JP2003183935A - 芯鞘型複合繊維及び該繊維からなる繊維構造体とその製造方法 - Google Patents

芯鞘型複合繊維及び該繊維からなる繊維構造体とその製造方法

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JP2003183935A
JP2003183935A JP2001378422A JP2001378422A JP2003183935A JP 2003183935 A JP2003183935 A JP 2003183935A JP 2001378422 A JP2001378422 A JP 2001378422A JP 2001378422 A JP2001378422 A JP 2001378422A JP 2003183935 A JP2003183935 A JP 2003183935A
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Masakazu Ochi
将一 越智
Tomoji Saeki
知司 佐伯
Tetsuhiro Yoshida
哲弘 吉田
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Toray Industries Inc
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Abstract

(57)【要約】 【課題】快適性に優れ、かつ保温性と軽量感に優れてい
てソフト(心地良い)でしっとり感のある独特な風合を
有する芯鞘型複合繊維および該繊維からなる繊維構造体
とその製造方法を提供すること。 【解決手段】芯成分Aが共重合成分を共重合されてなる
ポリエステルポリマーで、かつ、鞘成分Bがラクタムを
0.01wt%以上10wt%以下共重合したポリヘキ
サメチレンアジパミドポリマーであって、少なくとも2
成分からなる芯鞘型複合繊維であって、下記の繊維物性
(1)〜(5)を満足し、該繊維にはシリコン系油剤が
シリコン成分として繊維重量に対して0.01wt%以
上1.0wt%以下の範囲で付着していることを特徴と
する芯鞘型複合繊維。 (1)繊 度・・・0.9dtex以上11.0dte
x (2)捲縮数・・・5山/25mm以上25山/25m
m以下 (3)捲縮率・・・5%以上30%以下 (4)乾強度・・・0.5cN/dtex以上10.0
cN/dtex以下 (5)乾伸度・・・5%以上100%以下

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芯鞘型複合繊維お
よび該繊維を用いてなる繊維構造体とその製造方法に関
する。更に詳しくは保温性や軽量感及びソフトな(心地
良い)風合い、生産性(生産収率)に優れたナイロン中
空繊維からなる繊維構造体とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、複合繊維はポリエステルをはじ
め、ナイロン、アクリル、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等、あらゆる繊維素材で生産されており、今日におい
てもなお、国内外を問わず様々な研究・開発がされてい
る。
【0003】しかしながら、複合繊維の製造プロセスは
主として単一成分ポリマのみを用いた非複合繊維と比較
すると複雑となり生産性は高くない。特に紡糸工程で溶
融条件、紡糸後の糸冷却(チムニ)等の条件設定が、複
数の成分ポリマを扱うため非複合繊維と比べて複雑とな
り、その製造条件及びプロセスは、より高度な技術が必
要となっている。また複合繊維を用いて繊維構造体(織
物等)を製造する際、高次加工(紡績績工程、製織工
程、染色工程等)において非複合繊維対比でその通過性
(生産性)は悪く、コスト上昇という問題があった。
【0004】更に、近年にはこの複合繊維に加えて添加
剤をポリマに含有させた抗菌、消臭、防汚、難燃、吸放
湿繊維や2成分のポリマを張り合せたストレッチ繊維、
また芯鞘構造を利用した防透け、熱接着繊維、特殊な口
金(ノズル)を使用して紡糸させた異型断面繊維等の機
能性を持たせた複合繊維が数多く開発され広く知られて
いる。
【0005】この中でも保温性と軽量感とを両方持ち合
せた中空断面繊維は布団綿等の寝装具(ファイバーフィ
ル)用途やジャンパー・コート中入れ綿等の衣料用途に
幅広く用いられている。また近年ではウインタースポー
ツ(スキーウェア、スノーボードウェア)用途の需要が
高く、防寒着として保温性を重視しながら、且つスポー
ツ衣料であるための運動性(動き易さ)を保持した軽量
繊維が好ましく激しい運動でも清涼感が得られる吸放湿
性のある繊維が望まれてきた。)該用途に適した合成繊
維素材としては、その優れた強さ・イージーケア性など
の面からポリエステル、ポリアミド(ポリヘキサメチレ
ンアジパミド、ポリカプラミド)等が挙げられる。
【0006】しかしながら、ポリエステルは安価でドラ
イ感があり、中空繊維としても嵩が高くボリュームがあ
る反面、吸放湿性、風合(肌触り)に乏しい。一方、ナ
イロン繊維は吸放湿性が高く、風合が良好である反面、
ポリマが高価でまた中空繊維とする際にポリマ自体の比
熱が高いために紡糸製造時において中空部が熱によって
融着し高中空構造になりにくい。これに加えて、ナイロ
ンポリマー自体のモジュラスが低いことから、高次加工
(紡績績工程、製織工程、染色工程等)を通過する際に
中空構造が潰れてしまうという問題点があり、ウインタ
ースポーツ(スキーウェア、スノーボードウェア)用途
として最適な繊維及び該繊維からなる繊維構造体とその
