JP2003167137A - スラント型短周期光ファイバグレーティング及びその製造方法 - Google Patents

スラント型短周期光ファイバグレーティング及びその製造方法

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JP2003167137A JP2001365170A JP2001365170A JP2003167137A JP 2003167137 A JP2003167137 A JP 2003167137A JP 2001365170 A JP2001365170 A JP 2001365170A JP 2001365170 A JP2001365170 A JP 2001365170A JP 2003167137 A JP2003167137 A JP 2003167137A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】露光による屈折率変化及び露光後の工程での屈
折率変化による反射抑制角の影響を予め考慮してグレー
ティング部を形成することにより、反射率の小さいスラ
ント型短周期光ファイバグレーティングの製造方法を提
供する。 【解決手段】クラッド2にも光感受性を持たせた光ファ
イバを用いてスラント型短周期光ファイバグレーティン
グを製造する際に、スラント角度が、露光による屈折率
変化量と露光後の工程による屈折率変化量から見積もら
れる角度だけ、露光時における反射抑制角よりも大きく
なるようにしてグレーティング部4を形成する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光ファイバグレー
ティングに関し、特に、反射光の多重反射を防止するこ
とを目的としたスラント型短周期光ファイバグレーティ
ング及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】光ファイバを用いて作製される光フィル
タの一例として、光ファイバグレーティングがある。こ
の光ファイバグレーティングとは、光ファイバを光が伝
搬する領域に所定の周期で屈折率変化を形成したもの
で、この屈折率変化の周期をグレーティング周期とい
う。この光ファイバグレーティングは、グレーティング
周期によって2つに分類することができる。その1つ
は、グレーティング周期が数百μm程度の長周期光ファ
イバグレーティング(以下「LPG」と略記する)であ
る。LPGでは、屈折率が変化しているグレーティング
部において、入射光のうち所定の波長帯域の光が、入射
光と同じ方向に進行する前進クラッドモードと結合する
ため、LPGを用いると、この波長帯域について透過損
失を有する透過光が得られる。
【0003】もう一つは、グレーティング周期が、使用
波長帯の光の波長の1/3程度である短周期光ファイバ
グレーティング(以下「SPG」と略記する)である。
SPGでは、入射光のうち所定の波長帯域の光が、入射
光と逆方向に進行する導波モード(以下「反射モード」
と略記する)、及び入射光と逆方向に進行する後進クラ
ッドモードと結合するため、SPGを用いると、この波
長帯域について透過損失を有する透過光が得られる。通
常この周期的な屈折率変化は、光ファイバに光感受性を
持つ物質を添加し、この光感受性物質に対応した光を光
ファイバに照射することにより作製する。ただし、ここ
でいう光感受性とは、通常波長248nm付近の紫外光
照射により物質の屈折率が変化する特性のことである。
この周期的な屈折率変化を得る方法としては、二光束干
渉法、位相マスク法、ステップバイステップ法などが広
く用いられている。
【0004】このSPGのなかで、SPGの利点である
設計の自由度を生かし、かつ透過スペクトルのリップル
を生じにくくするため、コアの中心軸に対して斜めにグ
レーティングが形成された光ファイバグレーティングが
開発されており、このような短周期光ファイバグレーテ
ィングをスラント型短周期光ファイバグレーティング
(以下「SSPG」と略記する)と呼ぶ。通常のSPG
では、光の進行方向に対して垂直にグレーティングが形
成されているため、反射モードへの結合に比べて後進ク
ラッドモードへの結合が小さいのに対して、SSPGで
は、グレーティング部において反射された光の一部はク
ラッドに放射され、後進クラッドモードと結合する。こ
の後進クラッドモードと結合した光は損失となるので、
SSPGは結合に対応した特定の波長の光を減衰させる
光フィルタとして用いられる。また、スラント角度を適
切な値に設定することにより、反射モードへの結合を抑
えることができる利点もある。この反射モードへの結合
を抑えることができるスラント角度を反射抑制角とい
う。この反射抑制角は光ファイバの屈折率分布や光感受
層の分布形状によって決まる値である。このSSPGは
