JP2006066902A - 半導体装置の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】下地絶縁層上により大きな粒径を有する半導体結晶薄膜を形成し得る半導体装置の製造方法を提供すること。
【解決手段】非単結晶半導体薄膜の結晶化領域に、光学変調素子で光変調されて極小光強度線もしくは極小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を照射して結晶化するレーザ照射工程と、結晶化された領域にフラッシュランプによる光照射して結晶化された領域を加熱する加熱工程とを包含する半導体装置の製造方法。
【選択図】図7
【解決手段】非単結晶半導体薄膜の結晶化領域に、光学変調素子で光変調されて極小光強度線もしくは極小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を照射して結晶化するレーザ照射工程と、結晶化された領域にフラッシュランプによる光照射して結晶化された領域を加熱する加熱工程とを包含する半導体装置の製造方法。
【選択図】図7
Description
本発明は、半導体装置の製造方法に係り、特に、非単結晶半導体薄膜の少なくとも一部を結晶化させることを含む半導体装置の製造方法に関する。
ここで、一般的には単結晶でも原子列の乱れ(転位など)が存在しており、「単結晶」と「単結晶に近い結晶」とは、区別が困難なので、本明細書では、「単結晶に近い結晶」も、「単結晶」として説明されている。
絶縁材料基板、または絶縁膜上に単結晶シリコンを形成するSOI(Silicon On Insulator)技術は、ULSI(Ultra large-Scale Integrated circuit)の高集積化、低消費電力や高速化を実現する技術として知られている。この技術は、(1)単結晶半導体ウエハ、例えばシリコンウエハの表面に形成された絶縁膜上に単結晶薄膜を形成する方法と、(2)絶縁材料基板もしくは絶縁膜の上に形成した非単結晶(非晶質または多結晶)半導体薄膜、例えば非単結晶シリコン薄膜を結晶化または再結晶化する方法とに分類される。いずれの方法においても、シリコンの結晶性を高めることは極めて重要であり、トランジスタを形成する領域が単結晶であること、さらに、結晶面方位が揃っていて、特に表面が(001)面であり、かつ電流の流れる方向の結晶方位が(100)面であることが望ましい。このため、単結晶シリコンウエハを用いるSIMOX(separation by implanted oxygen)や基板貼り合わせ法のような(1)の方法が実用化されている。
一方、(2)の方法は、今日のシリコンULSI技術では採用されていないが、使用する基板材料に制限がないので、シリコンなどの高品質の半導体薄膜を形成できれば、さまざまな電子素子や電子装置への応用が可能である。このために、この(2)の方法の改良が強く望まれている。
1980年代に、面方位の揃った単結晶シリコン薄膜を形成することを目的とした多くの研究が行われた。その中で高周波誘導加熱を用いたゾーンメルティング法は、重要な技術であり、表面の結晶方位が(001)面を有する単結晶シリコン矩形領域を形成することができる技術として知られている。
非特許文献1に記載されているように、ゾーンメルティング法では、まず、石英基板上に常圧化学気相成長法を用いて多結晶シリコン薄膜を堆積し、この薄膜をパターニングして、互いに離間して直線状に並んだ多数の矩形領域が互いに細いネック部で連結されるようなパターンを形成する。次に、細長い高周波誘導加熱ヒータを石英基板の下側に位置させて、上記直線状に並んだ矩形領域を、順次、1412℃以上に加熱し、加熱ヒータに対応した個所の多結晶シリコンを溶融させて、シリコン溶融領域を形成する。次に、この加熱ヒータを上記矩形領域の配列方向と同一方向に移動させることにより、多結晶シリコンを順次溶融させて矩形領域全体を溶融させる。矩形領域のうち、加熱ヒータが通過し、冷却した部分は、既に単結晶化され、通過していない部分は、結晶化されていない。ここで、ネック部の寸法(長さと幅)を変化させると、局部的に熱流が変化し、熱流に依存して結晶方位が変化する。ネック部の長さと幅を最適化すると(001)面の方位を有する結晶化矩形領域を形成することができる。
ところで、ガラスやプラスチック基板上に結晶化シリコン薄膜を形成する技術は、液晶ディスプレイなどの駆動素子に用いられている薄膜トランジスタの高性能化技術に応用されている。例えば、薄膜トランジスタの半導体層を非晶質構造から多結晶構造に変化させると、トランジスタの移動度が100倍以上になる。
但し、この場合には、結晶化には基板における熱損傷に注意しなければならない(例えば、一般のガラス基板では600℃以下、プラスチックでは150℃以下にしなければならない)。
上記高周波誘導加熱を用いたゾーンメルティング法は、基板(石英基板)を部分的にシリコンの融点(1410℃)を超える温度に加熱するため、ガラスやプラスチックなどの低融点材料で基板が形成されている液晶ディスプレイの分野には適用できない。
また、結晶化膜を(001)面方位に配向させるためには、矩形領域を接続するネック部の形状を最適化する必要があり、後に形成するトランジスタおよび回路のレイアウトに制限が生じる。
このために、基板に熱損傷を与えずに非晶質シリコン薄膜を結晶化する方法として、エキシマレーザ結晶化法が開発された。この技術は、エキシマレーザ光をホモジナイズ光学系により断面における強度が均一となるように調整し、細長い矩形の開口を有する金属マスクを通して矩形状に整形(例えば断面形状は、150mm×200μm)している。この整形されたレーザ光で、ガラス基板上に堆積した非晶質シリコン薄膜の表面を上記矩形の長辺方向と直角方向に走査して、短辺方向に10μm間隔でレーザ照射する。このレーザ光を吸収したシリコン薄膜は溶融し、冷却後、多結晶シリコンとなる。この技術では、一般のガラスやプラスチック基板を用いたとしても基板に熱損傷は生じない。エキシマレーザはパルス幅が20ns程度のパルスレーザであり、結晶化は50ないし100ns程度で完了するからである。得られる結晶粒径は、レーザエネルギ密度に依存しており、粒径0.1〜1μm程度の結晶粒からなる多結晶薄膜を形成することができる。面方位に関しては、1回のレーザ照射で形成された結晶粒は配向しないが、数百回程度の多数回繰り返しレーザ照射を行うことにより、表面方位が(001)面や(111)面に配向する報告がある(前者に関しては、例えば、非特許文献2を参照のこと。また、後者に関しては、例えば、非特許文献3を参照のこと)。