製造方法は無かった。
【0007】これまで中空繊維はポリエステル製を用い
たものがあるが、風合の点に乏しくまたナイロン製のも
のについても前記に記述した同様の理由で高い中空率を
持った中空繊維を得ることは困難であった。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】そこで、本発明は、上
記のような従来技術では得ることができなかった快適性
に優れ、かつ保温性と軽量感に優れていてソフト(心地
良い)でしっとり感のある独特な風合を有する芯鞘型複
合繊維および該繊維からなる繊維構造体と生産性(生産
収率)に優れた製造方法(繊維製造方法・繊維構造体製
造方法)を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】芯成分Aが共重合成分を
共重合されてなるポリエステルポリマーで、かつ、鞘成
分Bがラクタムを0.01wt%以上10wt%以下共
重合したポリヘキサメチレンアジパミドポリマーであっ
て、少なくとも2成分からなる芯鞘型複合繊維であっ
て、下記の繊維物性(1)〜(5)を満足し、該繊維に
はシリコン系油剤がシリコン成分として繊維重量に対し
て0.01wt%以上1.0wt%以下の範囲で付着し
ていることを特徴とする芯鞘型複合繊維。
【0010】(1)繊 度・・・0.9dtex以上1
1.0dtex (2)捲縮数・・・5山/25mm以上25山/25m
m以下 (3)捲縮率・・・5%以上30%以下 (4)乾強度・・・0.5cN/dtex以上10.0
cN/dtex以下 (5)乾伸度・・・5%以上100%以下
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の芯鞘型複合繊維に
ついて、詳細に説明をする。
【0012】本発明の芯鞘型複合繊維は、芯成分と鞘成
分を有し、芯成分Aが共重合成分を共重合されてなるポ
リエステルポリマーで、かつ、鞘成分Bがラクタムを
0.01wt%以上10wt%以下共重合したポリヘキ
サメチレンアジパミドポリマーであって、少なくとも2
成分からなり、該繊維にはシリコン系油剤がシリコン成
分として繊維重量に対して0.01wt%〜1.0wt%の範囲で付
着しているものである。
【0013】本発明において、芯成分Aの共重合成分と
は生産性、アルカリ溶出除去性が良好であることからス
ルフォン化芳香族ジカルボン酸が好ましい。このスルフ
ォン化芳香族ジカルボン酸の代表的なものとしては、5
−ナトリウムスルフォイソフタル酸ジメチルが挙げら
れ、本発明でも好ましいものとして使用することができ
る。
【0014】本発明において、芯成分Aのポリエステル
ポリマーは変性ポリエステルの結晶構造の安定性(紡糸
性の安定化)及びアルカリによって保温性及び軽量感が
良好となる観点から共重合成分を0.5wt%以上2
0.0wt%以下の範囲で共重合されたものが好まし
く、3.0wt%以上10.0wt%以下であればより
好ましい。
【0015】本発明において、芯成分Aを構成するポリ
エステルとしては、染色加工工程にてアルカリ処理を行
い溶出除去する関係上、易溶性ポリマーであることが好
ましい。
【0016】かかる易溶性ポリエステルポリマーとして
は、例えば、スルフォン化芳香族酸変性ポリエステルで
あり、スルフォン基を有する化合物がポリエステルの連
鎖または末端の一部に含まれ、変性されたポリエステル
を用いることができる。より具体的には、ポリエチレン
テレフタレート(PET)あるいはポリブチレンテレフ
タレート(PBT)、あるいは、これらを主成分とする
共重合ポリエステル等にスルフォン化芳香族ジカルボン
酸、あるいはその塩を共重合させてなる変性されたポリ
エステル等を用いることが好ましい。
【0017】一方、鞘成分Bを構成するポリヘキサメチ
レンアジパミドポリマーはナイロン66が好適である
が、セバシン酸、イソフタル酸、パラキシレンジアミド
などを構成成分とするポリヘキサメチレンアジパミドあ
るいはこれらの共重合ポリヘキサメチレンアジパミド等
を用いても良い。また鞘成分Bは紡糸性及び繊維風合い
が良好である観点からラクタムを0.01wt%以上1
0wt%以下の範囲で共重合したものであることが必要
で、0.1wt%以上2wt%以下であれば好ましい。
ラクタムの共重合率が0.01wt%未満であれば風合
いは硬くなり、また10wt%よりも高くなれば紡糸性
悪化の原因となるので好ましくない。
【0018】本発明において該繊維にシリコン系油剤が
シリコン成分として0.01〜1.0wt%の範囲で付
着していることが必要であり、好ましくは0.02〜
0.75wt%である。シリコン成分の付着量が0.0
1wt%未満の場合には、繊維と金属間の摩擦低減効果
が不十分となり複合繊維製造工程における捲縮付与性の
低下や高次加工(紡績工程、製織工程、染色工程等)の
際、複合繊維に過度の応力が付与され、成分間(芯と
鞘)の剥離(芯が抜け)が発生して加工時に中空部が潰
れて保温性や軽量感が失われたり、紡績工程(練条工
程)で潰れた繊維または細分化された繊維がロ−ラ−に
巻付いて生産性が低下するため好ましくない。
【0019】一方、1.0wt%を超える場合には、繊
維間の摩擦低下が大き過ぎ、繊維構造体(織物等)の絡
合性が不足して均一な繊維構造体(織物等)を得ること
が困難になると同時に紡績績性も低下し、また制電性が
低下するために多量の制電剤を付与することが必要とな
ってスカム発生の問題を生じるので好ましくない。
【0020】好ましく用いられるシリコン成分としては
ジメチルポリシロキサン、アミノ変性ポリシロキサン、
メチルハイドロジエンポリシロキサン、ポリエチレング
