JP2003192397A - 紫外線伝送用光ファイバおよびその製造方法 - Google Patents
紫外線伝送用光ファイバおよびその製造方法Info
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Abstract
イバを提供する。 【解決手段】 本発明の紫外線伝送用光ファイバは、中
心から順に、(a)光ファイバ本体2、(b)水素保持
層3、(c)水素遮断層4を有する紫外線伝送用光ファ
イバFである。本発明においては、光ファイバ本体2自
体の水素含有量を少なくすることで、光ファイバ本体2
のケイ素と水素との結合を少なくし、該結合が切れた場
合に、水素保持層3から水素が供給されて、該結合を再
生し得る。また、水素遮断層4の存在により、水素保持
層3から水素が散逸するのを防いで水素が効率的に光フ
ァイバ本体2へ供給され得るので、紫外線劣化の原因と
なるE’センターを低減して、紫外線劣化を抑制し得
る。
Description
イバ(以下、単に「光ファイバ」ともいう)およびその
製造方法に関する。
ターンを形成するためのステッパなどには、より高い解
像度でより微細な描画を行なうことが求められている。
そのため、より短い波長の紫外線レーザー光を照射する
ことが必要となり、レーザー光源として、KrFエキシ
マレーザー装置(波長248nm)、ArFエキシマレ
ーザー装置(波長193nm)などが用いられている。
ザー光を、光ファイバを通して加工対象物に照射する場
合がある。また、加工対象物が照射光に励起されて発す
る紫外線を解析し、エッチングがどの層まで達したかな
どをモニターする場合にも、加工対象物から光検出素子
までの伝送経路として光ファイバを用いる場合がある。
このように、紫外線のなかでも高エネルギーの紫外線を
好ましく伝送し得る光ファイバの重要性は高まってい
る。
おいて光ファイバは使用されている。この場合には、伝
送する紫外線の強度は比較的小さいが、伝送距離が非常
に長いのが特徴である。したがって、通信分野において
も、紫外線を好ましく伝送し得る光ファイバが求められ
ている。
の伝送においては、可視光線や赤外線を伝送する場合と
は異なり、伝送される紫外線自体によって石英系ガラス
に構造欠陥が発生し、該欠陥が特定波長の光を吸収して
伝送特性を劣化させる現象(紫外線劣化)が問題とな
る。特に、E’センターと呼ばれる欠陥は、波長215
nm付近をピークとして比較的広い波長域での吸収を示
すので、波長248nm、193nmといった高エネル
ギーの紫外線の伝送、あるいは紫外線の長距離の伝送に
は大きな障害となる。
合欠陥である。該E’センターは、ファイバ中に生じた
ケイ素と水素との結合あるいは酸素と水素との結合が紫
外線によって切断されて生じる欠陥であると言われてい
る。
として、特開2000−159545号公報に記載の紫
外線伝送用光ファイバが挙げられる。当該光ファイバ
は、石英ガラスの水素含有量が1×1018分子/cm3
より低い、好ましくは2×101 5分子/cm3〜1×1
018分子/cm3である石英ガラスを用いた光ファイバ
である。また、当該公報には光ファイバをアクリレート
被覆材で被覆することが記載されている(但し、アクリ
レート被覆材で被覆する目的、効果は記載されていな
い)。当該公報に記載の発明は、石英ガラス中の水素含
有量が多くならないようにしてケイ素と水素との結合を
なるべく作らないようにするという設計指針に基づくも
のであると推認できる。
742号公報に記載の光ファイバを挙げることもでき
る。当該光ファイバは、1×1018分子/cm3以上、
好ましくは1×1018分子/cm3〜1×1021分子/
cm3の水素分子を含有するガラスに水素拡散防止層を
