JP2003171736A - 加工性に優れた高強度鋼板およびその製造方法 - Google Patents
加工性に優れた高強度鋼板およびその製造方法Info
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Abstract
高強度域において、優れた伸びフランジ性および全伸び
の両特性を兼ね備えた加工性に優れた高強度鋼板を提供
する。 【解決手段】 質量%で、C :0.06〜0.6%、
Si+Al:0.5〜3%、Mn:0.5〜3%、P
:0.15%以下(0%を含まない)、S :0.0
2%以下(0%を含まない)を含有し、且つ、母相組織
は、焼戻ベイナイトを全組織に対して占積率で15%以
上、及びフェライトを含有し、第2相組織は、残留オー
ステナイトを全組織に対して占積率で3〜30%含有す
ると共に、該残留オーステナイト中のC濃度(CγR)
は0.8%以上であり、更にベイナイト/マルテンサイ
トを含有しても良い高強度鋼板である。
Description
度鋼板に関し、詳細には、500〜1400MPa級の
高強度及び超高強度域において、優れた伸びフランジ性
および全伸びを兼ね備えた高強度鋼板に関するものであ
る。
使用される鋼板は、優れた強度と延性を兼ね備えている
ことが要求され、この様な要求特性は近年、益々、高ま
っている。
として、フェライト素地中に主としてマルテンサイトか
らなる低温変態組織を含むフェライト・マルテンサイト
の複合組織鋼板[デュアルフェイズ(DP)鋼板]が知
られている(特開昭55−122820等)。上記鋼板
は、延性が良好なだけでなく、マルテンサイト生成域に
導入された多量の自由転位のために降伏伸びが現れず、
降伏応力が低くなる為、加工時の形状凍結特性が良好で
ある。上記組織に制御することにより、引張強度(T
S)が高く、伸び(El)特性にも優れた鋼板が得られ
るが、伸びフランジ性(局部的な延性)に劣るものであ
った。
は、フェライト・ベイナイトの2相組織鋼板が知られて
いる(特開昭57−145965等)。これによれば、
上述したDP鋼板に比べ、伸びフランジ性に優れること
は勿論のこと、抵抗溶接性(特に熱影響部の軟化がな
く)、及び疲労特性にも優れる。しかしながら、伸び特
性に劣るという問題がある。
R)を生成させ、加工変形中にγRが誘起変態(歪み誘起
変態:TRIP)して延性を向上させる残留オーステナ
イト鋼板が知られている。例えば特開昭60−4342
5には、複合組織鋼板としての組織を、体積分率で10
%以上のフェライトと10%以上のγRを有し、残部が
ベイナイトまたはマルテンサイトまたはそれらの混合組
織に制御することにより、高強度で、且つ極めて延性に
優れた鋼板が開示されている。上記組織とすることによ
り、γRの加工誘起変態効果に加えて、軟質のフェライ
トによる高延性が発揮される結果、延性はフェライト及
びγRによって、強度はベイナイトまたはマルテンサイ
トによって確保される旨記載されている。しかしなが
ら、上記鋼板においても、前記DP鋼と同様、伸びフラ
ンジ性に劣るという問題があった。
ンスを維持しつつ、しかも、伸びフランジ性(穴広げ
性)等の成形性にも優れた鋼板を提供すべく、種々の検
討がなされている。例えば特開平9−104947に
は、ミクロ組織として、フェライト、ベイナイト、γR
の3相で構成され、且つ、フェライト占有率とフェライ
ト粒径の比、及びγRの占有率を所定範囲に制御した鋼
板が開示されている。これは、「γRの増加は、強度−
延性バランスの向上、全伸びの向上をもたらすが、その
効果は、γRの微細化により高まること;更にγRが微細
化すると、伸びフランジ性などの成形性も向上する」と
いう知見に基づいてなされたものである。しかしなが
ら、伸びフランジ性の向上効果は低く、更に一層優れた
伸びフランジ性を有する高強度鋼板の提供が切望されて
いる。
目してなされたものであり、その目的は、優れた伸びフ
ランジ性及び全伸びを兼ね備えた加工性に優れた高強度
鋼板、及び、この様な鋼板を効率よく製造することので
きる方法を提供することにある。
発明の加工性に優れた高強度鋼板とは、質量%で、C
:0.06〜0.6%、Si+Al:0.5〜3%、
Mn:0.5〜3%、P :0.15%以下(0%を含
まない)、S :0.02%以下(0%を含まない)を
含有し、且つ、母相組織は、焼戻ベイナイトを全組織に
対して占積率で15%以上、及びフェライトを含有し、
第2相組織は、残留オーステナイトを全組織に対して占
積率で3〜30%含有すると共に、該残留オーステナイ
ト中のC濃度(CγR)は0.8%以上であり、更にベ
イナイト/マルテンサイトを含有しても良いものである
ところに要旨を有するものである。
以下(0%を含まない),Cu:0.5%以下(0%を
含まない),Cr:1%以下(0%を含まない)の少な
くとも一種を含有するもの; Ti:0.1%以下(0%を含まない),Nb:0.
1%以下(0%を含まない),V:0.1%以下(0%
を含まない)の少なくとも一種を含有するもの; Ca:30ppm以下(0ppmを含まない)、及び
/又はREM:30ppm以下(0ppmを含まない)
を含有するものは、いずれも本発明の好ましい態様であ
る。
呈しているものは、本発明の作用が一層高められるので
好ましい態様である。特に残留オーステナイト中に占め
るラス状残留オーステナイトの占積率が60%以上に制
御されたものが推奨される。
造方法は、上記(1)または(2)を包含するところに
要旨を有するものである。
めっき工程を施すことにより上記鋼板を製造する方法で
あって、該熱延工程は、(Ar3−50)℃以上の温度で
仕上圧延を終了する工程;及び10℃/s以上の平均冷
却速度で、Ms点以上Bs点以下まで冷却して巻取る工
程を包含し、該連続焼鈍工程またはめっき工程は、A1
点以上A3点以下の温度で10〜600秒加熱保持する
工程;3℃/s以上の平均冷却速度で、300℃以上4
80℃以下の温度まで冷却する工程;及び該温度域で1
秒以上保持する工程を包含する方法; (2)熱延工程、冷延工程、第一の連続焼鈍工程、及び
第二の連続焼鈍工程またはめっき工程を施すことにより
上記鋼板を製造する方法であって、該第一の連続焼鈍工
程は、A1点以上A3点以下の温度に加熱保持する工程;
及び10℃/s以上の平均冷却速度で、Ms点以上Bs
点以下の温度まで冷却する工程を包含し、該第二の連続
焼鈍工程またはめっき工程は、A1点以上A3点以下の温
度で10〜600秒加熱保持する工程;3℃/s以上の
平均冷却速度で、300℃以上480℃以下の温度まで
冷却する工程;及び該温度域で1秒以上保持する工程を
包含する方法。
(Ar3−50)℃以上の温度で熱延を終了する工程;7
00±100℃の範囲の温度域まで、30℃/s以上の
平均冷却速度で冷却する工程;該温度域で空冷を1〜3
0秒間行う工程;空冷後、Ms点以上Bs点以下の温度
