JP2003186193A - 平版印刷版の製版方法、平版印刷方法、平版印刷原版および疎水性ポリマー微粒子 - Google Patents

平版印刷版の製版方法、平版印刷方法、平版印刷原版および疎水性ポリマー微粒子

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JP2003186193A
JP2003186193A JP2001384096A JP2001384096A JP2003186193A JP 2003186193 A JP2003186193 A JP 2003186193A JP 2001384096 A JP2001384096 A JP 2001384096A JP 2001384096 A JP2001384096 A JP 2001384096A JP 2003186193 A JP2003186193 A JP 2003186193A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 耐刷性のある平版印刷版を製版する。 【解決手段】 親水性支持体上に、複数のo−キノジメ
タン構造またはその前駆体構造を有する化合物と疎水性
ポリマーとを含む画像形成層が設けられている平版印刷
原版を画像状に加熱して、化合物を重合させる工程、そ
して、加熱していない部分の画像形成層を除去する工程
により平版印刷版を製版する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、平版印刷版の製版
方法に関する。特に本発明は、デジタル信号に基づいた
レーザー光の走査露光によって画像を記録できる平版印
刷版の製版方法に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、平版印刷版は、印刷過程でイン
クを受容する親油性の画像部と湿し水を受容する親水性
の非画像部とから成る。従来の平版印刷版は、親水性支
持体上に親油性の感光性樹脂層を設けたPS版に、リス
フィルムを介してマスク露光した後、非画像部を現像液
によって溶解除去することにより製版することが普通で
あった。近年では、コンピュータを用いて画像情報をデ
ジタル情報として電子的に処理し、蓄積して、出力す
る。従って、デジタル画像情報に応じた画像形成処理
は、レーザ光の様な指向性の高い活性放射線を用いる走
査露光により、リスフィルムを介することなく、平版印
刷版用原版に対して直接画像形成を行うことが望まし
い。このようにデジタル画像情報からリスフィルムを介
さずに印刷版を製版する技術は、コンピュータ・トゥ・
プレート(CTP)と呼ばれている。従来のPS版によ
る印刷版の製版方法を、コンピュータ・トゥ・プレート
(CTP)技術で実施しようとすると、レーザ光の波長
領域と感光性樹脂の感光波長領域とが一致しないとの問
題がある。
【0003】また、従来のPS版では、露光の後、非画
像部を溶解除去する工程(現像処理)が不可欠である。
さらに、現像処理された印刷版を水洗したり、界面活性
剤を含有するリンス液で処理したり、アラビアガムや澱
粉誘導体を含む不感脂化液で処理する後処理工程も必要
であった。これらの付加的な湿式の処理が不可欠である
という点は、従来のPS版の大きな検討課題となってい
る。前記のデジタル処理によって製版工程の前半(画像
形成処理)が簡素化されても、後半(現像処理)が煩雑
な湿式処理では、簡素化による効果が不充分である。特
に近年は、地球環境への配慮が産業界全体の大きな関心
事となっている。環境への配慮からも、湿式の後処理
は、簡素化するか、乾式処理に変更するか、さらには無
処理化することが望ましい。
【0004】処理工程をなくす方法の一つに、露光済み
の印刷版用原版を印刷機のシリンダーに装着し、シリン
ダーを回転しながら湿し水とインキを供給することによ
って、印刷版用原版の非画像部を除去する機上現像と呼
ばれる方法がある。すなわち、印刷版用原版を露光後、
そのまま印刷機に装着し、通常の印刷過程の中で処理が
完了する方式である。このような機上現像に適した平版
印刷版用原版は、湿し水やインキ溶剤に可溶な感光層を
有し、しかも、明室に置かれた印刷機上で現像されるの
に適した明室取り扱い性を有することが必要とされる。
従来のPS版では、このような要求を満足することは、
実質的に不可能であった。
【0005】特許2938397号公報には、親水性バ
インダーポリマー中に熱可塑性疎水性重合体微粒子を分
散させた感光層を親水性支持体上に設けた平版印刷原版
が記載されている。同公報の記載によると、製版におい
て、赤外線レーザ露光して熱可塑性疎水性重合体微粒子
を熱により合体(融着)させて画像形成した後、印刷機
の版胴上に版を取り付け、湿し水及び/またはインキを
供給することにより機上現像できる。この平版印刷版用
原版は感光域が赤外領域であることにより、明室での取
り扱い性も有している。しかしながら、上記のような高
分子重合体粒子を露光によって生じる熱で融着、合体さ
せる画像形成方法では、機上現像をしやすくすると耐刷
力が得にくく、耐刷力を高めると機上現像性や、印刷で
の汚れ難さが劣化するといった、両立させるのが困難な
問題があった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、耐刷
性のある平版印刷版を製版することである。また本発明
の目的は、感度および解像度が高い平版印刷原版を提供
することでもある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、下記(1)〜
(4)の平版印刷版の製版方法、下記(5)の平版印刷
方法、下記(6)の平版印刷原版および下記(7)の疎
水性ポリマー微粒子を提供する。 (1)親水性支持体上に、複数のo−キノジメタン構造
またはその前駆体構造を有する化合物と疎水性ポリマー
とを含む画像形成層が設けられている平版印刷原版を画
像状に加熱して、化合物を重合させる工程、そして、加
熱していない部分の画像形成層を除去する工程からなる
平版印刷版の製版方法。 (1a)化合物が、ベンゾシクロブテン構造をo−キノ
ジメタン構造の前駆体構造として有する(1)に記載の
製版方法。 (1b)疎水性ポリマーが、さらに酸性基を有し、そし
て、アルカリ性溶出液で処理することにより加熱してい
ない部分の画像形成層を除去する(1)に記載の製版方
法。 (1c)画像形成層が、さらに複数のジエノフィル構造
を有する化合物を含む(1)に記載の製版方法。 (1d)疎水性ポリマーが、さらにジエノフィル構造を
含む側鎖を有する(1)に記載の製版方法。
【0008】(2)親水性支持体上に、複数のo−キノ
ジメタン構造またはその前駆体構造を有する化合物、疎
水性ポリマーおよび光熱変換剤を含む画像形成層が設け
られている平版印刷原版をレーザー光で走査して画像状
に加熱し、化合物を重合させる工程、そして、加熱して
いない部分の画像形成層を除去する工程からなる平版印
刷版の製版方法。 (2a)化合物が、ベンゾシクロブテン構造をo−キノ
ジメタン構造の前駆体構造として有する(2)に記載の
製版方法。 (2b)疎水性ポリマーが、さらに酸性基を有し、そし
て、アルカリ性溶出液で処理することにより加熱してい
ない部分の画像形成層を除去する(2)に記載の製版方
法。 (2c)画像形成層が、さらに複数のジエノフィル構造
を有する化合物を含む(2)に記載の製版方法。 (2d)疎水性ポリマーが、さらにジエノフィル構造を
含む側鎖を有する(2)に記載の製版方法。
【0009】(3)親水性支持体上に、複数のo−キノ
ジメタン構造またはその前駆体構造を有する化合物を含
む微粒子と親水性ポリマーとを含む画像形成層が設けら
れている平版印刷原版を画像状に加熱して、化合物を重
合させ、それにより微粒子を融着させる工程、そして、
平版印刷原版を水性媒体で処理し、加熱していない部分
の画像形成層を除去する工程からなる平版印刷版の製版
方法。 (3a)化合物が、ベンゾシクロブテン構造をo−キノ
ジメタン構造の前駆体構造として有する(3)に記載の
製版方法。 (3b)微粒子がさらに疎水性ポリマーを含む(3)に
記載の製版方法。 (3c)画像形成層が、さらに複数のジエノフィル構造
を有する化合物を含む(3)に記載の製版方法。 (3d)疎水性ポリマーが、さらにジエノフィル構造を
含む側鎖を有する(3b)に記載の製版方法。
【0010】(4)親水性支持体上に、複数のo−キノ
ジメタン構造またはその前駆体構造を有する化合物を含
む微粒子、親水性ポリマーおよび光熱変換剤を含む画像
形成層が設けられている平版印刷原版をレーザー光で走
査して画像状に加熱し、化合物を重合させ、それにより
微粒子を融着させる工程、そして、平版印刷原版を水性
媒体で処理し、加熱していない部分の画像形成層を除去
する工程からなる平版印刷版の製版方法。 (4a)化合物が、ベンゾシクロブテン構造をo−キノ
ジメタン構造の前駆体構造として有する(4)に記載の
製版方法。 (4b)微粒子がさらに疎水性ポリマーを含む(4)に
記載の製版方法。 (4c)画像形成層が、さらに複数のジエノフィル構造
を有する化合物を含む(4)に記載の製版方法。 (4d)疎水性ポリマーが、さらにジエノフィル構造を
含む側鎖を有する(4b)に記載の製版方法。
【0011】(5)親水性支持体上に、複数のo−キノ
ジメタン構造またはその前駆体構造を有する化合物を含
む微粒子と親水性ポリマーとを含む画像形成層が設けら
れている平版印刷原版を画像状に加熱して、化合物を重
合させ、それにより微粒子を融着させる工程、平版印刷
原版を印刷機に装着して印刷機を稼動させ、湿し水、イ
ンク、または擦りにより加熱していない部分の画像形成
層を除去し、これにより平版印刷版を製版する工程、そ
して、さらに湿し水と油性インクとを供給し、製版され
た平版印刷版で印刷する工程からなる平版印刷方法。 (5a)化合物が、ベンゾシクロブテン構造をo−キノ
ジメタン構造の前駆体構造として有する(5)に記載の
平版印刷方法。 (5b)微粒子がさらに疎水性ポリマーを含む(5)に
記載の平版印刷方法。 (5c)画像形成層が、さらに複数のジエノフィル構造
を有する化合物を含む(5)に記載の平版印刷方法。 (5d)疎水性ポリマーが、さらにジエノフィル構造を
