JP2003168662A - シリコンウエハー研磨用シート - Google Patents

シリコンウエハー研磨用シート

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JP2003168662A JP2001369705A JP2001369705A JP2003168662A JP 2003168662 A JP2003168662 A JP 2003168662A JP 2001369705 A JP2001369705 A JP 2001369705A JP 2001369705 A JP2001369705 A JP 2001369705A JP 2003168662 A JP2003168662 A JP 2003168662A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 シリコンウエハーの研磨用シートとしてより
優れた研磨速度と、高度の研磨精度を有し生産性に優れ
た研磨用シートを得ること。 【解決手段】 中空繊維からなる3次元絡合不織布およ
びその内部に樹脂が含有された基体において、基体表面
に該中空繊維よりなる立毛が存在し、かつ基体の表面硬
度が55〜95゜の範囲にあることを特徴とするシリコ
ンウエハー研磨用シート。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、優れた研磨速度と研磨
精度を両立するシリコンウエハー研磨用シートに関す
る。
【0002】
【従来の技術】IC、LSI等半導体部品は、その製造
過程で、シリコンウエハー表面を研磨・平滑化すること
が必須である。このとき用いる研磨用シートには、速や
かに目標の平滑さまで到達できる研磨速度と、製品に欠
陥を出さないため、平滑面を与える高度の研磨精度の両
立が求められる。
【0003】かかる研磨には現在、砥粒としてコロイダ
ルシリカが、また、研磨用シートとして不織布に樹脂を
含浸し、多孔質高剛性の板としたものが使用されてい
る。これは、一応実用に足るだけの性能を有してはいる
ものの、研磨速度、研磨精度とも決して満足の行くもの
ではない。
【0004】また、特開昭52−149692号公報や
特開昭54−43234号公報には、中空繊維からなる
不織布にポリウレタンを含浸した構造の研磨用シートが
眼鏡、金属、プラスチック等の研磨あるいは表面仕上に
用いられている。しかしながら、かかる研磨用シートは
一般的な被研磨物の仕上という目的上極めて柔軟なもの
であり、かつ求められる研磨精度が低いため非常に大粒
径の砥粒を使用することを想定しているため、該研磨用
シートをシリコンウエハーの研磨に使用した場合、研磨
速度が低下するばかりでなく、研磨用シートの圧縮によ
る研磨斑が発生するなどシリコンウエハーの研磨には不
適なものであった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、かか
るシリコンウエハー研磨用シートとしてより優れた研磨
速度と、高度の研磨精度を有する研磨用シートを提供す
ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる目的を達成するた
めに鋭意研究の結果、不織布用の繊維としては、繊維中
に空隙を有するいわゆる中空繊維、かつ研磨用シート表
面の硬度を一定範囲にコントロールするならば、得られ
る研磨用シートの研磨速度、研磨精度が優れること、ま
た、好ましくは内部に複数の微細孔を有する多空中空繊
維が、より好ましくは複数の微細孔の一部が繊維側面に
開口するタイプの中空繊維を用いること、さらに好まし
くはかかる不織布と架橋型樹脂の組み合わせであること
を特徴とする研磨用シートを見出し本発明に至った。
【0007】すなわち本発明は、中空繊維からなる3次
元絡合不織布およびその内部に樹脂が含有された基体に
おいて、基体表面に該中空繊維よりなる立毛が存在し、
かつ基体の表面硬度が55〜95゜の範囲にあることを
特徴とするシリコンウエハー研磨用シートである。
【0008】
【発明の実施の形態】以下に本発明についてさらに詳細
に説明する。
【0009】本発明において3次元絡合不織布を構成す
る中空繊維とは、繊維内部に一つ以上の空隙(以下孔)
を有する繊維のことを言う。この孔とは繊維に沿った方
向にある程度の長さで続いている必要があるが、完全に
連通している必要は無く、それぞれの孔について言えば
その孔が繊維の途中から始まるあるいは繊維の途中で終
わる、ないしは繊維の途中から始まり繊維の途中で終わ
