JP2006263447A - 移動用シート及び移動用シートセット - Google Patents

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Abstract

【課題】被介護者を移動させる際の介護者の労力を低減させる移動用シートを提供する。
【解決手段】シート本体が円筒状または重ね合わされたシート状部材からなり、当該シート状部材がタテ糸、ヨコ糸共に総繊度150デシテックス以下の主としてポリエステルまたはナイロン長繊維織物に付着量0.5〜2.0重量%の範囲にあるシリコン系または/およびフッ素系樹脂を固着し、シート本体を構成したことを特徴とする移動用シート。
【選択図】図1

Description

本発明は、自宅や施設、病院等において寝たきりの被介護者を介護する人が、被介護者の着替えやシーツ、敷き布団などの交換の際にベッド上で被介護者を移動、方向転換させたり、また被介護者の検査や診察のために、ベッド等からストレッチャへ、ストレッチャから手術台や検査台等へ、あるいはその逆方向に被介護者を移動させるために用いる移動用シート及び移動用シートセットに関するものである。
従来、自宅や施設、病院等で寝たきりの被介護者の衣服の着替えやシーツ交換、褥瘡防止のための体位変更や、検査や治療のためのベッドまたはストレッチャへの移動をする時など、人手により被介護者を抱きかかえたり、引きずったり、持ち上げたりして被介護者を移動させていた。
このような被介護者の移動にはかなりの力を要し、特に体重の重い被介護者を持ち上げる場合は更に、複数の人手を必要とするものであった。
さらに、昨今では自宅で寝たきりの老人の介護を行う介護者には、自身も老人である場合やヘルパーの人が力の弱い女性である場合も多く、しかも手助けしてくれる人手を集めることができずに一人で行わなくてはならないことが多々ある。従って、病床の被介護者を移動させることは介護者にとって多大な負担をかけるものであった。
また、被介護者の側も無理な体勢で移動させられたり、部分的に引っ張られたりすることがあり移動するにも苦痛を伴うものであった。
このような状況の中、介護者や被介護者の負担・苦痛を和らげ、被介護者の移動が容易な移動用の補助具として各種織編物やフィルムを用いた移動用シートが市販されるようになった。
従来技術として、各種の被介護者を移動させることを目的とした移動用シートが提案されている。たとえば、ポリエチレン等の薄いフィルムを重ね、滑り合わせる事により被介護者の移動、回動を容易にしたもの(特許文献1参照)、繊維素材あるいは布帛からなる表面シート材と裏面シート材との間にクッション材、あるいは芯材を設け、クッション性あるいは張りおよび腰を付与したもの(特許文献2、3参照)、硬質材料をボード状に形成し、硬さを付与することで、被介護者−ベッド間など、敷設部への挿入および被介護者の移動あるいは移乗を容易にしたもの(特許文献4参照)等が提案されている。
特開2001−17471号公報 特開平8−257074号公報 特開平10−179642号公報 特開2004−229882号公報
しかしながら、特許文献1のフィルムを重ねた移動用シートは、敷設部に挿入するには、硬さに乏しいため、敷設部接触時、容易に屈曲し、挿入しづらいという問題に加え、長期に渡り寝たきりの被介護者の移動に使用するには、しわになりやすく、滑り性が悪化しやすいという問題があった。
さらに、特許文献2、3の表面シート材と裏面シート材との間にクッション材、あるいは芯材を設けた移動用シートは、訪問介護等において折り畳んで携帯するには、クッション材あるいは芯材が嵩高となり、携帯し難いという問題があった。
またさらに特許文献4の硬質材料をボード状に形成した移動用シートは、被介護者−ベッド間などの敷設部へ挿入した際、シートが尻部の骨に当たり苦痛を生じるという問題に加え、被介護者−シート間を滑らせる際に両者間で摩擦が生じるため滑り性が悪いという問題があった。
またさらに、特許文献1〜4の移動用シートは、長時間にわたって使用していると、発汗によりムレやベタツキなどを生じ易く、さらに数日間継続的に使用を続けると、繊維に付着、吸収した汗中に生存する細菌の繁殖により汗臭が発生し、衛生上好ましくないという問題があった。
このように従来の移動用シートはいずれも操作が容易であるものの、滑り性および制菌性、挿入性、携帯性、移動性において十分な性能を満足しうるものではなかった。
そこで、本発明の目的はかかる従来技術の欠点を改良し、家庭や病院で手軽に使用でき、かつ、今まで以上に高い滑り性を有し、制菌性、挿入性、携帯性、移動性を向上させた移動用シートを提供することにある。
前記目的を達成するため、本発明の移動用シートは下記の構成から成る。
すなわち、本発明の移動用シートの一態様は、シート本体が円筒状または重ね合わされたシート状部材からなり、当該シート状部材がタテ糸、ヨコ糸共に総繊度150デシテックス以下の主としてポリエステルまたはナイロン長繊維織物であって、付着量0.5〜2.0重量%の範囲でシリコン系または/およびフッ素系樹脂を固着した織物であることを特徴とするものである。この移動用シートにおいては、好ましくは該シート状部材に付着量0.1〜1.0重量%の範囲で抗菌剤を固着した後、付着量0.5〜2.0重量%の範囲でシリコン系または/およびフッ素系樹脂を固着したものがよい。さらに好ましくは該シート状部材の厚さが0.16mm以下であり、且つタテ、ヨコ両方向の剛軟度が共に20〜100mmの範囲であるものがよい。さらに好ましくはシート本体1と単独に、防滑性素材にてシート本体を収納するための収納袋を設けたものがよい。またさらに好ましくは該シート状部材の相対するシート面の動摩擦係数が0.1〜0.3の範囲であるものがよい。また、さらに好ましくは相対するシート面を2組以上有するものがよい。
