JP2003173909A - 酸化物超電導コイルとその製造方法及びそれに用いる絶縁材 - Google Patents

酸化物超電導コイルとその製造方法及びそれに用いる絶縁材

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JP2003173909A
JP2003173909A JP2001374369A JP2001374369A JP2003173909A JP 2003173909 A JP2003173909 A JP 2003173909A JP 2001374369 A JP2001374369 A JP 2001374369A JP 2001374369 A JP2001374369 A JP 2001374369A JP 2003173909 A JP2003173909 A JP 2003173909A
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oxide
insulating material
coil
wire
oxide superconducting
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JP2001374369A
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Kazuhide Tanaka
和英 田中
Michiya Okada
道哉 岡田
Yutaka Morita
森田  裕
Yasuo Suzuki
保夫 鈴木
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Hitachi Ltd
Original Assignee
Hitachi Ltd
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    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高い臨界電流密度(Jc)を有する酸化物超
電導コイル。 【解決手段】芯材4と、酸化物超電導体10及びその被
覆材11を有する、芯材4に巻回された線材1と、酸化
物超電導線材1の表面に設けられた、第1の酸化物を含
む第1の絶縁材2と、第1の絶縁材2の表面に設けられ
た、第2の酸化物を含む第2の絶縁材3とを備え、第1
の酸化物は、第2の酸化物よりも酸化物超電導体に対す
る反応性が低い。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、大型マグネット、
核磁気共鳴分析装置、医療用磁気共鳴診断装置、超電導
電力貯蔵装置、磁気分離装置、磁場中単結晶引上げ装
置、冷凍機冷却超電導マグネット装置、超電導エネルギ
ー貯蔵、超電導発電機、核融合炉用マグネット等の機器
に好適な酸化物超電導コイル及びその製造方法と、酸化
物超電導コイル用超電導線間絶縁材とに関する。
【0002】
【従来の技術】以前より、超電導材料としてNbTi、
Nb3Sn等の金属系材料が知られていた。しかし、こ
れらの金属系超電導材料は臨界温度(Tc)が最も高い
Nb3Geでも23K(ケルビン)であり、その冷却に
高価な液体ヘリウムを用いる必要があった。
【0003】ところが、1986年になって酸化物系超電導
体が発見され、続いて、Tcが液体窒素の沸点(77
K)を超えるイットリウム(Y)系、ビスマス(Bi)
系、タリウム(Tl)系といった酸化物系超電導体が相
次いで発見された。これらの酸化物超電導体は、Tcが
高いことから、入手が容易で安価な液体窒素を冷媒に用
いることができるため、超電導現象を活用する各種応用
分野に大きな影響を与えることになった。
【0004】これらの酸化物超電導体は、Tcが高いだ
けでなく、上部臨界磁場(Hc2)が高いという性質を
兼ね備えている。特に、Bi系超電導体は、液体ヘリウ
ムの沸点(4.2K)以下の極低温におけるHc2が5
0T(テスラ)〜100Tを超える。この性質を利用す
ることにより、従来の金属系超電導材料では達成が困難
であった、22Tを超えるような強い磁場を発生する超
電導マグネットの実現が可能となってきた。
【0005】例えば、「第61回1999年秋季低温工学・超
電導学会講演概要集」7頁に紹介されているように、酸
化物超電導原料粉末を銀(Ag)等の金属パイプ内に充
填し、それを伸線加工及び圧延加工した後、再度金属パ
イプ内に3回の回転対称性を持たせて組み込んだ高性能
のBi−2212回転対称テープインチューブ線材(RO
SAT wire:ROtation Symmetric Arranged Tape-in-tube
wire)においては、温度4.2K、印加磁場28Tと
いう条件で、約1,000A/mm2の実用的な臨界電流密度
(Jc)が得られている。
【0006】このROSAT線は、ポストゲノム時代を
迎え、近年脚光を浴びている分野の一つであるバイオサ
イエンスでの応用が期待されている。例えば、23.5
Tの超強磁場と0.1ppmの超均一な磁場空間を同時
に実現することができれば、1GHzのプロトン核磁気
共鳴周波数を実現することができるため、蛋白質、核酸
といった生体高分子の3次元構造解明に威力を発揮する
高磁場の核磁気共鳴分光装置(NMR)を作製すること
ができる。
【0007】そこで、このROSAT線を使用して製作
した酸化物系コイルを、従来の金属系超電導コイルの内
層に配置する方法が検討されている。例えば、「超伝導
コミュニケーションズ」第8巻第6号(SUPERCONDUCTIVIT
Y COMMUNICATIONS, Vol. 8,No. 6, Dec. 1999)では、
金属系超電導マグネットと酸化物系超電導マグネットを
組み合わせることにより23.4Tの磁場を発生させる
技術が紹介されている。
【0008】しかし、この技術では、線材が持っている
本来の性能(素線性能)が十分に発揮できておらず、素
線性能に比べると約1/2までJcが劣化していた。ま
た、「第63回2000年秋季低温工学・超電導学会講演概要
集」103頁に紹介されているように、1.3kmという
実用的な長さの線材を用いて、外径126mm、高さ6
00mmのNMR実機サイズコイルが試作されている
が、このコイルにおいても、現状では素線性能から見積
もられる発生磁場に比べると遥かに低い磁場しか得られ
ていない。
【0009】そこで、特開平9−129438号公報で
は、線材と共巻きする絶縁材に、予め熱処理することに
よって酸化被膜を形成した耐熱性合金を用いることによ
って、絶縁材と超電導体との反応を抑制することで、特
性の劣化を回避する技術が提案されている。
【0010】
【発明が解決しょうとする課題】しかし、この酸化被膜
を有する絶縁材を用いる従来の方法では、酸化被膜のピ
ンホールなどを介して絶縁材と超電導体とが反応してし
まう場合があり、十分な反応抑制効果を得ることができ
なかった。
【0011】そこで本発明は、この酸化物超電導コイル
のJc劣化の問題を解消し、高い超電導特性を有する酸
化物超電導コイル及びその製造方法と、それに用いる耐
熱性絶縁物とを提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】上述のような超電導マグ
ネットには、丸、平角又はテープ形状に加工された酸化
物超電導線材を絶縁物と共にコイル状に巻いた後、熱処
理を施したものが使用されている。このような形態のコ
イルは、ワインド・アンド・リアクト型と呼ばれてい
る。
【0013】上記従来技術における問題は、このワイン
ド・アンド・リアクト型の酸化物超電導コイルを製造す
る際に、酸化物超電導線材に含まれる酸化物コアと絶縁
物とが熱処理工程中に化学反応を起こすことが原因と考
えられる。従来のコイルでは、酸化物超電導線材の外表
面に直接耐熱性の絶縁層を配置する。酸化物超電導コア
は被覆されているため、耐熱性絶縁材と直接接触しては