含む側鎖を有する(5b)に記載の平版印刷方法。
【0012】(6)親水性支持体上に、複数のベンゾシ
クロブテン構造を有する化合物、複数のジエノフィル構
造を有する化合物および光熱変換剤を含む画像形成層が
設けられている平版印刷原版。 (6a)画像形成層が、複数のベンゾシクロブテン構造
を有する化合物を含む微粒子を含む(6)に記載の平版
印刷原版。 (6b)微粒子がさらに疎水性ポリマーを含む(6a)
に記載の平版印刷原版。 (6c)複数のジエノフィル構造を有する化合物が、微
粒子に含まれる疎水性ポリマーである(6b)に記載の
平版印刷原版。 (7)複数のベンゾシクロブテン構造を有する化合物と
複数のベンゾシクロブテン構造を有する疎水性ポリマー
とを含む疎水性ポリマー微粒子。
【0013】
【発明の実施の形態】[複数のo−キノジメタン構造ま
たはその前駆体構造を有する化合物]本発明では、複数
のo−キノジメタン構造またはその前駆体構造を有する
化合物を用いる。o−キノジメタン構造は、下記式で定
義できる。
【0014】
【化1】
【0015】上記式において、Rは、水素原子または一
価の基である。複数のo−キノジメタン構造を有する化
合物では、少なくとも一つのRが、連結基を介して、他
のo−キノジメタン構造と結合する。o−キノジメタン
構造は反応性が高いため、その前駆体構造を疎水性ポリ
マーの側鎖に導入することが好ましい。前駆体構造は、
何らかの反応により、o−キノジメタン構造を形成でき
る構造である。平版印刷版の製版では、加熱により疎水
性ポリマーを架橋させるため、加熱によりo−キノジメ
タン構造を形成できる前駆体構造が好ましい。ベンゾシ
クロブテン構造が、特に好ましいo−キノジメタン構造
の前駆体構造である。以下に示すように、ベンゾシクロ
ブテン構造は、加熱によりo−キノジメタン構造を形成
できる。
【0016】
【化2】
【0017】o−キノジメタン構造は、二量化反応によ
り、互いに結合することができる。従って、複数のo−
キノジメタン構造またはその前駆体構造を有する化合物
は、o−キノジメタン構造の二量化反応によって重合で
きる。二量化反応では、以下に示すように、二つのo−
キノジメタン構造が、中間体(a)を経由して、シクロ
オクタジエン環(b1)またはスピロ結合(b2)を生
成する。また、中間体(a)を経由して多量化する(b
3)こともある。
【0018】
【化3】
【0019】o−キノジメタン構造は、Diels-Alder 反
応により、互いに結合することもできる。すなわち、複
数のo−キノジメタン構造またはその前駆体構造を有す
る化合物は、複数のジエノフィル構造を有する化合物と
のDiels-Alder 反応によっても重合できる。Diels-Alde
r 反応では、以下に示すように、二つのo−キノジメタ
ン構造が、複数のジエノフィル構造を有する化合物
(c)と反応し、二つのシクロヘキセン環を形成して連
結する(d)ことにより結合する。下記式における化合
物(c)は、二つのジエノフィル構造を有する化合物で
あり、Lは二価の連結基である。
【0020】
【化4】
【0021】複数のベンゾシクロブテン構造をo−キノ
ジメタン構造の前駆体構造として有する化合物が特に好
ましい。複数のベンゾシクロブテン構造を有する化合物
は、下記式(I)で表されることが好ましい。
【0022】
【化5】
【0023】式(I)において、R1 は、ベンゾシクロ
ブテン環の置換基であり、mは、0、1、2、3、4ま
たは5である。ベンゾシクロブテン環の置換基の例に
は、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、アミノ、ヒ
ドロキシル、メルカプト、カルボキシル、スルホ、硫酸
エステル基、ホスホノ、リン酸エステル基、シアノ、脂
肪族基、芳香族基、複素環基、−O−R、−S−R、−
CO−R、−NH−R、−N(−R)2 、−N+ (−
R) 3 、−CO−O−R、−O−CO−R、−CO−N
H−R、−NH−CO−Rおよび−P(=O)(−O−
R)2 が含まれる。上記Rは、それぞれ、脂肪族基、芳
香族基または複素環基である。カルボキシル、スルホ、
硫酸エステル基、ホスホノおよびリン酸エステル基は、
水素原子が解離していても、塩の状態になっていてもよ
い。ベンゾシクロブテン環の置換基は、ハロゲン原子、
アミノ、脂肪族基、芳香族基、−O−R、−S−R、−
NH−R、−N(−R)2 および−NH−CO−Rが好
ましい。
【0024】脂肪族基は、環状構造または分岐構造を有
していてもよい。環状脂肪族基に、他の脂肪族環、芳香
族環または複素環が縮合していてもよい。脂肪族基の炭
素原子数は、1乃至40であることが好ましく、1乃至
30であることがより好ましく、1乃至20であること
がさらに好ましく、1乃至15であることがさらにまた
好ましく、1乃至12であることが最も好ましい。脂肪
族基は、置換基を有していてもよい。脂肪族基の置換基
の例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、アミ
ノ、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキシル、スル
ホ、硫酸エステル基、ホスホノ、リン酸エステル基、シ
アノ、芳香族基、複素環基、−O−R、−S−R、−C
O−R、−NH−R、−N(−R)2、−N+ (−R)
3 、−CO−O−R、−O−CO−R、−CO−NH−
R、−NH−CO−Rおよび−P(=O)(−O−R)
2 が含まれる。上記Rは、それぞれ、脂肪族基、芳香族
基または複素環基である。カルボキシル、スルホ、硫酸
エステル基、ホスホノおよびリン酸エステル基は、水素
原子が解離していても、塩の状態になっていてもよい。
一価の脂肪族基は、アルキル基、置換アルキル基、アル
ケニル基、置換アルケニル基、アルキニル基または置換
アルキニル基を意味する。
【0025】芳香族基に、脂肪族環または複素環が縮合
していてもよい。芳香族基は、置換基を有していてもよ
い。芳香族基の置換基の例には、ハロゲン原子(F、C
l、Br、I)、アミノ、ヒドロキシル、メルカプト、
カルボキシル、スルホ、硫酸エステル基、ホスホノ、リ
ン酸エステル基、シアノ、脂肪族基、芳香族基、複素環
基、−O−R、−S−R、−CO−R、−NH−R、−
N(−R)2 、−N+ (−R)3 、−CO−O−R、−
O−CO−R、−CO−NH−R、−NH−CO−Rお
よび−P(=O)(−O−R)2 が含まれる。上記R
は、それぞれ、脂肪族基、芳香族基または複素環基であ
る。カルボキシル、スルホ、硫酸エステル基、ホスホノ
およびリン酸エステル基は、水素原子が解離していて
も、塩の状態になっていてもよい。一価の芳香族基は、
アリール基または置換アリール基を意味する。複素環基
は、無置換複素環基または置換複素環基を意味する。複
素環基に他の複素環、脂肪族環または芳香族環が縮合し
ていてもよい。複素環は、3員環乃至7員環であること
が好ましい。複素環の複素原子は、窒素原子、酸素原子
または硫黄原子であることが好ましい。置換複素環の置
換基の例には、芳香族基の置換基の例に加えて、オキソ
(=O)が含まれる。
【0026】式(I)において、L1 は、n価の有機残
基であり、nは、2、3、4、5または6である。L1
は、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−、−CO
−、−SO−、−SO2 −、−NH−、−N<、−PO
<およびそれらの組み合わせから選ばれるn価の有機残
基であることが好ましく、二価または三価の脂肪族基、
二価または三価の芳香族基、二価または三価の複素環
基、−O−、−CO−、−NH−、−N<およびそれら
の組み合わせから選ばれるn価の有機残基であることが
さらに好ましい。L1 がベンゾシクロブテン環に結合す
る部分は、−O−、−CO−、−NH−または二価の脂
肪族基であることが好ましく、−O−または−CO−で
あることがさらに好ましく、−O−であることが最も好
ましい。L1 は、ベンゾシクロブテン環の4員環炭素原
子に結合することが特に好ましい。以下に、式(I)で
表される化合物の例を示す。
【0027】
【化6】
【0028】
【化7】
【0029】
【化8】
【0030】
【化9】
【0031】
【化10】
【0032】
【化11】
【0033】
【化12】
【0034】
【化13】
【0035】
【化14】
【0036】[合成例1] (化合物I−1の合成)窒素気流下、56.1gのカリ
ウムt−ブトキシドに、150mlのエチレングリコー
ルを滴下し、完全に溶解させた。次に、この溶液中に、
DeCamp et al(J.Org.Chem.,1981,46,3918)の方法に従い
合成した、1−ブロモベンゾシクロブテン45.3gを
滴下し、滴下終了後、80℃に昇温し7時間攪拌した。
室温まで冷却した後、氷水中に注ぎ、希塩酸を用いてp
Hを6とし、有機物を酢酸エチルで抽出した。溶媒を留
去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにて精製
し、20.6gの1−(2’−ヒドロキシエトキシ)−
ベンゾシクロブテンを得た。得られた1−(2’−ヒド
ロキシエトキシ)−ベンゾシクロブテン6.56gと、
トリエチルアミン4.44gをテトラヒドロフラン30
mlに溶解し、0℃に冷却した。この溶液に、コハク酸
クロリド3.1gを滴下しした。滴下終了後、室温に昇
温し4時間攪拌した後、氷水中に注ぎ、有機物を酢酸エ
チルで抽出した。溶媒を留去後、シリカゲルカラムクロ
マトグラフィーにて精製し、6.8gの化合物I−1を
得た。
【0037】[合成例2] (化合物I−2の合成)合成例1において、コハク酸ク
ロリド3.1gを、フマル酸クロリド3.1gに変えた
ほかは、合成例1と同様にして、5.6gの化合物I−
2を得た。
【0038】[合成例3] (化合物I−3の合成)合成例1において、コハク酸ク
ロリド3.1gを、アジピン酸クロリド3.66gに変
えたほかは、合成例1と同様にして、5.5gの化合物
I−3を得た。
【0039】[合成例4] (化合物I−7の合成)合成例1において、1−(2’
−ヒドロキシエトキシ)−ベンゾシクロブテン6.56
