JP2000298266A - 高分子分散型液晶表示パネル及びその製造方法 - Google Patents

高分子分散型液晶表示パネル及びその製造方法

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JP2000298266A
JP2000298266A JP2000094095A JP2000094095A JP2000298266A JP 2000298266 A JP2000298266 A JP 2000298266A JP 2000094095 A JP2000094095 A JP 2000094095A JP 2000094095 A JP2000094095 A JP 2000094095A JP 2000298266 A JP2000298266 A JP 2000298266A
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liquid crystal
polymer
panel
electrode
electric field
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JP2000094095A
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English (en)
Inventor
Hiroshi Kubota
浩史 久保田
Tsuyoshi Kamimura
強 上村
Kenji Nakao
健次 中尾
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Panasonic Holdings Corp
Original Assignee
Matsushita Electric Industrial Co Ltd
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 高コントラストと低電圧化を両立させ、表示
性能に優れた高分子分散型液晶表示パネルを提供する。 【解決手段】 液晶表示パネルは、配向層が形成された
基板10,11と、高分子化合物17Aと誘電率異方性
が負である液晶18とから成る高分子分散型液晶層12
Aと、電極7、8とを有する。液晶層12Aは、液晶滴
20が高分子化合物中に分散している構造を有してい
る。電極7、8は、電界を基板に平行に印加する。電圧
無印加時には、液晶滴20内の液晶の配向方位が、基板
に対して平行で且つ基板に平行な面内において同一方向
に配列して透明状態を得る。電圧印加時には、液晶滴2
0内の液晶が、パネルギャップ方向と平行な面内に配置
され、かつ個々の液晶滴20毎に配向方位がパネルギャ
ップ方向と平行な面内でランダムに配置状態となり、散
乱状態を得る。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、横電界モード(I
PS(In Plane Switching)モード) の高分子分散型液晶
表示パネル及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】近年、高分子化合物と液晶組成物を非相
溶状態に分散させた高分子分散型の液晶パネルが注目さ
れている。高分子分散型パネルは、散乱モードを表示に
用いるため、偏光板が不要で高輝度の表示が容易に得ら
れるという特徴がある。(S.Shikama et.
al,Society for informatio
n Display’95,Page231−234参
照) 高分子分散型パネルは、液晶と高分子化合物の屈
折率マッチングを利用して表示を行うことを特徴とす
る。このときの屈折率マッチングの方法により高分子分
散型パネルの表示モードは大きく分けて2種類存在す
る。一つは、電圧無印加で散乱表示、電圧印加で透明表
示を行うノーマルモードである(例えば、米国特許第3
600060号公報)。他方は、電圧無印加で透明表
示、電圧印加で散乱表示を行うリバースモードである
(例えば特願平2- 309316号公報、特願平3- 1
3268号公報)。これら2種類の表示モードは共に、
透明電極を有する一対の基板間に高分子分散型液晶を挟
持し、基板間方向に電圧を印加して液晶分子を基板と垂
直方向に配列させて光のスイッチングを行うことを特徴
としている。
【0003】一方、複屈折を利用し、偏光板を用いて表
示を行う液晶パネルの場合、広視野角を目的に基板と平
行に電界を印加する横電界モードの液晶パネルが開発さ
れている(例えば、特公昭63- 21907号公報)。
【0004】また、横電界モードで高輝度化を図るため
に、電極構造を工夫し電極間隔の領域に入射光を反射す
る液晶パネルが開示されている。(特開平8−2862
11号公報)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従
来例では、種々の問題があった。
【0006】(1)従来例の高分子分散型液晶パネルに
おける課題 (a)プロジェクション型ディスプレイなどの透過型パ
ネルとして用いた場合、散乱性能が不十分なため黒表示
が沈まず、コントラストが悪いという欠点がある。一
方、このような欠点の解消のためには、パネルギャップ
を大きくして光路長を増大させて、散乱性能を向上すれ
ばよい。しかし、パネルギャップを大きくすると、駆動
電圧が高くなり実用上使用できない。
【0007】(b)携帯型ディスプレイなどのカラーフ
ィルター付き反射型パネルとして用いた場合は、同じく
散乱性能が不十分なため、白表示時に外光を十分に散乱
できず白輝度が低くなる欠点がある。この場合も散乱性
能を上げるためにパネルギャップを大きくすると上記と
同様に駆動電圧が高くなり実用上使用困難となる。
【0008】(c)上記構成のリバースモードの高分子
分散型パネルを横電界モードで駆動すると、電圧印加時
の散乱強度が増加し、高散乱化と高コントラスト化が得
られる一方、画素に駆動用電極を並列して配置するため
画素開口率が低下し高輝度化が困難という課題があっ
た。
【0009】(2)従来例の横電界モードの液晶表示パ
ネルにおける課題 (a)偏光板の使用により輝度が低い。
【0010】(b)電界を印加するために用いられる電
極は、高コントラストで均一な表示を得るため、金属等
の不透明電極を用いることが通常であった(例えば、
M. Ohta、et.al Proceedings of
Asia Display’95 P.707−71
0参照)。従って、画素開口率が30%程度と小さく、
輝度の低下を招いていた。
【0011】(c)隣り合う電極間隔(本発明における
第1の駆動用電極と第2の駆動用電極の電界方向の間隔
に相当)をL(μm)、パネルギャップをd(μm)と
した場合、駆動電圧の低減、パネル輝度の向上、及び電
圧・透過率特性の最適化等の観点から、上記のLとd
は、L>dの関係を満たすのが通常であった(例えば、
M. Ohta、et.al Proceedings of
Asia Display’95 P.577−58
0参照)。従って、ネマテック液晶と偏光板を用いた従
来の横電界モードのパネルでは、パネルギャップを大き
くすることに制約があった。
【0012】(d)偏光板を用いる従来の液晶パネルを
横電界モードで駆動した場合、広視野角が実現する一
方、同様の理由で画素開口率が低下し高輝度化が困難と
いう課題があった。また、特開平8−286211号公
報に示すように、駆動電極の断面形状を三角形状とし、
入射光を画素開口部に反射して高輝度化を図る構成とし
た場合、電極が液晶層中に存在すると、電極の側面で液
晶の配向方位が乱れて黒表示が沈まずコントラストが低
下する。また、電極を三角形状とした場合、電極の高さ
hと幅W の比率h/W は、0.5以上必要である。つま
り電極幅W が3μm の場合、高さhは1.5μm 以上必
要となる。一般に横電界モードのパネルギャップは、2
μm 〜5μm である。また、パネルギャップは高精度で
均一化する必要がある。しかし、電極の高さが1.5μ
m と高い状態で、パネルギャップを5μm以下で均一に
保つのは非常に困難であった。このため、従来の横電界
モードで電極の形状を三角形状とする場合、電極上に完
全に平坦化膜を積層する必要があった。このとき、電極
を覆うために平坦化膜を例えば1. 6μmと厚くなっ
た。しかし、平坦化膜が厚いと電界が均一に液晶層に印
加されず表示不良が発生する課題があった。
【0013】本発明は、上記課題を解決し、高コントラ
スト、高輝度、及び低消費電力を図ることができる新規
な高分子分散型液晶表示パネル及びその製造方法を提供
することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するた
め、請求項1記載の発明は、少なくとも一方が透明な一
対の基板と、前記一対の基板間に挟持され、高分子化合
物と液晶とから成る高分子分散型液晶層と、 各画素毎
に設けられ、前記高分子分散型液晶層に電界を印加して
高分子分散型液晶層を調光駆動するための第1の駆動用
電極及び第2の駆動用電極と、を有する高分子分散型液
晶表示パネルであって、前記一対の基板上には、それぞ
れ配向層が形成され、前記高分子分散型液晶層は、液晶
が液滴状となっており、この液晶滴が高分子化合物中に
分散している構造を有し、しかも、液晶の誘電率異方性
が負である高分子分散型液晶層であり、前記第1及び第
2の駆動用電極が、前記一対の基板の一方の基板に、電
界を前記基板にほぼ平行に印加する配置状態で形成さ
れ、電圧無印加時においては、前記液晶滴内の液晶の配
向方位が、基板に対してほぼ平行で且つ基板に平行な面
内においてほぼ同一方向に配列しており、電圧印加時に
おいては、前記液晶滴内の液晶が、パネルギャップ方向
と平行な面内に配置され、かつ個々の液晶滴毎に配向方
位がパネルギャップ方向と平行な面内でランダムに配置
されることを特徴とする。
【0015】上記構成によれば、電圧無印加時の液晶滴
内部の液晶の配向方位は、ほぼ基板と平行であるので、
液晶滴間の光散乱は起こらず透明状態のパネルが得られ
る。電圧印加時には、液晶の誘電率異方性が負のため、
液晶はパネルギャップ方向と平行な面内に配列する。ま
た、電界方位と垂直方向に液晶の長軸が傾く際に必要な
エネルギーは方位角に寄らず、全ての方位で等価なた
め、結果的に液晶滴内部の液晶の該配向方位はパネルギ
ャップ方向と平行な面内で、ランダムに配置される。こ
のとき、パネルは散乱状態が得られる。このようにパネ
ルギャップ方向で液晶がランダムな配置を取ると、パネ
ルギャップ方向を斜めに横切る光に対する散乱効果は非
常に大きくなる。
