JP3915490B2 - 液晶表示装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液晶表示装置、特に、一対の基板間にコレステリック相を示す液晶を挟持し、該液晶の選択反射を利用して表示を行う液晶表示装置に関する。
【0002】
【発明の背景】
近年、種々の液晶表示素子が開発、提供されている。そのなかで反射型液晶表示素子は、環境光(外部の光)を反射することにより表示を行うため、バックライトを必要とする透過型液晶表示素子に比べて少ない消費電力で表示が可能であり、この利点を活かして携帯電話やモバイル機器などの表示部に採用されている。また、さらなる低消費電力化の研究開発も盛んに行われ、メモリ性を有する反射型液晶表示素子等が提案されている。
【0003】
【従来の技術】
メモリ性を有する反射型液晶表示素子の動作モードとしては、テクニカルペーパーSID国際シンポジューム要約(SID International Symposium Digest of Technical Paper)第29巻、897頁に開示されている。この動作モードは、カイラルネマチック液晶の配向状態をプレーナ状態(光の選択反射状態)及びフォーカルコニック状態(光の透過状態)のいずれかに切り換えて表示を行う方式である。プレーナ状態及びフォーカルコニック状態は、それぞれ安定な状態であるため、一旦液晶をいずれかの状態にセットすれば、外力が加わらない限り、半永久的にその状態を維持する。即ち、画像を一旦表示すれば電源を切っても表示された画像がそのまま維持されるメモリ性を備えた反射型液晶表示素子として有用である。
【0004】
前記文献に記載されている反射型液晶表示素子は、それぞれ電極を備えた一対の基板間に正の誘電率異方性を有するカイラルネマチック液晶を挟持した構成であり、電極によって基板に対して垂直方向に電界を作用させ、その電界の強度及び/又は印加時間を制御することにより、液晶を所定の状態(プレーナ状態及びフォーカルコニック状態)に変化させる。
【0005】
液晶にそのねじれを解くための閾値電圧以上の電圧を充分な時間印加すると、液晶は全てホメオトロピック状態(液晶分子の長軸方向が基板に対して垂直な状態)になる。この状態は、メモリ性がないために電界を消去すると、液晶はねじれた配列になる。ホメオトロピック状態から、電界を急激に消去した場合はプレーナ状態になり、電界を徐々に消去した場合はフォーカルコニック状態になる。
【0006】
また、フォーカルコニック状態の液晶に、そのねじれを解くための閾値電圧以上のパルス電圧(一部の液晶がホメオトロピック状態になるパルス幅の電圧)を印加した場合、ホメオトロピック状態になった液晶は、パルス電圧の印加終了後にプレーナ状態になる。パルス電圧の幅及び/又は電圧の高さを制御することにより、プレーナ状態となる液晶の割合を調整(中間調を表示)することができる。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、カイラルネマチック液晶を用いた前記液晶表示素子においては、画像更新時の駆動電圧が高いという問題点を有している。即ち、カイラルネマチック液晶は理論上50%の反射率を示すが、液晶層が薄い場合は50%未満に低下する。特に、螺旋ピッチの長い赤色を選択反射する液晶では反射率の低下が顕著である。そのため液晶層の厚み(特に、赤色の選択反射を行う液晶層の厚み)を、十分な反射率が得られるように厚く設定する必要があり、その結果として駆動電圧が高くなる。
【0008】
そこで、本発明者らは、基板に対してほぼ垂直方向及びほぼ平行方向の電界を選択的に印加して液晶の状態を変化させる駆動方法での実用化を検討した。この駆動方法では、基板面に垂直な縦電界を印加して液晶をフォーカルコニック状態に一括してリセットした後、画像を表示すべき画素ごとに基板面に平行な横電界を印加して液晶をプレーナ状態に変化させる。この駆動方法によれば、横電界を印加する電極間距離を加工上可能な限り近接させることで、反射率を低下させることなく駆動電圧を低減するのに有利な構成となる。
【0009】
しかし、前記駆動方法では、フォーカルコニック状態からプレーナ状態へ相転移する際の変化効率が低いことが判明した。
【0010】
そこで、本発明の目的は、画像更新時の駆動電圧が低く、かつ、フォーカルコニック状態からプレーナ状態への変化効率が良好な液晶表示装置を提供することにある。