gを5.41gに、コハク酸クロリド3.1gを、トリ
メシン酸クロリド2.65gに、トリエチルアミンの量
を4.44gから3.33gに変えたほか、合成例1と
同様にして、5.8gの化合物I−7を得た。
【0040】その他の化合物も、各合成例と同様の方法
で合成できる。複数のo−キノジメタン構造またはその
前駆体構造を有する化合物は、画像形成層に5乃至90
質量%含まれていることが好ましく、30乃至80質量
%含まれていることがさらに好ましい。
【0041】[複数のジエノフィル構造を有する化合
物]疎水性ポリマーのみでも架橋させることができる
が、さらに複数のジエノフィル構造を有する化合物を用
いてDiels-Alder 反応を起こす方がより強力に架橋させ
ることができる。すなわち、印刷版としては、耐刷性を
さらに向上させることができる。ジエノフィル構造は、
一般にDiels-Alder 反応において定義されている不飽和
結合と同義である。すなわち、ジエンと反応してDiels-
Alder 反応を生じる不飽和結合であれば、炭素−炭素二
重結合(>C=C<)、炭素−炭素三重結合(−C≡C
−)のみならず、カルボニル基(>C=O)、ニトロソ
基(−N=O)、アゾ結合(−N=N−)のような炭素
以外の原子が関与した不飽和結合も含まれる。ただし、
炭素−炭素二重結合(>C=C<)が最も好ましい。
【0042】複数のジエノフィル構造を有する化合物
は、不飽和カルボン酸(例、アクリル酸、メタクリル
酸)と多価アルコール(例、グリコール、グリセロー
ル、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール)
とのエステルまたは不飽和ジカルボン酸(例、マレイン
酸)または不飽和ジカルボン酸無水物(例、無水マレイ
ン酸)とポリアミン(例、メチレンジアミン、フェニレ
ンジアミン、ジ(アミノフェニル)メタン)との縮合に
より得られるイミドであることが特に好ましい。複数の
ジエノフィル構造を有する化合物は、下記式(II)で表
されることが好ましい。
【0043】(II)(Di−)n 2
【0044】式(II)において、Diは、ジエノフィル
構造である。式(II)において、L2 は、n価の有機残
基であり、nは、2、3、4、5または6である。L2
は、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O−、−CO
−、−SO−、−SO2 −、−NH−、−N<、−PO
<およびそれらの組み合わせから選ばれるn価の有機残
基であることが好ましく、二価、三価または四価の脂肪
族基、二価、三価または四価の芳香族基、二価、三価ま
たは四価の複素環基、−O−、−CO−、−NH−、−
N<およびそれらの組み合わせから選ばれるn価の有機
残基であることがさらに好ましい。L2 がジエノフィル
構造に結合する部分は、−O−、−CO−、−NH−ま
たは脂肪族基(二価、三価または四価)であることが好
ましい。以下に、式(II)で表される化合物の例を示
す。
【0045】
【化15】
【0046】
【化16】
【0047】
【化17】
【0048】
【化18】
【0049】複数のジエノフィル構造を有する化合物と
して、複数のベンゾシクロブテン構造を有するポリマー
を用いることもできる。ポリマーは、疎水性ポリマー
(後述)として機能することもできる。ジエノフィル構
造は、ポリマーの側鎖に含まれることが好ましい。ポリ
マーの主鎖は、炭化水素(ポリオレフィン)、ポリエス
テル、ポリアミド、ポリイミド、ポリウレア、ポリウレ
タン、ポリエーテルおよびそれらの組み合わせから選ば
れることが好ましい。炭化水素主鎖が特に好ましい。
【0050】ポリマーの主鎖は、ジエノフィル構造を含
む側鎖以外にも置換基を有することができる。置換基の
例には、ハロゲン原子(F、Cl、Br、I)、ヒドロ
キシル、メルカプト、カルボキシル、スルホ、硫酸エス
テル基、ホスホノ、リン酸エステル基、シアノ、脂肪族
基、芳香族基、複素環基、−O−R、−S−R、−CO
−R、−NH−R、−N(−R)2 、−N+ (−
R)3 、−CO−O−R、−O−CO−R、−CO−N
H−R、−NH−CO−Rおよび−P(=O)(−O−
R)2 が含まれる。上記Rは、それぞれ、脂肪族基、芳
香族基または複素環基である。カルボキシル、スルホ、
硫酸エステル基、ホスホノおよびリン酸エステル基は、
水素原子が解離していても、塩の状態になっていてもよ
い。主鎖の複数の置換基が結合して、脂肪族環または複
素環を形成してもよい。形成される環は、主鎖とスピロ
結合の結合の関係になっていてもよい。形成される環
は、置換基を有していてもよい。置換基の例には、上記
主鎖の置換基に加えて、オキソ(=O)が含まれる。
【0051】ポリマーは、下記式(III)で表されるジエ
ノフィル構造を側鎖に含む繰り返し単位を有することが
好ましい。
【0052】
【化19】
【0053】式(III)において、Diは、ジエノフィル
構造である。式(III)において、R3 は、水素原子、ハ
ロゲン原子(F、Cl、Br、I)または炭素原子数が
1乃至10のアルキル基である。R3 は、水素原子また
は炭素原子数が1乃至6のアルキル基であることが好ま
しく、水素原子または炭素原子数が1乃至3のアルキル
基であることがさらに好ましく、水素原子またはメチル
であることが最も好ましい。
【0054】式(III)において、L3 は、それぞれ独立
に、単結合または二価の連結基である。二価の連結基
は、−CO−、−O−、−S−、−NH−、−SO
2 −、アルキレン基、アリーレン基およびそれらの組み
合わせから選ばれることが好ましい。上記アルキレン基
の炭素原子数は、1乃至12であることが好ましく、1
乃至8であることがさらに好ましく、1乃至6であるこ
とが最も好ましい。アルキレン基は、環状構造または分
岐構造を有していてもよい。アルキレン基は、置換基を
有していてもよい。アルキレン基の置換基は、前述した
脂肪族基の置換基と同様である。上記アリーレン基は、
フェニレンまたはナフチレンであることが好ましく、フ
ェニレンであることがさらに好ましく、p−フェニレン
であることが最も好ましい。アリーレン基は、置換基を
有していてもよい。アリーレン基の置換基は、前述した
芳香族基の置換基と同様である。以下に、L3 の例を示
す。左側が主鎖に結合し、右側がジエノフィル構造(D
i)に結合する。ALはアルキレン基である。
【0055】L30:単結合 L31:−O− L32:−CO−O− L33:−CO−O−AL− L34:−CO−O−AL−O− L35:−CO−O−AL−O−CO− L36:−CO−NH− L37:−CO−NH−AL−O− L38:−CO−NH−AL−NH−
【0056】以下に、ジエノフィル構造を有する繰り返
し単位の例を示す。
【0057】
【化20】
【0058】
【化21】
【0059】
【化22】
【0060】
【化23】
【0061】
【化24】
【0062】
【化25】
【0063】
【化26】
【0064】
【化27】
【0065】
【化28】
【0066】ジエノフィル構造を有する繰り返し単位の
みからなるホモポリマーを用いることができる。また、
ジエノフィル構造を有する繰り返し単位を二種類以上含
むコポリマーを用いることもできる。さらに、ジエノフ
ィル構造を有する繰り返し単位と他の繰り返し単位から
なるコポリマーを用いることもできる。以下に他の繰り
返し単位の例を示す。
【0067】
【化29】
【0068】
【化30】
【0069】
【化31】
【0070】
【化32】
【0071】アルカリ性溶出液で処理することにより加
熱していない部分の画像形成層を除去する場合、ポリマ
ーは、酸性基を有することが好ましい。酸性基は、ポリ
マーをコポリマーとして、ジエノフィル構造を含まない
繰り返し単位に導入することが好ましい。酸性基として
は、カルボキシル(上記の例では、IV−1、IV−2、IV
−8)またはカルボン酸無水物が好ましい。
【0072】ジエノフィル構造を含む繰り返し単位と、
ジエノフィル構造を含まない繰り返し単位とを組み合わ
せてコポリマーを形成する場合、ジエノフィル構造を含
む繰り返し単位/ジエノフィル構造を含まない繰り返し
単位の割合は、モル比で、5/95乃至99/1である
ことが好ましく、10/90乃至98/2であることが
より好ましく、20/80乃至97/3であることがさ
らに好ましい。以下に、ジエノフィル構造を含む繰り返
し単位とジエノフィル構造を含まない繰り返し単位とか
らなるコポリマーの例を示す。かっこ内の番号は、前記
の繰り返し単位との例示番号に相当する。繰り返し単位
の割合は、モル%である。
【0073】CP101:−(III-2)80−(IV−2)
20− CP102:−(III-8)30−(IV−4)50−(IV−
2)20− CP103:−(III-8)30−(IV−4)40−(IV−
6)20−(IV−2)10− CP104:−(III-10)30−(IV−4)50−(IV−
2)20− CP105:−(III-14)70−(IV−2)30− CP106:−(III-16)70−(IV−2)30− CP107:−(III-17)35−(IV−8)15−(IV−
7)50
【0074】ポリマーは、前述した繰り返し単位に対応
するモノマー(一般に、エチレン性不飽和モノマー)の
重合反応によって合成できる。具体的な重合反応として
は、ラジカル重合反応、カチオン重合反応あるいはアニ
オン重合反応が採用できる。ジエノフィル構造は、主鎖
ポリマーの合成後に導入してもよい。主鎖が炭化水素以
外の場合(例えば、ポリウレタン)も、一般的な重合反
応(例えば、ウレタン重合反応)により合成できる。複
数のジエノフィル構造を有する化合物の使用量は、ジエ
ノフィル構造の数と、o−キノジメタン構造またはその
前駆体構造の数との比率を計算して調整すればよい。ポ
リマーの分子量は、質量平均で、5百乃至100万であ
ることが好ましく、千乃至50万であることがより好ま
しく、2千乃至20万であることがさらに好ましく、5
千乃至10万であることが最も好ましい。
【0075】[疎水性ポリマー]平版印刷原版の画像形
成層は、ジエノフィル構造を含むポリマーとは別に、疎
