JP2003194220A - パネル孔用カバー - Google Patents

パネル孔用カバー

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Abstract

(57)【要約】 (修正有) 【課題】 パネルに形成された孔にシール性を要求され
るカバーを嵌め込むに、装着操作が容易でシール性の高
いカバーを提供する。 【解決手段】 パネル1に形成された孔3に外周に溝を
形成した弾性体の嵌合部を一方向から内嵌めして溝の前
壁9と後壁10とで孔外周のパネルを挟着して孔を覆う
パネル孔用カバーにおいて、前壁の一部を剛体で構成し
てこの剛体前壁の前部に先端が孔に入り込む一定幅の舌
片11を突設するとともに、弾性体前壁の前部に最小径
が孔の径よりも小さい前方ほど径小となったテーパ部1
2を形成したことを特徴とするパネル孔用カバー。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、パネルに形成され
た孔、例えば、自動車のボディーパネルに形成された種
々の孔を覆うパネル用カバーに関し、より詳細には、ス
テアリングシャフト等が挿通する孔を覆うのに用いられ
て好適なパネル用カバーに関するものものである。
【0002】
【従来の技術】自動車の外郭を構成するボディーパネル
には数多くの孔が形成されているが、多くの孔は、雨水
や飛散水等の侵入を防ぐためにカバーで覆われている。
ステアリングシャフトが車室外へ延びる孔もそうであ
り、この孔は運転席の前方を斜めに延びるパネルに形成
されているから、飛散水等が特に侵入し易い。このた
め、シャフトが挿通する孔との隙間をカバーで覆うこと
は不可欠であるが、このステアリングカバーの場合、パ
ネルの孔に嵌合される嵌合部をゴム等の弾性体で形成し
てこの嵌合部を弾性変形させて孔に一方向から内嵌めす
る構造をとっている。具体的には、弾性体の外周に溝を
形成し、溝の両壁で孔周辺のパネルを弾性的に挟着する
構造にしている。
【0003】この場合におけるステアリングカバーの取
付けは、嵌合部を孔の一方側(車室側)から引っ張り又
は押し込んで嵌め込んでいるが(一人の作業者がパネル
の両側に同時に位置することができないから)、径が比
較的大きいことやゴムと金属とは滑り難いことから、一
度に嵌め込むことができず、部分的に引っ張り又は押し
込んで嵌め込むようにしている。例えば、嵌合部の挿入
方向前側に複数の引っ張り用の舌片等を突出させてこれ
を順次引っ張る等して嵌め込んでいる。しかし、嵌合部
はゴムであることから変形し易く、嵌め込んだ後に溝の
全周を孔に押し付けて変形を直す作業が必要であった
し、滑り難いことから引っ張るのに力を要するといった
ことがあって、組付けに時間と熟練さを要求されてい
た。又、この構成のものであると、外力がかかると、変
形してシール性が損なわれるということもあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】そこで、特開平11−
132828号公報には、挿入方向後側よりパネルに添
着するゴム面から孔通過のときには内方に弾性変形し、
通過後は外方に拡がってゴム面とで孔外周のパネルを挟
着する爪状部材を前方に突出させたものが示されてい
る。しかし、爪状部材が弾性変形して孔を通過した後に
後方のゴム面とで効果的にパネルを弾性挟着するには、
爪状部材の弾性力を適正に設定する必要があり、弾性力
が弱いと、弾性が失われてゴム面との弾性挟着が十分で
ない上に使用中のへたりも生ずる。一方、強すぎると、
通過させる際に大きな力を要するといったことがある。
更に、爪状部材とゴム面とによるパネルへの押圧は部分
的なものであるから、ゴム面が全周に亘って均等に押圧
しないという問題もある。本発明は、このような課題を
解決したもので、嵌め込みが容易であるとともに、十分
なシール性も確保できるようにしたものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】以上の課題の下、本発明
は、請求項1に記載した、パネルに形成された孔に外周
に溝を形成した弾性体の嵌合部を一方向から内嵌めして
溝の前壁と後壁とで孔外周のパネルを挟着して孔を覆う
パネル孔用カバーにおいて、前壁の一部を剛体で構成し
てこの剛体前壁の前部に先端が孔に入り込む一定幅の舌
片を突設するとともに、弾性体前壁の前部に最小径が孔
の径よりも小さい前方ほど径小となったテーパ部を形成
