JP2003176133A - リチウム二次電池正極活物質用リチウムマンガン複合酸化物、その製造方法およびそれを用いたリチウム二次電池 - Google Patents

リチウム二次電池正極活物質用リチウムマンガン複合酸化物、その製造方法およびそれを用いたリチウム二次電池

Info

Publication number
JP2003176133A
JP2003176133A JP2001373810A JP2001373810A JP2003176133A JP 2003176133 A JP2003176133 A JP 2003176133A JP 2001373810 A JP2001373810 A JP 2001373810A JP 2001373810 A JP2001373810 A JP 2001373810A JP 2003176133 A JP2003176133 A JP 2003176133A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
lithium
composite oxide
manganese composite
secondary battery
active material
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2001373810A
Other languages
English (en)
Inventor
Hideyuki Nakano
秀之 中野
Yoshio Ukiyou
良雄 右京
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Toyota Central R&D Labs Inc
Original Assignee
Toyota Central R&D Labs Inc
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Toyota Central R&D Labs Inc filed Critical Toyota Central R&D Labs Inc
Priority to JP2001373810A priority Critical patent/JP2003176133A/ja
Publication of JP2003176133A publication Critical patent/JP2003176133A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E60/00Enabling technologies; Technologies with a potential or indirect contribution to GHG emissions mitigation
    • Y02E60/10Energy storage using batteries

Landscapes

  • Inorganic Compounds Of Heavy Metals (AREA)
  • Secondary Cells (AREA)
  • Battery Electrode And Active Subsutance (AREA)