水性ポリマーを含むことができる。疎水性ポリマーは、
画像形成層またはそこに含まれる微粒子のバインダーと
して機能する。また、前述したように、ジエノフィル構
造を含むポリマーを疎水性ポリマーとして、機能させる
こともできる。疎水性ポリマーの主鎖は、炭化水素(ポ
リオレフィン)、ポリエステル、ポリアミド、ポリイミ
ド、ポリウレア、ポリウレタン、ポリエーテルおよびそ
れらの組み合わせから選ばれることが好ましい。炭化水
素主鎖が特に好ましい。
【0076】疎水性ポリマーの主鎖は、置換基を有する
ことができる。置換基の例には、ハロゲン原子(F、C
l、Br、I)、ヒドロキシル、メルカプト、カルボキ
シル、スルホ、硫酸エステル基、ホスホノ、リン酸エス
テル基、シアノ、脂肪族基、芳香族基、複素環基、−O
−R、−S−R、−CO−R、−NH−R、−N(−
R)2 、−N+ (−R)3 、−CO−O−R、−O−C
O−R、−CO−NH−R、−NH−CO−Rおよび−
P(=O)(−O−R)2 が含まれる。上記Rは、それ
ぞれ、脂肪族基、芳香族基または複素環基である。カル
ボキシル、スルホ、硫酸エステル基、ホスホノおよびリ
ン酸エステル基は、水素原子が解離していても、塩の状
態になっていてもよい。主鎖の複数の置換基が結合し
て、脂肪族環または複素環を形成してもよい。形成され
る環は、主鎖とスピロ結合の結合の関係になっていても
よい。形成される環は、置換基を有していてもよい。置
換基の例には、上記主鎖の置換基に加えて、オキソ(=
O)が含まれる。
【0077】アルカリ性溶出液で処理することにより加
熱していない部分の画像形成層を除去する場合、疎水性
ポリマーは、酸性基を有することが好ましい。酸性基
は、疎水性ポリマーをコポリマーとして、o−キノジメ
タン構造またはその前駆体を含まない繰り返し単位に導
入することが好ましい。酸性基としては、カルボキシル
またはカルボン酸無水物が好ましい。ポリマーの分子量
は、質量平均で、5百乃至100万であることが好まし
く、千乃至50万であることがより好ましく、2千乃至
20万であることがさらに好ましく、5千乃至10万で
あることが最も好ましい。
【0078】[微粒子]複数のo−キノジメタン構造ま
たはその前駆体構造を有する化合物を含む微粒子を画像
形成層に分散させることができる。微粒子は、疎水性ポ
リマーを用いて形成できる。疎水性ポリマーから微粒子
を形成する場合、疎水性ポリマーを乳化重合反応で合成
することが好ましい。乳化重合反応であると、疎水性ポ
リマーの合成と同時に微粒子を形成することができる。
乳化重合反応は、ラテックスの製造に一般に用いられて
いる反応条件を採用すればよい。均質な微粒子を形成す
るため、乳化重合反応において界面活性剤を使用するこ
とが好ましい。カチオン界面活性剤、アニオン界面活性
剤、ノニオン界面活性剤、両性界面活性剤のいずれも使
用できる。界面活性剤の使用量は、モノマーの総量の
0.01乃至10質量%であることが好ましい。重合反
応は、重合開始剤(連鎖移動剤)を用いることが好まし
い。重合開始剤の使用量は、モノマーの総量の0.05
乃至10質量%であることが好ましい。
【0079】微粒子は、5乃至500nmの粒子サイズ
を有することが好ましく、10乃至300nmの粒子サ
イズを有することがさらに好ましい。粒子サイズ分布
は、なるべく均一であることが好ましい。二種類以上の
微粒子を混合して用いてもよい。疎水性ポリマーは、画
像形成層に5乃至90質量%含まれていることが好まし
く、30乃至80質量%含まれていることがさらに好ま
しい。疎水性ポリマー微粒子は、疎水性ポリマーを有機
溶媒(好ましくは、水と混和しない有機溶媒)に溶解
し、これを分散剤を含む水溶液中と混合して乳化し、さ
らに熱を加えて、有機溶媒を除去しながら微粒子状に固
化させることによって製造することもできる。
【0080】複数のo−キノジメタン構造またはその前
駆体構造を有する化合物を含むマイクロカプセルを、微
粒子として用いることもできる。マイクロカプセルは、
公知のコアセルベーション法(米国特許2800457
号、同2800458号の各明細書記載)、界面重合法
(英国特許990443号、米国特許3287154号
の各明細書、特公昭38−19574号、同42−44
6号、同42−711号の各公報記載)、ポリマー析出
法(米国特許3418250号、同3660304号の
各明細書記載)、イソシアネート・ポリオール壁形成法
(米国特許3796669号明細書記載)、イソシアネ
ート壁形成法(米国特許3914511号明細書記
載)、尿素・ホルムアルデヒド壁もしくは尿素・ホルム
アルデヒド−レゾルシノール壁形成法(米国特許400
1140号、同4087376号、同4089802号
の各明細書記載)、メラミン−ホルムアルデヒド壁もし
くはヒドロキシセルロース壁形成法(米国特許4025
445号明細書記載)、モノマー重合によるin situ 法
(特公昭36−9163号、同51−9079号の各明
細書記載)、スプレードライング法(英国特許9304
22号、米国特許3111407号の各明細書記載)、
あるいは電解分散冷却法(英国特許952807号、同
967074号の各明細書記載)により製造できる。
【0081】マイクロカプセル壁は、3次元架橋を有
し、溶剤によって膨潤することが好ましい。そのために
は、マイクロカプセルの壁材として、ポリウレア、ポリ
ウレタン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリアミ
ドおよびこれらの混合物を用いることが好ましい。ポリ
ウレアおよびポリウレタンが特に好ましい。マイクロカ
プセル壁に、上記の疎水性ポリマーを用いてもよい。マ
イクロカプセルの平均粒径は、0.01乃至20μmが
好ましく、0.05乃至2.0μmがさらに好ましく、
0.10乃至1.0μmが最も好ましい。マイクロカプ
セルは、カプセル同志が熱により融合してもよい。すな
わち、マイクロカプセル内包物のうち、塗布時にカプセ
ル表面もしくはマイクロカプセル外に滲み出したもの、
または、マイクロカプセル壁に浸入したものが、熱によ
り化学反応を起こせば良い。二種類以上のマイクロカプ
セルを併用してもよい。マイクロカプセルの画像形成層
への添加量は、固形分換算で、10乃至60質量%、さ
らに好ましくは15〜40質量%である。この範囲内
で、良好な機上現像性と同時に、良好な感度および耐刷
性が得られる
【0082】マイクロカプセルを画像形成層に添加する
場合、内包物が溶解し、かつ壁材が膨潤する溶剤をマイ
クロカプセル分散媒中に添加することができる。このよ
うな溶剤によって、内包された熱反応性官能基を有する
化合物の、マイクロカプセル外への拡散が促進される。
溶剤としては、アルコール、エーテル、アセタール、エ
ステル、ケトン、多価アルコール、アミド、アミン、脂
肪酸を用いることができる。好ましい溶剤の例には、メ
タノール、エタノール、n−プロパノール、t−ブタノ
ール、テトラヒドロフラン、乳酸メチル、乳酸エチル、
メチルエチルケトン、プロピレングリコールモノメチル
エーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチ
レングリコールモノメチルエーテル、γ−ブチルラクト
ン、N,N−ジメチルホルムアミドおよびN,N−ジメ
チルアセトアミドが含まれる。二種類以上の溶剤を併用
してもよい。溶剤の添加量は、塗布液の5乃至95質量
%が好ましく、10乃至90質量%がさらに好ましく、
15乃至85質量%が最も好ましい。
【0083】[親水性ポリマー]微粒子を使用する場
合、親水性ポリマーを微粒子のバインダーとして画像形
成層で使用することが好ましい。親水性ポリマーの親水
性基としては、ヒドロキシル、カルボキシル、スルホ、
アミノまたはアミド結合が好ましい。カルボキシルおよ
びスルホは、塩の状態であってもよい。親水性ポリマー
としては、様々な天然または半合成ポリマーあるいは合
成ポリマーが使用できる。天然または半合成ポリマーと
しては、多糖類(例、アラビアゴム、澱粉誘導体、カル
ボキシメチルセルロース、そのナトリウム塩、セルロー
スアセテート、アルギン酸ナトリウム)またはタンパク
質(例、カゼイン、ゼラチン)を用いることができる。
【0084】ヒドロキシルを親水性基として有する合成
ポリマーの例には、ポリヒドロキシエチルメタクリレー
ト、ポリヒドロキシエチルアクリレート、ポリヒドロキ
シプロピルメタクリレート、ポリヒドロキシプロピルア
クリレート、ポリヒドロキシブチルメタクリレート、ポ
リヒドロキシブチルアクリレート、ポリアリルアルコー
ル、ポリビニルアルコールおよびポリ−N−メチロール
アクリルアミドが含まれる。カルボキシルを親水性基と
して有する合成ポリマーの例には、ポリマレイン酸、ポ
リアクリル酸、ポリメタクリル酸およびそれらの塩が含
まれる。その他の親水性基(例、アミノ、多数のエーテ
ル結合、親水性複素環基、アミド結合、スルホ)を有す
る合成ポリマーの例には、ポリエチレングリコール、ポ
リビニルホルマール、ポリビニルブチラール、ポリビニ
ルピロリドン、アクリルアミド、メタクリルアミドおよ
び2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸
およびその塩が含まれる。
【0085】親水性合成ポリマーの繰り返し単位を二種
類以上有するコポリマーを用いてもよい。親水性合成ポ
リマーの繰り返し単位と、疎水性合成ポリマー(例、ポ
リ酢酸ビニル、ポリスチレン)の繰り返し単位とを含む
コポリマーを用いてもよい。コポリマーの例には、酢酸
ビニル−マレイン酸コポリマー、スチレン−マレイン酸
コポリマーおよびビニルアルコール−酢酸ビニルコポリ
マー(ポリ酢酸ビニルの部分ケン化ポリマー)が含まれ
る。ポリ酢酸ビニルの部分ケン化により、ビニルアルコ
ール−酢酸ビニルコポリマーを合成する場合は、ケン化
度は60質量%以上であることが好ましく、80質量%
以上であることがさらに好ましい。二種類以上の親水性
ポリマーを併用してもよい。画像形成層中に親水性ポリ
マーは、2乃至40質量%含まれることが好ましく、3
乃至30質量%含まれることがさらに好ましい。
【0086】[光熱変換剤]画像形成層は、光熱変換剤
を含むことが好ましい。光熱変換剤は、光を吸収し、光