るなどの形態を示すこともかまわない。ただし、繊維の
任意の断面を取ったとき、必ず一つ以上の孔が存在する
必要がある。なお、本発明の効果を損なわない程度に孔
を持たない繊維を混入することも可能である。
【0010】本発明の中空繊維の一つの孔の直径は該繊
維直径の1/2以下であることが好ましく10μm以下
であることがより好ましく、5μm以下であることがさ
らに好ましく、3μm以下であることが特に好ましい。
一つの孔の直径が大きいほど繊維の剛性が低下し、単独
で繊維径の1/2を越える直径を有する孔が存在する場
合繊維の剛性が低下し、結果として研磨速度が低下する
傾向がある。
【0011】また、本発明の中空繊維の一つの孔の直径
は0.005μm以上であることが好ましく、0.01
μm以上がより好ましい。これよりも小さい孔の存在は
排除されるものではなく、研磨砥粒の直径が平均数nm
〜数十nmの範囲の物が多いことからシリコンウエハー
研磨用シート(以下研磨用シート)としての性能向上に
寄与しにくい傾向がある。
【0012】この場合の孔の効果は単に目詰まりを抑制
し研磨効率を上げるだけでなく、砥粒に過大な力がかか
った場合の砥粒の逃げ場となるため、瞬間的に研磨過剰
と成ることを防ぎ、結果としてより短時間で平滑面を得
ることができる。なお、中空繊維中の孔の数はそれぞれ
の繊維の任意の断面において、多いほど好ましく少なく
とも一つ以上必要であり、2つ以上が好ましく、5以上
がより好ましく、10以上がさらに好ましい。また該中
空繊維の側面に孔の一部が開口した状態である場合や孔
によって側面が凹凸の状態になっているものが砥粒の逃
げ場が増加する点から特に好ましい。孔の数の上限は性
能面からは特に規定されるものではないが、通常200
0を越えるものは量産困難である。
【0013】本発明の中空繊維の製造方法としては特に
限定されるものではなく、公知の中空繊維の製造方法の
いずれもが適用可能である。例示するならば、異型断面
の口金から溶融樹脂を押し出し、中空の繊維を得る方
法、やはり特殊な口金を使用し、溶解特性の異なる2種
類以上の樹脂を、芯鞘繊維の形で紡糸した後、芯の樹脂
を溶解除去する方法、あるいは2種以上の樹脂を溶融混
合した後紡糸した後、島の部分の樹脂を抽出除去する方
法などが挙げられ、特異な例としては、綿糸等のもとも
と中空構造の天然繊維をそのまま使用することも可能で
ある。
【0014】かかる中空繊維の製造方法のうちシリコン
ウエハーの欠陥の原因となるような不純物の混入の可能
性が少ない点から、合成樹脂を紡糸する方法が好まし
く、特に得られる繊維が中に最も多数の孔を形成できる
こと、さらに、繊維側壁に孔の開口部ができ、その結果
繊維の側面も研磨時の有効面として作用することによっ
て、特に優れた研磨速度・研磨精度を与えることから、
2種以上の樹脂を溶融混合した後紡糸し、後に島の部分
の樹脂を溶媒により溶解除去するいわゆる混合紡糸によ
って製造する方法がより好ましい。なお、かかる繊維は
その製造過程で、延伸および/またはは熱処理されてい
るほうが研磨用シートの寿命がより長くなるため好まし
い。また、島の部分の樹脂を溶解除去を行う場合、これ
は、紡糸から不織布化をへて最終の研磨用シートが完成
するまでのいずれの工程で行っても良い。
【0015】かかる中空繊維の原料となる樹脂(中空化
の操作を加えた際残留する樹脂)は特に限定されるもの
ではなく、ナイロン6、ナイロン11、ナイロン12、
ナイロン46、ナイロン66、ナイロン96(ノナメチ
レンジアミンおよび/または2−メチル−1,8−オク
タンジアミンとアジピン酸からなるナイロン)、ナイロ
ン910(ノナメチレンジアミンおよび/または2−メ
チル−1,8−オクタンジアミンとセバシン酸からなる
ナイロン)、ナイロン912(ノナメチレンジアミンお
よび/または2−メチル−1,8−オクタンジアミンと
ドデカン二酸からなるナイロン)、ナイロン6/12
(カプロラクタムとラウロラクタムの共重合体)、ナイ
ロン6T(ヘキサメチレンジアミンとテレフタル酸から
なるナイロン)、ナイロン9T(ノナメチレンジアミン
および/または2−メチル−1,8−オクタンジアミン
とテレフタル酸からなるナイロン)、ポリアミドブロッ
ク共重合体(ポリアミドエラストマー)などのポリアミ
ド類;ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレンテ
レフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリペン
タメチレンテレフタレート、ポリヘキサメチレンテレフ
タレートなどのポリアルキレンテレフタレート、ポリエ
チレンナフタレート、ポリプロピレンナフタレート、ポ
リブチレンナフタレート、ポリペンタメチレンナフタレ
ート、ポリヘキサメチレンナフタレート、ポリエステル
ブロック共重合体(ポリエステルエラストマー)などの
ポリエステル類;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ
メチルペンテン、エチレン−α−オレフィン共重合体な
どのポリオレフィン類;ポリスチレン、ポリスチレン系
ブロック共重合体(ポリスチレン系エラストマー)で代
表されるポリスチレン系重合体類;ポリ塩化ビニリデ
ン、ポリ酢酸ビニル、エチレン−酢酸ビニル系共重合
体、エチレン−酢酸ビニル共重合体鹸化物、ポリメタク
リル酸エステル、ポリウレタンエラストマーなどを挙げ
ることができるが、研磨用シートとしたときの磨耗抵抗
性が高くドレッシング間の間隔を広く取れる点から、ポ
リアミド類、ポリエステル類のいずれかから選ばれた1
種以上の樹脂であることが好ましく、研磨用シートとし
た際にへたりにくく研磨速度をより向上させることが可
能なことからポリエチレンテレフタレートがより好まし
い。
【0016】本発明の中空繊維の直径は、100μm以
下が好ましく、50μm以下がより好ましく、20μm
以下が特に好ましい。過度に太くなると研磨時に傷等が
出やすくなることがある。また、直径は0.1μm以上
が好ましく、1μm以上がより好ましく、5μm以上が
さらに好ましい。直径が0.1μm未満の場合繊維の剛
性低下により研磨速度が低下する、有効なサイズの孔を
得ることが難しくなる傾向がある。かかる中空繊維を3
次元絡合不織布とする方法は特に限定は無く公知の方法
のいずれもが好ましく用いられる。例えば、ニードルパ
ンチ、水流絡合などを例示することができる。
【0017】本発明における研磨シートを構成する不織
布は、その充填率が樹脂の担持力が強く研磨用シートの
硬度が高くなることから0.10以上であることが好ま
しく、研磨用シートの硬度がより高まるとともに、中空
繊維と樹脂の分布がより均一となり研磨精度が高くなる
ことから0.15以上であることがより好ましく、0.
20以上であることが特に好ましい。また以下の充填率
を越えると樹脂の含浸性が悪化し、研磨用シートの硬度
が低下するとともに、中空繊維と樹脂の分布が不均一と
なり研磨精度が低下する傾向があることから0.5以下
であることが好ましく、0.4以下であることがより好
ましく0.3以下であることがさらに好ましい。なお、
本研磨用シートの硬度は、かかる不織布の充填率と、後
述する樹脂の種類、プレス等の方法により調整が可能で
ある。なお、ここで不織布の充填率の決定は、あらかじ
め乾燥状態で不織布の見かけ体積(厚み×幅×長さ;厚
みはピーコック型厚み計で測定)を求めた後、アルコー
ル中に浸漬し、アルコールの体積増を繊維の体積とし以
下の式で求められる。充填率=繊維の体積/不織布の見
かけ体積なお、研磨用シートとなったものについても、
樹脂を抽出した後同様の方法で求めることができる。該
不織布の好ましい目付は、研摩用シートの取り扱い容易
性から100〜3000g/mの範囲である。また、
該不織布は、表面を平滑化し厚さを規制するため厚さ方
向にプレスするのが好ましい。プレスの方法としては、
複数の加熱ロール間を通す方法、予熱した不織布を冷却
ロール間に通す方法等、従来公知の方法が利用でき、繊
維中の海成分すなわちポリエチレンなどの低溶融粘度成
分の溶融・圧着により、不織布の平滑化を達成すること
ができる。なおこの工程の際に、テンションやプレス等
による工程の形態変化を抑制することおよび中空繊維と
樹脂の密着を防止し研磨用シートの不織布と樹脂の間に
空隙を存在させることによって研磨効果を高めることを
目的として、ポリビニルアルコール、デンプン、または
樹脂エマルジョン等の接着剤を不織布に添加し、不織布
に樹脂を付与した後に熱水等で抽出除去することが好ま
しく用いられる。
【0018】本発明において、不織布とともに研磨用シ
ートを構成する樹脂は、吸湿した状態で流動開始温度が
50℃以上あれば特に制限は無く、公知の樹脂いずれも
が好ましく用いることができる。かかる樹脂としては、
ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレ
ート、ポリカーボネート、ポリアミド(ナイロンとも言
う)6、ポリアミド66、ポリメチルメタクリレート樹
脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂などの高Tg熱可塑性樹
脂、エポキシ樹脂、架橋型アクリル樹脂、フェノール樹
脂、架橋型(熱硬化型)ポリウレタン樹脂などが挙げら
れる。
【0019】これら樹脂のうちどれが適切かは研磨対象
によって異なる。すなわち、初期研磨においては、大粒
径の砥粒を用いても傷などのトラブルを起こしにくく研
磨速度を高く維持できることから、ポリエチレンテレフ
タレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリカーボネ
ート、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリメチルメタ
クリレート樹脂、熱可塑性ポリウレタン樹脂などの高融
点熱可塑性樹脂が好ましく、中でも不織布への含浸が容
易であり、かつ、磨耗に強く、本発明の研磨用シートの
ようなスポンジ構造であっても長寿命が得られることか
ら熱可塑性ポリウレタンがより好ましく用いられる。
【0020】初期研磨以外の工程で用いる研磨用シート
には、含浸時の粘度が低く含浸操作が容易であり、得ら
れる研磨用シートの硬度が高く、また研磨精度が高いた
め、製造途中の回路を傷つけることがないなどの点か
ら、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、フェノール樹脂、熱
硬化型ポリウレタン樹脂などの架橋型樹脂がより好まし
く、得られる樹脂層の靭性が高く、かつ耐摩耗性に優れ
ドレッシング間の間隔を広く取れる点で架橋型(熱硬化
型)ポリウレタンがより好ましい。なお、本発明に架橋
型樹脂を用いる場合の架橋密度は、特に限定されるもの
ではないが、粘度上昇等の取り扱いに困難をきたさない
範囲で高いほど、研磨用シートとしての諸特性は向上す
る。また、架橋型樹脂を用いる場合、当然本発明の研磨
用シート製造工程のいずれかの工程で架橋操作を行う。
【0021】ここで述べたように強靭で摩耗に強く、長
寿命の研磨用シートを与えるという点で、熱可塑性型樹
脂であっても架橋型樹脂であってもポリウレタン系の樹
脂が、本発明の研磨用シート用の樹脂としては好適に使
用される。かかるポリウレタン系樹脂を具体的に例示す
ると、熱可塑性ポリウレタンとしては、トリレンジイソ
シアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ナフ
チレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネ
ート、1,3−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキ
サンなど公知のジイソシアネートおよびそのウレタン結
合形成性誘導体のうちから選ばれた一つ以上のジイソシ
アネートと、ポリエステルポリオール、ポリエーテルポ
リオール、ポリカーボネートポリオール等の公知のポリ
オール等から選ばれた一つ以上のポリオールと、エチレ
ングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオー
ル、3−メチル−1,5−ペンタンジオール等のジオー
ル類、エチレンジアミン、イソホロンジアミン、ピペラ
ジン、フェニレンジアミン等のジアミン類、アジピン酸
ヒドラジド、イソフタル酸ジヒドラジド等のヒドラジド
類から選ばれた2個以上の活性水素原子を有する少なく
とも1種の低分子化合物で分子量300以下の化合物、
から合成されたポリウレタンが挙げられ、熱硬化性ポリ
ウレタンとしては、トリレンジイソシアネート、ジフェ
ニルメタンジイソシアネート、ナフチレンジイソシアネ
ート、ヘキサメチレンジイソシアネート、1,3−ビス
(イソシアナトメチル)シクロヘキサンなど公知のジイ
ソシアネートおよびそのウレタン結合形成性誘導体のう
ちから選ばれた一つ以上のジイソシアネートとポリエス
テルポリオール、ポリエーテルポリオール、ポリカーボ
ネートポリオール等の公知のポリオールから選ばれた一
つ以上のポリオール、エチレングリコール、プロピレン
グリコール、ブタンジオール、3−メチル−1,5−ペ
ンタンジオール等のジオール類、エチレンジアミン、イ
ソホロンジアミン、ピペラジン、フェニレンジアミン等
のジアミン類、アジピン酸ヒドラジド、イソフタル酸ジ
ヒドラジド等のヒドラジド類から選ばれた2個以上の活
性水素原子を有する少なくとも1種の低分子化合物で分
子量300以下の化合物、および架橋構造形成剤として
グリセリン、ポリビニルアルコールなどの多価アルコー
