JP2003167273A - 液晶表示装置 - Google Patents
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Abstract
カルコニック状態からプレーナ状態へ相転移する際の変
化効率が良好な液晶表示装置を得る。 【解決手段】 電極12a,12bを備えた基板11と
電極22を備えた基板21との間に、誘電率異方性が正
のカイラルネマチック液晶を挟持し、該液晶の選択反射
を利用して表示を行う液晶表示装置。電極12a,12
bと電極22との間に基板面にほぼ垂直な縦電界D2を
発生させると、液晶はヘリカル軸が縦電界D2に垂直な
フォーカルコニック状態になる。ここで、電極12a,
12b間に基板面にほぼ平行な横電界D1を発生させる
と、液晶はヘリカル軸が横電界D1に垂直なプレーナ状
態になる。プレーナ状態への変化を助長するため、配向
制御膜にはヘリカル軸を横電界D1の向きに一致させる
配向処理が施されている。また、プレーナ状態へ変化さ
せる際、液晶のねじれを解く程度の強さの横電界D1を
印加してもよい。
Description
に、一対の基板間にコレステリック相を示す液晶を挟持
し、該液晶の選択反射を利用して表示を行う液晶表示装
置に関する。
されている。そのなかで反射型液晶表示素子は、環境光
(外部の光)を反射することにより表示を行うため、バ
ックライトを必要とする透過型液晶表示素子に比べて少
ない消費電力で表示が可能であり、この利点を活かして
携帯電話やモバイル機器などの表示部に採用されてい
る。また、さらなる低消費電力化の研究開発も盛んに行
われ、メモリ性を有する反射型液晶表示素子等が提案さ
れている。
動作モードとしては、テクニカルペーパーSID国際シ
ンポジューム要約(SID International Symposium Di
gestof Technical Paper)第29巻、897頁に開示
されている。この動作モードは、カイラルネマチック液
晶の配向状態をプレーナ状態(光の選択反射状態)及び
フォーカルコニック状態(光の透過状態)のいずれかに
切り換えて表示を行う方式である。プレーナ状態及びフ
ォーカルコニック状態は、それぞれ安定な状態であるた
め、一旦液晶をいずれかの状態にセットすれば、外力が
加わらない限り、半永久的にその状態を維持する。即
ち、画像を一旦表示すれば電源を切っても表示された画
像がそのまま維持されるメモリ性を備えた反射型液晶表
示素子として有用である。
素子は、それぞれ電極を備えた一対の基板間に正の誘電
率異方性を有するカイラルネマチック液晶を挟持した構
成であり、電極によって基板に対して垂直方向に電界を
作用させ、その電界の強度及び/又は印加時間を制御す
ることにより、液晶を所定の状態(プレーナ状態及びフ
ォーカルコニック状態)に変化させる。
上の電圧を充分な時間印加すると、液晶は全てホメオト
ロピック状態(液晶分子の長軸方向が基板に対して垂直
な状態)になる。この状態は、メモリ性がないために電
界を消去すると、液晶はねじれた配列になる。ホメオト
ロピック状態から、電界を急激に消去した場合はプレー
ナ状態になり、電界を徐々に消去した場合はフォーカル
コニック状態になる。
そのねじれを解くための閾値電圧以上のパルス電圧(一
部の液晶がホメオトロピック状態になるパルス幅の電
圧)を印加した場合、ホメオトロピック状態になった液
晶は、パルス電圧の印加終了後にプレーナ状態になる。
パルス電圧の幅及び/又は電圧の高さを制御することに
より、プレーナ状態となる液晶の割合を調整(中間調を
表示)することができる。
ルネマチック液晶を用いた前記液晶表示素子において
は、画像更新時の駆動電圧が高いという問題点を有して
いる。即ち、カイラルネマチック液晶は理論上50%の
反射率を示すが、液晶層が薄い場合は50%未満に低下
