JP2003177097A - 光学分析用チップ - Google Patents

光学分析用チップ

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JP2003177097A
JP2003177097A JP2001379216A JP2001379216A JP2003177097A JP 2003177097 A JP2003177097 A JP 2003177097A JP 2001379216 A JP2001379216 A JP 2001379216A JP 2001379216 A JP2001379216 A JP 2001379216A JP 2003177097 A JP2003177097 A JP 2003177097A
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optical
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light
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Takashi Yamauchi
隆 山内
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 小型で簡素な構成を損なうことなく、光学分
析に必要な光伝達系を簡略化するとともに、分析装置と
の位置決めに必要な機械的調整の精度を低減して、分析
装置の小型化,簡素化,低価格化を実現する。 【解決手段】 試料が存在する測定領域12を有する基
板10を備え、前記試料の光学的な分析に用いられる光
学分析用チップ1−1であって、基板10上に、外部の
励起源2によって励起されることによりレーザー光を発
するレーザー発光素子11と、レーザー発光素子11か
ら発せられるレーザー光を前記試料の分析のために伝達
する光伝達系10とを設けるように構成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば生化学分析
や医療分析等の分野における、試料の分析に使用される
チップ(素子)に関するものであり、詳しくは、光伝達
系を利用した前記試料の分析に用いられる光学分析用チ
ップに関する。
【0002】
【従来の技術】従来、生化学や医療検査等の分野におい
て、タンパク質やDNA等の生体物質を始めとする様々
な物質を含有する試料を、光を用いて定量的又は定性的
に分析する各種の技術が知られている。これらの技術で
は、一般に、試料が存在する測定領域を有する分析用チ
ップ(素子)と、この分析用チップを設置されて分析を
行なう分析装置とが分離可能に構成され、試料の交換や
測定領域の洗浄等が容易に行なえるとともに、分析内容
や試料の性質に合わせて各種の分析用チップを使い分け
ることが可能となっている。そして、実際の分析の際に
は、分析用チップが分析装置に設置された状態で、分析
装置側に設けられる各種の光源を含む光伝達系によっ
て、分析用チップの測定領域に存在する試料の分析が行
なわれる。
【0003】こうした光学的分析の具体例としては、測
定領域として微小流路を有する分析用チップを使用し、
この微小流路に圧力や電気浸透流等を用いて試料を導入
した上で、この試料に分析装置の光源から光を照射し
て、その吸収状態、反射状態、散乱状態等を測定する方
法、又はその光によって試料(正しくは試料中の検出
対象物に結合させた蛍光物質)が励起されて発する蛍光
を測定することにより試料の分析を行なう方法がある。
これらの方法は、何れも、分析装置の光源から発せられ
る光を、分析用チップの測定領域(及びそこに存在する
試料)に直接照射することにより、分析を行なう方法で
ある。
【0004】また、他の具体例として、光伝達系に光導
波路を用いた技術も挙げられる。この場合、分析装置の
光源から発せられる光を、分析用チップの測定領域(試
料)に直接照射するのではなく、光導波路により測定領
域(試料)の近傍に誘導して分析を行なう方法である。
こうした技術としては、光が光導波路を通過する際に
光導波路近傍に励起される近接場を用いる方法と、光
導波路を通過する光をプローブ光として用いる方法とが
挙げられる。
【0005】前者の技術の代表例としては、エバネッ
セント場励起蛍光法が挙げられる。これは、屈折率の異
なる2つの物質の境界面で光波が回折または全反射する
際に、この境界面両側の近傍に生じるエネルギー場(エ
バネッセント場)に生じる励起光(エバネッセント波)
を利用して、物質の分析を行なう方法である。この方法
では、試料と接触する測定面と、この測定面に隣接して
設けられ、光の通過によりエバネッセント場を誘起され
る光導波路とを有する分析用チップを使用する。そし
て、エバネッセント場により励起されて蛍光を発する物
質を試料中の検出対象物に結合させておき、この試料を
前記測定面に接触させる。続いて、光導波路に光源から
の光を導入し、光導波路を光が通過する際に生じるエバ
ネッセント場によって、検出対象物と結合している蛍光
物質が励起されて発する蛍光を測定することにより、試
料の分析を行なう。
【0006】後者の技術の代表例としては、光熱変換
法が挙げられる。この技術の詳細は、Chemistry Letter
s,日本化学会,1997年,583頁や、特開200
0−74861号公報等に記載されている。この方法で
は、光源から光導波路に誘導される光をプローブ光とし
て使用するとともに、別の光源から発せられ、チョッパ
ーにより断続光にされた光をポンプ光として、光導波路
に沿って設けられた測定領域上の試料に照射し、試料に
よるポンプ光の吸収を、光導波路を通過するプローブ光
の偏向や光線の太さの変化として検出する。すなわち、
試料がポンプ光を吸収すると試料の付近に熱が生じ、熱
膨張などによって試料付近に屈折率の変化が生じる。こ
の屈折率の変化によって、試料付近を通過するプローブ
光が偏向したり(光熱変換ビーム偏向効果)、プローブ
光の光線の太さが変化したり(熱レンズ効果)するの
で、プローブ光のこれらの変化を検出手段で検出するの
である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述の
各従来技術〜においては、分析装置側に存在する光
源から発せられる光を、分析用チップ側に存在する測定
領域(試料)に直接照射する、又は光導波路によりその
近傍に誘導する必要があるので、分析用チップは小型に
構成できるにもかかわらず、分析装置側には大掛かりな
光伝達系を設けなければならず、分析装置全体の大型
化、複雑化を招いている。特に、単波長のレーザー光源
を用いて多波長での測定を行なえるように構成する場合
などは、光源を交換する機構や光波長を変更する機構が
必要となり、光伝達系はより大掛かりで高価なものとな
る。
【0008】また、上述の各従来技術〜では、分析
装置側の光源から発せられる光を、光学的に適切な条件
において分析用チップ側の測定領域に照射したり、光導
波路に誘導したりする必要があるが、このためには、個
別に構成された分析用チップを分析装置に対して正確に
位置決めしなければならない。よって、分析用チップを
位置決めするための高精度な機械的調整を行なう機構を
分析装置に設けねばならず、分析装置全体が更に大型
化、複雑化するという課題がある。
【0009】こうした課題に対し、光源に半導体LED
(light emitting diode)を用いて、これを予め分析用
チップに組み込んでハイブリッド化することにより、こ
れを解決しようとする技術がある(Electrochemistry,
Vol. 69, No. 8, pp 615-619, 2001)。しかし、半導体
LEDを分析用チップとハイブリッド化する場合には、
半導体LEDを分析用チップに組み込む工程が必要とな
るが、比較的大型で複雑な構造の半導体LEDを分析用
チップに組み込むためには、その組み込み工程も複雑と
なる。また、多波長で測定を行なう場合には、各波長に
対応する複数の半導体LEDを組み込まなければなら
ず、分析用チップが大型化するとともに、分析用チップ
の製造コストも大きくなる。
【0010】さらには、エバネッセント場励起蛍光法に
おいて、光源として有機EL(Electro Luminescence)
素子を使用し、これを光導波路と組み合わせて分析用チ
ップに組み込んだ技術もある(特開平8−29330号
公報)。しかしながら、有機EL素子は半導体LEDに
比べて発光スペクトル幅が広いため、有機EL素子の発
光と、試料と結合した蛍光物質が発する蛍光との分離が
難しい。これを共振器構造と組み合わせることによっ
て、発光スペクトル幅をある程度小さくすることは可能
だが、半導体LEDのような狭いスペクトラムを実現す
るのは困難である。
【0011】本発明は、上述の課題に鑑みて創案された
ものである。即ち、本発明の目的は、小型で簡素な構成
を損なうことなく、光学分析に必要な光伝達系を簡略化
するとともに、分析装置との位置決めに精密な機械的調
整を必要とせず、分析装置の小型化,簡素化,低価格化
を実現する、光学分析用チップを提供することに存す
る。
