JP4329173B2 - 光導波路グレーティング素子製造方法 - Google Patents

光導波路グレーティング素子製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光導波路のコアに屈折率変調によるグレーティングが形成された光導波路グレーティング素子の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光導波路グレーティング素子は、光ファイバ等の光導波路のコアに屈折率変調によるグレーティングが形成されたものであり、その光導波路を導波してグレーティング形成領域に到達した光のうち特定波長の光を反射または減衰させることができることから、光フィルタ等として用いられる。このような光導波路グレーティング素子は、Ge元素が添加されたコアに対して、空間的に強度変調された紫外光を照射することにより製造される。この紫外光照射に際しては、光導波路の一端から光を入射させて他端から出射する光のスペクトルをモニタしながら紫外光を照射し、そのモニタされた光のスペクトルすなわち光導波路グレーティング素子の透過特性が所望の特性となった時点で紫外光照射を終了する。
【0003】
近年、光通信システムにおける要求に応じて、複雑な反射・減衰の特性を有する光導波路グレーティング素子が必要とされてきている。光導波路グレーティング素子の複雑な特性は、屈折率変調が形成された領域の長さ、屈折率変調の周期、および、屈折率変調の変調度などのうちの何れかが互いに異なる複数のグレーティングを光導波路上に作製することにより実現することができる。このとき、光導波路グレーティング素子の小型化や挿入損失低減の観点より、融着などの接続部を含むことなく、1つの光導波路に複数のグレーティングが縦列に作製され、或いは、1つの光導波路の共通の領域に複数のグレーティングが重ねて作製される。
【0004】
このように1つの光導波路に複数のグレーティングを縦列に又は重ねて順次に作製して光導波路グレーティング素子を製造する場合、作製途中にモニタされる光導波路グレーティング素子の透過特性は、そのモニタの時点で作製終了または作製途中の各グレーティングの透過特性を総合したものである。そこで、このような光導波路グレーティング素子であって所望の透過特性を有するものを製造する為には以下の製造方法により製造することが考えられる。すなわち、各グレーティングの作製が終了する度に、そのときの総合透過特性を記憶しておく。そして、次のグレーティングの作製の際には、モニタされる透過特性と記憶されている総合透過特性とから作製途中のグレーティングの単体の透過特性を求め、この求められたグレーティングの単体の透過特性が所望の特性となった時点で紫外光照射を終了する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記製造方法に従って製造した場合であっても、1つの光導波路に複数のグレーティングが作製され所望の特性を有し安定性に優れた光導波路グレーティング素子を得ることは困難であることを、本願発明者は見出した。そして、本願発明者は、この困難性が以下の事項に起因するものであることを見出して、本願発明を想到するに到った。
【0006】
すなわち、グレーティングが形成される光導波路であるGe添加光ファイバには、紫外光照射の際の感光性を高める為に水素も添加される(例えば特開平11−38264号公報を参照)。水素が添加されると紫外光照射に因る屈折率上昇の程度が大きくなるが、紫外光照射時に水素濃度が大きく減少していき、紫外光照射終了後もグレーティングの透過特性が経時変化する。したがって、上述したように各グレーティングの作製が終了する度に総合透過特性を記憶しても、既に作製されたグレーティングの透過特性は、次のグレーティングを作製している間に経時変化していく。したがって、作製途中のグレーティングの単体の透過特性を正確に求めることができず、所望の特性を有する光導波路グレーティング素子を得ることが困難である。
【0007】
また、光導波路グレーティング素子は、グレーティング作製後に脱水素および長期信頼性確保の為の加速劣化を目的として加熱処理がなされるが、各グレーティング毎に特性に応じて加熱処理の際の特性変化量が異なるので、このことに因っても所望の特性を有する光導波路グレーティング素子を得ることが困難である。さらに、1つの光導波路に複数のグレーティングを重ねて作製して光導波路グレーティング素子を製造する場合には、既に紫外光照射により屈折率上昇が誘起されている部分とそうでない部分とでは、その後に同じ量の紫外光が照射されても屈折率上昇量が異なるので、このことに因っても所望の特性を有する光導波路グレーティング素子を得ることが困難である。
