JP2003192996A - 水性被覆組成物 - Google Patents

水性被覆組成物

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JP2003192996A
JP2003192996A JP2001394475A JP2001394475A JP2003192996A JP 2003192996 A JP2003192996 A JP 2003192996A JP 2001394475 A JP2001394475 A JP 2001394475A JP 2001394475 A JP2001394475 A JP 2001394475A JP 2003192996 A JP2003192996 A JP 2003192996A
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Kotaro Terayama
光太郎 寺山
Tokio Goto
時夫 後藤
Hideaki Kawahara
英昭 河原
Chinami Fukushima
千浪 福島
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 二液配合後経時的に増粘、ゲル化することに
より、ポットライフの経過を認識でき、架橋反応性が失
活した配合物の塗装の未然防止が可能であり、かつ耐久
性、付着性等に優れた塗膜が得られる水性被覆組成物を
提供すること。 【解決手段】 固形分水酸基価20〜120の水酸基含
有樹脂エマルジョンとポリカルボン酸系増粘剤を含んで
なる塗料組成物と、水分散性を有するポリイソシアネー
トとを配合してなる水性二液塗料配合物で、二液配合後
20℃の雰囲気下で8時間以内に、配合物の粘度(BM
型粘度計、60回転)が配合直後の値の5倍以上に増粘
もしくはゲル化することを特徴とする水性被覆組成物。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、特定の範囲の水酸
基価を有する樹脂エマルジョンとポリカルボン酸系増粘
剤を含む塗料組成物と、水分散性を有するポリイソシア
ネートを配合してなる水性二液塗料配合物で、二液混合
後経時で増粘、もしくはゲル化することにより、ポット
ライフが過ぎたことを認識できる、つまり架橋反応性が
失活したものの塗装を未然に防止しうる耐久性や付着性
等の塗膜物性に優れる水性被覆剤に関する。
【0002】
【従来の技術及び課題】従来、樹脂エマルジョンをバイ
ンダー成分としてなるエマルジョン塗料は、塗装作業性
や運搬、保存が簡便であることから、建築内外装・床等
の主にセメント、珪酸カルシウム板等のアルカリ性無機
硬化体を主体とする建築塗料、機械、機械部品、自動車
等の金属保護塗装、家具、ガーデニング用部材等の木質
板塗装剤に多用されている。
【0003】一般に溶剤系ポリオールとイソシアネート
とからなる二液塗料配合物は、二液配合後徐々に架橋反
応が進行することから、配合後一定時間以上経過すると
塗膜化した際に十分な塗膜性能が得られないことが知ら
れている。すなわち、十分な塗膜性能を得るためには、
配合後一定時間内に当該二液塗料配合物を使用して塗膜
化する必要があり、この二液塗料配合物の使用可能時間
は、「ポットライフ」といわれている。従来の溶剤系ポ
リオールとイソシアネートとからなる二液塗料配合物の
場合には、この「ポットライフ」を経過したものは、流
動性が殆ど無く、塗膜化できない状態となるため、塗膜
物性に劣った塗料の使用を未然に防止することができ
た。
【0004】これに対して、一般の水性二液塗料配合物
は、二液混合後に塗料配合物中で水分散性を有するポリ
イソシアネートが分散状態を保ったまま、イソシアネー
ト基が塗料中の水等と徐々に反応して失活するために、
ポットライフを経過しても二液塗料配合物が増粘せず、
外観上配合時と殆ど相違しないことから、ポットライフ
を経過した塗料配合物を使用してしまうということが、
産業界の実状として見受けられる。当然この場合には、
ポットライフが経過する前に塗装した皮膜と比較して、
ポットライフを過ぎた二液塗料配合物を使用した塗装皮
膜は架橋反応性が低下するために、耐久性や付着性等の