【0012】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明者らは鋭
意検討の結果、励起源と発光素子とからなるレーザー光
源を用いて、発光素子を分析用チップに設けるととも
に、発光素子からのレーザー光を伝達する光伝達系も分
析用チップに予め構成しておき、これらを用いて試料の
分析を行なうことによって、上記課題が効果的に解決さ
れることを見出し、本発明を完成させた。
【0013】すなわち、本発明の要旨は、試料が存在す
る測定領域を有する基板を備え、前記試料の光学的な分
析に用いられる光学分析用チップであって、該基板上
に、外部の励起源によって励起されることにより、レー
ザー光を発するレーザー発光素子と、該レーザー発光素
子から発せられるレーザー光を、前記試料の分析のため
に伝達する光伝達系とを備えることを特徴とする、光学
分析用チップに存する。
【0014】
【発明の実施の形態】本発明は、先に説明した従来技術
〜の光学的分析方法の何れに対しても適用すること
が可能である。従って、以下の記載では、まず、本発明
の実施の形態として、先の〜の光学的分析方法に本
発明を適用した場合について、詳細に説明することにす
る(〔I〕光学分析用チップ)。
【0015】なお、前記のレーザー発光素子を、面状の
発光部を有するレーザー発光素子(面発光レーザー素
子)とすることにより、各種の利点を得ることができ
る。従って、続く記載では、本発明のレーザー発光素子
の好ましい例としての面発光レーザー素子について説明
する(〔II〕面発光レーザー素子)。
【0016】〔I〕 光学分析用チップ 本発明の光学分析用チップは、試料が存在する二次元以
上の測定領域を有する基板を備え、前記試料の光学的な
分析に用いられる光学分析用チップであって、該基板上
に、外部の励起源によって励起されることによりレーザ
ー光を発するレーザー発光素子と、該レーザー発光素子
から発せられるレーザー光を前記試料の分析のために伝
達する光伝達系とを備えることを、その特徴としてい
る。
【0017】そして、本発明の実施の形態としては、ま
ず、レーザー発光素子から発せられる光を測定領域(及
びそこに存在する試料)に直接入射させる光学構造を、
光伝達系が有する場合が考えられる。この場合の具体的
な構成としては、試料による照射光の吸収状態、反射状
態、散乱状態等を、外部から測定できるようにする構成
(前述の従来技術に対して適用した場合・・・第1実
施形態)と、試料(に結合させた蛍光物質)が照射光に
よって励起されて発する蛍光を、外部から測定できるよ
うにする構成(前述の従来技術に対して適用した場合
・・・第2実施形態)とが挙げられる。
【0018】また、別の実施の形態として、センサ面に
沿って配置され、レーザー発光素子と光学的に結合され
た光導波路を、光伝達系が有する場合が考えられる。こ
の場合、測定領域が試料に接するセンサ面として構成さ
れるとともに、レーザー光が光導波路を通過する際に、
センサ面に接触する試料とレーザー光との間に生じる相
互作用を、外部から測定できるように構成されることに
なる。具体的な構成としては、エバネッセント場励起蛍
光法に代表される、光が光導波路を通過する際に光導波
路近傍に励起される近接場を用いて分析を行なう構成
(前述の従来技術に対して適用した場合・・・第3実
施形態)と、光熱変換法に代表される、光導波路を通過
する光をプローブ光として用いて分析を行なう構成(前
述の従来技術に対して適用した場合・・・第4実施形
態)とが挙げられる。
【0019】〔I−1〕 第1実施形態 まず、本発明の第1実施形態では、前述の従来技術に
対して本発明を適用した場合、即ち、レーザー発光素子
からの光を測定領域に直接照射し、試料による照射光の
吸収状態、反射状態、散乱状態等を、外部から測定でき
るように構成した場合について説明する。
【0020】図1(a)及び(b)は、いずれも本発明
の第1実施形態に係る光学分析用チップの構成を模式的
に表わす図であり、(a)は上面図、(b)は分析装置
に設置された状態における側面図で、分析装置の要部構
成も同時に表わしている。図1(a)及び(b)に示す
ように、本実施形態の光学分析用チップ1−1は、励起
源2及び測定手段3を備えた分析装置A1に設置され、
試料の光学的な分析に用いられるもので、基板10を備
えるとともに、基板10に設けられたレーザー発光素子
11及び測定領域12を備えて構成されている。
【0021】基板10は、後述する部位を除いて、本実
施形態の目的とする光学分析の妨げとならない限り、そ
の形状や材質には特に制限は無い。レーザー発光素子1
1は、分析装置A1に備えられた励起源2によって励起
されることにより、レーザー光を発するものである。こ
のレーザー発光素子11の種類は特に限定されず、目的
とする光学分析に必要な属性のレーザー光を照射できる
ものであれば、半導体レーザー素子や色素レーザー素子
など種々のものを使用できる。中でも、光学分析用チッ
プ1−1の小型で簡素な構成を損なわないという観点か
ら、できるだけ小型のレーザー発光素子を使用すること
が好ましい。特に、小型であることに加えて、複数種の
レーザー光が照射可能である点や、発光面の形状が柔軟
である点など、各種の利点を得られる観点から、後述す
る面発光レーザーを使用することが好ましい。
【0022】また、励起源2によるレーザー発光素子1
1の励起方式にも特に制限は無く、光励起又は電流励起
の何れを使用することもできる。光励起を行なう場合、
励起源2は励起光源として構成されるが、この励起光源
としては、YAGレーザー,N2レーザー,フェムト秒
レーザー,フラッシュランプ等が挙げられる。電流励起
の場合、励起源2は電流印加手段として構成される。
【0023】測定領域12は、光学分析の際に分析対象
の試料が存在する領域であって、二次元以上の領域とし
て構成される。二次元構成の例としては、分析対象の試
料を表面に塗布又は滴下等される測定面が、三次元構成
の例としては、分析対象の試料を内部に導入される微小
流路や、分析対象の試料を内部に保持するセル等が挙げ
られる。図1(a)及び(b)では微小流路の例を示し
ている。
【0024】また、レーザー発光素子11の発光面を測
定領域12に対向させた状態で、基板10に対してレー
ザー発光素子11及び測定領域12が配置される。そし
て、基板10の少なくともレーザー発光素子11の発光
面と測定領域12との間に存在する部位(図1(b)で
は測定領域12の下側)は、レーザー発光素子11から
発せられるレーザー光を殆ど吸収せず、大部分をそのま
ま透過させる透明な材質により形成される。具体的な材
質としてはガラス、石英等が挙げられるが、その部位の
一部又は全部が空間であっても良い。これによって、基
板10の上述の部位が、レーザー発光素子11から発せ
られるレーザー光を測定領域12に入射させ、測定領域
12に存在する試料に直接照射する光学構造として機能
することになる。これは言い換えれば、基板10が、レ
ーザー発光素子から発せられるレーザー光を試料の分析
のために伝達する光伝達系として機能していると言うこ
とができる。
【0025】ここで、レーザー発光素子11から発せら
れるレーザー光が、本実施形態の目的とする光学分析に
適した所望の条件で、測定領域12内の試料に対して照
射されるように、レーザー発光素子11から発せられる
レーザー光の属性や、基板10の一部によって規定され
る光学構造、更に基板10に対するレーザー発光素子1
1及び測定領域12の位置等を、光学分析用チップ1−
1の作製時に予め調整しておく。言い換えれば、本実施
形態の光学分析用チップ1−1は、目的とする光学分析
(照射光の吸収状態、反射状態、散乱状態等に基づく分
析)に必要な光伝達系を、予め設けられた状態で作製さ
れるのである。
【0026】一方、分析装置A1に備えられた測定手段
3は、測定領域12に入射したレーザー光の試料による
吸収状態、反射状態、散乱状態等を測定するもので、具
体的には、前記照射レーザー光に基づく測定領域12か
らの出射光(通過光、反射光、散乱光等)の強度や方向
等の属性を測定するものである。測定手段3としては特
に制限は無く、測定対象となる光の属性(吸光度、反射
角度、反射光強度、散乱角度、散乱光の強度、偏光等)
に応じて、吸光度検出器、光強度検出器等の各種手段を
用いることができる。また、測定手段3による測定値
は、そのまま生データとして、又は分析装置A1に設け
られた図示しない演算処理手段による演算処理等を経た
加工データとして、同じく分析装置A1に設けられた図
示しない出力手段を介して、分析装置A1から外部へ出
力される。
【0027】これに合わせて、光学分析用チップ1−1
では、測定手段3による上記の測定を可能とするため
に、基板10の少なくとも測定領域12と測定手段3と
の間に存在する部位(図1(b)では測定領域12の上
側)が、光の吸収状態、反射状態、散乱状態等について
の測定手段3による測定の妨げとならない材質により形
成される。具体的な材質としては、上記と同様のガラ
ス、石英等の材質が挙げられるが、その部位の一部又は
全部が空間であってもよい。
【0028】以上の構成を有する本実施形態の光学分析
用チップ1−1は、目的とする光学分析に際して、分析