リコール変性ポリシロキサン、ポリプロピレングリコー
ル変性ポリシロキサン等が挙げられる。かかるシリコン
成分を複合繊維に付与するには、繊維用油剤として常用
されている平滑剤、乳化剤、制電剤、その他増白剤、酸
化防止剤、紫外線吸収剤、顔料、染料などを必要に応じ
て併用したシリコン系油剤として付与すれば良い。この
際、油剤中に高次加工性が良好である観点から平滑剤成
分としてワックスまたは鉱物油等を付与することが好ま
しく、この中でもワックス成分が好ましい。またワック
ス成分としてはパフィンワックス乳化物が好ましい。ま
た本発明の複合繊維に付着したワックス成分の付着率に
ついては、高次加工性が良好である観点から繊維重量に
対して0.01wt%以上1.0wt%以下付着してい
ることが好ましく、更に高次加工性が良好となる観点か
ら0.04wt%以上0.1%以下が付着していること
がより好ましい。
【0021】また、制電剤としては、アルキルホスフェ
ート塩、アルキルスルホネート塩等のアニオン界面活性
剤、第4級アンモニウム塩、アルキルイミダゾリン塩等
のカチオン界面活性剤、ベタイン型両性界面活性剤等の
いずれをも使用可能であるが、経時的に繊維の内部に浸
透し易いものは好ましくないので、常温で固体状のもの
を少なくとも一部に用いるのが好ましい。また制電剤の
配合量は、本発明の複合繊維の場合は、シリコン成分に
対して100〜500wt%の範囲内とするのが好まし
い。
【0022】上述のシリコン系油剤は、複合繊維を製造
する任意の段階で付与すればよいが、通常は延伸前と延
伸後の2回にわたって処理される。
【0023】次に本発明の複合繊維の物性について、該
繊維における単糸の繊度は風合いが良好であるという観
点から0.9デシテックス以上11.0デシテックス以
下であることが必要で、1.3デシテックス以上6.6
デシテックス以下であれば好ましく、繊維の風合がより
良好になるという理由から1.5デシテックス(T)以
上2.0デシテックス以下であれば、より好ましい。も
し繊度が0.9T未満の場合、紡糸性(紡糸製造時の収
率)、及び紡績性(繊維構造体の生産性)が悪くなり、
11.0Tより高い場合、風合いが悪くなる。
【0024】本発明の複合繊維において、捲縮形態は特
に限定はされないが、紡績性(繊維構造体の生産性)が
良好であるという観点から、2次元捲縮、スパイラル捲
縮が好ましく、その中でも2次元捲縮がより好ましい。
捲縮数については紡績性(繊維構造体の生産性)の観点
から5山/25mm以上25山/25mm以下であるこ
とが必要で、好ましくは12山/25mm以上20山/
25mm以下である。捲縮率については紡績性(繊維構
造体の生産性)の観点から、5%以上30%以下である
ことが必要で好ましくは10%以上20%以下である。
【0025】捲縮数が5山/25mm未満で、かつ、捲
縮率が5%未満であると、短繊維(ステープル)同士の
絡合性が低いため高次加工時に紡績性が悪くなるので好
ましくない。捲縮数が25山/25mmを越え、捲縮率
が30%よりも高くても紡績性が悪くなる。
【0026】また、乾強度については、本発明の複合繊
維を用いた繊維構造体(織物等)の耐久性の観点から
0.5cN/dtex以上10.0cN/dtex以下
であることが必要で、好ましくは2.0cN/dtex
以上3.0cN/dtex以下である。乾強度が0.5
cN/dtexよりも低いと、破裂強度が低くなるので
好ましくない。逆に乾強度が10cN/dtexを超え
ると繊維の風合いが硬くなるので好ましくない。
【0027】本発明の複合繊維において、乾伸度は紡績
性の観点から5%以上100%以下であることが必要で
あり、好ましくは20%以上50%以下である。乾伸度
が5%より低いと、繊維の風合いが硬くなるので好まし
くない。100%よりも高いと繊維構造体(織物等)に
した場合の絡合強度が低下するので好ましくない。
【0028】本発明における繊維形態としては低コス
ト、加工のしやすさという点から短繊維(ステープル)
が望ましく、その繊維長については紡績性の観点から考
慮して20mm以上115mm以下であれば好ましく、
30mm以上70mm以下であればより好ましい。
【0029】本発明の複合繊維の繊維断面形状について
は、芯鞘構造であれば良く、特に限定されるものではな
いが、同心円状の芯鞘型複合繊維が代表的であり生産性
(紡糸性)が好ましい。しかしながら、芯鞘が相対的に
偏芯しているものや、全体が丸型・四角形・三角形・五
角形以上の多角形、十字型、雲形等のいずれの形でもよ
い。また、芯が、単一の芯ではなく多芯状であってもよ
い。
【0030】芯鞘型複合繊維における「芯成分(A)/
鞘成分(B)」の複合割合(重量%:wt%)は
「(A)20/(B)80〜(A)80/(B)20」
の範囲が好ましく、「(A)40/(B)60〜(A)
60/(B)40」の範囲であれば精度良く(紡糸生産
性が良好で)、良好な軽量感または保温性を得られると
いう観点からより好ましいものである。
【0031】なお、本発明では芯成分をアルカリによっ
て溶出除去するため、芯成分の複合割合とは該繊維の中
空率を意味する。
【0032】A成分の重量%=繊維単糸の中空率 また、本発明で言う中空率とは、該繊維の断面を顕微鏡
付きカメラで約400倍の倍率で撮影し、でき上がった
写真から下記式にて算出された値を言う。
【0033】繊維単糸の中空率(%)=中空部分の面積
/繊維断面全体の面積×100 つまり、A成分の割合(重量%)が高いほど中空率は高
くなり、該繊維からなる繊維構造体(織物等)の保温性
や軽量感が良好なものとなる。したがって、保温性のわ
りに高度な軽量感と低目付感が実現できる。
【0034】本発明で言う繊維構造体には、糸や、織物
