る磁束のみに着目して説明を行う。
【0023】
負荷の力率が1に設定されているものとする。この場合、電圧磁束と電流磁束とは90度(すなわち、1/4周期)の位相差を有する。まず、図14(a)に示すように、電圧素子100による下向きの電圧磁束が最大となり、電流素子200による電流磁束が0となる。したがって、磁束通過部301の領域1dr,1dfの境界部に下向きの駆動磁束が形成される。
【0024】
次に、1/4周期経過すると、図14(b)に示すように、電圧素子100による電圧磁束は0となり、電流素子200による電流磁束が最大となる。この場合、磁束通過部301の領域1drに下向きに最大の駆動磁束が形成される。すなわち、下向きの駆動磁束が、見かけ上、図14(b)の誘導円板300上の矢印の方向に移動する。
【0025】
ここで、電流磁束の一部は側路磁束として電圧素子100の電圧素子鉄心101を還流し、磁束通過部301の領域1brを下向きに通過するが、領域1drに形成される磁束に比べて十分に弱い。
【0026】
さらに、1/4周期経過すると、図14(c)に示すように、図14(a)とは逆向きに電圧素子100による電圧磁束が還流し、下向きの電圧磁束が最大となり、電流素子200による電流磁束が0となる。それにより、磁束通過部301の領域1br,1bfに下向きの駆動磁束が形成される。すなわち、下向きの駆動磁束が、見かけ上、図14(c)の誘導円板300上の矢印の方向に移動する。
【0027】
さらに、1/4周期経過すると、図14(d)に示すように、電圧素子100による電圧磁束は0となり、電流素子200による電流磁束が最大となる。この場合、磁束通過部301の領域1dfに下向きに最大の駆動磁束が形成される。すなわち、下向きの駆動磁束が、見かけ上、図14(d)の誘導円板300上の矢印の方向に移動する。
【0028】
ここで、電流磁束の一部は側路磁束として電圧素子100の電圧素子鉄心101を還流し、磁束通過部301の領域1bfを下向きに通過するが、領域1dfに形成される駆動磁束に比べて十分に弱い。
【0029】
さらに、1/4周期経過すると、図14(a)に戻り、以下同様にして、図13に示した誘導円板300上の矢印の方向にトルクが継続して発生する。このトルクにより誘導円板300は一定方向に回転する。さらに、永久磁石等(図示せず)の磁束により制動トルクを与えつつ誘導円板300を回転させることにより、誘導円板300を電力量に対応する回転量だけ回転させることができる。
【0030】
なお、磁束通過部302においても、磁束通過部301と同じ方向に誘導円板300を回転させるトルクが得られる。また、ここでは下向きの駆動磁束のみに着目して説明を行ったが、上向きの駆動磁束に着目しても、同じ方向に誘導円板300を回転させるトルクが得られる。
【0031】
【特許文献1】
特開平08−122365号公報
【特許文献2】
特開平09−068549号公報
【特許文献3】
特開2001−083182号公報
【0032】
【発明が解決しようとする課題】
図15は電圧素子の電圧素子鉄心および電流素子の電流素子鉄心に使用されるケイ素鋼板の透磁率曲線を示す図である。
【0033】
図15に示すように、ケイ素鋼板の透磁率は、起磁力に対して線形ではなく、ある起磁力を超えると急激に減少する。このため、起磁力が所定値より大きい場合、透磁率の減少を補償するために、図10に示すように、電流素子200と誘導円板300の磁束通過部301,302との間に過負荷補償片205が挿入されている。過負荷補償片205は、鉄等の金属片からなる。過負荷補償片205を電流素子200の駆動動作点と並列に挿入することにより、過負荷補償片205の磁気飽和による通過磁束比率の減少を利用して、逆に駆動磁束を増加させる。このようにして、図15の破線で示すように、見かけ上の透磁率を補償する。
【0034】
また、微小電流領域においては透磁率が小さく発生トルクが不足するとともに、誘導円板300を含む機械系の摩擦トルクが重畳されるため、誘導円板300を回転させるための始動トルクが得られない。そこで、所定の電流で始動動作を行う必要から、図10に示すように、電圧素子100と誘導円板300の磁束通過部301,302との間に軽負荷調整装置104が挿入される。軽負荷調整装置104はくまとりコイルからなる。
【0035】
この軽負荷調整装置104は、図11の電圧素子100により発生する駆動磁束φVR,φVLのうち一方の駆動磁束φVRに遅れの移相効果を与え、他方の駆動磁束φVLに進みの移相効果を与える。それにより、位相差を有する駆動磁束φVRと駆動磁束φVLとの間の相互作用により始動特性を補正するための補助トルクが作り出される。
【0036】
