JP2003183381A - ポリカーボネートの製造方法 - Google Patents

ポリカーボネートの製造方法

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JP2003183381A
JP2003183381A JP2001381392A JP2001381392A JP2003183381A JP 2003183381 A JP2003183381 A JP 2003183381A JP 2001381392 A JP2001381392 A JP 2001381392A JP 2001381392 A JP2001381392 A JP 2001381392A JP 2003183381 A JP2003183381 A JP 2003183381A
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Kazuteru Hatono
和輝 鳩野
Toru Sawaki
透 佐脇
Katsuji Sasaki
勝司 佐々木
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 揮発性物質を含む芳香族ポリカーボネートを
噛み合い型2軸ルーダーを用いて脱揮処理するに際し、
着色、架橋、ゲル発生等の滞留劣化を引き起こさずに、
異物含有量が極めて少ない揮発性物質が低減された芳香
族ポリカーボネートを製造する。 【解決手段】 2軸押し出し機を用いて溶融状態の芳香
族ポリカーボネートを脱揮処理して、該芳香族ポリカー
ボネート中に含まれる揮発性物質の少なくとも1種を8
0%以上除去する方法において、処理して得られる芳香
族ポリカーボネート中の0.5μm以上の異物含有量の
増加が脱揮処理前の芳香族ポリカーボネートの異物含有
量と比べて2000個/g以下とし、かつ処理して得ら
れた芳香族ポリカーボネート中のゲル含有量の増加が脱
揮処理前の芳香族ポリカーボネートのゲル含有量と比べ
て50個/Kg以下とする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、芳香族ポリカーボ
ネートの製造方法に関し、詳しくは芳香族ポリカーボネ
ートの着色、架橋、ゲル発生等の劣化を引き起こさず
に、揮発性物質が低減した芳香族ポリカーボネートを製
造する製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】芳香族ポリカーボネートは耐衝撃性等の
機械的物性や透明性に優れており、種々の用途に広く用
いられている。芳香族ポリカーボネートの製造方法とし
てはメチレンクロライド等のハロゲン化炭化水素を溶媒
として芳香族ジヒドロキシ化合物とホスゲンを直接反応
させる界面法、あるいは芳香族ジヒドロキシ化合物と炭
酸ジエステルとを加熱減圧下においてエステル交換反応
させる溶融法などが知られている。
【0003】この様にして製造された芳香族ポリカーボ
ネートは製造過程で使用された原料モノマーや末端封止
剤や溶剤や重合で副生した物質や低重合度のオリゴマー
等の揮発性物質を含み、このまま使用すると成形の際に
使用した金型を汚染したり、ポリマーの耐熱性を低下さ
せたり、成形物に形成した金属膜を腐食させる等の問題
がある。この為、重合で得られた芳香族ポリカーボネー
トを脱揮処理して含まれる揮発性物質を低減する事が行
われており、通常、噛み合い型2軸ルーダーを用いた処
理が一般的に実施されている。しかし、芳香族ポリカー
ボネートを溶融状態で噛み合い型2軸ルーダーで処理す
る場合、この処理の過程で芳香族ポリカーボネートの着
色、架橋、ゲル発生等が生じるとともに、該ポリカーボ
ネート中の異物含有量も増加し、製品品質に多大な影響
を生じさせていた。
【0004】特に近年、DVD、MO、CDRなどの高
密度、高精度が必要な光学用途において使用される芳香
族ポリカーボネートでは、着色の問題やゲルの問題は直
接的に最終製品のブロックエラーレートなどの光学特性
および引張り、曲げ、靭性などの機械特性に影響を及ぼ
すため、このような問題は深刻である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、芳香
族ポリカーボネートの製造方法に関し、特に重合して得
られた揮発性物質を含む芳香族ポリカーボネートを噛み
合い型2軸ルーダーを用いて脱揮処理するに際し、着
色、架橋、ゲル発生等の滞留劣化を引き起こさずに、異
物含有量が極めて少ない揮発性物質が低減された芳香族
ポリカーボネートを製造する方法を提供することにあ
る。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明によれば、本発明
の上記目的および利点は、噛み合い型2軸ルーダーを用
いて溶融状態の芳香族ポリカーボネートを処理して、該
芳香族ポリカーボネート中に含まれる揮発性物質の少な
くとも1種を80%以上除去すると共に、処理して得ら
れる芳香族ポリカーボネート中の0.5μm以上の異物
含有量の増加が脱揮処理前の芳香族ポリカーボネートの
異物含有量と比べて2000個/g以下であり、処理し
て得られる芳香族ポリカーボネート中のゲル含有量の増
加が脱揮処理前の芳香族ポリカーボネートのゲル含有量
と比べて50個/Kg以下である事を特徴とする方法で
あり、少なくとも1対のマテリアルシールを介して隣接
配置された混練部とベント部を有する噛み合い型2軸ル
ーダーを用い、該混練部にポリマーに対し0.1wt%
以上の水を小さな脈動を有するかあるいは脈動の無い状
態で注入し、5Kg/cm2以上の圧力で混練後、該ベ
ント部から100Torr(13300Pa)以下の圧
力で水と共に芳香族ポリカーボネートに含まれる揮発性
物質を除去する事を特徴とする方法であり、更には水の
注入圧力の変動を5Kg/cm2以下とする事を特徴と
する製造方法によって達成される。
【0007】本発明においてルーダーに供給する芳香族
ポリカーボネートは溶融状態でもよく、溶液状態でも良
く、固体状態でも良い。粉体状又はペレット状の固体の
ポリカーボネートをルーダーに供給し処理する場合にお
いては、供給部分は加熱されておらず、固体状態でスク
リューの回転により圧縮されつつルーダーの内部に送ら
れ、内部に設けられた溶融ゾーンで加熱溶融され、しか