【0011】
【発明の構成、作用及び効果】
以上の目的を達成するため、第1の発明に係る液晶表示装置は、一対の基板と、該基板間に挟持され、誘電率異方性が正であるコレステリック相を示す液晶と、前記基板に対してほぼ垂直方向及びほぼ平行方向の電界を選択的に印加可能な電極と、前記液晶をフォーカルコニック状態からプレーナ状態に変化させる際に、フォーカルコニック状態にある前記液晶のヘリカル軸を、基板に対してほぼ平行方向の電界の向きに一致させる配向制御手段とを備えたことを特徴とする。
【0012】
また、第2の発明に係る液晶表示装置は、一対の基板と、該基板間に挟持され、誘電率異方性が正であるコレステリック相を示す液晶と、前記基板に対してほぼ垂直方向及びほぼ平行方向の電界を選択的に印加可能な電極と、を備え、前記液晶をフォーカルコニック状態からプレーナ状態に変化させる際に基板に対してほぼ平行方向に印加される電界が、液晶の螺旋ピッチをフォーカルコニック状態での螺旋ピッチよりも長くさせるものであることを特徴とする。
【0013】
誘電率異方性が正のコレステリック相を示す液晶に充分に高い電圧を印加すると、液晶分子のねじれが解けてヘリカル軸が電界方向と直交する方向に向く。液晶分子のねじれが解ける電圧には閾値が存在する。また、閾値電圧以下の電圧を印加すると、液晶はねじれを解くことなくヘリカル軸が電界印加方向と直交する方向に向く。
【0014】
このように、電界の印加方向を変更することで、液晶のヘリカル軸が基板に対してほぼ垂直方向及びほぼ水平方向に変化し、液晶をプレーナ状態とフォーカルコニック状態との間で直接的に変化させることができる。また、前記閾値電圧以下の電圧を印加すると、液晶はホメオトロピック状態を経ることなく、プレーナ状態とフォーカルコニック状態との間で直接的に変化し、従来よりも低電圧で駆動することができる。この場合は、画像更新時にホメオトロピック状態を経ないため、画面全体が瞬間的に黒くなって画質が劣化する不具合は生じない。
【0015】
ところで、配向制御膜が設けられた液晶表示素子において、フォーカルコニック状態にある液晶は、通常、ヘリカル軸が基板面にほぼ平行になっているが、平面的に観察した場合、ヘリカル軸の方向はランダムであり、この点が基板面に平行な横電界を印加しても全ての液晶分子がプレーナ状態に変化せず、変化効率が悪い原因であると考えられる。
【0016】
そこで、第1の発明に係る液晶表示装置では、配向制御手段によって、フォーカルコニック状態にある液晶のヘリカル軸を基板に対してほぼ平行方向の電界の向きに一致させるようにしたため、横電界がより多くの液晶分子に効果的に作用するものと考えられ、液晶のプレーナ状態への変化効率が向上し、その結果プレーナ状態での反射率が上昇する。
【0017】
前記配向制御手段は、種々の配向処理を施した配向制御膜を用いることができ、ラビング処理された配向制御膜、あるいは、光配向処理された配向制御膜を用いることが好ましい。
【0018】
また、第2の発明に係る液晶表示装置では、液晶をフォーカルコニック状態からプレーナ状態に変化させる際に基板に対してほぼ平行方向に印加される電界が、液晶の螺旋ピッチをフォーカルコニック状態での螺旋ピッチよりも長くさせるようにしたため、ねじれが部分的にあるいは完全に解けた状態となり、電界の印加が停止された瞬間にねじれが生じてプレーナ状態となる。このような状態変化はより多くの液晶のヘリカル軸を基板に対してほぼ垂直方向に変化させ、液晶のプレーナ状態への変化効率が向上し、その結果プレーナ状態での反射率が上昇する。
【0019】
また、前記第1及び第2の発明の特徴点を組み合わせてもよい。即ち、フォーカルコニック状態にある液晶のヘリカル軸を基板に対してほぼ平行方向の電界の向きに一致させる配向制御手段を備え、かつ、液晶をフォーカルコニック状態からプレーナ状態に変化させる際に基板に対してほぼ平行方向に印加される電界が液晶の螺旋ピッチをフォーカルコニック状態での螺旋ピッチよりも長くさせるように構成してもよい。これにて、液晶のプレーナ状態への変化効率がより向上し、プレーナ状態での反射率がより上昇する。
【0020】
