JP3892724B2 - 紫外線伝送用光ファイバの製造方法 - Google Patents

紫外線伝送用光ファイバの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は紫外線伝送用光ファイバ(以下、単に「光ファイバ」ともいう)およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
集積回路の高密度化に伴い、その回路パターンを形成するためのステッパなどには、より高い解像度でより微細な描画を行なうことが求められている。そのため、より短い波長の紫外線レーザー光を照射することが必要となり、レーザー光源として、KrFエキシマレーザー装置(波長248nm)、ArFエキシマレーザー装置(波長193nm)などが用いられている。
【0003】
これら光源装置から出射された紫外線レーザー光を、光ファイバを通して加工対象物に照射する場合がある。また、加工対象物が照射光に励起されて発する紫外線を解析し、エッチングがどの層まで達したかなどをモニターする場合にも、加工対象物から光検出素子までの伝送経路として光ファイバを用いる場合がある。このように、紫外線のなかでも高エネルギーの紫外線を好ましく伝送し得る光ファイバの重要性は高まっている。
【0004】
このような加工用途以外にも、通信分野において光ファイバは使用されている。この場合には、伝送する紫外線の強度は比較的小さいが、伝送距離が非常に長いのが特徴である。したがって、通信分野においても、紫外線を好ましく伝送し得る光ファイバが求められている。
【0005】
しかし、石英系光ファイバを用いた紫外線の伝送においては、可視光線や赤外線を伝送する場合とは異なり、伝送される紫外線自体によって石英系ガラスに構造欠陥が発生し、該欠陥が特定波長の光を吸収して伝送特性を劣化させる現象(紫外線劣化)が問題となる。特に、E’センターと呼ばれる欠陥は、波長215nm付近をピークとして比較的広い波長域での吸収を示すので、波長248nm、193nmといった高エネルギーの紫外線の伝送、あるいは紫外線の長距離の伝送には大きな障害となる。
【0006】
E’センターとはケイ素あるいは酸素の結合欠陥である。該E’センターは、ファイバ中に生じたケイ素と水素との結合あるいは酸素と水素との結合が紫外線によって切断されて生じる欠陥であると言われている。
【0007】
この問題を軽減するための第1の先行技術として、特開2000−159545号公報に記載の紫外線伝送用光ファイバが挙げられる。当該光ファイバは、石英ガラスの水素含有量が1×1018分子/cm3より低い、好ましくは2×1015分子/cm3〜1×1018分子/cm3である石英ガラスを用いた光ファイバである。また、当該公報には光ファイバをアクリレート被覆材で被覆することが記載されている(但し、アクリレート被覆材で被覆する目的、効果は記載されていない)。当該公報に記載の発明は、石英ガラス中の水素含有量が多くならないようにしてケイ素と水素との結合をなるべく作らないようにするという設計指針に基づくものであると推認できる。
【0008】
第2の先行技術として、特開平9−309742号公報に記載の光ファイバを挙げることもできる。当該光ファイバは、1×1018分子/cm3以上、好ましくは1×1018分子/cm3〜1×1021分子/cm3の水素分子を含有するガラスに水素拡散防止層を設けてなる光ファイバである。水素拡散防止層としては、金属薄膜、セラミック薄膜およびシリカガラス厚膜が例示されている。
【0009】
第3の先行技術として、特開2000−214336号公報に記載の光ファイバも挙げることができる。当該光ファイバは、石英ガラスの周囲に水素を蓄積できる微粒子が分布するように形成された包埋物を設けた光ファイバである。前記微粒子としては、水素化金属微粒子(具体的な金属の開示はない)が例示されている。第2および第3の先行技術は、第1の先行技術とは逆の指針、すなわち水素を「水素拡散防止層」あるいは「水素を蓄積できる微粒子」により光ファイバ内部に留めることによって、上記E’センターを低減させるという設計指針に基づくものである。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記のような光ファイバについて、本発明者らが紫外線劣化の程度を検討したところ、いずれのファイバも紫外線劣化(特に、波長215nm付近の吸収増大)の抑制が不十分であったり、長期間(3ヶ月程度)放置しておくと波長215nm付近の吸収が増大するということがわかった。
