JP2003175527A - リグノフェノール系成形体及びその製造方法 - Google Patents

リグノフェノール系成形体及びその製造方法

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JP2003175527A
JP2003175527A JP2001379054A JP2001379054A JP2003175527A JP 2003175527 A JP2003175527 A JP 2003175527A JP 2001379054 A JP2001379054 A JP 2001379054A JP 2001379054 A JP2001379054 A JP 2001379054A JP 2003175527 A JP2003175527 A JP 2003175527A
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lignophenol
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lignophenol derivative
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JP2001379054A
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Toshihiro Hasegawa
智弘 長谷川
Hiroyuki Ioka
浩之 井岡
Tokuo Ito
篤男 井藤
Masamitsu Funaoka
正光 舩岡
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MARUTOO KK
Original Assignee
MARUTOO KK
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Abstract

(57)【要約】 【課題】リグノフェノール誘導体を主成分として含有す
る成形材料を用いる成形技術を提供する。 【解決手段】成形材料としてフェノール誘導体で溶媒和
された植物資源由来原料を濃酸と接触させて得られるリ
グノフェノール誘導体を含有する成形用組成物を加熱し
て成形するリグノフェノール系成形体の製造方法を提供
する。本発明によれば、リグノフェノール誘導体自体が
熱流動し、このために、リグノフェノール誘導体をそれ
自体を成形材料として使用することができる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、リグノフェノー
ル誘導体の成形技術に関し、詳しくは、リグノフェノー
ル誘導体を加熱して、それ自身を成形材料として使用す
る技術に関する。
【0002】
【従来の技術】植物資源から採取されるリグノセルロー
スをフェノールで溶媒和した後、濃酸と接触させて得ら
れるリグノフェノール誘導体が知られている(特開平9
−278904号公報等)。近年、かかるリグノフェノ
ール誘導体を、植物資源由来の原料と複合化して成形体
として利用することが試みられている。この場合、リグ
ノフェノール誘導体は、少なくともバインダー機能を有
していることが知られている。しかしながら、現在まで
に、リグノフェノール誘導体そのものあるいはリグノフ
ェノール誘導体を主成分として含有する組成物を成形材
料とする成形技術の報告はされていない。
【0003】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、リグノフ
ェノール誘導体について種々検討したところ、リグノフ
ェノール誘導体自体が、熱流動が可能であることを見出
した。また、他のファイバーなどの成形材料との混合物
であっても、熱流動が可能であることを見出した。以上
のことから、本発明によれば、以下の手段が提供され
る。
【0004】(1)成形材料としてフェノール誘導体で
溶媒和された植物資源由来原料を濃酸と接触させて得ら
れるリグノフェノール誘導体を含有する成形用組成物を
加熱して成形する、リグノフェノール系成形体の製造方
法。 (2)前記成形方法は、射出成形あるいは押出し成形と
する、(1)記載の方法。 (3)前記加熱時には、成形用組成物に水蒸気を供給す