装置A1に設置される。この際、光学分析に必要な光伝
達系は既に適切な状態で光学分析用チップ1−1に組み
込まれているので、特に機械的に精密な位置の調整を行
なう必要は無い。励起源2によってレーザー発光素子1
1が適切に励起されるとともに、測定手段3によって目
的とする測定が行なえるような位置に、光学分析用チッ
プ1−1が設置されれば良い。
【0029】光学分析用チップ1−1が分析装置A1に
設置され、分析対象となる試料が測定領域12に存在す
る状態で、励起源2によってレーザー発光素子11が励
起され、レーザー発光素子11からレーザー光が発せら
れる。このレーザー光は、基板10の一部によって規定
される光学構造を介して、本実施形態の目的とする光学
分析に適した所望の条件で測定領域12に入射し、試料
に照射される。試料による照射光の吸収状態、反射状
態、散乱状態等が測定手段3によって測定され、その測
定値は生データのまま又は加工されて分析装置A1から
出力される。
【0030】以上説明した本実施形態の光学分析用チッ
プ1−1では、本実施形態で目的とする光学分析(照射
光の吸収状態、反射状態、散乱状態等に基づく分析)に
必要な光伝達系が予め組み込まれているので、光学分析
に必要な光伝達系が簡略化できるとともに、分析装置A
1に設置する際に高い精度の機械的調整が不要であるた
め、分析装置A1の小型化,簡素化,低価格化に寄与す
る。加えて、レーザー発光素子11のみが光学分析用チ
ップ1−1に設けられ、これを励起する励起源2につい
ては分析装置A1側に存在するので、光学分析用チップ
1−1の小型で簡素な構成も損なわれない。
【0031】なお、本発明の第1実施形態の変形例とし
て、測定領域12内の異なる位置に対して波長等の属性
の異なる複数のレーザー光を照射するように構成した
り、又は、基板10に複数の測定領域12を設けて、夫
々の測定領域12に対して波長等の属性の同じ又は異な
る複数のレーザー光を照射するように構成したりするこ
とも可能である。前者の構成が用いられる分析の具体例
として、波長の異なる複数の光の吸光度を測定すること
によって試料中の複数の成分の存在量を分析する2成分
吸光度測定(詳細は、例えば、朝倉書店「理工系機器分
析の基礎」10頁に記載されている)等が挙げられる。
【0032】従来の光学分析においては、このような複
数種の試料の同時分析や、属性の異なる複数の光照射に
よる試料の分析等を、複数の光伝達系を用意して行なっ
ていたため、分析装置や分析用チップにおける光学系が
極めて複雑となっていた上に、分析装置に分析用チップ
を設置する際の位置決めにも極めて精密な機械的調整を
要し、分析装置の大型化・複雑化を招いていた。よっ
て、こうした構成の分析装置に本発明を適用することに
より、第1実施形態と同様の効果をより顕著に得ること
ができる。
【0033】こうした構成とする場合、各レーザー光に
応じて複数のレーザー発光素子11を基板10に形成し
てもよく、又は、レーザー発光素子11として後述する
面発光レーザー素子を用い、一つの素子で複数のレーザ
ー光を照射するように構成しても良い。特に後者の場
合、小型且つ簡素に構成できる単一の面発光レーザー素
子を用いて複数の波長のレーザー光を照射することが可
能となるので、光学分析用チップ1−1の小型且つ簡素
な構成を損なうことなく、複雑で精密な試料の分析が可
能となる。従って、波長の異なる複数のレーザー光を発
する面発光レーザー素子を用いることが好ましい。
【0034】〔I−2〕 第2実施形態 続いて、本発明の第2実施形態では、前述の従来技術
に対して本発明を適用した場合、即ち、試料中の被検出
物に結合させた蛍光物質が照射光によって励起されて発
する蛍光を、外部から測定できるように構成した場合に
ついて説明する。
【0035】図2は、本発明の第2実施形態に係る光学
分析用チップの構成を模式的に表わす図で、分析装置に
設置された状態の側面を表わすとともに、分析装置の要
部構成も同時に表わしている。なお、図2において、図
1と同様の構成要素については同一の符号を付し、説明
を省略する。図2に示すように、本実施形態の光学分析
用チップ1−2は、励起源2及び測定手段3’を備えた
分析装置A2に設置され、試料の光学的な分析に用いら
れるもので、基板10を備えるとともに、基板10に設
けられたレーザー発光素子11及び測定領域12を備え
て構成されている。光学分析用チップ1−2及び分析装
置A2の構成は、以下に説明する点を除き、第1実施形
態の光学分析用チップ1−1と基本的に同様である。
【0036】分析装置A2に備えられた測定手段3’
は、測定領域12に存在する試料中の被検出物に結合さ
せた蛍光物質が、測定領域12に入射したレーザー光に
よって励起されて発する蛍光について、その強度や波長
等の属性を測定できようになっている。この測定手段
3’としても特に制限は無く、第1実施形態の測定手段
3と同様に、測定対象となる蛍光の属性(強度、波長
等)に応じて、光強度検出器、光波長検出器等の各種手
段を用いることができる。
【0037】また、測定手段3’による前記蛍光の属性
の測定の際に、レーザー発光素子11から照射されたレ
ーザー光に伴う測定領域12からの出射光(通過光、反
射光、散乱光等)の影響を低減するため、レーザー発光
素子11から測定領域12へのレーザー光の照射方向
と、測定領域12から発する蛍光の測定手段3’による
測定方向とは、異なる方向とすることが好ましい。例え
ば、図2においては、前者の照射方向を図の左右方向
に、後者の測定方向を図の上下方向にして、照射レーザ
ー光に伴う測定領域12からの出射光の影響をできるだ
け少なくしている。さらに、蛍光物質が発する蛍光の波
長領域が予め分かっている場合には、レーザー発光素子
11の発するレーザー光の波長を蛍光波長領域の外部に
設定することが好ましい。これによって、蛍光波長に相
当する光のみを選択的に透過するフィルター等の手段
を、基板10の測定領域12と測定手段3’との間に設
けることにより、照射レーザー光に伴う測定領域12か
らの出射光の影響をさらに低減することが可能となる。
【0038】以上の構成を有する本実施形態の光学分析
用チップ1−2は、目的とする光学分析に際して分析装
置A2に設置され、分析対象となる試料が測定領域12
に存在する状態で、励起源2によってレーザー発光素子
11が励起され、レーザー発光素子11からレーザー光
が発せられる。このレーザー光は、基板10の一部によ
って規定される光学構造を介して、本実施形態の目的と
する光学分析に適した所望の条件で測定領域12に入射
し、試料に照射される。試料中の検出種に結合した蛍光
物質が発する蛍光の属性が測定手段3’によって測定さ
れ、その測定値が分析装置A2から出力されて、試料の
分析が行なわれる。
【0039】以上説明した本実施形態の光学分析用チッ
プ1−2によれば、試料への光照射に伴う蛍光測定に基
づく各種分析においても、光学分析に必要な光伝達系が
簡略化できるとともに、分析装置A2に設置する際に高
い精度の機械的調整が不要であるため、分析装置A2の
小型化,簡素化,低価格化を実現でき、且つ、光学分析
用チップ1−2自体の小型で簡素な構成も損なわれない
という、第1実施形態の光学分析用チップ1−1と同様
の各種効果を得ることが可能となる。
【0040】なお、上述した第2実施形態の変形例とし
て、レーザー光を全反射させる全反射面を基板10に形
成しておき、レーザー発光素子11から発せられるレー
ザー光を一旦この全反射面に入射させて全反射させるこ
とにより、レーザー光の進行方向を変更して測定領域1
2に入射させる構成とすることができる。
【0041】この様な構成の光学分析用チップ1−2’
を備えた分析装置A2’を図3に示す。図3の光学分析
用チップ1−2’では、レーザー発光素子11から発せ
られたレーザー光が、基板10に形成された全反射面R
に一旦入射され、この全反射面Rで全反射された上で、
進行方向を変更して測定領域12に入射されるように構
成されている。
【0042】こうした全反射面Rは、基板10の屈折率
とレーザー光の入射角・反射角とを調整することによ
り、容易に形成することが可能である。例えば、基板1
0の屈折率が1.4以上であれば、空気との界面におい
て光が45°以下の角度で入射した場合に全反射が起こ
るので、レーザー発光素子11から発せられたレーザー
光が45°以下の角度で入射するように全反射面Rを形
成すればよい。
【0043】以上、本実施形態の光学分析用チップ1−
2’によれば、適切な位置に全反射面Rを形成すること
により、レーザー発光素子11の発光面を必ずしも測定
領域12に対向させて配置する必要がなくなるため、任
意の形状の光学分析用チップ1−2’に対してレーザー
発光素子11から測定領域12に至る光伝達系を形成す
ることができ、様々な光学分析や各種の分析装置への本
発明の適用が可能となるとともに、光学分析用チップ1
−2’の小型化にも繋がる。
【0044】なお、こうした全反射面Rは、レーザー発
光素子11の発光面から測定領域12までの間に複数設
けても良い。全反射面Rの数が多いほど複雑な光伝達系
が構成できるので、光学分析用チップ1−2’の形状に
