JP2003188672A - 弾性表面波装置とその製造方法 - Google Patents

弾性表面波装置とその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】 電極膜と圧電基板との結晶格子の格子不整合
による影響を受けるため、Al若しくはAl合金電極膜
を(111)高配向としても十分に耐電力寿命を向上さ
せることができないという課題があった。 【解決手段】 圧電基板と電極膜との結晶格子間の格子
不整合を緩和する2種類以上の金属薄膜を交互に積層し
てなる多層下地膜を設けることで、結晶方位が一方向に
配向する電極膜を形成すると共に、圧電単結晶の弾性表
面波の振動に起因して多層下地膜を介して上記電極膜に
加わる応力負荷が所定レベル以下となるように基板結晶
方位を選定するようにした。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、LiTaO
どの圧電単結晶基板の上にストレスマイグレーション耐
性の高い(111)高配向アルミニウム(Al)膜若し
くはAl合金膜の電極膜を設けた弾性表面波装置及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】弾性表面波装置において、圧電基板上に
形成したアルミニウム(以下、Alと略す)若しくはA
l合金(例えば、AlCu)からなるインタディジタル
電極の結晶方位を(111)配向とすることで、配向し
ていないものや(311)配向のものと比較して、スト
レスマイグレーション耐性が著しく向上することが知ら
れている。
【0003】例えば、特開平5−183373号公報
(以下、従来例1と称す)では、圧電基板であるLiT
aO基板上に(111)配向したAl若しくはAl合
金膜を直接形成する技術が開示されている。具体的に
は、(111)配向したAl若しくはAl合金膜を形成
する1つの方法としてイオンビームスパッタを用いてい
る。このプロセス条件として、イオン電流100mA、
加速電圧1400eVとし、さらに圧電基板を140℃
に加熱して成膜することで(111)配向膜を形成す
る。
【0004】また、図13は、例えば特開2001−9
4382号公報に示された従来の弾性表面波装置(以
下、従来例2と称す)を示す断面図である。図におい
て、100は圧電基板であるLiTaO基板、101
はインターディジタル電極であり、金属層101a上に
金属層101bを積層した構造を有し(111)高配向
している。101aは高周波スパッタ法によって非晶質
で積層された金属層であって、タンタル、ニオブ、チタ
ンなどからなる。101bは(111)高配向するAl
若しくはその合金からなる金属層である。
【0005】従来例2では、(111)高配向するAl
若しくはその合金からなるインターディジタル電極10
1を得るために、インターディジタル電極101の表面
層となる金属層101bの下に非晶質の金属層101a
を形成する。この非晶質の金属層101aによって、L
iTaO基板100の結晶格子と格子不整合すること
による影響が遮断され、(111)高配向する金属層1
01bを形成することができる。非晶質の金属層101
aを得る条件として、その膜厚を500nm以下とした
り、高周波スパッタ法を用いて成膜する。
【0006】また、的確に非晶質の金属層101aを形
成して、その上に(111)高配向したインターディジ
タル電極101を形成する1つの方法として、高周波ス
パッタを用いて非晶質の金属層101aを形成した後に
真空破壊せずに連続して直流スパッタで金属層101b
を形成することが述べられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】従来の弾性表面波装置
は以上のように構成されているので、従来例1では、圧
電基板上に電極膜を直接形成することから、これらの結
晶格子間の格子不整合による影響を受けるため、Al若
しくはAl合金電極膜を(111)高配向としても十分
に耐電力寿命を向上させることができないという課題が
あった。
【0008】また、従来例1では、安定して(111)
高配向したAl若しくはAl合金電極膜を得るためには
イオンビームスパッタなどのような高価な装置や成膜時
に基板加熱(140℃)が必要であるという課題もあ
る。
【0009】さらに、従来例2においても、非晶質の金
属層101aのみでLiTaO基板100の結晶格子
との格子不整合による影響を抑制することから、Al若
しくはAl合金電極膜を(111)高配向としても十分
に耐電力寿命を向上させることができないという課題が
あった。
【0010】例えば、従来例2の弾性表面波装置では、
直流スパッタで圧電基板上に(111)高配向したAl
若しくはAl合金電極膜を直接成膜したものと比較し
て、耐電力寿命の向上効果が約80倍程度と決して高く
ない。
【0011】また、従来例2では、金属層101aの非
晶質膜を安定して成膜するためには、非晶質膜を形成す
るための高周波スパッタと、(111)高配向したAl
若しくはAl合金電極膜を得るための直流スパッタと
が、真空破壊せずに連続して行えるような特殊な真空成
膜装置が必要であるという課題もある。
【0012】この発明は上記のような問題点を解決する
ためになされたもので、圧電基板と電極膜との結晶格子
間の格子不整合を緩和する2種類以上の金属薄膜を交互
に積層してなる多層下地膜を設けることで、安価なマグ
ネトロン直流スパッタ装置や電子ビーム真空蒸着装置を
用いて基板加熱することなく作成することができる上
に、従来より優れたストレスマイグレーション耐性つま
り耐電力寿命を有する弾性表面波装置及びその製造方法
を得ることを目的とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】この発明に係る弾性表面
波装置は、圧電基板と電極膜との間に設けられ、これら
の結晶格子間の格子不整合を緩和する2種類以上の金属
薄膜を交互に積層してなる多層下地膜を備えるものであ
る。
【0014】この発明に係る弾性表面波装置は、電極膜
の結晶方位が一方向に配向する金属膜からなるものであ
る。
【0015】この発明に係る弾性表面波装置は、多層下
地膜の各薄膜の1層の膜厚が0.5乃至5nmの範囲で
あるものである。
【0016】この発明に係る弾性表面波装置は、圧電基
板が、圧電単結晶の弾性表面波の振動に起因して多層下
地膜を介して上記電極膜に加わる応力負荷が所定レベル
以下となる結晶面を有するものである。
【0017】この発明に係る弾性表面波装置は、電極膜
がアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなり、多
層下地膜がチタン薄膜及びアルミニウム若しくはアルミ
ニウム合金薄膜からなるものである。
【0018】この発明に係る弾性表面波装置は、多層下