【0016】請求項2記載の発明は、請求項1記載の高
分子分散型液晶表示パネルにおいて、前記高分子分散型
液晶層の液晶配列は、高分子化合物の重合処理中に基板
に平行な電界を印加することにより得られたものである
ことを特徴とする。
【0017】高分子化合物の重合処理中に基板に平行な
電界を印加すると、電界方向に沿って液晶分子が配向し
た液晶滴が形成される。よって、電圧印加時において、
液晶滴内の液晶の配向方位が、基板に対してほぼ平行で
且つ基板に平行な面内においてほぼ同一方向に配列して
いる状態を得ることができる。
【0018】請求項3記載の発明は、請求項1記載の高
分子分散型液晶表示パネルにおいて、前記第1の駆動用
電極と前記第2の駆動用電極との電界方向の間隔をL、
パネルギャップをdとすると、d>Lが成立することを
特徴とする。
【0019】d>Lが成立することにより、高輝度化、
高コントラスト化、及び低電圧化を図ることが可能とな
る。以下にその理由を述べる。
【0020】従来の横電界モードは、光学設計上の理由
からd<Lが必須であった。
【0021】一方、従来の高分子分散型パネルでは、パ
ネルギャップdにより駆動電圧が定まってしまうため、
散乱性能(コントラスト)を確保するためdを大きくす
ると、それに応じて駆動電圧の増加を招く。よって、散
乱性能の向上と駆動電圧の低減の両立は不可能であっ
た。この点に関して、本発明では、d>Lとすることに
より、駆動電圧を上げることなく、コントラストを上げ
ることができる。なぜなら、本発明は高分子分散型パネ
ルを横電界モードで駆動する構成であるので、パネルギ
ャップdを大きくしても駆動電圧の増加を招かないから
である。
【0022】請求項4記載の発明は、請求項1乃至3の
何れかに記載の高分子分散型液晶表示パネルにおいて、
前記第1の駆動用電極と前記第2の駆動用電極が、互い
に対向した櫛形電極であることを特徴とする。
【0023】櫛形電極であれば、駆動電極を長方形の画
素に均等に配置でき、画素開口率の向上に効果がある。
【0024】請求項5記載の発明は、請求項4記載の高
分子分散型液晶表示パネルにおいて、前記櫛形電極は、
電極の一部が屈曲した形状であることを特徴とする。
【0025】電極の一部が屈曲した形状を用いると、屈
曲部の両側で液晶分子が逆方向に回転するため、さらに
散乱性が向上する効果がある。また、視角による散乱光
の偏光依存性が平均化され均一な視角特性が得られる。
【0026】請求項6記載の発明は、請求項5記載の高
分子分散型液晶表示パネルにおいて、前記櫛形電極は、
電極の角部が、丸みを帯びた形状であることを特徴とす
る。
【0027】上記構成により、電極の角部が丸みを帯び
た形状の場合、角部に電界が集中する影響が緩和される
ため、電極端での配向の歪みが抑制され、均一な表示性
能の実現に効果がある。
【0028】請求項7記載の発明は、請求項1記載の高
分子分散型液晶表示パネルの製造方法であって、前記一
対の基板上にそれぞれ配向層を形成し、この配向層に電
極間方向に配向処理を行い、基板間に液晶材料とモノマ
ーの混合溶液を注入し、次いで、電界を印加しつつ重合
処理を行って液晶滴内の液晶が基板に平行で且つ電極間
方向に配列した高分子分散型液晶層を形成することを特
徴とする。
【0029】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態につい
て図面に基づいて説明する。
【0030】(実施の形態1)図1は実施の形態1に係
る高分子分散型液晶パネルが適用される液晶表示装置の
全体図であり、図2は高分子分散型液晶パネルの断面図
である。尚、図2は一画素に関連した部分を示したもの
である。先ず、図1を参照して、液晶表示装置は、画素
がマトリクス状に配列された高分子分散型液晶表示パネ
ル1に、外部駆動回路2,3が付加されたものである。
外部駆動回路2は走査側の駆動回路であり、外部駆動回
路3は、信号側の駆動回路である。走査線4に走査信号
を印加して薄膜トランジスタ(TFT)5をオン状態と
すると、信号線6からの信号電圧が駆動電極7に書き込
まれる。これと対向電極8の間の電圧差により基板にほ
ぼ平行な方向の電界が発生し、液晶の駆動が行われる。
【0031】前記液晶表示パネル1は、リバースモード
の液晶パネルであり、具体的な構造は、図2に示されて
いる。液晶表示パネル1は、上下一対の透明な基板1
0,11と、基板10,11間に挟持される高分子分散
型液晶層12と、各画素に対応して設けられる駆動電極
7及び対向電極8とを有する。上基板10及び下基板1
1としては、例えばガラス基板等が例示される。
【0032】前記駆動電極7は、高分子分散型液晶層1
2を調光駆動するための第1の駆動用電極であり、対向
電極8は、高分子分散型液晶層12を調光駆動するため
の第2の駆動用電極である。これら駆動電極7及び対向
電極8は、櫛形電極であり、下基板11の内側表面に形
成されている。駆動電極7は、図1及び図3に示すよう
に、複数の櫛歯電極部分7Aと、各櫛歯電極部分7Aを
連結する連結電極部分7とを有し、各櫛歯電極部分7A
は相互に平行である。対向電極8も、駆動電極7と同様
な構成であり、櫛歯電極部分8Aと連結電極部分8Bを
有する。これら駆動電極7と対向電極8とは、櫛歯電極
部分7Aと櫛歯電極部分8Aとが噛み合った状態で配置
されている。駆動電極7と対向電極8の電界方向の間隔
である電極間隔(本実施の形態では、櫛歯電極部分7A
と櫛歯電極部分8Aの間隔に相当)をL(μm)とし、
パネルギャップをd(μm)とすると、d>Lの関係を
満たしている。尚、駆動電極7及び対向電極8はアルミ
ニウム等から成る不透明電極が用いられている。このよ
うな電極構成により、基板に平行に電界(横電界)を印
加することができる。
【0033】尚、図2においては、2個の櫛歯電極部分
7Aと1個の櫛歯電極部分8Aのみしか描いていない
が、これは図解の容易を図るためであり、実際は、多数
の櫛歯電極部分7A,8Aを有している。
【0034】前記高分子分散型液晶層12は、高分子化
合物17と液晶18から成るネットワーク型高分子分散
型液晶層である。前記高分子化合物17は、液晶性高分
子化合物であり、また液晶18は誘電率異方性が正のも
のが用いられている。これら高分子化合物17及び液晶
18は、前記基板10,11の配向処理により、櫛歯電
極部分7Aから角度θ(図4参照)傾いたホモジニアス
配列となっている。ここで、角度θは、0度以上、45
度以下の範囲である。
【0035】また、高分子分散型液晶層12は、その液
晶分率が86%程度となるように構成されている。従っ
て、通常の高分子分散型液晶層の液晶分率が70〜80
%程度であるのに比べて、高分子分散型液晶層12の液
晶分率は大きく、そのため、基板10,11間に連続的
に液晶18が充填され、液晶18中に高分子化合物が分
散している状態となっている。ここで、「液晶分率」と
は、高分子分散型液晶層中に含まれる液晶の重量%を意
味する。
【0036】尚、図2においては、液晶18は、液晶分
子を示したものであり、液晶分子の配向状態の理解を図
るために、便宜上個々の液晶分子間で空間が存在するよ
うに描いているが、実際は高分子化合物17を除く空間
部分にはすべて液晶18が充填された状態となってい
る。このように液晶分率が大きい高分子分散型液晶層を
用いるのは、基板の配向処理により、液晶がその影響を
受けて、所定の配列(この実施の形態ではホモジニアス
配列)となるからである。液晶分率が70〜80%程度
と、低い場合には、液晶が滴状になり、高分子化合中に
液晶滴が分散した状態となるため、基板の配向処理が液
晶に影響を与えず、液晶を所定の配列(この実施の形態
ではホモジニアス配列)とすることができないからであ
る。尚、図2において、14は配向膜であり、所定方向
にラビング処理がなされている。また、15は平坦化膜
である。
【0037】次に、上記構成の液晶表示パネルの表示動
作について説明する。電圧無印加時には、高分子化合物
17と液晶18が、基板に平行な面内において同一方向
に揃っているため、液晶18と高分子化合物17の屈折
率差が無く、入射光は散乱することなく通過する。従っ
て、透明表示状態が得られる。電圧印加時には、基板と
平行に電界が発生し、このとき、液晶18の誘電率異方
性が正であるので、液晶18がその長軸を電界方向に揃
えようとする。そのため、液晶18は、基板10,11
に平行な面内で回転し、高分子化合物17と液晶18と
の成す角度が大きくなる。この結果、高分子化合物17
と液晶18の複屈折の軸方位が大きく異なるようにな
り、高分子化合物17と液晶18の屈折率差が増大して
散乱強度が増加し、散乱状態が得られる。こうして、リ
バースモード使用で、横電界モードの高分子分散型液晶
パネルを実現することができ、後述するようにパネルの
高輝度化、高コントラスト化、及び低消費電力化を図る
ことができる。
【0038】次に、本実施の形態1の構成による作用を
具体的に説明し、パネルの高輝度化、高コントラスト
化、及び低消費電力化が図れることを以下に明らかにす
る。
【0039】(A)リバースモードの高分子分散型液晶
パネルを横電界モードで駆動したことによる作用(1)
従来例のリバースモードの高分子分散型パネルと比較し
つつ説明する。図5はリバースモードの高分子分散型パ
ネルの従来の表示原理を示す図である。電圧無印加時に
は、図5(a)に示すように、液晶18と高分子17は
ほぼ所定の方向に配列している。このとき、液晶18の
短軸方向の屈折率を高分子17の屈折率をほぼ等しく設
定すると散乱が起こらず透明状態となる。次に基板間に
電圧を印加すると、図5(b)に示すように、液晶12
が基板とほぼ垂直に配列するため高分子17と液晶18
に屈折率差が生じ、パネルは散乱状態となる。このとき
のパネルの散乱性能は、パネル入射光に対する液晶18
と高分子化合物17の屈折率差に大きく依存する。ま
た、液晶分率が高い場合は、隣り合う微少な液晶のドメ
イン間の屈折率差にも依存し、屈折率差が大きいほど散
乱性能は高い。このため、高分子分散型パネルの散乱性
能を高めるには、液晶18と高分子17間、及び液晶ド
メイン間の屈折率差を大きくすることが重要となる。こ
こで、用語「液晶ドメイン」とは、液晶分子が同一方向
に配列して揃っている微小液晶領域を意味する。
【0040】次に、リバースモードの高分子分散型パネ
ルを横電界モードで駆動した場合(本発明の場合)の表
示原理を図6に示した。図6は液晶パネルの鳥瞰図であ
る。電圧無印加時は、図6(a)に示すように、上基板
10と下基板11の間に液晶18と高分子17が所定方
向に配向されており透明状態を示す。次に駆動電極7と
対向電極8間に電圧を印加すると、図6(b)に示すよ