このような軽負荷調整装置104は、電流素子200による電流磁束とは無関係に始動特性を改善するための補助トルクを作り出すことを意図したものである。しかしながら、実際には、軽負荷調整装置104を作動させたときに、電流素子200による電流磁束に影響を与え、以下に示す不公正な誤差特性が生じることとなる。
【0037】
上記のように、軽負荷調整装置104により図11の電圧素子100により発生する駆動磁束φVR,φVLのうち一方の駆動磁束φVRに遅れの移相効果を与え、他方の駆動磁束φVLに進みの移相効果を与える。このとき、図12の電流素子200により発生する駆動磁束φDR,φDLのうち一方の駆動磁束φDRに遅れの移相効果が与えられ、他方の駆動磁束φDLに進みの移相効果が与えられる。また、図12の電流素子200により発生する側路磁束φBR,φBLのうち一方の側路磁束φBRに遅れの移相効果が与えられ、他方の側路磁束φBLに進みの移相効果が与えられる。さらに、側路磁束φBRから駆動磁束φDLへ進相成分φF が供給され、駆動磁束φDRから側路磁束φBLへ遅相成分φR が供給される。
【0038】
すなわち、図13において、磁束通過部301の領域1brを通過する側路磁束の位相が遅れ、磁束通過部301の領域1bfを通過する側路磁束の位相が進む。また、磁束通過部302の領域2brを通過する側路磁束の位相が遅れ、磁束通過部302の領域2bfを通過する側路磁束の位相が進む。そのため、領域1brを通過する側路磁束と領域1bfを通過する側路磁束との間に位相差が生じ、領域2brを通過する側路磁束と領域2bfを通過する側路磁束との間に位相差が生じる。
【0039】
磁束通過部301,302において始動トルクを均等に発生させるために軽負荷調整装置104により同じ量の補正を与えた場合に、磁束通過部301,302に同じ方向の同じ量の位相差が発生する。この場合、磁束通過部301の領域1bfと磁束通過部302の領域2brとの間に負のトルクが生じ、磁束通過部302の領域2bfと磁束通過部301の領域1brとの間に負のトルクが生じる。このように、軽負荷調整装置104による始動特性の補正は、2つの電流素子200により発生する電流磁束の相互干渉を誘発する。
【0040】
図16は図10の誘導型電力量計の力率1における誤差特性曲線の例を示す図である。
【0041】
図16において、S1は第1の素子(一方の組の電圧素子100および電流素子200)の単独運転時の誤差特性曲線であり、S2は第2の素子(他方の組の電圧素子100および電流素子200)の単独運転時の誤差特性曲線である。Totalは第1および第2の素子の並行運転時の誤差特性曲線である。Intは第1および第2の素子間の電流干渉誤差特性曲線である。St+は正側誤差規制値曲線であり、St−は負側誤差規制値曲線である。
【0042】
図16に示すように、一方の素子を力率1で単独運転した場合には、珪素鋼板が有する透磁率に反比例する磁路抵抗の影響を受け、誤差特性曲線S1,S2のように、電流の増加に伴って電力量の正の誤差が増大する。一方、両方の素子を力率1で並行運転した場合には、Intで示す第1および第2の素子間の電流干渉誤差の効果が合成されることにより、誤差特性曲線Totalのように、電流が増加しても電力量の正の誤差が正側誤差規制値曲線S+を超えない。
【0043】
このように、両方の素子を同程度の負荷で運転した場合には、電力量の正の誤差が規制値を満足することができるが、何らかの理由で負荷が一方の素子に偏った場合には、規制値を逸脱する誤差が発生する。
【0044】
通常、誘導型電力量計は、第1および第2の素子を並行運転したときに電力量の誤差が規制値を満足するように設計される。したがって、一方の素子に偏った負荷配分で需要家が電力を使用した場合には、電力量の正の誤差が大きくなり、余分の電力料金が発生し得るという不合理が生じる。換言すると、需要家が負荷の配分を考慮しつつ電力を使用しないと、不公正な電力料金が生じる場合がある。
【0045】
また、第1および第2の素子の並行運転時に第1および第2の素子がそれぞれ有する右上がりの誤差特性を相互干渉による右下がりの干渉誤差により補正することは、計量器の設計思想からも好ましくない。
【0046】
また、配電領域の電力損失の低減のため、および配電システムの簡略化によるコストパフォーマンスの向上のために、配電領域における配電電圧を昇圧することが考えられる。そのため、200Vの単相二線式配電が検討されている。この場合には、単相二線式誘導型電力量計が用いられる。
【0047】
単相二線式誘導型電力量計においては、1組の電圧素子および電流素子が用いられる。したがって、単相二線式誘導型電力量計の運転時には、上記のような複素子式誘導型電力量計において一方の素子に偏った負荷配分のときと同様に、余分の電力料金が発生し得るという不合理が生じる。
【0048】