本発明の移動用シートにより、自宅や病院等において寝たきりの被介護者を介護する人が、シートを敷設部に挿入しやすく、被介護者を動かす際、わずかな労力で移動させることができ、かつ持ち運びが容易で家庭や病院で手軽に使用できる移動用シートを得ることができる。
以下、図面に示す一態様を用いて、本発明の移動用シートを詳細に説明する。
図1は、本発明の移動用シートの一態様を示す斜視図であり、図2は、本発明の移動用シートの他の態様の例を示す斜視図である。図3は、本発明の移動用シートのさらに他の態様の例を示す斜視図である。また、図4は、図1に示した移動用シートのシート本体1の部分拡大図である。また、図5は本発明の移動用シートの使用例を示す使用図である。また、図6は本発明の移動用シートセットの収納袋の一態様を示す斜視図である。
本発明の移動用シートは、被介護者を動かす際に被介護者とベッド等との間で発生する摩擦抵抗による被介護者自身の人体への負担・苦痛や介護者の労力を低下させるため、被介護者とベッド等との間に配置する。移動用シートのシート状部材同士を接触させ、滑らせるために相対するシート面を構成する必要があるため、シート状部材を重ね合わせた、あるいは円筒状の構造物とする。そのためには、例えば、図1に示すようにシート状部材2を重ね合わせて構成されるシート本体1を接合部6で接合した構造、あるいは図2に示すように一体のシート状部材2をS字型に折り重ねて構成されるシート本体1を接合部6で接合した構造、図3に示すように一体のシート状部材2を円筒状に形成した構造を有する。
ここで、シート本体1における接合部6を接合する場合、その接合方法としては、縫糸を用いたミシン縫製、接着テープを用いた接合、高周波ウエルダーや超音波ミシンなどによる溶着など、接合方法は通常用いられる方法でなんら差し支えない。
また、シート本体の接合部6は折り返しなどにより内部に隠された態様が好ましい。接合部6を内部に隠すことによりシート本体1を滑らせる際、キャタピラ機構による運動、すなわち回動運動を行う場合、シート外側が平坦なため接合部6とベッドあるいは人体8との引掛りがなく、回動が容易である。
なお、図4は図1で示したシート本体1を部分的に拡大し、単独のシート状部材2に展開し、接合部6を省略したものであり、本発明において相対するシート面とは、シート状部材2同士の各接触面をいい、具体的には図1〜4における符号3の部分を指す。
本発明の移動用シートを構成する要素として、シート本体1が円筒状または重ね合わされたシート状部材からなり、当該シート状部材2が主としてタテ糸、ヨコ糸共に総繊度150デシテックス以下のポリエステルまたはナイロン長繊維織物であって、付着量が全織物重量に対して0.5〜2.0重量%の範囲でシリコン系または/およびフッ素系樹脂を固着し織物であるものである。
本発明でいうシート状部材2とは、図4に示すように、同一の素材よりなるもので、シート本体1はシート状部材2を円筒状あるいは複数枚重ね合わせることにより構成するものである。
シート状部材2に用いる素材としては、長期使用に耐えうる引張強度を有し、且つ表面が滑らかで全ての方向において滑り性が良いことから長繊維織物が好適である。シート状部材2の素材に短繊維と長繊維の混合織物を使用することもできるが、その際、短繊維の混合割合は、相対するシート面3における短繊維の表面の毛羽による引掛かりを少なくするため40%以下とすることが好ましい。シート状部材2の素材に短繊維のみで構成される織物を用いると、シート状部材2を重ね合わせて滑らせる際、相対するシート面3において、織物を構成する短繊維の表面の毛羽による引掛りが生じ、滑り性が悪くなる。シート状部材2の素材にフィルムを用いると、引張強度が低く、使用中に破れる。また、シート状部材2の素材に編物を用いると、伸縮が大きく、シート状部材2を重ね合わせて滑らせる際、相対するシート面3において、伸びと収縮応力が生じ、滑り性が悪くなる。
また、シート状部材2に用いる長繊維織物の総繊度としては150デシテックス以下であることが滑り性に優れ好ましい。ここでいう総繊度とは、長繊維織物を構成するマルチフィラメント糸1本あたりの太さを表し、マルチフィラメントを構成する複数の単糸における繊度の合計である。シート状部材2の素材に用いる繊維の繊度が150デシテックスを超えると、互いに交わりあって平織物を構成する経糸と緯糸間の高低差による段差が大きく、シート状部材2を重ね合わせて滑らせる際、相対するシート面3において、交わりあう経糸と緯糸間の高低差による段差が引掛り、滑り性が悪くなる。より好適には50〜100デシテックスの範囲である。
本発明におけるシート状部材2の素材は主としてポリエステルまたはナイロン長繊維を用いるが、上記繊度条件を満たす範囲であれば、使用時の静電気防止あるいは強度向上のために炭素繊維や金属繊維などの導電性繊維あるいはアラミド繊維などの強靱繊維を交織あるいは混紡することは何ら差し支えない。
シート状部材2の素材に用いる長繊維織物の織組織としては平織、綾織、朱子織のいずれでもよいが、特に、平織、綾織がシート本体1使用時におけるシート状部材2への引張りやねじりといった外力に対する十分な強度を有し、生地の安定性に優れているため好ましい。