うに、液晶18が基板10,11と平行な面内で回転す
るため、周囲の高分子17(複屈折を有する液晶性高分
子を意味する)との間の屈折率差が増加し散乱表示とな
る。
【0041】従って、本発明と従来例とは、液晶18と
周囲の液晶性高分子17の屈折率差により、散乱表示を
得ている点において同じである。しかしながら、液晶1
8を基板面内で回転させた場合、液晶18と周囲の液晶
性高分子17の屈折率差は、液晶18を基板と垂直に配
列させた従来の場合よりも大きく、そのため、本発明は
従来例よりも高コントラストが得られる。以下にこの理
由を詳述する。
【0042】図7は液晶18と高分子17の配向状態を
上から見た図である。図7(a)は従来の縦電界モード
の場合、図7(b)は本発明の横電界モードの場合を示
す。尚、図7において液晶18は液晶分子を示す。
【0043】高分子分散型液晶における散乱の大きさ
は、液晶と高分子の屈折率差の絶対値と、液晶と高分子
の複屈折の大きさとその軸が成す角度で決まる。このと
き、液晶と高分子の屈折率差が大きいほど散乱は大き
い。また、液晶と高分子の複屈折が大きく、その軸方位
が成す角度が大きいほど大きい。このときの散乱の効果
は、後者の方が大きい。
【0044】従来の縦電界を用いた表示は、電圧印加時
には、液晶18は電界方向に揃うために、液晶18自体
の屈折率の絶対値は増加し、液晶18と高分子17の屈
折率差は増加する。しかし、図7(a)に示すように、
基板と平行な面内に液晶分子を正射影して考えた場合、
電圧印加時は、液晶18の見かけの複屈折は小さくな
る。また、液晶18は電圧無印加時に所定の方位に配向
しているため、電圧印加時においても、液晶の複屈折の
方位は高分子の軸方位と揃っている。このため従来の表
示では液晶と高分子の複屈折の大きさと方位に起因する
散乱は非常に小さくなり、結果的にパネルの散乱性能も
低い。
【0045】一方、横電界を表示に用い場合、図7
(b)に示すように、液晶18は面内で回転するため、
電圧印加時の液晶18と高分子17の複屈折の軸方位は
大きく異なる。また、液晶18の複屈折は常に大きい。
このため、液晶18と高分子17の屈折率の絶対値は変
わらないが、液晶18と高分子17の複屈折の大きさと
方位に起因する散乱が大きくなり、結果的に従来の表示
方式よりもパネルの散乱性能が高くなる。
【0046】上記の従来の縦電界と、本発明の横電界の
表示原理の相違につき、図8を参照して、さらに詳述す
る。ここで図8(a)は、従来の縦電界を用いた場合の
液晶と高分子の動作を示し、図8(b)は、本発明の横
電界を用いた場合の動作を示す。尚、液晶18は液晶分
子を示し、また、図中において、27は異常光屈折率の
軸方位、28は常光屈折率の軸方位、29は透過光を示
す。
【0047】高分子分散型液晶パネルの散乱強度の目安
となる透過光の位相シフトφの大きさは、一般に次式で
与えられる。(P.S.Drzaic著:Liquid
crystal dispersions P22
5.World Scientific Co.Pt
e.Ltd.1995の表記を一般化。)
【数1】
【0048】ここで、nliqは液晶の入射光の偏光方
向に対する屈折率、npolは高分子の入射光の偏光方
向に対する屈折率、Kは波数、Rは個々の液晶ドメイン
の大きさである。
【0049】位相シフトφは、液晶と高分子の屈折率差
に依存する量であり、φが大きいほど散乱強度は大きく
なる。
【0050】パネル入射光は、一般に全ての偏光方位を
含むが、ここでは簡単のため互いに直交する直線偏光
(図8の偏光A、及びB)の場合を考える。尚、偏光A
は図8において参照符号25で示す方向に偏光してお
り、偏光Bは参照符号26で示す方向に偏光している。
偏光Aの偏光方向25は、異常光屈折率の軸方位27と
平行であり、偏光Bの偏光方向26は、常光屈折率の軸
方位28と平行であるとする。従来のパネルでは、電圧
ON時の散乱状態においては、液晶18のみが基板10
と垂直方向に配列する(図8(a))。また、本発明の
パネルでは、散乱状態においては液晶18と高分子17
がほぼ90°の角度を成している(図8(b))。この
ときの偏光A,Bに対する位相シフトφの大きさと合計
は以下の表1に示される。
【表1】
【0051】表1において、noは常光屈折率、neは
異常光屈折率を示す。簡単のため、液晶と高分子のn
o,neは共に等しいと仮定した。
【0052】従来のパネルは、散乱時に液晶分子が垂直
に配列するため偏光Bに対しては、液晶と高分子の屈折
率が共にnoとなり散乱は発生しない。一方、本発明の
場合は液晶と高分子が互いに90°の角度を成すため、
偏光A,Bの双方に対して位相シフトが存在する。この
場合の合計の位相シフトは、本発明が従来の2倍とな
る。このため原理的には、本発明のように横電界で駆動
すると従来の縦電界に比べ散乱強度は2倍となり、コン
トラストが大幅に増加することが解る。
【0053】(2)また、以下の作用も有する。即ち、
横電界モードの場合、駆動電圧は主に駆動電極間の距離
に依存して変化する。このため、パネルギャップを大き
くしても駆動電圧は大きく増加しない。一方、パネルギ
ャップを大きくすると光の光路長が増加し、散乱性能は
大きく向上する。このため、高分子分散型パネルを横電
界モードで駆動すると、パネルギャップを従来より厚く
できるため高輝度化、高コントラスト化、及び駆動電圧
の低減を図ることができる。
【0054】(B)d>Lの関係を満たすことによる作
用 従来の横電界モードは、ネマチック液晶を用いて複
屈折を利用し偏光板を用いて表示を行っていた。このた
めパネルの光学設計が重要であった。パネル開口率を確
保するため、電極間隔は通常10μmか20μmに設定
され、駆動電圧の低減を図るため、光学設計上、パネル
ギャップは3μmから7μm程度が通例であった。この
ため、電極間間隔をL(μm)、パネルギャップをd
(μm)とすると、従来の横電界モードのパネルはd<
Lであった。
【0055】従来の横電界モードのパネルは、ホモジニ
アス配向の液晶を横電界で回転させ、複屈折を用いて表
示を行っていた。このため、パネル透過率はパネルギャ
ップに大きく依存し、高透過率を得るための最適な範囲
が存在した。このとき、電極間隔Lとパネルギャップd
とは、L>dとするのが一般的であった。ここで、L=
15μmの場合にパネルギャップdを変化させた場合の
パネル透過率の例を以下の表2に示す。(M.OH−
E,et.al,Liquid crystals,1
997,Vol.22,No.4,379−390より
抜粋)
【表2】
【0056】従来の横電界モードは、パネル透過率が最
大となるパネルギャップdが存在し、この場合、最適値
は6.2μm近辺にある。このとき、L=15μmであ
るため、従来はL>dとなるのが一般的であった。この
とき、電極間隔Lを6μm以下で形成すれば、もちろん
L<dとなる。しかし、この場合、上記と同一の領域に
2倍の数の電極を形成する必要があるため、画素開口率
が上記の1/2以下となり、パネル透過率も1/2以下
に大きく低下するため、実用上、使用困難である。この
ように、従来の横電界モードのパネルでは、L>dとす
る設計が不可欠であった。
【0057】一方、従来の高分子分散型液晶パネルで
は、散乱性能を上げるためにパネルギャップdを大きく
すると駆動電圧が増加するという欠点があった。しか
し、高分子分散型パネルを横電界モードで駆動する場
合、駆動電極は一方の基板上にのみ存在するため、上述
したようにパネルギャップdが電極間隔L以上でも駆動
電圧は大きく増加しない。また、パネルギャップdが大
きいほど散乱性能は高くなり高コントラストとなる。こ
のため、高分子分散型パネルでは、前述したdとLをd
>Lとすることが高輝度化、高コントラスト化に有効で
ある。また、電極間隔Lを短くしても散乱性能は変化し
ないため、より低電圧化を図ることも可能となる。
【0058】こうして、上記(A)及び(B)の項で述
べたように、本実施の形態の液晶表示パネルは、パネル
の高輝度化、高コントラスト化、及び低消費電力化を図
ることができる。
【0059】(実施の形態2)この実施の形態2は、上
記実施の形態1に類似する。実施の形態2が実施の形態
1と異なる点は、誘電率異方性が正の液晶に代えて負の
液晶を用いたことと、櫛歯電極部分7A,8Aと配向処
理方向との成す角度θを45度以上90度未満の範囲内
に設定したことである。このような構成により、実施の
形態1と同様に電圧印加時において、基板に平行な面内
で液晶を回転させ、高分子化合物と液晶との成す角度を
大きくして、散乱強度を増加させることができる。
【0060】尚、角度θを90度未満とするのは、角度
θを90度とすると、液晶の回転方向の相違に起因して
表示が不均一となるおそれがあるからである。なぜな
ら、厳密には、液晶の配列は配向処理方向に正確に並ん
でいるわけではなく、配向処理方向から僅かの角度範囲
でズレが生じている。従って、角度θを90度とする
と、或る液晶分子は例えば90度未満の角度位置にあ
り、或る液晶分子は例えば90度を超えた角度位置に存
在することになる。一方、誘電率異方性が負の液晶の場
合に、液晶はパネルギャップ方向と平行な面内に配列し
ようとするが、このときの液晶分子の回転方向は、90
度を境として反対方向になる性質を有する。よって、電
圧印加時に、隣接する液晶間で回転方向が異なる場合が
生じて、表示が不均一となるからである。
【0061】(実施の形態3)この実施の形態3は、上
記実施の形態1に類似する。実施の形態3が実施の形態
1と異なる点は、高分子分散型液晶層の液晶配列をホモ
ジニアス配列に代えて捻れネマテック配列としたことで
ある。このような捻れネマテック配列の場合、電圧無印
加時には、液晶18と、液晶18に隣接して界面を構成
する高分子化合物17とが、基板に平行な面内で同一方
向に配列しており、且つこの同一方向の配列状態で基板
10,11間で捻れて配列している。従って、電圧無印
加時において、透明状態が得られる。また、電圧印加に
より、液晶18が基板に平行な面内で回転して、基板に
平行な面内で液晶18と高分子化合物17とが角度をな
す配列状態となり、散乱状態が得られる。よって、実施
の形態3の場合も、実施の形態1の同様な散乱強度が得
られ、実施の形態1と同様な効果を奏することになる。
【0062】尚、参考までに述べると、捻れネマテック
配列の場合は、電圧無印加時における視野角が、ホモジ
ニアス配列の場合よりも広いという利点がある。一方、
ホモジニアス配列の場合は、電圧印加時における散乱
が、捻れネマテック配列の場合よりも大きく、従って、
白表示の輝度が捻れネマテック配列よりも大きいという