まで、30℃/s以上の平均冷却速度で冷却して巻取る
工程を包含するものは、本発明の好ましい態様である。
上記(2)の第二の連続焼鈍工程において、A1点以上
A3点以下の温度で10〜600秒加熱保持する工程;
(A1点〜600℃)の温度まで、15℃/s以下の平
均冷却速度で冷却する工程;300℃以上480℃以下
の温度まで、20℃/s以上の平均冷却速度で冷却する
工程;及び該温度域で1秒以上保持する工程を包含する
ものは本発明の好ましい態様である。
に入る前に、下記関係式(1)を満足する条件でFe系
プレめっき処理する工程を包含するものも本発明の好ま
しい態様である。
XはFe系プレめっきの付着量(g/m2)を夫々意味
する] 尚、本発明における「加工性」とは、主に、伸びフラン
ジ性及び全伸びを意味するものである。
性を維持したまま、しかも、大きな全伸びを有する低合
金TRIP鋼板を提供すべく鋭意検討してきた。その結
果、転位密度の低い軟質ラス組織からなる焼戻ベイナイ
トとフェライトの混合組織を母相とし、第2相として、
残留オーステナイト(γR)相を有する組織に制御すれ
ば、所期の目的が達成されることを見出し、本発明を完
成した。
て説明する。
織として、焼戻ベイナイトを全組織に対して占積率で1
5%以上、及びフェライトを含有し;第2相組織とし
て、γ Rを全組織に対して占積率で3〜30%含有する
と共に、γR中のC濃度(CγR)は0.8%以上であ
り、更にベイナイト/マルテンサイトを含有しても良い
ものである。本発明組織の特徴について、従来の残留オ
ーステナイト鋼板と対比して説明すると、従来の残留オ
ーステナイト鋼板は、硬質相の周りの軟質相(母相)の
変形が進むと、該軟質相との界面にボイドが発生し易く
なる結果、伸びフランジ性が劣化するというデメリット
があった。これに対し、母相を従来のフェライトではな
く、本発明の如く、焼戻ベイナイトとフェライトの混合
組織とすることにより、伸びフランジ性が向上する。ま
た、本発明では、γR中のC濃度(CγR量)が0.8%
以上と高いため、TRIP(歪誘起変態加工)効果が、
より効果的に発揮され、伸び特性が向上する、というメ
リットもある。更にγRの形態を所定の軸比となる様に
制御されたラス状γRとすれば、従来のγRに比べ、伸び
や、特に伸びフランジ性の向上が可能となる。
するものである。
ト」は、転位密度が少なく軟質であり、しかも、ラス状
組織を有するものを意味する。これに対し、マルテンサ
イトは転位密度の多い硬質組織である点で、上記焼戻ベ
イナイトとは相違し、両者は、例えば透過型電子顕微鏡
(TEM)観察などによって区別することができる。ま
た、従来のγR鋼板は、転位密度の少ない軟質のブロッ
ク状フェライト組織を有する点で、上記焼戻ベイナイト
を母相とする本発明鋼板とはやはり相違するものであ
る。
系(基本成分であるC,Si,Mnを同じにした系)に
おけるポリゴナルフェライトに比べ、ビッカース硬さ
(Hv)が概して高いという傾向を有する。図1は、同
一成分の鋼種(C:0.1〜0.3%、Mn:1.0〜
2.0%、Si:1.0〜2.0%の範囲)における焼
戻ベイナイト及び焼戻マルテンサイトの硬度(縦軸)
と、ポリゴナルフェライトの硬度(横軸)とを対比した
グラフである。尚、ビッカース硬さは、レペラー腐食に
よる光学顕微鏡観察を行い、母相(灰色)部のビッカー
ス硬さ(Hv)を測定したものである(荷重1g)。参
考までに、同図に、y=xの直線を点線で示したが、こ
れにより、焼戻ベイナイトの硬度は、ポリゴナルフェラ
イトに比べて高いこと;この様な傾向は硬度が高くなる
につれ、顕著に見られることが分かる。
0.1%、0.2%、0.3%の各場合に分けて整理し
たものであり、焼戻ベイナイト、焼戻マルテンサイト、
及びポリゴナルフェライトの硬度に及ぼすC量の影響を
表したものである。図2より、C量が同一のとき、焼戻
ベイナイトの硬度はポリゴナルフェライトに比べて高く
なる傾向があること:この様な傾向は、C量が高くなる
につれ、顕著に見られることが分かる。
び焼戻マルテンサイト、並びにポリゴナルフェライトに
おける硬度を、C,Mn,Siの基本成分との関係で表
すと、概ね、下記の関係式が得られる。
0[Si]+3[Mn]+50 ポリゴナルフェライの硬度(Hv)≒200[C]+30[Si]+3
[Mn]+50 式中、[ ]は各元素の含有量(質量%)を意味する。
(計算値)は、実測値をほぼ反映したものとなっている
ことを確認している。また、上記関係式により得られる
硬度は、C量が0.1〜0.3%の場合のみならず、
0.3〜0.6%の場合、更には0.06〜0.1%の
場合においても同様に実測値を反映したものであること
を確認している。尚、焼戻ベイナイト硬度の上限は、成
分組成等によっても変化し得るが、概ね、500[C]+30[S
i]+3[Mn]+200、好ましくは500[C]+30[Si]+3[Mn]+150と
することが推奨される。
後記する通り、A3点以上(γ域)よりMs点以上Bs
点以下で焼入れされたベイナイトを、A1点以上(約7
00℃以上)、A3点以下の温度で焼鈍する等して得ら
れるものである。
とフェライトの混合組織が、伸びフランジ性及び全伸び
の向上に極めて有効であることを見出したところに最大
の特徴があり、後記するγRと相俟って、従来の残留オ
ーステナイト鋼板における優れた強度・延性バランスを
確保しつつ、伸びフランジ性も著しく改善し得るという
メリットを奏するものである。特にC量を0.25〜
0.6%に調整すると、伸び特性が更に向上することも
分かった。
全組織に対して占積率で焼戻ベイナイトを15%以上有
することが必要である。尚、焼戻ベイナイトの量は、後
記するフェライト及びγRとのバランスによって定めら
れるものであり、所望の特性を発揮し得る様、適切に制
御することが推奨されるが、伸びフランジ性の向上とい
う観点からすれば、焼戻ベイナイトを40%以上、より
好ましくは50%以上、更により好ましくは60%以上
に制御することが推奨される。
イト、即ち、転位密度の少ないフェライトを意味する。
このフェライトについては、ポリゴナルフェライトを母
相とするTRIP型複合組織鋼板(PF鋼)が知られて
おり、伸び特性に優れる等のメリットはあるが、伸びフ
ランジ性に劣るという欠点がある。これに対し、上記フ
ェライトと焼戻ベイナイトの混合組織を有する本発明鋼
板は、優れた伸び特性を維持しつつ、しかも伸びフラン
ジ性も改善されている点で、従来の上記TRIP鋼板と
は、構成組織も特性も異なるものである。
は、フェライトは5%以上存在することが推奨される。
好ましくは10%以上である。特に伸び特性の向上とい
う観点からすれば、フェライトは多いことが好ましく、
30%以上、より好ましくは40%以上、更により好ま
しくは50%以上とすることが推奨される。但し、60
%を超えると、必要な強度を確保するのが困難となる
他、従来の複合組織やTRIP鋼と同様、フェライトと