いないが、筆者らは実験によって、酸化物超電導コアと
絶縁物とが、加工時に発生する被覆材のピンホールやシ
ース材の粒界を介して反応することを見出した。また、
酸化物超電導コアとコイル巻きボビンとの接触による化
学反応も生じていた。
【0014】さらに、酸化物超電導コイルのJcが劣化
する別の原因として、コアを補強するための含浸材と酸
化物超電導線材との熱膨張量が大きく異なることが挙げ
られる。酸化物超電導線材のコア部は、脆性材料である
セラミックスで構成されているため歪に非常に弱く、線
材単体では僅か10〜30MPaの電磁力でコイルが損
傷し、Jcが大きく劣化する。しかし、磁場中で使用す
るとコイルには、使用する環境における外部磁場と、
コイルを運転する際の臨界電流密度と、コイル径と
から求められる電磁力が加わることになる。そこで一般
に、エポキシ系、シリコン系等の樹脂やワックスで酸化
物超電導コイルを含浸補強する方法が用いられている。
しかし、それら含浸材の硬化物における熱膨張量と、酸
化物超電導線材が持つ熱膨張量とが大きく異なるため、
熱処理により酸化物超電導線材に歪が加わり、Jcが劣
化すると考えられる。
【0015】本発明者らはこれまで、酸化物超電導体の
電力機器への応用を目指して、主として酸化物超電導テ
ープ線材の検討を行ってきた。しかし、実用を考えると
寸法精度に優れる平角線や丸線でテープ線と同等のJc
を得る必要があった。その後、鋭意検討を進めた結果、
Jcが高い従来のテープ線材を3回の回転対称を持つよ
うに金属パイプに組み込んだROSAT線を開発するこ
とに成功し、現在では平角や丸形状でも従来のテープ線
のJcとほぼ肩を並べるまでに至っている。具体的に
は、両者共に、20Tを超えるような強磁場下であって
も1,000A/mm2以上の実用的なJcを有する線材を提
供できる技術が確立できている。しかし、このように高
い素線性能を有する線材を用いても、コイル形状にする
と、そのJcは素線性能から見積もられる値に比べて大
幅に劣化していた。
【0016】そこで本発明者らは、この問題を解決する
ことに注力した結果、従来の酸化物超電導コイルに比べ
てJcを大幅に向上することを可能にする酸化物超電導
コイルとその製造方法、及びそれに用いる最適な絶縁物
を見出した。
【0017】本発明では、上記目的を達成するため、
(a)芯材、(b)酸化物超電導体と該酸化物超電導体
の表面を覆う被覆材とを有する、芯材に巻回された線
材、(c)酸化物超電導線材の表面に設けられた、第1
の酸化物を含む第1の絶縁材、及び、(d)第1の絶縁
材の表面に設けられた、第2の酸化物を含む第2の絶縁
材を備える酸化物超電導コイルが提供される。本発明の
酸化物超電導コイルでは、第1の酸化物は、第2の酸化
物よりも酸化物超電導体に対する反応性が低い。また、
第1の絶縁材は、第2の絶縁材より引っ張り強度が弱い
ことが望ましい。
【0018】本発明では、第1の絶縁材と第2の絶縁材
とは、異なる形状及び材質を有することが望ましい。例
えば、第1の絶縁材をパルプや有機バインダが第1の絶
縁材全重量の30%程度含まれたシート又はテープ状の
ものとする場合、第2の絶縁材はパルプや有機バインダ
をほとんど含まないスリーブ状のものとすることが好ま
しい。この第1の絶縁材及び第2の絶縁材は、コイルの
ターン間及び層間を絶縁するために用いられ、セラミッ
クを主成分とする耐熱性材料であることが望ましい。
【0019】本発明では、第1の酸化物及び上記第2の
酸化物の少なくともいずれかは、酸素イオン強度比が
0.5〜2.5であることが望ましく、例えば、Al2
3、ZrO及びMgOの少なくともいずれかが本発明
に好適である。
【0020】そこで本発明では、芯材と、酸化物超電導
体及び該酸化物超電導体の表面を覆う被覆材を有する、
芯材に巻回された線材と、酸化物超電導線材の表面に設
けられた第1の絶縁材と、第1の絶縁材の表面に設けら
れた第2の絶縁材とを備え、第1の絶縁材及び第2の絶
縁材の少なくともいずれかは、Al23、ZrO及びM
gOの少なくともいずれかを含む酸化物超電導コイルが
提供される。
【0021】また、本発明では、第1及び/又は第2の
絶縁材の材料として、Al23の含有量が80重量%以
上のアルミナ繊維70〜90重量%と、パルプ30〜1
0重量%とを含む酸化物超電導コイル用絶縁材が提供さ
れる。この本発明の絶縁材は、有機系接着剤及びアルミ
ナゾルの少なくとも1種を含むバインダ1〜10重量%
を、さらに含むことが望ましい。
【0022】さらに本発明では、酸化物超電導体と該酸
化物超電導体の表面を覆う被覆材とを有する線材の表面
に、第1の酸化物を含む第1の絶縁材を設ける工程と、
第1の絶縁材の表面に、第2の酸化物を含む第2の絶縁
材を設ける工程と、第1の絶縁材及び第2の絶縁材を設
けた上記線材を、芯材に巻回してコイルにする工程と、
コイルを熱処理して超電導特性を付与する熱処理工程と
を備える、酸化物超電導コイルの製造方法が提供され
る。本発明の酸化物超電導コイル製造方法では、第1の
酸化物は、第2の酸化物よりも酸化物超電導体に対する
反応性が低い。
【0023】本発明の酸化物超電導コイル製造方法は、
熱処理工程の後に、コイルを補強材(例えば、エポキシ
樹脂、シリコン樹脂及びウレタン樹脂のうちの少なくと
も1種の樹脂のグリース又はワックス)に含浸させる工
程を、さらに備えることが望ましい。
【0024】さらに、本発明の超電導体の冷却には、液
体ヘリウム以外にも液体窒素や冷凍機を用いることが可
能となるため、装置の運転コストの低減、クエンチ(超
電導状態から常電導状態への転移が急激に起こり破壊す
る現象)を防止するための措置の簡略化等が達成でき、
コストを大幅に低減することが可能となる。また、同時
に、超電導特性の信頼性を高めることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】Bi系酸化物超電導線材の作製方
法としては、パウダー・イン・チューブ(PIT)法、
ドクターブレード法、ディップコート法、スプレーパイ
ロリシス法、スクリーン印刷法等があるが、ここでは代
表例として、PIT法を用いたBi−2212線材の作
製方法を述べる。
【0026】まず、粉末状のBi−2212を予め用意
する。これを金属パイプに充填してから押出し及び線引
き加工を行い、必要に応じて圧延加工を施す。その後、
昇温して部分溶融熱処理を施し、徐冷しながら緻密で配
向した良好なBi−2212酸化物超電導線材線材を作
製する。コイルとして使用する場合には、必要な形状に
加工した後、酸化物超電導コアとの化学反応性が低い絶
縁材と共にコイル状に巻線を行い、その後熱処理を施
す。
【0027】このような酸化物超電導線材の作製方法
は、Bi−2212系又はBi−2223系酸化物超電
導体に限定されるものではなく、その他の酸化物超電導
体にも広く適用可能である。例えば、Bi系酸化物超電
導体の代わりに、Tl−Ba−Ca−Cu−O系、Tl
−Sr−Ca−Cu−O系、Tl−Ba−Sr−Ca−
Cu−O系、Tl−Pb−Sr−Ca−Cu−O系、T
l−Pb−Ba−Sr−Ca−Cu−O系といったタリ
ウム系超電導体や、Bi−Sr−Ca−Cu−O系、B
i−Pb−Sr−Ca−Cu−O系、Ln−Ba−Cu
−O系、Ln−Sr−Cu−O系、Bi−Sr−Y−C
u−O系、Ba−Ca−Cu−O系、Sr−Ca−Cu
−O系、Hg−Ba−Ca−Cu−O系、Hg−Sr−
Ca−Cu−O系、Hg−Ba−Sr−Ca−Cu−O
系、Hg−Pb−Sr−Ca−Cu−O系、Hg−Pb
−Ba−Sr−Ca−Cu−O系、Hg−Tl−Ba−
Ca−O系の超電導体を用いてもよい。
【0028】これらのうち、Tl−Ba−Ca−Cu−
O系、Tl−Sr−Ca−Cu−O系、Tl−Ba−S
r−Ca−Cu−O系、Tl−Pb−Sr−Ca−Cu
−O系、Tl−Pb−Ba−Sr−Ca−Cu−O系、
Bi−Sr−Ca−Cu−O系又はBi−Pb−Sr−
