JP2003163164A - 結晶性半導体薄膜及びその形成方法 - Google Patents

結晶性半導体薄膜及びその形成方法

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JP2003163164A
JP2003163164A JP2001360147A JP2001360147A JP2003163164A JP 2003163164 A JP2003163164 A JP 2003163164A JP 2001360147 A JP2001360147 A JP 2001360147A JP 2001360147 A JP2001360147 A JP 2001360147A JP 2003163164 A JP2003163164 A JP 2003163164A
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single crystal
film
crystalline semiconductor
crystalline
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JP2001360147A
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English (en)
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Junichi Tanaka
潤一 田中
Hideo Saito
秀男 齋藤
Jiyunkou Takagi
悛公 高木
Yasunori Nishimura
靖紀 西村
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Original Assignee
Sharp Corp
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 結晶性に優れており、TFT特性を飛躍的に
向上させることのできる結晶性半導体薄膜及びその製造
方法を提供する。 【解決手段】 ガラス基板1の一方の側縁に形成された
切欠部1aに単結晶シリコン体3が配置され、この単結
晶シリコン体3が配置されたガラス基板1上には、単結
晶シリコン体3が露出した状態で下地膜である誘電体薄
膜4が形成されている。この誘電体薄膜4及び一部が露
出された単結晶シリコン体3上には、半導体膜5が形成
される。この半導体膜5は、ガラス基板1の単結晶シリ
コン体3が配置された一方の側縁から順次、半導体膜5
を溶融するレーザー光Lを照射しながら走査することに
よって、切欠部1aに配置された単結晶シリコン体3の
結晶性を引き継いで結晶化が進む。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、誘電体基板上に形
成されたアモルファス状または微結晶状の半導体薄膜を
結晶化することによって得られる結晶性半導体薄膜及び
その形成方法に関する。
【0002】
【従来の技術】ガラス基板等の誘電体基板上に形成され
たアモルファス状の半導体薄膜を用いて製造される薄膜
トランジスタ(TFT)は、液晶ディスプレイ等の画素
のスイッチングコントローラとして用いられている。
【0003】このようなアモルファス状の半導体薄膜を
用いたTFTに対して、多結晶半導体薄膜を用いたTF
Tは、キャリアの移動度が大きい等の利点を有し、TF
Tのスイッチング特性のさらなる高性能化を図ることが
でき、画素のスイッチグに限らず、駆動回路を構成する
TFTとしても使用することができる。
【0004】このため、近年では、多結晶半導体薄膜に
よって製造されたTFTを用いれば、同一基板上に表示
部と駆動回路とを同時に形成することができるシステム
・オン・パネルを実現することが可能となるので、アモ
ルファス状の半導体薄膜に代えて多結晶半導体薄膜を用
いてTFTを製造することが推進されており、簡便な方
法により誘電体基板上に結晶性半導体薄膜を形成するこ
とが要求されている。
【0005】このような要求に対して、誘電体基板上に
形成されたアモルファス状の半導体薄膜、あるいは微結
晶半導体薄膜に対して、レーザ光を照射することにより
結晶化して多結晶膜等の結晶性半導体薄膜を形成する結
晶化技術は、誘電体基板上にアモルファス状の半導体薄
膜等を形成する工程及びこのアモルファス状の半導体薄