第1及び第2の発明に係る液晶表示装置において、前記電極には、同一基板上の互いに異なる平面位置に配置された少なくとも一組の電極が含まれていてもよい。この一組の電極間に横電界を容易に発生させることができる。このような電極の例として、入れ子に配置された一組の櫛歯状電極を挙げることができる。
【0021】
さらに、第1及び第2の発明に係る液晶表示装置には、前記電極に電圧を印加することにより駆動を行う駆動手段を備えることができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る液晶表示装置の実施形態について、添付図面を参照して説明する。
【0023】
(原理的説明、図1参照)
本発明に係る液晶表示装置は、表示媒体としてコレステリック相を示す液晶を用いており、この種の液晶としてはカイラルネマチック液晶が代表的なものである。
【0024】
カイラルネマチック液晶はネマチック液晶に所定量のカイラル材を添加することによって得られる。このカイラルネマチック液晶は、図1(A)に示すように、一般的に、棒状の液晶分子がねじれた配列をなし、コレステリック相を示している。この液晶に光が入射すると、ヘリカル軸に対して平行な方向から光が入射した場合、λ=npで示される波長の光を選択反射する(プレーナ状態)。ここで、λは波長、nは液晶分子の平均屈折率、pは液晶分子が360°ねじれている距離(以下、螺旋ピッチと記す)である。一方、ヘリカル軸に対して垂直な方向から光が入射した場合、光は実質的に反射することなく透過する(フォーカルコニック状態)。この選択反射及び透過を利用して表示が行われる。なお、液晶のコレステリック相は図1(B)のようにも示される。
【0025】
ところで、液晶分子は棒状であるが、その長手方向(長軸)とそれに垂直な方向(短軸)で屈折率や誘電率が異なる異方性を有している。液晶分子の長軸方向の屈折率及び誘電率が短軸方向のそれらよりも大きい液晶を誘電率異方性が正の液晶と称する。これに対して、液晶分子の長軸方向の屈折率が短軸方向のそれよりも大きく、かつ、長軸方向の誘電率が短軸方向のそれよりも小さい液晶を誘電率異方性が負の液晶と称する。
【0026】
誘電率異方性が正の液晶に十分に高い電圧を印加するとねじれが解け、液晶分子の長軸(誘電率が大きい軸)が電界方向と平行な方向に向くように動く。このねじれが解ける電圧には閾値が存在し、閾値電圧をVhとする。
【0027】
また、前記閾値電圧Vhよりも低い電圧を液晶に印加すると、液晶はねじれを解くことなくヘリカル軸が電界方向に対して垂直な方向に向くように動く。このヘリカル軸を動かす電圧にも閾値が存在し、この閾値電圧をVfとする。
【0028】
これらの閾値電圧Vh,Vfの関係は、Vf<Vhである。また、閾値電圧Vfよりも低い電圧を液晶に印加しても液晶分子は動くことがない、即ち、ヘリカル軸方向が変化することがない。
【0029】
(第1実施形態、図2参照)
第1実施形態である液晶表示素子1は、図2に示すように、下側の基板11に互いに異なる平面位置に配置された電極12a,12b及び配向制御膜14を設け、上側の基板21に電極22及び配向制御膜24を設け、基板11,21間にネマチック液晶にカイラル材を添加して室温でコレステリック相を示すように調製したカイラルネマチック液晶を挟持した構成からなる。図2においては1単位の画素の数分の1を概略的に示している。
【0030】
液晶としては、誘電率異方性が正で、室温でコレステリック相を示すものであれば、種々のものを使用することができ、典型的には、ネマチック液晶にカイラル材を添加し、室温でコレステリック液晶相を示すようにしたカイラルネマチック液晶が用いられる。カイラル材の添加量は、例えばコレステリック液晶組成物全体の8〜45重量%とすることができる。市販のものとしては、例えば、液晶性化合物MLC6080(メルク社製)、EV31LV(メルク社製)、MN9014(チッソ社製)のそれぞれにカイラル材R−811、R−1011、CB15(メルク社製)を単独であるいは組み合わせて所定量添加したものを使用することができる。
【0031】
基板11,21の材料は、ガラスやポリエーテルスルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)等のプラスチックフィルムなど種々のものを使用できる。軽量で薄いものが好ましい。電極12a,12b,22の材料は、ITO、IZO等の透明電極材料を使用でき、下側基板11の電極12a,12bにはAl,Cu等の非透明電極材料を使用してもよい。電極12a,12bは絶縁膜13(図5参照)を介して2段に配置してもよい。配向制御膜14,24は電極12a,12b,22を覆うように設けられている。絶縁膜13や配向制御膜14,24は従来公知の材料を用いることができる。