Ca−Cu−O系が好ましく、Tl−Ba−Sr−Ca
−Cu−O系が特に好ましい。
【0029】ここで、Tl−Ba−Ca−Cu−O系と
しては、 Tl1.5-2.2−Ba1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7; Tl1.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca0.5-1.3−Cu1.5-2.3
−O7-9; Tl1.5-2.2−Ba1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2.5-3.3
−O9-11; Tl0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6; Tl0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3
−O6-8; Tl0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3
−O8-10 などが挙げられる。
【0030】Tl−Sr−Ca−Cu−O系としては、 Tl1.5-2.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7; Tl1.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.3−Cu1.5-2.3
−O7-9; Tl1.5-2.2−Sr1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2.5-3.3
−O9-11; Tl0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6; Tl0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3
−O6-8; Tl0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3
−O8-10 などが挙げられる。
【0031】Tl−Ba−Sr−Ca−Cu−O系とし
ては、 Tl1.5-2.2−(Bax−Sr1-x1.5-2.2−Cu
0.5-1.3−O5-7; Tl1.5-1.2−(Bax−Sr1-x1.5-2.2−Ca
0.5-1.3−Cu1.5-2.3−O7-9; Tl1.5-2.2−(Bax−Sr1-x1.5-2.3−Ca
1.5-2.3−Cu2.5-3.3−O9-11; Tl0.5-1.2−(Bax−Sr1-x1.5-2.2−Cu
0.5-1.3−O4-6; Tl0.5-1.2−(Bax−Sr1-x1.5-2.2−Ca
0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8; Tl0.5-1.2−(Bax−Sr1-x1.5-2.2−Ca
2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 などが挙げられる(ただし、x=0.1〜0.9であ
る)。
【0032】Tl−Pb−Sr−Ca−Cu−O系とし
ては、 (Tly−Pb1-y1.5-2.2−Sr1.5-2.2−Cu
0.5-1.3−O5-7; (Tly−Pb1-y1.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca
0.5-1.3−Cu1.5-2.3−O7-9; (Tly−Pb1-y1.5-2.2−Sr1.5-2.3−Ca
1.5-2.3−Cu2.5-3.3−O9-11; (Tly−Pb1-y0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Cu
0.5-1.3−O4-6; (Tly−Pb1-y0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca
0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8; (Tly−Pb1-y0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca
2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 などが挙げられる(ただし、y=0.1〜0.9であ
る)。
【0033】Tl−Pb−Ba−Sr−Ca−Cu−O
系としては、 (Tly−Pb1-y1.5-2.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7; (Tly−Pb1-y1.5-1.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.2−Ca0.5-1.3−Cu1 .5-2.3−O7-9; (Tly−Pb1-y1.5-2.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2 .5-3.3−O9-11; (Tly−Pb1-y0.5-1.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6; (Tly−Pb1-y0.5-1.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1 .5-2.3−O6-8; (Tly−Pb1-y0.5-1.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3 .5-4.3−O8-10; などが挙げられる(ただし、x=0.1〜0.9、y=
0.1〜0.9である)。
【0034】Bi−Sr−Ca−Cu−O系としては、 Bi1.5-2.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7; Bi1.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.3−Cu1.5-2.3
−O7-9; Bi1.5-2.2−Sr1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2.5-3.3
−O9-11 などが挙げられる。
【0035】Bi−Pb−Sr−Ca−Cu−O系とし
ては、 (Biy−Pb1-y1.5-2.2−Sr1.5-2.2−Cu
0.5-1.3−O5-7; (Biy−Pb1-y1.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca
0.5-1.3−Cu1.5-2.3−O7-9; (Biy−Pb1-y1.5-2.2−Sr1.5-2.3−Ca
1.5-2.3−Cu2.5-3.3−O9-11 などが挙げられる(ただし、y=0.1〜0.9であ
る)。
【0036】Ln−Ba−Cu−O系としては、 Ln1.5-2.3−Cu0.5-1.3−O4-6; Ln0.5-1.3−Ba1.5-2.3Cu2.5-3.3−O6-8 などが挙げられる(ただし、LnはY,Sc,La,A
c,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,T
b,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及び/又はLuであ
る)。
【0037】Ln−Sr−Cu−O系としては、 Ln0.5-1.3−Sr1.5-2.3Cu2.5-3.3−O6-8 などが挙げられる(ただし、LnはY,Sc,La,A
c,Ce,Pr,Nd,Pm,Sm,Eu,Gd,T
b,Dy,Ho,Er,Tm,Yb及び/又はLuであ
る)。
【0038】Bi−Sr−Y−Cu−O系としては、 (Bi1-xCux)−Sr2−(Y1-yCuy)−Cu2−O
