JP2003185569A - 表面プラズモン共鳴を利用した試料の分析装置及び表面プラズモン共鳴分析用センサチップ - Google Patents

表面プラズモン共鳴を利用した試料の分析装置及び表面プラズモン共鳴分析用センサチップ

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JP2003185569A
JP2003185569A JP2001381741A JP2001381741A JP2003185569A JP 2003185569 A JP2003185569 A JP 2003185569A JP 2001381741 A JP2001381741 A JP 2001381741A JP 2001381741 A JP2001381741 A JP 2001381741A JP 2003185569 A JP2003185569 A JP 2003185569A
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laser
sensor
laser light
light
plasmon resonance
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Takashi Yamauchi
隆 山内
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Original Assignee
Mitsubishi Chemical Corp
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Publication date
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    • GPHYSICS
    • G01MEASURING; TESTING
    • G01NINVESTIGATING OR ANALYSING MATERIALS BY DETERMINING THEIR CHEMICAL OR PHYSICAL PROPERTIES
    • G01N21/00Investigating or analysing materials by the use of optical means, i.e. using sub-millimetre waves, infrared, visible or ultraviolet light
    • G01N21/17Systems in which incident light is modified in accordance with the properties of the material investigated
    • G01N21/55Specular reflectivity
    • G01N21/552Attenuated total reflection
    • G01N21/553Attenuated total reflection and using surface plasmons

Abstract

(57)【要約】 【課題】 簡素で小型な構成によって、短時間で効率的
に試料の分析を行なうことができ、且つ二次元で多スポ
ットされた試料の分析も可能とする。 【解決手段】 試料Sと接触するセンサ面9Aを有する
とともに前記センサ面9Aへ光を照射することにより表
面プラズモン共鳴現象を生じ得るセンサチップ9を用い
て試料Sの分析を行なう装置A1において、面状のレー
ザー発光素子11を有し前記センサ面9Aに光を照射す
る面発光レーザー光源1と、前記センサ面9Aへの前記
照射光の入射に伴う前記センサ面9Aからの反射光の強
度を測定する測定手段2と、前記反射光の強度に基づい
て表面プラズモン共鳴による前記照射光の吸収状態を求
めることにより前記試料を分析する分析手段3とを備え
るように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば生化学分析
や医療分析等の分野における、表面プラズモン共鳴(Su
rface Plasmon Resonance:SPR)を利用した試料の
分析に用いて好適な分析装置及び表面プラズモン共鳴分
析用センサチップに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、生化学や医療検査等の分野におい
て、固相表面に存在する各種の物質を定量的又は定性的
に分析する方法として、表面プラズモン共鳴(SPR)
を利用した分析方法が知られている。表面プラズモン共
鳴は、金属層に光が入射した場合に金属表面に誘起され
る表面プラズモン波(金属表面の自由電子の粗密波)
が、屈折率の異なる2つの物質の境界面で光が回折又は
全反射した場合に境界面近傍に生成されるエバネッセン
ト波と共鳴する現象である。表面プラズモン共鳴は入射
光の波長及び角度に依存して生じるので、表面プラズモ
ン共鳴が生じると、特定の入射角又は特定の波長を有す
る光成分の光エネルギーが表面プラズモン波と共鳴して
結合(Coup1ing)することにより、対応する反射角又は
波長を有する反射光の強度が大きく減少するという特徴
がある。
【0003】表面プラズモン共鳴を起こすためには、特
定の表面プラズモン波を生ずる金属と、エバネッセント
波を誘起する光学構造とが必要となる。エバネッセント
波を誘起する光学構造としては、現在二つの構造が知ら
れている。一つはプリズムの全反射を利用した光学構造
であり、もう一つは回折格子を利用した光学構造であ
る。なお、前記金属にこれらの光学構造を組み合わせた
素子は、一般に表面プラズモン共鳴分析用センサチップ
(以下、単にセンサチップという)と呼ばれている。特
に、回折格子を備えたセンサチップの具体例としては、
特許公報1903195号に開示された技術や、特許公
報2502222号に開示された技術がある。
【0004】通常、センサチップは、基体上に金属層を
積層した構造を有する。金属層上には、分析対象となる
特定の物質(検出種)と相互作用して特異的に結合する
結合物質が塗布されて固定化される。この結合物質が固
定化された金属層の表面に検出種を含む試料を接触させ
ることにより、試料中の検出種が結合物質に捕捉され
る。表面プラズモン共鳴は金属層表面における媒質の屈
折率にも依存しているので、媒質の屈折率が変化する
と、入射波長が一定の場合には共鳴角度(表面プラズモ
ン共鳴により吸収される入射光の角度)が変化し、入射
角度が一定の場合には共鳴波長(表面プラズモン共鳴に
より吸収される入射光の波長)が変化する。したがっ
て、反射光の強度に基づいて共鳴角度或いは共鳴波長を
調べることで、金属層の表面における媒質の屈折率を分
析することができる。この場合、金属層表面の媒質の屈
折率変化は、結合物質に捕捉される検出種の物質量変
化、すなわち、試料中の検出種の濃度変化に対応してい
ることから、表面プラズモン共鳴が起こる共鳴角度又は
共鳴波長を調べることで、試料中の検出種の濃度を分析
することができる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上述のセン
サチップを利用して表面プラズモン共鳴分析を行なう方
法として、従来、幾つかの方法が用いられているが、い
ずれの方法も何らかの課題を抱えている。以下の記載で
は、それらの中でも代表的な5種類の技術について、そ
の概要及び課題を説明する。
【0006】(a)多波長単一角度照射法 この方法は、センサチップ上の試料の接触領域に対し
て、多波長の光を単一角度で照射し、反射光を分光器で
分光して反射光の各波長成分を検出することにより、共
鳴波長を測定する方法である。照射光の光源としては、
一般にタングステンハロゲンランプが用いられる。
【0007】この技術によれば、多波長の入射光に伴う
反射光の各波長成分を同時に検出することができるの
で、短時間で効率的に共鳴波長を測定して検出種を分析
できる。しかしながら、反射光を分光する為の分光器が
必要となり、検出部の構造が大型化、複雑化してしま
う。また、測定できる誘電率(屈折率)の範囲が限定さ
れるので、共鳴ポイントが計測レンジ(計測可能な誘電
率範囲)を逸脱する場合がある。特に、誘電率が大きく
異なる複数の試料をセンサチップ上に2次元的にスポッ
トして同時に解析(二次元多スポット解析)する場合、
共鳴現象を検出できないスポットが出る場合がある。こ
の場合、全てのスポットについて共鳴現象を測定するた
めには、計測レンジを変更する必要があり、入射角度ま
たは分光解析する波長範囲を変更する為に、光学系の微
調整が必要となってしまう。
【0008】(b)単一波長多角度照射法1(スキャン
型照射方式) この方法は、センサチップ上の試料の接触領域に対し
て、単一波長の光を照射角度を変化させながら(角度ス
キャンしながら)連続的又は間欠的に照射し、各々の照
射角度における反射光を随時検出することにより、共鳴
角度を測定する方法である。照射光の光源としては、一
般にLED(light-emitting diode:発光ダイオード)
等が用いられる。
【0009】この技術によれば、照射角度を微調整しな
がらそれに応じた反射光を検出できるので、共鳴角度の
正確な測定と検出種の精密な分析が可能になる。しかし
ながら、光の照射角度を連続的に変化させるので、光源
を機械的に駆動する機構が必要になり、分析装置の構成
が複雑になる上に、光源を駆動して照射角度を変化させ
る際の時間が必要になり、共鳴角度の測定に時間がかか
る。また、上の(a)の技術と同様に計測レンジに制約
があり、計測レンジを変更するには、発光波長を変更す
るために光源を変える必要がある。さらに、LEDを使
用していることから、光の出射方向の制御が難しいとい
う課題もある。このため、複数種の試料を並列にスポッ
トして同時に測定するのは困難である。
【0010】(c)単一波長多角度照射法2(くさび型
照射方式) この方法は、センサチップ上の試料との接触領域内の一
点に対して、単一波長の光をくさび型に照射して多角度