ル類、エポキシ化大豆油、フェノールノボラック樹脂等
の多価エポキシ、エチレンジアミン等の多価アミン、ト
リフェニルメタントリイソシアネートなどの多価イソシ
アネート等、イソシアネートおよび/またはジオールと
反応する官能基を3つ以上有する化合物の中から合成さ
れたポリウレタンが好ましく挙げられる。
【0022】本発明の3次元絡合不織布と樹脂とを一体
化させる方法は特に限定されるものではなく、例えば、
3次元絡合不織布を樹脂溶液中に浸漬し、直ちに貧溶媒
中に移動し樹脂を凝固させる方法、3次元絡合不織布内
部に樹脂溶液、もしくは樹脂エマルジョン液を付与し、
樹脂を乾燥・析出させる方法、樹脂のモノマーおよび/
またはオリゴマーを含浸し、加熱等により重合・高分子
化する方法など公知の方法が採用できる。
【0023】本発明の基体を製造する際、中空繊維を2
種の樹脂を溶融混合した状態で紡糸し、しかる後に島成
分を抽出除去することで多空中空繊維を得る方法をとる
ならば、3次元絡合不織布と樹脂とを一体化した後に実
施することが好適である。これは、3次元絡合不織布の
強度が抽出工程中最も高くなり取り扱い性に優れること
による。具体的に1例を示すならば樹脂成分が熱可塑性
もしくは熱硬化性ポリウレタン、繊維の海成分がポリア
ミドもしくはポリエステル、抽出される島成分がポリエ
チレン等で代表されるポリオレフィンまたはポリスチレ
ン等の場合、あらかじめ繊維成分の原料を溶融混合した
後、紡糸・絡合したものを溶媒に溶解したポリウレタン
中に含浸し、その直後に水等の貧溶媒に浸漬しポリウレ
タンを凝固させる。さらにこのポリウレタン樹脂が含浸
された3次元絡合不織布をトルエン、シクロヘキサン等
の溶媒中に浸漬し、繊維中のポリオレフィンあるいはポ
リスチレンを抽出する。この際加温等を行えばより速や
かに抽出が進行し好ましい。続いてこれを乾燥すること
で本発明の基体を得ることができる。基体を構成する中
空繊維絡合不織布と樹脂の重量比の好ましい範囲は、本
発明の表面硬度の規定範囲に加工し易いことから90:
10〜20:80、より好ましくは、70:30〜3
0:70である。
【0024】本発明の研磨用シートは、樹脂と不織布を
一体化した後に研磨用シートの硬度の微調整を行う為に
さらにその空隙率、厚みなどをプレス、発泡その他の処
理で調整することも可能である。
【0025】本発明の研磨用シートはさらに、使用時に
研磨用シートの表面の大きな凹凸を防ぐためその表面を
平滑化しておくことが好ましい。かかる平滑化の方法と
しては特に制限は無く平板プレス等任意の方法を取るこ
とができるが、好ましくはサンドペーパーなどでバフィ
ング処理を行うことで平滑化することが生産性に優れ最
も有用である。
【0026】本発明の研磨用シートは、さらに、製造時
の表面の微細欠陥の影響を排し、本件発明の中空繊維の
効果をより高め、より均一な表面を与えるため、さらに
シリコンウエハーと研磨用シートが研磨後に引っ付いて
しまい、自動運転時のトラブルの原因を抑えるため、そ
の表面を中空繊維からなる立毛を存在させておく必要が
ある。かかる立毛を存在させる方法としては、特に限定
されないが、好ましくはサンドペーパーなどでバフィン
グ処理を行い繊維を掘り起こす方法が好ましい。これ
は、前記の平滑化の操作を同時に行える点からも有用で
ある。なお、立毛の長さは特に限定されるものではな
く、これまでの例では0.05mmから3mmの範囲で
あれば実用上問題は無く、上記範囲であれば、初期研磨
工程であれば立毛長が短くても十分研磨可能な傾向があ
り、初期研磨工程以外の場合には立毛長が長いほうが研
磨精度が高くなる傾向がある。そして、立毛長の調整
は、公知の起毛条件にて可能である。
【0027】本発明の研磨用シートの表面硬度は、JI
S K7312で規定されているC硬度で表現して55
゜以上である必要があり、60゜以上であることが好ま
しく、65゜以上であることが特に好ましい。硬度が5
5゜より低いと研磨速度が低下し、生産性が低下するば
かりでなく、被研磨面の圧力により研磨用シート自身が
変形するためシリコンウエハー研磨面を要求される平滑
品質にすることが困難である。また95゜以下であるこ
とが必要であり90゜以下であることが好ましく、85
゜以下であることがさらに好ましい。硬度が95゜を越
えると、研磨用シートの変形が過小となるため、研磨用
シートの表面不良、砥粒の不良、研磨条件の不良等がそ
のまま品質不良に直結するためシリコンウエハー研磨面
の平滑性が低下する。
【0028】また本発明の研磨用シートは、厚みが0.