る後、本発明に従って脱揮処理を行う。溶液状態のポリ
カーボネートをルーダーに供給し処理する場合において
は、脱揮処理を行う前に予め加熱、減圧処理を行い、溶
剤を除去して溶融状態のポリカーボネートとし、しかる
後、本発明に従って脱揮処理を行う。
【0008】本発明に使用する芳香族ポリカーボネート
の製造方法に制限は無く、公知の製造方法が使用でき
る。この様な製造方法として、例えば、芳香族ポリカー
ボネートを溶解できる公知の溶剤中で、公知の酸受容体
を触媒として、分子量調製剤の存在下、2価フェノール
とホスゲンのようなカーボネート前駆体との反応によっ
て製造する方法(界面重合法)がある。界面重合法で使
用される公知の溶剤としては、例えば、クロロホルム、
塩化メチレン、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素、ベ
ンゼンなどの芳香族炭化水素が用いられる。公知の酸受
容体としては、例えば、トリメチルアミン、トリエチル
アミン、トリブチルアミン、ピリジン、キノリン、トリ
アジン類等が用いられる。公知の分子量調整剤(末端封
止剤)としては、例えば、t−ブチルフェノール、クミ
ルフェノール、p−クロロフェノール、p−メトキシフ
ェノール等のモノフェノール類が用いられる。また、界
面重合法においてはアルキルスルホン酸ナトリウム等の
界面活性剤が用いられることもある。この様な界面重合
法を用いた場合、本発明で処理する芳香族ポリカーボネ
ートは一般に溶液や固体の状態で得られる。一方、芳香
族ジオール化合物と炭酸エステルとを塩基性窒素化合物
とアルカリ金属化合物よりなるエステル交換触媒等の存
在下、溶融重縮合させて製造する方法では重合器から溶
融状態の芳香族ポリカーボネートが得られる。この為、
芳香族ポリカーボネートを再溶融させる事無く、直接ル
ーダーに供給する事が可能であり、本発明の処理に好ま
しい。
【0009】本発明に使用する芳香族ポリカーボネート
の溶融重合法による製造方法を更に詳しく説明する。溶
融重縮合に使用される芳香族ジオール化合物としては、
具体的にはビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、
2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)
プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘ
プタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジク
ロロフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキ
シ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、ビス(4−
ヒドロキシフェニル)オキサイド、ビス(3,5−ジク
ロロ−4−ヒドロキシフェニル)オキサイド、p,p′
−ジヒドロキシジフェニル、3,3′−ジクロロ−4,
4′−ジヒドロキシジフェニル、ビス(ヒドロキシフェ
ニル)スルホン、レゾルシノール、ハイドロキノン、
1,4−ジヒドロキシ−2,5−ジクロロベンゼン、
1,4−ジヒドロキシ−3−メチルベンゼン、ビス(4
−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロ
キシフェニル)スルホキシド等が挙げられるが、特に
2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好
ましい。
【0010】炭酸ジエステルとしては、具体的にはジフ
ェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ビス
(クロロフェニル)カーボネート、m−クレジルカーボ
ネート、ジナフチルカーボネート、ビス(ジフェニル)
カーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボ
ネート、ジブチルカーボネート、ジシクロヘキシルカー
ボネートなどが用いられる。これらのうち特にジフェニ
ルカーボネートが好ましい。
【0011】さらに、本発明のポリカーボネートには必
要に応じて、脂肪族ジオールとして、例えば、エチレン
グリコール、1,4−ブタンジオール、1,4−シクロ
ヘキサンジメタノール、1,10−デカンジオール等
を、ジカルボン酸類として、例えば、コハク酸、イソフ
タル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸、アジピン
酸、シクロヘキサンカルボン酸、テレフルタ酸等;オキ
シ酸類例えば、乳酸、P−ヒドロキシ安息香酸、6−ヒ
ドロキシ−2−ナフトエ酸等を含有していても良い。
【0012】触媒として用いられるアルカリ金属化合物
としては、例えばアルカリ金属の水酸化物、炭酸水素化
物、炭酸塩、酢酸塩、硝酸塩、亜硝酸塩、亜硫酸塩、シ
アン酸塩、チオシアン酸塩、ステアリン酸塩、水素化ホ
ウ素塩、安息香酸塩、リン酸水素化物、ビスフェノー
ル、フェノールの塩等が挙げられる。
【0013】具体例としては、水酸化ナトリウム、水酸
化カリウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭
酸水素カリウム、炭酸水素リチウム、炭酸ナトリウム、
炭酸カリウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カ
リウム、酢酸リチウム、硝酸ナトリウム、硝酸カリウ
ム、硝酸リチウム、亜硝酸ナトリウム、亜硝酸カリウ
ム、亜硝酸リチウム、亜硫酸ナトリウム、亜硫酸カリウ
ム、亜硫酸リチウム、シアン酸ナトリウム、シアン酸カ
リウム、シアン酸リチウム、チオシアン酸ナトリウム、
チオシアン酸カリウム、チオシアン酸リチウム、ステア
リン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン
酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、水素化ホウ素カ
リウム、水素化ホウ素リチウム、フェニル化ホウ酸ナト
リウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息
香酸リチウム、リン酸水素ジナトリウム、リン酸水素ジ
