JP2003183806A - 封孔処理剤、封孔処理方法及び封孔処理を施した溶射皮膜被覆部材 - Google Patents
封孔処理剤、封孔処理方法及び封孔処理を施した溶射皮膜被覆部材Info
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Abstract
ど特殊な環境を必要とせず、比較的手軽に処理できる封
孔処理剤および封孔処理方法を提供する。 【解決手段】 (i)合成樹脂、(ii)重合性有機溶剤、並
びに(iii)フッ素系界面活性剤及びパーフルオロ基含有
有機ケイ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1
種を含有する封孔処理剤;溶射皮膜の気孔に前記封孔処
理剤を浸透させ、次いで重合性有機溶剤を重合させるこ
とを特徴とする溶射皮膜の封孔処理方法;基材表面に溶
射皮膜を形成し、得られた溶射皮膜の気孔に前記封孔処
理剤を浸透させ、次いで重合性有機溶剤を重合させて溶
射皮膜の封孔処理を行うことを特徴とする溶射皮膜被覆
部材の製造方法;並びに該方法により得られる溶射皮膜
の気孔が合成樹脂及び重合性有機溶剤の重合物で実質的
に全て充填されている溶射皮膜被覆部材。
Description
る封孔処理剤、該封孔処理剤を用いる封孔処理方法及び
該方法により得られる溶射皮膜被覆部材に関するもので
ある。
ミックスを溶射し、耐熱性、耐摩耗性、または耐食性を
高める技術が広く用いられている。一般に溶射皮膜はそ
の皮膜形成原理上、気孔(間隙)を有しており、気孔は
種々の特性を皮膜自体に付与している。このうちあるも
のはいわゆる貫通気孔の様態を呈し、皮膜表層が接して
いる環境と皮膜が被覆されている基材を連絡する。しか
しながら、溶射皮膜が有する気孔の構造によっては、気
体や液体が皮膜が被覆されている部材素地まで浸透、拡
散したりする。その結果、溶射材自身が腐食劣化した
り、素地基材が炭素鋼などの場合は、皮膜と基材の接触
界面で、基材が選択的に腐食劣化して、溶射皮膜の基材
に対する接合性が損なわれ剥離したりすることがある。
封孔処理を行い、皮膜の環境遮断性を高めることがしば
しば行なわれる。
般的な封孔処理方法として、エポキシ樹脂、アクリル樹
脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、フッ素樹脂等の合
成樹脂を有機溶剤に溶解させた封孔処理剤を溶射皮膜に
塗布する方法がある。しかし、この方法では、合成樹脂
は溶射皮膜表面に塗布されるだけで細孔の底部までは浸
透しない。従って、形状(寸法)精度を保つために、封
孔処理後に溶射皮膜表面を研削あるいは研磨などで除去
した場合、溶射皮膜に対する封孔処理効果はほとんど期
待できないことがある。また、使用している過程で摩耗
により合成樹脂の塗膜がすり減ってしまい、封孔処理の
効果が持続しない場合もある。
視光線により硬化する光硬化性樹脂を封孔処理剤として
利用するもの(特開平5-106014号公報)、電着塗料を用
いて、塗料粒子の電気泳動現象で溶射皮膜の細孔中に析
出・充填させようとするもの(特開平6-212391号公報な
ど)、溶射材料中にガラス質物質を形成するB2O3を添加
して皮膜を形成し、その後の加熱処理で溶融B2O3が気孔
充填作用をおこなうもの(特開平10-259469号公報)な
どが提案されている。しかし、これら方法は、加圧又は
減圧が必要であるなど、いずれも特殊な装置を必要とし
たり、工程が煩雑であるなど、工業的生産方法に適して
いない。
トン類,芳香族系,フッ素系有機溶剤で希釈して封孔処
理を行う方法が提案されているが(特開平10-68086号公
報)、溶剤の揮発により封孔処理剤内部に微細な空隙を
残すことから、この方法では溶射皮膜内部の細孔を効率
よく充填することができない。このため、低pH水溶液環
境下、例えば酸水溶液の接触があるような雰囲気下で
は、炭素鋼基材などに対する防食性が十分でないとの欠
点があった。
のための加圧または減圧雰囲気など特殊な環境を必要と
せず、比較的手軽に処理できる封孔処理剤および封孔処
理方法を提供することを目的とする。
わゆるラビリンス構造(迷宮構造)を有した積層体に、
封孔処理剤のような比較的低粘度の流体を侵入させ、そ
の結果、皮膜内部に存在する間隙、粒子境界を充填する
試みは古くから多くの提案がある。大きな課題は浸透性
と充填性の両立をいかに図るかという点であった。よく
知られているように、浸透性を重視すると封孔処理剤は
皮膜内部まで浸透はするものの、充填性が不充分で外部
から水や酸素が侵入する空隙部が残る。これに対し充填