塗膜物性が劣ったものとなってしまう。
【0005】ポットライフをゲル化により可視化する方
法として、例えば公開特許公報平成11−57790に
おいて、水酸基等のイソシアネートと反応しうる基を含
有する樹脂エマルジョン、当該樹脂エマルジョンと分散
状態では融着し難い水酸基等のイソシアネートと反応し
うる基を含有する樹脂エマルジョン、及びイソシアネー
ト基を含有する架橋剤とからなる三成分系で、それらの
架橋反応によりゲル化せさて可視化する方法が提案され
ている。しかしながら、この場合、構成成分が多くなり
得られる架橋塗膜の耐久性を上げるためには、塗膜の均
一性や相溶性に留意する必要があり、簡便でかつ広範囲
に適応できるものではない。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明が解決しようと
する課題は、二液配合後経時的に増粘もしくはゲル化す
ることにより、ポットライフが過ぎたことを認識でき、
架橋反応性が失活した配合物の塗装の未然防止が可能で
あり、しかも二液塗料配合物の増粘もしくはゲル化時間
を簡便に調整可能であり、さらに耐久性や付着性等に優
れた塗膜が得られる水性被覆組成物を提供することにあ
る。
【0007】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは、
上述の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の範囲
の水酸基価を有する樹脂エマルジョンとポリカルボン酸
系増粘剤を含んでなる塗料組成物と、水分散性を有する
ポリイソシアネートを特定比率で配合してなる水性二液
塗料配合物で、二液配合後20℃の雰囲気下で8時間以
内に、配合物の粘度(60回転の条件でBM型粘度計を
用いて得られた測定値、)が配合直後の値の5倍以上に
増粘、もしくはゲル化することで架橋反応性が失活した
ことを容易に認識でき、ポットライフを過ぎた塗料の使
用を未然に防止することができることを見出し、本発明
を完成するに至った。
【0008】ここで、ゲル化というのは、増粘の程度が
著しく、流動性が殆ど無い状態となることを意味してお
り、上記のBM型粘度計では計測不能であり、また計測
せずとも、一見してゲル化したことは認識可能である。
【0009】本発明は、固形分水酸基価20〜120の
水酸基を含有する価含有樹脂エマルジョン(A)とポリ
カルボン酸系増粘剤(B)を含んでなる塗料組成物と、
水分散性を有するポリイソシアネート(C)を配合して
なる水性二液塗料配合物で、二液配合後20℃の雰囲気
下で8時間以内に、配合物の粘度(BM型粘度計、60
回転)が配合直後の値の5倍以上に増粘もしくはゲル化
することを特徴とする水性被覆組成物、を提供するもの
である。
【0010】
【発明の実態の形態】以下に、本発明をより詳細に説明
する。まず本発明で使用する水酸基含有樹脂エマルジョ
ン(A)は、公知の重合樹脂、重付加樹脂、または重縮
合樹脂、たとえばポリアクリレート樹脂、ポリウレタン
樹脂及びポリエステル樹脂などで、水酸基を含有する樹
脂のエマルジョンである。それらの中でも、耐候性等の
塗膜性能を考慮すると水酸基を含有するアクリル樹脂エ
マルジョンが好適である。
【0011】上記の水酸基を含有するアクリル樹脂エマ
ルジョンは、水酸基含有不飽和単量体、酸基含有不飽和
単量体、及び、その他共重合可能な不飽和単量体を含ん
だ単量体混合物を、乳化剤の存在下で乳化重合させるこ
とにより得られる。
【0012】上記の水酸基含有不飽和単量体として具体
例を示せば、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アク
リレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレー
ト、3−ヒドキシプロピル(メタ)アクリレート、2−
ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキ
シブチル(メタ)アクリレート、メチル(2−ヒドロキ
シメチル)アクリレート、エチル(2−ヒドロキシメチ
ル)アクリレート、ブチル(2−ヒドロキシメチル)ア