よる光伝達系形成の制約が厳しい場合には有効である
が、全反射面Rの数が多すぎると、全反射を多く繰り返
すことによりレーザー光の強度や単方向性等の属性が失
われる可能性がある上に、光伝達系も長くなってしまい
好ましくないので、全反射面Rの数や光伝達系の構成は
光学分析用チップ1−2’の形状や光学分析の内容、レ
ーザー発光素子11から照射されるレーザー光の属性等
に応じて、適切に定めることが好ましい。
【0045】また、全反射面Rを含む本実施形態の構成
は、第1実施形態の光学分析用チップ1−1に対しても
同様に適用することが可能である。これによって、試料
による照射光の吸光状態,散乱状態,反射状態等を測定
する光学分析においても、上述した第2実施形態の変形
例と同様の効果を得ることが可能となる。
【0046】なお、上述した第1実施形態の変形例と同
様に、測定領域12内の異なる位置に対して波長等の属
性の異なる複数のレーザー光を照射するように構成した
り、又は、基板10に複数の測定領域12を設けて、夫
々の測定領域12に対して波長等の属性の同じ又は異な
る複数のレーザー光を照射するように構成したりするこ
とも可能である。こうした構成とすることにより、上述
した本実施形態と同様の効果をより顕著に得ることがで
きる。
【0047】この場合も、上述した第1実施形態の変形
例と同様に、各レーザー光に応じて複数のレーザー発光
素子11を基板10に形成しても良いが、光学分析用チ
ップ1−2の小型且つ簡素な構成を損なうことなく、複
雑で精密な試料の分析を可能とする観点から、レーザー
発光素子11として、波長の異なる複数のレーザー光を
発する面発光レーザー素子を用いることが好ましい。
【0048】〔I−3〕 第3実施形態 続いて、本発明の第3実施形態では、前述の従来技術
に対して本発明を適用した場合、即ち、エバネッセント
場励起蛍光法による分析用チップとして、レーザー発光
素子と光学的に結合された光導波路がセンサ面に沿って
配置され、レーザー光が光導波路を通過する際に生じる
エバネッセント場により、センサ面に接触する試料中の
検出対象物に結合した蛍光物質が励起されて発する蛍光
を、外部から測定できるように構成した場合について説
明する。
【0049】図4は、本発明の第3実施形態に係る光学
分析用チップの構成を模式的に表わす図で、分析装置に
設置された状態の側面を表わすとともに、分析装置の要
部構成も同時に表わしている。なお、図4において、図
1〜3と同様の構成要素については同一の符号を付し、
説明を省略する。図4に示すように、本実施形態の光学
分析用チップ1−3は、励起源2及び測定手段3’を備
えた分析装置A3に設置され、試料の光学的な分析に用
いられるもので、基板10を備えるとともに、基板10
に設けられたレーザー発光素子11,測定領域(センサ
面)12’を有する微小経路12”,光導波路13を備
えて構成されている。光学分析用チップ1−3及び分析
装置A3の構成は、以下に説明する点を除き、第2実施
形態の光学分析用チップ1−2及び分析装置A2と基本
的に同様である。
【0050】レーザー発光素子11は、第1及び第2実
施形態と同様、その種類は特に限定されず、目的とする
光学分析に必要な属性のレーザー光を照射できるもので
あれば種々のものを使用できるが、後述する光導波路1
3と光学的に結合可能であって、発光されるレーザー光
を光導波路13内に誘導できるものが好ましい。
【0051】測定領域12’は、本実施形態において
は、分析対象の試料と接触する二次元の面領域(センサ
面)として構成される。具体的には、測定領域12’
は、同じく基板10に設けられた微小流路12”を介し
て試料を誘導され、又は試料を直接塗布若しくは滴下さ
れることにより、試料と接触するように構成されている
(図4では微小流路12”を用いた例を示している)。
そして、測定領域12’上には、試料中の検出種(被検
出対象)と特異的に結合する結合物質(抗原抗体反応、
相補的DNA結合、リセプター/リガンド相互反応、酵
素/基質相互作用等の相互作用によって検出種を捕捉で
きる物質)が固定化され、測定領域12’上に分析対象
の試料を(微小流路12”への導入や測定領域12’表
面への塗布・滴下等により)接触させると、試料中の検
出種が測定領域12’上の結合物質に結合するようにな
っている。なお、試料中の検出種には予め、エバネッセ
ント場により励起されて蛍光を生じる蛍光物質が結合さ
れる。
【0052】光導波路13は、レーザー発光素子11の
発光面と光学的に結合され、レーザー発光素子11の発
光面から発光されたレーザー光を、外部へ逃さないよう
閉じ込めながら導波させるものである。また、レーザー
光が光導波路13の内部を通過することによって、光導
波路13表面にエバネッセント場が誘起されるようにな
っている。さらに、光導波路13は測定領域12’(セ
ンサ面)に沿って配置され、測定領域12’上の結合物
質に試料中の検出種が結合した状態で光導波路13表面
にエバネッセント場が誘起されると、試料中の検出種に
結合した蛍光物質がそのエバネッセント場によって励起
され、蛍光を発するように構成される。
【0053】ここで、本実施形態の光学分析用チップ1
−3における、レーザー発光素子11及び光導波路13
の形成方法の例を、図5を用いて説明する。図5に示す
ように、光導波路13は、薄い透明な基板10上に、基
板10よりも光屈折率の高い透明な物質からなる層(コ
ア層)131を設けた、いわゆるスラブ光導波路として
形成することが好ましい。基板10の材質としては、ガ
ラス板、石英板、ポリメタクリル酸メチル、ポリカーボ
ネート、ポリオレフィン等の樹脂などが好ましい。基板
10の厚さは、全体の形を支えることができればよく、
通常0.1〜5mmの範囲、好ましくは0.1〜3mm
の範囲である。一方、コア層131は、例えばソーダガ
ラスの表面のナトリウムイオンを、カリウムイオンやタ
リウムイオンのような屈折率の高い物質とイオン交換す
ることにより、又はゾル・ゲル法やスピンコート法等の
手法を用いて形成することができる。コア層131の厚
さは、特に制限はないが、好ましくは0.1〜100μ
m、さらに好ましくは0.5〜10μmである。光導波
路13がこうした構成を有する場合、測定領域12’
(センサ面)は、コア層131の表面に設けられること
になる。また、レーザー発光素子11は、発光されるレ
ーザー光が光導波路13(コア層131)に導入されて
適切に導波されるように、基板10上に回折格子等の共
振器構造111を形成し、その上にレーザー媒質を含む
発光層112を積層して形成することができる。
【0054】以上の構成を有する本実施形態の光学分析
用チップ1−3では、目的とする光学分析に際して分析
装置A3に設置され、分析対象となる試料が測定領域1
2’に接触した状態で、励起源2によってレーザー発光
素子11が励起され、レーザー発光素子11からレーザ
ー光が発せられる。このレーザー光が光導波路13の内
部を通過することにより、光導波路13表面にエバネッ
セント場が誘起される。試料中の検出種に結合した蛍光
物質が、エバネッセント場によって励起され、蛍光を発
する。その蛍光の属性が測定手段3によって測定され、
その測定値が分析装置A3から出力されて、試料の分析
が行なわれる。
【0055】以上、本実施形態の光学分析用チップ1−
3によれば、エバネッセント場励起蛍光に基づく分析に
おいても、光学分析に必要な光伝達系が簡略化できると
ともに、分析装置A3に設置する際に高い精度の機械的
調整が不要であるため、分析装置A3の小型化,簡素
化,低価格化を実現でき、且つ、光学分析用チップ1−
3自体の小型で簡素な構成も損なわれないという、第1
及び第2実施形態の光学分析用チップ1−1,1−2
(1−2’)と同様の各種効果を得ることが可能とな
る。
【0056】なお、本実施形態の光学分析用チップ1−
3の構成は、エバネッセント場励起蛍光分析のみなら
ず、レーザー光が光導波路13によって導波される際に
光導波路13近傍に生じる近接場を用いて試料の分析を
行なう各種の手法(吸光分析等)に対して、適用するこ
とが可能となる。
【0057】〔I−4〕 第4実施形態 最後に、本発明の第4実施形態では、前述の従来技術
に対して本発明を適用した場合、即ち、光熱変換法によ
る分析用チップとして、レーザー発光素子と光学的に結
合された光導波路がセンサ面に沿って配置され、外部の
ポンプ光源から発せられるポンプ光をセンサ面に入射さ
せた場合に、光導波路を通過するレーザー光をプローブ
光として、センサ面に接触する試料がポンプ光を吸収す
ることに伴いプローブ光に与える変化を、外部から測定
できるように構成した場合について説明する。
【0058】光導波路を利用した光熱変換法の詳細は、
上述した文献(Chemistry Letters日本化学会 1997年,
583頁)に記載されているが、プローブ光線の方向や太
さの変化を検出して測定を行なうので、プローブ光には
極めて高い平行性が求められる。従って、プローブ光の
光源(レーザー発光素子)と光路(光導波路)との間に
精密な位置合わせを行なうことが極めて重要であり、そ
れゆえに本発明の適用による効果も顕著である。
【0059】図6は、本発明の第4実施形態に係る光学
