JP2003165170A - 拡散反射板、それを製造するのに用いられる転写原型、転写ベースフィルム、転写フィルム及び拡散反射板の製造方法 - Google Patents

拡散反射板、それを製造するのに用いられる転写原型、転写ベースフィルム、転写フィルム及び拡散反射板の製造方法

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JP2003165170A
JP2003165170A JP2001366967A JP2001366967A JP2003165170A JP 2003165170 A JP2003165170 A JP 2003165170A JP 2001366967 A JP2001366967 A JP 2001366967A JP 2001366967 A JP2001366967 A JP 2001366967A JP 2003165170 A JP2003165170 A JP 2003165170A
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reflection plate
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JP2001366967A
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English (en)
Inventor
Yasuo Tsuruoka
恭生 鶴岡
Toshikatsu Shimazaki
俊勝 嶋崎
Hidekuni Tomono
秀邦 伴野
Keiko Kizawa
桂子 木沢
Mitsunori Iwamuro
光則 岩室
Yoshihiro Tsuda
義博 津田
Seiji Tai
誠司 田井
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Resonac Corp
Original Assignee
Hitachi Chemical Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 外光を入射しても分光を抑制し、表示品質の
良好な拡散反射板及びそれを製造するのに用いられる転
写原型、転写ベースフィルム、転写フィルム、拡散反射
板の製造方法を提供する。 【解決手段】 光を拡散反射させる拡散反射板におい
て、複数の凹凸面形状が、規則的に配列し、前記凹凸面
形状の高さまたは深さが、一定でない拡散反射板。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、バックライトを必
要としない反射型液晶表示装置や高効率を必要とされる
太陽電池などに使用される拡散反射板、それを製造する
のに用いられる転写原型、転写ベースフィルム、転写フ
ィルム及び拡散反射板の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】液晶ディスプレイ(以下LCDと略す)
は、薄型、小型、低消費電力などの特長を生かし、現
在、時計、電卓、TV、パソコン等の表示部に用いられ
ている。更に近年、カラーLCDが開発されOA・AV
機器を中心にナビゲーションシステム、ビュウファイン
ダー、パソコンのモニター用など数多くの用途に使われ
始めており、その市場は今後、急激に拡大するものと予
想されている。特に、外部から入射した光を反射させて
表示を行う反射型LCDは、バックライトが不要である
ために消費電力が少なく、薄型、軽量化が可能である点
で携帯用端末機器用途として注目されている。
【0003】従来から反射型LCDにはツイステッドネ
マティック方式並びにスーパーツイステッドネマティッ
ク方式が採用されているが、これらの方式では直線偏光
子により入射光の1/2が表示に利用されないことにな
り表示が暗くなってしまう。そこで、偏光子を1枚に減
らし、位相差板と組み合わせた方式や相転移型ゲスト・
ホスト方式の表示モードが提案されている。
【0004】反射型LCDにおいて外光を効率良く利用
して明るい表示を得るためには、更にあらゆる角度から
の入射光に対して、表示画面に垂直な方向に散乱する光
の強度を増加させる必要がある。そのために、反射板上
の反射膜を適切な反射特性が得られるように制御するこ
とが必要である。このため反射板に反射率の高い金属、
例えばアルミニウムや銀を使用したり、金属表面の反射
率を向上するために、増反射膜を金属に積層することが
試みられている。さらに、基板に感光性樹脂を塗布しフ
ォトマスクを用いてパターン化して凹凸を形成し、金属
薄膜を形成して反射板を形成するいわゆるフォトリソグ
ラフィー法による方法(特開平4−243226号公
報)が提案されている。このとき、凹凸の配置を密にし
て所定の間隔で配置し、凹凸の傾斜角度を所定値に制御
することで、所定の限定した角度範囲で、反射率の向上
が試みられている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記の方法で作製した
拡散反射板は、外光の反射により分光を生じ、さらに液
晶表示装置等に適用した場合、分光により表示品質の低
下を招く。特に屋外の直射日光下で、前記拡散反射板を
用いた液晶表示装置等の表示装置で、表示品質の低下が
著しい。分光の問題を回避するため、凹凸面の形状の配
列を不規則にした場合、凹凸形状を最密充填に配置でき
ないため、拡散反射に寄与しない反射面を形成してしま
い有効な反射光をこの分失うため、反射特性の低下を招
く。本発明は、上記課題に取り組み、表示品質の良好な