第2相の界面より多くのボイドが発生し、伸びフランジ
性が劣化するため、その上限を60%とすることが推奨
される。尚、上限を30%未満に制御すると、フェライ
トと、焼戻ベイナイトや第2相(γR、マルテンサイト
/ベイナイト)との界面が減少し、ボイドの発生源が抑
えられるため、伸びフランジ性が向上するので、非常に
好ましい。
に発揮させる為には、全組織に対して占積率で3%以上
(好ましくは5%以上)存在することが必要である。一
方、多量に存在すると伸びフランジ性が劣化するので、
上限を30%に定めた。より好ましくは25%である。
Rは、旧オーステナイト粒界内にランダムな方位のγRが
存在しているのに対し、本発明におけるγRは、同一パ
ケット内のブロック境界などに沿って同一方位を有する
γRが存在し易いという特徴がある。図3に、本発明に
おけるγRの特徴を模式化して表す。図3中、1は旧オ
ーステナイト粒界、2はパケット粒界、3はブロック境
界、4はベイナイトラスを夫々、示す。
及び図5に、本発明鋼板(後記する表2のNo.3)及
び従来のγR鋼板(後記する表3のNo.2)におけ
る、板厚方向断面のEBSP写真(カラーマップ:倍率
1000倍)の結果を、夫々示す。ここで、EBSPと
は、Electron Back Scatter Diffraction Patternのこ
とであり、EBSP解析装置としてはTexSEM Laborato
ries社製の装置を使用した。
厚方向のγRを色調差によって識別することができる。
即ち、通常の組織観察とは異なるEBSPによる結晶方
位観察手法でγRを調べると、見掛け上はほぼ同一の組
織を有しているにもかかわらず、従来鋼板(図5)で
は、旧オーステナイト粒界内にランダムな方位のγRが
多数存在するのに対し、本発明鋼板(図4)では、或る
一定の領域内に、同一方位を有するγRが多数存在して
いることが確認できる。本発明鋼板のγRは、ブロック
境界等に沿って、同一方位を有するγRが生成するもの
と思われ、この点で、従来鋼板のγRとは、異なる形態
を有している。
状であることが好ましい。ここで、「形態がラス状であ
る」とは、平均軸比(長軸/短軸)が2以上(好ましく
は4以上、より好ましくは6以上である)のものを意味
する。この様なラス状のγRは、従来のγRと同様のTR
IP効果を奏するのみならず、更に顕著な伸びフランジ
性向上効果を奏する点で極めて有用である。尚、上記平
均軸比の上限は特に規定されないが、TRIPの効果を
有効に発揮させる為には、γRの厚さが或る程度必要で
あること等を考慮すると、好ましい上限は30、より好
ましくは20である。
発揮させる為には、γR中に占めるラス状γRの占積率は
多ければ多い程良い。具体的には、上述した焼戻ベイナ
イトやフェライトとのバランスによって定められるもの
であり、所望の特性を発揮し得る様、適切に制御するこ
とが推奨されるが、伸びフランジ性の向上という観点か
らすれば、ラス状γRの占積率を50%以上、より好ま
しくは60%以上、更により好ましくは70%以上、更
に一層好ましくは80%以上、更により一層好ましくは
85%以上とすることが推奨される。尚、γRのすべて
がラス状γRで構成されていても良いが、加熱設備や冷
却設備の制約等を考慮すると、実用レベルで、その上限
を95%程度とすることが推奨される。
%以上であることが推奨される。このCγRは、TRI
P(歪誘起変態加工)の特性に大きく影響し、0.8%
以上に制御すると、特に、伸び等の向上に有効である。
好ましくは1%以上、より好ましくは1.2%以上であ
る。尚、上記CγRの含有量は多い程好ましいが、実操
業上、調整可能な上限は、概ね1.6%と考えられる。
イト(0%を含む) 本発明の鋼板は、上記組織のみ(即ち、焼戻ベイナイト
と、フェライトと、γ Rの混合組織)からなっていても
良いが、本発明の作用を損なわない範囲で、他の異種組
織として、ベイナイト及び/又はマルテンサイトを有し
ていても良い。これらの組織は本発明の製造過程で必然
的に残存し得るものであるが、少なければ少ない程、好
ましい。
いて説明する。以下、化学成分の単位はすべて質量%で
ある。
須の元素である。詳細には、γ相中に充分なC量を含
み、室温でも所望のγ相を残留させる為に重要な元素で
あり、強度−伸びフランジ性のバランスを高めるのに有
用である。特にC量を0.25%以上添加すると、γR
量が増加し、更にγRへのC濃縮が高くなるので、極め
て高い強度−伸びバランスを得ることができる。
効果が飽和するのみならず、鋳造中への中心偏析などに
よる欠陥などが見られる。また、0.25%以上添加す
ると溶接性が劣化する。
0.06〜0.25%(より好ましくは0.2%以下、
更により好ましくは0.15%以下)に制御することが
好ましく、一方、点溶接を必要とせず高い伸び等が要求
される場合には、C:0.25〜0.6%(より好まし
くは0.3%以上)に制御することが推奨される。
有効に抑える元素である。特にSiは、固溶強化元素と
しても有用である。この様な作用を有効に発揮させる為
には、Si及びAlを合計で0.5%以上添加すること
が必要である。好ましくは0.7%以上、より好ましく
は1%以上である。但し、上記元素を合計で、3%を超
えて添加しても上記効果は飽和してしまい、経済的に無
駄である他、多量に添加すると、熱間脆性を起こす為、
その上限を3%とする。好ましくは2.5%以下、より
好ましくは2%以下である。
素である。この様な作用を有効に発揮させる為には、
0.5%以上添加することが必要である。好ましくは
0.7%以上、より好ましくは1%以上である。但し、
3%を超えて添加すると、鋳片割れが生じる等の悪影響
が見られる。好ましくは2.5%以下、より好ましくは
2%以下である。
の様な作用を有効に発揮させる為には、0.03%以上
(より好ましくは0.05%以上)添加することが推奨
される。但し、0.1%を超えて添加すると二次加工性
が劣化する。より好ましくは0.1%以下である。
なって加工性を劣化させる元素である。好ましくは0.
02%以下、より好ましくは0.015%以下である。
尚、Sの低減化による加工性劣化の抑制作用は、Sを
0.003%以下まで低減すると飽和してしまい、逆に
Sを低減する為のコストが高くつくことを考慮すると、
下限は0.003%超、より好ましくは0.005%以
上にすることが推奨される。
残部:実質的に鉄及び不純物であるが、その他、本発明
の作用を損なわない範囲で、以下の許容成分を添加する
ことができる。
i:0.5%以下(0%を含まない),Cu:0.5%
以下(0%を含まない),Cr:1%以下(0%を含ま
ない)の少なくとも一種 これらの元素は、鋼の強化元素として有用であると共
に、γRの安定化や所定量の確保に有効な元素である。
この様な作用を有効に発揮させる為には、Mo:0.0
5%以上(より好ましくは0.1%以上)、Ni:0.