分析用チップの構成を模式的に表わす図でで、分析装置
に設置された状態の側面を表わすとともに、分析装置の
要部構成も同時に表わしている。なお、図6において
も、図1〜5と同様の構成要素については同一の符号を
付し、説明を省略する。図6に示すように、本実施形態
の光学分析用チップ1−4は、励起源2、測定手段3”
−1(位置検出器),3”−2(光量検出器)、ポンプ
光源4、チョッパー5、プリズム6、ナイフエッジ7、
ロックイン増幅器8を備えた分析装置A4に設置され、
試料の光学的な分析に用いられるもので、基板10を備
えるとともに、基板10に設けられたレーザー発光素子
11,測定領域(センサ面)12’,光導波路13を備
えて構成されている。光学分析用チップ1−4及び分析
装置A4の構成は、以下に説明する点を除き、第3実施
形態の光学分析用チップ1−3及び分析装置A3の構成
と基本的に同様である。
【0060】本実施形態では、レーザー発光素子11か
ら発光されるレーザー光をプローブ光として使用するの
で、レーザー光には高い平行性が求められる。こうした
平行性を達成するために、本実施形態では、レーザー発
光素子11として、平行性が高いレーザー光を発光でき
るものを用いるのが好ましい。具体的には、例えば、半
導体レーザー素子等が挙げられる。また、光導波路13
も、図5を用いて前述したようなスラブ光導波路として
形成することが好ましい。光導波路13がこうした構成
を有する場合、測定領域12’(センサ面)は、コア層
131の表面に設けられる。
【0061】一方、ポンプ光源4は、例えばアルゴンイ
オンレーザーなどの種々のレーザー、半導体レーザー、
発光ダイオード、キセノンランプ、水銀ランプ、白熱
灯、あるいはそれらにフィルターや分光器を組み合わせ
て掛け、波長を選んだものなどを用いることができる。
必要に応じ、集光して光の強度を調節したり、ビーム径
を変えたりして調整してもよい。また、ポンプ光源4か
らの光には、強度,波長又は偏光面等の属性について何
らかの変調を加えた上で、これをポンプ光として試料に
照射することが好ましい。具体的には、図6に示すよう
に、ポンプ光源4からの光をチョッパー5を用いて断続
光とし、これを試料の存在する測定領域12’に向けて
照射する。試料がポンプ光を吸収することによって、試
料の付近に熱が生じ、熱膨張などによって試料付近に屈
折率の変化が生じる。
【0062】本実施形態の測定手段3”−1,3”−2
は、試料付近における屈折率の変化がプローブ光の属性
に与える影響を検出するものである。ここで、一方の測
定手段である位置検出器3”−1は、測定領域12’付
近におけるプローブ光線に生じる偏向や太さの変化を直
接検出するものである。また、もう一つの測定手段であ
る光量検出器3”−2は、測定領域12’付近を通過し
た後のプローブ光の光量変化を検出するものである。後
者の光量検出器3”−2を用いた測定では、プローブ光
は光導波路13(コア層131)に形成されたプリズム
6等により光導波路13から出射され、ナイフエッジ7
で入射量を制限された状態で光量検出器3”に入射され
る。なお、プリズム6の代わりに、光導波路13(コア
層131)に形成された溝等を、また、ナイフエッジ7
の代わりに、光導波路13(コア層131)に形成した
溝や、光導波路13(コア層131)表面に張りつけた
光吸収物などを用いてもよい。光量検出器3”−2にお
いて光量測定される光はロックイン増幅器8に入射さ
れ、チョッパー5からの参照信号を用いて位相同期増幅
が行なわれる。
【0063】以上の構成を有する本実施形態の光学分析
用チップ1−4では、目的とする光学分析に際して分析
装置A4に設置されて、励起源2によってレーザー発光
素子11が励起され、レーザー発光素子11からレーザ
ー光が発せられる。一方、分析対象となる試料が測定領
域12’に接触した状態で、ポンプ光源4から出射さ
れ、チョッパー5により断続光にされたポンプ光が、測
定領域12’に接触する試料に照射される。試料がポン
プ光を吸収すると、試料の付近に熱が生じ、熱膨張など
によって試料付近に屈折率の変化が生じる。この屈折率
の変化によって、試料付近を通過するプローブ光の属性
に生じた変化が、測定手段3”−1,3”−2によって
測定され、その測定値が分析装置A4から出力されて、
試料の分析が行なわれる。
【0064】以上、本実施形態の光学分析用チップ1−
4によれば、光熱変換法に基づく分析においても、分析
に必要な光伝達系が簡略化できるとともに、分析装置A
4に設置する際に高い精度の機械的調整が不要であるた
め、分析装置A4の小型化,簡素化,低価格化を実現で
き、且つ、光学分析用チップ1−4自体の小型で簡素な
構成も損なわれないという、第1〜3実施形態の光学分
析用チップ1−1〜1−3と同様の各種効果を得ること
が可能となる。
【0065】なお、上述した第4実施形態の変形例とし
て、ポンプ光源4をレーザー素子とこれを励起する励起
源とに分離し、レーザー発光素子を光学分析用チップ1
−4側に設けることによって、分析装置の構成をより簡
素化・小型化することも可能である。
【0066】なお、上述した第4実施形態の変形例とし
て、ポンプ光源をレーザー素子とこれを励起する励起源
とに分離し、レーザー発光素子を光学分析用チップ1−
4側に設けることによって、分析装置A4の構成をより
簡素化・小型化することも可能である。この場合、光学
分析用チップ1−4では、ポンプ光となるレーザー光を
発するレーザー発光素子が、その発光面から出射される
レーザー光が測定領域12’内の試料に照射されるよう
な位置関係で、基板10上に配置される。一方、本変形
例の分析装置A4では、図6におけるポンプ光源4に代
えて、光学分析用チップ1−4に備えられた前述のポン
プ光用のレーザー発光素子を励起するための励起源が備
えられ、分析装置A4に光学分析用チップ1−4を設置
した状態で光学分析用チップ1−4側の前記ポンプ光用
レーザー発光素子を励起できるような位置関係で配置さ
れる。
【0067】ポンプ光源4のレーザー発光素子として
は、その種類は特に限定されず、目的とする光学分析に
必要な属性のレーザー光を照射できるものであれば、種
々のものを使用できるが、本実施形態においては、発光
されたレーザー光を試料に照射した場合に、試料に充分
な熱を生じさせ、検出可能な程度の屈折率変化を生じさ
せるように、高い強度のレーザー光を発光できるものが
好ましい。こうしたレーザー発光素子としては、半導体
レーザー素子などが挙げられる。また、ポンプ光源4の
レーザー発光素子の励起方式にも特に制限は無く、光励
起又は電流励起の何れを使用することもできる。
【0068】以上、本発明の実施形態につき具体的に説
明したが、勿論、本発明は上述の実施形態に限定される
ものではなく、その要旨を越えない限りにおいて、種々
の形態で実施することが可能である。
【0069】〔II〕 面発光レーザー素子 〔II−1〕 面発光レーザーの基本概念 本発明の光学分析用チップは、外部の励起源によって励
起されることによりレーザー光を発するレーザー発光素
子が基板上に設けられていることを、その重要な特徴と
しているが、このレーザー発光素子として、面状の発光
部を有するレーザー発光素子(面発光レーザー素子)を
用いることにより、各種の利点を得ることが可能であ
る。ここで、面発光レーザー素子は、光学分析用チップ
の外部(主に分析装置)に設けられる前記の励起源との
組み合わせで、面状の発光を呈するレーザー光源(面発
光レーザー光源)として機能するものであって、素子の
発光面から垂直又は略垂直方向にレーザー光を放射する
レーザー(面発光レーザー)を含んで構成される。
【0070】なお、面発光レーザー光源の他に面状の発
光を呈する光源として、液晶のバックライトのように線
状もしくは点状の光源からの発光を導波路及び散乱体で
面状に一様に発光させたものや、面状に発光する有機E
L(Electro Luminescent)素子等が挙げられる。しか
し、これらの光源では、発光の向きが制御されていない
のでこれをコリメートする必要があり、光学系が複雑に
なるために本発明の趣旨に沿わない。
【0071】レーザーは、一般的に、光を誘導放射する
レーザー媒質と、その光を何度も反射しながら位相を揃
えていく共振器とから構成される。従来の一般的なレー
ザーである端面発光型レーザーは、半導体素子を劈開に
より切り出した端面を反射鏡とするファブリー・ペロー
型の共振器を有し、劈開端面よりレーザー光を出射する
構成をとっているために、二次元配列が困難であった。
面発光レーザーは、主にこの共振器の構造に改善を加え
ることによって、従来のレーザーの難点を解消し、二次
元配列を可能とするものである。
【0072】上述した半導体素子端部の反射鏡に代わる
共振器として、回折格子を用いた共振器構造が挙げられ
る。共振器構造に使用される回折格子は、大きく分け
て、発光部(レーザー媒質)に沿って回折格子を設けた
DFB(Distributed Feedback:分布帰還)形と、発光
部(レーザー媒質)の外部に回析格子を設けたDBR
(Distributed Bragg Reflector:分布ブラッグ反射)
形の2種類がある。面発光レーザーは、主にこのDFB
