JP2003170657A - インクジェット記録用シート - Google Patents

インクジェット記録用シート

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JP2003170657A
JP2003170657A JP2001373855A JP2001373855A JP2003170657A JP 2003170657 A JP2003170657 A JP 2003170657A JP 2001373855 A JP2001373855 A JP 2001373855A JP 2001373855 A JP2001373855 A JP 2001373855A JP 2003170657 A JP2003170657 A JP 2003170657A
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group
recording sheet
coating
coating liquid
ink jet
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JP2001373855A
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Tomoko Nishioka
朋子 西岡
Ryoichi Nakano
良一 中野
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Fujifilm Holdings Corp
Original Assignee
Fuji Photo Film Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ヒビ割れ等の発生がなく強固で、良好なイン
ク受容性能を維持しつつ、経時でのニジミがなく、高解
像度で、かつ耐光性、耐オゾン性などの画像耐性に優
れ、かつ紙面の着色等の発生がないインクジェット記録
用シートを提供する。 【解決手段】 下記一般式(1)で示される化合物、及
びその塩、並びにそれらの互変異性体の少なくとも1種
と、1級、2級、又は3級のアミノ基を有する有機媒染
剤と、を含有するインクジェット記録用シートである。 【化1】 (一般式(1)中、R1〜R6はそれぞれ独立に水素原
子、脂肪族基、芳香族基、複素環式基、R1112N−、
1314C=N−、R15−OCO−、R16−CO−、R
17−CS−、R18−SO2−、R1920N−CO−、R
2122N−CS−、R2324N−C(=NR25)−を示
し、R11〜R25はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基、
芳香族基、又は複素環式基を示す。)

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、水性インク(色材
として染料又は顔料を用いたもの)、油性インク等の液
状インクや、常温では固体であり、溶融液状化させて印
画に供する固体状インク等を用いたインクジェット記録
に適した被記録材に関し、詳しくは、インク受容性能に
優れたインクジェット記録用シートに関する。
【0002】
【従来の技術】近年、情報産業の急速な発展に伴い、種
々の情報処理システムが開発され、その情報システムに
適した記録方法および装置も開発され、各々実用化され
ている。上記記録方法の中で、インクジェット記録方法
は、多種の記録材料に記録可能なこと、ハード(装置)
が比較的安価であること、コンパクトであること、静粛
性に優れること等の点から、オフィスは勿論、いわゆる
ホームユースにおいても広く用いられてきている。
【0003】また、近年のインクジェットプリンタの高
解像度化に伴い、いわゆる写真ライクな高画質記録物を
得ることも可能になっており、このようなハード(装
置)の発展に伴って、インクジェット記録用の記録シー
トも各種開発されてきている。上記インクジェット記録
用の記録シートに要求される特性としては、一般的に、
(1)速乾性があること(インクの吸収速度が大きいこ
と)、(2)インクドットの径が適正で均一であること
(ニジミのないこと)、(3)粒状性が良好であるこ
と、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が
高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこ
と)、(7)印画部の耐光性、耐水性が良好なこと、
(8)記録シートの白色度が高いこと、(9)記録シー
トの保存性が良好なこと(長期保存で黄変着色を起こさ
ないこと)、(10)変形しにくく、寸法安定性が良好
であること(カールが十分小さいこと)、(11)ハー
ド走行性が良好であること等が挙げられる。更に、いわ
ゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的で用いられる
フォト光沢紙の用途としては、上記特性に加えて、光沢
性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い
等も要求される。
【0004】上記各特性の向上を目的として、近年では
色材受容層に多孔質構造を有するインクジェット記録用
シートが開発され実用化されている。該インクジェット
記録用シートは多孔質構造を有することで、インク吸収
性(速乾性)に優れ、高い光沢を有する。
【0005】ここで、特開平10−119423号公
報、同10−217601号公報等では、微細な無機顔
料粒子および水溶性樹脂を含有し、高い空隙率を持つ色
材受容層が支持体上に設けられたインクジェット記録用
シートが提案されている。これらの記録用シート、特
に、上記無機微粒子としてシリカを用いた多孔質構造か
らなる色材受容層を設けたインクジェット記録用シート
は、その構成によりインク吸収性に優れ、高解像度の画
像を形成しうる高いインク受容性能を有しかつ高光沢を
示す。しかし、印画後、高温高湿環境下に長時間保存さ
れると、色材受容層中で該溶媒が染料と共に拡散して、
経時による画像のニジミ(いわゆる「経時ニジミ」)を
生ずるといった問題がある。
【0006】また、空気中の微量ガス、特にオゾンは、
経時による記録画像の褪色の原因となる。多孔質構造の
色材受容層を有する記録材料は多くの空隙を有すること
から空気中のオゾンガスによって記録画像が褪色しやす
い。このため、上記多孔質構造の色材受容層を有する記
録材料にとって空気中のオゾンに対する耐性(耐オゾン
性)は非常に重要である。
【0007】かかるオゾンによる褪色を防止するため
に、特開平2000−177235号公報には、アルミ
ナ水和物を含む多孔質層に、MgイオンおよびSCNイ
オンを含有するインクジェット記録媒体が提案されてい
る。該インクジェット記録媒体は、MgイオンとSCN
イオンとを多孔質層に含有させることで、耐光性や耐オ
ゾン性を向上させている。しかし、上記インクジェット
記録媒体では、耐光性や耐オゾン性は向上するものの、
経時ニジミの発生を同時に防ぐことはできない。
【0008】また、特開平7−314882号公報に
は、ジオカルバミン酸塩、チウラム塩、チオシアン酸エ
ステル類、チオシアン酸塩、およびヒンダードアミン化
合物からなる群より選ばれた1種以上の化合物を含有す
る多孔質インク受理層を有する記録用シートが開示され
ている。上記ヒンダードアミン化合物の具体例として
は、ピペリジンの2位および6位における炭素上の全て
の水素が、メチル基で置換された構造を有するものが挙
げられており、この記録シートは、上記化合物を1種以
上含有することで、空気中の微量ガスによる記録画像の
褪色を防止している。しかし、上記記録シートでは経時
ニジミの発生を充分に抑制することができない。
【0009】また、特公平4−34953号公報、及び
特開平7−314883号公報には、耐性の向上を目的
として、特定のチオウレア化合物(本発明における一般
式(1)で表される化合物と異なる)を添加したインク
ジェット記録用シートが開示されている。また、前記特
公平4−34953号公報においては、好ましい形態と
して4級アンモニウム塩化合物(有機媒染剤)を併用し
た例が示されている。しかしながら、上記特定のチオウ
レア化合物を添加することや、4級アンモニウム塩化合
物を併用することでは、経時ニジミを十分に抑制するこ
とができず、また耐性向上の効果も十分であるとはいえ
ない。
【0010】更に、特開平2001−260519号公
報には、スルフィン酸化合物、チオスルフィン酸化合
物、及びチオスルホン酸化合物から選ばれる少なくとも
一種の化合物を含有する多孔質インク受像層を有する記
録シートが開示されている。そして、チオウレア化合
物、糖類、ピリジン系化合物、チオエーテル系化合物、
ジスルフィド系化合物、及びチアジン系化合物から選ば
れた少なくとも一つの化合物を上記化合物と組み合わせ
て含有させることで、画像保存性を改良している。しか
し、これらの組み合わせでは経時にじみの発生を抑制す
ることができない。また、実施例においては、4級アン
モニウム塩基を有する化合物を併用する場合が示されて
いるが、この場合には経時ニジミや耐光性、耐オゾン性
が悪化したり、十分な耐性向上の効果が発現されない。
【0011】一方、経時ニジミの発生を抑制し、耐オゾ
ン性を向上させることを目的として、特開昭64−36
479号公報、特開平1−97678号公報、特開平1
ー115677号公報、特開2000−26178号公
報には、チオエーテル系化合物を含有したインクジェッ
ト記録用媒体等が開示されている。しかし、いずれもチ
オエーテル系化合物の例示化合物が水不溶性であるた
め、塗布液に混入することが難しく、乳化物等として添
加せざるを得ない。このように、チオエーテル系化合物
を乳化物として添加すると、粒径が大きいことからイン
クジェット記録用媒体の光沢性が低下してしまう。ま
た、上記公報に記載のチオエーテル系化合物の多くは高
融点化合物であり、低温環境下、例えば、5℃以下の環
境下で1週間程度経過するとチオエーテル系化合物が記
録シート表面に析出するといった問題もある。
【0012】また、特開2000−255157号公
報、特開2000−255158号公報、及び特開20
00−255160号公報には、芳香環を有する還元剤
群から選ばれる化合物を少なくとも1種含有するインク
ジェット記録媒体について、記載されている。前記芳香
環を有する還元剤の具体例としては、ベンゼン核又はナ
フタレン核に、水酸基、アミノ基、モノアルキルアミノ
基等の官能基が2つ以上結合した化合物が挙げられてい
る。該記録媒体は、前記化合物を含有することで、記録
画像の画像保存性を向上させ、褪色を防止している。し
かしながら、これらのインクジェット記録用シート、及
びインクジェット記録用媒体においても、経時による記
録画像の褪色は防止できるものの、これらの添加剤に起
因すると思われる紙面の着色(白地部の変色)が発生す
るという問題点が残る。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】上述のように、色材受
容層が、ひび割れ等の発生がなく強固である一方、良好
なインク吸収性を有し高解像度な画像が形成できると共
に、その形成画像が耐光性、耐水性、耐経時ニジミ、光
沢性に優れるといったインク受容性能を備えながら、彩
色が鮮やかで高濃度のインクジェット記録画像をそのま
まの状態で長期間より安定に保存可能な画像保存性能を
備え、さらに、析出物の発生を防止したインクジェット
記録用シートは、未だ提供されていないのが現状であ
る。そこで本発明者は、上記問題点に鑑み鋭意研究した
結果、上記一般式(1)で示される特定の化合物を、ア
ンモニウム塩基を有する有機媒染剤ではなく、アミノ基
を有する有機媒染剤と組み合せた場合に上記諸問題を解
決可能なことを見出し本発明に到った。従って、本発明
は、ヒビ割れ等の発生がなく強固で、良好なインク受容
性能を維持しつつ、経時でのニジミがなく、高解像度
で、かつ耐光性、耐オゾン性などの画像耐性に優れ、か
つ紙面の着色等の発生がないインクジェット記録用シー
トを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
の手段は以下の通りである。 <1> 下記一般式(1)で示される化合物、及びその
塩、並びにそれらの互変異性体の少なくとも1種と、1
級、2級、又は3級のアミノ基を有する有機媒染剤(1
級、2級、及び3級のアミノ基の少なくとも1種を有す
る有機媒染剤)と、を含有することを特徴とするインク
ジェット記録用シートである。
【0015】
【化2】
【0016】一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R
5、及びR6はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基、芳香
族基、複素環式基、R1112N−、R1314C=N−、
15−OCO−、R16−CO−、R17−CS−、R18
SO2−、R1920N−CO−、R2122N−CS−、