地膜の最下層をチタン薄膜とするものである。
【0019】この発明に係る弾性表面波装置は、多層下
地膜が少なくともチタン薄膜を2層以上、アルミニウム
若しくはアルミニウム合金薄膜を1層以上積層してなる
ものである。
【0020】この発明に係る弾性表面波装置は、圧電基
板がタンタル酸リチウム(LiTaO)又はニオブ酸
リチウム(LiNbO)の単結晶からなるものであ
る。
【0021】この発明に係る弾性表面波装置は、圧電基
板がLiTaOである場合、その結晶方位についてX
軸を中心にY軸からZ軸方向への回転角範囲35°乃至
45°のうち、電極膜を構成するアルミニウム若しくは
アルミニウム合金の結晶方位が一方向に配向する度合
と、LiTaO単結晶の弾性表面波の振動に起因して
多層下地膜を介して上記電極膜に加わる応力負荷が所定
レベル以下となる回転角でカットした結晶面を有するも
のである。
【0022】この発明に係る弾性表面波装置は、圧電基
板がLiNbOである場合、その結晶方位についてX
軸を中心にY軸からZ軸方向への回転角範囲63°乃至
73°のうち、電極膜を構成するアルミニウム若しくは
アルミニウム合金の結晶方位が一方向に配向する度合
と、LiNbO単結晶の弾性表面波の振動に起因して
多層下地膜を介して上記電極膜に加わる応力負荷が所定
レベル以下となる回転角でカットした結晶面を有するも
のである。
【0023】この発明に係る弾性表面波装置の製造方法
は、圧電基板上に、該圧電基板と電極膜との結晶格子間
の格子不整合を緩和する2種類以上の金属薄膜を交互に
積層して多層下地膜を形成する下地形成ステップと、多
層下地膜上に電極膜を形成する電極形成ステップとを備
えるものである。
【0024】この発明に係る弾性表面波装置の製造方法
は、電極形成ステップにて、結晶方位が一方向に配向し
たアルミニウム若しくはアルミニウム合金からなる電極
膜を形成するものである。
【0025】この発明に係る弾性表面波装置の製造方法
は、下地形成ステップにて、チタン薄膜及びアルミニウ
ム若しくはアルミニウム合金薄膜を積層して多層下地膜
を形成するものである。
【0026】この発明に係る弾性表面波装置の製造方法
は、下地形成ステップにて、チタン薄膜を最下層として
多層下地膜を形成するものである。
【0027】この発明に係る弾性表面波装置の製造方法
は、下地形成ステップにて形成された多層下地膜を加熱
する下地加熱ステップを備えるものである。
【0028】この発明に係る弾性表面波装置の製造方法
は、電極膜の電極パターンの形成にリフトオフ法を用い
るものである。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の一形態を
説明する。 実施の形態1.図1はこの発明の実施の形態1による弾
性表面波装置を示す断面図である。図において、1は圧
電基板であって、例えばLiTaO単結晶を使用す
る。2は多層下地膜で、図示の例ではTi薄膜2aとA
l(若しくはAl合金)薄膜2bとを交互に積層して形
成されている。3はインターディジタル電極膜(電極
膜)であって、多層下地膜2上に形成される。
【0030】先ず、図1に示す弾性表面波装置の製造方
法について説明する。図2は図1中の弾性表面波装置の
製造工程を示す図である。先ず、図2(a)の工程で圧
電基板1(例えば、LiTaO基板)を洗浄する(ウ
ェット洗浄)。次に、図2(b)の工程にて、例えばT
i及びAlCuのターゲットを備えたマグネトロン直流
スパッタ装置に上記LiTaO基板1を装填し、室温
にてTi膜、AlCu膜、Ti膜と交互に積層して多層
下地膜を形成する(下地形成ステップ)。この際、積層
の順番としては、例えばTi膜から始める。
【0031】この後、場合によって、図2(c)の工程
に進んで、スパッタ装置内において、多層下地膜2を形
成したLiTaO基板1を加熱する(下地加熱ステッ
プ)。これによって、Ti薄膜2aとAl(若しくはA
l合金)薄膜2bの結晶性が向上する(図中、結晶性が
向上したことを示すため、加熱後のTi薄膜2aとAl
(若しくはAl合金)薄膜2bにそれぞれ符号2a−
1、2b−1を付した)。ただし、この工程は必要に応
じて導入すればよく、後述するように熱処理工程の有無
による効果はわずかであった。
【0032】続いて、図2(d)の工程に進んで、スパ
ッタ装置から上記LiTaO基板1を取り出さずに、
多層下地膜2をの上に連続して所望の膜厚のAlCu膜
をインターディジタル電極膜3としてスパッタ成膜する
(電極形成ステップ)。
【0033】ところで、本発明の根幹となるAl(若し
くはAl合金)膜と圧電基板1との間に多層下地膜2を
挟むという技術的思想は、圧電基板1の格子寸法と(1
11)Al(若しくはAl合金)膜2bの格子寸法との
関係から導き出されたものである。
【0034】図3は実施の形態1による弾性表面波装置
の結晶格子モデルを示す図である。図において、4は3
6°回転Y−X LiTaO基板の酸素原子、5はT
i(001)膜のTi原子、6はAl(111)膜のA
l原子である。ここで、格子整合のモデルとしては、<
100>方向でLiTaOの基本サイズの格子を考
え、これと直角な方向には基本サイズの2倍の超格子を
考えた。この格子モデルにおいて、各格子整合性の値は
下記の通りになる。
【0035】<121>(電子出願の関係上、図3と表
記が異なる部分があるが同一の指数値を示している)方
向で、Ti(001)//LiTaO(TiとLiT
aO の酸素原子との格子整合性)が−1.2%であ
り、Al(111)//Ti(001)(AlとTiと
の格子整合性)が−3.1%であり、Al(111)/
/LiTaO(AlとLiTaOの酸素原子との格
子整合性)が−4.2%である。一方、<100>方向
で、Ti(001)//LiTaOが−0.8%であ
り、Al(111)//Ti(001)が−2.9%で
あり、Al(111)//LiTaOが−3.7%で
ある。
【0036】図3に示すように、<100>方向に関し
ては、AlとLiTaOの格子不整合が−3.7%と
大きいのに対して、TiとLiTaOとは−0.8%
と格子不整合性の値が小さい。一方、<100>方向と
直角な方向(ほぼ、<121>方向に相当する)では、
2倍の超格子を考えるので、やはり、AlとLiTaO
の格子不整合が−4.2%と大きく、TiとLiTa
とは−1.2%と格子不整合が小さくなる。
【0037】これらの格子不整合性を考慮すると、高配
向(111)Al(若しくはAl合金)膜を得るには、
極めて膜厚の薄いTi膜と、極めて膜厚の薄いAl(若
しくはAl合金)膜とを多層に積層した多層下地膜をA
l(若しくはAl合金)からなる電極膜と圧電基板との
間に設けることが効果的であることが推測できる。
【0038】また、<100>方向と直角な方向(ほぼ
<121>方向に相当する)に生じるAl(若しくはA
l合金)膜の内部応力に関しては、上述のように、Al