05%以上(より好ましくは0.1%以上)、Cu:
0.05%以上(より好ましくは0.1%以上)、C
r:0.05%以上(より好ましくは0.1%以上)
を、夫々添加することが推奨される。但し、Mo及びC
rは1%、Ni及びCuは0.5%を超えて添加しても
上記効果が飽和してしまい、経済的に無駄である。より
好ましくはMo:0.8%以下、Ni:0.4%以下、
Cu:0.4%以下、Cr:0.8%以下である。
Nb:0.1%以下(0%を含まない),V:0.1%
以下(0%を含まない)の少なくとも一種 これらの元素は、析出強化及び組織微細化効果があり、
高強度化に有用な元素である。この様な作用を有効に発
揮させる為には、Ti:0.01%以上(より好ましく
は0.02%以上)、Nb:0.01%以上(より好ま
しくは0.02%以上)、V:0.01%以上(より好
ましくは0.02%以上)を、夫々添加することが推奨
される。但し、いずれの元素も0.1%を超えて添加す
ると上記効果が飽和してしまい、経済的に無駄である。
より好ましくはTi:0.08%以下、Nb:0.08
%以下、V:0.08%以下である。
M:30ppm以下(0ppmを含まない) Ca及びREM(希土類元素)は、鋼中硫化物の形態を
制御し、加工性向上に有効な元素である。ここで、本発
明に用いられる希土類元素としては、Sc、Y、ランタ
ノイド等が挙げられる。上記作用を有効に発揮させる為
には、夫々、3ppm以上(より好ましくは5ppm以
上)添加することが推奨される。但し、30ppmを超
えて添加しても上記効果が飽和してしまい、経済的に無
駄である。より好ましくは25ppm以下である。
説明する。
方法を包含するものである。
はめっき工程] この方法は、熱延工程、及び連続焼鈍工程またはめ
っき工程を経由して所望の鋼板を製造する方法である。
このうち熱延工程の説明図を図6に、連続焼鈍また
はめっき工程の説明図を図7に、夫々示す。
延を終了する工程;及び10℃/s以上の平均冷却速度
で、Ms点以上Bs点以下まで冷却して巻取る工程を包
含するものである。この熱延条件は、所望の母相組織
(焼入ベイナイトとフェライトの混合組織)を得る為に
設定されたものである。
50)℃以上、好ましくはAr3点以上の温度とすること
が推奨される。これは、引続き実施される「Ms点以上
Bs点以下の冷却」と共に、所望の母相組織を得る為で
ある。
にする為には、熱延時の加熱温度(SRT)を高めに制
御することが推奨される。特に、γR中に占めるγRの占
積率を本発明の好ましい範囲に制御するには、熱延工程
における加熱温度(SRT)を1150℃以上(より好
ましくは1200℃以上、更により好ましくは1250
℃以上)とすることが有効である。ラス状γRは、熱延
時に形成される焼入母相組織のラス間隔が細かく、且
つ、該母相組織のラス界面の歪エネルギーが大きい程、
生成され易いことから、上記の如く熱延時の加熱温度
(SRT)を高温に設定すれば所望の形態に制御し易く
なる。上記SRTの制御に加え、熱延後の平均冷却速度
を速くする(焼入性を高める)ことも有効な形態制御方
法である(後記する)。これにより、熱延中または熱延
仕上後のオーステナイト粒径が大きくなり、焼入性が高
まる結果、その後の焼戻焼鈍工程及びオーステンパ処理
によって生成するγRの形態がラス状となる比率が一層
高まるからである。更に、熱延仕上温度(FDT)をA
r3点以上の温度に制御すれば、熱延全般にわたって高温
となり、焼入性が一層高められる為、ラス状γRの生成
が一層促進される。
いが、設備上の制約等を考慮すると、1350℃以下
(より好ましくは1300℃以下)に制御することが推
奨される。
は、冷却速度(CR)を制御することにより、冷却中に
フェライトを一部生成させて(α+γ)の2相域とし、
更にMs点以上Bs点以下の温度まで冷却することによ
り、所望の混合組織を得ることができる。
(a)、好ましくは(b)の方法が挙げられる。
(好ましくは20℃/s以上)の平均冷却速度で、パー
ライト変態を避けてMs点以上Bs点以下の温度まで冷
却する。このとき、平均冷却速度を適切に制御すること
により、所望の混合組織(焼入ベイナイト+フェライ
ト)を得ることができる。尚、本発明では、フェライト
を5%以上30%未満に制御することが推奨されるが、
この場合には、平均冷却速度を30℃/s以上に制御す
ることが好ましい。
度は、フェライトの生成のみならず、最後のγRの形態
にも影響を与え、平均冷却速度が速ければ(好ましくは
30℃/s以上、より好ましくは50℃/s以上)、ラ
ス状を呈することになる。尚、平均冷却速度の上限は特
に限定されず、大きければ大きい程良いが、実操業レベ
ルとの関係で、適切に制御することが推奨される。
よく生成させる為には、(b)二段冷却:即ち、70
0±100℃の範囲の温度域(好ましくは700±50
℃)まで、30℃/s以上の平均冷却速度(CR1)で
冷却する工程;該温度域で空冷を1〜30秒間行う工
程;空冷後、Ms点以上Bs点以下の温度まで、30
℃/s以上の平均冷却速度(CR2)で冷却して巻取る
工程を包含することが推奨される。この様に段階的に冷
却することにより、転位密度の低いポリゴナル・フェラ
イトを一層確実に生成させることができる。
共に、30℃/s以上、好ましくは40℃/s以上の平
均冷却速度で冷却することが推奨される。これにより、
ラス状γRの生成も促進されるからである。尚、当該平
均冷却速度の上限は特に限定されず、大きければ大きい
程良いが、実操業レベルとの関係で、適切に制御するこ
とが推奨される。
好ましくは3秒以上行うことが好ましく、これにより所
定のフェライト量が効率よく得られる。但し、空冷時間
が30秒を超えると、フェライト量が好ましい範囲を超
えて生成され、所望の強度が得られない他、伸びフラン
ジ性も劣化する。好ましくは20秒以下である。
s点以下[計算式:Ms=561−474×[C]−3
3×[Mn]−17×[Ni]−17×[Cr]−21
×[Mo];Bs=830−270×[C]−90×
[Mn]−37×[Ni]−70×[Cr]−80×
[Mo];式中、[ ]は各元素の質量%である]にす
ることが必要である。Bs点を超えると所望の焼入ベイ
ナイトが得られず、一方、Ms点を下回ると焼戻マルテ
ンサイトが生成するからである。
為に、上記の各工程を適切に制御することが推奨される
が、その他の工程、例えば加熱温度等は、通常実施され
る条件(例えば約1000〜1300℃)を適宜選択す
れば良い。
但し、熱延後の形状が悪いときには形状修正の目的で、
上記の熱延を行った後、当該の連続焼鈍またはめっ
きを行う前に、冷延処理しても良い。ここで、冷延率は
1〜30%とすることが推奨される。30%を超えて冷
間圧延すると、圧延荷重が増大し、冷間圧延が困難とな
るからである。
A3点以下の温度で10〜600秒加熱保持する工程;
3℃/s以上の平均冷却速度で、300℃以上480℃
以下の温度まで冷却する工程;及び該温度域で1秒以上
保持する工程を包含する。これらの条件は、熱延工程で
生成した母相組織を焼戻して所望の混合組織(焼戻ベイ
ナイトとフェライトの混合組織)を得ると共に、第2相
(γR)を得る為に設定されたものである。
中、T3)で10〜600秒(図7中、t3)均熱する
ことにより、所望の混合組織及びγRを生成させる(2
相域焼鈍)。上記温度を超えると、すべてγとなってし
まい、一方、上記温度を下回ると、所望のγ量が得られ
ないからである。更に、上記加熱保持時間(t3)の制
御は、所望の組織を得る為に、特に重要である。10秒
未満では、焼戻が不足し、所望の母相組織及びγ量が得
られないからである。好ましくは20秒以上、より好ま
しくは30秒以上である。尚、600秒を超えると、焼
戻ベイナイトの特徴であるラス状組織が維持できなくな
り、機械的特性が劣化する。好ましくは500秒以下、
より好ましくは400秒以下である。
s以上(好ましくは5℃/s以上)に制御し、パーライ