6-8 などが挙げられる(ただし、x=0.1〜0.9、y=
0.1〜0.9である)。
【0039】Ba−Ca−Cu−O系としては、 Cu0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6; Cu0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3
−O6-8; Cu0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3
−O8-10; (Agx,Cu1-x0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Cu
0.5-1.3−O4-6; (Agx,Cu1-x0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca
0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8; (Agx,Cu1-x0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca
2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 などが挙げられる(ただし、x=0〜1である)。
【0040】Sr−Ca−Cu−O系としては、 Cu0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6; Cu0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3
−O6-8; Cu0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3
−O8-10; (Agx,Cu1-x0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Cu
0.5-1.3−O4-6; (Agx,Cu1-x0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca
0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8; (Agx,Cu1-x0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca
2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 などが挙げられる(ただし、x=0〜1である)。
【0041】Hg−Ba−Ca−Cu−O系としては、 Hg1.5-2.2−Ba1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7; Hg1.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca0.5-1.3−Cu1.5-2.3
−O7-9; Hg1.5-2.2−Ba1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2.5-3.3
−O9-11; Hg0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6; Hg0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3
−O6-8; Hg0.5-1.2−Ba1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3
−O8-10 などが挙げられる。
【0042】Hg−Sr−Ca−Cu−O系としては、 Hg1.5-2.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7; Hg1.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.3−Cu1.5-2.3
−O7-9; Hg1.5-2.2−Sr1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2.5-3.3
−O9-11; Hg0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6; Hg0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1.5-2.3
−O6-8; Hg0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3.5-4.3
−O8-10 などが挙げられる。
【0043】Hg−Ba−Sr−Ca−Cu−O系とし
ては、 Hg1.5-2.2−(Bax−Sr1-x1.5-2.2−Cu
0.5-1.3−O5-7; Hg1.5-1.2−(Bax−Sr1-x1.5-2.2−Ca
0.5-1.3−Cu1.5-2.3−O7-9; Hg1.5-2.2−(Bax−Sr1-x1.5-2.3−Ca
1.5-2.3−Cu2.5-3.3−O9-11; Hg0.5-1.2−(Bax−Sr1-x1.5-2.2−Cu
0.5-1.3−O4-6; Hg0.5-1.2−(Bax−Sr1-x1.5-2.2−Ca
0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8; Hg0.5-1.2−(Bax−Sr1-x1.5-2.2−Ca
2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 などが挙げられる(ただし、x=0.1〜0.9であ
る)。
【0044】Hg−Pb−Sr−Ca−Cu−O系とし
ては、 (Hgy−Pb1-y1.5-2.2−Sr1.5-2.2−Cu
0.5-1.3−O5-7; (Hgy−Pb1-y1.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca
0.5-1.3−Cu1.5-2.3−O7-9; (Hgy−Pb1-y1.5-2.2−Sr1.5-2.3−Ca
1.5-2.3−Cu2.5-3.3−O9-11; (Hgy−Pb1-y0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Cu
0.5-1.3−O4-6; (Hgy−Pb1-y0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca
0.5-1.2−Cu1.5-2.3−O6-8; (Hgy−Pb1-y0.5-1.2−Sr1.5-2.2−Ca
2.5-3.2−Cu3.5-4.3−O8-10 などが挙げられる(ただし、y=0.1〜0.9であ
る)。
【0045】Hg−Pb−Ba−Sr−Ca−Cu−O
系としては、 (Hgy−Pb1-y1.5-2.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7; (Hgy−Pb1-y1.5-1.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.2−Ca0.5-1.3−Cu1 .5-2.3−O7-9; (Hgy−Pb1-y1.5-2.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2 .5-3.3−O9-11; (Hgy−Pb1-y0.5-1.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6; (Hgy−Pb1-y0.5-1.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1 .5-2.3−O6-8; (Hgy−Pb1-y0.5-1.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3 .5-4.3−O8-10 などが挙げられる(ただし、x=0.1〜0.9、y=