シート状部材2におけるシリコン系または/およびフッ素系樹脂の付着量としては0.5〜2.0重量%の範囲が硬さ、滑り性共に良く好適である。0.1重量%以下であると、織物の経糸と緯糸の固定が弱く、目ずれが発生しやすい。逆に2.0重量%を越えると樹脂が厚く織物表面がゴム状となり滑り性が悪くなる。より好適には0.5〜1.5重量%の範囲がである。シリコン系樹脂の一例を挙げると、日華化学(株)ニッカシリコンDM−100E等がある。また、フッ素系樹脂の一例を挙げると、旭硝子(株)アサヒガードLS−317等がある。樹脂の固着方法としては、吸尽法で樹脂を繊維内部に吸尽固着させる方法、パッドードライ−キュア法で樹脂を繊維にパッディングし、その後乾熱処理または湿熱処理により単繊維表面上で被膜する方法等いずれでも良いが、特にパッド−ドライ−キュア法が、樹脂加工と制菌加工等とを組み合わせるような場合、先に制菌加工で抗菌剤を繊維内部へ吸尽させた後、樹脂を繊維表面に被膜する事により制菌性の耐久性と樹脂の均一な付着を同時に満足させる事ができるため好ましい。
本発明においては、シート状部材2の素材に細繊維織物を使用し、滑性樹脂を固着させることにより、表面を平滑に構成し、シート本体1の滑り性および剛軟度を高めることが可能となる。
また、本発明の移動用シートにおいては、シート状部材に付着量0.1〜1.0重量%の範囲にある抗菌剤を固着した後、付着量0.5〜2.0重量%の範囲でシリコン系または/およびフッ素系樹脂を固着し、シート本体を構成することが好ましい。
本発明でいう抗菌剤とは、繊維上の菌の増殖を抑制する作用を有する加工剤を示し、対象菌は黄色ぶどう球菌、肺炎桿菌、大腸菌、緑膿菌、MRSAのいずれか、あるいは複数、あるいは全部とする。該抗菌剤を用いた制菌加工においては、SEK(繊維製品新機能評価協議会)基準値である殺菌活性値0以上あるいは0超の性能を満たすものである。
シート状部材に固着する抗菌剤の付着量としては0.1〜1.0重量%の範囲で制菌性が良く好適である。0.1%未満であると、制菌力に乏しく十分な制菌性が得られない。逆に1.0重量%を越えると膜厚が増し、表面感および滑り性が悪くなる。より好適には0.1〜0.5重量%の範囲である。
本発明に用いる抗菌剤は、分子量が200〜700、無機性/有機性値=0.3〜1.4かつ平均粒径が2μm以下であるピリジン系抗菌剤を含むものである。
かかるピリジン系抗菌剤は、シート状部材2を構成する繊維糸に対し強固に付着または吸尽・拡散する。これは、特定な分子量、無機性/有機性値ならびに平均粒径の3つの要件を、繊維内部に吸尽・拡散する分散染料に近い条件に近づけることにより、分散染料と同じ挙動を示すものと考えられる。これらの条件を満足しない場合、抗菌剤はシート状部材2を構成する繊維糸に対して強固に付着または吸尽・拡散せず、十分な工業洗濯耐久性は得られない。分子量が200未満のときは、抗菌剤がシート状部材2を構成する繊維糸に付着または吸尽・拡散するが洗濯耐久性は低い。一方、分子量が700を超えるときは、抗菌剤がシート状部材2を構成する繊維に付着または吸尽しない。好ましくは、抗菌剤の分子量は300〜500である。
次に、本発明でいう「無機性/有機性値」とは、藤田稔氏が考案した各種有機化合物の極性を有機概念的に取り扱った値であり〔改編 化学実験学−有機化学篇−河出書房(1971)参照〕、炭素(C)1個を有機性20とし、それに対し各種極性基の無機性、有機性の値を表1の如く定め、無機性値の和と有機性値の和を求め両者の比をとった値をいう。
無機性/有機性値が0.3未満の場合は有機性が強くなりすぎて、逆に1.4を超える場合は無機性が強くなりすぎて、シート状部材2を構成する繊維糸に付着または吸尽・拡散しにくくなる。無機性/有機性値は0.35〜1.3であることが好ましく、0.4〜1.2であることがより好ましい。
また、本発明においては、かかる抗菌剤の中でも、平均粒径が2μm以下のものを用いる。平均粒径が2μmを超えると、シート状部材2を構成する繊維糸に付着または吸尽しにくくなる上に、加工液にした時に粒子の沈降が起こり、液の安定性に欠ける傾向を示すものである。好ましくは、抗菌剤の平均粒径は1μm以下である。
かかる抗菌剤として、2−クロロ−6−トリクロロメチルピリジン、2−クロロ−4−トリクロロメチル−6−メトキシピリジン、2−クロロ−4−トリクロロメチル−6−(2−フリルメトキシ)ピリジン、ジ(4−クロロフェニル)ピリジルメタノール、2,3,5−トリクロロ−4−(n−プロピルスルフォニル)ピリジン、2−ピリジルチオール−1−オキシド亜鉛、ジ(2−ピリジルチオール−1−オキシド)等のピリジン系化合物を用いることができる。その中でも特に、2−ピリジルチオール−1−オキシド亜鉛が、繊維との親和性がよく、繊維に対して強固に付着、吸尽するため洗濯耐久性が良く、かつMRSAをはじめとする対象菌種の幅広さの点で好ましい。
ところで制菌性という点では、抗菌剤が繊維表面に付着している状態は、細菌との接触頻度が高く最も優れている。しかしこの状態は抗菌剤が剥離しやすく、洗濯耐久性の観点からは好ましくない。一方、抗菌剤が繊維内部に均一に拡散すると、制菌性は低下するが洗濯耐久性は向上する。以上のことから、抗菌剤が繊維内部で繊維表面近傍においてリング状に分布、もしくは枝状に繊維表面から内部に分岐拡散している状態が、制菌性および洗濯耐久性の面で優れていると考えられる。