から同時に入射させ、各々の入射角度に応じた反射角度
で出射する反射光を同時に検出することにより、共鳴角
度を測定する方法である。照射光の光源としては、一般
にLEDが用いられる。
【0011】この技術によれば、異なる反射角度で出射
する複数の反射光を同時に検出することができるので、
短時間で効率的に共鳴角度を測定して検出種を分析する
ことができる。また、試料の接触領域内の一点に対して
多角度の光照射ができるので、分析装置のセンサチップ
周りの構造を小型化、簡略化することができる。しかし
ながら、上の(a)又は(b)の技術と同様に計測レン
ジに制約があり、計測レンジを変更するには、発光波長
を変更するために光源を変える必要がある。さらに、L
EDは基本的に点光源であり、これをくさび状に集光す
るように構成すると、光学系が複雑になってしまう。ま
た、センサチップ上の試料の接触領域内において、場所
により違う試料を同時に測定することは困難である。
【0012】(d)単一波長多角度照射法3(扇型照射
方式) この方法は、センサチップ上の試料との接触領域内の一
線分に対して、単一波長の光を扇型に照射して多角度か
ら同時に入射させ、各々の入射角度に応じた反射光を同
時に検出することにより、共鳴角度を測定する方法であ
る。照射光の光源としては、一般にLEDが用いられ
る。
【0013】この技術によれば、異なる反射角度で出射
する複数の反射光を同時に検出することができるので、
短時間で効率的に共鳴角度を測定して検出種を分析する
ことができる。また、光を扇型に拡散させながら試料の
接触領域に対して線分状に照射するので、LED等の点
光源を用いることにより、分析装置の光源の構造を簡素
化することができる。
【0014】しかしながら、上の(a)〜(c)の技術
と同様に計測レンジに制約があり、計測レンジを変更す
るには、発光波長を変更するために光源を変える必要が
ある。また、光源としてLEDを使用していることか
ら、光の出射方向の制御が難しく、複数種の試料を並列
にスポットして同時に測定するのは困難である。加え
て、照射光の入射位置により入射角度を変化させている
ので、一試料を測定するために長状の領域が必要とな
る。このため、センサチップの構造や反射光を測定する
検出部の構造が大型化する。
【0015】(e)単一波長単一角度照射法(強度測定
法) この方法は、試料の接触領域に対して、単一波長の光を
単一角度で照射し、反射光の強度を測定する方式であ
る。光の入射角度はあらかじめ予想される共鳴角度に固
定され、誘電率の変化(共鳴角度のシフト)に伴う反射
光の強度変化量のみを検出する。照射光の光源として
は、一般にレーザーダイオードが用いられている。
【0016】この技術によれば、分析装置の構造が簡素
化でき、短時間で分析できる。しかしながら、反射光の
強度変化量のみで分析しているため、上記(a)〜
(d)の技術と比べて光源の強度変化に敏感であり、光
源に精密性・耐久性が要求される。また、上記(a)〜
(d)の技術と同様に計測レンジに制約がある。
【0017】以上説明したように、上述の従来技術
(a)〜(e)は何れも何らかの課題を有している。従
って、分析装置の構成が簡素・小型であり、短時間で効
率的に試料の分析を行なうことができ、且つ二次元で多
スポットされた試料の分析も可能な技術が求められてい
た。
【0018】本発明は、上述の課題に鑑みて創案された
ものである。即ち、本発明の目的は、簡素で小型な構成
によって、短時間で効率的に試料の分析を行なうことが
でき、且つ二次元で多スポットされた試料の分析も可能
な、表面プラズモン共鳴を利用した試料の分析装置及び
表面プラズモン共鳴分析用センサチップを提供すること
に存する。
【0019】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者は鋭意
検討の結果、面状の発光素子を有する面発光レーザーを
照射光の光源として用いることによって、前記課題が効
果的に解決されることを見出し、本発明を完成させた。
【0020】すなわち、本発明の要旨は、試料と接触す
るセンサ面を有するとともに前記センサ面へ光を照射す
ることにより表面プラズモン共鳴現象を生じ得るセンサ
チップを用いて試料の分析を行なう装置において、面状
のレーザー発光素子を有し前記センサ面に光を照射する
面発光レーザー光源と、前記センサ面への前記照射光の
入射に伴う前記センサ面からの反射光の強度を測定する
測定手段と、前記反射光の強度に基づいて表面プラズモ
ン共鳴による前記照射光の吸収状態を求めることにより
前記試料を分析する分析手段とを備えることを特徴とす
る、表面プラズモン共鳴を利用した試料の分析装置に存
する。
【0021】さらに、本発明の別の要旨は、試料と接触
するセンサ面を有するとともに前記センサ面へ光を照射
することにより表面プラズモン共鳴現象を生じ得るセン
サチップにおいて、外部の励起源により励起されて前記
センサ面に光を照射する、面状のレーザー発光素子を備
えることを特徴とする、表面プラズモン共鳴分析用セン
サチップに存する。
【0022】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照しながら、本発
明の実施の形態について詳細に説明する。本発明では、
試料と接触するセンサ面を有するとともに、前記センサ
面へ光を照射することにより表面プラズモン共鳴現象を
生じ得る、表面プラズモン共鳴分析用センサチップ(以
下、単にセンサチップという)を用いて、表面プラズモ
ン共鳴(SPR)を利用した分析を行なう。
【0023】そして、本発明の分析装置は、面状のレー
ザー発光素子を有し、前記センサ面に光を照射する面発
光レーザー光源と、前記センサ面への前記照射光の入射
に伴う、前記センサ面からの反射光の強度を測定する測
定手段と、前記反射光の強度に基づいて、表面プラズモ
ン共鳴による前記照射光の吸収状態を求めることによ
り、前記試料を分析する分析手段とを備えて構成され
る。
【0024】すなわち、本発明の基本的な構成(センサ
チップ、光源、測定手段、分析手段)は多くの従来技術
と共通するものであり、本発明は何れの従来技術に対し
ても適用することが可能である。
【0025】従って、以下の記載では、まず、本発明の
重要な特徴である面発光レーザーについて説明した上で
(〔I〕面発光レーザー光源)、次に、本発明の実施の
形態として、先に述べた各従来技術の分析装置に対して
本発明を適用した場合について説明する(〔II〕分析装
置)。さらに、本発明の別の実施の形態として、センサ
チップ側に面状のレーザー発光素子を設けた場合につい
ても説明する(〔III〕センサチップ)。
【0026】〔I〕 面発光レーザー光源 〔I−1〕 面発光レーザーの基本概念 本発明では、面発光レーザー光源を使用してセンサチッ
プのセンサ面に光を照射することを、その重要な特徴と
している。ここで、面発光レーザー光源とは、面状の発
光を呈するレーザー光源であって、面状の発光部(発光
面)を有するレーザー発光素子(面発光レーザー素子)
と、前記面発光レーザー素子を励起してレーザー光を発
させる励起源とを備えて構成され、さらに、前記面発光
レーザー素子は、素子の発光面から垂直又は略垂直方向
にレーザー光を放射するレーザー(面発光レーザー)を
含んで構成される。
【0027】なお、面発光レーザー光源の他に面状の発
光を呈する光源として、液晶のバックライトのように線
状もしくは点状の光源からの発光を導波路及び散乱体で
面状に一様に発光させたものや、面状に発光する有機E
L(Electro Luminescent)素子等が挙げられる。しか
し、これらの光源では、発光の向きが制御されていない
のでこれをコリメートする必要があり、光学系が複雑に
なるために本発明の趣旨に沿わない。
【0028】レーザーは、一般的に、光を誘導放射する
レーザー媒質と、その光を何度も反射しながら位相を揃
えていく共振器とから構成される。従来の一般的なレー
ザーである端面発光型レーザーは、半導体素子を劈開に
より切り出した端面を反射鏡とするファブリー・ペロー
型の共振器を有し、劈開端面よりレーザー光を出射する
構成をとっているために、二次元配列が困難であった。
面発光レーザーは、主にこの共振器の構造に改善を加え
ることによって、従来のレーザーの難点を解消し、二次
元配列を可能とするものである。
【0029】上述した半導体素子端部の反射鏡に代わる
共振器として、回折格子を用いた共振器構造が挙げられ
る。共振器構造に使用される回折格子は、大きく分け
て、発光部(レーザー媒質)に沿って回折格子を設けた
DFB(Distributed Feedback:分布帰還)形と、発光
部(レーザー媒質)の外部に回析格子を設けたDBR
(Distributed Bragg Reflector:分布ブラッグ反射)
形の2種類がある。面発光レーザーは、主にこのDFB
形又はDBR形の共振器構造を用いて作製される。
【0030】以下の記載では、面発光レーザーの代表的
な技術として、まず使用される共振器の種類に着目し、
垂直共振器型面発光レーザーとフォトニック結晶面発光
レーザーという、二種類の技術について説明する。
【0031】垂直共振器型面発光レーザー(vertical-c
avity surface-emitting laser:VCSEL)は、基板
に対して垂直方向に立設された円柱状の形状で、レーザ
ー媒質を含む発光層を挟んで上下に多層膜ミラーが配置
された構造を有する。発光層のレーザー媒質としては半
導体が用いられ、これが電流注入によって励起されて光
を発するとともに、多層膜ミラーはDBR形の共振器構
造として構成され、これが発光層から発せられた光を基
板面(発光面)に対して垂直に共振させる垂直共振器と
して機能する。
【0032】代表的な発光波長は850nm前後である
が、より長波長(780nm,1.3μm,1.5μm
等)の発光を呈するものも開発されており、更には、G
aNを使った青色レーザーも検討されている。発光波長
を変化させる手法としては、マイクロマシン技術を利用
する手法と、垂直方向の共振器の長さを作成条件によっ