【0032】
なお、電極12a,12bは図2の紙面と直交する方向に延在し、かつ、紙面の左右方向に交互に並べて配置された櫛歯状の電極である。電極22は少なくとも1画素分の幅を有する図2の左右方向に延在する電極であり、画像表示面の全体を被覆する全面電極であってもよい。
【0033】
さらに、基板11,21間のギャップを均一で一定に保持するために、必要に応じて、基板11,21間にスペーサ用の微粒子や、柱状又は壁状の樹脂構造物が配置される。また、下側の基板11の裏面に可視光を吸収する光吸収層が設けられる。基板11自体に可視光吸収機能を持たせてもよい。また、基板11,21の周囲にはシール材を設けて基板間に液晶を封止することが好ましい。
【0034】
以上の構成からなる液晶表示素子1において、正の誘電率異方性を有するカイラルネマチック液晶にあっては、基板11側に設けられた電極12a,12b間にVhより低くVf以上の電圧差を生じるように駆動すると、図2(A)に示すように、基板面に平行な横電界D1が発生し、液晶のヘリカル軸が基板面にほぼ垂直な方向に向く。即ち、液晶はプレーナ状態になり、所定波長の選択反射が生じる。
【0035】
一方、電極12a,12bと電極22間にVhより低くVf以上の電圧差を生じるように駆動すると、図2(B)に示すように、基板面に垂直な縦電界D2が発生し、液晶のヘリカル軸が基板面に平行な方向に向く。即ち、液晶はフォーカルコニック状態になり、光を透過する。
【0036】
(変形例、図3,4参照)
一対の基板11,21に設けられる電極12,22は、図2に示したパターン以外にも種々のパターンを採用することができる。要するに、電圧のオン、オフを制御できる複数の電極が存在し、基板間に形成される電界を基板面に対して垂直方向及び平行方向に可変できる形態であれば、ヘリカル軸を制御して液晶をフォーカルコニック状態及びプレーナ状態に切り換えることができる。
【0037】
例えば、図3に示すように、基板11,21のそれぞれに複数本の電極12a,12b,22a,22bを互いに対向する位置に設けてもよい。この場合、電極12a,12b間及び電極22a,22b間に電圧差を生じるように駆動すると、基板面に平行な横電界D1が発生する。また、電極12a,22a間、及び電極12b,22b間に電圧差を生じるように駆動すると、基板面に垂直な縦電界D2が発生する。
【0038】
また、図4に示すように、基板11に電極12aと紙面に直交する方向に延在し、かつ、紙面の左右方向に並べて配置した櫛歯状の電極12bを絶縁膜13を介して設け、基板21に幅広の電極22を設けてもよい。この場合、電極12a,12b間に電圧差を生じるように駆動すると、基板面に平行な横電界D1が発生する。また、電極12a,22間に電圧差を生じるように駆動すると、基板面に垂直な縦電界D2が発生する。
【0039】
図2,3,4に示した電極12a,12b,22の位置関係や距離あるいは印加電圧を変えることにより、発生する電界の方向や強度を調整することができる。例えば、電極12a,12bの間隔を小さくすると、その間に発生する電界の強度は大きくなる。電極間距離は、駆動電圧と関係するため液晶の物性や液晶表示素子の構成等に応じて最適化することが望ましい。
【0040】
(単純マトリクス駆動用の電極構成例、図5参照)
ここで、前記第1実施形態の図4に示す構成において、基板11,21に設けられる電極12a,12b,22の一構成例を図5に示す。
【0041】
基板11に設けた走査電極12aは1画素の一辺の大きさに対応する長さの微細な櫛歯状電極として形成され、信号電極12bは1画素の他辺の大きさに対応してグループ分けされた微細な櫛歯状電極として形成されている。基板21に設けたリセット電極22は画像表示領域に対応する全面電極として形成されている。
【0042】
リセット電極22はコンタクトライン25,26を介して走査信号/リセット信号駆動回路27に接続されている。この走査信号/リセット信号駆動回路27には走査電極12aも接続されている。また、信号電極12bはデータ信号駆動回路29に接続されている。