設けてなる光ファイバである。水素拡散防止層として
は、金属薄膜、セラミック薄膜およびシリカガラス厚膜
が例示されている。
14336号公報に記載の光ファイバも挙げることがで
きる。当該光ファイバは、石英ガラスの周囲に水素を蓄
積できる微粒子が分布するように形成された包埋物を設
けた光ファイバである。前記微粒子としては、水素化金
属微粒子(具体的な金属の開示はない)が例示されてい
る。第2および第3の先行技術は、第1の先行技術とは
逆の指針、すなわち水素を「水素拡散防止層」あるいは
「水素を蓄積できる微粒子」により光ファイバ内部に留
めることによって、上記E’センターを低減させるとい
う設計指針に基づくものである。
ような光ファイバについて、本発明者らが紫外線劣化の
程度を検討したところ、いずれのファイバも紫外線劣化
(特に、波長215nm付近の吸収増大)の抑制が不十
分であったり、長期間(3ヶ月程度)放置しておくと波
長215nm付近の吸収が増大するということがわかっ
た。
抑制した紫外線伝送用光ファイバおよびその製造方法を
提供することにある。
について検討した結果、以下の特徴を有する本発明を完
成した。 (1)少なくとも下記(a)〜(c)を有する紫外線伝
送用光ファイバ。(a)光ファイバ本体、(b)(a)
の外周の水素保持層、(c)(b)のさらに外周の水素
遮断層。 (2)上記(a)が、水素含有量が1018分子/cm3
以下の石英系光ファイバ母材からの線引きにより得られ
る光ファイバ本体である、(1)に記載の紫外線伝送用
光ファイバ。 (3)上記(b)が、金属酸化物からなる層である、
(1)または(2)のいずれかに記載の紫外線伝送用光
ファイバ。 (4)上記金属酸化物がアルミニウムの酸化物である
(3)に記載の紫外線伝送用光ファイバ。 (5)上記(c)が、金属からなる層である、(1)〜
(4)のいずれかに記載の紫外線伝送用光ファイバ。 (6)上記金属がアルミニウムである(5)に記載の紫
外線伝送用光ファイバ。 (7)石英系光ファイバ母材を加熱して光ファイバ本体
へと線引きする工程と、酸素濃度が15〜30%の雰囲
気下で、溶融した金属に前記線引き直後の光ファイバ本
体を通過させることで、該光ファイバ本体の外周に金属
酸化物からなる水素保持層と、該水素保持層のさらに外
周に金属からなる水素遮断層とを同時に形成する工程と
を、有する紫外線伝送用光ファイバの製造方法。 (8)上記石英系光ファイバ母材が、水素含有量が10
18分子/cm3以下の石英系光ファイバ母材である、
(7)に記載の製造方法。 (9)上記溶融した金属が、溶融したアルミニウムであ
る、(7)または(8)のいずれかに記載の製造方法。
〜3の先行技術を組み合わせたことが特徴である。しか
し、上述のように第1の先行技術は光ファイバ中の水素
を多くしないようにするのに対し、第2および第3の先
行技術は光ファイバ中に水素を留めるようにするもので
あるので、本来的にはこれらは組み合わされ得ないもの
である。本発明の光ファイバは、敢えてこのような組み
合わせとすることで、後述するような紫外線劣化を顕著
に抑制できることが特徴である。
参照して説明するが、本発明は参照した図面に限定され
るわけではない。本発明に係る光ファイバは、図1(本
発明の紫外線伝送用光ファイバの長手方向と垂直な切断
面の断面図)に示すように、光ファイバFの中心から順
に、(a)光ファイバ本体2、(b)水素保持層3、
(c)水素遮断層4を有することが特徴である。以下、
(a)〜(c)を説明し、その後に本発明に係る光ファ
イバFの製造方法を説明する。
バ本体であって、通常、図1に示すように、コア部21
とクラッド部22より構成されるものである。光ファイ
バ本体2は、好ましくは水素含有量を低下させた石英系