て調整する手法とがある。前者は、マイクロマシン技術
で発光層及び多層膜ミラーの位置関係を変更することに
より、個々のレーザーの発光波長を可変とするものであ
る。後者は、個々のレーザーの垂直方向に形成される共
振器の長さを作成条件の変更により調整し、レーザー毎
に発光波長を変化させるものである。
【0033】一方、フォトニック結晶面発光レーザー
は、DFB形の共振器構造であるフォトニック結晶を用
いたものである。DFB形の共振器構造は、前述したよ
うに発光部(レーザー媒質)に沿って回折格子を設けた
もので、通常は凹凸をつけた基板の上に屈折率の異なる
材料を成膜して形成され、この屈折率変化を利用してレ
ーザー発光させたい波長の光をブラッグ反射させる。フ
ォトニック結晶は、二次元以上の周期的な屈折率変化を
有する結晶で、共振器の機能に加えて回折格子の機能も
有するので、二次元以上のDFB形共振器構造として好
適に用いられる(一次元のものも含めてフォトニック結
晶と呼ぶ場合もあるが、本明細書では二次元以上のもの
をフォトニック結晶と呼ぶことにする)。
【0034】フォトニック結晶の具体的な構造につい
て、二次元フォトニック結晶を例にとって説明する。二
次元フォトニック結晶は、屈折率が高くレーザー媒質を
含むコア層と、屈折率が低い上部クラッド層及び下部ク
ラッド層とからなる平面導波路構造において、クラッド
層表面に多数の突起又は孔穴が周期的に形成された形状
を有する。突起や孔穴の形状は正弦波状であっても良
く、また、突起がコア層を貫通していても良い。これら
の突起又は孔穴が二次元の格子構造を構成することによ
り、周期的な屈折率変化が実現される。格子構造の種類
としては、三角格子、正方格子、ハニカム格子等の、レ
ーザー媒質からの光の放射モードと結合する格子構造が
挙げられる。図7(a)及び(b)に、二次元フォトニ
ック結晶の格子構造の例として、それぞれ正方格子及び
三角格子の例を示す。図7(a)及び(b)において、
Aは二次元フォトニック結晶の本体を、dは結晶の本体
Aの表面に形成された突起又は孔穴を示す。
【0035】フォトニック結晶面発光レーザーのレーザ
ー媒質としては、半導体や有機物等を使用することがで
き、後者の有機物としては、有機結晶や色素の使用が研
究されている。発光波長は、使用するレーザー媒質や励
起源の種類により様々である。例えば、レーザー媒質と
して色素の一種であるDCMを使用し、励起源としてN
2レーザーを用いて光励起を行なった場合、601〜7
16nmの範囲で発光する。レーザー媒質として各種の
色素を選択して用いれば、紫外から赤外までの範囲で発
光が可能になる。また、共振器として二次元フォトニッ
ク結晶を使用する場合には、その格子構造の種類及び格
子間隔も発光波長に影響を及ぼす。
【0036】一方、使用されるレーザー媒質の種類に着
目して面発光レーザーを分類することも可能であるが、
その中でも代表的なものとして、半導体レーザーと有機
レーザーについて説明する。
【0037】半導体レーザーは、レーザー媒質として半
導体を使用するもので、上述した垂直共振器型面発光レ
ーザー、フォトニック結晶面発光レーザーの何れにも適
用が可能である。半導体レーザーの利点としては、半導
体を使用するので極めて長寿命であること、欠点として
は、現段階では発光波長として可視領域内の任意の波長
を選択することはできず、主に近赤外〜赤外領域の波長
に限られることが挙げられる。
【0038】対して、有機レーザーは、レーザー媒質と
して有機物を使用するもので、垂直共振器型面発光レー
ザーには適用できないが、フォトニック結晶面発光レー
ザーには適用が可能である。使用される有機物として
は、有機結晶、色素等が検討されている。有機レーザー
の利点としては、選択できる発光波長の範囲が広いこと
が挙げられる。特に色素を使用すれば、色素の選択によ
って可視光全領域を含む極めて広い範囲の発光が実現さ
れる。欠点としては、現段階では発光波長として可視領
域で使用できる波長に制限があることが挙げられる。
【0039】なお、上述の半導体レーザー及び有機レー
ザーの他にも、YAGレーザー等の光学媒質として無機
材料を用いた無機レーザーも存在するが、現時点では一
般に大型且つ高価で、本発明の趣旨には沿わない。
【0040】本発明で使用する面発光レーザーは、垂直
共振器型面発光レーザー及びフォトニック結晶面発光レ
ーザーの何れであっても良く、また、半導体レーザー及
び有機レーザーの何れであっても良い。従って、採用す
る分析装置及びセンサチップに求められる特性に応じ
て、適切な組み合わせを選択することが好ましい。例え
ば、発光素子の小型化や寿命の観点からは、電流励起が
可能で小型に構成でき、且つ寿命も長い半導体レーザー
が好ましく、また、レーザーの高密度配列が可能な垂直
共振器型面発光レーザーが有利である。一方、選択でき
る発光波長の広さの観点からは、有機レーザー、特に色
素レーザーが好ましく、従ってレーザー媒質に色素を使
用できるフォトニック結晶面発光レーザーが有利とな
る。
【0041】特に、現在では電流励起の可能な有機レー
ザーが開発されており、従来の光励起による有機レーザ
ーに比べて、より小型に構成することが可能となってい
る。また、面発光レーザー素子を分析装置から取り外し
可能とし、或いはセンサチップと一体化して、ディスポ
ーザブルな構成とすれば、寿命が短いという欠点も解消
される。さらに、共振器として二次元フォトニック結晶
を用いたフォトニック結晶面発光レーザーは、二次元フ
ォトニック結晶の格子構造のピッチを調整することによ
って、発光面の異なる位置から違う波長のレーザー光を
発する多波長面発光レーザーを容易に作製できる。従っ
て、本発明では選択できる発光波長の広さを重視して、
共振器として二次元フォトニック結晶を、レーザー媒質
として色素を使用したレーザー(フォトニック結晶有機
レーザー)を用いることが好ましい。
【0042】以上説明した理由から、以下の記載では、
本発明に係る面発光レーザーの好ましい例として、フォ
トニック結晶有機レーザーの構成及び製造方法について
説明する。なお、本発明で使用できる面発光レーザー
は、勿論この例に限定されるものではなく、上述した各
種の技術を目的に合わせて選択し、適宜組み合わせて使
用できることを附言しておく。
【0043】〔I−2〕 フォトニック結晶有機レーザ
ー 図8は、本発明に係る面発光レーザーの一例であるフォ
トニック結晶有機レーザーの構成を模式的に表わす図で
ある。図8に示すように、フォトニック結晶有機レーザ
ー100は、基板101と、基板101上に形成される
クラッド層102と、クラッド層102上に形成される
色素層103から構成される。
【0044】このフォトニック結晶有機レーザー100
は、基板101上に、クラッド層102及び色素層10
3をこの順に積層して形成することにより作製できる。
基板101の材料は、本発明に使用する面発光レーザー
としての特性を損なわないものを任意に選択して使用で
きるが、クラッド層102及び色素層103の機能に与
える影響をできるだけ低減するために、光学活性の低い
材料を選択することが好ましい。特に、励起の方法とし
て光励起を採用する場合には、励起光を透過するガラス
又はプラスチック製の材料が好ましい。また、基板10
1の厚さは、全体の厚さを支えることができれば特に制
限は無いが、通常0.1〜3mm程度である。
【0045】具体的には、まず、次の(イ)又は(ロ)
の方法を用いて、基板101上にクラッド層102を形
成する。クラッド層102の厚さは1,000〜10,
000nm程度が好ましい。また、クラッド層102に
形成する格子構造のピッチは、150〜400nm程度
とすることが好ましい。
【0046】(イ)鋳型成形(モールド)による形成 Si基板又はSiO2基板を、電子線リソグラフィー及
びドライエッチングで加工することにより、成形に使用
する鋳型を作製する。又は、この様にして作製したSi
基板又はSiO2基板製の型を、更にPDMS(Polydim
ethyl siloxane)で転写して、これを鋳型として使用し
ても良い。特に、後者の手法によれば、可撓性の高い鋳
型を作製できるため、任意の二次元形状のクラッド層1
02を作製することが可能となる。次に、励起光を透過
するガラス又はプラスチック製の基板101上に、ゾル
ゲルガラスをスピンコートし、上記の各手法で作製した
鋳型を用いて成形する。その後、成形したゾルゲルガラ
スをゲル化させ、鋳型を取り外してクラッド層102と
する。
【0047】(ロ)自己組織化による形成 ポリスチレン製やシリカ製の微小な球を、自己組織化現
象を利用して基板101上に配列させることにより、正
方格子や三角格子等の格子構造を有するクラッド層10
2を形成する。自己組織化現象を利用した微小球の配列
方法としては、例えば、前之園他「ウェットプロセスに
よるシリカ微粒子の自己配列」(化学工学会第66年会
シンポジウム<粒子分散系薄膜のマイクロ構造形成>,
V318)に記載の方法が挙げられる。
【0048】続いて、上述の(イ)又は(ロ)の方法を
用いて形成したクラッド層102の上に、色素を含む有
機材料を蒸着又はスピンコートさせることにより、色素
層103を形成することによって、上述のフォトニック
結晶有機レーザー100が作製される。色素層103の
膜厚は、150〜300nm程度が好ましい。
【0049】なお、基板101の存在は必須では無く、
フォトニック結晶有機レーザー100の作製方法に依存
する。すなわち、仮基板の上にクラッド層102及び色
素層103を形成した後、仮基板を取り除いてもよく、
又は、格子構造を形成した色素層103を先に形成し
て、これを鋳型としてクラッド層102を形成しても良
い。
【0050】作製されたフォトニック結晶有機レーザー
100の発光波長は、クラッド層102における二次元
フォトニック結晶の格子構造の種類や格子間隔(ピッチ
幅)、格子構造を形成する突起の高さ又は孔穴の深さ、
色素層103に含まれる色素の種類、クラッド層102
と色素層103との屈折率の関係等、様々な条件によっ
て決定される。例えば、クラッド層102における二次