2324N−C(=NR25)−を示し、R11〜R25はそ
れぞれ独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素
環式基を示す。 <2> 前記有機媒染剤が、ポリアリルアミン、ポリビ
ニルアミン、及びそれらの誘導体の少なくとも1種であ
る<1>に記載のインクジェット記録用シートである。
【0017】<3> ハロゲン化水素酸化合物、硫酸化
合物、硝酸化合物、リン酸化合物、スルホン酸化合物、
カルボン酸化合物、及び硼酸化合物からなる群より選ば
れる少なくとも一種の酸性化合物を含有する<1>又は
<2>に記載のインクジェット記録用シートである。 <4> 前記酸性化合物が有機酸化合物である<3>に
記載のインクジェット記録用シートである。 <5> 無機微粒子を含有する<1>〜<4>のいずれ
かに記載のインクジェット記録用シートである。 <6> 前記無機微粒子が、平均一次粒径が20nm以
下のシリカ微粒子、又は平均細孔半径が1〜10nmの
擬ベーマイトである<5>に記載のインクジェット記録
用シートである。
【0018】<7> 水溶性樹脂を含有した無機微粒子
分散液を塗工してなる色材受容層を有する<1>〜<6
>のいずれかに記載のインクジェット記録用シートであ
る。 <8> 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコール、又
はその誘導体である<7>に記載のインクジェット記録
用シートである。 <9> 前記色材受容層が、前記水溶性樹脂を架橋しう
る架橋剤を含む<7>又は<8>に記載のインクジェッ
ト記録用シートである。 <10> 前記架橋剤が、ホウ素化合物である<9>に
記載のインクジェット記録用シートである。 <11> 前記色材受容層が、空隙率50〜80%の三
次元網目構造を有し、前記水溶性樹脂(y)に対する無
機微粒子(x)の含有量が、質量比(x/y)で1.5
〜10である<7>〜<10>のいずれかに記載のイン
クジェット記録用シートである。
【0019】<12> 前記色材受容層が、支持体表面
に無機微粒子を含有する第一の塗布液を塗布し、(1)
該塗布と同時(2)該塗布によって形成される塗布層の
乾燥途中であって前記塗布層が減率乾燥を示す前、ある
いは(3)前記第一の塗布液を乾燥して塗膜を形成した
後、のいずれかに有機媒染剤を少なくとも含む第二の塗
布液を付与して得られる層であって、かつ、前記一般式
(1)で示される化合物、及びその塩、並びにそれらの
互変異性体の少なくとも1種を前記第一の塗布液、第二
の塗布液、並びに前記第一の塗布液及び第二の塗布液と
は別の第三の塗布液の少なくとも一つの塗布液に含有す
る<7>〜<11>のいずれかに記載のインクジェット
記録用シートである。 <13> 前記架橋剤を前記第一の塗布液、第二の塗布
液、第三の塗布液、及びこれらの塗布液とは別の第四の
塗布液の少なくとも一つの塗布液に含有する<12>に
記載のインクジェット記録用シートである。
【0020】
【発明の実施の形態】《インクジェット記録用シート》
本発明のインクジェット記録用シートは、下記一般式
(1)で示される化合物、及びその塩、並びにそれらの
互変異性体の少なくとも1種(以下、一般式(1)で示
される化合物類と称す。)と、1級、2級、又は3級の
アミノ基を有する有機媒染剤と、を含有してなり、必要
に応じて、酸性化合物、無機微粒子、水溶性樹脂、該水
溶性樹脂の架橋剤等を含有してもよい。本発明のインク
ジェット記録用シートは、支持体上に色材受容層を有す
る形態が好ましく、該色材受容層に上記各成分を含有す
ることが好ましい。
【0021】<色材受容層> (一般式(1)で示される化合物類)
【0022】
【化3】
【0023】一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R
5、及びR6はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基、芳香
族基、複素環式基、R1112N−、R1314C=N−、
15−OCO−、R16−CO−、R17−CS−、R18
SO2−、R1920N−CO−、R2122N−CS−、
2324N−C(=NR25)−を示し、R11〜R25はそ
れぞれ独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素
環式基を示す。
【0024】R1〜R6及びR11〜R25が脂肪族基を表す
場合、該脂肪族基としては、例えば、アルキル基、置換
アルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アルキ
ニル基、置換アルキニル基、アラルキル基、又は置換ア
ラルキル基等が挙げられ、中でも、アルキル基、置換ア
ルキル基、アルケニル基、置換アルケニル基、アラルキ
ル基、又は置換アラルキル基が好ましく、アルキル基、
置換アルキル基が特に好ましい。また、前記脂肪族基
は、環状脂肪族基でも鎖状脂肪族基でもよい。鎖状脂肪
族基は分岐を有していてもよい。
【0025】前記R1〜R6及びR11〜R25が脂肪族基を
表す場合のアルキル基としては、直鎖状、分岐状、環状
のアルキル基が挙げられ、該アルキル基の炭素原子数と
しては、1〜30が好ましく、1〜20がより好まし
い。置換アルキル基のアルキル部分の炭素原子数の好ま
しい範囲については、アルキル基の場合と同様である。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピ
ル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル
基、2−エチルヘキシル基、デシル基、ドデシル基、オ
クタデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、
ネオペンチル基、イソプロピル基、イソブチル基等が挙
げられる。
【0026】前記置換アルキル基の置換基としては、カ
ルボキシル基、スルホ基、シアノ基、ハロゲン原子(例
えば、フッ素原子、塩素原子、臭素原子)、ヒドロキシ
基、炭素数30以下のアルコキシカルボニル基(例え
ば、メトキシカルボニル基、エトキシカルボニル基、ベ
ンジルオキシカルボニル基)、炭素数30以下のアルキ
ルスルホニルアミノカルボニル基、アリールスルホニル
アミノカルボニル基、アルキルスルホニル基、アリール
スルホニル基、炭素数30以下のアシルアミノスルホニ
ル基、炭素数30以下のアルコキシ基(例えば、メトキ
シ基、エトキシ基、ベンジルオキシ基、フェノキシエト
キシ基、フェネチルオキシ基等)、炭素数30以下のア
ルキルチオ基(例えば、メチルチオ基、エチルチオ基、
ドデシルチオ基等)、炭素数30以下のアリールオキシ
基(例えば、フェノキシ基、p−トリルオキシ基、1−
ナフトキシ基、2−ナフトキシ基等)、ニトロ基、炭素
数30以下のアルキル基、アルコキシカルボニルオキシ
基、アリールオキシカルボニルオキシ基、
【0027】炭素数30以下のアシルオキシ基(例え
ば、アセチルオキシ基、プロピオニルオキシ基等)、炭
素数30以下のアシル基(例えば、アセチル基、プロピ
オニル基、ベンゾイル基等)、カルバモイル基(例え
ば、カルバモイル基、N,N−ジメチルカルバモイル
基、モルホリノカルボニル基、ピペリジノカルボニル基
等)、スルファモイル基(例えば、スルファモイル基、
N,N−ジメチルスルファモイル基、モルホリノスルホ
ニル基、ピペリジノスルホニル基等)、炭素数30以下
のアリール基(例えば、フェニル基、4−クロロフェニ
ル基、4−メチルフェニル基、α−ナフチル基等)、置
換アミノ基(例えば、アミノ基、アルキルアミノ基、ジ
アルキルアミノ基、アリールアミノ基、ジアリールアミ
ノ基、アシルアミノ基等)、置換ウレイド基、置換ホス
ホノ基、複素環基、アミド基、エーテル基等が挙げられ
る。ここで、カルボキシル基、スルホ基、ヒドロキシ
基、ホスホノ基は、塩の状態であってもよい。
【0028】その際、塩を形成するカチオンとしては、
有機カチオン性化合物、遷移金属配位錯体カチオン(特
許2791143号公報に記載の化合物等)又は金属カ
チオン(例えば、Na+、K+、Li+、Ag+、Fe2+
Fe3+、Cu+、Cu2+、Zn2+、Al3+、1/2Ca
2+等)が好ましい。前記有機カチオン性化合物として
は、例えば、4級アンモニウムカチオン、4級ピリジニ
ウムカチオン、4級キノリニウムカチオン、ホスホニウ
ムカチオン、ヨードニウムカチオン、スルホニウムカチ
オン、色素カチオン等が挙げられる。
【0029】前記4級アンモニウムカチオンとしては、
テトラアルキルアンモニウムカチオン(例えば、テトラ
メチルアンモニウムカチオン、テトラブチルアンモニウ
ムカチオン)、テトラアリールアンモニウムカチオン
(例えば、テトラフェニルアンモニウムカチオン)、ト
リエチルベンジルアンモニウムカチオン等が挙げられ
る。前記4級ピリジニウムカチオンとしては、N−アル
キルピリジニウムカチオン(例えば、N−メチルピリジ
ニウムカチオン)、N−アリールピリジニウムカチオン
(例えば、N−フェニルピリジニウムカチオン)、N−
アルコキシピリジニウムカチオン(例えば、4−フェニ
ル−N−メトキシ−ピリジニウムカチオン)、N−ベン
ゾイルピリジニウムカチオン等が挙げられる。前記4級
キノリニウムカチオンとしては、N−アルキルキノリニ
ウムカチオン(例えば、N−メチルキノリニウムカチオ
ン)、N−アリールキノリニウムカチオン(例えば、N
−フェニルキノリニウムカチオン)等が挙げられる。前
記ホスホニウムカチオンとしては、テトラアリールホス
ホニウムカチオン(例えば、テトラフェニルホスホニウ
ムカチオン)等が挙げられる。前記ヨードニウムカチオ
ンとしては、ジアリールヨードニウムカチオン(例え
ば、ジフェニルヨードニウムカチオン)等が挙げられ
る。前記スルホニウムカチオンとしては、トリアリール
スルホニウムカチオン(例えば、トリフェニルスルホニ
ウムカチオン)等が挙げられる。
【0030】更に、塩を形成するカチオンとして、特開
平9−188686号公報の段落[0020]〜[00
38]に記載の化合物等も挙げることができる。
【0031】上記に例示した各カチオン性化合物(例示
化合物)において、そのアルキル基としては、炭素数が
1〜30のアルキル基が好ましく、例えば、メチル基、
エチル基、プロピル基、イソプロピル基、ブチル基、ヘ
キシル基等の無置換アルキル基や、R1〜R6及びR11
25が表す前記置換アルキル基が好ましい。中でも特
に、炭素数1〜12のアルキル基が好ましい。また、上
記に例示した各カチオン性化合物において、そのアリー
ル基としては、例えば、フェニル基、ハロゲン原子(例
えば、塩素原子)置換フェニル基、アルキル(例えば、
メチル基)置換フェニル基、アルコキシ(例えば、メト
キシ基)置換フェニル基が好ましい。
【0032】前記R1〜R6及びR11〜R25が脂肪族基を
表す場合のアルケニル基としては、直鎖状、分岐状、環
状のアルケニル基が挙げられ、該アルケニル基の炭素原
子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好
ましい。また、該アルケニル基は、置換基を有する置換
アルケニル基、無置換のアルケニル基のいずれであって
もよく、置換アルケニル基のアルケニル部分の炭素原子
数の好ましい範囲はアルケニル基の場合と同様である。
前記置換アルケニル基の置換基としては、前記置換アル
キル基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0033】前記R1〜R6及びR11〜R25が脂肪族基を
表す場合のアルキニル基としては、直鎖状、分岐状、環
状のアルキニル基が挙げられ、該アルキニル基の炭素原
子数としては、2〜30が好ましく、2〜20がより好
ましい。また、該アルキニル基は、置換基を有する置換
アルキニル基、無置換のアルキニル基のいずれであって
もよく、置換アルキニル基のアルキニル部分の炭素原子
数の好ましい範囲はアルキニル基の場合と同様である。
置換アルキニル基の置換基としては、前記置換アルキル
基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0034】前記R1〜R6及びR11〜R25が脂肪族基を
表す場合のアラルキル基としては、直鎖状、分岐状、環
状のアラルキル基が挙げられ、該アラルキル基の炭素原
子数としては、7〜35が好ましく、7〜25がより好
ましい。また、該アラルキル基は、置換基を有する置換
アラルキル基、無置換のアラルキル基のいずれであって
もよく、置換アラルキル基のアラルキル部分の炭素原子
数の好ましい範囲はアラルキル基の場合と同様である。
置換アラルキル基の置換基としては、前記置換アルキル
基の場合と同様の置換基が挙げられる。
【0035】また、前記R1〜R6及びR11〜R25が芳香
族基を表す場合、該芳香族基としては、例えば、アリー
ル基、置換アリール基が挙げられる。アリール基の炭素
原子数としては、6〜30が好ましく、6〜20がより
好ましい。置換アリール基のアリール部分の好ましい炭
素原子数の範囲としては、アリール基と同様である。前