や編物、不織布、フェルト、植毛加工品(立毛品)、毛
皮ライクなパイル立毛品、モケット(カーシート)等が
挙げられるが、軽量感・保温性を兼ね備えた素材である
ため、織物が好ましい。
【0035】また、用途としては、衣料用途や資材用途
に好適に用いられ、本発明で言う衣料用途とは身体に着
用する布地製品を指し、冬物・春物・秋物のカジュアル
衣料(防寒着を含む)や、アウトドアー衣料(キャンプ
衣料、登山服等)・スポーツ衣料(スキー、スノーボー
ド等のウインタースポーツ衣料、バイクのライダーウェ
ア等のモータースポーツ衣料等)、帽子生地、スラック
ス(靴下)に、より好適に用いられる。また本発明で言
う資材用途とは衣料用途以外で、全ての物を作る素とな
り得る材料を指し、具体的には鞄地(旅行鞄、スポーツ
バック、手提げ袋、通学鞄、通勤鞄、ビジネス鞄等)、
寝装具(布団カバー、枕カバー、シーツ等)、タオル
(ハンドタオル、ハンカチ、バスタオル等)、椅子・ソ
ファーカバー、椅子・ソファー表層材、マスク等に好ま
しく用いることができる。この中でも衣料用途に関して
は軽量感・保温性に優れている点からスキー、スノーボ
ード等のウインタースポーツ衣料用途がより好ましい。
一方、資材用途に関しては、持ったときの感触(風合
い)が良好で、軽量感に優れている観点から鞄地用途が
より好ましい。
【0036】本発明における複合繊維の繊維形態(種
類)について特に限定はされないが、短繊維(ステープ
ル)や長繊維(フィラメント)が好ましく、その中でも
捲縮による優れたボリューム感と風合が得られるという
特質から短繊維(ステープル)がより好ましい。
【0037】次に、本発明にかかる繊維の製造方法につ
いて説明する。
【0038】一般的な方法で、紡糸、延伸更には切断し
芯鞘型複合繊維を短繊維(ステープル)として得ること
が好ましい。
【0039】次に、該繊維からなる繊維構造体(織物
等)の製造方法について詳細に説明する。本発明では、
その製造方法について特に限定はされないが、ポリエス
テルとポリヘキサメチレンアジパミドポリマーの芯鞘型
複合繊維からなる紡績糸を使用して布帛を形成した後、
染色加工にてアルカリ処理を行い、芯部のポリエステル
を溶出して中空構造を形成することにより、単位面積あ
たりの繊維構造体(織物等)の重さ(目付)が軽く、か
つ中空部に熱伝導率の小さい空気層が存在することによ
って、軽量かつ保温性に優れた繊維構造体(織物等)を
得ることが可能である観点から、該製造方法が好まし
い。
【0040】本発明に係る繊維構造体(織物等)におい
て、目付は300g/m2 以下でかつ保温性を示すCL
O値が0.75以上であることが好ましい。
【0041】一般に、衣服の保温性が高いときの要因フ
ァクターとして考えられることは、その素材自体の熱伝
導率が低いこと、その繊維構造体(織物等)の厚みが大
きいこと、すなわち、空気層を多く含むこと等が挙げら
れる。従って、保温性を高めるためには目付が大きくな
るように繊維構造体(織物等)設計をすればよい。しか
し、それでは繊維構造体としての密度が高いものとな
り、軽量感が損なわれる。更に織物重量の他にも各種の
副素材の重量が加わり最終製品としてかなりの重量とな
る。従って生地の目付としては300g/m2 以下とす
ることが好ましく、更に好ましくは260g/m2 以下
である。
【0042】本発明に係る繊維構造体(織物等)は、か
かる軽量感を実現した上で、保温性を表すCLO値が
0.75以上との高い値を呈し得るのであり、該CLO
値が0.75以上は、冬季下(15℃以下)での軽い運
動時に必要な保温性能を満足するものである。
【0043】本発明における紡績糸とは、芯鞘型複合繊
維の短繊維(ステープル)を少なくとも用いて紡績して
得られる紡績糸を言う。紡績工程において、上述の繊維
を100%で使用することが本発明の本来のねらいであ
り、保温性や軽量感などの特性を十分に発揮する上でよ
り効果的であるが、本発明にかかる繊維構造体(織物
等)は、該繊維100%使いのものに限られず、他の繊
維との混紡品やあるいはフィラメント糸との精紡交撚
(いわゆる長短複合紡績糸)品であっても良く、いずれ
にあっても従来技術では得られない特徴ある繊維構造体
(織物等の)商品を創出できるものである。
【0044】この際に、染色加工工程でアルカリ処理に
よる溶出を行うため、アルカリに対して耐久性のある素
材との組合せを考慮することが実際的である。その例と
して、ポリアミド繊維(ナイロン6、ナイロン4/6、
ナイロン6/10、ナイロン11、ナイロン12)、ア
クリル繊維、ポリオレフィン繊維等が挙げられるが、ア
ルカリに対して耐久性のある素材であればよく、特に限
定はされない。
【0045】製織工程は、通常のスパン繊維構造体(織
物等)と同様の工程で行えばよい。使用できる織機は特
に限定されず、エアジェット織機、レピア織機などの革
新織機にも十分対応が可能である。
【0046】芯部の変性ポリエステル等のポリエステル
成分を溶出除去するためのアルカリ処理には薬剤として
苛性アルカリ、例えば、苛性ソーダ、苛性カリ等を用い
ればよい。その処理条件は、芯鞘複合比率や布帛を構成
する該繊維の混用比率等によっても相違するが、一般的
には苛性アルカリ濃度は10〜80g/リットル、処理
温度は80〜120℃の条件を用いればよい。染色はポ
リアミド染着のための通常用いられる染料および染色条
件を採用すればよい。
【0047】本発明により得られる構造体(織物等)
は、その軽量感・保温性を兼ね備えた特徴から、冬季の
スポーツ衣料用途や鞄地等の資材用途等に好適に用いら
れ、その機能特性を十分に発揮できるものである。