クリレート、(4−ヒドロキシメチルシクロヘキシル)
メチル(メタ)アクリレート、グリセリンモノ(メタ)
アクリレート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル
2−ヒドロキシプロピルフタレート、2−ヒドロキシ−
3−フェノキシプロピル(メタ)アクリレートの如き水
酸基を含有する(メタ)アクリル酸エステル類;
【0013】アリルアルコール、2−ヒドロキシエチル
アリルエーテルの如き水酸基を含有するアリル化合物;
2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、4−ヒドロキシ
ブチルビニルエーテル、6−ヒドロキシヘキシルビニル
エーテルの如き水酸基を含有するビニルエーテル化合
物;N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−メチ
ロールクロトン酸アミドの如き水酸基を有する不飽和カ
ルボン酸アミド化合物;リシノール酸等の水酸基含有不
飽和脂肪酸類;リシノール酸アルキル等の水酸基含有不
飽和脂肪酸エステル類;水酸基含有モノマーをエチレン
オキサイドやプロピレンオキサイドの如きアルキレンオ
キサイドと付加反応せしめて得られるモノマー等が挙げ
られる。
【0014】また、上記した酸基含有不飽和単量体とし
ては、(メタ)アクリル酸、2−カルボキシエチルアク
リレート、クロトン酸、ビニル酢酸、アジピン酸モノビ
ニル、セバシン酸モノビニル、イタコン酸モノメチル、
マレイン酸モノメチル、フマル酸モノメチル、コハク酸
モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、フタ
ル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイルオキシエチル〕、
ヘキサヒドロフタル酸モノ〔2−(メタ)アクリロイル
オキシエチル〕、ソルビン酸の如き不飽和モノカルボン
酸類;イタコン酸、マレイン酸、フマル酸の如き不飽和
ジカルボン酸等が挙げられる。そして、これらは単独で
使用してもよいし、二種類以上を併用してもよい。
【0015】また、上記したその他共重合可能な単量体
は、得られる乳化重合体皮膜の強伸度や極性の調整のた
めに選択使用される。例えば(メタ)アクリル酸メチ
ル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸n
−ブチル、(メタ)アクリル酸i−ブチル、(メタ)ア
クリル酸t−ブチル、(メタ)アクリル酸シクロヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)
アクリル酸ラウリル等の(メタ)アクリル酸エステル
類;酢酸ビニル、塩化ビニル等のビニル化合物;スチレ
ン、ビニルトルエン等の芳香族ビニル化合物;
【0016】(メタ)アクリルアマイド、アミノプロピ
ルメタクリルアミド、モノメチルアクリルアミド、モノ
エチルアクリルアミド、ジエチロールアミノプロピルア
クリルアミド、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレー
ト、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の官能
基含有モノマー類;
【0017】ジビニルベンゼン、エチレングリコールジ
メタクリレート、1,3−ブチレンジメタクリレート、
トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロ
ールプロパントリメタクリレート、ジアリルフタレー
ト、トリアリルシアヌレート等の架橋モノマー類:ビニ
ルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビ
ニルトリス(β−メトキシエトキシ)シラン、γ−メタ
アクリルオキシプロピルトリメトキシシラン等のシラン
含有モノマー類が挙げら、これらは1種、または2種以
上適宜選択して使用できる。
【0018】次に使用する乳化剤について述べる。公知
慣用のアニオン乳化剤、カチオン乳化剤、ノニオン乳化