エネルギーを熱エネルギーに変換して、発熱する機能を
有する物質である。光熱変換剤は、微粒子の内部に存在
させることができる。光熱変換剤を微粒子の外部(親水
性バインダー中)に添加してもよい。光熱変換剤が吸収
する光の波長(最大吸収波長)は、700nm以上(赤
外光)であることが特に好ましい。赤外光を吸収できる
顔料、染料または金属微粒子を、光熱変換剤として好ま
しく用いることができる。
【0087】赤外吸収顔料については、カラーインデッ
クス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技
術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(C
MC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CM
C出版、1984年刊)に記載がある。特に好ましい赤
外吸収顔料は、カーボンブラックである。赤外吸収顔料
を疎水性ポリマー中または疎水性ポリマーの微粒子の内
部に添加する場合は、顔料に疎水化(親油化)処理を行
うことができる。疎水化処理としては、親油性樹脂を顔
料表面にコートする方法がある。赤外吸収顔料を親水性
ポリマー中に分散させる場合は、顔料に親水化処理を行
うことができる。親水化処理としては、親水性樹脂を顔
料表面にコートする方法、界面活性剤を顔料表面に付着
させる方法、あるいは、反応性物質(例、シリカゾル、
アルミナゾル、シランカップリング剤、エポキシ化合
物、イソシアナート化合物)を顔料表面に結合させる方
法を採用できる。顔料の粒径は、0.01乃至1μmで
あることが好ましく、0.01乃至0.5μmであるこ
とがさらに好ましい。顔料を親水性ポリマー中に分散さ
せる場合、インク製造やトナー製造に用いられる公知の
分散技術が適用できる。
【0088】赤外吸収染料については、「染料便覧」有
機合成化学協会編集、昭和45年刊、「化学工業」19
86年5月号P.45〜51の「近赤外吸収色素」、
「90年代機能性色素の開発と市場動向」第2章2.3
項(1990)シーエムシーに記載がある。好ましい赤
外吸収染料は、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロ
ンアゾ染料、ナフトキノン染料(特開昭58−1127
93号、同58−224793号、同59−48187
号、同59−73996号、同60−52940号、同
60−63744号の各公報記載)、アントラキノン染
料、フタロシアニン染料(特開平11−235883号
公報記載)、スクアリリウム染料(特開昭58−112
792号公報記載)、ピリリウム染料(米国特許388
1924号同4283475号の各明細書、特開昭57
−142645号、同58−181051号、同58−
220143号、同59−41363号、同59−84
248号、同59−84249号、同59−14606
3号、同59−146061号、特公平5−13514
号、同5−19702号の各公報記載)、カルボニウム
染料、キノンイミン染料およびメチン染料(特開昭58
−173696号、同58−181690号、同58−
194595号の各公報記載)である。
【0089】赤外吸収染料については、米国特許475
6993号、同5156938号の各明細書および特開
平10−268512号公報にも記載がある。市販の赤
外吸収染料(例えば、エポライトIII−178、エポラ
イトIII−130、エポライトIII−125、エポリン社
製)を用いてもよい。メチン染料がさらに好ましく、シ
アニン染料(英国特許434875号、米国特許497
3572号の各明細書、特開昭58−125246号、
同59−84356号、同59−216146号、同6
0−78787号の各公報記載)が最も好ましい。シア
ニン染料は、下記式で定義される。 Bo−Le=Bs 上記式において、Bsは、塩基性核であり;Boは、塩
基性核のオニウム体であり;そして、Leは、奇数個の
メチンからなるメチン鎖である。赤外吸収染料の場合、
Leは、7個のメチンからなるメチン鎖であることが好
ましい。
【0090】赤外吸収染料を画像形成層の親水性ポリマ
ー中に添加する場合は、親水性の染料を用いることが好
ましい。親水性の赤外吸収染料の例を以下に示す。
【0091】
【化33】
【0092】
【化34】
【0093】
【化35】
【0094】
【化36】
【0095】
【化37】
【0096】
【化38】
【0097】赤外吸収染料を疎水性ポリマー微粒子内に
添加する場合は、比較的疎水性の染料を用いることが好
ましい。疎水性の赤外吸収染料の例を以下に示す。
【0098】
【化39】
【0099】
【化40】
【0100】
【化41】
【0101】
【化42】
【0102】
【化43】
【0103】金属は、一般に自己発熱性を有している。
従って、赤外、可視または紫外領域に吸収をもつ金属、
特に赤外領域に吸収をもつ金属は、光熱変換機能を有し
ている。金属微粒子を構成する金属は、光照射によって
熱融着することが好ましい。具体的には、融点が100
0℃以下であることが好ましい。金属微粒子を構成する
金属としては、Si、Al、Ti、V、Cr、Mn、F
e、Co、Ni、Cu、Zn、Y、Zr、Mo、Ag、
Au、Pt、Pd、Rh、In、Sn、W、Te、P
b、Ge、Re、Sbおよびそれらの合金が好ましく、
Re、Sb、Te、Ag、Au、Cu、Ge、Pbおよ
びSnがより好ましく、Ag、Au、Cu、Sb、Ge
およびPbがさらに好ましく、Ag、AuおよびCuが
最も好ましい。
【0104】合金の場合、低融点金属(例、Re、S
b、Te、Au、Ag、Cu、Ge、Pb、Sn)と、
自己発熱性が高い金属(例、Ti、Cr、Fe、Co、
Ni、W、Ge)とを組み合わせることもできる。ま
た、光吸収が大きい金属(例、Ag、Pt、Pd)の微
粒子と他の金属の微粒子とを組み合わせて用いることも
できる。金属微粒子は、表面を親水性化処理することに
よって、親水性ポリマー中に分散することが好ましい。
表面親水性化処理としては、親水性物質(例、界面活性
剤)による表面処理、親水性物質との表面化学反応、あ
るいは親水性ポリマー被膜の形成のような手段を採用で
きる。保護コロイド性の親水性高分子皮膜を設けるなど
の方法を用いることができる。親水性物質との表面化学
反応が好ましく、表面シリケート処理が最も好ましい。
鉄微粒子の表面シリケート処理では、70℃のケイ酸ナ
トリウム(3%)水溶液に鉄微粒子を30秒浸漬する方
法によって表面を充分に親水性化することができる。他
の金属微粒子も同様の方法で表面シリケート処理を行う
ことができる。金属微粒子に代えて、金属酸化物微粒子
または金属硫化物微粒子を用いることもできる。微粒子
の粒径は、10μm以下であることが好ましく、0.0
03乃至5μmであることがさらに好ましく、0.01
乃至3μmであることが最も好ましい。
【0105】[画像形成層の他の任意成分]画像形成層
には、画像形成後の画像部と非画像部との区別を目的と
して、着色剤を添加することができる。着色剤として
は、可視領域に大きな吸収を有する染料または顔料を用
いる。着色剤の例には、オイルイエロー#101、オイ
ルイエロー#103、オイルピンク#312、オイルグ
リーンBG、オイルブルーBOS、オイルブルー#60
3、オイルブラックBY、オイルブラックBS、オイル
ブラックT−505(以上オリエント化学工業(株)
製)、ビクトリアピュアブルー、クリスタルバイオレッ
ト(CI42555)、メチルバイオレット(CI42
535)、エチルバイオレット、ローダミンB(CI1
45170B)、マラカイトグリーン(CI4200
0)およびメチレンブルー(CI52015)が含まれ
る。着色剤として用いられる染料については、特開昭6
2−293247号公報に記載がある。酸化チタンのよ
うな無機顔料も着色剤として用いることができる。着色
剤の添加量は、画像形成層の0.01乃至10質量%で
あることが好ましい。
【0106】画像形成層には、機上現像の安定性を広げ
るため、ノニオン界面活性剤(特開昭62−25174
0号、特開平3−208514号の各公報記載)または
両性界面活性剤(特開昭59−121044号、特開平
4−13149号の各公報記載)を添加することができ
る。ノニオン界面活性剤の例には、ソルビタントリステ
アレート、ソルビタンモノパルミテート、ソルビタント
リオレート、ステアリン酸モノグリセリドおよびポリオ
キシエチレンノニルフェニルエーテルが含まれる。両性
界面活性剤の例には、アルキルジ(アミノエチル)グリ
シン、アルキルポリアミノエチルグリシン塩酸塩、2−
アルキル−N−カルボキシエチル−N−ヒドロキシエチ
ルイミダゾリニウムベタインおよびN−テトラデシル−
N,N−ベタイン型界面活性剤(アモーゲンK、第一工
業(株)製)が含まれる。非イオン界面活性剤および両
性界面活性剤は、画像形成層に0.05乃至15質量%
含まれることが好ましく、0.1乃至5質量%含まれる
ことがさらに好ましい。
【0107】画像形成層に柔軟性を付与するため、可塑
剤を添加してもよい。可塑剤の例には、ポリエチレング
リコール、クエン酸トリブチル、フタル酸ジエチル、フ
タル酸ジブチル、フタル酸ジヘキシル、フタル酸ジオク
チル、リン酸トリクレジル、リン酸トリブチル、リン酸
トリオクチルおよびオレイン酸テトラヒドロフルフリル
が含まれる。
【0108】[画像形成層の形成]画像形成層は、各成
分を適当な液状媒体中に溶解、分散または乳化して塗布
液を調製し、親水性支持体上に塗布し、および乾燥して
液状媒体を除去することにより形成することができる。
塗布液に使用する液状媒体の例には、エチレンジクロラ
イド、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン、メタノ
ール、エタノール、プロパノール、エチレングリコール
モノメチルエーテル、1−メトキシ−2−プロパノー
ル、2−メトキシエチルアセテート、1−メトキシ−2
−プロピルアセテート、ジメトキシエタン、乳酸メチ
ル、乳酸エチル、N,N−ジメチルアセトアミド、N,
N−ジメチルホルムアミド、テトラメチルウレア、N−