膜等に対してレーザー光を照射する工程の双方が簡便に
実施することができるため、盛んに技術開発が推進され
ている。
【0006】実際に、誘電体基板上に形成されたアモル
ファスシリコン薄膜あるいは微結晶シリコン薄膜に、レ
ーザー光を照射して結晶化して結晶性シリコン薄膜を形
成する方法が実用化されており、この結晶化技術によっ
て得られた結晶性シリコン薄膜が、アクティブマトリク
ス表示装置等を形成するデバイスの製造に広く用いられ
ている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、誘電体基板上
に形成されたアモルファス状の半導体薄膜または微結晶
半導体薄膜に対して単にレーザー光を照射することによ
り結晶化させて得られる結晶性半導体薄膜では、レーザ
ー光の照射により溶融したアモルファス状の半導体薄膜
中に偶発的に発生した結晶核に基づいて結晶成長が進む
ため、結晶化により形成される結晶粒の大きさに制限が
あり、また、不規則な結晶構造を有する多結晶となるお
それがある。このような多結晶の結晶性半導体薄膜を用
いて半導体デバイスの一例であるTFTを製造した場
合、TFTのチャネル領域に結晶粒界が存在して、トラ
ンジスタ特性の高性能化が制限されるおそれもある。ま
た、このように形成された結晶性の半導体薄膜では、多
数の小さい結晶粒から構成されており、結晶粒の構造が
不規則であるため、誘電体基板上に形成されるそれぞれ
のTFTのトランジスタ特性が均一にならないという問
題もある。
【0008】本発明は、上記問題点を解決するためにな
されたものであり、結晶性に優れており、TFT特性を
飛躍的に向上させることができる結晶性半導体薄膜及び
その形成方法を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するた
め、本発明の結晶性半導体薄膜は、誘電体基板の一部に
単結晶半導体と、該単結晶半導体の少なくとも一部が露
出するように該誘電体基板上に配置された下地膜上と
に、該単結晶半導体の結晶性を引き継いで結晶化された
結晶性半導体膜が形成されていることを特徴とするもの
である。
【0010】上記本発明の結晶性半導体薄膜において、
前記結晶性半導体膜は、シリコン膜であることが好まし
い。
【0011】上記本発明の結晶性半導体薄膜において、
前記下地膜は、誘電体薄膜であることが好ましい。
【0012】上記本発明の結晶性半導体薄膜において、
前記誘電体薄膜は、窒化シリコン膜であることが好まし
い。
【0013】上記本発明の結晶性半導体薄膜において、
前記下地膜は、多孔質層であることが好ましい。
【0014】上記本発明の結晶性半導体薄膜において、
前記下地膜は、誘電体薄膜と多孔質層との積層膜である
ことが好ましい。
【0015】上記本発明の結晶性半導体薄膜において、
前記単結晶半導体は、その結晶軸が、前記誘電体基板の
表面に対して、1°〜5°の範囲で傾斜していることが
好ましい。
【0016】また、本発明の結晶性半導体薄膜の形成方
法は、誘電体基板上に形成された結晶性半導体薄膜の形
成方法であって、誘電体基板の一部に単結晶半導体を配
置する工程と、該単結晶半導体が配置された該誘電体基
板上に、該単結晶半導体の一部が露出するように、下地
膜を形成する工程と、該下地膜及び該単結晶半導体上
に、半導体薄膜を形成する工程と、該半導体膜を前記単
結晶半導体に連続して順次溶融して結晶化する工程と、
を包含することを特徴とするものである。
【0017】上記本発明の結晶性半導体薄膜の形成方法
において、前記単結晶半導体は、前記誘電体基板上に形
成された切欠部内に、該誘電体基板の表面と一致するよ
うに設けられていることが好ましい。
【0018】上記本発明の結晶性半導体薄膜の形成方法
において、前記半導体膜は、レーザー光、またはランプ
から照射される光、あるいは、これらの組合せによって
溶融されることが好ましい。
【0019】上記本発明の結晶性半導体薄膜の形成方法
において、前記レーザー光、またはランプから照射され
る光は、その波長が前記半導体薄膜に吸収され易く、か
つ、前記誘電体基板には吸収され難い波長範囲に設定さ
れていることが好ましい。
【0020】上記本発明の結晶性半導体薄膜の形成方法
において、前記誘電体基板は、前記半導体膜を溶融する
前に、予め昇温されていることが好ましい。
【0021】
【発明の実施の形態】以下、本発明の結晶性半導体薄膜
及びその形成方法について、図面に基づいて詳細に説明
する。なお、以下の記載では、本発明の結晶性半導体薄