【0043】
表示を新たに書き込む場合や更新する場合には、正の誘電率異方性を有するカイラルネマチック液晶に対して、まず、走査電極12aとリセット電極22との間にVhより低くVf以上の電圧差を生じさせる。これにて、液晶のヘリカル軸が基板面にほぼ平行な方向に向き、全画素の液晶がフォーカルコニック状態にリセットされる。
【0044】
次に、画像を書き込む画素に対して、走査電極12aと信号電極12bとの間にVhより低くVf以上の電圧差を生じさせる。これにて、液晶のヘリカル軸が基板面にほぼ垂直な方向に向き、電圧が印加された画素の液晶のみがプレーナ状態に変化する。この画像書込み駆動は、走査電極12aを1ラインずつ選択しながら信号電極12bへ画像データに基づいてパルス信号を付与する単純マトリクス駆動方式による。
【0045】
なお、単純マトリクス駆動の場合、駆動対象となっていない画素(液晶)に対しても駆動回路から供給される電圧(クロストーク電圧)が印加される。しかし、このクロストーク電圧を閾値電圧Vfより低く抑えれば、液晶の状態が変化することはない。
【0046】
ところで、図5に示した電極構成例では、前述した一括リセット方式で駆動する以外に、走査電極12aを画素の1ラインずつ複数本あるいは複数ラインを同時にリセットしてからヘリカル軸を目的とする方向に変化させる分割リセット方式で駆動することもできる。また、リセットさせることなく各画素ごとにヘリカル軸を目的の方向にセットしていく個別駆動方式でも駆動可能である。
【0047】
(プレーナ状態への変化効率、図6〜9参照)
誘電率異方性が正である液晶はフォーカルコニック状態からプレーナ状態に相転移する効率が低い。ここで、その理由及び効率を上げる方法について説明する。
【0048】
カイラルネマチック液晶の分子配列は、図6に示すように、液晶分子の向きが一定の方向に揃っている平面が分子の方向を少しずつねじりながら積み重なっている。未処理の配向制御膜が設けられた液晶表示素子においては、通常、フォーカルコニック状態にある誘電率異方性が正の液晶は、ヘリカル軸が基板面に平行に位置しているが、平面的に観察した場合、図7(A)、図8(A)、図9(A)に示すような、色々な方向を向く微小領域(ドメイン)が一つの素子内に多数存在しており、ヘリカル軸の方向はランダムである。なお、図7〜図9は、代表的に一つの螺旋構造のみを模式的に図示している。
【0049】
特に、図7に示すように、ヘリカル軸が横電界D1と直交する方向に位置している液晶分子は、横電界D1を印加しても螺旋構造が転がるような状態となって、プレーナ状態に起き上がることはない。一方、図8に示すように、ヘリカル軸が横電界D1と平行に位置している液晶分子は、横電界D1が効果的に作用して起き上がる。従って、配向制御膜14にフォーカルコニック状態の液晶分子の長軸方向が横電界D1と直交する方向に向くような、換言すれば、ヘリカル軸が横電界D1の向きに一致するような配向処理を施せば、プレーナ状態への変化効率が向上し、反射率が上昇する。
【0050】
配向処理は従来種々の方法が知られており、それらを採用することができるが、ラビング処理あるいは光配向法を採用することが好ましい。光配向法は、光二量化反応、光異性化反応又は光分解反応等何れも公知の方法を用いて配向制御膜の表面に異方性を誘起し、液晶分子を配向させる。
【0051】
プレーナ状態への変化効率を向上させる他の方法として、フォーカルコニック状態にある液晶にねじれが解ける閾値電圧以上の電圧を印加してもよい。図9(B)に示すように、一旦ねじれが解けた液晶分子は、電圧の印加を停止した瞬間にカイラル材のねじれ効果により螺旋状にねじれる。このとき、配向制御膜14の作用によって液晶はプレーナ状態になり、プレーナ状態への変化効率は良好であり、反射率が上昇する。
【0052】
なお、後者の方法において、液晶のねじれは必ずしも完全に解ける必要はなく、一旦、少なくともねじれが部分的に解けた状態になればよく、要するに、液晶の螺旋ピッチがフォーカルコニック状態での螺旋ピッチよりも長くなるような横電界D1を印加すればよい。
【0053】
また、前者の配向制御膜に対する配向処理と、後者の少なくとも部分的にねじれが解ける閾値電圧以上の電圧を印加する方法とを組み合わせれば、液晶のプレーナ状態への変化効率はより向上する。