光ファイバ本体である。光ファイバ本体2自体は従来公
知のものを使用することができる。光ファイバ本体2
は、コア部21の方がクラッド部22よりも屈折率の高
い石英系ガラスからなるものが通常用いられる。
積当たりの水素分子数である。コア部21とクラッド部
22とを有する光ファイバ本体2の場合は、コア部21
の水素含有量が紫外線劣化と関係があるという知見(特
開2000−159545号公報)から、水素含有量は
コア部21について測定したものを指す。具体的な水素
含有量の測定方法としては、特開2000−15954
5号公報に記載の方法、すなわち、光ファイバ本体2の
断面のコア部21の1mm未満の直径を測定領域とする
ラマン測定法によって行われる。水素含有量は1018分
子/cm3以下、特に1015〜1018分子/cm3が好ま
しい。水素含有量を低下させた光ファイバ本体2を用い
ることで、上記E’センターの発生を低減し得て、紫外
線劣化を抑制し得る光ファイバを得ることができる。
素を供給し得る層、換言すれば、水素分子として供給し
得る化学種をその構造中に吸着あるいは吸蔵等し得る層
である。水素を含有し得るとは、水素保持層3中に10
17分子/cm3(ラマン分光法による測定)以上の水素
分子に相当する化学種を吸着・吸蔵等し得ることをい
う。このような層としては、公知の水素吸蔵金属の層
(水素を分子状態で吸蔵する)、特開2000−214
336号公報に記載の水素化金属の微粒子をガラス等に
分散させてなる層、金属酸化物からなる層(酸化物の酸
素原子に水素分子が吸着し得る)等が例示される。
えば、光ファイバ本体2の外周に水素吸蔵金属を公知の
蒸着法によって形成する方法、水素化金属の微粒子を分
散した溶融ガラスを光ファイバ本体2に塗布して冷却さ
せる方法等が例示される。なお、水素保持層3として金
属酸化物からなる層を用いる場合の形成方法は後述す
る。
同時形成が可能な点(後述)、加工の容易性、コスト等
の観点から、金属酸化物からなる層が好ましく用いら
れ、アルミニウムの酸化物からなる層がより好ましい。
アルミニウムの酸化物とは、Al2O3の組成を有するも
のが一般的であるが、完全に酸化されて単一相となった
もののみならず、不完全な酸化状態のアルミニウムをも
含む概念である。
ァイバを製造する、後述の作用によりE’センターを十
分に抑制するという点から、好ましくは0.1〜10μ
mである。換言すれば、水素保持層3の厚さは、光ファ
イバ本体2の直径の0.04〜4%であるのが好まし
く、0.3〜0.7%であるのがより好ましい。水素保
持層3は図1に示すような均一の厚さの層である必要は
ない。水素保持層3の厚さに分布がある場合、上記好ま
しい厚さとは、水素保持層3の平均の厚さを意味する。
劣化を抑制すると考えられる。上述のように水素含有量
の少ない光ファイバ本体2を用いても、水素含有量をゼ
ロにし得ない以上、当該水素とケイ素あるいは酸素との
結合が切れてE’センターが発生することがあり得る。
このとき水素保持層3から水素が供給されることで、上
記ケイ素あるいは酸素と水素との結合が再び形成し得る
ので、E’センターの発生を防ぐことができ、それによ
り、紫外線劣化も抑制し得るのである。このように、光
ファイバ本体2自体の水素含有量を少なくしつつ、水素
を供給し得る層を設ける、という設計指針は、如何なる
先行技術文献にも記載、示唆のない本発明独自の指針で
ある。
子が実質的に通過しない層である。水素分子の実質的な
通過は、光ファイバ本体2中のラマン散乱によって評価
することができる。すなわち、光ファイバ本体2の外周
に評価すべき層のみを被覆した光ファイバを製造し、該
光ファイバのコア中を光伝播させることによりラマン散
乱を発生させて、そのラマン散乱波形の経時的変化の解