Abstract

(57)【要約】 【課題】 充放電に伴う容量劣化が少なく、かつパワー
特性が高いリチウム二次電池、そのようなリチウム二次
電池を実現可能な正極活物質材料およびその製造方法を
提供する。 【解決手段】 組成式LiMn1-xMex2(Meは遷
移金属およびAlから選ばれる1種以上、0.2≦x<
0.7)で表されるリチウムマンガン複合酸化物であっ
て、粉末状をなし、該粉末を構成する粉末粒子の平均粒
径が0.1μm以上0.5μm以下であり、該粉末粒子
が凝集塊を形成せずにそれらの殆どが単独で存在するも
のを正極活物質としてリチウム二次電池を構成する。ま
た、上記リチウムマンガン複合酸化物の製造方法を、複
合酸化物前駆体合成工程と、熱処理工程とを含んで構成
する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、リチウムの吸蔵・
脱離現象を利用したリチウム二次電池に関し、また、そ
の正極活物質として用いられるリチウムマンガン複合酸
化物およびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】パソコン、ビデオカメラ、携帯電話等の
小型化に伴い、情報関連機器、通信機器の分野では、こ
れらの機器に用いる電源として、高エネルギー密度であ
るという理由から、リチウム二次電池が実用化され広く
普及するに至っている。また一方で、自動車の分野にお
いても、環境問題、資源問題から電気自動車の開発が急
がれており、この電気自動車用の電源としても、リチウ
ム二次電池が検討されている。リチウム二次電池は高価
であることから、長寿命であることが望まれ、特に、充
放電を繰り返しても容量の低下が小さいことが求められ
ている。また、電気自動車等の電源とする場合には、大
電流で放電しても電圧降下が小さく充分な容量が取り出
せる、いわゆるパワー特性が高いことも求められる。現
状、リチウム二次電池は、電池電圧が高い、容量が大き
い等の理由から、正極活物質に、LiCoO2、LiN
iO2等のリチウム遷移金属複合酸化物を用いたものが
主流となっている。また、高価なCo、Niに代えて、
資源として豊富であり、安価なマンガンを主たる構成元
素として含むLiMnO2等のリチウム遷移金属複合酸
化物を正極活物質に採用する試みもなされている。これ
らのリチウム遷移金属複合酸化物は、粉末状のものであ
り、粉末を構成する粒子は、微細な一次粒子が多数凝集
して二次粒子を形成するという粒子構造を有している。
そして、正極は、かかる粒子構造をもつ粉末状のリチウ
ム遷移金属複合酸化物が結着剤で結着されて形成されて
いる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】リチウム二次電池は、
リチウムの吸蔵・脱離現象を利用した二次電池であり、
充電に伴って正極活物質からリチウムが脱離し、逆に、
放電に伴って正極活物質にリチウムが吸蔵される。上記
リチウム遷移金属複合酸化物を正極活物質とする場合、
その結晶中からリチウムが脱離し、また、結晶中にリチ
ウムが吸蔵される。このリチウムの吸蔵・脱離現象は、
リチウム遷移金属複合酸化物の結晶の体積変化を伴う。
本発明者が認識したところによれば、従来存在するリチ
ウム遷移金属複合酸化物は、上述したように、一次粒子
が凝集して二次粒子を形成しているため、リチウム二次
電池が充放電することにより、その一次粒子は膨張・収
縮し、一次粒子の粒界にはストレスが発生して、二次粒
子が崩壊する。つまり、一次粒子がその凝集を解かれる
ことにより、二次粒子が微細化するのである。上記構造
の正極においてリチウム遷移金属複合酸化物の二次粒子
が微細化する場合、極端に言えば、二次粒子内部に存在
する一次粒子は正極内における電気的導通が絶たれるこ
とになる。すなわち、二次粒子の内部の部分において絶
縁された一次粒子が充放電反応に寄与しなくなり、リチ
ウム二次電池は、その分だけ電池の容量が低下してしま
うことになる。このことが、充放電に伴う容量劣化の一
つの大きな原因であると本発明者は認識している。本発
明は、かかる認識の下になされたものであり、充放電に
伴う容量劣化が少なく、かつパワー特性が高いリチウム
二次電池、そのようなリチウム二次電池を実現可能な正
極活物質材料およびその製造方法を提供することを課題
とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】本発明リチウム二次電池
正極活物質用リチウムマンガン複合酸化物は、組成式L
iMn1-xMex2(Meは遷移金属およびAlから選
ばれる1種以上、0.2≦x<0.7)で表されるリチ
ウムマンガン複合酸化物であって、粉末状をなし、該粉
末を構成する粉末粒子の平均粒径が0.1μm以上0.
5μm以下であり、該粉末粒子が凝集塊を形成せずにそ
れらの殆どが単独で存在することを特徴とする。つま
り、本発明のリチウムマンガン複合酸化物は、二次粒子
を形成しないリチウムマンガン複合酸化物、言い換えれ
ば、微細な一次粒子のみからなり、その一次粒子が粉末
粒子となるリチウムマンガン複合酸化物である。
【0005】上述したように、リチウム遷移金属複合酸
化物を正極活物質とした場合、二次粒子を形成するもの
は、充放電に伴って一次粒子が体積変化することで二次
粒子内にストレスが生じ、一次粒子がそれらの粒界にお
いて分離して、その二次粒子が微細化、崩壊する。これ
に対し、粉末粒子が二次粒子を形成していない構造の本
発明のリチウムマンガン複合酸化物では、粉末粒子が体
積変化を生じても、粉末粒子の微細化等を殆ど生じな
い。正極は、一般に、活物質であるリチウム遷移金属複
合酸化物が導電材(炭素物質の粉状体等)とともに結着
剤で結着されており、この導電材により、リチウム遷移
金属複合酸化物の粒子どうし、およびリチウム遷移金属
複合酸化物の粒子と集電体との電気的導通が確保されて
いる。二次粒子を形成する粉末粒子が微細化等する場
合、微細化等した二次粒子の中心部分に存在する一次粒
子は、正極内において、電気的導通が遮断される。つま
り、極端に言えば、二次粒子の表面部分に存在する一次
粒子しか電気的な導通が確保されず、中心部分の一次粒
子は、充放電反応に寄与することができなくなるのであ
る。したがって、充放電を繰り返すと正極の容量が低下
し、その分リチウム二次電池の容量が低下することにな
る。これに対し、本発明のリチウムマンガン複合酸化物
は、上述したように、充放電によっても粒子は微細化し
難いため、容量の低下は抑制される。
【0006】また、本発明のリチウムマンガン複合酸化
物を構成する一次粒子の平均粒径は0.1μm以上0.
5μm以下と小さい。粒径の小さな粒子から構成されて
いるため、その集合体であるリチウムマンガン複合酸化
物の単位重量あたりの面積が大きくなり、その分、充放
電反応に寄与する面積が大きくなることになる。これに
より、充放電反応であるリチウムの吸蔵・放出がスムー
ズに行われ、大電流で放電した場合であっても電圧降下
が小さい、パワー特性に優れた電池を構成することがで
きる。
【0007】本発明のリチウム二次電池は、上記粒子構
造を有する本発明のリチウムマンガン複合酸化物を正極
活物質として用いたものである。上述した理由から、安
価で充放電によっても容量低下の少ない、かつパワー特
性に優れたリチウム二次電池となる。
【0008】また、本発明のリチウムマンガン複合酸化
物の製造方法は、組成式LiMn1- xMex2(Meは
遷移金属およびAlから選ばれる1種以上、0.2≦x
<0.7)で表される上記本発明のリチウムマンガン複
合酸化物を製造する方法であって、Me源となるMe化