る、(1)又は(2)記載の方法。 (4)前記成形用組成物は、前記リグノフェノール誘導
体を主成分とする、(1)又は(2)記載の方法。 (5)前記成形用組成物は、さらに他の高分子成分を含
有する、(3)記載の方法。 (6)前記成形用組成物には、さらに、酸を含有する、
(4)記載の方法。 (7)前記組成物は、フェノール誘導体で溶媒和された
植物資源由来原料の濃酸との接触後の混合物に過剰の水
を添加して得られる不溶画分を含有する、(1)〜
(6)のいずれかに記載の方法。 (8)成形材料として、フェノール誘導体で溶媒和され
た植物資源由来原料を濃酸と接触させて得られるリグノ
フェノール誘導体を含有する、加熱成形用組成物。 (9)前記組成物は、フェノール誘導体で溶媒和された
植物資源由来原料の濃酸との接触後の混合物に過剰の水
を添加して得られる不溶画分を含有する、(8)記載の
組成物。 (10)成形材料として、フェノール誘導体で溶媒和さ
れた植物資源由来原料を濃酸と接触させて得られるリグ
ノフェノール誘導体を含有する成形用組成物を加熱し成
形して得られる、リグノフェノール系成形体。
【0005】これらの発明によれば、リグノフェノール
誘導体そのものが加熱により熱流動が可能になる。リグ
ノフェノール誘導体の熱流動により、それ自体成形材料
として機能し、成形体を形成することができる。
【0006】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の形態につい
て、詳細に説明する。本発明は、成形材料としてフェノ
ール誘導体で溶媒和された植物資源由来原料を濃酸と接
触させて得られるリグノフェノール誘導体を使用するこ
とが特徴である。なお、本明細書において、成形材料と
は、熱可塑性を有し、冷却により固化体を形成すること
ができる材料を意味している。好ましくは、加熱により
流動性を発現することができる材料である。
【0007】本発明において使用する、リグノフェノー
ル誘導体は、本質的には、リグニンを含有するリグノセ
ルロース系材料から得られる。リグニンを含有するリグ
ノセルロース系材料としては、木質化した材料、主とし
て木材である各種材料、例えば、木粉、チップ、廃材、
端材等を挙げることができる。また、用いる木材の種類
は、針葉樹、広葉樹等、種類を問わないで用いることが
できる。さらに、各種草本植物、それに関連する試料、
例えば農産廃棄物等も用いることができる。
【0008】本発明において使用する、リグノフェノー
ル誘導体は、本質的には、リグニンを含有するリグノセ
ルロース系材料から得られる。リグニンを含有するリグ
ノセルロース系材料としては、木質化した材料、主とし
て木材である各種材料、例えば、木粉、チップ、廃材、
端材等を挙げることができる。また、用いる木材の種類
は、針葉樹、広葉樹等、種類を問わないで用いることが
できる。さらに、各種草本植物、それに関連する試料、
例えば農産廃棄物等も用いることができる。
【0009】リグノセルロース系材料から、リグノフェ
ノール誘導体を得るには、かかるリグノセルロース系材
料中のリグニンをフェノール誘導体で処理する。フェノ
ール誘導体によるリグノセルロースからのリグノフェノ
ール誘導体への変換過程の概略を図1に示し、図2及び
図3に、特にクレゾールによるリグニンの構造変換例を
示す。
【0010】リグノセルロース系材料中のリグニンを、
リグノフェノール誘導体として抽出する方法として各種
方法がある。以下、3種類の方法を例示するが、本発明
において用いるリグノフェノール誘導体は、これらの製
法によってのみ得られるものではない。第1の方法は、
特開平2−233701号公報に記載されている方法で
ある(図4参照)。例えば、木粉等のリグノセルロース
系材料に液体状のフェノール誘導体(クレゾール等)を
浸透させ、リグニンをフェノール誘導体により溶媒和さ
せ、次に、リグノセルロース系材料を濃酸(一例として
72%硫酸や濃リン酸など)を添加して、セルロース成
分を溶解する。この方法によると、リグニンを溶媒和し
たフェノール誘導体と、セルロース成分を溶解した濃酸
とが2相分離系を形成する。フェノール誘導体により溶
媒和されたリグニンは、フェノール誘導体相が濃酸相と
接触する界面においてのみ、酸と接触され、この際生じ
たリグニンの高反応サイト(α位)のカチオンが、フェ
ノール誘導体により攻撃される。この結果、リグニンの
芳香族環のα位炭素にフェノール誘導体が導入されたリ