本発明の目的は、負荷形態にかかわらず、電力量の誤差が規制値を満足することができる誘導型電力量計を提供することである。
【0049】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
第1の発明に係る誘導型電力量計は、誘導円板を挟んで配置された複数組の電圧素子および電流素子を備え、各組の電圧素子は、中央脚および複数の側路脚を有する第1の鉄心と、第1の鉄心の中央脚に巻回された電圧コイルとを含み、各組の電流素子は、第1および第2の中央脚を有する第2の鉄心と、第2の鉄心の第1および第2の中央脚にそれぞれ巻回された第1および第2の電流コイルとを含み、第2の鉄心の第1および第2の中央脚が第1の鉄心の中央脚の幅内に配置され、第1の電流コイルにより第1の中央脚に発生する磁束と第2の電流コイルにより第2の中央脚に発生する磁束とが互いに逆向きとなるように第1および第2の電流コイルが設けられたものである。
【0050】
本発明に係る誘導型電力量計においては、第2の鉄心の第1および第2の中央脚が第1の鉄心の中央脚の幅内に配置され、かつ第1の電流コイルにより第1の中央脚に発生する磁束と第2の電流コイルにより第2の中央脚に発生する磁束とが互いに逆向きとなることにより、電流素子の第1および第2の電流コイルにより発生した磁束が第2の鉄心の第1の中央脚から誘導円板を横切って電圧素子の第1の鉄心の中央脚を経由し、再び誘導円板を横切って第2の鉄心の第2の中央脚に戻るように還流し、またはその逆の方向に還流する。このとき、電流素子の第1および第2の電流コイルにより発生する磁束は互いに逆向きとなるので、第1および第2の電流コイルの外側に発生する磁束は互いに相殺される。そのため、電流素子から誘導円板を横切って電圧素子の側路脚に至る磁束が発生しない。
【0051】
それにより、電圧素子により発生する磁束に移相効果を与えた場合に、その移相効果は電流素子により発生する磁束には影響を与えず、複数組の電流素子の磁路相互間の結合が生じない。したがって、複数組の電圧素子および電流素子に接続される負荷の配分に由来する干渉誤差の誘発が防止され、電力量の誤差を低減することができるとともに、負荷の配分の変化による誤差の変化も低減することができる。その結果、負荷形態にかかわらず、電力量の誤差が規制値を満足することが可能となる。
【0052】
第2の発明に係る誘導型電力量計は、誘導円板を挟んで配置された1組の電圧素子および電流素子を備え、電圧素子は、中央脚および複数の側路脚を有する第1の鉄心と、第1の鉄心の中央脚に巻回された電圧コイルとを含み、電流素子は、第1および第2の中央脚を有する第2の鉄心と、第2の鉄心の第1および第2の中央脚にそれぞれ巻回された第1および第2の電流コイルとを含み、第2の鉄心の第1および第2の中央脚が第1の鉄心の中央脚の幅内に配置され、第1の電流コイルにより第1の中央脚に発生する磁束と第2の電流コイルにより第2の中央脚に発生する磁束とが互いに逆向きとなるように第1および第2の電流コイルが設けられたものである。
【0053】
本発明に係る誘導型電力量計においては、第2の鉄心の第1および第2の中央脚が第1の鉄心の中央脚の幅内に配置され、かつ第1の電流コイルにより第1の中央脚に発生する磁束と第2の電流コイルにより第2の中央脚に発生する磁束とが互いに逆向きとなることにより、電流素子の第1および第2の電流コイルにより発生した磁束が第2の鉄心の第1の中央脚から誘導円板を横切って電圧素子の第1の鉄心の中央脚を経由し、再び誘導円板を横切って第2の鉄心の第2の中央脚に戻るように還流し、またはその逆の方向に還流する。このとき、電流素子の第1および第2の電流コイルにより発生する磁束は互いに逆向きとなるので、第1および第2の電流コイルの外側に発生する磁束は互いに相殺される。そのため、電流素子から誘導円板を横切って電圧素子の側路脚に至る磁束が発生しない。
【0054】
それにより、電圧素子により発生する磁束に移相効果を与えた場合に、その移相効果は電流素子により発生する磁束には影響を与えない。したがって、電圧素子および電流素子に接続される負荷の配分に由来する干渉誤差の誘発が防止され、電力量の誤差を低減することができる。その結果、電力量の誤差が規制値を満足することが可能となる。
【0055】
各組の電流素子の第1および第2の電流コイルは、第1の中央脚と第2の中央脚との間で互いに重なり合うように巻回されてもよい。
【0056】
この場合、電流素子の第1および第2の中央脚における磁路長を短縮することが可能となる。それにより、電流素子による磁束が第2の鉄心の磁路抵抗の影響をほとんど受けない。したがって、電力量の誤差をさらに低減するとこができるとともに、負荷の配分の変化による誤差の変化もさらに低減することができる。