しかし、エキシマレーザ結晶化法では、結晶粒内部の結晶性は単結晶にすることができるが、薄膜自体は全体として多結晶であるので、多数のトランジスタを形成した場合、チャネル領域に粒界が存在することとなり、移動度が低下し、トランジスタ間の性能(閾値電圧、サブシュレッド係数、移動度)のばらつきが生ずる。また、結晶粒を大きくするためには、レーザのフルエンス(エネルギー密度)を、シリコン薄膜が全溶融になる臨界のレーザフルエンスに極限に近づける必要がある。しかしながら、レーザフルエンスが全溶融条件を超えるとシリコン薄膜は微結晶化し、好ましくない。即ち、レーザフルエンスばらつきに対する余裕度が狭い。そして、結晶粒サイズが最大で1から2μm程度であるため、トランジスタサイズを小さくしなければならない制約が生ずる。このため、例えば、1m×1m程度のディスプレイ用大面積基板を用いた場合には、極めて高度な微細加工技術が要求される。また、表面方位を(001)にするためには、レーザを200回以上((111)面にするためには10回程度)照射しなければならない。このため結晶化の処理時間が長くなる。また、結晶化膜の上面(一面)となる個々の結晶粒の表面の方位は(001)と一定にすることはできても、表面軸に対しては無秩序に回転した位置関係にあり、薄膜の断面の結晶方位は配向していない。即ち、結晶化膜の表面に直交する面を(001)方位とすることはできない。
また、エキシマレーザの代わりにフラッシュランプのみを用いた結晶化法も試みられているが、上記エキシマレーザ結晶化法と同様に結晶粒内部の結晶性は単結晶にすることができるが、多数のトランジスタを形成した場合、チャネル領域に粒界が存在するようになるため移動度が低下し、トランジスタ間の性能(閾値電圧、サブシュレッド係数、移動度)のばらつきが生ずる。
さらに、上記エキシマレーザアニールによる結晶化技術を発展させた技術として、SLS方式(Sequential Lateral Solidification)と呼ばれている技術が知られている。この技術は、例えば特許文献1に開示されている。図12を参照すると、この技術では、図12(a)に示すように、ホモジナイズ光学系によって光強度が均一化されたエキシマレーザ光11を2μm幅程度の細隙を設けた金属マスク12を通すことにより断面を長方形状に整形する。この細隙を通ったレーザのフルエンス(エネルギー密度)を、非晶質シリコン薄膜13が厚さ方向に全溶融した溶融シリコン14になるように設定すると、細隙の外側の領域から内側に向かって横方向成長が起こり、結晶化シリコン16が形成される(図12(b))。次に試料を矢印17で示すように2μmだけ左方向に移動させ、レーザ照射すると、溶融シリコン14は先の照射によって形成された結晶化シリコン16の右端部を種結晶として横方向に成長する(図12(c))。このレーザ照射と試料移動のプロセスを繰り返すことによって大粒径の多結晶シリコン薄膜を形成することができる。この場合、マスク12の平面形状を図12dの様に市松状マスク19にして、繰り返しレーザ照射を行うと処理時間が向上し、また結晶化の重なり領域が良好になり、基板面で均一な横方向成長多結晶薄膜を形成できる。
しかし、SLS方式では、レーザ光の半分近くを金属マスクでシールドするため、レーザエネルギを有効に利用することができない。このため結晶化の処理時間が長くなる。また、結晶粒の位置がばらついているため、上記エキシマレーザ結晶化と同様にトランジスタ間の性能のばらつきが生ずる。そして、結晶粒の面方位が一定でないため、トランジスタ間の性能のばらつきが生ずる。
上記エキシマレーザ結晶化法をさらに発展させた方法として、位相変調エキシマレーザ結晶化法が知られている(たとえば、非特許文献4を参照のこと)。図13を参照すると、この方法の特徴は、図13(a)に示すようにエキシマレーザ光21を、位相シフタ22(例えば、石英板に段差加工を行ったもの)と呼ばれる光学部品を通すことによって、図13(b)の符号23で示すようにレーザ光強度分布を変調させるものである。このように変調されたレーザ光で、非晶質シリコン薄膜24に一回の照射を行って、図13(c)に示すように、照射領域25を結晶化している。
この方法は、上記エキシマレーザ結晶化法やSLS方式とは異なり、均一光強度分布を使用せず、また多数回レーザ照射を行う必要もない。この方法では、レーザ光が変調された光強度分布23を持つので、レーザ照射された薄膜内には傾斜した温度分布が生じ、エネルギーの小さい所27に結晶核が形成されるために、結晶核の位置を正確に定めることができる。また、図13(d)に示すように、この結晶核をもとにした横方向成長により大粒径結晶粒26a、26bを得ることができる。この方法により、大粒径の結晶粒が形成され、しかも結晶粒の位置を制御することができる。
しかしながら、位相変調エキシマレーザ結晶化技術では、大粒径の結晶粒が得られているが、さらに大粒径化して、一つの結晶粒に複数個のトランジスタを形成でき、回路レイアウトの制限が緩和されることが要求されている。
特許第3204986号明細書
電子通信学会論文誌1986/9, vol. J69-C, No.9, pp. 1089-1095
Jpn. J. Appl. Phys., Vol. 42 (2003) pp. L135-L.137
Jpn. J. Appl. Phys., Vol. 30(1991), pp. 3700-3703
表面科学 Vol. 21,No.5,pp. 278-287,2000
従って、本発明の目的は、下地絶縁層上により大きな粒径を有する半導体結晶薄膜を形成し得る半導体装置の製造方法を提供することである。
本発明の第1の側面によると、非単結晶半導体薄膜の被結晶化領域に、光学変調素子で光変調されて極小光強度線もしくは極小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を照射して結晶化するレーザ照射工程と、結晶化された領域にフラッシュランプからの光を照射して前記結晶化された領域を加熱する加熱工程と、を包含する半導体装置の製造方法が提供される。