膜の一例として、結晶性シリコン薄膜について説明す
る。
【0022】(実施の形態1)図1は、本実施の形態1
の結晶性シリコン薄膜を示す断面図である。
【0023】この結晶性シリコン薄膜は、誘電体基板で
あるガラス基板1の表面上に形成される。このガラス基
板1の一方の側縁部には、切欠部1aが形成されてお
り、この切欠部1aには、所望の結晶面方位を有する単
結晶シリコン体3が、切欠部1aに塗布された接着層2
によって接合されている。単結晶シリコン体3は、切欠
部1a内に充填されて、その表面がガラス基板1の表面
に一致している。
【0024】単結晶シリコン体3が配置されたガラス基
板1の表面上及び単結晶シリコン体3の一部上には、下
地膜として、誘電体薄膜4である窒化シリコン膜が形成
されており、ガラス基板1の側縁部に設けられた単結晶
シリコン体3が誘電体薄膜4から露出している。誘電体
薄膜4上及び一部が露出された単結晶シリコン体3上に
は、全面にわたって均一になるように、結晶性シリコン
薄膜5が形成されている。結晶性シリコン薄膜5は、成
膜時にはアモルファス状等の状態であり、成膜後のレー
ザー光等の照射により溶融された後の結晶化によって結
晶性薄膜とされる。
【0025】この結晶化は、ガラス基板1に形成された
切欠部1aに配置されて、誘電体薄膜4の形成後にも、
ガラス基板1上に一部がシリコン薄膜5に対して露出し
ている単結晶シリコン体3の結晶性を引き継ぐように、
結晶化が進められたものであり、ガラス基板1の全面に
わたって形成されたシリコン薄膜5が、単結晶シリコン
体3と同一の面方位を有している。このため、この結晶
性半導体薄膜5は、ランダム成長により得られた多結晶
シリコン膜と比較して結晶粒界及び欠陥が極めて少な
く、この結晶性シリコン薄膜を用いてTFTを作製した
場合に、キャリアの移動度を高めることができ、TFT
特性を飛躍的に向上させることができる。
【0026】切欠部1aに配置される単結晶シリコン体
3は、その結晶軸が、ガラス基板1の表面に対して、1
°〜5°の範囲で傾斜するように配置される。このよう
に単結晶シリコン体3の結晶面を僅かに傾斜を持たせる
ようにすることにより、結晶面が一段異なる段差(ステ
ップ)が生じる。このステップは、化学的に活性であ
り、加熱により溶融したシリコン原子が優先的にこのス
テップに結合し、このステップの部分を起点として結晶
成長が進み、その結果、より良質な単結晶薄膜を得るこ
とができる。
【0027】図2(a)〜(e)は、それぞれ、図1に
示す結晶性シリコン薄膜の形成方法を工程毎に説明する
断面図である。以下、本実施の形態1の結晶性シリコン
薄膜の形成方法について、図2(a)〜(e)に基づい
て説明する。
【0028】まず、図2(a)に示すように、平坦なガ
ラス基板1を用意し、このガラス基板1の表面の一方の
側縁部に、図2(b)に示すように、切欠部1aを、そ
の側縁部に沿って形成する。この切欠部1aは、化学機
械研磨方法を用いて形成することができる。なお、この
切欠部1aは、このような化学機械研磨法を用いる他、
加工精度及び平坦化に優れていれば、エッチング等の他
の方法を用いて形成してもよい。
【0029】次に、図2(c)に示すように、接着層2
であるスピンオングラス材料を、ガラス基板1の切欠部
1aの全面及び側面の全体にわって塗布し、この接着層
2が塗布された切欠部1a内に、ガラス基板1の裏面よ
り若干上方に突出した状態で切欠部1a内に充填される
ように単結晶シリコン体3を配置する。切欠部1a内に
配置される単結晶シリコン体3は、その表面が(10
0)方位であるものが用いられ、この面とガラス基板1
の表面とが一致される。また、単結晶シリコン体3は、
その結晶軸が、ガラス基板1の表面に対して、1°〜5
°の範囲で傾斜するように配置される。そして、このよ
うに単結晶シリコン体3を切欠部1aに配置した後、熱
処理を行うことによって、単結晶シリコン体3を接着層
2によりガラス基板1の切欠部1aに接合する。
【0030】なお、この単結晶シリコン体3の切欠部1
aへ接着する接着剤としては、上記のスピンオングラス
材料に限らず、後の工程により実施される結晶化工程に
耐えることができる材料であれば、紫外線硬化樹脂、エ
ポキシ樹脂、アクリル樹脂等の他の材質を用いてもよ
い。
【0031】次に、図2(d)に示すように、接着層2
を介してガラス基板1上の切欠部1a内に配置された単
結晶シリコン体3の表面及びガラス基板1の表面に対し