0.1〜0.9である)。
【0046】Hg−Tl−Ba−Ca−O系としては、 (Hgy−Tl1-y1.5-2.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O5-7; (Hgy−Tl1-y1.5-1.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.2−Ca0.5-1.3 −Cu1.5-2.3−O7-9; (Hgy−Tl1-y1.5-2.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.3−Ca1.5-2.3−Cu2 .5-3.3−O9-11; (Hgy−Tl1-y0.5-1.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.2−Cu0.5-1.3−O4-6; (Hgy−Tl1-y0.5-1.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.2−Ca0.5-1.2−Cu1 .5-2.3−O6-8; (Hgy−Tl1-y0.5-1.2−(Bax−Sr1-x
1.5-2.2−Ca2.5-3.2−Cu3 .5-4.3−O8-10 などが挙げられる(ただし、x=0〜1,y=0.1〜
0.9である)。
【0047】これら酸化物超電導体のほとんどは、Sr
やCaといったアルカリ土類金属が含まれている。これ
らは、酸素イオン強度比が0.5〜2.5の範囲外の酸
化物と反応しやすく、酸素イオン強度比が0.5〜2.
5の範囲の酸化物とは比較的反応しにくい。したがっ
て、本発明において酸化物超電導線材の外表面に配置さ
れる第1の絶縁材と、その外表面に配置される第2の絶
縁材とは、酸素イオン強度比が0.5〜2.5の範囲内
の酸化物(例えば、Al23、ZrO、MgO等)を少
なくとも1種含有することが望ましい。特に第1の絶縁
材は、加工時に発生する被覆材のピンホールやシース材
の粒界を介してコアと接触することがあるため、酸素イ
オン強度比が0.5〜2.5の範囲の酸化物で構成する
ことが非常に有効である。
【0048】なお、酸素イオン強度比とは、イオンの荷
電数及びイオン半径によって決定される強さの尺度であ
り、一般に、酸素イオン強度比が小さい塩基性酸化物ど
うしや酸素イオン強度比が大きい酸性酸化物どうしは反
応しにくく、塩基性及び酸性の酸化物は著しく反応しや
すいとされている。
【0049】また、コイル内部の線材ターン間及び線材
層間を絶縁する材料について、高Jc化の観点から鋭意
検討を重ねた結果、第1の絶縁材及び第2の絶縁材の少
なくとも一方には、Al23の含有量が80重量%以上
のアルミナ繊維からなるシート又はスリーブを用いるこ
とが望ましいことがわかった。第1の絶縁材及び第2の
絶縁材には、Al23の含有量が80重量%以上のアル
ミナ繊維70〜90重量%、パルプ30〜10重量%で
構成されたものを用いることが特に望ましく、これに有
機系接着剤及びアルミナゾルの少なくとも1種を含むバ
インダ1〜10重量%を加えたものを用いることが非常
に有効である。
【0050】なお、酸素イオン強度比が0.5〜2.5
の範囲外である耐熱性酸化物としては、SiO2が挙げ
られる。そこで、第1の絶縁材及び第2の絶縁材に用い
られる有機バインダ(焼結助剤)等はSiO2の含有量
が少ないほど望ましく、特に第1の絶縁材については、
SiO2の含有量が10重量%以下のシート又はスリー
ブにすることが望ましい。
【0051】また、本発明における第1の絶縁材及び第
2の絶縁材は、異なる形状であることが望ましく、特に
第1の絶縁材は、熱処理後の体積が熱処理前の90%以
下まで減少するようなものが望ましい。これは、熱処理
工程前にあらかじめ数体積%の空間を設けることと等価
であり、この空間が小さいと酸化物超電導コアと第2の
絶縁材との化学反応が促進することを筆者らは実験によ
って明らかにした。特に、少なくとも10体積%以上の
体積減少があれば、酸化物超電導コアと第2の絶縁材と
の化学反応を回避する上で非常に好ましい。
【0052】さらに、第1の絶縁材及び第2の絶縁材の
少なくとも一方は、エポキシ系、シリコン系及びウレタ
ン系のうちの少なくとも1種の樹脂、グリース又はワッ
クス中に酸化物が分散したものであることが好ましい。
これは、コイルに含浸した含浸材が固化するときに酸化
物が分散して混合物になっていれば、その混合物の熱膨
張量が酸化物超電導線材の熱膨張量に近くなるからであ
る。これら耐熱性絶縁材は、コイルに巻回した直後のコ
イル中に少なくとも0.1%以上含まれているようにす
ることが望ましい。
【0053】発明者らは、以上のような酸化物超電導コ
イルを製造することにより、酸化物超電導線材が受ける
歪が緩和され、実際にコイルJcが向上することを実験
的に確認した。上述した本発明の方法で製造することに
より、コイルのJcが劣化するのを回避することがで
き、素線性能から見積もられるJcを再現性良く得るこ
とができる。具体的には、4.2K、20T中における
コイルJcが従来の約1.5倍以上である70〜80A
/mm2と高い性能を有する酸化物超電導コイルを、上
述の本発明の方法で製造することにより、ほぼ歩留り1
00%で得ることができる。
【0054】なお、磁場の均一度及び磁場の安定度を考
慮すると、線材は丸形状又は平角形状であることが望ま
しい。これは、両者の寸法精度がテープ形状の線材より
も遥かに優れるからである。従来は、実用的な丸線や平
角線は結晶配向性やコア密度がテープ線に比べて劣り、
それが性能劣化を引き起こしていた。しかし、丸や平角
の断面内にテープ線を組み込むことを特徴としたROS
AT線を使用することにより、丸形状又は平角形状であ
ってもテープ線に匹敵するJcが得られるようになっ
た。
【0055】また、本発明における酸化物超電導線材の
金属シース材には、熱処理に際して腐食等を生じない銀
や銀合金にすることが好ましい。合金化を行う際の金属
は、例えば、金(Au)、アンチモン(Sb)、白金
(Pt),マグネシウム(Mg),チタン(Ti),マ
ンガン(Mn),ニッケル(Ni),銅(Cu),アル
ミニウム(Al)等が好ましい。このような合金化によ
り、引張強さを概ね3倍程度高めることができ、機械的
強度を高めることができる。
【0056】酸化物超電導線材における酸化物超電導体
は、主としてBi2Sr2Ca1Cu2x相とすることが
望ましい。化学量論組成の場合、最も高性能のコイルを
作製することができる。シース材料に銀合金を使用する
場合も、酸化物超電導体の組成がBi2Sr2Ca1Cu2
x相であれば、酸化物超電導体の溶融温度が銀被覆材
と概ね同一温度となるため、その違いの影響を無視する
ことができる。
【0057】ところで、Bi−2212線材では、部分
溶融時には液相が生成するが、この液相が線材のシース
材を介して融出すると、コイル状に巻いたときに隣接す
るターン間及び層間で短絡を生じて発生する磁場の大き
さを低下させたりすることがある。しかし、本発明にお
いては、仮に液相の融出が生じても、第1の絶縁材が、
液相をあたかも吸い取り紙のように吸収することによ
り、短絡を回避することができる。
【0058】このように、本発明のコイルでは、2層に
設けられた絶縁材のうち、反応性の低い第1の絶縁材が
融出した液相を吸収し、さらにその外側に設けられた第
2の絶縁材によって完全に絶縁が保たれる。また、絶縁
材が2層設けられていることから、酸化物超電導線材が
受ける歪が緩和される。このため、本発明によれば、コ
イルJcが劣化することなく、優れた特性の酸化物超電
導コイルを得ることができる。
【0059】本発明の酸化物超電導コイルは広く超電導
機器に適用することが可能であって、例えば、大型マグ