【0048】すなわち、該用途に使用される繊維構造体
(織物等)について、従来は高密度、太番手で繊維構造
体(織物等)に形成されることから必然的に高重量とな
り、一般的には400g/m2 前後の目付が普通であっ
たものであるが、該重量感は快適性を著しく損ねる結果
となっていた。かかる問題が、本発明によれば、例えば
40%のポリエステル成分の複合比率にした場合には、
そのまま40%程度の軽量化を実現できことになる。
【0049】更に、これが使用されるシーンを想定すれ
ば、保温性も必要不可欠なものであり、軽量感と保温性
との両方をも有する繊維構造体(織物等)を提供でき
る。
【0050】
【実施例】以下、本発明を実施例により更に説明する。
【0051】表1に実施例、比較例の結果を示す。また
表1に示す条件および特性は、以下の方法により求め
た。
【0052】なお、表1においては、ポリマー種類名を
下記の表現として表している。
【0053】A.ポリエステルポリマー:PET B.ポリヘキサメチレンアジパミドポリマー:N66
(ナイロン66) (1)芯成分割合 芯成分割合を下記式で表す。
【0054】芯成分割合(wt%)=ポリエステルポリ
マーの重量/(ポリエステルポリマーの重量+ポリヘキ
サメチレンアジパミドポリマーの重量)×100 (2)鞘成分割合 鞘成分割合を下記式で表す。
【0055】鞘成分割合(wt%)=ポリヘキサメチレ
ンアジパミドポリマーの重量/(ポリエステルポリマー
の重量+ポリヘキサメチレンアジパミドポリマーの重
量)×100 <繊維の物性> (1)捲縮数:短繊維弾性試験機を用い、試料に単糸繊
度(デシテックス)当たり0.18mNの初荷重を与え
たときの繊維長さと掴み間隔内の山数を読み取り、25
mmあたりの捲縮数(山数)に換算して求めた。
【0056】 捲縮数(山/25mm)=(Cn×25)/(2×L) Cn:捲縮の山と谷の数の平均値(山) L :初荷重を掛けたときの繊維長の平均値(mm) (2)捲縮率 単糸繊度(デシテックス)当たり13.23mNの規定
荷重を与えて、捲縮が伸ばされたときの繊維長さを測
り、0.18mNの初荷重を与えたときの繊維の長さと
の差を規定荷重を掛けたときの長さに対する百分率で求
めた。
【0057】 捲縮率(%)=(L2−L1)/L2×100 L1:初荷重2mgを掛けたときの繊維長さの平均値
(mm) L2:規定荷重150mgを掛けたときの繊維長さの平
均値(mm) (3)乾強度および乾伸度 短繊維(ステープル)を滑沢紙に貼り付け、マッケンジ
ー短繊維引張試験機または自動引張試験機を用いて引張
速度20g/分のスピードで、短繊維(ステープル)を
引張り、繊維が切断したときの強力および伸度を求め
た。
【0058】なお、前提条件としてこのときの引っ張り
速度は20g/分とした。
【0059】 乾強度(cN/dtex)=0.9807×S/d 注)dtex:デシテックス S:標準状態(室温20℃、湿度65%RH)における
切断強力の平均値(g) d:試料の単糸繊度(dtex) 乾伸度(%)=(E2−E1)/(L+E1)×100 L :繊維単糸の掴み間隔(mm) E1 :緩み長平均値(mm) E2 :標準状態(室温20℃、湿度65%RH)にお
ける切断伸び平均値(mm) (4)繊維長 グリセリン塗布したスケール板上で繊維の捲縮がなくな
る程度に伸ばして繊維の長さを標準状態(室温20℃、
湿度65%RH)下で測り、100本の平均値で平均繊
維長を求めた。
【0060】平均繊維長(mm)=L/100 L:100本の短繊維長の和 以下、生産性・繊維構造体の性能について下記に表す基
準で評価を実施した。 <評価基準> ◎:著しく良い ○:良い △:悪い ×:著しく悪い <繊維・繊維構造体の生産性> (5)紡糸性(繊維の生産性) 複合口金で紡出せしめた糸条を9℃±2℃の範囲内で冷
却器で均一に冷却し、次いで800〜1500m/分の
速度で引取って未延伸糸とする紡糸工程において、生産
量1tに対して口金直下での単糸切れの回数を測定し
た。
【0061】なお、単糸切れとは紡糸生産におけるトラ
ブルであり、これによってマシン正常復帰まで屑が発生
する。従って、糸切れ回数が増加することは、生産収率
の低下を意味するものである。
【0062】 ◎:0.5回/t未満 ○:0.5回/t以上1.0回/t未満 △:1.0回/t以上5.0回/t未満 ×:5.0回/t以上 (6)紡績性(繊維構造体の生産性) 複合繊維の紡績工程中の練条工程における単位生産量
(t)当りにロ−ラ−に巻付いた回数を表1に示す基準
で判定した。なお、計算式と判定基準は以下の通りであ
る。
【0063】単位生産量(t)当りのローラー巻付回数
=ローラー巻付回数(回)/複合繊維の生産量(t) ◎:1.5回/t未満 ○:1.5回/t以上4.0回/t未満 △:4.0回/t以上8.0回/t未満 ×:8.0回/t以上 <繊維構造体の性能> (7)軽量感(目付) 本発明の繊維構造体から25cm×25cmの織物(布
帛試験片)を作成し、平衡水分率以下となるまで十分に
乾燥後、20℃、65%RHの室内に24時間放置し、
水分平衡とした後に、その試験片の重量を測定した。得
られた試験片の重量を1m2 あたりに換算し、布帛片2
枚について平均値で表した。
【0064】 ◎:200g/m2 未満 ○:200g/m2 以上、260g/m2 未満 △:260g/m2 以上、300g/m2 未満 ×:300g/m2 以上 (8)破裂強度試験 破裂強度試験とは編み地の強度を評価するものであり、
ミューレン形法でJIS L1018(A法)に準じた
方法で試験を実施し、以下の4段階で表したものであ
る。