形又はDBR形の共振器構造を用いて作製される。
【0073】以下の記載では、面発光レーザーの代表的
な技術として、まず使用される共振器の種類に着目し、
垂直共振器型面発光レーザーとフォトニック結晶面発光
レーザーという、二種類の技術について説明する。
【0074】垂直共振器型面発光レーザー(vertical-c
avity surface-emitting laser:VCSEL)は、基板
に対して垂直方向に立設された円柱状の形状で、レーザ
ー媒質を含む発光層を挟んで上下に多層膜ミラーが配置
された構造を有する。発光層のレーザー媒質としては半
導体が用いられ、これが電流注入によって励起されて光
を発するとともに、多層膜ミラーはDBR形の共振器構
造として構成され、これが発光層から発せられた光を基
板面(発光面)に対して垂直に共振させる垂直共振器と
して機能する。
【0075】代表的な発光波長は850nm前後である
が、より長波長(780nm,1.3μm,1.5μm
等)の発光を呈するものも開発されており、更には、G
aNを使った青色レーザーも検討されている。発光波長
を変化させる手法としては、マイクロマシン技術を利用
する手法と、垂直方向の共振器の長さを作成条件によっ
て調整する手法とがある。前者は、マイクロマシン技術
で発光層及び多層膜ミラーの位置関係を変更することに
より、個々のレーザーの発光波長を可変とするものであ
る。後者は、個々のレーザーの垂直方向に形成される共
振器の長さを作成条件の変更により調整し、レーザー毎
に発光波長を変化させるものである。
【0076】一方、フォトニック結晶面発光レーザー
は、DFB形の共振器構造であるフォトニック結晶を用
いたものである。DFB形の共振器構造は、前述したよ
うに発光部(レーザー媒質)に沿って回折格子を設けた
もので、通常は凹凸をつけた基板の上に屈折率の異なる
材料を成膜して形成され、この屈折率変化を利用してレ
ーザー発光させたい波長の光をブラッグ反射させる。フ
ォトニック結晶は、二次元以上の周期的な屈折率変化を
有する結晶で、共振器の機能に加えて回折格子の機能も
有するので、二次元以上のDFB形共振器構造として好
適に用いられる(一次元のものも含めてフォトニック結
晶と呼ぶ場合もあるが、本明細書では二次元以上のもの
をフォトニック結晶と呼ぶことにする)。
【0077】フォトニック結晶の具体的な構造につい
て、二次元フォトニック結晶を例にとって説明する。二
次元フォトニック結晶は、屈折率が高くレーザー媒質を
含むコア層と、屈折率が低い上部クラッド層及び下部ク
ラッド層とからなる平面導波路構造において、クラッド
層表面に多数の突起又は孔穴が周期的に形成された形状
を有する。突起や孔穴の形状は正弦波状であっても良
く、また、突起がコア層を貫通していても良い。これら
の突起又は孔穴が二次元の格子構造を構成することによ
り、周期的な屈折率変化が実現される。格子構造の種類
としては、三角格子、正方格子、ハニカム格子等の、レ
ーザー媒質からの光の放射モードと結合する格子構造が
挙げられる。図7(a)及び(b)に、二次元フォトニ
ック結晶の格子構造の例として、それぞれ正方格子及び
三角格子の例を示す。図7(a)及び(b)において、
Aは二次元フォトニック結晶の本体を、dは結晶の本体
Aの表面に形成された突起又は孔穴を示す。
【0078】フォトニック結晶面発光レーザーのレーザ
ー媒質としては、半導体や有機物等を使用することがで
き、後者の有機物としては、有機結晶や色素の使用が研
究されている。発光波長は、使用するレーザー媒質や励
起源の種類により様々である。例えば、レーザー媒質と
して色素の一種であるDCMを使用し、励起源としてN
2レーザーを用いて光励起を行なった場合、601〜7
16nmの範囲で発光する。レーザー媒質として各種の
色素を選択して用いれば、紫外から赤外までの範囲で発
光が可能になる。また、共振器として二次元フォトニッ
ク結晶を使用する場合には、その格子構造の種類及び格
子間隔も発光波長に影響を及ぼす。
【0079】一方、使用されるレーザー媒質の種類に着
目して面発光レーザーを分類することも可能であるが、
その中でも代表的なものとして、半導体レーザーと有機
レーザーについて説明する。
【0080】半導体レーザーは、レーザー媒質として半
導体を使用するもので、上述した垂直共振器型面発光レ
ーザー、フォトニック結晶面発光レーザーの何れにも適
用が可能である。半導体レーザーの利点としては、半導
体を使用するので極めて長寿命であること、欠点として
は、現段階では発光波長として可視領域内の任意の波長
を選択することはできず、主に近赤外〜赤外領域の波長
に限られることが挙げられる。
【0081】対して、有機レーザーは、レーザー媒質と
して有機物を使用するもので、垂直共振器型面発光レー
ザーには適用できないが、フォトニック結晶面発光レー
ザーには適用が可能である。使用される有機物として
は、有機結晶、色素等が検討されている。有機レーザー
の利点としては、選択できる発光波長の範囲が広いこと
が挙げられる。特に色素を使用すれば、色素の選択によ
って可視光全領域を含む極めて広い範囲の発光が実現さ
れる。欠点としては、現段階では発光波長として可視領
域で使用できる波長に制限があることが挙げられる。
【0082】なお、上述の半導体レーザー及び有機レー
ザーの他にも、YAGレーザー等の光学媒質として無機
材料を用いた無機レーザーも存在するが、現時点では一
般に大型且つ高価で、本発明の趣旨には沿わない。
【0083】本発明で使用する面発光レーザーは、垂直
共振器型面発光レーザー及びフォトニック結晶面発光レ
ーザーの何れであっても良く、また、半導体レーザー及
び有機レーザーの何れであっても良い。従って、採用す
る分析装置及びセンサチップに求められる特性に応じ
て、適切な組み合わせを選択することが好ましい。例え
ば、発光素子の小型化や寿命の観点からは、電流励起が
可能で小型に構成でき、且つ寿命も長い半導体レーザー
が好ましく、また、レーザーの高密度配列が可能な垂直
共振器型面発光レーザーが有利である。一方、選択でき
る発光波長の広さの観点からは、有機レーザー、特に色
素レーザーが好ましく、従ってレーザー媒質に色素を使
用できるフォトニック結晶面発光レーザーが有利とな
る。
【0084】特に、現在では電流励起の可能な有機レー
ザーが開発されており、従来の光励起による有機レーザ
ーに比べて、より小型に構成することが可能となってい
る。また、面発光レーザー素子を分析装置から取り外し
可能とし、或いはセンサチップと一体化して、ディスポ
ーザブルな構成とすれば、寿命が短いという欠点も解消
される。さらに、共振器として二次元フォトニック結晶
を用いたフォトニック結晶面発光レーザーは、二次元フ
ォトニック結晶の格子構造のピッチを調整することによ
って、発光面の異なる位置から違う波長のレーザー光を
発する多波長面発光レーザーを容易に作製できる。従っ
て、本発明では選択できる発光波長の広さを重視して、
共振器として二次元フォトニック結晶を、レーザー媒質
として色素を使用したレーザー(フォトニック結晶有機
レーザー)を用いることが好ましい。
【0085】以上説明した理由から、以下の記載では、
本発明に係る面発光レーザーの好ましい例として、フォ
トニック結晶有機レーザーの構成及び製造方法について
説明する。なお、本発明で使用できる面発光レーザー
は、勿論この例に限定されるものではなく、上述した各
種の技術を目的に合わせて選択し、適宜組み合わせて使
用できることを附言しておく。
【0086】〔II−2〕 フォトニック結晶有機レーザ
ー 図8は、本発明に係る面発光レーザーの一例であるフォ
トニック結晶有機レーザーの構成を模式的に表わす図で
ある。図8に示すように、フォトニック結晶有機レーザ
ー100は、基板101と、基板101上に形成される
クラッド層102と、クラッド層102上に形成される
色素層103から構成される。
【0087】このフォトニック結晶有機レーザー100
は、基板101上に、クラッド層102及び色素層10
3をこの順に積層して形成することにより作製できる。
基板101の材料は、本発明に使用する面発光レーザー
としての特性を損なわないものを任意に選択して使用で
きるが、クラッド層102及び色素層103の機能に与
える影響をできるだけ低減するために、光学活性の低い
材料を選択することが好ましい。特に、励起の方法とし
て光励起を採用する場合には、励起光を透過するガラス
又はプラスチック製の材料が好ましい。また、基板10
1の厚さは、全体の厚さを支えることができれば特に制
限は無いが、通常0.1〜3mm程度である。
【0088】具体的には、まず、次の(イ)又は(ロ)
の方法を用いて、基板101上にクラッド層102を形
成する。クラッド層102の厚さは1,000〜10,
000nm程度が好ましい。また、クラッド層102に
形成する格子構造のピッチは、150〜400nm程度
とすることが好ましい。
【0089】(イ)鋳型成形(モールド)による形成 Si基板又はSiO2基板を、電子線リソグラフィー及
びドライエッチングで加工することにより、成形に使用
する鋳型を作製する。又は、この様にして作製したSi