記アリール基としては、例えば、フェニル基、α−ナフ
チル基、β−ナフチル基等が挙げられる。置換アリール
基の置換基としては、前記置換アルキル基の場合と同様
の置換基が挙げられる。
【0036】また、前記R1〜R6及びR11〜R25が複素
環式基を表す場合、該複素環式基としては、N、O又は
Sを含む複素環式基、たとえば、フリル基、チエニル
基、ピリジル基、ピラゾリル基、イソオキサゾリル基、
イソチアゾリル基、イミダゾリル基、オキサゾリル基、
チアゾリル基、ピリダジル基、ピリミジル基、ピラジル
基、トリアゾリル基、テトラゾリル基、キノリル基、ベ
ンゾチアゾリル基、ベンゾオキサゾリル基、ベンゾイミ
ダゾリル基、イソキノリル基、チアジアゾリル基、モル
ホリノ基、ピペリジノ基、ピペラジノ基、インドリル
基、イソインドリル基等が挙げられる。これら複素環式
基は置換基を有していてもよい。置換複素環式基の置換
基としては、前記置換アルキル基の場合と同様の置換基
が挙げられる。
【0037】以下、本発明における一般式(1)で示さ
れる化合物の具体例を示す。
【0038】
【化4】
【0039】
【化5】
【0040】
【化6】
【0041】本発明においては、上述のように、これら
の化合物の塩や、これらの互変異性体構造で示される化
合物を含有してもよい。これらの化合物の塩としては、
各種の酸との塩が挙げられる。ここで使用することので
きる酸としては塩酸、硫酸、硝酸、リン酸、カルボン酸
(酢酸、プロピオン酸、(メタ)アクリル酸、安息香
酸、桂皮酸など)、スルホン酸(メタンスルホン酸、ベ
ンゼンスルホン酸、トルエンスルホン酸、スチレンスル
ホン酸など)などが挙げられる。本発明のインクジェッ
ト記録用シートにおいては、これらの化合物、及びその
塩、並びにそれらの互変異性体は、1種含有してもよい
し、2種以上含有してもよい。
【0042】一般式(1)で示される化合物類のインク
ジェット記録用シートにおける好ましい総含有量として
は、0.1〜5g/m2が好ましく、0.2〜3g/m2
が更に好ましい。総含有量が0.1g/m2以上である
ことによりインクジェット記録用シートにより十分な耐
光性、耐オゾン性を付与することができ、5g/m2
満であることによりこれらの化合物の析出を抑制して、
面状の悪化やインク吸収性の悪化をより十分に抑制する
ことができる。
【0043】(1級、2級、又は3級アミノ基を有する
有機媒染剤)1級、2級、又は3級アミノ基を有する化
合物(有機媒染剤)としては、ポリエチレンイミン、ポ
リビニルアミン、ポリアリルアミン、ポリ(ジアルキル
アミノエチル(メタ)アクリレート)、ポリ(ジアルキ
ルアミノエチル(メタ)アクリルアミド)、ポリ(ジア
ルキルアミノプロピル(メタ)アクリレート)、ポリ
(ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド)
や、これらの誘導体、その他の共重合可能なモノマーと
の共重合体が挙げられる。これらの中でも特にポリビニ
ルアミン、ポリアリルアミン、あるいはその誘導体が好
ましい。このような化合物としては、例えば下記構造式
(2)〜(4)で示される単位を有する化合物などが挙
げられる。
【0044】
【化7】
【0045】構造式中、R7a、R8a、R9aは水素、
あるいは置換基を有してもよい有機基、R11aは水素、
又はメチル基を、R12aはCOOR13a,CN,CON
13 14aを、R13a,R14aは水素、アルキル基
(分岐、環状構造でも良く、また不飽和結合、置換基を
有していてもよい)、アリール基(置換基を有してもよ
い)、アラルキル基(置換基を有してもよい)、nは0
又は1を表わす。ここで、有機基とは、炭化水素部位、
及び/又はハロゲン化水素部位を有する基であり、これ
以外に水素、炭素、窒素、酸素、硫黄、リン、ケイ素、
ホウ素、ハロゲンなどの元素、及び/又はこれらの組み
合わせからなる官能基を含んでいてもよい。このような
例としては、例えば、(置換)アルキル基、(置換)ア
ラルキル基、(置換)アリール基、(置換)アシル基、
(置換)スルホニル基、ヘテロ環類などが挙げられる。
【0046】R7a,R8a、及びR9aとしては、具体
的にはアルキル基(例えばメチル基、エチル基、n−プ
ロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル
基、sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル
基、シクロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘ
キシル基、n−デシル基、n−ドデシル基、オクタデシ
ル基、1,3−ブタジエニル基、1,3−ペンタジエニ
ル基など)、アラルキル基(例えばベンジル基、フェニ
ルエチル基、ビニルベンジル基、1−フェニルビニル
基、2−フェニルビニル基など)、アリール基(例えば
フェニル基、ナフチル基、トリル基、ビニルフェニル基
など)等が挙げられる。
【0047】R7a,R8a、及びR9aにおいて、置換
基を有するものとしては、フロロエチル基、トリフロロ
エチル基、メトキシエチル基、フェノキシエチル基、ヒ
ドロキシフェニルメチル基、クロロフェニル基、ジクロ
ロフェニル基、トリクロロフェニル基、ブロモフェニル
基、ヨードフェニル基、フロロフェニル基、ヒドロキシ
フェニル基、メトキシフェニル基、ヒドロキシフェニル
基、アセトキシフェニル基、シアノフェニル基等が挙げ
られる。R7a,R8a、及びR9aにおいて、置換基と
して−OH基を有するものとしては、
【0048】
【化8】
【0049】等が挙げられる。また、R7a,R8a、及
びR9aとしては、−CR21a22a−COOR
23a(R21a、R22a、R23aとしては例えばメチル
基、エチル基、ブチル基、ベンジル基、フェニル基な
ど。)、−CO―R24a―COOH(R24aとしては例
えば−CH2CH2−、−CH2CH2CH2−、−CH=
CH−、
【0050】
【化9】
【0051】)、−COR25a、−COOR26a、−C
ONHR27a、−CSNHR28a、−SO229a、−
P(=O)(OR30a2(R25a、R26a、R27a
28a、R29a、R30aとしては、例えばメチル基、エ
チル基、プロピル基、ブチル基、オクタデシル基、ベン
ジル基、フェニル基、−CH=CH−Phなどが挙げら
れる。)等が挙げられる。
【0052】また、前記構造式(4)中、R11aは水
素、又はメチル基を表す。前記構造式(4)中、R12a
はCOOR13a,CN,CONR13a14aを表し、R
13a,R14aは水素、アルキル基(分岐、環状構造でも
良く、また不飽和結合、置換基を有していてもよい)、
アリール基(置換基を有してもよい)、アラルキル基
(置換基を有してもよい)を示す。R13a,R14aの具
体例としては、水素、メチル基、エチル基、n−プロピ
ル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、
sec−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、シ
クロヘキシル基、n−オクチル基、2−エチルヘキシル
基、n−デシル基、n−ドデシル基、オクタデシル基、
アリル基、ベンジル基、フェニル基、ナフチル基、ビフ
ェニル基、1,1,1−トリフロロエチル基、2−ヒド
ロキシ−3−クロロプロピル基等が挙げられる。
【0053】ポリアリルアミン又はポリビニルアミンの
誘導体の構造は特に限定されず、得られた重合体は水溶
性、あるいは水と混和性の有機溶媒に可溶である方が好
ましいが、水分散性のラテックス粒子の形でも使用する
ことができる。ポリアリルアミンの誘導体、あるいはポ
リビニルアミンの誘導体は、それぞれ相当するモノマー
の重合によっても得られるが、例えばポリアリルアミ
ン、及び/又はポリビニルアミンの繰り返し単位を有す
る重合体の高分子反応によっても得られる。なお、一般
にアリル系のモノマーはその重合性が十分ではないこ
と、ビニルアミンの場合は相当するモノマーが無いので
その前駆体(例えばN−ビニルホルムアミド、N−ビニ
ルアセトアミドなど)を重合後に加水分解することなど
から、ポリアリルアミンの誘導体、あるいはポリビニル
アミンの誘導体の製造適性、合成上の自由度を考慮する
と、むしろ後者の高分子反応を利用する方が好ましい。
【0054】この高分子反応としてはポリアリルアミ
ン、及び/又はポリビニルアミンの繰り返し単位を有す
る重合体に対して、例えばハロゲン含有化合物、エポキ
シ含有化合物、酸無水物含有化合物、酸ハライド含有化
合物、イソシアネート含有化合物、チオイソシアネート
含有化合物、ハロギ酸エステル、アルデヒド含有化合
物、及びCH2=CR11a12aで示される化合物より
なる群から選ばれる化合物の何れか1種以上とを反応さ
せる方法がある。
【0055】このような化合物の具体例としては、下記
のようなものが挙げられる。ハロゲン含有化合物として
は、例えば、ヨードメタン、ブロモエタン、ブロモブタ
ン、ブロモオクタン、クロロオクタン、ブロモドデカ
ン、ベンジルブロミド、ベンジルクロリド、メトキシベ
ンジルクロリド、クロロギ酸プロピル、クロロギ酸ブチ
ル、クロロギ酸フェニルなどが挙げられる。但し、これ
らの化合物を反応させた場合にはアンモニウム塩が生じ
るので、これらの脱塩処理を行なう、あるいは変性率を
アミノ基の20mol%以下にするなどの対策が望まし
い。
【0056】エポキシ含有化合物としては、例えばブチ
レンオキシド、メチルグリシジルエーテル、フェニルグ
リシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、シクロ
ヘキセンオキシド、スチレンオキシド等が挙げられる。
酸無水物含有化合物としては、例えば無水酢酸、無水コ
ハク酸、無水マレイン酸、無水グルタル酸、無水フタル
酸、シクロヘキサンジカルボン酸無水物、シクロヘキセ
ンジカルボン酸無水物等が挙げられる。
【0057】酸ハライド含有化合物としては、例えば、
酢酸ハライド、(メタ)アクリル酸ハライド、ソルビン
酸ハライド、安息香酸ハライド、桂皮酸ハライド、吉草
酸ハライド、オレイン酸ハライド等が挙げられる。但
し、これらの化合物を反応させた場合にはアンモニウム
塩が生じるので、これらの脱塩処理を行なう、あるいは
変性率をアミノ基の20mol%以下にするなどの対策
が望ましい。
【0058】イソシアネート含有化合物としては、例え
ばブチルイソシアネート、シクロヘキシルイソシアネー
ト、フェニルイソシアネート等が挙げられる。チオイソ
シアネート含有化合物としては、例えばブチルチオイソ
シアネート、シクロヘキシルチオイソシアネート、フェ
ニルチオイソシアネート等が挙げられる。ハロギ酸エス
テル化合物としては、例えばクロロギ酸メチル、クロロ
ギ酸プロピル、クロロギ酸ブチル、クロロギ酸フェニル
等が挙げられる。但し、これらの化合物を反応させた場
合にはアンモニウム塩が生じるので、これらの脱塩処理
を行なう、あるいは変性率をアミノ基の20mol%以
下にするなどの対策が望ましい。
【0059】アルデヒド含有化合物としては、例えばア
セトアルデヒド、ブチルアルデヒド、ベンズアルデヒ
ド、サリチルアルデヒド、桂皮アルデヒド等が挙げられ
る。CH2=CR11a12aで示される化合物として
は、例えばアクリレート類(例えばメチルアクリレー
ト、エチルアクリレート、ブチルアクリレート、ヘキシ
ルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、シ
クロヘキシルアクリレート、ベンジルアクリレート、フ
ェニルアクリレートなど)、メタクリレート類(例えば
メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、ブチル
メタクリレート、ヘキシルメタクリレート、2−エチル
ヘキシルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレー
ト、ベンジルメタクリレート、フェニルメタクリレート
など)、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アク
リルアミド類(例えばアクリルアミド、ジメチルアクリ
ルアミド、i−プロピルアクリルアミド、t−ブチルア
クリルアミド、フェニルアクリルアミドなど)、メタク
リルアミド類(例えばメタクリルアミド、ジメチルメタ
クリルアミド、i−プロピルメタクリルアミド、t−ブ
チルメタクリルアミド、フェニルメタクリルアミドな
ど)等が挙げられる。
【0060】また、これら以外でもアミノ基と反応性を
有する化合物であれば特に限定はされず、前述の化合物
以外でもメチルエチルケトンなどのケトン類、ベンゼン
スルホン酸クロライドなどのスルホン酸ハライド類であ
ってもよい。これらの高分子反応の原料として用いるポ
リアリルアミン、及び/又はポリビニルアミンの繰り返
し単位を有する重合体としては、例えば実質的にポリア
リルアミン、ポリビニルアミン単位のみからなる重合体
が挙げられる。これらはポリアリルアミン、ポリビニル