グノフェノール誘導体がフェノール誘導体相に生成され
る。このフェノール誘導体相から、リグノフェノール誘
導体が抽出される。抽出は、例えば、次の方法で行うこ
とができる。すなわち、フェノール誘導体相を、大過剰
のエチルエーテルに加えて得た沈殿物を集めて、アセト
ンに溶解する。不溶画分画分を遠心分離により除去し、
アセトン可溶画分を濃縮する。このアセトン可溶画分
を、大過剰のジエチルエーテルに滴下し、沈殿を集め
る。この沈殿から溶媒留去した後、五酸化リン入りデシ
ケータ中で乾燥し、リグノフェノール誘導体とする。な
お、リグノフェノール誘導体相をリグノフェノール誘導
体含有組成物として使用することもできる。この液相中
のフェノール誘導体を単に減圧蒸留などにより除去して
もよい。なお、図示はしないが、第1の方法において得
られるフェノール誘導体相(フェノール誘導体相と水相
との双方(全反応液)であってもよい。)に過剰の水を
投入して得られる不溶画分、あるいはその水洗浄後(脱
酸)画分および/または乾燥画分(以下、これらの画分
を総称して第1の粗精製画分という。)には、リグノフ
ェノール誘導体を含有している。この粗精製画分には、
さらに、炭水化物の他、完全に洗浄しない限り酸が含ま
れうる(特に、全反応液の場合)。また、未反応のフェ
ノール誘導体も同様に含まれうる。この第1の粗精製画
分に、アセトンあるいはアルコールなどのリグノフェノ
ール親和性溶媒を加えてリグノフェノール誘導体を可溶
画分に抽出することもできる。なお、リグノフェノール
親和性溶媒可溶画分を、そのままリグノフェノール誘導
体含有組成物として、成形体の製造に用いることもでき
る。さらにこのときの不溶画分に、リグノフェノール誘
導体が炭水化物などと共に含まれうるため、この不溶画
分を、第2の粗精製画分という。
【0011】第2の方法を図5に例示する。この方法
は、リグノセルロース系材料に、固体状あるいは液体状
のフェノール誘導体を溶解した溶媒(例えば、エタノー
ルあるいはアセトン)を浸透させた後、溶媒を留去する
(フェノール誘導体の収着工程)。次に、このリグノセ
ルロース系材料に濃酸を添加してセルロース成分を溶解
する。この結果、第1の方法と同様、フェノール誘導体
により溶媒和されたリグニンは、フェノール誘導体と濃
酸とが接触する界面において、酸と接触し、フェノール
誘導体により攻撃されて、リグノフェノール誘導体が生
成される。第2の方法では、この濃酸処理後の全反応液
を過剰の水中に投入し、不溶画分中にリグノフェノール
誘導体を得ることができる。この場合の不溶画分を、第
3の粗精製画分という。この第3の粗精製画分には、リ
グノフェノール誘導体の他、セルロースなどの炭水化物
を含むことになる。また、完全に洗浄しない限り、添加
された酸やフェノール誘導体の一部を含有しうる。さら
にこの不溶画分を水洗浄後(脱酸)画分および/または
乾燥画分も第3の粗精製画分に含まれる。この粗精製画
分を、遠心分離などにて集め、透析した上で乾燥するこ
ともできる。この乾燥物にアセトンあるいはアルコール
などのリグノフェノール親和性溶媒を加えてリグノフェ
ノール誘導体を可溶画分に抽出することもできる。な
お、このときの不溶画分には、炭水化物の他、リグノフ
ェノール誘導体が含有されうる(以下、この画分を第4
の粗精製画分という。)。さらに、この可溶画分を第1
の方法と同様に、過剰のジエチルエーテル等に滴下し
て、リグノフェノール誘導体を不溶画分として得ること
ができる。この方法においても、同様に、アセトン可溶
画分をリグノフェノール誘導体含有組成物として、成形
体の製造に用いることができる。なお、別法として、濃
酸処理によって生成したリグノフェノール誘導体を液体
フェノール誘導体にて抽出することができる。この液体
フェノール誘導体相をそのまま粗リグノフェノール誘導
体含有組成物とすることもできるし、添加したフェノー
ル誘導体を留去することによっても粗リグノフェノール
誘導体含有組成物とすることもできる。さらに、この液
体フェノール誘導体相からのリグノフェノール誘導体の
抽出も、第1の方法と同様にして行うこともできる。
【0012】また、第3の方法として、特開2001−
131201号公報に記載されるリグノフェノール誘導
体の製造方法がある。この方法は、フェノール誘導体と
リグノセルロース系物質及び酸を含む混合物と不活性低