本発明の第2の側面によると、非単結晶半導体薄膜の被結晶化領域に、光学変調素子で光変調されて極小光強度線もしくは極小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を照射して複数の主結晶粒と、その周りに微小結晶粒とを形成するレーザ照射工程と、フラッシュランプの光照射により、前記主結晶粒が前記微小結晶粒を取り込んで前記結晶化領域を単結晶にする加熱工程と、を包含する半導体装置の製造方法が提供される。
本発明の第3の側面によると、非単結晶半導体薄膜が成膜された試料に前記非単結晶半導体薄膜が溶融するエネルギー光のパルスレーザ光を照射し結晶化するレーザ照射工程と、前記パルスレーザ光に照射されて結晶化された領域の少なくとも一部および前記非単結晶半導体領域に、フラッシュランプにより前記非単結晶半導体薄膜が溶融するエネルギー光を照射し結晶化する加熱工程と、を包含する半導体装置の製造方法が提供される。
本発明において、前記レーザ照射工程は、前記結晶粒の成長方向の面方位が所定の面で、他の結晶粒よりも成長の速い結晶粒を形成する工程を有し、前記加熱工程は、前記結晶粒を結晶核にして前記半導体薄膜に結晶成長方向の面方位が前記所定の面である結晶粒を成長させる工程を有することができる。
また本発明において、前記レーザ照射工程は、前記結晶粒の成長方向の面方位が(100)面で、一面側から見て三角形状の結晶粒を形成する工程を有し、前記加熱工程は、前記三角形状の結晶粒を結晶核にして前記半導体薄膜に結晶成長方向の面方位が(100)面で、一面側から見て表面形状がほぼ矩形を有している結晶粒を成長させる工程を有することができる。
通常、前記レーザ照射工程において、光学変調素子により、前記極小光強度線もしくは極小光強度点を有する光強度分布のレーザ光が形成される。
また、前記光学変調素子は、入射レーザ光の位相を変調することにより極小光強度線もしくは極小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を出射する位相シフタを有することができる。
まず、本発明の基本概念を説明する。
図1は本発明の基本となる半導体装置の製造方法のフローチャートを示す図である。図2は本発明のレーザ光源から光路に従ってターゲットの半導体構造(試料ともいう)に至るまでの光学系を示す図である。
図1は本発明の基本となる半導体装置の製造方法のフローチャートを示す図である。図2は本発明のレーザ光源から光路に従ってターゲットの半導体構造(試料ともいう)に至るまでの光学系を示す図である。
本発明の半導体装置の製造方法3は、まず、非単結晶半導体薄膜の被結晶化領域に、光学変調素子で光変調されて極小強度線もしくは極小強度点を有する光強度分布のレーザ光を照射して結晶化させること(工程1)を含む。しかる後、結晶化された領域にフラッシュランプからの光を照射して結晶化された領域を加熱する(工程2)。
工程1では、図11(a)に示すような、光学変調素子として、石英基板表面に直線の段差加工した位相シフタ121を用いて、光源からのレーザ光を図3に示すような最小光強度J1と最大光強度J2間を三角形状に変化するレーザ光強度分布31に変調する。変調されたレーザ光は試料の被結晶化薄膜(例えば、非晶質シリコン薄膜)を照射して結晶化(例えば、多結晶シリコン)を行う。なお、本明細書では、最終的に結晶化を所望する領域を被結晶化領域と記載している。
この結晶化された薄膜の結晶粒の表面形態と個々の結晶粒の結晶学的方位を走査電子顕微鏡(SEM)法と電子線後方散乱回折(EBSD)法を用いて測定した。この結果、結晶粒は、小粒径結晶粒と、短冊形状結晶粒と、三角形状結晶粒との3種に分類できることが判った(後に、図4(a)を参照して詳しく説明する)。三角形状結晶粒とは、レーザ光照射の極小光強度線又は極小光強度点を起点として結晶成長が横方向に進行した、次工程で結晶種に成るべき結晶粒を意味する。必ずしも完全な三角形状に成長したもののみを意味するものではなく、例えば多角形形状、一部に円弧部分を含んでいる形状もある。ここでは三角形状に近似した形状を有する場合が多く、理解し易いように三角形状とする。
ここで、三角形状結晶粒の成長距離は長く、結晶成長方向の面方位が(100)面であり、結晶成長方向に対しての2つの垂直方向のうち薄膜の面内の垂直方向は(010)面または(011)面であることがわかった。
さらに、図11(a)に示す位相シフタ121を使用して、ピッチPが一定の極小光強度線、もしくは図11(a)、および図11(b)に示す位相シフタ121、122を用いピッチPが一定の極小光強度点、例えば、10μmの複数の極小光強度点(逆ピーク点)42aを有する図5(a)に示すレーザ光強度分布61のレーザ光で、未結晶膜60を第1の位相変調エキシマレーザ照射することもできる。図5(a)において、結晶化開始点は符号62で示されており、結晶成長終了位置は符号63で示されている。こうして後で詳述する図5(b)のような2次元に位置制御された結晶粒を形成することができる。ここで、ピッチPとは、後で図11を参照して説明するように、表面に形成された細長い溝と表面との間の段差、即ち、位相シフト線間、の間隔をいう。
すなわち、表面形態が四角形状の結晶粒が一次元的に位置制御されていて少なくとも成長方向の面方位は(100)となる結晶化膜を製造するには、図11(a)のような一次元の位相シフタ121を用いて、一次元のレーザ光強度分布を形成し、非晶質シリコン薄膜表面にレーザ照射して、一方向成長した結晶粒を形成すればよい。このときに、照射するレーザ光の光強度分布は、図3に示すように結晶成長の開始位置と終了位置とは、レーザ光強度の極小値J1(開始位置)と極大値J2(終了位置)、例えば900mJ/cm2のエネルギー光になるように設計する。このようなレーザ照射による周期的なアニーリングにより、非晶質シリコン薄膜の照射全領域に横方向に成長した結晶粒が形成される。