【0065】 ◎:5.0kg/cm2 以上 ○:4.0kg/cm2 以上5.0kg/cm2 未満 △:3.0kg/cm2 以上4.0kg/cm2 未満 ×:3.0kg/cm2 未満 (9)風合い 全ての実施例・比較例で得られた織物を10人の判定者
が手の平での触感により官能判定したものであり、以下
の4段階で表したものである。
【0066】◎:10人全員が風合い良好と判定したも
の。
【0067】○:7人〜9人が良好と判定したもの。
【0068】△:4人〜6人が良好と判定したもの。
【0069】×:3人以下が良好と判定したもの。 (10)CLO値(保温性) 50cm×50cm試験片を2枚採取する。ASTM保
温性試験器を用い、熱板温度40℃の熱板に試験片を取
り付けて60分間放置する。測定時間放置後の積算電力
計の通電時間(秒)、および測定器の外気温度(℃)を
読みとる。
【0070】試験片を取り付けない状態積算電力計の通
電時間(秒)を読みとる。上記で求めた試験片を取り付
けないときの通電時間(秒)、試験片を取り付けたとき
の通電時間(秒)および外気温度から次式により、CL
O値を求め2枚の平均値で表す。 保温率(%)=(a−b)/a×100 CLO値={(6.54×(40−t)}/b/0.1
8 ここで、a:試験片を取り付けないときの通電時間(s
ec/Hr) b:試験片を取り付けたときの通電時間(sec/H
r) t:測定器の示す外気温度(℃) CLO値での保温性判定基準 ◎:0.80以上 ○:0.75以上、0.80未満 △:0.50以上、0.75未満 ×:0.50未満 なお、CLO値についてはその数値が高いほど、暖かく
保温性に優れているものである。 <判定基準>以上の実施例の項目に関して判定基準とし
て、以下の4段階で表示した。
【0071】◎:著しく良い。
【0072】○:良い。
【0073】△:悪い。
【0074】×:著しく悪い。実施例1 芯成分に5−ナトリウムスルフォン酸ジメチルを8wt
%共重合したポリエステル(PET)を用い、一方の鞘
成分にはラクタムを1.0wt%共重合したポリヘキサ
メチレンアジパミドポリマー(N66)を用いて「芯成
分(A)/鞘成分(B)」の複合割合(重量%)を45
%(A)/55%(B)として紡糸速度を1300m/
分で紡糸した後、ジメチルシリコン乳化物が油剤成分中
に5%含有し、更にパフィンワックス乳化物も油剤成分
中に10wt%含有された油剤を延伸前と延伸後に合計
2回付与し、3.0倍で通常の延伸を行い、捲縮付与
後、カットして下記(1)〜(8)の繊維物性(短繊維
の品質)を有する芯鞘型複合繊維を得た。
【0075】(1)繊 度・・・1.7dtex (2)捲縮数・・・18山/25mm (3)捲縮率・・・18% (4)乾強度・・・2.5cN/dtex (5)乾伸度・・・40% (6)繊維長・・・38mm (7)繊維重量に対するシリコン成分の付着率:0.0
3wt% (8)繊維重量に対するワックス成分の付着率:0.0
6wt% 続いて、該繊維(短繊維)100%を用いて、通常の紡
績方式で0.76番手の粗糸を作り、精紡ドラフト約2
1倍、撚数16.1t/インチ、綿番手16sの複合紡
績糸を製造した。
【0076】この紡績糸を経糸と緯糸に使用して織上密
度を縦101本/インチ×横82本/インチ、織物組織
を斜子織とし、エアジェットルームにて製織した。
【0077】こうして得られた織物を染色加工におい
て、精錬、リラックス後に苛性ソーダ水溶液50g/リ
ットルの濃度とし、処理温度110℃、処理時間60
分、液流染色機を用いて芯のポリエステル成分の溶出除
去を行い、該織物の構成繊維を中空糸とした。
【0078】引き続き、これを100℃の熱を掛け45
分間染色し、仕上げ後の密度が縦115本/インチ×横
94本/インチの織物を得た。 実施例2 芯成分に5−ナトリウムスルフォン酸ジメチルを12w
t%共重合したポリエステル(PET)を用いた以外
は、実施例1と同様な方法および条件で高次加工を行っ
て織物を作成した。 実施例3 芯成分に5−ナトリウムスルフォン酸ジメチルを2wt
%共重合したポリエステル(PET)を用いた以外は実
施例1と同様な方法および条件で高次加工を行って織物
を作成した。 実施例4 繊維重量に対するシリコン成分の付着率を0.015w
t%とした以外は実施例1と同様な方法および条件で高
次加工を行って織物を作成した。 実施例5 繊維重量に対するシリコン成分の付着率を0.90wt
%とした以外は実施例1と同様な方法および条件で高次
加工を行って織物を作成した。 実施例6 鞘成分にラクタムを4wt%共重合したポリヘキサメチ
レンアジパミドポリマー(N66)を用いた以外は実施
例1と同様な方法および条件で紡績、製織、染色工程を
行って織物を作成した。 実施例7 鞘成分にラクタムを0.05wt%共重合したポリヘキ
サメチレンアジパミドポリマー(N66)を用いた以外
は実施例1と同様な方法および条件で紡績、製織、染色
工程を行って織物を作成した。 実施例8 芯鞘型複合繊維の単糸繊度を9.9T(デシテックス)
とした以外は実施例1と同様な方法および条件で高次加
工を行って織物を作成した。 実施例9 芯鞘型複合繊維の単糸繊度を1.1Tとした以外は実施
例1と同様な方法および条件で高次加工を行って織物を
作成した。 実施例10 芯鞘型複合繊維の捲縮数を22.0山/25mm、捲縮
率を22.0%とした以外は実施例1と同様な方法およ
び条件で、高次加工を行って織物を作成した。 実施例11 芯鞘型複合繊維の捲縮数8.0山/25mm、捲縮率を
8.0%とした以外は実施例1と同様な方法および条件
で高次加工を行って織物を作成した。 実施例12 芯鞘型複合繊維の乾強度を5.0cN/dtexとした
以外は実施例1と同様な方法および条件で高次加工を行