基板又はSiO2基板製の型を、更にPDMS(Polydim
ethyl siloxane)で転写して、これを鋳型として使用し
ても良い。特に、後者の手法によれば、可撓性の高い鋳
型を作製できるため、任意の二次元形状のフォトニック
結晶を作製することが可能となる。次に、励起光を透過
するガラス又はプラスチック製の基板101上に、ゾル
ゲルガラスをスピンコートし、上記の各手法で作製した
鋳型を用いて成形する。その後、成形したゾルゲルガラ
スをゲル化させ、鋳型を取り外してクラッド層102と
する。
【0090】(ロ)自己組織化による形成 ポリスチレン製やシリカ製の微小な球を、自己組織化現
象を利用して基板101上に配列させることにより、正
方格子や三角格子等の格子構造を有するクラッド層10
2を形成する。自己組織化現象を利用した微小球の配列
方法としては、例えば、前之園他「ウェットプロセスに
よるシリカ微粒子の自己配列」(化学工学会第66年会
シンポジウム<粒子分散系薄膜のマイクロ構造形成>,
V318)に記載の方法が挙げられる。
【0091】続いて、上述の(イ)又は(ロ)の方法を
用いて形成したクラッド層102の上に、色素を含む有
機材料を蒸着又はスピンコートさせることにより、色素
層103を形成することによって、上述のフォトニック
結晶有機レーザー100が作製される。色素層103の
膜厚は、150〜300nm程度が好ましい。
【0092】なお、基板101の存在は必須では無く、
フォトニック結晶有機レーザー100の作製方法に依存
する。すなわち、仮基板の上にクラッド層102及び色
素層103を形成した後、仮基板を取り除いてもよく、
又は、格子構造を形成した色素層103を先に形成し
て、これを鋳型としてクラッド層102を形成しても良
い。
【0093】作製されたフォトニック結晶有機レーザー
100の発光波長は、クラッド層102における二次元
フォトニック結晶の格子構造の種類や格子間隔(ピッチ
幅)、格子構造を形成する突起の高さ又は孔穴の深さ、
色素層103に含まれる色素の種類、クラッド層102
と色素層103との屈折率の関係等、様々な条件によっ
て決定される。例えば、クラッド層102における二次
元フォトニック結晶の格子構造が三角格子、格子間隔が
440nm、格子を形成する孔穴の直径が100nm、
深さが160nm、クラッド層102の屈折率が1.4
4、色素層103に含まれる色素がDCM、色素層10
3の屈折率が1.77である場合、発光波長は607n
mとなる。
【0094】なお、フォトニック結晶有機レーザー10
0の発振閾値はできるだけ低いほうが、レーザー発光を
起こすために必要な励起エネルギー(例えば、光励起の
場合には、必要な励起光の強度。電力励起の場合には、
必要な励起電力)が低下するとともに、必要なクラッド
層102の面積(ひいては、フォトニック結晶有機レー
ザー100の面積)を小さくできるので、コスト面及び
装置の小型化の面で好ましい。従って、フォトニック結
晶有機レーザー100の製造においては、発振閾値を低
くするために、以下の各点に留意することが好ましい。
【0095】(i)色素層103から発光した光を、で
きるだけ有機レーザー100面内に閉じこめるために、
有機レーザー100が光導波路構造となっていることが
好ましい。そのためには、クラッド層102の屈折率の
方が色素層103の屈折率よりも小さい必要がある。こ
の様な組み合わせとして、例えば、クラッド層102と
して屈折率1.44のSiO2を、色素層103として
屈折率1.77のDCM doped Alq3を用いる組み合
わせが挙げられる。特に、クラッド層102の屈折率と
色素層103の屈折率との差が大きい方が、DFBの反
射効率が向上し、レーザーの発振閾値が低下するので望
ましい。なお、クラッド層102としてポーラスシリカ
を用いれば、ポーラスの割合を変更することによって、
屈折率を低く調整することが容易となる。
【0096】(ii)クラッド層102において、二次元
フォトニック結晶の突起の高さ又は孔穴の深さが大きい
方が、光導波路構造におけるDFBの反射効率が向上
し、クラッド層102の面積をより小さくできる。従っ
て、有機レーザー100の発振閾値を低減する観点から
は、突起の高さ又は孔穴の深さは大きい方が望ましく、
具体的には20nm以上が好ましい。但し、突起の高さ
又は孔穴の深さをあまり大きくすると、二次元フォトニ
ック結晶の作製の難度が高くなってしまい好ましくな
い。
【0097】(iii)色素層103もポーラス構造であ
ることが望ましい。色素層103中に存在する色素の分
子が、凝集した状態ではなく分離した状態の方が、レー
ザーの発振閾値が下がることが報告されている。
【0098】以上の方法により作製されたフォトニック
結晶有機レーザー100は、そのまま面発光レーザー素
子として使用してもよく、別に用意した素子用基板に一
又は複数を貼り付けて、これを面発光レーザー素子とし
て使用しても良い。光励起を採用する場合には、十分な
発光強度を有するレーザー光源等の励起光源を励起源と
して使用し、励起光源からの光(励起光)を面発光レー
ザー素子の色素層103に照射することによって、面発
光レーザー素子からレーザー光を発させる。
【0099】特に、面発光レーザー素子を光励起する場
合、その励起光の波長はレーザー発光波長と違うことが
望ましい。励起光源からの励起光波長と面発光レーザー
素子からの発光波長とが異なるレーザー光源を用いれ
ば、面発光レーザー素子とセンサチップとの間(検出
系)に励起光が漏出しても、励起光波長付近の光を選択
的に遮断する光フィルターを面発光レーザー素子とセン
サチップとの間に配置することにより、これを簡単に除
去することができる。例えば上述のように、色素として
DCMを、励起光源としてN2レーザー(発光波長33
7.1nm)を用いた構成では、レーザーの発光波長は
601〜716nmとなり、こうした条件に合致するこ
とになる。また、フェムト秒レーザーを使用すれば多光
子励起が可能であり、この場合はさらに励起光波長とレ
ーザー発光波長との差を大きくすることが可能である。
【0100】なお、以上説明したフォトニック結晶有機
レーザー100の製造方法を応用して、発光面の各位置
から異なる波長のレーザー光を照射できるように構成す
ることも可能である。図9に、発光面の異なる部位から
異なる波長のレーザー光を照射できるように構成した、
多波長面発光レーザー素子の例を模式的に表わす。図9
に示すように、多波長面発光レーザー素子11’は、素
子本体11B’の発光面E上の異なる領域e1,e2,・
・・,enから、異なる波長のレーザー光が発せられる
ように構成されている。本発明では、この様な構成の多
波長面発光レーザー素子11’を使用することで、多波
長のレーザー光を同時にセンサチップのセンサ面に対し
て照射することが可能となり、後述するように各種の利
点を得ることができる。
【0101】なお、レーザー発光領域e1,e2,・・
・,enの数、形状、配列等は任意である(図9では、
方形のレーザー発光領域e1,e2,・・・,enが二次
元アレイ状に配列されている例を示している)。また、
全てのレーザー発光領域e1,e2,・・・,enにおけ
るレーザー発光波長がそれぞれ異なるように構成しても
よいし、複数の領域が同じ波長のレーザー光を発光する
ように構成してもよい(例えば、図9の二次元アレイと
して配列されたレーザー発光領域e1,e2,・・・,e
nにおいて、同一行内のレーザー発光領域の発光波長は
同じとして、行ごとに異なる発光波長を有するように構
成する)。すなわち、レーザー発光領域e 1,e2,・・
・,enの数、形状、配列等や、レーザー発光波長の異
同及びその組み合わせは、使用目的に応じて適切なもの
を決定すればよい。
【0102】また、図10に示すように、センサチップ
9のセンサ面9Aが、複数種の試料をそれぞれ独立に接
触させることができるように構成されている場合には、
こうしたセンサ面9A上の複数の試料接触領域を、多波
長面発光レーザー素子11’の複数のレーザー発光領域
1,e2,・・・,enと組み合わせることによって、
より複雑な分析を行なうことが可能となる。例えば、複
数種の試料に対する接触領域s1,s2,・・・,s
センサ面9A上に一列に(図10では図の上下方向に)
配置されたセンサチップ9と、互いに異なる波長のレー
ザー光を発する複数のレーザー発光領域e1,e2,・・
・,enが発光面上に、先のセンサ面9A上の試料接触
領域s1,s2,・・・,sの整列方向に対して垂直方
向に一列に(図10では図の左右方向に)配置された多
波長面発光レーザー素子11’とを組み合わせて用いる
ことにより、先のセンサ面9A上の試料接触領域s1
2,・・・,sの異なる位置に各レーザー発光領域
1,e2,・・・,enからの異なる波長のレーザー光
を照射することが可能となり、複数の試料の多波長同時
解析が可能となる。
【0103】上述の多波長面発光レーザー素子11’は
様々な手法により作製できるが、例えば、最も単純な方
法として、異なる発光波長を有するフォトニック結晶有
機レーザー100を個々に作製し、別に用意した素子本
体11B’上に二次元的に配列して貼り付けて作製する
ことができる。他に、より小型化が可能な方法として、