ト変態を避けながら、300℃以上(好ましくは350
℃以上)480℃以下(好ましくは450℃以下)の温
度(ベイナイト変態:図7中、T4)まで冷却し、更
に、この温度域で1秒以上(好ましくは5秒以上:図7
中、t4)保持する(オーステンパ処理)。これによ
り、γRへのC濃縮を、多量に且つ極めて短時間に得る
ことができる。
と、所望の組織が得られず、パーライト等が生成する。
尚、その上限は特に規定されず、大きければ大きい程良
いが、実操業レベルとの関係で、適切に制御することが
推奨される。
く生成させる為には、上記冷却工程を、(A1点〜6
00℃)の温度(Tq)まで、15℃/s以下の平均冷
却速度で冷却する工程;及び300℃以上480℃以
下の温度まで、20℃/s以上の平均冷却速度で冷却す
る工程を包含する二段冷却法を採用することが推奨され
る。
s以下(好ましくは10℃/s以下)の平均冷却速度で
冷却すると、まず、フェライトが生成し、フェライト中
のCがγに濃縮される。次に、上記の温度域まで、2
0℃/s以上(好ましくは30℃/s以上、より好まし
くは40℃/s以上)の平均冷却速度で冷却すると、γ
がパーライトに変態することが抑制され、γが低温でも
残留する結果、所望のγR組織が得られる。尚、当該平
均冷却速度の上限は特に限定されず、大きければ大きい
程好ましいが、実操業レベルとの関係で、適切に制御す
ることが推奨される。
が、特にオーステンパ処理温度(T4)は、所望の組織
を確保して本発明の作用を発揮させるのに重要である。
上記温度範囲に制御すれば、安定且つ多量のγRが得ら
れ、これにより、γRによるTRIP効果が発揮され
る。これに対し、300℃未満では、マルテンサイト相
が存在し、一方、480℃を超えるとベイナイト相が多
量に増加する。
定されないが、オーステナイトがベイナイトに変態する
時間を考慮すると、3000秒以下、好ましくは200
0秒以下に制御することが推奨される。
γRの他、本発明の作用を損なわない範囲で、更にベイ
ナイト及び/又はマルテンサイト組織が生成していても
構わない。また、所望の組織を著しく分解させることな
く、本発明の作用を損なわない範囲で、めっき、更には
合金化処理しても良い。
場合には、前記のめっきを行う前に、所定のFe系プ
レめっきを行うことが推奨される。これにより、鋼板表
面に、Siの表面濃化による悪影響を受けないFe系め
っき層が形成され、合金化溶融Znめっき層表面に存在
する粗大なZn−Fe合金結晶粒の数が著しく低減する
結果、低温でも鋼板とZnめっき層との拡散による合金
化処理が迅速に行われ、安定して高い伸び特性を得るの
に有効なγRが効率よく得られるのみならず、Siの多
量添加による弊害[Si系酸化物による耐パウダリング
性劣化、不めっき、めっき表面の摺動性(滑り特性)低
下等]等も防止できるからである。
在する粗大なZn−Fe合金結晶粒とは、具体的には、
Zn−Fe合金結晶粒の長片の長さが短片の長さの2倍
以下であり、且つ、平均粒径4μm以上の結晶粒を意味
する。Fe系プレめっきにより、この様な粗大な結晶粒
の個数を5個以下(好ましくは3個以下)/70μm×
50μmに抑制することができる。尚、上記Zn−Fe
合金結晶粒の平均粒径は、合金めっき層表面をSEM
(走査型電子顕微鏡)観察(1500倍)し、70μm
×50μmの視野中に存在する該結晶粒の最大長さ方向
に測定される長さと、該長さ方向と直交する方向の長さ
との平均長さを算出して定められるものである。
は、連続めっきライン[CGL:焼鈍→(ロ)溶融Zn
めっき(前記と同じ)→(ハ)合金化という一連のラ
イン]通板の前に行われる。
て説明する。
満足する条件で処理するものである。
XはFe系プレめっきの付着量(g/m2)を夫々意味
する] まず、Fe系プレめっきの付着量(X)は、溶融Znめ
っきの付着量(W)との関係で、Xを0.06W以上に
制御する。これは、Xが0.06W未満になると、合金
化の進行に伴い、Siが鋼板表面に濃化する為、めっき
表面の摺動性に悪影響を及ぼす粗大なZn−Fe合金結
晶粒の生成を招くからである。好ましくは0.08W以
上、より好ましくは0.10W以上である。その上限
は、めっき表面の摺動性向上という観点からすれば特に
限定されないが、Xが多過ぎるとコストが上昇し、生産
性も低下することから、上限を0.30W、好ましくは
0.28W以下、より好ましくは0.25W以下に制御
することが推奨される。
プレめっきする為には、特に電解時間に留意しながら、
通常のめっき処理を行うことが推奨される。具体的に
は、めっき浴の組成(FeSO4・7H2O:300〜4
50g/L)、めっき浴pH(1.7〜2.6)、めっ
き液温:40〜70℃、電流密度:10〜250A/d
m2とし、所望のめっき付着量に応じて、電解時間を適
切に制御することが推奨される。
Znめっきをし、更に合金化処理しているので、めっき
表層部分には、該Fe系プレめっきは消失するが、鋼板
と合金化溶融Znめっき層の界面には、本発明の作用を
損なわない範囲で該Fe系プレめっき層が残存していて
も良い。
溶融Znめっきを行うが、その詳細は、前述のに記載
した通りである。
浴中有効Al濃度を0.08〜0.12質量%に、めっ
き浴温度を445〜500℃の範囲に夫々、制御するこ
とが推奨される。これにより、合金化が促進され、耐パ
ウダリング性も著しく向上するからである。
〜0.12%とすることが好ましい。ここで、「めっき
浴中有効Al濃度」とは、めっき浴中に含まれるフリー
のAlを意味し、詳細には下記式で表されるものであ
る。
[めっき浴中Fe濃度(%)] 一般に溶融Znめっき工程では、めっき浴有効Al濃度
を約0.08〜0.14%の範囲に制御している。しか
しながら、上記(イ)〜(ハ)の一連の方法では、所望
のγRを得る目的で合金化温度を低く設定している(後
記する)為、Al濃度が高くなると合金化しなくなる。
従って、本発明ではAl濃度の上限を、好ましくは0.
12%(より好ましくは0.11%)に制御する。但
し、Al濃度が0.08%未満になると耐パウダリング
性が低下する。より好ましくは0.09%以上である。
範囲に制御することが好ましい。一般的なめっき浴温度
は430〜500℃であるが、本発明では、合金化を抑
制するSiを多量に添加している為、合金化を促進し、
且つ、耐パウダリング性を高める目的で、上記範囲に設
定した次第である。445℃未満では表面にη層(純亜
鉛)が残存してしまう。より好ましくは450℃以上で
ある。一方、500℃を超えると耐パウダリング性が低
下する。より好ましくは490℃以下である。
ことが推奨される。合金化温度が低くなると合金化速度
が遅く、生産性が低下する。一方、合金化温度が高くな
ると、生成したγRが消失してしまう。また、合金化処
理時間が短いと合金化せず、表面にη層(純亜鉛)が残
存してしまう。逆に合金化時間が長くなると生産性が低
下する。
当たり、Fe系プレめっきを経由する好ましい態様につ
いて説明したが、このFe系プレめっきは、合金化溶融
Znめっき鋼板を製造する場合のみならず、溶融Znめ
っき鋼板を製造する場合においても適用することができ
る。即ち、溶融Znめっき鋼板を製造する場合におい
て、前述した(イ)Fe系プレめっき、及び(ロ)溶融
Znめっきを行えば、鋼板表面に、Siの表面濃化によ
る悪影響を受けないFe系めっき層が形成される結果、
安定して高い伸び特性を得るのに有効なγRが効率よく
得られるのみならず、Siの多量添加による弊害等を防
止できる点で、極めて有用である。
一の連続焼鈍工程]→[第二の連続焼鈍工程またはめっ
き工程] 上記(2)の方法は、熱延工程、冷延工程、第一の連続
焼鈍工程、および第二の連続焼鈍工程またはめっき工程
を経て、所望の鋼板を製造する方法である。このうち上
記方法を特徴付ける第一の連続焼鈍工程の説明図を図8
に示す。
るが、これらの工程は特に限定されず、通常、実施され