て化学機械研磨を実施する。この化学機械研磨を実施す
ることによって、単結晶シリコン体3及びガラス基板1
の表面が同一平面になるように平坦化される。
【0032】次に、図2(e)に示すように、下地膜と
して誘電体薄膜4である窒化シリコン膜を、プラズマC
VD法を用いて、2000Å程度の厚さに形成する。こ
のような誘電体薄膜4がガラス基板1上に形成されてい
ることによって、後の工程によりガラス基板1からの不
純物の混入または界面反応の発生を防止することができ
る。この誘電体薄膜4は、ガラス基板1の側縁部に沿っ
て配置された単結晶シリコン体3の側縁部を除き、単結
晶シリコン体3及びガラス基板1の全域が覆われるよう
に形成されており、切欠部1aに配置された単結晶シリ
コン体3の側縁部が露出された状態となっている。な
お、この単結晶シリコン体3の露出は、少なくとも一部
が露出いればよく、また、全体が露出するようになって
いてもよい。
【0033】なお、誘電体薄膜4としては、ガラス基板
1からの不純物の混入または界面反応の発生を防止する
ことができれば、上記の窒化シリコン膜に限らず、酸化
シリコン膜、酸化窒化シリコン膜、または、窒化シリコ
ン膜と酸化シリコン膜との積層膜を用いてもよい。
【0034】続いて、プラズマCVD法を用いて、ガラ
ス基板1の表面の全体にわたって、500Å程度の膜厚
にシリコン薄膜5を形成する。なお、このシリコン薄膜
5の形成方法としては、プラズマCVD法に限らず、ス
パッタ法、蒸着法、あるいは熱CVD法等の他の方法を
用いてもよい。このようにして形成されるシリコン薄膜
は、アモルファス膜、微結晶膜、または、多結晶膜とさ
れる。
【0035】そして、このようなシリコン薄膜5が形成
されたガラス基板1に対して、帯状に形成されたレーザ
ービームLを、切欠部1aが形成された一方の側縁部か
ら図2(e)の矢印Aで示す方向に走査しつつ照射す
る。レーザービームLは、ガラス基板1上に形成された
シリコン薄膜5を局所的に溶融するための加熱源として
用いられ、レーザービームLが照射されたアモルファス
状等のシリコン薄膜5は順次結晶化される。
【0036】レーザービームLの照射開始位置となるガ
ラス基板1の一方の側縁部では、単結晶シリコン体3が
シリコン薄膜5に対して露出した状態になっており、レ
ーザービームLの照射によって局所的に加熱されて溶融
したシリコン薄膜5は、この単結晶シリコン体3の結晶
シリコンを結晶核として結晶成長が進み、単結晶シリコ
ン体3の結晶性を引き継いだ結晶性シリコン膜となる。
【0037】レーザービームLは、ガラス基板1の単結
晶シリコン体3が配置された一方の側縁部から他方の側
縁部に向かって走査されるために、レーザービームLの
照射によって結晶化されたシリコン薄膜5は、単結晶シ
リコン体3の結晶方位を引き継いだ結晶性を有するよう
に結晶化される。
【0038】したがって、上記のように、一方の側縁部
に形成された切欠部1a内に単結晶シリコン体3を配置
して、その単結晶シリコン体3に連続してシリコン薄膜
5にレーザービームLを照射して走査すれば、ガラス基
板1の全面にわたって、単結晶シリコン体3の結晶方位
を引き継いだ結晶性のシリコン膜5を形成することがで
きる。
【0039】なお、シリコン膜を局所的に溶融して結晶
させるために照射されるレーザビームLとしては、エキ
シマレーザ、ガスレーザ、あるいは、固体レーザ等を用
いることができる。
【0040】また、シリコン薄膜5を局所的に加熱して
溶融する手段としては、上記のレーザビームLの他、ラ
ンプを用いることも有効であり、例えは、集光したハロ
ゲンランプ等を用いた場合には、ガラス基板1に対して
は吸収係数が小さく、シリコン薄膜5に対しては吸収係
数を大きくできるため、ガラス基板1を著しく加熱する
ことがなく、シリコン薄膜5を選択的に加熱することが
できるので、好適である。
【0041】このような結晶性半導体薄膜は、例えば、
図5に示す結晶性半導体薄膜形成装置によって形成され
る。
【0042】この結晶性薄膜形成装置は、エキシマレー
ザを発振するエキシマレーザ発振器11を有している。
このエキシマレーザ発振器11から出射されるエキシマ
レーザーは、アッテネーター16を介して、一対のミラ
ー12a及び12bにて反射され、さらに、ビームエキ
スパンダー17、ホモジナイザー18、フィールドレン
ズ19を順次通過することによって、エネルギー密度が
平坦に整形された帯状のビームとなってミラー12cに
て反射されて、投影レンズ13に照射される。投影レン