光増幅器の利得を平坦化する利得等化器等への応用が可
能である。
【0005】このSSPGの場合、クラッドにもゲルマ
ニウムを添加することでフィルタ特性が良くなることが
知られている。具体的にはクラッドにゲルマニウムを添
加すると、反射抑制角においてより帯域が狭く急峻で、
かつ透過損失の大きいフィルタ特性を得ることが可能と
なる。通常は、コアの光感受性はクラッドの光感受性の
2割程度であり、場合によっては、コア部には光感受性
を持たせずに、クラッド層のみに光感受性を持たせる場
合もある。ただ、クラッドに光感受性を持たせる場合、
クラッド全てに光感受性を持たせることはなく、通常コ
ア近傍のクラッド層のみに光感受性を持たせている。こ
れは、クラッド全体に光感受性を持たせることが光ファ
イバ作製上困難であり、手間がかかることに加え、光フ
ァイバ中を伝搬する光はコア付近に集中しており、クラ
ッド全域に光感受性を持たせても意味がないからであ
る。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしこのような光フ
ァイバを露光して屈折率を上昇させると、クラッドのう
ち光感受性がある層のみの屈折率が上昇してしまうた
め、光ファイバ中の屈折率分布が変化する。SSPGの
場合は、導波モードとクラッドモードとの結合を用いて
おり、クラッドの屈折率変化に対し敏感であるため、露
光による屈折率上昇により反射抑制角が変化してしま
う。逆に、いったん露光して屈折率を上昇させたSSP
Gは、その後の工程で屈折率変化量が小さくなるため、
ここでも反射抑制角は変化する。SSPGの通常の製作
工程は、光ファイバの水素処理→露光→脱水素→加熱エ
ージングである。水素処理とは、光ファイバの光感受性
を高めるためにファイバ中に水素を拡散させる工程であ
る。水素処理した光ファイバに露光後、光ファイバから
水素を抜くために100℃程度の高温雰囲気中に1日程度
放置しておくのが脱水素工程である。さらに、使用条件
下においてグレーティングの特性が熱により劣化しない
ように、高温処理をして予め加速劣化させておくのがエ
ージング工程である。これらの工程を経ると露光時に作
りこまれた屈折率変化は最終的には半分程度にまでなる
場合もある。
【0007】つまり、SSPG作製上は、スラント角が
露光時の反射抑制角となるようにSSPGを作製するの
が一番簡単ではあるが、スラント角を露光時の反射抑制
角に合わせてSSPGを作製しても、露光後の脱水素加
熱エージングによる屈折率変化の結果、最終的な製品に
なると反射抑制角が変化してしまい、反射が小さいとい
うSSPGの利点が満たされなくなる場合があった。本
発明は前記事情に鑑みてなされたもので、SSPGにお
ける露光後の屈折率変化及び露光後の工程での屈折率変
化による反射抑制角の影響を予め考慮してグレーティン
グ部を形成することにより、反射率の小さいSSPGの
製造方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】以上の課題を解決するた
めに、請求項1記載の発明は、コアとクラッドとを有す
る光ファイバに対して紫外光を照射して、周期的な高屈
折率部からなるグレーティング部を形成し、該グレーテ
ィング部の格子ベクトルと光ファイバ軸とのなす角であ
るスラント角度を非ゼロの角度に設定するスラント型短
周期光ファイバグレーティングの製造方法において、該
クラッドにも光感受性を持たせ、該スラント角度が露光
時における反射抑制角よりも大きい角度となるようにし
て該グレーティング部を形成することを特徴とするスラ
ント型短周期光ファイバグレーティングの製造方法であ
る。これにより、製造後の最終的な使用状態において最
適なスラント角度を有することが可能となり、反射光強
度を小さく抑えることが可能なスラント型短周期光ファ
イバグレーティングを製造することができる。
【0009】請求項2記載の発明は、請求項1に記載の
スラント型短周期光ファイバグレーティングの製造方法
において、前記スラント角度が、露光時における反射抑
制角よりも0.035度〜0.15度大きくなるようにし
て前記グレーティング部を形成することを特徴とする。
請求項3記載の発明は、請求項1又は2に記載のスラン
ト型短周期光ファイバグレーティングの製造方法におい
て、前記スラント角度が、露光による屈折率変化量と露
光後の工程による屈折率変化量とから見積もられる角度
だけ、露光時における反射抑制角よりも大きくなるよう
にして前記グレーティング部を形成することを特徴とす
る。
【0010】請求項4記載の発明は、請求項1、2又は
3に記載のスラント型短周期光ファイバグレーティング
の製造方法において、前記屈折率変化量が前記光ファイ
バの長手方向に変化する場合に、該屈折率変化量が最大
となる部分において、前記スラント角度が露光時におけ