性を考慮すれば、主として皮膜表層部分は封孔効果が期
待できるが、形状精度を付与するために行われる研削・
研磨加工あるいは、使用中に被る摩擦・摩耗履歴によっ
て、封孔部分が除去、消滅するのでその効果がしばしば
早期に減退する。本発明者は、浸透性と充填性の両立を
図るために、種々の方法を検討した。
体の間隙、粒子境界の充填を図るには、間隙に侵入しや
すい配合物が必要である。そのためには溶液粘度が低
く、かつ間隙に浸透する際の分子内ストレスが少ない低
重合度のオリゴマーを主成分とする合成樹脂溶液が有効
であることに着目した。
溶剤は、揮発によって封孔処理剤内部にミクロ的な空隙
を残す。このミクロな空隙が溶射膜底部まで達している
場合が多いため、封孔処理を施したにも関わらず長期間
経過後に溶射基材の腐食が発生する場合が多かった。本
発明では、希釈溶剤として重合性有機溶剤を使用するこ
とにより、封孔処理剤における溶剤の揮発による空隙の
発生を抑制し、また反応後に揮発分が消滅した後も自ら
の収縮による容積減を低下させることに成功した。
度の合成樹脂溶液に、フッ素系界面活性剤及びパーフル
オロ基含有有機ケイ素化合物の少なくとも1種を配合す
ることにより、封孔処理剤の表面張力が減少し、ラビリ
ンス構造(迷宮構造)の細間隙への進入がより容易にな
ることを見出した。
よびパーフルオロ基含有有機ケイ素化合物からなる群か
ら選ばれた少なくとも1種、並びに重合性有機溶剤で希
釈した低重合度の合成樹脂を含有する封孔処理剤が、溶
射皮膜の気孔(間隙)に対する浸透性および充填性に優
れ、封孔処理後に溶射皮膜表層部分を研削あるいは研磨
除去した場合でも封孔処理剤の浸透・充填層が十分存在
し、その結果皮膜の基材保護性を大幅に向上させ、さら
に機械的強度、耐摩耗性、体積抵抗率、耐電破壊特性な
どの物性をも向上させ得ることを見出し、本発明を完成
するに至った。
係る。 項1 (i)合成樹脂、(ii)重合性有機溶剤、並びに(iii)
フッ素系界面活性剤及びパーフルオロ基含有有機ケイ素
化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種を含有す
る封孔処理剤。 項2 合成樹脂の数平均分子量が、100〜10,00
0である項1に記載の封孔処理剤。 項3 重合性有機溶剤が、重合性ビニル基含有モノマー
である項1に記載の封孔処理剤。 項4 フッ素系界面活性剤が、パーフルオロ基を含有す
るフッ素系界面活性剤である項1に記載の封孔処理剤。 項5 パーフルオロ基含有有機ケイ素化合物が、シラン
化合物及びシラザン化合物からなる群から選ばれる少な
くとも1種である項1に記載の封孔処理剤。 項6 溶射皮膜の気孔に項1〜5のいずれかに記載の封
孔処理剤を浸透させ、次いで重合性有機溶剤を重合させ
ることを特徴とする溶射皮膜の封孔処理方法。 項7 溶射皮膜が、金属、合金、酸化物セラミックスま
たは炭化物サーメットからなる皮膜であることを特徴と
する項6に記載の方法。 項8 基材表面に溶射皮膜を形成し、得られた溶射皮膜
の気孔に項1〜5のいずれかに記載の封孔処理剤を浸透
させ、次いで重合性有機溶剤を重合させて溶射皮膜の封
孔処理を行うことを特徴とする溶射皮膜被覆部材の製造
方法。 項9 溶射皮膜の封孔処理を行った後、該溶射皮膜の表
面に存在する封孔処理剤により形成された層を、研削乃
至研磨により除去することを特徴とする項8に記載の製
造方法。 項10 項8又は9に記載の方法により得られる溶射皮
膜被覆部材。 項11 項8又は9に記載の方法により得られ、溶射皮
膜の気孔が合成樹脂及び重合性有機溶剤の重合物で実質
的に全て充填されている溶射皮膜被覆部材。
流動性のある液状樹脂であればよく、2個以上の繰返し
単位を有しているものであればよい。合成樹脂の数平均
分子量としては、100〜10,000程度が好まし
く、150〜5,000程度がより好ましい。なお、分
子量は、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによ
り測定することができる。また、合成樹脂は、粘度が、
1〜5,000mPa・s(cP)程度のものが好まし
く、1〜3,000mPa・s(cP)程度のものがよ
り好ましい。
有していてもよいし、官能基を有していないようなもの
であってもよい。例えば、エポキシ樹脂、アクリル樹
脂、フッ素系樹脂、ウレタン樹脂、フェノール樹脂、キ
シレン樹脂、ポリエステル樹脂、不飽和ポリエステル樹
脂、ポリアミド樹脂、メラミン樹脂など公知の合成樹脂
を用いることができる。これらは、単独で、または2種