とLiTaOの格子不整合性の値が大きなマイナス値
となっており、格子不整合性を緩和する多層下地膜を適
用せずに直接にLiTaO基板上にAl(若しくはA
l合金)膜を形成すると、その膜には強い引っ張り応力
が発生することが予想される。
【0039】さらに、上述のように、AlとTiの格子
不整合性の値もその次に大きなマイナス値となってお
り、Ti単層下地膜を設けると若干引っ張り応力が緩和
されるものの、やはりAl(若しくはAl合金)膜には
引っ張り応力が発生することが予想される。
【0040】Al(若しくはAl合金)膜の内部応力の
存在は、引っ張り応力であれ、圧縮応力であれ、ストレ
スマイグレーション耐性を劣化させることが知られてお
り、内部応力をできるだけ低減させることが望ましい。
【0041】以上のことから、<100>方向と直角な
方向(ほぼ<121>方向に相当する)に関しても、<
100>方向と同様に、高配向(111)Al(若しく
はAl合金)膜を得るためには、極めて膜厚の薄いTi
膜と、極めて膜厚の薄いAl(若しくはAl合金)膜と
を多層に積層した多層下地膜をAl(若しくはAl合
金)からなる電極膜と圧電基板との間に設けることが効
果的であることが推測できる。
【0042】さらに、このような格子不整合を緩和でき
る多層下地膜の適用は、Al(若しくはAl合金)膜の
内部応力の低減にも効果的であることが推測できる。
【0043】次に、実施の形態1による弾性表面波装置
における(111)高配向Al合金膜の結晶性評価につ
いて説明する。この評価実験は、本発明の効果を明らか
にするために異なる成膜方法との比較という観点で行っ
た。なお、後述するAlCuは、Cu濃度が0.5wt
%のものを用いた。比較した成膜方法の内容を以下に示
す。
【0044】成膜方法I 洗浄した36°回転Y−X
LiTaO基板をスパッタ装置に装填し、Ti膜(膜
厚40Å)、AlCu膜(膜厚15Å)、Ti膜(膜厚
10Å)、AlCu膜(膜厚15Å)、Ti膜(膜厚1
0Å)と連続して積層して、多層下地膜を形成する。続
いて、スパッタ装置内で基板を100℃に加熱した後
に、AlCu膜を膜厚3970Åで成膜する。
【0045】成膜方法II 洗浄した36°回転Y−X
LiTaO基板をスパッタ装置に装填し、Ti膜
(膜厚40Å)、AlCu膜(膜厚15Å)、Ti膜
(膜厚10Å)、AlCu膜(膜厚15Å)、Ti膜
(膜厚10Å)と連続して積層して、多層下地膜を形成
する。続いて、基板加熱無しにAlCu膜を膜厚397
0Åで成膜する。
【0046】成膜方法III 洗浄した36°回転Y−
X LiTaO基板をスパッタ装置に装填し、Ti膜
(膜厚60Å)を積層して、単層下地膜を形成する。続
いて、基板加熱無しにAlCu膜を膜厚4000Åで成
膜する。
【0047】成膜方法IV 洗浄した36°回転Y−X
LiTaO基板をスパッタ装置に装填し、AlCu
膜を膜厚4000Åで成膜する。
【0048】以上の評価実験はすべて同じマグネトロン
直流スパッタ装置を用いた。ところで、多層下地膜のT
i膜とAlCu膜の膜厚については、マグネトロン直流
スパッタ装置の膜厚コントロールの可能な範囲を選ぶ必
要がある。
【0049】また、多層下地膜の役割は圧電基板の結晶
とAl(111)配向膜の結晶との格子定数の差異を緩
和させることを狙っており、その観点から容易に歪むこ
とが可能なようにTi膜、AlCu膜ともにできるだけ
薄いことが望ましい。
【0050】以上の点から、多層下地膜のTi膜とAl
Cu膜の各々1層の膜厚は5から50Å(0.5から5
nm)の範囲内に設定する。さらに、多層下地膜の層数
については、以下でも説明するが、少なくともTi膜3
層とAlCu膜2層の計5層あればその下地膜の上に形
成されたAlCu膜の(111)配向性が著しく向上す
る。
【0051】図4はX線回折ロッキングカーブ測定時の
圧電基板の結晶方位と測定系の関係を示す図であり、
(a)は<100>方向に直交する平面上でX線を入射
した場合を示し、(b)は<100>方向に平行する平
面上でX線を入射した場合を示している。図に示すよう
に、圧電基板の結晶方位とX線回折測定系の関係につい
て、2つの異なる測定構成でロッキングカーブを測定し
た。ここで、図4(a)に示す構成を測定構成I、図4
(b)に示す構成を測定構成IIと称することとする。
【0052】図5は上述した各成膜方法で形成したAl
Cu膜(電極膜)についてX線回折測定によって得られ
たロッキングカーブのピーク強度と半値幅の関係を示す
グラフ図であり、(a)は図4(a)の測定構成Iによ
る結果を示し、(b)は図4(b)の測定構成IIによ
る結果を示している。図において、黒丸記号のプロット
がピーク強度を示しており、黒塗り四角記号のプロット
が各ピークの半値幅を示している。ここで、ピーク強度
が大きく半値幅が小さいほどAl(111)の配向性が
良好であることを意味している。
【0053】図6は上述した成膜方法II、IVで形成
したAlCu膜(電極膜)のロッキングカーブを示す図
であり、(a)は成膜方法IVによるロッキングカー
ブ、(b)は成膜方法IIによるロッキングカーブを示
している。成膜方法IVによるAlCu単層膜を36°
回転Y−XのLiTaO基板上に積むだけでは、X線
回折測定によって得られる2θプロファイルに(11
1)配向のピークしか認められない。しかしながら、図
5及び図6から明らかなように、成膜方法IVについて
のロッキングカーブは、2つの極めてブロードなピーク
を有している。つまり、配向していると言えるレベルの
ロッキングカーブが得られなかった。
【0054】一方、成膜方法IIIのようにTi単層の
下地膜をAlCu膜とLiTaO基板の間に挟むと、
図5に示すように、成膜方法I、IIに比べると大幅に
配向性が劣るものの、Al(111)配向していると言
えるレベルとなる。
【0055】そして、成膜方法I、IIのように(Ti
/AlCu)多層下地膜を適用すると、図5に示すよう
に、成膜方法IIIのTi単層下地膜の場合と比較し
て、ロッキングカーブのピーク強度で2倍弱、半値幅で
半分となる(測定構成IIでは半値幅に差が無かっ
た)。このように、成膜方法I、IIによれば、極めて
配向性に優れたAl(111)高配向膜を得ることがで
きる。
【0056】なお、成膜方法I、IIの比較で、スパッ
タ装置内で多層下地膜を100℃加熱するかどうかは、
加熱をした成膜方法Iによる方のロッキングカーブピー
ク強度がわずかに大きくなったが、半値幅では差がみら
れなかった。
【0057】以上のように、多層下地膜を設けること
で、インターディジタル電極膜の結晶配向性を著しく向
上させることができる。
【0058】上述した多層下地膜において、インターデ
ィジタル電極膜の結晶配向性の向上という見地からみれ
ば、多層下地膜を構成する層数を多くする方が圧電基板
からの影響を遮断することができ望ましい。しかしなが