元フォトニック結晶の格子構造が三角格子、格子間隔が
440nm、格子を形成する孔穴の直径が100nm、
深さが160nm、クラッド層102の屈折率が1.4
4、色素層103に含まれる色素がDCM、色素層10
3の屈折率が1.77である場合、発光波長は607n
mとなる。
【0051】なお、フォトニック結晶有機レーザー10
0の発振閾値はできるだけ低いほうが、レーザー発光を
起こすために必要な励起エネルギー(例えば、光励起の
場合には、必要な励起光の強度。電力励起の場合には、
必要な励起電力)が低下するとともに、必要なクラッド
層102の面積(ひいては、フォトニック結晶有機レー
ザー100の面積)を小さくできるので、コスト面及び
装置の小型化の面で好ましい。従って、フォトニック結
晶有機レーザー100の製造においては、発振閾値を低
くするために、以下の各点に留意することが好ましい。
【0052】(i)色素層103から発光した光を、で
きるだけ有機レーザー100面内に閉じこめるために、
有機レーザー100が光導波路構造となっていることが
好ましい。そのためには、クラッド層102の屈折率の
方が色素層103の屈折率よりも小さい必要がある。こ
の様な組み合わせとして、例えば、クラッド層102と
して屈折率1.44のSiO2を、色素層103として
屈折率1.77のDCM doped Alq3を用いる組み合
わせが挙げられる。特に、クラッド層102の屈折率と
色素層103の屈折率との差が大きい方が、DFBの反
射効率が向上し、レーザーの発振閾値が低下するので望
ましい。なお、クラッド層102としてポーラスシリカ
を用いれば、ポーラスの割合を変更することによって、
屈折率を低く調整することが容易となる。
【0053】(ii)クラッド層102において、二次元
フォトニック結晶の突起の高さ又は孔穴の深さが大きい
方が、光導波路構造におけるDFBの反射効率が向上
し、クラッド層102の面積をより小さくできる。従っ
て、有機レーザー100の発振閾値を低減する観点から
は、突起の高さ又は孔穴の深さは大きい方が望ましく、
具体的には20nm以上が好ましい。但し、突起の高さ
又は孔穴の深さをあまり大きくすると、二次元フォトニ
ック結晶の作製の難度が高くなってしまい好ましくな
い。
【0054】(iii)色素層103もポーラス構造であ
ることが望ましい。色素層103中に存在する色素の分
子が、凝集した状態ではなく分離した状態の方が、レー
ザーの発振閾値が下がることが報告されている。
【0055】以上の方法により作製されたフォトニック
結晶有機レーザー100は、そのまま面発光レーザー素
子として使用してもよく、別に用意した素子用基板に一
又は複数を貼り付けて、これを面発光レーザー素子とし
て使用しても良い。光励起を採用する場合には、十分な
発光強度を有するレーザー光源等の励起光源を励起源と
して使用し、励起光源からの光(励起光)を面発光レー
ザー素子の色素層103に照射することによって、面発
光レーザー素子からレーザー光を発させる。
【0056】特に、面発光レーザー素子を光励起する場
合、その励起光の波長はレーザー発光波長と違うことが
望ましい。励起光源からの励起光波長と面発光レーザー
素子からの発光波長とが異なるレーザー光源を用いれ
ば、面発光レーザー素子とセンサチップとの間(検出
系)に励起光が漏出しても、励起光波長付近の光を選択
的に遮断する光フィルターを面発光レーザー素子とセン
サチップとの間に配置することにより、これを簡単に除
去することができる。例えば上述のように、色素として
DCMを、励起光源としてN2レーザー(発光波長33
7.1nm)を用いた構成では、レーザーの発光波長は
601〜716nmとなり、こうした条件に合致するこ
とになる。また、フェムト秒レーザーを使用すれば多光
子励起が可能であり、この場合はさらに励起光波長とレ
ーザー発光波長との差を大きくすることが可能である。
【0057】なお、以上説明したフォトニック結晶有機
レーザー100の製造方法を応用して、発光面の各位置
から異なる波長のレーザー光を照射できるように構成す
ることも可能である。図9に、発光面の異なる部位から
異なる波長のレーザー光を照射できるように構成した、
多波長面発光レーザー素子の例を模式的に表わす。図9
に示すように、多波長面発光レーザー素子11’は、素
子本体11B’の発光面E上の異なる領域e1,e2,・
・・,enから、異なる波長のレーザー光が発せられる
ように構成されている。本発明では、この様な構成の多
波長面発光レーザー素子11’を使用することで、多波
長のレーザー光を同時にセンサチップのセンサ面に対し
て照射することが可能となり、後述するように各種の利
点を得ることができる。
【0058】なお、レーザー発光領域e1,e2,・・
・,enの数、形状、配列等は任意である(図9では、
方形のレーザー発光領域e1,e2,・・・,enが二次
元アレイ状に配列されている例を示している)。また、
全てのレーザー発光領域e1,e2,・・・,enにおけ
るレーザー発光波長がそれぞれ異なるように構成しても
よいし、複数の領域が同じ波長のレーザー光を発光する
ように構成してもよい(例えば、図9の二次元アレイと
して配列されたレーザー発光領域e1,e2,・・・,e
nにおいて、同一行内のレーザー発光領域の発光波長は
同じとして、行ごとに異なる発光波長を有するように構
成する)。すなわち、レーザー発光領域e 1,e2,・・
・,enの数、形状、配列等や、レーザー発光波長の異
同及びその組み合わせは、使用目的に応じて適切なもの
を決定すればよい。
【0059】また、図10に示すように、センサチップ
9のセンサ面9Aが、複数種の試料をそれぞれ独立に接
触させることができるように構成されている場合には、
こうしたセンサ面9A上の複数の試料接触領域を、多波
長面発光レーザー素子11’の複数のレーザー発光領域
1,e2,・・・,enと組み合わせることによって、
より複雑な分析を行なうことが可能となる。例えば、複
数種の試料に対する接触領域s1,s2,・・・,s
センサ面9A上に一列に(図10では図の上下方向に)
配置されたセンサチップ9と、互いに異なる波長のレー
ザー光を発する複数のレーザー発光領域e1,e2,・・
・,enが発光面上に、先のセンサ面9A上の試料接触
領域s1,s2,・・・,sの整列方向に対して垂直方
向に一列に(図10では図の左右方向に)配置された多
波長面発光レーザー素子11’とを組み合わせて用いる
ことにより、先のセンサ面9A上の試料接触領域s1
2,・・・,sの異なる位置に各レーザー発光領域
1,e2,・・・,enからの異なる波長のレーザー光
を照射することが可能となり、複数の試料の多波長同時
解析が可能となる。
【0060】上述の多波長面発光レーザー素子11’は
様々な手法により作製できるが、例えば、最も単純な方
法として、異なる発光波長を有するフォトニック結晶有
機レーザー100を個々に作製し、別に用意した素子本
体11B’上に二次元的に配列して貼り付けて作製する
ことができる。他に、より小型化が可能な方法として、
フォトニック結晶有機レーザー100の基板101を共
通の素子本体11B’として用い、この基板101の表
面(発光面E)上の領域e1,e2,・・・,e nに応じ
て異なる格子間隔でクラッド層102を形成したり、又
は領域e1,e2,・・・,enに応じて異なる種類の色
素を含むように色素層103を形成したりすれば、これ
をそのまま多波長面発光レーザー素子11’として使用
することが可能となる。
【0061】特に、色素の発光波長帯域は前述したよう
に極めて広く、また色素の種類によっても様々に異な
る。従って、後者の方法を用いれば、素子本体11B’
の発光面E上の領域e1,e2,・・・,enに応じて、
クラッド層102の格子間隔及び色素層103の色素の
種類の一方又は双方を適切に調整することによって、可
視光領域を含む極めて広い範囲の発光波長を有する多波
長面発光レーザー素子11’を作製することができるの
で好ましい。
【0062】作製した面発光レーザー素子11’の励起
の方法としては、電流励起及び光励起の何れの方法を用
いても良い。光励起を採用する場合には、十分な発光強
度を有するレーザー光源等の励起光源を励起源として使
用し、励起光源からの光(励起光)を多波長面発光レー
ザー素子11’の色素層103に照射することによっ
て、多波長面発光レーザー素子11’からレーザー光を
発させる。手順としては、励起光源からの励起光を素子
本体11B’の発光面E上の各領域e1,e2,・・・,
n上に順次スキャンしながら照射しても良いし、励起
光源の発光強度及び発光範囲を充分確保できるならば、
同時に複数の領域e1,e2,・・・,enに励起光を照
射してもよい。特に後者ならば、多波長面発光レーザー
素子11’から同時に多波長のレーザー光を発すること
が可能となるので好ましい。
【0063】また、上述したフォトニック結晶有機レー
ザー100を利用した面発光レーザー素子の別の応用例
として、発光面を平面や略平面に限らず、凹曲面又は凸
曲面として構成することにより、発光面上の各領域から
発せられるレーザー光を楔型に集中させて照射したり、
又は扇型に拡散させて照射したりすることができる。図
11(a)及び(b)に、それぞれ、レーザー光を集中
させて照射する集光型面発光レーザー素子及びレーザー
光を発散させながら照射する散光型面発光レーザー素子
の例を表わす。図11(a)の集光型面発光レーザー素
子11−1は、発光面が凹曲面として構成され、これに
よってレーザー光が集中しながら照射されるようになっ
ている。一方、図11(b)の散光型面発光レーザー素
子11−2は、発光面が凸曲面として構成され、これに
よってレーザー光が発散しながら照射されるようになっ
ている。本発明では、この様な構成の集光型面発光レー
ザー素子11−1又は散光型面発光レーザー素子11−
2を使用することで、センサチップのセンサ面に対して
同時に様々な入射角度でレーザー光を照射することが可
能となり、後述するように各種の利点を得ることができ
る。
【0064】この様な集光型又は散光型の面発光レーザ
ー素子11−1,11−2は、先に説明した手法を用い