する。特に、螺旋ピッチの長い赤色を選択反射する液晶
では反射率の低下が顕著である。そのため液晶層の厚み
(特に、赤色の選択反射を行う液晶層の厚み)を、十分
な反射率が得られるように厚く設定する必要があり、そ
の結果として駆動電圧が高くなる。
垂直方向及びほぼ平行方向の電界を選択的に印加して液
晶の状態を変化させる駆動方法での実用化を検討した。
この駆動方法では、基板面に垂直な縦電界を印加して液
晶をフォーカルコニック状態に一括してリセットした
後、画像を表示すべき画素ごとに基板面に平行な横電界
を印加して液晶をプレーナ状態に変化させる。この駆動
方法によれば、横電界を印加する電極間距離を加工上可
能な限り近接させることで、反射率を低下させることな
く駆動電圧を低減するのに有利な構成となる。
ニック状態からプレーナ状態へ相転移する際の変化効率
が低いことが判明した。
動電圧が低く、かつ、フォーカルコニック状態からプレ
ーナ状態への変化効率が良好な液晶表示装置を提供する
ことにある。
め、第1の発明に係る液晶表示装置は、一対の基板と、
該基板間に挟持され、誘電率異方性が正であるコレステ
リック相を示す液晶と、前記基板に対してほぼ垂直方向
及びほぼ平行方向の電界を選択的に印加可能な電極と、
フォーカルコニック状態にある前記液晶のヘリカル軸
を、基板に対してほぼ平行方向の電界の向きに一致させ
る配向制御手段とを備えたことを特徴とする。
一対の基板と、該基板間に挟持され、誘電率異方性が正
であるコレステリック相を示す液晶と、前記基板に対し
てほぼ垂直方向及びほぼ平行方向の電界を選択的に印加
可能な電極と、を備え、前記液晶をフォーカルコニック
状態からプレーナ状態に変化させる際に基板に対してほ
ぼ平行方向に印加される電界が、液晶の螺旋ピッチをフ
ォーカルコニック状態での螺旋ピッチよりも長くさせる
ものであることを特徴とする。
す液晶に充分に高い電圧を印加すると、液晶分子のねじ
れが解けてヘリカル軸が電界方向と直交する方向に向
く。液晶分子のねじれが解ける電圧には閾値が存在す
る。また、閾値電圧以下の電圧を印加すると、液晶はね
じれを解くことなくヘリカル軸が電界印加方向と直交す
る方向に向く。
とで、液晶のヘリカル軸が基板に対してほぼ垂直方向及
びほぼ水平方向に変化し、液晶をプレーナ状態とフォー
カルコニック状態との間で直接的に変化させることがで
きる。また、前記閾値電圧以下の電圧を印加すると、液
晶はホメオトロピック状態を経ることなく、プレーナ状
態とフォーカルコニック状態との間で直接的に変化し、
従来よりも低電圧で駆動することができる。この場合
は、画像更新時にホメオトロピック状態を経ないため、
画面全体が瞬間的に黒くなって画質が劣化する不具合は
生じない。
示素子において、フォーカルコニック状態にある液晶
は、通常、ヘリカル軸が基板面にほぼ平行になっている
が、平面的に観察した場合、ヘリカル軸の方向はランダ
ムであり、この点が基板面に平行な横電界を印加しても
全ての液晶分子がプレーナ状態に変化せず、変化効率が
悪い原因であると考えられる。
は、配向制御手段によって、フォーカルコニック状態に
ある液晶のヘリカル軸を基板に対してほぼ平行方向の電
界の向きに一致させるようにしたため、横電界がより多
くの液晶分子に効果的に作用するものと考えられ、液晶
のプレーナ状態への変化効率が向上し、その結果プレー
ナ状態での反射率が上昇する。
した配向制御膜を用いることができ、ラビング処理され
た配向制御膜、あるいは、光配向処理された配向制御膜
を用いることが好ましい。
は、液晶をフォーカルコニック状態からプレーナ状態に
変化させる際に基板に対してほぼ平行方向に印加される
電界が、液晶の螺旋ピッチをフォーカルコニック状態で
の螺旋ピッチよりも長くさせるようにしたため、ねじれ
が部分的にあるいは完全に解けた状態となり、電界の印