1〜10mmの範囲が好ましく、0.3mm〜3mmの
範囲にあることが好ましい。厚みが0.1mm未満では
研磨用シートの寿命が短くなる傾向があり実用に耐えに
くく、10mmを越えると研磨時の沈み込みのため見か
けの硬度が低下したと同じ状態となりシリコンウエハー
の研磨表面が不均一となりやすい傾向がある。また、本
発明の研磨用シートの密度は特に規定されるものではな
いが0.1〜1.0g/cmの範囲が本発明の表面硬
度の範囲にしやすい点から好適である。
【0029】
【実施例】以下に、実施例および比較例に基づいて本発
明をより詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に
よりなんら限定されるものではない。なお、特に断りの
無い限り、文中の%は重量%、部は重量部を示す。
【0030】実施例1 ポリアミド(ナイロン)6(以下PA6と略す)50部
とポリスチレン(以下PSと略す)50部をドライブレ
ンド後、単軸押出機にて溶融混練した後、ダイより押
出、海成分がPA6、島成分がPSからなる直径15μ
m、島数50の海島型繊維を防止した。得られた繊維を
延伸、クリンプ、カットして、3.5デシテックス、カ
ット長さ55mmのステープル繊維を得た。該ステープ
ル繊維をカードに通し、クロスラッパー方式によりウエ
ッブとし、積層した。次に針に1箇所のバーブのついた
フェルト針を用いて980P/cmの針刺し密度でニ
ードルパンチして目付450g/mの不織布を得た。
不織布の充填率は0.28であった。この不織布にポリ
ビニルアルコール(以下PVA)をグラビアコートして保
形処理した後、17%のポリウレタンのジメチルホルム
アミド(以下DMF)溶液を含浸し、DMF濃度3%水
溶液で凝固し、湯洗し、熱トルエンで繊維中の島成分で
あるPSを抽出除去した。そして平均直径1.5μmの
孔を平均50個有し、さらに側面においても開口部分が
認められる中空繊維からなる3次元絡合不織布と熱可塑
性ポリウレタン樹脂からなる多孔質の基体を得た。得ら
れた基体の不織布と樹脂の重量比は1:1であった。さ
らに表面をサンドペーパーでバフし、表面を平滑化する
と同時に起毛処理を行い厚み1.5mmの研磨用シート
とした。この研磨用シートのC硬度をJIS K731
2に基づき高分子計器(株)製のアスカーC型硬度計を
用いて測定したところ硬度は62であった。
【0031】直径500mmの下定盤に本発明の研磨用
シートを感圧接着剤で貼り合わせ、続いて上定盤に直径
4インチのシリコンウエハー3枚をワックスで接着後、
両者を研磨機にセットし、コロイダルシリカスラリー
(ナルコ社製#2350)の20倍純水希釈物を、流量
1リットル/minで還流しつつ、100rpmの回転
数で研磨した。30分後のシリコンウエハーの表面荒さ
を評価した。測定はJIS B0601−1994に準
じ、表面粗さ計(東京精密株式会社製サーファコム12
0A、円錐状触針;頂角90゜、先端曲率半径5μm)
で40mm間隔の2点間の荒さを評価した。
【0032】さらに、同一の研磨用シートを用いて、新
たなシリコンウエハーを30分研磨することを繰り返
し、研磨後のシリコンウエハーの表面粗さが最初に研磨
したシリコンウエハー表面粗さの1.5倍となったとき
の回数を研磨用シートのドレッシング間隔として、研磨
用シートの耐久性を評価した。結果を表1に示す。
【0033】実施例2 ポリエチレンテレフタレートを単軸押出機にて溶融、異
型ダイより押出し、延伸、クリンプ、カットして内部に
直径3μmの孔を10個有する直径20μm、長さ55
mmの多空中空繊維ステープルを得た。該ステープル繊
維をカードに通し、クロスラッパー方式によりウエッブ
とし、積層した。次に針に1箇所のバーブのついたフェ
ルト針を用いて980P/cmの針刺し密度でニード
ルパンチして目付450g/mの不織布を得た。この
不織布にPVAをグラビアコートして保形処理した後、1
7%のポリウレタンのDMF溶液を含浸し、DMF濃度
3%水溶液で凝固し、湯洗し、直径3μmの孔を有する
中空繊維からなる3次元絡合不織布と熱可塑性ポリウレ
タンからなる多孔質基体を得た。得られた基体の不織布
と樹脂の重量比は1:1であった。さらに表面をサンド
ペーパーでバフし、表面を平滑化すると同時に起毛処理
を行い厚み1.5mmの研磨用シートとした。この研磨