【0057】
各組の電流素子の第2の鉄心は、第1および第2の中央脚の両側に複数の側路脚をさらに有し、第1および第2の電流コイルと複数の側路脚との間に電磁遮蔽板がそれぞれ設けられてもよい。
【0058】
この場合、電圧素子の電圧コイルにより発生する磁束の一部が第1の鉄心の中央脚から誘導円板を横切って電流素子の第2の鉄心の第1および第2の中央脚および側路脚を経由し、再び誘導円板を横切って電圧素子の第1の側路脚および中央脚を経由するように還流し、またはその逆方向に還流する。このとき、第1および第2の電流コイルと複数の側路脚との間に電磁遮蔽板が設けられているので、第1および第2の電流コイルによる磁束が第2の鉄心の側路脚に漏れ出ることが確実に防止される。
【0059】
各組の電流素子の第2の鉄心の複数の側路脚のいずれかに、軽負荷時に電圧素子の第1の鉄心の複数の側路脚に発生する磁束間に位相差を与える軽負荷調整手段が設けられてもよい。
【0060】
この場合、軽負荷時に電圧素子の第1の鉄心の複数の側路脚に発生する磁束間に位相差が与えられることにより、軽負荷時の始動特性が補正される。このとき、電流素子の第2の鉄心の側路脚には第1および第2の電流コイルにより発生する磁束が形成されないので、負荷の配分に由来する干渉誤差の誘発が防止される。
【0061】
各組の電圧素子の第1の鉄心の複数の側路脚と電流素子の第2の鉄心の複数の側路脚とがほぼ同一の直線上に配置されてもよい。
【0062】
この場合には、電圧素子の電圧コイルにより発生する磁束が効率的に電圧素子の第1の鉄心の側路脚および電流素子の第2の鉄心の側路脚に還流する。したがって、誘導円板の十分な駆動力が得られる。
【0063】
【発明の実施の形態】
図1は本発明の第1の実施の形態における単相三線式誘導型電力量計の概略断面図である。図1の誘導型電力量計は、電圧素子10、電流素子20および誘導円板30を備える。電流素子20の上部に電圧素子10が配置され、電圧素子10と電流素子20との間に誘導円板30が挿入されている。誘導円板30は、回転軸を中心に回転可能に設けられている。誘導円板30は、アルミニウム等の磁性を帯びない金属により形成されている。
【0064】
電圧素子10は、E字形の鉄心(以下、電圧素子鉄心と呼ぶ)11および電圧コイル12からなる。電圧素子鉄心11は、中央脚14、2本の側路脚15a,15bおよび連結部18により構成される。電圧コイル12は、電圧素子鉄心11の中央脚14に巻き付けられている。
【0065】
また、電流素子20は、鉄心(以下、電流素子鉄心と呼ぶ)21および電流コイル22a,22bからなる。電流素子鉄心21は、2本の中央脚24a,24b、2本の側路脚25a,25bおよび連結部28により構成される。2本の中央脚24a,24bは、電圧素子鉄心11の中央脚14の幅内で誘導円板30を挟んで電圧素子鉄心11の中央脚14に対向するように配置される。また、2本の側路脚25a,25bは、誘導円板30を挟んで電圧素子鉄心11の側路脚15a,15bと同一直線上に配置される。
【0066】
電流コイル22a,22bは、電流素子鉄心21の2本の中央脚24a,24bにそれぞれ巻き付けられており、互いに逆向きの磁束が発生するように直列に接続されている。ここで、電流コイル22a,22bは、中央脚24a,24b間において互いに重なるように巻かれている。それにより、中央脚24a,24bにおける磁路長が短縮されている。
【0067】
電圧素子10の電圧素子鉄心11および電流素子20の電流素子鉄心21にはケイ素鋼板が使用されている。
【0068】
電流素子20には、電流素子移相板27が設けられている。また、電流素子鉄心21の中央脚24a,24bと側路脚25a,25bとの間には、電磁遮蔽板26がそれぞれ配置されている。
【0069】
電流素子鉄心21の2本の中央脚24a,24bには位相調整コイル23が設けられ、電流素子鉄心21の側路脚25aには、軽負荷調整コイル29が設けられている。
【0070】
電圧素子10は、電圧コイル12に電流が流れることにより磁束を発生する。電流素子20は、電流コイル22a,22bに電流が流れることにより磁束を発生する。これらの電圧素子10および電流素子20により発生する磁束により回転磁界が発生し、誘導円板30が回転する。この誘導円板30の回転数により電力量を測定することができる。
【0071】
図1には、1組の電圧素子10および電流素子20が示されるが、実際には、2組の電圧素子10および電流素子20が誘導円板30の回転軸を中心として対称な位置に配置される構造が採用される。
【0072】
一方の組の電圧素子10および電流素子20を第1の素子と呼び、他方の組の電圧素子10および電流素子20を第2の素子と呼ぶ。
【0073】