合物とマンガン源となる過マンガン酸化合物とリチウム
源となるリチウム化合物とを原料として含み、さらにア
ルカリ金属水酸化物を含む原料混合物を、加圧下にて1
80℃以上350℃以下の温度で保持することにより複
合酸化物前駆体を得る複合酸化物前駆体合成工程と、前
記複合酸化物前駆体を、非還元性雰囲気中、500℃以
上1000℃未満の温度で熱処理することによりリチウ
ムマンガン複合酸化物を得る熱処理工程とを含んで構成
される。本発明の製造方法は、アルカリ金属水酸化物の
溶融液中で複合酸化物前駆体を合成し、熱処理によりそ
の結晶性を高めることにより、上記本発明のリチウムマ
ンガン複合酸化物を得る方法である。目的とするリチウ
ムマンガン複合酸化物の構成元素源とはならないアルカ
リ金属水酸化物は、還元性雰囲気を保持する役割を果た
すとともに、上記温度で溶融状態となり、他の原料の反
応を進行させる反応場となる。反応のメカニズムは明ら
かではないが、アルカリ金属水酸化物の溶融液中で上記
各々の原料を反応させることにより、二次粒子の形成が
抑制され、粒径の小さな一次粒子からなる複合酸化物前
駆体が得られると考えられる。そして、その複合酸化物
前駆体を、500℃以上1000℃未満という比較的低
い温度で熱処理することで、結晶性の高いリチウムマン
ガン複合酸化物を得ることができる。また、本発明の製
造方法は、複合酸化物前駆体の合成および熱処理を比較
的低い温度で行うものであるため、燃費が小さい、ひい
ては製造コストの安い製造方法となる。したがって、本
製造方法によれば、上記微細な一次粒子からなる本発明
のリチウムマンガン複合酸化物を簡便かつ低コストに製
造することができる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下に、本発明のリチウムマンガ
ン複合酸化物、その製造方法、およびそれを用いた本発
明のリチウム二次電池の実施形態について詳しく説明す
る。なお、以下に説明する実施形態は一実施形態にすぎ
ず、本発明のリチウムマンガン複合酸化物、その製造方
法、およびそれを用いた本発明のリチウム二次電池は、
以下の実施形態に限定されるものではなく、下記実施形
態を始めとして、当業者の知識に基づいて種々の変更、
改良を施した種々の形態で実施することができる。
【0010】〈リチウムマンガン複合酸化物〉 (1)組成および結晶構造 本発明のリチウムマンガン複合酸化物は、組成式LiM
1-xMex2(Meは遷移金属およびAlから選ばれ
る1種以上、0.2≦x<0.7)で表されるものであ
る。組成式LiMn1-xMex2で表されるものには、
組成式LiMn1 -xMex2で表されるものの他、2種
以上の置換金属を含む組成式LiMn1-x1 -x2Me1x1
e2x22(ex. LiMn1-x1-x2Nix1Cox22、Li
Mn1-x1-x 2Nix1Alx22、LiMn1-x1-x2Nix1
Fex22等)で表されるものも含まれる。また、リチ
ウム原子,遷移金属等の原子,酸素原子のいずれか1種
以上が欠損あるいは過剰となる非化学量論組成のもの等
も含まれる。ここで、上記組成式においてMeの置換割
合であるxの値は、0.2以上0.7未満とする。xが
0.2未満の場合には、製造過程においてLi2MnO3
が副生し易くなるからである。より望ましくは、0.4
≦xである。反対にxが0.7以上のものは、例えば、
後に説明する本発明の製造方法で製造した場合には、マ
ンガン化合物の混合割合が小さくなるためMeを酸化す
る力が弱く、結果として目的とする結晶構造のものにな
り難くなる。より望ましくは、x≦0.6である。上記
組成式中Meは遷移金属およびAlから選ばれる1種以
上であり、具体的には、Ni、Co、Fe等の遷移金属
およびAlから適宜選択すればよい。なかでも、比較的
安価で容量が大きく、充放電時における相転移や、結晶
の膨張・収縮がより抑制されるという観点から、本発明
のリチウムマンガン複合酸化物は、MeをNiとした組
成式LiMn1-xNix2で表されるものであることが
望ましい。
【0011】(2)粒子構造 本発明のリチウムマンガン複合酸化物は、粉末状のもの
であり、その粉末粒子は、凝集塊を形成せずにそれらの
殆どが単独で存在する。つまり、前述したように、一次
粒子が凝集して二次粒子を構成するという粒子構造をな
すものではない。ここで「殆ど」とは、製造プロセスの
都合上不可避的に存在する若干の凝集塊については許容
することを意味する。一般に言われる二次粒子とは、多
数の微細な一次粒子が強く結合しているものである。こ
れに対し、本発明のリチウムマンガン複合酸化物におい
て許容される凝集塊は、その殆どが、結合力が比較的弱
く、容易に分離され得るものである。また、本発明のリ
チウムマンガン複合酸化物は、その粒子の粒径が、平均
粒径において、0.1μm以上0.5μm以下となるも
のである。平均粒径が0.1μm未満の場合は、正極を
作成する際に結着剤の混合割合が多くならざるを得ず、
活物質の充填割合が小さくなる。つまり、正極における
活物質密度が低下して、正極容量が減少してしまうから
である。エネルギー密度をより高くするという観点から
は、0.3μm以上であることが望ましい。また、平均
粒径が0.5μmを超える場合は、同じ重量の活物質量
であっても、反応に寄与する表面積が小さくなり、リチ
ウムの吸蔵・放出がスムーズに行われ難くなるためパワ
ー特性が低下してしまう。パワー特性をより向上させる
という観点からは、0.4μm以下とすることが望まし
い。ちなみに、一次粒子が凝集して二次粒子を構成する
リチウムマンガン複合酸化物の場合、その一次粒子は、
一般にサブミクロン以下のオーダーのものとなる。な
お、ここで言う粒径は、球換算粒径であり、具体的に
は、走査型電子顕微鏡(SEM)観察により、対象とす
る粒子の長径と短径とを測定し、それらの平均値を採用
するものとする。そして平均粒径は、SEM観察によ
り、1つの視野の中に存在するすべての粒子の粒径を平
均した値を採用するものとする。
【0012】また、上述したように、充放電反応に寄与
する表面積を大きくし、パワー特性の高いリチウム二次
電池を構成するという観点から、本発明のリチウムマン
ガン複合酸化物の比表面積は3m2/g以上10m2/g
以下であることが望ましい。3m2/g未満であると、
比表面積が小さいためリチウムの吸蔵・放出がスムーズ
に行われ難く、上記範囲のものと比較して、大電流で放
電した場合に電圧降下が大きくなるからである。また、
10m2/gを超えると、正極を形成する際に導電材お
よび結着剤との充分な混合が難しくなるからである。な
お、本明細書では、リチウムマンガン複合酸化物の比表
面積として、窒素吸着法により測定した値を採用する。
これは、予め脱気したリチウムマンガン複合酸化物の質
量を測定し、その脱気したリチウムマンガン複合酸化物
を液体窒素に浸漬して、平衡時におけるリチウムマンガ
ン複合酸化物の粒子表面に吸着した窒素量を測定し、そ
の吸着量から比表面積を算出するものである。
【0013】〈リチウムマンガン複合酸化物の製造方
法〉上記本発明のリチウムマンガン複合酸化物を簡便に
製造することのできる本発明の製造方法は、複合酸化物
前駆体合成工程と、熱処理工程とを含んで構成される。
以下、各工程について順に説明する。
【0014】(1)複合酸化物前駆体合成工程 本工程は、Me源となるMe化合物とマンガン源となる
過マンガン酸化合物とリチウム源となるリチウム化合物
とを原料として含み、さらにアルカリ金属水酸化物を含
む原料混合物を、加圧下にて180℃以上350℃以下
の温度で保持することにより複合酸化物前駆体を得る工
程である。Me源となるMe化合物としては、Meとし