【0008】
本発明は、上記問題点を解消する為になされたものであり、1つの光導波路に複数のグレーティングが作製され所望の特性を有し安定性に優れた光導波路グレーティング素子の製造方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る光導波路グレーティング素子製造方法は、1つの光導波路に複数のグレーティングを順次に作製して光導波路グレーティング素子を製造する光導波路グレーティング素子製造方法であって、上記複数のグレーティングそれぞれについて光導波路に屈折率変調を誘起してグレーティングを形成するグレーティング形成工程と、上記複数のグレーティングのうち最後に作製されるグレーティングおよび他の何れか1以上のグレーティングそれぞれについてグレーティング形成工程の後に光導波路を加熱処理する加熱工程と、を備えることを特徴とする。この光導波路グレーティング素子製造方法によれば、複数のグレーティングのうち最後に作製されるグレーティングおよび他の何れか1以上のグレーティングそれぞれについてグレーティング形成工程の後に加熱工程を行うことにより、所望の特性を有し安定性に優れた光導波路グレーティング素子を製造することができる。
【0010】
また、本発明に係る光導波路グレーティング素子製造方法では、加熱工程の際の加熱温度は、前に作製されたグレーティングについての加熱工程の際の加熱温度より低いことを特徴とする。この場合には、更に容易に所望の特性を有し安定性に優れた光導波路グレーティング素子を製造することができる。
さらに、本発明に係る光導波路グレーティング素子製造方法では、(a) 複数のグレーティングのうち最初に作製されるグレーティングについて、グレーティング形成工程では、光導波路の透過特性をモニタしながら紫外光を照射し、そのモニタされた光のスペクトルすなわち透過特性が所望の特性となった時点で紫外光照射を終了して、加熱工程を行わない場合にはグレーティング形成工程終了時のグレーティングの透過特性を記憶し、加熱工程を行う場合には加熱工程終了時のグレーティングの透過特性を記憶し、(b) 複数のグレーティングのうち最初および最後に作製されるグレーティングを除く他のグレーティングそれぞれについて、グレーティング形成工程では、光導波路の透過特性をモニタしながら紫外光を照射し、そのモニタされる透過特性と記憶されている作製済みのグレーティングの透過特性とから作製途中のグレーティングの単体の透過特性を求め、この求められた作製途中のグレーティングの単体の透過特性が所望の特性となった時点で紫外光照射を終了して、加熱工程を行わない場合にはグレーティング形成工程終了時のグレーティングの総合透過特性を記憶し、加熱工程を行う場合には加熱工程終了時のグレーティングの総合透過特性を記憶し、(c) 複数のグレーティングのうち最後に作製されるグレーティングについて、グレーティング形成工程では、光導波路の透過特性をモニタしながら紫外光を照射し、そのモニタされる透過特性と記憶されている作製済みの総合透過特性とから作製途中のグレーティングの単体の透過特性を求め、この求められた作製途中のグレーティングの単体の透過特性が所望の特性となった時点で紫外光照射を終了する、ことを特徴とする。
【0011】
また、本発明に係る光導波路グレーティング素子製造方法は、上記複数のグレーティングのうち何れか2以上のグレーティングそれぞれについて、グレーティング形成工程の前に光導波路に水素を添加する水素添加工程を更に備えることを特徴とする。この場合には、複数のグレーティングのうち何れか2以上のグレーティングそれぞれについてグレーティング形成工程の前に水素添加工程を行うことにより、光導波路の長手方向に亘って水素添加濃度が均一となり、グレーティング形成工程の際の感光性も均一となるので、グレーティングは目標特性のものが得られ、また、光導波路グレーティング素子も目標特性のものが得られる。これは複数のグレーティングを重ねて作製する場合に有効である。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、図面の説明において同一の要素には同一の符号を付し、重複する説明を省略する。また、以下では、1つの光ファイバ(光導波路)に複数のグレーティングが作製された光導波路グレーティング素子について説明する。
【0014】