以上を混合して用いることができる。
シ樹脂、アクリル樹脂、キシレン樹脂が好ましく、低分
子量の樹脂を得やすいという点から、エポキシ樹脂及び
アクリル樹脂が好ましい。エポキシ樹脂としては、ビス
フェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポ
キシ樹脂、ポリグリシジル(メタ)アクリレート等が挙
げられる。エポキシ樹脂では、繰返し単位が2〜10個
程度、或いは数平均分子量が300〜5000程度のも
のを好ましく用いることができる。これらエポキシ樹脂
のエポキシ当量は、特に限定されるものではないが、1
00〜1000程度が好ましい。アクリル樹脂として
は、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アク
リレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、パーフ
ルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等を単独又
は2種以上組み合わせた重合体が挙げられる。フッ素系
樹脂としては、ポリテトラフルオロエチレン等が挙げら
れる。
き、封孔処理剤に含まれる合成樹脂を溶解できるような
ものであればよく、合成樹脂の種類に応じて適宜選択す
ることができる。例えば、重合性有機溶剤としては、シ
クロヘキセン、スチレン、酢酸ビニル、フェニルビニル
エーテル、メチルビニルケトン、(メタ)アクリル酸、
(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリルアミド、
(メタ)アクリロニトリル、無水マレイン酸、ジシクロ
ペンタジエン、又はこれらの誘導体など公知の重合可能
なビニル基含有モノマーを用いることができる。合成樹
脂がエポキシ樹脂である場合、グリシジルエチルエーテ
ルなどのグリシジルエーテルなどを組み合わせることが
できる。合成樹脂としてフッ素系樹脂を用いる場合、重
合性有機溶剤として、テトラフルオロエチレン、ヘキサ
フルオロプロピレン等を用いることが好ましい。
が重合可能であればよく、必ずしも合成樹脂と反応する
必要はない。
として、スチレン、(メタ)アクリレート等のエポキシ
樹脂とは反応しない重合性有機溶剤を用いた場合、重合
性有機溶剤はそれ自身を繰り返し単位とする重合体を形
成させ、テトラヒドロメチル無水フタル酸等の酸無水
物、ジエチレントリアミンなどのアミン類等の硬化剤を
配合してこれによりエポキシ樹脂を硬化させることも可
能である。この場合の酸無水物の配合量は、エポキシ樹
脂のエポキシ当量に応じて適宜設定することができる。
混合して用いることができる。
類に応じて、封孔処理剤の粘度が1〜1500mPa・
s(cP)程度、好ましくは30〜1000mPa・s
(cP)程度になるように設定することができ、通常、
合成樹脂100重量部に対して、1〜100重量部程度と
することが好ましく、5〜50重量部程度とすることが
より好ましい。
としてスチレンなどのビニル基含有モノマーを用いた場
合等、必要に応じて適量の重合開始剤(例えば、アゾビ
スイソブチロニトリル)等の反応触媒を使用してもよ
い。
加えて、本発明の効果を阻害しない範囲で、通常の有機
溶剤を含有していてもよい。本発明ではフッ素系界面活
性剤及びパーフルオロ基含有有機珪素化合物から選ばれ
る少なくとも1種の含フッ素化合物を必須成分としてい
るため、かかる有機溶剤としては、含フッ素化合物の溶
解性の良い有機溶剤を適宜選択して用いることが好まし
い。有機溶剤としては、例えば、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール等のアルコール類;アセトン、メ
チルエチルケトン等のケトン類;ベンゼン、トルエン、
キシレン等の芳香族系溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル等
のエステル類;ベンゾトリフロリド、メタ(又はパラ)
キシレンヘキサフルオリド等のフッ素系溶剤を使用でき
る。これら重合性有機溶剤以外の溶剤は、1種または2
種以上を混合して用いることができる。
宜設定することができるが、封孔処理剤全重量に対して
10質量%以下程度が好ましい。有機溶剤を配合する場
合の配合量の下限は特に限定されるものではないが、通
常1質量%程度である。
オロ基含有有機ケイ素化合物 本発明の封孔処理剤は、フッ素系界面活性剤及びパーフ
ルオロ基含有有機ケイ素化合物からなる群から選ばれる
少なくとも1種(以下、「含フッ素化合物」という場合