反射特性に優れた拡散反射板を与えるためになされたも
ので、外光を入射しても分光を抑制し、表示品質の良好
な拡散反射板及びそれを製造するのに用いられる転写原
型、転写ベースフィルム、転写フィルム、拡散反射板の
製造方法を提供するものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明は、[1]光を拡
散反射させる拡散反射板において、複数の凹凸面形状
が、規則的に配列し、前記凹凸面形状の高さまたは深さ
が、一定でないことを特徴とする拡散反射板である。ま
た、[2]凹凸面が粗面化処理された上記[1]に記載
の拡散反射板である。また、[3]すべての凹凸面の中
で、垂直方向の最大高さと最低高さの差(凹凸面の最大
段差)がいずれか一つの凹凸面の垂直方向の最大高さと
最低高さの差(段差)の1.2倍以上である上記[1]
または上記[2]に記載の拡散反射板である。また、
[4]凹凸面形状の最大段差が6μm以下である上記
[3]に記載の拡散反射板である。また、[5]凹凸面
形状の規則的な配列間隔が1〜500μmである上記
[1]ないし上記[4]のいずれかに記載の拡散反射板
である。また、本発明は、[6]上記[1]ないし上記
[5]のいずれかに記載の拡散反射板の凹凸面を形成し
た転写原型である。また、[7]上記[6]に記載の転
写原型の凹凸面を形成する転写原型である。また、本発
明は、[8]上記[6]または上記[7]に記載の転写
原型を用い、転写原型を被転写フィルムに押し当てるこ
とにより形状が転写された転写ベースフィルムである。
また、本発明は、[9]上記[8]に記載の転写ベース
フィルムを仮支持体として用い、仮支持体の転写原型を
転写した面に薄膜層を形成し、薄膜層の仮支持体に形成
されていない面が被転写基板への接着面を構成する転写
フィルムである。また、[10]上記[9]に記載の転
写フィルムにおいて、仮支持体と薄膜層の間に反射膜が
形成された転写フィルムである。また、本発明は、[1
1]上記[9]に記載の転写フィルムを基板に薄膜層が
面するように押し当てる工程と、前記仮支持体を剥がす
工程と、薄膜層の転写された表面に反射膜を形成する工
程により拡散反射板を作製する拡散反射板の製造方法で
ある。また、[12]上記[10]に記載の転写フィル
ムを基板に薄膜層が面するように押し当てる工程と、前
記仮支持体を剥がす工程により拡散反射板を作製する拡
散反射板の製造方法である。また、[13]上記[8]
に記載の転写ベースフィルムを基板上に形成された薄膜
層に、転写された面が面するように押し当てる工程と、
前記転写ベースフィルムを剥がす工程と、表面に反射膜
を形成する工程を含む拡散反射板の製造方法である。ま
た、本発明は、[14]上記[11]ないし上記[1
3]のいずれかに記載の拡散反射板の製造方法により得
られた拡散反射板である。また、[15]上記[8]に
記載の転写ベースフィルムの転写原型を転写した面に反
射膜を設けた拡散反射板である。また、[16]上記
[1]〜[5]、[14]、[15]のいずれかに記載
の拡散反射板を反射型液晶ディスプレイに用いたことを
特徴とする拡散反射板である。
【0007】
【発明の実施の形態】本発明により、外光を入射しても
分光を抑制し、表示品質の良好な拡散反射板及びそれを
製造するのに用いられる転写原型、転写ベースフィル
ム、転写フィルム、拡散反射板の製造方法を提供するこ
とができる。
【0008】本発明の反射型液晶ディスプレイ等に用い
る拡散反射板は、例えば転写法により、容易に大量に生
産される。拡散反射板は、基板表面に微細な凹凸面の形
成された転写原型の表面形状を転写することにより、ま
た、さらに、その転写原型の表面形状を転写し、転写し
た転写原型の表面形状をさらに転写することにより作製
することができる。転写原型の微細な凹凸面を転写する
と、その凹凸形状の反転された凹凸形状が転写され、こ
れをさらに転写すると転写原型と同じ表面形状を転写す
ることができる。また、転写原型を被転写フィルムに押
し当てることにより形状が転写された転写ベースフィル
ムとすることができる。この転写ベースフィルムの転写
原型を転写した面に反射膜を設けて拡散反射板とするこ
とができる。さらに、この転写ベースフィルムを仮支持
体として用い、仮支持体の転写原型を転写した面に薄膜
層を積層し、薄膜層の仮支持体に形成されていない面が
被転写基板への接着面を構成する転写フィルムとするこ
とができる。この場合、仮支持体と薄膜層の間に反射膜
が形成された転写フィルムとすることもできる。転写ベ
ースフィルムに反射膜を形成した後、薄膜層を形成して
得ることができる。そして、この転写フィルムを基板に
薄膜層が面するように押し当てる工程と、前記仮支持体
を剥がす工程と、薄膜層の転写された表面に反射膜を形
成する工程により拡散反射板を作製することができる。
さらに、仮支持体と薄膜層の間に反射膜が積層された転
写フィルムを基板に薄膜層が面するように押し当てる工
程と、前記仮支持体を剥がす工程により拡散反射板を作
製することができる。また、本発明の拡散反射板は、転
写原型を被転写フィルムに押し当てることにより形状が
転写された転写ベースフィルムを基板上に形成された薄
膜層に、転写された面が面するように押し当てる工程
と、前記転写ベースフィルムを剥がす工程と、表面に反
射膜を形成する工程を含むことにより製造することがで
きる。
【0009】凹凸面は、図1に示すように、例えば彫刻
子の上下運動と被彫刻材表面の水平運動により凹凸面を
形成する機械的加工等によって形成することができる。
その例として以下の工程により形成されるが、これに制
限されるものではなく、レーザーカッティング、フォト