レーザ光による結晶化装置4は、例えば図2に示す構成である。レーザ光源5からのレーザ光路にホモジナイザ6が設けられ、レーザ光の光強度分布が均一化される。均一化されたレーザ光路には、光変調素子7が設けられ、この光変調素子7は、均一化されたレーザ光を逆ピーク状の光強度分布光に変調する。この素子7を透過したレーザ光路には、結像レンズ8が設けられ、試料9に結像されるように結晶化装置4が構成されている。この結晶化装置4により、レーザ光による結晶化工程1を終了する。
次に、ランプアニールによる結晶化工程2を行う。この工程において光源としてキセノンフラッシュランプの照射による大粒径の結晶化を行った。
フラッシュランプ加熱工程は、図10のようなフラッシュランプ加熱装置110を用いて行う。この加熱装置110は、気密容器117内に試料108と対向して配置された複数本の棒状のキセノンフラッシュランプ114からなる。キセノンフラッシュランプ114の上方には、上方に放射されたランプ光を試料108方向に反射させるために、リフレクタ115が配置され、キセノンフラッシュランプ114の光は、例えば石英等の、紫外線から可視領域の光の透過性を有する透光板112を通過して試料108に照射される。加熱の均一性を高めるために試料108への入射光路に光拡散板113を配置してもよい。試料108を支持するプレート116に加熱手段を配置して予備加熱(例えば250〜550℃)を行うようにしてもよい。キセノンフラッシュランプ114は、その内部にキセノンガスが封入されその両端にコンデンサーに接続された陽極及び陰極が配置された石英ガラス管であり、駆動電源回路のコンデンサーに蓄えられた電気が石英ガラス管内に流れ、その時にジュール熱でキセノンガスが加熱されて光が放出される。このキセノンフラッシュランプにおいては、予め蓄えられた静電エネルギーが0.1ms乃至10msという短い光パルスに変換されることから、連続点灯の光源に比べて極めて強い光を照射し得るという特徴を有する。フラッシュランプのパルス幅としては、望ましく0.5〜2msのものを用いるとよい。フラッシュランプは制御性がよく通常1回のフラッシュで工程を行う。1回の照射の方が、半導体基板の熱損傷を最低限にすることが出来、さらにスループットも向上した良好な結果を得られた。しかし結晶性を向上させるため複数回使用してもよい。また、キセノンフラッシュランプの発光分光特性としては、電圧、電流密度、ガス圧、ランプ内径等を制御してシリコンの吸収係数の高い紫外線から可視領域に強度の強いものを用いることが望ましい。具体的には本実験にて使用する際にシリコンの単結晶化に対し有効な紫外線発光強度を得る条件範囲は電流密度3000A/cm2〜10000A/cm2であった。特に条件として電圧3.5kV、電流密度4200A/cm2、ガス圧力400torr(5.3×104Pa)のものを用いた。高電流密度にすることでプラズマ温度が上昇し短波長成分のエネルギー密度の比率が高くなるため望ましい。
加熱工程は、真空中もしくは不活性ガスからなる雰囲気で行うことが望ましい。しかし、このような手法に本発明は限定されることはない。
キセノンフラッシュランプ照射前および照射後の結晶化薄膜表面を図4(a)、図4(b)に示す。図4(a)および図4(b)は、ぞれぞれ、キセノンフラッシュランプ照射の前および後の結晶化薄膜表面の走査電子顕微鏡写真をトレースして作製したものである。キセノンフラッシュランプ照射では、レーザ照射で形成された三角形状の結晶粒の底辺領域52が種結晶となり、同じくレーザ照射で形成された小粒径結晶粒55、短冊形状結晶粒53は再溶融し、種結晶からの結晶成長に取り込まれることを示している。従って、キセノンフラッシュランプ照射によって、表面形態が四角形状の結晶粒54bが形成される(図4(b))。結晶化された結晶粒54bは方形を示し、その結晶性は単結晶と変わらない良好な結晶性を有していた。結晶核を位置制御して形成するには位相変調したレーザ照射が必要であるが、結晶粒径の二次拡大には必ずしも空間的に変調されたレーザ光を用いる必要は無いため、一様な光照射が可能なキセノンフラッシュランプによる加熱工程の方が、制御性、均一性、スループット、メンテナンス性等の生産性が高く、装置も安価であるという利点がある。キセノンフラッシュランプのパルス幅は上記のように短く、パルス幅や発光分光特性もある程度制御が可能であるため、下地基板への影響も考慮してシリコン膜の温度上昇を最適化しやすいという利点もある。
すなわち、レーザ光の照射による結晶化領域は、レーザ光のビーム径に依存する領域である。従って、照射領域を移動させて広範囲の結晶化を行う。フラッシュランプによる照射ビームは、広範囲であり、広範囲の結晶化が行われる。
以下に、上記基本概念に基づく種々の態様を添付図面を参照して説明する。
まず、図6(a)に示すようなオリエンテーションフラット71、ノッチ72、基板マーク73等の方位表示指標を有する円形の半導体基板(図7では符号81で示されている)上に、面方位の揃った四角形状の結晶化領域アレイを有する半導体装置の製造方法に関する態様を図3、図4、図5、図6、図7を参照して、特に、図7を主に参照して説明する。
まず、結晶化させる半導体薄膜を有する半導体構造(以下、試料ということもある)80を用意する。試料80は、例えば図7(a)に示すように、半導体基板81(例えば、Si、Ge、Si1-xGex 、Si1-x-yGexCy、GaAs、GaP、InAs、GaN、ZnTe、CdSe、CdTeなどの半導体のウエハ)を備え、この半導体基板81の上に絶縁層82(例えば膜厚500nm)が形成されている。この絶縁層82は、例えば、熱酸化または、CVD(例えば、プラズマ化学気相成長法や低圧化学気相成長法など)やスパッタ法を用いて成膜されたSiO2膜である。あるいは、この絶縁層82は、例えば、SiN膜とSiO2膜との組合わせのような積層構造にしたものでもよい。またSOG(Spin On Glass)、もしくはSOGとSiN膜および/またはSiO2膜との積層構造としても良い。この絶縁層82は基板からの汚染防止、拡散防止と共に、その断熱性による蓄熱効果にて、レーザもしくはフラッシュランプによる加熱工程後、半導体薄膜83の冷却がゆっくりなされるため、より大きな結晶成長を促進する働きも有している。絶縁層82は、半導体基板81上の全面に形成し、そのまま残しておいても、パターニングによって部分的に残しておいても良い。ここでは、半導体基板81の全面に設けられている場合について説明する。前記絶縁層82の上に、即ち、半導体基板81の一面側に、非晶質または多結晶構造の半導体薄膜83(例えば、膜厚30ないし200nm程度のSi、Si1-xGex、もしくはSi1-x-yGexCy膜など)をCVD(例えば、プラズマ化学気相成長法や低圧化学気相成長法など)やスパッタ法を用いて成膜する。この半導体薄膜83は、絶縁層82の全面、または、パターニングによって絶縁層の部分領域に形成してもよい。ここでは、絶縁膜82の全面に形成されている。