図2は本発明の第1の実施の形態における単相三線式誘導型電力量計の接続を示す概略回路図である。
【0074】
図2に示すように、単相三線式誘導型電力量計は2組の電圧素子10および電流素子20で構成される。電源線L1と電源線L0との間に100Vの交流電源40aが接続され、電源線L2と電源線L0との間に100Vの交流電源40bが接続されている。一方の組の電圧素子10が電源線L1と電源線L0との間に接続され、一方の組の電流素子20が電源線L1と負荷50aの一方の端子との間に接続されている。また、他方の組の電圧素子10が電源線L2と電源線L0との間に接続され、他方の組の電流素子20が電源線L2と負荷50bの一方の端子との間に接続されている。負荷50aの他方の端子および負荷50bの他方の端子は電源線L0に接続されている。
【0075】
図3は図1の誘導型電力量計における電圧素子10および電流素子20が形成する磁束を示した概略断面図である。
【0076】
図3に示すように、電圧素子10により発生した磁束(以下、電圧磁束と呼ぶ)の一部は、電圧素子鉄心11の中央脚14、主空隙Gmおよび両方の側路脚15a,15bを経由して還流する。電圧磁束の残りは、電圧素子鉄心11の中央脚14から誘導円板30を横切って電流素子鉄心21の中央脚24a,24bおよび側路脚25a,25bを経由し、再び誘導円板30を横切って電圧素子鉄心11の側路脚15a,15bに戻るように還流する。
【0077】
ここで、電圧素子鉄心11の中央脚14から電流素子鉄心21に向かって誘導円板30を横切る磁束を駆動磁束φVR,φVLと呼ぶ。また、電圧素子鉄心11の中央脚14から電圧素子鉄心11の側路脚15a,15bを経由して還流する磁束を側路磁束φSR,φSLと呼ぶ。また、電圧素子鉄心11の中央脚14には、全磁束φVMが経由する。
【0078】
電流素子20により発生した磁束(以下、電流磁束と呼ぶ)は、電流素子鉄心21の中央脚24aから誘導円板30を横切って電圧素子鉄心11の中央脚14を経由し、再び誘導円板30を横切って電流素子鉄心21の中央脚24bに戻るように還流する。
【0079】
ここで、電流素子鉄心21の中央脚24aから誘導円板30を横切って電圧素子鉄心11の中央脚14を経由し、再び誘導円板30を横切って電流素子鉄心21の中央脚24bに戻るように還流する磁束を駆動磁束φCと呼ぶ。
【0080】
電流コイル22a,22bには互いに逆向きに電流が流れるため、上記のように、電流素子鉄心21の中央脚24a,24bを経由する駆動磁束φC は還流する。
【0081】
図4は電流素子鉄心21の電流コイル22a、22bにより発生する電流磁束の側路脚25a、25bにおける相互の打ち消し合いを示した概略平面図である。
【0082】
図4に示すように、電流コイル22aにより電流素子鉄心21の側路脚25aに発生する磁束と電流コイル22bにより電流素子鉄心21の側路脚25aに発生する磁束とは互いに逆向きとなるため、誘導円板30を挟む位置13aにおいて、これらの磁束は互いに相殺される。また、電流コイル22aにより電流素子鉄心21の側路脚25bに発生する磁束と電流コイル22bにより電流素子鉄心21の側路脚25bに発生する磁束とは互いに逆向きとなるため、誘導円板30を挟む位置13bにおいて、これらの磁束は互いに相殺される。その結果、電流素子鉄心21の側路脚25a,25bには、電流コイル22a,22bによる電流磁束は形成されない。
【0083】
また、電磁遮蔽板26は、電流コイル22a,22bから側路脚25a,25bの磁路への直接結合を阻止することにより、後述する上記の第1の素子と第2の素子との間の結合を防止する。
【0084】
図1の位相調整コイル23は、誘導円板30を横切る電圧磁束と電流磁束との間に力率に適合した位相差が与えられるように、電流素子移相板27の移相効果と相俟って誘導円板30を横切る磁束に移相効果を与える。電流素子移相板27は、電流磁束の位相を調整するとともに、温度変化に起因する電圧磁束の位相の変化に追随して電流磁束の位相も変化させることにより、力率に対する動作を安定化させる。
【0085】
図5は図1の誘導型電力量計における誘導円板を通過する磁束の位置を示す概略断面図である。
【0086】
図5に示すように、2組の電圧素子10および電流素子20(図5には図示せず)が誘導円板30の回転軸Cを挟んで対向するように配置されている。2組の電圧素子10および電流素子20による電圧磁束および電流磁束は、誘導円板30の回転軸Cを挟んで対向する2箇所の磁束通過部31,32を通過する。ここでは、説明の便宜上、磁束通過部31を4つの領域1br,1dr,1df,1bfに区分し、磁束通過部32を4つの領域2br,2dr,2df,2bfに区分している。
【0087】