析により光ファイバコア中の水素の減衰を評価する測定
方法である。水素分子が実質的に通過しないとは、この
方法により、光ファイバ中の水素に起因するラマン波形
が数ヶ月間にわたり減衰しない程度をいう。このような
層としては、金属(例えば、ニッケル、アルミニウム、
銅、金等)からなる層、カーボン層等が例示される。耐
熱性、水素遮断性、加工の容易性、コスト等の観点か
ら、水素遮断層4としては、金属からなる層が好まし
く、金属アルミニウムからなる層がより好ましい。
ァイバを製造する、水素の遮断を十分に行う、水素濃度
低下を抑制させることによる対紫外線特性を持続させる
という観点から、0.1〜1000μmが好ましい。換
言すれば、水素遮断層4の厚さは、水素保持層3の厚さ
の1〜100倍であるのが好ましい。水素遮断層4は図
1に示すような均一の厚さの層である必要はない。水素
遮断層4の厚さに分布がある場合、上記好ましい厚さと
は、水素遮断層4の平均の厚さを意味する。
持層3中の水素が大気中に放出されずに、効率的に光フ
ァイバ本体2中のケイ素あるいは酸素の結合欠陥部に供
給されることになるので、E’センター発生をより効率
的に低減させ得て、紫外線劣化をより効率的に抑制し得
る。
(a)〜(c)を少なくとも有するが、その他に、例え
ば、水素遮断層4を保護するための耐熱プラスチック等
の樹脂層(図示せず)あるいは耐熱セラミック(図示せ
ず)等をさらに有していてもよい。
の製造方法は特に限定はない。一例として、図2に概略
的に示すような、石英系光ファイバ母材1を加熱して線
引きすることによって光ファイバ本体2を得る工程A
と、光ファイバ本体2の外周に水素保持層3と水素遮断
層4とを同時に形成する工程Bとを有する方法が挙げら
れる。
Fを製造する場合、用いる石英系光ファイバ母材1は、
水素含有量を低下させたもの、好ましくは水素分子が1
018分子/cm3以下、より好ましくは、1015〜10
18分子/cm3としたものがよい。このような水素含有
量が少ない石英系光ファイバ母材1を用いることによ
り、上述したような水素含有量の少ない光ファイバ本体
2を製造することが期待される。石英系光ファイバ母材
1は、例えば、VAD法やプラズマ法等の公知の方法に
より製造され得る。また、石英系光ファイバ母材1を低
水素化するための方法も、例えば、特開2000−15
9545号公報など、公知技術を参照してよい。
(約2000℃〜2400℃程度)し、線引きをするこ
とで、光ファイバ本体2を製造することができる。線引
き速度は、製造すべき光ファイバ本体2の外径に応じて
決定すればよい。例えば、外径70μm〜2500μm
の光ファイバ本体2を形成する場合、石英系光ファイバ
母材1を2000℃〜2400℃に加熱し、線引き速度
を1m/分〜300m/分とすることが好ましい。
イバ本体2を溶融した金属S21に通過させて、水素保
持層3と水素遮断層4とを同時に形成する。具体的な装
置としては、金属を溶融した状態で溜める溶融槽S20
を有し、その底部に通過孔が設けられてなるダイスS2
が挙げられる。例えば、水素保持層3としてアルミニウ
ムの酸化物を用い、水素遮断層4としてアルミニウムを
用いる場合には、アルミニウムの融点は660℃である
が、被覆するための溶融温度は、660℃〜750℃程
度が好ましい。
般的な光ファイバにおける、耐熱性・機械的強度付与の
ための金属被覆技術を参照してもよい。このとき、従来
公知の金属被覆技術では、金属の酸化防止のために酸素
分圧を下げた状態(例えば、窒素雰囲気下、すなわち酸
素濃度が約1%以下)で、金属を被覆させるのが一般的
である。しかし、本発明では、公知の方法とは異なり、
酸素を好ましくは15〜30%、さらに好ましくは15