て選択される金属の種類により種々のものを用いること
ができる。例えば、後に説明するが、原料混合物に水が
含まれる場合には、その水溶液中で塩として作用すると
いう理由から、Meを陽イオンとして含む塩を用いるこ
とが好適である。具体的には、MeがNiである場合、
硝酸ニッケル(無水物および水和物を含む。以下の化合
物についても同様。)、硫酸ニッケル、塩化ニッケル等
を用いることができる。同様に、MeがCoである場合
には、硝酸コバルト、硫酸コバルト等を、MeがAlで
ある場合には、硝酸アルミニウム、硫酸アルミニウム、
塩化アルミニウム等を、また、MeがFeである場合に
は、硝酸鉄、硫酸鉄等を用いることができる。上述した
望ましい態様である組成式LiMn1-xNix2で表さ
れるリチウムマンガン複合酸化物を製造する場合には、
ニッケル化合物を選択すればよく、この場合には、硝酸
イオンが生成物中に残存し難いという理由から硝酸ニッ
ケルを用いることが望ましい。
【0015】マンガン源となる過マンガン酸化合物とし
ては、例えば、過マンガン酸カリウム、過マンガン酸リ
チウム、過マンガン酸ナトリウム等を用いることができ
る。特に、カリウムイオンのイオン半径が大きいため、
複合酸化物前駆体の結晶中に固溶しないという理由か
ら、過マンガン酸カリウムを用いることが望ましい。ま
た、リチウム源となるリチウム化合物としては、水酸化
リチウム、塩化リチウム、硝酸リチウム等を用いること
ができる。特に、反応性が高いという理由から水酸化リ
チウムを用いることが望ましい。アルカリ金属水酸化物
は、特に限定されるものではく、例えば、水酸化カリウ
ム、水酸化ナトリウム、水酸化リチウム等を用いればよ
い。なかでも、上記同様、カリウムイオンのイオン半径
が大きいため、複合酸化物前駆体の結晶中に固溶しない
という理由から、水酸化カリウムを用いることが望まし
い。Me化合物と過マンガン酸化合物との混合割合は、
目的とするリチウムマンガン複合酸化物の組成に応じた
割合とすればよい。具体的には、Mn:Meがモル比で
略(1−x):xとなるような割合とすればよい。ま
た、リチウム化合物の混合割合も、目的とするリチウム
マンガン複合酸化物の組成、すなわち、Li:(Mn+
Me)がモル比で略1:1となるような割合とすればよ
い。なお、リチウム化合物は、反応時にMn23を優先
的に生成し易くするという理由から、Li:(Mn+M
e)がモル比で2〜5:1となる程度に過剰に混合する
ことが望ましい。
【0016】上記4種の材料を含んだ原料混合物を、加
圧下にて、180℃以上350℃以下の温度で保持す
る。複合酸化物前駆体の合成反応を進行させるために
は、加圧することが必要となる。反応が進行する圧力範
囲は、その限界値を正確に認識するものではないが、本
発明者の実験によれば、下限値を1MPa程度とし、上
限値を16.5MPa程度とすればよいことがわかって
いる。つまり、本工程は、1MPa以上16.5MPa
以下の加圧下で行うことが望ましい。反応時の圧力が低
すぎると反応が進行し難いからであり、反対に圧力が高
すぎると、Mnの酸化数が3価より高くなるからであ
る。特に、5MPa以上とすることが好適であり、ま
た、12MPa以下とすることが好適である。また、原
料混合物を保持する温度は、アルカリ金属水酸化物を反
応場となる溶融状態とするとともに、反応を進行させる
という理由から180℃以上とする。より反応を進行し
易くする観点から200℃以上とすることが望ましい。
一方、Mnの酸化数が3価より高くなるのを抑制するた
め350℃以下とする。250℃以下とするとより好適
である。上記圧力および温度で保持する時間は、反応が
充分進行すれば特に限定されるものではない。例えば、
3〜10時間程度であれば充分である。反応により得ら
れた複合酸化物前駆体は、蒸留水等で洗浄した後、濾
別、乾燥等を行って、次工程に供すればよい。
【0017】原料混合物は、上記4種の材料を含むもの
であればよい。なお、上述したように、反応を進行させ
るためには加圧することが必要となる。したがって、容
易に加圧できるという観点から、原料混合物に水を含め
ることが望ましい。この場合、原料混合物を反応容器に
入れ、密閉して加熱するだけで、含まれる水が蒸気とな
り、反応容器内がその反応温度における水の飽和蒸気圧
で加圧されることになる。そして、複合酸化物前駆体を
合成する反応を進行させる圧力としては、その飽和蒸気
圧による加圧で足りる。つまり、水を含む原料混合物を
用いた場合には、本工程は、反応を行う温度における水
の飽和蒸気圧下で行われることとなる。このように、原
料混合物を水を含んだ態様とすることで、特別に加圧す
る手段を設けなくても、反応を進行させることが可能と
なる。また、上記態様を採用する場合には、原料混合物
におけるアルカリ金属水酸化物の含有量を、他の2つの
原料に含まれるMe量とマンガン量との和の1.5倍以
上(モル比)とすることが望ましい。原料混合物に水が
存在することにより、得られる複合酸化物前駆体の結晶
中に水が入りこみ、結晶水ができてしまうことが考えら
れる。アルカリ金属水酸化物を過剰に含むことで、水が
結晶中へ入りこむことを抑制することができる。
【0018】(2)熱処理工程 本工程は、前記複合酸化物前駆体合成工程で得られた複
合酸化物前駆体を、非還元性雰囲気中、500℃以上1
000℃未満の温度で熱処理することによりリチウムマ
ンガン複合酸化物を得る工程である。非還元性雰囲気と
は、得られた複合酸化物前駆体が還元されないような雰
囲気であればよく、例えば、不活性ガス中や大気中で熱
処理を行えばよい。熱処理の温度は、500℃以上10
00℃未満とする。温度が500℃未満であると結晶性
を充分高めることができないからである。反対に、10
00℃以上であると粒子が成長し粒子径が大きくなるか
らである。なお、熱処理の時間は処理が完了するのに充
分な時間であればよく、例えば、10時間程度行えばよ
い。
【0019】〈リチウム二次電池〉本発明のリチウム二
次電池は、上記本発明のリチウムマンガン複合酸化物を
正極活物質として用いた電池である。一般に、リチウム
二次電池は、リチウムイオンを吸蔵・放出する正極およ
び負極と、この正極と負極との間に挟装されるセパレー
タと、正極と負極の間をリチウムイオンを移動させる非
水電解液とから構成される。本実施形態のリチウム二次
電池もこの構成に従えばよい。以下の説明は、これらの
構成要素のそれぞれについて行うこととする。正極は、
リチウムイオンを吸蔵・脱離可能な正極活物質に導電材
および結着剤を混合し、必要に応じ適当な溶媒を加え
て、ペースト状の正極合材としたものを、アルミニウム
等の金属箔製の集電体表面に塗布、乾燥し、その後プレ
スによって活物質密度を高めることによって形成する。
本実施形態では、正極活物質として上記本発明のリチウ
ムマンガン複合酸化物を用いる。なお、本発明のリチウ
ムマンガン複合酸化物は、その組成等により種々のリチ
ウムマンガン複合酸化物が存在する。したがって、それ
らの1種を正極活物質として用いるものであってもよ
く、また、2種以上を混合して用いるものであってもよ
い。さらに、本発明のリチウムマンガン複合酸化物と既
に公知の正極活物質材料とを混合して正極活物質とする
構成をも採用することができる。正極に用いる導電材
は、正極活物質層の電気伝導性を確保するためのもので
あり、カーボンブラック、アセチレンブラック、黒鉛等
の炭素物質粉状体の1種又は2種以上を混合したものを
用いることができる。結着剤は、活物質粒子を繋ぎ止め
る役割を果たすもので、ポリテトラフルオロエチレン、
ポリフッ化ビニリデン、フッ素ゴム等の含フッ素樹脂、
ポリプロピレン、ポリエチレン等の熱可塑性樹脂を用い