利点がある。
【0063】(実施の形態4)この実施の形態4は、実
施の形態2に類似する。実施の形態4が実施の形態2と
異なる点は、高分子分散型液晶層の液晶配列をホモジニ
アス配列に代えて捻れネマテック配列としたことであ
る。このような構成によってもまた、実施の形態2と同
様な効果を奏する。
【0064】(実施の形態5)図9は本発明の実施の形
態5に関わる液晶表示パネルの断面図である。この実施
の形態5は、実施の形態1に類似し、対応する部分には
同一の参照符号を付す。実施の形態5が実施の形態1と
異なる点は、駆動電極7及び対向電極8をそれぞれ透明
電極30,31としたことである。
【0065】従来の横電界モードは、駆動電極はアルミ
板等の不透明電極を用いていた。これは、電極の直上の
液晶は電界で動かないか、電極端の電界歪みを受けて不
均一に歪むために、均一な表示が得られないためであ
る。
【0066】一方、高分子分散型液晶パネルでは、電極
端の電界歪みも散乱を起こす要因に使えるため、電極は
必ずしも不透明である必要はない。また、散乱モードの
特徴として、電極直上や電極端での散乱特性の微少な不
均一は、全体の散乱で平均化されるため表示不良とはな
らない。このため、高分子分散型液晶パネルを横電界モ
ードで用いる場合は、電極は透明電極を用いることがで
きる。このとき、電極幅を6μm以下にすると、電極端
の電界歪みにより電極直上の液晶も散乱性を示すため表
示の均一化に有効である。この場合、従来の横電界モー
ドで課題であった、画素開口率の低下、抵輝度、消費電
力の向上という問題は発生せず、極めて高開口率、高輝
度のパネルが実現できる。
【0067】(実施の形態6)図10は本発明の実施の
形態6の液晶表示パネルの断面図である。実施の形態1
に対応する部分には、同一の参照符号を付す。この実施
の形態では、高分子分散型液晶層12Aは、液晶分率が
実施の形態1に比べて低く、液晶が液滴状となってお
り、この液晶滴20が高分子化合物17A中に分散され
た構造となっている。尚、本実施の形態で用いられる高
分子化合物17Aは、上記実施の形態1において用いら
れる高分子化合物17と異なり、液晶性を有さない高分
子化合物である。本実施の形態において、液晶性高分子
化合物を用いると、却って散乱を抑えてしまうからであ
る。
【0068】また、高分子化合物17Aの重合処理の際
に、基板10に平行な方向に電界を印加しつつ重合処理
を行ったため、液晶滴20は、基板10に平行な方向に
長く、パネルギャップ方向に短い扁平形状となってい
る。また、液晶滴20内の液晶は、基板10に対してほ
ぼ平行で、且つ基板10に平行な面内ではほぼ同一方向
に揃った状態に配列している。尚、液晶18は、誘電率
異方性が負のものを用いている。
【0069】上記構成によってもまた、リバースモード
の高分子分散型液晶パネルを横電界で駆動することがで
きる。
【0070】次に、図11を参照して、本実施の形態の
表示原理を説明する。図11(a)は電圧無印加時の表
示パネルの断面図であり、図11(b)は図11(a)
の矢視X−X断面図であり、図11(c)は電圧印加時
の表示パネルの断面図であり、図11(d)は図11
(c)の矢視Y−Y断面図である。電圧無印加時には、
図11(a)及び図11(b)に示すように、液晶滴2
0内の液晶18は、基板に対してほぼ平行で、且つ基板
に平行な面内ではほぼ同一方向に揃った状態に配列して
いる。従って、液晶滴20間の光散乱は起こらず透明状
態のパネルが得られる。
【0071】電圧印加時には、液晶18の誘電率異方性
が負のため、図11(c)及び図11(d)に示すよう
に、液晶滴内の液晶はパネルギャップ方向と平行な面内
に配列し、かつ、図12にも明らかに示すように該平行
な面内では、ランダムに配列する。このような配列とな
る理由を以下に述べる。電界方向に対して垂直な方向に
液晶の長軸が傾く際に必要なエネルギーは方位角に寄ら
ず、全ての方位で等価である。例えば、図13(a)に
示すように、水平面に位置する状態M1の液晶分子が垂
直面へ角変位する際に、垂直面内の3つの状態N1,N
2,N3の何れの位置に角変位しても、角変位に必要な
エネルギーは等しい。一方、液晶が同一方向に配向して
いる場合であっても、厳密には全ての液晶分子が配向処
理方向に正確に並んでいるわけではなく、液晶滴毎に配
向処理方向から僅かの角度範囲でズレが生じていると考
えられる。この場合、液晶分子は、最小エネルギーとな
る径路を選択すべく、ズレの生じている角度に基づいた
径路により角変位する。例えば、液晶分子が配向処理方
向から水平方向にズレた状態G1に位置しておれば(図
13(b)参照)、径路F1を経て状態N1に角変位す
る。また、液晶分子が配向処理方向から斜め方向にズレ
た状態G2に位置しておれば(図13(b)参照)、径
路F2を経て状態N2に角変位する。また、液晶分子が
配向処理方向から上方向にズレた状態G3に位置してお
れば(図13(b)参照)、径路F3を経て状態N3に
角変位する。このような電圧印加時における液晶分子の
角変位により、結果的に液晶滴20内の液晶18の配向
方位は、図12にも明らかに示すように、パネルギャッ
プ方向と平行な面内で、ランダムに配置されることにな
る。従って、散乱状態のパネルが得られる。このように
パネルギャップ方向で液晶がランダムな配置を取ると、
パネルギャップ方向を斜めに横切る光に対する散乱効果
は非常に大きくなる。このため電圧印加時には高散乱特
性のパネルが実現できる。
【0072】本実施の形態では、液晶滴20内の液晶
を、基板に対してほぼ平行で、且つ基板に平行な面内で
はほぼ同一方向に揃った状態に配列させるために、重合
処理中に基板に平行な方向に電界を印加して液晶滴を形
成するようにしたけれども、本発明はかかる電圧印加に
限定されるものではない。液晶滴20内の液晶を、基板
に対してほぼ平行で、且つ基板に平行な面内ではほぼ同
一方向に揃った状態に配列させることができるのであれ
ば、その他の手法を用いてもよい。従って、液晶滴自体
の形状も、本実施の形態に限定されるものではなく、上
記液晶の配向を得るための手法に応じた形状であっても
よい。
【0073】(実施の形態7)図14は本発明の実施の
形態7に係わる液晶表示パネルの断面図である。実施の
形態7が実施の形態1と異なる点は、透明な下基板11
に代えて不透明基板11Aを用いたこと、及び配向膜1
4と平坦化膜15間に反射層40を設けたことである。
これにより、反射型高分子分散型パネルが得られる。
【0074】(実施の形態8)上記実施の形態1〜7
は、リバースモードの液晶パネルであったけれども、本
実施の形態8は、ノーマルモードの液晶パネルである点
において相違する。
【0075】実施の形態8は、基本的にはリバースモー
ドの実施の形態6と類似する。即ち、実施の形態8の高
分子分散型液晶層は、液晶滴が高分子化合物中に分散し
ている構造を有している。高分子化合物は、実施の形態
6と同様な理由により、液晶性を有さない高分子化合物
であり、また、液晶の誘電率異方性が正である。但し、
実施の形態6のような重合処理中の電界の印加は行って
おらず、通常の重合処理により高分子分散型液晶層を製
造したものである。よって、液晶滴は、球体状であり、
液晶滴内の液晶は、3次元的にランダムな方位に配列し
た構造となっている。従って、電圧無印加時には散乱状
態となっている。
【0076】また、横電界で駆動すると、液晶の配向軸
が基板と平行な方向に並ぶため散乱状態が解消されて透
明状態が得られる。このようにして、上記構成により、
ノーマルモードの高分子分散型液晶パネルを横電界モー
ドで駆動しても散乱状態と透明状態のスイッチングを行
うことが可能となる。
【0077】尚、基板に配向膜を形成し、基板上に形成
された駆動電極と対向電極の電極間方向に沿って液晶が
配向するように上下基板に配向処理を行うようにしても
よい。このようにすれば、透明状態の輝度が向上する効
果が得られる。これは、配向膜の基板上に強く束縛され
た液晶は電界で動かないため、配向処理を行なわないと
電圧印加時に配向膜上と、その直上の液晶の配向方位が
異なる。このため、電圧印加時に散乱状態が残り輝度が
低下するためである。配向処理を行うことで、電圧印加
時に配向膜上と、その直上の液晶の配向方位が電極間方
向に揃うため高輝度のパネルが得られる。
【0078】(実施の形態9)本実施の形態9は、上記
実施の形態1の液晶パネル1を直視型パネルに適用した
例である。即ち、図15に示すように、高分子分散型パ
ネル1の背後に光吸収板35、導光板36、光源37を
配置し、直視型高分子分散型パネルとした。尚、図15
において、38は光源カバーであり、39は反射板であ
る。
【0079】(実施の形態10)図16は実施の形態1
0に係る高分子分散型液晶表示パネルの断面図である。
本実施の形態10は、実施の形態1に類似し対応する部
分には同一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。
本実施の形態10は、実施の形態1における駆動電極7
及び対向電極8に代えて駆動電極50及び対向電極51
が用いられる。この駆動電極50及び対向電極51は、
断面が長方形状である電極7,8とは異なり、断面がほ
ぼ三角形状である。この点を除けば、本実施の形態は、
実施の形態1と同様な構成を有している。
【0080】このような駆動電極50及び対向電極51
を用いることにより、電圧無印加時にパネルの入射光5
4が、駆動電極50及び対向電極51の側面で反射され
電極間の開口部から出射される。このため、電圧無印加
時にパネル透過光が増加し、高輝度化を図ることができ
る。
【0081】また、本実施の形態においても、実施の形
態1と同様にパネルギャップdと電極間隔Lとがd>L
を満たすことにより、高輝度化、高コントラスト化、及
び低電圧化が図れる。
【0082】(実施の形態11)図17は実施の形態1
1に係る液晶表示パネルの断面図である。本実施の形態
11は、実施の形態10に類似し対応する部分には同一
の参照符号を付して詳細な説明は省略する。本実施の形
態11では、実施の形態10における駆動電極50及び
対向電極51に代えて駆動電極55及び対向電極56が
用いられる。この駆動電極55及び対向電極56は、断
面が三角形状である電極50,51とは異なり、断面が
台形形状である。この点を除けば、本実施の形態は、実
施の形態10と同様な構成を有している。
【0083】このような断面が台形形状である電極5
5,56を用いることにより、同じ電極幅でも三角形状
より電極の高さを低くすることができる。このため、平
坦化膜15の厚みが薄くなり、実施の形態10よりもさ
らに電界を均一に印加する効果が得られる。