がある)を含有している。
オン性、ノニオン性及び両性のフッ素系界面活性剤を使
用できる。本発明の封孔処理剤において、フッ素系界面
活性剤を配合する場合は、1種を単独でまたは2種以上
を混合して使用することができる。
酸塩、硫酸塩、スルホン酸塩、リン酸塩、ホスホン酸
塩、リン酸エステル等を使用できる。カチオン性界面活
性剤としては、アミノハロゲン塩、第四級アンモニウム
塩等を使用できる。ノニオン性界面活性剤としては、ポ
リオキシエチレンエーテル型、ポリオキシエチレンエス
テル型、ソルビタンエステル型等を使用できる。両性フ
ッ素系界面活性剤としては、ベタイン型、イミダゾリン
型等を使用できる。
は、パーフルオロ基を含有する界面活性剤が好ましく、
パーフルオロ基を含有するノニオン性のフッ素系界面活
性剤がより好ましく、その中でもポリオキシエチレンエ
ーテル型が特に好ましい。
有する界面活性剤を使用できる。以下の一般式中、Rfは
パーフルオロアルキル基またはパーフルオロアルケニル
基を示し、これらの炭素数としては、1〜30程度が好
ましく、1〜20程度が好ましい。Mは一価の金属、例
えばアルカリ金属(具体的には、Na,K等)を示す。ま
た、下記に例示される界面活性剤において、nは好まし
くは1〜30の整数を示し、より好ましくは1〜20の
整数を示し、mは好ましくは1〜30の整数を示し、よ
り好ましくは1〜20の整数を示す。Rは、それぞれ同
一でも異なっていてもよく、水素原子または非置換もし
くは置換の一価炭化水素基であり、好ましくは炭素原子
数1〜10、より好ましくは炭素原子数1〜6の非置換また
は置換の一価炭化水素基である。Rで示される非置換も
しくは置換の一価炭化水素基は、例えば、メチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキ
ル基;ビニル基、アリル基等のアルケニル基;フェニル
基、トリル基等のアリール基;シクロヘキシル基等のシ
クロアルキル基;これらの炭化水素基の炭素原子に結合
した水素原子の一部もしくは全部がハロゲン原子(例え
ば、Cl, Brなど)で置換されたハロゲン化炭化水素基等
である。
CH=CH(CH2)nCOONa,RfO(CH2)COOH,RfCH2CH2OCH2CH2COOH,
RfOC6H4COONa,RfCH2CH2SCH2CH2COONa,RfCONH(CH2)5COON
a,RfSO2NH(CH2)3N(CH2COONa)2,RfSO3H CnF2n+1SO3N(C2H
5)4,CnF2n+1CH2CH2SO3NH4,CnF2n+1(CH2)mSO3Na,CnF2n+1
C6H4SO3H,CnF2n+1OC6H4SO3H,(CnF2n+1)3OC(CH2)3SO3K,
(CF3)2C=C(CF3)OC6H4SO3Na,C3nF6n-1OC6H4SO3K,RfCONR
(CH2)SO3Na,RfCH2OSO3Na,CF3(CF2)nCH2CH2OP(O)(OH)2,C
6F13CH=C(CF3)OPO(OH)2,F−(CF(CF3)CFO)n−CF(CF3)CH2
CH2CH2SO3H
+(CH3)3Cl-,(CF3)2CF(CF2)6CH2CH(OH)CH2N+(CH3)3Cl-,R
fCONH(CH2)3N+(CH3)Cl-,RfSO2NH(CH2)3N+(CH3)3Cl-,CnF
2n+1SO2O(CH2)N+(CH3)3Cl-,CnF2n+1(CH2)mN+(CH3)3Br-
2(CF2CF2)mCH2CH2O(CH2CH2O)nH,(CF3)2CFO(CH2)6O(CH2C
H2O)nH,CF3CHFCF2CH2O(CH(CH3)CH2O)mH,CnF2n+1CH2CH(O
H)CH2OC2H5,CnF2n+1C2H4SO2NH(CH2CH(CH2OH)O)nH,C6F
5(OCH2CH2)10OH,CnF2n+1CONH(CH2CH2O)mH,CnF2n+1CONH
(CH2)3N(CH2CH2OH)2,CnF2n+1CON[(CH2CH2O)mH]2CnF2n+1
CH2CH2SO2N(CH3)CH2CH2OH
H3)2CH2COO-これらの中でも、本発明の封孔処理剤に配
合するフッ素系界面活性剤としては、ノニオン性のフッ
素系界面活性剤が好ましくポリオキシエチレンエーテル
型がより好ましい。
含フッ素シラザン化合物または含フッ素シラン化合物を
使用できる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混
合して使用することができる。本発明の封孔処理剤にお
いて用いることができる含フッ素シラザン化合物及び含