【0011】
本発明の課題は、紫外線劣化をより高度に抑制した紫外線伝送用光ファイバおよびその製造方法を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題について検討した結果、以下の特徴を有する本発明を完成した。
)水素含有量が1015〜1018分子/cmである石英系光ファイバ母材を加熱して光ファイバ本体へと線引きする工程と、
酸素濃度が15〜30%の雰囲気下で、溶融した金属に前記線引き直後の光ファイバ本体を通過させることで、該光ファイバ本体の外周に金属酸化物からなる水素保持層と、該水素保持層のさらに外周に金属からなる水素遮断層とを同時に形成する工程とを、
有する紫外線伝送用光ファイバの製造方法。
)上記溶融した金属が、溶融したアルミニウムである、()に記載の製造方法。
(3)溶融した金属に通過させる直前の光ファイバ本体の温度が100℃以上である(1)または(2)に記載の製造方法。
【0013】
このように、本発明は結果的には上記第1〜3の先行技術を組み合わせたことが特徴である。しかし、上述のように第1の先行技術は光ファイバ中の水素を多くしないようにするのに対し、第2および第3の先行技術は光ファイバ中に水素を留めるようにするものであるので、本来的にはこれらは組み合わされ得ないものである。本発明の光ファイバは、敢えてこのような組み合わせとすることで、後述するような紫外線劣化を顕著に抑制できることが特徴である。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る光ファイバを図面を参照して説明するが、本発明は参照した図面に限定されるわけではない。本発明に係る光ファイバは、図1(本発明の紫外線伝送用光ファイバの長手方向と垂直な切断面の断面図)に示すように、光ファイバFの中心から順に、(a)光ファイバ本体2、(b)水素保持層3、(c)水素遮断層4を有することが特徴である。以下、(a)〜(c)を説明し、その後に本発明に係る光ファイバFの製造方法を説明する。
【0015】
(a)光ファイバ本体
光ファイバ本体2は、紫外線を伝送する石英系光ファイバ本体であって、通常、図1に示すように、コア部21とクラッド部22より構成されるものである。光ファイバ本体2は、好ましくは水素含有量を低下させた石英系光ファイバ本体である。光ファイバ本体2自体は従来公知のものを使用することができる。光ファイバ本体2は、コア部21の方がクラッド部22よりも屈折率の高い石英系ガラスからなるものが通常用いられる。
【0016】
水素含有量とは、光ファイバ本体2中の体積当たりの水素分子数である。コア部21とクラッド部22とを有する光ファイバ本体2の場合は、コア部21の水素含有量が紫外線劣化と関係があるという知見(特開2000−159545号公報)から、水素含有量はコア部21について測定したものを指す。具体的な水素含有量の測定方法としては、特開2000−159545号公報に記載の方法、すなわち、光ファイバ本体2の断面のコア部21の1mm未満の直径を測定領域とするラマン測定法によって行われる。水素含有量は1018分子/cm3以下、特に1015〜1018分子/cm3が好ましい。水素含有量を低下させた光ファイバ本体2を用いることで、上記E’センターの発生を低減し得て、紫外線劣化を抑制し得る光ファイバを得ることができる。
【0017】
(b)水素保持層
水素保持層3は、水素を含有し得て、かつ、他の層に水素を供給し得る層、換言すれば、水素分子として供給し得る化学種をその構造中に吸着あるいは吸蔵等し得る層である。水素を含有し得るとは、水素保持層3中に1017分子/cm3(ラマン分光法による測定)以上の水素分子に相当する化学種を吸着・吸蔵等し得ることをいう。このような層としては、公知の水素吸蔵金属の層(水素を分子状態で吸蔵する)、特開2000−214336号公報に記載の水素化金属の微粒子をガラス等に分散させてなる層、金属酸化物からなる層(酸化物の酸素原子に水素分子が吸着し得る)等が例示される。
【0018】
水素保持層3を形成する方法としては、例えば、光ファイバ本体2の外周に水素吸蔵金属を公知の蒸着法によって形成する方法、水素化金属の微粒子を分散した溶融ガラスを光ファイバ本体2に塗布して冷却させる方法等が例示される。なお、水素保持層3として金属酸化物からなる層を用いる場合の形成方法は後述する。
【0019】