ら、電極膜全体に対するTi層の膜厚割合が増加する
と、電極膜の抵抗が増加してしまう。この結果、例えば
Ti層の膜厚割合が大きく、高抵抗となった電極膜を有
する弾性表面波フィルタを構成すると、そのフィルタ特
性の損失が増加してしまうという不具合が生じる。この
ため、多層下地膜の層数については、耐電力寿命向上の
観点以外に、作成しようとする弾性表面波装置の特性仕
様を勘案して選定する必要がある。
【0059】ここで、上述した説明を振り返ると、多層
下地膜をTi膜とAlCu膜で形成する場合、それらの
各膜厚を5から50Åという非常に薄い範囲に設定し、
少なくともTi膜が3層、AlCu膜が2層の計5層で
構成することで、多層下地膜上に形成されるAlCuか
らなる電極膜の(111)配向性を著しく向上させるこ
とができることを明らかにしている。
【0060】このように、本発明では、多層下地膜を構
成する各膜の膜厚が薄く、上部に形成される電極膜の配
向性を向上させるために必要な層数も5層程度からで良
い。これにより、上記構成条件を弾性表面波フィルタに
適用することで、電極膜の比抵抗を小さくすることがで
きると共に、損失の小さいフィルタ特性を実現すること
ができる。
【0061】なお、多層下地膜をTi膜2層、Al(若
しくはAl合金)膜1層で構成しても、上述したTi膜
を3層、AlCu膜を2層の計5層で構成した場合ほど
は電極膜の(111)配向性を向上させることはできな
い。しかしながら、成膜方法IVによる下地膜の無いA
l(若しくはAl合金)膜を電極膜としたものや成膜方
法IIIによるTi単層の下地膜を有する電極膜と比較
すれば、電極膜の配向性が優れることは言うまでもな
い。
【0062】次に、圧電基板の結晶方位の選定方法につ
いて説明する。先ず、36°回転Y−X以外の結晶方位
を有するLiTaO基板を用いた場合を説明する。図
7は42°回転Y−X LiTaO基板を用いた実施
の形態1による弾性表面波装置の結晶格子モデルを示す
図であり、42°回転Y−X LiTaOの酸素原子
とTi(001)膜、Al(111)膜の原子のそれぞ
れの格子配置を示している。格子整合のモデルとして
は、36°回転Y−X LiTaO基板の場合と同様
に、<100>方向でLiTaOの基本サイズの格子
を考え、これと直角な方向には基本サイズの2倍の超格
子を考えた。なお、図3と同一構成要素には同一符号を
付している。この格子モデルにおいて、各格子整合性の
値は下記の通りになる。
【0063】<131>(電子出願の関係上、図7と表
記が異なる部分があるが同一の指数値を示している)方
向で、Ti(001)//LiTaO(TiとLiT
aO の酸素原子との格子整合性)が4.3%であり、
Al(111)//Ti(001)(AlとTiとの格
子整合性)が−3.1%であり、Al(111)//L
iTaO(AlとLiTaOの酸素原子との格子整
合性)が1.1%である。
【0064】一方、<100>方向で、Ti(001)
//LiTaOが−0.8%であり、Al(111)
//Ti(001)が−2.9%であり、Al(11
1)//LiTaOが−3.7%である。
【0065】図7に示すように、<100>方向に関し
ては、格子整合の関係は36°回転Y−Xと同様に、A
lとLiTaOの格子不整合が−3.7%と大きいの
に対して、TiとLiTaOとは−0.8%と格子不
整合の値が小さい。一方、<100>方向と直角な方向
(ほぼ、<131>方向に相当する)では、AlとLi
TaOの格子不整合が1.1%と小さく、TiとLi
TaOとは4.3%と大きくなっている。
【0066】これらの格子不整合性を考慮すると、42
°回転Y−X LiTaO基板では、Al(若しくは
Al合金)電極膜とLiTaO基板との間に、Ti単
層膜を挟むだけでは、格子不整合による影響を十分に遮
断することができない。
【0067】このため、42°回転Y−X LiTaO
基板では、Al(若しくはAl合金)電極膜とLiT
aO基板との間に、本発明の多層下地膜を挟むことに
よって、はじめて格子不整合による影響を十分に遮断す
ることができ、高配向(111)Al膜(ないしはAl
合金)膜を得ることができる。
【0068】また、<100>方向と直角な方向(ほぼ
<131>方向に相当する)に生じるAl(若しくはA
l合金)膜の内部応力に関しては、上述のように、Al
とLiTaOの格子不整合性の値は1.1%とわずか
に圧縮応力が発生することが予想される。しかし、その
値は小さいため、36°回転Y−X LiTaOでは
強い引っ張り応力を生じてストレスマイグレーション耐
性の低下につながることが懸念され、多層下地膜を適用
して格子不整合を緩和させることで引っ張り応力を低減
しているのと対象的に、42°回転Y−X LiTaO
では、はじめから問題とならないことが予想される。
【0069】つまり、格子不整合に起因したAl(若し
くはAl合金)膜の内部応力に関しては、多層下地膜を
適用するにしても、36°回転Y−Xと42°回転Y−
Xの比較という観点では、後者の42°回転Y−X L
iTaOの方が有利と考えられる。
【0070】ここで、42°回転Y−X LiTaO
基板についても、上述した各成膜方法で試料を作成し、
36°回転Y−X LiTaO基板の場合と同様な評
価試験を行った結果について説明する。図8は上述した
各成膜方法で形成したAlCu膜(電極膜)についてX
線回折測定によって得られたロッキングカーブのピーク
強度と半値幅の関係を示すグラフ図であり、(a)は図
4(a)の測定構成Iによる結果を示し、(b)は図4
(b)の測定構成IIによる結果を示している。図にお
いて、黒丸記号のプロットがピーク強度を示しており、
黒塗り四角記号のプロットが各ピークの半値幅を示して
いる。ここで、「配向しない」とあるのは、X線回折測
定によって得られた2θプロファイルにおいて、(11
1)ピークに加えて(110)ピークも認められ、(1
11)に優先して配向しなかったことを意味している。
また、「配向性低」とあるのは、2θプロファイルにお
いて(111)ピークのみが認められたものの、ロッキ
ングカーブは極めてブロードであり、配向性が低かった
ことを意味している。
【0071】図8から明らかなように、成膜方法I、I
Iによって多層下地膜を形成したものは、測定構成I、
IIのいずれにおいても、成膜方法IIIやIVと比較
してロッキングカーブのピーク強度が大きく、且つ半値
幅が小さいことから、電極膜の配向性が著しく向上して
いることがわかる。
【0072】ここで、上述した各成膜方法による膜構成
を有する弾性表面波フィルタ(バンドパスフィルタ)を
試作し、それぞれの電気特性を評価した結果について説
明する。試料となる弾性表面波フィルタは、上述した各
成膜方法によって電極膜上にレジストパターンを形成し
たのち、ドライエッチングにて所望のインターディジタ
ル電極パターンを形成したものを用いた。具体的には、