メチルピロリドン、ジメチルスルホキシド、スルホラ
ン、γ−ブチルラクトン、トルエンおよび水が含まれ
る。二種類以上の液体を混合して用いてもよい。塗布液
の全固形分濃度は、1乃至50質量%であることが好ま
しい。
【0109】塗布液には、塗布性を良化するための界面
活性剤を添加することができる。フッ素系界面活性剤
(特開昭62−170950号公報記載)が特に好まし
い。界面活性剤の添加量は、塗布液の固形分量に対して
0.01乃至1質量%であることが好ましく、0.05
乃至0.5質量%であることがさらに好ましい。画像形
成層の乾燥塗布量は、0.5乃至5.0g/m2 である
ことが好ましい。
【0110】[親水性支持体]親水性支持体としては、
金属板、プラスチックフイルムまたは紙を用いることが
できる。具体的には、表面処理されたアルミニウム板、
親水処理されたプラスチックフイルムまたは耐水処理さ
れた紙が好ましい。さらに具体的には、陽極酸化処理さ
れたアルミニウム板、親水性層を設けたポリエチレンテ
レフタレートフイルムまたはポリエチレンでラミネート
された紙が好ましい。
【0111】陽極酸化処理されたアルミニウム板が特に
好ましい。アルミニウム板は、純アルミニウム板または
アルミニウムを主成分とし、微量の異元素を含む合金板
である。アルミニウム合金に含まれる異元素の例には、
ケイ素、鉄、マンガン、銅、マグネシウム、クロム、亜
鉛、ビスマス、ニッケルおよびチタンが含まれる。異元
素の割合は、10質量%以下であることが好ましい。市
販の印刷版用のアルミニウム板を用いてもよい。アルミ
ニウム板の厚さは、0.05乃至0.6mmであること
が好ましく、0.1乃至0.4mmであることがさらに
好ましく、0.15乃至0.3mmであることが最も好
ましい。
【0112】アルミニウム板表面には、粗面化処理を行
うことが好ましい。粗面化処理は、機械的方法、電気化
学的方法あるいは化学的方法により実施できる。機械的
方法としては、ボール研磨法、ブラシ研磨法、ブラスト
研磨法またはバフ研磨法を採用できる。電気化学的方法
としては、塩酸または硝酸などの酸を含む電解液中で交
流または直流により行う方法を採用できる。混合酸を用
いた電解粗面化方法(特開昭54−63902号公報記
載)も利用することができる。化学的方法としては、ア
ルミニウム板を鉱酸のアルミニウム塩の飽和水溶液に浸
漬する方法(特開昭54−31187号公報記載)が適
している。粗面化処理は、アルミニウム板の表面の中心
線平均粗さ(Ra)が0.2乃至1.0μmとなるよう
に実施することが好ましい。粗面化されたアルミニウム
板は、必要に応じてアルカリエッチング処理を行う。ア
ルカリ処理液としては、水酸化カリウムまたは水酸化ナ
トリウムの水溶液が一般に用いられる。アルカリエッチ
ング処理の後は、さらに中和処理を行うことが好まし
い。
【0113】アルミニウム板の陽極酸化処理は、支持体
の耐摩耗性を高めるために行う。陽極酸化処理に用いら
れる電解質としては、多孔質酸化皮膜を形成する種々の
電解質が使用できる。一般には、硫酸、塩酸、蓚酸、ク
ロム酸あるいはそれらの混酸が電解質として用いられ
る。陽極酸化の処理条件は一般に、電解質の濃度が1乃
至80質量%溶液、液温が5乃至70℃、電流密度が5
乃至60A/dm2 、電圧が1乃至100V、そして、
電解時間が10秒乃至5分の範囲である。陽極酸化処理
により形成される酸化皮膜量は、1.0乃至5.0g/
2 であることが好ましく、1.5乃至4.0g/m2
であることがさらに好ましい。
【0114】[水溶性オーバーコート層]親油性物質に
よる画像形成層表面の汚染防止のため、画像形成層の上
に、水溶性オーバーコート層を設けることができる。水
溶性オーバーコート層は、印刷時に容易に除去できる材
料から構成する。そのためには、水溶性の有機ポリマー
から水溶性オーバーコート層を構成することが好まし
い。水溶性の有機ポリマーの例には、ポリビニルアルコ
ール、ポリ酢酸ビニル、ポリアクリル酸、そのアルカリ
金属塩もしくはアミン塩、ポリメタクリル酸、そのアル
カリ金属塩もしくはアミン塩、ポリアクリルアミド、ポ
リヒドロキシエチルアクリレート、ポリビニルピロリド
ン、ポリビニルメチルエーテル、ポリ−2−アクリルア
ミド−2−メチル−1−プロパンスルホン酸、そのアル
カリ金属塩もしくはアミン塩、アラビアガム、セルロー
スエーテル(例、カルボキシメチルセルロース、カルボ
キシエチルセルロース、メチルセルローズ)、デキスト
リンおよびその誘導体(例、ホワイトデキストリン、酵
素分解エーテル化デキストリンプルラン)が含まれる。
水溶性の有機ポリマーの繰り返し単位を二種類以上有す
るコポリマーを用いてもよい。コポリマーの例には、ビ
ニルアルコール−酢酸ビニルコポリマー(ポリ酢酸ビニ
ルの部分ケン化ポリマー)およびビニルメチルエーテル
−無水マレイン酸コポリマーが含まれる。ポリ酢酸ビニ
ルの部分ケン化により、ビニルアルコール−酢酸ビニル
コポリマーを合成する場合は、ケン化度は65質量%以
上であることが好ましい。二種類以上の水溶性有機ポリ
マーを併用してもよい。
【0115】オーバーコート層に、前記の光熱変換剤を
添加してもよい。オーバーコート層に添加する光熱変換
剤は、水溶性であることが好ましい。オーバーコート層
の塗布液には、ノニオン界面活性剤(例、ポリオキシエ
チレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンド
デシルエーテル)を添加することができる。オーバーコ
ート層の塗布量は、0.1乃至2.0g/m2 であるこ
とが好ましい。
【0116】[画像状加熱工程]平版印刷版原版は、画
像状に加熱して画像を形成する。直接的には、熱記録ヘ
ッドによって、平版印刷版原版を画像状に加熱できる。
その場合は、光熱変換剤は不要である。ただし、熱記録
ヘッドは画像の解像度が一般に低いため、光熱変換剤を
用いて画像露光による光エネルギーを熱エネルギーに変
換することが望ましい。一般に、画像露光に用いる露光
装置の方が、熱記録ヘッドよりも高解像度である。露光
方法には、アナログデータである原稿(オリジナル)を
介しての露光と、オリジナルのデータ(通常はデジタル
データ)に対応させた走査露光とがある。オリジナルを
介しての露光では、光源としてキセノン放電灯または赤
外線ランプが用いられる。キセノン放電灯のような高出
力の光源を使用すれば、短時間のフラッシュ露光も可能
である。走査露光は、レーザー、特に赤外線レーザーを
用いることが一般的である。赤外線の波長は、700乃
至1200nmであることが好ましい。赤外線は、固体
高出力赤外線レーザー(例えば、半導体レーザー、YA
Gレーザー)が好ましい。
【0117】光熱変換剤を含む画像形成層にレーザーを
走査露光すると、光熱変換剤によりレーザーの光エネル
ギーが熱エネルギーに変換される。そして、平版印刷原
版の加熱部分(画像部)において、疎水性ポリマーが架
橋して硬化する。疎水性ポリマーを微粒子として使用し
た場合は、加熱部分で疎水性ポリマー微粒子が融合し、
親水性支持体に付着している疎水性領域を形成する。こ
れに対して、平版印刷原版の非加熱部分(非画像部)の
疎水性ポリマーには変化がない。
【0118】[製版および印刷工程]画像状に加熱した
平版印刷原版は、現像することにより、平版印刷版を製
版できる。微粒子を使用しない場合(画像形成層が疎水
性ポリマーを含む均一な層である場合)、疎水性ポリマ
ーに酸性基を導入することで、アルカリ性溶出液により
非加熱部分(非画像部)の疎水性ポリマーを溶出するこ
とができる。微粒子を使用する場合は、水または水性溶
媒により非加熱部分(非画像部)の疎水性ポリマー微粒
子を除去することができる。ただし、微粒子を除去する
処理(現像処理)を実施しなくても、画像状に加熱した
平版印刷原版を直ちに印刷機に装着し、インクと湿し水
を用いて通常の手順で印刷するだけでも、製版と印刷を
連続して実施することができる。すなわち、平版印刷原
版を印刷機に装着して、印刷機を稼動させると、湿し
水、インク、または擦りにより非加熱部分(非画像部)
の画像形成層を除去することができる。なお、レーザー
露光装置を有する印刷機(特許2938398号公報記
載)を用いると、平版印刷原版を印刷機シリンダー上に
取りつけた後に、印刷機に搭載されたレーザーにより露
光し、その後に湿し水又はインクをつけて機上現像する
(露光〜印刷を連続して処理する)ことも可能である。
【0119】
【実施例】[実施例1] (アルミニウム支持体の作製)99.5%以上のアルミ
ニウムと、Fe 0.30%、Si 0.10%、Ti
0.02%、Cu 0.013%を含むJIS A105
0合金の溶湯を清浄化処理を施し、鋳造した。清浄化処
理には、溶湯中の水素などの不要なガスを除去するため
に脱ガス処理し、セラミックチューブフィルタ処理をお
こなった。鋳造法はDC鋳造法で行った。凝固した板厚
500mmの鋳塊を表面から10mm面削し、金属間化
合物が粗大化してしまわないように550℃で10時間
均質化処理を行った。次いで、400℃で熱間圧延し、
連続焼鈍炉中で500℃にて60秒中間焼鈍した後、冷
間圧延を行って、板圧0.30mmのアルミニウム圧延
板とした。圧延ロールの粗さを制御することにより、冷
間圧延後の中心線平均表面粗さRaを0.2μmに制御
した。その後、平面性を向上させるためにテンションレ
ベラーにかけた。
【0120】次に平版印刷版支持体とするための表面処
理を行った。まず、アルミニウム板表面の圧延油を除去
するため10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃に
て30秒間脱脂処理を行い、30質量%硫酸水溶液で5
0℃にて30秒間中和、スマット除去処理を行った。
【0121】次いで支持体と画像形成層の密着性を良好
にし、かつ非画像部に保水性を与えるため、支持体の表
面を粗面化する、いわゆる、砂目立て処理を行った。1
質量%の硝酸と0.5質量%の硝酸アルミを含有する水
溶液を45℃に保ち、アルミウェブを水溶液中に流しな
がら、間接給電セルにより電流密度20A/dm2 、デ
ューティー比1:1の交番波形でアノード側電気量24
0C/dm2 を与えることで電解砂目立てを行った。そ