剤、反応性乳化剤類の使用が可能であるが通常アニオン
乳化剤、ノニオン乳化剤、及び必要に応じ反応性乳化剤
を組み合わせて使用する。全乳化剤の使用量は得られる
塗膜の耐久性を勘案し、全単量体100重量部に対し4
重量%未満、更に好ましくは3重量%未満が良い。
【0019】その他重合開始剤、反応方法等は特に制限
はなく公知慣用の物質と手段が使用できる。得られる樹
脂エマルジョンのTgは特に制限はないものの、得られ
る塗膜の耐久性を考慮して示差熱天秤によるTgが−4
0℃〜40℃の範囲のものが好ましい。また乳化重合体
の固形分は特に制限はないものの、得られる被覆組成物
の乾燥性、塗装作業性を考慮して、30〜65%の範囲
が好ましく、40〜55%の範囲が更に好ましい。
【0020】本発明で使用する、水酸基含有樹脂エマル
ジョンの固形分水酸基価は20〜120の範囲内である
ことが好ましい。この範囲内であれば、得られる塗膜の
架橋密度が十分で、優れた塗膜の耐久性が得られるし、
また、架橋塗膜中に未反応の水酸基が残存し、塗膜の耐
水性が低下してしまうというような不具合も生じない。
かかる観点から、さらに固形分水酸基価30〜90の範
囲がより好ましい。
【0021】本発明で使用するポリカルボン酸系増粘剤
(B)として具体例としては、(メタ)アクリル酸、ク
ロトン酸、イタコン酸、マレイン酸、フマル酸等のカル
ボキシル基含有エチレン性不飽和単量体とメチル(メ
タ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、スチ
レン等その他のエチレン性不飽和単量体との共重合体等
が挙げられる。
【0022】ここで使用するポリカルボン酸系増粘剤
(B)の形状は特に制限されるものではなく、エマルジ
ョン、水溶液、粉末、ゲル状の何れでも使用できる。一
般的に増粘剤は塗料配合物を増粘させて塗装作業性を向
上させる為に使用され、樹脂や添加剤種類、及び塗装濃
度により生じた粘度差を使用しやすい粘度まで調整する
ために使用される。
【0023】本発明で使用するポリカルボン酸系増粘剤
(B)は、水酸基含有樹脂エマルジョン(A)と水分散
性を有するポリイソシアネート(C)と共に使用するも
ので、二液塗料配合物を増粘もしくはゲル化させるため
の促進剤として必須の成分である。このポリカルボン酸
系増粘剤に代えて、セルロース系増粘剤、ポリエーテル
系増粘剤又は無機系増粘剤を使用しても、ポリカルボン
酸系増粘剤のように二液塗料配合物を増粘若しくはゲル
化させるための促進剤として効果は少ない。該ポリカル
ボン酸系増粘剤の酸価は特に制限されるものではない
が、増粘性や作業性の面から固形分酸価は150〜40
0の範囲内であることが好ましい。
【0024】本発明で使用する水分散性を有するポリイ
ソシアネート(C)とは、公知のポリイシアネートを変
成して水分散性を付与したものである。このポリイソシ
アネートとしては、例えばテトラエチレンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリメチルヘ
キサメチレンジイソシアネート、イソホロンジイソシア
ネート、キシレンジイソシアネート、水添キシレンジイ
ソシアネート等のイソシアネート類から得られる、分子
内にビュレット、イソシアヌレート、ウレタン、ウレト
ジオン、アロファネート構造を有するものが好ましい。
また、上記のイソシアネート類の中でも、得られる架橋
塗膜の耐候性を考慮すると脂肪族、脂環族のイソシアネ
ート類が好ましい。
【0025】上記のポリイソシアネートに水分散性を与
える方法としては、使用直前に乳化剤を加える方法、ポ
リエチレングリコールを用いて変成する方法(公開特許
公報平成11−131016)、或いは水溶性樹脂を用
いて変性する方法等を採用することができる。
【0026】水分散性を有するポリイソシアネート
(C)の、水酸基含有樹脂エマルジョン(A)及びポリ
カルボン酸系増粘剤(B)を含んでなる塗料組成物への
添加方法は、予め水で分散してから加えても良く、分散
性が良好なものであれば直接混合しても良い。
【0027】本発明の水性被覆組成物中における水分散
性を有するポリイソシアネート(C)の配合比率として
は、水分散性を有するポリイソシアネート(C)中のイ