カリウム、リン酸水素ジリチウム、ビスフェノールAの
ジナトリウム塩、ジカリウム塩、ジリチウム塩、フェノ
ールのナトリウム塩、カリウム塩、リチウム塩などが挙
げられる。
【0014】触媒としてのアルカリ金属化合物は、当該
触媒中のアルカリ金属元素が芳香族ジオール化合物1モ
ル当り1×10-8〜5×10-5当量となる場合で好まし
く使用される。より好ましい割合は同じ基準に対し5×
10-7〜1×10-5当量となる割合である。上記使用範
囲を逸脱すると、得られるポリカーボネートの諸物性に
悪影響を及ぼしたり、また、エステル交換反応が充分に
進行せず高分子量のポリカーボネートが得られない等の
問題があり好ましくない。
【0015】また、触媒としての含窒素塩基性化合物と
しては、例えばテトラメチルアンモニウムヒドロキシド
(Me4NOH)、テトラエチルアンモニウムヒドロキ
シド(Et4NOH)、テトラブチルアンモニウムヒド
ロキシド(Bu4NOH)、ベンジルトリメチルアンモ
ニウムヒドロキシド(φ−CH2(Me)3NOH)、ヘ
キサデシルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなどの
アルキル、アリール、アルキルアリール基などを有する
アンモニウムヒドロオキシド類、トリエチルアミン、ト
リブチルアミン、ジメチルベンジルアミン、ヘキサデシ
ルジメチルアミンなどの3級アミン類、あるいはテトラ
メチルアンモニウムボロハイドライド(Me4NB
4)、テトラブチルアンモニウムボロハイドライド
(Bu4NBH4)、テトラブチルアンモニウムテトラフ
ェニルボレート(Me4NBPh4)、テトラブチルアン
モニウムテトラフェニルボレート(Bu4NBPh4)な
どの塩基性塩を挙げることができる。
【0016】上記含窒素塩基性化合物は、含窒素塩基性
化合物中のアンモニウム窒素原子が芳香族ジオール化合
物1モル当り1×10-5〜5×10-4当量となる割合で
用いるのが好ましい。より好ましい割合は同じ基準に対
し2×10-5〜5×10-4当量となる割合である。特に
好ましい割合は同じ基準に対し5×10-5〜5×10 -4
当量となる割合である。
【0017】本発明においては所望により、触媒のアル
カリ金属化合物として、(a)周期律表第14族の元素
のアート錯体のアルカリ金属塩または(b)周期律表第
14族の元素のオキソ酸のアルカリ金属塩を用いること
ができる。ここで周期律表第14族の元素とは、ケイ
素、ゲルマニウム、スズのことをいう。
【0018】これらのアルカリ金属化合物を重縮合反応
触媒として用いることにより、重縮合反応を迅速かつ十
分にすすめることができる利点を有する。また、重縮合
反応中に生成する分岐反応のような、好ましくない副反
応を低いレベルに抑えることができる。
【0019】(a)周期率表第14族元素のアート錯体
のアルカリ金属塩としては、特開平7−268091号
公報に記載のものをいうが、具体的には、ゲルマニウム
(Ge)の化合物;NaGe(OMe)5、NaGe
(OEt)3、NaGe(OPr)5、NaGe(OB
u)5、NaGe(OPh)5、LiGe(OMe)5
LiGe(OBu)5、LiGe(OPh)5を挙げるこ
とができる。
【0020】スズ(Sn)の化合物としては、NaSn
(OMe)3、NaSn(OMe)2(OEt)、NaS
n(OPr)3、NaSn(O−n−C6133、Na
Sn(OMe)5、NaSn(OEt)5、NaSn(O
Bu)5、NaSn(O−n−C12255、NaSn
(OEt)、NaSn(OPh)5、NaSnBu2(O
Me)3を挙げることができる。
【0021】また(b)周期律表第14族元素のオキソ
酸のアルカリ金属塩としては、例えばケイ酸(sili
cic acid)のアルカリ金属塩、スズ酸(sta
nic acid)のアルカリ金属塩、ゲルマニウム
(II)酸(germanous acid)のアルカ
リ金属塩、ゲルマニウム(IV)酸(germanic
acid )のアルカリ金属塩を好ましいものとして挙
げることができる。
【0022】ケイ酸のアルカリ金属塩は、例えばモノケ
イ酸(monosilicic acid)またはその
縮合体の酸性あるいは中性アルカリ金属塩であり、その
例としては、オルトケイ酸モノナトリウム、オルトケイ
酸ジナトリウム、オルトケイ酸トリナトリウム、オルト
ケイ酸テトラナトリウムを挙げることができる。
【0023】スズ酸のアルカリ金属塩は、例えばモノス
ズ酸(monostanic acid)またはその縮
合体の酸性あるいは中性アルカリ金属塩であり、その例
としてはモノスズ酸ジナトリウム塩(Na2SnO3・x
2O、x=0〜5)、モノスズ酸テトラナトリウム塩
(Na4SnO4)を挙げることができる。
【0024】ゲルマニウム(II)酸(germanou
s acid)のアルカリ金属塩は、例えばモノゲルマ
ニウム酸またはその縮合体の酸性あるいは中性アルカリ
金属塩であり、その例としてはゲルマニウム酸モノナト
リウム塩(NaHGeO2)を挙げることができる。
【0025】ゲルマニウム(IV)酸(germanic
acid)のアルカリ金属塩は、例えばモノゲルマニ
ウム(IV)酸またはその縮合体の酸性あるいは中性アル
カリ金属塩であり、その例としてはオルトゲルマニウム
酸モノリチウム酸(LiH3GeO4)オルトゲルマニウ
ム酸ジナトリウム塩、オルトゲルマニウム酸テトラナト
リウム塩、ジゲルマニウム酸ジナトリウム塩(Na2
25)、テトラゲルマニウム酸ジナトリウム塩(Na
2Ge49)、ペンタゲルマニウム酸ジナトリウム塩
(Na2Ge511)を挙げることができる。
【0026】上記の如き重縮合反応触媒は、触媒中のア
ルカリ金属元素が芳香族ジオール化合物1モル当り1×
10-8〜5×10-5当量となる場合で好ましく使用され
る。より好ましい割合は同じ基準に対し5×10-7〜1
×10-5当量となる割合である。
【0027】本発明の重縮合反応には、上記触媒と一緒
に、必要により、周期律表第14族元素のオキソ酸およ
び同元素の酸化物よりなる群から選ばれる少なくとも1
種の助触媒を共存させることができる。
【0028】これら助触媒を特定の割合で用いることに
より、末端の封鎖反応、重縮合反応速度を損なうことな
く、重縮合反応中に生成し易い分岐反応や、成形加工時