〜25%有する雰囲気下で被覆するのがよい。このよう
な雰囲気下で金属を被覆させることにより、当該金属の
一部(特に光ファイバ2と接する部分)を酸化させるこ
とができ、水素保持層3と水素遮断層4とを同時に形成
することができる。なお、このようにして形成した光フ
ァイバFは、水素遮断層4のさらに外周に金属酸化物の
層(図示せず)が形成される場合もある。しかし、その
ような光ファイバFも、上記(a)〜(c)の構成要素
を有する点において、本発明の一実施態様である。
線引き速度(ダイス部分へのファイバ突入温度)、溶融金
属温度(粘度管理)、被覆用ダイスサイズを適宜選択
し、これらを組み合わせること、あるいは光ファイバサ
イズ等によって制御することができる。例えば、上述し
たような水素保持層3と水素遮断層4との厚さの比を有
する光ファイバFを得るには、光ファイバ突入温度10
0℃以上、溶融金属温度700℃以上、被覆ダイスサイ
ズと光ファイバサイズ比率(ダイスサイズ/光ファイ
バ)が460/250(すなわち、1.84)、という
条件下で金属を被覆させるとよい。
バ本体2に直ちに水素保持層3・水素遮断層4を形成す
るので、光ファイバ本体2に接する溶融金属も高温にな
って酸化しやすくなり、水素保持層3を形成しやすくな
る。また、このような方法は、線引き後の光ファイバ本
体2の急冷を防ぐことに相当し、石英系ガラスに欠陥が
生じ難くなるので、本発明をより実効あらしめることが
できる。
造は、上記の方法に限定されるわけではなく、例えば、
水素保持層3と水素遮断層4とを個別の公知の製造方法
にて製造する方法などを挙げることができる。
げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例
のみに限定されるものではない。
材1としては、水素含有量約1018(分子/cm3)の
石英ガラスからなるものを用いた。該母材1は、コア部
分(純粋な石英ガラス)とフッ素ドープされたクラッド
部分とを有するものである(図示せず)。水素保持層
3、水素遮断層4は溶融アルミニウムから一工程で製造
することとした。
石英系光ファイバ母材1の下端部から線引きがなされる
よう、該母材1を2200℃の線引き炉S1にセットし
た。線引き速度は、約60m/分である。また、被覆工
程Bとして、アルミニウム被覆用ダイスS2を線引き工
程の直下に配置した。線引き直後の高温の状態で被覆が
なされるよう、該母材の下端部1b(線引き開始端部)
から、アルミニウムの溶融液面までの距離を、約300
0mmに設定した。また、従来の光ファイバへのアルミ
ニウムの被覆は酸素濃度が低い(約1%以下)雰囲気下
で行われていたが、本発明においては、酸素濃度が約2
0%の雰囲気下で行った。
(図示せず)によって加熱可能な溶融槽S20を有す
る。該溶融槽S20には、720〜730℃に維持され
た溶融した金属(アルミニウム)S21が収容されてい
る。線引き直後の光ファイバ本体2を、溶融した金属
(アルミニウム)S21中を通過させ、溶融槽底部の貫
通孔を通して下方へ出すことで、水素保持層3(アルミ
ニウムの酸化物)および水素遮断層4(金属アルミニウ
ム)が形成された光ファイバFとした。水素保持層3お
よび水素遮断層4を形成した後は、室温まで温度を自然
降下させた。光ファイバ本体2を溶融した金属(アルミ
ニウム)S21中に入れる際の温度は約100℃〜15
0℃程度であった。このようにして得られた光ファイバ
Fの光ファイバ本体2の直径は230μmであって、水
素保持層3は1μm以下の厚さであり、水素遮断層4は
30μmの厚さであった。
バFの光ファイバ本体2のコア部について、ラマン分光
法によって水素含有量を測定した。その結果、水素含有
量は約1017分子/cm3であった。本実施例では、石
