JP2003160738A - 有機顔料結晶の製造方法 - Google Patents
有機顔料結晶の製造方法Info
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Abstract
顔料結晶の製造方法を提供する。 【解決手段】 加圧条件下、有機顔料を溶媒に加熱溶解
した後、徐冷却し、結晶化させる。
Description
の製造方法に関するものである。有機顔料は、色材とし
て塗料分野で使用されるばかりでなく、エレクトロニク
ス分野においても例えば、電子写真感光体の電荷発生
剤、CD−R、DVD−Rなどの記録媒体用色素、トナ
ーやインクジェットプリンタ用インキの着色剤、液晶表
示素子用カラーフィルター色素、有機ELデバイス用発
光材等の様々な用途に用いられる。
は、まず高純度で有ること、特定の吸収特性を持つこと
が必要である。吸収特性は顔料の化学構造、粒径、結晶
型、純度等により支配されているが、特に有機顔料は同
一化学構造であっても、幾つもの結晶型を持つものが多
く存在するため、新たな結晶型或いは結晶粒子構造をど
の様に発見するか設計するか、更にはそれらををいかに
制御しながら、かつ高純度に製造していくかが新たな有
機顔料を開発する上での重要なポイントとなる。
しては様々な有機顔料が使用されているが、近年半導体
レーザー光やLED光の発振波長である近赤外光に対し高
感度な顔料が強く求められている。この要求を満たす有
機顔料としてフタロシアニン類が広く研究されている。
フタロシアニン類は、中心金属の種類により吸収スペク
トルや光導電性が異なるだけでなく、結晶型によっても
これらの物性には差があり、同じ中心金属のフタロシア
ニンでも特定の結晶型が電子写真感光体用に選択されて
いる例が幾つか報告されている。無金属フタロシアニン
ではX型の結晶型が光導電性が高く、かつ800nm以上
の近赤外光に対しても感度が有るとの報告があり、また
銅フタロシアニンでは多くの結晶型の内ε型が最も長波
長に感度を有していると報告されている。しかし、X型
無金属フタロシアニンは準安定型結晶型であって、その
製造が困難であり、また安定した品質のものが得にくい
という欠点がある。一方でε型銅フタロシアニンは、α
やβ型銅フタロシアニンに比べれば分光感度は長波長に
伸びているが、800nmでは780nmに比較し、急激に
低下しており、発振波長に変動のある半導体レーザー用
には使いにくい性能となっている。銅フタロシアニンで
はα、β、γ、ε型などの結晶型の違いにより帯電性、
暗減衰、感度等に大きな差が有ることが知られており
「澤田学;染料と薬品、第24巻6号、p122(19
84)」、また結晶型により吸収スペクトルが異なるこ
とより、分光感度も変化することも報告されている「熊
野勇夫;電子写真学会誌第22巻、第2号、p111'
1984)」。
無金属フタロシアニンや他の多くの金属フタロシアニン
に関して良く知られており、電気特性の良好な結晶型を
いかに作るかという点に多くの努力がなされている。こ
れまで、有機顔料の結晶型を制御する手段としては、合
成段階で制御する方法の他、例えばアシッドペーステイ
ング法、アシッドスラリー法等のいわゆる硫酸法;ソル
ベントミリング法、ドライミリング法、ソルトミリング
法など粉砕法により一旦溶解或いは非晶質化した後、所
望の結晶型に転換させる方法が一般的である。
方法では必ずしも高純度な顔料が得られない、結晶型の
制御性があまり良くない、方法が煩雑である等の課題を
有しているのが現状である。
題に関し鋭意検討した結果、従来では出来なかった極め
て高純度でかつ大粒径、更には新たな結晶構造を作り出
すことのできる有機顔料結晶の製造方法を見出すに至っ
た。即ち本発明の要旨は、加圧条件下、有機顔料を溶媒
に加熱溶解した後、徐冷却し結晶化させることを特徴と
する有機顔料結晶の製造方法、に存する。
造は加圧条件下にて行うことを必須条件とするが、通常
は密閉容器中で実施される。容器の材質としては例えば
ガラス、鉄、ステンレス、ガラスライニングされたステ
ンレス容器などいずれも用いることが出来る。 有機顔
料としては、例えば無金属フタロシアニン、各種金属フ
タロシアニン、アゾ、キナクリドン、インジゴ、ペリレ
ン、多環キノン、ベンズイミダゾール系、ピロロピロー
ル系顔料等いずれも用いることが出来る。容器内圧は、
通常、1.5×103〜2×104torrの範囲であ
る。
込まれる。使用される溶媒の種類は特に限定はなく、例
えばトルエン、キシレン、ナフタレン、テトラリン等の
炭化水素類;例えばフェノール、クレゾール、キシレノ
ール等のフェノール類;例えばクロルベンゼン、トリク
ロロベンゼン、クロロナフタレン等のハロゲン化炭化水
素類;例えばアニソール、フェネトール、ジフェニルエ
ーテル、ジオキサン、ジエチレングリコールジメチルエ
ーテルなどのエーテル・アセタール類;例えばメタノー
ル、エタノール、プロパノール、ブタノール、ペンタノ