先ず、本発明に係る光導波路グレーティング素子の実施形態について説明する。図1は、本実施形態に係る光導波路グレーティング素子1の説明図である。この図は、光軸を含む面で光導波路グレーティング素子1を切断したときの断面図を示している。この光導波路グレーティング素子1は、コア11とクラッド12とを有する石英系の光ファイバ10に、N個(N≧2)のグレーティング201〜20Nが縦列に又は重ねて形成されたものである。N個のグレーティング201〜20Nそれぞれは、屈折率変調が形成された領域の長さ、屈折率変調の周期、および、屈折率変調の変調度のうちの何れかが互いに異なる。そして、N個のグレーティング201〜20Nそれぞれは互いに異なる透過特性を有している。光導波路グレーティング素子1の透過特性は、N個のグレーティング201〜20Nそれぞれの透過特性を総合したものである。この光導波路グレーティング素子1は、以下に説明する光導波路グレーティング素子製造方法により製造される。
【0015】
次に、本発明に係る光導波路グレーティング素子製造方法の実施形態について説明する。図2は、本実施形態に係る光導波路グレーティング素子製造方法の工程図である。ここではグレーティング201,202,…,20Nの順に作製されるものとする。はじめに、コア11にGe元素が添加された石英系の光ファイバ10を用意する。この光ファイバ10に対し、水素添加工程S11で水素を添加し、グレーティング形成工程S12で所定のマスクを介して空間的に強度変調された紫外光を照射して屈折率変調を誘起せしめ、加熱工程S13で加熱処理して、グレーティング201を作製する。このグレーティング形成工程S12では、光ファイバ10の一端から光を入射させて他端から出射する光のスペクトルをモニタしながら紫外光を照射し、そのモニタされた光のスペクトルすなわち透過特性が所望の特性となった時点で紫外光照射を終了する。そして、加熱工程S13終了時のグレーティング201の透過特性を記憶する。
【0016】
続いて、グレーティング201が作製された光ファイバ10に対し、水素添加工程S21で水素を添加し、グレーティング形成工程S22で所定のマスクを介して空間的に強度変調された紫外光を照射して屈折率変調を誘起せしめ、加熱工程S23で加熱処理して、グレーティング202を作製する。このグレーティング形成工程S22では、光ファイバ10の一端から光を入射させて他端から出射する光のスペクトルをモニタしながら紫外光を照射し、そのモニタされる透過特性と記憶されているグレーティング201の透過特性とから作製途中のグレーティング202の単体の透過特性を求め、この求められたグレーティング202の単体の透過特性が所望の特性となった時点で紫外光照射を終了する。そして、加熱工程S23終了時のグレーティング201および202の総合透過特性を記憶する。
【0017】
以降同様にして各グレーティング203,…,20N-1を順次に作製していく。最後に、グレーティング201〜20N-1が作製された光ファイバ10に対し、水素添加工程SN1で水素を添加し、グレーティング形成工程SN2で所定のマスクを介して空間的に強度変調された紫外光を照射して屈折率変調を誘起せしめ、加熱工程SN3で加熱処理して、グレーティング20Nを作製する。このグレーティング形成工程SN2では、光ファイバ10の一端から光を入射させて他端から出射する光のスペクトルをモニタしながら紫外光を照射し、そのモニタされる透過特性と記憶されているグレーティング201〜20N-1の総合透過特性とから作製途中のグレーティング20Nの単体の透過特性を求め、この求められたグレーティング20Nの単体の透過特性が所望の特性となった時点で紫外光照射を終了する。
【0018】
以上のようにして本実施形態に係る光導波路グレーティング素子製造方法に従って作製することにより、所望の特性を有し安定性に優れた光導波路グレーティング素子1を容易に製造することができる。特に、第i番目のグレーティング20iの作製時の加熱工程の際の光ファイバ10の加熱温度Tiより、その後の第j番目のグレーティング20jの作製時の加熱工程の際の光ファイバ10の加熱温度Tjを低くすることにより(i<j、Ti>Tj)、更に安定性に優れた光導波路グレーティング素子1を製造することができる。
【0019】
なお、以上の説明では、N個のグレーティング201〜20Nそれぞれのグレーティング形成工程の後に加熱工程を設けることとし、N個のグレーティング201〜20Nそれぞれのグレーティング形成工程の前に水素添加工程を設けることとした。しかし、最後に作製されるグレーティング20Nおよび他の何れか1以上のグレーティングそれぞれのグレーティング形成工程の後に加熱工程を設けるだけでもよい。また、N個のグレーティング201〜20Nのうち何れか2以上のグレーティングそれぞれのグレーティング形成工程の前に水素添加工程を設けるだけでもよい。
【0020】