ることができる。これら活物質、導電材、結着剤を分散
させる溶媒としては、N−メチル−2−ピロリドン等の
有機溶剤を用いることができる。
【0020】正極に対向させる負極は、金属リチウム、
リチウム合金等を、シート状にして、あるいはシート状
にしたものをニッケル、ステンレス等の集電体網に圧着
して形成することができる。また、デンドライトの析出
等を考慮し、安全性に優れたリチウム二次電池とするた
めに、リチウムを吸蔵・脱離可能な炭素物質を活物質と
する負極を用いることができる。使用できる炭素物質と
しては、天然あるいは人造の黒鉛、フェノール樹脂等の
有機化合物焼成体、コークス等の粉状体が挙げられる。
この場合は、負極活物質に結着剤を混合し、適当な溶媒
を加えてペースト状にした負極合材を、銅等の金属箔集
電体の表面に塗布乾燥して形成する。なお、炭素物質を
負極活物質とした場合、正極同様、負極結着剤としては
ポリフッ化ビニリデン等の含フッ素樹脂等を、溶媒とし
てはN−メチル−2−ピロリドン等の有機溶剤を用いる
ことができる。正極と負極の間に挟装されるセパレータ
は、正極と負極とを隔離しつつ電解液を保持してイオン
を通過させるものであり、ポリエチレン、ポリプロピレ
ン等の薄い微多孔膜を用いることができる。非水電解液
は、有機溶媒に電解質を溶解させたもので、有機溶媒と
しては、非プロトン性有機溶媒、例えばエチレンカーボ
ネート、プロピレンカーボネート、ジメチルカーボネー
ト、ジエチルカーボネート、γ−ブチロラクトン、アセ
トニトリル、ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、
ジオキソラン、塩化メチレン等の1種またはこれらの2
種以上の溶媒を用いることができる。また、溶解させる
電解質としては、溶解させることによりリチウムイオン
を生じるLiI、LiClO4、LiAsF6、LiBF
4、LiPF6等を用いることができる。なお、上記セパ
レータおよび非水電解液という構成に代えて、ポリエチ
レンオキシド等の高分子量ポリマーとLiClO4やL
iN(CF3SO22等のリチウム塩を使用した高分子
固体電解質を用いることもでき、また、上記非水電解液
をポリアクリロニトリル等の固体高分子マトリクスにト
ラップさせたゲル電解質を用いることもできる。
【0021】以上のものから構成される本発明のリチウ
ム二次電池であるが、その形状はコイン型、積層型、円
筒型等の種々のものとすることができる。いずれの形状
を採る場合であっても、正極および負極にセパレータを
挟装させ電極体とし、正極および負極から外部に通ずる
正極端子および負極端子までの間をそれぞれ導通させる
ようにして、この電極体を非水電解液とともに電池ケー
スに密閉して電池を完成させることができる。
【0022】
【実施例】上記実施形態に基づいて、二次粒子を形成し
ない組成式LiNi0.5Mn0.5 2で表されるリチウム
マンガン複合酸化物を種々製造した。そして、製造した
各リチウムマンガン複合酸化物を観察して、その粒子構
造を確認するとともに、各リチウムマンガン複合酸化物
の比表面積を測定した。さらに、それらを正極活物質と
して用いてそれぞれリチウム二次電池を作製し、その二
次電池の充放電効率およびパワー特性を評価した。以
下、リチウムマンガン複合酸化物の製造および粒子構造
の確認、リチウム二次電池の作製、充放電効率およびパ
ワー特性の評価について、順次説明する。
【0023】(1)リチウムマンガン複合酸化物の製造 (a)#11のリチウムマンガン複合酸化物 本発明の製造方法により、組成式LiMn0.5Ni0.5
2で表されるリチウムマンガン複合酸化物を製造した。
Ni(NO32・6H2Oを21.8g、KMnO4を1
1.8g、LiOH・H2Oを12.6g、KOHを2
5.2g、水を25g秤量し(Ni:Mnはモル比で
1:1、Li:(Ni+Mn)はモル比で3:1とな
る。)、各原料を100mlのテフロン(登録商標、デ
ュポン社製)製ビーカーへ入れ密閉した後、オートクレ
ーブ内で220℃で4時間保持することにより水熱処理
を行った。次いで、生成した沈殿物を蒸留水で洗浄し、
濾過、乾燥して粉末状の複合酸化物前駆体を得た。この
複合酸化物前駆体を大気中で、700℃の温度で10時
間熱処理し、組成式LiMn0.5Ni0.52で表される
リチウムマンガン複合酸化物を得た。このリチウムマン
ガン複合酸化物は、本発明のリチウムマンガン複合酸化
物の実施例となるものである。
【0024】(b)#12のリチウムマンガン複合酸化
物 上記#11のリチウムマンガン複合酸化物の製造におい
て、熱処理の温度を500℃に変更した以外は、上記#
11の場合と同様に製造した。本リチウムマンガン複合
酸化物も、本発明のリチウムマンガン複合酸化物の実施
例となるものである。 (c)#13のリチウムマンガン複合酸化物 上記#11のリチウムマンガン複合酸化物の製造におい
て、熱処理の温度を900℃に変更した以外は、上記#
11の場合と同様に製造した。本リチウムマンガン複合
酸化物も、本発明のリチウムマンガン複合酸化物の実施
例となるものである。 (d)#21のリチウムマンガン複合酸化物 上記#11のリチウムマンガン複合酸化物の製造におい
て、熱処理の温度を1000℃に変更した以外は、上記
#11の場合と同様に製造した。なお、本製造方法は、
熱処理の温度を1000℃とした点において、本発明の
製造方法とは異なる方法となる。したがって、本リチウ
ムマンガン複合酸化物は、本発明のリチウムマンガン複
合酸化物の比較例となるものである。 (e)#22のリチウムマンガン複合酸化物 本発明の製造方法とは異なる方法で、リチウムマンガン
複合酸化物を製造した。1Mの濃度のNi(NO32
溶液と1Mの濃度のMn(NO32水溶液とを、Niと
Mnとのモル比が1:1となるように混合した。この混
合溶液に、1Mの濃度のLiOH・H2O水溶液を、L
iとNiおよびMnとのモル比がLi:(Ni+Mn)
=3:1となるまで滴下し、ニッケルマンガン複合水酸
化物を析出させた。この析出反応における反応温度は3
0℃、反応中における反応水溶液のpH値は、11〜1
2に保つようにした。析出したニッケルマンガン複合水
酸化物を濾別し、水洗、乾燥して、粉末状のニッケルマ
ンガン複合水酸化物を得た。このニッケルマンガン複合
水酸化物と粉末状のLiOH・H2Oとを、LiとNi
およびMnとのモル比がLi:(Ni+Mn)=1:1
となるように混合した。次いで、この混合物を、大気中
で、950℃の温度で12時間焼成し、組成式LiNi
0.5Mn0.52で表されるリチウムマンガン複合酸化物
を得た。本リチウムマンガン複合酸化物は、本発明のリ
チウムマンガン複合酸化物の比較例となるものである。
【0025】(2)リチウムマンガン複合酸化物の粒子
構造の観察および比表面積測定 上記#11〜#13、#21および#22の各リチウム
マンガン複合酸化物を、SEMにより観察した。#11
〜#13のリチウムマンガン複合酸化物は、いずれも、
平均粒径が0.1〜0.5μmの微細な粒子から構成さ
れており、それらの粒子は殆どが単独で存在し、二次粒
子を形成していないことが確認できた。これに対し、#
21および#22のリチウムマンガン複合酸化物は、二
次粒子を形成していないものの、粒子の平均粒径は1μ
m程度と大きいものであった。これらの一例として、#
11のリチウムマンガン複合酸化物のSEM写真を図1
に、また、#21のリチウムマンガン複合酸化物のSE
M写真を図2に、それぞれ示す。これらの写真には、上
述した粒子径の違いがよく現れている。ちなみに、#1
1のリチウムマンガン複合酸化物場合では、平均粒径が