て、可撓性を有するPDMS(Polydimethylsiloxane)
やPET(polyethylene terephthalate)等の素材を用
いて鋳型を作成し、これを湾曲させて用いてクラッド層
102及び色素層103を形成することにより、容易に
形成することが可能である。また、凹面状の発光面を有
する集光型面発光レーザー素子の場合には、半円柱状の
プリズムを用いて、この円周面上にクラッド層102及
び色素層103を形成することにより作製してもよい。
後者の場合には、適切な構造のプリズムを用いること
で、発光面の各位置からのレーザー光の照射角度を調整
しながら、センサチップのセンサ面上に正確に光を集中
させて照射することができる。さらに、平面形状の発光
面を有する通常の面発光レーザー素子を用いて、その発
光面に凸レンズ又は凹レンズを設けることによっても、
集光型又は散光型の面発光レーザー素子と同様の効果を
比較的簡易に得ることが可能となる。
【0065】また、この様な集光型又は散光型の面発光
レーザー素子の構成を、上述した多波長面発光レーザー
素子の構成と組み合わせれば、同時に多波長のレーザー
光を様々な入射角度でセンサチップのセンサ面に対して
照射することが可能となる。この場合、発光面の一方向
(図11(a)及び(b)では、手前−奥の方向)に沿
って、発光波長の異なる複数のレーザー発光領域を配列
した上で、その方向とは異なる方向(図11(a)及び
(b)では、上下の方向)に沿って、レーザー光の照射
角度が異なるように曲面を設けることで、多波長のレー
ザー光を多入射角度で同時に照射するのみならず、レー
ザー光の波長や入射角度を容易に選択して照射すること
も可能となる。
【0066】〔II〕 分析装置 本発明の分析装置は、試料と接触するセンサ面を有する
とともに、前記センサ面へ光を照射することにより表面
プラズモン共鳴現象を生じ得る、表面プラズモン共鳴分
析用センサチップ(以下、単にセンサチップという)を
用いて、表面プラズモン共鳴(SPR)を利用した分析
を行なうものである。
【0067】そして、本発明の分析装置は、面状の面発
光レーザー素子を有し、前記センサ面に光を照射する面
発光レーザーと、前記センサ面への前記照射光の入射に
伴う、前記センサ面からの反射光の強度を測定する測定
手段と、前記反射光の強度に基づいて、表面プラズモン
共鳴による前記照射光の吸収状態を求めることにより、
前記試料を分析する分析手段とを備えて構成される。
【0068】以下の記載では、本発明の実施の形態とし
て、上述した従来技術である(a)多波長単一角度照射
法,(b)単一波長多角度照射法1(スキャン型照射方
式),(c)単一波長多角度照射法2(くさび型照射方
式),(d)単一波長多角度照射法3(扇型照射方
式),(e)単一波長単一角度照射法(強度測定法)の
それぞれの分析装置に対して、本発明を適用した場合に
ついて説明する(第1〜第5実施形態)。
【0069】〔II−1〕 第1実施形態 第1実施形態では、本発明を(a)多波長単一角度照射
法による分析装置に適用した場合について説明する。図
1は、本発明の第1実施形態に係る分析装置の要部構成
を模式的に表わす図である。図1に示すように、本実施
形態の分析装置A1は、面発光レーザー光源1、測定手
段2、分析手段3をそなえ、センサチップ9を用いて表
面プラズモン共鳴分析を行なうように構成されている。
【0070】面発光レーザー光源1は、面状に発光され
たレーザー光をセンサチップ9のセンサ面9Aに照射す
るもので、ここでは光励起によりレーザー発光する形式
のものを示している。この面発光レーザー光源1は、面
状の発光部を有するレーザー発光素子である面発光レー
ザー素子11と、面発光レーザー素子11を光励起して
レーザー光を発させる励起光源12とを備えている。本
実施形態の面発光レーザー素子11としては、先に図9
を用いて説明した様な、発光面の各位置から異なる波長
の複数のレーザー光を照射できる多波長面発光レーザー
素子11が用いられる。励起光源12としては、YAG
レーザー、N2レーザー、フェムト秒レーザー、フラッ
シュランプ等が用いられる。
【0071】センサチップ9は、好ましくは分析装置A
1から脱着可能に構成される分析用の素子であって、試
料Sと接触するセンサ面9Aを有するとともに、センサ
面9Aに沿って基体92及び金属層91が積層された構
成を有する。具体的には、基体92は、面発光レーザー
光源1からのレーザー光を透過するガラス等の材料から
なり、面発光レーザー光源1からのレーザー光の照射に
よりエバネッセント波を誘起し得る回折格子や全反射プ
リズム等の光学構造が設けられている。また、金属層9
1は、光の照射により表面プラズモン波を誘起し得る金
属材料から構成される。センサ面9Aは、一般的には金
属層91の表面に設けられるとともに、同じくセンサチ
ップ9に設けられた微小流路を介して試料Sを誘導さ
れ、又は試料Sを直接塗布若しくは滴下されることによ
り、試料Sと接触するように構成されている。そして、
センサ面9A上には、試料S中の検出種(非検出対象)
と特異的に結合する結合物質(抗原抗体反応、相補的D
NA結合、リセプター/リガンド相互反応、酵素/基質
相互作用等の相互作用によって検出種を捕捉できる物
質)が固定化され、センサ面9A上に分析対象の試料S
を(微小流路への導入やセンサチップ9本体表面への塗
布・滴下等により)接触させると、試料S中の検出種が
センサ面9A上の結合物質に結合する。この状態でセン
サ面9Aへ光を照射することにより、センサ面9Aにお
ける結合物質への検出種の結合状態に応じて(すなわ
ち、金属層91表面の屈折率変化に応じて)、表面プラ
ズモン共鳴現象を生じ得るように構成されている。
【0072】測定手段2は、面発光レーザー光源1から
センサチップ9のセンサ面9Aへの照射光の入射に伴
う、センサ面9Aからの反射光の強度を測定するもの
で、想定される波長範囲の光強度を測定可能な光検出器
やCCDカメラ等を使用する。本実施形態では、センサ
面9Aから反射してくる異なる波長の複数のレーザー光
の個々の強度を同時に測定することが好ましいので、面
状の受光面を有するCCDカメラ等を使用することが好
ましい。
【0073】分析手段3は、測定手段2にて測定された
センサ面9Aからの反射光の強度に基づいて、表面プラ
ズモン共鳴による照射光の吸収状態を求めることによ
り、試料を分析するもので、分析に必要な演算を行なう
演算処理機構と、演算に必要なパラメータや演算結果等
のデータの入出力を行なう入出力機構とを備えて構成さ
れる。なお、この分析手段3は、必ずしも分析装置内に
備える必要は無く、コンピュータ等を装置に接続するこ
とによって実現することも可能である。
【0074】なお、本実施形態の分析装置A1では、図
1に示すように、多波長面発光レーザー素子11の発光
面の別の位置から照射された異なる波長のレーザー光
が、センサ面9A上の別の位置に入射するように、面発
光レーザー光源1及びセンサチップ9が配置される。こ
れによって、異なる入射波長に基づく反射光がセンサ面
9Aの異なる位置からそれぞれ単波長光として出射する
ので、上述した従来技術(a)のように、多波長の反射
光を分光する機構を要しなくとも、これらの反射光の強
度を測定手段2において別々に測定することが可能とな
り、分析装置の構成の簡素化・小型化に寄与し得る。
【0075】また、本実施形態の分析装置A1では、分
析中に面発光レーザー光源1からセンサ面9Aへの照射
光の入射角度を変化させる必要が無く、また、それに伴
うセンサ面9Aからの反射光の出射角度も変化しない。
従って、装置A1の構造の簡略化・小型化の観点から、
面発光レーザー光源1、測定手段2及びセンサチップ9
は、センサ面9Aにおける照射光の入射角度及び反射角
度に応じて、予め適切な位置関係となるように設けられ
ていることが好ましい。勿論、機器の長期使用に伴う誤
差や各部の劣化、センサチップ9の交換に伴い、これら
の要素間に生じる位置関係の変化を修正するために、こ
れらの要素の位置を適宜調整する機構等を設けても良
い。また、面発光レーザー素子11から発せられたレー
ザー光がセンサチップ9のセンサ面9Aに対して適切な
条件で入射するように、面発光レーザー光源1の面発光
レーザー素子11とセンサチップ9の基体92との間
に、光学レンズ等の光学構造を設けても良い。
【0076】上述の構成を有する本実施形態の分析装置
A1では、まず、励起光源12から発せられた励起光が
面発光レーザー素子11に照射される。励起光によって
励起された面発光レーザー素子11の発光面上の異なる
位置から、波長の異なる複数のレーザー光が、センサチ
ップ9のセンサ面9A上に対して照射される。センサ面
9Aに照射された波長の異なる複数のレーザー光は、基
体92及び金属層91の境界面で反射され、その各々の
反射レーザー光の強度が測定手段2で測定される。測定
された各々の反射レーザー光の強度から、分析手段3に
よってセンサ面9Aにおける共鳴波長が求められ、これ
に基づきセンサ面9A上に接触する試料Sについての分
析(試料S中の検出種の有無や濃度等の分析)が行なわ
れる。
【0077】上記(a)の公知技術では、反射光を分光
して、所定の波長範囲の分光波形を検出し、共鳴波長を
求めている。よって、検出する波長範囲(計測レンジ)
に共鳴波長が入らない場合、波長範囲(または入射角
度)を変更すべく機械的な調整が必要となる。なお、検
出する波長範囲(計測レンジ)を広く取るとの考えもあ
るが、波長範囲を広くとりすぎると分解能が低下すると
いう新たな問題が生じてしまう。これに対して本実施形
態では、面発光レーザー素子の発光面から別位置から多
数の異なる波長の光を照射し、これに基づく各反射光を
検出するため、反射光から試料に応じた波長範囲を適宜
選択して解析できるので、測定レンジが拡大されること
になる。
【0078】また、図10に示す様な、センサ面9Aに
複数種に試料Sが接触可能なセンサチップ9を用いた場
合には、複数種の試料Sの同時分析が可能になる。この
場合、誘電率が大きく異なる複数の試料の同時測定も可
能になる。