る反射抑制角よりも大きい角度となるようにして該グレ
ーティング部を形成することを特徴とする。これによ
り、屈折率変化量が変化する場合であっても、製造後の
最終的な使用状態において最適なスラント角度を有する
ことが可能となり、反射光強度を小さく抑えることが可
能なスラント型短周期光ファイバグレーティングを製造
することができる。請求項5記載の発明は、請求項1か
ら4のいずれかに記載のスラント型短周期光ファイバグ
レーティングの製造方法により製造されたことを特徴と
するスラント型短周期光ファイバグレーティングであ
る。これにより、反射光強度を小さく抑えることが可能
なスラント型短周期光ファイバグレーティングを実現す
ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
図1に、本発明のスラント型短周期光ファイバグレーテ
ィングの例を示す。図1は、この例のスラント型短周期
光ファイバグレーティングの側断面図である。図1中、
符号1はコアであり、このコア1の周囲にコア1よりも
屈折率の小さいクラッド2が設けられている。コア1と
クラッド2とは石英系ガラスからなり、コア1とクラッ
ド2には通常、特定波長の紫外光を照射することによっ
て石英系ガラスの屈折率を上昇させるために、光感受性
物質が添加され、この光感受性物質として通常ゲルマニ
ウムが用いられる。
【0012】このゲルマニウムを添加した石英系ガラス
に、位相マスク等を介してコア1とクラッド2の長手方
向にそって、所定の周期で通常波長248nm付近の紫
外光を照射して、紫外光が照射された部分のコア1とク
ラッド2の屈折率を上昇させ、複数の高屈折率部3が配
列されたグレーティング部4が形成されている。この高
屈折率部3は、コア1とクラッド2とを横切るように、
かつコア1の中心軸Bに直交せず、斜めに形成され、複
数の高屈折率部3は、長手方向にそって互いに平行に配
置されている。この高屈折率部3に直交する線Aの方向
をグレーティングの格子ベクトル方向という。この格子
ベクトル方向とコア1の中心軸との角度θをスラント角
度といい、このスラント角度によって高屈折率部3の傾
きの大きさを表す。このスラント型短周期光ファイバグ
レーティングにおいては、入射光5のうち、グレーティ
ング部4で反射された光の一部はクラッド2への放射光
6となり、後進クラッドモードと結合する。これによ
り、コア1を逆行する反射モードとの結合が小さくな
り、多重反射が生じにくくなる。
【0013】このようなスラント型短周期光ファイバグ
レーティングについて、屈折率変化による反射抑制角の
変化をシミュレーションにより求めた。 図2に、シミュレーションに用いた光ファイバの構造例
を示す。図2中、符号1はコアであり、この例ではコア
半径を3μm、屈折率を1.45258としているが、これに
限定されるものではない。符号2は、コア1の外周に形
成されたクラッドであり、その屈折率を1.4443としてい
るが、これに限定されるものではない。この光ファイバ
はコア1には光感受性を持たず、クラッド2のうち、半
径12μmまでが光感受性を持つように形成されてい
る。この光ファイバについて、露光により光感受性を持
つ層の屈折率が上昇したときの反射抑制角の変化を図3
に示す。
【0014】図3において、横軸が光感受性を持つ層の
屈折率変化量△nで、縦軸が反射抑制角である。屈折率
変化量が大きくなるに従い反射抑制角が小さくなってい
く様子が確認出来る。この反射抑制角の屈折率変化依存
性は−69〔度/△n〕である。この光ファイバを用いて
SSPGを作製した場合の、反射抑制角からの角度ずれ
が反射率に与える影響を図4に示す。図4は屈折率変化
量が0.001、グレーティング長が2mmの場合の値であ
る。反射抑制角から角度が0.05度でもずれると20dB以
上の反射率の差が生じることがわかる。図3と図4の結
果から、クラッドの屈折率変化によって、SSPGの反
射率が大きく影響を受けることが確認できる。
【0015】ここまでの光ファイバにおいては、コア部
分の光感受性をゼロとして検討したが、コア部分にもク
ラッドの光感受性の20%程度まで光感受性を持たせる
場合がある。そこで、屈折率プロファイルは図2に示す
光ファイバと全く同じで、コア部分の光感受性のみをク
ラッドの光感受性の10%にした場合と、20%にした
場合の二種類について、0%のときと同様に反射抑制角
度の屈折率変化依存性を求めた。その結果を図5に示
す。コア部の光感受性がクラッド部分の光感受性の10
%である場合(図5においてはps=0.1と表示)の
反射抑制角の屈折率変化依存性は−135(度/Δn)
であり、同様に20%である場合(図5においてはps
=0.2と表示)の反射抑制角の屈折率変化依存性は−
191(度/Δn)であることがわかった。このような
反射抑制角の屈折率変化依存性と、露光による屈折率変