127個の800MHz帯の2重モードのインターディ
ジタル電極からなる弾性表面波フィルタを製作した。
【0073】図9は上述した各成膜方法による電極膜を
有する弾性表面波フィルタの電気特性を示すグラフ図で
あり、(a)は各成膜方法と帯域中心周波数f0のばら
つきとの関係を示し、(b)は各成膜方法とピークロス
との関係を示している。図において、白丸記号のプロッ
トが36°回転Y−X LiTaO基板による結果を
示しており、白塗り四角記号のプロットが42°回転Y
−X LiTaO基板による結果を示している。ここ
で、「fばらつき」とは、バンドパスフィルタの帯域
中心周波数fの弾性表面波フィルタチップ間のばらつ
きを意味している。また、「ploss平均値」とは、
上記弾性表面波フィルタ(バンドパスフィルタ)のピー
クロス値の127個の平均値を意味している。なお、各
成膜方法の間で比較するために、成膜方法IV(AlC
u単層の電極膜)による弾性表面波フィルタのfばら
つき及びploss平均値を基準にして各成膜方法によ
るものの結果を規格化している。
【0074】図9に示すように、成膜方法III(Ti
単層下地膜を適用したもの)によるものと、本発明に対
応する成膜方法I、II(多層下地膜を適用したもの)
によるもののいずれも、成膜方法IV(AlCu単層電
極膜を適用したもの)による従来の弾性表面波装置に比
べて、fばらつきを30〜40%減少することができ
るという効果を確認した。
【0075】これは、下記の2つの要因が考えられる。
先ず、成膜方法III及び本発明に対応する成膜方法
I、IIによって、Al(111)配向性が向上するの
と同時に、AlCu電極膜が結晶的に安定するために、
電極膜の膜質のばらつきが減少し、結果的に電気特性と
してのfばらつきが減少することが考えられる。
【0076】この他に、LiTaO基板の上にTi層
をはじめに成膜する構成として、AlCu電極膜をLi
TaO基板に直接接触させないようにしたことから、
AlCu電極膜からLiTaO基板へ及ぼす影響、特
にAlCu電極膜中のCuが不均一にLiTaO基板
に拡散してLiTaO基板の表面弾性波伝搬特性に影
響することが抑制されたためと考えられる。
【0077】図9(b)に示すように、ploss平均
値では、成膜方法III及び本発明に対応する成膜方法
I、IIによって、2〜4%低減されている。これは、
AlCu電極膜の結晶性が従来のAlCu単層電極膜に
比べて向上したことにより、電極膜の比抵抗が減少した
ことと関係しているものと考えられる。
【0078】このように、多層下地膜を適用した本発明
の弾性表面波装置は、従来のものと比較して格段に電気
特性が向上していることがわかる。
【0079】次に、本発明の多層下地膜を用いた成膜方
法I、IIで形成した電極膜を有する900MHz帯の
2重モードの弾性表面波フィルタ(バンドパスフィル
タ)を試作し、耐電力寿命の評価を行った結果について
説明する。ここでも、比較のために、成膜方法IVによ
る同一構成の弾性表面波フィルタを試作した。
【0080】図10は上述した評価試験に使用した耐電
力寿命評価システムの構成を示す図である。図におい
て、7は信号発生器、8は増幅器、9はカプラ、10は
アイソレータ、11は試料加熱用のオーブン、12は試
料となる弾性表面波フィルタを実装するDUT基板、1
3はネットワークアナライザ、14は電力計、15は該
システムの各構成要素を試験内容に沿うように制御する
コンピュータである。
【0081】試験内容としては、試料である弾性表面波
フィルタを実装したDUT基板12を、オーブン11で
125℃の温度条件下におき、30dBmのパワーの信
号を該弾性表面波フィルタに印加した。この条件下で、
電力計14で得られる弾性表面波フィルタの損失値をコ
ンピュータ15が逐次取得し、その経時変化を求める。
また、適時、ネットワークアナライザ13を用いて、フ
ィルタ波形の確認を行なった。
【0082】図11は図10中の耐電力寿命評価システ
ムが取得した弾性表面波フィルタの損失の経時変化を示
すグラフ図である。図において、黒丸記号のプロット
は、42°回転Y−X LiTaO基板と成膜方法I
の組み合わせによる弾性表面波フィルタを示し、白丸記
号のプロットは、42°回転Y−X LiTaO基板
と成膜方法IIの組み合わせによる弾性表面波フィルタ
を示している。また、黒塗りの四角記号のプロットは、
36°回転Y−X LiTaO基板と成膜方法Iの組
み合わせによる弾性表面波フィルタを示し、白塗り四角
記号のプロットは、36°回転Y−X LiTaO
板と成膜方法IIの組み合わせによる弾性表面波フィル
タを示している。最後に、クロス記号のプロットは、4
2°回転Y−X LiTaO基板と成膜方法IVの組
み合わせによる弾性表面波フィルタを示している。ここ
で、損失の劣化量が0.5dBに達する時間をその弾性
表面波フィルタの寿命と定義した。
【0083】図11に示すように、成膜方法IVによる
42°回転Y−X LiTaO基板上にAlCu単層
電極膜を形成してなる弾性表面波フィルタは、およそ2
0分で寿命に達した(図中、クロス記号プロット参
照)。図には示さなかったが、同じく成膜方法IVによ
る36°回転Y−X LiTaO基板上にAlCu単
層電極膜を形成してなる弾性表面波フィルタも、同様に
20分程度で寿命に達した。
【0084】これに対して、成膜方法Iによる多層下地
膜を介してAlCu電極膜を42°回転Y−X LiT
aO基板上に形成してなる弾性表面波フィルタでは、
寿命が590時間となった(図中、黒丸記号プロット参
照)。また、同様に成膜方法Iで試作した、膜構成がA
lCu電極膜/多層下地膜/36°回転Y−X LiT
aO基板である弾性表面波フィルタでは、寿命が79
時間であった(図中、黒塗り四角記号のプロット参
照)。
【0085】さらに、成膜方法IIによる多層下地膜を
介してAlCu電極膜を42°回転Y−X LiTaO
基板上に形成してなる弾性表面波フィルタでは、寿命
が450時間となった(図中、白丸記号プロット参
照)。また、同様に、成膜方法IIによる膜構成がAl
Cu電極膜/多層下地膜/36°回転Y−X LiTa
基板である弾性表面波フィルタでは、寿命が49時
間であった(図中、白塗り四角記号のプロット参照)。
【0086】このように、AlCu単層電極膜からなる
弾性表面波フィルタと、本発明に対応する成膜方法I、
IIによる多層下地膜を適用した弾性表面波フィルタと
の耐電力寿命を比較すると、下記に示すように著しい向
上が見られた。
【0087】(1) 膜方法Iによる多層下地膜を介し
てAlCu電極膜を36°回転Y−XLiTaO基板
上に形成してなる弾性表面波フィルタで、耐電力寿命が
237倍となった。 (2) 成膜方法Iによる多層下地膜を介してAlCu
電極膜を42°回転Y−X LiTaO基板上に形成
してなる弾性表面波フィルタで、耐電力寿命が1770