抗菌剤が繊維内部で繊維表面近傍においてリング状に分布している状態は、X線マイクロアナライザー(堀場製作所製EMAX−2000)を使用して繊維断面について分析を行い、抗菌剤に含有される特定の元素、例えば硫黄等に注目して、繊維内部における抗菌剤の分布状態を評価することにより、その元素が繊維内部で繊維表面近傍に存在しており、その分布状態が繊維断面から見ると所定の幅をもったリング形状になっていることから確認できる。また、抗菌剤が繊維内部で枝状に繊維表面から内部に分岐拡散している状態は、走査型電子顕微鏡(SEM)による観察で確認できる。本発明の移動用シートは、SEK(繊維製品新機能評価協議会)の定める制菌評価方法(統一試験法)で、静菌活性値が2.2以上、または/および殺菌活性値が0以上となっている。静菌活性値が2.2未満のものは、所望の抗菌防臭効果が得られず、殺菌活性値が0未満のものは、所望の制菌効果が得られない。さらに、本発明の移動用シートは、洗濯10回後の静菌活性値が2.2以上または/および殺菌活性値が0以上であることが好ましい。ここで洗濯1回とは、JIS L 0217 103法に準拠し、弱アルカリ性合成洗剤1g/l、温度40℃、浴比1:30で5分間洗濯し、その後、排水、脱水、すすぎ2分間×2回を行い、脱水後吊り干し乾燥させるものをいう。
シート状部材2の加工方法は、前述の通り、制菌性および洗濯耐久性を同時に満足させるという観点から、パッドードライーキュア法で先に抗菌剤を繊維内部へ吸尽させた後、樹脂を繊維表面に被膜する方法が好ましい。
かかる方法において、液中処理した後、テンター等により170〜190℃で30秒〜2分間の乾熱処理を行うことが好ましい。かかる乾熱処理により、抗菌剤はシート状部材2を構成する繊維糸表面から内部に拡散して繊維内部で繊維表面の近傍においてリング状に分布して存在するか、または枝状に繊維表面から内部に分岐拡散した状態で存在するようになり、制菌性を損なうことなく洗濯耐久性を向上させることができる。170℃未満の加熱条件では乾熱処理の効果が出ない。また、190℃を超える条件の場合、シート状部材2を構成する繊維糸の黄変や脆化、さらに染料や抗菌剤の昇華もしくは熱分解ならびにエネルギー消費量の増加などが生じるため、好ましくない。この処理条件を変更することで抗菌剤を繊維表面付着、繊維内部でのリング状分布、繊維内部拡散の各状態にコントロールすることができる。
他の製造方法は、パディング浴などで抗菌剤を含む液をシート状部材2に含浸させた後、テンター等により170〜190℃で2〜5分間、乾熱処理または湿熱処理による加熱を行うことにより製造できる。170℃未満の加熱条件では抗菌剤はシート状部材2を構成する繊維糸に強固に付着および/または吸尽しない。また、190℃を超える条件では、シート状部材2を構成する繊維糸の黄変や脆化、さらに染料や抗菌剤の昇華もしくは熱分解、ならびにエネルギー消費量の増加などが起こるため好ましくない。
また、機能性付与加工として、帯電防止、消臭、防汚、吸汗加工など織編物の風合いを保ち本発明の目的を損なわない範囲で加工をすることは差し支えない。吸湿性の機能付与を行うことは、本発明の移動用シート使用時の快適性が向上するので好ましい。
本発明においては、シート状部材2に抗菌剤を耐久性と制菌性両方を保ちつつ固着させることにより、シート本体1の制菌性を高めることが可能となる。
また、本発明の移動用シートにおいては、シート状部材2の厚さ5が0.16mm以下であり、且つタテ、ヨコ両方向の剛軟度が共に20〜100mmの範囲である。
シート状部材2の厚さ5は0.16mm以下であることが携帯性が良いという点で好適である。シート状部材2の厚さ5が0.16mmを超えると、シート本体1を折り畳み収納する際、折り畳みにくく、折り畳まれたシート本体1が嵩張り、携帯性が悪くなる。より好適には、厚さ5は0.08〜0.12mmの範囲である。
尚、本発明における厚さの値はJIS L 1096 普通法に基づき、23.5kPaの圧力をかけたときの値をいう。
シート状部材2を織物で構成する場合、シート状部材2の厚さを低減する方法としては、総繊度減少、扁平断面糸の使用、筬打ち強力増加などがあるが、これらを組み合わせることも可能である。
本発明の移動用シートは、より携帯性を高めるため、シート本体1を収納するための、図1に示すようなシート本体1と一体のポケット7を設けたものであってもよい。シート本体1と一体型のポケットを設ける場合、シート状部材2の厚さ5が0.16mmを超えると、厚さが大きく収納が困難であるため、ポケット7に若干のすき間、すなわちマチを設ける必要があり、作成に手間を要するが、0.16mm以下であると、ポケット7にマチを設けずともシート本体1の収納が容易となる。また、ポケットがシート本体1と一体型であることから、散逸する心配がない。
また、本発明の移動用シートは、携帯性、保管時の取り扱い性を確保するために図6に示すようにシート本体1を収納するためのシート本体1と独立した収納袋9とで構成し、移動用シートセットとして用いることも好ましい。すなわち、シート本体1と一体のポケット7を設ける場合、移動用シートの機能を損なわないためにはシート本体1とポケット7が同一の滑り性の良い素材であることが好ましいが、滑り性が良いだけに、携帯する際に滑り落ちたり、シート本体1がポケット7から飛び出してしまったりして、取り扱いにくい可能性がある。そこでシート本体1を収納するためのシート本体1と独立した収納袋9を用意し、移動用シートセットとする。収納袋9の素材は防滑性、すなわちスエード調人工皮革や極細繊維あるいは滑り止め加工シートなどの滑りにくい素材を用いることが保管時の取り扱いの点で好ましい。収納袋9の大きさや形状は、シート本体1を収納できるものであれば特に限定されない。また、作業者がベッド横や壁に掛けて吊り下げて保管可能なフック部あるいは紐ループ、吸盤を設けると作業性が向上し、より好ましい。フック部の仕様はいずれでも構わないが、レバー加圧式の吸盤はワンタッチの取り外しができ、好適である。
シート本体1の剛軟度としては20〜100mmの範囲であることが敷設部への挿入性が良く好適である。本発明でいう剛軟度とは、シート本体1を構成するシート状部材2の屈曲に対する抵抗を数値的に表したものである。