って織物を作成した。 実施例13 芯鞘型複合繊維の乾強度を1.0cN/dtexとした
以外は実施例1と同様な方法および条件で高次加工を行
って織物を作成した。 実施例14 芯鞘型複合繊維の乾伸度を70%とした以外は実施例1
と同様な方法および条件で高次加工を行って織物を作成
した。 実施例15 芯鞘型複合繊維の乾伸度を10%とした以外は実施例1
と同様な方法および条件で高次加工を行って織物を作成
した。 実施例16 芯鞘型複合繊維の繊維長を80mmとした以外は実施例
1と同様な方法および条件で高次加工を行って織物を作
成した。 実施例17 芯鞘型複合繊維の繊維長を25mmとした以外は実施例
1と同様な方法および条件で高次加工を行って織物を作
成した。 実施例18 芯鞘型複合繊維の芯鞘比率(芯成分:鞘成分の割合)を
30%:70%とした以外は実施例1と同様な方法およ
び条件で高次加工を行って織物を作成した。 実施例19 芯鞘型複合繊維の芯鞘比率(芯成分:鞘成分の割合)を
70%:30%とした以外は実施例1と同様な方法およ
び条件で高次加工を行って織物を作成した。 比較例1 芯成分に5−ナトリウムスルフォン酸ジメチルを共重合
していない(共重合率:0wt%)ポリエステル(PE
T)を用いた以外は実施例1と同様な方法および条件で
高次加工を行って織物を作成した。 比較例2 繊維重量に対するシリコン成分の付着率を0.005w
t%とした以外は実施例1と同様な方法および条件で高
次加工を行って織物を作成した。 比較例3 繊維重量に対するシリコン成分の付着率を1.5wt%
とした以外は実施例1と同様な方法および条件で高次加
工を行って織物を作成した。 比較例4 鞘成分にラクタムを15wt%共重合したポリヘキサメ
チレンアジパミドポリマー(N66)を用いた以外は実
施例1と同様な方法および条件で紡績、製織、染色工程
を行って布帛を作成した。 比較例5 鞘成分にラクタムを0.005wt%共重合したポリヘ
キサメチレンアジパミドポリマー(N66)を用いた以
外は実施例1と同様な方法および条件で紡績、製織、染
色工程を行って布帛を作成した。 比較例6 芯鞘型複合繊維の芯鞘比率(芯成分:鞘成分の割合)を
10%:90%とした以外は実施例1と同様な方法およ
び条件で高次加工を行って織物を作成した。 比較例7 芯鞘型複合繊維の芯鞘比率(芯成分:鞘成分の割合)を
90%:10%とした以外は実施例1と同様な方法およ
び条件で高次加工を行って織物を作成した。 比較例8 芯鞘型複合繊維の単糸繊度を15.5Tとした以外は実
施例1と同様な方法および条件で高次加工を行って織物
を作成した。 比較例9 芯鞘型複合繊維の単糸繊度を0.7Tとした以外は実施
例1と同様な方法および条件で高次加工を行って織物を
作成した。 比較例10 芯鞘型複合繊維の捲縮数を30.0山/25mm、捲縮
率を35.0%とした以外は実施例1と同様な方法およ
び条件で高次加工を行って織物を作成した。 比較例11 芯鞘型複合繊維の捲縮数を4.0山/25mm、捲縮率
を4.0%とした以外は実施例1と同様な方法および条
件で高次加工を行って織物を作成した。 比較例12 芯鞘型複合繊維の乾強度を14.0cN/dtexとし
た以外は実施例1と同様な方法および条件で高次加工を
行って織物を作成した。 比較例13 芯鞘型複合繊維の乾強度を0.1cN/dtexとした
以外は実施例1と同様な方法および条件で高次加工を行
って織物を作成した。 比較例14 芯鞘型複合繊維の乾伸度を120%とした以外は実施例
1と同様な方法および条件で高次加工を行って織物を作
成した。 比較例15 芯鞘型複合繊維の乾伸度を3%とした以外は実施例1と
同様な方法および条件で高次加工を行って織物を作成し
た。 比較例16 芯鞘型複合繊維の繊維長を130mmとした以外は実施
例1と同様な方法および条件で高次加工を行って織物を
作成した。 比較例17 芯鞘型複合繊維の繊維長を10mmとした以外は実施例
1と同様な方法および条件で高次加工を行って織物を作
成した。 比較例18 ポリヘキサメチレンアジパミドポリマー(N66)を1
00%用いて、すなわち、芯鞘複合とはせず、実施例1
と同様な方法で織物を行って、該織物を染色加工におい
て精錬、リラックス後、通常のナイロン染色条件にて加
工し織物を得た。 比較例19 ポリヘキサメチレンアジパミドポリマー(N66)を1
00%用いて、すなわち、芯鞘複合とはせず、実施例1
と同様な方法で織物を行って、該織物を染色加工におい
て精錬、リラックス後、通常のナイロン染色条件にて加
工し織物を得た。 比較例20 5−ナトリウムスルフォン酸ジメチルが共重合されてい
ないポリエステル(PET)を100%用いて、すなわ
ち芯、鞘複合とはせず、実施例1と同様な方法で織物を
行って、該織物を染色加工において精錬、リラックス
後、通常のナイロン染色条件にて加工し織物を得た。 比較例21 ポリヘキサメチレンアジパミドポリマー(N66)を1
00%用いて、すなわち、中空構造を有した口金(ノズ
ル)を用いて直接的に中空繊維として紡糸し、実施例1
と同様な方法で織物を行って、該織物を染色加工におい
て精錬、リラックス後、通常のナイロン染色条件にて加
工し織物を得た。 比較例22 ポリヘキサメチレンアジパミドポリマー(N66)を1
00%用いて、すなわち、中空構造を有した口金(ノズ
ル)を用いて直接的に中空繊維として紡糸し、実施例1
と同様な方法で織物を行って、該織物を染色加工におい
て精錬、リラックス後、通常のナイロン染色条件にて加
工し織物を得た。 比較例23 5−ナトリウムスルフォン酸ジメチルが共重合されてい
ないポリエステル(PET)を100%用いて、すなわ
ち、中空断面糸の紡糸可能な構造を有した口金(ノズ