フッ素シラン化合物としては、下記のものが例示でき
る。
ザン化合物としては下記一般式(I)で表されるパーフ
ルオロ基を含有するシラザン化合物を使用できる。 [(RfQ)aSi(R1)b(NR2)2-0.5a-0.5b]n (I) 一般式(I)において、R1は、それぞれ同一でも異なっ
ていてもよく、水素原子または非置換もしくは置換の一
価炭化水素基であり、好ましくは炭素原子数1〜10、よ
り好ましくは炭素原子数1〜6の非置換または置換の一価
炭化水素基である。R1で示される非置換もしくは置換の
一価炭化水素基は、例えば、メチル基、エチル基、プロ
ピル基、ブチル基、ヘキシル基等のアルキル基;ビニル
基、アリル基等のアルケニル基;フェニル基、トリル基
等のアリール基;シクロヘキシル基等のシクロアルキル
基;これらの炭化水素基の炭素原子に結合した水素原子
の一部もしくは全部がハロゲン原子(例えば、Cl, Brな
ど)で置換されたハロゲン化炭化水素基等である。
でも異なっていてもよく、水素原子またはアルキル基で
あり、好ましくは水素原子である。R2で示される該当す
るアルキル基は、例えば、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ヘキシル基等の炭素原子数1〜6のアル
キル基である。
でも異なっていてもよく、炭素原子数1〜20のパーフル
オロアルキル基または炭素原子数5〜32のパーフルオロ
アルキルエーテル基である。Rfは、例えばCiF2i+1−で
表されるパーフルオロアルキル基;F−(CF(CF3)CF2O)j
−CF(CF3)−で表されるパーフルオロエーテル基であ
る。iは1〜20の整数、jは1〜10の整数である。
は−SO2N(R3)ClH2l−で表される二価の有機基である。m
は2〜4の整数、lは1〜4の整数、R3は炭素原子数1〜4の
アルキル基である。
H2CH2−基、−CH2CH2CH2−基等のアルキレン基;−SO2N(C
3H7)CH2CH2CH2−基である。
り、bは0〜2の整数であり、かつ、a+bは1〜3の整数であ
る。nは1以上の整数、通常は2〜100の整数である。
化合物の具体的な例としては、[CF3CH2CH2Si(CH3)2]2N
H,[RfCH2CH2Si(H)NH]n, [RfSO2NHCH2CH2Si(H)NH]nなど
が挙げられる。
化合物は、特公平3-19276号公報や特開平3-290437号公
報に示されるように、シラン化合物とアンモニアまたは
第一アミンとを反応させる方法によって製造することが
できる。
化合物としては、下記一般式(II)で表される,パーフ
ルオロ基を含有するシラン化合物を使用できる。 (RfQ)aSi(R4)4-a (II) 一般式(II)において、R4は、それぞれ同一でも異なっ
ていてもよく、−H、−CH3、−OCH3、−OC2H5、−Clのいず
れかである。Rfは、それぞれ同一でも異なっていてもよ
く、炭素原子数1〜20のパーフルオロアルキル基、また
は炭素原子数5〜32のパーフルオロアルキルエーテル基
である。Rfは、例えば、CiF2i+1−で表されるパーフル
オロアルキル基;F−(CF(CF3)CF2O)j−CF(CF3)−で表さ
れるパーフルオロエーテル基である。ここで、iは1〜20の
整数、jは1〜10の整数である。
は−SO2N(R3)ClH2l−で表される二価の有機基である。m
は2〜4の整数、lは1〜4の整数、R3は炭素原子数1〜4の
アルキル基である。Qに該当する二価の有機基は、例え
ば、−CH2CH2−基、−CH2CH2CH2−基等のアルキレン
基;−SO2N(C3H7)CH2CH2CH2−基である。aは1〜3の整数
である。一般式(II)で表される含フッ素シラン化合物
の具体的な例としては、以下の含フッ素シラン化合物が
例示される。 n−C6F13CH2CH2Si(OCH3)3 CF3CF2CF2C(CF3)2CH2CH2CH2Si(CH3)2Cl n−C8F17−SO2N(C3H7)CH2CH2CH2Si(OCH3)3 F−(CF(CF3)CF2O)2−CF(CF3)CH2CH2Si(C2H5)Cl2
封孔処理剤に配合する場合には、塗布作業時および塗布
後の自然乾燥時にクロロシラン系の含フッ素化合物が水
分等と反応して塩化水素を発生するため、塩化水素の発
生が好ましくない場合には、アルコキシシラン系の含フ
ッ素化合物を用いることにより、塩化水素の発生を防止
することができる。
剤およびパーフルオロ基含有有機ケイ素化合物からなる
群から選ばれる少なくとも1種(含フッ素化合物)の配
合量は、基地金属や溶射材の種類、溶射方法、溶射皮膜