における装置内での異物の生成、やけといった好ましく
ない副反応をより効果的に抑制することができる。
【0029】周期律表第14族元素のオキソ酸として
は、例えばケイ酸、スズ酸、ゲルマニウム酸を挙げるこ
とができる。
【0030】周期律表第14族元素の酸化物としては、
一酸化ケイ素、二酸化ケイ素、一酸化スズ、二酸化ス
ズ、一酸化ゲルマニウム、二酸化ゲルマニウムおよびこ
れらの縮合体を挙げることができる。
【0031】助触媒は重縮合反応触媒中のアルカリ金属
元素1モル(原子)当り、助触媒中の周期律表第14族
の金属元素が50モル(原子)以下となる割合で存在せ
しめるのが好ましい。同金属元素が50モル(原子)を
超える割合で助触媒を用いると、重縮合反応速度が遅く
なり好ましくない。
【0032】助触媒は、重縮合反応触媒のアルカリ金属
元素1モル(原子)当り、助触媒の周期律表第14族の
金属元素が0.1〜30モル(原子)となる割合で存在
せしめるのがさらに好ましい。
【0033】これらの触媒系は、重縮合反応に用いるこ
とにより重縮合反応および末端封止反応を迅速かつ十分
に進めることができる利点を有する。また重縮合反応系
中に生成する分岐反応のような好ましくない副反応を低
いレベルに抑えることができる。
【0034】また溶融重合においても末端封止剤を用い
る事が出来、例えば、t−ブチルフェノールやクミルフ
ェノール等のモノフェノール類、ジフェニルカーボネー
ト、o−クロルフェニルフェニルカーボネートやo−メ
トキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等のジ
アリルカーボネート類を末端封止剤として用いることが
出来る。
【0035】芳香族ジヒドロキシ化合物と炭酸ジエステ
ルとをエステル交換反応させて芳香族ポリカーボネート
を製造する温度及び圧力は特に制限が無く、反応が開始
し、且つ、反応で生成したモノヒドロキシ化合物が反応
系外に速やかに除去される温度及び圧力であれば如何な
る条件でも良いが、150〜200℃の温度及び4.0
×103Pa(30mmHg)〜1.333×104Pa
(100mmHg)の圧力で反応を開始した後、反応の
進行に伴うポリカーボネートの分子量の増大に従って反
応温度を高め、反応圧力を低下させ、最終的には270
〜350℃の温度及び1.333×102Pa(1mm
Hg)以下の圧力で反応を実施する事が一般的である。
【0036】本発明においては、上記の様にして得られ
たポリカーボネートを、溶融状態で同方向の噛み合い型
2軸ルーダーに供給し芳香族ポリカーボネートに含まれ
る揮発性物質の除去を行う。本発明において芳香族ポリ
カーボネートから除去する揮発性物質とは該芳香族ポリ
カーボネートを製造する方法によって異なるが、製造の
際に使用された原料モノマー、分子量調整剤、末端封止
剤、溶剤、製造の際に副生する物質及び低重合度のオリ
ゴマーから選ばれた少なくとも1種であり、常圧沸点が
350℃以下の物質、好ましくは常圧沸点が320℃以
下の物質を主たる対象とする。本発明においてはこの様
な揮発性物質を脱揮処理し、異物を増加させる事無く、
その含有量を脱揮処理を行う前の20%以下、好ましく
は10%以下に低減する。
【0037】本発明の脱揮処理は脱揮助剤として水を使
用して実施する。この為、本発明の脱揮処理に使用する
噛み合い型2軸ルーダーはマテリアルシールを介して隣
接配置された少なくとも1対の混練部とベント部を有す
る2軸押し出し機が好ましい。マテリアルシールは各軸
に一つずつ少なくとも1対のマテリアルシールを有する
ことが望ましい。また、ルーダー内の異物発生を抑制す
るためには、ルーダー内で処理ポリマーの流動が急激に
変化する事を防止する事が重要であり、このために特開
2001−38722号公報に記載されるような特殊な
セグメント構成を持つ2軸ルーダーが好ましく使用され
る。
【0038】即ち、特開2001−38722号公報に
はマテリアルシールの下流側に逆ニーディングユニット
を隣接は位置し、マテリアルシールとベント部に使用さ
れたフルフライトユニットの間に生じるポリマーの不連
続な流れを防止したセグメント構成が開示されている。
【0039】ここで、逆ニーディングユニットは、スク
リュー軸方向の厚みと直角方向の形状が基本的に紡錘形
を為す平板を複数枚積層して構成された攪拌単位であ
る。
【0040】該紡錘形平板は3枚以上積層されることが
好ましい。
【0041】該紡錘形平板のスクリュー軸方向の厚みが
スクリュー直径に対して0.05〜0.5倍の長さを持
つことが好ましい。さらに該紡錘形は長さの最大/最小
比が1.1〜2.0であり、紡錘形長さの最大値がシリ
ンダ本体の直径に対し、0.950〜0.995である
ことが好ましい。
【0042】紡錘形を為す平板は、軸の回転方向をプラ
スとした場合、プラス方向に0度より大きく90度より
小さい位相で、ポリカーボネート進行方向に積層され、
ポリカーボネートを進行方向とは逆に送る機能を持たせ
る。さらに使用される逆ニーディングユニットは、ルー
ダーの回転軸が各々の該紡錘形状平板の長軸と垂直方向
に紡錘形状の中心を貫通しているルーダーの攪拌単位で
ある。
【0043】また、フルフライトユニットとはルーダー
の回転刃が途中で実質的に断絶することなくルーダーの
回転軸に巻きつくように螺旋状に続く回転刃部分であっ
て、ルーダー回転軸の回転によって樹脂の進行方向に当
該樹脂を移動させる方向に螺旋の向きが選ばれているも
のを意味し、樹脂の送液機能が高く、樹脂充満率が低く
なる事からベント部等に使用される。
【0044】また、マテリアルシールとは、その上流部
と下流部とで異なる操作圧力を採る事を可能にする目的
で設置された2軸ルーダーの攪拌単位で、ルーダーの断
面を見た場合にその空間部分が混練される樹脂で実質的
に完全に充満されている部分を含むものを意味し、シー
ルリングユニットやバックフライトユニットがマテリア
ルシールのために用いられる。ここで、シールリングユ
ニットとは、厚みと直角方向の形状が基本的に円形をな
す少なくとも1個の平板で構成され、ルーダー回転軸の
軸心が、当該円板の中心近傍を通って当該円板と垂直方
向にある攪拌単位の対のことを言う。バックフライトと
はルーダーの回転刃が途中で実質的に断絶することなく
ルーダーの回転軸に巻きつくように螺旋状に続く回転刃
部分であって、ルーダー回転軸の回転によって樹脂の進