ソシアネート基に対する水酸基含有樹脂エマルジョン
(A)中の水酸基の含有比率が0.2〜2.0当量の範
囲となるようにすることが好ましく、より好ましくは
0.8〜1.5当量の範囲内、さらに1.0〜1.3当
量の範囲内が特に好ましい。
【0028】この範囲内であれば、耐候性及び耐水性に
優れた塗膜を得ることが可能であり、例えば、架橋反応
が充分進行せず、乳化重合体の水酸基が塗膜中に多量に
残存し塗膜の耐候性、耐水性が低下するようなことはな
く、また、塗膜中にイソシアネート基が多量に残存し、
空気中の水蒸気と副反応を起こし、塗膜の耐候性、耐水
性が低下するような不具合も生じない。
【0029】本発明で使用するポリカルボン酸系増粘剤
(B)好ましい配合量は、水性二液塗料配合物中の水酸
基含有樹脂エマルジョン(A)に対し、固形分比0.0
5〜5%の範囲である。
【0030】この範囲内であれば、本発明の効果が十分
に発揮され、水性二液塗料配合物の増粘性が低下するこ
とにより、20℃の雰囲気下で8時間以内に二液塗料配
合物の増粘、もしくはゲル化が促進されにくくなるとい
った不具合はなく、ポットライフを過ぎた塗料を使用し
てしまい所望の塗膜性能が発揮され難くなるという問題
を回避することが可能となる。さらに、得られる架橋塗
膜の親水性が高くなりすぎ、耐水性が低下するという不
具合も生じない。また該ポリカルボン酸系増粘剤(B)
は、水性二液塗料配合物中で単独、もしくはセルロース
系、エーテル系などのポリカルボン酸系増粘剤以外の増
粘剤と併用してもよい。
【0031】すでに述べたように、本発明は、水性二液
塗料配合物において、特定の範囲の水酸基価を有する水
酸基含有樹脂エマルジョンとポリカルボン酸系増粘剤を
組み合わせることにより、二液配合後ポットライフを経
過したことを、容易に認識できるようにしたことに特徴
を有するものである。一般的に、水酸基含有樹脂エマル
ジョンとポリイソシアネートとを使用した水性二液塗料
配合物で塗料化を行う際には、増粘剤としてポリエーテ
ル系増粘剤やセルロース系増粘剤が使用されるが、ゲル
化の早いポリカルボン酸系増粘剤は回避される場合が多
い。
【0032】しかし、本発明では、このポリカルボン酸
系増粘剤を使用し、これと特定の範囲の水酸基価を有す
る水酸基含有樹脂エマルジョンとを含んでなる塗料組成
物と、水分散性を有するポリイソシアネートとを配合し
て水性二液塗料配合物として塗装を行うが、この二液塗
料配合物は配合後8時間以内で増粘もしくはゲル化す
る。 この時間は一般的に、常温で水中のポリイソシア
ネートが失活する時間であり、一方、一般的な塗装を行
うには充分な時間である。
【0033】また、二液塗料配合物の粘度(60回転の
条件でBM型粘度計を用いて得られる測定値)が、20
℃の雰囲気下で少なくとも二液塗料配合直後の粘度の値
が5倍以上になると、容易に増粘が認識できるようにな
るばかりか、実際の塗装もそのままでは不可能になるの
で、ポットライフを過ぎた塗料の使用を未然に防止する
ことができる。
【0034】また、水酸基含有樹脂エマルジョンとポリ
カルボン酸系増粘剤の種類及び配合比を適宜工夫するこ
とにより、二液塗料配合直後の粘度値の5倍以上増粘す
る、もしくはゲル化する時間を調整することが可能とな
る。もちろん、温度条件によっても増粘、もしくはゲル
化の時間は変化し、20℃未満の場合、時間は遅延さ
れ、逆に20℃を越える場合には短縮される。
【0035】本発明の水性被覆組成物が塗装される基材
としては、公知慣用の種々のものが使用されるが、それ
らのうちでも特に代表的なものとしては、各種の金属基
材、無機質基材、プラスチック基材、紙、合成繊維、天
然繊維、ガラス転移等の無機繊維、布、合成皮革、天然
皮革、木質系基材等が挙げられる。
【0036】かかる各種の基材のうち、金属基材の代表
的なものとしては、鉄、ニッケル、アルミニウム、クロ
ム、亜鉛、錫、銅または鉛等の金属;ステンレススチー
ルもしくは真鍮の如き、前掲した各種金属の合金;前掲
したような各種の金属あるいは合金であって、メッキや
化成処理などが施された各種の表面処理金属が挙げられ
る。
【0037】また、無機質基材とは、珪酸カルシウム、