アミンとして容易に入手が可能であるので、これらの化
合物を出発原料として用いることが製造適性の面から好
ましい。ポリアリルアミンはアリルアミン又はこれらの
塩の重合体の脱塩処理により得られる。また、ポリビニ
ルアミンはビニルアミンの前駆体(例えばN−ビニルホ
ルムアミド、N−ビニルアセトアミドなど)をモノマー
として重合したのちに加水分解などにより得られる。ま
た、構造式(2)〜(4)で示される繰り返し単位以外
に、本発明の効果を損なわない範囲でその他の共重合可
能なモノマーとの共重合体としてもよい。
【0061】これらの単位と共重合が可能な単位として
は、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例
えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸
エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリ
ル酸イソプロピル、(メタ)アクリル酸n−ブチル、
(メタ)アクリル酸イソブチル、(メタ)アクリル酸t
−ブチル、(メタ)アクリル酸ヘキシル、(メタ)アク
リル酸オクチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシ
ル、(メタ)アクリル酸ラウリル、(メタ)アクリル酸
ステアリルなどの(メタ)アクリル酸アルキルエステル
(アルキル基の炭素数が1〜18)など)、(メタ)ア
クリル酸シクロアルキルエステル((メタ)アクリル酸
シクロヘキシルなど)、(メタ)アクリル酸アリールエ
ステル((メタ)アクリル酸フェニルなど)、アラルキ
ルエステル((メタ)アクリル酸ベンジルなど)、置換
(メタ)アクリル酸アルキルエステル(例えば、(メ
タ)アクリル酸2−ヒドロキシエチルなど)、(メタ)
アクリアミド類(例えば、(メタ)アクリルアミド、ジ
メチ(メタ)アクリルアミドなど)、芳香族ビニル類
(スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレンな
ど)、ビニルエステル類(酢酸ビニル、プロピオン酸ビ
ニル、バーサチック酸ビニルなど)、アリルエステル類
(酢酸アリルなど)、ハロゲン含有単量体(塩化ビニリ
デン、塩化ビニルなど)、シアン化ビニル((メタ)ア
クリロニトリルなど)、オレフィン類(エチレン、プロ
ピレンなど)などの非イオン性単量体が挙げられる。
【0062】また、特にn=0で示される単位を有する
重合体はビニルアミンの重合ではなく通常はN−ビニル
ホルムアミド、N−ビニルアセトアミドなどの重合体を
加水分解させて得られることが多いので、これらの単位
が残存していてもよい。
【0063】また、塩基性の単位を有する単量体を用い
ることもできる。例えば、ジアルキルアミノエチル(メ
タ)アクリレート、ジアルキルアミノプロピル(メタ)
アクリレート、ジアルキルアミノエチル(メタ)アクリ
ルアミド、ジアルキルアミノプロピル(メタ)アクリル
アミド(これらに示したジアルキル基としてはジメチ
ル、ジエチル、ジブチル、メチルベンジル等が挙げられ
る)等を挙げることができる。これらの共重合可能な成
分は1種でも、又は2種以上組合せてもよい。また、共
重合体を用いる場合、その共重合体中のポリアリルアミ
ン、ポリビニルアミン、構造式(2)〜(4)で示され
る繰り返し単位の総含有率は、50mol%以上が好ま
しく、80mol%以上が更に好ましい。該総含有率が
50mol%以上であることにより、インク(染料)の
固着が十分となって、より十分な解像度、経時ニジミの
防止効果、耐光性、耐オゾン性を得ることができる。
【0064】この高分子反応は公知の方法を用いること
が可能であるが、一般的にはポリアリルアミン、ポリビ
ニルアミンの繰り返し単位を有する重合体と高分子反応
させる試薬とを溶媒中で混合し、必要に応じて触媒等を
併用して反応させる。反応に用いる溶媒は反応を大きく
阻害することが無ければ特に限定はされないが、水、メ
タノール、エタノール、アセトン、アセトニトリル、テ
トラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジメチルホ
ルムアミド、ジメチルアセトアミドなどやこれらの混合
溶媒系などが利用できる。中でも製造適性からは水、あ
るいはこれと混和性の有機溶媒との混合溶媒系などが好
ましい。但し、イソシアネートや酸ハライド類など水、
アルコール類との反応性も有する化合物を用いる場合に
はこれらに非活性な溶媒(例えばアセトン、アセトニト
リル、テトラヒドロフラン、ジメチルスルホキシド、ジ
メチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)を用
いる事が望ましい。
【0065】これらの1級、2級、又は3級アミノ基を
有する有機媒染剤、特に好ましい化合物であるポリアリ
ルアミン、ポリビニルアミン、あるいはそれらの誘導体
の分子量は、重量平均分子量として1000〜5000
00程度が好ましく、2000〜400000が更に好
ましい。分子量が1000以上であることにより、より
十分な耐水性を得ることができ、500000未満であ
ることにより粘度の過剰な上昇を抑制してハンドリング
適性をより良好にすることができる。
【0066】また、これらの1級、2級、又は3級のア
ミノ基を有する有機媒染剤、特に好ましい化合物である
ポリアリルアミン、ポリビニルアミン、あるいはそれら
の誘導体のインクジェット記録用シートにおける好まし
い総含有量としては、0.1〜5g/m2が好ましく、
0.2〜3g/m2が更に好ましい。総含有量が0.1
g/m2以上であることにより、経時ニジミをより十分
に抑制し、かつより十分な耐オゾン性を得ることがで
き、また、5g/m2未満であることにより、インク吸
収性の低下をより十分に抑制することができる。
【0067】また、これ以外に、インクジェット記録用
シートとしての特性を損なわない範囲で、硫酸アルミニ
ウム、塩化アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、塩化
マグネシウムなどの非ポリマー系の媒染剤を併用しても
よい。
【0068】(酸性化合物)本発明では、特に経時での
着色防止の観点から、一般式(1)で示される化合物類
及び、1級、2級、又は3級のアミノ基を有する有機媒
染剤に加えて、さらにハロゲン化水素酸化合物、硫酸化
合物、硝酸化合物、リン酸化合物、スルホン酸化合物、
カルボン酸化合物、及び硼酸化合物からなる群より選ば
れる少なくとも一種の酸性化合物を含有することが好ま
しい。酸の価数に制限はなく、多価の酸やポリマー酸で
もよい。また、これらの酸性化合物の含有量は、酸の種
類により異なり、膜面のpHが適当になるように量を調
節して用いることが好ましい。
【0069】また、これら酸性化合物は、塩の形で存在
していてもよい。このときのカチオンとしては、アルカ
リ金属イオンのような無機イオンでも、有機物イオンで
もよいが、有機物イオンであることが好ましい。塩を形
成する有機物としては、アンモニウム塩などの低分子化
合物のほか、ポリエチレンイミン、ポリジアリルアミ
ン、ポリアリルアミン等の1〜3級アミノ基を有するポ
リマーなどでもよい。
【0070】ハロゲン化水素酸化合物としては、例えば
フッ化水素酸、塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸又はそ
れらの塩が挙げられる。硫酸化合物としては、例えば、
硫酸、硫酸ナトリウム、硫酸アンモニウム、硫酸カルシ
ウム等が挙げられる。硝酸化合物としては、例えば、硝
酸、硝酸ナトリウム、硝酸アンモニウム、硝酸カルシウ
ム等が挙げられる。リン酸化合物としては、リン酸、リ
ン酸アンモニウム、リン酸マグネシウム、ポリリン酸等
が挙げられる。
【0071】スルホン酸化合物としては、メタンスルホ
ン酸、プロパンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−
トルエンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、スチレ
ンスルホン酸、ナフタレンスルホン酸、又はそれらの塩
等が挙げられる。カルボン酸化合物としては、例えば、
酢酸、プロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、(メ
タ)アクリル酸、安息香酸、桂皮酸又はそれらの塩が挙
げられる。硼酸化合物としては、硼酸、硼酸アンモニウ
ム、硼酸ナトリウム等が挙げられる。
【0072】前記酸性化合物は、一般式(1)で示され
る化合物類、及び/又は1級、2級若しくは3級アミノ
基を有する有機媒染剤を含有する塗布液(同じ液の場合
も、異なる液の場合もある)に別々に添加してもよい
し、あらかじめ一般式(1)で示される化合物類、及び
/又は1級、2級若しくは3級アミノ基を有する有機媒
染剤と酸性化合物を混合させてから塗布液に添加するな
ど塩の形で用いてもよい。また、それぞれを別の液で調
液し、別の塗布液として塗布してもよい。
【0073】本発明においては、にじみ防止の観点か
ら、これらの酸性化合物が特に有機酸であることが好ま
しい。有機酸とは、酸性を示す有機化合物を表し、例え
ばカルボン酸、スルホン酸が挙げられる。具体的にはス
ルホン酸化合物としては、メタンスルホン酸、プロパン
スルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホ
ン酸、p−トルエンスルホン酸、スチレンスルホン酸、
ナフタレンスルホン酸、又はそれらの塩等が挙げられ
る。
【0074】カルボン酸化合物としては、例えば、酢
酸、プロピオン酸、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、(メ
タ)アクリル酸、安息香酸、桂皮酸又はそれらの塩が挙
げられる。また、酸性化合物のインクジェット記録用シ
ートにおける好ましい総含有量としては、0.05〜5
g/m2が好ましく、0.1〜2g/m2が更に好まし
い。総含有量が0.05g/m2以上であることによ
り、経時での着色の発生を抑制することができ、5g/
2未満であることにより、経時ニジミを抑制し、イン
ク吸収性の悪化を防止することができる。
【0075】(無機微粒子)本発明のインクジェット記
録用シートにおいては、特にインク吸収性の観点から無
機微粒子を含有する態様、これから得られる多孔質状の
色材受容層を設ける態様が好ましい。
【0076】前記無機微粒子としては、例えば、シリカ
微粒子、コロイダルシリカ、二酸化チタン、硫酸バリウ
ム、珪酸カルシウム、ゼオライト、カオリナイト、ハロ
イサイト、雲母、タルク、炭酸カルシウム、炭酸マグネ
シウム、硫酸カルシウム、ベーマイト等を挙げることが
できる。中でも、シリカ微粒子が特に好ましい。
【0077】前記シリカ微粒子は、比表面積が特に大き
いので、インクの吸収と保持の効率が高く、その上、屈
折率が低いので、微細な粒子径まで分散をおこなえば、
色材受容層に透明性を付与でき、高い色濃度と良好な発
色性が得られる。色材受容層が透明であることは、OH
P等の透明性が必要とされる用途のみならず、フォト光
沢紙等の記録用シートに適用する場合でも、高い色濃度
と良好な発色性を得る観点から重要な特性である。
【0078】無機微粒子、特にシリカ微粒子の平均一次
粒子径は、20nm以下であることが好ましく、10n
m以下がより好ましく、3〜10nmが特に好ましい。
【0079】前記シリカ微粒子は、その表面にシラノー
ル基を有し、該シラノール基による水素結合によって、
微粒子同士が結び付く傾向がある。上記のように平均一
次粒子径が20nm以下の場合には、空隙率の大きい構
造を形成することができる。これにより、インク吸収特
性を顕著に向上させることができる。
【0080】尚、シリカ微粒子は、その製造法によっ
て、湿式法粒子と乾式法粒子とに大別される。該湿式法
では、ケイ酸塩の酸分解によって活性シリカを生成し、
これを適度に重合させ凝集沈降させて含水シリカを得る
方法が主流である。一方、前記乾式法は、ハロゲン化珪
素の高温気相加水分解による方法(火炎加水分解法)
や、ケイ砂とコークスとを電気炉中でアークによって加
熱還元気化し、これを空気で酸化する方法(アーク法)
によって無水シリカを得る方法が主流である。
【0081】上述の方法で得られる含水シリカ及び無水
シリカは、表面のシラノール基の密度、空孔の有無等に
相違があるため、それぞれ異なった性質を示す。特に、
無水シリカ(無水珪酸)は、空隙率が高い三次元構造を
形成しやすいため好ましい。この理由は明らかではない
が、含水シリカの場合には、微粒子表面におけるシラノ
ール基の密度が5〜8個/nm2と多く、シリカ微粒子
が密に凝集(アグリゲート)しやすい。一方、無水シリ
カの場合には、微粒子表面におけるシラノール基の密度
が2〜3個/nm2と適度に少ないため、疎な軟凝集
(フロキュレート)となり、その結果、空隙率が高い構
造になるものと推定される。
【0082】従って、本発明においては、微粒子表面に
おけるシラノール基の密度が2〜3個/nm2であるシ