る条件を適宜選択して採用することができる。上記
(2)の方法では、これら熱延工程や冷延工程により、
所望の組織を確保するものではなく、その後に実施する
第一の連続焼鈍工程、および第二の連続焼鈍工程または
めっき工程を制御して所望の組織を得るところに特徴が
あるからである。
点以上で熱延終了後、平均冷却速度約30℃/sで冷却
し、約500〜600℃の温度で巻取る等の条件を採用
することができる。また、冷延工程では、約30〜70
%の冷延率の冷間圧延を施すことが推奨される。勿論、
これに限定する趣旨では決してない。
一の連続焼鈍工程、および第二の連続焼鈍工程または
めっき工程について説明する。
程) 上記工程は、A1点以上A3点以下の温度に加熱保持する
工程;及び10℃/s以上の平均冷却速度で、Ms点以
上Bs点以下の温度まで冷却する工程を包含する。これ
らの条件は、所望の母相組織を得る為に設定されたもの
である。
中、T1)に均熱した後、平均冷却速度(CR)を10
℃/s以上(好ましくは20℃/s以上)に制御し、M
s点以上Bs点以下の温度(図8中、T2)まで冷却す
ることにより、パーライト変態を避けながら、所望の混
合組織(焼入ベイナイト+フェライト)を得る。尚、本
発明では、フェライトを5%以上30%未満に制御する
ことが推奨されるが、この場合には、平均冷却速度を3
0℃/s以上に制御することが好ましい。
生成のみならず、最後のγRの形態にも影響を与え、平
均冷却速度が速ければ(好ましくは30℃/s以上、よ
り好ましくは50℃/s以上)、ラス状を呈することに
なる。尚、平均冷却速度の上限は特に限定されず、大き
ければ大きい程良いが、実操業レベルとの関係で、適切
に制御することが推奨される。
程)またはめっき工程 上記工程は、A1点以上A3点以下の温度で10〜600
秒加熱保持する工程;3℃/s以上の平均冷却速度で、
300℃以上480℃以下の温度まで冷却する工程;及
び該温度域で1秒以上保持する工程を包含する。
る連続焼鈍工程またはめっき工程と同じであり、前記
第一の連続焼鈍工程で生成した混合母相組織を焼戻し
て所望の(焼戻ベイナイト+フェライト)組織を得ると
共に、第2相(γR)を生成させる為に設定されたもの
である。
場合には、前述した(イ)〜(ハ)の一連の方法を採用
することが推奨される。これにより、合金化溶融Znめ
っき層の表面に存在する「粗大な結晶粒」の個数が抑制
される結果、γRによる延性向上作用を維持しつつ、め
っき表面の摺動性にも優れた鋼板が得られるからであ
る。その詳細は前述した方法を参照すれば良い。
ただし、下記実施例は本発明を制限するものではなく、
前・後記の趣旨を逸脱しない範囲で変更実施することは
全て本発明の技術範囲に包含される。
[強度(TS)×伸びフランジ性(λ)が高く、且つ、
溶接性も考慮した系]を中心に、成分組成を変化させた
場合における機械的特性の影響について調べた。具体的
には、表1に記載の成分組成からなる供試鋼(表中の単
位は質量%)を真空溶製し、実験用スラブとした後に、
前述した(1)の方法(熱延→連続焼鈍)に従って、板
厚2.0mmの熱延鋼板を得た。
分間加熱した後、熱延時の加熱温度(SRT)を115
0℃、熱延時の仕上温度(FDT)を850℃とし、5
0℃/sの平均冷却速度で室温まで冷却した(熱延工
程)後、2相域にて120秒焼鈍し、次いで、平均冷却
速度30℃/sで、400℃まで冷却して30秒保持
(オーステンパ処理)する条件を基本条件として実施し
た。
強度(TS)、伸び[全伸びのこと(EI)]、降伏強
度(YP)、及び伸びフランジ性(穴広げ性:λ)を、
下記要領で夫々測定した。
い、引張強度(TS)、伸び(EI)、及び降伏強度
(YP)を測定した。尚、引張試験の歪速度は1mm/
secとした。
mm、板厚2.0mmの円盤状試験片を用いた。具体的
には、φ10mmの穴をパンチ打抜き後、60°円錐パ
ンチでばり上にて穴広げ加工することにより、亀裂貫通
時点での穴広げ率(λ)を測定した(鉄鋼連盟規格JF
ST 1001)。
レペラー腐食し、透過型電子顕微鏡(TEM;倍率15
000倍)観察により組織を同定した後、光学顕微鏡観
察(倍率1000倍)により組織の占積率を測定した。
尚、γRの占積率及びγR中のC濃度は、鋼板の1/4の
厚さまで研削した後、化学研磨してからX線回折法によ
り測定した(ISIJ Int.Vol.33.(1933),No.7,P.776)。
とができる(以下のNo.はすべて、表2中の実験N
o.を意味する)。
〜26はいずれも、本発明で特定する要件を満足してい
るので、良好な特性の鋼板が得られた。
性との関係を明らかにすべく実験を行ったものである
が、特に第2相組織であるγRの形態等が機械的特性に
どの様な影響を及ぼすか調べる目的で、同一鋼種を用
い、製造条件を変化させた実験も行い、これらの結果も
表2に併記している。
れも同一鋼種(表1のNo.2)を使用し、製造条件を
変えた例[No.2はオーステンパ温度が低い為、γR
中のC濃縮が充分行われなかった例;No.3は、熱延
で仕上圧延後、700℃において空冷を10秒間行った
為、最終組織のフェライト(F)分量が47%と高くな
った例;No.16は熱延で仕上圧延後、巻取まで急冷
(平均冷却速度40℃/s)した為、No.3に比べ、
最終組織のフェライト(F)量が少ない例]であるが、
No.3及び16の如く、γR中のCγRが本発明の好ま
しい範囲(0.8%以上)に制御されたものは、好まし
い範囲を外れるNo.2に比べ、伸びが向上している。
ずれも同一鋼種(表1のNo.4)を使用し、製造条件
を変えた例[No.5は、前記No.3と同じ条件で製
造した例;No.18は、前記No.16と同じ条件で
製造した例;No.20は、前記No.5と同様の熱延
を行った後、焼鈍する際、オーステンパ処理温度(T
4)で保持した後、30℃/sの平均冷却速度で室温ま
で冷却した例]であるが、No.5及び20に比べて焼
戻ベイナイトの占積率が多いNo.18は、伸びフラン
ジ性に優れている。
種(表1のNo.3)を用い、熱延時の加熱温度(SR
T)を低くした例(No.21は1100℃、No.2
2は1050℃、No.23は1000℃)であり、熱
延時の加熱温度を高温に制御したNo.17に比べ、γ
R中に占めるラス状γRの面積率は減少し、伸びフランジ
性が低下した。
種(表1のNo.3)を用い、SRT及び熱延時の平均
冷却速度を変えた例(No.24はSRT:1200
℃、平均冷却速度:60℃/s、No.25はSRT:
1200℃、平均冷却速度:20℃/s、No.26は
SRT:1000℃、平均冷却速度:20℃/s)であ
る。このうちNo.25はSRTを高めに設定している
ので、γR中に占めるラス状γRの面積率は76%と、好
ましい範囲を満足している。また、No.24はSRT
も高く、冷却速度も著しく速い為、ラス状γRの面積率
は96%にまで上昇し、伸びフランジ性も極めて良好で
あった。これに対し、No.26は、SRTも低く、冷
却速度も遅い為、ラス状γRの面積率は30%と低下し
た。
3)のTEM写真(倍率:15000倍)を示す。この
写真より、本発明鋼板は、明確なラス状組織を呈する焼
戻ベイナイト及びフェライトを有していることが分か
る。
れかを満足しない下記例は夫々、以下の不具合を有して
いる。
所望のElを確保することができなかった。
あり、所望のElを確保することができなかった。
の合計量が少ない例であり、所望のγRが得られない
為、Elが低かった。
冷却速度を3℃/sと遅くして製造した為、パーライト
組織が多く、所定の焼戻ベイナイトが得られなかった例
であり、所定の焼戻ベイナイトが得られたNo.4及び
17[No.4は熱延で仕上圧延後、700℃において
空冷を10秒間行った例;No.17は熱延で仕上圧延
後、巻取まで急冷(平均冷却速度40℃/s)した例]
に比べ、El及びλが低下した。
ける各特性評価の結果を表3に示す。このうち.No.