【0079】〔II−2〕 第2実施形態 第2実施形態では、本発明を(b)単一波長多角度照射
法1(スキャン型照射方式)による分析装置に適用した
場合について説明する。図2は、本発明の第2実施形態
に係る分析装置の要部構成を模式的に表わす図である。
なお、図2において、図1と同様の構成要素については
同一の符号を付した上で、同様の機能については説明を
省略して、第1実施形態との相違点に絞って説明する。
図2に示すように、本実施形態の分析装置A2も、面発
光レーザー光源1、測定手段2、分析手段3を備え、セ
ンサチップ9を用いて表面プラズモン共鳴分析を行なう
ように構成されている。面発光レーザー光源1のレーザ
ー発光素子11としては、発光面の各位置から異なる波
長の複数のレーザー光を照射できる多波長面発光レーザ
ー素子を用いることが好ましい。また、センサチップ9
としては、センサ面9Aに複数種の試料Sをそれぞれ独
立に接触させることができる様な構成のものを用いるこ
とが好ましい。
【0080】さらに、本実施形態の分析装置A2は、面
発光レーザー光源1を機械的に駆動してその位置や方向
を調整する駆動手段4を備える。この駆動手段4は、分
析装置A2による試料の分析に際して、面発光レーザー
光源1を矢印Rの方向に駆動することにより、面発光レ
ーザー素子11からのレーザー光の照射経路Lを矢印r
の方向に移動させて、センサ面9Aに対するレーザー光
の入射角度を変化させることができるように構成されて
いる。この駆動手段4の動作に伴って、面発光レーザー
光源1から連続的又は間欠的にレーザー光が発せられる
ことにより、角度スキャンしながらのレーザー光の照射
が可能となる。
【0081】上述の構成を有する本実施形態の分析装置
A2では、まず、励起光源12から発せられた励起光が
面発光レーザー素子11に照射され、励起された面発光
レーザー素子11の発光面からレーザー光が照射され
る。この際に、駆動手段4によって面発光レーザー光源
1が駆動されることにより、面発光レーザー素子11か
らのレーザー光は、その入射角度を変化させながら(角
度スキャンしながら)、連続的又は間欠的にセンサ面9
Aに照射される。各々の入射角度に伴う反射レーザー光
の強度が、測定手段2で随時測定される。測定された各
々の反射レーザー光の強度から、分析手段3によってセ
ンサ面9Aにおける共鳴角度が求められ、これに基づき
センサ面9A上に接触する試料Sについての分析(試料
中の検出種の有無や濃度等の分析)が行なわれる。
【0082】ここで、面発光レーザー素子11として多
波長面発光レーザー素子を用いた場合には、発光面上の
異なる位置から波長の異なる複数のレーザー光が照射さ
れ、測定手段2では、それらのレーザー光の入射に伴
い、波長の異なる複数の反射光の強度が同時に検出され
る。上記(b)の公知技術では、計測レンジを外れる場
合、入射光の波長を変更するために光源を変える必要が
あったが、本実施形態では、複数の波長のデータを同時
に取得できるので、その中から試料に応じて適切な波長
のデータを選択し共鳴角度を求めることができるので、
測定レンジが拡大されることになる。
【0083】また、図10に示す様な、センサ面9Aに
複数種に試料Sが接触可能なセンサチップ9を用いた場
合には、複数種の試料Sの同時分析が可能になる。この
場合、多波長面発光レーザー素子11を使用することに
よって、誘電率が大きく異なる複数の試料の同時測定も
可能になる。また、本実施形態の分析装置A2によれ
ば、先の従来技術(b)単一波長多角度照射法1と同様
の利点も得られる。
【0084】さらに、面状発光レーザー素子のレーザー
媒質として色素を用いることにより、従来技術(b)の
様に光源としてLEDを用いる場合と比べて、可視光波
長領域全域を含む幅広い発光波長を選択することがで
き、分析内容や分析対象の広範化に繋がる。加えて、面
状発光レーザー素子11では発光面からほぼ垂直方向の
みにレーザー光が発光されるので、従来技術(b)のL
EDの場合と比べて、センサ面9A上に複数種の試料S
を接触させて分析する場合でも、センサ面9A上の他試
料の接触領域にレーザー光が漏出する可能性が低く、よ
り多種の試料Sを同時に分析することが可能になるとと
もに、各試料の分析の精度も向上させることができる。
【0085】〔II−3〕 第3実施形態 第3実施形態では、本発明を(c)単一波長多角度照射
法2(くさび型照射方式)による分析装置に適用した場
合について説明する。図3は、本発明の第3実施形態に
係る分析装置の要部構成を模式的に表わす図である。な
お、図3においても、図1又は図2と同様の構成要素に
ついては同一の符号を付した上で、同様の機能について
は説明を省略して、第1実施形態又は第2実施形態との
相違点に絞って説明する。図3に示すように、本実施形
態の分析装置A3も、面発光レーザー光源1、測定手段
2、分析手段3を備え、センサチップ9を用いて表面プ
ラズモン共鳴分析を行なうように構成されている。
【0086】面発光レーザー光源1のレーザー発光素子
11−1としては、先に図11(a)を用いて説明した
様に、発光面を凹曲面として構成することにより、発光
面上の各領域から発せられるレーザー光を楔型に集中さ
せて照射できるようにした、集光型の面発光レーザー素
子11−1を用いる。ここで、集光型の面発光レーザー
素子11は、さらに発光面の各位置から異なる波長の複
数のレーザー光を照射できる、多波長面発光レーザー素
子11−1でもあることが好ましい。また、センサチッ
プ9としては、センサ面9Aに複数種の試料Sをそれぞ
れ独立に接触させることができる構成のものを用いるこ
とが好ましい。
【0087】上述の構成を有する本実施形態の分析装置
A3では、まず、励起光源12から発せられた励起光が
面発光レーザー素子11−1に照射され、励起された面
発光レーザー素子11−1の発光面からレーザー光が照
射される。この際に、発光面の各位置から照射されるレ
ーザー光が、異なる角度でセンサチップ9のセンサ面9
A上に入射する。各々の入射角度に応じた反射角度で出
射する反射レーザー光の強度が、測定手段2で測定され
る。測定された各々の反射レーザー光の強度から、分析
手段3によってセンサ面9Aにおける共鳴角度が求めら
れ、これに基づきセンサ面9A上に接触する試料Sにつ
いての分析(試料S中の検出種の有無や濃度等の分析)
が行なわれる。
【0088】ここで、面発光レーザー素子11として多
波長面発光レーザー素子11−1を用いた場合には、発
光面上の異なる位置から波長の異なる複数のレーザー光
が照射され、測定手段2では、それらのレーザー光の入
射に伴い、波長の異なる複数の反射光の強度が同時に検
出される。上記(c)の公知技術では、計測レンジを外
れる場合、入射光の波長を変更するために光源を変える
必要があったが、本実施形態では、複数の波長のデータ
を同時に取得できるので、その中から試料に応じて適切
な波長のデータを選択し共鳴角度を求めることができる
ので、測定レンジが拡大されることになる。
【0089】また、図10に示す様なセンサ面9Aに複
数種に試料Sが接触可能なセンサチップ9を用いた場合
には、複数種の試料Sの同時分析が可能になる。この場
合、多波長面発光レーザー素子11を使用することによ
って、誘電率が大きく異なる複数の試料の同時測定も可
能になる。さらに、本実施形態の分析装置A3によれ
ば、先の従来技術(c)単一波長多角度照射法2と同様
の利点も得られる。
【0090】さらに、面状発光レーザー素子11−1の
レーザー媒質として色素を用いることにより、従来技術
(c)の様に光源としてLEDを用いる場合と比べて、
可視光波長領域全域を含む幅広い発光波長を選択するこ
とが可能となり、分析内容や分析対象の広範化に繋が
る。加えて、面状発光レーザー素子11−1では発光面
からほぼ垂直方向のみにレーザー光が発光されるので、
従来技術(c)のLEDの場合と比べて、センサ面9A
上に複数種の試料Sを接触させて分析する場合でも、セ
ンサ面9A上の他試料Sの接触領域にレーザー光が漏出
する可能性が低く、より多種の試料Sを同時に分析する
ことが可能になるとともに、各試料Sの分析の精度も向
上させることができる。また、面発光レーザー素子11
−1の発光面を曲面に構成してレーザー光を集光するこ
とにより、従来技術(c)の様にLEDを用いる場合と
比べて、光源の製造コストを低く抑えることが可能とな
る。
【0091】〔II−4〕 第4実施形態 第4実施形態では、本発明を(d)単一波長多角度照射
法3(扇型照射方式)による分析装置に適用した場合に
ついて説明する。図4は、本発明の第4実施形態に係る
分析装置の要部構成を模式的に表わす図である。なお、
図4においても、図1〜3と同様の構成要素については
同一の符号を付した上で、同様の機能については説明を
省略して、第1〜第3実施形態との相違点に絞って説明
する。図4に示すように、本実施形態の分析装置A4
も、面発光レーザー光源1、測定手段2、分析手段3を
備え、センサチップ9を用いて表面プラズモン共鳴分析
を行なうように構成されている。
【0092】面発光レーザー光源1のレーザー発光素子
11−2としては、先に図11(b)を用いて説明した
様に、発光面を凸曲面として構成することにより、発光
面上の各領域から発せられるレーザー光を扇型に拡散さ
せて照射できるようにした、散光型の面発光レーザー素
子11−2を用いる。ここで、散光型の面発光レーザー
素子11−2は、さらに発光面の各位置から異なる波長
の複数のレーザー光を照射できる、多波長面発光レーザ
ー素子でもあることが好ましい。また、センサチップ9
としては、センサ面9Aに複数種の試料Sをそれぞれ独
立に接触させることができる様な構成のものを用いるこ
とが好ましい。
【0093】上述の構成を有する本実施形態の分析装置
A4では、まず、励起光源12から発せられた励起光が
面発光レーザー素子11−2に照射され、励起された面
発光レーザー素子11−2の発光面からレーザー光が照
射される。この際に、発光面の各位置から照射されるレ
ーザー光が、異なる角度でセンサチップ9のセンサ面9
A上に入射する。各々の入射角度に応じた反射角度で出