次に、本実施形態に係る光導波路グレーティング素子製造方法の実施例および比較例について以下に説明する。各実施例および比較例それぞれは、2つの長周期グレーティングLPG−aおよびLPG−bを順次に作製するものである。長周期グレーティングは、コアに誘起された屈折率変調の周期が数百μm程度のものであって、光ファイバを導波してグレーティング形成領域に到達した光のうち特定波長のコアモード光をクラッドモード光へ変換することで、その特定波長の光を遮断する。
【0021】
図3は、長周期グレーティングLPG−aおよびLPG−bならびに光導波路グレーティング素子それぞれの目標透過特性を示すグラフである。一方の長周期グレーティングLPG−aは、屈折率変調が形成された領域の長さが23mmであり、屈折率変調の周期が401μmである。他方の長周期グレーティングLPG−bは、屈折率変調が形成された領域の長さが20mmであり、屈折率変調の周期が350μmである。2つの長周期グレーティングLPG−aおよびLPG−bそれぞれは、透過率が最小となる遮断中心波長が互いに異なり、また、コアモード光を互いに異なる次数のクラッドモード光へ変換する。光導波路グレーティング素子の目標透過特性は、長周期グレーティングLPG−aおよびLPG−bそれぞれの目標透過特性のdB単位での和である。
【0022】
各実施例および比較例それぞれにおいて、水素添加工程では、100atmで水素を光ファイバに添加した。グレーティング形成工程では、形成すべき長周期グレーティングの屈折率変調の周期と同一の周期で透過領域と遮光領域とが1方向に周期的に繰り返される強度変調マスクを介して、KrFレーザ光源から出力された波長248nmのレーザ光を光ファイバに照射して、光ファイバのコアに屈折率変調を誘起せしめた。
【0023】
(比較例)
比較例では2つの長周期グレーティングLPG−aおよびLPG−bを縦列に作製した。この比較例では、1つ目の長周期グレーティングLPG−aの水素添加工程の後にグレーティング形成工程を行った。その後に加熱工程および水素添加工程を行うことなく、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程を行った。長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程には約13分を要した。
【0024】
図4は、長周期グレーティングLPG−aのグレーティング形成工程の終了直後、5分経過後および10分経過後それぞれに測定して得られた長周期グレーティングLPG−aの透過特性を示すグラフである。このグラフから判るように、長周期グレーティングLPG−aの透過特性は、グレーティング形成工程後に経時変化して、透過率が最小となる遮断中心波長が次第に長くなっていき、その遮断中心波長における遮断率が次第に大きくなっていく。
【0025】
図5は、比較例において、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の後に測定して得られた光導波路グレーティング素子の透過特性、および、演算により得られた長周期グレーティングLPG−bの単体の透過特性を示すグラフである。なお、長周期グレーティングLPG−bの単体の透過特性は、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の後に測定して得られた光導波路グレーティング素子全体の透過特性、および、1つ目の長周期グレーティングLPG−aのグレーティング形成工程の後に測定して記憶しておいた透過特性に基づいて演算により求めた。
【0026】
このグラフから判るように、演算により得られた長周期グレーティングLPG−bの単体の透過特性は、波長1540nm付近で0dBを超えており、明らかに不正確である。これは、図4に示したように、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の際に1つ目の長周期グレーティングLPG−aの透過特性が経時変化していることに因る。これでは2つ目の長周期グレーティングLPG−bの透過特性を所望のものとすることは困難である。
【0027】
(第1実施例)
第1実施例でも2つの長周期グレーティングLPG−aおよびLPG−bを縦列に作製した。第1実施例では、1つ目の長周期グレーティングLPG−aの水素添加工程の後にグレーティング形成工程を行い、このグレーティング形成工程の後に100℃10時間の加熱工程を行って、この加熱工程により安定となった長周期グレーティングLPG−aの透過特性を測定して記憶した。そして、長周期グレーティングLPG−aが作製された光ファイバに対し水素添加工程を行い、その後に2つ目の長周期グレーティングLPG−bを作製するためにグレーティング形成工程を行った。