【0084】(実施の形態12)図18は実施の形態1
2に係る高分子分散型液晶表示パネルの断面図である。
本実施の形態12は、実施の形態10に類似し対応する
部分には同一の参照符号を付して詳細な説明は省略す
る。本実施の形態12が実施の形態10と異なるのは、
実施の形態10では平坦化膜15が完全に駆動電極及び
対向電極を覆う構造であったけれども、実施の形態12
では駆動電極及び対向電極の一部が平坦化膜15から突
出した構造となっている点である。具体的に説明すれ
ば、駆動電極60及び対向電極61の各上部領域60
a,61aは高分子分散型液晶層12内に存在し、駆動
電極60及び対向電極61の各下部領域60b,61b
は平坦化膜15内に存在する。このような構成により、
電界強度の均一化及び表示不良の低減を図ることができ
る。以下にその理由について詳述する。
【0085】(1)電極60,61が平坦化膜により完
全に覆われている場合には、図19(a)に示すように
平坦化膜15内の領域S1では電界強度が強く且つ電界
方向もほぼ平行であるが、高分子分散型液晶層内の領域
S2では電極から離れているため、電界強度が弱く且つ
電界方向の平行性が失われているものと考えられる。そ
のため、基板に平行な方向に均一に電界を印加すること
ができない。一方、本実施の形態では、平坦化膜15が
電極60,61を完全に覆わない構造のため、図19
(b)に示すように高分子分散型液晶層内の領域S3,
S4共に、電界強度が強く且つ電界方向もほぼ平行であ
る。なぜなら、領域S4は、領域S2と比べて電極に極
めて接近していることから、領域S4における電界強度
及び電界方向は領域S3における電界強度及び電界方向
とほぼ等しいと考えられるからである。よって、本実施
の形態では、駆動時に高分子分散型液晶層に平行で且つ
均一な電界を印加することができる。
【0086】(2)一方、平坦化膜が全く存在しない場
合には、電極形状が三角形のため高分子分散型液晶層中
に電極が大きく突き出した構成となり、電極近辺の液晶
と液晶性高分子の配向が乱れて表示不良が発生する。こ
の点に関し、本実施の形態では、平坦化膜を電極下部領
域にのみ形成するようにしているので、電極の突き出し
を低減でき、配向乱れに起因した表示不良が低減でき
る。
【0087】このようにして、上記(1)及び(2)よ
り、本実施の形態では、電界強度の均一化と表示不良の
低減の両立が図れることになる。
【0088】(3)尚、参考までにネマテック液晶をI
PSモードで駆動する従来例(特開平8−286211
号公報)と、本実施の形態と比較すると、断面が三角形
状の電極を使用している点においては共通する。しか
し、本実施の形態では、上記従来例に比べて、電界強度
の均一化及び高いコントラスト化が得られるという利点
がある。以下にその理由について説明する。一般的に
は、IPSモードの液晶表示パネルでは、断面が三角形
状の電極の場合、電極を平坦化膜に完全に埋め込むのが
よいとされている。これは、電極が液晶層内に少しでも
突出した構成にすると、電極近辺で液晶の配向が乱れて
偏光板の偏光方向からのずれが生じ、これに起因して表
示不良(所望の黒が表示がされない。)が発生するから
である。しかしながら、電極を平坦化膜に完全に埋め込
むと、上記のように電界方向の平行性が失われ、電界強
度の均一化が図れない。この点に関して、本実施の形態
では、散乱型液晶である高分子分散型液晶を使用するの
で、電極が高分子分散型液晶層に突出し、電極近辺で液
晶の配向乱れが生じても、表示性能に大きな影響を与え
ることがない。寧ろ、電圧無印加時に液晶の配向乱れが
あると、散乱強度が大きくなるという長所がある。かか
る理由に基づいて、本実施の形態では、電極を高分子分
散型液晶層内に突出した構成とするにより、上記従来例
に比べて、高コントラスト及び電界強度の均一化が図れ
ることになる。
【0089】(実施の形態13)図20は実施の形態1
3に係る液晶表示パネルの断面図である。本実施の形態
13は、実施の形態10に類似し、対応する部分には同
一の参照符号を付して詳細な説明は省略する。本実施の
形態13が実施の形態10と異なる点は、実施の形態1
0の液晶表示パネルが透過型液晶表示パネルであったの
に対して、本実施の形態13の液晶表示パネルは反射型
液晶表示パネルである。尚、本実施の形態では、上基板
10の内側面にカラーフィルタ77が形成されている。
また、本実施の形態13の液晶表示パネルでは、下基板
11上に反射層70が形成されている。この反射層70
は、駆動電極71と対向電極72間の開口部全面を覆う
ように形成されている。更に反射層70は、同一傾斜方
向で且つほぼ同一傾斜角度を有する多数の傾斜面73を
備えた鋸歯状に形成されている。このような傾斜面73
により、反射層70への入射光の少なくとも一部を、光
が基板と平行な面に入射された場合の正反射方向とは異
なる角度で反射させることができる。これにより、反射
層70での正反射光を抑制し、階調反転や周囲光の映り
込み等を低減することができる。
【0090】以下に、図21を参照してその原理を具体
的に説明する。尚、以下の説明においては、説明の簡略
化のため、入射光L1及び反射光L2が基板を通過する
際の屈折は、無視することにする。例えば角度θ1で入
射光L1がパネルに入射された場合、反射層70の傾斜
面73で反射されるため、反射光L2は角度θ2(θ2
>θ1)で出射される。このとき、角度θ2が基板11
に対する全反射角θ3よりも小さければ、角度θ2で基
板前面側に出射される。このことは、パネル入射光に対
する正反射光の出射角度が大きくなったことを意味す
る。また、角度θ2が全反射角θ3よりも大きければ、
反射光L2は基板面で反射して基板前面側に出射されな
い。こうして、斜め方向からパネルに入射される光の正
反射光が抑制されることになる。
【0091】また、電極71,72は、反射層70に対
応した形状とされている。具体的には、電極71,72
の断面が、傾斜面73と同一傾斜方向で且つほぼ同一傾
斜角度を有する傾斜面74を有する直角三角形状とされ
ている。このような傾斜面74を設けることにより、上
記傾斜面73と同様に、電極71,72への入射光の少
なくとも一部を、正反射方向とは異なる角度で反射させ
ることができ、傾斜面73と相まって周囲光の映り込み
等をより一層低減することができる。
【0092】尚、本実施の形態のような反射型液晶表示
パネルにおいても、d>Lを満たすことで、駆動電圧を
増加することなく、電圧無印加時の散乱強度が増加し高
コントラスト化が図れる。
【0093】(実施の形態14)図22は実施の形態1
4に係る液晶表示パネルの断面図である。本実施の形態
14は、実施の形態13に類似し対応する部分には同一
の参照符号を付して詳細な説明は省略する。実施の形態
13と異なる点は、電極71,72に代えて、断面形状
が三角形状である駆動電極80と対向電極81を用いた
ことである。また、電極下部領域には平坦化膜15が形
成され、電極上部領域は高分子分散型液晶層中に存在す
る。このように、平坦化膜15を電極下部領域にのみ形
成することで電界強度の均一化と表示不良の低減の両立
が図れる。
【0094】尚、上記の実施の形態10〜14では、誘
電率異方性が正の液晶が使用されたけれども、誘電率異
方性が負の液晶を使用するようにしてもよい。この場合
には、対向電極と基板の配向処理方向との成す角度θ
は、上記実施の形態2と同様に45度以上90度未満と
される。
【0095】(その他の実施の形態) (1)上記実施の形態1〜14においては、駆動電極と
対向電極は、櫛形電極であったけれども、本発明はこれ
に限定されるものではなく、基板に平行に電界を印加で
きる形状であればよく、例えば、複数の短冊状の電極で
あってもよい。
【0096】(2)上記実施の形態1〜7では駆動電極
と対向電極は、図3に示す形状の櫛形電極であったけれ
ども、図23に示すように、櫛形の一部が屈曲した形
状、及び図24に示すように、電極の角部が丸みを帯び
た形状等を用いることができる。尚、図3に示す櫛形電
極の形状を用いると駆動電極を長方形の画素に均等に配
置でき、画素開口率の向上に効果がある。また、櫛形の
一部が屈曲した形状を用いると、屈曲部の両側で液晶分
子が逆方向に回転するため、さらに散乱性が向上する効
果がある。また、視角による散乱光の偏光依存性が平均
化され均一な視角特性が得られる。また、電極の角部が
丸みを帯びた形状の場合、角部に電界が集中する影響が
緩和されるため、電極端での配向の歪みが抑制され、均
一な表示性能の実現に効果がある。
【0097】また、実施の形態10〜14においても、
断面形状等は三角形等のままで、且つ、図23又は図2
4に示す屈曲した形状の電極構造としてもよい。
【0098】(3)上記実施の形態のうち、実施の形態
6,8を除く他の実施の形態では、高分子化合物は液晶
性高分子化合物であったけれども、液晶性高分子化合物
と液晶性を示さない高分子化合物を混合したものであっ
てもよい。また、高分子化合物が、液晶性を示さない高
分子化合物であってもよい。但し、散乱性能の向上を図
る観点からは、高分子化合物は液晶性高分子化合物であ
るのが望ましい。
【0099】(4)実施の形態1〜14では、後述する
実施例において説明するように、基板の配向処理はラビ
ングにより行ったけれども、紫外線照射により配向処理
を行ってもよい。この場合には、液晶性高分子化合物の
前駆体である液晶性モノマーは2官能モノマーを使用す
るのがよい。
【0100】(5)上記実施の形態1〜14のうちの、
液晶の捻じれのない実施の形態では、基板10側にのみ
ラビング処理を行ってもよい。捻じれがない構造であれ
ば、一方のみで十分に希望する液晶及び高分子化合物の
配向が得られるからである。特に、電極が高分子分散型
液晶層内に突出した構成である実施の形態12〜14で
は下基板11側でのラビング処理が困難であることか
ら、上基板10側にのみラビング処理を行うことは有効
である。
【0101】
【実施例】本発明に係る高分子分散型液晶表示パネル
を、以下の実施例に基づき、更に詳述する。
【0102】(実施例1)実施の形態1に対応する実施
例である。図2に示す液晶表示パネルを以下の方法で製
造した。
【0103】室温でネマチック性を示すUVキュアラブ
ル液晶(大日本インキ化学工業(株)製)に重合開始剤
としてイルガキュア651(日本チバガイギー(株)
製)を1. 5%添加した。さらに液晶材料としてp型ネ
マチック液晶であるE44(メルク社製)を全体に対す
る重量比が86%となるように混合して液晶組成物を作
成した。
【0104】次に、ガラスから成る下基板11に、真空
蒸着とエッチングの手法を用いて、駆動電極7、対向電