ズ13から出射されるエキシマレーザは、基板ステージ
14上のシリコン薄膜が形成された基板(以下、単に、
基板と称する)100に照射される。基板ステージ14
は、エキシマレーザが基板100を順次走査できるよう
に水平方向に移動可能に配置されている。
【0043】上記構成のエキシマレーザ照射装置を用い
て、結晶性半導体薄膜を形成する場合には、まず、基板
ステージ14上に載置された基板100を、投影レンズ
13から照射されるエキシマレーザの照射位置が、基板
100の単結晶シリコン体3が配置された一方の側縁部
に一致するように位置合わせする。そして、このように
配置された基板100に対して、エキシマレーザ発振器
11を駆動して投影レンズ13からエキシマレーザの照
射を開始する。これと同時に、基板100上に形成され
たアモルファスシリコン薄膜5上をエキシマレーザが順
次走査されるように、基板100が載置された基板ステ
ージ14を一定速度で水平方向に移動させる。このよう
に基板ステージ14を水平移動することにより、基板1
00上のアモルファスシリコン薄膜5が、単結晶シリコ
ン体3が配置された一方の側縁部から順次、溶融されて
結晶化され、側縁部に配置された単結晶シリコン体3の
結晶方位を引き継いだ結晶性のシリコン薄膜5が基板1
00の全体にわたって形成される。
【0044】なお、エキシマレーザー発振器11により
エキシマレーザを照射する構成に限らず、ガスレーザ、
固体レーザ等の他種の光を用いてもよい。
【0045】また、図6には、結晶性半導体薄膜を形成
する他の結晶性半導体薄膜形成装置を示している。
【0046】この結晶性薄膜形成装置は、YAGレーザ
ーを発振するYAGレーザー光発振器21を有してい
る。このYAGレーザー発振器21から出射されるYA
Gレーザーは、アッテネーター16を介して、一対のミ
ラー12a及び12bにて反射され、さらに、ビームエ
キスパンダー17、ホモジナイザー18、フィールドレ
ンズ19を順次通過することによって、エネルギー密度
が平坦に整形された帯状のビームとなってミラー12c
にて反射されて、投影レンズ13に照射される。
【0047】YAGレーザを出射する投影レンズ13に
対向する位置には、アモルファスシリコン薄膜5が形成
された基板(以下、単に、基板と称する)100を搬送
する搬送ローラ22が配置されており、搬送ローラ22
によって水平方向に移動される基板100には、その搬
送途中で、投影レンズ13から出射されるYAGレーザ
が照射される。
【0048】この基板搬送ローラ22は、所定間隔毎に
配置された複数の円柱状に形成されて、回転により、基
板100を一定方向に移動させる。この基板搬送ローラ
22の下方には、基板100を予備加熱するための複数
の予備加熱用ランプ23が、所定の間隔をあけて設けら
れている。
【0049】上記構成の結晶性薄膜形成装置を用いて、
結晶性薄膜を形成するには、まず、搬送ローラ22上
に、単結晶シリコン体3が配置された一方の側縁部が、
進行方向の前方側になるように、基板100を載置した
後、搬送ローラ22を駆動して、基板100をYAGレ
ーザー光が照射される投影レンズ13との対向位置に搬
送する。
【0050】搬送ローラ22による搬送途中では、予備
加熱用ランプ23による赤外線輻射によって、搬送ロー
ラ22上の基板100に対して、予め、基板100の全
面をガラスにダメージを与えない程度の温度、例えば、
450℃に加熱して昇温する。そして、投影レンズ13
のYAGレーザ出射口から、例えば、波長532nmの
YAGレーザー光の照射を開始する。基板100は、搬
送ローラ22の駆動によって、基板100上に形成され
たアモルファスシリコン薄膜5上をYAGレーザ光が一
方の側縁部から順次走査されるように、水平移動してい
るため、基板100上に形成されたアモルファスシリコ
ン薄膜5は、単結晶シリコン体3が配置された一方の側
縁部から順次、溶融されて結晶化され、側縁部に配置さ
れた単結晶シリコン体3の結晶方位を引き継いだ結晶性
のシリコン薄膜5が誘電体基板の全体にわたって形成さ
れる。
【0051】このように、YAGレーザー光を照射する
前に、予め、予備加熱用ランプ23を用いて基板100
の全面を予熱することによって、YAGレーザーのよう
な比較的出力が小さいレーザー光を用いても、シリコン
薄膜5を溶融し結晶化することが可能になる。
【0052】上記のYAGレーザー光発振器21から発
振されるYAGレーザー光は、その波長が532nmで