射する反射レーザー光の強度が、測定手段2で測定され
る。測定された各々の反射レーザー光の強度から、分析
手段3によってセンサ面9Aにおける共鳴角度が求めら
れ、これに基づきセンサ面9A上に接触する試料Sにつ
いての分析(試料中の検出種の有無や濃度等の分析)が
行なわれる。
【0094】ここで、面発光レーザー素子11−2とし
て多波長面発光レーザー素子を用いた場合には、発光面
上の異なる位置から波長の異なる複数のレーザー光が照
射され、測定手段2では、それらのレーザー光の入射に
伴い、波長の異なる複数の反射光の強度が同時に検出さ
れる。上記(d)の公知技術では、計測レンジを外れる
場合、入射光の波長を変更するために光源を変える必要
があったが、本実施形態では、複数の波長のデータを同
時に取得できるので、その中から試料に応じて適切な波
長のデータを選択し共鳴角度を求めることができるの
で、測定レンジが拡大されることになる。
【0095】また、図10に示す様な、センサ面9Aに
複数種に試料Sが接触可能なセンサチップ9を用いた場
合には、複数種の試料Sの同時分析が可能になる。この
場合、多波長面発光レーザー素子11を使用することに
よって、誘電率が大きく異なる複数の試料の同時測定も
可能になる。加えて、本実施形態の分析装置A4によれ
ば、先の従来技術(d)単一波長多角度照射法3と同様
の利点も得られる。
【0096】さらに、面状発光レーザー素子11−2の
レーザー媒質として色素を用いることにより、従来技術
(d)の様に光源としてLEDを用いる場合と比べて、
可視光波長領域全域を含む幅広い発光波長を選択するこ
とが可能となり、分析内容や分析対象の広範化に繋が
る。加えて、従来技術(d)のLEDの場合と比べて、
センサ面9A上に複数種の試料Sを並列に接触させて分
析する場合でも、センサ面9A上の他試料Sの接触領域
にレーザー光が漏出する可能性が低く、より多種の試料
を同時に分析することが可能になるとともに、各試料S
の分析の精度も向上させることができる。また、面発光
レーザー素子の発光面の曲面形状を適宜調整することに
より、従来技術(d)の様にLEDを用いる場合と比べ
て、センサチップ9に合わせて容易にレーザー光の拡散
照射の範囲を調整し、センサ面9Aにおける各試料Sの
分析に必要なレーザー光の線分状の照射領域を短くする
ことができるので、各種のセンサチップ9についてセン
サ面9A上を有効活用しながら分析を行なうことが可能
となる。
【0097】〔II−5〕 第5実施形態 第5実施形態では、本発明を(e)単一波長単一角度照
射法(強度測定法)に適用した場合について説明する。
図5は、本発明の第5実施形態に係る分析装置の要部構
成を模式的に表わす図である。なお、図5においても、
図1〜4と同様の構成要素については同一の符号を付し
た上で、同様の機能については説明を省略して、第1〜
4実施形態との相違点に絞って説明する。図5に示すよ
うに、本実施形態の分析装置A5も、面発光レーザー光
源1、測定手段2、分析手段3を備え、センサチップ9
を用いて表面プラズモン共鳴分析を行なうように構成さ
れている。
【0098】本実施形態では、予め予測される共鳴角度
に、光の入射角度を固定する。すなわち、面発光レーザ
ー光源1、測定手段2、及びセンサチップ9は、その特
定の光の入射角度(予測共鳴角度)及び反射角度に応じ
て、位置を固定化する。
【0099】光源は、多波長面発光レーザーを使用する
ことが好ましい。上記(e)の公知技術では、計測レン
ジを外れる場合、入射光の波長を変更するために光源を
変える必要があったが、本実施形態では、多波長面発光
レーザーを使用することにより、試料の応じて適切な波
長のデータを選択し、その波長における反射光強度変更
量を解析することができるので、測定レンジが拡大され
る。これにより、実際の共鳴角度が予め予想した共鳴角
度と大きく異なる場合や、共鳴角度の予想が困難な場合
であっても、分析することができる。
【0100】また、図10に示す様な、センサ面9Aに
複数種に試料Sが接触可能なセンサチップ9を用いた場
合には、複数種の試料Sの同時分析が可能になる。この
場合、多波長面発光レーザー素子11を使用することに
よって、誘電率が大きく異なる複数の試料の同時測定も
可能になる。
【0101】尚、本実施形態では、機器の長期使用に伴
う各部の劣化、センサチップ9の交換、測定試料の種類
の変更等に伴い、面発光レーザー光源1,測定手段2,
及びセンサチップ9等の位置関係を適宜調整する機構等
を設けることが好ましい。
【0102】さらに、面状発光レーザー素子のレーザー
媒質として色素を用いることにより、従来技術(e)の
様に光源としてレーザーダイオードを用いる場合と比べ
て、可視光波長領域全域を含む幅広い発光波長を選択す
ることができ、分析内容や分析対象の広範化に繋がる。
加えて、従来技術(e)のレーザーダイオードの場合と
比べて、センサ面9A上に複数種の試料を並列に接触さ
せて分析する場合でも、センサ面9A上の他試料の接触
領域にレーザー光が漏出する可能性が低く、より多種の
試料を同時に分析することが可能になるとともに、各試
料の分析の精度も向上させることができる。
【0103】〔III〕 センサチップ なお、上述した本発明の第1〜5実施形態の変形例とし
て、面発光レーザー光源の面発光レーザー素子をセンサ
チップに設け、これらを一体化して構成することも可能
である。
【0104】図6は、本発明の第1実施形態の第1変形
例として、面発光レーザー光源の面発光レーザー素子を
センサチップに設けた場合の、分析装置及びセンサチッ
プの要部構成を模式的に表わす図である。なお、図6に
おいて、図1と同様の構成要素については同一の符号を
付した上で、同様の機能については説明を省略して、第
1実施形態との相違点に絞って説明する。図6に示すよ
うに、本実施形態の分析装置A1’は、第1実施形態と
同様の測定手段2、分析手段3を備えるとともに、面発
光レーザー光源1の励起光源12’のみを備えている。
図6に示すセンサチップ9’は、第1実施形態のセンサ
チップであって、エバネッセント波を誘起する光学構造
として全反射プリズムを設けたものの変形例を示す。基
体92のレーザー光を照射される側に、全反射プリズム
93が備えられ、その全反射プリズム93は分析に使用
されるレーザー光を透過し得るガラス等の素材からな
る。そして、その全反射プリズム93上に面発光レーザ
ー素子94が設けられている点が、第1実施形態のセン
サチップ9と相違する。この面発光レーザー素子94よ
り照射されるレーザー光がある程度の広がりをもつ場合
など、レーザー光を集光させる必要がある場合には、全
反射プリズム93上にレンズを形成し、このレンズの曲
面上に面発光レーザー素子94を接着させる。この場
合、レンズは全反射プリズム93と一体形成することが
好ましい。
【0105】ここで、励起光源12’と面発光レーザー
素子94は、それぞれ第1実施形態の励起光源12及び
面発光レーザー素子11と同様に構成されるとともに、
センサチップ9’を分析装置A1’に設置した状態で、
励起光源12’により面発光レーザー素子94が励起さ
れてレーザー光を照射できる様な配置となるように構成
される。さらに、全反射プリズム93は、センサチップ
9’の使用目的(分析内容や対象となる試料の種類等)
に応じて、面発光レーザー素子94から発せられたレー
ザー光をセンサチップ9’のセンサ面9A上に所望の条
件で入射させるように、予め適切な構造を有するように
構成される。すなわち、励起光源12’及び面発光レー
ザー素子94が、併せて第1実施形態の面発光レーザー
光源1と同様の機能を果たすように構成されている。
【0106】なお、この様な構成のセンサチップ9’
は、公知の種々の方法で基体92及び金属層91を積層
して従来のセンサチップを作成した上で、基体92上に
全反射プリズム93を接着等の方法で設け、その全反射
プリズム93上の適切な位置に公知の方法で面発光レー
ザー素子94を設けることにより、容易に作製すること
が可能である。ここで、基体92及び全反射プリズム9
3は一体として形成しても良い。面発光レーザー素子9
4の形成方法としては、例えば、半導体レーザー素子の
場合、全反射プリズム93上に直接接着すればよく、フ
ォトニック構造−色素レーザー素子の場合、全反射プリ
ズム93上に上述した方法でクラッド層102及び色素
層103を設ければよい。何れの場合でも、面発光レー
ザー素子94は極めて薄い平面形状として形成できるの
で、全反射プリズム93と併せても、センサチップ9’
の小型・簡素な構成を損なうことは無い。
【0107】上述の構成の分析装置A1’及びセンサチ
ップ9’においては、第1実施形態の分析装置A1(及
びセンサチップ9)と同様の動作が行なわれることによ
り、第1実施形態と同様の効果が得られる。加えて、面
発光レーザー素子94から発せられたレーザー光がセン
サチップ9’のセンサ面9A上に所望の条件(全反射す
る条件)で入射するように、面発光レーザー素子94と
センサ面9Aとが予め適切に配置されているので、セン
サチップ9’を分析装置A1’に設置した場合にセンサ
チップ9’と分析装置A1’との位置関係を機械的に調
整する必要が無い。よって、センサチップ9’の小型・
簡素な構造を損なうことなく、分析装置A1’の構造を
より小型化・簡素化することが可能となる。
【0108】なお、本発明の第2〜5実施形態の構成に
付いても、面発光レーザー光源の面発光レーザー素子を
センサチップに設け、これらを同様に一体化して構成す
ることが可能である。第2実施形態に変形を加える場
合、センサチップ9には面発光レーザー素子94を誘導
するレール等の手段が設けられるとともに、センサチッ
プ9を分析装置A2に設置した状態で、分析装置A2’
側に備えられた駆動手段の駆動力が面発光レーザー素子
94に伝達され、面発光レーザー素子94が全反射プリ
ズム93表面に沿って駆動されるように構成すればよ
い。また、第3又は第4実施形態に変形を加える場合に
は、適切な形状及び構造の全反射プリズム93を用いる
ことにより、その上に設けた面発光レーザー素子94の