倍となった。 (3) 成膜方法IIによる多層下地膜を介してAlC
u電極膜を36°回転Y−X LiTaO基板上に形
成してなる弾性表面波フィルタで、耐電力寿命が147
倍となった。 (4) 成膜方法IIによる多層下地膜を介してAlC
u電極膜を42°回転Y−X LiTaO基板上に形
成してなる弾性表面波フィルタで、耐電力寿命が135
0倍となった。
【0088】これらの値は、従来例2による弾性表面波
フィルタが耐電力寿命をおよそ80倍向上させた場合と
比較しても、著しく耐電力寿命の向上が図られているこ
とがわかる。
【0089】また、電子ビーム蒸着のAl(若しくはA
l合金)電極膜の耐電力性が、スパッタ成膜によるもの
より、一桁以上低いことが一般的に知られている。本発
明の説明においては、その点を考慮して、同じマグネト
ロン直流スパッタ装置で成膜した上で、本発明の多層下
地膜の適用効果を検討している。逆に言えば、電子ビー
ム蒸着での電極膜と比べるとすれば、上に示した耐電力
寿命向上効果が1桁以上大きくなることとなる。例え
ば、マグネトロン直流スパッタを用いて成膜方法Iによ
る多層下地膜を介してAlCu電極膜を42°回転Y−
X LiTaO基板上に形成してなる弾性表面波フィ
ルタでは、電子ビーム蒸着を用いて成膜方法IVによる
AlCu単層電極膜を42°回転Y−X LiTaO
基板上に形成してなる弾性表面波フィルタに比較して、
耐電力寿命が17700倍以上となると予想される。
【0090】上記評価結果において、36°回転Y−X
LiTaO基板を用いたものが、42°回転Y−X
LiTaO基板を用いたものより、耐電力寿命が短
くなっている。これは、下記のような要因が考えられ
る。
【0091】先ず、X線回折による電極膜の結晶性の比
較をしやすくするために、AlCu電極膜の膜厚を40
00Å付近に設定したことが挙げられる。つまり、この
膜厚では、LiTaO基板の伝搬損が42°回転Y−
Xに比べて36°回転Y−Xの方が大きく、その損失発
生の反作用として電極膜に応力負荷が加わり寿命が短く
なったものと考えられる。実際に、弾性表面波装置の初
期ロス値は、LiTaOの結晶方位が36°回転Y−
Xのものが42°回転Y−Xのものよりも約0.4dB
ほど劣っていた。
【0092】この耐電力寿命に関する圧電単結晶基板の
結晶方位依存性は、次の設計指針を示唆している。つま
り、弾性表面波フィルタ(例えばバンドバスフィルタの
場合)を設計する際に、必要な通過帯域幅や帯域内ロ
ス、帯域外減衰量などのフィルタの要求仕様を考慮し
て、インターディジタル電極膜の膜厚やピッチ、線幅な
どを選定するが、この際に、要求される耐電力寿命の観
点から、適正な圧電単結晶基板の結晶方位を選定する必
要があるということである。もっと具体的に言えば、電
極膜の膜厚を4000Å付近に設定するのであれば、L
iTaO基板の結晶方位は42°回転Y−X付近が望
ましく、電極膜の膜厚を2000Å付近に設定するので
あれば、38°回転Y−X付近が望ましい。なお、36
°回転Y−Xの場合は、電極膜の抵抗が問題とならない
範囲の例えば1000〜1500Å付近が望ましいもの
と考えられる。
【0093】この設計指針を、より一般的に言い換えれ
ば、圧電基板は、圧電単結晶の弾性表面波の振動に起因
して伝搬損の反作用として発生する多層下地膜を介して
Al(若しくはAl合金)電極膜に加わる応力負荷が所
定レベル以下となる結晶面を選定する必要があるという
ことである。
【0094】また、耐電力寿命の圧電単結晶基板の結晶
方位依存性の原因として、その他の要因として、電極膜
の内部応力が関与していると考えられる。36°回転Y
−XLiTaO基板や42°回転Y−X LiTaO
基板を用いた弾性表面波装置の弾性表面波(擬似表面
波)の伝搬方向はX方向、つまり、<100>方向であ
るが、このとき、基板の結晶格子の振動方向は上記伝搬
方向である<100>方向と直角な方向となる横波であ
る(特に、<001>方向が優勢である)。
【0095】したがって、耐電力寿命の観点からは、
(111)高配向のAl(若しくはAl合金)電極膜の
<100>方向と直角な方向の内部応力が小さいことが
望ましい。
【0096】ところで、図3及び図7の結晶格子モデル
で説明したように、<100>方向と直角な方向では、
36°回転Y−X LiTaO基板の場合、AlとL
iTaO基板の格子不整合が−4.2%と大きく、電
極膜に強い引っ張り応力を発生させる原因となる。一
方、42°Y−X LiTaO基板の場合、AlとL
iTaO基板の格子不整合は1.1%と小さく、電極
膜にはわずかの圧縮内部応力しか発生させない。つま
り、本発明の多層下地膜をAl(若しくはAl合金)電
極膜とLiTaO基板の間に挟み込むことで、格子不
整合が緩和され、結果として、電極膜の内部応力も緩和
されることになる。
【0097】しかしながら、もともと内部応力の発生が
小さい42°回転Y−X LiTaO基板は、36°
回転Y−X LiTaO基板よりも、耐電力寿命の観
点で有利であると考えられる。
【0098】以上のように、本発明の多層下地膜を圧電
単結晶基板とAl若しくはAl合金膜との間に挟むこと
で、著しい耐電力寿命向上効果を得られることがわかっ
た。また、圧電単結晶の結晶方位を、電極膜の膜厚やピ
ッチ、線幅などを考慮して、35°から45°の回転角
のY−XカットLiTaOのうち、本発明を適用する
弾性表面波装置の仕様に合わせて回転角度を選定するこ
とで、著しい耐電力寿命性能を持つ所望の弾性表面波装
置を実現することができる。
【0099】具体的に説明すると、各結晶方位の圧電基
板に対して多層下地膜を適用した結晶格子モデル及びそ
の試作品に対するX線回折などによる配向性の測定結果
を利用することで、上述したように圧電基板の結晶方位
に対応付けて電極膜の配向性及び内部応力の度合を求め
ることができる。また、圧電基板の結晶方位と電極膜の
膜厚やピッチ、線幅などから、圧電単結晶の弾性表面波
の振動に起因して多層下地膜を介して電極膜に加わる伝
搬損の反作用としての応力負荷の度合を求めることがで
きる。
【0100】これら圧電基板の結晶方位に応じた電極膜
の配向性や内部応力や応力負荷の度合を規定した弾性表
面波装置の電気特性や耐電力寿命などを求め、これらの
結果をデータベース化しておく。データベース化する方
法としては、弾性表面波装置の電気特性や耐電力寿命な
どの情報に対応付けて、その圧電基板の結晶方位に応じ
た配向性や内部応力や応力負荷の度合の所定レベルを設
定する。これらのデータを用いて、弾性表面波装置の仕
様に合わせて所望の電気特性や耐電力寿命を有する弾性
表面波装置を提供することができる。
【0101】上記例では、圧電基板としてLiTaO
について説明したが、LiNbOについても63°か
ら73°の回転角のY−Xカットのものから、同様にし
て弾性表面波装置の仕様に合致する回転角度を選定する
ことができる。