シート状部材2の剛軟度が100mmを超えると、折り畳み収納する際、シート状部材2が硬く、完全に折り畳まらず、嵩張り、携帯性が悪くなる。逆に20mm未満であると、敷設部への挿入の際、シート状部材2が軟らかく、屈曲し、挿入性が悪くなる。より好適には、剛軟度は20〜60mmの範囲である。
尚、本発明における剛軟度の値はJIS L 1096 カンチレバー法の織物測定法に基づき、(株)大栄科学機器製作所製カンチレバー型試験機を使用して測定したときの値を示す。
シート状部材2の剛軟度を高める方法としては、シート状部材2の素材にポリエステル、ナイロン等の合成繊維織物を使用する場合、熱セット温度を上昇させる、カレンダー加工する、熱可塑性樹脂を固着するなどがあるが、これらを組み合わせることも可能である。 本発明においては、シート状部材2の厚さを薄く、且つ硬さを折り畳み可能な範囲まで硬くすることにより、シート状部材2の敷設部への挿入性を高めてなお携帯性を高めることが可能となる。
またさらに、本発明の移動用シートにおいては、シート状部材2の相対するシート面の動摩擦係数が0.1〜0.3の範囲にあることで表面の滑り性が良く好適である。
ここでいう相対するシート面とは、シート状部材2同士の各接触面をいい、具体的には図1〜3における符号3の部分を指す。
相対するシート面3における動摩擦係数は、0.1〜0.3の範囲であることが、滑り性が良く、好適である。0.3を超えると、相対するシート面3同士を滑り合わせる際、摩擦抵抗が大きく、滑り性が悪いために移動に労力を要する。逆に0.1未満であると、摩擦抵抗が少なく、滑り過ぎて移動時にスリップや滑落する可能性がある。より好適には0.15〜0.25の範囲である。
なお、本発明における動摩擦係数の値はJIS K 7125に基づき、新東科学(株)製表面性試験機(HEIDON−14DR)を使用して荷重1kg、引張速度1m/minの条件にて測定したときの値を示す。
相対するシート面3の動摩擦係数を低減させる方法としては、長繊維織物の総繊度減少およびフィラメントカウント数の増加、撚数の低減、密度増加、シリコン系、フッ素系、ウレタン系等のコーティングがあるが、これらを組み合わせることも可能である。また、相対するシート面3の地の目線を互いに交差させ滑り合わせてもよい。
なお、相対するシート面3を構成する方法としては、前述の通り、図1の複数枚のシート状部材2を積層する方法、図2の一枚のシート状部材2を折りたたむ方法、図3の円筒状のシート状部材2を使用する方法等があるが、これらを組み合わせることも可能である。また、例えば円筒状のシート状部材2を2枚積層し接合すれば、相対するシート面3が3組となるシート本体1を作成することもできる。
また、相対するシート面3は2方向が開放されている態様、すなわち図1〜3のように2方向が接合された態様が好ましい。4方向または3方向が接合されていると、キャタピラ機構による運動、すなわち回動運動が行えず、シート面3の滑り合わせによる相対移動距離が少なく満足する効果が得にくい。また、3方向または4方向が開放されている、すなわち1方向のみ接合された態様または接合部を有さない態様では、自由度が大きく移動範囲は広いものの、まとまりがつきにくく収納性、携帯性という点でやや劣るものとなる。
本発明においては、シート状部材2の相対するシート面3を平滑にし、動摩擦係数を低くすることにより、円筒状または重ね合わされたシート状部材2の相対するシート面3における滑り性を高めることが可能となる。
また、本発明の移動用シートを構成する他の要素として、図1、2および図6に示すようにシート本体1の機構において、シート状部材2の相対するシート面3を2組以上設けて滑り合わせる機構とすることが好ましい。図1および図6の例ではシート状部材2を3枚重ねとし、重ね合わされたシート状部材2において、相対するシート面3の組数を1枚目シート状部材2a−2枚目シート状部材2b間、および2枚目シート状部材2b−3枚目シート状部材2c間の計2組としたものである。
本発明における移動用シートは、重ね合わされたシート状部材2における相対するシート面3の組数を増すことにより、相対するシート面3間における上下左右、回動といった動作を複数のシート状部材2に分散させるため、移動、回動時にかかるシワ、よじれを低減し、形態安定性を向上できるだけでなく、幅広い動作範囲をカバーすることができる、すなわちシート本体1の移動性をより多くさせることができるものであり、シート本体1の機構において、相対するシート面の組数は何組であってもよい。より好適には2〜4組の範囲が嵩張らず、シート本体1の移動距離および携帯性共に良い。
本発明においては、シート状部材2の相対するシート面を2組以上設けた機構とすることにより、重ね合わされたシート状部材2における相対するシート面3間における上下左右、回動といった動作を複数のシート状部材2に分散し、移動、回動時にかかるシワ、よじれを低減し、形態安定性を向上できるだけでなく、動作範囲をより多く満足させることが可能となる。
本発明においては、シート状部材2の相対するシート面数を多く設けることにより、シート本体1の移動性を高めることが可能となる。