リソ法や斜方エッチング等を施してもよく、それらを組
み合わせて用いることもできる。xyz空間上xy面内
に基材表面または転写原型表面または転写原型の転写原
型表面を配置し、x方向に等速運動させながら、所定の
先端角度形状を備える彫刻子をz方向に一定でない振幅
に上下運動させ基材表面または転写原型表面または転写
原型の転写原型表面に直線上に並ぶ一定でない深さの凹
凸面を連続形成する。x方向に等速運動する基材表面ま
たは転写原型表面または転写原型の転写原型表面を端部
まで彫刻し終えたら、次に先の彫刻始点に彫刻子を戻
し、彫刻始点をy方向に所定の距離移動し、再度x方向
に基材表面または転写原型表面または転写原型の転写原
型表面を等速運動させ、一定でない振幅の上下運動をし
て彫刻を施す。この作業を繰り返し、基材表面または転
写原型表面または転写原型の転写原型表面全面に、規則
的に配置した凹凸面であり、凹凸面形状の高さまたは深
さが、一定でない凹凸面形状を形成する。このとき、基
材表面または転写原型表面または転写原型の転写原型表
面がロール状である場合、x方向に等速運動の他に、一
定角速度で回転運動していてもよく、さらに好ましく
は、1周分の彫刻を終えたときに、回転軸方向に所定の
距離移動しているように所定速度で運動させ、かつ、彫
刻子の不規則な振幅の上下運動が1周で半位相ずれるよ
うに螺旋状に彫刻すると連続してロール全面に彫刻穴で
ある凹部が形成される。また、彫刻子の一定でない振幅
の上下運動は、等速運動である必要はなく、時間軸を横
軸に変位量を縦軸にしたとき正弦波運動、三角波運動、
2次曲線運動等でもよい。上記各運動、水平運動、回転
運動、上下運動は、彫刻子と被彫刻材表面との相対運動
であればよく、上記は一例である。基材表面または転写
原型表面または転写原型の転写原型表面の彫刻子加工の
後、凹部により形成された面を、サンドブラスト、めっ
き、ビーズ含有の膜積層等によりさらに微細な凹凸を形
成して粗面化する。また、基材表面または転写原型表面
または転写原型の転写原型表面の彫刻子加工の後、レベ
リングを施し、粗面化し凹部または凸部としてもよい。
レベリングの工程として、例えば、レベリングメッキ、
リフロー、ソフトエッチング、レベリング膜積層等があ
る。粗化メッキ後に再度光沢メッキを行って凹部または
凸部形状を最適化することもできる。彫刻子の形状を選
択することで反射特性を最適化することができる。ま
た、さらに表面の硬度を上げたり、酸化を防止する目的
で保護メッキを行ってもよい。保護メッキとしてクロ
ム、ニッケル、亜鉛等のメッキを行うのが好ましい。
【0010】本発明の転写原型または、転写原型の転写
原型の材質は金属、樹脂等、制限されないが、好ましく
は寸法安定性、導電性に優れるステンレス等の鉄合金、
さらに加工裕度のある銅または銅合金が形成されたもの
を用いる。表面は機械研磨、エッチング、洗浄する等し
て均一にして用いる。板状、シート状、ロール状等限定
されないが、ロール状であると回転しながら加工が可能
となるのでより好ましい。光を拡散し得る凹凸形状面が
形成された転写原型または、転写原型の転写原型は、シ
ート状、平板またはロール状または曲面の一部等の基材
の表面に全面または必要な部分に光を拡散し得る凹凸形
状面が形成されたものを用いることができ、加圧装置に
貼り付けたり、凹凸を形成する面と加圧装置との間に挟
み込んで用いてもよい。押し当てる工程で熱、光等を与
えてもよい。本発明の拡散反射板は、凹凸面の形状の高
さあるいは深さの一定でない不規則性によって、分光を
抑制することが可能となるので、凹凸面の形状の高さあ
るいは深さの不規則性は、拡散反射板の用途を考慮して
設計する必要がある。直射日光下で使用する場合、拡散
反射板の凹凸面形状の最大段差がいずれか一つの凹凸面
形状の段差の1.2倍以上、好ましくは、1.35倍以
上であると好ましい。
【0011】図7に拡散反射板の凹凸面形状の一例を示
す断面図を示した。複数の凹凸面形状が、規則的に配列
するとは、図7に示したように、断面の形状がある方向
に一定の間隔で配列していることを示す。そして、前記
凹凸面形状の高さまたは深さが、一定でないことを示し
ている。凹凸面形状の規則的な配列間隔は、視差やムラ
の無い、視認性の優れた拡散反射板を得ることが可能と
なるように500μm以下、好ましくは200μm以下
の間隔で配列する。一方、配列間隔が狭いと分光を生じ
やすくなるので、好ましくは1μm以上、より好ましく
は、5μm以上の配列間隔とする。拡散反射板の凹凸面
は、凹凸のため表面に段差が生じる。また、凹凸面の高
さまたは深さに一定でない不規則性を加えるためさらに
大きな段差となるが、例えば液晶表示装置の2枚のガラ
ス板間に形成する拡散反射板の場合、段差を小さくする
必要がある。また、他の表示装置である例えば、電界発
光表示装置等に本発明の拡散反射板を利用した場合、段
差が小さい方が拡散反射板に各表示装置を構成する部材
を形成する上で、製造工程が簡便になる。すなわち、本
発明の拡散反射板は、凹凸面の最大段差を6μm以下と
することが好ましい。より好ましくは、3.5μm以下
である。本発明の転写原型または、転写原型の転写原型
の凹凸面は、通常、その凹凸面が転写される薄膜層を硬
化して使用するが、その際の変形を考慮して設計する必
要がある。すなわち、転写原型から薄膜層に転写される
課程で、転写される形状がなだらかに変形することを考
慮し、転写原型の凹凸面の段差や傾斜角度を、求める薄
膜層の凹凸形状より大きくし、転写原型の凹凸面の頂角
や峰、谷の曲率を小さくする。
【0012】本発明の転写原型は、転写原型を用いて転
写原型を被転写層に押し当てることにより形状が転写さ