【0102】以上のように、この実施の形態1によれ
ば、圧電基板とAl若しくはAl合金の電極膜との間
に、Ti膜とAl若しくはAl合金膜とを交互に成膜し
た多層下地膜を設けたので、結晶方位が一方向に配向し
たAl若しくはAl合金電極膜を形成することができる
ことから、ストレスマイグレーション耐性を著しく向上
させることができる。
【0103】また、多層下地膜を適用した結晶格子モデ
ルを利用して配向性と共に電極膜に生じる内部応力につ
いても知見を得ることができることから、所望の仕様に
合致する弾性表面波装置を提供することができると共
に、その耐電力寿命を従来のものと比較して格段に向上
させることができる。
【0104】さらに、電極膜が高配向して結晶的に安定
となることから、弾性表面波装置の電気特性のばらつき
を低減することができる。
【0105】なお、上記実施の形態1では、AlCu膜
の(111)高配向膜を形成する例を説明したが、Al
Cuのかわりに、AlMgやAlLiなど他のAl合金
を用いても同様の効果がある。
【0106】また、上記実施の形態1では、電極膜を
(111)高配向させる例について説明したが、この他
の配向面として、例えば(110)配向させたもので
も、電極膜の圧電基板上に直接形成したものより耐電力
寿命を向上させることができる。
【0107】さらに、上記実施の形態1では、多層下地
膜をTi及びAl(若しくはAl合金)の2種類の金属
薄膜によって構成する例を示したが、その他の金属薄膜
を用いても良く、また、多層下地膜を適用する結晶格子
モデルとして表現できるものであれば、2種類以上の金
属薄膜で構成しても良い。
【0108】実施の形態2.図12はこの発明の実施の
形態2による弾性表面波装置の製造工程を示す図であ
る。この図に沿って実施の形態2による弾性表面波装置
の製造方法について説明する。
【0109】先ず、図12(a)の工程にて、洗浄した
圧電基板1(例えばLiTaO基板)にレジスト16
を塗布し、露光現像して所望のリフトオフ用のレジスト
パターンを形成する。次に、図12(b)の工程にて、
Tiの電子ビーム蒸着源、Al(若しくはAl合金)の
電子ビーム蒸着源とを備えた真空蒸着装置に、上記基板
1を装填し、TiとAl(若しくはAl合金)を交互に
蒸着して多層下地膜2を形成する(下地形成ステッ
プ)。
【0110】このとき、TiからはじめてTiで終わる
ようにする。各層の膜厚は上記実施の形態1においても
説明したように、各々5〜50Å(0.5〜5nm)の
範囲とし、少なくともTi層2aが3層以上、Al(若
しくはAl合金)層2bが2層以上とする。
【0111】続いて、図12(c)の工程に進んで、多
層下地膜2の上に所望の膜厚でAl(若しくはAl合
金)膜をインターディジタル電極膜3として蒸着する
(電極形成ステップ)。これらの一連の蒸着に際して
は、レジストパターンの変形・変質を抑制するため、基
板加熱は一切行わない。
【0112】最後に、図12(d)のリフトオフ工程に
おいて、インターディジタル電極となる部分以外の蒸着
膜とレジスト16をウェット除去して所望のパターン形
成をしたインターディジタル電極を得る。
【0113】以上のように、この実施の形態2によれ
ば、多層下地膜2を適用することによって基板加熱を行
わなくても(111)高配向のAl(若しくはAl合
金)膜を得ることができる。
【0114】
【発明の効果】以上のように、この発明によれば、圧電
基板と電極膜との間に設けられ、これらの結晶格子間の
格子不整合を緩和する2種類以上の金属薄膜(例えば、
チタン薄膜及びアルミニウム若しくはアルミニウム合金
薄膜)を交互に積層してなる多層下地膜を備えるので、
多層下地膜によって圧電基板と電極膜との格子不整合に
よる影響を十分に遮断することができることから、結晶
方位が一方向に高配向した電極膜を形成することがで
き、ストレスマイグレーション耐性、すなわち耐電力寿
命を著しく向上させることができるという効果がある。
また、電極膜が高配向して結晶的に安定となることか
ら、弾性表面波装置の電気特性のばらつきを低減するこ
ともできるという効果がある。
【0115】この発明によれば、多層下地膜の各薄膜の
1層の膜厚を0.5乃至5nmの範囲とするので、多層
下地膜が非常に薄いことから圧電基板に与える影響を低
減することができ、これによる特性変化を抑制すること
ができるという効果がある。また、多層下地膜にTiな
どを使用する場合、電極膜の比抵抗を低減できるという
効果がある。
【0116】この発明によれば、圧電基板が、電極膜を
構成する金属膜の結晶方位が一方向に配向する度合と、
圧電単結晶の弾性表面波の振動に起因して多層下地膜を
介して上記電極膜に加わる応力負荷が所定レベル以下と
なる結晶面を有するので、その耐電力寿命を従来のもの
と比較して格段に向上させることができるという効果が
ある。
【0117】この発明によれば、電極膜がアルミニウム
若しくはアルミニウム合金からなる場合、多層下地膜の
最下層をチタン薄膜とするので、電極膜の構成原子が圧
電基板に拡散することを抑制することができ、圧電基板
の伝搬特性への影響を押さえることができるという効果
がある。
【0118】この発明によれば、多層下地膜が少なくと
もチタン薄膜を2層以上、アルミニウム若しくはアルミ
ニウム合金膜を1層以上積層してなるので、多層下地膜
が非常に薄いことから圧電基板に与える影響を低減する
ことができ、これによる特性変化を抑制することができ
る。また、非常に薄い多層下地膜であっても高配向の電
極膜を得ることができるという効果がある。
【0119】この発明によれば、圧電基板上に、該圧電
基板と電極膜との結晶格子間の格子不整合を緩和する2
種類以上の金属薄膜を交互に積層して多層下地膜を形成
し、該多層下地膜上に電極膜を形成するので、簡単な成
膜工程にて結晶方位が一方向に高配向した電極膜を得る
ことができることから、安価なマグネトロン直流スパッ
タ装置や電子ビーム蒸着装置などを用いても、ストレス
マイグレーション耐性、すなわち、耐電力寿命を著しく
向上させた弾性表面波装置を製作することができるとい
う効果がある。
【0120】この発明によれば、多層下地膜を加熱して
構成薄膜の結晶性を向上させるので、電極膜の配向性を
向上させることができるという効果がある。
【0121】この発明によれば、電極膜の電極パターン
の形成にリフトオフ法を用いるので、基板加熱を行うこ
となく、結晶方位が高配向した電極を有する弾性表面波
装置を提供することができるという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1による弾性表面波装
置を示す断面図である。
【図2】 図1中の弾性表面波装置の製造工程を示す図
である。
【図3】 実施の形態1による弾性表面波装置の結晶格
子モデルを示す図である。
【図4】 X線回折ロッキングカーブ測定時の圧電基板
の結晶方位と測定系の関係を示す図である。