発光面からのレーザー光を所望の条件で集中又は拡散さ
せることができる。第5実施形態に変形を加える場合
は、第1実施形態の変形例と同様の手法を用いればよ
い。何れの場合にも、第2〜5実施形態と同様の効果に
加えて、第1実施形態の第1変形例と同様の付加的な効
果を得ることが可能となる。
【0109】また、上の記載では、図6のセンサチップ
9’を、エバネッセント波を誘起する光学構造として基
体92上に全反射プリズム93を設けた構成として説明
したが、図6の全反射プリズム93にレーザー光を全反
射しない角度で照射する場合には、エバネッセント波を
誘起する光学構造として、図6のセンサチップ9’の基
体92と金属層91との界面に回折格子を設ける。通
常、基体92の表面に回折格子構造を成形し、この上を
金属薄膜(通常は金属膜)で被覆する。この場合、図6
の全反射プリズム93は、面発光レーザー素子94を単
に保持する部材となる。なお、回折格子を設ける場合、
面発光レーザー素子94の保持部材は、センサチップ
9’に対して面発光レーザー素子94を保持できるもの
であれば、図6に示す形状のものに限られない。例え
ば、面発光レーザー素子94を両側から保持する形状の
ものであってもよく、面発光レーザー素子94と基体9
2との間が空洞になっていても良い。
【0110】以上、本発明の各実施形態につき具体的に
説明したが、勿論、本発明は上述の実施形態に限定され
るものではなく、その要旨を越えない限りにおいて、種
々の形態で実施することが可能である。例えば、上述の
各実施形態では、センサチップ9,9’の基体92側か
ら光を照射しているが、センサ面9A側から光を照射
し、センサ面9Aからの反射光の強度を測定しても良
い。
【0111】
【発明の効果】本発明によれば、面状の発光素子を有す
る面発光レーザーを用いて、センサチップの試料と接触
するセンサ面に光を照射し、反射光の強度に基づいて試
料を分析するように構成されているので、分析装置の構
成を簡素化・小型化できるとともに、短時間で効率的に
試料の分析を行なうことができ、且つ二次元で多スポッ
トされた試料の分析も可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る分析装置の要部構
成を模式的に表わす図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る分析装置の要部構
成を模式的に表わす図である。
【図3】本発明の第3実施形態に係る分析装置の要部構
成を模式的に表わす図である。
【図4】本発明の第4実施形態に係る分析装置の要部構
成を模式的に表わす図である。
【図5】本発明の第5実施形態に係る分析装置の要部構
成を模式的に表わす図である。
【図6】本発明の第1実施形態の第1変形例に係る表面
プラズモン共鳴分析用センサチップの要部構成を模式的
に表わす図である。
【図7】(a),(b)は何れも、本発明に使用される
面発光レーザーにおいて、共振器として用いられる二次
元フォトニック結晶の格子構造の例を表わす図であり、
(a)は正方格子構造を、(b)は三角格子構造を表わ
す。
【図8】本発明に係る面発光レーザーの一例であるフォ
トニック結晶有機レーザーを模式的に表わす斜視図であ
る。
【図9】本発明に係る面発光レーザー素子の一例であ
る、多波長面発光レーザー素子を模式的に表わす斜視図
である。
【図10】複数種の試料について多波長のレーザー光照
射に基づく分析を行なう場合の、センサチップのセンサ
面の構成と面発光レーザー素子の構成との組み合わせの
一例を説明するための図である。
【図11】(a)は発光面を凹曲面として構成した集光
型面発光レーザー素子を、(b)は発光面を凸曲面とし
て構成した散光型面発光レーザー素子を、何れも模式的
に表わす斜視図である。
【符号の説明】
A1〜A5,A1’ 分析装置 1 面発光レーザー光源 11,11−1,11−2 面発光レーザー素子 11’ 多波長面発光レーザー素子 100 フォトニック結晶有機レーザー 101 基板 102 クラッド層 103 色素層 12,12’ 励起光源 2 測定手段 3 分析手段 4 駆動手段 9,9’ センサチップ 9A センサ面 91 金属層 92,92’ 基体 93 全反射プリズム 94 面発光レーザー素子 95 支持部材

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料と接触するセンサ面を有するととも
    に、前記センサ面へ光を照射することにより表面プラズ
    モン共鳴現象を生じ得るセンサチップを用いて、試料の
    分析を行なう装置において、 面状のレーザー発光素子を有し、前記センサ面に光を照
    射する面発光レーザー光源と、 前記センサ面への前記照射光の入射に伴う、前記センサ
    面からの反射光の強度を測定する測定手段と、 前記反射光の強度に基づいて、表面プラズモン共鳴によ
    る前記照射光の吸収状態を求めることにより、前記試料
    を分析する分析手段とを備えることを特徴とする、表面
    プラズモン共鳴を利用した試料の分析装置。
  2. 【請求項2】 該レーザー発光素子のレーザー媒質が有
    機物であることを特徴とする、請求項1記載の表面プラ
    ズモン共鳴を利用した試料の分析装置。
  3. 【請求項3】 該レーザー発光素子の共振器がフォトニ
    ック結晶であることを特徴とする、請求項1又は請求項
    2に記載の表面プラズモン共鳴を利用した試料の分析装
    置。
  4. 【請求項4】 該レーザー発光素子が、発光面上の異な
    る部位から波長の異なるレーザー光を照射するように構
    成されることを特徴とする、請求項1〜3の何れか一項
    に記載の表面プラズモン共鳴を利用した試料の分析装
    置。
  5. 【請求項5】 該レーザー発光素子が、発光面上の異な
    る部位から照射されるレーザー光が前記センサ面に異な
    る角度で入射するように、曲面状に配置されることを特
    徴とする、請求項1〜4の何れか一項に記載の表面プラ
    ズモン共鳴を利用した試料の分析装置。
  6. 【請求項6】 該レーザー発光素子から照射されるレー
    ザー光の前記センサ面に入射する角度が変化するよう、
    該レーザー発光素子を駆動する駆動手段をさらに備える
    ことを特徴とする、請求項1〜5の何れか一項に記載の
    表面プラズモン共鳴を利用した試料の分析装置。
  7. 【請求項7】 前記センサ面内の複数の領域に異なる試
    料を個々に独立して接触させることが可能なセンサチッ
    プを用いるとともに、 該レーザー発光素子が、前記センサ面内の前記複数の領
    域に複数のレーザー光を個々に独立して照射できるよう
    に構成され、さらに、 該測定手段が、前記複数の領域への前記複数のレーザー
    光の入射に伴う、前記複数の領域からの複数の反射光の
    強度を個々に独立して測定できるように構成されること
    を特徴とする、請求項1〜6の何れか一項に記載の表面
    プラズモン共鳴を利用した試料の分析装置。
  8. 【請求項8】 試料と接触するセンサ面を有するととも
    に、前記センサ面へ光を照射することにより表面プラズ
    モン共鳴現象を生じ得るセンサチップにおいて、 外部の励起源により励起されて前記センサ面に光を照射
    する、面状のレーザー発光素子を備えることを特徴とす
    る、表面プラズモン共鳴分析用センサチップ。
  9. 【請求項9】 該レーザー発光素子のレーザー媒質が有
    機物であることを特徴とする、請求項8記載の表面プラ
    ズモン共鳴分析用センサチップ。
  10. 【請求項10】 該レーザー発光素子の共振器構造がフ
    ォトニック結晶であることを特徴とする、請求項8又は
    請求項9に記載の表面プラズモン共鳴分析用センサチッ
    プ。
  11. 【請求項11】 該レーザー発光素子が、発光面上の異
    なる部位から波長の異なるレーザー光を照射するように
    構成されることを特徴とする、請求項8〜10の何れか
    1項に記載の表面プラズモン共鳴分析用センサチップ。
  12. 【請求項12】 該レーザー発光素子が、発光面上の異
    なる部位から照射されるレーザー光が前記センサ面に異
    なる角度で入射するように、曲面状に配置されることを
    特徴とする、請求項8〜11の何れか1項に記載の表面
    プラズモン共鳴分析用センサチップ。
  13. 【請求項13】 該レーザー発光素子から照射されるレ
    ーザー光の前記センサ面に入射する角度が変化するよ
    う、該レーザー発光素子を駆動する駆動手段をさらに備
    えることを特徴とする、請求項8〜12の何れか1項に
    記載の表面プラズモン共鳴分析用センサチップ。
  14. 【請求項14】 光の照射によりエバネッセント波を誘
    起し得る基体と、該基体に積層され、光の照射により表
    面プラズモン波を誘起し得る金属層とを更に備えるとと
    もに、 該基体に、回折格子又は全反射プリズムが設けられてい
    ることを特徴とする、請求項8〜13の何れか1項に記
    載の表面プラズモン共鳴分析用センサチップ。
  15. 【請求項15】 前記センサ面上に、試料中の検出種と
    特異的に結合する結合物質が固定化されていることを特
    徴とする、請求項8〜14の何れか1項に記載の表面プ
    ラズモン共鳴分析用センサチップ。
  16. 【請求項16】 前記センサ面が、異なる試料を個々に
    独立して接触させることが可能な複数の領域を有すると
    ともに、 該レーザー発光素子が、前記センサ面内の前記複数の領
    域に複数のレーザー光を個々に独立して照射できるよう
    に構成されたことを特徴とする、請求項8〜15の何れ
    か1項に記載の表面プラズモン共鳴分析用センサチッ
    プ。
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