水素保持層3としては、水素遮断層4との同時形成が可能な点(後述)、加工の容易性、コスト等の観点から、金属酸化物からなる層が好ましく用いられ、アルミニウムの酸化物からなる層がより好ましい。アルミニウムの酸化物とは、Al23の組成を有するものが一般的であるが、完全に酸化されて単一相となったもののみならず、不完全な酸化状態のアルミニウムをも含む概念である。
【0020】
水素保持層3の厚さは、適度な太さの光ファイバを製造する、後述の作用によりE’センターを十分に抑制するという点から、好ましくは0.1〜10μmである。換言すれば、水素保持層3の厚さは、光ファイバ本体2の直径の0.04〜4%であるのが好ましく、0.3〜0.7%であるのがより好ましい。水素保持層3は図1に示すような均一の厚さの層である必要はない。水素保持層3の厚さに分布がある場合、上記好ましい厚さとは、水素保持層3の平均の厚さを意味する。
【0021】
水素保持層3は、以下の作用により紫外線劣化を抑制すると考えられる。上述のように水素含有量の少ない光ファイバ本体2を用いても、水素含有量をゼロにし得ない以上、当該水素とケイ素あるいは酸素との結合が切れてE’センターが発生することがあり得る。このとき水素保持層3から水素が供給されることで、上記ケイ素あるいは酸素と水素との結合が再び形成し得るので、E’センターの発生を防ぐことができ、それにより、紫外線劣化も抑制し得るのである。このように、光ファイバ本体2自体の水素含有量を少なくしつつ、水素を供給し得る層を設ける、という設計指針は、如何なる先行技術文献にも記載、示唆のない本発明独自の指針である。
【0022】
(c)水素遮断層
水素遮断層4は、層の一表面から反対側の表面に水素分子が実質的に通過しない層である。水素分子の実質的な通過は、光ファイバ本体2中のラマン散乱によって評価することができる。すなわち、光ファイバ本体2の外周に評価すべき層のみを被覆した光ファイバを製造し、該光ファイバのコア中を光伝播させることによりラマン散乱を発生させて、そのラマン散乱波形の経時的変化の解析により光ファイバコア中の水素の減衰を評価する測定方法である。水素分子が実質的に通過しないとは、この方法により、光ファイバ中の水素に起因するラマン波形が数ヶ月間にわたり減衰しない程度をいう。このような層としては、金属(例えば、ニッケル、アルミニウム、銅、金等)からなる層、カーボン層等が例示される。耐熱性、水素遮断性、加工の容易性、コスト等の観点から、水素遮断層4としては、金属からなる層が好ましく、金属アルミニウムからなる層がより好ましい。
【0023】
水素遮断層4の厚さは、適度な太さの光ファイバを製造する、水素の遮断を十分に行う、水素濃度低下を抑制させることによる対紫外線特性を持続させるという観点から、0.1〜1000μmが好ましい。換言すれば、水素遮断層4の厚さは、水素保持層3の厚さの1〜100倍であるのが好ましい。水素遮断層4は図1に示すような均一の厚さの層である必要はない。水素遮断層4の厚さに分布がある場合、上記好ましい厚さとは、水素遮断層4の平均の厚さを意味する。
【0024】
水素遮断層4の存在により、上述の水素保持層3中の水素が大気中に放出されずに、効率的に光ファイバ本体2中のケイ素あるいは酸素の結合欠陥部に供給されることになるので、E’センター発生をより効率的に低減させ得て、紫外線劣化をより効率的に抑制し得る。
【0025】
本発明に係る光ファイバFは、上述の(a)〜(c)を少なくとも有するが、その他に、例えば、水素遮断層4を保護するための耐熱プラスチック等の樹脂層(図示せず)あるいは耐熱セラミック(図示せず)等をさらに有していてもよい。
【0026】
以上、説明した紫外線伝送用光ファイバFの製造方法は特に限定はない。一例として、図2に概略的に示すような、石英系光ファイバ母材1を加熱して線引きすることによって光ファイバ本体2を得る工程Aと、光ファイバ本体2の外周に水素保持層3と水素遮断層4とを同時に形成する工程Bとを有する方法が挙げられる。
【0027】
このような工程で紫外線伝送用光ファイバFを製造する場合、用いる石英系光ファイバ母材1は、水素含有量を低下させたもの、好ましくは水素分子が1018分子/cm3以下、より好ましくは、1015〜1018分子/cm3としたものがよい。このような水素含有量が少ない石英系光ファイバ母材1を用いることにより、上述したような水素含有量の少ない光ファイバ本体2を製造することが期待される。石英系光ファイバ母材1は、例えば、VAD法やプラズマ法等の公知の方法により製造され得る。また、石英系光ファイバ母材1を低水素化するための方法も、例えば、特開2000−159545号公報など、公知技術を参照してよい。