加が停止された瞬間にねじれが生じてプレーナ状態とな
る。このような状態変化はより多くの液晶のヘリカル軸
を基板に対してほぼ垂直方向に変化させ、液晶のプレー
ナ状態への変化効率が向上し、その結果プレーナ状態で
の反射率が上昇する。
組み合わせてもよい。即ち、フォーカルコニック状態に
ある液晶のヘリカル軸を基板に対してほぼ平行方向の電
界の向きに一致させる配向制御手段を備え、かつ、液晶
をフォーカルコニック状態からプレーナ状態に変化させ
る際に基板に対してほぼ平行方向に印加される電界が液
晶の螺旋ピッチをフォーカルコニック状態での螺旋ピッ
チよりも長くさせるように構成してもよい。これにて、
液晶のプレーナ状態への変化効率がより向上し、プレー
ナ状態での反射率がより上昇する。
おいて、前記電極には、同一基板上の互いに異なる平面
位置に配置された少なくとも一組の電極が含まれていて
もよい。この一組の電極間に横電界を容易に発生させる
ことができる。このような電極の例として、入れ子に配
置された一組の櫛歯状電極を挙げることができる。
示装置には、前記電極に電圧を印加することにより駆動
を行う駆動手段を備えることができる。
の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
晶表示装置は、表示媒体としてコレステリック相を示す
液晶を用いており、この種の液晶としてはカイラルネマ
チック液晶が代表的なものである。
に所定量のカイラル材を添加することによって得られ
る。このカイラルネマチック液晶は、図1(A)に示す
ように、一般的に、棒状の液晶分子がねじれた配列をな
し、コレステリック相を示している。この液晶に光が入
射すると、ヘリカル軸に対して平行な方向から光が入射
した場合、λ=npで示される波長の光を選択反射する
(プレーナ状態)。ここで、λは波長、nは液晶分子の
平均屈折率、pは液晶分子が360°ねじれている距離
(以下、螺旋ピッチと記す)である。一方、ヘリカル軸
に対して垂直な方向から光が入射した場合、光は実質的
に反射することなく透過する(フォーカルコニック状
態)。この選択反射及び透過を利用して表示が行われ
る。なお、液晶のコレステリック相は図1(B)のよう
にも示される。
長手方向(長軸)とそれに垂直な方向(短軸)で屈折率
や誘電率が異なる異方性を有している。液晶分子の長軸
方向の屈折率及び誘電率が短軸方向のそれらよりも大き
い液晶を誘電率異方性が正の液晶と称する。これに対し
て、液晶分子の長軸方向の屈折率が短軸方向のそれより
も大きく、かつ、長軸方向の誘電率が短軸方向のそれよ
りも小さい液晶を誘電率異方性が負の液晶と称する。
を印加するとねじれが解け、液晶分子の長軸(誘電率が
大きい軸)が電界方向と平行な方向に向くように動く。
このねじれが解ける電圧には閾値が存在し、閾値電圧を
Vhとする。
液晶に印加すると、液晶はねじれを解くことなくヘリカ
ル軸が電界方向に対して垂直な方向に向くように動く。
このヘリカル軸を動かす電圧にも閾値が存在し、この閾
値電圧をVfとする。
f<Vhである。また、閾値電圧Vfよりも低い電圧を
液晶に印加しても液晶分子は動くことがない、即ち、ヘ
リカル軸方向が変化することがない。
である液晶表示素子1は、図2に示すように、下側の基
板11に互いに異なる平面位置に配置された電極12
a,12b及び配向制御膜14を設け、上側の基板21
に電極22及び配向制御膜24を設け、基板11,21
間にネマチック液晶にカイラル材を添加して室温でコレ
ステリック相を示すように調製したカイラルネマチック
液晶を挟持した構成からなる。図2においては1単位の
画素の数分の1を概略的に示している。
でコレステリック相を示すものであれば、種々のものを
使用することができ、典型的には、ネマチック液晶にカ
イラル材を添加し、室温でコレステリック液晶相を示す