れた転写ベースフィルムとすることができる。この転写
ベースフィルムは、以下の転写ベースフィルム、下塗り
層が設けられた転写ベースフィルムであってもよい。ベ
ースフィルムとしては、化学的、熱的に安定であり、シ
ートまたは板状に成形できるものを用いることができ
る。具体的には、ポリエチレン、ポリプロピレン等のポ
リオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン等
のポリハロゲン化ビニル類、セルロースアセテート、ニ
トロセルロース、セロハン等のセルロース誘導体、ポリ
アミド、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリイミ
ド、ポリエステル、ABS、ポリアセタール、PPO、
ポリスルホン、エポキシ樹脂などの各種プラスチックあ
るいはアルミニウム、銅等の金属類等である。これらの
中で特に好ましいのは寸法安定性に優れた2軸延伸ポリ
エチレンテレフタレートである。
【0013】下塗り層が設けられた転写ベースフィルム
の下塗り層としては、凹凸形成後は後述の薄膜層よりも
硬いものが好ましい。例えばポリエチレン、ポリプロピ
レンなどのポリオレフィン、エチレンと酢酸ビニル、エ
チレンとアクリル酸エステル、エチレンとビニルアルコ
ールのようなエチレン共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化
ビニルと酢酸ビニルの共重合体、塩化ビニルとビニルア
ルコールの共重合体、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレ
ン、スチレンと(メタ)アクリル酸エステルのようなス
チレン共重合体、ポリビニルトルエン、ビニルトルエン
と(メタ)アクリル酸エステルのようなビニルトルエン
共重合体、ポリ(メタ)アクリル酸エステル、(メタ)
アクリル酸ブチルと酢酸ビニルのような(メタ)アクリ
ル酸エステルの共重合体、合成ゴム、セルロース誘導体
等から選ばれた、少なくとも1種類以上の有機高分子を
用いることができる。凹凸形成後硬化させるために必要
に応じて光開始剤やエチレン性二重結合を有するモノマ
ー等を添加することができる。ネガ型、ポジ型の感光タ
イプであっても問題はない。これらの転写ベースフィル
ム、下塗り層が設けられた転写ベースフィルムは、転写
原型を用い、転写原型を被転写層に押し当てることによ
り形状が転写された転写ベースフィルムとする。
【0014】本発明では、上記の転写ベースフィルムを
仮支持体として用い、仮支持体の転写原型を転写した面
に薄膜層を形成し、薄膜層の仮支持体に形成されていな
い面が被転写基板への接着面を構成する転写フィルムと
することができる。また、転写ベースフィルムを基板上
に形成された薄膜層に、転写された面が面するように押
し当て、転写ベースフィルムを剥がし、表面に反射膜を
形成して拡散反射板を製造する。この薄膜層は、転写ベ
ースフィルムの支持体や基板上に塗布・貼りつけ等で形
成しフィルム状に巻き取ることが可能な樹脂組成物を用
いることができる。また薄膜中に必要に応じて、染料、
有機顔料、無機顔料、粉体及びその複合物を単独または
混合して用いてもよい。薄膜層には光硬化性樹脂組成物
や熱硬化性樹脂組成物を用いることができる。薄膜層の
軟化温度は特に制限されないが、200℃以下であるこ
とが望ましい。また加熱による流動性を得るために分子
量10000以下の低融点物質を添加することができ
る。
【0015】そのようなものの中で、転写ベースフィル
ムや基板に対する密着性が良好で、転写ベースフィルム
に対しては、それからの剥離性がよいものを用いるのが
好ましい。たとえば光硬化性樹脂組成物に含まれる有機
重合体としては、アクリル樹脂、ポリエチレン、ポリプ
ロピレン等のポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩
化ビニリデン等のポリハロゲン化ビニル類、セルロース
アセテート、ニトロセルロース、セロハン等のセルロー
ス誘導体、ポリアミド、ポリスチレン、ポリカーボネー
ト、ポリエステル等を用いることができる。TFT液晶
表示装置に用いる場合は基板に形成されたTFTとのコ
ンタクトホールを形成するためにその部分の薄膜層を除
けるように、アルカリ等で現像可能な感光性樹脂を用い
ることもできる。また耐熱性、耐溶剤性、形状安定性を
向上させるために、熱によって硬化可能な樹脂組成物を
用いることもできる。さらに、カップリング剤、接着性
付与剤を添加することで転写ベースフィルムとの密着を
向上させることもできる。接着を向上させる目的で転写
ベースフィルムまたは薄膜層の接着面に接着性付与剤を
形成することもできる。
【0016】薄膜層の加熱による流動性を得るために分
子量10000以下の低融点物質を添加することができ
る。例えば「プラスチックス配合剤」(遠藤 昭定、須
藤眞編、大成社発行、平成8年11月30日発行)記載
の可塑剤や、エチレン性二重結合を分子内に少なくとも
1つ以上有するモノマーを添加する。本成分の使用量
は、感光性組成物中の固形分総量の1〜70重量%とす
ることが好ましい。
【0017】例えば、トリメチロールプロパントリアク
リレート、トリメチロールプロパンジアクリレート、ト
リエチレングリコールジアクリレート、ジエチレングリ
コールジアクリレート、テトラエチレングリコールジア
クリレート、ヘキサメチレングリコールジアクリレー
ト、ネオペンチルグリコールジアクリレート、フルフリ
ルアクリレート、テトラメチロールメタンテトラアクリ
レート、レゾルシノールジアクリレート、p,p’−ジ