したことを特徴とするパネル孔用カバーを提供したもの
である。
【0006】以上の手段をとることにより、剛体前壁に
よる第一次装着と、弾性体前壁による第二次装着の二段
階装着をとることで、装着が可能になるとともに、この
ときの作業の容易性が確保される。即ち、第一次装着に
おいて、舌片を手で引っ張ることができるとともに、こ
のとき、孔の外周のパネルに舌片を滑らせることで、舌
片とパネルとの相対的移動がスムーズになって溝へのパ
ネルの嵌め込みが容易になる。そして、装着後において
も、弾性体同士の前壁と後壁とによる弾性挟着によって
シール性が確保される。
【0007】又、請求項2に記載した、剛体前壁と弾性
体前壁とがそれぞれ孔の半周弱に亘って形成されるもの
であり、孔への装着時、剛体前壁が上方に位置するもの
であれば、第一装着操作及び第二次装着操作共に作業が
容易になるし、更に、請求項3に記載した、剛体前壁と
弾性体前壁との境界部分を欠落させると、これらの装着
作業が一層容易になる。
【0008】加えて、本発明は、請求項4に記載した、
パネルに形成された孔に外周に溝を形成した弾性体の嵌
合部を一方向から内嵌めして溝の前壁と後壁とで孔外周
のパネルを挟着して孔を覆うパネル孔用カバーにおい
て、前壁の前部に最小径が孔の径よりも小さい前方ほど
径小となったテーパ部を形成するとともに、溝の底部に
も弾性体の底壁を設け、少なくともこの底壁の内周と後
壁の後部とに亘って剛体を存在させたことを特徴とする
パネル孔用カバーを提供する。
【0009】この手段によると、カバーを挿入するに
は、テーパ部の先端を孔へ嵌め込み、次いで、挿入前側
から手を突っ込んで剛体を持って手前に引っ張ることに
なる。従って、強い力が出せ、作業が容易である。これ
において、請求項5に記載した、剛体が、底壁の内周に
存在するものは筒体であり、後壁の後部に存在するもの
は鍔である鍔付き筒体で構成され、鍔の後方に、鍔付き
筒体の前端が後壁の後壁面に当接する範囲で後退できる
空間を形成したものによれば、この空間に手を差し込む
ことができるとともに、装着後、後壁は鍔付き筒体でパ
ネル側に押され、弾性挟着が強化されてシール性が向上
する。
【0010】以下、本発明の実施の形態を図面を参照し
て説明するが、図1は本発明の第一を示すステアリング
カバー(以下、カバー)を孔へ装着した状態の断面図、
図2はカバーの正面図、図3はカバーの斜視図、図4は
孔へカバーを装着するときの要部断面図である。自動車
において、室内と室外とを仕切るパネル1の相当個所に
ステアリングシャフト2が通過する孔3が形成されてお
り、この孔3のステアリングシャフト2以外の部分を閉
塞するのが上記したカバー4である。このカバー4は、
ゴム等の弾性体を主部材として製作され、孔3に装着さ
れる嵌合部5と、嵌合部5からステアリングシャフト2
を覆ってその室外側に連繋されるギアハウジング6との
間に張設されるジャバラブーツ7とで構成される。
【0011】嵌合部5の外周には溝8が形成され、この
溝8の前壁9と後壁10とで孔3外周のパネル1を前後
から弾性挟着してシール性を図りながら固定する。嵌合
部5の孔3への装着は、ステアリングシャフト2やギア
ハウジング6を所定の位置にセットした後(このとき、
ジャバラブーツ7はギアハウジング6に結合されてい
る)、作業者が室内側からこれを引っ張って行う。本発
明は、以上の前壁9の一部を剛体で形成して剛体前壁9
aとするとともに、残りの部分は弾性体のままで残して
弾性体前壁9bとしたものである。これに対して、後壁
10は全周に亘って弾性体で構成されている。
【0012】本例では、剛体前壁9aと弾性体前壁9b
とをそれぞれ孔3の半周弱に亘って形成してあり、カバ
ー4を孔3へ装着したとき、剛体前壁9aが上方に位置
するようにしている。具体的には、剛体前壁9aについ
ては、断面がU字形をした金属板のうちの前板を嵌合部
5を形成する弾性体リングの前面に一定の間隙を確保し
て存在させ、後板を弾性体リングの中に埋入した形態と
し、この間隙を溝8とするとともに、後板から弾性体リ
ングの前方部分を後壁10とするのである。従って、金
属板からなる前板が剛体前壁9aを構成することにな
る。更に、剛体前壁9aの中央には、その外周端から径
小方向に傾斜して装着時に先端が孔3の中に入り込む一
定幅の舌片11を突設している。
【0013】一方、弾性体前壁9bについては、断面が
前板が存在しないL字形をした金属板を用い、後板の前
方に所定の間隔を隔てて弾性体を存在させており、この