あれば、シリコン薄膜5に効率良く吸収され、また、基
板100を加熱することなく透過するので、基板100
にダメージを与えることがなく、シリコン薄膜5のみを
溶融し、結晶化することができるため、好適である。
【0053】なお、予備加熱用ランプ23による基板1
00の予備加熱は、上記のように赤外線に限られず、可
視光、紫外光等を用いて加熱する構成としてもよい。ま
た、温風を用いた加熱法によって、基板を加熱するよう
にしてもよい。
【0054】また、シリコン薄膜5を溶融するために用
いる加熱源としては、上記のYAGレーザ光の他、集光
したハロゲン光、可視レーザー光を用いる事もできる。
【0055】(実施の形態2)図3は、本実施の形態2
の結晶性シリコン薄膜を示す断面図である。
【0056】本実施の形態2の結晶性シリコン薄膜が形
成される誘電体基板であるガラス基板1の一方の側縁に
は、前述の実施の形態1の結晶性シリコン薄膜と同様
に、切欠部1aが形成されており、この切欠部1aに
は、所望の結晶面方位を有する単結晶シリコン体3が、
切欠部1aに塗布された接着層2によって接合される。
単結晶シリコン体3は、切欠部1a内に充填されて、そ
の表面がガラス基板1の表面に一致している。
【0057】単結晶シリコン体3が配置されたガラス基
板1の表面上及び単結晶シリコン体3の一部上には、下
地膜として、スピンオングラス材料を用いた多孔質層6
が形成されており、ガラス基板1の側縁部に設けられた
単結晶シリコン体3の一部が多孔質層6から露出してい
る。多孔質層6上及び一部が露出された単結晶シリコン
体3の上部には、全面にわたって均一になるように、結
晶性シリコン薄膜5が形成されている。結晶性シリコン
薄膜5は、成膜時にはアモルファス状等の状態であり、
成膜後のレーザー光等の照射により溶融された後の結晶
化によって結晶性薄膜とされる。
【0058】この結晶化は、ガラス基板1に形成された
切欠部1aに配置されて、多孔質層6の形成後にも、ガ
ラス基板1上に一部がシリコン薄膜5に対して露出して
いる単結晶シリコン体3の結晶性を引き継ぐように、結
晶化が進められたものであり、ガラス基板1の全面にわ
たって形成されたシリコン薄膜5が、単結晶シリコン体
3と同一の面方位を有している。このため、この結晶性
半導体薄膜5は、ランダム成長により得られた多結晶シ
リコン膜と比較して結晶粒界及び欠陥が極めて少なく、
この結晶性シリコン薄膜5を用いてTFTを作製した場
合に、キャリアの移動度を高めることができ、TFT特
性を飛躍的に向上させることができる。
【0059】さらに、本実施の形態2の結晶性シリコン
薄膜5では、スピンオングラス材料を用いた多孔質層6
がガラス基板1上に形成されていることによって、シリ
コン薄膜5からガラス基板1への熱の拡散が遅延する。
これにより、シリコン薄膜5を溶融した後の結晶化に要
する時間が長時間化し、このため、このような多孔質層
6上に形成されたシリコン薄膜5に対して、レーザービ
ームLを照射すると、長時間かけて結晶化が進むため
に、欠陥等が減少し、結晶性をさらに向上することがで
きる。
【0060】なお、下地膜としての多孔質層6は、スピ
ンオングラスに限定されず、他の材料を用いることがで
き、また、形成方法についても、特に限定はない。
【0061】本実施の形態2の結晶性半導体薄膜の形成
方法は、前述の実施の形態1の結晶性薄膜の形成方法と
ほぼ同様の工程を経て形成されるので、結晶性薄膜の詳
細については、実施の形態1の結晶性薄膜の形成方法を
説明する図2(a)〜(e)を参照するとして、その説
明は省略する。
【0062】(実施の形態3)図4は、本実施の形態3
の結晶性シリコン薄膜を示す断面図である。
【0063】本実施の形態3の結晶性シリコン薄膜が形
成される誘電体基板であるガラス基板1の一方の側縁に
は、前述の実施の形態1の結晶性シリコン薄膜と同様
に、切欠部1aが形成されており、この切欠部1aに
は、所望の結晶面方位を有する単結晶シリコン体3が、
切欠部1aに塗布された接着層2によって接合される。
単結晶シリコン体3は、切欠部1a内に充填されて、そ
の表面がガラス基板1の表面に一致している。
【0064】単結晶シリコン体3が配置されたガラス基
板1の表面上及び単結晶シリコン体3の一部上には、下
層に誘電体薄膜4である窒化シリコン膜が成膜され、上
層に、スピンオングラス材料を用いた多孔質体6が成膜
されて、二層の積層構造の下地膜が形成されており、ガ
ラス基板1の側縁部に設けられた単結晶シリコン体3の