ヒドロキシジフェニルジアクリレート、スピログリコー
ルジアクリレート、シクロヘキサンジメチロールジアク
リレート、ビスフェノールAジアクリレート、ポリプロ
ピレングリコールジアクリレート、ペンタエリスリトー
ルテトラアクリレート、エチレングリコール化ペンタエ
リスリトールテトラアクリレート、ジペンタエリスリト
ールヘキサアクリレート、及び上記のアクリレートに対
応するメタクリレート化合物、メチレンビスアクリルア
ミド、ウレタン系ジアクリレート等の多官能モノマーが
挙げられる。また、ECH変性フタル酸ジアクリレー
ト、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、
トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ト
リス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、ポリ
エチレングリコールジメタクリレート、トリブロモフェ
ニルアクリレート、EO変性トリブロモフェノールアク
リレート,EO変性テトラブロモビスフェノールジメタ
クリレートなどの25℃で固体または粘度が100Pa
・s(10万csp)以上であるモノマー及びオリゴマ
ーを用いてもよい。さらに「感光材料リストブック」
(フォトポリマー懇話会編、ぶんしん出版発行、199
6年3月31日発行)記載のものから選ばれるのが好ま
しい。
【0018】また、メチルメタクリレート、エチルメタ
クリレート、n−ブチルメタクリレート、イソブチルメ
タクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ア
ルキルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレー
ト、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、ベンジル
メタクリレート、モノ(2−メタクリロイルオキシエチ
ル)アシッドホスフェート、ジメチルアミノエチルメタ
クリレート四級化物等の単官能モノマーが挙げられる。
これらの成分は単独または2種以上を混合して用いるこ
ともできる。
【0019】光硬化性樹脂組成物の光開始剤としては、
例えば、ベンゾフェノン、N,N′−テトラエチル−
4,4′−ジアミノベンゾフェノン、4−メトキシ−
4′−ジメチルアミノベンゾフェノン、ベンジル、2,
2−ジエトキシアセトフェノン、ベンゾイン、ベンゾイ
ンメチルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル、ベ
ンジルジメチルケタール、α−ヒドロキシイソブチルフ
ェノン、チオキサントン、2−クロロチオキサントン、
1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−メ
チル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モル
ホリノ−1−プロパン、t−ブチルアントラキノン、1
−クロロアントラキノン、2,3−ジクロロアントラキ
ノン、3−クロル−2−メチルアントラキノン、2−エ
チルアントラキノン、1,4−ナフトキノン、9,10
−フェナントラキノン、1,2−ベンゾアントラキノン
ラチ−1,4−ジメチルアントラキノン、2−フェニル
アントラキノン、2−(o−クロロフェニル)−4,5
−ジフェニルイミダゾール二量体等が挙げられる。これ
らの光開始剤は単独で又は2種類以上を組み合わせて使
用される。本成分の使用量は、感光性組成物中の固形分
総量の0.01〜25重量%とすることが好ましく、1
〜20重量%であることがより好ましい。
【0020】薄膜層や下塗り層の塗布方法としては、ロ
ールコータ塗布、スピンコータ塗布、スプレー塗布、デ
ィップコータ塗布、カーテンフローコータ塗布、ワイヤ
バーコータ塗布、グラビアコータ塗布、エアナイフコー
タ塗布等が挙げられる。仮支持体等の表面に上記の方法
で薄膜層または下塗り層を塗布する。
【0021】本発明では、薄膜層の転写された表面や転
写ベースフィルムに反射膜を形成する。この反射膜を薄
膜層上に形成した一例を図3、4に示した。反射膜とし
ては、反射したい波長領域によって材料を適切に選択す
れば良く、例えば反射型LCD表示装置では、可視光波
長領域である300nmから800nmにおいて反射率
の高い金属、例えばアルミニウムや金、銀等を真空蒸着
法またはスパッタリング法等によって形成する。また反
射増加膜(光学概論2、辻内順平、朝倉書店、1976
年発行)を上記の方法で積層してもよい。屈折率差を利
用して反射させる場合、金属だけでなく、ITOや五酸
化タンタル等の膜とシリコンやアルミニウム等の酸化膜
や窒化膜、酸窒化膜を真空蒸着法またはスパッタリング
法等によって形成する。あるいは、薄膜層単体として大
気や低屈折率の膜を積層する。反射膜の厚みは、0.0
1〜50μmが好ましい。また反射膜は、必要な部分だ
けフォトリソグラフィー法、マスク蒸着法等によりパタ
ーン形成してもよい。
【0022】薄膜層の基板に転写される面の保護のた
め、保護フィルムであるカバーフィルムを設けても良
い。このカバーフィルムとしては、化学的および熱的に
安定で、薄膜層との剥離が容易であるものが望ましい。
具体的にはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレ
ンテレフタレート、ポリビニルアルコール等の薄いシー
ト状のもので表面の平滑性が高いものが好ましい。剥離
性を付与するために表面に離型処理をしたものも含まれ