ール、ヘキサノール、ヘプタノールなどのアルコール
類;例えばアセトン、メチルエチルケトン、シクロヘキ
サノン、アセトフェノン、2−ペンタノン等のケトン
類;例えば酢酸エチル、プロピオン酸メチル、安息香酸
メチル、γーブチルラクトン等のエステル類;例えばニ
トロベンゼン、アセトニトリル、アニリン、N,N-ジエチ
ルアニリン、N-メチルピロリドン、N,N-ジメチルホルム
アミド、キノリン、ピリジン、モルホリン、ピロール、
トルイジン等の含窒素化合物;例えばチオフェン、スル
ホラン、ジメチルスルホキシドなどの含硫黄化合物;例
えば2−メトキシエタノール、2−アミノエタノール、
2−クロロエタノール、エピクロルヒドリン等の2つ以
上の官能基を持つ化合物が挙げられ、これらは単独で用
いても良いし、混合して使用することもできる。
比率については特に制限はないが、一般に0.002%
〜10%の範囲から選択することが好ましく、より好ま
しくは0.005%〜5%の範囲から選ばれる。使用さ
れる溶媒は前述のように単独或いは混合して用いられる
が、いずれにおいても水を併用しても構わない。その場
合の水の混合比率としては有機溶媒に対して1〜20%
が好ましく、更に2〜15%がより好ましい。
媒は続いて加熱溶解されるが、この場合の温度範囲は5
0〜300℃が適当である。もちろん加熱溶解中、有機
顔料の溶解速度を早めるため、撹拌などの操作を加えて
も構わない。有機顔料の溶解を十分に行うため、設定し
た最高加熱温度で例えば5〜60分保持することが好ま
しい。 この様にして作製された有機顔料溶解液は続い
て徐冷却処理により、結晶化が行われるが、この際の冷
却速度としては0.5〜10℃/時、より好ましくは1
〜5℃/時で行われる。
明するが、本発明の要旨はこれらの実施例によって限定
されるものではない。 実施例1 耐圧硝子工業(株)製反応器TPR−4型(TVS-N2,容
量100ml)に昇華精製を行ったチタニルフタロシアニン
50mg、1−クロロナフタレン45ml及び水5ml
を入れ、密閉した後180℃まで加熱した。同温度で1
0分間保持した後、3℃/時の温度勾配で60℃まで徐
々に冷却した。これを室温まで自然冷却した後開封し、
内容物を取り出し生成した紫色結晶を濾取し、アセトン
にて数回洗浄を行った。収量は32mgであった。ここ
で得られたチタニルフタロシアニン単結晶の電子顕微鏡
観察から、その大きさはほぼ200×400×150μ
mであることが判った。
定したところ、格子定数は表−1のようになった。
較した結果、結晶相 Iであることが確認された。次に
この結晶の偏光反射スペクトルの測定結果を図−1に示
す。このスペクトルにおいて最大反射波長は790nmで
あることがわかる。ここで、偏光反射スペクトルとは単
結晶の結晶面(鏡面)で行う測定で、図−1では試料面
上で水平と垂直方向の2つで測定し、両者のスペクトル
平均値で示されている。反射スペクトルはほぼ吸収スペ
クトルに一致すると考えられる。図−2に既存の方法に
より作製した結晶相I、II及びYのチタニルフタロシア
ニン結晶の偏光反射スペクトルデータを、また図−3,
4,5にそれらのCuKα線によるX線回折スペクトルを示
す。
相 Yの反射スペクトルにほぼ一致することがわかっ
た。以上の結果から、本製造法により製造されたチタニ
ルフタロシアニンの結晶構造は内部が結晶相 I、表面層
は結晶相 Yとなっていることがわかった。なおX線ス
ペクトル測定においては結晶相 Yに由来する回折ピー
クが観測されなかったが、これは表面層の厚みが極めて
薄いため、X線が透過してしまったためであると考えら
れる。
量100ml)にキナクリドン顔料(チバ・スペシャルティ
・ケミカルズ(株)製,Cinquasia Red Y RT-759-1、g
型)30mg、ジメチルホルムアミド50mlを入れ、
密閉した後、140℃まで加熱した。同温度で10分間
保持した後、1℃/時の温度勾配で室温まで徐々に冷却
し結晶を得た。ここで得られた単結晶は電子顕微鏡観察
から、その大きさはほぼ200μm角であることが判っ
た。
射スペクトル測定の結果からγ型であることを確認し
た。 実施例3 耐圧硝子工業(株)製反応器TPR−4型(TVS-N2,容
量100ml)にジケトピロロピロール誘導体(1,4-diketo-
3,6-bis-(4'-pyridyl)-pyroro[3,4-c]-pyrrole:米国特
許4579949号明細書の記載に従い合成)30mg、ジメ
チルホルムアミド50mlを入れ、密閉した後150℃
まで加熱した。 同温度で15分間保持した後、5℃/
時の温度勾配で室温まで徐々に冷却し、横長の六角板状
並びに針状結晶を得た。顕微分光装置を用いた偏光反射
スペクトルの結果からこれらの結晶は異なる結晶相であ
ることが分かった。ここで得られた単結晶の大きさはそ
れぞれ、100×50×30、500×30×30μm
3程度であった。
量100ml)に鉄フタロシアニン(東京化成(株)製)5