フォトニック結晶有機レーザー100の基板101を共
通の素子本体11B’として用い、この基板101の表
面(発光面E)上の領域e1,e2,・・・,e nに応じ
て異なる格子間隔でクラッド層102を形成したり、又
は領域e1,e2,・・・,enに応じて異なる種類の色
素を含むように色素層103を形成したりすれば、これ
をそのまま多波長面発光レーザー素子11’として使用
することが可能となる。
【0104】特に、色素の発光波長帯域は前述したよう
に極めて広く、また色素の種類によっても様々に異な
る。従って、後者の方法を用いれば、素子本体11B’
の発光面E上の領域e1,e2,・・・,enに応じて、
クラッド層102の格子間隔及び色素層103の色素の
種類の一方又は双方を適切に調整することによって、可
視光領域を含む極めて広い範囲の発光波長を有する多波
長面発光レーザー素子11’を作製することができるの
で好ましい。
【0105】作製した面発光レーザー素子11’の励起
の方法としては、電流励起及び光励起の何れの方法を用
いても良い。光励起を採用する場合には、十分な発光強
度を有するレーザー光源等の励起光源を励起源として使
用し、励起光源からの光(励起光)を多波長面発光レー
ザー素子11’の色素層103に照射することによっ
て、多波長面発光レーザー素子11’からレーザー光を
発させる。手順としては、励起光源からの励起光を素子
本体11B’の発光面E上の各領域e1,e2,・・・,
n上に順次スキャンしながら照射しても良いし、励起
光源の発光強度及び発光範囲を充分確保できるならば、
同時に複数の領域e1,e2,・・・,enに励起光を照
射してもよい。特に後者ならば、多波長面発光レーザー
素子11’から同時に多波長のレーザー光を発すること
が可能となるので好ましい。
【0106】
【発明の効果】本発明によれば、光学分析用チップの基
板上に、外部の励起源によって励起されることによりレ
ーザー光を発するレーザー発光素子と、レーザー発光素
子から発せられるレーザー光を前記試料の分析に利用さ
れるように伝達する光伝達系とを設けているので、チッ
プ自体の小型で簡素な構成を損なうことなく、光学分析
に必要な光伝達系を簡略化できるとともに、分析装置と
の位置決めに高い精度の機械的調整を必要とせず、分析
装置の小型化,簡素化,低価格化に寄与する。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)及び(b)はいずれも、本発明の第1実
施形態に係る光学分析用チップの構成を模式的に表わす
図であり、(a)は上面図、(b)は分析装置に設置さ
れた状態における側面図で、同時に分析装置の要部構成
も表わしている。
【図2】本発明の第2実施形態に係る光学分析用チップ
の構成を模式的に表わす図で、分析装置に設置された状
態の側面を表わすとともに、分析装置の要部構成も同時
に表わしている。
【図3】本発明の第2実施形態の変形例に係る光学分析
用チップの構成を模式的に表わす図で、分析装置に設置
された状態の側面を表わすとともに、分析装置の要部構
成も同時に表わしている。
【図4】本発明の第3実施形態に係る光学分析用チップ
の構成を模式的に表わす図で、分析装置に設置された状
態の側面を表わすとともに、分析装置の要部構成も同時
に表わしている。
【図5】本発明の第3実施形態の光学分析用チップにお
ける、レーザー発光素子及び光導波路の形成方法の例を
説明するための図である。
【図6】本発明の第4実施形態に係る光学分析用チップ
の構成を模式的に表わす図で、分析装置に設置された状
態の側面を表わすとともに、分析装置の要部構成も同時
に表わしている。
【図7】(a),(b)は何れも、本発明に使用される
面発光レーザーにおいて、共振器として用いられる二次
元フォトニック結晶の格子構造の例を表わす図であり、
(a)は正方格子構造を、(b)は三角格子構造を表わ
す。
【図8】本発明に係る面発光レーザーの一例であるフォ
トニック結晶有機レーザーを模式的に表わす斜視図であ
る。
【図9】本発明に係る面発光レーザー素子の一例であ
る、多波長面発光レーザー素子を模式的に表わす斜視図
である。
【図10】複数種の試料について多波長のレーザー光照
射に基づく分析を行なう場合の、センサチップのセンサ
面の構成と面発光レーザー素子の構成との組み合わせの
一例を説明するための図である。
【符号の説明】
A1,A2,A2’,A3,A4 分析装置 1−1,1−2,1−2’,1−3,1−4 光学分析
用素子 10 基板 11 レーザー発光素子 11’ 多波長面発光レーザー素子 100 フォトニック結晶有機レーザー 102 クラッド層 103 色素層 111 共振器構造 112 発光層 131 コア層 12,12’,12” 測定領域 13 光導波路 2 励起光源 3,3’ 測定手段 3”−1 位置検出器(測定手段) 3”−2 光量検出器(測定手段) 4 ポンプ光源 5 チョッパー 6 プリズム 7 ナイフエッジ 8 ロックイン増幅器
フロントページの続き Fターム(参考) 2G043 AA01 BA16 CA03 DA02 DA05 DA06 EA01 EA13 EA14 FA06 GA02 GB01 GB16 HA05 HA08 HA12 JA02 JA04 JA05 KA01 KA02 KA03 KA05 KA08 KA09 LA01 MA11 2G045 DA13 DA36 FA12 FA29 FB12 2G057 AA04 AB02 AB03 AB04 AC01 BA03 BA05 BB01 BB04

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 試料が存在する測定領域を有する基板を
    備え、前記試料の光学的な分析に用いられる光学分析用
    チップであって、 該基板上に、 外部の励起源によって励起されることにより、レーザー
    光を発するレーザー発光素子と、 該レーザー発光素子から発せられるレーザー光を、前記
    試料の分析のために伝達する光伝達系とが設けられたこ
    とを特徴とする、光学分析用チップ。
  2. 【請求項2】 該光伝達系が、該レーザー発光素子から
    発せられるレーザー光を前記測定領域に入射させる光学
    構造を備えるとともに、 前記試料による前記レーザー光の吸収状態,反射状態及
    び散乱状態のうち少なくとも一種を外部から測定できる
    ように構成されることを特徴とする、請求項1記載の光
    学分析用チップ。
  3. 【請求項3】 該光伝達系が、該レーザー発光素子から
    発せられるレーザー光を前記測定領域に入射させる光学
    構造を備えるとともに、 前記試料が励起されて発する蛍光を外部から測定できる
    ように構成されることを特徴とする、請求項1記載の光
    学分析用チップ。
  4. 【請求項4】 前記測定領域が、前記試料と接するセン
    サ面として構成されるとともに、 該光伝達系が、前記センサ面に沿って配置され、該レー
    ザー発光素子と光学的に結合された光導波路を備え、且
    つ、 該レーザー発光素子から発せられるレーザー光が該光導
    波路を通過する際の前記試料と前記レーザー光との相互
    作用を、外部から測定できるように構成されることを特
    徴とする、請求項1記載の光学分析用チップ。
  5. 【請求項5】 該光伝達系が、前記レーザー光が該光導
    波路を通過する際にエバネッセント場が生じるような光
    学構造を備えるとともに、 前記センサ面に接触する前記試料が前記エバネッセント
    場によって励起されて発する蛍光を外部から測定できる
    ように構成されることを特徴とする、請求項4記載の光
    学分析用チップ。
  6. 【請求項6】 該光伝達系が、外部のポンプ光源から発
    せられるポンプ光を前記センサ面に入射させる光学構造
    を備えるとともに、 該光導波路を通過するレーザー光をプローブ光として、
    前記センサ面に接触する前記試料が前記ポンプ光を吸収
    することに伴い前記プローブ光に与える変化を、外部か
    ら測定できるように構成されることを特徴とする、請求
    項4記載の光学分析用チップ。
  7. 【請求項7】 該光伝達系が、該ポンプ光源として、外
    部の励起源によって励起されることにより、前記ポンプ
    光を発する別のレーザー発光素子をさらに備えて構成さ
    れることを特徴とする、請求項6記載の光学分析用チッ
    プ。
  8. 【請求項8】 該レーザー発光素子のレーザー媒質が有
    機物であることを特徴とする、請求項1〜7の何れか一
    項に記載の光学分析用チップ。
  9. 【請求項9】 該レーザー発光素子の共振器がフォトニ
    ック結晶であることを特徴とする、請求項1〜8の何れ
    か一項に記載の光学分析用チップ。
  10. 【請求項10】 該レーザー発光素子が面状の発光面を
    有することを特徴とする、請求項1〜9の何れか一項に
    記載の光学分析用チップ。
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