沸点疎水性有機溶媒とを混合し、得られた混合物を遠心
分離により3層に分離し、3層のうちの中間層を回収す
る工程を含むことを特徴とするものである。また、予
め、前記疎水性有機溶媒に溶解させたフェノール誘導体
とリグノセルロース系物質とを混合して、過剰量の有機
溶媒とフェノール誘導体とを除去し、残存した混合物と
酸とを混合することによって、リグノセルロース系物質
と酸とを反応させ、遠心分離して得られる中間層を回収
する工程を含むことを特徴としている。このような中間
層は、リグノフェノールを高濃度に有している。この中
間層を、水で洗浄して、水不溶画分を回収することを適
数回繰り返して脱酸することができる。得られた水不溶
画分は、乾燥後、アセトンでリグノフェノール誘導体を
抽出することができる。アセトン相は、濃縮乾固し、大
過剰のジエチルエーテルに滴下し、不溶画分をさらにジ
エチルエーテルで洗浄し、溶媒を留去することにより、
精製することができる。
【0013】これらの方法においては、精製度が高いリ
グノフェノール誘導体を得るには、第2の方法が、なか
でも特に後者、すなわち、リグノフェノール誘導体をア
セトンあるいはアルコールにて抽出分離する方法が、フ
ェノール誘導体の使用量が少なくてすむため、経済的で
ある。また、この方法が、少量のフェノール誘導体で、
多くのリグノセルロース系材料を処理できるため、リグ
ノフェノール誘導体の大量合成に適している。
【0014】これらの方法によれば、リグニンのフェニ
ルプロパン単位の側鎖α位にフェノール誘導体が選択的
に導入されたジフェニルプロパン単位を含む重合体が得
られる。
【0015】これらの方法に用いられるフェノール誘導
体としては、1価のフェノール、2価のフェノール、3
価のフェノール等を用いることができる、1価のフェノ
ールとしては、例えば、フェノール、クレゾールなどの
アルキルフェノール、メトキシフェノール、ナフトール
を挙げることができる。2価のフェノールとしては、例
えばカテコール、アルキルカテコール、レゾルシノー
ル、アルキルレゾルシノール、ハイドロキノン、アルキ
ルハイドロキノン等を挙げることができる。3価のフェ
ノールとしては、ピロガロール等を挙げることができ
る。このようなフェノール誘導体により合成されたリグ
ノフェノール誘導体の疎水性は、リグノモノフェノール
誘導体が最も疎水性が高く、リグノジフェノール誘導
体、リグノトリフェノール誘導体の順に疎水性が低下す
る。このため、疎水性成形体の製造を意図する場合に
は、リグノフェノール誘導体の合成に際して1価フェノ
ールをフェノール誘導体として用いるのが好ましく、特
に、コスト及び安定性及び取り扱い易さを考慮するとク
レゾールがより好ましい。
【0016】なお、リグノフェノール誘導体は、リグノ
フェノール誘導体が含まれたリグノフェノール系成形体
から回収されたリグノフェノール誘導体を用いることも
できる。かかるリグノフェノール系成形体から、アセト
ン、エタノール、メタノール、ジオキサン、これらそれ
ぞれと水の混合液、アルカリ溶液(アルカリ水溶液を含
む)から選ばれた1種類以上の溶媒に浸すことにより、
この溶媒中に、リグノフェノール誘導体は回収される。
このリグノフェノール誘導体は、再利用可能である。こ
の方法によると、リグノフェノール誘導体が繰り返し再
利用することができ、資源の有効利用につながる。
【0017】リグノフェノール誘導体を含有する組成物
は、上記したリグノフェノール誘導体を含有している。
リグノフェノール誘導体自身は水に不溶である。リグノ
フェノール誘導体含有組成物を簡易に得るには、上記第
1および第2の方法における、粗リグノフェノール誘導
体を用いることができる。すなわち、液体リグノフェノ
ール誘導体相をそのまま本組成物とすることができる。
また、上記した第1〜第4の粗精製画分(懸濁液状の他
沈殿物であってもよい)あるいはその乾燥物をそのまま
用いることができる。なお、これらの粗精製画分をさら
に水洗浄などして特に酸などの含有量を成形体において
許容される範囲内に低減させておくこともできる。
【0018】また、本発明におけるリグノフェノール誘
導体成形用組成物は、フェノール誘導体を含有すること
ができる。フェノール誘導体を含有することにより、フ
ェノール誘導体による縮合反応が生じると考えられる。
このような縮合体は、熱流動性や成形性に寄与する可能