る。これらカバーフィルムの厚みは、5〜120μmが
望ましい。5μm未満ではフィルムが切れることがあ
り、不良になり易い。また、120μmを超えると後工
程でフィルムを巻き取る際にしわになり易く、作業性が
低下してくる。
【0023】図2に示したように、本発明の転写フィル
ムは、転写原型をベースフィルムと下塗り層からなる被
転写層に押し当てることにより形状が転写された転写ベ
ースフィルムを仮支持体として用い、仮支持体の転写原
型を転写した面に薄膜層を形成し(図2では薄膜層の保
護のためカバーフィルムを積層して形成している)、薄
膜層の仮支持体に積層されていない面が被転写基板への
接着面を構成するものである。転写フィルム上の薄膜層
を基板に転写する方法としては、図4に示したようにカ
バーフィルムを剥がし、被転写基板として例えばガラス
基板上に加熱圧着すること等が挙げられる。さらに密着
性を必要とする場合には基板を必要な薬液等で洗浄した
り、基板に接着付与剤を塗布したり、基板に紫外線等を
照射する等の方法を用いてもよい。薄膜層を転写する装
置としては基板を加熱、加圧可能なゴムロールとベース
フィルムとの間に挟み、ロールを回転させて、薄膜層を
基板に押し当てながら基板を送りだすロールラミネータ
を用いることが好ましい。このようにして基板表面に形
成した薄膜層の膜厚は、0.1μm〜50μmの範囲が
好ましい。このとき凹凸形状の最大高低差より薄膜層の
膜厚が厚い方が凹凸形状を再現しやすい。膜厚が等しい
場合、あるいは薄い場合では、原型凸部で薄膜層を突き
破ってしまい、不必要な平面部が発生し反射効率の良好
な拡散反射板を得にくくなる。
【0024】光を拡散し得る形状を保持するために、光
硬化性樹脂の場合、薄膜層を露光し、感光、硬化させ
る。露光機としては、カーボンアーク灯、超高圧水銀
灯、高圧水銀灯、キセノンランプ、メタルハライドラン
プ、蛍光ランプ、タングステンランプ等が挙げられる。
露光は仮支持体を剥がす前、または剥がした後に行うこ
とができる。露光後、温風加熱炉、または赤外線加熱
炉、ホットプレート等で加熱を行う場合がある。
【0025】以上では反射型液晶ディスプレイで説明し
たが、本発明の拡散反射板は外部光線を拡散反射させる
ことが必要な表示デバイスに用いることが出来る。以下
の実施例により本発明を具体的に説明する。
【0026】
【実施例】(実施例1)図1に示したように、直径13
0mmの円筒形の鉄製基材を回転させながら、銅メッキ
を行って、鉄に銅が200μm積層された原型基材を得
た。これを研磨して表面が鏡面となるように加工した。
次にこれを回転させながら先端角度が164度のダイヤ
モンド針で連続的に螺旋彫刻し、底面形状が菱形で深さ
を3.0μm、3.2μm、3.4μm、3.7μm、
4.0μmのいずれかで不規則に変えた四角錐擬似形を
押し付けた形状が全面に隣接して並んだロール型を得
た。次にこれを回転させながら以下に示す銅メッキ液に
浸漬し、電流密度(メッキ面積10平方センチメートル
あたりの電流値)が8A/平方デシメートルとなるよう
に電流を調節し、光沢メッキを行った後、同じメッキ液
中で電流密度を2A/平方デシメートルとなるように電
流を調整し、粗化メッキを行った後、メッキ液を除去す
る目的で純水を用いて洗浄した。次に銅の酸化を抑える
ために、以下に示すニッケルメッキ液に浸漬しながら、
電流密度2A/平方デシメートルとなるように電流を調
整して光沢ニッケルメッキを行って転写原型を得た。 (銅メッキ液): 硫酸銅 210g/リットル 硫酸 60g/リットル チオ尿素 0.01g/リットル デキストリン 0.01g/リットル 塩酸 0.01g/リットル 液温 30℃ (ニッケルメッキ液): 硫酸ニッケル 240g/リットル 塩化ニッケル 45g/リットル 硼酸 30g/リットル 浴温 50℃
【0027】ベースフィルムに厚さ100μmのポリエ
チレンテレフタレートフィルムを用い、このベースフィ
ルム上に下塗り層として光硬化性樹脂溶液をコンマコー
ターで20μmの膜厚になるよう塗布乾燥した。次に前
記の転写原型を押しあて紫外線を照射し光硬化性樹脂を
硬化し転写原型から分離し、凹凸形状が光硬化性樹脂層
(下塗り層)の表面に形成された転写ベースフィルムを
得た。 (光硬化性樹脂(下塗り層)溶液): アクリル酸・ブチルアクリレート・ビニルアセテート共重合体 5重量部 ブチルアセテート(モノマー) 8重量部 ビニルアセテート(モノマー) 2重量部 アクリル酸(モノマー) 0.3重量部 ヘキサンジオールアクリレート(モノマー ) 0.2重量部 ベンゾインイソブチルエーテル(開始剤) 2.5重量%
【0028】次に光硬化性樹脂層(下塗り層)上に下記
の薄膜層形成用溶液をコンマコーターで平均膜厚が8μ
mの膜厚になるよう塗布乾燥し、カバーフィルムとして
ポリエチレンフィルムを被覆して転写フィルムを得た
(図2)。 次に、図4に示したように、この転写フィ
ルムのカバーフィルムを剥がしながら、薄膜層がガラス
基板に接する様にラミネータ(ロールラミネータHLM
1500、日立化成テクノプラント株式会社製商品名)
を用いて基板温度90℃、ロール温度80℃、ロール圧
力0.686MPa(7kg/cm2)、速度0.5m
/分でラミネートし、ガラス基板上に薄膜層、光硬化性
樹脂層(下塗り層)、ベースフィルムが積層された基板
を得た。次に、光硬化性樹脂層(下塗り層)とベースフ
ィルムを剥離し、ガラス基板上に転写原型の凹凸形状と
同様な薄膜層を得た。次に、オーブンで230℃、30
分間の熱硬化を行い、真空蒸着法で、アルミニウム薄膜
を0.2μmの膜厚になるよう積層し反射層を形成し、
拡散反射板を作製した。