約0.25μmであり、#22のリチウムマンガン複合
酸化物では、平均粒径が約1μmである。また、#11
〜#13、#21および#22の各リチウムマンガン複
合酸化物の比表面積を、上述した窒素吸着法により測定
した。#11〜#13のリチウムマンガン複合酸化物
は、その比表面積が3.5〜9.8m2/gであった。
一方、#21および#22のリチウムマンガン複合酸化
物は、それぞれ2.4m2/g、1.8m2/gと小さい
値となった。
【0026】(3)リチウム二次電池の作製 上記#11〜#13、#21および#22の各リチウム
マンガン複合酸化物を正極活物質に用いて、リチウム二
次電池を作製した。正極は、まず、正極活物質となるそ
れぞれのリチウムマンガン複合酸化物の70重量部に、
導電材としてのカーボンブラックを25重量部、結着剤
としてのポリテトラフルオロエチレン(PTFE)を5
重量部混合し、溶媒として適量のN−メチル−2−ピロ
リドンを添加して、ペースト状の正極合材を調製した。
次いで、このペースト状の正極合材をSUS製の集電体
網に塗工して加圧し、正極合材の厚さを45μmとした
後、直径15mmφの円盤状に打ち抜いて正極とした。
対向させる負極は、金属リチウムを活物質として用い
た。金属リチウムをシート状にして、SUS製の集電体
網に圧着し、厚さ100μmとした後、直径17mmφ
の円盤状に打ち抜いて負極とした。セパレータには厚さ
20μmのポリプロピレン製の微多孔膜を用いた。セパ
レータに含浸させる非水電解液は、エチレンカーボネー
トとジエチルカーボネートとを体積比3:7に混合した
混合溶媒にLiPF6を1Mの濃度で溶解したものを用
いた。上記正極および負極を、セパレータを介して対向
させ、上記非水電解液を適量注入して含浸させた後、2
016型コイン型電池ケース(直径20mmφ、厚さ1
6mm)に収納することによりコイン型リチウム二次電
池を作製した。なお、#11のリチウムマンガン複合酸
化物を正極活物質に用いたリチウム二次電池を#11の
リチウム二次電池とし、以下同様に、正極活物質として
用いたリチウムマンガン複合酸化物の番号を、作製した
それぞれのリチウム二次電池の番号とした。
【0027】(4)充放電効率およびパワー特性の評価 上記作製したそれぞれのリチウム二次電池の充放電効
率、および放電容量の電流密度依存性を調査するため、
各二次電池に対して充放電試験を行った。充放電効率を
求めるための充放電試験は、20℃の温度条件下で、電
流密度1mA/cm2の定電流で充電上限電圧4.1V
まで充電を行い、次いで電流密度1mA/cm2の定電
流で放電下限電圧3.0Vまで放電を行うものとした。
そして、その時の充電容量および放電容量を測定し、そ
れらを初回充電容量、初回放電容量とした。得られた各
リチウム二次電池の初回充電容量および初回放電容量の
値から、式[初回放電容量/初回充電容量×100
(%)]から各リチウム二次電池の充放電効率(%)を
求めた。また、放電容量の電流密度依存性を調査するた
めの充放電試験は、20℃の温度条件下で、電流密度1
mA/cm2の定電流で充電上限電圧4.1Vまで充電
を行い、次いで電流密度1mA/cm2および5mA/
cm2の2種類の定電流で放電下限電圧3.0Vまで放
電を行うものとした。そして、各電流密度で放電した際
の放電容量を測定した。
【0028】各リチウム二次電池の初回充電容量、初回
放電容量、および充放電効率(%)の値を表1に示す。
【表1】 表1より、本発明のリチウムマンガン複合酸化物を正極
活物質に用いた#11〜#13のリチウム二次電池は、
初期充電容量が大きく、また充放電効率も高い値となっ
た。特に、700℃で熱処理を行って製造したリチウム
マンガン複合酸化物を使用した#11のリチウム二次電
池の充放電効率が高くなっている。これは、使用したリ
チウムマンガン複合酸化物の粒子が二次粒子を形成せ
ず、かつ結晶性も良好であるためと考えられる。なお、
熱処理温度を500℃として製造したリチウムマンガン
複合酸化物を使用した#12のリチウム二次電池では、
初期充電容量は大きくなったが、若干充放電効率は低下
した。これは、熱処理温度が低かったためにリチウムマ
ンガン複合酸化物の結晶性が低下し、充電により放出さ
れたリチウムが、放電時に吸蔵されにくくなったためと
考えられる。一方、#21、#22のリチウム二次電池
は、初期充電容量が小さく、特に、#21のリチウム二
次電池では、充放電効率が低くなった。これは、熱処理
温度が高かったために粒子径が大きくなり、反応に寄与
する面積が小さくなったためと考えられる。
【0029】また、各リチウム二次電池の比表面積、お
よび各電流密度における放電容量の値を表2に示す。
【表2】 表2より、いずれのリチウム二次電池においても、電流
密度が5mA/cm2と大きくなると放電容量は小さく
なった。特に、#21、#22のリチウム二次電池で
は、1mA/cm2で放電した場合と比べて、5mA/
cm2放電の放電容量は半分程度となっている。しか
し、比表面積が3m2/g以上10m2/g以下である本
発明のリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質に用い
た#11〜#13のリチウム二次電池は、電流密度が大
きい場合であっても放電容量の低下の程度は小さく、パ
ワー特性が高いことがわかる。これは、比表面積が大き
いため、リチウムが吸蔵・放出される充放電反応がスム
ーズに行われたことによると考えられる。以上まとめる
と、本発明のリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質
に用いたリチウム二次電池は、初期充電容量および充放
電効率が高く、かつパワー特性も高いことが確認でき
た。
【0030】
【発明の効果】本発明のリチウムマンガン複合酸化物
は、微細な粒子からなり、それが二次粒子を形成しない
粒子構造をとるものである。このような構造を有するリ
チウムマンガン複合酸化物を用いて作製された本発明の
リチウム二次電池は、活物質粒子の微細化、崩壊等が効
果的に抑制され、充放電効率の高いリチウム二次電池と
なる。また、粒径の小さな粒子から構成されているた
め、充放電反応に寄与する面積が大きくなり、パワー特
性に優れた電池となる。さらに、本発明のリチウムマン
ガン複合酸化物の製造方法によれば、上記本発明のリチ
ウムマンガン複合酸化物を簡便に製造することができ
る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 #11のリチウムマンガン複合酸化物のSE
M写真を示す。
【図2】 #21のリチウムマンガン複合酸化物のSE
M写真を示す。
【手続補正書】
【提出日】平成13年12月17日(2001.12.
17)
【手続補正1】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図1
【補正方法】変更
【補正内容】
【図1】
【手続補正2】
【補正対象書類名】図面
【補正対象項目名】図2
【補正方法】変更
【補正内容】
【図2】
フロントページの続き Fターム(参考) 4G048 AA04 AB01 AB02 AB06 AC06 AD04 AD06 5H029 AJ03 AK03 AL06 AL07 AL12 AM02 AM05 AM06 BJ03 CJ02 CJ03 CJ08 EJ03 EJ05 HJ02 HJ05 HJ07 HJ14 HJ15 5H050 AA08 BA15 CA02 CB07 CB08 CB11 DA06 DA19 EA10 EA24 GA02 GA03 GA10 HA02 HA05 HA07 HA14 HA15