そして、図7(a)に示すように、半導体薄膜83の表面全面に、保護膜84(例えば、SiO2、SiON、SiN、SOGまたは、これらの積層構造膜)を膜厚40〜500nm、例えば約300nmで成膜する。これは外部からの汚染防止、パーティクル汚染防止と共に、その断熱性による蓄熱効果にて、レーザまたはフラッシュランプによる加熱後、ゆっくりと冷却されるため、より大きな結晶成長を得ることができる。前記絶縁層82および半導体薄膜83がパターニングされた場合においては、基板全面に保護膜を形成してもよい。
次に、図7(b)に示すように、位相変調エキシマレーザ結晶化法を用いて、保護膜84表面の予め定められた位置に位置合わせして、図5(a)に示すようなレーザ光強度分布61を有するエキシマパルスレーザ光85を照射する。ここでは、位相変調エキシマレーザ結晶化法は、後で図9について説明するレーザ結晶化装置を用いている。このようなレーザ光の照射は、予め基板や半導体ウエハに設けられた合わせマークに従って照射位置が設定される。
前記レーザ照射は、1回のパルスレーザ光の照射で複数の逆ピークを有する光強度分布を使用しているが、図7(b)では簡単のために、3つの逆ピークの場合を示す。この光強度分布には、各逆ピーク点(極小光強度点)を中心として1対の、主勾配方向(光強度が極小光強度点からほぼ線形に強くなる光強度の方向)86並びに/もしくは86aが存在する。1対の主勾配方向86と86aとは、紙面内で互いに180°回転の関係である。主勾配方向86または86aと半導体基板81の方位表示指標の方向とが所定関係を有するように、半導体基板81と、光変調素子、例えば位相シフタとが予め設定されている。ここでは、主勾配方向86とオリエンテーションフラット71とが平行となるように設定されている。
このレーザ照射において、レーザ光のエネルギー密度は、図3に示すように、光強度の極小値が横方向成長条件の臨界値j1を越えていて、光強度の極大値が半導体薄膜83の蒸発臨界値j2以下であることが望ましい。これら臨界値であるj1、j2の値は、主に半導体薄膜83のレーザ光に対する吸収係数と膜厚によって決定される。
上記レーザ光85によるレーザ照射によって、半導体薄膜83の照射領域は、レーザ光照射が遮断されたとき、溶融領域は降温する。溶融領域は、図3の光強度分布に応じて降温するが、絶縁膜82と保護膜84の蓄熱機能により、降温速度が大きく緩和され、極小値J1位置から極大値J2方向に横方向の結晶成長が行われる。この結果、半導体薄膜83の照射領域は結晶化され多結晶半導体薄膜87に変換される。この多結晶半導体薄膜87の表面形態は、主勾配方向86、86aに沿って横方向に結晶化されている。この段階で、保護膜84をエッチングにより除去して走査電子顕微鏡法と電子線後方散乱回折法によって半導体薄膜83の表面を観察し、解析すると、個々の結晶粒は、レーザ光強度の低い位置(極小値J1)から結晶成長が始まり、主勾配方向86、86aに沿って結晶成長したことが判る。個々の結晶粒は一つの結晶核から成長していると推定され、小粒径結晶粒と、短冊形状結晶粒と、三角形状結晶粒とが形成されている。この中で、最も横方向成長距離が長いものは三角形状結晶粒である。電子線後方散乱回折法で個々の結晶粒の結晶方位を解析すると、三角形状結晶粒の成長方向(即ち、主勾配方向86、86a)の面方位は(100)となっている。また、この三角形状結晶粒の成長距離は、少なくとも2μm以上になっており、本態様では、5μmである。一方、小粒径結晶粒、短冊形状結晶粒の主勾配方向の結晶面方位は、(111)または、(110)面になっている。
次に、図7(c)に示すように、保護膜84をエッチングしない状態で、結晶化された領域を少なくとも一部含む半導体薄膜83にフラッシュランプ88を照射する。即ち、フラッシュランプ光88を点灯させ半導体薄膜83の照射領域を加熱し溶融する。ランプ消灯後降温過程で照射領域が結晶化される。例えばフラッシュランプ加熱前は図4(a)で示したように小粒径結晶粒55、短冊形状結晶粒53、三角形状結晶粒54aが形成され、上記フラッシュランプ加熱照射により、半導体薄膜83の結晶化された領域87の照射された領域は、図4(b)と同様に、結晶粒の大きい半導体領域89に変換される(図7(d))。
この結晶粒54bの表面形状(半導体領域89を上方から見たときの形状、即ち、水平面内の形状)は、ほぼ四角形(矩形)であり、また、光強度分布の主勾配方向86、86aの結晶粒の面方位は、(100)である。なお、この半導体領域89の結晶化された領域の結晶性は、単結晶になっている。図4(b)では、前述したように、図4(a)で観察された小粒径結晶粒、短冊形状結晶粒、三角形状結晶粒はほとんど存在しない。これは、レーザ照射で形成された三角形状結晶粒54aが、フラッシュランプ加熱照射では完全には溶融せず、表面のみが活性化及び一部溶融する一方、小粒径結晶粒55、短冊形状結晶粒53は、完全に再溶融するからである。これは、単結晶シリコンと多結晶シリコンとのフラッシュランプ波長領域での吸収係数の違いが関与しているものと考えられる。このため、三角形状結晶粒54aを種結晶として、結晶方位(100)を維持しながら結晶化が更に進んだものと考えられる。主勾配方向に(111)面または(110)面を有していた小粒径結晶粒55と短冊形状結晶粒53は消滅して、(100)面に配向した結晶粒に変換されている。
以上の説明で判るように、本態様で形成された半導体領域89の結晶粒の半導体基板81のオリエンテーションフラットに沿った方向の面方位は(100)面となっている。