21は、表1のNo.2の供試鋼を用いたフェライト・
マルテンサイトのDP鋼板;No.22は、表1のN
o.3の供試鋼を用いたポリゴナルフェライトを母相と
する従来のTRIP鋼板;及びNo.23は、表1のN
o.2の供試鋼を用いた、従来のフェライト・ベイナイ
トの2相組織鋼板である。
フランジ性が劣化し、No.22は伸びフランジ性が劣
化し、No.23は伸びが劣化する、といった不具合を
夫々有している。
系鋼種[強度(TS)×伸びフランジ性(λ)が高く、
且つ、TS×伸び(El)も高い系]を中心に、成分組
成を変化させた場合における機械的特性の影響について
調べた。具体的には、表4に記載の成分組成からなる供
試鋼(表中の単位は質量%)を真空溶製し、実施例1と
同様にして熱延鋼板を製造し、実施例に記載の方法で、
各特性等を評価した。
とができる(以下のNo.はすべて、表5中の実験N
o.を意味する)。
〜26はいずれも、本発明で特定する要件を満足してい
るので、良好な特性の鋼板が得られた。
性との関係を明らかにすべく実験を行ったものである
が、特に第2相組織であるγRが機械的特性にどの様な
影響を及ぼすか調べる目的で、同一鋼種を用い、製造条
件を変化させた実験も行い、これらの結果も表5に併記
している。
も同一鋼種(表4のNo.3)を使用し、製造条件を変
えた例[No.3は熱延で仕上圧延後、700℃におい
て空冷を10秒間行った例;No.16は熱延で仕上圧
延後、巻取まで急冷(平均冷却速度40℃/s)した
為、No.3に比べ、最終組織のフェライト(F)量が
少ない例]であるが、No.3に比べ、焼戻ベイナイト
の占積率が多いNo.16は伸びフランジ性に優れてい
る。
同一鋼種(表4のNo.6)を使用し、製造条件を変え
た例(No.6は前記No.4と同じ条件で製造した
例;No.18は前記No.17と同じ条件で製造した
例)であるが、No.6に比べて焼戻ベイナイトの占積
率が多いNo.18は、伸びフランジ性に優れている。
種(表4のNo.4)を用い、熱延時の加熱温度を低く
した例(No.21は1100℃、No.22は105
0℃、No.23は1000℃)であり、熱延時の加熱
温度を高温に制御したNo.17に比べ、γR中に占め
るラス状γRの面積率は減少し、伸びフランジ性が低下
した。
種(表4のNo.4)を用い、SRT及び熱延時の平均
冷却速度を変えた例(No.24はSRT:1200
℃、平均冷却速度:60℃/s、No.25はSRT:
1200℃、平均冷却速度:20℃/s、No.26は
SRT:1000℃、平均冷却速度:20℃/s)であ
る。このうちNo.25はSRTを高めに設定している
ので、γR中に占めるラス状γRの面積率は78%と、好
ましい範囲を満足している。また、No.24はSRT
も高く、冷却速度も著しく速い為、ラス状γRの面積率
は87%に上昇し、伸びフランジ性も極めて良好であっ
た。これに対し、No.26は、SRTも低く、冷却速
度も遅い為、ラス状γRの面積率は35%と低下した。
れかを満足しない下記例は夫々、以下の不具合を有して
いる。
の例(C量が0.4%以上)に比べて少ないため、El
が低い。
つ、オーステンパ温度が低い為、γ R中のC濃縮が充分
行われなかった為、CγR量が0.8%未満の例であ
り、Elが低い。
の合計量が少ない例であり、所望のγRが得られない
為、Elが低かった。
冷却速度を3℃/sと遅くして製造した為、パーライト
組織が多く、所定の焼戻ベイナイトが得られなかった例
であり、所定の焼戻ベイナイトが得られたNo.4及び
17[No.4は熱延で仕上圧延後、700℃において
空冷を10秒間行った例;No.17は熱延で仕上圧延
後、巻取まで急冷(平均冷却速度40℃/s)した例]
に比べ、El及びλが低下した。
実験用スラブを用い、表6及び表7に示す種々の製造条
件を行った。熱延板の板厚は2.0mmとし、これをベ
ースとして実施例を行った。
組織を調べた。これらの結果を表6及び7に併記する。
尚、本実施例に用いた上記鋼種は、C量が相違するのみ
(表1のNo.4はC:0.2 0%;及び表4のN
o.4はC:0.48%)で他の成分含有量は概ね同じ
である為、得られた組織構成(第2相の種類)はすべて
同じであった。
(1)の方法に従って製造したものである。詳細には、
No.1〜23は熱延→連続焼鈍を施した例であり、こ
のうちNo.5〜7及びNo.25は熱延工程で一段冷
却を行った例、その他は二段冷却を行った例である。ま
た、No.24〜25は熱延→めっき(更に合金化処
理)を施した例であり、このうちNo.24は熱延工程
で二段冷却を行った例であり、No.25は一段冷却を
行った例である。
1、13、14、16、18、19、及び22〜25
は、本発明で特定する条件で製造した例であり、所望の
組織が得られた。
性の改善効果を確認すべく、表6のNo.24を用い、
プレめっき処理を施したこと以外は表6に示す条件で熱
処理し、合金化溶融Znめっき鋼板を得た。詳細には、
表6に示す条件で熱延した後、以下の条件でFe系プレ
めっきを行い(Fe系プレめっき付着量4.0g/
m 2,溶融Znめっき付着量52g/m2)、次いでめっ
きし[めっき浴:Zn−0.10%Al(有効Al濃
度),浴温:460℃]、引続き、合金化処理した(合
金化温度450℃、合金化時間45秒)。
き鋼板は、プレめっき処理をしない場合と同じ、良好な
組織が得られると共に、不めっきも見られず、めっき表
面の摺動性及び耐パウダリング性にも優れる等、めっき
特性も極めて良好であった(表には示さず)。
条件を満足せずに製造した下記例は、夫々、以下の不具
合を有している。
低い例であり、フェライト及び焼戻ベイナイトが生成し
た。
来のTRIP鋼(ポリゴナルフェライトを母相とするT
RIP鋼)と同じ組織となり、所望の組織が得られなか
った。
R)が低い例であり、熱延ままの組織中に焼入ベイナイ
トがないため、所望の組織が得られず、従来のTRIP
鋼組織が生成した。
3)が高い例であり、所望の組織が得られず、従来のT
RIP鋼組織が生成した。
γR組織が得られなかった。
の保持時間(t3)が短い例であり、焼戻不足となって
所望の焼戻ベイナイトが得られなかった。
却速度(CR)が小さい例であり、パーライトが生成し
た。
温度(T4)が低い(即ち、オーステンパ処理を施さな
い)例であり、所望の組織が得られず、マルテンサイト
が生成した。
た(1)の方法において、冷延処理を施した例である。
詳細には、No.26〜28は熱延→冷延→連続焼鈍
を、No.29〜30は熱延→冷延→めっき(更に合金
化処理)を施した例であり、このうちNo.28及び3
0は、熱延工程で一段冷却を行った例、その他は二段冷
却を行った例である。
本発明で特定する条件で製造した例であり、所望の組織
が得られた。
であり、所望の焼戻ベイナイトが得られなかった。
した(2)の方法に従って製造したものである。詳細に
は、No.31〜56は熱延→冷延→第一の連続焼鈍→
第二の連続焼鈍を、No.57は熱延→冷延→第一の連
続焼鈍→めっき(更に合金化処理)を施した例である。
39、41〜43、46〜47、49、51〜52、及
び55〜57は、本発明で特定する条件で製造した例で