【0029】図6に本発明の拡散反射板の反射特性の測
定装置を示す。反射光と入射光のなす角度を入射光角度
θとすると、必要とされるθの範囲で拡散反射板の法線
方向で観測される輝度すなわち反射強度を大きくすれば
反射特性に優れる拡散反射板が得られる。図8には方位
角(φ)を45度とした場合の本実施例による拡散反射
板の相対反射強度(標準白色板に対する相対強度)の入
射光角度(反射角)依存性を示した。方位角φ=45度
において標準白色板より高い反射光量の得られるθの角
度範囲が、−30〜30度の拡散反射板を得た。さら
に、直射日光下で分光を観察されないことが確認でき、
外光を入射しても分光を抑制し、表示品質の良好な拡散
反射板を得ることができた。 (薄膜層形成用溶液):ポリマーとしてスチレン、メチ
ルメタクリレート、エチルアクリレート、アクリル酸、
グリシジルメタクリレート共重合樹脂を用いた(ポリマ
ーA)。分子量は約35000、酸価は110である。 ポリマーA 70重量部 ペンタエリスリトールテトラアクリレート(モノマー) 30重量部 イルガキュアー369(チバスペシャルティーケミカルズ)(開始剤)2.2重量部 N,N−テトラエチル-4,4’-ジアミノベンゾフェノン(開始剤)2.2重量部 プロピレングリコールモノメチルエーテル(溶剤) 492重量部 p−メトキシフェノール(重合禁止剤) 0.1重量部 パーフルオロアルキルアルコキシレート(界面活性剤) 0.01重量部
【0030】(実施例2)実施例1で得られた転写ベー
スフィルムの凹凸面に真空蒸着法で、アルミニウム薄膜
を0.2μmの膜厚になるよう積層し反射層を形成し
た。これにより方位角φ=45度において標準白色板よ
り高い反射光量の得られるθの角度範囲が、−30度〜
30度の拡散反射板を得た。さらに、直射日光下で分光
が観察されないことを確認でき、外光を入射しても分光
を抑制し、表示品質の良好な拡散反射板を得ることがで
きた。実施例1は、転写原型と同じ凹凸形状であるが、
実施例2は、転写原型の凹凸を反転させた形状である。
【0031】(実施例3)基板としてガラス基板を用
い、実施例1と同様の薄膜層形成用溶液を塗布し200
0回転で15秒間スピンコートし、ホットプレートで9
0℃、2分間加熱して8μmの薄膜層を得た。次に実施
例1と同様にベースフィルムに厚さ100μmのポリエ
チレンテレフタレートフィルムを用い、下塗り層として
実施例1の光硬化性樹脂溶液をコンマコーターで20μ
mの膜厚になるよう塗布乾燥して転写原型を押しあて紫
外線を照射し光硬化性樹脂を硬化し転写原型から分離し
て得られた凹凸形状が光硬化性樹脂層(下塗り層)の表
面に形成された転写ベースフィルムを作製した。この転
写ベースフィルムの凹凸面がガラス基材の表面に形成し
た薄膜層に面するようにラミネータ(ロールラミネータ
HLM1500、日立化成テクノプラント株式会社製商
品名)を用いて基板温度90℃、ロール温度80℃、ロ
ール圧力0.686MPa(7kg/cm2)、速度
0.5m/分でラミネートし、ガラス基板上に薄膜層、
光硬化性樹脂層(下塗り層)、ベースフィルムが積層さ
れた基板を得た。これに露光装置で紫外線を照射し次
に、光硬化性樹脂層(下塗り層)とベースフィルムを剥
離し、ガラス基板上に転写原型の凹凸形状と同様な薄膜
層を得た。次に、オーブンで230℃、30分間の熱硬
化を行い、真空蒸着法で、アルミニウム薄膜を0.2μ
mの膜厚になるよう積層し反射層を形成した。これによ
り方位角φ=45度において標準白色板より高い反射光
量の得られるθの角度範囲が、−30度〜30度の拡散
反射板を得た。さらに、直射日光下で分光が観察されな
いことを確認でき、外光を入射しても分光を抑制し、表
示品質の良好な拡散反射板を得ることができた。
【0032】(比較例1)実施例1で示した図1と同様
に、直径130mmの円筒形の鉄製基材を回転させなが
ら、銅メッキを行って、鉄に銅が200μm積層された
原型基材を得た。これを研磨して表面が鏡面となるよう
に加工した。次にこれを回転させながら先端角度が16
4度のダイヤモンド針で連続的に螺旋彫刻し、底面形状
が菱形で深さが3.2μmの一定な四角錐擬似形を押し
付けた形状が全面に隣接して並んだロール型を得た。次
にこれを回転させながら実施例1と同じ銅メッキ液に浸
漬し、電流密度(メッキ面積10平方センチメートルあ
たりの電流値)が8A/平方デシメートルとなるように
電流を調節し、光沢メッキを行った後、同じメッキ液中
で電流密度を2A/平方デシメートルとなるように電流
を調整し、粗化メッキを行った後、メッキ液を除去する
目的で純水を用いて洗浄した。次に銅の酸化を抑えるた
めに、実施例1と同じニッケルメッキ液に浸漬しなが
ら、電流密度2A/平方デシメートルとなるように電流
を調整して光沢ニッケルメッキを行って転写原型を得
た。以下実施例1と同様に、本比較例の転写原型から拡
散反射板を作製した。これにより方位角φ=45度にお
いて標準白色板より高い反射光量の得られるθの角度範
囲が、−30度〜30度の拡散反射板を得たが、直射日
光下で分光が観察された。
【0033】実施例で得られた拡散反射板をそれぞれ用
いた反射型LCDの一例を図5に示した。直射日光下で
分光が観察されず表示品質を明るく高めた表示を実現で
きた。
【0034】
【発明の効果】本発明の拡散反射板は、反射型液晶表示
装置、電界発光表示装置、電気泳動表示装置等の表示品
質向上を目的に、新規な特徴を凹凸面の形状にもたせ
た。その特徴は、複数の凹凸面形状が、規則的に配列し
ながらも凹凸面形状の高さまたは深さを、不規則にした
点にあり、この拡散反射板により、高い反射特性を備え
つつ、外光を入射しても分光を抑制し、表示品質を明る