リカ微粒子を用いることが好ましい。
【0083】また、前記無機微粒子としては、インクの
吸収性が良好であると共に、色素を選択的によく吸着す
るため、擬ベーマイト構造を有することが好ましい。こ
こで、擬ベーマイト構造とは、AlOOHの組成式で表
されるアルミナ水和物であり、擬ベーマイトからなる多
孔質層は、細孔構造を有する凝集体である。
【0084】擬ベーマイト多孔質層としては、その細孔
構造が実質的に半径が1〜10nmの細孔からなること
が好ましく、細孔容積が0.3〜1.0cc/gである
ことが、十分な吸収性を有しかつ透明性もあるので好ま
しい。この範囲の細孔構造を有する擬ベーマイト多孔質
層を用いれば、基材が透明である場合には、記録用シー
トも透明なものが得られる。基材が不透明である場合に
は、基材の質感を損なわずにインクの吸収性等の必要と
される物性を記録用シートに付与することが可能であ
る。また、擬ベーマイト多孔質層の平均細孔半径が3〜
7nmの範囲であればさらに好ましい。なお、細孔径分
布の測定は、窒素吸脱着法により測定される。
【0085】上記のような細孔構造を有する擬ベーマイ
ト多孔質層を作製するには、アルミニウムのアルコキシ
ドを加水分解して得たベーマイトゾルを用いるのが好ま
しい。擬ベーマイト多孔質層を基材上に塗布する手段と
しては、ベーマイトゾルに、好ましくはバインダーを加
えてスラリー状とし、ロールコーター、エアナイフコー
ター、ブレードコーター、ロッドコーター、バーコータ
ーなどを用いて基材上に塗布し、乾燥する方法を好まし
く採用できる。
【0086】多孔質層に用いられるバインダーとして
は、でんぷんやその変性物、ポリビニルアルコールおよ
びその変性物、SBR(ブタジエンスチレンゴム)ラテ
ックス、NBR(ブタジエンアクリロニトリルゴム)ラ
テックス、ヒドロキシセルロース、ポリビニルピロリド
ン等の有機物を用いることができる。バインダーの使用
量は、少ないと多孔質層の強度が不十分になるおそれが
あり、逆に多すぎるとインクの吸収量や色素の担持量が
低くなるおそれがあるので、無機粒子の5〜50質量%
程度が好ましい。
【0087】(水溶性樹脂)本発明のインクジェット記
録用シートにおいては、水溶性樹脂を含有した無機微粒
子分散液を塗工してなる色材受容層を有することが好ま
しい。前記水溶性樹脂としては、例えば、親水性構造単
位としてヒドロキシル基を有する樹脂である、ポリビニ
ルアルコール(PVA)、カチオン変性ポリビニルアル
コール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノー
ル変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、
セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチル
セルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(H
EC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)等〕、
キチン類、キトサン類、デンプン;エーテル結合を有す
る樹脂であるポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリ
プロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコ
ール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE);アミ
ド基又はアミド結合を有する樹脂であるポリアクリルア
ミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)等
が挙げられる。
【0088】また、解離性基としてカルボキシル基を有
する、ポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸
塩、ゼラチン類等も挙げることができる。これらの中で
も、特にポリビニルアルコール又はその誘導体が好まし
い。
【0089】水溶性樹脂の含有量としては、色材受容層
の全固形分質量に対して、9〜40質量%が好ましく、
16〜33質量%がより好ましい。水溶性樹脂の含有量
が、9〜40質量%の範囲内にあると、膜強度が強靭で
あるので、乾燥時でもひび割れの発生を防止し、かつ、
樹脂によって空隙が塞がりにくいため、空隙率の減少に
よるインク吸収性の低下を来すことがない。
【0090】本発明の色材受容層の主成分を構成する、
上記無機微粒子と上記水溶性樹脂とは、それぞれ単一素
材であってもよいし、複数の素材の混合系を使用しても
よい。
【0091】尚、透明性の観点から、シリカ微粒子に組
み合わされる前記水溶性樹脂の種類が重要となる。前記
無水シリカを用いる場合には、該水溶性樹脂としては、
ポリビニルアルコール(PVA)が好ましく、その中で
も、鹸化度70〜99%のPVAがより好ましく、鹸化
度70〜90%のPVAが特に好ましい。
【0092】前記ポリビニルアルコール(PVA)は、
その構造単位に水酸基を有するが、この水酸基と前記シ
リカ微粒子の表面シラノール基とが水素結合を形成する
ため、シリカ微粒子の二次粒子を網目鎖単位とした三次
元網目構造を形成しやすくなる。この三次元網目構造の
形成によって、空隙率が高く十分な強度のある多孔質構
造の色材受容層を形成できると考えられる。
【0093】インクジェット記録において、上述のよう
にして得られた多孔質の色材受容層は、毛細管現象によ
って急速にインクを吸収し、インク滲みの生じない真円
性の良好なドットを形成することができる。
【0094】−無機微粒子と水溶性樹脂との含有比−無
機微粒子(x)と水溶性樹脂(y)との質量含有比〔P
B比(x/y)〕は、前記色材受容層の膜構造及び膜強
度にも大きな影響を与える。即ち、質量含有比が大きく
なると、空隙率、細孔容積、表面積(単位質量当り)が
大きくなるが、密度や強度は低下する傾向にある。
【0095】本発明に係る色材受容層は、前記無機微粒
子(x)と前記水溶性樹脂(y)とを、質量比(x/
y)1.5〜10の範囲で構成成分として含む三次元網
目構造であることが好ましい。該質量比が1.5以上で
あることにより、樹脂によって空隙が塞がれることを抑
制してより高いインク吸収性を保持することができ、ま
た、10未満であることにより、膜強度の低下を防止し
て、乾燥時のひび割れをより十分に防止することができ
る。
【0096】インクジェットプリンタの搬送系を通過す
る場合、記録用シートに応力が加わることがあるので、
色材受容層には十分な膜強度を有していることが必要で
ある。又、シート状に裁断加工する場合、色材受容層の
割れ、剥がれ等を防止する上でも、色材受容層には十分
な膜強度を有していることが必要である。これらの場合
を考慮すると、前記質量比(x/y)としては、5以下
が好ましく、一方インクジェットプリンタで、高速イン
ク吸収性をも確保する観点からは、2以上であることが
好ましい。
【0097】例えば、平均一次粒子径が20nm以下の
無水シリカ微粒子と水溶性樹脂とを、質量比(x/y)
2〜5で水溶液中に完全に分散した塗布液を支持体上に
塗布し、該塗布層を乾燥した場合、シリカ微粒子の二次
粒子を網目鎖とする三次元網目構造が形成され、平均細
孔径が30nm以下、空隙率が50%〜80%、細孔比
容積0.5ml/g以上、比表面積が100m2/g以
上の、透光性の多孔質膜を容易に形成することができ
る。本発明のインクジェット記録用シートにおける色材
受容層は、好ましくは空隙率50〜80%の三次元網目
構造を有するため、インク吸収性を向上させることがで
きる。
【0098】(架橋剤)本発明のインクジェット記録用
シートにおける色材受容層は、例えば、前記無機微粒子
及び前記水溶性樹脂を含む塗布層(多孔質層)に、架橋
剤を含むことが好ましく、該架橋剤によって、前記水溶
性樹脂が架橋反応を起して、硬化した層となる。
【0099】水溶性樹脂を架橋させる上記架橋剤として
は、色材受容層に用いられる前記水溶性樹脂の架橋性と
の関係で、好適な物を適宜選択すればよいが、中でも、
該架橋反応が迅速である点から、ホウ素化合物が好まし
く、例えば、硼砂、ホウ酸、ホウ酸塩(例えば、オルト
ホウ酸塩、InBO3、ScBO3、YBO3、LaB
3、Mg3(BO32、Co3(BO32、二ホウ酸塩
(例えば、Mg225、Co225)、メタホウ酸塩
(例えば、LiBO2、Ca(BO22、NaBO 2、K
BO2)、四ホウ酸塩(例えば、Na247・10H2
O)、五ホウ酸塩(例えば、KB58・4H2O、Ca2
611・7H2O、CsB55)、グリオキザール、メ
ラミン・ホルムアルデヒド(例えば、メチロールメラミ
ン、アルキル化メチロールメラミン)、メチロール尿
素、レゾール樹脂、ポリイソシアネート、エポキシ樹脂
等を挙げることができる。中でも、速やかに架橋反応を
誘起させる点で、硼酸又は硼酸塩が好ましく、更に、水
溶性樹脂としてポリビニルアルコールと組合わせて使用
することが、特に好ましい。
【0100】前記水溶性樹脂としてゼラチンを用いる場
合には、ゼラチンの硬膜剤として知られている下記化合
物を架橋剤として用いることができる。例えば、ホルム
アルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等
のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジ
オン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿
素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5
−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン
・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスル
ホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノー
ル、N,N’−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタ
ミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ
−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル
尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロ
ール化合物;1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート
等のイソシアネート系化合物;米国特許明細書第301
7280号、同第2983611号に記載のアジリジン
系化合物;米国特許明細書第3100704号に記載の
カルボキシイミド系化合物;グリセロールトリグリシジ
ルエーテル等のエポキシ系化合物;1,6−ヘキサメチ
レン−N,N’−ビスエチレン尿素等のエチレンイミノ
系化合物;ムコクロル酸、ムコフェノキシクロル酸等の
ハロゲン化カルボキシアルデヒド系化合物;2,3−ジ
ヒドロキシジオキサン等のジオキサン系化合物;クロム
明ばん、カリ明ばん、硫酸ジルコニウム、酢酸クロム等
が挙げられる。尚、前記架橋剤は、1種単独でも、2種
以上を組合わせてもよい。なお、これらの硬膜剤は、前
記ゼラチン以外の水溶性樹脂の架橋剤としても使用する
ことができる。
【0101】前記架橋剤を添加した架橋剤含有溶液の付
与は、前記多孔質性の色材受容層を形成する色材受容層
用塗布液が塗布されるのと同時に、あるいは色材受容層
用塗布液を塗布して形成された塗布層が、減率乾燥速度
を示すようになる前に、行われることが好ましい。該付
与操作により、前記色材受容塗布層が乾燥する間に発生
し易いひび割れの発生を、効果的に防止することができ
る。即ち、前記色材受容層用塗布液が塗布されたと同時
に、あるいは色材受容塗布層が減率乾燥速度を示す前
に、前記架橋剤含有溶液が塗布層内に浸透し、塗布層内
の水溶性樹脂と速やかに反応して、水溶性樹脂をゲル化
(硬化)させることで、色材受容塗布層の膜強度が即時
に大幅に向上する。
【0102】インクジェット記録用シートにおける架橋
剤の含有量としては、架橋剤が0.01〜10g/m2
含有されていることが一般的であり、0.05〜5g/
2含有されていることが好ましい。
【0103】また、架橋剤含有溶液の付与後は、一般に
40〜180℃で0.5〜30分間加熱され、乾燥及び
硬化が行われる。中でも、40〜150℃で1〜20分
間加熱することが好ましい。
【0104】例えば、前記架橋剤含有溶液中に含有する
架橋剤として、硼砂やホウ酸を使用する場合には、60
〜100℃での加熱を5〜20分間おこなうことが好ま
しい。
【0105】架橋剤含有溶液は、架橋剤を水及び/又は
有機溶剤に溶解して調製するのが好ましい。架橋剤含有
溶液中の架橋剤の濃度としては、架橋剤含有溶液の固形
質量に対して、0.05〜10質量%が好ましく、0.