【0028】
このような石英系光ファイバ母材1を加熱(約2000℃〜2400℃程度)し、線引きをすることで、光ファイバ本体2を製造することができる。線引き速度は、製造すべき光ファイバ本体2の外径に応じて決定すればよい。例えば、外径70μm〜2500μmの光ファイバ本体2を形成する場合、石英系光ファイバ母材1を2000℃〜2400℃に加熱し、線引き速度を1m/分〜300m/分とすることが好ましい。
【0029】
図2に示す方法では、線引き直後の光ファイバ本体2を溶融した金属S21に通過させて、水素保持層3と水素遮断層4とを同時に形成する。具体的な装置としては、金属を溶融した状態で溜める溶融槽S20を有し、その底部に通過孔が設けられてなるダイスS2が挙げられる。例えば、水素保持層3としてアルミニウムの酸化物を用い、水素遮断層4としてアルミニウムを用いる場合には、アルミニウムの融点は660℃であるが、被覆するための溶融温度は、660℃〜750℃程度が好ましい。
【0030】
高温での金属被覆技術自体については、一般的な光ファイバにおける、耐熱性・機械的強度付与のための金属被覆技術を参照してもよい。このとき、従来公知の金属被覆技術では、金属の酸化防止のために酸素分圧を下げた状態(例えば、窒素雰囲気下、すなわち酸素濃度が約1%以下)で、金属を被覆させるのが一般的である。しかし、本発明では、公知の方法とは異なり、酸素を好ましくは15〜30%、さらに好ましくは15〜25%有する雰囲気下で被覆するのがよい。このような雰囲気下で金属を被覆させることにより、当該金属の一部(特に光ファイバ2と接する部分)を酸化させることができ、水素保持層3と水素遮断層4とを同時に形成することができる。なお、このようにして形成した光ファイバFは、水素遮断層4のさらに外周に金属酸化物の層(図示せず)が形成される場合もある。しかし、そのような光ファイバFも、上記(a)〜(c)の構成要素を有する点において、本発明の一実施態様である。
【0031】
水素保持層3と水素遮断層4との厚さは、線引き速度(ダイス部分へのファイバ突入温度)、溶融金属温度(粘度管理)、被覆用ダイスサイズを適宜選択し、これらを組み合わせること、あるいは光ファイバサイズ等によって制御することができる。例えば、上述したような水素保持層3と水素遮断層4との厚さの比を有する光ファイバFを得るには、光ファイバ突入温度100℃以上、溶融金属温度700℃以上、被覆ダイスサイズと光ファイバサイズ比率(ダイスサイズ/光ファイバ)が460/250(すなわち、1.84)、という条件下で金属を被覆させるとよい。
【0032】
本方法では、線引き直後の高温の光ファイバ本体2に直ちに水素保持層3・水素遮断層4を形成するので、光ファイバ本体2に接する溶融金属も高温になって酸化しやすくなり、水素保持層3を形成しやすくなる。また、このような方法は、線引き後の光ファイバ本体2の急冷を防ぐことに相当し、石英系ガラスに欠陥が生じ難くなるので、本発明をより実効あらしめることができる。
【0033】
もっとも、本発明に係る光ファイバFの製造は、上記の方法に限定されるわけではなく、例えば、水素保持層3と水素遮断層4とを個別の公知の製造方法にて製造する方法などを挙げることができる。
【0034】
【実施例】
以下、図2を更に参照しながら、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は実施例のみに限定されるものではない。
【0035】
〔光ファイバの製造〕
石英系光ファイバ母材1としては、水素含有量約1018(分子/cm3)の石英ガラスからなるものを用いた。該母材1は、コア部分(純粋な石英ガラス)とフッ素ドープされたクラッド部分とを有するものである(図示せず)。水素保持層3、水素遮断層4は溶融アルミニウムから一工程で製造することとした。
【0036】
図2に示すように、線引き工程Aとして、石英系光ファイバ母材1の下端部から線引きがなされるよう、該母材1を2200℃の線引き炉S1にセットした。線引き速度は、約60m/分である。また、被覆工程Bとして、アルミニウム被覆用ダイスS2を線引き工程の直下に配置した。線引き直後の高温の状態で被覆がなされるよう、該母材の下端部1b(線引き開始端部)から、アルミニウムの溶融液面までの距離を、約3000mmに設定した。また、従来の光ファイバへのアルミニウムの被覆は酸素濃度が低い(約1%以下)雰囲気下で行われていたが、本発明においては、酸素濃度が約20%の雰囲気下で行った。
【0037】