ようにしたカイラルネマチック液晶が用いられる。カイ
ラル材の添加量は、例えばコレステリック液晶組成物全
体の8〜45重量%とすることができる。市販のものと
しては、例えば、液晶性化合物MLC6080(メルク
社製)、EV31LV(メルク社製)、MN9014
(チッソ社製)のそれぞれにカイラル材R−811、R
−1011、CB15(メルク社製)を単独であるいは
組み合わせて所定量添加したものを使用することができ
る。
ーテルスルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレ
ート(PET)、ポリカーボネート(PC)等のプラス
チックフィルムなど種々のものを使用できる。軽量で薄
いものが好ましい。電極12a,12b,22の材料
は、ITO、IZO等の透明電極材料を使用でき、下側
基板11の電極12a,12bにはAl,Cu等の非透
明電極材料を使用してもよい。電極12a,12bは絶
縁膜13(図5参照)を介して2段に配置してもよい。
配向制御膜14,24は電極12a,12b,22を覆
うように設けられている。絶縁膜13や配向制御膜1
4,24は従来公知の材料を用いることができる。
直交する方向に延在し、かつ、紙面の左右方向に交互に
並べて配置された櫛歯状の電極である。電極22は少な
くとも1画素分の幅を有する図2の左右方向に延在する
電極であり、画像表示面の全体を被覆する全面電極であ
ってもよい。
一で一定に保持するために、必要に応じて、基板11,
21間にスペーサ用の微粒子や、柱状又は壁状の樹脂構
造物が配置される。また、下側の基板11の裏面に可視
光を吸収する光吸収層が設けられる。基板11自体に可
視光吸収機能を持たせてもよい。また、基板11,21
の周囲にはシール材を設けて基板間に液晶を封止するこ
とが好ましい。
て、正の誘電率異方性を有するカイラルネマチック液晶
にあっては、基板11側に設けられた電極12a,12
b間にVhより低くVf以上の電圧差を生じるように駆
動すると、図2(A)に示すように、基板面に平行な横
電界D1が発生し、液晶のヘリカル軸が基板面にほぼ垂
直な方向に向く。即ち、液晶はプレーナ状態になり、所
定波長の選択反射が生じる。
Vhより低くVf以上の電圧差を生じるように駆動する
と、図2(B)に示すように、基板面に垂直な縦電界D
2が発生し、液晶のヘリカル軸が基板面に平行な方向に
向く。即ち、液晶はフォーカルコニック状態になり、光
を透過する。
1,21に設けられる電極12,22は、図2に示した
パターン以外にも種々のパターンを採用することができ
る。要するに、電圧のオン、オフを制御できる複数の電
極が存在し、基板間に形成される電界を基板面に対して
垂直方向及び平行方向に可変できる形態であれば、ヘリ
カル軸を制御して液晶をフォーカルコニック状態及びプ
レーナ状態に切り換えることができる。
1のそれぞれに複数本の電極12a,12b,22a,
22bを互いに対向する位置に設けてもよい。この場
合、電極12a,12b間及び電極22a,22b間に
電圧差を生じるように駆動すると、基板面に平行な横電
界D1が発生する。また、電極12a,22a間、及び
電極12b,22b間に電圧差を生じるように駆動する
と、基板面に垂直な縦電界D2が発生する。
12aと紙面に直交する方向に延在し、かつ、紙面の左
右方向に並べて配置した櫛歯状の電極12bを絶縁膜1
3を介して設け、基板21に幅広の電極22を設けても
よい。この場合、電極12a,12b間に電圧差を生じ
るように駆動すると、基板面に平行な横電界D1が発生
する。また、電極12a,22間に電圧差を生じるよう
に駆動すると、基板面に垂直な縦電界D2が発生する。
b,22の位置関係や距離あるいは印加電圧を変えるこ
とにより、発生する電界の方向や強度を調整することが
できる。例えば、電極12a,12bの間隔を小さくす