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 組成式LiMn1-xMex2(Meは遷
    移金属およびAlから選ばれる1種以上、0.2≦x<
    0.7)で表されるリチウムマンガン複合酸化物であっ
    て、 粉末状をなし、該粉末を構成する粉末粒子の平均粒径が
    0.1μm以上0.5μm以下であり、該粉末粒子が凝
    集塊を形成せずにそれらの殆どが単独で存在することを
    特徴とするリチウム二次電池正極活物質用リチウムマン
    ガン複合酸化物。
  2. 【請求項2】 比表面積が3m2/g以上10m2/g以
    下である請求項1に記載のリチウム二次電池正極活物質
    用リチウムマンガン複合酸化物。
  3. 【請求項3】 前記組成式におけるMeはNiであり、
    組成式LiMn1-xNix2(0.2≦x<0.7)で
    表される請求項1または請求項2に記載のリチウム二次
    電池正極活物質用リチウムマンガン複合酸化物。
  4. 【請求項4】 請求項1ないし請求項3のいずれかに記
    載のリチウムマンガン複合酸化物を正極活物質として用
    いたリチウム二次電池。
  5. 【請求項5】 組成式LiMn1-xMex2(Meは遷
    移金属およびAlから選ばれる1種以上、0.2≦x<
    0.7)で表され、粉末状をなし、該粉末を構成する粉
    末粒子の平均粒径が0.1μm以上0.5μm以下であ
    り、該粉末粒子が凝集塊を形成せずにそれらの殆どが単
    独で存在するリチウム二次電池正極活物質用リチウムマ
    ンガン複合酸化物の製造方法であって、 Me源となるMe化合物とマンガン源となる過マンガン
    酸化合物とリチウム源となるリチウム化合物とを原料と
    して含み、さらにアルカリ金属水酸化物を含む原料混合
    物を、加圧下にて180℃以上350℃以下の温度で保
    持することにより複合酸化物前駆体を得る複合酸化物前
    駆体合成工程と、 前記複合酸化物前駆体を、非還元性雰囲気中、500℃
    以上1000℃未満の温度で熱処理することによりリチ
    ウムマンガン複合酸化物を得る熱処理工程とを含むリチ
    ウムマンガン複合酸化物の製造方法。
  6. 【請求項6】 前記複合酸化物前駆体合成工程を、1M
    Pa以上16.5MPa以下の加圧下で行う請求項5に
    記載のリチウムマンガン複合酸化物の製造方法。
  7. 【請求項7】 前記原料混合物には水が含まれ、前記複
    合酸化物前駆体合成工程を、その反応時の温度における
    該水の飽和蒸気圧下で行う請求項5に記載のリチウムマ
    ンガン複合酸化物の製造方法。
  8. 【請求項8】 前記原料混合物における前記アルカリ金
    属水酸化物の含有量は、前記Me化合物に含まれるMe
    量と前記過マンガン酸化合物に含まれるマンガン量との
    和の1.5倍以上(モル比)である請求項7に記載のリ
    チウムマンガン複合酸化物の製造方法。
JP2001373810A 2001-12-07 2001-12-07 リチウム二次電池正極活物質用リチウムマンガン複合酸化物、その製造方法およびそれを用いたリチウム二次電池 Pending JP2003176133A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001373810A JP2003176133A (ja) 2001-12-07 2001-12-07 リチウム二次電池正極活物質用リチウムマンガン複合酸化物、その製造方法およびそれを用いたリチウム二次電池