極8、平坦化膜15、信号線6、走査線4等を作成し、
アクティブマトリクス基板とした。このとき、駆動電極
7と対向電極8は、アルミを用いて作成し、電極幅を6
μm、隣り合う電極間の距離(電極間隔L)を10μm
とした。また、電極は、図3に示した形状のものを用い
た。さらに、配向膜14を印刷法を用いて下基板11に
印刷した後、オーブンで配向膜14を硬化した。このと
き、配向膜14として、オプトマーAL1051(日本
合成ゴム社製)を用いた。本配向膜14は、液晶配向時
のプレチルト角が、1. 5゜の配向膜である。次にナイ
ロン布を用いて、駆動電極7から10゜の方向にラビン
グ処理を行った。
【0105】ガラスから成る上基板10にも同様の配向
膜14を塗布・硬化した。次に上基板10に対し、下基
板11のラビング方向と反平行方向にラビング処理を行
った。その後、下基板11と上基板10をガラススペー
サーを用いて13μmの間隔で貼り合わせた。貼り合わ
せた基板10,11間に、前記液晶組成物を真空注入法
を用いて注入し、封口処理を行った。
【0106】上記構成のパネルに紫外線を400秒間照
射し、UVキュアラブル液晶を重合させてリバースモー
ドの高分子分散型液晶パネルを作成した。このときの紫
外線の強度を照度計を用いて測定したところ、30mW
/cm2であった。本構成のパネルを偏光板を用いて観
察したところ、混合したネマチック液晶の配向状態は基
板に施したラビング方向に添って、ほぼホモジニアス配
向であることが確認された。このとき、UVキュアラブ
ル液晶の硬化した部分は液晶性高分子を組成に含み、ネ
マチック液晶とほぼ同様の複屈折性を有するため、パネ
ルは透明状態であった。
【0107】本実施例の液晶パネルの電気光学特性を以
下の手順で測定した。
【0108】液晶パネルに駆動回路を別途接続し、TF
T駆動を行った。液晶パネルの駆動電極間に最低0V、
最大20Vの電位差を連続的に印加しパネル透過率を測
定した。このとき、パネル透過率は液晶評価装置(LC
D5000、大塚電子製)を用いて測定した。
【0109】電圧印加により液晶分子が基板面内で回転
すると、UVキュアラブル液晶の硬化部とネマチック液
晶の屈折率差が大きくなり散乱状態が得られた。このと
き、基板面内で回転したネマチック液晶は、入射光に対
し複屈折性を保持している。このため、入射光の偏光方
位によらず入射光が散乱され、コントラストが向上し
た。このとき、波長540nmで測定したコントラスト
は90であった。また、最大透過率の10%となる駆動
電圧V10をパネルの駆動電圧の目安としたときに、V
10は15Vであった。
【0110】次にラビング方向を変えてコントラストと
V10を測定したので、その結果を表3に示した。
【表3】
【0111】表3から明らかなように、ラビング方向が
駆動電極に近いほどコントラストが向上した。これは、
電圧印加時にネマチック液晶とUVキュアラブル液晶の
硬化部の液晶性高分子化合物との成す角が90゜に近く
なり散乱性能が向上することによる。
【0112】駆動電極間の距離を10μmで一定に保っ
たまま、パネルギャップdを変えて、コントラストとV
10を測定した結果を表4に示した。
【表4】
【0113】表4より、パネルギャップdを増加する
と、散乱強度が強くなりコントラストが向上することが
認められる。一方、V10も若干、増加したが、増加の
程度は、対向する基板間の電界で駆動する通常の場合よ
りも小さかった。これは、本発明の構成では、液晶に印
加される電界強度は、電極間の距離でほぼ決まり、パネ
ルギャップ依存は小さいためである。
【0114】また、パネルギャップdが増加してV10
が若干増加するのは、以下の理由による。パネルギャッ
プdが増加するとパネルギャップdの上下で電界分布が
発生し、上基板付近の電界が弱くなる。このため、上基
板付近の液晶を動かすためにより高電圧が必要となるこ
とによる。以上の結果より、リバースモードの高分子分
散型パネルを横電界モードで駆動することで、駆動電圧
V10を大きく増加させずに、高いコントラストを示す
パネルが得られることが実証された。
【0115】上記例では、UVキュアラブル液晶の硬化
部が、互いの一部が繋がった形状に存在するが、これは
互いに独立した形状でも良い。また、ネマチック液晶の
配向はホモジニアス配向としたが、これは液晶の配向方
位が捻れたツイストネマチック配向でも良い。特に捻れ
角が180゜以上の場合、電圧印加時に基板と平行な面
内では、ネマチック液晶分子の配向方位のランダム度合
いが増加しさらに散乱性能が向上する効果がある。
【0116】また、電極間隔Lは上記例に限らず、5μ
m以上であれば良い。電極間隔Lが短いほど駆動電圧は
低下するが、透過型パネルでは画素開口率が低下する
し、また、長いと駆動電圧の増加につながるからであ
る。また、電極の幅は3μm以上あれば良い。電極幅が
大きいと画素開口率が低下するし、一方、幅が小さいと
パネル内の電界分布が不均一となり一様な表示が得られ
ないからである。
【0117】尚、パネルギャップdと電極間隔Lの関係
は上記によらず、d>Lを満たせば散乱強度の向上と低
電圧化の両立が図れる。
【0118】また、電極の形状は、図23に示すような
櫛部をくの字に屈曲した形状、及び図24に示すような
電極角部が丸みを帯びた形状でも良い。図23の形状の
場合、電圧印加時には、屈曲部の上下で液晶が逆方向に
回転して散乱状態となる。このため、液晶分子と高分子
の軸がなす角度が面内でよりランダムとなるため散乱特
性が増加し、コントラストが向上した。この場合、屈曲
部の角度としては、90°以上、170°以下であれば
良い。また、図24の構成の場合、電圧印加時に電極の
角部、特に電極の先端部の角部に電界が集中しないた
め、電極先端部で液晶の配向が不均一に歪む現象が抑制
された。このため、電極先端部での散乱が増し、均一な
表示に効果があった。
【0119】また、基板のラビング方向は上記例によら
ず電極から0°以上、45°以下であれば良い。ラビン
グ方向は、散乱特性と駆動電圧の兼ね合いで適時決める
ことができる。
【0120】配向膜は上記に限らずポリイミドタイプ、
ポリアミック酸タイプのどちらも用いることができる
が、液晶配向時に液晶のプレチルト角が3゜以下になる
配向膜が望ましい。これはプレチルト角が大きいと、パ
ネルギャップ方向の電界に液晶が追随し散乱極度が低下
するためである。
【0121】また。液晶・高分子組成物の組み合わせは
上記例に限らず、一般に液晶・高分子を混合し紫外線に
より共重合でリバースモードの高分子分散型液晶パネル
が得られるものなら良い。例えば、上記以外に、液晶と
してはTL- 202、BL-007(商品名:メルク社
製)、高分子としてビフェニルメタクリレート等のメタ
クリレート系高分子を用いても良い。紫外線強度と重合
時間も上記によらず、液晶・高分子の組成に応じて適時
決めることができる。
【0122】(実施例2)実施の形態2に対応する実施
例である.実施例1と同様の構成において、基板のラビ
ング方向を電極から80°の角度とした。また、液晶に
は、誘電率異方性が負であるMJ951152(商品
名:メルク社製)を重量分率85%で用いた。
【0123】上記構成のパネルを実施例1と同様の重合
条件で相分離重合し高分子分散型パネルとした。パネル
の光学特性を測定したところ、駆動電圧V10は16V
で、コントラストは90であり良好な表示特性が得られ
た。また、パネルギャップを増加しても駆動電圧は増加
せず、高散乱特性と駆動電圧の低減が両立された。
【0124】ラビング方向は、上記以外にも45°以
上、90°未満であれば散乱特性と駆動電圧の両立が図
れる。
【0125】(実施例3)実施の形態5に対応する実施
例を、図9を参照して説明する。
【0126】実施例1で示した高分子分散型パネル1の
駆動電極7及び対向電極8を透明電極であるITO(イ
ンジウムチタンオキサイド)電極とした。このとき、パ
ネルギャップは15μmとした。また、電極間隔は10
μm、幅は4μmとした。
【0127】電極の幅を変えてコントラストと輝度を測
定した結果を表5に示した。
【表5】
【0128】表5より明らかなように、電極が透明電極
であるため、画素開口率は、従来の30%に比べ70%
まで大きく増加した。このため、電圧無印加時の白表示
におけるパネル輝度は従来の2. 3倍となり極めて明る
い白表示が得られた。また、電圧印加時の黒表示では、
電極幅が6μm以下では、電極端の電界歪みの影響が電
極直上の領域まで及ぶため、電極直上でも散乱が発生し
た。このためコントラストが70以上となり良好な表示
が得られた。一方、電極幅が、7μm以上の場合は、電
極端の電界歪みの影響が電極直上まで十分に及ばず、電
極直上の領域の一部は透明状態であった。このためコン
トラストが低下し、良好な表示が得られなかった。
【0129】上記例は、透過型パネルであるが、これ
は、直視型、及び反射型パネルでも同様の効果が得られ
る。パネルギャップは上記以外でも良いが、電極幅が大
きい時は、パネルギャップも大きくした方が、パネル内
部での散乱が大きくなりコントラスト向上の効果があ
る。
【0130】(実施例4)実施の形態6に対応する実施
例を、図10を参照して説明する。実施の形態6の液晶
表示パネルを以下の方法で製造した。重合性モノマー
(2エチルヘキシルアクリレート)89%とオリゴマー
(ビスコート828 大阪有機化学工業製)9%と重合
開始剤としてイルガキュア651(商品名:日本チバガ
イギー(株)製)を1%添加した。さらに液晶材料とし
てn型ネマチック液晶であるMJ951152(商品
名:メルク社製)を全体に対する重量比が74%となる
ように混合して液晶組成物を作成した。
【0131】次に、実施例1と同様の手法で電極等を作
成しアレイ側基板を作成した。また、配向膜14とし
て、オプトマーAL8534(商品名:日本合成ゴム社
製)を用いた。本配向膜14は、液晶配向時のプレチル
ト角が、8゜の配向膜である。上基板10にも同様の配
向膜14を塗布・硬化した。このとき、上下基板10,
11に対するラビング処理は、電極7,8と垂直方向と
した。その後、下基板11と上基板10をガラススペー
サーを用いて13μmの間隔で貼り合わせた。貼り合わ
せた基板10,11間に、前記液晶組成物を真空注入法
を用いて注入し、封口処理を行った。
【0132】上記構成のパネルに、基板に平行で且つ電
極間方向に電界を印加しつつ、強度90mW/cm2の
紫外線を8秒間照射し、高分子の一部を網目状に重合さ
せた後、強度200mW/cm2の強度の紫外線を30
秒間照射し、高分子を完全に重合させて高分子分散型液
晶パネルを作成した。このとき、1回目の紫外線照射の