ると、その間に発生する電界の強度は大きくなる。電極
間距離は、駆動電圧と関係するため液晶の物性や液晶表
示素子の構成等に応じて最適化することが望ましい。
5参照)ここで、前記第1実施形態の図4に示す構成に
おいて、基板11,21に設けられる電極12a,12
b,22の一構成例を図5に示す。
の一辺の大きさに対応する長さの微細な櫛歯状電極とし
て形成され、信号電極12bは1画素の他辺の大きさに
対応してグループ分けされた微細な櫛歯状電極として形
成されている。基板21に設けたリセット電極22は画
像表示領域に対応する全面電極として形成されている。
5,26を介して走査信号/リセット信号駆動回路27
に接続されている。この走査信号/リセット信号駆動回
路27には走査電極12aも接続されている。また、信
号電極12bはデータ信号駆動回路29に接続されてい
る。
には、正の誘電率異方性を有するカイラルネマチック液
晶に対して、まず、走査電極12aとリセット電極22
との間にVhより低くVf以上の電圧差を生じさせる。
これにて、液晶のヘリカル軸が基板面にほぼ平行な方向
に向き、全画素の液晶がフォーカルコニック状態にリセ
ットされる。
電極12aと信号電極12bとの間にVhより低くVf
以上の電圧差を生じさせる。これにて、液晶のヘリカル
軸が基板面にほぼ垂直な方向に向き、電圧が印加された
画素の液晶のみがプレーナ状態に変化する。この画像書
込み駆動は、走査電極12aを1ラインずつ選択しなが
ら信号電極12bへ画像データに基づいてパルス信号を
付与する単純マトリクス駆動方式による。
象となっていない画素(液晶)に対しても駆動回路から
供給される電圧(クロストーク電圧)が印加される。し
かし、このクロストーク電圧を閾値電圧Vfより低く抑
えれば、液晶の状態が変化することはない。
前述した一括リセット方式で駆動する以外に、走査電極
12aを画素の1ラインずつ複数本あるいは複数ライン
を同時にリセットしてからヘリカル軸を目的とする方向
に変化させる分割リセット方式で駆動することもでき
る。また、リセットさせることなく各画素ごとにヘリカ
ル軸を目的の方向にセットしていく個別駆動方式でも駆
動可能である。
照)誘電率異方性が正である液晶はフォーカルコニック
状態からプレーナ状態に相転移する効率が低い。ここ
で、その理由及び効率を上げる方法について説明する。
6に示すように、液晶分子の向きが一定の方向に揃って
いる平面が分子の方向を少しずつねじりながら積み重な
っている。未処理の配向制御膜が設けられた液晶表示素
子においては、通常、フォーカルコニック状態にある誘
電率異方性が正の液晶は、ヘリカル軸が基板面に平行に
位置しているが、平面的に観察した場合、図7(A)、
図8(A)、図9(A)に示すような、色々な方向を向
く微小領域(ドメイン)が一つの素子内に多数存在して
おり、ヘリカル軸の方向はランダムである。なお、図7
〜図9は、代表的に一つの螺旋構造のみを模式的に図示
している。
電界D1と直交する方向に位置している液晶分子は、横
電界D1を印加しても螺旋構造が転がるような状態とな
って、プレーナ状態に起き上がることはない。一方、図
8に示すように、ヘリカル軸が横電界D1と平行に位置
している液晶分子は、横電界D1が効果的に作用して起
き上がる。従って、配向制御膜14にフォーカルコニッ
ク状態の液晶分子の長軸方向が横電界D1と直交する方
向に向くような、換言すれば、ヘリカル軸が横電界D1
の向きに一致するような配向処理を施せば、プレーナ状
態への変化効率が向上し、反射率が上昇する。
り、それらを採用することができるが、ラビング処理あ
るいは光配向法を採用することが好ましい。光配向法
は、光二量化反応、光異性化反応又は光分解反応等何れ
も公知の方法を用いて配向制御膜の表面に異方性を誘起
し、液晶分子を配向させる。
の方法として、フォーカルコニック状態にある液晶にね