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2001373810A JP2003176133A (ja) 2001-12-07 2001-12-07 リチウム二次電池正極活物質用リチウムマンガン複合酸化物、その製造方法およびそれを用いたリチウム二次電池

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2003176133A true JP2003176133A (ja) 2003-06-24

Family

ID=19182466

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2001373810A Pending JP2003176133A (ja) 2001-12-07 2001-12-07 リチウム二次電池正極活物質用リチウムマンガン複合酸化物、その製造方法およびそれを用いたリチウム二次電池

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2003176133A (ja)

Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005006469A1 (ja) * 2003-07-15 2005-01-20 Itochu Corporation 集電構造体及び電極構造体
JP2007157502A (ja) * 2005-12-05 2007-06-21 Nissan Motor Co Ltd リチウムイオン二次電池
JP2013531602A (ja) * 2010-06-25 2013-08-08 エボニック デグサ ゲーエムベーハー 元素のリチウム、マンガン、ニッケル、及びコバルトを含有する混合酸化物粉末、及び当該粉末の製造方法
JP2018206554A (ja) * 2017-06-01 2018-12-27 日亜化学工業株式会社 非水系電解質二次電池用正極活物質及びその製造方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2005006469A1 (ja) * 2003-07-15 2005-01-20 Itochu Corporation 集電構造体及び電極構造体
EP1662592A1 (en) * 2003-07-15 2006-05-31 Itochu Corporation Current collecting structure and electrode structure
EP1662592A4 (en) * 2003-07-15 2008-09-24 Itochu Corp ELECTRICITY STRUCTURE AND ELECTRON STRUCTURE
JP2007157502A (ja) * 2005-12-05 2007-06-21 Nissan Motor Co Ltd リチウムイオン二次電池
JP2013531602A (ja) * 2010-06-25 2013-08-08 エボニック デグサ ゲーエムベーハー 元素のリチウム、マンガン、ニッケル、及びコバルトを含有する混合酸化物粉末、及び当該粉末の製造方法
JP2018206554A (ja) * 2017-06-01 2018-12-27 日亜化学工業株式会社 非水系電解質二次電池用正極活物質及びその製造方法

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4061586B2 (ja) 非水電解質二次電池用正極活物質及びそれを用いた非水電解質二次電池
JP6236197B2 (ja) リチウム電池用正極及びリチウム電池
JP5030123B2 (ja) リチウム二次電池
JP4963330B2 (ja) リチウム二次電池正極活物質用リチウム鉄複合酸化物、その製造方法およびそれを用いたリチウム二次電池
JP2004319105A (ja) 正極活物質及びそれを用いた非水電解質二次電池
JP4482987B2 (ja) リチウム二次電池正極活物質用リチウム遷移金属複合酸化物およびその製造方法
JP2004362895A (ja) 負極材料およびそれを用いた電池
JP2003034534A (ja) リチウム二次電池正極活物質用炭素含有リチウム鉄複合酸化物およびその製造方法
JP2003303585A (ja) 電 池
CN112313817A (zh) 正极材料和二次电池
JP2005011650A (ja) 負極材料およびそれを用いた電池
JP2003208895A (ja) リチウム二次電池正極活物質用リチウムニッケル複合酸化物、その製造方法およびそれを用いたリチウム二次電池
JP4788075B2 (ja) リチウム二次電池正極活物質用リチウム遷移金属複合酸化物およびそれを用いたリチウム二次電池
JP5586116B2 (ja) リチウム二次電池用の正極合材およびその使用
JP4678457B2 (ja) リチウム二次電池正極活物質用リチウム遷移金属複合酸化物およびそれを用いたリチウム二次電池
JP2003068300A (ja) リチウム二次電池用正極活物質材料およびそれを用いたリチウム二次電池
CN109964345B (zh) 非水电解质二次电池用正极及非水电解质二次电池
JP3696159B2 (ja) 非水電解液二次電池用正極活物質およびそれを用いた非水電解液二次電池
JP2002117845A (ja) リチウム二次電池正極活物質用リチウム鉄複合酸化物
JP5189466B2 (ja) リチウム二次電池
JP4810729B2 (ja) リチウム遷移金属複合酸化物及びその製造方法
JP2003272611A (ja) 非水電解質二次電池
JP2003176133A (ja) リチウム二次電池正極活物質用リチウムマンガン複合酸化物、その製造方法およびそれを用いたリチウム二次電池
JP4442146B2 (ja) リチウムイオン二次電池用負極材料およびそれを用いたリチウムイオン二次電池
JP2000149943A (ja) リチウム二次電池正極活物質用リチウムマンガン複合酸化物の製造方法