従って、本態様による方法によって、半導体基板上に、断面の一方向に(100)面方位を有し、ほぼ四角形状の結晶粒により構成された単結晶化領域アレイを形成することができる。以上説明した方法では、図面上では、半導体薄膜83の一部を単結晶化しているように見えるが上記処理を繰り返すことにより、半導体薄膜83全体を単結晶化することもできる。
次に、絶縁材料基板上に面方位の揃った四角形状の結晶化領域アレイを有する半導体装置の製造方法に関する第2の態様を図6および図8、特に図8を参照して説明する。
まず、図6(b)に示すような辺74、ノッチ75、またはマーキング76(基板の表面でも裏面でもよい)を有する絶縁材料矩形基板91(例えば、石英ガラス、ソーダガラス、ホウケイ酸ガラス、鉛ガラス、フッ化物ガラス、サファイア、プラスチック、ポリイミド、など)を用意する(図8(a))。この絶縁材料基板91の上に、絶縁層92(例えば、膜厚500nm)を形成する。この絶縁層92は、例えば、CVD(例えば、プラズマ化学気相成長法や低圧化学気相成長法など)やスパッタ法を用いて形成されたSiO2薄膜である。代わって、この絶縁層92は、例えばSiNやSiO2などの異種の材料により、積層構造にしたものでもよい。またSOG、もしくはSOGとSiO2膜、SiN膜との積層膜でもよい。絶縁層92これは基板からの汚染防止、拡散防止と共に、その断熱性による蓄熱効果にて、レーザまたはフラッシュランプによる加熱後、ゆっくりと冷却されるため、より大きな結晶成長を得ることができる。絶縁層92は、絶縁材料基板91の全面、または、パターニングによって絶縁材料基板表面の部分領域に形成してもよい。ここでは、絶縁材料基板91の全面に形成している。次に、絶縁層92の上に、非晶質または多結晶構造の半導体薄膜93(例えば、膜厚30ないし200nm程度のSi、Ge、Si1-xGex、Si1-x-yGexCyなど)をCVD法(例えば、プラズマ化学気相成長法や低圧化学気相成長法など)やスパッタ法を用いて成膜する。この半導体薄膜93は絶縁層92の全面、または、パターニングによって絶縁層の部分領域に形成してもよい。ここでは、絶縁層92の全面に形成している。
そして、図8(a)に示すように、半導体薄膜93の表面全面に保護膜94(例えば、SiO2、SiON、SiN、SOGまたは、これらの積層構造膜)を約300nmの厚さに成膜する。保護膜94の効果としては、外部からの汚染防止、パーティクル汚染防止と共に、その断熱性による蓄熱効果にて、レーザまたはフラッシュランプによる加熱後、ゆっくりと冷却されるため、より大きな結晶成長を得ることができる。前記絶縁層92および半導体薄膜93がパターニングされた場合においては、基板全面に保護膜を形成してもよい。この後の工程は、前記第1の態様と実質的に同じであり、簡単に記述する。
図8(b)に示すように、保護膜94の表面に、前述したような光強度分布を有するレーザ光95で、レーザ照射を行う。このレーザ照射における光強度の主勾配方向96、96aは、絶縁材料基板91に示された方位表示指標を基準にして設定している。この態様では、主勾配方向96、96aと、方位表示指標が示す方向とを一致させている。このレーザ照射によって、半導体薄膜93の照射領域は、結晶化半導体薄膜97に変換される。
次に、図8(c)に示すように、フラッシュランプ加熱照射を行う。この結果、図8(d)に示すように、前記結晶化半導体薄膜97は、単結晶化半導体薄膜99となる。この結晶化半導体薄膜97の結晶粒の表面形態は、四角形状であり、また、絶縁材料基板91の基準に沿った方向の面方位は(100)面となっている。従って、本態様の方法によれば、絶縁材料基板の断面の一方向に(100)面方位を有する四角形状の単結晶化領域アレイを形成できる。
次に、半導体薄膜の結晶化方法並びに結晶化装置の態様を、夫々図9、図10、図11を参照して説明する。これら態様では、光源としてエキシマレーザ101(例えば、XeCl、KrF、ArFなど)を用いているが、必ずしもこれらに限定されることはない。
図9(a)に示されるように、パルスレーザ光102aを出射するエキシマレーザ101の出射側には、レーザ光102aのエネルギー密度(図3に示す極小値J1、極大値J2)を制御するためのアッテネータ103と、レーザ光の強度を均一化するホモジナイズ光学系104とが順次配設されている。尚、符号100aで示す位置は、ホモジナイズ光学系104の結像面(焦点面)である。このホモジナイズ光学系104の出射側には、90度反射鏡を介して、ホモジナイズ光学系の焦点面100aを等倍もしくは縮小する投影レンズ105が配置されている。そして、この投影レンズ105の結像面100b(フォーカス位置)には第1の位相シフタ106aが、また、焦点位置からはずれた位置(デフォーカス位置)には第2の位相シフタ107aが、夫々配置されている。ここで、第2の位相シフタ107aは、複数枚の位相シフタ、例えば、位相シフト方向が互いに直交した2つの位相シフタで構成されてもよい。第1の位相シフタ106aは、図5(a)に示されているレーザ光強度分布61おいて、急峻なボトムを形成するためのものである。第2の位相シフタ107aは、図5(a)に示されているレーザ光強度分布61において、横方向の結晶成長に必要な勾配を形成するためのものである。即ち、図5(a)に示されているレーザ光強度分布61において、極小光強度点42a部のレーザ光強度分布が急峻なボトムの形状は、第1の位相シフタ106aによって形成される。レーザ光強度分布61おいて、極小光強度点42a部から最大のレーザ光強度分布となる形状は、横方向の結晶成長に必要な勾配であって、第2の位相シフタ107aによって形成される。
前記第1並びに第2の位相シフタ106a、107aは、光軸上に、図示しないホルダによって固定されている。このホルダは、光軸に沿った方向と、それに垂直な方向とに移動させる機構と、2軸の回転機構とを有するゴニオメータのような駆動機構DMに組み込まれている。
このように2つの位相シフタ(106a、107a)を用いることにより、両軸方向に極小となる点である極小光強度点42aを作り出すことができるが、位相シフタを1枚のみ使用し直線上に極小部を持つ極小光強度線を用いても、その線上の照射部分が結晶粒の起点となり、同様な三角形状結晶粒54aを有する結晶粒の成長が可能であることが発明者らによって確認されており、必ずしも2枚の位相シフタは必要としない。