く高めた表示を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の転写原型の製造工程の一例を示す断
面図。
【図2】 本発明の転写フィルムの一例を示す断面図。
【図3】 本発明の拡散反射板の一例を示す断面図。
【図4】 本発明の拡散反射板の製造例を示す断面図。
【図5】 反射型LCDの一例を示す断面図。
【図6】 拡散反射板の反射特性の測定装置を示す斜視
図。
【図7】 本発明の拡散反射板の凹凸面形状の一例を示
す斜視図。
【図8】 実施例1の拡散反射板の相対反射強度の反射
角依存性を示す図。
【符号の説明】
1.ガラス基板 2.薄膜層 3.反射膜 4.ベースフィルム 5.カバーフィルム 6.下塗り層 11.カラーフィルタ 12.ブラックマトリクス 13.透明電極 14.平坦化膜 15.配向膜 16.液晶層 17.スペーサ 18.位相差フィルム 19.偏光板
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 木沢 桂子 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社総合研究所内 (72)発明者 岩室 光則 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社総合研究所内 (72)発明者 津田 義博 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社総合研究所内 (72)発明者 田井 誠司 茨城県つくば市和台48 日立化成工業株式 会社総合研究所内 Fターム(参考) 2H042 AA02 AA26 BA04 BA12 BA15 BA20 DA11 DA21 DC12 2H091 FA16Y FC19 FC29 LA12 LA19 4F100 AB10 AG00 AK12 AK12J AK25 AK25J AK80 AL01 AR00C AT00B BA02 BA03 BA10B BA10C DD08A EC041 EH662 EJ191 EJ34A EJ911 GB41 JM02A JM02C JN06 JN06C YY00A

Claims (16)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 光を拡散反射させる拡散反射板におい
    て、複数の凹凸面形状が、規則的に配列し、前記凹凸面
    形状の高さまたは深さが、一定でないことを特徴とする
    拡散反射板。
  2. 【請求項2】 凹凸面が粗面化処理された請求項1に記
    載の拡散反射板。
  3. 【請求項3】 すべての凹凸面の中で、垂直方向の最大
    高さと最低高さの差(凹凸面の最大段差)がいずれか一
    つの凹凸面の垂直方向の最大高さと最低高さの差(段
    差)の1.2倍以上である請求項1または請求項2に記
    載の拡散反射板。
  4. 【請求項4】 凹凸面形状の最大段差が6μm以下であ
    る請求項3に記載の拡散反射板。
  5. 【請求項5】 凹凸面形状の規則的な配列間隔が1〜5
    00μmである請求項1ないし請求項4のいずれかに記
    載の拡散反射板。
  6. 【請求項6】 請求項1ないし請求項5のいずれかに記
    載の拡散反射板の凹凸面を形成した転写原型。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載の転写原型の凹凸面を形
    成する転写原型。
  8. 【請求項8】 請求項6または請求項7に記載の転写原
    型を用い、転写原型を被転写フィルムに押し当てること
    により形状が転写された転写ベースフィルム。
  9. 【請求項9】 請求項8に記載の転写ベースフィルムを
    仮支持体として用い、仮支持体の転写原型を転写した面
    に薄膜層を形成し、薄膜層の仮支持体に形成されていな
    い面が被転写基板への接着面を構成する転写フィルム。
  10. 【請求項10】 請求項9に記載の転写フィルムにおい
    て、仮支持体と薄膜層の間に反射膜が形成された転写フ
    ィルム。
  11. 【請求項11】 請求項9に記載の転写フィルムを基板
    に薄膜層が面するように押し当てる工程と、前記仮支持
    体を剥がす工程と、薄膜層の転写された表面に反射膜を
    形成する工程により拡散反射板を作製する拡散反射板の
    製造方法。
  12. 【請求項12】 請求項10に記載の転写フィルムを基
    板に薄膜層が面するように押し当てる工程と、前記仮支
    持体を剥がす工程により拡散反射板を作製する拡散反射
    板の製造方法。
  13. 【請求項13】 請求項8に記載の転写ベースフィルム
    を基板上に形成された薄膜層に、転写された面が面する
    ように押し当てる工程と、前記転写ベースフィルムを剥
    がす工程と、表面に反射膜を形成する工程を含む拡散反
    射板の製造方法。
  14. 【請求項14】 請求項11ないし請求項13のいずれ
    かに記載の拡散反射板の製造方法により得られた拡散反
    射板。
  15. 【請求項15】 請求項8に記載の転写ベースフィルム
    の転写原型を転写した面に反射膜を設けた拡散反射板。
  16. 【請求項16】 請求項1〜5、14、15のいずれか
    に記載の拡散反射板を反射型液晶ディスプレイに用いた
    ことを特徴とする拡散反射板。
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