本発明において、シート本体1のタテ方向、すなわち接合部6方向の寸法は被介護者の頭部〜腰部あるいは尻部〜腰部をカバーできる長さ、すなわち60歳〜99歳男女の座高および座位ウエスト高の平均長さにゆとり量を加えた50cm〜200cmの範囲でなお且つ、ヨコ方向、すなわち接合部6と直行する方向の寸法が被移動人体の肩幅を十分にカバーできる長さ、すなわち60歳〜99歳男女の肩幅の平均長さにゆとり量を加えた42cm〜100cmの範囲であることが好ましい(参考文献1「日本人の人体計測データ1992−1994」人間生活工学研究センター出版 平成9年10月発行)。シート本体1のタテ方向およびヨコ方向の寸法が該範囲を超過する場合、シート本体1の人体8−ベッド間への挿入性および折り畳み収納時の携帯性が悪く、滑落による危険性が高い。逆にシート本体1のタテ方向およびヨコ方向の寸法が該範囲未満である場合、充分に人体をカバーできず、人体8−ベッド間で摩擦が生じ移動性が悪い。より好ましくはタテ方向が50cm〜120cm、ヨコ方向は50cm〜85cmの範囲である。 本発明においてシート本体1を構成するシート状部材2は、人体8と接する面、すなわちシート本体1の外側に位置するシート状部材2のシート面4において、人体8の滑りを防止する防滑剤のコーティング、フィルム等をラミネートしたものであってもよいし、吸汗性を付与するためのタオル等を設けたものであってもよい。またさらに、より携帯性を高めるため、図1に示すようにシート本体1と一体、あるいは単独に、シート本体1を収納するためのポケット7を設けたものであってもよい。
また、本発明の移動用シートを使用する際、作業者の誤使用による滑落等の事故を防止するために、シート本体1のいずれかの部分に作業者への取り扱い注意表示を設けることが製品の安全性を向上させる点で好ましい。表示手段としては、イラストまたは/および文字による注意表示をシート本体1のいずれかの部分にプリントする方法、あるいはシールを貼り付ける方法等、いずれでも良いが、特に熱転写シートでプリントする方法は洗濯耐久性が良く好適である。
本発明の移動用シートは、被介護者だけでなく健常者においても、車下や高さの低い台下に仰向けの姿勢で潜り作業を行う際、背中に敷いて使用することにより人体8の移動を容易にすることが可能となる。また、人体だけでなく、引っ越し作業などの荷物移動の際、荷物の下に敷いて使用することにより荷物の移動を容易にすると共に作業者の負担を軽減することが可能となる。つまり、介護具だけでなく、移動用シートとして広く使用することができる。
以下、本発明を実施例および比較例を挙げてさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
実施例および比較例において用いた移動用シートの挿入性、携帯性、滑り性について被験者10人によるモニター評価を実施した。評価基準を表1に示す。被験者全員の評価点数の合計点数を各評価結果とし、各評価結果の合計点数を総合評価とした。総合評価が大きいものほど優れているが、20点以上を良好とした。
(測定)
(1)動摩擦係数
JIS K 7125に基づき、新東科学(株)製表面性試験機(HEIDON−14DR)を使用して荷重1kg、引張速度1m/minの条件にて測定。
(2)厚さ
JIS L 1096 普通法に基づき、23.5kPaの圧力をかけたときの厚さを測定。
(3)剛軟度
JIS L 1096 カンチレバー法に基づき、(株)大栄科学機器製作所製カンチレバー型試験機を使用して測定。
(4)制菌性
(1−1)前処理として洗濯を行った。洗濯は2層式家庭洗濯機を用い、花王(株)製洗剤“アタック”1g/l、温度40℃、浴比1:30で5分間洗濯し、その後排液、脱水後、オーバーフローすすぎを2分間×2回実施した。その後脱水を行いこれを洗濯1回とした。最後に吊り干し乾燥させた。
(1−2)抗菌試験は統一試験法を採用し、試験菌体は黄色ぶどう球菌、肺炎桿菌、MRSA臨床分離株をそれぞれ単独に用いた。試験方法は、滅菌試料布に上記試験菌のブイヨン混濁液を注加し、密閉容器中で37℃、18時間培養後の生菌数を計測し、殖菌数に対する菌数を求め、次の基準に従った。log(B/A)>1.5の条件下、log(B/C)を静菌活性値、log(A/C)を殺菌活性値とする。ただし、Aは無加工品の接種直後分散回収した菌数、Bは無加工品の18時間培養後分散回収した菌数、Cは加工品の18時間培養後分散回収した菌数を表す。
(評価)
(1)滑り性評価
移動用シート上に人体(体重約55kg)を載せ、前後左右に移動・回動させたときの滑りやすさを4段階で評価した。本発明の移動用シートは、評価点数合計が5点以上の場合を良好とした。評価基準を表1に示す。なお、モニター評価者10人の評価点数合計を評価結果とした。
(2)挿入性評価
ベッド上に人体(体重約55kg)を仰向けに横たわらせた状態で、人体を斜めに起こし、人体−ベッド間に生じる隙間にシート本体1を挿入したときの挿入しやすさを4段階で評価した。本発明の移動用シートは、評価点数が高いほど挿入性に優れている。評価点数合計が5点以上の場合を良好とした。評価基準を表1に示す。なお、モニター評価者10人の評価点数合計を評価結果とした。
(3)携帯性評価
移動用シートを可能なまでに折り畳んだときの携帯性、すなわち持ち運びやすさを4段階で評価した。本発明の移動用シートは、評価点数が高いほど携帯性に優れている。評価点数合計が5点以上の場合を良好とした。なお、ポケットや収納袋9を有するものは、移動用シートを折り畳んでそれらポケットや収納袋9に収納した場合の携帯性を評価した。評価基準を表1に示す。なお、モニター評価者10人の評価点数合計を評価結果とした。
(4)移動性評価
移動用シート上に人体(体重約55kg)を載せ、前後左右に移動させたときの移動性を4段階で評価した。本発明の移動用シートは、評価点数合計が5点以上の場合を良好とした。評価基準を表1に示す。なお、モニター評価者10人の評価点数合計を評価結果とした。
(5)制菌性評価
前述の制菌性測定方法に従い、表2の通り、各菌種それぞれについて測定したときの殺菌活性値が全菌種において0以上且つ静菌活性値が2.2以上を制菌性合格レベルとし、◎記号で表示した。静菌活性値が2.2以上を抗菌防臭性合格レベルとし、○記号で表示した。静菌活性値が2.2未満は不合格レベルとし、×記号で表示した。なお、モニター評価者10人の評価点数合計を評価結果とした。