化と露光後の工程による屈折率変化の差を予め見積もる
ことで、露光時の反射抑制角と最終的な使用状態におけ
る反射抑制角の差を求めることができ、最終的な使用状
態において最適なスラント角とすることができる。
【0016】これらの数値をもとに、実際に必要と考え
られるスラント角を見積もる。SSPGを作製する際、
露光による屈折率変化は通常0.0015程度である。
これは、これより小さいと必要な透過損失量が得られな
いためであり、逆にこれより大きいと露光時間が長くな
ることに加え、安定して光ファイバグレーティングを作
製できなくなり、歩留まりが悪化するからである。ここ
で、安定して作製できないとは、第1に、露光時間が長
くなると、振動やレーザの揺らぎなどの外的要因の影響
を受ける時間も長くなり、歩留まり良く目的の透過損失
形状を得ることが困難になること、第2に、露光時間が
長くなると、屈折率変化量が露光量に対して飽和傾向に
なり、露光量と屈折率変化量の見積もりが困難になり、
歩留まり良く目的の透過損失形状を得ることが困難にな
ることを意味する。
【0017】露光により上昇させた屈折率変化は、脱水
素及びエージング工程で減衰させる。これは、前述の通
り完成品の熱的安定性を高めるためである。この脱水
素、エージング工程で減衰される屈折率変化量は露光に
よる屈折率変化の3割から5割程度必要であるため、露
光による屈折率変化が0.0015の場合、0.000
5〜0.0008程度減衰させることとなる。先に述べ
たように、反射抑制角の屈折率変化依存性はコア部分の
光感受性の量によって変化し、その値は−69〜−19
1(度/Δn)程度である。これらの結果より、露光後
と最終的な使用状態における反射抑制角の変化量は小さ
い場合0.0005×69=0.035度、大きい場合
は0.0008×191=0.15度であると見積もる
ことができる。つまり、予め露光時の反射抑制角よりも
0.035〜0.15度だけ大きなスラント角を設定し
てグレーティング部を作製することで、最終的な使用状
態で最適な反射抑制角とすることができ、反射のほとん
どないSSPGを作製することができる。
【0018】ここで、脱水素工程、エージング工程で減
衰される屈折率変化量は、露光による屈折率変化の3割
から5割程度必要であるとする根拠について、以下に説
明する。ここでは、エージング工程における劣化につい
て主に説明する。まず、光ファイバグレーティングをあ
る温度下におき、そのときの熱劣化(エージング)の様
子を透過率の経時変化にて測定する。その透過率を式
(1)を用い結合定数(Integrated Coupling Constant
:ICC)に変換する。
【0019】
【数1】
【0020】ここで、Tminは透過率の最小値を示す。
このICCを、熱劣化させる前のICCで規格化し、規格化結
合定数(Normalized Coupling Constant :Ncc)を求め
る。この作業をいくつかの温度で行った結果を、図6
(a)、(b)に示す。図6(a)、(b)において
は、用いた光ファイバの種類が異なっているため、同じ
温度で同じ時間だけ熱劣化させても、NCCの値が異なっ
ている。図6(a)、(b)の結果を、式(2)
【0021】
【数2】
【0022】において、横軸の時間を境界エネルギー
(Demaracation Energy :Ed)に変換してプロットしな
おす。ここで、kはボルツマン定数、Tは熱劣化時の絶
対温度、tは経過時間、ν0は定数である。この定数ν0
を変化させることにより、色々な温度で測定したNCC
曲線が変化するので、すべてのプロットが同じ曲線上に
載るように定数ν0を決定する。その結果を図7
(a)、(b)に示す。いずれの場合も良く曲線上に載
っていることが確認できる。次に、この結果を式(3)
【0023】
【数3】
【0024】でフィッティングする。式(3)におい
て、a、b、cはフィッティングパラメータである。ま
た、式(2)より、NCCは熱劣化時の絶対温度Tと経過
時間tとの関数であるので、式(3)は式(4)
【0025】
【数4】
【0026】と表すことができる。ここで、エージング
前の透過損失をT0とし、エージング後の透過損失をT
ageとすると、NCCの定義式より式(5)となり、
【0027】
【数5】
【0028】これをTageについて解くと、式(6)と
なり、
【0029】
【数6】
【0030】Tageは初期の透過損失とエージング温
度、エージング時間の関数となる。ここで、仮に光ファ
イバグレーティングの仕様が27年間45℃の使用条件
において、透過損失のdB比での変動量が0.1%以内
であるとすると、式(7)
【0031】
【数7】
【0032】の条件を満たす時間t0を求めて式(4)
によりNCCに変換する。ここで、Tage=−4dBとす
ると、必要なNCCの劣化量は光ファイバ1の場合は0.