ネット,核磁気共鳴分析装置,医療用磁気共鳴診断装
置,超電導電力貯蔵装置,磁気分離装置,磁場中単結晶
引上装置,冷凍機冷却超電導マグネット装置などに利用
することにより、機器を高効率化することができる。
【0060】
【実施例】以下、本発明を実施例に基づいて具体的に説
明する。ただし、本発明は、これらに限定されるもので
はない。
【0061】A.コイルの製造 (1)線材の作製 まず、純度が99%以上の酸化ストロンチウム(Sr
O)、酸化カルシウム(CaO)及び酸化銅(CuO)
の各酸化物を出発原料とし、ストロンチウム(Sr)、
カルシウム(Ca)、銅(Cu)の原子モル比がそれぞ
れ2.0:1.0:2.0の組成となるように秤量し、
それらの混合体を調製した。
【0062】次に、この混合体を遠心ボールミルに入
れ、20分間にわたって混合した後、大気中において、
850〜900℃で20時間熱処理し、室温まで冷却し
た後、再度、遠心ボールミルに入れ、20分間にわたっ
て粉砕、混合し、粉末状態にした。
【0063】続いて、得られた粉末にBi,Sr,C
a,Cuの原子モル比が、それぞれ2.0:2.0:
1.0:2.0の組成となるように酸化ビスマス(Bi
23)を秤量して加え、遠心ボールミルに入れて20分
間混合した後、得られた粉末を、大気中において、80
0〜850℃の温度で10時間熱処理して、超電導粉末
を調製した。得られた超電導粉末には、粉末X線回折の
結果及び走査型電子顕微鏡(SEM)の観察結果によれ
ば、超電導相以外にSrO,CuOのほか、同定できな
い未反応の非超電導相も若干認められた。この超電導粉
末を遠心ボールミルに入れ、平均粒径が3μm程度にな
るように粉砕及び混合し、超電導微粉末を得た。
【0064】次いで、得られた微粉末を外径30mm、
内径25mm、長さ110mmの円形の断面形状を有す
る純銀パイプに充填した。この線材を、断面減少率10
〜15%で伸線加工して所定形状まで縮径し、必要に応
じて、線材の横断面形状を楕円形、六角形、平角形又は
丸形状の横断面形状に減面加工した。次に、得られた線
材を再度、外径30mm、内径25mm、長さ110m
mの円形の断面形状を有する純銀パイプに7〜55本程
度に切り分けて充填し、上述した方法で所定の形状まで
縮径加工した。
【0065】その後、圧延加工を行い、テープ状の線材
を作製した後、これを外径30mm、内径25mm、長
さ110mmの円形の断面形状を有する銀-マグネシウ
ム合金パイプに充填した。このとき、階段状に段差をつ
けながらテープ線が積層したセグメントを構成するよう
にした。本実施例では、線材の断面は、このようなセグ
メントを3つ束ねたもので構成されており、全体では概
ね正六角形の断面形状を有する。この断面を構成する3
つのセグメントは、各々120度の幾何学的な回転対称
性を有している。
【0066】セグメントを構成する別の方法としては、
テープ線の端部を揃えて重ね合わせて直立するように並
べた後、菱形形状に切断するという手法を用いてもよ
い。この方法を用いることで、各セグメントが精度良く
菱形形状に加工できる。また、精度が向上することで、
充填密度が向上するというメリットもある。
【0067】なお、本実施例では、被覆材として円筒形
の銀合金材を用いたが、その内径側の断面形状は丸に限
られるものではなく、多角形としてもよい。特に、六角
形にすれば、組み込む際の充填密度が向上するため好ま
しい。また、組み込み本数は、使用用途や使用する材料
の加工性、及び超電導体の占積率等によって、適宜最適
な数にすることが望ましい。
【0068】このようにして被覆材11に充填した線材
10を、断面減少率10〜15%の伸線加工を施し、外
径2.0mm程度の丸線と厚さ1mm、幅2mmの平角
線になるまで縮径して、酸化物超電導線材1を得る(図
1)。必要に応じて、線材の横断面形状を楕円形、六角
形、平角形又は板状の横断面形状に減面加工した。な
お、円形、楕円形又は六角形の線材の外径は、対辺の長
さが最も短い部分で1〜2mm程度になるようにするこ
とが実用上望ましいが、用途や通電電流に応じて適宜定
めればよく、特に限定されるものではない。減面加工
は、線材の断面形状を所望のものにすると同時に、金属
シース酸化物超電導多芯線材のコア部に充填されたBi
2Sr2Ca1Cu2xからなる組成の酸化物超電導体を
高密度化する働きも兼ね備える。
【0069】本実施例では、Bi2Sr2Ca1Cu2x
からなる組成の酸化物超電導体の原料粉末には、Bi化
合物、Sr化合物、Ca化合物及びCu化合物を用いた
が、必要に応じて、鉛(Pb)化合物やバリウム(B
a)化合物を用いてもよい。各原料粉末は、酸化物、水
酸化物、炭酸塩、硝酸塩、ホウ酸塩、酢酸塩等の形もの
を用いることができる。本実施例では、酸化物超電導粉
末を合成したり、中間焼成を行ったりする際の熱処理温
度は、700〜950℃の範囲内とした。
【0070】必要に応じて、Bi2Sr2Ca1Cu2x
からなる組成に第3元素を添加、又は置換し、得られた
酸化物超電導体を部分溶融温度以上に加熱した後、これ
を冷却する過程において、超電導相の結晶粒内に非超電
導相を分散させ、ピンニング力を高める方法を用いても
よい。
【0071】本実施例でPIT法を用いて線材を作製し
たが、本発明の酸化物超電導線材の製造方法における積
層体の形成方法は、平板状の圧粉成型体と平板状の金属
板を交互に積層する方法に限定されるものではなく、他
の方法、例えば、ドクターブレード法、ディップコート
法、スプレーパイロリシス法、スクリーン印刷法等によ
り金属板に酸化物超電導体を形成した積層体を用いても
よい。
【0072】(2)線材の巻回 次に、図1に示すように、作製した酸化物超電導線材1
の外表面を、第1の絶縁材2(本実施例では、Al23
の含有量が80重量%以上のアルミナ繊維70重量%
と、パルプ30重量%とからなる、厚さ50μm、幅1
0mmのアルミナペーパー)で被覆し、さらに、この第
1の絶縁材2の外表面を、第2の絶縁材3(本実施例で
は、Al23の含有量が80重量%以上のアルミナ繊維
からなる厚さ100μmのアルミナスリーブ)で被覆し
た。これにより、第1及び第2の絶縁材2,3に被覆さ
れた導体13が得られた。なお、このとき、第1の絶縁
材2及び第2の絶縁材3のSiO2含有量は、ともに1
0重量%以下とする。
【0073】続いて、得られた被覆導体13を、外径5
0mm、内径40mmのステンレス製ボビン4にソレノ
イド状に巻き付けて、図1に示すような断面構造を有す
るコイル12を作製した。なお、所定の巻線密度及び巻
線精度を得る、少なくとも10kg/cm2以上の張力
を酸化物超電導線材1に付加しながら巻線することが好
ましい。
【0074】本実施例の酸化物超電導コイル12は、図
1に示すように、巻芯4と、それに巻回された酸化物超
電導線材1とを備える。酸化物超電導線材1は、酸化物
超電導体10とその表面を覆う被覆材11とからなる。
この酸化物超電導線材1の外周は、第1の絶縁材2によ
って被覆され、さらにその外周は、第2の絶縁材3によ
って被覆されている。なお、図1には断面形状が丸い酸
化物超電導線材1を用いた場合を示したが、図2に示す
ように、酸化物超電導線材1の断面形状を平角にしても
よい。また、図1〜図4では、図を見やすくするため、
酸化物超電導線材1を単芯線としているが、本発明はこ
れに限定されるものではなく、組み込み本数が2本以上
の多芯線にしても構わない。
【0075】(3)熱処理 次に、巻線を終了したコイル12に超電導特性を付与す
るため、以下の熱処理を施した。まず、純酸素(酸素分
圧が1atm)中において、Bi2Sr2Ca1Cu2x
からなる組成の酸化物超電導体の分解温度より僅かに高
い温度である875〜900℃の範囲内の温度で、5〜
60分の範囲内で1段目の熱処理を行い、酸化物超電導
コアを部分溶融させた後、室温まで冷却することによ
り、高性能の超電導体とした。なお、ここで必要に応じ