アルミン酸カルシウム、硫酸カルシウム、酸化カルシウ
ムの如きカルシウム化合物から製造される硬化体;アル
ミナ、シリカ、ジルコニアの如き金属酸化物を焼結して
得られるセラミック;各種の粘土鉱物を焼結して得られ
るタイル類;各種のガラス等が挙げられる。そして、カ
ルシウム化合物から製造される硬化体の代表的なものと
しては、コンクリートやモルタルの如きセメント組成物
の硬化物、石綿スレート、軽量気泡コンクリート(AL
C)硬化体、ドロマイトプラスター硬化体、石膏プラス
ター硬化体、珪酸カルシウム板等が挙げられる。
【0038】プラスチックの基材の代表的なものとして
は、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタ
クリレート、ABS樹脂、ポリフェニレンオキサイド、
ポリウレタン、ポリエチレン、ポリ塩化ビニル、ポリプ
ロピレン、ポリブチレンテレフタレートもしくはポリエ
チレンテレフタレートの如き、熱可塑性樹脂の成形品;
不飽和ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、架橋型ポリ
ウレタン、架橋型のアクリル樹脂もしくは架橋型の飽和
ポリエステル樹脂の如き、各種の熱硬化性樹脂の成形品
が挙げられる。
【0039】また、前掲したような各種の基材であっ
て、予め被覆が施された基材類、あるいは、当該被覆が
施された基材類であって、しかも、その被覆部分の劣化
が進んだような基材も使用することができる。
【0040】こうした種々の基材は、用途に応じて、そ
れぞれ、板状、球状、フィルム状、シート状、大型の構
築物、複雑なる形状の組立物等の各種の形状で使用され
るものであって特に制限はない。
【0041】そして、本発明の水性被覆組成物を上述し
た如き基材に、刷毛塗り、ローラー塗装、スプレー塗
装、浸漬塗装、フロー・コーター塗装、ロール・コータ
ー塗装の如き公知慣用の塗装方法で塗装し、次いで、常
温に1〜10日間程度放置したり、塗装板温約40〜約
200℃なる温度範囲で、約30秒〜2時間程度、加熱
したりすることによって、外観、耐水性等に優れる硬化
塗膜を得ることができる。
【0042】さらに、本発明の水性被覆組成物は、塗料
以外の用途として、接着剤、インキ、防水材、シーリン
グ剤、接着剤、天然繊維、合繊繊維、ガラス繊維の如き
各種繊維や紙の含浸処理剤等の各種用途にも有効に利用
できるものである。
【0043】
【実施例】次に参考例、実施例および比較例により本発
明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定される
ものではない。なお文中の部、および%は、特に断りの
ない限り全て重量基準である。
【0044】〔参考例1〕 〔水酸基含有樹脂エマルジョン(A−1)の調製〕ハイ
テノールN−08」〔第一工業製薬(株)製のアニオン
性乳化剤〕 5部、「エマルゲン931」〔花王(株)
製のノニオン性乳化剤〕 5部、イオン交換水 270
部を仕込み、窒素気流下に80℃に昇温した後、過硫酸
アンモニウム 0.8部をイオン交換水 16部に溶解
せしめた水溶液を投入する。さらに、ブチルアクリレー
ト(以下、BAと省略する) 360部、メチルメタク
リレート(以下、MMAと省略する) 550部、 ア
クリル酸(以下、AAと省略する) 20部、2−ヒド
ロキシエチルメタクリレート(以下、2−HEMAと省
略する) 70部からなる混合液を、3時間かけて滴下
した。滴下後、2時間反応せしめた後、25℃まで冷却
し、28%アンモニア水 1.5部で中和せしめ、不揮
発分 50%、固形分水酸基価 30mgKOH/gな
る水酸基含有アクリル樹脂エマルジョンを得た。
【0045】〔参考例2〜参考例5〕 〔水酸基含有樹脂エマルジョン(A−2)〜(A−5)
の調製〕上記同様の反応により、第1表に示す、不揮発
分50%の水酸基含有アクリル樹脂エマルジョン〔(A
−2)〜(A−5)〕を得た。
【0046】
【表1】
【0047】〔水分散性を有するポリイソシアネートの
配合〕水分散性を有するポリイソシアネートとしては、
アクアネートAQ−100(日本ポリウレタン工業社製
の水分散性ポリイソシアネート、有効成分100%、N