行方向とは反対の方向に当該樹脂を移動させる方向に螺
旋の向きが選ばれているものを意味する。
【0045】しかしながら、特開2001−38722
号公報に開示されるルーダーを用いて水を脱揮助剤とし
た脱揮処理を行った場合、確かに異物発生量が低下する
ものの、それだけでは不十分であり、条件によっては異
物発生量が増加することが解った。水を脱揮助剤とする
脱揮処理は優れた脱揮効率を有し、比較的高い沸点を有
する揮発性物質、例えば重合原料として使用した炭酸ジ
エステル類などの脱揮に極めて有効な方法である為、本
発明者らは水添加脱揮の上述した問題点を解決すべく鋭
意検討した結果、本発明に到達した。
【0046】本発明によれば、上記の様に重合して得ら
れた芳香族ポリカーボネートに脱揮助剤を添加混練せし
めた後、減圧処理することで不純物、特に揮発性物質の
含有量が極めて少なく、ゲルなどの異物含有量の少な
い、色相に優れた芳香族ポリカーボネートを安定に製造
することができる。
【0047】脱揮助剤の添加混練は、マテリアルシール
部の介在下で、混練部とベント部からなる単位処理ゾー
ンを備えた2軸押出機を使用することが好ましい。単位
処理ゾーンの数は、1つでもよいが複数個所有してもよ
い。
【0048】混練部において脱揮助剤は溶融状態のポリ
カーボネートに添加、混練される。また混練部はベント
部の上流に設置される。
【0049】ベント部にはベント口が設置され、真空ポ
ンプ等によってベント部内は減圧に維持される。
【0050】ここでポリカーボネートと脱揮助剤の混練
は、温度200〜350℃、好ましくは240〜320
℃、圧力10.0MPa以下で0.5MPa以上、好ま
しくは5.0MPa以下で0.5MPa以上の条件で行
う。温度が200℃未満であるとポリカーボネートと安
定剤の混練が困難であり、一方350℃を越えるとポリ
カーボネート樹脂が熱分解を起こすため好ましくない。
【0051】さらに本発明において、ポリカーボネート
を脱揮助剤の存在下で混練させる時間は、混練部でのポ
リカーボネートの平均滞留時間で規定される。複数の単
位処理ゾーンを有する押出機の場合はその総和として表
されるものであるが、0.1〜100秒が好ましい。脱
揮助剤の存在下で混練させる時間がこれより短い場合
は、不純物除去効果が低下するため好ましくない。また
これより長い場合は、脱揮助剤に使用した水によりポリ
カーボネートが加水分解を起こし、分子量が低下してし
まうため好ましくない。
【0052】本発明において、脱揮助剤として使用する
水は不溶性異物やイオン性不純物を含まない水が好まし
く、例えば、イオン交換水や蒸留水や逆浸透水等が好ま
しく使用される。また、その使用量はポリカーボネート
100重量部に対し0.1〜20重量部の割合で添加さ
れる。脱揮助剤の添加量が0.1重量部未満であると、
揮発性物質の除去が不十分であり、一方20重量部を越
えると助剤添加量の割には揮発性物質除去効果が上昇し
ないため、経済的に不利となる。
【0053】複数の単位処理ゾーンを有する場合は、各
々のゾーンにおける脱揮助剤の添加量を上記範囲にする
ことが好ましい。
【0054】本発明において、脱揮助剤として使用する
水は定量的に、流量変動を極力抑えて供給する事が重要
である。水を供給する混練部は上述の通り加圧状態にあ
り、また、水の粘性は小さい為、プランジャーポンプ等
を用いて水を供給する事が一般に実施される。しかしな
がらプランジャーポンプは脈動を生じる事が知られてお
り、その結果、プランジャーポンプを用いて水添加脱揮
を行った場合、脱揮処理後の芳香族ポリカーボネート中
の異物含有量が処理前よりも増加する事が解った。
【0055】混練部に添加する水が脈動するとルーダー
内で異物が発生する原因は明らかではないが、ルーダー
の解体点検でマテリアルシールの下流に劣化したポリカ
ーボネートの付着が認められる事から、供給水の小刻み
な変動により混練部からベント部に流出するポリマー量
が変動し、これによりルーダー内で最も流動状態が変化
するマテリアルシールとフルフライトユニットの間でデ
ッドスペースが生じ、芳香族ポリカーボネートが劣化
し、異物含有量が増加したものと考えられる。特開20
01−38722号公報においては、マテリアルシール
とフルフライトユニットの間に逆ニーディングユニット
を配置し、当該部分のデッドスペース解消を図ったが、
混練部に供給する脱揮水量が変動した場合、これを吸収
する働きは充分でないと考えられる。
【0056】本発明においては脱揮水の供給圧力に変動
を5Kg/cm2以下とする。これを実現する方法に特
に制限はないが、例えば、プランジャーポンプの吐出側
にアキュムレータを設置する方法や多連のプランジャー
ポンプを使用して脈動を消す方法や高吐出圧の遠心ポン
プを使用し、コントロールバルブにより流量を一定に制
御する方法等が挙げられる。このようにする事により、
マテリアルシールとフルフライトユニット間のデッドス
ペースが無くなり異物含有量の少ない芳香族ポリカーボ
ネートを水添加脱揮で製造する事が可能となる。更に、
本発明の効果は特開2001−38722号公報に準
じ、マテリアルシールとフルフライトユニットの間に逆
ニーディングユニットを配置したルーダーを用いて水添
加脱揮を行った場合に顕著となる。
【0057】本発明において、ベント部では真空ポンプ
等により減圧処理し、溶媒ならびに揮発性物質を系外に
除去する。減圧処理条件としては、1.013×105
Pa(760mmHg)以下、好ましくは6.667×
104Pa(500mmHg)以下の圧力で0.1秒間
以上行う。ベント部圧力が1.013×105Pa(7
60mmHg)を越えると添加した脱揮助剤ならびに揮
発性物質を系外に除去できないため好ましくない。
【0058】本発明において、水以外に、窒素、飽和脂
肪族炭化水素、芳香族炭化水素等も脱揮助剤として使用
することが出来るが、その中でも水がコスト的に有利で
あり特に好ましい。
【0059】本発明においては、脱揮処理に先立ち重合
で得られた芳香族ポリカーボネートに安定剤を添加混練
し重合触媒の活性をなくすことで、さらに熱安定性、色
相安定性、耐加水分解性に優れたポリカーボネート樹脂
を製造することができ、溶融重合法で芳香族ポリカーボ
ネートを製造した場合に特に有効である。
【0060】このような安定剤としては公知の安定剤が