【0054】
(実験例の説明)
次に、本発明者らが実際に製作し、駆動実験を行った液晶表示装置について説明する。
【0055】
(実験例1)
実験例1として製作したのは、図5に示した電極構成を有する液晶表示装置であり、ポリカーボネートフィルムからなる基板11にITO膜を形成し、フォトリソグラフィ法で電極12a,12bをパターニングした。電極12a,12bの間隙は5μmとした。配向制御膜14はJSR社製:AL8254を用いてフレキソ印刷により形成した。
【0056】
一方、ポリカーボネートフィルムからなる基板21にITO膜を形成し、フォトリソグラフィ法で電極22を設けた。配向制御膜24はJSR社製:AL8254を用いてフレキソ印刷により形成した。
【0057】
前記基板11,21は、カイラルネマチック液晶及びギャップ保持部材を挟持した状態に貼り合わせ、液晶パネルを製作した。ギャップ保持部材には、基板間隔が狭くなるのを防止するために粒径10μmの積水ファインケミカル社製:ミクロパールを用い、基板間隔が広がるのを防止するためにウレタン系の接着剤を用いて、スペーサ径より若干高い高さの柱状樹脂構造物を格子状に配置した。また、基板の周縁部をシール材によって封止した。
【0058】
前記配向制御膜14,24に対しては以下の条件にて、フォーカルコニック状態の液晶のヘリカル軸が横電界の方向に一致するようにラビング処理を施し、ラビング処理後に洗浄し、乾燥させた。
ラビングローラ材質:レーヨン
ラビングローラ径:60mm
ラビングローラ回転数:50rpm
ラビングローラ押込み量:0.3mm
テーブル速度(基板に対するローラの相対送り速度):100m/分
【0059】
カイラルネマチック液晶としては、液晶性化合物MN9014(チッソ社製)70重量部にカイラル材CB15(メルク社製)30重量部を添加し、正の誘電率異方性を有する液晶組成物を調製して用いた。
【0060】
前記液晶組成物を基板間に挟持した液晶表示装置において、フォカールコニック状態にある液晶に、間隔5μmの電極12a,12b間に電圧60Vを印加して横電界D1を発生させた。フォーカルコニック状態での反射率は8%であり、前記ラビング処理を施した液晶表示装置にあっては、プレーナ状態へ変化後の反射率は35%であった。一方、同じ構成の液晶表示装置でラビング処理を施していない場合、プレーナ状態へ変化後の反射率は25%であった。
【0061】
(実験例2)
前記実験例1と同じ構成を有し、同じ液晶組成物を一対の基板間に挟持した液晶表示装置を製作した。なお、配向制御膜14,24に対しては直線偏光した紫外線(波長:365nm、露光量:100〜300J/cm2)を照射して光配向法による配向処理を行った。
【0062】
この液晶表示装置において、フォカールコニック状態にある液晶に、間隔5μmの電極12a,12b間に電圧60Vを印加して横電界D1を発生させた。フォーカルコニック状態での反射率は8%であり、前記光配向法での処理を施した液晶表示装置にあっては、プレーナ状態へ変化後の反射率は30%であった。一方、同じ構成の液晶表示装置で配向処理を施していない場合、プレーナ状態へ変化後の反射率は25%であった。
【0063】
(実験例3)
前記実験例1と同じ構成を有し、同じ液晶組成物を一対の基板間に挟持した液晶表示装置を製作した。なお、配向制御膜14,24に対しては配向処理を行わなかった。
【0064】
この液晶表示装置において、フォカールコニック状態にある液晶に、間隔5μmの電極12a,12b間に、液晶分子のねじれが解ける電圧90Vを印加して横電界D1を発生させた。フォーカルコニック状態での反射率は8%であり、電圧90Vを印加した場合のプレーナ状態へ変化後の反射率は30%であった。一方、同じ構成の液晶表示装置でねじれが解ける閾値以下の電圧60Vを印加した場合、プレーナ状態へ変化後の反射率は25%であった。
【0065】
(実験例4)
前記実験例1と同じ構成を有し、同じ液晶組成物を一対の基板間に挟持した液晶表示装置を製作した。配向制御膜14,24に対して実験例1と同様にラビング処理を施した。
【0066】
この液晶表示装置において、フォーカルコニック状態にある液晶に、間隔5μmの電極12a,12b間に、液晶分子のねじれが解ける電圧90Vを印加して横電界D1を発生させた。フォーカルコニック状態での反射率は8%であり、電圧90Vを印加した場合のプレーナ状態への変化後の反射率は38%であった。