じれが解ける閾値電圧以上の電圧を印加してもよい。図
9(B)に示すように、一旦ねじれが解けた液晶分子
は、電圧の印加を停止した瞬間にカイラル材のねじれ効
果により螺旋状にねじれる。このとき、配向制御膜14
の作用によって液晶はプレーナ状態になり、プレーナ状
態への変化効率は良好であり、反射率が上昇する。
は必ずしも完全に解ける必要はなく、一旦、少なくとも
ねじれが部分的に解けた状態になればよく、要するに、
液晶の螺旋ピッチがフォーカルコニック状態での螺旋ピ
ッチよりも長くなるような横電界D1を印加すればよ
い。
と、後者の少なくとも部分的にねじれが解ける閾値電圧
以上の電圧を印加する方法とを組み合わせれば、液晶の
プレーナ状態への変化効率はより向上する。
に製作し、駆動実験を行った液晶表示装置について説明
する。
は、図5に示した電極構成を有する液晶表示装置であ
り、ポリカーボネートフィルムからなる基板11にIT
O膜を形成し、フォトリソグラフィ法で電極12a,1
2bをパターニングした。電極12a,12bの間隙は
5μmとした。配向制御膜14はJSR社製:AL82
54を用いてフレキソ印刷により形成した。
基板21にITO膜を形成し、フォトリソグラフィ法で
電極22を設けた。配向制御膜24はJSR社製:AL
8254を用いてフレキソ印刷により形成した。
ク液晶及びギャップ保持部材を挟持した状態に貼り合わ
せ、液晶パネルを製作した。ギャップ保持部材には、基
板間隔が狭くなるのを防止するために粒径10μmの積
水ファインケミカル社製:ミクロパールを用い、基板間
隔が広がるのを防止するためにウレタン系の接着剤を用
いて、スペーサ径より若干高い高さの柱状樹脂構造物を
格子状に配置した。また、基板の周縁部をシール材によ
って封止した。
の条件にて、フォーカルコニック状態の液晶のヘリカル
軸が横電界の方向に一致するようにラビング処理を施
し、ラビング処理後に洗浄し、乾燥させた。 ラビングローラ材質:レーヨン ラビングローラ径:60mm ラビングローラ回転数:50rpm ラビングローラ押込み量:0.3mm テーブル速度(基板に対するローラの相対送り速度):
100m/分
化合物MN9014(チッソ社製)70重量部にカイラ
ル材CB15(メルク社製)30重量部を添加し、正の
誘電率異方性を有する液晶組成物を調製して用いた。
示装置において、フォカールコニック状態にある液晶
に、間隔5μmの電極12a,12b間に電圧60Vを
印加して横電界D1を発生させた。フォーカルコニック
状態での反射率は8%であり、前記ラビング処理を施し
た液晶表示装置にあっては、プレーナ状態へ変化後の反
射率は35%であった。一方、同じ構成の液晶表示装置
でラビング処理を施していない場合、プレーナ状態へ変
化後の反射率は25%であった。
し、同じ液晶組成物を一対の基板間に挟持した液晶表示
装置を製作した。なお、配向制御膜14,24に対して
は直線偏光した紫外線(波長:365nm、露光量:1
00〜300J/cm2)を照射して光配向法による配
向処理を行った。
ニック状態にある液晶に、間隔5μmの電極12a,1
2b間に電圧60Vを印加して横電界D1を発生させ
た。フォーカルコニック状態での反射率は8%であり、
前記光配向法での処理を施した液晶表示装置にあって
は、プレーナ状態へ変化後の反射率は30%であった。
一方、同じ構成の液晶表示装置で配向処理を施していな
い場合、プレーナ状態へ変化後の反射率は25%であっ
た。
し、同じ液晶組成物を一対の基板間に挟持した液晶表示
装置を製作した。なお、配向制御膜14,24に対して
は配向処理を行わなかった。
ニック状態にある液晶に、間隔5μmの電極12a,1
2b間に、液晶分子のねじれが解ける電圧90Vを印加
して横電界D1を発生させた。フォーカルコニック状態
での反射率は8%であり、電圧90Vを印加した場合の