磁束通過部31の内側の領域1dr,1dfには電圧素子10による駆動磁束φVR,φVLおよび電流素子20による駆動磁束φC が通過する。磁束通過部31の外側の領域1br,1bfには電圧素子10による駆動磁束φVR,φVLが通過し、電流素子20による磁束は通過しない。
【0088】
以下、電圧磁束および電流磁束により誘導円板30が回転する原理を説明する。
【0089】
図6は図1の誘導型電力量計における誘導円板が回転する原理を説明するための模式図である。図6には誘導円板30の磁束通過部31の近傍が示されている。図6の左側の各図は、誘導円板30を通過する電圧磁束または電流磁束を図3に基づいて示す断面図であり、図6の右側の各図は、図6の左側の各図に対応する斜視図である。
【0090】
なお、図6の左側の各図においては、誘導円板30の近傍における電圧磁束または電流磁束のみ示し、電圧素子10および電流素子20は省略している。ここでは、誘導円板30を下向きに横切る磁束のみに着目して説明を行う。
【0091】
負荷の力率が1に設定されているものとする。この場合、電圧磁束と電流磁束とは90度(すなわち、1/4周期)の位相差を有する。まず、図6(a)に示すように、電圧素子10による下向きの電圧磁束が最大となり、電流素子20による電流磁束が0となる。したがって、磁束通過部31の領域1dr,1dfの境界部に下向きの駆動磁束が形成される。
【0092】
次に、1/4周期経過すると、図6(b)に示すように、電圧素子10による電圧磁束は0となり、電流素子20による電流磁束が最大となる。この場合、磁束通過部31の領域1drに下向きに最大の駆動磁束が形成される。すなわち、下向きの駆動磁束が、見かけ上、図6(b)の誘導円板30上の矢印の方向に移動する。
【0093】
さらに、1/4周期経過すると、図6(c)に示すように、図6(a)とは逆向きに電圧素子10による電圧磁束が還流し、下向きの電圧磁束が最大となり、電流素子20による電流磁束が0となる。それにより、磁束通過部31の領域1br,1bfに下向きの駆動磁束が形成される。すなわち、下向きの駆動磁束が、見かけ上、図6(c)の誘導円板30上の矢印の方向に移動する。
【0094】
さらに、1/4周期経過すると、図6(d)に示すように、電圧素子10による電圧磁束は0となり、電流素子20による電流磁束が最大となる。この場合、磁束通過部31の領域1dfに下向きに最大の駆動磁束が形成される。すなわち、下向きの駆動磁束が、見かけ上、図6(d)の誘導円板30上の矢印の方向に移動する。
【0095】
さらに、1/4周期経過すると、図6(a)に戻り、以下同様にして、図5に示した誘導円板30上の矢印の方向にトルクが継続して発生する。このトルクにより誘導円板30は一定方向に回転する。さらに、永久磁石等(図示せず)の磁束により制動トルクを与えつつ誘導円板30を回転させることにより、誘導円板30を電力量に対応する回転量だけ回転させることができる。
【0096】
なお、磁束通過部32においても、磁束通過部31と同じ方向に誘導円板30を回転させるトルクが得られる。また、ここでは下向きの駆動磁束のみに着目して説明を行ったが、上向きの駆動磁束に着目しても、同じ方向に誘導円板30を回転させるトルクが得られる。
【0097】
図1の軽負荷調整コイル29は、図3の電圧素子10により発生する駆動磁束φVR,φVLのうち一方の駆動磁束φVRに遅れの移相効果を与え、他方の駆動磁束φVLに進みの移相効果を与える。それにより、位相差を有する駆動磁束φVRと駆動磁束φVLとの間の相互作用により始動特性を補正するための補助トルクが作り出される。
【0098】
本発明の第1の実施の形態では、磁束通過部31の内側の領域1dr,1dfには電圧素子10による駆動磁束φVR,φVLおよび電流素子20による駆動磁束φC が通過する。また、磁束通過部31の外側の領域1br,1bfには電圧素子10による駆動磁束φVR,φVLが通過し、電流素子20による電流磁束は通過しない。
【0099】
したがって、上記のように、軽負荷調整コイル29が図3の電圧素子10により発生する駆動磁束φVR,φVLのうち一方の駆動磁束φVRに遅れの移相効果を与え、他方の駆動磁束φVLに進みの移相効果を与えた場合に、その移相効果は電流素子20により発生する電流磁束には影響を与えない。
【0100】
すなわち、図5の磁束通過部31の領域1br,1bfおよび磁束通過部32の領域2br,2bfには電流素子20による電流磁束が存在しない。そのため、軽負荷調整コイル29により電圧素子10による電圧磁束に移相効果を与えた場合でも、磁束通過部31の領域1bfと磁束通過部32の領域2brとの間および磁束通過部32の領域2bfと磁束通過部31の領域1brとの間に電流磁束の位相差による負のトルク(磁路相互間の結合)が生じない。