性は否定できない。フェノール誘導体としては、上記し
た各種フェノール誘導体の1種あるいは2種以上を含有
することができる。
【0019】さらに、本組成物は、酸を含有しているこ
とができる。酸は、無機酸であっても有機酸であっても
よいが、好ましくは、硫酸あるいはリン酸である。酸を
含有している場合、酸によってリグノフェノール誘導体
のエーテル結合が開裂して、副成分を生じさせ、それに
より他方では縮合を促進する可能性がある。このような
その場生成の縮合体が熱流動性や成形性に寄与する可能
性がある。
【0020】さらに、本組成物は、セルロースやヘミセ
ルロース等の炭水化物(好ましくはOH基を有する炭水
化物などの親水性炭水化物あるいは植物資源由来の炭水
化物)を含有していることが好ましい。かかる炭水化物
が、加熱時の熱流動性や成形性に寄与する可能性を否定
できないからである。炭水化物の存在により、加熱時、
特に、水蒸気雰囲気下での加熱により、何らかの接着性
化合物が生成され、流動性への寄与あるいは成形体の強
度向上が期待される。特に、セルロースやヘミセルロー
スは、リグノフェノール誘導体の合成の出発原料として
使用するリグノセルロース系材料が合成反応に伴ってリ
グニンとの結合が解けて、フェノール誘導体相あるいは
このフェノール誘導体相の水不溶画分に分配された成分
として、第1〜第4の粗精製画分中に含有される。
【0021】本組成物は、リグノフェノール誘導体の他
に、フェノール誘導体、酸及び炭水化物のうち、少なく
とも1種類を含有していることが好ましい。好ましく
は、少なくとも炭水化物を含有している。上記した、第
1の方法及び第2の方法における第1〜第4の粗精製画
分は、リグノフェノール誘導体以外の上記成分(フェノ
ール誘導体、酸、及び炭水化物)の少なくとも1種類を
含有している。特に、第1〜第4の粗精製画分は、リグ
ノフェノール誘導体と炭水化物とを含有しているため、
これらの画分は、本発明におけるリグノフェノール誘導
体含有組成物の好ましい形態である。少なくとも効率よ
く本組成物を得る観点からは、第1および第3の粗精製
画分がより好ましい形態である。
【0022】なお、リグノフェノール誘導体含有成形用
組成物は、固体、すなわち、粉末状態であっても、ま
た、懸濁液状態であってもよい。成形工程の必要性に応
じて必要な形態を採用することができる。
【0023】本発明の成形用組成物には、リグノフェノ
ール誘導体を主成分とすることが好ましいが、他の成形
材料を含有していてもよい。他の成形材料としては、植
物系、ガラス系、セラミックス等の各種成形材料を使用
することができる。好ましくは、針葉樹、広葉樹、コウ
ゾ、ケナフ、マニラ麻、ワラ、キビ等の草本植物等の各
種植物資源を原料とするリグノセルロース系材料あるい
はセルロース系材料を使用できる。また、この植物資源
由来材料としては、間伐材、剪定枝、バガス、新聞紙、
ダンボール等の植物系廃棄物等由来の材料も包含してい
る。また、セルロース系高分子、乳酸系高分子、アルコ
ール系高分子、アクリル系高分子、フェノール系高分子
など、天然由来あるいは人工的に得られた樹脂材料を使
用することもできる。これらの樹脂材料にも、廃棄物由
来の材料を包含している。リグノフェノール誘導体の親
和性を考慮すると、好ましくは、リグノセルロース系材
料、セルロース系材料を他の成形材料として含有するこ
とが好ましい。
【0024】成形材料の形態も特に限定しないで、ファ
イバー状、チップ状、粉状等の各種形状を採用すること
ができる。入手容易性、成形性、強度等を考慮すると、
好ましくは、ファイバー状である。特に、リグノセルロ
ース系あるいはセルロース系のファイバーを使用するこ
とが最も好ましい。セルロース系ファイバーとしては、
機械パルプ、化学パルプ、セミケミカルパルプ、及びこ
れらのリサイクルパルプを使用することができる。
【0025】成形用組成物におけるリグノフェノール誘
導体の含有量は、特に限定しない。加熱時の流動性や成
形性を確保できる範囲内で含有されていればよい。
【0026】本発明のリグノフェノール誘導体含有成形
用組成物は、リグノフェノール誘導体、通常、成形用組
成物に含めることのできる各種成分を含有することもで
きる。例えば、可塑剤、相溶化剤、硬化剤、充てん剤な
どを含めることができる。
【0027】(加熱成形)本発明の成形用組成物を加熱