用シートを用い、実施例1と同様の評価を行った。結果
を表1に示す。
【0034】実施例3 実施例2で用いた不織布内部に、ポリウレタン水エマル
ジョン(大日本インキ化学工業株式会社製ハイドランA
P−30(TM))を含浸し、乾燥後、平均分子量35
0のビスフェノールA型エポキシ樹脂のメチルエチルケ
トン溶液に浸漬、乾燥させ、さらに150℃で熱プレス
を行い十分に架橋させた。得られた基体の不織布と樹脂
の重量比は1:1であった。さらに表面をサンドペーパ
ーでバフし、表面を平滑化すると同時に起毛処理を行い
厚み1.5mmの研磨用シートとした。この研磨用シー
トを用い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1
に示す。
【0035】実施例4 実施例2で用いた不織布内部に、210℃のプレス型に
入れ、平均分子量350のビスフェノールA型エポキシ
樹脂70重量部、トリグリシジルイソシアヌレート30
重量部、メチルエンドメチレンテトラヒドロフタル酸無
水物80部、アゾジカルボンアミド1重量部の混合物を
不織布に含浸し、熱架橋と発泡を同時に行った。得られ
た基体の不織布と樹脂の重量比は1:1であった。さら
に表面をサンドペーパーでバフし、表面を平滑化すると
同時に起毛処理を行い厚み1.5mmの研磨用シートと
した。この研磨用シートを用い、実施例1と同様の評価
を行った。結果を表1に示す。
【0036】実施例5 実施例1で用いた不織布をポリウレタン水エマルジョン
(大日本インキ化学工業株式会社製ハイドランAP−3
0(TM))に浸漬、乾燥後、平均分子量350のビス
フェノールA型エポキシ樹脂のメチルエチルケトン溶液
に浸漬、乾燥させ、さらに150℃で熱プレスを行い架
橋させた。続いて熱トルエンで繊維中の島成分であるP
Sを抽出除去し、平均直径1.5μmの孔を有し、さら
に側面においても開口部分が認められる多空中空繊維と
架橋ポリウレタンからなる基体を得た。得られた基体の
不織布と樹脂の重量比は1:1であった。さらに表面を
サンドペーパーでバフし、表面を平滑化すると同時に起
毛処理を行い厚み1.5mmの研磨用シートとした。こ
の研磨用シートを用い、実施例1と同様の評価を行っ
た。結果を表1に示す。
【0037】実施例6 実施例2で用いた不織布内部に、ポリメチルメタクリレ
ート樹脂(以下PMMA)のシクロヘキサン10%溶液を含
浸し、乾燥して中空繊維からなる不織布とPMMAから
なる基体を得た。得られた基体の不織布と樹脂の重量比
は1:1であった。さらに表面をサンドペーパーでバフ
し、表面を平滑化すると同時に起毛処理を行い厚み1.
5mmの研磨用シートとした。この研磨用シートを用
い、実施例1と同様の評価を行った。結果を表1に示
す。
【0038】実施例7 PA6をポリエチレンテレフタレートの代わりに用いた
他は実施例2とまったく同様にしてPA6の多空中空繊
維からなる3次元絡合不織布と熱可塑性ポリウレタン樹
脂をからなる多孔質基体を得た。得られた基体の不織布
と樹脂の重量比は1:1であった。さらに表面をサンド
ペーパーでバフし、表面を平滑化すると同時に起毛処理
を行い厚み1.5mmの研磨用シートとした。この研磨
用シートを用い、実施例1と同様の評価を行った。結果
を表1に示す。
【0039】比較例1 PA6を単軸押出機にて溶融、ダイより押出し、延伸、
クリンプ、カットして直径15μm、長さ55mmのス
テープルを得た。該ステープル繊維をカードに通し、ク
ロスラッパー方式によりウエッブとし、積層した。次に
針に1箇所のバーブのついたフェルト針を用いて980
P/cmの針刺し密度でニードルパンチして目付45
0g/mの不織布を得た。この不織布にPVAをグラビ
アコートして保形処理した後、17%のポリウレタンの
DMF溶液を含浸し、DMF濃度3%水溶液で凝固し、
湯洗し、PA6の非中空繊維からなる3次元絡合不織布
と熱可塑性ポリウレタンからなる多孔質基体を得た。得
られた基体の不織布と樹脂の重量比は1:1であった。
さらに表面をサンドペーパーでバフし、表面を平滑化す
ると同時に起毛処理を行い厚み1.5mmの研磨用シー
トとした。この研磨用シートを用い、実施例1と同様の
評価を行った。結果を表1に示す。
【0040】比較例2 ポリエチレンテレフタレートを単軸押出機にて溶融、ダ
イより押出し、延伸、クリンプ、カットして直径20μ