CO含有率17%)を用い、所望のイソシアネート基と
水酸基の当量比(NCO/OH比と略記する)になるよ
うにポリイソシアネート配合量を算出し、添加攪拌して
各種試験に供した。
【0048】〔実施例1〜実施例6、及び比較例1〜比
較例7〕 〔水性塗料の作成〕上記調整例で得た樹脂エマルジョン
に下記に示すポリカルボン酸系増粘剤(B−1〜B−
4)を配合し(第2表)、更に上記の水分散性ポリイソ
シアネート(アクアネートAQ−100)を配合し、攪
拌して水性のベース塗料を得た。得られた各水性塗料を
塗膜性能試験に供した。結果を第3表に示す。
【0049】
【表2】
【0050】注1)ボンコート3750:ポリカルボン
酸系増粘剤[大日本インキ化学工業]、23%品を10
%に希釈して使用 注2)アロンA−30:ポリカルボン酸系増粘剤[東亜
合成]、30%品を10%に希釈して使用 注3)UH−420:エーテル系増粘剤[旭電化工
業]、30%品を10%に希釈して使用 注4)QP−4400H:セルロース系増粘剤[UC
C]、100%品を5%に希釈して使用 注5)SN−373:消泡剤[サンノプコ]、100%
品を10%に希釈して使用
【0051】
【表3】
【0052】
【表4】
【0053】
【表5】
【0054】
【表6】
【0055】
【表7】
【0056】
【表8】
【0057】《第3表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。 「粘度」;塗料をBM型粘度計にて20℃の雰囲気下で
60rpm粘度を測定したものである。単位は[mPa
・s]。
【0058】「塗料状態」;ベース塗料に水分散イソシ
アネートを配合して、経時時間毎の塗料の状態を目視評
価したものである。その際の評価基準は次の通りであ
る。 ○:流動性があり、配合初期と大きな粘度変化はない △:流動性がなくなりつつあり、配合初期との粘度変化
が感じ取れる ×:流動性がなくなり、配合初期との粘度変化が大きい
【0059】「耐水性」;ガラス板上に作成した塗膜を
脱イオン水に20℃で96時間浸漬し、塗膜の外観を評
価した。その際の評価基準は次の通りである。 塗膜の白化の評価基準 ○:白化小 △:白化中 ×:白化大
【0060】〔実施例7〜実施例9、及び比較例8〜比
較例13〕これらの実施例では、樹脂エマルジョンとポ
リカルボン酸系増粘剤及び水分散性を有するポリイソシ
アネートからなる白色塗料についての実施例を示す。こ
こに於いて使用した樹脂エマルジョン、ポリカルボン酸
系増粘剤および水分散性ポリイソシアネートの調整方法
と、樹脂エマルジョン、ポリカルボン酸系増粘剤および
水分散性を有するポリイソシアネートから白色塗料を得
る際に使用した塗料主剤成分の調製方法を第4表に示し
た。
【0061】
【表9】
【0062】また上記のベース塗料(白)の調製で使用
したポリカルボン酸系増粘剤として使用したボンコート
3750(B−1)、アロンA−30(B−2)を使用
して第5表に示す配合量にて下記のベース塗料(白)の
調整を行った。
【0063】
【表10】
【0064】
【表11】
【0065】〔実施例7〜実施例9〕 [水性塗料(白)の調製]第6表に記載した通りの比率
で、ベース塗料(白)と水分散ポリイソシアネートを混
合して、不揮発分が55%なる各水性塗料を調製した。
【0066】かくして得られた水性塗料それぞれを、調
製直後に乾燥膜厚が70μmとなるようにエアースプレ
ー法でスレート板上に塗膜を作成した。ついで、温度2
0℃、湿度60%RHの雰囲気下で1週間乾燥せしめ
た。得られた各硬化塗膜について、光沢、耐水性を評価
した。評価結果を第6表に示した。
【0067】〔比較例8〜比較例13〕第5表に示した
各成分を同表に記載した比率で混合して比較用の水性塗
料を調製した。こうして得られた比較用の水性塗料を実
施例と同様にして、調製直後にスレート板上に乾燥膜厚
が70μmとなるようにスプレー塗装せしめ、同実施例
と同様に乾燥せしめて硬化塗膜を調製した。得られた各
硬化塗膜について、粘度、塗料状態、耐水性、光沢を評
価した。評価結果を第6表に示した。
【0068】
【表12】
【0069】
【表13】
【0070】《第6表の脚注》原料類の使用割合を示す