【0028】
図6は、第1実施例において、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の後に測定して得られた光導波路グレーティング素子の透過特性、および、演算により得られた長周期グレーティングLPG−bの単体の透過特性を示すグラフである。なお、長周期グレーティングLPG−bの単体の透過特性は、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の後に測定して得られた光導波路グレーティング素子全体の透過特性、および、1つ目の長周期グレーティングLPG−aのグレーティング形成工程および加熱工程の後に測定して記憶しておいた透過特性に基づいて演算により求めた。
【0029】
このグラフから判るように、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の際に長周期グレーティングLPG−aの透過特性は経時変化することがないので、長周期グレーティングLPG−bの透過特性は正確に求められている。したがって、2つ目の長周期グレーティングLPG−bの透過特性も所望のものとすることができる。
【0030】
ただし、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の後に100℃10時間の加熱工程を行うと、その加熱工程の際に1つ目の長周期グレーティングLPG−aの透過特性がさらに変動して、光導波路グレーティング素子全体の特性も変動して所望の特性とは異なる場合がある。図7は、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の後に100℃10時間の加熱工程を行った場合の光導波路グレーティング素子全体の透過特性および目標透過特性それぞれを示すグラフである。
【0031】
このグラフから判るように、光導波路グレーティング素子全体の透過特性は、目標透過特性と比較すると、透過率が最小となる遮断中心波長1559nm付近では一致しているものの、透過率が2番目の極小値となる波長1542nm付近では相違している。このような問題は、次に述べる第2実施例のように、1つ目の長周期グレーティングLPG−aのグレーティング形成工程の後の加熱工程の際の加熱温度より、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の後の加熱工程の際の加熱温度を低くすることにより解決することができる。
【0032】
(第2実施例)
第2実施例は、上記第1実施例において、1つ目の長周期グレーティングLPG−aのグレーティング形成工程の後の加熱工程で加熱温度を110℃とし、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の後の加熱工程では加熱温度を100℃としたものである。
【0033】
図8は、第2実施例において、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の後に測定して得られた光導波路グレーティング素子全体の透過特性、その後の加熱工程の後に測定して得られた光導波路グレーティング素子全体の透過特性、および、光導波路グレーティング素子の目標透過特性それぞれを示すグラフである。このグラフから判るように、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の後の加熱温度100℃の加熱工程の際に、これより高い加熱温度110℃で既に加熱工程を行った1つ目の長周期グレーティングLPG−aの透過特性が変動しないので、光導波路グレーティング素子全体の特性を所望のものとすることができる。
【0034】
(第3実施例)
第3実施例では2つの長周期グレーティングLPG−aおよびLPG−bを互いに重ねて作製した。この実施例では、1つ目の長周期グレーティングLPG−aの加熱工程の後であって2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の前に水素添加工程を行った場合、および、この水素添加工程を行わなかった場合とで、光導波路グレーティング素子の透過特性を比較した。なお、複数のグレーティングを重ねて作製する場合には光ファイバの平均屈折率が高くなることから、第1の実施例の場合と比較して本実施例の場合には屈折率変調の周期を僅かに短くした。
【0035】