有効に使用されるが、この中でもスルホン酸のアンモニ
ウム塩、スルホン酸のホスホニウム塩、スルホン酸のエ
ステルが好ましい。
【0061】ドデシルベンゼンスルホン酸のエステル、
アンモニウム塩、ホスホニウム塩、パラトルエンスルホ
ン酸のエステル、アンモニウム塩、ホスホニウム塩やベ
ンゼンスルホン酸のエステル、アンモニウム塩、ホスホ
ニウム塩を使用することもできる。
【0062】特に、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラ
ブチルホスホニウム塩、パラトルエンスルホン酸テトラ
ブチルアンモニウム塩が好ましい。
【0063】スルホン酸のエステルとして、ベンゼンス
ルホン酸メチル、ベンゼンスルホン酸エチル、ベンゼン
スルホン酸ブチル、ベンゼンスルホン酸オクチル、ベン
ゼンスルホン酸フェニル、パラトルエンスルホン酸メチ
ル、パラトルエンスルホン酸エチル、パラトルエンスル
ホン酸ブチル、パラトルエンスルホン酸オクチル、パラ
トルエンスルホン酸フェニルなどが好ましく用いられ
る。
【0064】溶融重合で得られるポリカーボネートに対
する安定剤の添加量は、アルカリ金属化合物、アルカリ
土類金属化合物より選ばれた前記主重縮合触媒1モルあ
たり0.5〜50モルの割合で、好ましくは0.5〜1
0モルの割合で、更に好ましくは0.8〜5モルの割合
で使用する。これは通常、ポリカーボネートに対し0.
01〜500ppmの割合で使用することに相当する。
【0065】安定剤の添加混練は、マテリアルシール部
の介在および/または非介在下で、混練部とベント部か
らなる単位処理ゾーンを備えた2軸押出機を使用するこ
とが好ましい。単位処理ゾーンの数は、1つでもよいが
複数個所有してもよい。
【0066】混練部において安定剤は直接またはマスタ
ーペレットまたは適当な溶剤に溶解又は分散させて溶融
状態のポリカーボネートに添加、混練される。混練部は
ベント部の上流に設置される。
【0067】ベント部にはベント口が設置され、真空ポ
ンプ等によってベント部内は減圧に維持される。
【0068】ここでポリカーボネートと安定剤の混練
は、温度200〜350℃、好ましくは240〜320
℃、圧力10.0MPa以下で0.5MPa以上、好ま
しくは5.0MPa以下で0.5MPa以上で混練時間
0.1秒間以上の条件で行う。温度が200℃未満であ
るとポリカーボネートと安定剤の混練が困難であり、一
方350℃を越えるとポリカーボネート樹脂が熱分解を
起こすため好ましくない。
【0069】安定剤を水等の溶液や分散液で添加した場
合、その溶媒が脱揮助剤の働きをし、揮発性物質除去効
果が上昇するため好ましい。この場合、前述の水添加脱
揮に準じ、混練部に供給する安定剤溶液等の供給圧力の
変動を0.5MPa以下に抑える事が、異物発生を押さ
える観点で、好ましい結果を与える。
【0070】ベント部では真空ポンプ等により減圧処理
し、溶媒ならびに揮発性物質を系外に除去する。減圧処
理条件としては、1.013×105Pa(760mm
Hg)以下、好ましくは6.667×104Pa(50
0mmHg)以下の圧力で0.1秒間以上行う。ベント
部圧力が1.013×105Pa(760mmHg)を
越えると添加した溶媒ならびに揮発性物質を系外に除去
できないため好ましくない。
【0071】本発明においては、上記の様にして得られ
たポリカーボネートに、本発明の目的を損なわない範囲
でポリカーボネートに添加剤を添加する事が出来る。こ
の添加剤は安定剤と同様に溶融状態のポリカーボネート
に添加する事が好ましく、この様な添加剤としては、例
えば、耐熱安定剤、エポキシ化合物、紫外線吸収剤、離
型剤、着色剤、スリップ剤、アンチブロッキング剤、滑
剤、有機充填剤、無機充填剤等をあげる事が出来る。
【0072】これらの内でも耐熱安定剤、紫外線吸収
剤、離型剤、着色剤等が特に一般的に使用され、これら
は2種以上組み合わせて使用する事が出来る。
【0073】本発明に用いられる耐熱安定剤としては、
例えば、燐化合物、フェノール系安定剤、有機チオエー
テル系安定剤、ヒンダードアミン系安定剤等を挙げるこ
とが出来る。
【0074】また、紫外線吸収剤としては、一般的な紫
外線吸収剤が用いられ、例えば、サリチル酸系紫外線吸
収剤、ベンゾフェノン系紫外線吸収剤、ベンゾトリアゾ
ール系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系紫外線吸収
剤等を挙げることが出来る。
【0075】また離型剤としては一般的に知られた離型
剤を用いることが出来、例えば、パラフィン類などの炭
化水素系離型剤、ステアリン酸等の脂肪酸系離型剤、ス
テアリン酸アミド等の脂肪酸アミド系離型剤、ステアリ
ルアルコール、ペンタエリスリトール等のアルコール系
離型剤、グリセリンモノステアレート、ペンタエリスリ
トールのステアレート等の脂肪酸エステル系離型剤、シ
リコーンオイル等のシリコーン系離型剤等を挙げること
が出来る。
【0076】着色剤としては有機系や無機系の顔料や染
料を使用することが出来る。
【0077】添加剤の添加混練は、マテリアルシール部
の介在および/または非介在下で、混練部とベント部か
らなる単位処理ゾーンを備えた2軸押出機を使用するこ
とが好ましい。単位処理ゾーンの数は、1つでもよいが
複数個所有してもよい。
【0078】混練部において添加剤は直接またはマスタ
ーペレットまたは適当な溶剤やポリマー粉体に溶解又は
分散させて溶融状態のポリカーボネートに添加、混練さ
れる。また混練部はベント部の上流に設置される。
【0079】ベント部にはベント口が設置され、真空ポ
ンプ等によってベント部内は減圧に維持される。
【0080】ここでポリカーボネートと添加剤の混練
は、温度200〜350℃、好ましくは240〜320
℃、圧力10.0MPa以下、好ましくは5.0MPa
以下で混練時間0.1秒間以上の条件で行う。温度が2
00℃未満であるとポリカーボネートと添加剤の混練が
困難であり、一方350℃を越えるとポリカーボネート
樹脂が熱分解を起こすため好ましくない。
【0081】ベント部では真空ポンプ等により減圧処理
し、揮発性物質を系外に除去する。減圧処理条件として
は、1.013×105Pa(760mmHg)以下、
好ましくは6.667×104Pa(500mmHg)
以下の圧力で0.1秒間以上行う。ベント部圧力が1.