【0067】
(他の実施形態)
なお、本発明に係る液晶表示装置は前記各実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。
【0068】
特に、表示装置としては、前記各実施形態で示した表示素子の1層で構成したもの、R,G,Bの各選択反射を行う表示素子を3層に積層したもの(フルカラー表示)、あるいは任意の波長の選択反射を行う表示素子を2層に積層したものなどで構成することができる。さらに、駆動回路の内部構成、その組合せは任意である。
【0069】
また、前記実施形態では単純マトリクス型の液晶表示素子を例に挙げているが、画素ごとにスイッチング素子(例えば、TFT:Thin Film Transistorや、TFD:Thin Film Diode)を有するアクティブマトリクス型の液晶表示素子においても本発明を適用できる。
【0070】
また、電極の構成に関しては、図2,3,4に示した以外に種々の構成を採用することができ、要するに、複数の電極間に少なくとも二つの方向の電界を形成可能であれば、液晶のヘリカル軸方向を制御することが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】カイラルネマチック液晶の説明図。
【図2】本発明の第1実施形態である液晶表示素子の断面図で、(A)は基板面に平行な横電界を発生させた状態、(B)は基板面に垂直な縦電界を発生させた状態を示す。
【図3】第1の変形例である液晶表示素子の断面図。
【図4】第2の変形例である液晶表示素子の断面図。
【図5】単純マトリクス駆動用の電極構成例を示す斜視図。
【図6】カイラルネマチック液晶分子の配列を示す説明図。
【図7】フォーカルコニック状態にある液晶分子がプレーナ状態へ変化しにくい場合の説明図。
【図8】フォーカルコニック状態にある液晶分子がプレーナ状態へ変化しやすい場合の一例を示す説明図。
【図9】フォーカルコニック状態にある液晶分子がプレーナ状態へ変化しやすい場合の他の例を示す説明図。
【符号の説明】
1…液晶表示素子
11,21…基板
12,22…電極
D1…横電界
D2…縦電界

Claims (5)

  1. 一対の基板と、
    前記基板間に挟持され、誘電率異方性が正であるコレステリック相を示す液晶と、
    前記基板に対してほぼ垂直方向及びほぼ平行方向の電界を選択的に印加可能な電極と、
    前記液晶をフォーカルコニック状態からプレーナ状態に変化させる際に、フォーカルコニック状態にある前記液晶のヘリカル軸を、基板に対してほぼ平行方向の電界の向きに一致させる配向制御手段と、
    を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
  2. 前記液晶をフォーカルコニック状態からプレーナ状態に変化させる際に基板に対してほぼ平行方向に印加される電界が、液晶の螺旋ピッチをフォーカルコニック状態での螺旋ピッチよりも長くさせるものであることを特徴とする請求項1記載の液晶表示装置。
  3. 前記配向制御手段はラビング処理又は光配向処理のうち少なくとも一方が施された配向制御膜であることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の液晶表示装置。
  4. 一対の基板と、
    前記基板間に挟持され、誘電率異方性が正であるコレステリック相を示す液晶と、
    前記基板に対してほぼ垂直方向及びほぼ平行方向の電界を選択的に印加可能な電極と、を備え、
    前記液晶をフォーカルコニック状態からプレーナ状態に変化させる際に基板に対してほぼ平行方向に印加される電界が、液晶の螺旋ピッチをフォーカルコニック状態での螺旋ピッチよりも長くさせるものであること、
    を特徴とする液晶表示装置。
  5. 前記電極に電圧を印加することにより駆動を行う駆動手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1、請求項2、請求項3又は請求項4記載の液晶表示装置。
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