Figure 2006263447
Figure 2006263447
(実施例1)
図1および表3に示した移動用シートセット、すなわちシート本体1が円筒状または重ね合わされたシート状部材2からなり、当該シート状部材2がタテ糸、ヨコ糸共に総繊度78デシテックスのナイロン66長繊維綾織物に固形濃度19%のピリジン系抗菌剤を0.3重量%固着した後、固形濃度38%のシリコン樹脂を1.1重量%固着し、タテ方向、すなわち接合部6方向の剛軟度が55mm、ヨコ方向、すなわち接合部6と直行する方向の剛軟度が28mm、シート状部材2の厚さ3が0.09mm、且つ動摩擦係数が0.17であり、シート状部材2を3枚重ね合わせ、シート本体1の相対するシート面3を2組構成した移動用シートの、挿入性、携帯性、滑り性を、表1の評価基準により5段階で評価し、各評価項目の合計点数を総合評価とした。表4にその結果を示す。
なお、シート状部材2の加工処理条件はドライ120℃×2分、キュア180℃×1分で処理を行い、シート本体1のタテ方向、すなわち接合部6方向の寸法は120cmとし、ヨコ方向、すなわち接合部6と直行する方向の寸法は75cmとした。接合部6はミシン縫製により接合し、シート状部材2を接合部6で折り返し、接合部6がシート本体1の内側にくるように設けた。また、1枚目シート状部材2aにポケット7をシート本体1と一体となるように設け、シート本体1と別途、スエード調人工皮革からなるシート本体収納袋9を設け、移動用シートセットとした。表4にその結果を示す。
(実施例2)
図1、図6および表3に示した移動用シートセット(ただし、図1におけるポケット7はない。)、すなわち実施例1で1枚目シート状部材2aに設けたポケット7の代わりに、作業者への取り扱い注意表示をポリマーク熱転写により設け、シート本体1と別途、スエード調人工皮革よりなるシート本体収納袋9を設けた移動用シートの、挿入性、携帯性、滑り性を、表1の評価基準により5段階で評価し、各評価項目の合計点数を総合評価とした。表4にその結果を示す。
なお、収納袋9の大きさはタテ方向、すなわちシート本体1の出し入れ方向を30cmとし、ヨコ方向、すなわちすなわちシート本体1の出し入れ方向と直交する方向を25cmとして袋状に縫い合わせ、開口部に口ひも10を設けて開閉自在となるようした。また、作業者への取り扱い注意表示11を1枚目シート状部材2aと同様にポリマーク熱転写により設け、その他の構成は実施例1と同様にした。
(実施例3)
図1および表3に示した移動用シート、すなわちシート状部材2がタテ糸に総繊度116デシテックスのポリエステル長繊維および総繊度120デシテックスの炭素繊維を交互に配列し、ヨコ糸に総繊度116デシテックスのポリエステル長繊維および総繊度110デシテックスのパラ系アラミド繊維を交互に配列した交織平織物に固形濃度25%のピリジン系抗菌剤を0.1重量%固着した後、固形濃度25%のフッ素系樹脂を1.3重量%固着し、剛軟度タテ40mm、ヨコ45mm、厚さ0.10mm、動摩擦係数0.20であり、シート状部材2を4枚重ね合わせ相対するシート面3を4組構成した移動用シートの、挿入性、携帯性、滑り性の評価を行った。表4にその結果を示す。
なお、1枚目シート状部材2aにポケットをシート本体1と一体となるように設け、収納袋9を有さない構成とする以外は実施例1と同様にした。
(実施例4)
図1および表3に示した移動用シートセット、すなわちシート状部材2がタテ糸、ヨコ糸共に総繊度49デシテックスの綿短繊維糸20%とポリエスエル長繊維糸80%の交織平織物に固形濃度10%のピリジン系抗菌剤を0.9重量%固着した後、固形濃度35%のシリコン系樹脂を0.6重量%固着し、剛軟度タテ19mm、ヨコ18mm、厚さ0.20mm、動摩擦係数0.26であり、シート状部材2を3枚重ね合わせ相対するシート面3を2組構成した移動用シートの、挿入性、携帯性、滑り性の評価を行った。表4にその結果を示す。なお、その他の構成は実施例1と同様にした。
(実施例5)
図1および表3に示した移動用シートセット、すなわち実施例4のシート本体1のタテ方向、ヨコ方向の寸法を共に50cmとした移動用シートの、挿入性、携帯性、滑り性の評価を行った。表4にその結果を示す。その他の構成は実施例1と同様にした。
(実施例6)
図1および表3に示した移動用シートセット、すなわちシート状部材2がタテ糸、ヨコ糸共に総繊度100デシテックスのフッ素長繊維糸朱子織物に固形濃度15%のシリコン系樹脂を2重量%固着し、剛軟度タテ25mm、ヨコ23mm、厚さ0.15mm、動摩擦係数0.32であり、シート状部材2を3枚重ね合わせ相対するシート面3を2組構成した移動用シートの、挿入性、携帯性、滑り性の評価を行った。表4にその結果を示す。なお、シート状部材2は抗菌剤処理を有さず、その他の構成は実施例1と同様にした。
(比較例1)
図1および表3に示した移動用シート、すなわちシート状部材2が、タテ糸、ヨコ糸共に総繊度200デシテックスのナイロン66長繊維糸平織物に固形濃度35%のシリコン系樹脂を0.7重量%固着し、且つ固形濃度25%のピリジン系抗菌剤を0.5重量%固着し、剛軟度タテ25mm、ヨコ23mm、厚さ0.17mm、動摩擦係数0.25であり、シート状部材2を3枚重ね合わせ相対するシート面3を2組構成した移動用シートの、挿入性、携帯性、滑り性の評価を行った。表4にその結果を示す。なお、シート本体1のタテ方向、ヨコ方向の寸法は実施例1と同様にした。
(比較例2)