【0101】
また、電流素子鉄心21の中央脚24a,24bにおける磁路長が短縮されているので、電流素子20による電流磁束が電流素子鉄心21の磁路抵抗の影響をほとんど受けない。
【0102】
これらの結果、第1および第2の素子の負荷の配分に由来する干渉誤差の誘発が防止され、電力量の誤差を低減することができるとともに、負荷の配分の変化による誤差の変化も低減することができる。
【0103】
図7は図1の誘導型電力量計の力率1における誤差特性曲線の例を示す図である。
【0104】
図7において、S1は第1の素子(一方の組の電圧素子10および電流素子20)の単独運転時の誤差特性曲線であり、S2は第2の素子(他方の組の電圧素子10および電流素子20)の単独運転時の誤差特性曲線である。Totalは第1および第2の素子の並行運転時の誤差特性曲線である。
【0105】
図7に示すように、一方の素子を力率1で単独運転した場合、誤差特性曲線S1,S2のように、電流の増加に伴って電力量の誤差が徐々に低下している。一方、両方の素子を力率1で並行運転した場合にも、誤差特性曲線Totalのように、電流の増加に伴って電力量の誤差が徐々に低下している。また、一方の素子を単独運転した場合および両方の素子を並行運転した場合に、全測定領域を通して電力量の平均誤差が図12に示した従来の誘導型電力量計における電力量の平均誤差に比べて低減されている。
【0106】
このように、本発明の第1の実施の形態における誘導型電力量計では、両方の素子を同程度の負荷で運転した場合にも、何らかの理由で負荷が一方の素子に偏った場合にも、規制値を逸脱する誤差が発生しない。したがって、一方の素子に偏った負荷配分で需要家が電力を使用した場合にも、電力量の誤差が大きくなることにより余分の電力料金が発生し得るという不合理が解消され、需要家が負荷の配分を考慮することなく電力を使用しても公正な電力料金となる。
【0107】
次に、本発明の第2の実施の形態における単相二線式誘導型電力量計について説明する。
【0108】
図8は単相二線式誘導型電力量計における誘導円板を通過する磁束の位置を示す概略断面図である。単相二線式誘導型電力量計は本発明の第1の実施の形態における単相三線式誘導型電力量計の第1の素子のみを有する。
【0109】
図8に示すように、本実施の形態における単相二線式誘導型電力量計においては、1組の電圧素子10および電流素子20(図8には図示せず)が誘導円板30の回転軸Cに対して偏心した位置に配置されている。
【0110】
図9は本発明の第2の実施の形態における単相二線式誘導型電力量計の接続を示す概略回路図である。
【0111】
図9に示すように、単相二線式誘導型電力量計は1組の電圧素子10および電流素子20で構成される。電源線L1と電源線L0との間に200Vの交流電源40cが接続されている。電圧素子10が電源線L1と電源線L0との間に接続され、電流素子20が電源線L1と負荷50aの一方の端子との間に接続されている。負荷50aの他方の端子は電源線L0に接続されている。
【0112】
本実施の形態に係る単相二線式誘導型電力量計においても、図4に示すように、電流コイル22aにより電流素子鉄心21の側路脚25aに発生する磁束と電流コイル22bにより電流素子鉄心21の側路脚25aに発生する磁束とは互いに逆向きとなるため、誘導円板30を挟む位置13aにおいて、これらの磁束は互いに相殺される。また、電流コイル22aにより電流素子鉄心21の側路脚25bに発生する磁束と電流コイル22bにより電流素子鉄心21の側路脚25bに発生する磁束とは互いに逆向きとなるため、誘導円板30を挟む位置13bにおいて、これらの磁束は互いに相殺される。その結果、電流素子鉄心21の側路脚25a,25bには、電流コイル22a,22bによる電流磁束は形成されない。
【0113】
したがって、単相二線式誘導型電力量計の力率1における誤差特性曲線は、図7に示した単相三線式誘導型電力量計の力率1における一方の素子の運転時の誤差特性曲線と同様になり、誤差規制値を逸脱する誤差は発生しない。その結果、電力量の誤差が大きくなることにより余分の電力料金が発生し得るという不合理が生じることはなく、公正な電力料金となる。
【0114】
なお、上記第1および第2の実施の形態では、本発明をそれぞれ単相三線式誘導型電力量計および単相二線式誘導型電力量計に適用した場合を説明したが、本発明はこれに限定されず、例えば、三相三線式誘導型電力量計等の他の方式の誘導型電力量計にも同様に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1および第2の実施の形態における単相三線式誘導型電力量計および単相二線式誘導型電力量計の概略断面図である。
【図2】図1の単相三線式誘導型電力量計の概略回路図である。