の膜厚、気孔率等の諸条件により異なるが、通常、封孔
処理剤全重量に対して、0.01〜30質量%程度、好ましく
は0.05〜10質量%程度である。0.01質量%以上であると、
フッ素化合物による浸透性向上作用が発揮されやすく、
30質量%以下であると量に比例した浸透性の向上作用を
得ることができるので好ましい。
て他の成分を、重合性有機溶剤に溶解乃至懸濁させるこ
とにより、溶射皮膜中の気孔への浸透性が良好な封孔処
理剤を調製することができる。
素地基材に、常法に従って形成された溶射皮膜の封孔処
理に用いることができる。本発明の封孔処理剤は、公知
の浸透・含浸方法、例えば、スプレーガンによる吹き付
け、はけ塗り、浸漬すること等により、封孔処理剤を溶
射皮膜に浸透させることができる。封孔処理剤の使用量
は、溶射皮膜の気孔率などに応じて適宜設定することが
できる。封孔処理剤を浸透させた後は、重合性有機溶剤
が反応できるような条件で反応させればよく、例えば、
110〜130℃にて1.5〜2.5時間程度加熱する
ことにより封孔処理を施すことができる。
合すればよく、合成樹脂は必ずしも反応していなくても
よい。例えば、不飽和ポリエステル樹脂のように分子中
に二重結合を有していれば、それら合成樹脂同士で、或
いは合成樹脂と重合性有機溶剤とが重合してもよい。ま
た、エポキシ樹脂のように、それ自身で架橋できる樹脂
(自己架橋性樹脂)であれば、重合性有機溶剤が重合す
るのと同時に硬化してもよい。また、エポキシ樹脂、ウ
レタン樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂などを合成
樹脂として用い、硬化剤を配合している場合には、重合
性有機溶剤が重合するのと同時に、これら樹脂が硬化剤
により硬化してもよい。
り、ある粒径分布を有した多数の粒子が積層して形成さ
れた皮膜である。粒子境界が不可避に存在するので、皮
膜形成の直後から水分の侵入など、大気中の環境条件の
影響を受けることが多い。従って、溶射皮膜の封孔処理
を溶射後できる限り早く行うことにより、封孔効率の低
下を抑制できる。よって、本発明の封孔処理剤を用いて
封孔処理を行う場合も、溶射後、速やかに封孔処理を行
うことが望ましい。
表面、溶射材として金属(Al, Zn,Cr, Ni等)、合金
(ステンレス鋼等)、酸化物セラミックス(アルミナ、
ジルコニア、チタニア等)、炭化物サーメット(クロム
炭化物、タングステン炭化物等)等を用い、公知の溶射
方法、例えばプラズマ溶射法、高速ガス炎溶射法等によ
り得られた溶射皮膜の気孔を封孔処理することができ
る。溶射皮膜の膜厚は、溶射材料の種類や得られる溶射
皮膜被覆部材の用途に応じて適宜設定することができる
が、通常、炭素鋼を基材として、溶射材をアルミナとし
た場合、20〜3000μm程度、好ましくは40〜2
500μm程度であり、炭素鋼を基材として、溶射材を
WCサーメットとした場合、20〜400μm程度、好
ましくは40〜250μm程度である。
溶射皮膜において溶射皮膜を形成している粒子積層構造
の影響をうけるので、溶射皮膜の粒子積層構造に最適な
封孔処理剤を選択するのが望ましい。
溶射、高速ガス炎溶射法によって形成した気孔率が10
%以下の金属、合金、酸化物セラミックス皮膜の封孔処
理に好ましく用いることができる。また、本発明の封孔
処理剤は、プラズマ溶射、高速ガス炎溶射法によって形
成した気孔率5%以下の炭化物サーメット皮膜の封孔処理
に好ましく用いることができる。本発明の封孔処理剤を
用いてこれら溶射皮膜の封孔処理を行った場合、非常に
優れた封孔効果を示し、表層を、例えば200μm程度、研
削除去しても封孔効果の存在が認められる。
ば、溶射皮膜の気孔(間隙)が合成樹脂及び重合性有機
溶剤の重合物で実質的に全て充填されている溶射皮膜被
覆部材を得ることができる。
と、溶射皮膜層の上に封孔処理剤による塗膜上の薄い層
(封孔処理剤に含まれる合成樹脂、合成樹脂の硬化物、
重合性有機溶剤の重合体などを含む)が形成される。か
かる被覆部材はそのまま使用することもできるが、被覆
部材の寸法精度を保つためには、研削砥石、研磨紙、不
織布バフなどを用いて溶射皮膜の表面を研削・研磨して
かかる層を除去することができる。
隙)が「実質的に全て充填されている」とは、溶射皮膜
表面に塗膜形態で存在している封孔処理剤により形成さ
れた層(封孔処理剤に含まれる合成樹脂、合成樹脂の硬
化物、重合性有機溶剤の重合体などからなる)を含めた
溶射皮膜の最外層部分(例えば、表面から厚さ0.5mm程
度)を研削・研磨して除去した後、JIS Z 2343に基づく