図9は、第3実施例において、1つ目の長周期グレーティングLPG−aのグレーティング形成工程および加熱工程の後に測定して得られた長周期グレーティングLPG−aの透過特性、および、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程および加熱工程の後に測定して得られた光導波路グレーティング素子全体の透過特性を示すグラフである。また、光導波路グレーティング素子の透過特性は、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の前に水素添加工程を行った場合、および、この水素添加工程を行わなかった場合それぞれについて示されている。
【0036】
このグラフから判るように、1つ目の長周期グレーティングLPG−aの加熱工程の後であって2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の前に水素添加工程を行わなかった場合には、1つ目の長周期グレーティングLPG−aのグレーティング形成工程により屈折率が上昇した部分と上昇しなかった部分とでは、水素添加濃度が異なり、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の際の感光性も異なるので、長周期グレーティングLPG−bの屈折率変調の振幅が小さくなり、長周期グレーティングLPG−bにより透過率が最小となる1559nm付近で遮断量が減少する。
【0037】
これに対して、1つ目の長周期グレーティングLPG−aの加熱工程の後であって2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の前に水素添加工程を行った場合には、光ファイバの長手方向に亘って水素添加濃度が均一となり、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の際の感光性も均一となるので、長周期グレーティングLPG−bは目標特性のものが得られ、また、光導波路グレーティング素子も目標特性のものが得られる。
【0038】
本発明は、上記実施形態に限定されるものではなく種々の変形が可能である。例えば、上記の実施形態および各実施例では、光ファイバに複数のグレーティングが作製された光導波路グレーティング素子について説明したが、平面基板上に形成された光導波路に複数のグレーティングが作製された光導波路グレーティング素子についても同様である。
【0039】
また、各実施例では、複数の長周期グレーティングが作製された光導波路グレーティング素子について説明したが、複数のブラッググレーティングが作製された光導波路グレーティング素子についても同様である。なお、グレーティング形成工程でブラッググレーティングを形成するには、例えば、光導波路に近接配置された位相格子マスクに紫外光を入射させて、その位相格子マスクから出力された回折光の干渉パターンにより光導波路のコアに屈折率変調を誘起せしめる。
【0040】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したとおり、本発明に係る光導波路グレーティング素子製造方法によれば、複数のグレーティングのうち最後に作製されるグレーティングおよび他の何れか1以上のグレーティングそれぞれについてグレーティング形成工程の後に加熱工程を行うことにより、所望の特性を有し安定性に優れた光導波路グレーティング素子を製造することができる。
【0041】
また、加熱工程の際の加熱温度が前に作製されたグレーティングについての加熱工程の際の加熱温度より低い場合には、更に容易に所望の特性を有し安定性に優れた光導波路グレーティング素子を製造することができる。
【0042】
また、複数のグレーティングのうち何れか2以上のグレーティングそれぞれについてグレーティング形成工程の前に水素添加工程を更に備える場合には、光導波路の長手方向に亘って水素添加濃度が均一となり、グレーティング形成工程の際の感光性も均一となるので、グレーティングは目標特性のものが得られ、また、光導波路グレーティング素子も目標特性のものが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本実施形態に係る光導波路グレーティング素子の説明図である。
【図2】本実施形態に係る光導波路グレーティング素子製造方法の工程図である。
【図3】長周期グレーティングLPG−aおよびLPG−bならびに光導波路グレーティング素子それぞれの目標透過特性を示すグラフである。
【図4】長周期グレーティングLPG−aのグレーティング形成工程の終了直後、5分経過後および10分経過後それぞれに測定して得られた長周期グレーティングLPG−aの透過特性を示すグラフである。