て、1〜80%(酸素分圧が0.001〜1atm)の
酸素濃度雰囲気中で、前記酸化物超電導体の分解温度よ
り僅かに低い温度である600〜850℃の範囲内の温
度で、1〜100時間の範囲内で2段目のアニール処理
を行ってもよい。このように異なる雰囲気で少なくとも
2段以上の熱処理を行うことにより、Tc及びIcが2
0%程度向上することができる。
【0076】(4)含浸処理 続いて、本実施例では、コイル全体の機械的強度を向上
させるため、コイル12全体を含浸材に含浸させた。す
なわち、熱処理した酸化物超電導コイル12の巻回した
線材の層間及びターン間、すなわち線材1の外表面に存
在するAl23に、適切な温度で加熱して液状に溶かし
たエポキシ系ワックスを染み込ませた後、室温で固化さ
せ、図3に示すように絶縁層5を形成した。Al23
絶縁層5の内部に染み込んでいない場合に比べて、本実
施例のようにAl23が絶縁層5の内部に染み込んでい
る場合の方が、温度300Kから4.2Kに冷却したと
きの熱膨張量は、酸化物超電導コイルのそれに大幅に近
づく。
【0077】次に、コイルの表面にエポキシ系樹脂を含
浸又は塗布することにより、絶縁体6を設ける。これに
より、コイルの絶縁と高強度化を同時に達成した酸化物
超電導コイル12が得られた。
【0078】本実施例により得られたコイル12は、図
3に示すように、熱処理工程によって形状変化し体積減
少した耐熱性絶縁物2,3と含浸材(エポキシ系グリー
スなど)との混合物からなる絶縁層5と、コイル12の
表面全体に設けられた絶縁物6(エポキシ系グリースな
ど)とを備える。なお、本実施例では、図3に示すよう
に断面形状が丸い酸化物超電導線材1を用いたが、図4
に示すように断面形状が平角の酸化物超電導線材1を用
いてもよい。
【0079】本実施例では、絶縁層5及び絶縁体6にエ
ポキシ系材料を使用したが、本発明はこれに限定される
ものではなく、例えばシリコン系材料、ウレタン系材料
といった他の材料を用いてもよく、それがグリース状又
はワックス状であってもよい。
【0080】B.コイルの評価 得られたコイルの磁場中でのJcを測定した結果を図5
に示す。なお、図5において、実線7は本実施例によっ
て製造された酸化物超電導コイルの測定結果を示し、破
線8は酸化物超電導コアと化学反応性が高いSiO2
主成分としたテープ状絶縁物を第1の絶縁材2に使用し
た比較コイルAの測定結果を示し、一点鎖線9はAl2
3を主成分としたテープ状絶縁物を第1の絶縁材2
に、酸化物超電導コアと化学反応性が高いSiO2を主
成分としたスリーブ状絶縁物を第2の絶縁材3にそれぞ
れ使用した比較コイルBの測定結果を示す。測定は、温
度4.2Kで、最大10Tの磁場を印加して行った。J
cは、線材のIcをコイル全断面積で除することにより
求めた。
【0081】本実施例の酸化物超電導コイルは、印加磁
場10T中においてもJcが90A/mm2と高いコイ
ル性能を有していた。これは、素線性能から見積もられ
るJcの88%である。一方、絶縁物にSiO2を含む
比較コイルA及び比較コイルBは、15〜65A/mm
2までコイルJcが低下していた。特に、酸化物超電導
線材とSiO2とが直接接触する比較コイルAでは、そ
の劣化が極めて大きいことが確認された。
【0082】このことから、第1の絶縁材A及び第2の
絶縁材Bとして、酸化物超電導線材内部の酸化物超電導
コアとの化学反応性が低い材料を選んだ、すなわちAl
23を主成分としたものを選んだ本実施例は、従来のも
のよりJcが高い酸化物超電導コイルが得られることが
わかった。
【0083】また、Al23含有量を20〜90重量%
の範囲で変化させたアルミナ繊維からなるシートを作製
し、これを第1の絶縁材2及び第2の絶縁材3として用
いて、上述の本実施例と同様にしてコイル12を作製
し、そのJcを測定した結果を、表1に示す。なお、J
cは、温度を4.2K、印加磁場を2Tとし、線材のI
cをコイル全断面積で除することにより求めた。
【0084】
【表1】
【0085】表1からわかるように、第1の絶縁材2及
び第2の絶縁材3のAl23含有量を80重量%以上に
すると、100A/mm2を超えるJcが得られた。こ
のことから、本発明における第1の絶縁材2及び第2の
絶縁材3のAl23含有量は80重量%以上のアルミナ
繊維から構成されるものを選ぶことが効果的であること
がわかる。
【0086】また、酸化物超電導線材1に用いられる超
電導体10の組成を変えた他は本実施例と同様にしてコ
イル12を作製し、線材のIcを温度4.2K、印加磁
場0.5T中で測定した結果、Icは最大値が1250
A、最小値が850Aであり、化学量論組成としたとき
に最大値を示した。なお、超電導体10の組成は、Bi
2Sr2Ca1Cu2xの化学量論組成に対して、Biの
組成を1.8〜2.15、Srの組成を1.8〜2.
2、Caの組成を0.8〜1.2、Cuの組成を1.9
〜2.1とした。
【0087】さらに、酸化物超電導線材1の金属被覆材
11の材料を変えた他は、本実施例と同様にしてコイル
12を作製し、温度を4.2K、印加磁場を0.5Tと
してIcを測定したところ、金属被覆材に純銀及び銀基
合金を使用すると、最大値1280A、最小値1160
Aが得られた。一方、金属被覆材に銀を全く含まないも
のを使用すると、最大値400A、最小値60Aであっ
た。なお、被覆材11には、純銀、銀−0.5重量%マ
グネシウム合金、銀−0.5重量%アンチモン、銀−
3.0重量%金合金、銀−3.0重量%パラジウム合
金、純金、金−3.0%パラジウム合金、及び、純ニッ
ケルを用いた。
【0088】以上のことから、本発明における酸化物超
電導線材1のマトリクス中の組成は、Bi2Sr2Ca1
Cu2xの化学量論組成を選び、かつ金属被覆材は銀又
は銀基合金を選ぶことが効果的であって、これにより、
Jcが高い酸化物超電導線材1が得られることがわかっ
た。
【0089】つぎに、第1の絶縁材2及び第2の絶縁材
3のSiO2含有量を、0重量%〜15重量%の範囲内
のシートとして、本実施例と同様にコイル12を製造
し、Jcを測定したところ、第2の絶縁材3のSiO2
含有量には関係なく、第1の絶縁材2のSiO2含有量
を10重量%以下にした場合に、100A/mm2を超
えるJcが得られた。結果を表2に示す。このことか
ら、第1の絶縁材2のSiO 2含有量は10重量%以下
とすることが、Jcの高い酸化物超電導コイルを得るた
めに好ましいことがわかった。なお、シートの主成分は
Al23とし、Jcは線材のIcをコイル全断面積で除
することにより求めた。
【0090】
【表2】
【0091】また、コイルの熱処理工程の前後における
第1の絶縁材2の体積減少率とJcとの関係を、表3に
示す。第1の絶縁材2の材料には、酸化物超電導コアと
の化学反応性が小さいAl23を用いた。具体的には、
Al23の含有量80重量%以上のアルミナ繊維からな
るシート、又は、純度95%以上のAl23粉末を懸濁
液に溶かしたものを使用した。測定は、温度4.2K
で、最大2Tの磁場を印加して行い、Jcは、線材のI
cをコイル全断面積で除することにより求めた。
【0092】
【表3】
【0093】その結果、第1の絶縁材2の熱処理工程後
における体積減少率は、熱処理工程後の10体積%以下
になるようにすることで、Jcが高い酸化物超電導コイ
ルが得られることがわかった。また、別の実験におい
て、第2の絶縁材3の熱処理工程における体積減少率が
10体積%以下になるようにすることによっても、Jc
が高い酸化物超電導コイルが得られることを確認した。
【0094】このことから、本発明における第1の絶縁
材2及び第2の絶縁材3の熱処理工程前における体積を
基準とした場合に、熱処理工程後の体積が熱処理前より
10体積%以上減少する材質及び形状の絶縁物を、第1
及び第2の絶縁材2,3として用いることが、Jcの高
い酸化物超電導コイルを得る上で好ましいことがわかっ
た。
【0095】なお、酸化物超電導コイル12の機械強度