の後10質量%アルミン酸ソーダ水溶液で50℃にて3
0秒間エッチング処理を行い、30質量%硫酸水溶液で
50℃にて30秒間中和、スマット除去処理を行った。
【0122】さらに耐摩耗性、耐薬品性、保水性を向上
させるために、陽極酸化によって支持体に酸化皮膜を形
成させた。電解質として硫酸20%水溶液を35℃で用
い、アルミウェブを電解質中に通搬しながら、間接給電
セルにより14A/dm2 の直流で電解処理を行うこと
で2.5g/m2 の陽極酸化皮膜を作成した。この後印
刷版非画像部としての親水性を確保するため、シリケー
ト処理を行った。処理は3号珪酸ソーダ1.5質量%水
溶液を70℃に保ちアルミウェブの接触時間が15秒と
なるよう通搬し、さらに水洗した。Siの付着量は10
mg/m2 であった。以上のように作製した支持体の中
心線表面粗さRaは0.25μmであった。
【0123】(下塗り層の形成)アルミニウム支持体表
面に、下記の組成の下塗り層塗布液を塗布し、80℃で
30秒間乾燥して、下塗り層を形成した。下塗り層の乾
燥塗布量は、10g/m 2 であった。
【0124】 ──────────────────────────────────── 下塗り層塗布液組成 ──────────────────────────────────── β−アラニン 0.10g メタノール 40g 純水 60g ────────────────────────────────────
【0125】(カーボンブラック分散液の調製)下記の
組成物をガラスビーズを用いて10分間分散し、カーボ
ンブラック分散液を調製した。
【0126】 ──────────────────────────────────── カーボンブラック分散液組成 ──────────────────────────────────── 粒径0.2〜0.3μmのカーボンブラック 1.0質量部 ベンジルメタクリレート/メタクリル酸コポリマー(モル比:72/29、質 量平均分子量:7万) 1.6質量部 メチルエチルケトン 4質量部 1−メトキシ−2−プロパノール 4質量部 ────────────────────────────────────
【0127】(画像記録層の形成)下記の組成からなる
画像記録層塗布液を調製した。
【0128】 ──────────────────────────────────── 画像記録層塗布液組成 ──────────────────────────────────── カーボンブラック分散液 2.4g 複数のベンゾシクロブテン構造を有する化合物(I−1) 1.65g ジエノフィル構造を有するコポリマー(CP101) 3.3g フッ素系界面活性剤(メガファックF−176、大日本インキ化学工業(株) 製)の20質量%水溶液 0.05g メチルエチルケトン 24g 2−メトキシ−1−プロパノール 24g ────────────────────────────────────
【0129】
【化44】
【0130】画像記録層塗布液を、アルミニウム支持体
の下塗り層の上に塗布し、70℃で5分間乾燥して、画
像記録層を形成した。画像記録層の乾燥後の質量は、
1.2g/m2 であった。このようにして、平版印刷原
版を製造した。
【0131】(製版、印刷および評価)作製した平版印
刷原版に、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載し
たイメージセッター(Trendsetter3244VFS、Creo社製)
にて、9Vの出力、210rpmの外面ドラム回転数、
400mJ/m2 の版面エネルギー、そして2400d
piの解像度の条件で画像露光した。次に、pH13の
アルカリ性現像液(DP−4現像液、富士写真フイルム
(株)製の1:10希釈液)およびリンス液(FR−
3、富士写真フイルム(株)製の1:7希釈液)を仕込
んだ自動現像機を通して処理したところ、鮮明なネガ画
像が得られた。得られた平版印刷版を印刷機(ハイデル
SOR−KZ)で印刷したところ、良好な印刷物が得ら
れた。耐刷枚数は、10000枚であった。
【0132】[実施例2〜7]画像記録層塗布液に添加
する複数のベンゾシクロブテン構造を有する化合物と複
数のジエノフィル構造を有する化合物とを、下記第1表
に示すように変更した以外は、実施例1と同様に平版印
刷原版を作製し、製版し、印刷して評価した。結果を第
1表に示す。
【0133】
【表1】 第1表 ──────────────────────────────────── 平版印刷 ベンゾシクロ ジエノフィルポリマー 原版 ブテン化合物 (質量平均分子量)添加量 耐刷枚数 ──────────────────────────────────── 実施例1 (I−1) CP101(5万)3.3g 10000枚 実施例2 (I−3) CP101(5万)3.3g 12000枚 実施例3 (I−7) CP102(7万)3.3g 12000枚 実施例4 (I−13) CP102(7万)3.3g 11000枚 実施例5 (I−22) CP102(8万)3.3g 10000枚 実施例6 (I−27) CP101(5万)3.3g 12000枚 実施例7 (I−2) CP106(8万)3.3g 13000枚 ────────────────────────────────────
【0134】
【化45】
【0135】
【化46】
【0136】[実施例5] (画像記録層の形成)下記の組成からなる画像記録層塗
布液を調製した。
【0137】 ──────────────────────────────────── 画像記録層塗布液組成 ──────────────────────────────────── 赤外線吸収染料(IR−28) 0.45g 複数のベンゾシクロブテン構造を有する化合物(I−1) 1.65g ジエノフィル構造を有するコポリマー(CP101) 3.3g フッ素系界面活性剤(メガファックF−176、大日本インキ化学工業(株) 製)の20質量%水溶液 0.05g メチルエチルケトン 24g 2−メトキシ−1−プロパノール 24g ────────────────────────────────────
【0138】画像記録層塗布液を、実施例1で形成した
アルミニウム支持体の下塗り層の上に塗布し、70℃で
5分間乾燥して、画像記録層を形成した。画像記録層の
乾燥後の質量は、1.2g/m2 であった。このように
して、平版印刷原版を製造した。
【0139】(製版、印刷および評価)作製した平版印
刷原版に、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載し
たイメージセッター(Trendsetter3244VFS、Creo社製)
にて、9Vの出力、210rpmの外面ドラム回転数、
400mJ/m2 の版面エネルギー、そして2400d
piの解像度の条件で画像露光した。次に、pH13の
アルカリ性現像液(DP−4現像液、富士写真フイルム
(株)製の1:8希釈液)およびリンス液(FR−3、
富士写真フイルム(株)製の1:7希釈液)を仕込んだ
自動現像機を通して処理したところ、鮮明なネガ画像が
得られた。得られた平版印刷版を印刷機(ハイデルSO
R−KZ)で印刷したところ、良好な印刷物が得られ
た。耐刷枚数は、11000枚であった。
【0140】[実施例9〜14]画像記録層塗布液に添
加する複数のベンゾシクロブテン構造を有する化合物と
複数のジエノフィル構造を有する化合物とを、下記第2
表に示すように変更した以外は、実施例8と同様に平版
印刷原版を作製し、製版し、印刷して評価した。結果を
第2表に示す。
【0141】
【表2】 第2表 ──────────────────────────────────── 平版印刷 ベンゾシ 複数のジエノフィル構造を有する化合物 原版 クロブテン (化合物)量+ポリマー(分子量)量 耐刷枚数 ──────────────────────────────────── 実施例8 (I−1) なし+CP102(7万)3.3g 11000 実施例9 (I−2)(II−9)1.1g+CP102(7万)3.3g 12000 実施例10 (I−5) なし+CP103(7万)3.3g 12000 実施例11 (I−7) なし+CP103(7万)3.3g 10000 実施例12 (I−21) なし+CP102(8万)3.3g 12000 実施例13 (I−26) なし+CP101(5万)3.3g 11000 実施例14 (I−1) なし+CP107(10万)3.3g 14000 ────────────────────────────────────
【0142】
【化47】
【0143】
【化48】
【0144】[実施例15] (疎水性ポリマー微粒子分散物の調製)複数のベンゾシ
クロブテン構造を有する化合物(I−1)2g、ジエノ
フィル構造を有するコポリマー(CP103)4g、赤
外線吸収染料(IR−28)1.5gおよびアニオン性
界面活性剤(バイオニンA−41C、竹本油脂(株)
製)0.1gを、メチルエチルケトン7.4gおよび酢
酸エチル13.7gからなる混合溶媒に溶解した。溶液
を、ポリビニルアルコール(PVA205、クラレ
(株)製)の1.8質量%水溶液53gに混合し、ホモ
ジナイザーで15000rpmにて10分間攪拌して、
乳化した。さらに40℃で3時間攪拌して、メチルエチ
ルケトンおよび酢酸エチルを蒸発させた。得られた疎水
性ポリマー微粒子分散物の固形分濃度は、15.4質量
%であった。また、微粒子の平均粒径は、0.30μm
であった。
【0145】(画像記録層の形成)下記の組成からなる
画像記録層塗布液を調製した。
【0146】 ──────────────────────────────────── 画像記録層塗布液組成 ──────────────────────────────────── 水 25g 疎水性ポリマー微粒子分散物 20g ────────────────────────────────────
【0147】画像記録層塗布液を、実施例1で形成した
アルミニウム支持体の下塗り層の上にバーコーターで塗
布し、オーブンで60℃にて120秒間乾燥して、画像
記録層を形成した。画像記録層の乾燥後の質量は、1.