各数値は、いずれも、重量部数であるものとする。 「粘度」;塗料をストマー粘度計にて20℃雰囲気下で
の粘度を測定したものである。単位は[mPa・s]。
【0071】「塗料状態」;ベース塗料(白)に水分散
イソシアネートを配合して、経時時間毎の塗料の状態を
目視評価したものである。その際の評価基準は次の通り
である。 ○:流動性があり、配合初期と大きな粘度変化はない △:流動性がなくなりつつあり、配合初期との粘度変化
が感じ取れる ×:流動性がなくなり、配合初期との粘度変化が大きい
【0072】「光沢」;塗膜の60度鏡面反射率[%]
なる光沢値で、塗膜の外観を評価したものである。 「耐水性」;各水性塗料を塗装せしめたスレート板を脱
イオン水に20℃で96時間浸漬した後の塗膜の光沢保
持率と膨れの状態を評価した。塗膜の膨れは実施例9〜
19と同様の評価基準でもって目視評価した。光沢保持
率は下式により算出した。 光沢保持率[%]=(イオン交換水浸漬後の光沢値/イ
オン交換水浸漬前の光沢値)×100
【0073】
【発明の効果】本発明によれば、二液塗料配合物が増粘
もしくはゲル化することにより、ポットライフの経過を
認識出来ることから、ポットライフを経過した二液塗料
配合物を誤って塗装し、本来有する耐久性や付着性等の
塗膜物性が得られないといった不具合が生じることがな
く、常に安定した塗膜物性が得られる水性被覆組成物を
提供することができる。
【手続補正書】
【提出日】平成14年1月18日(2002.1.1
8)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0005
【補正方法】変更
【補正内容】
【0005】ポットライフをゲル化により可視化する方
法として、例えば特願平11−57790において、水
酸基等のイソシアネートと反応しうる基を含有する樹脂
エマルジョン、当該樹脂エマルジョンと分散状態では融
着し難い水酸基等のイソシアネートと反応しうる基を含
有する樹脂エマルジョン、及びイソシアネート基を含有
する架橋剤とからなる三成分系で、それらの架橋反応に
よりゲル化せさて可視化する方法が提案されている。し
かしながら、この場合、構成成分が多くなり得られる架
橋塗膜の耐久性を上げるためには、塗膜の均一性や相溶
性に留意する必要があり、簡便でかつ広範囲に適応でき
るものではない。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福島 千浪 大阪府岸和田市八幡町1−7−207 Fターム(参考) 4J038 CG012 CG062 DG262 GA03 MA08 MA10

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 固形分水酸基価20〜120の水酸基含
    有樹脂エマルジョン(A)とポリカルボン酸系増粘剤
    (B)を含んでなる塗料組成物と、水分散性を有するポ
    リイソシアネート(C)を配合してなる水性二液塗料配
    合物で、二液配合後20℃の雰囲気下で8時間以内に、
    配合物の粘度(BM型粘度計、60回転)が配合直後の
    値の5倍以上に増粘もしくはゲル化することを特徴とす
    る水性被覆組成物。
  2. 【請求項2】 水分散性を有するポリイソシアネート
    (C)中のイソシアネート基に対する樹脂エマルジョン
    (A)中の水酸基の含有比率が、0.2〜2.0当量の
    範囲である請求項1記載の水性被覆組成物。
  3. 【請求項3】 水性被覆組成物中におけるポリカルボン
    酸系増粘剤(B)の含有量が、樹脂エマルジョン(A)
    に対する固形分比で0.05〜5wt%の範囲である請
    求項1又は2に記載の水性被覆組成物。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN113136135A (zh) * 2021-04-16 2021-07-20 广东金涂宝新材料股份有限公司 一种双组份聚氨酯自消光绒感罩面涂料及其制备方法

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