アルミニウム被覆用ダイスS2は、ヒータ(図示せず)によって加熱可能な溶融槽S20を有する。該溶融槽S20には、720〜730℃に維持された溶融した金属(アルミニウム)S21が収容されている。線引き直後の光ファイバ本体2を、溶融した金属(アルミニウム)S21中を通過させ、溶融槽底部の貫通孔を通して下方へ出すことで、水素保持層3(アルミニウムの酸化物)および水素遮断層4(金属アルミニウム)が形成された光ファイバFとした。水素保持層3および水素遮断層4を形成した後は、室温まで温度を自然降下させた。光ファイバ本体2を溶融した金属(アルミニウム)S21中に入れる際の温度は約100℃〜150℃程度であった。このようにして得られた光ファイバFの光ファイバ本体2の直径は230μmであって、水素保持層3は1μm以下の厚さであり、水素遮断層4は30μmの厚さであった。
【0038】
〔評価〕
このようにして製造した光ファイバFの光ファイバ本体2のコア部について、ラマン分光法によって水素含有量を測定した。その結果、水素含有量は約1017分子/cm3であった。本実施例では、石英系光ファイバ母材1を最終的な光ファイバFに加工することにより、水素含有量が約1桁減っていた。一方、従来の光ファイバの製造方法(窒素雰囲気下でアルミニウムを被覆する方法)によると、通常、水素含有量は約2桁減ることが知られている。本発明に係る製造方法で、製造過程での水素含有量の減少量が少ないことは、期待通り水素保持層3と水素遮断層4とが形成して、光ファイバ本体2中のケイ素あるいは酸素と水素との結合が切れた際に、水素分子を供給することができていることを示している。
【0039】
また、重水素ランプを用いて、当該光ファイバFの紫外線劣化の加速試験も行った。当該光ファイバF(長さ1m)に重水素ランプ(浜松ホトニクス株式会社製)を用いて、波長250nm、強度150W(照射光パワー0.21mW/cm2)のレーザーを2000時間伝送し続けた。光ファイバFの入射直前のレーザーの光強度(I0)と光ファイバFの出射直後のレーザーの光強度(I1)とを光スペクトラムアナライザ(大塚電子株式会社製)を用いて測定した。試験開始直後のI1/I0は0.8であり、2000時間経過後のI1/I0は0.65であった。このように、本発明に係る光ファイバFは、長時間の紫外線透過後も、紫外線の透過特性が良好であることが明らかになった。
【0040】
【発明の効果】
本発明の紫外線伝送用光ファイバは、光ファイバ本体中のケイ素と水素との結合が少なく、かつ、ケイ素あるいは酸素から水素が切断した場合でも水素保持層に保持された水素が当該ケイ素に再結合し得るので、紫外線劣化の原因と考えられるE’センターを形成し難い。また、水素遮断層の存在により、水素保持層中の水素が大気中に散逸し難くなり、より効率的に光ファイバ本体へ供給され得る。したがって、本発明により、長期にわたり紫外線劣化を抑制し得る紫外線伝送用光ファイバを提供することができる。さらに、本発明に係る紫外線伝送用光ファイバは、耐熱特性も併せ持ち、各種適用環境に使用できる、という効果も奏し得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の紫外線伝送用光ファイバの長手方向と垂直な切断面の断面図である。
【図2】本発明の紫外線伝送用光ファイバの加工工程の一例を概略的に示す図である。
【符号の説明】
1 石英系光ファイバ母材
2 光ファイバ本体
21 コア部
22 クラッド部
3 水素保持層
4 水素遮断層
A 線引き工程
B 被覆工程
C 室温となっている状態
F 紫外線伝送用光ファイバ
S1 線引き炉
S2 ダイス
S20 溶融槽
S21 溶融した金属

Claims (3)

  1. 水素含有量が1015〜1018分子/cmである石英系光ファイバ母材を加熱して光ファイバ本体へと線引きする工程と、
    酸素濃度が15〜30%の雰囲気下で、溶融した金属に前記線引き直後の光ファイバ本体を通過させることで、該光ファイバ本体の外周に金属酸化物からなる水素保持層と、該水素保持層のさらに外周に金属からなる水素遮断層とを同時に形成する工程とを、
    有する紫外線伝送用光ファイバの製造方法。
  2. 上記溶融した金属が、溶融したアルミニウムである、請求項に記載の製造方法。
  3. 溶融した金属に通過させる直前の光ファイバ本体の温度が100℃以上である請求項1または2に記載の製造方法。
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