1〜7質量%がより好ましい。架橋剤含有溶液を構成す
る溶媒としては、一般に水が使用されるが、水と混和性
のある有機溶媒を含む水系混合溶媒であってもよい。
【0106】前記水と混和性のある有機溶剤としては、
架橋剤が溶解するものであれば任意に使用することがで
き、例えば、メタノール、エタノール、イソプロピルア
ルコール、グリセリン等のアルコール;アセトン、メチ
ルエチルケトン等のケトン;酢酸メチル、酢酸エチル等
のエステル;トルエン等の芳香族溶剤;テトラヒドロフ
ラン等のエーテル、及びジクロロメタン等のハロゲン化
炭素系溶剤等を挙げることができる。
【0107】(その他の添加剤)本発明のインクジェッ
ト記録用シートは、その他の必要に応じて、さらに下記
の成分等を含んでいてもよい。例えば、色材の劣化を抑
制する目的で、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重
項酸素クエンチャー等の耐光性向上剤を含んでいてもよ
い。
【0108】前記紫外線吸収剤としては、桂皮酸誘導
体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリルフェノ
ール誘導体等が挙げられる。例えば、α−シアノ−フェ
ニル桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリアゾールフェノー
ル、o−ベンゾトリアゾール−p−クロロフェノール、
o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−ブチルフェ
ノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−オ
クチルフェノール等が挙げられる。ヒンダートフェノー
ル化合物も紫外線吸収剤として使用でき、具体的には少
なくとも2位又は6位のうち1ヵ所以上が分岐アルキル
基で置換されたフェノール誘導体が好ましい。
【0109】また、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収
剤、サリチル酸系紫外線吸収剤、シアノアクリレート系
紫外線吸収剤、オキザリックアシッドアニリド系紫外線
吸収剤等も使用できる。これらは、例えば、特開昭47
−10537号公報、同58−111942号公報、同
58−212844号公報、同59−19945号公
報、同59−46646号公報、同59−109055
号公報、同63−53544号公報、特公昭36−10
466号公報、同42−26187号公報、同48−3
0492号公報、同48−31255号公報、同48−
41572号公報、同48−54965号公報、同50
−10726号公報、米国特許第2,719,086号
明細書、同3,707,375号明細書、同3,75
4,919号明細書、同4,220,711号明細書等
に記載されている。
【0110】蛍光増白剤も紫外線吸収剤として使用で
き、例えば、クマリン系蛍光増白剤等が挙げられる。具
体的には、特公昭45−4699号公報、同54−53
24号公報等に記載されている。
【0111】前記酸化防止剤としては、ヨーロッパ公開
特許第223739号公報、同309401号公報、同
309402号公報、同310551号公報、同第31
0552号公報、同第459416号公報、ドイツ公開
特許第3435443号公報、特開昭54−48535
号公報、同60−107384号公報、同60−107
383号公報、同60−125470号公報、同60−
125471号公報、同60−125472号公報、同
60−287485号公報、同60−287486号公
報、同60−287487号公報、同60−28748
8号公報、同61−160287号公報、同61−18
5483号公報、同61−211079号公報、同62
−146678号公報、同62−146680号公報、
同62−146679号公報、同62−282885号
公報、同62−262047号公報、同63−0511
74号公報、同63−89877号公報、同63−88
380号公報、同66−88381号公報、同63−1
13536号公報、
【0112】同63−163351号公報、同63−2
03372号公報、同63−224989号公報、同6
3−251282号公報、同63−267594号公
報、同63−182484号公報、特開平1−2392
82号公報、特開平2−262654号公報、同2−7
1262号公報、同3−121449号公報、同4−2
91685号公報、同4−291684号公報、同5−
61166号公報、同5−119449号公報、同5−
188687号公報、同5−188686号公報、同5
−110490号公報、同5−1108437号公報、
同5−170361号公報、特公昭48−43295号
公報、同48−33212号公報、米国特許第4814
262号明細書、同第4980275号明細書等に記載
のものが挙げられる。
【0113】具体的には、6−エトキシ−1−フェニル
−2,2,4−トリメチル−1,2−ジヒドロキノリ
ン、6−エトキシ−1−オクチル−2,2,4−トリメ
チル−1,2−ジヒドロキノリン、6−エトキシ−1−
フェニル−2,2,4−トリメチル−1,2,3,4−
テトラヒドロキノリン、6−エトキシ−1−オクチル−
2,2,4−トリメチル−1,2,3,4,−テトラヒ
ドロキノリン、シクロヘキサン酸ニッケル、2,2−ビ
ス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、1,1−ビス
(4−ヒドロキシフェニル)−2−エチルヘキサン、2
−メチル−4−メトキシ−ジフェニルアミン、1−メチ
ル−2−フェニルインドール等が挙げられる。
【0114】前記耐光性向上剤は、単独でも2種以上を
併用してもよい。この耐光性向上剤は、水溶性化、分
散、エマルション化してもよく、マイクロカプセル中に
含ませることもできる。上記耐光性向上剤の添加量とし
ては、色材受容層用塗布液の0.01〜10質量%が好
ましい。
【0115】また、無機微粒子の分散性を高める目的
で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等を
含んでいてもよい。更に、塗布適性や表面品質を高める
目的で、各種の界面活性剤を含んでいてもよく、表面の
摩擦帯電や剥離帯電を抑制する目的で、イオン導電性を
持つ界面活性剤や電子導電性を持つ金属酸化物微粒子を
含んでいてもよく、表面の摩擦特性を低減する目的で、
各種のマット剤を含んでいてもよい。
【0116】<支持体>本発明のインクジェット記録用
シートにおいて、支持体として使用できる材料として
は、プラスチック等の透明材料を用いてもよいし、紙等
の不透明な材料を用いてもよい。本発明では、色材受容
層の透明性を生かす上で、支持体は透明支持体、又は高
光沢の不透明支持体であることが好ましい。
【0117】前記透明支持体として使用できる材料とし
ては、透明でOHPあるいはバックライトディスプレイ
で使用される時の輻射熱に耐える性質を有する材料が好
ましい。このような材料としては、ポリエチレンテレフ
タレート等のポリエステル類、ニトロセルロース、セル
ロースアセテート、又はセルロースアセテートブチレー
ト等のセルロースエステル類、そしてポリスルホン、ポ
リフェニレンオキサイド、ポリイミド、ポリカーボネー
ト、ポリアミド等を挙げることができる。これらの中で
も、ポリエステル類が好ましく、ポリエチレンフタレー
トがより好ましい。前記透明支持体の厚さについては、
特に制限はないが、50〜200μmのものが取り扱い
やすいため好ましい。
【0118】前記高光沢の不透明支持体としては、色材
受容層が設けられる側の表面が40%以上の光沢度を有
するものが好ましい。前記光沢度は、JIS P−81
42(紙及び板紙の75度鏡面光沢度試験方法)に記載
の方法に従って測定することによって求められる値であ
る。
【0119】高光沢の不透明支持体の例としては、アー
ト紙、コート紙、キャストコート紙、銀塩写真用支持体
等に使用されるバライタ紙等の高光沢の紙、ポリエチレ
ンテレフタレー卜(PET)等のポリエステル類、ニト
ロセルロース、セルロースアセテート及びセルロースア
セテートブチレート等のセルロースエステル類、あるい
はポリスルホン、ポリフェニレンオキサイド、ポリイミ
ド、ポリカーボネート、又はポリアミド等のプラスチッ
クフィルムに白色顔料等を含有させて不透明にした高光
沢の(表面カレンダー処理等をおこなってもよい)フイ
ルム、あるいは上記各種紙、上記透明プラスチックフィ
ルム又は白色顔料等含有プラスチックフィルムの表面
に、白色顔料を含有するか、若しくは含有しないポリオ
レフィンの被覆層が設けられた支持体を挙げることがで
きる。さらに、白色顔料含有発泡ポリエステルフイルム
(例、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸によって
空隙を形成した発泡PET)も挙げることができる。
【0120】また、銀塩写真用支持体として一般的に使
用されているポリオレフィンコート紙(表面に白色顔料
含有ポリオレフィン層が設けられた紙支持体等)、ある
いは金属蒸着層等が設けられた特殊紙等を、好適に使用
することができる。特に白色顔料含有ポリオレフィン層
が設けられた銀塩写真用紙支持体、白色顔料含有ポリオ
レフィン層が設けられたポリエステル(好ましくはPE
T)フィルム、白色顔料含有ポリエステルフィルムある
いは白色顔料含有発泡ポリエステルフィルムが好まし
い。
【0121】前記不透明支持体の厚さは、特に制限はな
いが、50〜300μmのものが取り扱いやすく好まし
い。さらに、支持体としては、色材受容層との密着性を
付与するため、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎
処理、紫外線照射処理を施したものを使用してもよい。
【0122】《インクジェット記録用シートの作製》本
発明のインクジェット記録用シートは、例えば、支持体
表面に無機微粒子を含有する第一の塗布液を塗布し、
(1)該塗布と同時(2)該塗布によって形成される塗
布層の乾燥途中であって前記塗布層が減率乾燥を示す
前、あるいは(3)前記第一の塗布液を乾燥して塗膜を
形成した後、のいずれかに、有機媒染剤を少なくとも含
む第二の塗布液を付与することにより色材受容層を作製
して製造することが好ましい。この場合、一般式(1)
で示される化合物類を前記第一の塗布液、第二の塗布
液、並びに前記第一の塗布液及び第二の塗布液とは別の
第三の塗布液の少なくとも一つの塗布液に含有すること
が好ましく、第一の塗布液又は第二の塗布液に含有させ
ることが製造適性の点からより好ましい。なお、前記第
三の塗布液は、前記第二の塗布液を付与する前に付与し
てもよく、前記第二の塗布液を付与した後に付与しても
よい(後述する第四の塗布液も同様)。
【0123】また、前記架橋剤を前記第一の塗布液、第
二の塗布液、第三の塗布液、及びこれらの塗布液とは別
の第四の塗布液の少なくとも一つの塗布液に含有させる
ことが好ましい。特に、支持体表面に無機微粒子及び水
溶性樹脂を含有する第一の塗布液を塗布し、(1)該塗
布と同時(2)該塗布によって形成される塗布層の乾燥
途中であって前記塗布層が減率乾燥を示す前に、該塗布
層上に架橋剤を含有した第二の塗布液を付与して、水溶
性樹脂を架橋剤によって硬化させて色材受容層を作製す
ることが好ましく、(2)塗布によって形成される塗布
層の乾燥途中であって前記塗布層が減率乾燥を示す前
に、架橋剤を含有した第二の塗布液を付与して色材受容
層を作製することが更に好ましい。
【0124】上記のように、架橋剤と共に有機媒染剤を
同時塗布することによって、色材受容層の耐水性を向上
させることができる。即ち、前記有機媒染剤を第一の塗
布液に添加すると、シリカ等の表面にアニオン電荷を持
つ無基顔料微粒子との共存下では凝集を生ずる場合があ
るが、有機媒染剤を含む溶液と第一の塗布液とをそれぞ
れを独立に調製し、個々に塗布する方法を採用すれば、
無機微粒子の凝集を考慮する必要がなく、カチオン性媒
染剤の選択範囲が広がる。
【0125】また、本発明のインクジェット記録用シー
トの色材受容層は、無機微粒子を含む(第一の)塗布液
と、架橋剤を含む溶液とを、架橋剤と反応しない材料か
らなるバリアー液(但し、架橋剤を含む溶液若しくはバ
リアー液の少なくとも一方に媒染剤を含有させる。)を
挟んだ状態で支持体上に同時塗布し、硬化させることに
より得ることもできる。また、架橋剤を第一の塗布液中
に含有させ、乾燥による濃度上昇や第二の塗布液による
pHの変化やアミノ基を有する有機媒染剤の作用によっ
て架橋を進行させることも好ましい。
【0126】本発明において、無機微粒子と水溶性樹脂
とを少なくとも含んでなる色材受容層用の塗布液(第一
の塗布液)は、例えば、以下のようにして調製できる。
本発明において、無機微粒子を含有する塗布液は、例え
ば、以下のようにして調製できる。即ち、平均一次粒子