表3に示した移動用シート、すなわちシート状部材2がタテ糸、ヨコ糸共に総繊度70デシテックスのポリエステル長繊維糸タテ編物に固形濃度12%のシリコン系樹脂を0.1重量%固着し、且つ固形濃度12%のピリジン系抗菌剤を0.01重量%固着し、剛軟度タテ10mm、ヨコ13mm、厚さ0.30mm、動摩擦係数0.28であり、シート状部材2を3枚重ね合わせ相対するシート面3を2組構成した移動用シートの、挿入性、携帯性、滑り性の評価を行った。表4にその結果を示す。なお、シート本体1のタテ方向、ヨコ方向の寸法は実施例1と同様にした。
(比較例3)
図1および表3に示した移動用シート、すなわちシート状部材2がポリエチレンフィルムシートより構成され、且つ剛軟度10mm、動摩擦係数0.33、厚さ0.10mmのシート状部材2を2枚重ね合わせ相対するシート面3を1組構成した移動用シートの、挿入性、携帯性、滑り性の評価を行った。表4にその結果を示す。
なお、シート状部材2は樹脂の固着および抗菌剤処理を有さず、シート本体1のタテ方向、ヨコ方向の寸法は実施例1と同様にした。
(比較例4)
図1および表3に示した移動用シート、すなわちシート状部材2が剛性のプラスティック板1枚より構成され、且つ動摩擦係数0.11、厚さ0.50mmの移動用シートの、挿入性、携帯性、滑り性の評価を行った。表4にその結果を示す。
なお、シート状部材2は樹脂の固着および抗菌剤処理を有さず、シート本体1は接合部6を有さず、シート本体1のタテ方向、ヨコ方向の寸法は実施例1と同様にした。
(比較例5)
表3に示した移動用シート、すなわちシート状部材2がゴム製シート1枚より構成され、且つ剛軟度17mm、動摩擦係数0.60、厚さ1.00mmの移動用シートの、挿入性、携帯性、滑り性の評価を行った。表4にその結果を示す。
なお、シート状部材2は樹脂の固着および抗菌剤処理を有さず、シート本体1は接合部6を有さず、シート本体1のタテ方向、ヨコ方向の寸法は実施例1と同様にした。
Figure 2006263447
Figure 2006263447
以上の結果を表3と表4に示す。表3から明らかなように、本発明の移動用シートは、シート状部材2の織物繊維糸が150デシテックス以下に細く、且つシリコン系または/およびフッ素系樹脂の付着量が0.5〜2.0重量%の範囲内において滑り性および挿入性の優れた移動用シートとなった。また、シート状部材2の抗菌剤の付着量が0.1〜1.0重量%の範囲において制菌性の優れた移動用シートとなった。また、シート状部材2の厚さが薄く、且つタテ、ヨコ両方向の剛軟度が共に20〜100mmの範囲において挿入性、携帯性の優れた移動用シートとなった。また、摩擦係数0.1〜0.3の範囲内において滑り性の優れた移動用シートとなった。また、シート状部材2に相対するシート面3が2組以上の範囲において移動性に優れた移動用シートとなった。
すなわち、本発明の移動用シートは、発明の要素を多く満たす程、総合評価は高いものとなった。
本発明は、自宅や施設、病院等において寝たきりの被介護者を介護する人が、被介護者の着替えやシーツ、敷き布団などの交換の際にベッド上で被介護者を移動、方向転換させたり、また被介護者の検査や診察のために、ベッド等からストレッチャへ、ストレッチャから手術台や検査台等へ、あるいはその逆方向に被介護者を移動させるための移動用シートして利用することができる。
本発明の移動用シートの一態様を示す斜視図である。 本発明の移動用シートにおける他の態様の例を示す斜視図である。 本発明の移動用シートにおける他の態様の例を示す斜視図である。 図1に示した移動用シートのシート本体1の部分拡大図である。 本発明の移動用シートの使用例を示す使用図である。 本発明の移動用シートセットの収納袋9の一態様を示す斜視図である。
符号の説明
1:シート本体
2:シート状部材
2a:1枚目シート状部材
2b:2枚目シート状部材
2c:3枚目シート状部材
3:シート状部材の相対するシート面
4:シート本体の外側に位置するシート状部材のシート面
5:シート状部材の厚さ
6:シート本体の接合部
7:ポケット
8:人体
9:収納袋
10:口ひも
11:注意表示

Claims (6)

  1. シート本体が円筒状または重ね合わされたシート状部材からなり、当該シート状部材がタテ糸、ヨコ糸共に総繊度150デシテックス以下の主としてポリエステルまたはナイロン長繊維織物であって、付着量0.5〜2.0重量%の範囲でシリコン系または/およびフッ素系樹脂を固着した織物であることを特徴とする移動用シート。
  2. 前記シート状部材に付着量0.1〜1.0重量%の範囲で抗菌剤を固着した後、付着量0.5〜2.0重量%の範囲でシリコン系または/およびフッ素系樹脂を固着したことを特徴とする請求項1に記載の移動用シート。
  3. 前記シート状部材の厚さが0.16mm以下であり、且つタテ、ヨコ両方向の剛軟度が共に20〜100mmの範囲であることを特徴とする請求項1または2に記載の移動用シート。
  4. 前記シート本体を構成するシート状部材の相対するシート面の動摩擦係数が0.1〜0.3であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の移動用シート。
  5. 前記相対するシート面を2組以上有することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の移動用シート。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の移動用シートと、防滑性素材からなり、該移動用シートを収納するための収納袋とから構成されることを特徴とする移動用シートセット。
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