前記第2の位相シフタ107aの出射側には、ステージ109の上に載置された試料108が位置されている。このステージ109は、X方向並びにY方向に移動可能であり、試料108を第2の位相シフタ107aに対して相対的に水平方向にシフトさせることができる。
上記レーザ照射された試料108は別装置であるフラッシュランプ加熱装置にて、フラッシュランプ照射にて加熱工程を経て単結晶化される。フラッシュランプ加熱装置(図10)において、試料108は支持するプレート116に載置される。プレートには加熱手段を配置して予備加熱を行うようにしてもよい。
フラッシュランプ加熱装置に結続された真空排気装置(図示せず)にて真空排気された後、もしくはAr、N2等の不活性ガスを導入した後にフラッシュランプ処理工程を行う。所望のフラッシュランプ点灯条件にすべく電圧、電流密度、ガス圧力等を最適に調整し、一回もしくは複数回のフラッシュの照射処理が試料108に対して行われる。
上記記載の、フラッシュランプ加熱装置は、レーザ照射装置とは別装置であるが、レーザ処理装置と接続されたマルチチャンバーの一形態を有するクラスター化されたものであっても良い。その場合、大気からのコンタミネーションやパーティクルによる汚染を低減することができる。
上記構成のレーザ照射装置における結晶化作用を以下に説明する。
エキシマレーザ101から出射したパルスレーザ光102aは、アッテネータ103によりエネルギー密度が制御されて、ホモジナイズ光学系104に入り、ここで強度が均一化されたレーザ光102bとなって、反射鏡に入射される。ここで、レーザ光102bは、試料108方向へと90度偏向されて、投影レンズ105に入射される。この投影レンズ105は、入射レーザ光102bを第1並びに第2の位相シフタ106a、107aによって変調されたレーザ光102dとして試料表面に入射させる。尚、この試料108は、実際には、例えば、図7並びに図8に示す半導体薄膜83、93を有する積層薄膜基板で有り得る。
エキシマレーザ101から出射したパルスレーザ光102aは、アッテネータ103によりエネルギー密度が制御されて、ホモジナイズ光学系104に入り、ここで強度が均一化されたレーザ光102bとなって、反射鏡に入射される。ここで、レーザ光102bは、試料108方向へと90度偏向されて、投影レンズ105に入射される。この投影レンズ105は、入射レーザ光102bを第1並びに第2の位相シフタ106a、107aによって変調されたレーザ光102dとして試料表面に入射させる。尚、この試料108は、実際には、例えば、図7並びに図8に示す半導体薄膜83、93を有する積層薄膜基板で有り得る。
前記第2の位相シフタ107aにより変調されて形成されたレーザ光強度分布(像)の特徴は、例えば、図5(a)に示すレーザ光強度分布61のように、ミリメートルレベルの巨視的には均一強度であり、ミクロンレベルの微視的には強度変調されていることを特徴とする。このようなレーザ光強度分布61のレーザ光で、レーザ照射を行うと、図5(b)の走査電子顕微鏡写真のような結晶粒が位置制御された結晶化薄膜を形成することができる。図5(b)において、符号62aは、結晶化開始点であり、符号63aは、結晶化終了位置である。
尚、前記アッテネータ103によって、レーザ光のエネルギー密度を最適化してレーザ光102dを試料108の表面に照射すると、試料108の半導体薄膜はレーザ光102dを吸収することによって温度が上昇する。ここで、レーザ光102dの強度変調領域において、極小強度での半導体薄膜は、下地界面付近まで溶融状態になり、極大強度では、半導体薄膜が蒸発しない温度になっていることが望ましい。
前記第1並びに第2の位相シフタ106a、107aは、図11(a)、(b)に、符号121並びに122で夫々示すように、透明な基板、例えば、合成石英板121a(122a)の一面に、互いに一定間隔を有する細長い矩形溝121b(122b)が形成されることによって段差を有する構造になっている。この段差の高さ(溝の深さ)Δtが出射レーザ光の位相差θに相当する。この位相差θは、θ=2πΔt(n−1)/λで与えられる。ここで、λは、レーザの波長、nは合成石英板の屈折率である。例えば、波長248nmのKrFエキシマレーザを用いた場合、屈折率は、1.508であり、段差Δtが244nmのとき位相差は180°となる。このような位相シフタ121(106a)、122(107a)は、溝が互いに直交するような配置関係で、図9(a)に示すような位置に設けられている。前記合成石英板121a(122a)の表面に段差を形成する方法として、例えば、反応性イオンエッチングを用いてエッチングする方法、集束イオンビーム法を用いて、直接加工する方法、合成石英基板の上に非晶質シリコン薄膜を成膜してパターニングしたものを熱酸化する方法がある。前記両位相シフタ121、122は、図面上では、溝のデイメンシヨンも、ピッチP(位相シフト線間の間隔)も異なっているが、同じものでも良い。
また、位相シフタには、表面段差に加えて、光吸収によって光強度分布を形成する効果を付加してもよい。このためには、例えば、合成石英板121a(122a)の一面に光吸収膜(たとえば、SiN、SiON、Geなどの膜)を成膜してパターニングする。このような位相シフタ121(122)を使用することにより、光吸収膜の吸収係数と膜厚によって光強度分布が変化する。この方法は、光強度振動を抑制したい位相シフタの領域に形成する場合によい。
また、位相シフタの表面上にマイクロレンズを形成して、光強度分布を形成する効果を付加してもよい。
前記第1の位相シフタ121と第2の位相シフタ122とは、図11(c)に示すように、隅部に設けられた4つのスペーサ123を挟んで取着することにより、一体的な構造としてもよい。また、位相シフタ間に塵埃等が入るのを防止することもできるように、4つのスペーサの代わりに、枠形のシールドスペーサを4辺間に設けても良い。代わって、図11(d)に示すように、第1の位相シフタと第2の位相シフタとは、1枚の合成石英基板(共通透明基板)に一体的に形成された位相シフタ124としても良く、この場合には、一面に第1の位相シフタの溝、即ち、段差が形成され、他面に第2の位相シフタの溝、即ち、段差が形成されている。さらに、第1の位相シフタと第2の位相シフタは、光路における設置位置を入れ換えてもよい。