87であり、光ファイバ2の場合は0.78となる。こ
のように、予め必要なNCCの劣化量が求まると、式
(3)より、エージングに必要な温度と時間を計算する
ことができる。光ファイバ1の場合は260℃で4分、
220℃で41分、光ファイバ2の場合は260℃で9
分、220℃で83分となる。また、このときのdB比
で見た場合のエージング前後での劣化量T age/T0はそ
れぞれ0.6、0.4となり、仕様を満たすためには、
エージングにより透過損失を半分以上落とすことが必要
となる。ここまでは、エージング工程について詳しく説
明したが、脱水素工程においてもNCCは0.75程度劣
化するので、トータルの劣化量は、0.75×0.87
〜0.75×0.78となり、露光後の屈折率変化の3
割から5割程度小さな値となる。
【0033】このように、220℃から300℃の間で
4点程度温度を定め、その温度下に光ファイバグレーテ
ィングを置いたときの劣化量の経時変化を測定し、その
値をもとに、使用温度下(ここでは45℃)で使用期間
(27年)置いたときに、規格から外れない劣化量(d
B比で1%以内)に抑えるために必要なエージング条件
を求める。このエージング条件と脱水素工程における劣
化量を考慮した値が、脱水素工程、エージング工程で減
衰される屈折率変化量を、露光による屈折率変化の3割
から5割程度とする根拠となる。3割から5割というよ
うに数値に開きがあるのは、光ファイバの種類や使用条
件によって劣化の様子が異なるためである。
【0034】光ファイバの長手方向に屈折率変化量が変
化するようなSSPGの場合、屈折率変化量が一番大き
い場所で上記の特性を満たすようにスラント角度を設定
するのが好ましい。なぜなら、屈折率変化量が小さい領
域ではもともと反射が小さく、屈折率変化量が一番大き
い場所での反射を抑制することが最も重要であるからで
ある。図8と図9に、図2に示した屈折率プロファイル
を有する光ファイバを露光して作製したSSPGの透過
損失スペクトルと反射スペクトルを示す。図8が露光時
においてスラント角度を反射抑制角に設定した場合であ
り、図9が露光時においてスラント角を露光時の反射抑
制角よりも0.05度だけ大きく設定した場合である。ど
ちらのSSPGも、透過損失はほぼ同じであるのに対
し、反射スペクトルでは図9に示すSSPGの方が反射
光強度が小さく、露光時に予め反射抑制角よりも大きな
スラント角度を設定してグレーティング部を形成した効
果がはっきりと確認できた。
【0035】この例のスラント型短周期光ファイバグレ
ーティングの製造方法によると、スラント角度が露光時
における反射抑制角よりも大きい角度となるようにして
グレーティング部を形成し、好ましくは、スラント角度
を、露光による屈折率変化量と露光後の工程による屈折
率変化量から見積もられる角度だけ、露光時における反
射抑制角よりも大きくなるようにしてグレーティング部
を形成することにより、製造後の最終的な使用状態にお
いて最適なスラント角度を有することが可能となり、反
射光強度を小さく抑えることが可能なスラント型短周期
光ファイバグレーティングを製造することができる。ま
た、屈折率変化量が光ファイバの長手方向に変化する場
合には、屈折率変化量が最大となる部分において、スラ
ント角度が露光時における反射抑制角よりも大きい角度
となるようにしてグレーティング部を形成することによ
り、製造後の最終的な使用状態において最適なスラント
角度を有することが可能となり、反射光強度を小さく抑
えることが可能なスラント型短周期光ファイバグレーテ
ィングを製造することができる。
【0036】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によると、
スラント角度が露光時における反射抑制角よりも大きい
角度となるようにしてグレーティング部を形成し、好ま
しくは、スラント角度が、露光による屈折率変化量と露
光後の工程による屈折率変化量から見積もられる角度だ
け、露光時における反射抑制角よりも大きくなるように
してグレーティング部を形成することにより、製造後の
最終的な使用状態において最適なスラント角度を有する
ことが可能となり、反射光強度を小さく抑えることが可
能なスラント型短周期光ファイバグレーティングを製造