することにより、リグノフェノール誘導体の熱流動性が
発現し、成形用組成物が流動するようになる。熱流動性
を発現させるには、リグノフェノールの起源種や組成に
もよるが、好ましくは、150℃以上200℃以下に加
熱するものとする。150℃未満では、リグノフェノー
ル誘導体が流動せず、200℃を超えると熱分解するか
らである。さらに、好ましくは150℃以上165℃以
下である。加熱に際しては、成形用組成物に水蒸気を供
給するようにすることが好ましい。水蒸気が成形用組成
物に供給されることにより、より低温で流動するからで
ある。
【0028】加熱方法は、採用する成形方法によって異
なる。成形方法としては、射出成形、押出し成形、ブロ
ー成形、カレンダー成形、型成形、異形押出し成形等の
各種成形方法を採用することができる。熱流動性を効果
的に利用するには、押出し成形や射出成形を採用するこ
とが好ましい。
【0029】本成形用組成物を加熱することにより、軟
化・溶融し、形状付与可能に可塑性を発現するととも
に、組成によっては、分解・縮合などの反応が生じ、成
形工程あるいは成形体の特性に寄与することが考えられ
る。
【0030】
【実施例】以下、本発明を、実施例を挙げて具体的に説
明する。これらの実施例は、本発明を説明するための例
示される具体例であって、本発明を限定するものではな
い。
【0031】(実施例1:リグノフェノール誘導体含有
成形用組成物の調製)リグノセルロース系材料として、
ヒノキ単独木粉と、ベイマツ、ニュージーマツなどの針
葉樹系混合木粉とを用いて、第2法によりリグノフェノ
ール誘導体を合成し、粗リグノフェノール誘導体をリグ
ノフェノール誘導体含有組成物として採取した。各木粉
の脂分を常法に従いアセトンで抽出(2回)して、脱脂
処理を行った。脱脂後の各木粉において、リグニンC9
単位あたり3molのp−クレゾールを含むアセトン溶
液を加え、よく攪拌して約1日放置した。1日後、収着
むらを防ぐために、攪拌しながら、アセトンを留去し、
p−クレゾールを収着させた。
【0032】収着木粉に72%硫酸をよく攪拌しながら
加えて、1時間攪拌し、予め硫酸量に対して10倍量の
浄水を入れた容器に投入し、反応を停止させた。しばら
く攪拌し、攪拌停止後、1日静置した。1日経過後、上
澄み液をデカンテーションし、再び浄水を加え、しばら
く攪拌した。これをpHが6〜7になるまで繰り返し実
施した。これにより、沈殿物(不溶画分)から大部分の
酸と未反応のp−クレゾールとが除去された。酸洗浄
後、不溶画分を40℃に設定した乾燥機にて過剰な水分
が蒸発するまで乾燥し、その後、五酸化ニリン上で減圧
乾燥を行い、乾燥物を得た。この乾燥物を本成形用組成
物(ヒノキ単独由来及び針葉樹混合系由来)とした。
【0033】(実施例2:熱流動試験)実施例1で得た
2種の成形用組成物を、フローテスタ(島津製作所製CF
T-500)を用いて行った。荷重20kgf(プランジャ
ー圧力200kg/cm2)とし、予熱時間300秒、
昇温速度1℃/minとし、ダイ(ノズル)直径1mm、
ダイ(ノズル)長さ1mmのものを用いた。結果を図6
に示す。なお、グラフ縦軸の変位とは、ノズルからの流
出距離を意味している。
【0034】図6に示すように、ヒノキ単独由来組成物
については、158℃から緩やかに粘性が低下し、徐々
にノズルから熱溶融した試料が流出し始めた。直径1mm
のノズルから流出した試料は、直径約3mmに膨張した
が、緻密で光沢のある表面を有していた。また、色調な
黒に近い茶色であった。なお、内部には発泡した痕跡が
認められた。
【0035】一方、針葉樹混合系組成物では、約162
℃で急速に粘性が低下し始め、約163℃でノズルから
熱溶融した試料が流出し始めた。流出した試料は直径約
7mmにまで膨張した。表面以外の内部は、完全に発泡し
ていた。
【0036】(実施例3:古紙ファイバーとの複合)実
施例1で調製した、針葉樹混合系組成物と、古紙ファイ
バーを1:8(重量比)で混合した場合においても、実
施例2と同様の熱流動試験を行ったところ、この組成物
においても、熱フローすることを確認した。なお、ベイ
マツ・ニュージーランドマツ由来組成物は、流出開始温
度は163℃であったが、ファイバーとの混合物(1:
1)(重量比)における当該温度は、178℃と高温側