【図5】 各成膜方法で形成したAlCu膜(電極膜)
についてX線回折測定によって得られたロッキングカー
ブのピーク強度と半値幅の関係を示すグラフ図である。
【図6】 成膜方法II、IVで形成したAlCu膜
(電極膜)のロッキングカーブを示す図である。
【図7】 実施の形態1による弾性表面波装置の結晶格
子モデルの他例を示す図である。
【図8】 各成膜方法で形成したAlCu膜(電極膜)
についてX線回折測定によって得られたロッキングカー
ブのピーク強度と半値幅の関係を示すグラフ図である。
【図9】 各成膜方法による電極膜を有する弾性表面波
フィルタの電気特性を示すグラフ図である。
【図10】 耐電力寿命評価システムの構成を示す図で
ある。
【図11】 弾性表面波フィルタの損失の経時変化を示
すグラフ図である。
【図12】 この発明の実施の形態2による弾性表面波
装置の製造工程を示す図である。
【図13】 従来の弾性表面波装置を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
1 圧電基板、2 多層下地膜、2a,2a−1 Ti
薄膜、2b,2b−1Al(若しくはAl合金)薄膜、
3 インターディジタル電極膜(電極膜)、4 酸素原
子、5 Ti原子、6 Al原子、7 信号発生器、8
増幅器、9カプラ、10 アイソレータ、11 オー
ブン、12 DUT基板、13 ネットワークアナライ
ザ、14 電力計、15 コンピュータ、16 レジス
ト。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 村瀬 功 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 吉田 憲司 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 松元 光輝 兵庫県小野市匠台12番地 株式会社セルコ 内 Fターム(参考) 5J097 AA24 AA26 FF03 GG03 HA02 HA03

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 圧電基板と電極膜との間に設けられ、こ
    れらの結晶格子間の格子不整合を緩和する2種類以上の
    金属薄膜を交互に積層してなる多層下地膜を備えた弾性
    表面波装置。
  2. 【請求項2】 電極膜は、結晶方位が一方向に配向する
    金属膜からなることを特徴とする請求項1記載の弾性表
    面波装置。
  3. 【請求項3】 多層下地膜は、各薄膜の1層の膜厚が
    0.5乃至5nmの範囲であることを特徴とする請求項
    1記載の弾性表面波装置。
  4. 【請求項4】 圧電基板は、電極膜を構成する金属膜の
    結晶方位が一方向に配向する度合と、圧電単結晶の弾性
    表面波の振動に起因して多層下地膜を介して上記電極膜
    に加わる応力負荷が所定レベル以下となる結晶面を有す
    ることを特徴とする請求項1から請求項3のうちのいず
    れか1項記載の弾性表面波装置。
  5. 【請求項5】 電極膜は、アルミニウム若しくはアルミ
    ニウム合金からなり、多層下地膜は、チタン薄膜及びア
    ルミニウム若しくはアルミニウム合金薄膜からなること
    を特徴とする請求項1から請求項4のうちのいずれか1
    項記載の弾性表面波装置。
  6. 【請求項6】 多層下地膜は、最下層がチタン薄膜であ
    ることを特徴とする請求項5記載の弾性表面波装置。
  7. 【請求項7】 多層下地膜は、少なくともチタン薄膜を
    2層以上、アルミニウム若しくはアルミニウム合金薄膜
    を1層以上積層してなることを特徴とする請求項5又は
    請求項6記載の弾性表面波装置。
  8. 【請求項8】 圧電基板は、タンタル酸リチウム(Li
    TaO)又はニオブ酸リチウム(LiNbO)の単
    結晶からなることを特徴とする請求項1から請求項7の
    うちのいずれか1項記載の弾性表面波装置。
  9. 【請求項9】 圧電基板は、LiTaOである場合、
    その結晶方位についてX軸を中心にY軸からZ軸方向へ
    の回転角範囲35°乃至45°のうち、電極膜を構成す
    るアルミニウム若しくはアルミニウム合金の結晶方位が
    一方向に配向する度合と、LiTaO単結晶の弾性表
    面波の振動に起因して多層下地膜を介して上記電極膜に
    加わる応力負荷が所定レベル以下となる回転角でカット
    した結晶面を有することを特徴とする請求項8記載の弾
    性表面波装置。
  10. 【請求項10】 圧電基板は、LiNbOである場
    合、その結晶方位についてX軸を中心にY軸からZ軸方
    向への回転角範囲63°乃至73°のうち、電極膜を構
    成するアルミニウム若しくはアルミニウム合金の結晶方
    位が一方向に配向する度合と、LiNbO単結晶の弾
    性表面波の振動に起因して多層下地膜を介して上記電極
    膜に加わる応力負荷が所定レベル以下となる回転角でカ
    ットした結晶面を有することを特徴とする請求項8記載
    の弾性表面波装置。
  11. 【請求項11】 圧電基板上に、該圧電基板と電極膜と
    の結晶格子間の格子不整合を緩和する2種類以上の金属
    薄膜を交互に積層して多層下地膜を形成するステップ
    と、上記多層下地膜上に上記電極膜を形成する電極形成
    ステップとを備えた弾性表面波装置の製造方法。
  12. 【請求項12】 電極形成ステップにて、結晶方位が一
    方向に配向したアルミニウム若しくはアルミニウム合金
    からなる電極膜を形成することを特徴とする請求項11
    記載の弾性表面波装置の製造方法。
  13. 【請求項13】 下地形成ステップにて、チタン薄膜及
    びアルミニウム若しくはアルミニウム合金薄膜を積層し
    て多層下地膜を形成することを特徴とする請求項11又
    は請求項12記載の弾性表面波装置の製造方法。
  14. 【請求項14】 下地形成ステップにて、チタン薄膜を
    最下層として多層下地膜を形成することを特徴とする請
    求項13記載の弾性表面波装置の製造方法。
  15. 【請求項15】 下地形成ステップにて形成された多層
    下地膜を加熱する下地加熱ステップを備えたことを特徴
    とする請求項11から請求項14のうちのいずれか1項
    記載の弾性表面波装置の製造方法。
  16. 【請求項16】 電極膜の電極パターンの形成にリフト
    オフ法を用いることを特徴とする請求項11から請求項
    15のうちのいずれか1項記載の弾性表面波装置の製造
    方法。
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