することができる。また、屈折率変化量が光ファイバの
長手方向に変化する場合には、屈折率変化量が最大とな
る部分において、スラント角度が露光時における反射抑
制角よりも大きい角度となるようにしてグレーティング
部を形成することにより、屈折率変化量が変化する場合
であっても、製造後の最終的な使用状態において最適な
スラント角度を有することが可能となり、反射光強度を
小さく抑えることが可能なスラント型短周期光ファイバ
グレーティングを製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のスラント型短周期光ファイバグレーテ
ィングの例を示す図である。
【図2】本発明のスラント型短周期光ファイバグレーテ
ィングに用いられる光ファイバの屈折率プロファイルの
一例を示す図である。
【図3】屈折率変化量と反射抑制角度との関係を示す図
である。
【図4】反射抑制角からのずれによる反射率の変化を示
す図である。
【図5】図2に示す光ファイバと全く同じ屈折率プロフ
ァイルで、コア部分の光感受性のみをクラッドの光感受
性の10%にした場合と、20%にした場合の二種類に
ついて、反射抑制角度の屈折率変化依存性を示す図であ
る。
【図6】規格化結合定数をいくつかの温度について求め
た結果を示す図である。
【図7】境界エネルギーに対して規格化結合定数をプロ
ットした結果を示す図である。
【図8】露光時においてスラント角度を反射抑制角に設
定した場合の透過損失スペクトルと反射スペクトルとを
示す図である。
【図9】露光時においてスラント角を露光時の反射抑制
角よりも0.05度だけ大きく設定した場合の透過損失ス
ペクトルと反射スペクトルとを示す図である。
【符号の説明】
1…コア、2…クラッド、3…高屈折率部、4…グレー
ティング部
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H049 AA06 AA34 AA41 AA51 AA59 AA62 2H050 AB05Z AC82 AC84 AD00

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 コアとクラッドとを有する光ファイバに
    対して紫外光を照射して、周期的な高屈折率部からなる
    グレーティング部を形成し、該グレーティング部の格子
    ベクトルと光ファイバ軸とのなす角であるスラント角度
    を非ゼロの角度に設定するスラント型短周期光ファイバ
    グレーティングの製造方法において、該クラッドにも光
    感受性を持たせ、該スラント角度が露光時における反射
    抑制角よりも大きい角度となるようにして該グレーティ
    ング部を形成することを特徴とするスラント型短周期光
    ファイバグレーティングの製造方法。
  2. 【請求項2】 前記スラント角度が、露光時における反
    射抑制角よりも0.035度〜0.15度大きくなるよう
    にして前記グレーティング部を形成することを特徴とす
    る請求項1に記載のスラント型短周期光ファイバグレー
    ティングの製造方法。
  3. 【請求項3】 前記スラント角度が、露光による屈折率
    変化量と露光後の工程による屈折率変化量とから見積も
    られる角度だけ、露光時における反射抑制角よりも大き
    くなるようにして前記グレーティング部を形成すること
    を特徴とする請求項1又は2に記載のスラント型短周期
    光ファイバグレーティングの製造方法。
  4. 【請求項4】 前記屈折率変化量が前記光ファイバの長
    手方向に変化する場合に、該屈折率変化量が最大となる
    部分において、前記スラント角度が露光時における反射
    抑制角よりも大きい角度となるようにして該グレーティ
    ング部を形成することを特徴とする請求項1、2又は3
    に記載のスラント型短周期光ファイバグレーティングの
    製造方法。
  5. 【請求項5】 請求項1から4のいずれかに記載のスラ
    ント型短周期光ファイバグレーティングの製造方法によ
    り製造されたことを特徴とするスラント型短周期光ファ
    イバグレーティング。
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