の観点から、第1の絶縁材2及び第2の絶縁材3の少な
くとも一方は、熱処理工程後の引っ張り強度が熱処理工
程前の90%以上を維持していることが望ましい。これ
は、エポキシ系樹脂等でコイルを含浸した場合に、引っ
張り強度が90%以上を維持していれば、効果的な含浸
ができるからである。
【0096】つぎに、第1の絶縁材2として、Al23
含有量80%以上のアルミナ繊維を50〜100重量
%、パルプ0〜50重量%と変化させた材料を用いたと
きのコイル12のIcを、表4に示す。なお、第2の絶
縁材3には、いずれの場合もアルミナ繊維を80重量%
含むスリーブを使用し、測定は温度4.2K、印加磁場
0.5Tとして行った。
【0097】
【表4】
【0098】表4からわかるように、第1の絶縁材2と
して、アルミナ繊維を70〜90重量%、パルプ10〜
30重量%のものを用いることにより、安定して100
0Aを超えるコイルIcが得られる。ただし、アルミナ
繊維が90重量%以上で、パルプ分が10重量%以下の
絶縁物については、パルプの配合量が少ないために繊維
の強度が弱く、コイル巻線途中に断線が多発した。
【0099】このことから、本発明における第1の絶縁
材2は、Al23含有量80%以上のアルミナ繊維70
〜90重量%、パルプ10〜30重量%から構成させる
ものを用いることが効果的であり、Icが高い酸化物超
電導コイルが得られるようになる。
【0100】なお、Al23含有量80%以上のアルミ
ナ繊維70〜90重量%とパルプ10〜30重量%とか
らなる第1の絶縁材2に、有機接着物及びアルミナゾル
の少なくとも1種からなるバインダ1〜10重量%をさ
らに含有させることにより、絶縁層5の機械強度が向上
することを確認した。これにより、コイル全体の機械強
度は1.5〜4倍に向上し、有機接着物及び/又はアル
ミナゾルからなるバインダを含まない場合に比べて種々
の工程中におけるコイルの変形を緩和できる。
【0101】また、巻線工程後のコイル全体に占める第
1の絶縁材2の割合(占積率)を0.02〜20体積%
と変化させたときのコイルのIcを測定した結果を、表
5に示す。他の製造条件は上述の本実施例と同様であ
る。Icの測定は、温度4.2K,印加磁場0.5Tと
して行った。
【0102】
【表5】
【0103】表5からわかるように、巻線工程後のコイ
ル中に第1の絶縁材2が少なくとも0.1体積%含有さ
れていれば、1000Aを超えるコイルIcが安定して
得られる。一方、占積率が0.1体積%よりも少ない場
合には、絶縁層5にほとんど酸化物が含まれないことに
なるため、絶縁層5と酸化物超電導体との熱膨張量が大
幅に異なり、これが性能劣化を引き起こしていると思わ
れる。このことから、Icの高い酸化物超電導線材を得
るためには、本発明における第1の絶縁材2が巻線工程
後のコイル中に少なくとも0.1体積%以上含まれてい
ることが望ましいことがわかる。
【0104】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように、本発明
によれば、高い臨界電流密度(Jc)を有する酸化物超
電導コイルを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 酸化物超電導コイルの断面概略図である。
【図2】 酸化物超電導コイルの断面概略図である。
【図3】 含浸工程後の酸化物超電導コイルの断面概略
図である。
【図4】 含浸工程後の酸化物超電導コイルの断面概略
図である。
【図5】 本実施例のコイルと比較コイルとのJcの磁
場依存性を示すグラフである。
【符号の説明】
1…酸化物超電導線材、2…第1の絶縁材、3…第2の
絶縁材、4…巻芯、5…耐熱性絶縁物との混合物である
絶縁層、6…絶縁体、7…本実施例により製造した酸化
物超電導コイルの臨界電流密度の磁場依存性、8…比較
コイルAの臨界電流密度の磁場依存性、9…比較コイル
Bの臨界電流密度の磁場依存性、10…超電導体、11
…被覆材、12…コイル、13…絶縁物に被覆された導
体。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 森田 裕 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 (72)発明者 鈴木 保夫 茨城県日立市大みか町七丁目1番1号 株 式会社日立製作所日立研究所内 Fターム(参考) 5G321 AA01 BA03 CA48 CB08

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】芯材、 酸化物超電導体と該酸化物超電導体の表面を覆う被覆材
    とを有する、上記芯材に巻回された線材、 上記酸化物超電導線材の表面に設けられた、第1の酸化
    物を含む第1の絶縁材、及び、 上記第1の絶縁材の表面に設けられた、第2の酸化物を
    含む第2の絶縁材を備え、 上記第1の酸化物は、上記第2の酸化物よりも上記酸化
    物超電導体に対する反応性が低いことを特徴とする酸化
    物超電導コイル。
  2. 【請求項2】上記第1の酸化物及び上記第2の酸化物の
    少なくともいずれかは、 酸素イオン強度比が0.5〜2.5であることを特徴と
    する請求項1記載の酸化物超電導コイル。
  3. 【請求項3】上記第1の酸化物及び上記第2の酸化物の
    少なくともいずれかは、 Al23、ZrO及びMgOの少なくともいずれかであ
    ることを特徴とする請求項1又は2記載の酸化物超電導
    コイル。
  4. 【請求項4】上記第1の酸化物又は第2の酸化物は、 上記グリース又はワックス中に分散していることを特徴
    とする請求項1〜3のいずれかに記載の酸化物超電導コ
    イル。
  5. 【請求項5】芯材、 酸化物超電導体と該酸化物超電導体の表面を覆う被覆材
    とを有する、上記芯材に巻回された線材、 上記酸化物超電導線材の表面に設けられた第1の絶縁
    材、及び、 上記第1の絶縁材の表面に設けられた第2の絶縁材を備
    え、 上記第1の絶縁材及び上記第2の絶縁材の少なくともい
    ずれかは、Al23、ZrO及びMgOの少なくともい
    ずれかを含むことを特徴とする酸化物超電導コイル。
  6. 【請求項6】Al23の含有量が80重量%以上のアル
    ミナ繊維70〜90重量%と、 パルプ30〜10重量%とを含むことを特徴とする酸化
    物超電導コイル用絶縁材。
  7. 【請求項7】酸化物超電導体と該酸化物超電導体の表面
    を覆う被覆材とを有する線材の表面に、第1の酸化物を
    含む第1の絶縁材を設ける工程と、 上記第1の絶縁材の表面に、第2の酸化物を含む第2の
    絶縁材を設ける工程と、 上記第1の絶縁材及び上記第2の絶縁材を設けた上記線
    材を、芯材に巻回してコイルにする工程と、 上記コイルを熱処理して超電導特性を付与する熱処理工
    程とを備え、 上記第1の酸化物は、上記第2の酸化物よりも上記酸化
    物超電導体に対する反応性が低いことを特徴とする酸化
    物超電導コイル製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2020202316A (ja) * 2019-06-11 2020-12-17 株式会社日立製作所 ワインド&リアクト型超電導コイル、ワインド&リアクト型超電導コイルの製造方法、超電導電磁石装置

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2020202316A (ja) * 2019-06-11 2020-12-17 株式会社日立製作所 ワインド&リアクト型超電導コイル、ワインド&リアクト型超電導コイルの製造方法、超電導電磁石装置
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