【図3】図1の誘導型電力量計における電圧素子および電流素子が形成する磁束を示した概略断面図である。
【図4】図1の誘導型電力量計における電流素子が形成する磁束の相互の打ち消し合いを示した概略断面図である。
【図5】図1の単相三線式誘導型電力量計における誘導円板を通過する磁束の位置を示す概略平面図である。
【図6】図1の誘導型電力量計における誘導円板が回転する原理を説明するための模式図である。
【図7】図1の誘導型電力量計の力率1における誤差特性曲線の例を示す図である。
【図8】図1の単相二線式誘導型電力量計における誘導円板を通過する磁束の位置を示す概略平面図である。
【図9】図1の単相二線式誘導型電力量計の概略回路図である。
【図10】従来の単相三線式誘導型電力量計の概略断面図である。
【図11】図10の誘導型電力量計における電圧素子が形成する磁束を示した概略断面図である。
【図12】図10の誘導型電力量計における電流素子が形成する磁束を示した概略断面図である。
【図13】図10の誘導型電力量計における誘導円板を通過する磁束の位置を示す概略平面図である。
【図14】図10の誘導型電力量計における誘導円板が回転する原理を説明するための模式図である。
【図15】電圧素子の電圧素子鉄心および電流素子の電流素子鉄心に使用されるケイ素鋼板の透磁率曲線を示す図である。
【図16】図10の誘導型電力量計の力率1における誤差特性曲線の例を示す図である。
【符号の説明】
10 電圧素子
11 電圧素子鉄心
12 電圧コイル
14 中央脚
15a,15b 側路脚
20 電流素子
21 電流素子鉄心
22a,22b 電流コイル
23 位相調整コイル
24a,24b 中央脚
25a,25b 側路脚
26 電磁遮蔽板
27 電流素子移相板
29 軽負荷調整コイル
30 誘導円板

Claims (6)

  1. 誘導円板を挟んで配置された複数組の電圧素子および電流素子を備え、
    各組の電圧素子は、中央脚および複数の側路脚を有する第1の鉄心と、前記第1の鉄心の中央脚に巻回された電圧コイルとを含み、
    各組の電流素子は、第1および第2の中央脚を有する第2の鉄心と、前記第2の鉄心の前記第1および第2の中央脚にそれぞれ巻回された第1および第2の電流コイルとを含み、
    前記第2の鉄心の前記第1および第2の中央脚が前記第1の鉄心の前記中央脚の幅内に配置され、
    前記第1の電流コイルにより前記第1の中央脚に発生する磁束と前記第2の電流コイルにより前記第2の中央脚に発生する磁束とが互いに逆向きとなるように前記第1および第2の電流コイルが設けられたことを特徴とする誘導型電力量計。
  2. 誘導円板を挟んで配置された1組の電圧素子および電流素子を備え、
    前記電圧素子は、中央脚および複数の側路脚を有する第1の鉄心と、前記第1の鉄心の中央脚に巻回された電圧コイルとを含み、
    前記電流素子は、第1および第2の中央脚を有する第2の鉄心と、前記第2の鉄心の前記第1および第2の中央脚にそれぞれ巻回された第1および第2の電流コイルとを含み、
    前記第2の鉄心の前記第1および第2の中央脚が前記第1の鉄心の前記中央脚の幅内に配置され、
    前記第1の電流コイルにより前記第1の中央脚に発生する磁束と前記第2の電流コイルにより前記第2の中央脚に発生する磁束とが互いに逆向きとなるように前記第1および第2の電流コイルが設けられたことを特徴とする誘導型電力量計。
  3. 各組の前記電流素子の前記第1および第2の電流コイルは、前記第1の中央脚と前記第2の中央脚との間で互いに重なり合うように巻回されたことを特徴とする請求項1または2記載の誘導型電力量計。
  4. 各組の前記電流素子の前記第2の鉄心は、前記第1および第2の中央脚の両側に複数の側路脚をさらに有し、
    前記第1および第2の電流コイルと前記複数の側路脚との間に電磁遮蔽板がそれぞれ設けられたことを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の誘導型電力量計。
  5. 各組の前記電流素子の前記第2の鉄心の前記複数の側路脚のいずれかに、軽負荷時に前記電圧素子の前記第1の鉄心の前記複数の側路脚に発生する磁束間に位相差を与える軽負荷調整手段が設けられたことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の誘導型電力量計。
  6. 各組の前記電圧素子の前記第1の鉄心の前記複数の側路脚と前記電流素子の前記第2の鉄心の前記複数の側路脚とがほぼ同一の直線上に配置されたことを特徴とする請求項5記載の誘導型電力量計。
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