際に、電界を印加したので、形成された液晶滴は基板に
平行な方向に長く扁平していた。また、液晶滴内の液晶
は、基板に対してほぼ平行で、且つ基板に平行な面内で
はほぼ同一方向(電極間方向)に揃った状態に配列して
いた。基板付近の液晶はラビング方向に沿って電極間方
向に配列していた。電圧無印加時のパネルは透明状態で
あった。次に電圧を印加すると液晶分子が回転し、パネ
ルギャップと平行な面内でランダムに配列したため散乱
状態が得られた。
【0133】パネルの光学特性を測定したところ、駆動
電圧V10は、10Vと低かった。またコントラストは
80と高く良好な表示が得られた。
【0134】上記例は、透過型パネルであるが、これ
は、直視型、及び反射型パネルでも同様の効果が得られ
る。本方式は、特に斜め入射光に対する散乱が大幅に増
加した。このため反射型パネルに用いるとコントラスト
が向上した。このとき、外部入射光が入射角30゜で入
射した場合の正面コントラストは15であり良好な表示
が得られた。
【0135】(実施例5)実施の形態7に対応する実施
例を、図14を参照して説明する。
【0136】高分子分散型パネル1の下基板11に反射
層40を形成して、不透明基板とすることで、反射型高
分子分散型パネルとした。このとき、反射層40には、
誘電体薄膜を多層した絶縁性の反射層を用いた。
【0137】横電界モードの反射型高分子分散型パネル
の場合、電極端と内部に発生する不均一電界のため、電
圧印加時は、電極内部にも散乱光が発生し白表示が得ら
れた。このため、通常のネマチック液晶と偏光板を用い
た横電界モードに比べ、実質上のパネル開口率は極めて
高くなった。通常の横電界モードの画素開口率が30%
程度であるのに対し、反射型の高分子分散型液晶を横電
界モードで駆動した場合の画素開口率は実質60%以上
となり、さらに偏光板を用いないため極めて明るい白表
示が得られた。また、前述した実施例と同様の理由によ
り、パネルギャップを増加しても駆動電圧の上昇は少な
かった。また、外部入射光に対するコントラストは、入
射角30゜の場合でコントラスト20が得られ、高コン
トラスト化と駆動電圧の低減が実現された。
【0138】不透明基板は、上記例によらず一般に反射
型液晶パネルに用いられる不透明基板であれば良い。ま
た、透明基板を用いて、基板裏面に別途、反射層を形
成、もしくは配置しても良い。また、結晶シリコン基板
等に反射層を形成しても良い。反射層は上記以外にも、
絶縁性、もしくは高抵抗の反射層であればよい。このと
き抵抗率は109 Ω・cm以上が望ましい。このような
構成の反射層であれば、電極間の横電界が均一に形成さ
れ良好な表示が得られる。
【0139】(実施例6)実施の形態8に対応する実施
例であり、ノーマルモードの液晶パネルを以下の方法で
製造した。重合性モノマー、オリゴマー、重合開始剤、
及びp型ネマテック液晶を混合して液晶組成物を作製し
た。このとき、液晶の重量分率を74%とした。実施例
1と同様の手法で下基板を作成した。このとき、下基板
上の電極間隔Lは10μmとした。また、下基板に配向
膜を塗布、硬化した後、下基板の駆動電極と対向電極の
電極間方向に沿ってラビング処理を行った。また、上基
板にも、配向膜を作成した後、下基板の配向処理方向と
平行になるように配向処理を行った。
【0140】次に上下基板をスぺーサを介してパネルギ
ャップdが13μmとなるようにして貼り合わせた後、
液晶組成物を注入し封口処理を行った。上記構成のパネ
ルに紫外線を照射し、モノマーを重合させてノーマルモ
ードの高分子分散型パネルを作成した。作成したパネル
の光学特性を測定したところ、駆動電圧は、9.8Vと
低かった。また、コントラストは95と高く良好な表示
が得られた。
【0141】(実施例7)実施の形態9に対応する実施
例を、図15を参照して説明する。実施の形態1で示し
た高分子分散型パネル1の背後に光吸収板35、導光板
36、光源37等を配置し、直視型高分子分散型パネル
とした。
【0142】光吸収板35には黒色板を用いた。また導
光板36はアクリル樹脂製とした。光源37の光を導光
板36に導光し、液晶パネル1と導光板36間を光学的
にマッチングさせることで直視型高分子分散型パネルと
した。この場合、電圧無印加の透明状態で背後の光吸収
板35により黒表示となり、電圧印加の散乱状態で白表
示となった。
【0143】電極間隔Lが10μm、パネルギャップd
が15μmの場合のパネル特性の評価を行った。この場
合、パネルギャップdが大きいため散乱性能が高く、高
輝度の白表示が得られた。一方、電極間隔Lが10μm
であるため駆動電圧V10は、15Vと低かった。この
ため電圧無印加で良好な透明状態となり、沈んだ黒表示
が得られた。このとき、コントラストは30と高くペー
パーホワイトに匹敵する表示が得られた。
【0144】直視型高分子分散型パネルの構成は上記例
によらず、リバースモードの直視型高分子分散型パネル
なら良い。また、カラーフィルターを用いることでカラ
ー表示を行っても良い。
【0145】(実施例8)実施の形態10に対応する実
施例である。図16に示す液晶表示パネルを以下の方法
で製造した。
【0146】下基板11に、信号線6、駆動電極50及
び対向電極51等を、形成した。このとき、駆動電極5
0及び対向電極51は、断面形状が三角形状となるよう
テーパーエッチングを施した。また、電極底辺の幅は3
μm、高さは1.5μmとし、電極間隔Lは10μmと
した。したがって、三角形状の底辺の角は45°であっ
た。次に、下基板11上に、透明な平坦化膜15(酸化
シリコン、膜厚2μm)を積層した。平坦化膜15上に
配向膜14を形成し、ラビング処理を施した。ラビング
方向は、電極の長辺から10°の角度とした。即ち、角
度θ=10°とした。次に、透明な上基板10上に配向
膜14を形成し、基板貼り合わせ後に液晶18がほぼホ
モジニアス配列となるように、下基板11の配向膜14
のラビング方向と同一方向にラビング処理を施した。そ
して、基板10,11を、パネルギャップ15μmで貼
り合わせ空パネルを作製した。
【0147】次いで、液晶材料としてTL205(商品
名:メルク社製)85%(重量比)と、液晶性モノマー
としてUVキュアラブル液晶(大日本化学インキ工業
製)15%(重量比)から成る高分子分散組成物を作製
し、この高分子分散組成物を上記の空パネル内に真空注
入した後、紫外線を照射した。最後に、注入口を、封口
シール剤を用いて封口し、高分子分散型液晶パネルとし
た。
【0148】このように作製した液晶表示パネルについ
て以下の手順で電気光学特性を測定した。上記パネルの
上基板10側から平行光を入射し、透過光強度をもと
に、パネル開口率を評価した。従来の電極断面が長方形
の構造のパネルでは、電圧印加時に、電極で遮蔽される
光が存在するためパネル開口率は、35%程度と低かっ
た。一方、本構成のパネルでは、入射光が三角形状の電
極側面で反射して画素開口部へ出射されることで、パネ
ル輝度が増加した。このため、パネル開口率は55%ま
で増加し高輝度の表示が得られた。また、パネルギャッ
プが15μmと厚いため散乱強度が増加し、投射式光学
系で測定したコントラストは190と高かった。
【0149】電極の三角形状は、上記例によらず任意の
三角形状でも良い。従来の長方形電極のパネルの場合、
高分子分散型液晶層に電界を均一に印加するためには、
電極幅は3μm以上必要であった。一方、本構成の電極
断面が三角形状のパネルの場合、電極幅よりも電極側面
の長さが重要であり、側面が3μm以上あれば、高分子
分散型液晶層に均一に電界を印加することができる。
【0150】また、三角形状の底辺の角度は、上記以外
に10°以上、45°以下であれば輝度向上と電界を均
一に印加する効果が得られる。
【0151】(実施例9)実施の形態11に対応する実
施例である。図17に示す液晶表示パネルを以下の寸法
で作製した。即ち、電極下面の幅は3μm、上面は1μ
m、高さは1μmとした。また、電極間隔は10μmと
した。このとき、平坦化膜の厚みは1. 3μmとした。
電極形状を台形とすることで、実施例8より平坦化膜が
薄くなり高分子分散型液晶層に均一に電界を印加され
た。このためパネルギャップを15μmとしても均一な
表示が可能となった。また、コントラストも210と高
く、高コントラストな表示が得られた。
【0152】(実施例10)実施の形態12に対応する
実施例である。図18を用いて説明すると、実施例8と
ほぼ同様の構成において、駆動電極60と対向電極61
の下部にのみ平坦化膜15を形成した。このとき、電極
底辺の幅は3μm、高さは1.5μmとし、電極間隔L
は10μmとした。また、平坦化膜15の厚みは1μm
とした。したがって、電極60,61の上部約0. 5μ
mは、高分子分散型液晶層中に存在した。また、パネル
ギャップdは18μmとした。
【0153】本構成のパネル開口率は、実施例8と同様
に55%と高く高輝度な表示が得られた。また、平坦化
膜15が1μmと薄いため、高分子分散型液晶層にはよ
り電界が印加されやすくなった。このため、パネルギャ
ップを実施例1よりさらに大きくしても均一な表示が可
能となった。また、パネルギャップが厚いためコントラ
ストは250となり、高コントラストな表示が得られ
た。
【0154】高分子分散型液晶層に存在する電極上部領
域は高さ0. 5μm程度と低く、液晶と液晶性高分子の
配向は均一であった。平坦化膜の厚みは上記以外でも良
く、電極下部領域を覆う構成であれば良い。高分子分散
型液晶層に存在する電極高さが高いほど、電極近辺の液
晶と液晶性高分子の配向が乱れて輝度低下の原因とな
る。このとき、高分子分散液晶層中の電極高さが2μm
以下であれば、高輝度と高コントラストが両立できる。
【0155】リバースモードの高分子分散型液晶を透過
型パネルに用いる場合、電圧印加時の散乱を利用して黒
表示を行う。このとき、電極近辺の配向不良は散乱強度
を増加する効果があるため、たとえ配向不良があっても
コントラストは大きく低下しない利点がある。しかし、
電極近辺で配向不良が発生すると、電圧無印加時の白輝
度が低下する。このため、高分子分散型液晶層中の電極
の高さは、2μm以下が望ましい。
【0156】(実施例11)実施の形態13に対応する
実施例である。図20に示す液晶表示パネルを以下の方
法で製造した。
【0157】下基板11に、信号線6、駆動電極71及
び対向電極72等を、形成した。このとき、駆動電極7
1及び対向電極72は、断面形状が直角三角形状となる
よう斜め露光を用いてテーパーエッチングを施した。こ
のとき、電極底辺の幅は3μm、高さは0.8μmと
し、電極間隔Lは10μmとした。したがって、直角三