一部が下地膜から露出している。二層構造の下地膜上及
び一部が露出された単結晶シリコン体3上には、全面に
わたって均一になるように、結晶性シリコン薄膜5が形
成されている。結晶性シリコン薄膜5は、成膜時にはア
モルファス状等の状態であり、成膜後のレーザー光等の
照射により溶融された後の結晶化によって結晶性薄膜と
される。
【0065】この結晶化は、ガラス基板1上に形成され
た切欠部1aに配置されて、下地膜の形成後にも、ガラ
ス基板1上に一部がシリコン薄膜5に対して露出してい
る単結晶シリコン体3の結晶性を引き継ぐように、結晶
化が進められたものであり、ガラス基板1の全面にわた
って形成されたシリコン薄膜5が、単結晶シリコン体3
と同一の面方位を有している。このため、この結晶性シ
リコン薄膜5は、ランダム成長により得られた多結晶シ
リコン膜と比較して結晶粒界及び欠陥が極めて少なく、
この結晶性シリコン薄膜を用いてTFTを作製した場合
に、キャリアの移動度を高めることができ、TFT特性
を飛躍的に向上させることができる。
【0066】本実施の形態3の結晶性半導体薄膜は、積
層構造を有する下地膜の下層として、誘電体薄膜4であ
る窒化シリコン膜が形成されていることによって、後の
工程によりガラス基板1からの不純物の混入または界面
反応が発生することを防止することができる。
【0067】また、積層構造を有する下地膜の上層とし
て、スピンオングラス材料を用いた多孔質層6が形成さ
れていることによって、シリコン薄膜5からガラス基板
1への熱の拡散が遅延する。これにより、シリコン薄膜
5の溶融後の結晶化に要する時間が長時間化される。こ
のため、このような多孔質層6を上層として有する下地
膜上に形成されたシリコン薄膜5に対して、レーザービ
ームLを照射すると、長時間をかけて結晶化が進むため
に、欠陥等が減少し、結晶性を向上することができる。
【0068】なお、積層構造を有する下地膜の下層とな
る誘電体薄膜4は、ガラス基板1からの不純物の混入ま
たは界面反応の発生を防止することができれば、上記の
窒化シリコン膜に限らず、酸化シリコン膜、酸化窒化シ
リコン膜、または、窒化シリコン膜と酸化シリコン膜と
の積層膜を用いてもよい。
【0069】また、積層構造を有する下地膜の上層とな
る多孔質層6は、スピンオングラスに限定されず、他の
材料を用いることができ、また、形成方法についても、
特に限定はない。
【0070】本実施の形態3の結晶性シリコン薄膜の形
成方法は、前述の実施の形態1の結晶性半導体薄膜の形
成方法とほぼ同様の工程を経て形成されるので、結晶性
半導体薄膜の形成方法の詳細については、実施の形態1
の結晶性半導体薄膜の形成方法を説明する図2(a)〜
(e)を参照するとして、その説明は省略する。
【0071】上記実施の形態1〜3の結晶性半導体薄膜
では、その一例として、シリコン薄膜を形成する場合に
ついて説明したが、他に、本発明の結晶性半導体薄膜
は、Ge等の他の半導体薄膜についても同様に適用する
ことができる。
【0072】さらに、本発明の結晶化方法は、Al、C
u等の金属薄膜を粒成長させる場合にも適用することが
可能である。このようにして得られる金属薄膜は、マイ
グレーション耐性が向上される。
【0073】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の結晶性半
導体薄膜は、誘電体基板の一方の側縁に形成された切欠
部に単結晶半導体が配置され、この単結晶半導体が配置
された誘電体基板上に、単結晶半導体の一部が露出した
状態で下地膜が形成されており、この下地膜及び一部が
露出された単結晶半導体上には、半導体膜が形成され
る。この半導体膜は、誘電体基板の単結晶半導体が配置
された一方の側縁から順次、半導体膜を溶融し、結晶化
していくので、切欠部に配置された単結晶半導体の結晶
性を引き継いで結晶化される。このように形成された結
晶性半導体薄膜を用いてTFTを製造すると、キャリア
の移動度を向上することができ、TFT特性を飛躍的に
向上することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1の結晶性半導体薄膜を示す断面図
である。
【図2】(a)〜(e)は、それぞれ、実施の形態1の
結晶性半導体薄膜の製造方法を工程毎に説明する断面図
である。
【図3】実施の形態2の結晶性半導体薄膜を示す断面図
である。
【図4】実施の形態3の結晶性半導体薄膜を示す断面図
である。