プレーナ状態へ変化後の反射率は30%であった。一
方、同じ構成の液晶表示装置でねじれが解ける閾値以下
の電圧60Vを印加した場合、プレーナ状態へ変化後の
反射率は25%であった。
し、同じ液晶組成物を一対の基板間に挟持した液晶表示
装置を製作した。配向制御膜14,24に対して実験例
1と同様にラビング処理を施した。
ニック状態にある液晶に、間隔5μmの電極12a,1
2b間に、液晶分子のねじれが解ける電圧90Vを印加
して横電界D1を発生させた。フォーカルコニック状態
での反射率は8%であり、電圧90Vを印加した場合の
プレーナ状態への変化後の反射率は38%であった。
表示装置は前記各実施形態に限定するものではなく、そ
の要旨の範囲内で種々に変更することができる。
で示した表示素子の1層で構成したもの、R,G,Bの
各選択反射を行う表示素子を3層に積層したもの(フル
カラー表示)、あるいは任意の波長の選択反射を行う表
示素子を2層に積層したものなどで構成することができ
る。さらに、駆動回路の内部構成、その組合せは任意で
ある。
の液晶表示素子を例に挙げているが、画素ごとにスイッ
チング素子(例えば、TFT:Thin Film Transistor
や、TFD:Thin Film Diode)を有するアクティブ
マトリクス型の液晶表示素子においても本発明を適用で
きる。
4に示した以外に種々の構成を採用することができ、要
するに、複数の電極間に少なくとも二つの方向の電界を
形成可能であれば、液晶のヘリカル軸方向を制御するこ
とが可能である。
面図で、(A)は基板面に平行な横電界を発生させた状
態、(B)は基板面に垂直な縦電界を発生させた状態を
示す。
図。
図。
ーナ状態へ変化しにくい場合の説明図。
ーナ状態へ変化しやすい場合の一例を示す説明図。
ーナ状態へ変化しやすい場合の他の例を示す説明図。
Claims (5)
- 【請求項1】 一対の基板と、 前記基板間に挟持され、誘電率異方性が正であるコレス
テリック相を示す液晶と、 前記基板に対してほぼ垂直方向及びほぼ平行方向の電界
を選択的に印加可能な電極と、 フォーカルコニック状態にある前記液晶のヘリカル軸
を、基板に対してほぼ平行方向の電界の向きに一致させ
る配向制御手段と、 を備えたことを特徴とする液晶表示装置。 - 【請求項2】 前記液晶をフォーカルコニック状態から
プレーナ状態に変化させる際に基板に対してほぼ平行方
向に印加される電界が、液晶の螺旋ピッチをフォーカル
コニック状態での螺旋ピッチよりも長くさせるものであ
ることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。 - 【請求項3】 前記配向制御手段はラビング処理又は光
配向処理のうち少なくとも一方が施された配向制御膜で
あることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の液晶
表示装置。 - 【請求項4】 一対の基板と、 前記基板間に挟持され、誘電率異方性が正であるコレス
テリック相を示す液晶と、 前記基板に対してほぼ垂直方向及びほぼ平行方向の電界
を選択的に印加可能な電極と、を備え、 前記液晶をフォーカルコニック状態からプレーナ状態に
変化させる際に基板に対してほぼ平行方向に印加される
電界が、液晶の螺旋ピッチをフォーカルコニック状態で
の螺旋ピッチよりも長くさせるものであること、 を特徴とする液晶表示装置。 - 【請求項5】 前記電極に電圧を印加することにより駆
動を行う駆動手段をさらに備えていることを特徴とする
請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載の液晶
表示装置。
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