0g/m2 であった。このようにして、平版印刷原版を
製造した。
【0148】(製版、印刷および評価)作製した平版印
刷原版に、水冷式40W赤外線半導体レーザーを搭載し
たイメージセッター(Trendsetter3244VFS、Creo社製)
にて、9Vの出力、210rpmの外面ドラム回転数、
300mJ/m2 の版面エネルギー、そして2400d
piの解像度の条件で画像露光した。次に、現像処理す
ることなく、印刷機(ハイデルSOR−KZ)のシリン
ダーに取り付け、湿し水を供給したのち、インクを供給
し、さらに紙を供給して印刷を行ったところ、良好な印
刷物が得られた。耐刷枚数は、10000枚であった。
【0149】[実施例16〜20]画像記録層塗布液に
添加する複数のベンゾシクロブテン構造を有する化合物
と複数のジエノフィル構造を有する化合物とを、下記第
3表に示すように変更した以外は、実施例15と同様に
平版印刷原版を作製し、製版し、印刷して評価した。結
果を第3表に示す。
【0150】
【表3】 第3表 ──────────────────────────────────── 平版印刷 ベンゾシ 複数のジエノフィル構造を有する化合物 原版 クロブテン (化合物)量+ポリマー(分子量)量 耐刷枚数 ──────────────────────────────────── 実施例15 (I−1) なし+CP103(7万)4g 11000 実施例16 (I−3) なし+CP103(8万)4g 9000 実施例17 (I−7)(II−1)1g+CP102(7万)3g 12000 実施例18 (I−8) なし+CP103(7万)3.3g 11000 実施例19 (I−15) なし+CP102(8万)3.3g 12000 実施例20 (I−29) なし+CP101(5万)3.3g 10000 ────────────────────────────────────
【0151】[実施例21]キシリレンジイソシアネー
ト40g、ベンゾシクロブテン化合物(I−2)10
g、質量平均分子量が7万のジエノフィルポリマー(C
P−102)10g、およびアニオン性界面活性剤(バ
イオニンA−41C、竹本油脂(株)製)0.1gを、
酢酸エチル60gに溶解して油相を調製した。ポリビニ
ルアルコール(PVA−117E、クラレ(株)製)の
4質量%水溶液を調製して水相とした。油相および水相
を、ホモジナイザーを用いて10000rpmで乳化し
た。その後、水40gを添加し、室温で30分、さらに
40℃で3時間攪拌した。このようにして、マイクロカ
プセルからなる微粒子分散物を調製した。分散物の固形
分濃度は20質量%、マイクロカプセルの平均粒径は、
0.40μmであった。
【0152】実施例1で作製したアルミニウム支持体上
に、下記の組成の画像形成層塗布液を、ロッドバーを用
いて塗布し、70℃で5分間乾燥して、乾燥塗布量0.
8gの画像形成層を形成し、平版印刷原版を作製した。
【0153】 ──────────────────────────────────── 画像記録層塗布液組成 ──────────────────────────────────── マイクロカプセルからなる微粒子分散物 10g 赤外線吸収染料(IR−10) 0.1g フッ素系界面活性剤(メガファックF−177、大日本インキ化学工業(株) 製) 0.05g 蒸留水 塗布液濃度が7質量%になるまで添加 ────────────────────────────────────
【0154】作製した平版印刷原版を用いて、実施例1
と同様に製版および印刷したところ、良好な印刷物が得
られた。耐刷枚数は、12000枚であった。
【0155】
【発明の効果】本発明によれば、非常に耐刷性が高い平
版印刷版を製版することができる。すなわち、本発明が
採用している重合反応は、空気中の酸素による反応阻害
の影響をほとんど受けないないため、非常に強度が高い
疎水性領域を形成することができる。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) G03F 7/004 505 G03F 7/004 505 Fターム(参考) 2H025 AA12 AB03 AC08 AD01 BC02 BJ03 CB08 CB10 CB13 CB14 CB20 CB22 CB23 CB43 CC20 DA10 FA03 FA17 2H084 AA14 AE05 BB02 BB04 BB13 CC05 2H096 AA07 AA08 BA16 BA20 EA04 GA08 2H114 AA04 AA23 BA01 DA21 DA22 DA41 EA03 4J100 AB07P AB07Q AJ02Q AL03Q AL08P AM15Q BA03P BA03Q BA20P BC04P BC43P BC66P CA04 HA53 HC01 JA07

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 親水性支持体上に、複数のo−キノジメ
    タン構造またはその前駆体構造を有する化合物と疎水性
    ポリマーとを含む画像形成層が設けられている平版印刷
    原版を画像状に加熱して、化合物を重合させる工程、そ
    して、加熱していない部分の画像形成層を除去する工程
    からなる平版印刷版の製版方法。
  2. 【請求項2】 親水性支持体上に、複数のo−キノジメ
    タン構造またはその前駆体構造を有する化合物、疎水性
    ポリマーおよび光熱変換剤を含む画像形成層が設けられ
    ている平版印刷原版をレーザー光で走査して画像状に加
    熱し、化合物を重合させる工程、そして、加熱していな
    い部分の画像形成層を除去する工程からなる平版印刷版
    の製版方法。
  3. 【請求項3】 親水性支持体上に、複数のo−キノジメ
    タン構造またはその前駆体構造を有する化合物を含む微
    粒子と親水性ポリマーとを含む画像形成層が設けられて
    いる平版印刷原版を画像状に加熱して、化合物を重合さ
    せ、それにより微粒子を融着させる工程、そして、平版
    印刷原版を水性媒体で処理し、加熱していない部分の画
    像形成層を除去する工程からなる平版印刷版の製版方
    法。
  4. 【請求項4】 親水性支持体上に、複数のo−キノジメ
    タン構造またはその前駆体構造を有する化合物を含む微
    粒子、親水性ポリマーおよび光熱変換剤を含む画像形成
    層が設けられている平版印刷原版をレーザー光で走査し
    て画像状に加熱し、化合物を重合させ、それにより微粒
    子を融着させる工程、そして、平版印刷原版を水性媒体
    で処理し、加熱していない部分の画像形成層を除去する
    工程からなる平版印刷版の製版方法。
  5. 【請求項5】 親水性支持体上に、複数のo−キノジメ
    タン構造またはその前駆体構造を有する化合物を含む微
    粒子と親水性ポリマーとを含む画像形成層が設けられて
    いる平版印刷原版を画像状に加熱して、化合物を重合さ
    せ、それにより微粒子を融着させる工程、平版印刷原版
    を印刷機に装着して印刷機を稼動させ、湿し水、イン
    ク、または擦りにより加熱していない部分の画像形成層
    を除去し、これにより平版印刷版を製版する工程、そし
    て、さらに湿し水と油性インクとを供給し、製版された
    平版印刷版で印刷する工程からなる平版印刷方法。
  6. 【請求項6】 親水性支持体上に、複数のベンゾシクロ
    ブテン構造を有する化合物、複数のジエノフィル構造を
    有する化合物および光熱変換剤を含む画像形成層が設け
    られている平版印刷原版。
  7. 【請求項7】 複数のベンゾシクロブテン構造を有する
    化合物と複数のベンゾシクロブテン構造を有する疎水性
    ポリマーとを含む疎水性ポリマー微粒子。
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JP2017115133A (ja) * 2015-12-21 2017-06-29 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー アリールシクロブテン
JP2017533575A (ja) * 2014-08-21 2017-11-09 ダウ グローバル テクノロジーズ エルエルシー ポリマー電荷移送層及びそれを含む有機電子装置

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