染色浸透試験において、着色が見られないことを意味す
る。
が全ては充填されていないため、寸法精度を保つために
表面を研削又は研磨などした場合、溶射皮膜の最外層部
分から封孔処理剤が除去されると、封孔処理の効果が充
分に発揮されない、或いは効果が無くなっていたが、本
発明の封孔処理剤を用いると、溶射積層粒子の間隙が確
実に埋めらるれので、かかる場合にも封孔処理の効果が
失われず十分発揮される。また、従来は使用する過程で
の摩耗により、封孔処理による効果が失われていたが、
本発明の封孔処理剤によれば、溶射皮膜表面が使用の過
程において摩耗しても効果が持続する。さらに、封孔処
理剤が溶射皮膜底部まで浸透し充填性が向上することに
より、溶射積層粒子の間隙が確実に埋められたことで粒
子間の個々の結合力が増大するために、溶射皮膜の機械
的強度が向上する。溶射積層粒子の間隙が全て埋められ
ると、大気中における環境水分の侵入が防止され、酸化
物セラミックス溶射皮膜の固有の値を低減させることな
く、絶縁抵抗値及び絶縁破壊値の低下が抑制される。
皮膜の気孔を充填する方法は、溶射皮膜の機械的強度を
高める手段、絶縁抵抗値及び絶縁破壊値の低下抑制手段
などとして利用できるものである。
する。なお、本発明は、これら実施例により限定される
ものではない。なお、実施例および比較例中、%および
部は、特記しない限り重量基準である。
0;数平均分子量約370)100重量部とノニオン性のフッ
素系界面活性剤(株式会社ネオス製「FTX-218」)0.3重
量部を、スチレンモノマー30重量部で希釈して、封孔処
理剤溶液(A1)を調製した。
て、Al2O3-3%TiO2の大気プラズマ溶射を行い、皮膜厚さ
700μmの溶射皮膜を得た。該溶射皮膜に対して、封孔処
理剤溶液(A1)100重量部とテトラヒドロメチル無水フ
タル酸55重量部の混合物を、はけ塗りで塗布し浸透さ
せ、120℃で2時間焼成することにより、グレーアルミナ
溶射被覆鋼板を得た。
わりにキシレン樹脂(重量平均分子量約600)を使用
し、テトラヒドロメチル無水フタル酸を使用しない以外
は、実施例1と同様にして、封孔処理剤溶液(A2)を調
製した。
ーアルミナ溶射被覆鋼板を得た。
ザン(信越化学工業株式会社製「KP-801M」)を使用し
た以外は実施例1と同様にして封孔処理剤溶液(A3)を
調製した。その後、該封孔処理剤溶液を用いて実施例1
と同様の処理を行いグレーアルミナ溶射被覆鋼板を作製
した。
い、グレーアルミナ溶射被覆鋼板を得た。
に変えてキシレンを使用し、ノニオン性のフッ素系界面
活性剤を使用しない以外は、実施例1と同様にして、封
孔処理剤溶液(B1)を調製した。その後、実施例1と同
様の処理を行いグレーアルミナ溶射被覆鋼板を作製し
た。
使用した以外は、実施例1と同様にして封孔処理剤溶液
(B2)を調製した。その後、実施例1と同様の処理を行
いグレーアルミナ溶射被覆鋼板を作製した。
験片に対して、砥石研削による表層部の強制除去加工を
おこない、封孔処理剤の処理効果を調べた。処理効果
は、封孔処理剤の浸透深さと、浸透により溶射積層構造
の間隙が充填されることによるバリア性の向上を中心に
観察した。試験方法を以下に述べる。
び比較例1〜2をそれぞれ6試料準備し、研削除去のない
もの、表層からそれぞれ50、100、200、300、500μm研
削除去したものを作製した。35℃、5%酢酸水溶液中に試
料を浸漬し、基材の腐食、溶射皮膜のふくれ、剥離など
の挙動を観察した。結果を表1に示す。
するため、封孔処理をおこなった皮膜面に対し、JIS Z
2343に基づく染色浸透液の浸透指示模様の発現挙動を調
べた(着色することは隙間があり、染色浸透液が浸透し
たことを示す。)。結果を表1に示す。
強度向上を確認するため、以下の試験を行なった。
表層部分を100μm研削除去した試験片に対し、WA#6
0アルミナグリットを3kg/cm2圧縮空気を搬送体として吹
き付け、単位時間あたりのエロージョン減量を測定し
た。結果を表2に示す。
よれば、本発明の封孔処理を施した試験片の摩耗減量は
比較例1と比べて80%程度にとどまった。このことは、
本発明の封孔処理剤により溶射皮膜の気孔(間隙)を充
填することにより、溶射積層粒子の個々の結合力が増加
していることを示す。
5mmのSS400鋼の表面に、実施例1および比較例1と同様に
して溶射皮膜を形成して試験片を得た。これら試験片を
80℃の温水に1時間浸漬後、1000VDC絶縁抵抗計を用い
て、溶射皮膜表面と鋼基材間の絶縁抵抗を測定した。実
施例1の絶縁抵抗値は2000MΩであり、比較例1の試験
片は0.02MΩであった。皮膜内への水分の侵入によると