あり、所望の組織が得られた。
性の改善効果を確認すべく、表7のNo.57を用い、
前述した表6のNo.24と同じ条件でFe系プレめっ
き及び合金化処理を行った。その結果、Fe系プレめっ
き処理した合金化溶融Znめっき鋼板は、プレめっき処
理をしない場合と同じ、良好な組織が得られると共に、
不めっきも見られず、めっき表面の摺動性及び耐パウダ
リング性にも優れる等、めっき特性も極めて良好であっ
た(表には示さず)。
れかを満足せずに製造した下記例は、夫々、以下の不具
合を有している。
γ域の温度(T1)が高い例であり、焼戻ベイナイトで
はなく、フェライト+焼戻マルテンサイトとなった。
所望のγRが得られなかった。
平均冷却速度(CR)が小さい例であり、ポリゴナルフ
ェライト及びパーライトが生成した。
2相温度域温度(T3)が高い例であり、従来のTRI
P鋼組織となった。
所望のγRが得られなかった。
2相温度域での保持時間(t3)が長い例であり、母相
がフェライト組織となり、焼戻ベイナイトは消失した。
焼戻不足となり、所望の焼戻ベイナイトが得られなかっ
た。
平均冷却速度(CR)が小さい例であり、パーライトが
生成した。
温度(T4)が低い(即ち、オーステンパ処理を施さな
い)例であり、マルテンサイトが生成し、所望の組織が
得られなかった。
で、約500〜1400MPa級の高強度及び超高強度
域において、優れた伸びフランジ性および全伸びの両特
性を兼ね備えた高強度鋼板、及び、この様な鋼板を効率
よく製造することができた。
ポリゴナルフェライトの硬度を対比したグラフである。
度に及ぼすC量の影響を示すグラフである。
特徴を模式化した図である。
る。
(×1000)である。
ある。
程を説明した図である。
明した図である。
る。
Claims (15)
- 【請求項1】 質量%で、 C :0.06〜0.6%、 Si+Al:0.5〜3%、 Mn:0.5〜3%、 P :0.15%以下(0%を含まない)、 S :0.02%以下(0%を含まない) を含有し、且つ、 母相組織は、焼戻ベイナイトを全組織に対して占積率で
15%以上、及びフェライトを含有し、 第2相組織は、残留オーステナイトを全組織に対して占
積率で3〜30%含有すると共に、該残留オーステナイ
ト中のC濃度(CγR)は0.8%以上であり、更にベ
イナイト/マルテンサイトを含有しても良いものである
ことを特徴とする加工性に優れた高強度鋼板。 - 【請求項2】 前記残留オーステナイトはラス状を呈し
ているものである請求項1に記載の高強度鋼板。 - 【請求項3】 残留オーステナイト中に占める前記ラス
状の残留オーステナイトは、占積率で60%以上である
請求項2に記載の高強度鋼板。 - 【請求項4】 前記フェライトを全組織に対して占積率
で5〜60%含有するものである請求項1〜3のいずれ
かに記載の高強度鋼板。 - 【請求項5】 前記フェライトを全組織に対して占積率
で5%以上30%未満含有するものである請求項4に記
載の高強度鋼板。 - 【請求項6】 更に、質量%で、 Mo:1%以下 (0%を含まない), Ni:0.5%以下(0%を含まない), Cu:0.5%以下(0%を含まない), Cr:1%以下 (0%を含まない) の少なくとも一種を含有するものである請求項1〜5の
いずれかに記載の高強度鋼板。 - 【請求項7】 更に、質量%で、 Ti:0.1%以下(0%を含まない), Nb:0.1%以下(0%を含まない), V :0.1%以下(0%を含まない) の少なくとも一種を含有するものである請求項6に記載
の高強度鋼板。 - 【請求項8】 更に、質量%で、 Ca :30ppm以下(0ppmを含まない)、及び
/又は REM:30ppm以下(0ppmを含まない) を含有するものである請求項6または7に記載の高強度
鋼板。 - 【請求項9】 熱延工程、及び連続焼鈍工程またはめっ
き工程を施すことにより、請求項1〜8のいずれかに記
載の高強度鋼板を製造する方法であって、 該熱延工程は、(Ar3−50)℃以上の温度で仕上圧延
を終了する工程;及び10℃/s以上の平均冷却速度
で、Ms点以上Bs点以下まで冷却して巻取る工程を包
含し、 該連続焼鈍工程またはめっき工程は、A1点以上A3点以
下の温度で10〜600秒加熱保持する工程;3℃/s
以上の平均冷却速度で、300℃以上480℃以下の温
度まで冷却する工程;及び該温度域で1秒以上保持する
工程を包含することを特徴とする高強度鋼板の製造方
法。 - 【請求項10】 前記熱延工程は、 (Ar3−50)℃以上の温度で熱延を終了する工程;7
00±100℃の範囲の温度域まで、30℃/s以上の
平均冷却速度で冷却する工程;該温度域で空冷を1〜3
0秒間行う工程;空冷後、Ms点以上Bs点以下の温度
まで、30℃/s以上の平均冷却速度で冷却して巻取る
工程を包含するものである請求項9に記載の製造方法。 - 【請求項11】 前記連続焼鈍工程は、 A1点以上A3点以下の温度で10〜600秒加熱保持す
る工程;(A1点〜600℃)の温度まで、15℃/s
以下の平均冷却速度で冷却する工程;300℃以上48
0℃以下の温度まで、20℃/s以上の平均冷却速度で
冷却する工程;及び該温度域で1秒以上保持する工程を
包含するものである請求項9または10に記載の製造方
法。 - 【請求項12】 前記めっき工程の前に、下記関係式
(1)を満足する条件でFe系プレめっき処理する工程
を包含するものである請求項9〜11のいずれかに記載
の製造方法。 0.06W≦X … (1) [式中、Wは溶融Znめっきの付着量 (g/m2)、 XはFe系プレめっきの付着量(g/m2)を夫々意味
する] - 【請求項13】 熱延工程、冷延工程、第一の連続焼鈍
工程、及び第二の連続焼鈍工程またはめっき工程を施す
ことにより、請求項1〜8のいずれかに記載の高強度鋼
板を製造する方法であって、 該第一の連続焼鈍工程は、A1点以上A3点以下の温度で
加熱保持する工程;及び10℃/s以上の平均冷却速度
で、Ms点以上Bs点以下の温度まで冷却する工程を包
含し、 該第二の連続焼鈍工程またはめっき工程は、A1点以上
A3点以下の温度で10〜600秒加熱保持する工程;
3℃/s以上の平均冷却速度で、300℃以上480℃
以下の温度まで冷却する工程;及び該温度域で1秒以上
保持する工程を包含することを特徴とする高強度鋼板の
製造方法。 - 【請求項14】 前記第二の連続焼鈍工程は、 A1点以上A3点以下の温度で10〜600秒加熱保持す
る工程;(A1点〜600℃)の温度まで、15℃/s
以下の平均冷却速度で冷却する工程;300℃以上48
0℃以下の温度まで、20℃/s以上の平均冷却速度で
冷却する工程;及び該温度域で1秒以上保持する工程を
包含するものである請求項13に記載の製造方法。 - 【請求項15】 前記めっき工程の前に、下記関係式
(1)を満足する条件でFe系プレめっき処理する工程
を包含するものである請求項13または14に記載の製
造方法。 0.06W≦X … (1) [式中、Wは溶融Znめっきの付着量 (g/m2)、 XはFe系プレめっきの付着量(g/m2)を夫々意味
する]
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