径20nm以下のシリカ微粒子を水中に添加して(例え
ば、10〜20質量%)、高速回転湿式コロイドミル
(例えば、クレアミックス(エム・テクニック(株)
製))を用いて、例えば10000rpm(好ましくは
5000〜20000rpm)の高速回転の条件で20
分間(好ましくは10〜30分間)分散させた後、ポリ
ビニルアルコール水溶液(例えば、シリカの1/3程度
の重量のPVAとなるように)を加え、更に上記と同じ
回転条件で分散をおこなうことにより調製することがで
きる。得られた塗布液は均一ゾルであり、これを下記塗
布方法で支持体上に塗布形成することにより、三次元網
目構造を有する多孔質性の色材受容層を形成することが
できる。
【0127】前記色材受容層用塗布液(第一の塗布液)
には、必要に応じて、更に界面活性剤、pH調整剤、帯
電防止剤等を添加することもできる。色材受容層用塗布
液の塗布は、例えば、エクストルージョンダイコータ、
エアードクターコータ、ブレッドコータ、ロッドコー
タ、ナイフコータ、スクイズコータ、リバースロールコ
ータ、バーコータ等の公知の塗布方法によって行うこと
ができる。
【0128】ここで、前記「塗布層が減率乾燥速度を示
すようになる前」とは、通常、色材受容層用塗布液の塗
布直後から数分間を指し、この間においては、塗布され
た塗布層中の溶剤の含有量が時間に比例して減少する現
象である恒率乾燥速度を示す。該恒率乾燥速度を示す時
間については、化学工学便覧(p.707〜712、丸
善(株)発行、昭和55年10月25日)に記載されて
いる。
【0129】上記の通り、第一の塗布液の塗布後、その
塗布層が減率乾燥速度を示すようになるまで乾燥される
が、該乾燥は一般に50〜180℃で0.5〜10分間
(好ましくは、0.5〜5分間)行われる。この乾燥時
間としては、当然塗布量により異なるが上記範囲が適当
である。
【0130】前記塗布層が減率乾燥速度を示すようにな
る前に付与する方法としては、(1)第二の塗布液を塗
布層上に更に塗布する方法、(2)スプレー等の方法に
より噴霧する方法、(3)第二の塗布液中に、該塗布層
が形成された支持体を浸漬する方法、等が挙げられる。
【0131】前記方法(1)において、第二の塗布液を
塗布する塗布方法としては、例えば、カーテンフローコ
ータ、エクストルージョンダイコータ、エアードクター
コータ、ブレッドコータ、ロッドコータ、ナイフコー
タ、スクイズコータ、リバースロールコータ、バーコー
タ等の公知の塗布方法を利用することができる。しか
し、エクストリュージョンダイコータ、カーテンフロー
コータ、バーコータ等のように、既に形成されている塗
布層にコータが直接接触しない方法を利用することが好
ましい。
【0132】また、第一の塗布液及び第二の塗布液を、
該第一の塗布液が支持体と接触するようにして支持体上
に同時塗布(重層塗布)し、その後乾燥硬化させること
により色材受容層を形成する場合において、前記同時塗
布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコ
ータ、カーテンフローコータを用いた塗布方法により行
うことができる。同時塗布の後、形成された塗布層は乾
燥されるが、この場合の乾燥は、一般に塗布層を40〜
150℃で0.5〜10分間加熱することにより行わ
れ、好ましくは、40〜100℃で0.5〜5分間加熱
することにより行われる。
【0133】前記同時塗布(重層塗布)を、例えば、エ
クストルージョンダイコータにより行った場合、同時に
吐出される二種の塗布液は、エクストルージョンダイコ
ータの吐出口附近で、即ち、支持体上に移る前に重層形
成され、その状態で支持体上に重層塗布される。例え
ば、第二の塗布液が架橋剤を含有する場合、塗布前に重
層された二層の塗布液は、支持体に移る際、既に二液の
界面で架橋反応を生じ易いことから、エクストルージョ
ンダイコータの吐出口付近では、吐出される二液が混合
して増粘し易くなり、塗布操作に支障を来す場合があ
る。従って、上記のように同時塗布する際は、第一の塗
布液及び第二の塗布液の塗布と共に、更に架橋剤と反応
しない材料からなるバリアー層液(中間層液)を上記二
液間に介在させて同時三重層塗布することが好ましい。
【0134】前記バリアー層液は、架橋剤と反応せず液
膜を形成できるものであれば、特に制限なく選択でき
る。例えば、架橋剤と反応しない水溶性樹脂を微量含む
水溶液や、水などを挙げることができる。前記水溶性樹
脂としては、増粘剤等の目的で、塗布性を考慮して使用
されるもので、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセル
ロ−ス、メチルセルロ−ス、ヒドロキシエチルメチルセ
ルロ−ス、ポリビニルピロリドン、ゼラチン等のポリマ
ーが好適に挙げられる。
【0135】支持体上に色材受容層を形成した後、該色
材受容層は、例えば、スーパーカレンダ、グロスカレン
ダなどを用い、加熱加圧下にロールニップ間を通してカ
レンダー処理を施すことにより、表面平滑性、光沢度、
透明性及び塗膜強度を向上させることが可能である。し
かしながら、該カレンダー処理は、空隙率を低下させる
要因となることがあるため(即ち、インク吸収性が低下
することがあるため)、空隙率の低下が少ない条件を設
定して行う必要がある。
【0136】カレンダー処理を行う場合のロール温度と
しては、30〜150℃が好ましく、40〜100℃が
より好ましい。また、カレンダー処理時のロール間の線
圧としては、50〜400kg/cmが好ましく、10
0〜200kg/cmがより好ましい。
【0137】前記色材受容層の層厚としては、インクジ
ェット記録の場合では、液滴を全て吸収するだけの吸収
容量をもつ必要があるため、層中の空隙率との関連で決
定する必要がある。例えば、インク量が8nL/mm2
で、空隙率が60%の場合であれば、層厚が約15μm
以上の膜が必要となる。
【0138】この点を考慮すると、インクジェット記録
の場合には、色材受容層の層厚としては、10〜50μ
mが好ましい。また、色材受容層の細孔径は、メジアン
径で0.005〜0.030μmが好ましく、0.01
〜0.025μmがより好ましい。上記空隙率及び細孔
メジアン径は、水銀ポロシメーター(商品名:ボアサイ
ザー9320−PC2、(株)島津製作所製)を用いて
測定することができる。
【0139】また、色材受容層は、透明性に優れている
ことが好ましいが、その目安としては、色材受容層を透
明フィルム支持体上に形成したときのヘイズ値が、30
%以下であることが好ましく、20%以下であることが
より好ましい。上記ヘイズ値は、ヘイズメーター(HG
M−2DP:スガ試験機(株))を用いて測定すること
ができる。
【0140】支持体上には、前記色材受容層と支持体と
の間の接着性を高め、電気抵抗を調整する等の目的で、
下塗層を設けてもよい。
【0141】尚、前記色材受容層は、支持体の片面のみ
に設けてもよいし、カール等の変形を抑制する等の目的
で、支持体の両面に設けてもよい。OHP等で用いる場
合であって、前記色材受容層を支持体の片面のみに設け
る場合は、その反対側の表面、あるいはその両面に、光
透過性を高める目的で反射防止膜を設けることもでき
る。
【0142】また、前記色材受容層が形成される側の支
持体の表面に、ホウ酸又はホウ素化合物が塗工し、該表
面に色材受容層を形成することにより、色材受容層の光
沢性、表面平滑性を確保し、かつ高温高湿環境下におけ
る、印画後の画像の経時ニジミを抑制することができ
る。
【0143】
【実施例】以下、実施例により本発明を説明するが、本
発明はこれらの実施例に限定されるものではない。尚、
実施例中の「部」および「%」は、特に指定しない限り
「質量部」および「質量%」を表し、「WM」に続く数
字は「重量平均分子量」を表し、「重合度」は「重量平
均重合度」を表す。
【0144】[実施例1] −支持体の作製− LBKP100部からなる木材パルプをダブルディスク
リファイナーによりカナディアンフリーネス300ml
まで叩解し、エポキシ化ベヘン酸アミド0.5部、アニ
オンポリアクリルアミド1.0部、ポリアミドポリアミ
ンエピクロルヒドリン0.1部、カチオンポリアクリル
アミド0.5部を、いずれもパルプに対する絶乾質量比
で添加し、長網抄紙機により秤量し170g/m2の原
紙を抄造した。
【0145】上記原紙の表面サイズを調整するため、ポ
リビニルアルコール4%水溶液に蛍光増白剤(Whit
ex BB,住友化学工業(株)製)を0.04%添加
し、これを絶乾質量換算で0.5g/m2となるように
上記原紙に含浸させ、乾燥した後、さらにキャレンダー
処理を施して密度1.05に調整された基紙を得た。
【0146】得られた基紙のワイヤー面(裏面)側にコ
ロナ放電処理をおこなった後、溶融押出機を用いて高密
度ポリエチレンを厚さ19μmとなるようにコーティン
グし、マット面からなる樹脂層を形成した(以下、樹脂
層面を「裏面」と称する。)。この裏面側の樹脂層にさ
らにコロナ放電処理を施し、その後、帯電防止剤とし
て、酸化アルミニウム(アルミナゾル100、日産化学
工業(株)製)と二酸化ケイ素(スノーテックスO、日
産化学工業(株)製)とを1:2の比(質量比)で水に
分散した分散液を、乾燥質量が0.2g/m2となるよ
うに塗布した。
【0147】更に、樹脂層の設けられていない側のフェ
ルト面(表面)側にコロナ放電処理を施した後、アナタ
ーゼ型二酸化チタン10%、微量の群青、および蛍光増
白剤0.01%(対ポリエチレン)を含有する、MFR
(メルトフローレート)3.8の低密度ポリエチレン
を、溶融押出機を用いて、厚み29μmとなるように溶
融押し出しし、高光沢な熱可塑性樹脂層を基紙の表面側
に形成し(以下、この高光沢面を「オモテ面」と称す
る。)、支持体とした。
【0148】−色材受容層用塗布液A(第一の塗布液)
の調製− 下記組成中の(1)気相法シリカ微粒子、(2)イオン
交換水を混合し、高速回転式コロイドミル(クレアミッ
クス、エム・テクニック(株)製)を用いて、回転数1
0000rpmで20分間分散させた後、下記(3)ポ
リオキシエチレンラウリルエーテル、(4)アンモニア
水、(5)ポリビニルアルコール9%水溶液を加え、更
に上記と同一条件で分散をおこない、色材受容層用塗布
液Aを調製した。シリカ微粒子と水溶性樹脂との質量比
(PB比/(1):(5))は、3.5:1であり、色
材受容層用塗布液AのpHは9.5であり、アルカリ性
を示した。
【0149】 〔色材受容層用塗布液Aの組成〕 (1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) 9.9部 (平均一次粒子径7nm;アエロジル300、日本アエロジル(株)製) (2)イオン交換水 72.6部 (3)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) 7.2部 (エマルゲン109P(10%)、花王(株)製、HLB値13.6) (4)17g/lアンモニア水溶液(pH調整剤) 5.3部 (5)ポリビニルアルコール9%水溶液(水溶性樹脂) 31.4部 (PVA420、(株)クラレ製、鹸化度81.8%、重合度2000)
【0150】−インクジェット記録用シートの作製− 上記支持体のオモテ面にコロナ放電処理をおこなった
後、上記から得た色材受容層用塗布液Aを、支持体のオ
モテ面にエクストルージョンダイコーターを用いて20
0ml/m2の塗布量で塗布し(塗布工程)、熱風乾燥
機にて80℃(風速3〜8m/sec)で塗布層の固形
分濃度が20%になるまで乾燥させた。塗布層は、この
期間恒率乾燥速度を示した。その直後、下記組成の有機
媒染剤溶液B(第二の塗布液)に30秒浸漬して該塗布
層上にその20g/m2を付着させ、更に80℃下で1
0分間乾燥させた(乾燥工程)。これより、乾燥膜厚3
2μmの色材受容層が設けられた、本発明のインクジェ
ット記録用シート(1)を作製した。
【0151】 〔有機媒染剤溶液Bの組成〕 ・硼酸(6%;架橋剤) 25部 ・ポリアリルアミン PAS−F5000(20%)水溶液 9.00部 重量平均分子量5000(有機媒染剤;日東紡(株)製) ・イオン交換水 62.13部 ・アンモニア水溶液(25%;pH調整剤) 1.67部 ・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) 2.0部 (エマルゲン109P(10%)、花王(株)製、HLB値13.6) ・グアニルチオウレア(一般式(1)で示される化合物) 2.5部
【0152】[実施例2] −色材受容層用塗布液C(第一の塗布液)の調製− 下記組成中の(1)〜(3)を混合し、高速回転式コロ
イドミル(クレアミックス、エム・テクニック(株)
製)を用いて、回転数10000rpmで20分間分散
させた後、下記(4)〜(6)を含む溶液を加え、更に
回転数10000rpmで20分間再分散をおこない、
色材受容層用塗布液Cを調製した。シリカ微粒子と水溶
性樹脂との質量比(PB比/(1):(4))は、4.