上述したような第1並びに第2の位相シフタ106a、107aによって得られる光強度分布は、透明基板(合成石英基板)の表面段差の幾何学的構造と入射光の角度や光の空間的可干渉性によって決定される。要求する光強度によっては、第2の位相シフタ107aだけでよい場合もある。
なお、図9(a)に示す態様において、試料108表面の位置を、投影レンズ105の焦点面に配置し、例えば、ホモジナイズ光学系104の焦点面100aに位相シフタ106aを配置しても良い(図9(a)の態様の変形)。この場合には、図9(a)に示す態様に比べて光強度分布設計の多様化に制限が生じるが、均一性が向上する効果がある。
以下に説明する結晶化装置のさらなる態様において、前記図9(a)示す態様と実質的に同一の個所は、同じ参照符号を付して説明を省略する。
さらに他のレーザ照射装置の態様を図9(b)に示す。
図9(b)に示す装置では、ホモジナイズ光学系104の焦点面100aに第1の位相シフタ106aが配置され、結像レンズ105の焦点位置に試料108の表面が位置されている。第2の位相シフタ107aは、結像レンズ105の焦点はずれの位置に配置されている。この場合、前記図9(a)の態様の変形に比べ光強度分布設計の多様性が向上するが、第1の位相シフタ106aの強度変調は投影レンズの分解能の制限を受ける。
図9(b)に示す装置では、ホモジナイズ光学系104の焦点面100aに第1の位相シフタ106aが配置され、結像レンズ105の焦点位置に試料108の表面が位置されている。第2の位相シフタ107aは、結像レンズ105の焦点はずれの位置に配置されている。この場合、前記図9(a)の態様の変形に比べ光強度分布設計の多様性が向上するが、第1の位相シフタ106aの強度変調は投影レンズの分解能の制限を受ける。
図9(c)示す装置では、ホモジナイズ光学系104の焦点面100aに第1の位相シフタ106aが配置され、また、ホモジナイズ光学系104の焦点はずれの位置に、第2の位相シフタ107aが配置されている。試料108の表面は、投影レンズ105の焦点面に配置されている。このような構成の装置では、試料表面付近に位相シフタが存在しないため、ステージ109周辺の自由度が増す。しかし、光強度分布は、投影レンズの分解能の制限を受ける欠点がある。
上記態様では、レーザ光による結晶化工程として、光変調素子7による横方向結晶成長の例について説明したが、光変調素子7による変調を行わず、非単結晶半導体薄膜が溶融するエネルギーを有する均一化レーザビームの照射によるレーザ結晶化でも良い。いうまでもなく、その後上記フラッシュランプ光照射を行う。
53…短冊形状結晶粒、54a…三角形状結晶粒、55…小粒径結晶粒、61…レーザ光強度分布、62…結晶成長開始点、83…半導体薄膜、85…レーザ照射用レーザ光、86,86a…主勾配方向、87…結晶化された多結晶半導体薄膜、88…フラッシュランプ光、121,122…位相シフタ
Claims (7)
- 非単結晶半導体薄膜の結晶化領域に、光学変調素子で光変調されて極小光強度線もしくは極小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を照射して結晶化するレーザ照射工程と、
結晶化された領域にフラッシュランプによる光照射して結晶化された領域を加熱する加熱工程と、
を包含する半導体装置の製造方法。 - 非単結晶半導体薄膜の結晶化領域に、光学変調素子で光変調されて極小光強度線もしくは極小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を照射して複数の主結晶粒と、その周りに微小結晶粒とを形成するレーザ照射工程と、
フラッシュランプの光照射により、前記主結晶粒が前記微小結晶粒を取り込んで前記結晶化領域を単結晶にする加熱工程と、
を包含する半導体装置の製造方法。 - 非単結晶半導体薄膜が成膜された試料に前記非単結晶半導体薄膜が溶融するエネルギー光のパルスレーザ光を照射し結晶化するレーザ照射工程と、
前記パルスレーザ光に照射されて結晶化された領域の少なくとも一部および前記非単結晶半導体領域に、フラッシュランプにより前記非単結晶半導体薄膜が溶融するエネルギー光を照射し結晶化する加熱工程と、
を包含する半導体装置の製造方法。 - 前記レーザ照射工程は、前記結晶粒の成長方向の面方位が所定の面で、他の結晶粒よりも成長の速い結晶粒を形成する工程を有し、
前記フラッシュランプによる前記加熱工程は、前記結晶粒を結晶核にして前記半導体薄膜に結晶成長方向の面方位が前記所定の面である結晶粒を成長させる工程を有する
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。 - 前記レーザ照射工程は、前記結晶粒の成長方向の面方位が(100)面で、一面側から見て三角形状の結晶粒を形成する工程を有し、
前記フラッシュランプによる前記加熱工程は、前記三角形状の結晶粒を結晶核にして前記半導体薄膜に結晶成長方向の面方位が(100)面で、一面側から見て表面形状がほぼ矩形を有している結晶粒を成長させる工程を有する
請求項1ないし3のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。 - 前記レーザ照射工程において、光学変調素子により、前記極小光強度線もしくは極小光強度点を有する光強度分布のレーザ光が形成される請求項1ないし5のいずれか1項に記載の半導体装置の製造方法。
- 前記光学変調素子は、入射レーザ光の位相を変調することにより極小光強度線もしくは極小光強度点を有する光強度分布のレーザ光を出射する位相シフタを有する請求項6に記載の半導体装置の製造方法。
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Legal Events
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Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A762 Effective date: 20091222 |