013×105Pa(760mmHg)を越えると添加
した溶媒ならびに揮発性物質を系外に除去できないため
好ましくない。
【0082】
【実施例】以下実施例によって説明する。なお実施例中
の%及び部は特に断らない限り重量%または重量部であ
る。なお以下の実施例において得られたポリカーボネー
トの物性は以下のようにして測定した。
【0083】固有粘度及び粘度平均分子量 0.7g/dlの塩化メチレン溶液をウベローデ粘度計
を用い固有粘度を測定し、次式により粘度平均分子量を
求めた。 [η]=1.23×10-40.83
【0084】色相 ポリマー色相の測定値としては、芳香族ポリカーボネー
トペレット(短径×長径×長さ(mm)=2.5×3.
3×3.0)のL,a,b値を日本電色工業製ND−1
001DPを用いて反射法で測定した結果の内、黄色度
の尺度としてb値を用いた。
【0085】ゲル含有量 ポリマー中のゲル含有量は芳香族ポリカーボネートペレ
ット1Kgを5Lの塩化メチレンに溶解した後、目開き
30μのフィルターを用いてろ過し、フィルター上に捕
集された異物の個数を紫外線照射下で顕微鏡観察しゲル
の含有量をカウントした。
【0086】0.5μm以上の異物含有量 ペレット40gを塩化メチレン2Lに溶解し、光散乱、
遮断法にて異物量をカウントした。結果は個/gに換算
した。
【0087】ポリカーボネート中の揮発性物質の定量 サンプル1gをメチレンクロライド10mLに溶解し、
次いでアセトニトリル90mLと混合し、ポリマーを再
沈し濾別した。濾液を濃縮しメチレンクロライドを除去
し調整液とし、液体クロマトグラフィー(東ソーSC8
020)を使用してポリカーボネート中に含有されてい
たフェノール、ビスフェノールA、ジフェニルカーボネ
ートなどを定量した。
【0088】以下に、本発明の実施例を示す。なお、こ
の実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明
はこの実施例によって制限されるものではない。
【0089】[実施例1]2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパン1モルに対し、1.02モルの割
合でジフェニルカーボネ−トを2,2−ビス(4−ヒド
ロキシフェニル)プロパン1モルに対し、5×10-7
量のナトリウムフェノキシドと1×10-4当量のテトラ
メチルアンモニウムヒドロキシドの存在下で溶融重合
し、粘度平均分子量15200のポリカーボネートを連
続的に得た。該ポリカーボネート中に含まれるゲル異物
量は10個であり、0.5μm以上の異物含有量は20
00個/gであり、420ppmのジフェニルカーボネ
ートと150ppmのフェノールと80ppmの2,2
−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンを含んでい
た。
【0090】次いで該ポリカーボネートを、44mmの
噛み合い型2軸押出機に連続的に供給し、ジフェニルカ
ーボネートとフェノールを主たる脱揮対象として水添加
脱揮を実施した。使用した2軸押し出し機は4組の混練
部とベント部を有しており、各々の混練部とベント部の
間にはマテリアルシールとしてシールリングを設置しそ
の下流に逆ニーディングユニットを配置してベント部の
フルフライトユニットに接続するセグメント構成を有し
ていた。
【0091】該2軸ルーダーの最初の混練部に、重合触
媒として使用したナトリウムフェノキシド1モル当たり
触媒失活剤として2モルのドデシルベンゼンスルホン酸
テトラブチルホスホニウム塩をポリカーボネート当たり
1wt%の水に分散し、アキュムレータを備えた2連の
プランジャーポンプを使用して連続的に供給し混練し
た。該混練部の温度は270℃、圧力は20Kg/cm
2Gであり、触媒失活剤の注入圧力の変動は2Kg/c
2以下であった。次いで2.0×103Pa(15mm
Hg)に保たれた第1のベントより水を除去し重合触媒
の活性をなくすと共にポリマーに含まれる揮発性物質の
一部を除去した。次いで第2〜第4の混練部に脱揮助剤
としてポリカーボネートに対し各々1wt%のイオン交
換水を、アキュムレータを備えた2連のプランジャーポ
ンプを使用して連続的に供給し混練した。各混練部の温
度は270℃、圧力は20Kg/cm2Gであり、脱揮
助剤の注入圧力の変動は2Kg/cm2以下であった。
混練部直後のベントで2.0×103Pa(15mmH
g)で減圧処理する事によりポリカーボネート中の揮発
性物質を除去し、次いで2軸ルーダー後のギヤポンプを
介してダイより押し出し、ペレタイザーによりペレット
化し最終製品ポリカーボネートを得た。得られたポリカ
ーボネートは粘度平均分子量が15200であり、該ポ
リカーボネート中に含まれるゲル異物量は11個であ
り、0.5μm以上の異物含有量は2200個/gであ
り、何れも重合変動幅を考慮すると実質的な変化は認め
られなかった。また、ジフェニルカーボネートの含有量
は80ppmであり、フェノールの含有量は10ppm
であり2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパ
ンの含有量は70ppmであった。ジフェニルカーボネ
ートとフェノールの除去率は各々81%と93%に相当
した。また、ペレット色相はb値で−0.5と良好であ
った。
【0092】40日間の運転後、2軸ルーダーを解体点
検した結果、ルーダーセグメントは運転前の金属光沢を
維持しており、ポリカーボネート炭化物などの異物の付
着は見られなかった。
【0093】[比較例1]触媒失活剤溶液及び脱揮助剤
の供給を通常のプランジャーポンプを使用して行った以
外は実施例1と同様にして操作した。このときの触媒失
活剤及び脱揮助剤の供給圧の変動は10Kg/cm2
あった。得られたポリカーボネートを分析した結果、粘
度平均分子量が15200であり、ジフェニルカーボネ
ートの含有量は85ppmであり、フェノールの含有量