0mg、ピリジン50mlを入れ、密閉した後130℃
まで加熱した。同温度で10分間保持した後、5℃/時
の温度勾配で室温まで徐々に冷却し、150×80×3
0μm3程度の板状結晶を得た。この単結晶のX線構造
解析の結果、これまでには知られていない結晶構造を持
つことが判ったが、その正確な構造についてはまだ特定
できていない。
量100ml)に市販のマグネシウムフタロシアニン(MgPc:
東京化成(株))52mg、ピリジン30mlを入
れ、密閉した後130℃まで加熱した。 同温度で10
分間保持した後、3℃/時の温度勾配で室温まで徐々に
冷却し、針状結晶を得た。 この単結晶のX線構造解析
の結果、これまでには知られていない溶媒和結晶(板状
結晶)と既知の溶媒和結晶(MgPc/(H2O)2(pyr
idine)2: 立方体結晶:M.S.Fisher et.
al.J.Amer.Chem.Soc.93,2622-2
628(1971))が得られた。結晶の大きさはそれぞ
れ、300×150×100,150×150×160μ
m3程度であった。新規結晶の組成はMgPc/(H2O)
2(pyridine)3で三斜晶系の結晶(a=15.64
0, b=17.667, c=13.586Å,a=112.
5911.59,b=104.01,g=102.96°)であ
ることがわかった。
極めて高純度でかつ大粒径な結晶、新たな結晶構造を作
り出す有機顔料の製造方法を提供できる。
偏光反射スペクトル。
反射スペクトル。
Claims (3)
- 【請求項1】 加圧条件下、有機顔料を溶媒に加熱溶解
した後、徐冷却し、結晶化させることを特徴とする有機
顔料結晶の製造方法。 - 【請求項2】 溶解から結晶化に至る処理を密閉容器内
で行う、有機顔料結晶の製造方法。 - 【請求項3】 密閉容器内圧が、1.5×103〜2×
104torrの範囲にある、請求項1又は2に記載の
有機顔料結晶の製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2001362469A JP2003160738A (ja) | 2001-11-28 | 2001-11-28 | 有機顔料結晶の製造方法 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2001362469A JP2003160738A (ja) | 2001-11-28 | 2001-11-28 | 有機顔料結晶の製造方法 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2003160738A true JP2003160738A (ja) | 2003-06-06 |
Family
ID=19172964
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2001362469A Pending JP2003160738A (ja) | 2001-11-28 | 2001-11-28 | 有機顔料結晶の製造方法 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2003160738A (ja) |
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2006028267A1 (ja) | 2004-09-08 | 2006-03-16 | Canon Kabushiki Kaisha | 被覆微粒子、分散微粒子、被覆微粒子の製造方法、インク、記録方法及び記録画像 |
JP2011084694A (ja) * | 2009-10-19 | 2011-04-28 | National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology | フタロシアニン錯体結晶の製造方法 |
-
2001
- 2001-11-28 JP JP2001362469A patent/JP2003160738A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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WO2006028267A1 (ja) | 2004-09-08 | 2006-03-16 | Canon Kabushiki Kaisha | 被覆微粒子、分散微粒子、被覆微粒子の製造方法、インク、記録方法及び記録画像 |
JP2011084694A (ja) * | 2009-10-19 | 2011-04-28 | National Institute Of Advanced Industrial Science & Technology | フタロシアニン錯体結晶の製造方法 |
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