【図5】本発明の結晶性半導体薄膜の形成に使用される
結晶性薄膜形成装置の概略を示す構成図である。
【図6】本発明の結晶性半導体薄膜の形成に使用される
他の結晶性薄膜形成装置の概略を示す構成図である。
【符号の説明】
1 ガラス基板 2 接着層 3 単結晶シリコン体 4 誘電体薄膜 5 シリコン薄膜 6 多孔質層 11 エキシマレーザ発振器 12a〜12c ミラー 13 投影レンズ 14 基板ステージ 16 アッテネータ 17 ビームエキスパンダー 18 ホモジナイザー 19 フィールドレンズ 100 基板 21 YAGレーザー光発振器 22 搬送ローラ 23 予備加熱用ランプ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 高木 悛公 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 (72)発明者 西村 靖紀 大阪府大阪市阿倍野区長池町22番22号 シ ャープ株式会社内 Fターム(参考) 5F045 AA08 AB03 AB04 BB16 CA15 DB04 HA17 5F052 AA02 AA24 BA01 BA18 BB02 BB07 DA01 DB03 EA11 GA01 GB03 JA01 5F110 AA01 BB02 DD02 DD12 DD13 DD14 DD15 DD17 DD21 DD25 GG02 GG13 GG17 GG25 GG42 GG43 GG44 GG45 PP02 PP03 PP04 PP05 PP06 PP23 PP36 PP40 QQ17 QQ19

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 誘電体基板の一部に単結晶半導体と、該
    単結晶半導体の少なくとも一部が露出するように該誘電
    体基板上に配置された下地膜上とに、該単結晶半導体の
    結晶性を引き継いで結晶化された結晶性半導体膜が形成
    されていることを特徴とする結晶性半導体薄膜。
  2. 【請求項2】 前記結晶性半導体膜は、シリコン膜であ
    る、請求項1に記載の結晶性半導体薄膜。
  3. 【請求項3】 前記下地膜は、誘電体薄膜である、請求
    項1に記載の結晶性半導体薄膜。
  4. 【請求項4】 前記誘電体薄膜は、窒化シリコン膜であ
    る、請求項3に記載の結晶性半導体薄膜。
  5. 【請求項5】 前記下地膜は、多孔質層である、請求項
    1に記載の結晶性半導体薄膜。
  6. 【請求項6】 前記下地膜は、誘電体薄膜と多孔質層と
    の積層膜である、請求項1に記載の結晶性半導体薄膜。
  7. 【請求項7】 前記単結晶半導体は、その結晶軸が、前
    記誘電体基板の表面に対して、1°〜5°の範囲で傾斜
    している、請求項1に記載の結晶性半導体薄膜。
  8. 【請求項8】 誘電体基板上に形成された結晶性半導体
    薄膜の形成方法であって、 誘電体基板の一部に単結晶半導体を配置する工程と、 該単結晶半導体が配置された該誘電体基板上に、該単結
    晶半導体の一部が露出するように、下地膜を形成する工
    程と、 該下地膜及び該単結晶半導体上に、半導体薄膜を形成す
    る工程と、 該半導体膜を前記単結晶半導体に連続して順次溶融して
    結晶化する工程と、 を包含することを特徴とする結晶性半導体薄膜の形成方
    法。
  9. 【請求項9】 前記単結晶半導体は、前記誘電体基板上
    に形成された切欠部内に、該誘電体基板の表面と一致す
    るように設けられている、請求項8に記載の結晶性半導
    体薄膜の形成方法。
  10. 【請求項10】 前記半導体膜は、レーザー光、または
    ランプから照射される光、あるいは、これらの組合せに
    よって溶融される、請求項8に記載の結晶性半導体薄膜
    の形成方法。
  11. 【請求項11】 前記レーザー光、またはランプから照
    射される光は、その波長が前記半導体薄膜に吸収され易
    く、かつ、前記誘電体基板には吸収され難い波長範囲に
    設定されている、請求項10に記載の結晶性半導体薄膜
    の形成方法。
  12. 【請求項12】 前記誘電体基板は、前記半導体膜を溶
    融する前に、予め昇温されている、請求項8に記載の結
    晶性半導体薄膜の形成方法。
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