【図5】比較例において、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の後に測定して得られた光導波路グレーティング素子の透過特性、および、演算により得られた長周期グレーティングLPG−bの単体の透過特性を示すグラフである。
【図6】第1実施例において、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の後に測定して得られた光導波路グレーティング素子の透過特性、および、演算により得られた長周期グレーティングLPG−bの単体の透過特性を示すグラフである。
【図7】2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の後に100℃10時間の加熱工程を行った場合の光導波路グレーティング素子全体の透過特性および目標透過特性それぞれを示すグラフである。
【図8】第2実施例において、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程の後に測定して得られた光導波路グレーティング素子全体の透過特性、その後の加熱工程の後に測定して得られた光導波路グレーティング素子全体の透過特性、および、光導波路グレーティング素子の目標透過特性それぞれを示すグラフである。
【図9】第3実施例において、1つ目の長周期グレーティングLPG−aのグレーティング形成工程および加熱工程の後に測定して得られた長周期グレーティングLPG−aの透過特性、および、2つ目の長周期グレーティングLPG−bのグレーティング形成工程および加熱工程の後に測定して得られた光導波路グレーティング素子全体の透過特性を示すグラフである。
【符号の説明】
1…光導波路グレーティング素子、10…光ファイバ(光導波路)、11…コア、12…クラッド、201〜20N…グレーティング。

Claims (2)

  1. 1つの光導波路に複数のグレーティングを順次に作製して光導波路グレーティング素子を製造する光導波路グレーティング素子製造方法であって、
    前記複数のグレーティングそれぞれについて前記光導波路に屈折率変調を誘起してグレーティングを形成するグレーティング形成工程と、
    前記複数のグレーティングのうち最後に作製されるグレーティングおよび他の何れか1以上のグレーティングそれぞれについて前記グレーティング形成工程の後に前記光導波路を加熱処理する加熱工程と、
    を備え、
    前記加熱工程の際の加熱温度は、前に作製されたグレーティングについての前記加熱工程の際の加熱温度より低く、
    前記複数のグレーティングのうち最初に作製されるグレーティングについて、前記グレーティング形成工程では、前記光導波路の透過特性をモニタしながら紫外光を照射し、そのモニタされた光のスペクトルすなわち透過特性が所望の特性となった時点で紫外光照射を終了して、前記加熱工程を行わない場合には前記グレーティング形成工程終了時のグレーティングの透過特性を記憶し、前記加熱工程を行う場合には前記加熱工程終了時のグレーティングの透過特性を記憶し、
    前記複数のグレーティングのうち最初および最後に作製されるグレーティングを除く他のグレーティングそれぞれについて、前記グレーティング形成工程では、前記光導波路の透過特性をモニタしながら紫外光を照射し、そのモニタされる透過特性と記憶されている作製済みのグレーティングの透過特性とから作製途中のグレーティングの単体の透過特性を求め、この求められた作製途中のグレーティングの単体の透過特性が所望の特性となった時点で紫外光照射を終了して、前記加熱工程を行わない場合には前記グレーティング形成工程終了時のグレーティングの総合透過特性を記憶し、前記加熱工程を行う場合には前記加熱工程終了時のグレーティングの総合透過特性を記憶し、
    前記複数のグレーティングのうち最後に作製されるグレーティングについて、前記グレーティング形成工程では、前記光導波路の透過特性をモニタしながら紫外光を照射し、そのモニタされる透過特性と記憶されている作製済みの総合透過特性とから作製途中のグレーティングの単体の透過特性を求め、この求められた作製途中のグレーティングの単体の透過特性が所望の特性となった時点で紫外光照射を終了する、
    ことを特徴とする光導波路グレーティング素子製造方法。
  2. 前記複数のグレーティングのうち何れか2以上のグレーティングそれぞれについて前記グレーティング形成工程の前に前記光導波路に水素を添加する水素添加工程を更に備えることを特徴とする請求項1記載の光導波路グレーティング素子製造方法。
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