にシフトしていた。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、リグノフェノール誘導
体そのものあるいはリグノフェノール誘導体を主成分と
して含有する組成物を成形材料とする成形技術を提供す
ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】フェノール誘導体によるリグニンの変換過程を
示す図である。
【図2】リグノクレゾールによるリグニンの構造変換例
を示す図である。
【図3】リグノクレゾールによるリグニンの構造変換例
を示す図である。
【図4】リグノフェノール誘導体の製造工程の一例を示
す図である。
【図5】リグノフェノール誘導体の製造工程の他の一例
を示す図である。
【図6】熱流動試験の結果を示す図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (51)Int.Cl.7 識別記号 FI テーマコート゛(参考) C08L 97:00 C08L 97:00 (72)発明者 井藤 篤男 三重県鈴鹿市御薗町字坂本蛇谷4100 株式 会社マルトー鈴鹿研究所内 (72)発明者 舩岡 正光 三重県津市一身田上津部田3010 アーツ山 の手8−304 Fターム(参考) 4F071 AA01 AA41 AA73 BB05 BB06 BC07 4F206 AA37 JA07 JF06 JL02 4F207 AA37 KA01 KA17 KJ06

Claims (10)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】成形材料として、フェノール誘導体で溶媒
    和された植物資源由来原料を濃酸と接触させて得られる
    リグノフェノール誘導体を含有する成形用組成物を加熱
    して成形する、リグノフェノール系成形体の製造方法。
  2. 【請求項2】前記成形方法は、射出成形あるいは押出し
    成形とする、請求項1記載の方法。
  3. 【請求項3】前記加熱時には、成形用組成物に水蒸気を
    供給する、請求項1又は2記載の方法。
  4. 【請求項4】前記成形用組成物は、前記リグノフェノー
    ル誘導体を主成分とする、請求項1又は2記載の方法。
  5. 【請求項5】前記成形用組成物は、さらに他の高分子成
    分を含有する、請求項3記載の方法。
  6. 【請求項6】前記成形用組成物には、さらに、酸を含有
    する、請求項4記載の方法。
  7. 【請求項7】前記組成物は、フェノール誘導体で溶媒和
    された植物資源由来原料の濃酸との接触後の混合物に過
    剰の水を添加して得られる不溶画分を脱酸、乾燥して得
    られる画分である、請求項1〜6記載の方法。
  8. 【請求項8】成形材料として、フェノール誘導体で溶媒
    和された植物資源由来原料を濃酸と接触させて得られる
    リグノフェノール誘導体を含有する、加熱成形用組成
    物。
  9. 【請求項9】前記組成物は、フェノール誘導体で溶媒和
    された植物資源由来原料の濃酸との接触後の混合物に過
    剰の水を添加して得られる不溶画分を脱酸、乾燥して得
    られる画分である、請求項8記載の組成物。
  10. 【請求項10】成形材料として、フェノール誘導体で溶
    媒和された植物資源由来原料を濃酸と接触させて得られ
    るリグノフェノール誘導体を含有する成形用組成物を加
    熱し成形して得られる、リグノフェノール系成形体。
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Cited By (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2006068606A (ja) * 2004-08-31 2006-03-16 Tsukishima Kikai Co Ltd 含液固形物の処理設備
JP2006342270A (ja) * 2005-06-09 2006-12-21 Osaka Univ 有機無機ハイブリッド
WO2017183611A1 (ja) * 2016-04-19 2017-10-26 富士電機株式会社 リグニン骨格含有樹脂組成物およびそれを用いたモールド成形体

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