角形状の底辺の角は15°であった。即ち、傾斜面74
の傾斜角度を15°とした。次に、画素開口部に、誘電
多層膜から成る鋸歯状の反射層70を形成する。具体的
には、基板11上にフォトレジストを積層した後、斜め
露光により鋸歯形状の下地を形成し、本下地上に誘電膜
を積層することで、鋸歯状の誘電多層膜を作成して、反
射層70を作製した。このとき、鋸歯形状の幅は2μ
m、底辺の角度は15°とした。従って、傾斜面73の
傾斜角度は15°であり、傾斜面74の傾斜角度と同一
である。尚、傾斜面73と傾斜面74の傾斜角度は異な
るようにしてもよい。
【0158】次いで、下基板11上に配向膜14を形成
し、ラビング処理を施した。ラビング方向は、電極の長
辺から10°の角度とした。即ち、角度θ=10°とし
た。次に、カラーフィルタ77を有する透明な上基板1
0上に配向膜14を形成し、基板貼り合わせ後に液晶1
8がほぼホモジニアス配列となるように、下基板11の
配向膜14のラビング方向と同一方向にラビング処理を
施した。そして、上下基板10,11を、パネルギャッ
プ13μmで貼り合わせ空パネルを作製した。
【0159】次いで、液晶材料としてTL205(商品
名:メルク社製)85%(重量比)と、液晶性モノマー
としてUVキュアラブル液晶(大日本化学インキ工業
製)15%(重量比)から成る高分子分散組成物を作製
し、この高分子分散組成物を上記の空パネル内に真空注
入した後、紫外線を照射した。最後に、注入口を、封口
シール剤を用いて封口し、高分子分散型液晶パネルとし
た。
【0160】このように作製した液晶表示パネルについ
て、パネル正面から30°方向より光を照射した場合の
視認性を観察した。このとき、電極71,72及び反射
層70が傾斜しているため、パネル入射光に対する正反
射光の出射角度が大きくなった。具体的には、30°方
向から入射する光は、60°以上の角度に出射し、通常
の使用範囲である正面から50°以内では良好な表示が
得られた。
【0161】電極の断面形状は、上記例によらず任意の
三角形状でも良い。パネル出射光が、正面から60°以
上であれば、通常の視認には問題がない。したがって、
傾斜面73,74の傾斜の角度は、パネル出射光が60
°以上の角度に成るように設定すればよい。
【0162】(実施例12)実施の形態14に対応する
実施例である。パネル構成を、図22を用いて説明す
る。駆動電極80と対向電極81の形状を三角形状とし
た。また、下基板11上に平坦化膜15を形成した。こ
のとき、平坦化膜15は電極下部領域を覆う形状で形成
した。また、平坦化膜15上には、多数の鋸歯形状を有
する反射層70を作成した。平坦化膜15上に反射層7
0を設けることで、画素開口率が70%となり大幅に向
上した。また、平坦化膜15を電極80,81下部領域
に形成し、電極上部領域が高分子分散型液晶層中に存在
する構成とすることにより、液晶に印加される電界強度
が低下せず、かつ均一となった。
【0163】尚、本発明者が、電極を平坦化膜中に完全
に埋没して形成した液晶表示パネルを作製して実験した
結果、誘電多層膜からなる反射層で電圧低下が発生する
ため、高分子分散型液晶層に十分な電界が印加できなか
った。
【0164】このように電極の上部が、高分子分散型液
晶層中に存在する構成とすることで高開口率に伴う高輝
度化と、均一な表示の両立が図れた。
【0165】(比較例1)実施例1と同様の組成物を用
いて、対向する基板のパネルギャップ方向に電界を印加
して表示を行う従来のリバースモードの高分子分散型液
晶パネルを作成した。パネルギャップdは、実施例1と
同様に13μmとした。
【0166】このとき、ネマチック液晶が、ギャップ方
向に立ち上がって散乱状態となるため、周囲のUVキュ
アラブル液晶との屈折率差は実施例1より小さかった。
このため、電圧印加時の散乱性能が低く、コントラスト
は30であった。また、パネルギャップdが13μm
で、実施例1の電極間隔(L=10μm)より大きいた
め、駆動電圧V10は20Vと高かった。一方、パネル
ギャップdを大きくするとコントラストは増加したが、
駆動電圧もパネルギャップdに比例して増加した。この
ように従来のリバースモードの高分子分散型液晶パネル
では、散乱時のネマチック液晶とUVキュアラブル液晶
の屈折率差が小さく散乱性能が低いことに加えて、コン
トラストと駆動電圧の両立を図るのが困難であった。
【0167】
【発明の効果】以上、説明したように本発明によれば、
一方の基板上にのみ駆動用電極を形成し、リバースモー
ドの高分子分散型液晶パネルを横電界モードを用いて駆
動することにより、駆動電圧を増加することなく、高コ
ントラスト化が実現できる。
【0168】また、電圧印加時には、液晶滴内部の液晶
の該配向方位はパネルギャップ方向と平行な面内で、ラ
ンダムに配置され、パネルは散乱状態が得られる。この
ように、パネルギャップ方向で液晶がランダムな配置を
取ることにより、特に、パネルギャップ方向を斜めに横
切る光に対する散乱効果は非常に大きくなる。このた
め、電圧印加時には高散乱特性のパネルが実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1に係る高分子分散型液晶パネルが
適用される液晶表示装置の全体図である。
【図2】実施の形態1に係る高分子分散型液晶パネルの
断面図である。
【図3】駆動電極と対向電極の拡大平面図である。
【図4】液晶の配列状態を示す図である。
【図5】リバースモードの高分子分散型パネルの従来の
表示原理を示す図である。
【図6】本発明に係るリバースモードの高分子分散型パ
ネルの表示原理を示す図である。
【図7】基板に垂直に配列させた従来の場合よりも、基
板面内で液晶を回転させる本発明の方が散乱が大きくな
る原理を説明するための図である。
【図8】基板に垂直に配列させた従来の場合よりも、基
板面内で液晶を回転させる本発明の方が散乱が大きくな
る原理を説明するための図である。
【図9】実施の形態5の液晶表示パネルの断面図であ
る。
【図10】実施の形態6の液晶表示パネルの断面図であ
る。
【図11】実施の形態6の表示原理を説明するための図
である。
【図12】実施の形態6の電圧印加時における液晶滴の
配列を示す斜視図である。
【図13】実施の形態6の電圧印加時における液晶滴の
配列の原理を説明するための図である。
【図14】実施の形態7の液晶表示パネルの断面図であ
る。
【図15】実施の形態9の液晶表示パネルの断面図であ
る。
【図16】実施の形態10の液晶表示パネルの断面図で
ある。
【図17】実施の形態11の液晶表示パネルの断面図で
ある。
【図18】実施の形態12の液晶表示パネルの断面図で
ある。
【図19】電極60,61の電界方向を説明するための
図である。
【図20】実施の形態13の液晶表示パネルの断面図で
ある。
【図21】実施の形態13の液晶表示パネルにおける入
射光の反射状態を説明するための図である。
【図22】実施の形態14の液晶表示パネルの断面図で
ある。
【図23】駆動電極及び対向電極の他の変形例を示す図
である。
【図24】駆動電極及び対向電極のさらに他の変形例を
示す図である。
【符号の説明】
1:液晶表示パネル 7,50,55,60,71,80:駆動電極(第1の
駆動用電極) 8,51,56,61,72,81:対向電極(第2の
駆動用電極) 10:上基板 11:下基板 15:平坦化膜 12,12A:高分子分散型液晶層 17,17A:高分子化合物 18:液晶 20:液晶滴 70:反射層 73,74:傾斜面

Claims (7)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 少なくとも一方が透明な一対の基板と、 前記一対の基板間に挟持され、高分子化合物と液晶とか
    ら成る高分子分散型液晶層と、 各画素毎に設けられ、前記高分子分散型液晶層に電界を
    印加して高分子分散型液晶層を調光駆動するための第1
    の駆動用電極及び第2の駆動用電極と、を有する高分子
    分散型液晶表示パネルであって、 前記一対の基板上には、それぞれ配向層が形成され、 前記高分子分散型液晶層は、液晶が液滴状となってお
    り、この液晶滴が高分子化合物中に分散している構造を
    有し、しかも、液晶の誘電率異方性が負である高分子分
    散型液晶層であり、 前記第1及び第2の駆動用電極が、前記一対の基板の一
    方の基板に、電界を前記基板にほぼ平行に印加する配置
    状態で形成され、 電圧無印加時においては、前記液晶滴内の液晶の配向方
    位が、基板に対してほぼ平行で且つ基板に平行な面内に
    おいてほぼ同一方向に配列しており、電圧印加時におい
    ては、前記液晶滴内の液晶が、パネルギャップ方向と平
    行な面内に配置され、かつ個々の液晶滴毎に配向方位が
    パネルギャップ方向と平行な面内でランダムに配置され
    ることを特徴とする高分子分散型液晶表示パネル。
  2. 【請求項2】 前記高分子分散型液晶層の液晶配列は、
    高分子化合物の重合処理中に基板に平行な電界を印加す
    ることにより得られたものであることを特徴とする請求
    項1記載の高分子分散型液晶表示パネル。
  3. 【請求項3】 前記第1の駆動用電極と前記第2の駆動
    用電極との電界方向の間隔をL、パネルギャップをdと
    すると、d>Lが成立することを特徴とする請求項1記
    載の高分子分散型液晶表示パネル。
  4. 【請求項4】 前記第1の駆動用電極と前記第2の駆動
    用電極が、互いに対向した櫛形電極であることを特徴と
    する請求項1乃至3の何れかに記載の高分子分散型液晶
    表示パネル。
  5. 【請求項5】 前記櫛形電極は、電極の一部が屈曲した
    形状であることを特徴とする請求項4記載の高分子分散
    型液晶表示パネル。
  6. 【請求項6】 前記櫛形電極は、電極の角部が、丸みを
    帯びた形状であることを特徴とする請求項5記載の高分
    子分散型液晶表示パネル。
  7. 【請求項7】 請求項1記載の高分子分散型液晶表示パ
    ネルの製造方法であって、 前記一対の基板上にそれぞれ配向層を形成し、この配向
    層に電極間方向に配向処理を行い、基板間に液晶材料と
    モノマーの混合溶液を注入し、次いで、電界を印加しつ
    つ重合処理を行って液晶滴内の液晶が基板に平行で且つ
    電極間方向に配列した高分子分散型液晶層を形成するこ
    とを特徴とする高分子分散型液晶表示パネルの製造方
    法。
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