ル)を用いて直接的に中空繊維として紡糸し、実施例1
と同様な方法で織物を行って、該織物を染色加工におい
て精錬、リラックス後、通常のナイロン染色条件にて加
工し織物を得た。
【0079】以上の実施例、比較例の条件等を表1、表
2に示した。また、それぞれについて評価した結果を表
3、表4に示した。
【0080】
【表1】
【0081】
【表2】
【0082】
【表3】
【0083】
【表4】
【0084】
【発明の効果】本発明によれば、従来技術では得ること
が困難であった、快適性に優れ、かつ保温性と軽量感に
優れていてソフト(心地良い)でしっとり感のある独特
な風合を有する芯鞘型複合繊維および該繊維からなる繊
維構造体(織物、立毛、パイル織物、織物等)を得るこ
とができ、該繊維構造体は、衣料用途(防寒衣料等)、
各種の資材用途(鞄地等)などに好適に用いられ得るも
のである。
【0085】本発明の方法は、上記の芯鞘型複合繊維と
繊維構造体を製造するに際して、良好な紡糸性、高次加
工性(紡績性等)を実現し、高い生産収率性と生産性に
優れたものである。
フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) D06M 15/643 D06M 101:32 // D06M 101:32 9/02 C Fターム(参考) 4L031 AA18 AB06 AB10 AB32 BA11 CA01 DA00 DA01 4L033 AA07 AA08 AB01 AC09 AC15 CA12 CA59 CA60 CA64 4L041 AA07 AA19 BA02 BA05 BA21 BA49 BA59 BC20 BD14 BD20 CA10 CA29 DD01 DD11 DD14 EE08 EE15 4L048 AA20 AA24 AA28 AB01 AC19 BA01 BA02 CA10 CA15 DA00 DA01 DA24 EA01 EB04 EB05

Claims (11)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芯成分Aが共重合成分を共重合されてなる
    ポリエステルポリマーで、かつ、鞘成分Bがラクタムを
    0.01wt%以上10wt%以下共重合したポリヘキ
    サメチレンアジパミドポリマーであって、少なくとも2
    成分からなる芯鞘型複合繊維であって、下記の繊維物性
    (1)〜(5)を満足し、該繊維にはシリコン系油剤が
    シリコン成分として繊維重量に対して0.01wt%以
    上1.0wt%以下の範囲で付着していることを特徴と
    する芯鞘型複合繊維。 (1)繊 度・・・0.9dtex以上11.0dte
    x (2)捲縮数・・・5山/25mm以上25山/25m
    m以下 (3)捲縮率・・・5%以上30%以下 (4)乾強度・・・0.5cN/dtex以上10.0
    cN/dtex以下 (5)乾伸度・・・5%以上100%以下
  2. 【請求項2】芯成分Aであるポリエステルポリマーの共
    重合成分が0.5wt%以上20.0wt%以下の範囲
    であることを特徴とする請求項1に記載の芯鞘型複合繊
    維。
  3. 【請求項3】芯鞘型複合繊維における芯成分(A)/鞘
    成分(B)の複合割合(重量%)が(A)20/(B)
    80〜(A)80/(B)20の範囲であることを特徴
    とする請求項1に記載の芯鞘型複合繊維。
  4. 【請求項4】芯鞘型複合繊維の繊維長が20mm以上1
    15mm以下の短繊維であることを特徴とする請求項1
    に記載の芯鞘型複合繊維。
  5. 【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載の芯鞘型複
    合繊維が用いられて、しかる後、該芯鞘型複合繊維から
    芯成分Aが除去された繊維から構成されていることを特
    徴とする繊維構造体。
  6. 【請求項6】請求項1〜4のいずれかに記載の芯鞘型複
    合繊維が100%用いられ、しかる後、該芯鞘型複合繊
    維から芯成分Aが除去された繊維から構成されていて、
    かつ目付が300g/m2 以下で保温性を示すCLO値
    が0.75以上であることを特徴とするナイロン織物。
  7. 【請求項7】衣料用途に使用されるものであることを特
    徴とする請求項5に記載の繊維構造体。
  8. 【請求項8】資材用途に使用されるものであることを特
    徴とする請求項5に記載の繊維構造体。
  9. 【請求項9】請求項1〜4のいずれかに記載の芯鞘型複
    合繊維を用いて繊維構造体を形成し、しかる後、該芯鞘
    型複合繊維中の芯成分(A)を溶液等により溶出し該繊
    維を中空化せしめ、繊維構造体を得ることを特徴とする
    繊維構造体の製造方法。
  10. 【請求項10】請求項1〜4のいずれかに記載の芯鞘型
    複合繊維中の芯成分(A)をアルカリ溶液により溶出せ
    しめ、繊維構造体を得ることを特徴とする繊維構造体の
    製造方法。
  11. 【請求項11】請求項1〜4のいずれかに記載の芯鞘型
    複合繊維を用いて繊維構造体を形成し、しかる後、該芯
    鞘型複合繊維中の芯成分(A)をアルカリ溶液により溶
    出せしめ、繊維構造体を得ることを特徴とする繊維構造
    体の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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