は10ppmであり2,2−ビス(4−ヒドロキシフェ
ニル)プロパンの含有量は70ppmであり大きな変化
は認められなかったが、該ポリカーボネート中に含まれ
るゲル異物量は75個であり、0.5μm以上の異物含
有量は5800個/gであり、明確な増加が認められ
た。また、ペレット色相はb値で0.0であり実施例1
と比較して低下していた。
【0094】40日間の運転後、2軸ルーダーを解体点
検した結果、各マテリアルシールに用いたシールリング
と逆ニーディングユニットの間に黒色の劣化物が付着し
ていた。
【0095】[実施例2]2,2−ビス(4−ヒドロキ
シフェニル)プロパンとホスゲンから界面重合法で得ら
れた粉体状の芳香族ポリカーボネートを54mmの2軸
ルーダーに供給して溶融した後、実施例1の44mmの
噛み合い型2軸ルーダーに供給し、水添加脱揮を行っ
た。溶融したポリカーボネートを採取し分析した結果、
粘度平均分子量は15200であり、ゲル異物の含有量
は5個であり、0.5μm以上の異物含有量は9000
個/gであり、メチレンクロライドの含有量は30pp
mであった。ルーダーの脱揮処理では、最初の混練部に
も触媒失活剤の供給に変え、イオン交換水をポリマーに
対し1wt%供給する以外は実施例1と同様に操作し
た。得られたポリカーボネートを分析した結果、粘度平
均分子量は15200であり、ゲル異物の含有量は6個
であり、0.5μm以上の異物含有量は9500個/g
であり、メチレンクロライドの含有量は0.1ppm以
下であった。また、ペレット色相はb値で−0.3であ
った。
【0096】40日間の運転後、該スクリュー軸を肉眼
で観察すると、運転前の金属光沢を維持しており、ポリ
カーボネート炭化物などの異物の付着は見られなかっ
た。
【0097】[比較例2]脱揮助剤の供給を通常のプラ
ンジャーポンプを使用して行った以外は実施例2と同様
にして操作した。このときの触媒失活剤及び脱揮助剤の
供給圧の変動は10Kg/cm2であった。得られたポ
リカーボネートを分析した結果、粘度平均分子量が15
200であり、メチレンクロライドの含有量は0.1p
pm以下であり大きな変化は認められなかったが、該ポ
リカーボネート中に含まれるゲル異物量は73個であ
り、0.5μm以上の異物含有量は15300個/gで
あり、明確な増加が認められた。また、ペレット色相は
b値で0.1であり実施例2と比較して劣っていた。
【0098】40日間の運転後、2軸ルーダーを解体点
検した結果、各マテリアルシールに用いたシールリング
と逆ニーディングユニットの間に黒色の劣化物が付着し
ていた。
【0099】
【発明の効果】芳香族ポリカーボネートの脱揮処理にお
いて、芳香族ポリカーボネートの着色、架橋、ゲル発生
等の劣化を引き起こさずに、揮発性物質の含有量を低減
させた芳香族ポリカーボネートを製造することができ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 佐々木 勝司 山口県岩国市日の出町2番1号 帝人株式 会社岩国研究センター内 Fターム(参考) 4J029 BA03 BA05 BB04A BB05A BB09A BB12A BB12B BD03A BF03 BG05X BG07X BG08X BH02 CA04 CA06 CB05A CB06A CC06A DB07 DB10 DB12 EA05 EB05A EC05A FB09 HC02 HC05A HC09 JA091 JA121 JA171 JA201 JA231 JA301 JB131 JB171 JB191 JC311 JF021 JF031 JF041 JF361 JF371 KH05 KH08

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 2軸押し出し機を用いて溶融状態の芳香
    族ポリカーボネートを脱揮処理して、該芳香族ポリカー
    ボネート中に含まれる揮発性物質の少なくとも1種を8
    0%以上除去する方法において、処理して得られる芳香
    族ポリカーボネート中の0.5μm以上の異物含有量の
    増加が脱揮処理前の芳香族ポリカーボネートの異物含有
    量と比べて2000個/g以下であり、かつ処理して得
    られた芳香族ポリカーボネート中のゲル含有量の増加が
    脱揮処理前の芳香族ポリカーボネートのゲル含有量と比
    べて50個/Kg以下である事を特徴とする揮発性物質
    の含有量を低減させた芳香族ポリカーボネートの製造方
    法。
  2. 【請求項2】 少なくとも1対のマテリアルシールを介
    して隣接配置された混練部とベント部を有する2軸押し
    出し機を用いて溶融状態の芳香族ポリカーボネートを処
    理して、該芳香族ポリカーボネート中に含まれる揮発性
    物質を除去する脱揮処理において、該混練部にポリマー
    に対し0.1wt%以上の水を小さな脈動を有するかあ
    るいは脈動の無い状態で注入し、5Kg/cm2以上の
    圧力で混練後、該ベント部から100Torr(133
    00Pa)以下の圧力で水と共に芳香族ポリカーボネー
    トに含まれる揮発性物質を除去する事を特徴とする請求
    項1記載の製造方法。
  3. 【請求項3】 水の注入圧力の変動を5Kg/cm2
    下とする事を特徴とする請求項1または2記載の製造方
    法。
  4. 【請求項4】 芳香族ポリカーボネートから除去する揮
    発性物質が該芳香族ポリカーボネートを製造する際に使
    用された原料モノマー、末端封止剤、溶剤、重合反応で
    副生する物質から選ばれた少なくとも1種である事を特
    徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の製造方
    法。
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