間隔を溝8にするとともに、溝8より前方を弾性体前壁
9b、溝8と後板までを弾性体の後壁10としている。
更に、弾性体前壁9bの前部は、最小径が孔3の径より
も小さい前方ほど径小となったテーパ部12に形成され
ている。本例のテーパ部12は、弾性体前壁9bの全周
に亘って形成されている。
【0014】ところで、本例のカバー4は、上下にやや
長い楕円形をしているが、剛体前壁9aと弾性体前壁9
bとの境界、即ち、左右両側では、この両前壁9a、9
bを適当な範囲で欠落させている。更に、剛体前壁9a
の端を上方に垂直に切り上げている(図2)。この他、
溝8に臨む後壁10の外周付近にはシールのためのリッ
プ13を全周に亘って突設している。
【0015】以上のカバー4を孔3へ装着する場合につ
いて説明すると、まず、孔3から覗いた舌片11を手で
手前側へ引っ張り、剛体前壁9a後方の溝8をパネル1
に嵌め込む第一装着を行う。このとき、舌片11は剛体
であるとともに、前方が孔3に入り込むように突設され
ているから、孔3の外周を構成するパネル1に対する滑
りが良くて引き込みがスムーズに行われるし、剛体前壁
9aは円周の半分弱に形成されていて弾性体前壁9bと
の境界には前壁9a、9bが存在しない部分があるか
ら、この嵌め込みが可能である上に容易である。
【0016】次いで、弾性体前壁9bのテーパ部12を
手で持ち(必要なら、この部分にも引っ張り用の舌片等
を適宜形成しておく)、この部分を孔3に引っ張り込ん
で弾性体前壁9b後方の溝8をパネル1に嵌め込む第二
次装着を行う。このときも、テーパ部12は、弾性体で
構成されているとともに、最小径が孔3の径よりも小さ
い前方が径小のテーパに形成されているから、パネル1
に対してテーパ部12が弾性変形しつつ、前方への移動
が許容されて溝8に嵌まり込むから、嵌め込みが可能で
ある上に容易である。
【0017】この場合、孔3の径に対して溝8の外径を
若干小さくしておくと、嵌合部5は孔3に対して若干上
下に動くことができるから、この二段階による嵌め込み
が一層スムーズになる。尚、このようにしたとしても、
パネル1を剛体前壁9a及び弾性体前壁9bと後壁10
とで弾性挟着するのであるから、シール性は確保される
し、必要なら、嵌合部5(後壁10)の外周にパネル1
に押圧するリップ14を形成してもよい。このリップ1
4は、1枚でもよいが、3枚程度設けると、シール性は
より完全になる。
【0018】図5は本発明の第二を示すカバー15を孔
3へ装着した状態の断面図、図6はカバー15の正面図
であるが、本発明の第二は、溝16の前後を構成する前
壁17と後壁18を共に弾性体で構成するとともに、前
壁17の前部に全周に亘って最小径が孔3の径よりも小
さい前方ほど径小となったテーパ部17aを形成したも
のである。
【0019】加えて、本例のものは、溝16の底部にも
弾性体の底壁19を設けており、この底壁19の内周を
溝16の前方のテーパ部17aから後壁18の後方へか
けて通される剛体20を存在させたものである。そし
て、この剛体20が、底壁19の内周に存在するものは
筒体20aであり、後壁18の後方に存在するものは鍔
20bである鍔付き筒体20で構成され、鍔20bの後
方に、鍔付き筒体20の前端が後壁15の後壁面15a
に当接する範囲で後退できる空間21を形成したもので
ある。
【0020】このカバー15の孔3への装着及びそのと
きにテーパ部17aが弾性変形してパネル1に対する通
過を許容し、通過後は復帰してその前壁17と後壁18
とでパネル1を弾性挟着する点も上記と同じであるが、
只、テーパ部17aの孔3への引き込みは、手を孔3へ
突っ込んで鍔付き筒体20の鍔20bの後面にあてが
い、これを手前へ引き寄せることで溝16へ挿入するも
のである。この場合、手による挿入は部分的に行って全
周を嵌め込むことになるが、両手を用いて二カ所同時に
行えば、その作業がやり易くて早い。
【0021】このとき、底壁19の内周側に存在する剛
体の筒体20aは、テーパ部17aの過度の径小変形を
抑える作用があり、鍔20bは、後壁18を確実に押す
作用がある。そして、空間21の存在は、手による鍔2
0bの後面へのあてがいを容易にする。又、カバー15
を孔3へ装着するときには、鍔付き筒体20が確実に前
進位置に存在している必要があるから、筒体20aの外
周とこれに対応するテーパ部17aの内周とに相互に嵌
合する凹凸22を全周に亘って設けている。この凹凸2