考えられる導通現象を、封孔処理により防止することに
よってアルミナ本来の絶縁抵抗値の低下は抑制された。
鋼基材の間にDC5kVの電圧をかけて耐電圧特性を評価し
た。実施例1の試験片は10分間安定して絶縁性が維持さ
れたが、比較例1の試験片は、電圧印加の直後に火花放
電が生じ、絶縁破壊を起こした。
より溶射皮膜の気孔(間隙)を充填することによって大
気中で環境水分の侵入を防止して、酸化物セラミックス
溶射皮膜の固有の値を低減させることなく、絶縁抵抗値
及び耐電圧特性の低下を抑制できることを示している。
び本発明の封孔処理剤により封孔処理した溶射皮膜の表
層部分を研削除去したのちの封孔処理剤の充填状況を詳
細に検討した。
り、表3に示す材料の溶射皮膜を形成した。溶射材料の
条件とで決定された皮膜断面の気孔率は表3のとおりで
あった。これらに実施例1で調製した封孔処理剤(A1)
で封孔処理を施し、表層部分を除去しないもの、50μm
研削除去したもの、200μm研削除去したものの3種類の
試料を得た。
メット溶射皮膜、一部の合金溶射皮膜に対しては、人造
ダイヤモンド砥石を、その他の合金溶射皮膜に対しては
炭化珪素と粒砥石、アルミナと粒砥石を用いて研削を行
った。
調製した封孔処理剤(B2)で封孔処理を施した。その
後、実施例4と同様の研削除去処理を行った。
例4について、JIS Z 2371に基づく塩水噴霧試験をおこ
ない、封孔処理の程度と相関性を有するSS400鋼基材保
護性を評価した。表3に結果を示す。
態の溶射材料の粒度範囲を示す。
00鋼基材の腐食による赤錆が暴露時間400hまでに被覆層
表面に露呈したものは×、そうでないものは○で表示し
た。
内、特に特定の気孔率特性を有するプラズマ溶射皮膜、
高速ガス炎溶射皮膜内に存在する気孔を充填して環境遮
断性を高め、溶射皮膜の耐食性,基材保護性および機械
的強度を向上させることが可能となる。本発明の封孔処
理剤を用いた封孔処理方法によれば、浸透性向上のため
の加圧または減圧雰囲気など特殊な環境を必要とせず、
比較的手軽に封孔処理を行うことができる。
を行うと、溶射皮膜に対する浸透性に優れ、封孔処理後
に溶射皮膜表面を研削・研磨加工したり、あるいは表面
が擦過履歴をうけてその表層部分が取り除かれた場合で
も、皮膜内になお存在する封孔処理剤が溶射皮膜自体の
環境遮断性を維持するとともに、基材保護性を大幅に向
上させ、さらに機械的強度、耐摩耗性、体積抵抗率、耐
電圧特性などを向上させることが可能となる。
Claims (11)
- 【請求項1】 (i)合成樹脂、(ii)重合性有機溶剤、並
びに(iii)フッ素系界面活性剤及びパーフルオロ基含有
有機ケイ素化合物からなる群から選ばれる少なくとも1
種を含有する封孔処理剤。 - 【請求項2】 合成樹脂の数平均分子量が、100〜1
0,000である請求項1に記載の封孔処理剤。 - 【請求項3】 重合性有機溶剤が、重合性ビニル基含有
モノマーである請求項1に記載の封孔処理剤。 - 【請求項4】 フッ素系界面活性剤が、パーフルオロ基
を含有するフッ素系界面活性剤である請求項1に記載の
封孔処理剤。 - 【請求項5】 パーフルオロ基含有有機ケイ素化合物
が、シラン化合物及びシラザン化合物からなる群から選
ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の封孔処理
剤。 - 【請求項6】 溶射皮膜の気孔に請求項1〜5のいずれ
かに記載の封孔処理剤を浸透させ、次いで重合性有機溶
剤を重合させることを特徴とする溶射皮膜の封孔処理方
法。 - 【請求項7】 溶射皮膜が、金属、合金、酸化物セラミ
ックスまたは炭化物サーメットからなる皮膜であること
を特徴とする請求項6に記載の方法。 - 【請求項8】 基材表面に溶射皮膜を形成し、得られた
溶射皮膜の気孔に請求項1〜5のいずれかに記載の封孔
処理剤を浸透させ、次いで重合性有機溶剤を重合させて
溶射皮膜の封孔処理を行うことを特徴とする溶射皮膜被
覆部材の製造方法。 - 【請求項9】 溶射皮膜の封孔処理を行った後、該溶射
皮膜の表面に存在する封孔処理剤により形成された層
を、研削乃至研磨により除去することを特徴とする請求
項8に記載の製造方法。 - 【請求項10】 請求項8又は9に記載の方法により得
られる溶射皮膜被覆部材。 - 【請求項11】 請求項8又は9に記載の方法により得
られ、溶射皮膜の気孔が合成樹脂及び重合性有機溶剤の
重合物で実質的に全て充填されている溶射皮膜被覆部
材。
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