英系光ファイバ母材1を最終的な光ファイバFに加工す
ることにより、水素含有量が約1桁減っていた。一方、
従来の光ファイバの製造方法(窒素雰囲気下でアルミニ
ウムを被覆する方法)によると、通常、水素含有量は約
2桁減ることが知られている。本発明に係る製造方法
で、製造過程での水素含有量の減少量が少ないことは、
期待通り水素保持層3と水素遮断層4とが形成して、光
ファイバ本体2中のケイ素あるいは酸素と水素との結合
が切れた際に、水素分子を供給することができているこ
とを示している。
イバFの紫外線劣化の加速試験も行った。当該光ファイ
バF(長さ1m)に重水素ランプ(浜松ホトニクス株式
会社製)を用いて、波長250nm、強度150W(照
射光パワー0.21mW/cm2)のレーザーを2000
時間伝送し続けた。光ファイバFの入射直前のレーザー
の光強度(I0)と光ファイバFの出射直後のレーザー
の光強度(I1)とを光スペクトラムアナライザ(大塚
電子株式会社製)を用いて測定した。試験開始直後のI
1/I0は0.8であり、2000時間経過後のI1/I0
は0.65であった。このように、本発明に係る光ファ
イバFは、長時間の紫外線透過後も、紫外線の透過特性
が良好であることが明らかになった。
ファイバ本体中のケイ素と水素との結合が少なく、か
つ、ケイ素あるいは酸素から水素が切断した場合でも水
素保持層に保持された水素が当該ケイ素に再結合し得る
ので、紫外線劣化の原因と考えられるE’センターを形
成し難い。また、水素遮断層の存在により、水素保持層
中の水素が大気中に散逸し難くなり、より効率的に光フ
ァイバ本体へ供給され得る。したがって、本発明によ
り、長期にわたり紫外線劣化を抑制し得る紫外線伝送用
光ファイバを提供することができる。さらに、本発明に
係る紫外線伝送用光ファイバは、耐熱特性も併せ持ち、
各種適用環境に使用できる、という効果も奏し得る。
垂直な切断面の断面図である。
一例を概略的に示す図である。
Claims (9)
- 【請求項1】 少なくとも下記(a)〜(c)を有する
紫外線伝送用光ファイバ。 (a)光ファイバ本体、 (b)(a)の外周の水素保持層、 (c)(b)のさらに外周の水素遮断層。 - 【請求項2】 上記(a)が、水素含有量が1018分子
/cm3以下の石英系光ファイバ母材からの線引きによ
り得られる光ファイバ本体である、請求項1に記載の紫
外線伝送用光ファイバ。 - 【請求項3】 上記(b)が、金属酸化物からなる層で
ある、請求項1または2のいずれかに記載の紫外線伝送
用光ファイバ。 - 【請求項4】 上記金属酸化物がアルミニウムの酸化物
である請求項3に記載の紫外線伝送用光ファイバ。 - 【請求項5】 上記(c)が、金属からなる層である、
請求項1〜4のいずれかに記載の紫外線伝送用光ファイ
バ。 - 【請求項6】 上記金属がアルミニウムである請求項5
に記載の紫外線伝送用光ファイバ。 - 【請求項7】 石英系光ファイバ母材を加熱して光ファ
イバ本体へと線引きする工程と、 酸素濃度が15〜30%の雰囲気下で、溶融した金属に
前記線引き直後の光ファイバ本体を通過させることで、
該光ファイバ本体の外周に金属酸化物からなる水素保持
層と、該水素保持層のさらに外周に金属からなる水素遮
断層とを同時に形成する工程とを、有する紫外線伝送用
光ファイバの製造方法。 - 【請求項8】 上記石英系光ファイバ母材が、水素含有
量が1018分子/cm3以下の石英系光ファイバ母材で
ある、請求項7に記載の製造方法。 - 【請求項9】 上記溶融した金属が、溶融したアルミニ
ウムである、請求項7または8のいずれかに記載の製造
方法。
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