2は、全周均一でもよいし、最初に嵌め合う部分は大き
く、後に嵌め合う部分は小さく、といったようにしても
よい。
【0022】以上のようにして孔3のパネル1に嵌合部
5の溝16の全周が嵌め込まれると、鍔付き筒体20を
その筒体20aの前端が後壁18の後壁面18aに当接
するまで空間21の向こう側に押し付けると装着は完了
する。本例のものは、パネル1を共に弾性体の前壁17
と後壁18及び底壁19とで弾性挟着するものであるか
ら、シール性が向上するとともに、鍔付き筒体20の向
こうへの押しやりによって、シール性を一層高めるとと
もに、嵌合部5の張りも保たれ、形状維持性にも優れる
ものとなる。
【0023】図7は鍔付き筒体20の他の例を示す要部
断面図であるが、本例のものは、鍔20bの付け根を径
小にするとともに、これに対応する後壁18の後壁面1
8aの部分も径小にしたものである。これによると、鍔
付き筒体20を向こう側へ押しやったとき、筒体20a
の前端は後壁面18aと重合するから、鍔付き筒体20
が後壁18から外れて前方へ移動しない利点がある。
【0024】
【発明の効果】以上、本発明の第一によると、孔外周の
パネルへの挟着は、一部では剛体の前壁と弾性体の後壁
となり、他部では弾性体同士の前壁と後壁とになるか
ら、剛体による挿入時の滑りの良さや変形が抑制される
ものとなるとともに、弾性体同士による弾性挟着に基づ
くシール性に優れるものとなる。一方、第二によると、
パネルへの挟着が弾性体同士になってシール性が向上す
るとともに、装着作業の容易性も確保されるものとな
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の一例を示すカバーを孔へ装着し
た状態の断面図である。
【図2】本発明の第一の一例を示すカバーの正面図であ
る。
【図3】本発明の第一の一例を示すカバーの斜視図であ
る。
【図4】本発明の第一の一例を示す孔へカバーを装着す
るときの要部断面図である。
【図5】本発明の第二の一例を示すカバーを孔へ装着し
た状態の断面図である。
【図6】本発明の第二の一例を示すカバーの正面図であ
る。
【図7】本発明の第二の他の一例を示すカバーを孔へ装
着した状態の要部断面図である。
【符号の説明】
1 パネル 3 孔 5 嵌合部 8 溝 9 前壁 9a 剛体前壁 9b 弾性体前壁 10 後壁 11 舌片 12 テーパ部 16 溝 17 前壁 17a テーパ部 18 後壁 18a 後壁面 19 底壁 20 剛体(鍔付き筒体) 20a 筒体 20b 鍔 21 空間

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 パネルに形成された孔に外周に溝を形成
    した弾性体の嵌合部を一方向から内嵌めして溝の前壁と
    後壁とで孔外周のパネルを挟着して孔を覆うパネル孔用
    カバーにおいて、前壁の一部を剛体で構成してこの剛体
    前壁の前部に先端が孔に入り込む一定幅の舌片を突設す
    るとともに、弾性体前壁の前部に最小径が孔の径よりも
    小さい前方ほど径小となったテーパ部を形成したことを
    特徴とするパネル孔用カバー。
  2. 【請求項2】 剛体前壁と弾性体前壁とがそれぞれ孔の
    半周弱に亘って形成されるものであり、孔への装着時、
    剛体前壁が上方に位置するものである請求項1のパネル
    孔用カバー。
  3. 【請求項3】 剛体前壁と弾性体前壁との境界部分を欠
    落させた請求項1又は2のパネル孔用カバー。
  4. 【請求項4】 パネルに形成された孔に外周に溝を形成
    した弾性体の嵌合部を一方向から内嵌めして溝の前壁と
    後壁とで孔外周のパネルを挟着して孔を覆うパネル孔用
    カバーにおいて、前壁の前部に最小径が孔の径よりも小
    さい前方ほど径小となったテーパ部を形成するととも
    に、溝の底部にも弾性体の底壁を設け、少なくともこの
    底壁の内周と後壁の後部とに亘って剛体を存在させたこ
    とを特徴とするパネル孔用カバー。
  5. 【請求項5】 剛体が、底壁の内周に存在するものは筒
    体であり、後壁の後部に存在するものは鍔である鍔付き
    筒体で構成され、鍔の後方に、鍔付き筒体の前端が後壁
    の後壁面に当接する範囲で後退できる空間を形成した請
    求項4のパネル孔用カバー。
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