5:1であり、色材受容層用塗布液CのpHは3.5で
あり、酸性を示した。
【0153】 〔色材受容層用塗布液Cの組成〕 (1)気相法シリカ微粒子(無機微粒子) 10.0部 (平均一次粒子径7nm;レオシールQS30、(株)トクヤマ製) (2)イオン交換水 51.7部 (3)PAS−M−1(分散剤;日東紡(株)製) 5.0部 (4)ポリビニルアルコール8%水溶液(水溶性樹脂) 27.8部 (PVA124、(株)クラレ製、鹸化度98.5%、重合度2400) (5)ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) 1.2部 (エマルゲン109P(10%)、花王(株)製、HLB値13.6) (6)イオン交換水 30.74部
【0154】−インクジェット記録用シートの作製− 上記支持体のオモテ面にコロナ放電処理をおこなった
後、上記から得た色材受容層用塗布液Cを、支持体のオ
モテ面にエクストルージョンダイコーターを用いて20
0ml/m2の塗布量で塗布し(塗布工程)、熱風乾燥
機にて80℃(風速3〜8m/sec)で塗布層の固形
分濃度が20%になるまで乾燥させた。塗布層は、この
期間恒率乾燥速度を示した。その直後、下記組成の有機
媒染剤溶液D(第二の塗布液)に30秒浸漬して該塗布
層上にその20g/m2を付着させ、更に80℃下で1
0分間乾燥させた(乾燥工程)。これより、乾燥膜厚3
2μmの色材受容層が設けられた、本発明のインクジェ
ット記録用シート(2)を作製した。
【0155】 〔有機媒染剤溶液Dの組成〕 ・硼酸(6%;架橋剤) 25部 ・ポリアリルアミン PAA−10C(10%)水溶液 25部 (重量平均分子量15000)(有機媒染剤;日東紡(株)製) ・イオン交換水 47.8部 ・ポリオキシエチレンラウリルエーテル(界面活性剤) 2部 (エマルゲン109P(10%)、花王(株)製、HLB値13.6) ・グアニルチオウレア(一般式(1)で表される化合物) 2.5部
【0156】[実施例3]実施例2における色材受容層
用塗布液Cに更に塩酸2.5部を添加する以外は実施例
2と同様にして本発明のインクジェット記録用シート
(3)を作製した。 [実施例4]実施例2における色材受容層用塗布液Cに
更にp−トルエンスルホン酸2.5部を添加する以外は
実施例2と同様にして本発明のインクジェット記録用シ
ート(4)を作製した。
【0157】[実施例5]実施例2における色材受容層
用塗布液Cに更に乳酸2.5部を添加する以外は実施例
2と同様にして本発明のインクジェット記録用シート
(5)を作製した。 [実施例6]実施例5におけるグアニルチオウレアを下
記化合物に変更する以外は実施例5と同様にして本発明
のインクジェット記録用シート(6)を作製した。
【0158】
【化10】
【0159】[実施例7]実施例5におけるポリアリル
アミン PAA−10C(10%)水溶液を下記合成例
1に示すポリアリルアミン誘導体1の10質量%水溶液
に変更する以外は実施例5と同様にして本発明のインク
ジェット記録用シート(7)を作製した。 <合成例1>ポリアリルアミン(PAA―10C 10
質量%水溶液)の10質量%水溶液114.0部にアク
リロニトリル2.7部、ハイドロキノンモノメチルエー
テル0.1部を加え、室温で8時間加熱攪拌し、水を添
加して濃度調整することでポリアリルアミン誘導体1
(ポリアリルアミンのアミノ基の一部をシアノエチル化
した化合物)の10質量%水溶液を得た。
【0160】[実施例8]実施例5における有機媒染剤
溶液Dにおいて、ポリアリルアミン PAA−10C
(10%)水溶液をポリビニルアミン(重量平均分子量
70000)の10質量%水溶液に変更する以外は実施
例5と同様にして本発明のインクジェット記録用シート
(8)を作製した。
【0161】[比較例1]実施例2の色材受容層用塗布
液Cにおいて、グアニルチオウレア(一般式(1)で示
される化合物)をハイドロキノンに変更した以外は実施
例2と同様にして比較例のインクジェット記録用シート
(1)を作製した。 [比較例2]実施例2の色材受容層用塗布液Cにおい
て、グアニルチオウレア(一般式(1)で示される化合
物)をp−フェニレンジアミンに変更した以外は実施例
2と同様にして比較例のインクジェット記録用シート
(2)を作製した。
【0162】[比較例3]実施例2の有機媒染剤溶液D
において、ポリアリルアミン PAA−10C(10
%)水溶液25部をポリ(N−(ビニルベンジル)トリ
エチルアンモニウムクロリド)の10%水溶液25部に
変更する以外は実施例2と同様にして比較例のインクジ
ェット記録用シート(3)を作製した。 [比較例4]実施例2の有機媒染剤溶液Dにおいて、ポ
リアリルアミン PAA−10C(10%)水溶液25
部をジアリルアミン塩酸塩/二酸化イオウ共重合体(P
AS−92 日東紡(株)製)の20%水溶液12.5
部に変更し、イオン交換水47.8部を60.3部に変
更する以外は実施例2と同様にして比較例のインクジェ
ット記録用シート(4)を作製した。
【0163】[比較例5]比較例4の色材受容層用塗布
液Cにおいて、グアニルチオウレア(一般式(1)で示
される化合物)をチオウレアに変更する以外は比較例4
と同様にして比較例のインクジェット記録用シート
(5)を作製した。 [比較例6]実施例2の色材受容層用塗布液Cにおい
て、グアニルチオウレア(一般式(1)で示される化合
物)を用いない以外は実施例2と同様にして比較例のイ
ンクジェット記録用シート(6)を作製した。
【0164】<測定及び評価> (インク吸収速度)インクジェットプリンタ(セイコー
エプソン(株)製のPM−770C)を用いて、インク
ジェット記録用シートに、Y(黄)、M(マゼンタ)、
C(シアン)、K(黒)、B(青)、G(緑)及びR
(赤)のベタ画像を印字し、その直後に(約10秒
後)、該画像上に紙を接触押圧し、インクの紙への転写
の有無を下記の基準に従って評価した。 〔基準〕 AA:紙上へのインクの転写は全く認められなかった。
(インク吸収速度が良好な事を示す。) CC:紙上へのインクの転写が一部認められた。
【0165】(耐光性)前記と同じプリンタを用いて、
Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K(黒)、
B(青)、G(緑)及びR(赤)のベタ画像を印字した
後、365nm以下の波長領域の紫外線をカットするフ
ィルムを通し、25℃で相対湿度32%の環境条件下
で、Xenon weather−ometer Ci
65A(ATLAS社製)で3.8時間ランプを点灯
し、その後、ランプを消した状態で、さらに20℃で相
対湿度91%の環境条件下に1時間放置するというサイ
クルを96時間行い、画像における各色濃度の褪色の程
度を、目視により下記基準に従って評価した。 〔基準〕 ◎:ほとんど褪色は認められなかった。 O:僅かに褪色が認められた。 △:かなりの褪色が認められた。 ×:褪色の程度が著しかった。
【0166】(オゾン褪色試験)前記と同じプリンタを
用いて、Y(黄)、M(マゼンタ)、C(シアン)、K
(黒)、B(青)、G(緑)及びR(赤)のベタ画像を
印字し、さらに人物及び風景の画像を印画し、3ppm
のオゾン雰囲気下で8時間放置した後、各画像における
各色の彩色及び濃度の褪色の程度を、目視により下記基
準に従って評価した。 〔基準〕 ◎:ほとんど褪色は認められなかった。 O:僅かに褪色が認められた。 △:かなりの褪色が認められた。 ×:褪色の程度が著しかった。
【0167】(経時ニジミ)前記と同じプリンタを用い
て、インクジェット記録用シート上にマゼンタインクと
ブラックインクとを隣り合わせにした格子状の線状パタ
ーン(線幅0.28mm)を印画した。印画後3時間放
置した後、40℃で相対湿度90%の恒温恒湿槽に3日
間保管した後、光学顕微鏡によってブラック部分の線幅
を測定し、下記の基準に従って評価した。 〔基準〕 AA:経時ニジミの発生はほとんど認められず、良好で
あった。(線幅:0.28〜0.30mm) BB:若干の経時ニジミが認められたが、実用上問題な
いレベルであった。(線幅:0.31〜0.35mm) CC:経時ニジミが顕著に認められ、実用上問題となる
レベルであった。(線幅:0.35mm以上)
【0168】(着色)印画前のインクジェット記録用シ
ートを、色材受容層の白色度を目視で観察し、下記の基
準に従って評価した。 ○:色材受容層の着色は認められなかった。 △:僅かに色材受容層の着色が認められた。 ×:色材受容層の着色が著しかった。
【0169】(保管後の着色)印画後のインクジェット
記録用シートをファイルに入れ、三日間サーモ処理を行
った後、常温常湿下(23℃、65%)三日間放置し
た。上記処理を行った紙面の白色度を目視で観察し、下
記の基準に従って評価した。 ○:色材受容層の着色は認められなかった。 △:僅かに色材受容層の着色が認められた。 ×:色材受容層の着色が著しかった。 以上の結果を下記表1に示す。
【0170】
【表1】
【0171】上記表の結果から、実施例1〜8において
は、良好なインク吸収性を示し、形成された画像も高い
耐光性、耐オゾン性を示した。また、酸性化合物を含有
した実施例3〜8は経時ニジミ、耐光性、耐オゾン性な
どを損ねることなくファイル保管後においても着色が全
くなく、非常に良好な性能を示した。一方、比較例1や
比較例2は耐オゾン性は良好なものの、紙面が着色し、
実用可能な受像紙を得ることができなかった。また比較
例3〜5では耐光性、耐オゾン性の向上効果や経時ニジ
ミが実施例に比べて劣った。
【0172】
【発明の効果】本発明によれば、ヒビ割れ等の発生がな
く強固で、良好なインク受容性能を維持しつつ、経時で
のニジミがなく、高解像度で、かつ耐光性、耐オゾン性
などの画像耐性に優れ、かつ紙面の着色等の発生がない
インクジェット記録用シートを提供することが可能であ
る。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2C056 EA05 EA13 FC06 2H086 BA15 BA31 BA33 BA35 BA38 BA41 BA45

Claims (13)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(1)で示される化合物、及
    びその塩、並びにそれらの互変異性体の少なくとも1種
    と、1級、2級、又は3級のアミノ基を有する有機媒染
    剤と、を含有することを特徴とするインクジェット記録
    用シート。 【化1】 (一般式(1)中、R1、R2、R3、R4、R5、及びR6
    はそれぞれ独立に水素原子、脂肪族基、芳香族基、複素
    環式基、R1112N−、R1314C=N−、R15−OC
    O−、R16−CO−、R17−CS−、R18−SO2−、
    1920N−CO−、R2122N−CS−、R2324
    −C(=NR25)−を示し、R11〜R25はそれぞれ独立
    に水素原子、脂肪族基、芳香族基、又は複素環式基を示
    す。)
  2. 【請求項2】 前記有機媒染剤が、ポリアリルアミン、
    ポリビニルアミン、及びそれらの誘導体の少なくとも1
    種である請求項1に記載のインクジェット記録用シー
    ト。
  3. 【請求項3】 ハロゲン化水素酸化合物、硫酸化合物、
    硝酸化合物、リン酸化合物、スルホン酸化合物、カルボ
    ン酸化合物、及び硼酸化合物からなる群より選ばれる少
    なくとも一種の酸性化合物を含有する請求項1又は2に
    記載のインクジェット記録用シート。
  4. 【請求項4】 前記酸性化合物が有機酸化合物である請
    求項3に記載のインクジェット記録用シート。
  5. 【請求項5】 無機微粒子を含有する請求項1〜4のい
    ずれかに記載のインクジェット記録用シート。
  6. 【請求項6】 前記無機微粒子が、平均一次粒径が20
    nm以下のシリカ微粒子、又は平均細孔半径が1〜10
    nmの擬ベーマイトである請求項5に記載のインクジェ
    ット記録用シート。
  7. 【請求項7】 水溶性樹脂を含有した無機微粒子分散液
    を塗工してなる色材受容層を有する請求項1〜6のいず
    れかに記載のインクジェット記録用シート。
  8. 【請求項8】 前記水溶性樹脂が、ポリビニルアルコー
    ル、又はその誘導体である請求項7に記載のインクジェ
    ット記録用シート。
  9. 【請求項9】 前記色材受容層が、前記水溶性樹脂を架
    橋しうる架橋剤を含む請求項7又は8に記載のインクジ
    ェット記録用シート。
  10. 【請求項10】 前記架橋剤が、ホウ素化合物である請
    求項9に記載のインクジェット記録用シート。
  11. 【請求項11】 前記色材受容層が、空隙率50〜80
    %の三次元網目構造を有し、前記水溶性樹脂に対する無
    機微粒子の含有量が、質量比で1.5〜10である請求
    項7〜10のいずれかに記載のインクジェット記録用シ
    ート。
  12. 【請求項12】 前記色材受容層が、支持体表面に無機
    微粒子を含有する第一の塗布液を塗布し、(1)該塗布
    と同時(2)該塗布によって形成される塗布層の乾燥途
    中であって前記塗布層が減率乾燥を示す前、あるいは
    (3)前記第一の塗布液を乾燥して塗膜を形成した後、
    のいずれかに有機媒染剤を少なくとも含む第二の塗布液
    を付与して得られる層であって、かつ、前記一般式
    (1)で示される化合物、及びその塩、並びにそれらの
    互変異性体の少なくとも1種を前記第一の塗布液、第二
    の塗布液、並びに前記第一の塗布液及び第二の塗布液と
    は別の第三の塗布液の少なくとも一つの塗布液に含有す
    る請求項7〜11のいずれかに記載のインクジェット記
    録用シート。
  13. 【請求項13】 前記架橋剤を前記第一の塗布液、第二
    の塗布液、第三の塗布液、及びこれらの塗布液とは別の
    第四の塗布液の少なくとも一つの塗布液に含有する請求
    項12に記載のインクジェット記録用シート。
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JP2007536124A (ja) * 2004-05-07 2007-12-13 イーストマン コダック カンパニー インクジェット記録要素のオゾン安定性を向上するための方法

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