m、長さ55mmのステープルを得た。該ステープル繊
維をカードに通し、クロスラッパー方式によりウエッブ
とし、積層した。次に針に1箇所のバーブのついたフェ
ルト針を用いて980P/cmの針刺し密度でニード
ルパンチして目付450g/mの不織布を得た。この
不織布にPVAをグラビアコートして保形処理した後、1
7%のポリウレタンのDMF溶液を含浸し、DMF濃度
3%水溶液で凝固し、湯洗し、ポリエチレンテレフタレ
ートの非中空繊維からなる3次元絡合不織布と熱可塑性
ポリウレタンからなる基体を得た。得られた基体の不織
布と樹脂の重量比は1:1であった。さらに表面をサン
ドペーパーでバフし、表面を平滑化すると同時に起毛処
理を行い厚み1.5mmの研磨用シートとした。この研
磨用シートを用い、実施例1と同様の評価を行った。結
果を表1に示す。
【0041】比較例3 比較例2で用いた不織布を使用した他は実施例3とまっ
たく同様の操作を行い厚み1.5mmの研磨用シートを
得た。得られた基体の不織布と樹脂の重量比は1:1で
あった。この研磨用シートを用い、実施例1と同様の評
価を行った。結果を表1に示す。
【0042】比較例4 比較例2で用いた不織布を使用した他は実施例4とまっ
たく同様の操作を行い厚み1.5mmの研磨用シートを
得た。この研磨用シートを用い、実施例1と同様の評価
を行った。結果を表1に示す。
【0043】比較例5 針刺し密度を300P/cmとしたほかは実施例1と
まったく同様の操作を行い厚み1.5mmの研磨用シー
トを得た。この研磨用シートを用い、実施例1と同様の
評価を行った。結果を表1に示す。
【0044】比較例6 実施例1で試作したバフ前の基体表面を150℃の熱プ
レスで平滑化した後、裏側のみをバフして厚みを調整
し、表面に立毛のない厚みを1.5mmの研磨用シート
を得た。この研磨用シートを用い、実施例1と同様の評
価を行った。結果を表1に示す。
【0045】比較例7 アゾジカーボンアミドの添加量を0.3とした他は実施
例4とまったく同様の操作を行い厚み1.5mmの研磨
用シートを得た。得られた基体の不織布と樹脂の重量比
は1:3であった。結果を表1に示す。
【0046】
【表1】
【0047】実施例1と比較例1、実施例2と比較例
2、実施例3と比較例3、実施例4と比較例4を比べる
ならば、本発明の研磨用シートが研磨速度が向上し、よ
り短期間により精密な平面を与えることが分かる。ま
た、研磨用シートの寿命(ドレッシング間隔)は見かけ
上ほとんど差はないが、実際にはより短時間で十分な平
滑度が得られるため、研磨可能な枚数すなわち真の寿命
が延びていることも判定できる。さらに実施例1と比較
例5および7を比較すれば、表面硬度が研磨用シートと
しての性能と密接にかかわっていることが分かる。な
お、実施例1と7を比べることでいわゆるレンコン型繊
維が研磨精度、速度に勝ること、また、実施例2と6、
3と4を比べることでポリウレタン樹脂を用いたものが
寿命が長く有利であること、さらに、実施例1と5、2
と3を比べることで架橋した樹脂を用いたほうが研磨速
度、精度、寿命のいずれの面からも有利であることが確
認できる。
【0048】
【発明の効果】本発明の研磨用シートを用いるならば、
より短時間に、シリコンウエハーを研磨・平滑化できる
だけでなく、研磨用シート自体のメンテナンス間隔も延
長できるなど、シリコン半導体の生産性の向上が可能と
なり有用である。

Claims (4)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 中空繊維からなる3次元絡合不織布およ
    びその内部に樹脂が含有された基体において、基体表面
    に該中空繊維よりなる立毛が存在し、かつ基体の表面硬
    度が55〜95゜の範囲にあることを特徴とするシリコ
    ンウエハー研磨用シート。
  2. 【請求項2】 中空繊維が多空中空繊維である請求項1
    に記載のシリコンウエハー研磨用シート。
  3. 【請求項3】 中空繊維の微細孔の一部が繊維側面に開
    口している請求項1または2に記載のシリコンウエハー
    研磨用シート。
  4. 【請求項4】 樹脂が架橋されている請求項1〜3いず
    れかに記載のシリコンウエハー研磨用シート。
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